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7050371ガス処理システム、ガス処理方法及び制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】ガス処理システム、ガス処理方法及び制御装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/04 20060101AFI20220401BHJP
   B01J 20/26 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
B01D53/04 110
B01J20/26 A
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021075478
(22)【出願日】2021-04-28
【審査請求日】2021-04-28
【審判番号】
【審判請求日】2021-09-21
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519451197
【氏名又は名称】SyncMOF株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】堀 彰宏
(72)【発明者】
【氏名】畠岡 潤一
【合議体】
【審判長】原 賢一
【審判官】大光 太朗
【審判官】金 公彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-105528(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0290575(US,A1)
【文献】国際公開第2020/105242(WO,A1)
【文献】特開2013-87017(JP,A)
【文献】特開2017-170379(JP,A)
【文献】特開2013-71072(JP,A)
【文献】登録実用新案第3209628(JP,U)
【文献】特開2005-336046(JP,A)
【文献】特開平3-284322(JP,A)
【文献】特開2003-103134(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D53/02-53/12
B01D53/34-53/96
B01D53/14-53/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入側から流通される混合ガスに含まれる第1のガスを捕集可能な第1の多孔性金属有機構造体を収容する第1の容器と、
前記第1の容器と直列に流通される前記混合ガスに含まれる第2のガスを捕集可能な第2の多孔性金属有機構造体を収容する第2の容器と、
前記第1の容器の下流側の流路の空間を検出対象として設けられ、前記第1のガスを検出可能な第1のガス検出器と、
前記第1のガス検出器に基づく検出情報に基づいて、少なくとも前記第1の容器の状態に関する情報を出力する制御装置と、
を備え、
前記第1の容器および前記第2の容器の少なくともいずれかは、前記第1の容器と前記第2の容器の流路を構成するラインに対して着脱可能に設けられ、対応する容器と前記ラインとの流路の開閉のためのバルブと、前記バルブよりも前記対応する容器側に設けられ前記対応する容器の圧力を計測する圧力計は、前記対応する容器に設けられる、ガス処理システム。
【請求項2】
前記検出情報は、前記第1のガスが破過していることを示す破過情報を含み、
前記制御装置は、前記破過情報に基づいて、前記第1の容器の状態に関する情報を出力する、請求項1に記載のガス処理システム。
【請求項3】
前記バルブの上流側のラインに圧力計を備え、
前記制御装置は、前記バルブの上流側のラインに備えられた圧力計から得られる圧力情報と前記破過情報とに基づいて、前記第1の容器の状態に関する情報を出力する、請求項2に記載のガス処理システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記バルブの上流側のラインに備えられた圧力計から得られる圧力情報が前記第1の容器における第1のガスの飽和状態に対応する情報である場合に、前記第1の容器において前記第1のガスが飽和している状態であることを示す情報を出力する、請求項3に記載のガス処理システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記バルブの上流側のラインに備えられた圧力計から得られる圧力情報が前記第1の容器における第1のガスの飽和状態に対応していない情報である場合に、前記第1の容器に異常が生じていることを示す情報を出力する、請求項3または4に記載のガス処理システム。
【請求項6】
前記第1の多孔性金属有機構造体の前記第1の容器における収容量と、前記第2の多孔性金属有機構造体の前記第2の容器における収容量とは、前記混合ガスに含まれる前記第1のガスと前記第2のガスとの構成比に応じて設定される、請求項1~5のいずれか1項に記載のガス処理システム。
【請求項7】
前記第1のガス検出器は、前記第1の容器と第2の容器との間を流通する流路の空間、および前記第2の容器の下流側の少なくともいずれかに設けられる、
請求項1~6のいずれか1項に記載のガス処理システム。
【請求項8】
前記制御装置は、少なくとも、前記第1のガス検出器に基づく検出情報と、前記第1のガス検出器とは別に前記第2の容器の下流側に設けられ、前記第2のガスを検出可能な第2のガス検出器に基づく検出情報とに基づいて、前記混合ガスの流出に関する情報を出力する、請求項7に記載のガス処理システム。
【請求項9】
前記第1の容器を流通する流路に流量計を備え、
前記制御装置は、前記流量計から得られる流量にかかる情報に基づいて、前記第1の容器の状態に関する情報を出力する、請求項1~8のいずれか1項に記載のガス処理システム。
【請求項10】
入側から流通される混合ガスに含まれる第1のガスを捕集可能な第1の多孔性金属有機構造体を収容する第1の容器と、
前記第1の容器の出側から流通される前記混合ガスに含まれる第2のガスを捕集可能な第2の多孔性金属有機構造体を収容する第2の容器と、
前記第1の容器の下流側の流路の空間を検出対象として設けられる検出器により得られる前記第1の容器および前記第2の容器を流通するガスの検出情報に基づいて、前記第1の容器および前記第2の容器の少なくともいずれかの状態に関する情報を出力する制御装置と、
を備え、
前記第1の容器および前記第2の容器の少なくともいずれかは、前記第1の容器と前記第2の容器の流路を構成するラインに対して着脱可能に設けられ、対応する容器と前記ラインとの流路の開閉のためのバルブと、前記バルブよりも前記対応する容器側に設けられ前記対応する容器の圧力を計測する圧力計は、前記対応する容器に設けられ、
前記第1の多孔性金属有機構造体の前記第1の容器における収容量と、前記第2の多孔性金属有機構造体の前記第2の容器における収容量とは、前記混合ガスに含まれる前記第1のガスと前記第2のガスとの構成比に応じて設定される、ガス処理システム。
【請求項11】
前記ガスの検出情報は、前記第1の容器の下流側の流路に設けられるガス検出器により得られる情報を含む、請求項10に記載のガス処理システム。
【請求項12】
前記ガスの検出情報は、前記第1の容器および前記第2の容器を流通する流路の流量計から得られる流量に係る情報を含む、請求項10または11に記載のガス処理システム。
【請求項13】
前記ガスの検出情報は、前記バルブの上流側のラインに設けられる圧力計から得られる圧力情報を含む、請求項10~12のいずれか1項に記載のガス処理システム。
【請求項14】
前記第1の容器および前記第2の容器とからなる第1のラインの流路を開閉する第1のバルブユニットをさらに備え、
前記制御装置は、前記検出情報に基づいて前記第1の容器および前記第2の容器の少なくともいずれかが飽和したと判断された場合に、前記第1のバルブユニットを閉鎖状態とする制御を行う、
