(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】骨形成不全症の処置における抗スクレロスチン抗体の使用
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20220401BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20220401BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20220401BHJP
【FI】
A61K39/395 N ZMD
A61P19/08
C12N15/13 ZNA
(21)【出願番号】P 2019533586
(86)(22)【出願日】2017-12-21
(86)【国際出願番号】 GB2017053850
(87)【国際公開番号】W WO2018115880
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-12-16
(32)【優先日】2016-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516052375
【氏名又は名称】メレオ バイオファーマ 3 リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100135943
【氏名又は名称】三橋 規樹
(72)【発明者】
【氏名】ユンカー,ウヴェ
(72)【発明者】
【氏名】クナイセル,ミカエラ
(72)【発明者】
【氏名】ハル,アントニー ケント
(72)【発明者】
【氏名】ユディ,レナ ジョイ
(72)【発明者】
【氏名】リグス,マシュー マニング
【審査官】山村 祥子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-121170(JP,A)
【文献】Journal of Bone and Mineral Research,2016年05月,Vol. 31, No. 5,p.1030-1040
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/395
A61P
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗スクレロスチン抗体を含む、ヒト患者において骨形成不全症(OI)を処置するための医薬組成物であって、前記処置が前記ヒト患者に治療有効量の前記抗スクレロスチン抗体を投与することを含み、前記OIが、I型OI、III型OI、またはIV型OIであり、前記ヒト患者が、COL1A1および/またはCOL1A2遺伝子において1つまたは複数の変異を有し、
前記抗スクレロスチン抗体が、前記ヒト患者の体重1kgあたり2~50mgの用量で、毎月、隔月または年4回投与され、前記抗スクレロスチン抗体が、
(a)配列番号4に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;
(b)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;
(c)配列番号26に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;
(d)配列番号37に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;
(e)配列番号48に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および
(f)配列番号59に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3
を含む、医薬組成物。
【請求項2】
前記抗スクレロスチン抗体が、
a)配列番号70に記載のアミノ酸配列と少なくとも90パーセントの配列同一性を有するVHポリペプチド配列;および/または
b)配列番号81に記載のアミノ酸配列と少なくとも90パーセントの配列同一性を有するVLポリペプチド配列
を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記抗スクレロスチン抗体が、
a)配列番号172に記載のアミノ酸配列と少なくとも90パーセントの配列同一性を有する全長重鎖アミノ酸配列;および/または
b)配列番号173に記載のアミノ酸配列と少なくとも90パーセントの配列同一性を有する全長軽鎖アミノ酸配列
を含む、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記抗スクレロスチン抗体が、配列番号81に記載のアミノ酸配列を含むVLポリペプチド配列および配列番号70に記載のアミノ酸配列を含むVHポリペプチド配列を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記抗スクレロスチン抗体が、配列番号173に記載のアミノ酸配列を含む全長軽鎖アミノ酸配列および配列番号172に記載のアミノ酸配列を含む全長重鎖アミノ酸配列を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記抗スクレロスチン抗体が、前記ヒト患者の体重1kgあたり
2~45mgの用量で投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記抗スクレロスチン抗体が、前記ヒト患者の体重1kgあたり8~
45mgの用量で投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記抗スクレロスチン抗体が、前記ヒト患者の体重1kgあたり10~
40mgの用量で投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記抗スクレロスチン抗体が、前記ヒト患者の体重1kgあたり5~20mgの用量で投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記抗スクレロスチン抗体が、前記ヒト患者に毎月投与される、請求項1~
9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記抗スクレロスチン抗体が、前記ヒト患者に年4回投与される、請求項1~
9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記抗スクレロスチン抗体が
、前記ヒト患者の体重1kgあたり
8~25mgの用量
で
投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
処置レジメンが、第1の投与レジメン、任意選択でそれに続く第2の投与レジメンを含む、請求項1~
12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
(a)前記第1の投与レジメンが、前記ヒト患者の体重1kgあたり
2~50mgを毎月投与すること、例えば、前記第1の投与レジメンが、前記ヒト患者の体重1kgあたり20mgを毎月投与することである、
(b)前記第2の投与レジメンが、前記ヒト患者の体重1kgあたり
2~50mgを隔月または年4回投与すること、例えば、前記第2の投与レジメンが、前記ヒト患者の体重1kgあたり20mgを隔月または年4回投与することである、および/または
(c)前記第1の投与レジメンが、前記ヒト患者の体重1kgあたり20mgを毎月投与することであり、前記第2の投与レジメンが、前記ヒト患者の体重1kgあたり20mgを隔月または年4回投与するこ
とである、請求項
13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記抗スクレロスチン抗体が静脈内投与される、請求項1~
14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記抗スクレロスチン抗体が皮下投与される、請求項1~
14のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記処置が、ビスホスホネート、副甲状腺ホルモン、カルシウム受容体拮抗薬、カルシウム受容体作動薬(シナカルセト等)、スタチン、アナボリックステロイド、ランタンおよびストロンチウム塩、ならびに/またはフッ化ナトリウム等のさらなる治療剤を投与することを含む、請求項1~
16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記患者が成人患者である、請求項1~
17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記患者が小児科患者である、請求項1~
17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗体および医薬組成物としてのそれらの使用に関し、より詳細には、骨形成不全症の処置における抗スクレロスチン抗体の使用に関する。
【0002】
[配列表]
本出願は、EFS-WebによってASCIIフォーマットで提出された配列表を含有し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2016年12月21日に作成された前記ASCIIコピーはP069492US_SeqListing.txtと名付けられ、サイズは153キロバイトである。
【背景技術】
【0003】
骨形成不全症(OI)は、骨の脆弱性および骨量の減少によって特徴付けられる結合組織のまれな遺伝性障害である。OIは、いつもではないが主に、I型コラーゲンをコードする遺伝子における変異から生じる遺伝による障害の群を含む。約85%のケースが、I型コラーゲンをコードする2つの遺伝子(COL1A1およびCOL1A2)のうちの1つにおける変異に関連する。臨床的に、OIは、容易に骨折し、外傷がない脆弱な骨によって特徴付けられる。さらに、OIを有する患者は、筋力低下、聴力喪失、疲労、関節弛緩症、湾曲した骨、脊柱狭窄症、青色強膜、象牙質形成不全症、および低身長になることが多い。
【0004】
臨床的分類システムは、OIをI~V型に分類する。I型OI患者は通常、COL1A1における未成熟終止コドンと関連することが多い軽度の非変形性疾患を患う。この欠損は、I型コラーゲン産生の割合の減少および骨の定量的に少ないコラーゲンをもたらす。II型OIを有する患者は、通常、胸郭を含む複数の重度の骨折による呼吸不全の結果として、周産期中に亡くなる。III型およびIV型OIは、COL1A1およびCOL1A2におけるグリシン置換と関連することが多く、I型コラーゲンの3つのポリペプチド鎖が正確に絡み合い、正常な3重アルファヘリックス構造を形成するのを防ぐ質的な欠損である。III型OIは、幼児期を生き延びたそれらを患う小児において、OIの最も重症な形態であるが、IV型を有する患者は軽度から中程度の骨の変形を有する。V型OIはまれである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
OIの処置のための治療方法および治療剤の必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、驚くべきことに、骨形成不全症(OI)を有する患者において抗スクレロスチン抗体が骨形成の増加および骨吸収の減少の両方ができることを確認する実施例によって確立されたように、OIを有するヒト患者が抗スクレロスチン抗体によって成功裏に処置され得ることを見出した。本発明者らは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる本発明者らの米国特許第7,879,322号、第8,246,953号、および第8,486,661号において、高親和性、中和、完全ヒト抗スクレロスチンモノクローナル抗体(総称して、「ヒト抗スクレロスチンモノクローナル抗体」)ならびにそれらの強力なin vitro活性およびin vivo活性を開示した。
【0007】
一態様では、本発明は、患者に治療有効量の抗スクレロスチン抗体を投与することを含む、骨形成不全症を患っている患者を処置する方法である。一実施形態では、本発明は、患者に治療有効量の抗スクレロスチン抗体を投与することによる、骨形成不全症患者において骨形成を増加するおよび骨吸収を減少する方法である。別の態様では、本発明は、骨形成不全症の処置での使用のための抗スクレロスチン抗体を提供する。一実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、骨形成を増加するおよび/または骨吸収を減少する。以下の実施形態は前記態様の両方に当てはまる。一実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、a)超可変領域順に、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号15に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、および配列番号26に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3を含む、少なくとも1つの免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH);ならびにb)超可変領域順に、配列番号37に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号48に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および配列番号59に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む、少なくとも1つの免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。別の実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、(a)配列番号4に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;(b)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;(c)配列番号26に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;(d)配列番号37に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;(e)配列番号48に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および(f)配列番号59に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3からなる群から選択される少なくとも1つまたは複数の相補性決定領域(CDR)配列を含む。一実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、配列番号26に記載のアミノ酸配列を含む少なくとも重鎖可変領域CDR3を含む。一実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、前述のCDR6つ全てを含む。
【0008】
