(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】追従式台車および台車
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20220401BHJP
【FI】
G05D1/02 S
(21)【出願番号】P 2017114962
(22)【出願日】2017-06-12
【審査請求日】2020-05-28
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】関原 弦
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 聡
(72)【発明者】
【氏名】松戸 正士
(72)【発明者】
【氏名】レ・クオク・ズン
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-073093(JP,A)
【文献】特開2004-005366(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00-1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷台および前記荷台を移動させる移動機構を有する台車本体と、追従対象物に追従して移動するよう前記移動機構を制御する移動制御部と、を備える追従式台車であって、
前記台車本体および前記荷台に積載された積載物の存在範囲のうち前記荷台からはみ出した積載物の存在範囲を検出する検出部と、
前記台車本体および前記はみ出した積載物の存在範囲に基づいて、前記台車本体または前記積載物への障害物の接触可能性を判定する判定部と、
前記台車本体または前記積載物への障害物の接触可能性がある場合、前記移動機構の停止または作業者への報知の少なくともいずれかを行う接触防止制御部と、
を備え
、
前記検出部が前記荷台の少なくとも左右側板の外面に設けられ、前記はみ出した積載物の存在範囲を検出する、
ことを特徴とする追従式台車。
【請求項2】
前記検出部は、前記台車本体の移動中に逐次前記はみ出した積載物の存在範囲を検出し、
前記判定部は、前記はみ出した積載物の存在範囲が変化した場合には、変化後の前記はみ出した積載物の存在範囲に基づいて前記接触可能性を判定する、
ことを特徴とする請求項1記載の追従式台車。
【請求項3】
前記接触防止制御部は、前記台車本体の移動中に前記はみ出した積載物の存在範囲が所定範囲以上変化した場合、前記移動機構の停止または作業者への報知の少なくともいずれかを行う、
ことを特徴とする請求項2記載の追従式台車。
【請求項4】
前記移動機構はクローラである、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の追従式台車。
【請求項5】
前記荷台を昇降させる昇降機構を更に備える、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の追従式台車。
【請求項6】
前記積載物を積み下ろし可能なロボットアームを更に備える、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の追従式台車。
【請求項7】
前記検出部は前記荷台の左右側板および後側板の外面に設けられたカメラを含み、少なくとも天井方向および地面方向を含めた画像撮影を行い、画像解析により前記はみ出した積載物の存在範囲を検出する、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の追従式台車。
【請求項8】
荷台および前記荷台を移動させる移動機構を有する台車本体と、前記移動機構を制御する移動制御部と、を備える台車であって、
前記台車本体および前記荷台に積載された積載物の存在範囲のうち前記荷台からはみ出した積載物の存在範囲を検出する検出部と、
前記台車本体および前記はみ出した積載物の存在範囲に基づいて、前記台車本体または前記積載物への障害物の接触可能性を判定する判定部と、
前記台車本体または前記積載物への障害物の接触可能性がある場合、前記移動機構の停止または作業者への報知の少なくともいずれかを行う接触防止制御部と、
を備え
、
前記検出部が前記荷台の少なくとも左右側板の外面に設けられ、前記はみ出した積載物の存在範囲を検出する、
