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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】回転伝達機構およびダンパ装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 37/12 20060101AFI20220401BHJP
   F16H 27/02 20060101ALI20220401BHJP
   F16H 27/08 20060101ALI20220401BHJP
   F16H 25/16 20060101ALI20220401BHJP
   F16H 1/16 20060101ALI20220401BHJP
   F16H 1/06 20060101ALI20220401BHJP
   F25D 17/08 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
F16H37/12 Z
F16H27/02 Z
F16H27/08
F16H25/16 A
F16H1/16 Z
F16H1/06
F25D17/08 313
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2017183715
(22)【出願日】2017-09-25
(65)【公開番号】P2019060364
(43)【公開日】2019-04-18
【審査請求日】2020-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】岩下 浩之
(72)【発明者】
【氏名】横江 悟
【審査官】長清 吉範
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-130915(JP,A)
【文献】特開平9-318225(JP,A)
【文献】特開昭64-28471(JP,A)
【文献】特開2007-232237(JP,A)
【文献】特開2010-78044(JP,A)
【文献】特開平11-98765(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第0821184(EP,A1)
【文献】特開平10-306970(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0320053(US,A1)
【文献】特開平10-122723(JP,A)
【文献】特開2015-61393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 37/12
F16H 27/02
F16H 27/08
F16H 25/16
F16H 1/16
F16H 1/06
F25D 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源からの動力を伝達する回転伝達機構であって、
駆動車および従動車を含む複数の回転伝達部材と、前記従動車を前記駆動源の動力による回転方向と逆方向に付勢する付勢部材と、回転負荷を発生させるブレーキ部材と、を有し、
前記駆動車と前記従動車は、前記駆動車の回転を前記従動車に伝達する噛合い部を備え、
前記駆動車は、前記噛合い部が噛み合わない回転位置で前記噛合い部の前記従動車側の部位が摺動するカム面形成部を備え、
前記ブレーキ部材は、前記駆動源の動力を伝達する動力伝達経路において、前記従動車より前記動力伝達経路の上流側に配置される前記回転伝達部材に回転負荷を加えることを特徴とする回転伝達機構。
【請求項2】
前記駆動源はモータであり、
前記複数の回転伝達部材は、前記モータの出力軸に連結されたウォームを含み、
前記ブレーキ部材は、前記ウォームより前記動力伝達経路の下流側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の回転伝達機構。
【請求項3】
前記複数の回転伝達部材は、前記ウォームと噛合う1番歯車、および、前記動力伝達経路において前記1番歯車と前記駆動車との間に配置される2番歯車を備え、
前記ブレーキ部材は、前記2番歯車に回転負荷を加えることを特徴とする請求項2に記載の回転伝達機構。
【請求項4】
前記ブレーキ部材は弾性部材であることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の回転伝達機構。
【請求項5】
前記ブレーキ部材は、前記複数の回転伝達部材のうち、回転負荷が加えられる被負荷部材の回転軸線方向の一方側もしくは他方側の端面に接触することを特徴とする請求項4に記載の回転伝達機構。
【請求項6】
前記ブレーキ部材は、バネワッシャーであることを特徴とする請求項5に記載の回転伝達機構。
【請求項7】
前記カム面形成部は、複数のカム面を備え、
前記噛合い部の前記従動車側の部位は、前記駆動車の回転に伴い、前記複数のカム面に対して順に摺動することを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の回転伝達機構。
【請求項8】
前記駆動車と前記従動車は、前記噛合い部を複数備え、
前記複数の噛合い部は、前記駆動車および前記従動車の回転軸線方向で異なる位置に形成されていることを特徴とする請求項7に記載の回転伝達機構。
【請求項9】
前記駆動車には、前記駆動車の外周面において階段状に配置される複数の駆動歯が設けられ、
前記従動車には、前記駆動車の回転に伴って前記複数の駆動歯と順に噛み合う複数の従動歯が前記従動車の外周面に階段状に設けられ、
前記噛合い部は、前記駆動歯と前記従動歯の対によって構成されていることを特徴とする請求項8に記載の回転伝達機構。
【請求項10】
前記複数のカム面は、周方向の一方側から他方側に向かって外径が縮小しており、且つ
、周方向で隣り合うカム面は、当該カム面の外径の周方向での減少率が異なることを特徴とする請求項7から9のいずれか一項に記載の回転伝達機構。
【請求項11】
前記従動車は、前記従動車の回転軸線方向から見て扇型であることを特徴とする請求項1から10の何れか一項に記載の回転伝達機構。
【請求項12】
請求項1から11の何れか一項に記載の前記回転伝達機構を備えたダンパ装置であって、
開口部が形成されたフレームと、
前記駆動車を駆動するモータと、
前記従動車の回転が伝達されて前記開口部を開閉するバッフルと、
を有することを特徴とするダンパ装置。
【請求項13】
前記モータは、前記駆動車を一方側に駆動させる回転駆動力のみを出力可能であることを特徴とする請求項12に記載のダンパ装置。
【請求項14】
前記付勢部材は、前記バッフルを前記開口部に対する開方向あるいは閉方向に付勢することにより、前記バッフルを介して前記従動車を付勢することを特徴とする請求項12または13に記載のダンパ装置。
【請求項15】
前記複数の回転伝達部材を回転可能に支持する回転支持部が設けられたケースを備え、
前記ブレーキ部材は、前記ケースと前記複数の回転伝達部材との間の少なくとも1箇所に配置されることを特徴とする請求項12から14の何れか一項に記載のダンパ装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動車の回転を従動車に伝達する回転伝達機構およびダンパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫の冷気通路等に用いられるダンパ装置は、例えば、モータおよび輪列を備えたバッフル駆動機構によってバッフルを駆動してフレームに形成された開口部を開閉する。特許文献1には、この種のダンパ装置が開示されている。特許文献1のダンパ装置は、モータを回転させてバッフルを開方向に駆動する。また、モータを逆回転させてバッフルを閉方向に駆動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-306970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のダンパ装置等において、モータを双方向に回転させる場合、制御回路や駆動回路が複雑になるため、コストが増大してしまう。そこで、本願出願人は、モータの1方向の回転に基づきバッフルを開閉するダンパ装置を出願した。例えば、特願2017-104121のダンパ装置は、モータの回転をバッフルに伝達する回転伝達機構として、駆動歯が階段状に形成された駆動車と、従動歯が階段状に形成された従動車を備える。従動車はバッフルを閉方向に付勢するばねを介して付勢されており、駆動車は、従動歯が摺動するカム面を備える。従って、バッフルを開く際は、階段状に形成された従動歯と駆動歯が順に噛み合って駆動車の回転が従動車に伝達され、ばねの付勢力に逆らってバッフルおよび従動車を回転させる。一方、駆動歯と従動歯の噛み合いが終わる位置まで回転すると、その後は、従動歯が駆動車のカム面に摺動するので、ばねの付勢力により、バッフルが閉じる方向に従動車が回転する。従って、モータの1方向の回転によってバッフルを開閉することができる。