別の実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、(a)配列番号4に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;(b)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;(c)配列番号26に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;(d)配列番号37に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;(e)配列番号48に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および(f)配列番号59に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含むか、または(a)配列番号4に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;(b)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;(c)配列番号26に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;(d)配列番号37に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;(e)配列番号48に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および(f)配列番号59に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む抗スクレロスチン抗体と同じエピトープに結合する抗スクレロスチン抗体を含む。関連する実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、配列番号81に記載のアミノ酸配列を有するVLポリペプチド配列および配列番号70に記載のアミノ酸配列を有するVHポリペプチド配列を含む抗スクレロスチン抗体と同じエピトープに結合する。別の実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、配列番号125に記載のアミノ酸配列を有する全長軽鎖アミノ酸配列および配列番号114に記載のアミノ酸配列を有する全長重鎖アミノ酸配列を含む抗スクレロスチン抗体と同じエピトープに結合する。一実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、配列番号173に記載のアミノ酸配列を有する全長軽鎖アミノ酸配列および配列番号172に記載のアミノ酸配列を有する全長重鎖アミノ酸配列を含む抗スクレロスチン抗体と同じエピトープに結合する。
一実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、以下のヒトスクレロスチン配列:CGPARLLPNAIGRGKWWRPSGPDFRC(「ループ2エピトープ」;配列番号174)および/またはDVSEYCRELHFTR SAKPVTELVCSGQCGPARWWRPSGPDFRCIPDRYR LVASCKCKRLTR(「T20.6エピトープ」配列番号175)内のエピトープに結合する。したがって、一実施形態では、本発明の抗スクレロスチン抗体は、ループ2エピトープに/内に結合する。別の実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、T20.6エピトープに/内に結合する。ループ2およびT20.6エピトープ領域に/内に結合する抗スクレロスチン抗体は、当技術分野で公知であり、例えば、国際公開第00/32773号、国際公開第2005/003158号、国際公開第2005/014650号、国際公開第2006/119107号、国際公開第2006/119062号、国際公開第2009/039175号および国際公開第2008/061013号参照。国際公開第2006/119062号に開示の抗体「Ab-A」、「Ab-B」、「Ab-C」、「Ab-D」、およびAb-1は、それへの参照により本開示に明確に組み込まれ、これらの抗体の6CDR、重鎖および軽鎖可変配列ならびに全長重鎖および軽鎖配列を明確に含む。一実施形態では、本発明の抗スクレロスチン抗体は、配列番号176に記載のアミノ酸配列を有するVLポリペプチド配列および配列番号177に記載のアミノ酸配列を有するVHポリペプチド配列を含む抗スクレロスチン抗体と同じエピトープに結合する。別の実施形態では、本発明の抗スクレロスチン抗体は、国際公開第2006/119062号に開示のAb-A、Ab-B、Ab-C、またはAb-Dと同じエピトープに結合する。
【0009】
一実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、ブロソズマブから選択される。
【0010】
別の実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、配列番号70に記載のアミノ酸配列と少なくとも90(例えば、少なくとも95、98、または99もしくは100)パーセント同一性を有するVHを含む。さらに別の実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、配列番号81に記載のアミノ酸配列と少なくとも90(例えば、少なくとも95、98、または99もしくは100)パーセント同一性を有するVLを含む。さらに別の実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、配列番号70に記載のアミノ酸配列と少なくとも90(例えば、少なくとも95、98、または99もしくは100)パーセント同一性を有するVH、および配列番号81に記載のアミノ酸配列と少なくとも90(例えば、少なくとも95、98、または99もしくは100)パーセント同一性を有するVLを含む。さらに別の実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、配列番号70に記載のアミノ酸配列を有するVH、および配列番号81に記載のアミノ酸配列を有するVLを含む。さらに別の実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、配列番号114もしくは172に記載のアミノ酸配列と少なくとも90(例えば、少なくとも95、98、または99もしくは100)パーセント同一性を有する重鎖、および/または配列番号125もしくは173に記載のアミノ酸配列と少なくとも90(例えば、少なくとも95、98、または99もしくは100)パーセント同一性を有する軽鎖を含む。一実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、配列番号172に記載のアミノ酸配列を有する重鎖および配列番号173に記載のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。
【0011】
一実施形態では、治療有効量の抗スクレロスチン抗体は、ヒト患者の体重1kgあたり約1~50mgの前記抗体である。
【0012】
本発明の別の態様は、骨形成不全症患者において骨形成を増加するおよび骨吸収を減少する医薬組成物である。いくつかの実施形態では、組成物は、a)超可変領域順に、配列番号4に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1、配列番号15に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2、および列番号26に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3を含む、少なくとも1つの免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH);ならびにb)超可変領域順に、配列番号37に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1、配列番号48に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および配列番号59に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む、少なくとも1つの免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL)を含む抗スクレロスチン抗体を含有する。
【0013】
別の実施形態では、医薬組成物中の抗スクレロスチン抗体は、配列番号70に記載のアミノ酸配列と少なくとも95パーセント同一性を有するVHを含む。さらに別の実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、配列番号81に記載のアミノ酸配列と少なくとも95パーセント同一性を有するVLを含む。
【0014】
さらに別の実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、配列番号70に記載のアミノ酸配列と少なくとも95パーセント同一性を有するVH、および配列番号81に記載のアミノ酸配列と少なくとも95パーセント同一性を有するVLを含む。さらに別の実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、配列番号70に記載のアミノ酸配列を有するVH、および配列番号81に記載のアミノ酸配列を有するVLを含む。さらに別の実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、配列番号114もしくは172に記載のアミノ酸配列を有する重鎖、および/または配列番号125もしくは173に記載のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。
【0015】
一態様では、本発明は、本明細書に開示の抗スクレロスチン抗体を含む医薬組成物を提供する。一実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の方法/使用で使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、骨代謝バイオマーカーの1サンプルのt検定の結果の結果を示す表である。
【
図2】
図2は、骨代謝バイオマーカーの2サンプルのt検定の結果を示す表である。
【
図3】
図3は、PINPの幾何平均(プラスまたはマイナスSD)におけるベースラインに対する比を示すグラフである。
【
図4】
図4は、PICPの幾何平均(プラスまたはマイナスSD)におけるベースラインに対する比を示すグラフである。
【
図5】
図5は、BSAPの幾何平均(プラスまたはマイナスSD)におけるベースラインに対する比を示すグラフである。
【
図6】
図6は、OCの幾何平均(プラスまたはマイナスSD)におけるベースラインに対する比を示すグラフである。
【
図7】
図7は、腰椎(DXAによって測定した)データのBMDのベースラインに対する比のベイズ事後確率を示すグラフである。
【
図8】
図8は、CTX-1の幾何平均(プラスまたはマイナスSD)におけるベースラインの比を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、骨形成不全症(OI)を有するヒト患者が、抗スクレロスチン抗体によって成功裏に処置され得る、予期しない驚くべき発見に基づく。ヒトOI患者への抗スクレロスチン抗体の投与は、実施例に示したように、骨形成を増加するおよび骨吸収を減少する。
【0018】
バックグラウンドにより、スクレロスチンは、ヒトにおいてSOST遺伝子によってコードされる自然発生のタンパク質である。スクレオスチンは、C末端システインノット様(CTCK)ドメインおよび骨形成タンパク質(BMP)アンタゴニストのDAN(differential screening-selected gene aberrative in neuroblastoma;ディファレンシャルスクリーニングにより選択された神経芽細胞腫の異常のある遺伝子)ファミリーに配列類似性を有する分泌糖タンパク質である。
【0019】
本発明者らによって初めて示されたように、抗スクレロスチン抗体によるスクレロスチンの阻害は、骨形成および骨密度をブーストし、ヒトでのOIの処置に有益な効果を提供する。骨代謝回転(bone turnover)を増加するGHまたはPTHを使用する以前の同化処置とは違い、抗スクレロスチン抗体による処置は、OI患者において骨形成を刺激するが骨吸収を阻害する利点を提供する。抗スクレロスチン抗体の臨床利用は、したがって、骨形成が骨基質の著しい欠如によって特徴付けられる疾患における治療効果である、ヒトの骨形成不全症の処置を含む。
【0020】
したがって、本発明は、OIの処置において抗スクレロスチン抗体を使用する方法ならびにOIの処置での使用のための抗スクレロスチン抗体を含む組成物を対象にする。一態様では、本発明は、I型、III型、またはIV型骨形成不全症の処置に関する。したがって、本発明は、OI、好ましくはI型、III型、またはIV型OIの処置での使用のための抗スクレロスチン抗体および前記抗体を含む医薬組成物を提供する。一実施形態では、本発明の抗スクレロスチン抗体はモノクローナル抗スクレロスチン抗体である。一実施形態では、本発明の抗スクレロスチン抗体は、ヒトまたはヒト化モノクローナル抗スクレロスチン抗体である。代わりに、抗体は、例えばキメラ抗体であり得る。
【0021】
本発明での抗スクレロスチン抗体の方法および使用は、OI患者での抗体処置が骨形成の増加および骨吸収の減少の両方を生じるため、予期しない驚くべきことであった。
【0022】
本発明がより容易に理解され得るために、特定の用語をまず定義する。さらなる定義は詳細な説明を通して記載する。
【0023】
用語「含む(comprising)」は、「含む(including)」ならびに「からなる」を包含し、例えばXを「含む(comprising)」組成物はXのみからなる、または追加の何か、例えばX+Yを含み得る。
【0024】
数値xに関連する用語「約」は、例えば、x±10%を意味する。
【0025】
用語スクレロスチンは、配列番号155に定義したようにヒトスクレロスチンを指す。組換えヒトスクレロスチンは、R&D Systemsから得ることができる(Minneapolis、Minn.、USA;2006 カタログ番号1406-ST-025)。さらに、組換えマウススクレロスチン/SOSTはR&D Systemsから市販されている(Minneapolis、Minn.、USA;2006 カタログ番号1589-ST-025)。米国特許第6,395,511号および第6,803,453号、ならびに米国特許出願公開第20040009535号および第20050106683号は、一般に抗スクレロスチン抗体を記載する。
【0026】
本明細書に記載の用語「抗体」は、抗体全体およびその任意の抗原結合断片(すなわち、「抗原結合部分」)または一本鎖を含む。自然発生「抗体」は、ジスルフィド結合によって相互接続した少なくとも2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含む糖タンパク質である。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではVHと省略される)および重鎖定常領域から構成される。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2、およびCH3から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVLと省略される)および軽鎖定常領域から構成される。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、CLから構成される。VHおよびVL領域は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる、超可変性の領域にさらに細分することができ、より保存され、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる領域が散在する。各VHおよびVLは、3つのCDRおよび4つのFRから構成され、アミノ末端からカルボキシ末端まで以下の順序で配列される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第1の成分(C1q)を含む、宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を媒介し得る。一実施形態では、本明細書における抗体への言及は、単離した、モノクローナル、ヒトおよびヒト化モノクローナル抗体を包含する。
【0027】
抗体の用語「抗原結合部分」(または簡単に「抗原部分」)は、本明細書で使用する場合、抗原(例えば、スクレロスチン)に特異的に結合する能力を保持する抗体の全長または1つもしくは複数の断片を指す。抗体の抗原結合機能は、全長抗体の断片によって実施され得ることが示された。抗体の用語「抗原結合部分」内に包含される結合断片の例は、Fab断片、VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価の断片;F(ab)2断片、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結されている2つのFab断片を含む二価の断片;VHおよびCH1ドメインからなるFd断片;抗体の単一のアームのVLおよびVHドメインからなるFv断片;VHドメインからなるdAb断片(Ward et al., 1989 Nature 341:544-546);ならびに単離した相補性決定領域(CDR)を含む。