請求項1~13のいずれか1項に記載のガス処理システム。
【請求項15】
前記第1の多孔性金属有機構造体を収容する第3の容器と、
前記第2の多孔性金属有機構造体を収容する第4の容器と、をさらに備え、
前記第3の容器と前記第4の容器とは前記第1の容器および前記第2の容器と並列して設けられる第2のラインを構成し、
前記第2のラインの流路を開閉する第2のバルブユニットをさらに備え、
前記第2のバルブユニットが閉鎖状態であり、前記第1の容器および前記第2の容器の少なくともいずれかが飽和したと判断された場合に、
前記制御装置は、前記第2のバルブユニットを開放状態とする制御を行い、その後前記第1のバルブユニットを閉鎖状態とする制御を行う、請求項14に記載のガス処理システム。
【請求項16】
前記第1の容器の状態に関する情報は、前記第1の容器において前記第1のガスが飽和している状態であることを示す情報および前記第1の容器に異常が生じていることを示す情報の少なくともいずれかを含む、請求項1~15のいずれか1項に記載のガス処理システム。
【請求項17】
前記第1の容器に収容される前記第1の多孔性金属有機構造体は、前記第1のガスのみを捕集可能であり、
前記第2の容器に収容される前記第2の多孔性金属有機構造体は、前記第2のガスのみを捕集可能である、請求項1~16のいずれか1項に記載のガス処理システム。
【請求項18】
第1のガスを捕集可能な第1の多孔性金属有機構造体を収容する第1の容器と、
前記第1の容器と直列に接続し、第2のガスを捕集可能な第2の多孔性金属有機構造体を収容する第2の容器と、
を備えるガス処理装置を用いたガス処理方法であって、
前記第1の容器および前記第2の容器の少なくともいずれかは、前記第1の容器と前記第2の容器の流路を構成するラインに対して着脱可能に設けられ、対応する容器と前記ラインとの流路の開閉のためのバルブと、前記バルブよりも前記対応する容器側に設けられ前記対応する容器の圧力を計測する圧力計は、前記対応する容器に設けられ、
前記第1の容器および前記第2の容器のいずれか上流側の容器の入側から、前記第1のガスおよび前記第2のガスを少なくとも含む混合ガスを流通させることと、
第1のガス検出器により、前記第1の容器の下流側の流路の空間において前記第1のガスの流量を測定することと、
制御装置により、前記第1のガス検出器により測定される前記第1のガスの流量に基づき得られる検出情報に基づいて、前記第1の容器の状態に関する情報を出力することと、
を含むガス処理方法。
【請求項19】
第1のガスを捕集可能な第1の多孔性金属有機構造体を収容する第1の容器と、
前記第1の容器と接続し、第2のガスを捕集可能な第2の多孔性金属有機構造体を収容する第2の容器と、
を備えるガス処理装置を用いたガス処理方法であって、
前記第1の容器および前記第2の容器の少なくともいずれかは、前記第1の容器と前記第2の容器の流路を構成するラインに対して着脱可能に設けられ、対応する容器と前記ラインとの流路の開閉のためのバルブと、前記バルブよりも前記対応する容器側に設けられ前記対応する容器の圧力を計測する圧力計は、前記対応する容器に設けられ、
前記第1の多孔性金属有機構造体の前記第1の容器における収容量と、前記第2の多孔性金属有機構造体の前記第2の容器における収容量とを、混合ガスに含まれる前記第1のガスと前記第2のガスとの構成比に応じて設定し、
前記第1の容器の入側から、前記混合ガスを流通させ、
前記第1の容器の下流側の流路の空間を検出対象として設けられる検出器により得られる前記第1の容器および前記第2の容器を流通するガスの検出情報に基づいて、前記第1の容器および前記第2の容器の少なくともいずれかの状態に関する情報を出力する、ガス処理方法。
【請求項20】
第1のガスを捕集可能な第1の多孔性金属有機構造体を収容する第1の容器と、
前記第1の容器と直列に接続し、第2のガスを捕集可能な第2の多孔性金属有機構造体を収容する第2の容器と、
を備えるガス処理装置を制御するための制御装置であって、
前記第1の容器および前記第2の容器の少なくともいずれかは、前記第1の容器と前記第2の容器の流路を構成するラインに対して着脱可能に設けられ、対応する容器と前記ラインとの流路の開閉のためのバルブと、前記バルブよりも前記対応する容器側に設けられ前記対応する容器の圧力を計測する圧力計は、前記対応する容器に設けられ、
前記第1の容器の入側から流通される前記第1のガスおよび前記第2のガスを少なくとも含む混合ガスを前記第1の容器に流通させた後に、
前記第1の容器の下流側の流路の空間を検出対象として設けられ、前記第1のガスを検出可能な第1のガス検出器から得られる検出情報に基づいて、前記第1の容器の状態に関する情報を出力する、制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガス処理システム、ガス処理方法及び制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数種類のガスを含む混合ガスから所望のガスのみを分離したり、フィルタリングする技術の開発が進められている。例えば、下記特許文献1には、減量ガスからゼオライトを用いて一酸化炭素を回収する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-170102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されるような技術にあっては、ガスの精製工程が必要であるため、装置が大型化しやすくガス利用者にとって簡便ではない。
【0005】
そこで、本開示は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ガス利用者が容易に混合ガスから所望のガスを得ることが可能な、ガス処理システム、ガス処理方法及び制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によれば、入側から流通される混合ガスに含まれる第1のガスを捕集可能な第1の多孔性金属有機構造体を収容する第1の容器と、前記第1の容器と直列に流通される前記混合ガスに含まれる第2のガスを捕集可能な第2の多孔性金属有機構造体を収容する第2の容器と、前記第1の容器の下流側の流路の空間を検出対象として設けられ、前記第1のガスを検出可能な第1のガス検出器と、前記第1のガス検出器に基づく検出情報に基づいて、少なくとも前記第1の容器の状態に関する情報を出力する制御装置と、
を備えるガス処理システムが提供される。
【0007】
また、本開示によれば、入側から流通される混合ガスに含まれる第1のガスを捕集可能な第1の多孔性金属有機構造体を収容する第1の容器と、前記第1の容器の出側から流通される前記混合ガスに含まれる第2のガスを捕集可能な第2の多孔性金属有機構造体を収容する第2の容器と、を備え、前記第1の多孔性金属有機構造体の前記第1の容器における収容量と、前記第2の多孔性金属有機構造体の前記第2の容器における収容量とは、前記混合ガスに含まれる前記第1のガスと前記第2のガスとの構成比に応じて設定される、ガス処理システムが提供される。
【0008】
また、本開示によれば、第1のガスを捕集可能な第1の多孔性金属有機構造体を収容する第1の容器と、前記第1の容器と直列に流通し、第2のガスを捕集可能な第2の多孔性金属有機構造体を収容する第2の容器と、を備えるガス処理装置を用いたガス処理方法であって、前記第1の容器および前記第2のガスのいずれか上流側の容器の入側から、前記第1のガスおよび前記第2のガスを少なくとも含む混合ガスを流通させることと、第1のガス検出器により、前記第1の容器の下流側の流路の空間において前記第1のガスの流量を測定することと、制御装置により、前記第1のガス検出器により測定される前記第1のガスの流量に基づき得られる検出情報に基づいて、前記第1の容器の状態に関する情報を出力することと、を含むガス処理方法が提供される。
【0009】