【0005】
特願2017-104121の回転伝達機構は、複数の従動歯が順次カム面に摺動する際に回転速度が変化する。ここで、従動車は、カム面に摺動する従動歯が切り換わる際に回転速度が変化する。そして、駆動車は、従動車を付勢するばねの付勢力に抗して回っているため、カム面に接触する従動歯が切り換わる際、駆動車の回転に乱れが生じる。例えば、駆動車が瞬間的に逆回転するような動きが起こる。そして、この動きが駆動車から駆動力の伝達経路の上流側に伝達されてノイズが発生する。例えば、最も上流側に位置するウォームが軸方向にぶれるように取り付けられている際には、駆動車の回転の乱れが伝達されるとウォームが軸方向にぶれて軸方向の両側の部品と衝突し、衝突音が発生する。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、駆動車と従動車が複数の噛合い部を備えるとともに、付勢部材によって駆動車による駆動方向と逆方向に従動車を付勢した回転駆動機構において、駆動車と従動車との接触箇所が切り換わる際の回転速度の変化に起因するノイズを低減させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、駆動源からの動力を伝達する回転伝達機構であって、駆動車および従動車を含む複数の回転伝達部材と、前記従動車を前記駆動源の動力による回転方向と逆方向に付勢する付勢部材と、回転負荷を発生させるブレーキ部材と、を有し、前記駆動車と前記従動車は、前記駆動車の回転を前記従動車に伝達する噛合い部を備え、前記駆動車は、前記噛合い部が噛み合わない回転位置で前記噛合い部の前記従動車側の部位が摺動するカム面形成部を備え、前記ブレーキ部材は、前記駆動源の動力を伝達する動力伝達経路において、前記従動車より前記動力伝達経路の上流側に配置される前記回転伝達部材に回転負荷を加えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、駆動車と従動車は、噛合い部を備えるとともに、駆動車は、噛合い部の従動車側の部位が摺動するカム面形成部を備える。従って、噛合い部が噛み合う回転位置では、駆動車から従動車に回転が伝達される。また、噛合いが外れた回転位置では、従動車側の噛合い部が駆動車のカム面形成部に摺動するので、従動車は、付勢部材の付勢力により、駆動車から回転が伝達される際とは逆方向に回転する。従って、一方側の回転のみを供給する駆動源を用いて、従動車を往復回転させることができる。また、このような駆動車および従動車は、従来、駆動車と従動車とが接触する部位が切り換わる際に、駆動車の回転に乱れが生じることがあったが、本発明では、従動車より動力伝達経路の上流側に配置される回転伝達部材に、回転負荷を発生させるブレーキ部材が配置されている。これにより、動力伝達経路の途中で回転の乱れが駆動源側に伝達されることを抑制できる。従って、駆動車の回転の乱れに起因するノイズを抑制できる。
【0009】
本発明において、前記駆動源はモータであり、前記複数の回転伝達部材が、前記モータの出力軸に連結されたウォームを含む場合には、前記ブレーキ部材は、前記ウォームより前記動力伝達経路の下流側に設けられていればよい。このようにすると、ウォームに回転の乱れが伝達されることを抑制できる。従って、ウォームが軸方向にぶれて軸方向の両側の部品と衝突することによるノイズ(ウォームの叩き音)を抑制できる。また、ウォームに近い上流側の回転伝達部材は回転トルクが小さいため、必要な回転負荷が小さい。従って、ウォームの近くにブレーキ部材を設けることにより、ブレーキ部材を小型化することができる。
【0010】
本発明において、前記複数の回転伝達部材が、前記ウォームと噛合う1番歯車、および、前記動力伝達経路において前記1番歯車と前記駆動車との間に配置される2番歯車を備える場合には、前記ブレーキ部材は、前記2番歯車に回転負荷を加えるように構成することが好ましい。このようにすると、駆動車に回転負荷を加える場合よりも必要な回転負荷が小さい。従って、駆動車に回転負荷を加える場合よりもブレーキ部材を小型化することができる。
【0011】
本発明において、前記ブレーキ部材は弾性部材であることが好ましい。このようにすると、回転伝達部材とブレーキ部材とを容易に接触させて回転負荷を加えることができる。また、回転伝達部材のガタつきを解消できる。
【0012】
本発明において、前記ブレーキ部材は、前記複数の回転伝達部材のうち、回転負荷が加えられる被負荷部材の回転軸線方向の一方側もしくは他方側の端面に接触することが好ましい。このようにすると、回転伝達部材の回転軸線方向のガタつきを解消できる。また、回転伝達部材の回転軸線方向の一方側あるいは他方側にブレーキ部材を配置する場合には、回転伝達機構の平面配置を変更する必要がない。従って、ブレーキ部材を追加するための設計変更を少なくすることができる。
【0013】
例えば、前記ブレーキ部材は、バネワッシャーであることが好ましい。このようにすると、回転伝達部材の取付け時にバネワッシャーを同時に取り付ければよいため、ブレーキ部材を簡単に組み込むことができる。
【0014】
本発明において、前記カム面形成部は、複数のカム面を備え、前記噛合い部の前記従動
車側の部位は、前記駆動車の回転に伴い、前記複数のカム面に対して順に摺動する。このようにすると、従動車と接触するカム面が順に切り換わる際に、駆動車の回転に乱れが生じたとしても、駆動車の回転の乱れが駆動源側に伝達されることを抑制できる。
【0015】
本発明において、前記駆動車と前記従動車は、前記噛合い部を複数備え、前記複数の噛合い部は、前記駆動車および前記従動車の回転軸線方向で異なる位置に形成されている。このようにすると、複数の噛合い部を順次噛み合わせて従動車を駆動し、その後、駆動車と従動車との噛合いが外れると、付勢部材の付勢力によって、複数の噛合い部の従動車側の部位をそれぞれ対応するカム面に摺動させながら従動車を逆方向に回転させることができる。従って、一方側の回転のみを供給する駆動源を用いて、従動車を往復回転させることができる。
【0016】
本発明において、前記駆動車には、前記駆動車の外周面において階段状に配置される複数の駆動歯が設けられ、前記従動車には、前記駆動車の回転に伴って前記複数の駆動歯と順に噛み合う複数の従動歯が前記従動車の外周面に階段状に設けられ、前記噛合い部は、前記駆動歯と前記従動歯の対によって構成されている態様を採用することができる。このようにすると、駆動歯と従動歯とを順次噛み合わせて従動車を駆動し、その後、駆動歯と従動歯との噛み合いが外れると、付勢部材の付勢力によって従動車を逆方向に回転させることができる。従って、一方側の回転のみを供給する駆動源を用いて、従動車を往復回転させることができる。
【0017】
本発明において、前記複数のカム面は、周方向の一方側から他方側に向かって外径が縮小しており、且つ、周方向で隣り合うカム面は、当該カム面の外径の周方向での減少率が異なる態様を採用することができる。このようにすると、付勢部材の付勢力によって従動車を回転させる際、従動歯と摺動するカム面が順次切り換わるのに応じて従動車の回転速度を変化させることができる。従って、例えば、最初はゆっくり従動車を回転させ、次第に回転速度を上げることができる。また、このような速度変化を付けた場合でも、従動車の回転速度が変化する際の駆動車の回転の乱れに起因するノイズを抑制できる。