【0028】
さらに、Fv断片の2つのドメイン、VLおよびVHは別々の遺伝子によってコードされるが、それらは、VLおよびVH領域が対で一価の分子を形成する単一タンパク質鎖として作製されることを可能にする合成リンカーによって、組換え方法を使用して、接合され得る(一本鎖Fv(scFv)として公知;例えばBird et al., 1988 Science 242:423-426;およびHuston et al., 1988 Proc. Natl. Acad. Sci. 85:5879-5883参照)。そのような一本鎖抗体は、抗体の用語「抗原結合領域」内に包含されることも意図される。これらの抗体断片は、当業者に公知の従来の技術を使用して得られ、断片は、無傷の抗体と同じ方法での利用に関してスクリーニングする。
【0029】
本明細書で使用する場合、「単離した抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体が実質的にない抗体を指す(例えば、スクレロスチンに特異的に結合する単離した抗体は、スクレロスチン以外の抗原に特異的に結合する抗体が実質的にない)。しかしながら、スクレロスチンに特異的に結合する単離した抗体は、他の種からのスクレロスチン分子など、他の抗原に相互反応性を有し得る。さらに、単離した抗体は他の細胞性物質および/または化学物質が実質的になくてよい。一実施形態では、本明細書での抗体への言及は単離した抗体を意味する。
【0030】
本明細書で使用する場合、用語「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」は、単一分子組成物の抗体分子の調製物を指す。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープへの単一の結合特異性および親和性を示す。
【0031】
本明細書で使用する場合、用語「ヒト抗体」は、フレームワークとCDR領域の両方がヒト起源の配列に由来する可変領域を有する抗体を含むことを意図する。さらに、抗体が定常領域を含有する場合、定常領域はまた、そのようなヒト配列、例えばヒト生殖系列配列またはヒト生殖系列配列の変異形態またはKnappik, et al. (2000. J Mol Biol 296, 57-86)に記載されるようにヒトフレームワーク配列分析に由来する抗体含有コンセンサスフレームワーク配列に由来する。
【0032】
ヒト抗体は、ヒト配列によってコードされないアミノ酸残基を含み得る(例えば、in vitroでのランダムもしくは部位特異的変異誘発またはin vivoでの体細胞変異により導入される変異)。しかしながら、本明細書で使用する場合、用語「ヒト抗体」は、別の哺乳動物種、例えばマウスの生殖系列由来のCDR配列がヒトフレームワーク配列上にグラフトされている抗体を含むことを意図しない。
【0033】
用語「ヒトモノクローナル抗体」は、フレームワークおよびCDR領域の両方がヒト配列に由来する可変領域を有する単一の結合特異性を示す抗体を指す。一実施形態では、ヒトモノクローナル抗体は、不死化細胞に融合されたヒト重鎖導入遺伝子および軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有するトランスジェニック非ヒト動物、例えばトランスジェニックマウスから得たB細胞を含むハイブリドーマによって産生される。
【0034】
本明細書で使用する場合、用語「組換えヒト抗体」は、組換え手段によって、調製、発現、作製または単離された全てのヒト抗体、例えば、ヒト免疫グロブリン遺伝子のトランスジェニックもしくはトランスクロモソーマルである動物(例えばマウス)またはそれから調製されたハイブリドーマから単離された抗体、ヒト抗体を発現するように形質転換された宿主細胞、例えばトランスフェクトーマから単離された抗体、組換え、コンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離された抗体、およびヒト免疫グロブリン遺伝子配列の全てまたは部分の他のDNA配列へのスプライシングを含む任意の他の手段によって調製、発現、作製または単離された抗体を含む。このような組換えヒト抗体は、フレームワークおよびCDR領域がヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する。特定の実施形態では、しかしながら、このような組換えヒト抗体は、in vitroで変異誘発(または、ヒトIg配列のトランスジェニックである動物を使用する場合、in vivo体細胞変異誘発)に供することができ、したがって、組換え抗体のVHおよびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VHおよびVL配列に由来および関連するが、in vivoでヒト抗体生殖系列レパートリー内に天然に存在し得ない配列である。
【0035】
一実施形態では、および本明細書で使用する場合、スクレロスチンに結合する抗体(例えば抗スクレロスチン抗体)は、スクレロスチンポリペプチドに特異的に結合すること体を意味する。「スクレロスチンポリペプチドに特異的に結合する」は、1×10-8M以下、1×10-9M以下、または1×10-10M以下のKDでスクレロスチンポリペプチドに結合する抗体を指すことを意図する。本明細書で使用する場合、用語「KD」は、解離定数を指すことを意図し、Kd対Kaの比(すなわちKd/Ka)から得られ、モル濃度(M)として表される。抗体に対するKD値は、当技術分野で確立された方法を使用して決定され得る。抗体のKDを決定する方法は、表面プラズモン共鳴を使用する、またはBiacore(登録商標)システムなどのバイオセンサーシステムを使用することによる。
【0036】
様々な種のスクレロスチンに対する抗体の結合能力を評価する標準的なアッセイは当技術分野で公知であり、例えば、ELISA、ウェスタンブロットおよびRIAを含む。好適なアッセイは、国際公開第2009/047356号に詳細に記載される。抗体の結合キネティクス(例えば、結合親和性)もまた、例えばBiacore分析によるなど、当技術分野で公知の標準的なアッセイによって評価され得る。スクレロスチンの機能特性への抗体の効果を評価するアッセイ(例えば、受容体結合、骨溶解予防または改善)は国際公開第2009/047356号にさらに詳細に記載される。
【0037】
本明細書で使用する場合、2つの配列間のパーセント同一性は、2つの配列の最適なアライメントのために導入される必要があるギャップの数、およびそれぞれのギャップの長さを考慮して、配列で共有される同一の位置の数の関数(すなわち、%同一性=同一の位置の#/位置の全#×100)である。配列の比較および2つの配列間のパーセント同一性の決定は、以下の非限定的な例に記載した、数学アルゴリズムを使用して達成され得る。
【0038】
2つのアミノ酸配列間のパーセント同一性は、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれているE.MeyersおよびW.Miller(Comput. Appl. Biosci., 4:11-17, 1988)のアルゴリズムを使用して、PAM120ウェイト残基テーブル(weight residue table)、ギャップ長ペナルティ12およびギャップペナルティ4を使用して決定され得る。さらに、2つのアミノ酸配列間のパーセント同一性は、GCGソフトウェアパッケージ(http://www.gcg.comで利用できる)のGAPプログラムに組み込まれているニードルマンおよびブンシュ(J. Mol, Biol. 48:444-453, 1970)アルゴリズムを使用して、Blossom62マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれか、ならびにギャップウェイト16、14、12、10、8、6または4および長ウェイト1、2、3、4、5または6を使用して決定され得る。
【0039】
さらにまたは代わりに、本発明のタンパク質配列はさらに、例えば関連する配列を同定する公共のデータベースに対して検索を実施するための「問い合わせ配列」として使用され得る。そのような検索は、Altschul, et al., 1990 J.Mol. Biol. 215:403-10のXBLASTプログラム(バージョン2.0)を使用して実施され得る。BLASTタンパク質検索は、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3によって実施され、本発明の抗体分子に相同なアミノ酸配列を得ることができる。比較目的のギャップアライメントを得るため、Altschul et al., 1997 Nucleic Acids Res. 25(17):3389-3402に記載のように、Gapped BLASTが利用され得る。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトのパラメーターが使用され得る。http:www.ncbi.nhn.nih.gov参照。
【0040】
本発明の様々な態様を以下の小節にさらに詳細に記載する。
OI処置における抗スクレロスチン抗体による処置の方法および使用
【0041】
一態様では、本発明は、抗スクレロスチン抗体によってOI患者を処置する方法またはOI処置における抗スクレロスチン抗体の使用を対象にする。抗スクレロスチン抗体による処置は、OI患者において骨形成の増加および骨吸収の減少の両方ができる。一態様では、本発明は、OIの処置での使用のための抗スクレロスチン抗体を提供する。OIの処置での使用のための好適な抗スクレロスチン抗体が本明細書で開示される。
【0042】
いくつかの実施形態では、本発明は、OI患者において骨形成を増加するおよび骨吸収を減少する方法であり、方法は患者に治療有効量の抗スクレロスチン抗体を投与することを含む。一実施形態では、本発明の抗スクレロスチン抗体によるOI患者の処置は、前記OI患者において骨形成を増加するおよび/または骨吸収を減少する。
【0043】
一実施形態では、抗スクレロスチン抗体のVHアミノ酸配列を配列番号69~77に示す。抗スクレロスチン抗体のVLアミノ酸配列をそれぞれ配列番号80~88に示す。抗スクレロスチン抗体の相当する全長重鎖アミノ酸配列を配列番号113~121に示す。抗スクレロスチン抗体の相当する全長軽鎖アミノ酸配列をそれぞれ配列番号124~132に示す。別の実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、CDR領域において、変異したが依然として上記の配列中に示したCDR領域と少なくとも60、70、80、90もしくは95パーセントまたはそれを超える同一性を有するアミノ酸を含む。さらに別の実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、上記の配列中に示したCDR領域と比較した場合、CDR領域においてわずか1、2、3、4または5アミノ酸が変異した変異アミノ酸配列を含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、抗スクレロスチン抗体の可変重鎖親ヌクレオチド配列を配列番号89~90に示す。抗スクレロスチン抗体の可変重鎖親ヌクレオチド配列を配列番号100~101に示す。哺乳動物細胞での発現に最適化した全長軽鎖ヌクレオチド配列を配列番号146~154に示す。哺乳動物細胞での発現に最適化した全長重鎖ヌクレオチド配列を配列番号135~143に示す。最適化した軽鎖ヌクレオチド配列によってコードされる全長軽鎖アミノ酸配列を配列番号124~132に示す。最適化した重鎖ヌクレオチド配列によってコードされる全長重鎖アミノ酸配列を配列番号113~121に示す。他の実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、変異したが、依然として上記の配列と少なくとも60、70、80、90もしくは95パーセントまたはそれを超える同一性を有するアミノ酸または核酸を含む。いくつかの実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、上記の配列中に示した可変領域と比較した場合、可変領域においてわずか1、2、3、4または5アミノ酸が変異したが、実質的に同じ治療活性を保持する変異アミノ酸配列を含む。
【0045】
他の実施形態では、上記VH、VL、全長軽鎖、および全長重鎖配列(ヌクレオチド配列およびアミノ酸配列)は「混合およびマッチング」することができる。そのような「混合およびマッチング」した抗体のスクレロスチン結合は、上記および実施例に記載されている結合アッセイ(例えば、ELISA)を使用して試験され得る。これらの鎖を混合およびマッチングする場合、特定のVH/VL対由来のVH配列は、構造的に類似のVH配列と置き換えられるべきである。同様に、特定の全長重鎖/全長軽鎖対由来の全長重鎖配列は、構造的に類似の全長重鎖配列と置き換えられるべきである。同様に、特定のVH/VL対由来のVL配列は、構造的に類似のVL配列と置き換えられるべきである。同様に、特定の全長重鎖/全長軽鎖対由来の全長軽鎖配列は、構造的に類似の全長軽鎖配列と置き換えられるべきである。したがって、一態様では、本発明は、配列番号69~77からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および配列番号80~88からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有する、単離されたモノクローナル抗体またはそれらの抗原結合領域を提供し、抗体はスクレロスチンに特異的に結合する。
【0046】
いくつかの実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、(i)配列番号113~121からなる群から選択される哺乳動物の細胞における発現に最適化されたアミノ酸配列を含む全長重鎖;および配列番号124~132からなる群から選択される哺乳動物の細胞における発現に最適化されたアミノ酸配列を含む全長軽鎖を有する単離されたモノクローナル抗体;または(ii)それらの抗原結合部分を含む機能性タンパク質である。
【0047】
他の実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、(i)配列番号135~143からなる群から選択される哺乳動物の細胞における発現に最適化されたヌクレオチド配列を含む全長重鎖;および配列番号146~154からなる群から選択される哺乳動物の細胞における発現に最適化されたヌクレオチド配列を含む全長軽鎖を有する単離されたモノクローナル抗体;または(ii)それらの抗原結合部分を含む機能性タンパク質である。
【0048】
さらに別の態様では、抗スクレロスチン抗体は、抗体の重鎖および軽鎖CDR1、CDR2、およびCDR3、またはそれらの組合せを含む。抗体のVH CDR1のアミノ酸配列は、配列番号1~11に示す。抗体のVH CDR2のアミノ酸配列は、配列番号12~22に示す。抗体のVH CDR3のアミノ酸配列は、配列番号23~33に示す。抗体のVL CDR1のアミノ酸配列は、配列番号34~44に示す。抗体のVL CDR2のアミノ酸配列は、配列番号45~55に示す。抗体のVL CDR3のアミノ酸配列は、配列番号56~66に示す。CDR領域は、Kabat系(Kabat, E. A., et al., 1991 Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242)を使用して表される。
【0049】
いくつかの実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、VH CDR1、2および3配列ならびにVL CDR1、2および3配列を「混合およびマッチング」した後に作製される(すなわち、異なる抗体由来のCDRを混合およびマッチングすることができる)。そのような「混合およびマッチング」した抗体のスクレロスチン結合は、上記および実施例に記載されている結合アッセイ(例えば、ELISA)を使用して試験され得る。VH CDR配列を混合およびマッチングする場合、特定のVH配列由来のCDR1、CDR2および/またはCDR3配列は、構造的に類似のCDR配列と置き換えられるべきである。同様に、VL CDR配列を混合およびマッチングする場合、特定のVL配列由来のCDR1、CDR2および/またはCDR3配列は、構造的に類似のCDR配列と置き換えられるべきである。新規VHおよびVL配列が1つまたは複数のVHおよび/またはVL CDR領域配列を本発明のモノクローナル抗体のために本明細書で示されるCDR配列由来の構造的に類似の配列と置換することによって作製され得ることが、当業者に容易に理解される。