また、本開示によれば、第1のガスを捕集可能な第1の多孔性金属有機構造体を収容する第1の容器と、前記第1の容器と流通し、第2のガスを捕集可能な第2の多孔性金属有機構造体を収容する第2の容器と、を備えるガス処理装置を用いたガス処理方法であって、前記第1の多孔性金属有機構造体の前記第1の容器における収容量と、前記第2の多孔性金属有機構造体の前記第2の容器における収容量とを、混合ガスに含まれる前記第1のガスと前記第2のガスとの構成比に応じて設定し、前記第1の容器の入側から、前記混合ガスを流通させる、ガス処理方法が提供される。
【0010】
また、本開示によれば、第1のガスを捕集可能な第1の多孔性金属有機構造体を収容する第1の容器と、前記第1の容器と直列に流通し、第2のガスを捕集可能な第2の多孔性金属有機構造体を収容する第2の容器と、を備えるガス処理装置を制御するための制御装置であって、前記第1の容器の入側から流通される前記第1のガスおよび前記第2のガスを少なくとも含む混合ガスを前記第1の容器に流通させた後に、前記第1の容器の下流側の流路の空間を検出対象として設けられ、前記第1のガスを検出可能な第1のガス検出器から得られる検出情報に基づいて、前記第1の容器の状態に関する情報を出力する、制御装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、ガス利用者が容易に混合ガスから所望のガスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の一実施形態に係るガス処理システム1の概要を示す図である。
図2】同実施形態に係るガス処理システム1のシステム構成例を示す図である。
図3】同実施形態に係る制御装置100を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示す図である。
図4】同実施形態に係るガス処理システム1を用いたガス処理方法の流れの一例を示すフローチャートである。
図5】同実施形態の第1の変形例に係るガス処理システム1’のシステム構成例を示す図である。
図6】同実施形態の第2の変形例に係るガス処理システム1’’のシステム構成例を示す図である。
図7】同実施形態の第3の変形例に係るガス処理システム1’’’のシステム構成例を示す図である。
図8】同実施形態の第4の変形例に係るガス処理システム1000のシステム構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0014】
図1は、本開示の一実施形態に係るガス処理システム1の概要を示す図である。図示するように、本実施形態に係るガス処理システム1は、筐体10を備える。筐体10には、ガス3Aの導入口2Aと、ガス3Bの導出口2Bと、容器5(5A、5B等)を装着するための装着口4(4A、4B、4C)と、容器5と、を備える。導入口2Aから導入されるガス3Aは、装着口4に装着された容器5を通過して、導出口2Bからガス3Bとして導出される。容器5が複数設けられる場合は、複数の容器5は直列的に流路が接続されていてもよいし、並列的に流路が接続されていてもよい。すなわち、図1に示す例においては、導入口2Aが容器5Aのみに接続し、容器5Bは容器5Aと接続し、容器5Bが導出口2Bのみに接続する態様であってもよいし、導入口2Aと導出口2Bとが、容器5Aと容器5Bの双方に接続する態様であってもよい。また、本技術は図1に示すような構成に限定されない。例えば、容器5を装着するための装着口4の数は限定されず、それに応じて容器5の数も限定されない。また、一つの装着口4に、複数の容器5が装着される態様であってもよい。
【0015】
容器5は、内部に多孔性金属有機構造体(MOF/PCP:Metal Organic Framework/Porous Coordination Polymer)を収容する。MOF(以下、MOF/PCPを単にMOFとも称する)は、金属イオンと多座配位子の有機分子からなる連続構造を持つ錯体である。MOFは三次元に連続する配位性構造体を有しており、ナノポーラス構造を形成する。金属イオンと有機分子の組み合わせに応じて、MOFは特定の物質のみを吸着させることができる。つまり、MOFを収容した容器において特定の物質を含むガスを導入させると、該容器において特定の物質からなるガスを捕集することができる。例えば、容器5Aには物質XXからなるガスを捕集することができるMOFが収容され、容器5Bには物質XXとは異なる物質YYからなるガスを捕集することができるMOFが収容され得る。これにより、物質XXと物質YYを、それぞれの容器5において単離して得ることができる。なお、容器5Aと容器5Bは、同一の物質からなるガスを捕集可能なMOFを収容していてもよい。ガスを構成する物質の種類の例については後述する。
【0016】
また、容器5の仕様は、MOFを収容可能であり、ガスの導入口と導出口が設けられていれば特に限定されない。例えば、容器5は、JIS規格やISO規格等に規定される一般的な高圧ボンベ等であってもよい。また、容器5は、高圧ボンベでなくともよく、耐圧性能が1MPa未満の容器等であってもよい。すなわち、MOFを収容することによりガスがMOFに物理的に吸着されるため、容器の耐圧性能については特に問わない。なお、容器5には任意のベントシステムが設けられていてもよい。また後述するように、容器5には、容器5の内部の圧力を測定する圧力センサや、容器5の周囲や内部の温度を測定する温度センサ等が設けられてもよい。かかる測定情報は、容器5または筐体10に備えられる通信デバイス等により適宜外部のサーバ等に送信されてもよいし、容器5または筐体10に備えられるフラッシュメモリ等の記憶装置に記憶されてもよい。また、かかる外部のサーバや記憶装置には、容器5に関する情報(例えば容器5の仕様、容器5の識別情報、容器5のメンテナンスに関する情報、容器5の管理者の情報、容器5の使用者の情報)容器5が収容するMOFおよび該MOFにより捕集可能なガスに関する情報(例えばMOFの種類、MOFの使用に関する情報、MOFの劣化に関する情報、捕集するガスの種類に関する情報)が記憶されていてもよい。上述した情報は、例えば容器5に設けられる上記記憶装置や、QRコード(登録商標)等のタグをユーザが端末等を用いて読み出すことにより得ることができる。このように、容器5には、容器5が収容するMOFやMOFに吸着されたガスの状況を管理するためのIoT(Internet of Things)関連の種々のデバイスが設けられていてもよい。デバイスの例としては、例えば、GPS(Global Positioning System)機能等の位置情報を取得するためのデバイスや、容器5の導入口または導出口の弁やバルブ等を制御するための制御装置、容器5に関する情報を表示するための表示装置等であり得る。ここでいう表示装置は、例えばLED等の光源等であってもよいし、いわゆるディスプレイのような装置であってもよい。光源の場合は、例えば容器5の状態を、点灯する光の色や点滅のパターン等に応じて表示するものであってもよい。
【0017】
本実施形態においては、導入口2Aから複数の物質を含む混合ガスを導入するケースを想定しているが、本技術はかかる例に限定されない。例えば、後述する変形例において示すように、導入口2Aからは、単一の物質からなるガスが導入されてもよい。ガスを組成する物質としては、例えば、水素、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、水、アセチレン、NF3、CF4、CH3、プロパン、エチレン、エタン等が挙げられる。もちろん、捕集対象のガスを組成する物質は、かかる例に限定されない。また、混合ガスは少なくとも複数の物質を含んでおり、その種類の数は3以上であってもよい。
【0018】