【0018】
本発明において、前記従動車は、前記従動車の回転軸線方向から見て扇型である。本発明では、従動車は噛合い部が形成されている部分が駆動車に対して往復回転すればよいので、扇型に形成することで無駄な部分を省略できる。従って、従動車を小型化し、省スペース化を図ることができる。
【0019】
次に、本発明は、上記の回転伝達機構を備えたダンパ装置であって、開口部が形成されたフレームと、前記駆動車を駆動するモータと、前記従動車の回転が伝達されて前記開口部を開閉するバッフルと、を有することを特徴とする。このように、本発明の回転伝達機構を用いることにより、バッフルが閉じる際の速度に変化を付けた場合でも、駆動車と従動車とが接触する箇所が切り換わることに起因するノイズを抑制することができる。
【0020】
本発明において、前記モータは、前記駆動車を一方側に駆動させる回転駆動力のみを出力可能である構成を採用することができる。これにより、安価なモータを用いてバッフルにより開口部を開閉することができる。
【0021】
本発明において、前記付勢部材は、前記バッフルを前記開口部に対する開方向あるいは閉方向に付勢することにより、前記バッフルを介して前記従動車を付勢する態様を採用することができる。このようにすると、付勢部材を回転伝達機構に組み込む必要がないので、回転伝達機構を小型化することができる。また、バッフルまわりの空きスペースを利用して付勢部材を設けることができる。
【0022】
本発明において、前記複数の回転伝達部材を回転可能に支持する回転支持部が設けられたケースを備え、前記ブレーキ部材は、前記ケースと前記複数の回転伝達部材との間の少なくとも1箇所に配置されることが好ましい。このようにすると、ケースに回転伝達部材を組み付ける際にブレーキ部材を組み込むことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、駆動車と従動車は、複数の噛合い部を備えるとともに、駆動車は、噛合い部の従動車側の部位が摺動するカム面形成部を備える。従って、噛合い部が噛み合う回転位置では、駆動車から従動車に回転が伝達される。また、噛合いが外れた回転位置では、従動車側の噛合い部が駆動車のカム面形成部に摺動するので、従動車は、付勢部材の付勢力により、駆動車から回転が伝達される際とは逆方向に回転する。従って、一方側の回転のみを供給する駆動源を用いて、従動車を往復回転させることができる。また、このような駆動車および従動車は、従来、駆動車と従動車とが接触する部位が切り換わる際に、駆動車の回転に乱れが生じることがあったが、本発明では、従動車より動力伝達経路の上流側で駆動車を含む範囲に、回転負荷を発生させるブレーキ部材が配置されている。これにより、動力伝達経路の途中で回転の乱れが駆動源側に伝達されることを抑制できる。従って、駆動車の回転の乱れに起因するノイズを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明を適用したダンパ装置の斜視図である。
図2】フレームを省略したダンパ装置の分解斜視図である。
図3】カバーおよびバッフル駆動機構の平面図である。
図4】バッフル、回転伝達機構、および位置検出器の斜視図である。
図5】駆動車および従動車をカム面形成部の側から見た斜視図である。
図6】駆動車および従動車を駆動歯および従動歯の側から見た斜視図である。
図7】駆動車および従動車の平面的な構成を示す説明図である。
図8】駆動車の角度位置とバッフルの開度との関係を示す説明図である。
図9】ブレーキ部材の取付構造の説明図である。
図10】カバー、リード線、位置検出器、モータおよびウォームの平面図である。
図11】ブレーキ部材の変形例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明を適用した回転伝達機構および冷蔵庫用のダンパ装置について説明する。なお、本発明のダンパ装置は冷蔵庫用に限定されるものではなく、流体の取り入れ口を開閉して流量を調節する各種の装置に用いることができる。
【0026】
(全体構成)
図1は本発明を適用したダンパ装置1の斜視図であり、図2はフレーム2を省略したダンパ装置1の分解斜視図である。本明細書において、符号Lはバッフル4の回転中心軸線である。また、第1軸線L1はバッフル4を駆動するバッフル駆動機構5の駆動車6の回転中心軸線であり、第2軸線L2は従動車7の回転中心軸線である。また、回転中心軸線Lに沿う方向をX方向とし、回転中心軸線Lに対して交差する方向(冷気の流れる方向)をZ方向とし、X方向およびZ方向と交差する方向をY方向とする。また、X方向の一方側をX1とし、X方向の他方側をX2とし、Y方向の一方側をY1とし、Y方向の他方側をY2とし、Z方向の一方側をZ1とし、Z方向の他方側をZ2とする。
【0027】
図1および図2に示すように、ダンパ装置1は全体としてX方向に長い直方体状であり、矩形の開口部20が形成されたフレーム2と、開口部20を開閉するためのバッフル4と、バッフル4を駆動するバッフル駆動機構5を備える。フレーム2の長手方向(X方向)の一端側には、バッフル駆動機構5を収容するカバー3が取り付けられている。フレー
ム2およびカバー3は樹脂製である。フレーム2は、Z方向の両側に開口する長方形断面の筒部21を備えており、筒部21の長手方向の一方側(X1方向)には、筒部21の内側とバッフル駆動機構5が配置される空間とを仕切る隔壁22が一体に形成されている。カバー3は、図示しないフック機構によってフレーム2に係合される。
【0028】
筒部21の内側には、Z方向およびY方向に対して斜めに傾いた斜めに傾いた枠状のシール部23が形成され、シール部23の内側が開口部20になっている。筒部21の内側において、バッフル4は、X方向に延在する回転中心軸線L周りに回転可能にフレーム2に支持されている。図1に示す状態で、バッフル4は、シール部23と当接し、開口部20を塞いだ閉姿勢4Aになっている。この状態から、バッフル駆動機構5がバッフル4を回転中心軸線L周りの一方側LCWに回転駆動してバッフル4をシール部23から離間させると、バッフル4は、開口部20を開放した開姿勢4Bとなる。
【0029】
本形態において、バッフル4は、開口部20よりサイズが大きな開閉板41と、開閉板41の開口部20側の面に貼り付けられた発泡ポリウレタン等からなるシート状の弾性部材42(図2参照)とを有しており、弾性部材42が開口部20の周り(シール部23)に当接して開口部20を塞ぐ。冷気は、開口部20に対してバッフル4が配置されている側(Z方向の一方側Z1)とは反対側(Z方向の他方側Z2)から開口部20を通ってZ方向の一方側Z1に流れる。あるいは、冷気は、開口部20に対してバッフル4が配置されている側(Z方向の一方側Z1)から開口部20を通ってZ方向の他方側Z2に流れる場合もある。
【0030】
(バッフル駆動機構)
図3はカバー3およびバッフル駆動機構5の平面図である。図2および図3に示すように、バッフル駆動機構5は、モータ50と、モータ50の回転をバッフル4に伝達するための回転伝達機構55を備える。ダンパ装置1は、バッフル4を回転させるギアードモータ1Aを備えており、ギアードモータ1Aは、カバー3と隔壁22との間にバッフル駆動機構5を収容し、リード線59を接続して構成されている。すなわち、本形態において、フレーム2の隔壁22とカバー3は、バッフル駆動機構5を収容するケースを構成する。回転伝達機構55は、モータ50の出力軸51に形成されたウォーム52と、ウォーム52と噛み合うウォームホイール56と、ウォームホイール56に形成された小径歯車561と噛み合う大径歯車571を備えた複合歯車57と、複合歯車57の小径歯車572を介して、複合歯車57の回転が伝達される下流側回転伝達機構10とを有しており、下流側回転伝達機構10からバッフル4に回転が伝達される。
【0031】
モータ50としては各種モータを用いることができる。本形態においては、モータ50としてDCモータが用いられているため、制御が容易である。モータ50は、モータ軸線周りの一方方向の回転のみを出力する。本形態において、モータ50は、バッフル4を回転中心軸線L周りの一方側LCW(開方向)に回転させる方向のみに回転する。すなわち、モータ50は、後述する駆動車6を第1軸線L1周りの一方側L1CCWに駆動させる回転駆動力のみを出力する。
