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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】液晶表示装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1337 20060101AFI20220401BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20220401BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
G02F1/1337 520
G02F1/1333
G02F1/1368
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2016052649
(22)【出願日】2016-03-16
(65)【公開番号】P2016173572
(43)【公開日】2016-09-29
【審査請求日】2019-03-06
(31)【優先権主張番号】10-2015-0036154
(32)【優先日】2015-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 性 耳
【審査官】近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-026074(JP,A)
【文献】特開2009-092815(JP,A)
【文献】特開2012-173601(JP,A)
【文献】特開2010-107537(JP,A)
【文献】特開2009-150982(JP,A)
【文献】特開2014-126870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1337
G02F 1/1333
G02F 1/1368
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示装置であって、
第1の基板と、
前記第1の基板の上に形成されているゲート線及びデータ線と、
前記ゲート線及びデータ線に接続されている画素電極と、
前記画素電極の上に形成されている配向膜と、
前記第1の基板と向かい合う第2の基板と、
前記第2の基板の上に形成されている共通電極と、
前記配向膜と前記共通電極との間に介在する液晶層と、を備え、
前記共通電極の上には前記配向膜が形成されておらず、
前記配向膜は、前記配向膜の表面に形成されている複数の光重合突起を備え、
前記液晶表示装置は、曲面状であり、前記曲面状の液晶表示装置の曲率の中心は前記第1の基板より前記第2の基板に近く、
前記第2の基板と隣り合う前記液晶層の液晶分子は、前記第1の基板と隣り合う前記液晶層の液晶分子よりも相対的に小さいプレチルト角度を有するように初期配向されることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記曲面状の液晶表示装置の曲率の軸は、前記ゲート線又は前記データ線が伸びている方向のうちの少なくとも一つと平行であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記液晶層内に含まれている紫外線吸収剤を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
相対向する第1の基板及び第2の基板、及び前記第1の基板と前記第2の基板との間に複数の液晶分子が注入されてなる液晶層を含む表示パネルを形成するステップと、
前記第1の基板に向かって紫外線を照射して、前記第1の基板の上に第1の配向膜を形成し、前記第2の基板の上には第2の配向膜を形成しないステップと、
前記表示パネルに外力を印加して前記表示パネルを曲面化するステップと、からなり、
記第1の配向膜は、その表面に形成されている複数の第1の光重合突起を備えるように形成し、
前記曲面化された表示パネルの曲率の中心は、前記第1の基板より前記第2の基板に近く、
前記第1の基板には、ゲート線及びデータ線、及び前記ゲート線及びデータ線に接続されている画素電極が形成され、
前記表示パネルを形成するステップは、前記液晶層に紫外線吸収剤を含むように形成し、
前記第2の基板と隣り合う前記液晶層の液晶分子は、前記第1の基板と隣り合う前記液晶層の液晶分子よりも相対的に小さいプレチルト角度を有するように初期配向され、
前記第1の基板の上に第1の配向膜を形成し、前記第2の基板の上には第2の配向膜を形成しないステップは、前記第1の基板に向かって照射された紫外線が前記紫外線吸収剤により吸収され前記第2の基板に到達しないため前記第2の基板には前記第2の配向膜が形成されないことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記表示パネルを曲面化するステップは、前記曲面化された表示パネルの曲率の軸を前記ゲート線又は前記データ線が伸びている方向のうちの少なくとも一つと平行であるように形成することを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(Liquid Crystal Display)は、現在最も幅広く用いられているフラットパネル表示装置の一つであり、画素電極及び共通電極などの電場生成電極を有する2枚の表示板と、これらの間に挟持されている液晶層と、を備える。
【0003】
液晶表示装置のうち、液晶分子の長軸が基板の表面と垂直になるように配列された垂直配向液晶表示装置は、広視野角を実現できるので、液晶表示装置の応答速度を高めるべく、液晶分子が複数のドメインにおいて互いに異なる方向にプレチルトを有するように初期配向する種々の方法が提案されている。