【0050】
例えば、抗スクレロスチン抗体は、配列番号1~11からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;配列番号12~22からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;配列番号23~33からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;配列番号34~44からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;配列番号45~55からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および配列番号56~66からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を有することができ、抗体はスクレロスチンに特異的に結合する。
【0051】
特定の実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、配列番号3の重鎖可変領域CDR1;配列番号14の重鎖可変領域CDR2;配列番号25の重鎖可変領域CDR3;配列番号36の軽鎖可変領域CDR1;配列番号47の軽鎖可変領域CDR2;および配列番号58の軽鎖可変領域CDR3を含む。
【0052】
特定の実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、配列番号4の重鎖可変領域CDR1;配列番号15の重鎖可変領域CDR2;配列番号26の重鎖可変領域CDR3;配列番号37の軽鎖可変領域CDR1;配列番号48の軽鎖可変領域CDR2;および配列番号59の軽鎖可変領域CDR3を含む。
【0053】
特定の実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、配列番号5の重鎖可変領域CDR1;配列番号16の重鎖可変領域CDR2;配列番号27の重鎖可変領域CDR3;配列番号38の軽鎖可変領域CDR1;配列番号49の軽鎖可変領域CDR2;および配列番号60の軽鎖可変領域CDR3を含む。
【0054】
特定の実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、配列番号6の重鎖可変領域CDR1;配列番号17の重鎖可変領域CDR2;配列番号28の重鎖可変領域CDR3;配列番号39の軽鎖可変領域CDR1;配列番号50の軽鎖可変領域CDR2;および配列番号61の軽鎖可変領域CDR3を含む。
【0055】
特定の実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、配列番号7の重鎖可変領域CDR1;配列番号18の重鎖可変領域CDR2;配列番号29の重鎖可変領域CDR3;配列番号40の軽鎖可変領域CDR1;配列番号51の軽鎖可変領域CDR2;および配列番号62の軽鎖可変領域CDR3を含む。
【0056】
特定の実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、配列番号8の重鎖可変領域CDR1;配列番号19の重鎖可変領域CDR2;配列番号30の重鎖可変領域CDR3;配列番号41の軽鎖可変領域CDR1;配列番号52の軽鎖可変領域CDR2;および配列番号63の軽鎖可変領域CDR3を含む。
【0057】
特定の実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、配列番号9の重鎖可変領域CDR1;配列番号20の重鎖可変領域CDR2;配列番号31の重鎖可変領域CDR3;配列番号42の軽鎖可変領域CDR1;配列番号53の軽鎖可変領域CDR2;および配列番号64の軽鎖可変領域CDR3を含む。
【0058】
特定の実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、配列番号10の重鎖可変領域CDR1;配列番号21の重鎖可変領域CDR2;配列番号32の重鎖可変領域CDR3;配列番号43の軽鎖可変領域CDR1;配列番号54の軽鎖可変領域CDR2;および配列番号65の軽鎖可変領域CDR3を含む。
【0059】
特定の実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、配列番号11の重鎖可変領域CDR1;配列番号22の重鎖可変領域CDR2;配列番号33の重鎖可変領域CDR3;配列番号44の軽鎖可変領域CDR1;配列番号55の軽鎖可変領域CDR2;および配列番号66の軽鎖可変領域CDR3を含む。
【0060】
特定の実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、配列番号70に記載のアミノ酸配列と少なくとも95パーセント同一性を有するVHポリペプチドアミノ酸配列を含む。
【0061】
特定の実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、配列番号81に記載のアミノ酸配列と少なくとも95パーセント同一性を有するVLポリペプチドアミノ酸配列を含む。
【0062】
特定の実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、配列番号70に記載のアミノ酸配列と少なくとも95パーセント同一性を有するVHポリペプチドアミノ酸配列および配列番号81に記載のアミノ酸配列と少なくとも95パーセント同一性を有するVLポリペプチドアミノ酸配列を含む。
【0063】
特定の実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、配列番号70に記載のVHポリペプチドアミノ酸配列および配列番号81に記載のVLポリペプチドアミノ酸配列を含む。
【0064】
特定の実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、配列番号114または172に記載の重鎖ポリペプチドアミノ酸配列および配列番号125または173に記載の軽鎖ポリペプチドアミノ酸配列を含む。
【0065】
好ましい実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、ヒト抗スクレロスチンモノクローナル抗体である抗体BPS804である。BPS804は、以下のCDR:配列番号4の重鎖可変領域CDR1;配列番号15の重鎖可変領域CDR2;配列番号26の重鎖可変領域CDR3;配列番号37の軽鎖可変領域CDR1;配列番号48の軽鎖可変領域CDR2;および配列番号59の軽鎖可変領域CDR3を含む。BPS804のVHおよびVL配列は、配列番号70に記載のVHポリペプチドアミノ酸配列および配列番号81に記載のVLポリペプチドアミノ酸配列を含む。BPS804の重鎖および軽鎖配列は、配列番号172に記載の重鎖ポリペプチドアミノ酸配列および配列番号173に記載の軽鎖ポリペプチドアミノ酸配列を含む。
【0066】
BPS804など、本発明の抗スクレロスチン抗体のさらなる特徴は、その開示、議論およびデータが参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2009/047356号に記載される。例としてのみ、本発明の抗体は以下の機能特性の少なくとも1つを示し得る:抗体が細胞ベースのwntシグナル伝達アッセイにおいてスクレロスチンの阻害効果をブロックする、抗体が細胞ベースの石灰化アッセイにおいてスクレロスチンの阻害効果をブロックする、抗体がSmad1リン酸化アッセイにおいてスクレロスチンの阻害効果をブロックする、抗体がLRP-6へのスクレロスチンの結合を阻害する、ならびに抗体が骨形成および骨量および骨密度を増加する。上記のように、これらの特性は、国際公開第2009/047356号に詳細に記載される。
【0067】
「細胞ベースのwntシグナル伝達アッセイにおいてスクレロスチンの阻害効果をブロックする」抗体に関して、これは、IC50が1mMより小さい、100nM、20nM、10nMまたはそれより小さい細胞ベースのスーパートップフラッシュ(super top flash;STF)アッセイにおいてスクレロスチンの存在下でwnt誘導シグナル伝達を回復する抗体を指すことが意図される。国際公開第2009/047356号は、前記wnt STFアッセイを記載する。
【0068】
「細胞ベースの石灰化アッセイにおいてスクレロスチンの阻害効果をブロックする」抗体に関して、これは、IC50が1mMより小さい、500nM、100nM、10nM、1nMまたはそれより小さい細胞ベースのアッセイにおいてスクレロスチンの存在下でBMP2誘導石灰化を回復する抗体を指すことが意図される。
【0069】
「Smad1リン酸化アッセイにおいてスクレロスチンの阻害効果をブロックする」抗体に関して、これは、IC50が1mMより小さい、500nM、100nM、10nM、1nMまたはそれより小さい細胞ベースのアッセイにおいてスクレロスチンの存在下でBMP6誘導Smad1リン酸化を回復する抗体を指すことが意図される。
【0070】
「LRP-6へのスクレロスチンの結合を阻害する」抗体に関して、これは、IC50が1mM、500nM、100nM、10nM、5nM、3nM、1nMまたはそれより小さいLRP-6へのスクレロスチンの結合を阻害する抗体を指すことが意図される。
【0071】
「骨形成および骨量および骨密度を増加する」抗体に関して、これは、骨形成、骨量および骨密度が、100μg/kgのhPTHによる毎日の間欠的処置など、高い同化用量のPTHによる毎日の間欠的処置のレベルに達することができる抗体を指すことが意図される。
【0072】
一実施形態では、本発明の抗スクレロスチン抗体は、骨形成を増加するおよび/または骨吸収を減少する。
投薬レジメン
【0073】
投薬レジメンは、最適な所望の応答(例えば治療応答)を提供するために調整される。例えば、単回ボーラスを投与してもよく、経時的に数回の分割用量を投与してもよく、または治療状況の緊急性により指示されるとき、比例的に用量を減少または増加してもよい。とりわけ、投与の容易性および投薬量の均一性のため、非経口組成物を投薬単位剤形に製剤化することが有利である。本明細書において使用される投薬単位剤形は、処置される対象に対する単位投薬として適した物理的に分離した単位を指し;それぞれの単位は、必要な医薬担体と一緒に所望の治療効果を引き起こすように計算されたあらかじめ決められた量の活性化合物を含有する。本発明の投薬単位剤形の仕様は、活性化合物の独自の特徴および達成すべき特定の治療効果、ならびに個体における治療感受性に関して、このような活性化合物を調合する技術に固有の限界により規定され、直接的に依存する。一実施形態では、本発明の投薬単位剤形は、10~5000mgの抗スクレロスチン抗体、または10~4000mg、10~3000mg、10~2000mg、10~1000mg、10~500mg、10~400mg、10~300mg、10~200mg、10~150mg、10~100mg、10~80mg、10~60mg、10~50mg、10~40mg、10~35mg、10~30mg、10~25mg、10~20mg、もしくは10~15mgを含む。一実施形態では、投薬単位剤形は150mgの抗スクレロスチン抗体を含む。別の実施形態では、投薬単位剤形は210mgの抗スクレロスチン抗体を含む。
【0074】
一実施形態では、投薬単位剤形の抗スクレロスチン抗体は凍結乾燥状態であり、粉末形態であってよい。別の実施形態では、投薬単位剤形の抗スクレロスチン抗体は溶液である。一実施形態では、本発明の投薬単位剤形は、バイアルなどの容器内に含有される。別の実施形態では、容器はシリンジである。
【0075】
活性物質(すなわち、抗スクレロスチン抗体)に加えて、投薬単位剤形は、1つまたは複数のさらなる物質および/または賦形剤を含み得る。一実施形態では、投薬単位剤形は、以下:スクロース、アルギニン塩酸塩、L-ヒスチジン、ポリソルベート80、塩酸および注射用水(wfi)の1つまたは複数を含む。
【0076】
一態様では、本発明は、本発明の抗スクレロスチン抗体もしくは本発明の医薬組成物、または本発明の凍結乾燥物、または本発明の投薬単位剤形を含むキットを提供する。任意選択により、キットは、例えば患者情報リーフレット、凍結乾燥物の復元のための説明書、および/または投与説明書の形態の説明書をさらに含み得る。一実施形態では、キットは、1つまたは複数の治療有効用量の抗スクレロスチン抗体を含むシリンジを含む。シリンジ中の抗スクレロスチン抗体は、液体または凍結乾燥形態で存在し得る。キットは、凍結乾燥物の復元のための溶液、および/または輸液(例えば、滅菌水中の5%デキストロース)をさらに含み得る。
【0077】
抗スクレロスチン抗体の投与に関して、投薬量は、患者の体重1キログラムあたり前記抗体約1ミリグラム(ここで本出願を通して「mg/kg」と呼ばれる)から50mg/kg、より一般的には約1から30mg/kg、およびさらにより一般的には約1から20mg/kgの範囲である。例えば、投薬量は、約5mg/kg体重、約10mg/kg体重、約20mg/kg体重、または約5~20mg/kgの範囲内であり得る。
【0078】
本発明の別の態様では、抗スクレロスチン抗体は、患者の体重1kgあたり1~50mgの用量、例えば2~50、3~50、5~50、8~50mg/kgで投与される。
【0079】
一実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、患者の体重1kgあたり2~50mgの用量、例えば2~45、2~40、2~35、2~30mg/kgで投与される。
【0080】
一実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、患者の体重1kgあたり3~50mgの用量、例えば3~45、3~40、3~35、3~30mg/kgで投与される。
【0081】
一実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、患者の体重1kgあたり5~50mgの用量、例えば5~45、5~40、5~35、5~30mg/kgで投与される。
【0082】
一実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、患者の体重1kgあたり8~50mgの用量、例えば8~45、8~40、8~35、8~30mg/kgで投与される。
【0083】
一実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、患者の体重1kgあたり10~50mgの用量、例えば10~45、10~40、10~35、10~30mg/kgで投与される。
【0084】
一実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、患者の体重1kgあたり11~50mgの用量、例えば11~45、11~40、11~35、11~30mg/kgで投与される。
【0085】
一実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、患者の体重1kgあたり12~50mgの用量、例えば12~45、12~40、12~35、12~30mg/kgで投与される。
【0086】
一実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、患者の体重1kgあたり15~50mgの用量、例えば15~45、15~40、15~35、15~30mg/kgで投与される。
【0087】
一実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、患者の体重1kgあたり18~50mgの用量、例えば18~45、18~40、18~35、18~30mg/kgで投与される。
【0088】