図2は、本実施形態に係るガス処理システム1のシステム構成例を示す図である。図示するように、ガス処理システム1は、導入口2Aと導出口2Bとの間に、第1のライン21と第2のライン22とを備える。第1のライン21は、第1の容器5A1と第2の容器5B1とを備え、これらの容器は、第1の容器5A1と第2の容器5B1とが一連の流路を形成するように直列に接続される。第1の容器5A1、第2の容器5B1にはそれぞれ、入側バルブ6(6A1、6B1)と、出側バルブ7(7A1、7B1)と、圧力計8(8A1、8B1)とを備える。また、第1のライン21の最上流側および最下流側には、それぞれライン着脱部9(9A1、9B1)が設けられる。なお、第1の容器5A1と第2の容器5B1の配置の順序は特に限定されない。
【0019】
また、第1のライン21と並行して設けられる第2のライン22は、第3の容器5A2と第4の容器5B2とを備え、これらの容器は直列に接続される。第3の容器5A2、第4の容器5B2にはそれぞれ、入側バルブ6(6A2、6B2)と、出側バルブ7(7A2、7B2)と、圧力計8(8A2、8B2)とを備える。また、第2のライン22の最上流側および最下流側には、それぞれライン着脱部9(9A2、9B2)が設けられる。なお、第3の容器5A2と第4の容器5B2の配置の順序は特に限定されない。また、第1のライン21および第2のライン22のそれぞれに設けられる入側バルブ6と出側バルブ7の組は、合わせてバルブユニットとも称する。また、以下の説明においては、第1の容器5A1と第3の容器5A2とを総称して容器5Aとも称し、第2の容器5B1と第4の容器5B2とを総称して容器5Bとも称する。なお、本実施形態においては第1のライン21と第2のライン22の2つのラインが設けられているが、本技術はかかる例に限定されない。並行して設けられるラインの数は特に限定されない。また、各ラインにおいて直列に接続される容器の数は、特に限定されない。例えば、捕集したいガスの種類の数に応じて、容器の数を設定することが可能である。
【0020】
第1の容器5A1、第3の容器5A2は、混合ガスに含まれる第1のガスを捕集可能なMOF(第1のMOF)を収容し得る。また、第2の容器5B1、第4の容器5B2は、混合ガスに含まれる第2のガスを捕集可能なMOF(第2のMOF)を収容し得る。これらの容器に収容されるMOFの量は特に限定されない。例えば、第1のMOFの第1の容器5A1における収容量と、第2のMOFの第2の容器5B1における収容量とは、混合ガスに含まれる第1のガスと第2のガスとの構成比(物質量比)に応じて設定されてもよい。これにより、第1の容器5A1と第2の容器5B1とがほぼ同時のタイミングで飽和する(すなわち、MOFへの物質の吸着がほぼ起こらなくなる)ので、効率よく容器を回収、交換することができる。また、第1のMOFの第1の容器5A1における収容量と、第2のMOFの第2の容器5B1における収容量とは、上記のガスの構成比に加えて、必要な回収量に応じて設定されてもよい。
【0021】
それぞれの容器5には、上述したように入側バルブ6、出側バルブ7および圧力計8が設けられる。これらのバルブおよび圧力計は、容器5に直接取り付けられるものであってもよいし、容器5に付随して設けられてもよい。例えば、これらのバルブおよび圧力計は、容器5と取り外し可能であったり、容器5のガスの導入管または導出管の近傍に設けられてもよい。本実施形態に係る容器5は、例えば、入側バルブ6と圧力計8とを備える構成であり得る。また、上述したように、かかる容器5は、温度センサ等を備えうる。
【0022】
入側バルブ6および出側バルブ7は、容器5の上流側および下流側に設けられる。これらのバルブは、例えば後述する制御装置100により、その開閉が制御され得る。バルブは例えば電磁弁等であり得る。上述するように、入側バルブ6および/または出側バルブ7が容器5に付随するものである場合は、制御装置100は、容器5に設けられる制御装置等を介して、入側バルブ6および/または出側バルブ7の開閉を制御し得る。また、これらのバルブは、手動により開閉が可能なものであってもよい。
【0023】
ライン着脱部9は、第1のライン21および/または第2のライン22の最上流側および最下流側に設けられ、それぞれのラインに設けられた容器5を一度に取り外すことが可能な機構を有する。ライン着脱部9は必ずしも設けられなくてもよいが、かかる構成により、例えば第1の容器5A1および第2の容器5B1がそれぞれ飽和状態となった場合に、一度で2つの容器を取り替えることが容易に実現する。ライン着脱部9は、例えばSwagelok製のクイック・コネクツにより実現され得る。かかるライン着脱部9は、ラインの上下流に一対設けられてもよいし、容器ごとの上下流に一対設けられてもよい。
【0024】
第1の容器5A1と第2の容器5B1を繋ぐ流路の間には、TCD(Thermal Conductivity Detector:熱伝導度型検出器)11が設けられる。TCD11はガス検出器の一例であり、ガスクロマトグラフィーのような他の種類のガス検出器で代替されてもよい。TCD11は、図示しないが、サンプリングラインとして、各ラインの上流側の流路と接続し得る。TCD11は、第3の容器5A2と第4の容器5B2を繋ぐ流路の間にも設けられてもよい。本実施形態に係るTCD11は、例えば、第1の容器5A1および/または第3の容器5A2に収容されているMOF(第1のMOFと称する)が捕集可能な第1のガスを検出することができる。TCD11は、検出結果のデータ(例えば電気信号)を後述する制御装置100に出力してもよいし、TCD11においてかかるデータを処理して検出情報として処理したものを出力してもよい。検出情報は、例えば、第1のガスが破過していることを示す破過情報であってもよい。破過とは、本実施形態においてはMOFによる吸着の限界を超えた状態を意味し、破過情報とは、ガス(第1のガスまたは第2のガス)が破過していることを示す検出情報の一例である。すなわち、TCD11による測定の結果、第1のガスが破過しているか否か(破過の判定に係る所定の基準を超えているか否か)を検出情報として後述する制御装置100は得ることができる。
【0025】
なお、TCD11は、後述する変形例に示すように、第2の容器5B1(および/または第4の容器5B2)の下流側の流路に設けられてもよい。これにより、第2の容器5B1、5B2から流出する第2のガスの破過を検出することができる。また、TCD11は、第1の容器5A1の下流側であれば、第1の容器5A1の出側でも、第2の容器5B1の出側でも、その少なくともいずれかに設けられていてもよい。また、TCD11は、第1のガスおよび第2のガスの少なくともいずれかを検出するものであってもよい。
【0026】
一方で、上述したように、第1の容器5A1(および/または第3の容器5A2)に収容される第1のMOFの収容量と第2の容器5B1(および/または第4の容器5B2)に収容される第2のMOFの収容量とが、混合ガスに含まれる第1のガスと第2のガスの構成比とに合わせて設定されていれば、第1の容器5A1と第2の容器5B1とはほぼ同時に飽和状態となり得る。つまり、混合ガスにおける第1のガスと第2のガスの構成比が、各容器に収容されるMOFの物質吸着量の比率と対応付けることによって、各容器がほぼ同じタイミングで飽和状態とすることができる。この場合は、TCD11は第1の容器5A1(および/または第3の容器5A2)の下流側の流路に一つだけ設けられていてもよい。これにより、TCD11の設置数は少なくなり、また、ラインに配される複数の容器を一度に交換することができ、効率的である。なお、ガスの構成比と、回収したいガスの量に応じて、第1の容器5A1(および/または第3の容器5A2)に収容される第1のMOFの収容量と第2の容器5B1(および/または第4の容器5B2)に収容される第2のMOFの収容量とが適宜設定され得る。
【0027】
第1のライン21および第2のライン22の上流側には、導入口2Aから流れるガスの流量を制御するMFC(Mass Flow Controller)12が設けられる。また、MFC12の上流側にはベントラインが設けられ、該ベントラインには圧力計13とベントバルブ14が設けられる。例えば、かかる圧力計13が所定の閾値を超える圧力を計測した際に、後述する制御装置100による制御によりベントバルブ14が開放し、ガスがかかるベントラインからリークされ得る。なお、ベントラインが設けられる位置は図2に示す例に限定されない。例えば、ベントラインは、MFC12と、第1のライン21および/または第2のライン22との間の流路に設けられてもよいし、第1のライン21および/または第2のライン22の下流側と導出口2Bとの間に設けられていてもよい。また、ベントバルブ14は、所定の圧力に達した場合に自動的に外部にガスをリークするようなものであってもよい。