初期配向方法のうち、紫外線などの光により重合される前重合体を用いて液晶分子にプレチルトを持たせる方法においては、電場生成電極間に所望の大きさの電圧を印加して前重合体を露光する。
【0004】
一方、最近、液晶表示装置は大型化される傾向にあり、視聴者の没入度及び臨場感を高めるために曲面状表示装置が開発されている。
【0005】
このような、特に曲面状の液晶表示装置の初期配向に際して、液晶表示装置の2つの基板の間に誤整列が発生するとき、液晶分子が互いに異なる方向に整列されている複数のドメインの境界部において、液晶分子のプレチルト方向が不規則になり、液晶表示装置の表示品質の低下につながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする技術的な課題は、例えば曲面状の液晶表示装置の初期配向に際して2つの基板の間に誤整列が発生するとき、画素のドメインの境界部において発生する表示品質の低下を防止できる表示装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態による液晶表示装置は、液晶表示装置であって、第1の基板と、前記第1の基板の上に形成されているゲート線及びデータ線と、前記ゲート線及びデータ線に接続されている画素電極と、前記画素電極の上に形成されている配向膜と、前記第1の基板と向かい合う第2の基板と、前記第2の基板の上に形成されている共通電極と、前記配向膜と前記共通電極との間に介在する液晶層と、を備え、前記共通電極の上には前記配向膜が形成されておらず、前記配向膜は、前記配向膜の表面に形成されている複数の光重合突起を備え、前記液晶表示装置は、曲面状であり、前記曲面状の液晶表示装置の曲率の中心は前記第1の基板より前記第2の基板に近く、前記第2の基板と隣り合う前記液晶層の液晶分子は、前記第1の基板と隣り合う前記液晶層の液晶分子よりも相対的に小さいプレチルト角度を有するように初期配向されることを特徴とする。
【0010】
前記曲面状の液晶表示装置の曲率の軸は、前記ゲート線又は前記データ線が伸びている方向のうちの少なくとも一つと平行であることが好ましい。
前記液晶表示装置は、前記液晶層内に含まれている紫外線吸収剤を更に備えることが好ましい。
【0011】
本発明の一実施形態による液晶表示装置の製造方法は、相対向する第1の基板及び第2の基板、及び前記第1の基板と前記第2の基板との間に複数の液晶分子が注入されてなる液晶層を含む表示パネルを形成するステップと、前記第1の基板に向かって紫外線を照射して、前記第1の基板の上に第1の配向膜を形成し、前記第2の基板の上には第2の配向膜を形成しないステップと、前記表示パネルに外力を印加して前記表示パネルを曲面化するステップと、からなり、前記第1の配向膜は、その表面に形成されている複数の第1の光重合突起を備えるように形成し、前記曲面化された表示パネルの曲率の中心は、前記第1の基板より前記第2の基板に近く、前記第1の基板には、ゲート線及びデータ線、及び前記ゲート線及びデータ線に接続されている画素電極が形成され、前記表示パネルを形成するステップは、前記液晶層に紫外線吸収剤を含むように形成し、前記第2の基板と隣り合う前記液晶層の液晶分子は、前記第1の基板と隣り合う前記液晶層の液晶分子よりも相対的に小さいプレチルト角度を有するように初期配向され、前記第1の基板の上に第1の配向膜を形成し、前記第2の基板の上には第2の配向膜を形成しないステップは、前記第1の基板に向かって照射された紫外線が前記紫外線吸収剤により吸収され前記第2の基板に到達しないため前記第2の基板には前記第2の配向膜が形成されないことを特徴とする。
【0013】
前記表示パネルを曲面化するステップは、前記曲面化された表示パネルの曲率の軸を前記ゲート線又は前記データ線が伸びている方向のうちの少なくとも一つと平行であるように形成することが好ましい。
【0015】
本発明の他の一実施形態による液晶表示装置の製造方法は、相対向する第1の基板及び第2の基板、及び前記第1の基板と前記第2の基板との間に注入されており、複数の液晶分子を含む表示パネルを形成するステップと、前記第1の基板に向かって紫外線を照射して、前記第1の基板の上に配向膜を形成するステップと、を含み、前記配向膜を形成するステップにおいて、前記第2の基板の上には前記配向膜が形成されず、前記配向膜の表面には複数の光重合突起を形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の実施形態による表示装置及びその製造方法によれば、初期配向された液晶表示装置において表示パネルの曲げ等によって基板間の誤整列が発生し得る場合であっても、第1配向膜に比べて第2配向膜の液晶分子に対する配向力が低いか又は無いので、液晶分子の配向が第1配向膜に隣接する液晶分子の配向により支配され、画素内のドメインの境界部において発生する表示品質の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態による液晶表示装置の配置図である。
図2図1の液晶表示装置をII-II線に沿って切り取った断面図である。
図3】本発明の一実施形態による液晶表示装置の画素電極の基本電極を示す平面図である。
図4】(A)~(D)は、本発明の一実施形態による液晶表示装置の製造方法を示す図である。
図5】本発明の一実施形態による液晶表示装置の製造方法の追加ステップを示す図である。
図6】本発明の一実施形態による液晶表示装置における液晶の挙動を説明するための図である。
図7】本発明の一実施形態による液晶表示装置における液晶の挙動を説明するための図である。
図8】本発明の他の一実施形態による液晶表示装置の断面図であり、図1のII-II線に沿って切り取った断面図である。
図9】(A)~(D)は、本発明の一実施形態による液晶表示装置の製造方法を示す図である。
図10】本発明の他の一実施形態による液晶表示装置の液晶の挙動を説明するための図である。