一実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、患者の体重1kgあたり20~50mgの用量、例えば20~45、20~40、20~35、20~30mg/kgで投与される。
【0089】
一実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、患者の体重1kgあたり5~20mgの用量、例えば8~20、10~20、12~20、15~20mg/kgで投与される。
【0090】
一実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、患者の体重1kgあたり10mgの用量、または1、2、3、4、5、6、7、8、9mg/kgで投与される。
【0091】
一実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、患者の体重1kgあたり20mgの用量、または11、12、13、14、15、17、18、19mg/kgで投与される。
【0092】
一実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、患者の体重1kgあたり30mgの用量、または21、22、23、24、25、26、27、28、29mg/kgで投与される。
【0093】
一実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、患者の体重1kgあたり10mgの用量で投与される。関連する実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、8~12mg/kgの用量、または8~15mg/kgで投与される。
【0094】
一実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、患者の体重1kgあたり20mgの用量で投与される。関連する実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、18~22mg/kgの用量、または15~25mg/kgで投与される。
【0095】
本発明の別の態様では、抗スクレロスチン抗体は、10~5000mgの用量で投与される。一実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、10~4000mg、10~3000mg、10~2000mg、10~1000mg、10~500mg、10~400mg、10~300mg、10~200mg、10~150mg、10~100mg、10~80mg、10~60mg、10~50mg、10~40mg、10~35mg、10~30mg、10~25mg、10~20mg、または10~15mgの用量で投与される。一実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、10~3500mgの用量で投与される。一実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、10~3000mgの用量で投与される。一実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、10~2000mgの用量で投与される。一実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、10~1500mgの用量で投与される。一実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、10~1000mgの用量で投与される。
【0096】
例示的な処置レジメンは、1週間あたり1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、4週間毎に1回、1カ月に1回もしくは毎月、5週間毎に1回、6週間毎に1回、7週間毎に1回、8週間毎に1回、2カ月毎に1回(すなわち、隔月)、3カ月毎に1回(すなわち、年4回)、3から6カ月毎に1回、半年毎、または毎年の投与スケジュール下で、例えば、約5~20mg/kgの範囲の同じ投薬量または異なる投薬量であり得る、複数回用量の投与を必要とする。いくつかの実施形態では、複数回用量は、1週間あたり1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、4週間毎に1回、1カ月に1回もしくは毎月、5週間毎に1回、6週間毎に1回、7週間毎に1回、8週間毎に1回、2カ月毎に1回(すなわち、隔月)、3カ月毎に1回、3から6カ月毎に1回、半年毎、または毎年の投与スケジュール下で、2~20回用量、より一般的には2~10回用量、さらにより一般的には3~5回用量、およびよりさらにより一般的には3回用量であってよい。
【0097】
本発明の別の態様では、抗スクレロスチン抗体は、毎日、毎週、隔週、毎月、隔月、年4回または年1回患者に投与され得る。
【0098】
一実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、毎週患者に投与される。別の実施形態では、投与は、2、3、4、5、6、または7週間毎に行う。
【0099】
一実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、毎月患者に投与される。別の実施形態では、投与は、2、3、4、5、または6カ月毎に行う。
【0100】
一実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、3カ月毎に(すなわち、年4回)患者に投与される。例えば毎週または毎日投与など、より頻繁な投与レジメンのイベントでは、患者が自己投与可能な投与経路が好ましい。例として、皮下、局所、または経口投与経路が抗スクレロスチン抗体の自己投与を容易にし、処置を受けるために医師/病院を訪れる必要がなくなる場合がある。
【0101】
別の例示的な処置レジメンは、処置標的が患者において達成または到達されるまで、例えば、約5~20mg/kgの範囲の同じ投薬量または異なる投薬量であり得る、複数回用量の投与を必要とする。処置標的は、特定の数の用量が投与された後に達成または到達される。処置標的は、骨塩量の完全な正常化、骨塩量の部分的な正常化、または骨折発生の頻度の減少、骨形成マーカーのレベルの増加、または骨吸収マーカーのレベルの減少であり得る。したがって、一実施形態では、本発明は、抗スクレロスチン抗体が、対照患者/患者集団と比較して患者/患者集団において骨折率を低下する、OIの処置での使用のための抗スクレロスチン抗体を提供する。好ましくは、抗スクレロスチン抗体は、少なくとも10、20、30、35、40、50、60、70、80、または90パーセント骨折率を低下する。一実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、少なくとも30パーセント骨折率を低下する。一実施形態では、骨折は、末梢または脊椎骨折として定義され(重症、軽症、および脊椎臨床骨折全てを含み;臨床症状がなく、調査の手段によってのみ検出される骨折は含まれない)、放射線学的な調査によって確かめられる。一実施形態では、骨折率は患者の集団に関係がある。患者集団および対照患者集団は、好ましくは、統計的に有意な比較を行うことが可能なサイズである。
【0102】
本発明の一態様では、処置レジメンは、第1の投与レジメン、任意選択でそれに続く第2の投与レジメンを必要とする。投与レジメンは、投与される用量および投与の頻度を含む。これらは、任意の前述の用量および投与頻度から選択することができ、患者の臨床的な必要性によって変更し得る。上記に開示した用量および投与頻度は、本発明のこの態様において本明細書に明確に包含される。
【0103】
例として、一実施形態では、第1の投与レジメンは、患者の体重1kg当たり1~50mg、または2~50mg/kg、または3~50mg/kg、または5~50mg/kg、または8~50mg/kg、または3~30mg/kg、5~30mg/kg、または8~30mg/kg、または10~30mg/kg、または12~30mg/kg、または15~30mg/kg、または12~25mg/kg、または15~25mg/kgを毎月投与することである。別の例示的な実施形態では、第1の投与レジメンは、10~5000mgを毎月投与することである。
【0104】
一実施形態では、第1の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり1~50mgを毎月投与することである。
【0105】
一実施形態では、第1の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり2~50mgを毎月投与することである。
【0106】
一実施形態では、第1の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり2~30mgを毎月投与することである。
【0107】
一実施形態では、第1の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり3~50mgを毎月投与することである。
【0108】
一実施形態では、第1の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり3~30mgを毎月投与することである。
【0109】
一実施形態では、第1の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり5~30mgを毎月投与することである。
【0110】
一実施形態では、第1の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり5~25mgを毎月投与することである。
【0111】
一実施形態では、第1の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり12~25mgを毎月投与することである。
【0112】
一実施形態では、第1の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり20mgを毎月投与することである。
【0113】
別の例示的な実施形態では、第1の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり1~50mg、または2~50mg/kg、または3~50mg/kg、または5~50mg/kg、または8~50mg/kg、または8~30mg/kg、または10~30mg/kg、または12~30mg/kg、または15~30mg/kg、または12~25mg/kg、または15~25mg/kgを年4回投与することである。別の例示的な実施形態では、第1の投与レジメンは、10~5000mgを年4回投与することである。
【0114】
一実施形態では、第1の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり2~30mgを年4回投与することである。
【0115】
一実施形態では、第1の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり3~30mgを年4回投与することである。
【0116】
一実施形態では、第1の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり5~30mgを年4回投与することである。
【0117】
一実施形態では、第1の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり5~25mgを年4回投与することである。
【0118】
一実施形態では、第1の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり12~25mgを年4回投与することである。
【0119】
一実施形態では、第1の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり20mgを年4回投与することである。
【0120】
一実施形態では、および例としてのみ、第2の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり1~50mg、または2~50mg/kg、または3~50mg/kg、または5~50mg/kg、または8~50mg/kg、または3~30mg/kg、5~30mg/kg、または8~30mg/kg、または10~30mg/kg、または12~30mg/kg、または12~25mg/kg、または15~30mg/kg、または15~25mg/kgを毎月投与することである。別の例示的な実施形態では、第2の投与レジメンは、10~5000mgを毎月投与することである。
【0121】
一実施形態では、第2の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり1~50mgを毎月投与することである。
【0122】
一実施形態では、第2の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり2~50mgを毎月投与することである。
【0123】
一実施形態では、第2の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり2~30mgを毎月投与することである。
【0124】
一実施形態では、第2の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり3~50mgを毎月投与することである。
【0125】
一実施形態では、第2の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり3~30mgを毎月投与することである。
【0126】
一実施形態では、第2の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり5~30mgを毎月投与することである。
【0127】
一実施形態では、第2の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり5~25mgを毎月投与することである。
【0128】
一実施形態では、第2の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり12~25mgを毎月投与することである。
【0129】
一実施形態では、第2の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり20mgを毎月投与することである。
【0130】
別の実施形態では、第2の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり1~50mg、または2~50mg/kg、または3~50mg/kg、または5~50mg/kg、または8~50mg/kg、または3~30mg/kg、5~30mg/kg、または8~30mg/kg、または10~30mg/kg、または12~30mg/kg、または12~25mg/kg、または15~30mg/kg、または15~25mg/kgを隔月で投与することである。別の例示的な実施形態では、第2の投与レジメンは、10~5000mgを隔月で投与することである。
【0131】
一実施形態では、第2の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり1~50mgを隔月で投与することである。
【0132】
一実施形態では、第2の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり2~50mgを隔月で投与することである。
【0133】
一実施形態では、第2の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり2~30mgを隔月で投与することである。
【0134】
一実施形態では、第2の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり3~50mgを隔月で投与することである。
【0135】
一実施形態では、第2の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり3~30mgを隔月で投与することである。
【0136】
一実施形態では、第2の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり5~30mgを隔月で投与することである。
【0137】