【0028】
かかるガス処理システム1は、系全体における制御を行う制御装置100を備える。
図3は、本実施形態に係る制御装置100を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示す図である。100は、少なくとも、制御部101、メモリ102、ストレージ103、通信部104および入出力部105等を備える。これらはバス106を通じて相互に電気的に接続される。
【0029】
制御部101は、制御装置100全体の動作を制御し、各要素間におけるデータの送受信の制御、及びアプリケーションの実行及び認証処理に必要な情報処理等を行う演算装置である。例えば制御部101は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、ストレージ103に格納されメモリ102に展開されたプログラム等を実行して各情報処理を実施する。
【0030】
メモリ102は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性記憶装置で構成される主記憶と、フラッシュメモリまたはHDD(Hard Disc Drive)等の不揮発性記憶装置で構成される補助記憶と、を含む。メモリ102は、制御部101のワークエリア等として使用され、また、制御装置100の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、及び各種設定情報等を格納する。
【0031】
ストレージ103は、アプリケーション・プログラム等の各種プログラムを格納する。各処理に用いられるデータを格納したデータベースがストレージ103に構築されていてもよい。
【0032】
通信部104は、制御装置100をネットワークに接続する。通信部104は、例えば、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、Wi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標)、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、近距離または非接触通信等の方式で、外部機器と直接またはネットワークアクセスポイントを介して通信する。
【0033】
入出力部105は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等の情報入力機器、及びディスプレイ等の出力機器である。
【0034】
バス106は、上記各要素に共通に接続され、例えば、アドレス信号、データ信号及び各種制御信号を伝達する。
【0035】
本実施形態に係る制御装置100は、例えば、ガス処理システム1に設けられるTCD11に基づき得られる検出情報を取得して、各種の制御を行う。例えば、制御装置100は、検出情報を取得して、第1の容器5A1および/または第3の容器5A2の状態に関する情報を出力する。容器5の状態に関する情報は、例えば、容器5においてガスで飽和しているかどうかの情報を含み得る。具体的には、制御装置100は、検出情報が破過していることを示す情報であれば、容器5が飽和状態にあることを示す情報を出力し得る。すなわち、第1の容器5A1において、収容されているMOFによる吸着サイトが第1のガスを組成する物質(分子)によりほぼ埋まっておりこれ以上の吸着が困難である場合は、第1の容器5A1から第1のガスの流出量が増加し得る。そのため、TCD11による第1のガスの検出量が増加する。これにより、第1のガスの破過が判定されるので、第1の容器5A1が飽和状態であることが推測される。出力先は、例えば筐体10に設けられる表示装置や、容器5に設けられる表示装置等であってもよい。また、出力先は、外部のサーバやユーザ端末等であってもよい。これにより、ユーザは第1の容器5A1等が飽和状態であることを知ることができる。
【0036】
また、本実施形態に係る制御装置100は、上述したように、第1のライン21および第2のライン22に設けられる入側バルブ6および出側バルブ7の開閉を制御し得る。例えば、本実施形態に係る制御装置100は、検出情報に基づいて第1の容器5A1が飽和したと判断された場合に、第1のライン21に設けられるバルブユニットを閉鎖する。これにより、飽和したラインへのガスの供給を自動的に止めることができる。またその際、制御装置100は、該バルブユニットを閉鎖する前に、第2のライン22に設けられるバルブユニットを開放する制御を行ってもよい。これにより、第2のライン22に設けられた、ガスの充填がなされていない第3の容器5A2(および第4の容器5B2)へのガスの供給を開始しつつ、第1の容器5A1(および第2の容器5B1)の回収が可能となる。
【0037】
また、本実施形態に係る制御装置100は、他にも上述したMFC12制御等を行い得る。制御装置100は、例えば、MFC12を制御して、ガス処理システム1に導入する混合ガスの流量を制御し得る。MFC12は、流量計の一例であり、例えば流量計は、マスフローメーターであってもよい。なお、制御装置100は、例えばMFC12が示す流量に係る情報に基づいて、容器5Aおよび/または容器5Bの状態に関する情報を出力してもよい。例えば、MFC12に示す流量が所定の流量よりも低い値である場合は、破過が生じている状態であることを示す情報であってもよい。具体的には、MFC12に示す流量がゼロもしくはゼロに近い値を示している場合には、容器5Aまたは容器5Bの少なくともいずれかのMOFにおいてガスを吸着せず閉塞している状態であることを示す情報を出力してもよい。また、MFC12により算出される混合ガスの流量の積算値が、容器5Aおよび/または容器5Bにおいて捕集可能なガスの吸着量を基準とした閾値を超えた場合に、制御装置100は、第1のライン21または第2のライン22の一方のバルブユニットを開放し、他方のバルブユニットを閉鎖する制御を行ってもよい。かかる制御においては、TCD11に基づく検出情報を併せて用いてもよい。
【0038】
次に、本実施形態に係るガス処理システム1を用いたガス処理方法の流れの一例について説明する。図4は、本実施形態に係るガス処理システム1を用いたガス処理方法の流れの一例を示すフローチャートである。本実施形態に係るガス処理システム1は、第1のガスと第2のガスとを含む混合ガスを導入口2Aより導入し、容器5A(5A1、5A2)において第1のガスを捕集し、容器5B(5B1、5B2)において第2のガスを捕集し、その他のガスを導出口2Bから排出する。
【0039】
まず、混合ガスの導入に際して、制御装置100は、ガス処理システム1に設けられる各ラインのバルブ群の制御を行う(ステップSQ101)。具体的には、制御装置100は、第1のライン21に設けられるバルブユニットを開放し、第2のライン22に設けられるバルブユニットを閉鎖する制御を行う。そして、混合ガスの導入を開始する(ステップSQ103-S)。
【0040】
混合ガスの導入が開始されると、混合ガスは第1のライン21を流通する。第1の容器5A1においては、第1のMOFにより混合ガスに含まれる第1のガスが捕集される。すなわち、第1の容器5A1からは、第1のガスを除く、第2のガスを含む混合ガスが排出される。そして、第2の容器5B1においては、第2のMOFにより第2のガスが捕集される。第2の容器5B1からは、第1のガスと第2のガスを除く混合ガスが排出される。
【0041】