図11】本発明の他の一実施形態による液晶表示装置の液晶の挙動を説明するための図である。
図12】(A)、(B)は、本発明の実施形態による液晶表示装置の基板の表面を示す電子顕微鏡写真である。
図13】(A)、Bは、本発明の一実験例の結果を示す電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態の具体例を、添付図面を参照しながら本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明は、ここで説明する実施形態に限定されるものではなく、他の形態に具現化可能である。むしろ、ここで紹介される実施形態は、開示された内容を徹底且つ完全たるものにし、且つ、当業者に本発明の思想を十分に伝えるために提供されるものである。
【0019】
図中、様々な層及び領域の厚さは、明確性を図るために誇張されている。明細書全体に亘って同一又は類似の構成要素に対しては同じ図面符号を付する。また、層、膜、領域、板などの構成部分が他の構成部分の「上」にあるとした場合、それは、他の構成部分の「真上」にある場合だけではなく、これらの間に更に他の構成部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の「直上」にあるとしたときには、これらの間に他の部分がないことを意味する。
【0020】
まず、図1図3に基づいて、本発明の実施形態による液晶表示装置について説明する。
図1は、本発明の実施形態による液晶表示装置の配置図であり、図2は、図1の液晶表示装置をII-II線に沿って切り取った断面図であり、図3は、本発明の一実施形態による液晶表示装置の画素電極の基本電極を示す平面図である。
【0021】
図1図3を参照すると、本発明の実施形態による液晶表示装置は、相対向する第1の表示板100及び第2の表示板200と、これらの2枚の表示板100、200の間に挟持されている液晶層3、及び表示板100、200の外側面に付着されている一対の偏光子(図示せず)を備える。
【0022】
まず、第1の表示板100について説明する。
透明ガラス製又はプラスチック製の第1の基板110の上にゲート線121及び維持電圧線131a、131bを含むゲート導電体が形成されている。
ゲート線121は、第1のゲート電極124a、第2のゲート電極124b、及び第3のゲート電極124cを備える。
維持電圧線131a、131bは、第1の維持電圧線131a及び第2の維持電圧線131bを備える。
第1の維持電圧線131aは、第1の維持電極133a及び第2の維持電極134aを備え、第2の維持電圧線131bは、第3の維持電極133bを備える。
【0023】
ゲート線121及び維持電圧線131a、131bの上にはゲート絶縁膜140が形成されている。
ゲート絶縁膜140の上には、第1の半導体154a、第2の半導体154b、及び第3の半導体154cが形成されている。
半導体154a、154b、154cの上には、複数のオーミックコンタクト部材163a、165a、163b、165b、163c、165cが形成されている。
【0024】
オーミックコンタクト部材163a、165a、163b、165b、163c、165c、及びゲート絶縁膜140の上には、データ線171と、分圧基準電圧線172と、第1のソース電極173a及び第2のソース電極173bと、第1のドレイン電極175aと、第2のドレイン電極175b及び第3のソース電極173cと、第3のドレイン電極175cと、を含むデータ導電体が形成されている。
第1のソース電極173a及び第2のソース電極173bは、データ線171から延出している。
第3のドレイン電極175cは、分圧基準電圧線172から延出する。
【0025】
分圧基準電圧線172はデータ線171と平行に伸びて、第1の維持電極133aと重なり合う第1の縦部72aと、第3の維持電極133bと重なり合う第2の縦部72bと、第1の縦部72a及び第2の縦部72bを互いに接続する第3の縦部72cと、第1の縦部72a及び第3の縦部72cを互いに接続する第1の横部73aと、第2の縦部72b及び第3縦部72cを互いに接続する第2の横部73bと、を備える。
前記データ導電体及びその下に配設される半導体154a、154b、154c、並びにオーミックコンタクト部材163a、165a、163b、165b、163c、165cは、1枚のマスクを用いて同時に形成することが好ましい。
【0026】
第1のゲート電極124a、第1のソース電極173a、及び第1のドレイン電極175aは、第1の半導体154aとともに一つの第1の薄膜トランジスタ(thin film transistor、TFT)Qaをなし、薄膜トランジスタのチャンネルは、第1のソース電極173aと第1のドレイン電極175aとの間の半導体154aに形成される。
同様に、第2のゲート電極124b、第2のソース電極173b、及び第2のドレイン電極175bは、第2の半導体154bとともに一つの第2の薄膜トランジスタQbをなし、チャンネルは第2のソース電極173bと第2のドレイン電極175bとの間の半導体154bに形成される。
第3のゲート電極124c、第3のソース電極173c、及び第3のドレイン電極175cは、第3の半導体154cとともに一つの第3の薄膜トランジスタQcをなし、チャンネルは第3のソース電極173cと第3のドレイン電極175cとの間の半導体154cに形成される。
第2のドレイン電極175bは、第3のソース電極173cに接続されている。
【0027】
前記データ導電体及び半導体154a、154b、154cの露出された部分の上には、第1の保護膜180pが形成されている。第1の保護膜180pは、窒化ケイ素又は酸化ケイ素などの無機絶縁膜を備える。第1の保護膜180pは、カラーフィルタ230の顔料が露出された半導体154a、154b、154cの部分に流入することを防ぐ。