一実施形態では、第2の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり5~25mgを隔月で投与することである。
【0138】
一実施形態では、第2の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり12~25mgを隔月で投与することである。
【0139】
一実施形態では、第2の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり20mgを隔月で投与することである。
【0140】
別の例示的な実施形態では、第2の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり1~50mg、または2~50mg/kg、3~50mg/kg、または5~50mg/kg、または8~50mg/kg、または8~30mg/kg、または10~30mg/kg、または12~30mg/kg、または12~25mg/kg、または15~30mg/kg、または15~25mg/kgを年4回投与することである。別の例示的な実施形態では、第2の投与レジメンは、10~5000mgを年4回投与することである。
【0141】
一実施形態では、第2の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり2~30mgを年4回投与することである。
【0142】
一実施形態では、第2の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり3~30mgを年4回投与することである。
【0143】
一実施形態では、第2の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり5~30mgを年4回投与することである。
【0144】
一実施形態では、第2の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり5~25mgを年4回投与することである。
【0145】
一実施形態では、第2の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり12~25mgを年4回投与することである。
【0146】
一実施形態では、第2の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり20mgを年4回投与することである。
【0147】
関連する実施形態では、第1の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり20mgを毎月投与することであり、第2の投与レジメンは、患者の体重1kgあたり20mgを隔月または年4回投与することである。
【0148】
第1および第2の投与レジメンの投与の期間は、患者の臨床的な必要性によって変化し得る。したがって、第1の投与レジメンは第1の期間投与され、第2の投与レジメンは第2の期間投与される。
【0149】
したがって、および例として、第1および第2の期間は、1カ月、6カ月、12カ月、または任意の他の期間であってよい。
【0150】
一実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、初めは1年間毎月患者に投与され、続いて少なくとも1年間(例えば2年またはそれ超)隔月または年4回投与されてよい。
【0151】
したがって、一実施形態では、第1の投与レジメンは、ヒト患者の体重1kgあたり20mgを1年間毎月投与することであってよく、第2の投与レジメンは、ヒト患者の体重1kgあたり20mgを少なくとも1年間(例えば2年またはそれ超)隔月または年4回投与することであってよい。
【0152】
薬物中止期間、すなわち、抗スクレロスチン抗体が投与されない期間も、患者の臨床的な必要性に応じて、本発明によって考慮する。したがって、一実施形態では、抗スクレロスチン抗体による処置は、1カ月もしくはそれ超(例えば、2、3、4、5、6、8、10、12またはそれ超)またはさらには1年もしくはそれ超の間、中断される。
【0153】
標的の測定は当技術分野で公知である。例えば、骨塩量は、二重エネルギーX線吸収測定法(DXA)、単一エネルギーX線吸収測定法(SXA)、定量的コンピューター断層撮影法(CT)、および超音波によって測定され得る。DXAは、当技術分野において骨密度測定の標準となっているX線技術である。それは任意の骨格部位の測定に使用され得るが、臨床的判断は通常腰椎および腰で行われる。かかと(踵骨)、前腕(橈骨および尺骨)、または指(指骨)を測定する携帯DXA機が開発され、DXAはまた、体組成の測定にも使用され得る。結果として、Tスコアを使用して、結果を「正常」値に関連付ける標準的な実行になり、個々の結果を人種および性別をマッチングされる若い集団のものと比較する。代わりに、Zスコアは、個々の結果を、人種および性別もマッチングされる年齢マッチング集団のものと比較する。したがって、例えば、-1のZスコア(年齢の平均より1SD低い)を有する60歳の女性は、-2.5のTスコア(若い対照群の平均より2.5SD低い)を有し得る。
【0154】
さらに別の例示的な処置レジメンは、同じ投薬量または異なる投薬量、例えば、約5~20mg/kgの範囲で、投与を中止する特別なタイムラインのない長期間の使用であってよい、複数回用量の投与を必要とする。これは、用量が継続ベースで改善した症状を維持するために必要とされる場合に続く処置レジメンであり得る。
【0155】
他の実施形態では、抗スクレロスチン抗体の投薬レジメンは、2回の連続する用量間が1~3週間、好ましくは2週間の間隔で逐次的な静脈内投与による、同じ投薬量、例えば5mg/kg体重、10mg/kg体重、または20mg/kg体重での3回の用量を含む。他の実施形態では、抗スクレロスチン抗体の投薬レジメンは、2回の連続する用量間が1~3週間、好ましくは2週間の間隔で逐次的な静脈内投与による、3つの異なる投薬量、例えば、まず5mg/kg体重、次いで10mg/kg体重、および最後に20mg/kg体重での3回の用量を含む。さらに他の実施形態では、抗スクレロスチン抗体の投薬レジメンは、2回の連続する用量間が1~3週間、好ましくは2週間の間隔で逐次的な静脈内投与による、3つの異なる投与量、例えば、まず20mg/kg体重、次いで10mg/kg体重、および最後に5mg/kg体重での3回の用量を含む。
【0156】
いくつかの実施形態では、抗スクレロスチン抗体および異なる結合特異性を有する1つまたは複数のモノクローナル抗体は、同時にまたは順に投与され、この場合、投与される各抗体の投薬量は示した範囲内である。一実施形態では、1つまたは複数のさらなるモノクローナル抗体も、抗スクレロスチン抗体である。抗体は通常、複数回投与される。単一投薬量の間の間隔は、例えば毎週、毎月、2カ月毎(すなわち隔月)、3カ月毎または毎年であり得る。間隔もまた、患者において標的抗原に対する抗体の血液レベルを測定することによって示されるように、不規則であり得る。いくつかの方法では、投薬量は、血漿抗体濃度約1~1000μg/ml、およびいくつかの方法では約25~300μg/mlを達成するように調整される。一実施形態では、本発明の抗スクレロスチン抗体の投薬量は、約1~1000μg/mlまたは約25~300μg/mlの血漿抗体濃度を達成するように調整される。
【0157】
代わりに、いくつかの実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、持続放出製剤としてOI患者に投与することができ、この場合、投与頻度は少なくてよい。投薬量および頻度は、患者における抗体の半減期に依存して変化する。一般的に、ヒト抗体が最も長い半減期を示し、続いてヒト化抗体、キメラ抗体、および非ヒト抗体である。投与の投薬量および頻度は、処置が予防的または治療的であるかどうかに依存して変化し得る。予防的適用では、比較的低い投薬量を比較的低い頻度間隔で長期間投与する。ある患者は、人生の残りの間も処置を受け続ける。治療的適用では、比較的高い投薬量を比較的短い間隔で、疾患の進行を遅らせるかもしくは停止させるまで、または患者が疾患の症状の部分的なもしくは完全な改善を示すまで必要とされることがある。その後、患者は、予防レジメンを投与され得る。
【0158】
いくつかの実施形態では、抗スクレロスチン抗体の実際の投薬量レベルは、特定のOI患者、組成物、および投与の様式に所望の治療応答を達成するために有効な、患者に毒性のない、抗スクレロスチン抗体の量を得るために変更し得る。選択された投薬量レベルは、用いられる本発明の特定の組成物の活性、投与の経路、投与の時間、用いられる特定の抗スクレロスチン抗体の排泄速度、処置の期間、用いられる特定の組成物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物および/または物質、処置される患者の年齢、性、体重、状態、通常の健康および病歴、ならびに当医薬分野で周知の類似の因子を含む様々な薬物動態因子に依存する。
【0159】
抗スクレロスチン抗体の「治療有効量」は、疾患症状の重症度の減少、疾患無症状の頻度および期間の増加、または疾患の苦痛による機能障害または不都合な点の予防をもたらすことができる。
【0160】
抗スクレロスチン抗体の組成物は、1つまたは複数の当技術分野で公知の様々な方法を使用する、1つまたは複数の投与経路によって投与することができる。当業者に理解されるように、投与経路および/または投与様式は、所望の結果に依存して変化する。本発明の抗体の投与経路は、例えば、注射または注入による、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、皮下、脊髄、または他の非経口の投与経路を含む。一実施形態では、投与は静脈内経路を介して行われる。一実施形態では、投与は、注入により静脈内で行われる。一実施形態では、投与は皮下で行われる。本明細書で使用する場合、句「非経口投与」は、通常、注射による、経腸および局所投与以外の投与様式を意味し、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、被膜内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管的、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、髄腔内、硬膜外および胸骨内注射および注入を含むが、これらに限定されない。
【0161】
代わりに、抗スクレロスチン抗体は、非経口以外の経路、例えば局所、上皮または粘膜の投与経路、例えば、鼻腔内、経口的、経膣的、経直腸的、舌下的、または局所的により投与することができる。
抗スクレロスチン抗体は、インプラント、経皮パッチおよびマイクロカプセル化送達系を含む制御放出製剤のように、化合物を迅速な放出に対して保護する担体とともに調製することができる。生分解性、生体適合性ポリマー、例えば、エチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸を使用することができる。このような製剤の調製のための多数の方法は、特許されているか、一般的に当業者に公知である。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems, J. R. Robinson, ed., Marcel Dekker, Inc., New York, 1978参照。
患者群
【0162】
一実施形態では、本明細書に記載の方法および使用は、本明細書に記載の抗スクレロスチン抗体を使用する骨形成不全症の処置用である。OIは、疾患の遺伝学および重症度によって分類され、Van DijkおよびSillence(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる2014, Am J Med Genet Part A 164A:1470-1481およびVan Dijk and Sillence, 2014, Am J Med Genet Part A 167A:1178)の分類にしたがって、I型OI、II型OI、III型OI、IV型OIまたはV型OIとして分類され得る。分類は、臨床評価/診断、生化学分析、ならびに分子遺伝学試験の組合せにより、当業者には慣例的である。本明細書で使用する場合、OIの命名法/分類は、上記の文献で参照されるように、Van DijkおよびSillenceによって提案される通りである。
【0163】
OIを有する人々の80%~90%では、OIは、I型コラーゲンのアルファ1およびアルファ2鎖をコードするCOL1A1およびCOL1A2遺伝子(それぞれ17q21.33および7q.22.3)における変異によって引き起こされる。1000を超える公知の変異の包括データベースは、遺伝型-表現型相関と一緒に公表されている(https://oi.gene.le.ac.uk/home.php;2016年12月12日にアクセス)。他の遺伝子、例えばCRTAP、LEPRE1またはPPIBにおける変異も公知である。特にCOL1A1およびCOL1A2遺伝子における変異の分子遺伝学試験が、当業者には公知であり、慣例的である。例として、Korkko et al. (1998)は、COL1A1遺伝子およびCOL1A2遺伝子のPCR増幅に続く、コンフォーメーション高感度ゲル電気泳動(CSGE)による変異スキャンを記載する(Am. J. Hum. Genet. 62:98-110, 1998)。van Dijk et al. (2010)は、マルチプレックスライゲーション依存性プローブ増幅(MLPA)技術によるCOL1A1変異検出を記載している(Genet Med 12(11):736-741)。より最近では、Arvai, K. et al. (2016)は、次世代シーケンス方法を記載している(Sci. Rep. 6, 28417)。これら参照は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0164】
一実施形態では、本明細書に記載の方法および使用は、I型コラーゲンの欠乏、例えばI~IV型OIを示す患者の処置用である。結果として、コラーゲン細線維およびヒドロキシアパタイト結晶からなる、正常な骨の構造は変更され、脆性を引き起こす。一実施形態では、本明細書での方法および使用は、COL1A1および/またはCOL1A2における1つまたは複数の変異によって特徴付けられるヒトOI患者の処置用である。
【0165】
一実施形態では、本明細書に記載の方法および使用は、I、IIIおよび/またはIV型OIの処置用である。一実施形態では、I、IIIおよびIV型OIは、DNA試験、すなわちCOL1A1/COL1A2変異の検出によって確認される。したがって、一実施形態では、本明細書の方法および使用は、COL1A1および/またはCOL1A2における1つまたは複数の変異によって特徴付けられるI、IIIおよび/またはIV型OIの処置用である。
【0166】
いくつかの実施形態では、抗スクレロスチン抗体の方法および使用は、OIの軽度から中程度の形態の処置用である。抗スクレロスチン抗体の方法および使用の他の実施形態では、処置下の患者はI型OI、II型OI、III型OI、またはIV型OIを有する。抗スクレロスチン抗体の方法および使用のさらに他の実施形態では、OI患者は18歳以上の成人患者である。抗スクレロスチン抗体の方法および使用のさらに他の実施形態では、OI患者は小児科患者である。本明細書で定義の小児科患者は、例えば2~17、3~17、4~17、または5~17歳など、0~17歳の小児を包含する。本明細書で使用する場合、用語、患者は、ヒト患者を意味する。
医薬組成物
【0167】
別の態様では、本発明は、骨形成不全症を患っている患者における骨形成を増加するおよび骨吸収を減少する医薬組成物を提供し、その組成物は上記のような抗スクレロスチン抗体を含有する。医薬組成物は、薬学的に許容される担体とともに製剤化され得る。一態様では、本発明は、本明細書に開示のように抗スクレロスチン抗体を含む医薬組成物を提供する。一実施形態では、抗スクレロスチン抗体を含む医薬組成物は、OIの処置における使用のためである。
【0168】
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される担体」は、生理学的に適合するあらゆる全ての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。担体は、(例えば、注射または注入による)静脈内、筋肉内、皮下、非経口、脊髄または上皮投与に好適であるべきである。投与経路に依存して、抗スクレロスチン抗体を、化合物を不活性にし得る酸および他の天然条件の作用から化合物を保護するために物質でコーティングし得る。
