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特許7050362燃料電池自動車向け省エネガス供給システム
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  • 特許-燃料電池自動車向け省エネガス供給システム 図1
  • 特許-燃料電池自動車向け省エネガス供給システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】燃料電池自動車向け省エネガス供給システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20220401BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20220401BHJP
   H01M 8/0438 20160101ALI20220401BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20220401BHJP
   B60L 50/72 20190101ALI20220401BHJP
   B60L 58/30 20190101ALI20220401BHJP
【FI】
H01M8/04 J
H01M8/00 Z
H01M8/04 N
H01M8/0438
H01M8/04746
B60L50/72
B60L58/30
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020543997
(86)(22)【出願日】2019-04-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-24
(86)【国際出願番号】 CN2019080790
(87)【国際公開番号】W WO2020037988
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2020-08-19
(31)【優先権主張番号】201810944410.X
(32)【優先日】2018-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513324321
【氏名又は名称】大連理工大学
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】由 宏新
(72)【発明者】
【氏名】劉 召
(72)【発明者】
【氏名】劉 潤傑
【審査官】西井 香織
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/013092(WO,A1)
【文献】特開2005-259439(JP,A)
【文献】米国特許第05523176(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0112479(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04 - 8/0668
B60L 50/00 - 58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車用高圧水素ボンベ(1)と、減圧ソレノイドバルブ(2)と、多目的コンプレッサー(3)と、圧力センサーと、制御システム(5)と、を含む燃料電池自動車向け省エネガス供給システムであって、前記車用高圧水素ボンベ(1)には前記減圧ソレノイドバルブ(2)が取り付けられるか、または前記車用高圧水素ボンベ(1)がパイプラインを通じて前記減圧ソレノイドバルブ(2)と接続し、前記減圧ソレノイドバルブ(2)の出口が前記多目的コンプレッサー(3)の水素入口と接続し、前記多目的コンプレッサー(3)の他端から吸い込まれた空気は圧縮され、圧縮された空気が電池スタックのカソードに直接使用され;前記圧力センサーは、前記減圧ソレノイドバルブ(2)と前記多目的コンプレッサー(3)との間のパイプライン上の水素入口側圧力センサー(4a)と、前記多目的コンプレッサー(3)の圧縮空気排出パイプライン上の空気出口側圧力センサー(4b)と、を含み;前記制御システム(5)は、PLCコントローラを用い、PLCコントローラが前記減圧ソレノイドバルブ(2)、前記水素入口側圧力センサー(4a)、前記空気出口側圧力センサー(4b)及び前記多目的コンプレッサー(3)に電気的に接続され;前記減圧ソレノイドバルブ(2)を通過する水素圧力が前記多目的コンプレッサー(3)の動作を駆動するのに十分でなかった時、前記水素入口側圧力センサー(4a)により水素圧力がPLCコントローラで設定された前記多目的コンプレッサー(3)の自動動作の入口圧力よりも低いことを検出した場合、または前記空気出口側圧力センサー(4b)により空気出口側圧力がPLCコントローラで設定された空気圧力よりも低いことを検出した場合、前記制御システム(5)は前記多目的コンプレッサー(3)の電源システムを起動させ、電力で前記多目的コンプレッサー(3)を起動し、同時に水素と空気を圧縮し、燃料電池スタックのガス供給を確保し;この時前記制御システム(5)からアラームが発せられ、使用者に燃料不足を思い出させ;使用者が水素を充填した後、圧力が正常値に達すると、アラームが解除され、前記制御システム(5)は前記多目的コンプレッサー(3)の外部電源を切り、ガス供給システム全体が正常に動作する