【0028】
第1の保護膜180pの上には、カラーフィルタ230が形成されている。カラーフィルタ230は、隣り合う2本のデータ線に沿って縦方向に伸びている。図示はしないが、第1の表示板100には、遮光部材(図示せず)が形成されている。
また、カラーフィルタ230及び遮光部材のうちの少なくとも一方は、第1の表示板100ではなく、第2の表示板200の上に形成される。
カラーフィルタ230が第2の表示板200の上に形成される場合、第1の保護膜180pの上には有機膜が形成される。
【0029】
カラーフィルタ230の上には、第2の保護膜180qが形成されている。
第2の保護膜180qは、窒化ケイ素又は酸化ケイ素などの無機絶縁膜を備える。第2の保護膜180qは、カラーフィルタ230が浮き上がることを防ぎ、カラーフィルタ230から流入する溶剤などの有機物による液晶層3の汚染を抑えて画面の駆動時に生成される残像などの不良を防ぐ。
第1の保護膜180p及び第2の保護膜180qには、第1のドレイン電極175a及び第2のドレイン電極175bを露出させる第1のコンタクト孔185a及び第2のコンタクト孔185bが形成されている。
【0030】
第2の保護膜180qの上には、複数の画素電極191が形成されている。各画素電極191はゲート線121を間に挟んで互いに分離されて、ゲート線121を中心として列方向に隣り合う第1の副画素電極191a及び第2の副画素電極191bを含む。画素電極191は、インジウムスズ酸化物(ITO)及びインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明物質からなる。画素電極191は、ITO又はIZOなどの透明な導電物質やアルミニウム、銀、クロム又はその合金などの反射性金属により製作される。
【0031】
画素電極191は、図3に示す基本電極199又はその変形を一つ以上備えている。
画素電極191の第1の副画素電極191aの全体的な形状は四角形であり、第1の横幹部192a及び第1の縦幹部193aからなる十字状幹部と、この幹部から延出している複数の微細枝部194と、を備える。
画素電極191の第2の副画素電極191bの全体的な形状は四角形であり、第2の横幹部192b及び第2の縦幹部193bからなる十字状幹部と、この幹部から延出している複数の微細枝部194と、を備える。
【0032】
第1の画素PXAの第1の副画素電極191aの第1の縦幹部193aは、分圧基準電圧線172の第1の縦部72aと重なり合い、第1の画素PXAの第2の副画素電極191bの第2の縦幹部193bは、分圧基準電圧線172の第2の縦部72bと重なり合う。
【0033】
第1の副画素電極191a及び第2の副画素電極191bは、第1のコンタクト孔185a及び第2のコンタクト孔185bを介してそれぞれ第1のドレイン電極175a及び第2のドレイン電極175bと物理的・電気的に接続されており、第1のドレイン電極175a及び第2のドレイン電極175bからデータ電圧が印加される。このとき、第2のドレイン電極175bに印加されたデータ電圧のうちの一部は第3ソース電極173cにより分圧されて、第1の副画素電極191aに印加される電圧の大きさは、第2の副画素電極191bに印加される電圧のそれよりも大きくなる。
【0034】
データ電圧が印加された第1の副画素電極191a及び第2の副画素電極191bは、第2の表示板200の共通電極270と共に電場を生成することにより、2つの電極191(即ち、191a又は191b)、270の間の液晶層3の液晶分子の方向を決定する。このようにして決定された液晶分子の方向に応じて、液晶層3を通過する光の輝度が変わる。
【0035】
第1の基板110の画素電極191の上には、第1の配向膜11が形成されている。第1の配向膜11は光重合物質を含み、光重合物質からなる複数の突起部を備える。
【0036】
次いで、第2の表示板200について説明する。
【0037】
第2の基板210の上に共通電極270が形成されている。第2の基板210の共通電極270の上には第2の配向膜21が形成されている。第2の配向膜21は光重合物質を含み、光重合物質からなる複数の突起部を備える。
第1の配向膜11の厚さは、第2の配向膜21のそれよりも厚い。
【0038】
上述したように、第1の配向膜11及び第2の配向膜21は複数の光重合突起部を備えるが、第1の配向膜11の複数の光重合突起部の大きさ及び密度は、第2の配向膜21の複数の光重合突起部の大きさ及び密度よりも大きい。これにより、第1の配向膜11の厚さは第2の配向膜21のそれよりも厚くなる。
【0039】
液晶層3は、複数の液晶分子31及び紫外線を吸収する複数の粒子35を含む。
液晶分子31は負の誘電率異方性を有し、液晶層3の液晶分子31は、電場がない状態でその長軸が2枚の表示板100、200の表面に対して垂直になるように配列されている。
【0040】
以下、図3に基づいて、本発明の一実施形態による液晶表示装置の基本電極199について説明する。
【0041】
図3に示すように、基本電極199の全体的な形状は四角形であり、横幹部192及びこれと直交する縦幹部193からなる十字状幹部を備える。また、基本電極199は、横幹部192及び縦幹部193により第1の副領域Daと、第2の副領域Dbと、第3の副領域Dc及び第4の副領域Ddに分けられ、各副領域Da、Db、Dc、Ddは、複数の第1の微細枝部194aと、複数の第2の微細枝部194bと、複数の第3の微細枝部194c及び複数の第4の微細枝部194dを備える。
【0042】
第1の微細枝部194aは、横幹部192又は縦幹部193から左上方に向かって斜めに伸びており、第2の微細枝部194bは、横幹部192又は縦幹部193から右上方に向かって斜めに伸びている。また、第3の微細枝部194cは、横幹部193又は縦幹部192から左下方に向かって伸びており、第4の微細枝部194dは、横幹部192又は縦幹部193から右下方に向かって斜めに伸びている。