ここで、第1の容器5A1の下流側に設けられるTCD11において、第1のガスの検出に係る基準が超えたことが検知されると(ステップSQ105/Y)、制御装置100は第2のライン22に設けられるバルブユニットを開放する制御を行う(ステップSQ107)。具体的には、制御装置100は、図2に示す入側バルブ6A2、6B2、出側バルブ7A2、7B2を開放する制御を行う。そして、制御装置100は、第1のライン21に設けられるバルブユニットを閉鎖する制御を行う(ステップSQ109)。具体的には、制御装置100は、図2に示す入側バルブ6A1、6B1、出側バルブ7A1、7B1を閉鎖する制御を行う。これにより、ガス処理システム1における混合ガスの流路は、第1のライン21から第2のライン22に切り替わる。第1のライン21に設けられている第1の容器5A1と第2の容器5B1は、第1のガスと第2のガスでそれぞれ飽和状態になっているので、他の容器と交換される(ステップSQ111)。例えば、ライン着脱部9からそれぞれの容器を取り外し、他の容器をライン着脱部9に接続することで、容易に容器の交換が可能である。
【0042】
また、混合ガスが第2のライン22を流通しているときには、第3の容器5A2においては、第1のMOFにより混合ガスに含まれる第1のガスが捕集される。すなわち、第3の容器5A2からは、第1のガスを除く、第2のガスを含む混合ガスが排出される。そして、第4の容器5B2においては、第2のMOFにより第2のガスが捕集される。第4の容器5B2からは、第1のガスと第2のガスを除く混合ガスが排出される。
【0043】
ここで、第3の容器5A2の下流側に設けられるTCD11において、第1のガスの検出に係る基準が超えたことが検知されると(ステップSQ113/Y)、制御装置100は第1のライン21に設けられるバルブユニットを開放する制御を行う(ステップSQ115)。具体的には、制御装置100は、図2に示す入側バルブ6A1、6B1、出側バルブ7A1、7B1を開放する制御を行う。そして、制御装置100は、第2のライン22に設けられるバルブユニットを閉鎖する制御を行う(ステップSQ117)。具体的には、制御装置100は、図2に示す入側バルブ6A2、6B2、出側バルブ7A2、7B2を閉鎖する制御を行う。これにより、ガス処理システム1における混合ガスの流路は、第2のライン22から第1のライン21に切り替わる。第2のライン22に設けられている第3の容器5A2と第4の容器5B2は、第1のガスと第2のガスでそれぞれ飽和状態になっているので、他の容器と交換される(ステップSQ119)。
【0044】
かかるステップSQ105~SQ119の処理は、混合ガスの導入が停止されるまで繰り返し行われる(ステップSQ103-L)。混合ガスの導入が停止されると、制御装置100は、すべてのラインのバルブを閉鎖する制御をし得る(ステップSQ121)。
【0045】
以上説明したように、本実施形態に係るガス処理システム1によれば、複数の物質からなる混合ガスのうち少なくとも2種のガスを、それぞれの容器に収容されている、捕集対象のガスを組成する物質に対応したMOFにより捕集する。その際、上流側の容器の下流側にガス検出器を設けておき、該容器で捕集可能な第1のガスの破過を検出することで、該容器におけるガスの飽和状態を判定することができる。これにより、MOFを用いた容器によるガスの捕集において、複数種類の所望のガスをそれぞれ容易に分離でき、かつ飽和状態となるタイミングで効率的に得ることが可能となる。また、直列に接続される各容器において収容されるMOFの捕集能力を、混合ガスに含まれる各物質の物質量の比率に応じて設定することにより、ガス検出器を各ラインのいずれかの容器の下流側に設けておくだけで、検出対象のガスを捕集する容器が飽和状態になった場合に、同時に他の容器においても飽和状態となり得る。よって、効率的に各ガスを回収することが可能となる。
【0046】
<第1変形例>
次に、本実施形態の第1の変形例に係るガス処理システム1’について説明する。図5は、本実施形態の第1の変形例に係るガス処理システム1’のシステム構成例を示す図である。図5に示すガス処理システム1’は、図2に示したガス処理システム1の構成に加え、第1のライン21の第1の容器5A1の入側に、圧力計14が設けられる。圧力計14が設けられる位置は、第1のライン21における容器5A1の入側(上流側)であれば、特に限定されない。
【0047】
圧力計14は、第1のライン21における圧力を計測し得る。例えば、通常は圧力計14は、第1のライン21にガスが流通している場合に、かかるガスの圧力を示しうる。一方で、第1の容器5A1おける状態が、飽和状態となったり漏出が生じたりしている場合は、圧力計14は、通常とは異なる圧力を示しうる。そのため、例えば、制御装置100は、圧力計14から得られる圧力情報に基づいて、第1の容器5A1の状態に関する情報を出力してもよい。具体的には、制御装置100は、圧力計14から得られる圧力情報とTCD11に基づいて得られる検出情報(例えば破過情報)に基づいて、第1の容器5A1の状態に関する情報を出力してもよい。
【0048】
例えば、第1の容器5A1が飽和状態(または飽和に近い状態)であれば、第1のライン21における圧力が上昇し、破過も発生し得る。そこで、制御装置100は、圧力計14に基づいて第1の容器5A1が飽和状態であることに対応する圧力情報が得られ、TCD11に基づいて第1の容器5A1から第1のガスが破過していることを示す破過情報が得られた場合には、第1の容器5A1において第1のガスが飽和している状態であることを示す情報を出力してもよい。
【0049】
一方で、破過が発生しているにも関わらず、圧力計14が第1の容器5A1の飽和状態に対応していない圧力を示している場合(例えば圧力の上昇が見られない場合)は、ガスの吸着速度が遅く、MOFにおいてガスの捕集が十分にできずに、第1の容器5A1において第1のガスが漏出している可能性がある。そこで、制御装置100は、圧力計14に基づいて第1の容器5A1が飽和状態であることに対応していない圧力情報が得られ、TCD11に基づいて第1の容器5A1から第1のガスが破過していることを示す破過情報が得られた場合には、第1の容器5A1において第1のガスが漏出している状態であることを示す情報を出力してもよい。
【0050】
また、第1のガスが破過していないにも関わらず、圧力計14が示す圧力が上昇していることを示している場合は、第1の容器5A1の収容する第1のMOFが目詰まりしていることが考えられる。そこで、制御装置100は、圧力計14に基づいて第1の容器5A1が上昇している圧力情報が得られ、TCD11に基づいて第1の容器5A1から第1のガスが破過していない検出情報が得られた場合には、第1の容器5A1において目詰まりが生じている状態であることを示す情報を出力してもよい。
【0051】
このように、制御装置100は、圧力計14から得られる圧力情報と、TCD11に基づき得られる検出情報とに基づいて、第1の容器5A1の状態(飽和や異常)に関する情報を出力し得る。圧力計14を設けることで、各容器5に収容されるMOFに由来する吸着の状況をより、正確に把握することができる。これにより、第1の容器5A1の状況を正確に把握することができる。なお、圧力計14は、他の容器5の入側に設けることができる。この場合、該容器5の出側にTCDを設けることで、上述の第1の容器5A1と同様に、該容器5の状態に関する情報を得ることができる。なお、TCD11が設けられない場合は、例えば、制御装置100は、圧力計14に基づいて第1の容器5A1が飽和状態であることに対応する圧力情報(例えば、圧力計14が示す圧力が所定の圧力を超えていることを示す情報)が得られた際に、第1の容器5A1において破過が生じている状態であることを示す情報を出力してもよい。すなわち、検出情報(破過情報)は、圧力計から得られる圧力情報であってもよい。また、本変形例における処理は、他の容器5に対しても適用することが可能である。
【0052】
<第2変形例>