ことを特徴とする燃料電池自動車向け省エネガス供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーンエネルギー自動車内の省エネ技術分野に属し、特に、燃料電池自動車向け省エネガス供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
水素を燃料とする燃料電池自動車は、水素を必要とする以外に、酸素も必要とされている。水素は、通常圧縮ガスで、比較的高い圧力を有し、高圧ガスボンベ内に貯蔵され、貯蔵圧力が70MPaに達することができ;酸素は、一般的に空気から由来し、通常コンプレッサー、ブロワーなどの圧縮性質を持つ機械を使用して、燃料電池の流路、パイプラインの抵抗力を克服し、酸素含有空気を燃料電池のカソード流路内に送られ、酸素に一定の運動エネルギーを持たせ、燃料電池のカソード触媒層を通じて関連の電気化学反応を起こさせる。
【0003】
コンプレッサーやブロワーなどの伝動機械で空気を圧縮するのは、燃料電池で発電した電力を消費して、空気を圧縮するために必要な原動力を提供する必要があるが、水素で発電された貴重な電力が自動車の走行に十分に活用されず、燃料電池自動車の燃費と燃料利用率を低下させていた。車内のスペースが限られているため、水素酸素燃料電池自動車がガスボンベを使用して空気を貯蔵することが勧められない。
【0004】
特許文献1では、グリーンエネルギー自動車向けの集中ガス供給システム及びガス供給方法を開示し、前記システムが主に2段圧縮空気コンプレッサーと、燃料電池システムと、空冷式熱交換器と、空気圧ブレーキシステムと、を含む。特許文献1は、主にエアコンプレッサーで発生した圧縮ガスをエキスパンダに導入して圧力エネルギーを回収し、また電池反応で残った冷熱ガスを利用して冷熱エネルギーを回収する。ただし、前記システムで回収された圧力エネルギーがエアコンプレッサーによって供給されるため、前記方法のエネルギー回収効率は極めて低く、水素で発生した電気エネルギーを浪費するだけでなく、システムの複雑性が増加したことを留意されたい。
【0005】
水素酸素燃料電池自動車の高圧水素ボンベには、化学エネルギーに加え、圧力エネルギーも豊富にある。その圧力エネルギーを利用すると、エアコンプレッサーを駆動できることで、電池で発電される電力の消費を減らす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】中国特許第CN201710431329.7号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来技術における上述の問題点の克服を意図しており、高圧水素ボンベの圧力エネルギーを利用し、エアコンプレッサーを駆動し、水素燃料電池スタック内で空気を使用して水素の圧力エネルギーを空気の圧力エネルギーに直接変換するため、常圧の空気を加圧し、エネルギー利用率を大幅に向上させる燃料電池自動車向け省エネガス供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、上記目的を達成するために、次の技術的手段を講じた。
車用高圧水素ボンベと、減圧ソレノイドバルブと、多目的コンプレッサーと、圧力センサーと、制御システムと、を含む燃料電池自動車向け省エネガス供給システムであって、前記車用高圧水素ボンベには減圧ソレノイドバルブが取り付けられるか、または車用高圧水素ボンベがパイプラインを通じて減圧ソレノイドバルブと接続し、減圧ソレノイドバルブの出口が多目的コンプレッサーの水素入口と接続し、多目的コンプレッサーの他端から吸い込まれた空気は圧縮され、圧縮された空気が電池スタックのカソードに直接使用され;前記圧力センサーは、減圧ソレノイドバルブと多目的コンプレッサーとの間のパイプライン上の水素入口側圧力センサーと、多目的コンプレッサーの圧縮空気排出パイプライン上の空気出口側圧力センサーと、を含み;前記制御システムは、PLCコントローラを用い、PLCコントローラが減圧ソレノイドバルブ、水素入口側圧力センサー、空気出口側圧力センサー及び多目的コンプレッサーに電気的に接続され;減圧ソレノイドバルブを通過する水素圧力が多目的コンプレッサーの動作を駆動するのに十分でなかった時、前記水素入口側圧力センサーにより水素圧力がPLCコントローラで設定された多目的コンプレッサーの自動動作の入口圧力よりも低いことを検出した場合、または前記空気出口側圧力センサーにより空気出口側圧力がPLCコントローラで設定された空気圧力よりも低いことを検出した場合、前記制御システムは多目的コンプレッサーの電源システムを起動させ、電力で多目的コンプレッサーを起動し、同時に水素と空気を圧縮し、燃料電池スタックのガス供給を確保し;この時制御システムからアラームが発せられ、使用者に燃料不足を思い出させ;使用者が水素を充填した後、圧力が正常値に達すると、アラームが解除され、制御システムは多目的コンプレッサーの外部電源を切り、ガス供給システム全体が正常に動作する。
【0009】
前記制御システムは、S7-200 PLCコントローラを用いる。
【発明の効果】
【0010】