【0043】
第1乃至第4の微細枝部194a、194b、194c、194dは、ゲート線121a、121b又は横幹部193と略45°又は135°の角度をなす。なお、隣り合う2つの副領域Da、Db、Dc、Ddの微細枝部194a、194b、194c、194dは、互いに直交する。
【0044】
第1の副画素電極191a及び第2の副画素電極191bは、第1のコンタクト孔185a及び第2のコンタクト孔185bを介してそれぞれ第1のドレイン電極175a又は第2のドレイン電極175bと接続されており、第1のドレイン電極175a及び第2のドレイン電極175bからデータ電圧が印加される。このとき、第1乃至第4の微細枝部194a、194b、194c、194dの辺は、電場を歪ませて液晶分子31の傾斜方向を決定する水平成分を生成する。
【0045】
電場の水平成分は、第1乃至第4の微細枝部194a、194b、194c、194dの辺に略平行な方向であり、これにより、液晶分子31は第1乃至第4の微細枝部194a、194b、194c、194dの辺に略直角方向に傾いて互いに衝突して、微細枝部194a、194b、194c、194dの長手方向に平行な方向に傾く。一つの画素電極191は各々、微細枝部194a、194b、194c、194dの長手方向が互いに異なる4つの副領域Da、Db、Dc、Ddを備えるので、第1の画素PXAの液晶分子31が傾く方向は略4方向となり、液晶分子31の配向方向が異なる4つのドメインが液晶層3に形成される。このように液晶分子が傾く方向を多様化してあるので、液晶表示装置の基準視野角が大きくなる。
【0046】
以下、図4(A)~図4(D)に基づいて、本発明の一実施形態による表示装置の製造方法について説明する。
図4(A)~図4(D)は、本発明の一実施形態による表示装置の製造方法を示す図である。
【0047】
まず、図4(A)を参照すると、相対向する第1の表示板100及び第2の表示板200の間に、液晶分子31と、紫外線などの光による重合反応により硬化される単量体などの前重合体33及び紫外線吸収粒子35を含む液晶層3を注入する。前重合体33は、紫外線などの光により重合反応をする反応性メゾゲンである。
【0048】
次いで、図4(B)に示すように、2枚の表示板100、200の間に液晶分子31と、前重合体33及び複数の紫外線吸収粒子35を含む液晶層3が注入されている状態で、第1の表示板100及び第2の表示板200に形成される電極に電圧を印加して液晶層3に電場を生成する。
すると、液晶層3の液晶分子31は、その電場に応答して、図3に基づいて上述したように、2段階に亘って微細枝部194a~194dの長手方向に平行な方向に傾き、一つの画素において液晶分子31が傾く方向は、合計で4方向となる。
このように液晶層3に電場を生成して、ドメイン境界部DBを基準として互いに異なる方向に液晶分子31を配列した状態で、第1の表示板100側から紫外線などの光を照射する。
【0049】
このように、第1の表示板100側から紫外線などの光を照射すると、図4(C)に示すように、第1の表示板100側には紫外線などの光が達するが、入射した紫外線などの光は液晶層3を通りながら紫外線吸収粒子35により少なくとも一部が吸収されて、第2の表示板200まで残りの一部のみが達する。紫外線吸収粒子35の紫外線遮断率は、入射する紫外線の80%以上である。
【0050】
第1の表示板100側から紫外線などの光を照射すると、前重合体33が重合反応をして、図4(D)に示すように、第1の表示板100の表面と隣り合う部分に重合体からなる第1の配向膜11が形成される。第1の配向膜11は光重合物質を含み、第1の配向膜11の表面には複数の第1の光重合突起が形成されている。
また、第2の表示板200の表面と隣り合う部分に重合体からなる第2の配向膜21が形成される。第2の配向膜21は光重合物質を含み、第2の配向膜21の表面には複数の第2の光重合突起が形成されている。
【0051】
このとき、第1の配向膜11は、相対的に多くの紫外線により光重合され、第2の配向膜21は、相対的に少ない紫外線により光重合される。従って、第1の配向膜11の複数の第1の光重合突起の大きさ及び密度は、第2の配向膜21の複数の第2の光重合突起の大きさ及び密度よりも大きく形成される。
【0052】
このとき、相対的に大きさ及び密度が大きい第1の光重合突起を備える第1の配向膜11が形成される第1の表示板100と隣り合う第1の液晶分子31Aは、第1の配向膜11の複数の第1の光重合突起により、液晶層3に電場を加えていない状態でも、互いに異なる4方向にプレチルトをもって配列するように初期配向される。
なお、相対的に大きさ及び密度が小さい第2の光重合突起を備える第2の配向膜21が形成されている第2の表示板200と隣り合う第2の液晶分子31Bは、液晶層3に電場を加えていない状態で、第1の液晶分子31Aに比べて更に小さいプレチルト角度を有するように配列される。
即ち、第1の液晶分子31Aは、第1の表示板100の表面に対して第1のプレチルト角度を有し、第2の液晶分子31Bは、第2の表示板100の表面に対して第2のプレチルト角度を有するように初期配向されるが、第1のプレチルト角度は、第2のプレチルト角度よりも大きい。
【0053】
プレチルト角度は、液晶分子の長手方向の軸と表示パネルの表面に直角な仮想線がなす角度の内の小さい方の角度である。具体的には、液晶分子の小さいプレチルト角度は、液晶分子の長手方向が表示パネルの表面に対して殆ど垂直であることを意味する。
【0054】