【0032】
図2図3に示すように、下流側回転伝達機構10は、バッフル4の回転中心軸線Lと平行にX方向に延在する第1軸線L1周りの一方側L1CCWに回転する駆動車6と、駆動車6によって第1軸線L1と平行な第2軸線L2周りの一方側L2CWに回転駆動される従動車7と、従動車7を第2軸線L2周りの他方側L2CCWに付勢する付勢部材である付勢部材8とを有する。また、下流側回転伝達機構10は、駆動車6または従動車7(バッフル4)の角度位置を監視する位置検出器9を備える。
【0033】
本形態において、従動車7は、バッフル4に連結される。従って、従動車7の回転中心
軸線(第2軸線L2)は、バッフル4の回転中心軸線Lと一致している。下流側回転伝達機構10において、駆動車6が第1軸線L1周りの一方側L1CCWに回転すると、従動車7が第2軸線L2周りの一方側L2CWに回転し、バッフル4が回転中心軸線L周りの一方側LCWに回転するので、バッフル4は開姿勢4Bとなる。これに対して、駆動車6が第1軸線L1周りの一方側L1CCWに回転しても、駆動車6による従動車7の回転駆動が停止すると、従動車7は、付勢部材8の付勢力によって第2軸線L2周りの他方側L2CCWに回転する。従って、バッフル4は、回転中心軸線L周りの他方側LCCWに回転し、閉姿勢4Aとなり、それ以上の回転中心軸線L周りの他方側LCCWの回転は、フレーム2に設けられたストッパ等によって阻止される。
【0034】
図1図2に示すように、付勢部材8は、バッフル4とフレーム2との間に配置される。付勢部材8はねじりコイルばねであり、コイル部81と、コイル部81の軸線方向の両端から異なる方向に延びた直線状の端部82、83を備える。付勢部材8は、一方の端部82が筒部21の内面に設けられた係合部(図示省略)に保持され、他方の端部83がバッフル4の開閉板41の背面側(弾性部材42とは反対側)に設けられた係合部43に保持されている。付勢部材8は、バッフル4を回転中心軸線L回りの他方側LCCW(閉方向)に付勢することによって、従動車7を第2軸線L2回りの他方側L2CCWに付勢している。
【0035】
図4はバッフル4、下流側回転伝達機構10、および位置検出器9の斜視図である。図2図4に示すように、従動車7は、バッフル4を連結するための軸部75を備える。軸部75は、フレーム2の隔壁22を貫通する貫通部を経由して筒部21の内側に突出し、バッフル4と連結される。バッフル4の回転中心軸線L側の縁には、回転中心軸線L方向の両端に軸部45、46が形成されている。軸部75は、一方側の軸部45に形成された嵌合凹部451(図4参照)と嵌合する。他方側の軸部46の先端には、円柱状の凸部461(図2参照)が形成されている。凸部461は、フレーム2の筒部21に形成された保持孔(図示省略)に回転可能に保持される。
【0036】
(ブレーキ部材)
回転伝達機構55は、モータ50の動力をバッフル4に伝達する動力伝達経路を構成する複数の回転伝達部材として、ウォーム52およびウォームホイール56(1番歯車)と、複合歯車57(2番歯車)と、駆動車6および従動車7を備える。また、回転伝達機構55は、従動車7より動力伝達経路の上流側に設けられた回転伝達部材に回転負荷を発生させるブレーキ部材53を備える。図2図3に示すように、本形態では、ブレーキ部材53はバネワッシャーであり、複合歯車57とフレーム2の隔壁22との間に配置されている。ブレーキ部材53の詳細は後述する。
【0037】
(駆動車および従動車)
図5は駆動車6および従動車7をカム面形成部670の側から見た斜視図であり、図6は駆動車6および従動車7を駆動歯66および従動歯76の側から見た斜視図である。また、図7は駆動車6および従動車7の平面的な構成を示す説明図であり、図7(a)はバッフル4が閉姿勢4Aである状態を示し、図7(b)はバッフル4が開姿勢4Bである状態を示す。
【0038】
図5図6に示すように、駆動車6は、外周面に歯車610が形成された円盤部61と、円盤部61の中央から第1軸線L1方向の一方側L1aに突出した円柱状の第1胴部62と、第1胴部62の中央から第1軸線L1方向の一方側L1aに突出した円柱状の第2胴部63と、第2胴部63の中央から第1軸線L1方向の一方側L1aに突出した円柱状の軸部64とを有する。また、駆動車6は、円盤部61の中央から第1軸線L1方向の他方側L1bに突出した軸部65(図2図3参照)を備えており、かかる軸部64、65
がフレーム2の隔壁22に回転可能に支持されている。図2図3に示すように、駆動車6に形成された歯車610は、複合歯車57の小径歯車572と噛み合っている。
【0039】
駆動車6には、従動車7を第2軸線L2周りの一方側L2CWに回転駆動する複数の駆動歯66が周方向に配置された駆動歯形成部660と、従動車7が付勢部材8による付勢力によって第2軸線L2周りの他方側L2CCWに回転する際に従動車7が摺動するカム面形成部670とが周方向で隣り合うように設けられている。
【0040】
これに対して、従動車7には、駆動車6が第1軸線L1周りの一方側L1CCWに回転した際に駆動歯66が順に当接する複数の従動歯76が周方向に配置された従動歯形成部760が設けられている。本形態において、従動車7は扇形歯車であり、外周面によって、従動歯形成部760が構成されている。従動車7において、扇形の中心には、第2軸線L2方向の一方側L2aに突出した軸部74と、第2軸線L2方向の他方側L2bに突出した軸部75とが形成されており、かかる軸部74、75がフレーム2の隔壁22に回転可能に支持されている。
【0041】
駆動車6では、複数の駆動歯66が各々、第1軸線L1方向の異なる位置に配置されており、第1軸線L1方向に沿って多段に形成されている。かかる構成に対応して、複数の従動歯76は各々、第2軸線L2方向の異なる位置に設けられており、第2軸線L2方向に沿って多段に形成されている。
【0042】
下流側回転伝達機構10は、駆動車6が第1軸線L1線周りの一方側L1CCWに回転すると、駆動歯66が従動歯76を介して従動車7を第2軸線L2周りの一方側L2CWに駆動し、その後、駆動歯66と従動歯76との噛み合いが解除されると、従動車7は、付勢部材8の付勢力によって第2軸線L2周りの他方側L2CCWに回転する。その際、従動車7は、駆動車6に設けられたカム面形成部670を摺動する。従って、駆動車6の第1軸線L1周りの一方側L1CCWのみに回転させた場合でも、従動車7を第2軸線L2周りの一方側L2CWに回転駆動することができるとともに、従動車7を第2軸線L2周りの他方側L2CCWに回転させることができる。
【0043】
(駆動車)
図6に示すように、駆動車6には、計4つの駆動歯66(第1駆動歯661、第2駆動歯662、第3駆動歯663、および第4駆動歯664)が第1軸線L1方向に沿って多段に形成されている。4つの駆動歯66は各々、第1軸線L1方向の各位置に1つずつ形成されており、第1軸線L1方向からみたとき、4つの駆動歯66は等角度間隔に形成されている(図7参照)。
【0044】
4つの駆動歯66のうち、第1軸線L1方向の最も一方側L1aに形成された第1駆動歯661は、第1軸線L1周りの最も他方側L1CWに配置されており、第1駆動歯661に対して第1軸線L1周りの一方側L1CCWに沿って第2駆動歯662、第3駆動歯663、および第4駆動歯664が順に配置されている。従って、4つの駆動歯66のうち、第1軸線L1方向の最も他方側L1bに形成された第4駆動歯664は、第1軸線L1周りの最も一方側L1CCWに位置する。つまり、本形態では、4つの駆動歯66は、第1軸線L1方向の一方側L1aに位置する駆動歯66が第1軸線L1方向の他方側L1bに位置する駆動歯66より第1軸線L1周りの他方側L1CWに位置する。
【0045】
ここで、駆動車6は、第1軸線L1周りの一方側L1CCWに回転した際のみ、駆動歯66が従動車7を駆動する。このため、4つの駆動歯66は、図7に示すように、第1軸線L1周りの一方側L1CCWの面が、インボリュート曲線をもつ歯面になっており、4つの駆動歯66の径方向外側の端部(歯先)から第1軸線L1周りの他方側L1CWは、
