(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】着色感光性樹脂組成物、これを利用して製造されたカラーフィルターおよび画像表示装置
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20220401BHJP
G03F 7/032 20060101ALI20220401BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20220401BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
G03F7/004 501
G03F7/004 505
G03F7/032
G02B5/20 101
G02F1/1335 505
(21)【出願番号】P 2017201549
(22)【出願日】2017-10-18
【審査請求日】2020-04-03
(31)【優先権主張番号】10-2016-0152633
(32)【優先日】2016-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】ヨンホ・オ
(72)【発明者】
【氏名】ホジン・チャン
(72)【発明者】
【氏名】ハンヨン・チェ
【審査官】川口 真隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-164246(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004
G03F 7/032
G02B 5/20
G02F 1/1335
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
染料を含む着色剤;および
下記の化学式1で表示される化合物を含む、着色感光性樹脂組成物:
[化学式1]
(前記化学式1において、
(X
+)は、下記の化学式2で表現され、
nは1~10であり、
(Y)
m-は、タングステンおよびリンからなる群から選択される少なくとも1個の元素と酸素原子を有する陰イオンである)。
[化学式2]
(前記化学式2において、
Z
は窒素であり、
R
1、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立的
に炭素数1~30
の非置換された炭化水素基であり
、
nは
0である(
この場合、R
1とR
4はZとのみ結合する1価の基を表す))。
【請求項2】
前記染料は、キサンテン、トリアリールメタン、クマリンおよびペリレン化合物からなる群から選択される1種以上の化合物を含むものである、請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記着色剤は顔料をさらに含むものである、請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項4】
結合剤樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤および溶剤からなる群から選択される1種以上をさらに含むものである、請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記化学式1で表示される化合物は、前記着色感光性樹脂組成物全体100重量部に対して0.01~40重量部で含まれるものである、請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記着色剤は、前記着色感光性樹脂組成物全体100重量部に対して0.1~30重量部で含まれるものである請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記化学式1で表される化合物が、下記化学式A-2で表される化合物である、請求項1に記載の着色感光性樹脂組成物。
[化学式A-2]
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか一項に記載された着色感光性樹脂組成物の硬化物を含む、カラーフィルター。
【請求項9】
請求項8に記載されたカラーフィルターを含む、画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は着色感光性樹脂組成物、これを利用して製造されたカラーフィルターおよび画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルターは、撮像素子、液晶表示装置のような画像表示装置などに広く利用されるもので、その応用範囲が急速に拡大している。カラー液晶表示装置や撮像素子などに使われるカラーフィルターは、通常ブラックマトリックスがパターンが形成された基板上に赤色、緑色および青色の各色に相当する着色剤を含有する着色感光性樹脂組成物をスピンコーティングによって均一に塗布した後、加熱乾燥(以下、予備焼成という場合もある)して形成された塗膜を露光、現像し、必要に応じてさらに加熱硬化(以下、後焼成という場合もある)する操作を色ごとに繰り返して各色の画素を形成することによって製造されている。
【0003】
着色感光性樹脂組成物は、着色剤を含有して着色されている感光性樹脂組成物であって、カラーフィルターを構成する着色パターンを形成するための材料として有用である。ここで、カラーフィルターは、カラー液晶表示装置に内蔵されて表示画像を色彩化するために使われたり、撮像素子に内蔵されてカラー画像を収得するために使われたりする光学素子である。
【0004】