次に、本実施形態の第2の変形例に係るガス処理システム1’’について説明する。図6は、本実施形態の第2の変形例に係るガス処理システム1’’のシステム構成例を示す図である。図6に示すガス処理システム1’’は、図2に示したガス処理システム1の構成に加え、第1の容器5A1の出側と、第2の容器5B1の出側の流路の空間に、それぞれTCD11A、11Bが設けられる。すなわち、本変形例では、第2の容器5B1(5B2)の出側にも、TCD11が設けられる。
【0053】
制御装置100は、例えば、TCD11Bに基づく検出情報に基づいて、第2の容器5B1の状態に関する情報を出力してもよい。これにより、第1の容器5A1と同様に、第2の容器5B1にて第2のガスの捕集状況を把握することができる。
【0054】
また、制御装置100は、TCD11Aに基づく検出情報と、TCD11Bに基づく検出情報とに基づいて、混合ガスの流出に関する情報を出力してもよい。容器5ごとに対応するTCD11を設けることによって、それぞれの容器で捕集され得るガスの流出状況を把握することができる。例えば、混合ガスに含まれる有害なガスを各容器にて捕集する場合に、TCD11の夫々において捕集されずに各容器から流出したガスを検出することができる。この場合、制御装置100は、さらに混合ガスが流通しているラインのバルブユニットを閉鎖する制御を行ってもよい。これにより、例えば外部への有害なガス等の漏出の影響を低減することができる。
【0055】
<第3変形例>
次に、本実施形態の第3の変形例に係るガス処理システム1’’’について説明する。図7は、本実施形態の第3の変形例に係るガス処理システム1’’’のシステム構成例を示す図である。図7に示すガス処理システム1’’’は、図2に示したガス処理システム1の構成において、ラインが並列ではなく単独のラインのみで構成されている。このような場合であっても、上記実施形態のガス処理システム1と同様の特定のガスの効率的な捕集を行うことができる。
【0056】
<第4変形例>
次に、本実施形態の第4の変形例に係るガス処理システム1000について説明する。図8は、本実施形態の第4の変形例に係るガス処理システム1000のシステム構成例を示す図である。図8に示すガス処理システム1000は、各ラインにおいて容器5が一つずつ設けられる例である。かかるガス処理システム1000においては、例えば、導入口2Aから導入されるガスは、単独の物質により構成されるガスであってもよいし、上記実施形態に示した混合ガスであってもよい。容器5Aにおいては、導入されたガスを捕集するものであってもよい(つまり導入されたガスのみを捕集し、導出口2Bからは基本的にはガスが流通しない)。また、混合ガスが導入される場合には、混合ガスに含まれる一種類のガスを組成する物質を吸着するMOFが容器5Aに収容されていてもよい。このように、一つのラインで容器5を直列に設けない場合であっても、容器5Aの出側にTCD11を設けることで、上記実施形態に示すように、容器5Aの状況を把握することが可能である。
【0057】
また、上記変形例の他にも、以下のような変形例を上記実施形態に反映させることが可能である。例えば、直列に接続される上流側の容器5に収容されるMOFの孔のサイズは、下流側の容器5に収容されるMOFの孔のサイズよりも大きくてもよい。これにより、ガスに含まれる分子による目詰まりを防ぎやすくなる。また、容器5に収容されるMOFは、粉体に限らず、例えば、打錠されたMOF、ペレット状のMOF、ハニカム母材に含浸、担持されたMOF等であってもよい。流量が大きい場合の圧力損失を考慮して、粉体以外の形態または形状を有するMOFが用いられてもよい。また、例えば、各ラインにおいて直列に接続される容器5が収容するMOFは、同じ種類のMOFであってもよい。すなわち、各容器5が同種類のガスを捕集するような構成であってもよい。これにより、例えば混合ガスのフィルタリング処理においては、フィルタの精度が向上し、フィルタリング能力が向上しうる。また、上述したMFCは、ガス処理システム1における各ラインの上流側だけでなく、各ラインの下流側に設けられていてもよい。この場合、各ラインから流通するガスの流量を測定することができる。そうすると、上流側のMFCから得られるガスの総量と下流側のMFCから得られるガスの総量との差分と、各容器において捕集されるガスの推定量とを比較することで、ガスが各容器で捕集されず流出しているかどうかを検出することができる。また、制御装置100は、TCD11の代わりに、MFCから得られる流量の情報に基づいて容器5の状態を出力してもよい。すなわち、上記実施形態においては、制御装置100は、MFCの流量が所定の流量以下になったかどうかに基づいて破過が生じているかどうかを判定し、出力してもよい。これにより、MFCの流量を用いて容器5の状態を把握することもできる。すなわち、検出情報(破過情報)は、MFC等の流量計から得られる流量に係る情報であってもよい。
【0058】
以上、本実施形態に係るガス処理システムについて説明した。かかるガス処理システムは、例えば混合ガスから所望のガスを効率よく取り出したり、混合ガスを廃棄する際に有害となるガスを除去するために用いられ得る。また、所望のガスを容器にて捕集した後は、かかる容器を持ち運び、捕集されたガスを他の用途等に用いることも可能である。例えば、二酸化炭素を回収可能な容器であれば、かかる容器を炭酸水製造装置等にセットすることにより、炭酸水を容易に製造することができる。また、酸素や水素等を回収可能な容器であれば、産業や個人の各種用途において、これらのガスを活用することができる。かかるガス処理システムは、ガス資源の分離と再利用を実現し、環境負荷の低減に資する。
【0059】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0060】
本明細書において説明した装置は、単独の装置として実現されてもよく、一部または全部がネットワークで接続された複数の装置(例えばクラウドサーバ)等により実現されてもよい。例えば、制御装置100の制御部101およびストレージ103は、互いにネットワークで接続された異なるサーバにより実現されてもよい。制御装置100の機能の全部または一部は、図示しない他の端末において発揮されてもよい。また、ガス処理システム1や容器5等に設けられる各種計測器やセンサから得られる情報は、筐体10の外部に設けられる制御装置100が取得し、制御装置100から各種バルブ等の機器を制御する態様であってもよい。
【0061】
本明細書において説明した装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。本実施形態に係る制御装置100の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、PC等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【0062】
また、本明細書においてフローチャート図を用いて説明した処理は、必ずしも図示された順序で実行されなくてもよい。いくつかの処理ステップは、並列的に実行されてもよい。また、追加的な処理ステップが採用されてもよく、一部の処理ステップが省略されてもよい。
【0063】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0064】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(項目1)
入側から流通される混合ガスに含まれる第1のガスを捕集可能な第1の多孔性金属有機構造体を収容する第1の容器と、
前記第1の容器と直列に流通される前記混合ガスに含まれる第2のガスを捕集可能な第2の多孔性金属有機構造体を収容する第2の容器と、
前記第1の容器の下流側の流路の空間を検出対象として設けられ、前記第1のガスを検出可能な第1のガス検出器と、
前記第1のガス検出器に基づく検出情報に基づいて、少なくとも前記第1の容器の状態に関する情報を出力する制御装置と、
を備えるガス処理システム。
(項目2)
前記検出情報は、前記第1のガスが破過していることを示す破過情報を含み、
前記制御装置は、前記破過情報に基づいて、前記第1の容器の状態に関する情報を出力する、項目1に記載のガス処理システム。