このように、第1の表示板100側から光を照射して、照射された紫外線などの光の一部が紫外線吸収粒子35により吸収されて、第2の表示板200まで達せず、第2の表示板200には紫外線の一部のみが達するので、第2の表示板200の第2の配向膜21の厚さは、第1の表示板100の第1の配向膜11のそれよりも薄く、第1の配向膜11が有する第1の光重合突起の大きさ及び密度は、第2の配向膜21が有する第2の光重合突起の大きさ及び密度よりも小さい。従って、第2の表示板200と隣り合う第2の液晶分子31Bは、液晶層3に電場を加えていない状態では、第1の表示板100と隣り合う第1の液晶分子31Aよりも相対的に小さいプレチルト角度を有するように初期配向される、即ち、第2の表示板200の表面と略垂直をなす方向に配列される。
【0055】
以下、図5に基づいて、本発明の一実施形態による表示装置の製造方法の追加ステップについて説明する。
図5は、本発明の一実施形態による表示装置の製造方法の追加ステップを示す図である。
【0056】
図5を参照すると、第1の配向膜11が形成されている第1の表示板100及び第1の配向膜21が形成されている第2の表示板200を形成した後、液晶表示装置に外力を加えて第1の表示板100及び第2の表示板200を、有限の曲率を有するように曲げて曲面化させる。曲率の軸は、上述したゲート線又はデータ線が伸びている方向のうちの少なくとも一つと平行である。
このように、表示装置を、有限の曲率を有するように曲げることにより、曲面状液晶表示装置が形成される。
【0057】
以下、図6及び図7に基づいて、本発明の実施形態による表示装置における液晶の挙動について説明する。図6及び図7は、本発明の実施形態による表示装置における液晶の挙動を説明するための図である。
【0058】
まず、図6を参照すると、本実施形態による液晶表示装置は、画素領域の曲げられていない中央部分に配設される第1の画素PXAと、画素領域の曲げられた両側部の各々に配設される第2の画素PXB及び第3の画素PXCと、を含む。
【0059】
第1の画素PXAと、第2の画素PXB及び第3の画素PXCを含む液晶表示装置の液晶分子31は、第1の基板110に形成されている第1の配向膜11及び第2の基板210に形成されている第2の配向膜21により、ドメイン境界部Dを中心として互いに異なる方向にプレチルトを有するように配向されている。
【0060】
このとき、第1の配向膜11が形成されている第1の基板110と隣り合うように配置されている第1の液晶分子31Aは、ドメイン境界部Dを中心として互いに異なる方向にプレチルトを有するように配向されている。
また、第2の配向膜21が形成されている第2の基板210と隣り合うように配置されている第2の液晶分子31Bは、第2の基板210の表面と略垂直になるように配列されている。即ち、第1の液晶分子31Aのプレチルト角度は、第2の液晶分子31Bのプレチルト角度よりも大きい。
【0061】
このため、実際には、相対的に小さいプレチルト角度を有するように初期配向されている第2の液晶分子31Bは、相対的に大きいプレチルト角度を有するように初期配向されている第1の液晶分子31Aが傾く方向に沿って傾く。
【0062】
液晶表示装置に(表示パネルを曲げるような)外力が印加されると、第1の基板110及び第2の基板210間に誤整列が発生する虞がある。この場合について図7を参照して説明する。
【0063】
図7を参照すると、画素領域の曲げられていない中央部分に配設された第1の画素PXAの場合、第1の基板110及び第2の基板210のドメイン境界部Dを中心として互いに誤整列が発生しないが、画素領域の曲げられた両側部の各々に配設された第2の画素PXB及び第3画素PXCの場合は、第1の基板110の第1のドメイン境界部D1及び第2の基板210の第2のドメイン境界部D2が互いに一致せず、その間の位置Rでは誤整列が発生する虞がある。
【0064】
もし、誤整列位置Rにおいて、第1の基板110と隣り合うように配置されている第1の液晶分子31A及び第2の基板210と隣り合うように配置されている第2の液晶分子31Bが、上述の図5図7に示す場合と相違して、従来技術におけるように、同等に強くプレチルトして配列されるならば、誤整列位置Rにおいては全く互いに異なる方向に配列されることになり、その結果、誤整列位置Rにおける液晶分子31が傾くプレチルト方向が不規則になり、これにより、液晶分子31が傾く方向が不規則になる結果、表示品質が低下する虞がある。
【0065】
しかしながら、上述したように、本発明の実施形態による液晶表示装置によれば、第1の配向膜11が形成されている第1の基板110と隣り合うように配置されている第1の液晶分子31Aは、ドメイン境界部Dを中心として互いに異なる方向にプレチルトを有するように配向されており、第2の配向膜21が形成されている第2の基板210と隣り合うように配置されている第2の液晶分子31Bは、第2の表示板200の表面と略垂直になるように配列されている。
この結果、実際には、誤整列位置Rに配設された第2の液晶分子31Bは、第1の配向膜11によりプレチルトを有するように配列されている第1の液晶分子31Aが配列される方向に沿って傾く。
【0066】
従って、第1の基板110と第2の基板210との間に誤整列が発生しても、誤整列位置Rにおいて発生する液晶分子31の不規則な挙動が防がれる。これにより、液晶分子31の不規則な挙動により発生する表示品質の低下が防がれる。
【0067】
以下、図1とともに、図8及び図9(A)~図9(D)に基づいて、本発明の他の一実施形態による液晶表示装置及びその製造方法について説明する。
【0068】
図8は、本発明の他の一実施形態による液晶表示装置の断面図であり、図1のII-II線に沿って切り取った断面図であり、図9(A)~図9(D)は、本実施形態による表示装置の製造方法を示す図である。
【0069】
まず、図1及び図8を参照すると、本実施形態による液晶表示装置は、図1図3に基づいて上述した実施形態による液晶表示装置と略同様である。なお、同じ構成要素についての具体的な説明は省略する。
【0070】