【0169】
これらの組成物はまた、アジュバント、例えば、防腐剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤を含有し得る。微生物の存在の防止は、殺菌手順ならびに種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などの包含の両方により確保され得る。また、等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウムなどを組成物に包含させることが望ましいこともある。加えて、注射可能な医薬形態の吸収の延長は、吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの包含により実現され得る。
【0170】
薬学的に許容される担体は、無菌注射可能溶液または分散液の即時製造調製のための無菌水溶液または分散液および無菌粉末を含む。薬学的に活性な物質のためのこのような媒体および薬剤の使用は、当技術分野で公知である。従来の媒体または薬剤が活性化合物と適合しない場合を除いて、本発明の医薬組成物におけるそれらの使用が考慮される。補助的な活性化合物も組成物中に配合することができる。
【0171】
治療組成物は、典型的には、製造および保存の条件下で無菌および安定でなければならない。
【0172】
無菌注射可能溶液は、適当な溶媒中で必要な量の活性化合物を上記に挙げられた成分の1つまたは組合せと配合し、必要なとき、次に無菌的精密濾過により調製することができる。通常、分散液は、基本的分散媒および上記に挙げられたものから必要な他の成分を含有する無菌ビヒクル中に活性化合物を配合することにより調製される。無菌注射可能溶液の調製のための無菌粉末の場合、調製方法は、事前に無菌濾過したその溶液から活性成分+何らかのさらなる所望の成分の粉末が得られる、真空乾燥およびフリーズドライ(凍結乾燥)である。したがって、一実施形態では、本発明の抗スクレロスチン抗体/本発明の医薬組成物は、凍結乾燥粉末として製剤化される。関連する実施形態では、凍結乾燥物は投与前に復元される。復元に好適な液体は注射用水(wfi)を含む。
【0173】
単一投薬剤形を生産するために担体物質と組み合わせることができる活性成分の量は、処置される対象および投与の特定の様式に依存して変化する。担体物質と組み合わされ、単一投薬剤形を生産することができる活性成分の量は、通常、治療効果を引き起こす組成物の量である。通常、100パーセントのうち、この量は、薬学的に許容される担体との組合せで活性成分が約0.01パーセントから約99パーセント、活性成分が約0.1パーセントから約70パーセント、または約1パーセントから約30パーセントの範囲である。
【0174】
本発明の医薬組成物および本発明の抗体はまた、併用療法、すなわち他の活性剤と組み合わせて投与することができる。例えば、併用療法は、少なくとも1つの他の抗炎症剤または抗骨粗鬆症剤と組み合わせた本発明の抗スクレロスチン抗体を含み得る。併用療法において使用され得る治療剤の例は、ビスホスホネート(例えば、アレンドロン酸、リセドロン酸ナトリウム、イバンドロン酸、ゾレドロン酸、オルパドロン酸、ネリドロン酸、スケリッド、ボネフォス)、副甲状腺ホルモン(例えば、テリパラチド(rdna origin)注射)、カルシウム受容体拮抗薬(calcilytics)、カルシウム受容体作動薬(calcimimetics)(例えば、シナカルセト)、スタチン、アナボリックステロイド、ランタンおよびストロンチウム塩、ならびにフッ化ナトリウムを含む。したがって、一実施形態では、本発明の抗スクレロスチン抗体は、カルシトニンまたはその類似体もしくは誘導体、例えばサケ、ウナギ、またはヒトカルシトニン、カルシウム受容体拮抗薬、カルシウム受容体作動薬(例えば、シナカルセト)、ステロイドホルモン、例えば、エストロゲン、部分エストロゲンアゴニストまたはエストロゲンとゲスターゲンの組合せ、SERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)、例えばラロキシフェン、ラソフォキシフェン、バゼドキシフェン、アルゾキシフェン、FC1271、チボロン(Livial(登録商標))、SARM(選択的アンドロゲン受容体モジュレーター)、RANKL抗体(例えばデノスマブ)、カテプシンK阻害剤、ビタミンDもしくはそれらの類似体またはPTH、PTH断片もしくはPTH誘導体、例えばPTH(1~84)(例えばPreos(商標)(副甲状腺ホルモン1~84))、PTH(1~34)(例えばForteo(商標)(テリパラチド(rdna origin)注射))、PTH(1~36)、PTH(1~38)、PTH(1~31)NH2またはPTS893から選択される1つまたは複数の薬剤と組み合わせて投与され得る。別の実施形態により、本発明の抗体は、ビスホスホネート(例えば、Fosamax(商標)(アレンドロン酸)、Actonel(商標)(リセドロン酸ナトリウム)、Bonviva(商標)(イバンドロン酸)、Zometa(商標)(ゾレドロン酸)、Aclasta(商標)/Reclast(商標)(ゾレドロン酸)、オルパドロン酸、ネリドロン酸、スケリッド、ボネフォス)、スタチン、アナボリックステロイド、ランタンおよびストロンチウム塩、ならびにフッ化ナトリウムを含む、他の現在の骨粗鬆症治療手法と組み合わせて用いられ得る。
【0175】
一実施形態では、本発明の抗体は、LRP4調節剤、すなわちLRP4の発現または活性を調節する薬剤、例えばLRP4中和抗体と組み合わせて投与され得る。
【0176】
一実施形態では、本発明の抗体は、LRP5調節剤、すなわちLRP5の発現または活性を調節する薬剤、例えばLRP5中和抗体と組み合わせて投与され得る。
【0177】
別の実施形態では、本発明の抗体は、DKK1調節剤、すなわちWntシグナル伝達のDkk-1媒介性アンタゴニズムを干渉または中和する薬剤、例えばDKK1中和抗体と組み合わせて投与され得る。
【0178】
一実施形態では、本発明の抗体は、ビスホスホネート、例えばアレンドロン酸、リセドロン酸ナトリウム、イバンドロン酸、ゾレドロン酸、ゾレドロン酸、オルパドロン酸、ネリドロン酸、スケリッド、ボネフォスと組み合わせて投与され得る。
【0179】
一実施形態では、本発明の抗体は、(i)ゾレドロン酸、(ii)抗DKK1抗体、(iii)アレンドロン酸、(iv)抗LRP4抗体、(v)hPTHおよび/または(vi)副甲状腺ホルモン放出剤(カルシウム受容体拮抗薬)と組み合わせて投与され得る。
【0180】
本発明の抗スクレロスチン抗体と組み合わせて投与され得る他の薬剤は、ビタミンDおよび/またはカルシウムを含む。一実施形態では、ビタミンDおよび/またはカルシウムは、患者がビタミンDおよび/またはカルシウム欠乏である場合に投与される。
【0181】
一実施形態では、本発明の抗体は、別の薬剤(例えば上記の薬剤)と一緒に、順に(すなわち次々に)または同時に投与される。一実施形態では、抗スクレロスチン抗体は、上記の用量および投与頻度によって投与される。併用療法剤の好適な用量は、患者の臨床的な必要性によって変更し得る。
【0182】
組成物は、好ましくは生理学的pHで製剤化される。
【0183】
治療組成物は、当技術分野で公知の医療デバイスによって投与され得る。例えば、一実施形態では、本発明の治療組成物は、針無皮下注射デバイス、例えば米国特許第5,399,163号;第5,383,851号;第5,312,335号;第5,064,413号;第4,941,880号;第4,790,824号または第4,596,556号に示すデバイスによって投与され得る。本発明に有用な周知のインプラントおよびモジュールの例は、制御された速度で薬物を分配するためのインプラント可能な微小注入ポンプを示す米国特許第4,487,603号;皮膚を介する薬品を投与するための治療デバイスを示す米国特許第4,486,194号;正確な注入速度で薬物を送達するための薬物注入ポンプを示す米国特許第4,447,233号;連続的薬物送達のための流量可変のインプラント可能な注入装置を示す米国特許第4,447,224号;複数チャンバーコンパートメントを有する浸透圧薬物送達系を示す米国特許第4,439,196号;および浸透圧薬物送達系を示す米国特許第4,475,196号を含む。これらの特許は、参照により本明細書に組み込まれる。多くの他のこのようなインプラント、送達系およびモジュールは当業者に公知である。一実施形態では、本発明の治療組成物は、シリンジによって投与され得る。
【0184】
特定の実施形態では、本発明の抗体は、in vivoで適切な分布を確実にするために製剤化され得る。
【0185】
一態様では、本発明は、骨形成不全症の処置のための薬品の製造のための抗スクレロスチン抗体の使用を提供する。本明細書に記載の他の態様/実施形態の全てを、本発明のこの特定の態様に等しく適用する。
【0186】
別の態様では、本発明は、骨形成不全症の処置での使用のための抗スクレロスチン抗体を提供する。本明細書に記載の他の態様/実施形態の全てを、本発明のこの特定の態様に等しく適用する。
【0187】
一態様では、本発明は、臨床試験期間中の合間の時点での臨床試験集団で生じる骨折の数を、前記臨床試験集団の前記合間の時点で予測される骨折の数と比較することを含む、骨形成不全症の臨床試験での使用のための抗スクレロスチン抗体を提供する。
【0188】
関連する態様では、本発明は、臨床試験期間中の合間の時点での臨床試験集団で生じる骨折の数を、前記臨床試験集団の前記合間の時点で予測される骨折の数と比較することを含む、抗スクレロスチン抗体による骨形成不全症の臨床試験を実施する方法を提供する。前述の態様の一実施形態では、態様は、合間の時点での臨床試験集団における骨折の数が、前記臨床試験集団の骨折の予測される数より少ない場合、臨床試験集団にさらなる患者を動員することをさらに含み得る。一実施形態では、合間の時点での臨床試験集団における骨折の数が、前記臨床試験集団の骨折の予測される数より少ない場合、臨床試験期間が延長される。別の実施形態では、合間の時点での臨床試験集団における骨折の数が、前記臨床試験集団の骨折の予測される数より多い場合、臨床試験期間が短縮される。臨床試験集団は、抗スクレロスチン抗体を受ける患者およびプラセボを受ける患者の対照群から構成される。これらの態様/実施形態の利点は、臨床における発生に応じて臨床試験期間が変更され、最終的に、患者にも有益である、より効果的で費用効果がある臨床試験をもたらすことである。骨折の予測される数は、履歴データおよび/または臨床試験期間の開始前の臨床試験集団からのデータに由来し得るベースラインの骨折率から算出され得る。一実施形態では、抗スクレロスチン抗体は本明細書で定義した抗スクレロスチン抗体である。合間の時点は、統計的に有意な比較がなされる場合にしたがって、変更および選択され得る。臨床試験期間は、抗スクレロスチン抗体またはプラセボの投与によって始まり、抗スクレロスチン抗体/プラセボの最終用量が投与され、関連データが回収されると終了する。
【0189】
BPS804 H鎖の配列(配列番号172):
【0190】
【0191】
BPS804 L鎖の配列(配列番号173):
【0192】
【実施例】
【0193】
本発明を実施するための様式
【0194】
[実施例1]
本実施例は、OIを有する成人患者の処置における抗スクレロスチン抗体の使用を評価するための臨床試験を記載する。患者は、各用量から2週間離して静脈内注入として行われる、3回の逐次的な患者内の漸増用量の抗スクレロスチン抗体BPS804によって処置された。未処置の参照群も、骨のバイオマーカープロファイルにおける変化に関して天然のOI疾患進行のモニタリングおよび観察のために登録した。この試験は、中程度のOIを有する14人の成人患者における未処置の参照群による、無作為化、非盲検の患者内の用量漸増試験であった。患者は、2:1の比で処置群または参照群に無作為化した。
【0195】
患者に、漸増用量の抗スクレロスチン抗体を2週間毎に投与した:第1週:5mg/kg、第3週:10mg/kgおよび第5週:20mg/kg。処置期間は、約3.6カ月のフォローアップ期間へと続いた。スクリーニング時に、未処置参照群に無作為化された患者は、第7週の試験43日目および試験の終了時にのみ研究施設に入れられた。
【0196】
試験薬BPS804の説明は表1に提示する。注入のためのBPS804溶液は、所望の用量が送達されるまで約2mL/分の流速での注入として投与された。
【0197】
I型プロコラーゲンN末端プロペプチド(PINP)、I型プロコラーゲンC末端プロペプチド(PICP)、骨特異的アルカリフォスファターゼ(BSAP)、オステオカルシン(OC)、および骨塩量(BMD)(DXAによって測定)を含む骨代謝のバイオマーカーは、ベースライン、43日目および141日目にアッセイした。
【0198】
【0199】
試験に登録された14人の患者のうち、9人の患者を抗スクレロスチン抗体処置した。患者の全体平均年齢は、参照群(27.4歳)と比較した場合、抗スクレロスチン抗体群(30.7歳)でほんのわずかに高かった。2つの群間の全体平均体重および身長は非常に類似していた。患者の人数構成の概要を表2に提示する。腰椎zスコアの全体中央値スコアは、抗スクレロスチン抗体群で比較的低かった。ビスホスホネートによる全年数は、各群の患者の数の相対サイズを考慮して、群間で比較できない。表3参照。
【0200】
【0201】
【0202】
試験のための骨代謝バイオマーカーのアッセイ結果を
図1に提示する。43日目のPINP、PICP、BSAP、およびOCの幾何平均の比は、BPS804群において、P値が<0.001、0.003、<0.001、および0.012で、1.84、1.53、1.59および1.44であった。141日目のBMDの幾何平均の比は、P値が0.038で1.04であった。
【0203】
PINP、PICP、およびBSAPのベースラインからの変化のベイズ分析は、少なくとも70%(PINP)または30%(PICP、BSAP)の増加に関しておよそ90%またはそれより高い事後確率を示した。BMDのベイズ分析は、BMDの増加に関して98%、および少なくとも2%の増加に関して87%の事後確率を示した。それぞれPINP、PICP、BSAP、OC、およびBMDの結果の詳細に関して、
図3、
図4、
図5、
図6および
図7参照。
【0204】
8日目から43日目までのCTX-1における幾何平均の結果は、CTX-1濃度レベルの減少を示し、骨形成バイオマーカーの結果と一緒に骨の同化作用を支持する。
図8は、ベースラインからの値の詳細を提示する。43日目に、BPS804群におけるベースラインからの比は、ベースラインの56%であり、したがって、44%減少した。50日目から85日目まで濃度レベルは徐々に増加し、113日目および141日目にわずかに減少した。
【0205】
参照群におけるマッチング比による比の比較が計画的2サンプルのt検定(片側)によって実施され、この比較において0.1より小さいP値は効率の裏付けとなる証拠と考えられた。2サンプルのt検定分析に基づき、それぞれPINP、PICP、BSAP、およびOCに関して、P値は<0.001、0.014、0.006、および0.015であり、効率の証拠を裏付けた。BMDの処置群比較のp値は0.1であり、参照群においてよりも抗スクレロスチン抗体下で増加が大きかったという証拠も裏付ける。
図2参照。これらの分析は、3つ全てのバイオマーカーデータおよびBMDデータに関して、参照群においてよりも抗スクレロスチン抗体群におけるより大きな増加の証拠を確認した。
【0206】
抗スクレロスチン抗体の投与後、中央値PINP、PICP、BSAP活性、およびOCレベルは、43日目にそれぞれ84%、53%、59%、および44%増加したが、未処置参照群では、相当するバイオマーカーは変化しないまま、または適度に減少した。さらに、抗スクレロスチン抗体の投与後、CTX-1レベルは、43日目にベースラインから44%減少した。骨形成バイオマーカー(PINP、PICP、BSAPおよびOC)レベルの増加および骨吸収バイオマーカー(CTX-1)レベルの減少は、抗スクレロスチン抗体処置群における141日目の腰椎BMDの約4%の観察された増加に則しており、したがって、骨形成不全症を有する患者における抗スクレロスチン抗体の骨同化作用の最初の臨床的な証拠を確認する。
【0207】