ことを特徴とする台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、追従対象物に追従して移動する追従式台車および台車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業者や他の台車などの追従対象物に追従して自動的に移動する追従式台車が開発されている。
例えば、下記特許文献1には、台車に取り付けられる受光器と、追従対象に取り付けられて、その追従対象を特定するための所定の発光パターンで発光する発光器と、上記受光器で受光した発光パターンを識別することにより追従対象を識別し、その追従対象を追従するよう移動制御を行う制御手段とを備えた自動追従式台車が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的な追従式台車には、周囲の障害物を検知して、障害物と接触する可能性がある場合に移動を停止する接触防止機構が搭載されている。このような接触防止機構では、台車本体を基準として、台車本体と障害物との距離が所定値以下となった場合に接触可能性があると判断している。
ここで、建設現場などで使用される追従式台車には、建設資材などの荷台からはみ出すような大きな物品が積載される場合がある。従来技術における接触防止機構では、荷台からはみ出した積載物が周囲の障害物に接触するのを回避することができず、改善の余地がある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、自動走行可能な追従式台車および台車において、大型積載物の積載時にも周囲の障害物との接触を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、請求項1の発明にかかる追従式台車は、荷台および前記荷台を移動させる移動機構を有する台車本体と、追従対象物に追従して移動するよう前記移動機構を制御する移動制御部と、を備える追従式台車であって、前記台車本体および前記荷台に積載された積載物の存在範囲のうち前記荷台からはみ出した積載物の存在範囲を検出する検出部と、前記台車本体および前記はみ出した積載物の存在範囲に基づいて、前記台車本体または前記積載物への障害物の接触可能性を判定する判定部と、前記台車本体または前記積載物への障害物の接触可能性がある場合、前記移動機構の停止または作業者への報知の少なくともいずれかを行う接触防止制御部と、を備え、前記検出部が前記荷台の少なくとも左右側板の外面に設けられ、前記はみ出した積載物の存在範囲を検出する、ことを特徴とする。
請求項2の発明にかかる追従式台車は、前記検出部は、前記台車本体の移動中に逐次前記はみ出した積載物の存在範囲を検出し、前記判定部は、前記はみ出した積載物の存在範囲が変化した場合には、変化後の前記はみ出した積載物の存在範囲に基づいて前記接触可能性を判定する、ことを特徴とする。
請求項3の発明にかかる追従式台車は、前記接触防止制御部は、前記台車本体の移動中に前記はみ出した積載物の存在範囲が所定範囲以上変化した場合、前記移動機構の停止または作業者への報知の少なくともいずれかを行う、ことを特徴とする。
請求項4の発明にかかる追従式台車は、前記移動機構はクローラである、ことを特徴とする。
請求項5の発明にかかる追従式台車は、前記荷台を昇降させる昇降機構を更に備える、ことを特徴とする。
請求項6の発明にかかる追従式台車は、前記積載物を積み下ろし可能なロボットアームを更に備える、ことを特徴とする。
請求項7の発明にかかる追従式台車は、前記検出部は前記荷台の左右側板および後側板の外面に設けられたカメラを含み、少なくとも天井方向および地面方向を含めた画像撮影を行い、画像解析により前記はみ出した積載物の存在範囲を検出する、ことを特徴とする。
請求項8の発明にかかる台車は、荷台および前記荷台を移動させる移動機構を有する台車本体と、前記移動機構を制御する移動制御部と、を備える台車であって、前記台車本体および前記荷台に積載された積載物の存在範囲のうち前記荷台からはみ出した積載物の存在範囲を検出する検出部と、前記台車本体および前記はみ出した積載物の存在範囲に基づいて、前記台車本体または前記積載物への障害物の接触可能性を判定する判定部と、前記台車本体または前記積載物への障害物の接触可能性がある場合、前記移動機構の停止または作業者への報知の少なくともいずれかを行う接触防止制御部と、を備え、前記検出部が前記荷台の少なくとも左右側板の外面に設けられ、前記はみ出した積載物の存在範囲を検出する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、台車本体のみならず、積載物への障害物の接触可能性がある場合に、移動機構の停止または作業者への報知の少なくともいずれかを行うので、建設資材などの荷台からはみ出すような大きな積載物を積載した際にも積載物が周囲の障害物に接触するのを回避する上で有利となる。