しかし、本実施形態による液晶表示装置は、図1図3に基づいて説明した上述した実施形態による液晶表示装置とは異なり、第1の基板110の上には第1の配向膜11が形成されているが、第2の基板210の上には配向膜が形成されていない。
第1の配向膜11は光重合物質を含み、光重合物質からなる複数の突起部を備える。
【0071】
次いで、図9(A)~図9(D)を参照すると、本実施形態による液晶表示装置の製造方法は、図4(A)~図4(D)に基づいて上述した実施形態による液晶表示装置と略同様である。なお、同じ構成要素についての具体的な説明は省略する。
【0072】
図9(A)を参照すると、相対向する第1の表示板100及び第2の表示板200の間に、液晶分子31と、紫外線などの光による重合反応により硬化される単量体などの前重合体33及び紫外線吸収粒子35を含む液晶層3を注入する。
【0073】
図9(B)を参照すると、2つの表示板100、200の間に液晶分子31と、前重合体33及び複数の紫外線吸収粒子35を含む液晶層3が注入されている状態で、第1の表示板100及び第2の表示板200に形成される電極に電圧を印加し、液晶層3に電場を生成する。
すると、液晶層3の液晶分子31は、その電場に応答して、図3に基づいて上述したように、2段階に亘って微細枝部194a~194dの長手方向に平行な方向に傾き、一つの画素において液晶分子31が傾く方向は、合計で4方向となる。
このように、液晶層3に電場を生成して、ドメイン境界部DBを基準に互いに異なる方向に液晶分子31を配列した状態で、第1の表示板100側から紫外線などの光を照射する。
【0074】
このように、第1の表示板100側から紫外線などの光を照射すると、図9(C)に示すように、第1の表示板100側には紫外線などの光が達するが、入射した紫外線などの光は、液晶層3を通りながら紫外線吸収粒子35により吸収されて、第2の表示板200に略、到達しなくなる。紫外線吸収粒子35の紫外線遮断率は、入射する紫外線の80%以上である。
【0075】
第1の表示板100側から紫外線などの光を照射すると、前重合体33が重合反応をして、図9(D)に示すように、第1の表示板100の表面と隣り合う部分に重合体からなる第1の配向膜11が形成される。第1の配向膜11は光重合物質を含み、第1の配向膜11の表面には複数の光重合突起が形成されている。
【0076】
このとき、第1の配向膜11が形成される第1の表示板100と隣り合う第1の液晶分子31Aは、液晶層3に電場を加えていない状態でも互いに異なる4方向にプレチルトをもって配列するように初期配向される。これに対し、紫外線吸収粒子35により紫外線が略、到達せず、配向膜が形成されていない第2の表示板200と隣り合う第2の液晶分子31Bは、液晶層3に電場を加えていない状態で、第2の表示板200の表面と略垂直になる方向に配列される。
【0077】
このように、第1の表示板100側から光を照射して、照射された紫外線などの光が紫外線吸収粒子35により吸収されて、第2の表示板200まで略、到達しないので、第2の表示板200には光重合物質を含む配向膜が形成されない。このため、第2の表示板200と隣り合う第2の液晶分子31Bは、液晶層3に電場を加えていない状態で、第2の表示板200の表面と略垂直になる方向に配列される。
【0078】
以下、図10及び図11に基づいて、本発明の他の一実施形態による表示装置における液晶の挙動について説明する。図10及び図11は、本発明の他の一実施形態による表示装置における液晶の挙動を説明するための図である。
【0079】
図10を参照すると、画素領域の中央部分に配設される第1の画素PXAと、画素領域の曲げられた両端部の各々に配設される第2の画素PXB及び第3画素PXCと、を含む液晶表示装置の液晶分子31は、第1の基板110に形成されている第1の配向膜11により、ドメイン境界部Dを中心として互いに異なる方向にプレチルトを有するように配向されている。
【0080】
このとき、第1の配向膜11が形成されている第1の基板110と隣り合うように配置されている第1の液晶分子31Aは、ドメイン境界部Dを中心として互いに異なる方向にプレチルトを有するように配向されており、配向膜が形成されていない第2の基板210と隣り合うように配置されている第2の液晶分子31Bは、第2の表示板200の表面と略垂直になるように配列されており、実際には、第2の液晶分子31Bは、第1の液晶分子31Aが傾く方向に沿って傾く。
【0081】
図11を参照すると、液晶表示装置に外力が印加されて第1の基板110及び第2の基板210間に誤整列が発生する場合について説明する。
【0082】
図11を参照すると、第1の画素PXAの場合、第1の基板110及び第2の基板210のドメイン境界部Dを中心として互いに誤整列が発生しないが、第2の画素PXB及び第3画素PXCの場合は、第1の基板110の第1のドメイン境界部D1及び第2の基板210の第2のドメイン境界部D2は互いに一致せず、その間の位置Rでは誤整列が発生する虞がある。
【0083】
第1の配向膜11が形成されている第1の基板110と隣り合うように配置されている第1の液晶分子31Aは、ドメイン境界部Dを中心として互いに異なる方向にプレチルトを有するように配向されており、配向膜が形成されていない第2の基板210と隣り合うように配置されている第2の液晶分子31Bは、第2の表示板200の表面と略垂直になるように配列されている。この結果、実際には、誤整列位置Rに配設された第2の液晶分子31Bは、第1の配向膜11によりプレチルトを有するように配列されている第1の液晶分子31Aが配列される方向に沿って動く。
【0084】
従って、第1の基板110と第2の基板210との間に誤整列が発生しても、誤整列位置Rにおいて発生する液晶分子31の不規則な挙動が防がれる。これにより、液晶分子31の不規則な挙動により発生する表示品質の低下が防がれる。