4つの駆動歯66の径方向外側の端部から連続して延在する円周面になっている(図6参照)。
【0046】
本形態では、4つの駆動歯66のうち、第2駆動歯662、第3駆動歯663、および第4駆動歯664の第1軸線L1周りの一方側L1CCWの面は、単純なインボリュート曲線をもつ歯面になっている。これに対して、第1駆動歯661の第1軸線L1周りの一方側L1CCWの面は、インボリュート曲線を基本にして径方向外側の端部の曲率半径を大きくしてある。このため、後述する動作を行った際、全開位置手前から全開位置への移行をスムーズに行うことができる。また、力の掛かる方向が急激に変化しないので、瞬間の衝撃音等を小さくすることができる。
【0047】
(従動車)
図6に示すように、従動車7には、計4つの従動歯76(第1従動歯761、第2従動歯762、第3従動歯763、および第4従動歯764)が第2軸線L2方向に沿って多段に形成されている。4つの従動歯76(第1従動歯761、第2従動歯762、第3従動歯763、および第4従動歯764)は各々、4つの駆動歯66(第1駆動歯661、第2駆動歯662、第3駆動歯663、および第4駆動歯664)と対応する位置に形成されている。4つの従動歯76は各々、第2軸線L2方向の各位置に1つずつ形成されており、第2軸線L2方向からみたとき、4つの従動歯76は等角度間隔に形成されている(図7参照)。
【0048】
4つの従動歯76のうち、第2軸線L2方向の最も一方側L2aに形成された第1従動歯761は、第2軸線L2周りの最も他方側L2CCWに配置されており、第1従動歯761から第2軸線L2周りの一方側L2CWに向かって第2従動歯762、第3従動歯763、および第4従動歯764が順に配置されている。従って、4つの従動歯76のうち、第2軸線L2方向の最も他方側L2bに形成された第4従動歯764は、第2軸線L2周りの最も一方側L2CWに位置する。それ故、複数の従動歯76では、第2軸線L2方向の一方側L2aに位置する従動歯76が第2軸線L2方向の他方側L2bに位置する従動歯76より第2軸線L2周りの他方側L2CCWに位置する。
【0049】
ここで、従動歯76は、第2軸線L2周りの他方側L2CCWからのみ駆動歯66が当接する。このため、4つの従動歯76は、第2軸線L2周りの他方側L2CCWの面が、インボリュート曲線をもつ歯面になっており、4つの従動歯76の径方向外側の端部(歯先)から第2軸線L2周りの一方側L2CWは、4つの従動歯76の径方向外側の端部から連続して延在する円周面になっている(図6参照)。
【0050】
また、従動車7の従動歯形成部760には、複数の従動歯76より第2軸線L2周りの一方側L2CWに、駆動車6が第1軸線L1線周りの一方側L1CCWに回転した際に駆動歯66が当接しない最終従動歯765が複数の従動歯76よりも第2軸線L2方向の他方側L2bに設けられている。
【0051】
ここで、4つの従動歯76(第1従動歯761、第2従動歯762、第3従動歯763、および第4従動歯764)の各ピッチは等しい。これに対して、第2軸線L2周りの最も一方側L2CWに位置する第4従動歯764と最終従動歯765とのピッチは、4つの従動歯76のピッチより広い。例えば、第4従動歯764と最終従動歯765とのピッチは、複数の従動歯76のピッチの1.1倍から1.8倍であり、本形態では、第4従動歯764と最終従動歯765とのピッチは、複数の従動歯76のピッチの1.25倍である。
【0052】
(カム面形成部)
駆動車6には、駆動歯形成部660に対して第1軸線L1周りの他方側L1CWに形成された円周面にカム面形成部670が構成されている。カム面形成部670には、従動車7が付勢部材8による付勢力によって第2軸線L2周りの他方側L2CCWに回転する際に複数の従動歯76が順に摺動する複数のカム面67が第1軸線L1方向の異なる位置に配置されており、複数のカム面67は、第1軸線L1方向に沿って多段に形成されている。
【0053】
カム面形成部670には、4つの従動歯76に対応して4つのカム面67(第1カム面671、第2カム面672、第3カム面673および第4カム面674)が形成されている。また、カム面形成部670には、従動車7の最終従動歯765が当接する最終のカム面675が設けられている。従って、カム面形成部670には、計5つのカム面67が形成されている。
【0054】
5つのカム面67のうち、第1軸線L1方向の最も一方側L1aに形成された第1カム面671は、第1軸線L1周りの最も一方側L1CCWに配置されており、第1カム面671に対して第1軸線L1周りの他方側L1CWに沿って第2カム面672、第3カム面673、第4カム面674、および最終のカム面675が順に配置されている。従って、5つのカム面67のうち、第1軸線L1方向の最も他方側L1bに形成された最終のカム面675は、第1軸線L1周りの最も他方側L1CWに位置する。それ故、複数のカム面67では、第1軸線L1方向の一方側L1aに位置するカム面67が第1軸線L1方向の他方側L1bに位置するカム面67より第1軸線L1周りの一方側L1CCWに位置している。
【0055】
5つのカム面67はいずれも、第1軸線L1周りの一方側L1CCWから他方側L1CWに円弧状に延在した円弧面からなり、周方向の一部に従動歯76が摺動する。このため、5つのカム面67はいずれも、周方向で隣り合うカム面同士は、一定の角度範囲で重なっている。本形態において、第1カム面671は、第1駆動歯661の径方向外側の端部から周方向に延在している。また、複数のカム面67はいずれも、第1軸線L1周りの最も一方側L1CCWの端部が第1軸線L1周りの一方側L1CCWで隣り合うカム面67より径方向外側に位置する。
【0056】
5つのカム面67はいずれも、第1軸線L1周りの一方側L1CCWから他方側L1CWに向けて縮径し、駆動歯66の歯底から第1軸線L1周りの他方側L1CWに連続して延在する第1胴部62の外周面に到達している。また、最終のカム面675は、他のカム面67(第1カム面671、第2カム面672、第3カム面673および第4カム面674)より、第1軸線L1周りの一方側L1CCWに位置する部分の外径の周方向での減少率が小さく、かつ、第1軸線L1周りの他方側L1CWに位置する部分の外径の周方向での減少率が大きい。また、第2カム面672は、第1軸線L1周りの他方側L1CWに設けられたカム面67(第3カム面673、第4カム面674、および最終のカム面675)より第1軸線L1周りの最も一方側L1CCWの端部が径方向内側に位置する。従って、後述する動作を行う際、第2従動歯762より後段の第3従動歯763、第4従動歯764、および最終従動歯765は、第2カム面672から第1軸線L1方向の他方側L1bに延在している部分と干渉しない。
【0057】
また、本形態では、複数の従動歯76が複数のカム面67に対して順に摺動する各区間の間には、現在の区間の従動歯76がカム面に接しているうちに、次の区間の従動歯76または最終従動歯765がカム面67に対して接するように構成されている。
【0058】
(位置検出器)
図4に示すように、本形態の下流側回転伝達機構10には、駆動車6または従動車7(
バッフル4)の角度位置を監視する位置検出器9が設けられている。本形態において、位置検出器9は、駆動車6の角度位置を監視するように構成されている。また、位置検出器9は、押圧式のスイッチ機構である。
【0059】
位置検出器9は、駆動車6の第2胴部63に設けられたセンサ用カム面630によって変位する回転レバー91と、回転レバー91の変位によって状態が切り換わるスイッチ92とを有している。センサ用カム面630は、第1軸線L1の他方側L1CWに沿って、小径部631、拡径部634、大径部632および縮径部635が設けられている。
【0060】