(項目3)
前記第1の容器の上流側に圧力計を備え、
前記制御装置は、前記圧力計から得られる圧力情報と前記破過情報とに基づいて、前記第1の容器の状態に関する情報を出力する、項目2に記載のガス処理システム。
(項目4)
前記制御装置は、前記圧力計から得られる圧力情報が前記第1の容器における第1のガスの飽和状態に対応する情報である場合に、前記第1の容器において前記第1のガスが飽和している状態であることを示す情報を出力する、項目3に記載のガス処理システム。
(項目5)
前記制御装置は、前記圧力計から得られる圧力情報が前記第1の容器における第1のガスの飽和状態に対応していない情報である場合に、前記第1の容器に異常が生じていることを示す情報を出力する、項目3または4に記載のガス処理システム。
(項目6)
前記第1の多孔性金属有機構造体の前記第1の容器における収容量と、前記第2の多孔性金属有機構造体の前記第2の容器における収容量とは、前記混合ガスに含まれる前記第1のガスと前記第2のガスとの構成比に応じて設定される、項目1~5のいずれか1項に記載のガス処理システム。
(項目7)
前記第1のガス検出器は、前記第1の容器と第2の容器との間を流通する流路の空間、および前記第2の容器の下流側の少なくともいずれかに設けられる、
項目1~6のいずれか1項に記載のガス処理システム。
(項目8)
前記制御装置は、少なくとも、前記第1のガス検出器に基づく検出情報と、前記第1のガス検出器とは別に前記第2の容器の下流側に設けられ、前記第2のガスを検出可能な第2のガス検出器に基づく検出情報とに基づいて、前記混合ガスの流出に関する情報を出力する、項目7に記載のガス処理システム。
(項目9)
前記第1の容器を流通する流路に流量計を備え、
前記制御装置は、前記流量計から得られる流量にかかる情報に基づいて、前記第1の容器の状態に関する情報を出力する、項目1~8のいずれか1項に記載のガス処理システム。
(項目10)
入側から流通される混合ガスに含まれる第1のガスを捕集可能な第1の多孔性金属有機構造体を収容する第1の容器と、
前記第1の容器の出側から流通される前記混合ガスに含まれる第2のガスを捕集可能な第2の多孔性金属有機構造体を収容する第2の容器と、
を備え、
前記第1の多孔性金属有機構造体の前記第1の容器における収容量と、前記第2の多孔性金属有機構造体の前記第2の容器における収容量とは、前記混合ガスに含まれる前記第1のガスと前記第2のガスとの構成比に応じて設定される、ガス処理システム。
(項目11)
制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記第1の容器および前記第2の容器を流通するガスの検出情報に基づいて、前記第1の容器および前記第2の容器の少なくともいずれかの状態に関する情報を出力する、項目10に記載のガス処理システム。
(項目12)
前記ガスの検出情報は、前記第1の容器の下流側の流路に設けられるガス検出器により得られる情報を含む、項目11に記載のガス処理システム。
(項目13)
前記ガスの検出情報は、前記第1の容器および前記第2の容器を流通する流路の流量計から得られる流量に係る情報を含む、項目11または12に記載のガス処理システム。
(項目14)
前記ガスの検出情報は、前記第1の容器の上流側に設けられる圧力計から得られる圧力情報を含む、項目11~13のいずれか1項に記載のガス処理システム。
(項目15)
前記第1の容器および前記第2の容器とからなる第1のラインの流路を開閉する第1のバルブユニットをさらに備え、
前記制御装置は、前記検出情報に基づいて前記第1の容器および前記第2の容器の少なくともいずれかが飽和したと判断された場合に、前記第1のバルブユニットを閉鎖状態とする制御を行う、
項目1~9、11~14のいずれか1項に記載のガス処理システム。
(項目16)
前記第1の多孔性金属有機構造体を収容する第3の容器と、
前記第2の多孔性金属有機構造体を収容する第4の容器と、をさらに備え、
前記第3の容器と前記第4の容器とは前記第1の容器および前記第2の容器と並列して設けられる第2のラインを構成し、
前記第2のラインの流路を開閉する第2のバルブユニットをさらに備え、
前記第2のバルブユニットが閉鎖状態であり、前記第1の容器および前記第2の容器の少なくともいずれかが飽和したと判断された場合に、
前記制御装置は、前記第2のバルブユニットを開放状態とする制御を行い、その後前記第1のバルブユニットを閉鎖状態とする制御を行う、項目15に記載のガス処理システム。
(項目17)
前記第1の容器の状態に関する情報は、前記第1の容器において前記第1のガスが飽和している状態であることを示す情報および前記第1の容器に異常が生じていることを示す情報の少なくともいずれかを含む、項目1~16のいずれか1項に記載のガス処理システム。
(項目18)
第1のガスを捕集可能な第1の多孔性金属有機構造体を収容する第1の容器と、
前記第1の容器と直列に流通し、第2のガスを捕集可能な第2の多孔性金属有機構造体を収容する第2の容器と、
を備えるガス処理装置を用いたガス処理方法であって、
前記第1の容器および前記第2のガスのいずれか上流側の容器の入側から、前記第1のガスおよび前記第2のガスを少なくとも含む混合ガスを流通させることと、
第1のガス検出器により、前記第1の容器の下流側の流路の空間において前記第1のガスの流量を測定することと、
制御装置により、前記第1のガス検出器により測定される前記第1のガスの流量に基づき得られる検出情報に基づいて、前記第1の容器の状態に関する情報を出力することと、
を含むガス処理方法。
(項目19)
第1のガスを捕集可能な第1の多孔性金属有機構造体を収容する第1の容器と、
前記第1の容器と流通し、第2のガスを捕集可能な第2の多孔性金属有機構造体を収容する第2の容器と、
を備えるガス処理装置を用いたガス処理方法であって、
前記第1の多孔性金属有機構造体の前記第1の容器における収容量と、前記第2の多孔性金属有機構造体の前記第2の容器における収容量とを、混合ガスに含まれる前記第1のガスと前記第2のガスとの構成比に応じて設定し、
前記第1の容器の入側から、前記混合ガスを流通させる、ガス処理方法。
(項目20)
第1のガスを捕集可能な第1の多孔性金属有機構造体を収容する第1の容器と、
前記第1の容器と直列に流通し、第2のガスを捕集可能な第2の多孔性金属有機構造体を収容する第2の容器と、
を備えるガス処理装置を制御するための制御装置であって、
前記第1の容器の入側から流通される前記第1のガスおよび前記第2のガスを少なくとも含む混合ガスを前記第1の容器に流通させた後に、
前記第1の容器の下流側の流路の空間を検出対象として設けられ、前記第1のガスを検出可能な第1のガス検出器から得られる検出情報に基づいて、前記第1の容器の状態に関する情報を出力する、制御装置。
【符号の説明】
【0065】
1 ガス処理システム
2A 導入口
2B 導出口
4 圧力センサ
5 容器
5A1 第1の容器
5B1 第2の容器
5A2 第3の容器
5B2 第4の容器
6 入側バルブ
7 出側バルブ
8 圧力計
11 TCD
12 MFC
100 制御装置
【要約】
【課題】ガス利用者による負担を軽減しつつ、ガス残量の容易な管理を実現すること。
【解決手段】本開示の一実施形態に係るガス処理システム1は、入側から流通される混合ガスに含まれる第1のガスを捕集可能な第1の多孔性金属有機構造体を収容する第1の容器5A1と、第1の容器5A1と直列に流通される混合ガスに含まれる第2のガスを捕集可能な第2の多孔性金属有機構造体を収容する第2の容器5B1と、第1の容器5A1の下流側の流路の空間を検出対象として設けられ、第1のガスを検出可能な第1のガス検出器(TCD11)と、第1のガス検出器に基づく検出情報に基づいて、少なくとも第1の容器5A1の状態に関する情報を出力する制御装置100と、を備える。
【選択図】図2

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8