【0085】
以下、図12(A)及び図12(B)に基づいて、本発明の実施形態による液晶表示装置の実験例について説明する。図12(A)及び図12(B)は、本発明の実験例による基板の表面を示す電子顕微鏡写真である。
【0086】
本発明の実験例においては、本発明の実施形態による液晶表示装置の製造方法により液晶表示装置を形成した後、形成された液晶表示装置の第1の表示板100及び第2の表示板200の表面の電子顕微鏡写真を図12(A)及び図12(B)に示す。図12(A)は、第1の表示板100の表面を示し、図12(B)は、第2の表示板200の表面を示す。
【0087】
図12(A)を参照すると、第1の表示板100の表面には、複数の光重合突起を備える第1の配向膜11が形成されていることが分かり、図12(B)を参照すると、第2の表示板200には相対的に大きさ及び密度の小さい光重合突起が形成されていることが分かる。
【0088】
このように、液晶層3内に紫外線吸収粒子35を含めた後、第1の表示板100側から紫外線などの光を照射すると、照射された光のうちの少なくとも一部が紫外線吸収粒子35により吸収されて、第2の表示板200には吸収され切れずに残った紫外線吸収粒子35のみが達して、第2の表示板200の表面には相対的に大きさ及び密度の小さい光重合物質を含む配向膜が形成されることが分かる。
【0089】
以下、図13(A)及び図13(B)に基づいて、本発明の他の一実験例について説明する。図13(A)及び図13(B)は、本発明の他の一実験例の結果を示す電子顕微鏡写真である。
【0090】
ここでは、既存の液晶表示装置のように、第1の表示板100及び第2の表示板200の両方ともに同じ光重合突起を備える配向膜を形成した第1の場合(比較例)と、本発明の実施形態による液晶表示装置のように、画素電極191が形成されている第1の表示板100には相対的に大きさ及び密度の大きい光重合突起を備える第1の配向膜11を形成し、共通電極が形成されている第2の表示板200には相対的に大きさ及び密度の小さい光重合突起を備える第2の配向膜21を形成した第2の場合(本実験例)に対して、液晶表示装置に外力を印加して(表示パネルを曲げることに相当)第1の表示板100及び第2の表示板200の間に誤整列を発生させた後、3つの画素の透過率結果を測定して、その結果を図13(A)及び図13(B)に示す。
図13(A)は、第1の場合の結果を示し、図13(B)は、第2の場合の結果を示す。
【0091】
図13(A)を参照すると、既存の液晶表示装置のように、第1の表示板100及び第2の表示板200の両方ともに同じ光重合突起を備える配向膜を形成した第1の場合、ドメインの境界部近くの誤整列領域において透過率が低下することが分かる。
【0092】
一方、図13(B)を参照すると、本発明の実施形態による液晶表示装置のように、画素電極191が形成されている第1の表示板100には相対的に大きさ及び密度の大きい光重合突起を備える第1の配向膜11を形成し、共通電極270が形成されている第2の表示板200には相対的に大きさ及び密度の小さい光重合突起を備える第2の配向膜21を形成した第2の場合、ドメインの境界部近くの誤整列領域においても透過率が低下しないことが分かる。
【0093】
このように、本発明の実施形態による液晶表示装置及びその製造方法によれば、画素電極191が形成されている第1の表示板100には相対的に大きさ及び密度の大きい光重合突起を備える第1の配向膜11を形成し、共通電極270が形成されている第2の表示板200には相対的に大きさ及び密度の小さい光重合突起を備える第2の配向膜21を形成するか、或いは、第2の配向膜21を形成しないことにより、誤整列領域においても第2の表示板200と隣り合うように配置されている液晶分子も第1の表示板100と隣り合うように配置されている液晶分子が傾く方向に沿って傾くため、ドメインの境界部近くの誤整列領域においても透過率が低下しないことが分かる。
【0094】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれらに限定されるものではなく、下記の特許請求の範囲において定義している基本概念を用いた当業者の色々な変形及び改良形態もまた本発明の権利範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0095】
3 液晶層
11、21 第1、第2配向膜
31、31A、31B 液晶分子
33 前重合体
35 紫外線吸収粒子
72a、72b、72c (分圧基準電圧線の)第1、第2、第3縦部
73a、73b (分圧基準電圧線の)第1、第2横部
100、200 第1、第2表示板
110、210 第1、第2基板
121、121a、121b ゲート線
124a、124b、124c 第1、第2、第3ゲート電極
131a、131b 第1、第2維持電圧線
133a、133b、133c 第1、第2、第3維持電極
140 ゲート絶縁膜
154a、154b、154c 第1、第2、第3半導体
163a、165a、163b、165b、163c、165c オーミックコンタクト部材
171 データ線
172 分圧基準電圧線
173a、173b、173c ソース電極
175a、175b、175c ドレイン電極
180p、180q 第1、第2保護膜
185a、185b 第1、第2コンタクト孔
191 画素電極
191a、191b 第1、第2副画素電極、
192、192a、192b 横幹部
193、193a、193b 縦幹部
194、194a、194b、194c、194d 微細枝部
199 (画素電極の)基本電極
230 カラーフィルタ
270 共通電極
Da、Db、Dc、Dd 副領域
PXA、PXB、PXC 画素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13