請求項2の発明によれば、台車本体の移動中に逐次積載物の存在範囲を検出し、接触可能性を判定するので、移動中の振動などにより積載物の存在範囲(位置)が変化した場合でも障害物に接触するのを回避する上で有利となる。
請求項3の発明によれば、台車本体の移動中に積載物の存在範囲が所定範囲以上変化した場合にも、移動機構の停止または作業者への報知の少なくともいずれかを行うので、積載物の落下や破損等を防止することができ、積載物を搬送する際の安全性をより向上させる上で有利となる。
請求項4の発明によれば、移動機構がクローラであるので、不整地や段差が多い環境でも安定して移動する上で有利となる。
請求項5の発明によれば、荷台を昇降させる昇降機構を備えるので、積載物を高所に搬送したり、高所における作業を容易にする上で有利となる。
請求項6の発明によれば、積載物を積み下ろし可能なロボットアームを備えるので、積載物の積み下ろしの補助の他、積載物の組み立てや取り付け等の作業を容易にする上で有利となる。
請求項7の発明によれば、荷台上の積載物のはみ出し量を画像解析により把握することができ、積載物が周囲の障害物に接触するのを回避する上で有利となる。
請求項8の発明によれば、台車本体のみならず、積載物への障害物の接触可能性がある場合に、移動機構の停止または作業者への報知の少なくともいずれかを行うので、建設資材などの荷台からはみ出すような大きな積載物を積載した際にも積載物が周囲の障害物に接触するのを回避する上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態にかかる追従式台車10の外観図である。
【
図2】追従式台車10の移動態様を示す説明図である。
【
図3】追従式台車10の機能的構成を示すブロック図である。
【
図4】追従式台車10の移動態様を示す説明図である。
【
図5】追従式台車10の他の形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる追従式台車の好適な実施の形態を詳細に説明する。
図1は、実施の形態にかかる追従式台車10の外観図であり、
図1Aは側面視図、
図1Bは正面視図、
図1Cは上面視図である。追従式台車10が前進する際は、矢印F方向に走行するものとする。また、本実施の形態では、追従式台車10は、建設現場等、不整地や段差が多い環境で主に使用されるものとする。
【0009】
追従式台車10は、荷台12および荷台12を移動させる移動機構30を有する台車本体11と、追従対象物に追従して移動するよう移動機構30を制御する移動制御部42(
図3参照)とを備える。
荷台12は、底板13と、底板13から垂直に起立する側板14(右側板14A、左側板14B、後側板14C、前側板14D)、側板14と一体に設けられた手すり16(右手すり16A、左手すり16B、後手すり16C)、前側板14Dの端部から地面と平行方向に延びるセンサ台板18を備えている。
各側板14は、荷台12に荷物を積載した際に、荷物の落下を防止するあおり板として機能する。あおり板を設けることにより、荷台12の左右幅または前後幅よりも大きい荷物を積載することができる。
【0010】
移動機構30は、ベルト32と、回転輪34とを備えたクローラである。移動機構30としてクローラを用いることによって、不整地や段差が多い環境でも安定して走行することができる。本実施の形態では、追従式台車10には図示しないバッテリおよびモータが搭載されており、電力でクローラを駆動するものとする。
なお、本実施の形態では移動機構30をクローラとしたが、例えばキャスター等、従来公知の様々な移動機構を採用することができる。
【0011】
センサ台板18上には、追従センサ20およびカメラ22Dが設置されている。
追従センサ20は、例えば作業者や他の台車などの追従対象物に設置された発振器からの信号(電波や光など)を受信して、追従対象物までの距離および方向を検知する。
また、追従センサ20を設けずにカメラ22Dの撮影画像を用いて追従対象物までの距離および方向を検知してもよい。
【0012】