スイッチ92は、例えば押圧式のスイッチであり、回転レバー91の変位によってオンオフが行われる。なお、スイッチ92は、押圧式のスイッチ以外の種類のスイッチであってもよい。例えば、回転レバー91の変位などの変化量を電圧の変化で読み取るポテンショメータを用いるものであってもよい。回転レバー91は、カバー3に形成された円筒状のレバー保持部によって回転可能に支持された軸部910と、軸部910から駆動車6のセンサ用カム面630に向けて突出した第1アーム部911と、軸部910からスイッチ92に向けて突出した第2アーム部912とを有している。第1アーム部911の先端には、センサ用カム面630に摺動する円形の第1当接部913が設けられ、第2アーム部912の先端には、スイッチ92に当接する第2当接部914が設けられている。
【0061】
回転レバー91に対しては、カバー3によって支持された付勢部材であるねじりコイルばね93が設けられている。ねじりコイルばね93の一方の端部931はカバー3に形成されたばね支持壁97(図10参照)に支持され、ねじりコイルばね93の他方の端部932は、回転レバー91の第2アーム部912の先端に設けられた第2当接部914に支持されている。従って、第2アーム部912は、ねじりコイルばね93によってスイッチ92に向けて付勢されている。それ故、第1アーム部911の先端に設けられた第1当接部913がセンサ用カム面630の小径部631に当接している区間では、第2アーム部912の第2当接部914がスイッチ92を押圧する一方、第1アーム部911の先端に設けられた第1当接部913がセンサ用カム面630の大径部632に当接している区間では、第2アーム部912の第2当接部914がスイッチ92から離間する。従って、スイッチ92のオンオフを監視すれば、駆動車6の角度位置を検出することができ、それ故、従動車7およびバッフル4の角度位置を監視することができる。
【0062】
位置検出器9は、図8を参照して後述するように、従動車7が第2軸線L2周りの最も一方側L2CWに回転した後、そこで停止している第1区間の途中位置でスイッチ92からの出力が切り換わるとともに、従動車7が第2軸線L2周りの最も他方側L2CCWに回転した後、そこで停止している第2区間の途中位置でスイッチ92からの出力が切り換わる。従動車7が停止している区間の途中位置でスイッチ92からの出力が切り換わるように構成したことにより、部品の寸法誤差等によって駆動車6の回転位置が多少ずれたとしても、従動車7(バッフル4)の正確な角度位置を検出することができる。従って、バッフル駆動機構5の動作不良を抑制することができる。
【0063】
(回転伝達機構の動作)
図8は、駆動車6の角度位置とバッフル4の開度との関係を示す説明図である。図8には、バッフル4の開度を実線で示し、位置検出器9のスイッチ92からの出力の変化を一点鎖線で示してある。以下、図7図8を参照して、下流側回転伝達機構10の動作を説明する。図7(a)に示すように、バッフル4が閉姿勢4Aにある状態では、従動車7が第2軸線L2周りの最も他方側L2CCWに回転した後、停止している状態にある。この状態で、バッフル4は、付勢部材8によって閉方向(LCCW)に付勢されているが、バッフル4等に対して設けられたストッパによって、これ以上、バッフル4が閉方向(LCCW)に回転しないようになっている。
【0064】
図7(a)の状態から、モータ50が作動すると、駆動車6が第1軸線L1周りに一方側L1CCWに回転する。駆動車6の第4駆動歯664が従動車7の第4従動歯764に当接するまでの区間(図8に示す区間a)では、従動車7およびバッフル4は停止した状態にある。また、位置検出器9は、回転レバー91の第1当接部913がセンサ用カム面630の大径部632に当接している区間では、スイッチ92からの出力がオフとなっている。
【0065】
駆動車6の第4駆動歯664が従動車7の第4従動歯764に当接すると、従動車7は、付勢部材8の付勢力に抗して、第2軸線L2周りの一方側L2CWに回転し始める。これにより、バッフル4が回転中心軸線L周りの一方側LCW(開方向)に回転し始める。駆動車6がさらに回転すると、従動車7もさらに回転し、第3駆動歯663が従動車7の第3従動歯763に当接し、続いて、第2駆動歯662が従動車7の第2従動歯762に当接し、さらに、第1駆動歯661が従動車7の第1従動歯761に当接し、その後、第1駆動歯661の歯先が従動車7の第1従動歯761の歯先に乗り上げるまで回転する。これにより、バッフル4が開姿勢4Bとなる。
【0066】
次に、駆動車6がさらに第1軸線L1周りに一方側L1CCWに回転すると、駆動車6の第1駆動歯661と従動車7の第1従動歯761との係合が解除されるので、従動車7は、付勢部材8の付勢力によって第2軸線L2周りの他方側L2CCWに回転しようとする。但し、第1従動歯761が第1カム面671に当接しているため、従動車7が第2軸線L2周りの他方側L2CCWに回転することが阻止され、第2軸線L2周りの最も一方側L2CWで停止した状態が維持される(図8に示す区間b)。従って、バッフル4も開姿勢4Bのまま停止しており、第1従動歯761は、第1カム面671を摺動する。
【0067】
図7(b)は、第1従動歯761が第1カム面671を摺動する途中の状態を示す。第1従動歯761が、第1カム面671の第1軸線L1周りの他方側L1CWの部分で第1カム面671が縮径している部分に到達するまでは、従動車7およびバッフル4は、開姿勢4Bのまま停止している。そして、停止区間(図8に示す区間b)の途中で、位置検出器9では、回転レバー91の第1当接部913がセンサ用カム面630の大径部632から縮径部635を通って小径部631に移動する。従って、スイッチ92からの出力がオフからオンに切り換わる。図7(b)は、回転レバー91の第1当接部913がセンサ用カム面630の小径部631へ移動する途中の状態を示している。
【0068】
第1従動歯761が、第1カム面671の第1軸線L1周りの他方側L1CWの部分で第1カム面671が縮径している部分に到達すると、従動車7は、付勢部材8の付勢力によって第2軸線L2周りの他方側L2CCWに回転し始める。従って、バッフル4は、回転中心軸線L周りの他方側LCCW(閉方向)に回転し始める。
【0069】
駆動車6が第1軸線L1周りに一方側L1CCWにさらに回転すると、第1従動歯761が第1カム面671に接触した状態で、第2従動歯762が第2カム面672に接触する。そして、第2従動歯762が第2カム面672を摺動する。続いて、第1従動歯761が第1カム面671から離れ、第2従動歯762が第2カム面672に接触した状態で、第3従動歯763が第3カム面673に接触し、第3従動歯763が第3カム面673を摺動する。そして、第2従動歯762が第2カム面672から離れ、第3従動歯763が第3カム面673に接触した状態で、第4従動歯764が第4カム面674に接触し、第4従動歯764が第4カム面674を摺動する。さらに、第3従動歯763が第3カム面673から離れ、第4従動歯764が第4カム面674に接触した状態で、最終従動歯765が最終のカム面675に接触し、最終従動歯765が最終のカム面675を摺動する。
【0070】
従動車7は、最終従動歯765が最終のカム面675を外れるまで、付勢部材8の付勢力によって第2軸線L2周りの他方側L2CCWに回転し、その後、停止する。従って、バッフル4は閉姿勢4Aの状態で停止する。その間、駆動車6が第1軸線L1周りに一方側L1CCWにさらに回転しても、第4駆動歯664が第4従動歯764に当接するまでは、従動車7およびバッフル4は停止している(図8に示す区間a)。そして、停止区間の途中で、位置検出器9に用いた回転レバー91の第1当接部913がセンサ用カム面630の小径部631から拡径部634を通って大径部632に移動する。従って、スイッチ92からの出力は、オンからオフに切り換わる。
【0071】
以降、駆動車6が第1軸線L1周りに一方側L1CCWにさらに回転すると、上記の動作が繰り返し行われる。
【0072】
(ブレーキ部材によるノイズ抑制)
本形態の駆動車6は、従動車7を付勢する付勢部材8の付勢力に抗して回るため、駆動車6のカム面67に接触する従動歯76が切り換わる際、駆動車6は、瞬間的に逆回転しようとする。本形態では、駆動車6の回転の乱れがモータ50の動力を伝達する動力伝達経路の最も上流側に配置されたウォーム52に伝達されてノイズを発生させることを抑制するため、ブレーキ部材53によって動力伝達経路の途中に回転負荷を加える。ブレーキ部材53を配置すべき範囲は、駆動車6からウォームホイール56(1番歯車)までの範囲であるが、本形態では、複合歯車57(2番歯車)に対して回転負荷を加えている。すなわち、本形態では、複合歯車57が被負荷部材である。