さらに、試験は、OIを有する成人患者において、抗スクレロスチン抗体が安全で十分に許容的であったことを示した。最も一般的に報告されるAEは、頭痛、インフルエンザ、関節痛、および疲労であった。試験薬と関連すると考えられる報告されたAEはなかった。参照群の1人の患者で報告された軽度のSAE1つ(甲状腺腫)があった。このAEは入院のために深刻であると考えられた。SAEは試験終了前に回復した。AEは、標的臓器毒性の兆候を示さなかった。試験中3つの骨折が報告された(対象5103-47日目、対象5109-4日目、対象5113-4日目)。患者の安全性を損なう血液学、臨床化学、尿分析、ECGまたはバイタルサインデータの臨床的に著しい異常もなかった。
【0208】
BPS804のような骨同化処置による、臨床試験結果により、骨形成および骨同化活性はOIを有する患者において刺激され得る。BMDにおける増加は、骨質の改善をもたらし、それにより骨折率およびリスクの減少をもたらす。遺伝型決定は、そのような処置戦略から最も有益を受けるであろうOI患者の同定または予測を保証し得る。
【0209】
[実施例2]
他の抗スクレロスチン抗体についての臨床試験データと一般に入手可能なデータの組合せに基づく、BPS804投与後の循環するスクレロスチン効果の薬物動態(PK)および薬力学(PD)(PK-PD)モデルに加えて、BPS804の薬物動態(PK)モデルが開発された。PK-PDモデルは、BPS804の提示した投与レジメンを評価する既存のシステム薬理学モデルと関連していた。モデルシミュレーションを使用して、典型的なOI患者の処置の1~2年にわたって、用量選択および投与間隔のガイダンスを提供する。これらは、最初の年(例えば、投薬量およびQM(すなわち毎月)対Q3M(すなわち年4回)投与の比較)の異なる投与条件ならびに次の年(例えばQMからQ3M投与へのスイッチ)の条件のシナリオを含んでいた。
【0210】
結果:
データは、スクレロスチンのほぼ最大(>75%)阻害のBPS804投与レジメンは、循環するスクレロスチン、骨代謝回転マーカー(BTM)、および腰椎骨塩量(BMD)のほぼ最大の応答を提供することを実証した。これを実証するため、0.1mg/kgから20mg/kgの用量の範囲は、2年のタイムコースの間QM(すなわち毎月)およびQ3M(すなわち年4回)間隔を使用してシミュレートした。結果は、全BPS804暴露がスクレロスチンに作用すると仮定して、および最大阻害に対して評価した。全体的に、20mg/kg QM用量が最大スクレロスチン応答に近づいた。阻害の最大レベルは、毎月および年4回の投与レジメン両方によって到達され、同様に、およびQMとQ3M 20mg/kg投与レジメンの両方が最大阻害レベルに到達した。
【0211】
モデリングの結果は、BPS804によるスクレロスチンのより長く持続する阻害のために、Q3M投与と比較してBPS804 20mg/kg QM用量が同様のまたはわずかに高い12カ月BMD増加を提供することをさらに示した。
【0212】
BPS804 20mg/kg QMによる1年間の処置後、ほぼ同じピークの最大スクレロスチン応答も年4回投与される20mg/kg用量によって達成され得る。1年間の投与後の投与レジメンにおけるこの潜在的変化は、1年間のスクレロスチン阻害療法後の骨リモデリングシステムにおいて明らかな新しい定常状態の到達を反映し得る。したがって、投与の最初の年の後の低頻度の投与は、投与の最初の年からのBMD増加の維持を可能にし得る。
【0213】
要約すると、モデリングデータは、BPS804 20mg/kg QM投与が、最大BMD応答に変えられるスクレロスチンのほぼ最大阻害を提供すると予測されることを示す。さらに、長期投与の延長した投与間隔(例えば、1年間のQM投与後、2カ月毎の投与(Q2M)またはQ3Mにスイッチする)は、処置の最初の年の後に骨代謝回転マーカーにおいて観察された変化を与えられ有利であり得る。
【0214】
本明細書に列挙した特許および出版物は、当技術分野の通常の技術を記載する。引用した参照およびこの明細書の間の任意の対立の場合、本明細書が制御すべきである。本出願の実施形態の記載では、明確にするため特定の用語法が用いられる。しかしながら、本発明は、そのように選択された特定の用語法に限定されることを意図しない。本明細書において、本発明の範囲を制限すると考えられるべきではない。提示した全ての実施例は例示的であり非限定的である。上記の実施形態は、上記の教示に照らして当業者に認識されるように、本発明を逸脱することなく、修飾または変更され得る。したがって、請求項およびそれらの等価物の範囲内で、本発明は特別に記載された以外の方法で実施され得ることが理解される。
また、本発明は以下を提供する。
[1]
ヒト患者に治療有効量の抗スクレロスチン抗体を投与することを含む、ヒト患者において骨形成不全症(OI)を処置する方法。
[2]
前記OIが、I型OI、III型OI、またはIV型OIである、[1]に記載の方法。
[3]
前記ヒト患者が、COL1A1および/またはCOL1A2遺伝子において1つまたは複数の変異を有する、[1]または[2]に記載の方法。
[4]
前記抗スクレロスチン抗体が、
(a)配列番号4に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;
(b)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;
(c)配列番号26に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;
(d)配列番号37に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;
(e)配列番号48に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および
(f)配列番号59に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3
を含むか;または
(a)配列番号4に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;
(b)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;
(c)配列番号26に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;
(d)配列番号37に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;
(e)配列番号48に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および
(f)配列番号59に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3
を含む抗スクレロスチン抗体と同じエピトープに結合する抗スクレロスチン抗体
を含む、[1]~[3]のいずれか一項に記載の方法。
[5]
前記抗スクレロスチン抗体が、配列番号81に記載のアミノ酸配列を有するVLポリペプチド配列および配列番号70に記載のアミノ酸配列を有するVHポリペプチド配列を含む抗スクレロスチン抗体と同じエピトープに結合する、[4]に記載の方法。
[6]
前記抗スクレロスチン抗体が、配列番号173に記載のアミノ酸配列を有する全長軽鎖アミノ酸配列および配列番号172に記載のアミノ酸配列を有する全長重鎖アミノ酸配列を含む抗スクレロスチン抗体と同じエピトープに結合する、[5]に記載の方法。
[7]
前記抗スクレロスチン抗体が、
(a)配列番号4]に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;
(b)配列番号15]に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;
(c)配列番号26]に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;
(d)配列番号37]に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;
(e)配列番号48]に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および
(f)配列番号59]に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3
からなる群から選択される少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)配列を含む、[1]~[3]のいずれか一項に記載の方法。
[8]
前記抗スクレロスチン抗体が、少なくとも、配列番号26に記載のアミノ酸配列を含む前記重鎖可変領域CDR3を含む、[7]に記載の方法。
[9]
前記抗スクレロスチン抗体が、
(a)配列番号4に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;
(b)配列番号15に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;
(c)配列番号26に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;
(d)配列番号37に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;
(e)配列番号48に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および
(f)配列番号59に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3
を含む、[7]または[8]に記載の方法。
[10]
前記抗スクレロスチン抗体が、
a)配列番号70に記載のアミノ酸配列と少なくとも90パーセントの配列同一性を有するVHポリペプチド配列;および/または
b)配列番号81に記載のアミノ酸配列と少なくとも90パーセントの配列同一性を有するVLポリペプチド配列
を含む、[7]~[9]のいずれか一項に記載の方法。
[11]
前記抗スクレロスチン抗体が、配列番号81に記載のアミノ酸配列を含むVLポリペプチド配列および配列番号70に記載のアミノ酸配列を含むVHポリペプチド配列を含む、[10]に記載の方法。
[12]
抗スクレロスチン抗体が、
a)配列番号172に記載のアミノ酸配列と少なくとも90パーセントの配列同一性を有する全長重鎖アミノ酸配列;および/または
b)配列番号173に記載のアミノ酸配列と少なくとも90パーセントの配列同一性を有する全長軽鎖アミノ酸配列
を含む、[7]~[11]のいずれか一項に記載の方法。
[13]
前記抗スクレロスチン抗体が、配列番号173に記載のアミノ酸配列を含む全長軽鎖アミノ酸配列および配列番号172に記載のアミノ酸配列を含む全長重鎖アミノ酸配列を含む、[12]に記載の方法。
[14]
前記抗スクレロスチン抗体が、配列番号174および/または配列番号175から選択される配列に結合する、[1]~[3]のいずれか一項に記載の方法。
[15]
前記抗スクレロスチン抗体が、配列番号176に記載のアミノ酸配列を有するVLポリペプチド配列および配列番号177に記載のアミノ酸配列を有するVHポリペプチド配列を含む抗スクレロスチン抗体と同じエピトープに結合する、[1]~[3]または[14]のいずれか一項に記載の方法。
[16]
前記抗スクレロスチン抗体がブロソズマブである、[1]~[3]のいずれか一項に記載の方法。
[17]
前記抗スクレロスチン抗体が、前記ヒト患者の体重1kgあたり1~50mgの用量で投与される、[1]~[16]のいずれか一項に記載の方法。
[18]
前記抗スクレロスチン抗体が、前記ヒト患者の体重1kgあたり10~30mgの用量で投与される、[1]~[17]のいずれか一項に記載の方法。
[19]
前記抗スクレロスチン抗体が、10~5000mgの用量で投与される、[1]~[16]のいずれか一項に記載の方法。
[20]
前記抗スクレロスチン抗体が、100~3000mgの用量で投与される、[1]~[16、または19]のいずれか一項に記載の方法。
[21]
前記抗スクレロスチン抗体が、毎日、毎週、隔週、毎月、隔月、または年4回前記ヒト患者に投与される、[1]~[20]のいずれか一項に記載の方法。
[22]
前記抗スクレロスチン抗体が、毎月前記ヒト患者に投与される、[1]~[21]のいずれか一項に記載の方法。
[23]
前記抗スクレロスチン抗体が、隔月または年4回前記ヒト患者に投与される、[1]~[22]のいずれか一項に記載の方法。
[24]
処置レジメンが、第1の投与レジメン、任意選択でそれに続く第2の投与レジメンを含む、[1]~[23]のいずれか一項に記載の方法。
[25]
前記第1の投与レジメンが、前記ヒト患者の体重1kgあたり1~50mgを毎月投与することである、[24]に記載の方法。
[26]
前記第1の投与レジメンが、前記ヒト患者の体重1kgあたり20mgを毎月投与することである、[25]に記載の方法。
[27]
前記第2の投与レジメンが、前記ヒト患者の体重1kgあたり1~50mgを隔月または年4回投与することである、[24]~[26]のいずれか一項に記載の方法。
[28]
前記第2の投与レジメンが、前記ヒト患者の体重1kgあたり20mgを隔月または年4回投与することである、[24]~[27]のいずれか一項に記載の方法。
[29]
前記第1の投与レジメンが、前記ヒト患者の体重1kgあたり20mgを毎月投与することであり、前記第2の投与レジメンが、前記ヒト患者の体重1kgあたり20mgを隔月または年4回投与することである、[24]~[28]のいずれか一項に記載の方法。
[30]
前記第1の投与レジメンが、前記ヒト患者の体重1kgあたり20mgを1年間毎月投与することであり、前記第2の投与レジメンが、前記ヒト患者の体重1kgあたり20mgを少なくとも1年間隔月または年4回投与することである、[29]に記載の方法。
[31]
前記第1の投与レジメンが、10~5000mgを毎月投与することである、[24]に記載の方法。
[32]
前記第2の投与レジメンが、10~5000mgを隔月または年4回投与することである、[24]または[31]に記載の方法。
[33]
前記第1の投与レジメンが、10~5000mgを毎月投与することであり、前記第2の投与レジメンが、10~5000mgを隔月または年4回投与することである、[24]に記載の方法。
[34]
前記第1の投与レジメンが、10~5000mgを1年間毎月投与することであり、前記第2の投与レジメンが、10~5000mgを少なくとも1年間隔月または年4回投与することである、[33]に記載の方法。
[35]
前記抗スクレロスチン抗体が静脈内投与される、[1]~[34]のいずれか一項に記載の方法。
[36]
ビスホスホネート、副甲状腺ホルモン、カルシウム受容体拮抗薬、カルシウム受容体作動薬(シナカルセト等)、スタチン、アナボリックステロイド、ランタンおよびストロンチウム塩、ならびに/またはフッ化ナトリウム等のさらなる治療剤を投与することを含む、[1]~[35]のいずれか一項に記載の方法。
[37]
[1]~[16]のいずれか一項で定義された抗スクレロスチン抗体を含む凍結乾燥物。
[38]
スクロース、アルギニン塩酸塩、L-ヒスチジン、ポリソルベート80、および塩酸をさらに含む、[37]に記載の凍結乾燥物。
[39]
[1]~[16]のいずれか一項で定義された抗スクレロスチン抗体、または[37]もしくは[38]に記載の凍結乾燥物を含む、投薬単位剤形。
[40]
10~5000mgの前記抗スクレロスチン抗体を含む、[39]に記載の投薬単位剤形。
[41]
[1]~[16]のいずれか一項で定義された抗スクレロスチン抗体、[37]もしくは[38]に記載の凍結乾燥物、または[39]もしくは[40]に記載の投薬単位剤形を含む、キット。
[42]
ビスホスホネート、副甲状腺ホルモン、カルシウム受容体拮抗薬、カルシウム受容体作動薬(シナカルセト等)、スタチン、アナボリックステロイド、ランタンおよびストロンチウム塩、ならびに/またはフッ化ナトリウムといった併用療法剤等のさらなる治療剤を含む、[41]に記載のキット。
[43]
[1]~[36]のいずれか一項に記載の方法での使用のための、[1]~[16のいずれか一項で定義された抗スクレロスチン抗体、[37]もしくは[38]に記載の凍結乾燥物、[39]40]に記載の投薬単位剤形、または[41]もしくは[42]に記載のキット。
[44]
図面を参照して本明細書に実質的に記載された、方法、抗スクレロスチン抗体、凍結乾燥物、投薬単位剤形、キット、および/または使用。
【配列表】