また、右側板14A、左側板14B、後側板14Cの外面(底板13に面していない方の面)には、カメラ22A、22B、22Cが設置されている。
センサ台板18に設置されたカメラ22Dを含むカメラ22A~22Dは、例えば180°以上の画角を有する広角カメラであり、それぞれ追従式台車10の周囲を撮影する。例えば、右側板14Aに設置されたカメラ22Aは、右側板14Aから外側の様子を上面(天井)方向および下面(地面)方向を含めて画像を撮影する。また、センサ台板18に設置されたカメラ22Dは、追従式台車10の進行方向である前方向、荷台12が位置する後方向を含めて画像を撮影する。
カメラ22A~22Dの撮影画像を用いて、追従式台車10と周辺の障害物との距離や、荷台12上の積載物の位置(存在範囲)を把握することができる。
【0013】
なお、追従式台車10は、
図5に示すように、荷台12を昇降させる昇降機構60や積載物を積み下ろし可能なロボットアーム(多軸ロボットアーム)62を更に備えていてもよい。
図5では、荷台12の底板13が昇降機構60により高さ方向に移動可能となっており、高所へのアクセスおよび高所での作業が容易となっている。また、底板13にロボットアーム62が固定されており、積載物の積み下ろしの補助の他、積載物の組み立てや取り付け等の作業を補助することができる。
【0014】
図3は、追従式台車10の機能的構成を示すブロック図である。
追従式台車10は、上述したに台車本体11(荷台12および移動機構30)、追従センサ20、カメラ22(22A~22D)の他、制御部40を備えている。
制御部40は、CPU、制御プログラム等を格納・記憶するROM、制御プログラムの作動領域としてのRAM、周辺回路等とのインターフェースをとるインターフェース部などを含んで構成される。
【0015】
制御部40は上記CPUが上記制御プログラムを実行することにより、移動制御部42、検出部44、判定部46、接触防止制御部48として機能する。
移動制御部42は、追従対象物に追従して移動するよう移動機構30を制御する。移動制御部42は、例えば追従センサ20で検知された追従対象物までの距離および方向に基づいて、追従対象物と一定距離を保ちながら、追従対象物の移動軌跡と同じ経路を追従式台車10が走行するよう移動機構30を駆動させる。
例えば
図2Aでは、1台の追従式台車10が作業者Wを追従対象物として走行している。また、例えば
図2Bでは、複数の追従式台車10が直列になり走行している。この場合、先頭の追従式台車10Aは作業者Wを追従対象物としているが、2番目および3番目の追従式台車10B,10Cは、それぞれ前方の追従式台車10A,10Bを追従対象物としている。また、1つの追従対象物(例えば作業者)を複数の追従式台車10で同時に追従させることにより、複数の追従式台車10を並列に走行させることも可能である。
このように、複数台の追従式台車10を連動させることができるので、必要に応じて積載物の運搬量を変更することができ、効率性を向上させることができる。
【0016】
検出部44は、台車本体11および荷台12に積載された積載物の存在範囲を検出する。
検出部44は、例えばカメラ22A~22Dの撮影画像を解析して、台車本体11および荷台12に積載された積載物の存在範囲、特に荷台12からはみ出した積載物の存在範囲を検出する。
検出部44は、台車本体11の移動中に逐次積載物の存在範囲を検出する。これは、上述のように、追従式台車10の使用環境は、建設現場等、不整地や段差が多い環境であり、移動中の振動により積載物の存在範囲が変化する可能性があるためである。
【0017】
判定部46は、台車本体11および積載物の存在範囲に基づいて、台車本体11または積載物への障害物の接触可能性を判定する。
判定部46は、例えばカメラ22A~22Dの撮影画像を解析して、台車本体11の周辺に位置する障害物を検出するとともに、障害物と台車本体11との距離、または障害物と積載物との距離が所定値以下となるか否かを判断する。そして、台車本体11または積載物と障害物との距離が所定値以下となる場合には、障害物との接触可能性があると判定する。
なお、判定部46は、台車本体11の移動中に積載物の存在範囲が変化した場合には、変化後の積載物の存在範囲に基づいて接触可能性を判定する。