【0073】
図9は、ブレーキ部材53の取付構造の説明図であり、図3のA-A位置の部分断面図である。回転伝達機構55はフレーム2とカバー3との間に組み立てられており、フレーム2の隔壁22と対向するカバー3の底部31には、回転伝達機構55を支持する複数の回転支持部が設けられている。すなわち、カバー3の底部31には、ウォームホイール56を支持する第1回転支持部581と、複合歯車57を支持する第2回転支持部582と、駆動車6を支持する第3回転支持部583と、従動車7を支持する第4回転支持部584が設けられている(図10参照)。また、カバー3の底部31と対向する隔壁22(ケース)には、これら4箇所の回転支持部と対向する軸穴などの回転支持部が設けられている。
【0074】
図9に示すように、複合歯車57は、第1軸線L1および第2軸線L2と平行な第3軸線L3(回転軸線)を中心として回転可能に支持される。複合歯車57には、第3軸線L3方向の一方側L3a(カバー3側)の端面の中央に軸穴573が形成され、第3軸線L3方向の他方側L3b(隔壁22側)の端面の中央に凸部574が形成されている。軸穴573には、第2回転支持部582の先端中央から突出する軸部585が挿入され、凸部574は、フレーム2の隔壁22に形成された軸穴221(回転支持部)に挿入されている。これにより、複合歯車57は、第3軸線L3回りに回転可能に支持される。
【0075】
ブレーキ部材53はバネワッシャーであり、第3軸線L3方向に弾性変形可能である。図3に示すように、本形態のバネワッシャーは、金属板を曲げ加工して製造されており、環状の金属板の径方向の一方側および他方側を同じ方向に曲げた形状である。ブレーキ部材53は、複合歯車57の第3軸線L3方向の他方側L3bの端面と、フレーム2の隔壁22との間に圧縮状態で配置されている。従って、複合歯車57が回転する際、ブレーキ部材53が隔壁22および複合歯車57と摺接するので、複合歯車57に回転負荷が加わる。また、ブレーキ部材53の付勢力により、複合歯車57は、第3軸線L3方向の一方側L3aの端面が第2回転支持部582の端面と第3軸線L3方向で当接するように位置決めされる。
【0076】
(リード線の配線)
本形態では、フレーム2とカバー3(ケース)との間にバッフル駆動機構5を組み立てる際、まず、図2図3に示すようにカバー3の内側へバッフル駆動機構5を組み付け、しかる後にフレーム2とカバー3を係合させて固定する。カバー3は、矩形の底部31と、底部31のY方向の一方側Y1の縁から立ち上がる第1壁32および他方側Y2の縁から立ち上がる第2壁33と、底部31のZ方向の一方側Z1の縁から立ち上がる第3壁34および他方側Z2の縁から立ち上がる第4壁35を備える。
【0077】
図1に示すように、フレーム2とカバー3の間には、カバー3の内側からリード線59を引き出すための配線出口36が形成されている。リード線59は、配線出口36において、カバー3とフレーム2との間に保持される。配線出口36は、カバー3の第2壁33をX方向の一方側X1に切り欠いた切り欠き37と、フレーム2から切り欠き37に向けて突出し切り欠き37の開口部に嵌合する凸部24の先端との間に形成される。配線出口36には3本のリード線59が通され、そのうちの1本は、モータ50に接続される。他の2本は、位置検出器9に接続される。
【0078】
図10は、カバー3、リード線59、位置検出器9、モータ50およびウォーム52の平面図である。モータ50は、カバー3の長手方向(Y方向)とモータ軸線方向とを一致させるように配置され、カバー3の第2壁33と第3壁34とが交差する角部に配置されている。カバー3の底部31には、モータ50を囲むように仕切り壁38が形成されている。仕切り壁38と、カバー3の第1壁32および第4壁35との間の空間は、回転伝達機構55および位置検出器9を配置する空間となっている。仕切り壁38と第1壁32との間には、モータ50の出力軸51に取り付けられたウォーム52が突出している。リード線59が接続されるモータ端子501は、ウォーム52とはモータ軸線方向の反対側で、カバー3の第2壁33と対向するモータ後端面502に設けられている。
【0079】
位置検出器9は、第1壁32と第4壁35とが繋がる角部に配置されている。位置検出器9は、押圧式のスイッチ92を備えるスイッチ機構であり、このスイッチ92は、カバー3に保持されたスイッチ基板94に搭載されている。カバー3の第1壁32と第4壁35とが繋がる角部には、スイッチ基板94を保持するための保持溝を備えた基板保持部95が形成されている。スイッチ基板94は、スイッチ92が固定された面がカバー3の対角方向を向くように配置されている。スイッチ基板94には、配線出口36を通るリード線59が2本接続されている。また、スイッチ基板94からモータ50へ1本のリード線59が引き回されている。
【0080】
カバー3の底部31には、回転伝達機構55を構成する歯車を支持する回転支持部が4箇所に形成されている。まず、仕切り壁38と第1壁32との間にウォームホイール56を支持する第1回転支持部581が配置されており、第1回転支持部581と位置検出器9との間に複合歯車57を支持する第2回転支持部582が配置されている。また、駆動車6を支持する第3回転支持部583、および、従動車7を支持する第4回転支持部584は、第2回転支持部582と第2壁33との間にこの順で配置されている。
【0081】
図10に示すように、3本のリード線59は、第2壁33に形成された配線出口36から第4回転支持部584と第4壁35との隙間に通されている。この中の1本は、第4回転支持部584の外周に巻かれており、仕切り壁38と第2壁33との隙間S2へ引き回され、隙間S2からモータ後端面502へ引き回されてモータ端子501に接続される。仕切り壁38は第2壁33と繋がっていないので、仕切り壁38の端部と第2壁33との間に隙間S2ができており、この隙間S2がリード線59の保持部となっている。リード線59は、仕切り壁38と第2壁33との隙間S2を通る際、仕切り壁38によってモー
タ後端面502の外周縁との接触角度が規制されている。従って、モータ後端面502の外周縁のエッジによってリード線59が断線するおそれが少ない。
【0082】
配線出口36から第4回転支持部584と第4壁35との隙間に通された3本のリード線59のうち、他の2本のリード線59は、第3回転支持部583と位置検出器9の回転レバー91との間を通り、位置検出器9のスイッチ基板94に接続されている。スイッチ基板94とモータ50とを接続するリード線59は、スイッチ基板94から第1壁32に沿って引き回され、第1壁32と第1回転支持部581の間に保持されて、仕切り壁38と第3壁34との隙間S1へ引き回されている。そして、第3壁34に沿ってモータ後端面502へ引き回され、モータ端子501に接続されている。
【0083】
図10に示すように、モータ50は、スイッチ基板94とモータ50とを接続するリード線59の第3壁34に沿って引き回される部分に被さるように取り付けられている。つまり、本形態では、モータ50とカバー3の底部31との間に、モータ50の出力軸51側からモータ後端面502側へ引き回されるリード線59の配線スペースが設けられている。従って、出力軸51側からモータ後端面502へリード線59を引き回す際に、リード線59をモータ50の上に通さなくてよい。このため、バッフル駆動機構5を組み付けたカバー3にフレーム2を固定する際、カバー3とフレーム2との間にリード線59を噛み込んでリード線59が潰されるおそれが少ない。
【0084】
(本形態の主な効果)