この燃料電池自動車向け省エネガス供給システムは、車用高圧水素ボンベと、減圧ソレノイドバルブと、多目的コンプレッサーと、制御システムと、を含む。制御システムは、PLCコントローラを用い、水素入口側圧力センサーが減圧ソレノイドバルブと多目的コンプレッサーとの間のパイプラインに設けられ、空気出口側圧力センサーが多目的コンプレッサーの圧縮空気排出パイプラインに設けられ;減圧ソレノイドバルブを通過する水素圧力が多目的コンプレッサーの動作を駆動するのに十分でない場合、または空気出口側圧力センサーにより空気出口側圧力がPLCコントローラで設定された空気圧力よりも低いことを検出した場合、制御システムは多目的コンプレッサーの電源システムを起動させ、電力で多目的コンプレッサーを起動し、同時に水素と空気を圧縮し、燃料電池スタックのガス供給を確保する。その省エネガス供給システムの構造は、単純で、占用スペースも小さく容易に統合を実現する。圧水素ボンベの圧力エネルギーを利用し、エアコンプレッサーを駆動し、水素燃料電池スタック内で空気を使用して水素の圧力エネルギーを空気の圧力エネルギーに直接変換するため、常圧の空気を加圧し、エネルギー利用率を大幅に向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】燃料電池自動車向け省エネガス供給システムの原理図である。
図2】SP-200PLCコントローラの原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、燃料電池自動車向け省エネガス供給システムの原理図である。この燃料電池自動車向け省エネガス供給システムは、車用高圧水素ボンベ1と、減圧ソレノイドバルブ2と、多目的コンプレッサー3と、圧力センサーと、制御システム5と、を含み、圧力センサーが水素入口側圧力センサー4aと、空気出口側圧力センサー4bと、を含む。車用高圧水素ボンベ1は、パイプラインを通じて減圧ソレノイドバルブ2と接続し、減圧ソレノイドバルブ2の出口が多目的コンプレッサー3の水素入口と接続し、多目的コンプレッサー3の他端から吸い込まれた空気が圧縮され、圧縮された空気が電池スタックのカソードに直接使用され;多目的コンプレッサー3の空気入口側が大気中のろ過された空気用であり、多目的コンプレッサーの水素出口側から排出された低圧水素が電池スタックのアノードに作用し;水素入口側圧力センサー4aは、水素入口側に取付けられ、空気出口側圧力センサー4bが空気出口側に取付けられる。制御システム(5)は、PLCコントローラを用い、PLCコントローラが減圧ソレノイドバルブ2、圧力センサー及び多目的コンプレッサー3に電気的に接続され、減圧ソレノイドバルブ2及び多目的コンプレッサー3の動作を制御できる。減圧ソレノイドバルブ2の出入り口は、ガス用であり、この電磁弁が水素を制御するための弁であり、その作用が高圧水素ボンベ内の水素を減圧してから排出することであり;本発明のシステムは、燃料電池ガス供給システムだけであり、燃料電池のガス供給がカソードガス供給とアノードガス供給のみが必要であり、図面に表示され、圧縮された水素がアノードガス供給で、圧縮された空気がカソードにガス供給であり、これらが直接後続の電池スタックに吹き込んで反応を起こして電気エネルギーを発生する。
【0013】
図2は、PLCコントローラの原理図である。水素入口側圧力センサー4a、空気出口側圧力センサー4b、減圧ソレノイドバルブ2及びコンプレッサー制御リレーは、SP-200コントローラに電気的に接続され、コンプレッサー制御リレーが多目的コンプレッサー3に電気的に接続され、多目的コンプレッサー3がオンボード電源によって駆動される。
【0014】
減圧ソレノイドバルブ2を通過する水素圧力が多目的コンプレッサー3を駆動するのに十分でない時、すなわち、水素入口側圧力センサー4aにより圧力がPLCコントローラで設定された多目的コンプレッサー3の自動動作の入口圧力よりも低いことを検出した場合、または空気出口側圧力センサー4bにより空気出口側圧力がPLCコントローラで設定された空気圧力よりも低いことを検出した場合、PLCコントローラがコンプレッサー制御リレーを通じて多目的コンプレッサー3を起動させ、オンボード電源で多目的コンプレッサー3を駆動させ、燃料電池スタックのガス供給を確保し;この時制御システム5からアラームが発せられ、使用者に燃料不足を思い出させる。使用者が水素を充填した後、圧力が正常値に達すると、アラームが解除され、制御システム5は多目的コンプレッサー3の外部電源を切り、ガス供給システム全体が正常に作動する。システムがシャットダウンすると、減圧ソレノイドバルブ2ソレノイドバルブ2が閉じ、システムの動作を停止する。
【0015】
PLCコントローラは、数値演算処理電子システムシステムのプログラマブルロジックコントローラであり、機械の製造プロセスを制御するために用いられる。現在市場上の最も多く使用されている単純なシーメンス社製のS7シリーズのPLCは、小型、高速、標準化されており、ネットワーク通信能力を持ち、機能がより強く、信頼性もより高い。S7-200 PLCコントローラ(型番が6ES7211-0BA23-0XB0、AC/DC/リレーで、入力6点、出力4点)は、マイクロPLCであり、様々な産業、場面の自動検出、モニタリング及び制御などに適している。S7-200 PLCの強力な機能によりスタンドアロン操作又はネットワークとして接続するかを問わず、複雑な制御機能を実現できる。
【符号の説明】
【0016】
1 車用高圧水素ボンベ
2 減圧ソレノイドバルブ
3 多目的コンプレッサー
4a 水素入口側圧力センサー
4b 空気出口側圧力センサー
5 制御システム
図1
図2