また、判定部46は、例えばカメラ22A~22Dの撮影画像に基づいて障害物との接触回避動作が可能か否かを判断し、接触回避動作が不可の場合に接触可能性があると判定してもよい。例えば、一方の側面側(例えば進行方向左側)に障害物との接触可能性がある際に、他方の側面側(例えば進行方向右側)に移動可能か(障害物がないか)判断する。そして、他方の側面側に移動可能な場合には接触回避動作(他方の側面側への移動)を行うように移動制御部42を制御するとともに、移動不可な場合には接触可能性があると判定する。
【0018】
接触防止制御部48は、台車本体11または積載物への障害物の接触可能性がある場合、移動機構30の停止または作業者への報知の少なくともいずれかを行う。移動機構30の停止により、台車本体11または積載物と障害物との接触を回避することができる。また、作業者への報知により、移動経路の再設定の検討などが可能となる。
また、接触防止制御部48は、台車本体11の移動中に積載物の存在範囲が所定範囲以上変化した場合、移動機構30の停止または作業者への報知の少なくともいずれかを行うようにしてもよい。台車本体11の移動中に積載物の存在範囲が大きく変化した場合、積載物の落下等が生じる可能性がある。移動機構30の停止または作業者への報知を行うことにより、積載物の状態の確認を促し、積載物を搬送する際の安全性をより向上させることができる。
【0019】
図4は、追従式台車10の移動態様を示す説明図である。
図4Aでは、追従式台車10は、荷台12から側方にはみ出さない大きさの荷物M1を積載している。このため、追従式台車10全体(台車本体11+積載物)の存在範囲の外縁は台車本体11の側面位置D1,D2となる。
ここで、追従式台車10前方の左右に柱P1,P2(障害物)があり、追従対象者が柱P1,P2間を通過する経路を移動した場合、判定部46は、追従式台車10の存在範囲の外縁である台車本体11の側面位置D1,D2と柱P1,P2との間の距離が所定値LX以下となるか否かを判断する。
図4Aの場合には、台車本体11の側面位置D1,D2と柱P1,P2との間の距離の最小値はL1,L2となる。L1,L2>LXとすると、判定部46は障害物との接触可能性はないと判断し、そのまま追従式台車10の移動が継続される。
【0020】
一方、
図4Bでは、追従式台車10は、荷台12から側方(図面左側)にはみ出す大きさの荷物M2を積載している。このため、追従式台車10全体(台車本体11+積載物)の存在範囲の外縁は荷物M2の端部位置D3および台車本体11の右側側面位置D2となる。
追従式台車10がこのまま直進した場合、最終的には荷物M2の端部位置D3と柱P1との距離が0となる、すなわち、荷物M2と柱P1が衝突する。判定部46は、荷物M2の端部位置D3と柱P1との距離が所定値LX以下となることが予測される時点で、障害物との接触可能性があると判断し、接触防止制御部48は、移動機構30を停止させる。
【0021】
また、
図4Cは、
図4Bにおける積載位置から一部の荷物M2’が移動している様子を示している。より詳細には、
図4Cでは、5本ある柱状の荷物M2のうち、最後尾に位置するM2’が振動などの影響により
図4Bにおける積載位置よりも距離L3ほど後方にずれている。このずれ距離L3が所定範囲LY以上である場合、接触防止制御部48は、移動機構30の停止や作業者への報知などを行う。
【0022】
以上説明したように、実施の形態にかかる追従式台車10は、台車本体11のみならず、積載物への障害物の接触可能性がある場合に、移動機構30の停止または作業者への報知の少なくともいずれかを行うので、建設資材などの荷台からはみ出すような大きな積載物を積載した際にも積載物が周囲の障害物に接触するのを回避する上で有利となる。
また、追従式台車10は、台車本体11の移動中に逐次積載物の存在範囲を検出し、接触可能性を判定するので、移動中の振動などにより積載物の存在範囲(位置)が変化した場合でも障害物に接触するのを回避する上で有利となる。
また、追従式台車10は、台車本体11の移動中に積載物の存在範囲が所定範囲以上変化した場合にも、移動機構30の停止または作業者への報知の少なくともいずれかを行うので、積載物の落下や破損等を防止することができ、積載物を搬送する際の安全性をより向上させる上で有利となる。
【符号の説明】
【0023】
10 追従式台車
11 台車本体
12 荷台
13 底板
14(14A-14D) 側板
16(16A-16C) 手すり
18 センサ台板
20 追従センサ
22(22A-22D) カメラ
30 移動機構
40 制御部
42 移動制御部
44 検出部
46 判定部
48 接触防止制御部