以上のように、本形態のダンパ装置1は、駆動源であるモータ50からの動力(回転)をバッフル4に伝達する回転伝達機構55を備えており、回転伝達機構55は、動力伝達経路の下流側の部分を構成する駆動車6と従動車7が、複数の噛合い部(駆動歯66と従動歯76)を備えるとともに、駆動車6は、従動歯76(噛合い部の従動車7側の部位)が摺動するカム面67を備える。従って、噛合い部(駆動歯66と従動歯76)が噛み合う回転位置では、駆動車6から従動車7に回転が伝達される。また、噛合いが外れた回転位置では、従動歯76がカム面67に摺動するので、従動車7は、付勢部材8の付勢力により、モータ50の動力による回転方向とは逆方向に回転する。従って、一方向の回転のみを供給するモータ50を用いて、従動車7を往復回転させることができる。また、このような駆動車6および従動車7は、従来、駆動車6と従動車7とが接触する部位が切り換わる際に、駆動車6の回転に乱れが生じることがあったが、本形態では、従動車7より動力伝達経路の上流側で駆動車6を含む範囲に、回転負荷を発生させるブレーキ部材53が配置されている。従って、動力伝達経路の途中で回転の乱れがモータ50側に伝達されることを抑制できるため、駆動車6の回転の乱れに起因するノイズを抑制できる。
【0085】
本形態では、駆動源はモータであり、回転伝達機構55はモータ50の出力軸51に連結されたウォーム52を含むため、ブレーキ部材53は、ウォーム52より動力伝達経路の下流側に設けられている。これにより、ウォーム52に回転の乱れが伝達されることを抑制できるため、ウォーム52が軸方向にぶれて軸方向の両側の部品と衝突することによるノイズ(ウォーム52の叩き音)を抑制できる。
【0086】
本形態では、駆動車6に対して動力伝達経路の上流側に位置する回転伝達部材である複合歯車57(2番歯車)にブレーキ部材53であるバネワッシャーを取り付けて回転負荷を加えている。駆動車6でなくその上流側の歯車に回転負荷を加える場合には、駆動車6に回転負荷を加える場合よりも、必要な回転負荷が小さい。従って、ブレーキ部材53を小型化することができる。
【0087】
本形態では、ブレーキ部材53として、弾性部材であるバネワッシャーを用いている。弾性部材を用いることにより、複合歯車57とブレーキ部材53とを容易に接触させて回
転負荷を加えることができる。従って、ノイズを抑制できる。また、ブレーキ部材53は、複合歯車57(被負荷部材)の回転軸線方向である第3軸線L3方向の他方側L3bの端面に接触するので、複合歯車57の回転軸線方向のガタつきを解消できる。また、カバー3にバッフル駆動機構5を組み付ける際に、複合歯車57と共にブレーキ部材53(バネワッシャー)を組み付けることができ、その後にフレーム2を被せるだけで、ブレーキ部材53をダンパ装置1に組み込むことができる。従って、ブレーキ部材53を簡単に組み込むことができる。更に、複合歯車57とフレーム2とが対向する箇所にブレーキ部材53を配置するので、回転伝達機構55の平面配置を変更する必要がない。従って、ブレーキ部材53を追加するための設計変更を少なくすることができる。
【0088】
本形態では、駆動車6には、駆動車6の外周面において階段状に配置される複数の駆動歯66が設けられ、従動車7には、駆動車6の回転に伴って複数の駆動歯66と順に噛み合う複数の従動歯76が従動車7の外周面に階段状に設けられている。従って、駆動歯66と従動歯76とを順次噛み合わせて従動車7を駆動し、その後、駆動歯66と従動歯76との噛み合いが外れると、従動車7を逆方向に回転させることができる。従って、一方側の回転のみを供給するモータを用いて、従動車7を往復回転させることができる。また、従動車7は、噛合い部である従動歯76が形成されている部分が駆動車6に対して往復回転すればよいので、扇型に形成することで無駄な部分を省略できる。従って、従動車7を小型化し、省スペース化を図ることができる。
【0089】
本形態では、複数の従動歯76が順に摺動する複数のカム面67を備え、複数のカム面67は、周方向の一方側から他方側に向かって外径が縮小しており、且つ、周方向で隣り合うカム面67は、カム面67の外径の周方向での減少率が異なる。従って、従動車7の回転速度を変化させることができ、例えば、最初はゆっくり従動車7を回転させ、次第に回転速度を上げることができる。また、このような速度変化を付けた場合でも、従動車7の回転速度が変化する際の駆動車6の回転の乱れに起因するノイズを抑制できる。
【0090】
(変形例)
(1)上記形態と異なる態様のブレーキ部材53を用いることもできる。図11はブレーキ部材の変形例の説明図である。図11の形態において、変形例のブレーキ部材53AはOリングである。ブレーキ部材53Aは、複合歯車57の第3軸線L3方向の一方側L3aの端面と、第2回転支持部582の端面との間に取り付けられている。なお、Oリングを隔壁22と複合歯車57との間に配置してもよい。また、バネワッシャーを複合歯車57と第2回転支持部582の端面との間に配置してもよい。
【0091】
(2)ブレーキ部材53として、図3に示した形態と異なるバネワッシャーを用いることもできる。例えば、図3に示したバネワッシャーは、環状の金属板の径方向の一方側および他方側の2箇所を同じ側へ撓ませた形状であったが、環状の金属板の外周縁を全周でテーパ状に傾けた形状のバネワッシャーを用いることもできる。また、環状の部材の周方向の1箇所が切断され、切断箇所の両側の端部を軸線方向でずらすように変形させたねじり形状のバネワッシャーを用いることもできる。また、バネワッシャーの材質は金属以外でもよい。例えば、樹脂製でもよい。
【0092】
(3)ブレーキ部材によって回転負荷を加える歯車は、駆動車6、もしくはウォームホイール56でも良い。ウォームホイール56に回転負荷を加える場合には、ウォーム52に最も近い歯車に回転負荷を加えるので、必要な回転負荷が最も小さい。従って、ブレーキ部材53を小型化することができる。なお、回転伝達機構55の複数個所にブレーキ部材を配置して、複数個所に回転負荷を加えることもできる。
【符号の説明】
【0093】
1…ダンパ装置、1A…ギアードモータ、2…フレーム、3…カバー(ケース)、4…バッフル、4A…閉姿勢、4B…開姿勢、5…バッフル駆動機構、6…駆動車、7…従動車、8…付勢部材、9…位置検出器、10…下流側回転伝達機構、20…開口部、21…筒部、22…隔壁(ケース)、23…シール部、24…凸部、31…底部、32…第1壁、33…第2壁、34…第3壁、35…第4壁、36…配線出口、37…切り欠き、38…仕切り壁、41…開閉板、42…弾性部材、43…係合部、45、46…軸部、50…モータ、51…出力軸、52…ウォーム、53、53Aブレーキ部材、55…回転伝達機構、56…ウォームホイール(1番歯車)、57…複合歯車(2番歯車、被負荷部材)、59…リード線、61…円盤部、62…第1胴部、63…第2胴部、64、65…軸部、66…駆動歯(噛合い部)、67…カム面、74、75…軸部、76…従動歯(噛合い部)、81…コイル部、82…一方側の端部、83…他方側の端部、91…回転レバー、92…スイッチ、93…ねじりコイルばね、94…スイッチ基板、95…基板保持部、97…ばね支持壁、221…軸穴(回転支持部)、451…嵌合凹部、461…凸部、501…モータ端子、502…モータ後端面、561…小径歯車、571…大径歯車、572…小径歯車、573…軸穴、574…凸部、581…第1回転支持部、582…第2回転支持部、583…第3回転支持部、584…第4回転支持部、585…軸部、610…歯車、630…センサ用カム面、631…小径部、632…大径部、634…拡径部、635…縮径部、660…駆動歯形成部、661…第1駆動歯、662…第2駆動歯、663…第3駆動歯、664…第4駆動歯、670…カム面形成部、671…第1カム面、672…第2カム面、673…第3カム面、674…第4カム面、675…第5カム面、760…従動歯形成部、761…第1従動歯、762…第2従動歯、763…第3従動歯、764…第4従動歯、765…最終従動歯、910…軸部、911…第1アーム部、912…第2アーム部、913…第1当接部、914…第2当接部、931…一方側の端部、932…他方側の端部、L…回転中心軸線、L1…第1軸線、L1a…一方側、L1b…他方側、L2…第2軸線、L2a…一方側、L2b…他方側、L3…第3軸線、L3a…一方側、L3b…他方側、S1、S2…隙間
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