最近ではカラー液晶ディスプレイの省電力化のために、より輝度の高いカラーフィルターが要求されている。一般にカラーフィルターは、膜厚が薄い方が輝度が高くなる傾向がある。このとき、高度の色再現の確保のためには高い顔料濃度を実現する必要がある。しかし、顔料の高濃度化は、レジスト組成物の貯蔵安定性や塗布性をさらに低下させるため、十分な性能を具備するカラーフィルターの製作が困難となる。
【0005】
これらを実現するために、染料の適用が検討されている。しかし、一般的に顔料を適用した場合と比べて、信頼性およびコントラストが低いという問題が発生する場合が多い。そこで、染料を使う場合の問題点を解決するための技術の開発が要求されている。
【0006】
大韓民国公開特許第2014-0115990号は、着色組成物、着色硬化膜および表示素子に関するものであって、(A)キサンテン化合物、ポリメチン化合物、クマリン化合物およびペリレン化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む着色剤、(B)結合剤樹脂および(C)重合性化合物を含む着色組成物であり、(D)遷移金属化合物(ただし、(A)成分を除く)をさらに含む着色組成物に関する内容を開示している。
【0007】
大韓民国公開特許第2015-0101934号は、着色組成物、着色硬化膜および表示素子に関するものであって、(A)着色剤および(B)重合性化合物を含む着色組成物であり、(A)着色剤が、蛍光を発する部位と該当蛍光を吸収する部位を有する重合体を含む、着色組成物に関する内容を開示している。
【0008】
また、日本公開特許第2013-028764号は、着色硬化性組成物、着色硬化膜、カラーフィルター、パターンの形成方法、カラーフィルターの製造方法、体撮像素子および画像表示装置に関するものであって、(A)重合性基を有する色素多量体、(B)顔料、(C)重合性化合物および(D)光重合開始剤を含有する着色硬化性組成物に関する内容を開示している。
【0009】
しかし、前記従来技術は、遷移金属のような添加剤またはアントラキノンのような発色剤が表わす特有の色によって輝度および信頼性に不利となり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】大韓民国公開特許第2014-0115990号(2014.10.01.)
【文献】大韓民国公開特許第2015-0101934号(2015.09.04.)
【文献】日本公開特許第2013-028764号(2013.02.07.)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は前記のような問題を解決するためのものであって、染料および特定化学式で表現される化合物を含むことによって、カラーフィルターおよびこれを具備した画像表示装置に適用する時、高い信頼性および高コントラストの特性を表わす着色感光性樹脂組成物を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するための本発明に係る着色感光性樹脂組成物は、染料を含む着色剤;および下記の化学式1で表示される化合物を含むことを特徴とする。
【0013】
[化学式1]
(前記化学式1において、(X
+)は、下記の化学式2~化学式4のうちいずれか一つで表現され、nは1~10であり、(Y)
m-は、タングステン、モリブデン、ケイ素およびリンからなる群から選択される少なくとも1個の元素と酸素原子を有する陰イオンである)。
【0014】
[化学式2]
(前記化学式2において、Zは炭素、窒素、硫黄、リンまたはヨウ素であり、R
1、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立的に水素、ハロゲン原子または炭素数1~30の1価または2価に置換または非置換された炭化水素基であり、前記炭化水素基を構成する-CH
2-は炭素が酸素原子、硫黄原子、アミノ基またはカルボニル基に転換されるか、前記炭化水素基に含まれた水素原子はハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホン酸基、-SO
3M、-CO
2M、ヒドロキシ基、ホルミル基本またはアミノ基に転換されるか、エポキシ、アクリレートの反応基を含むか;アルキル、ハロゲン、CN、OR
16、SR
17、カルボニル基、スルホン酸基およびNR
18R
19からなるグループから選択された一つ以上の置換基によって置換され得るフェニルまたは芳香族炭化水素から選択されるものであり得、R
16、R
17、R
18およびR
19は、それぞれ独立的に水素、ハロゲン原子または炭素数1~30の1価または2価の炭化水素基であり、前記炭化水素基を構成する-CH
2-は炭素が酸素原子、硫黄原子、アミノ基またはカルボニル基に転換されるか、前記炭化水素基に含まれた水素原子はハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホン酸基、-SO
3M、-CO
2M、ヒドロキシ基、ホルミル基本またはアミノ基に転換されるか、エポキシ、アクリレートの反応基を含むか;炭素数1~30のアルケニルであるか、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホン酸基、-SO
3M、-CO
2M、ヒドロキシ基、ホルミル基本またはアミノ基のグループから選択された一つ以上の置換基を含んだフェニルまたは芳香族炭化水素基を含み、R
1およびR
4は結合して5~7員環の窒素含有ヘテロ環を形成するか、それぞれ独立的にシクロアルキルであり得、nは0~5である)。
【0015】
[化学式3]
(前記化学式3において、Lは炭素または窒素であり、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9およびR
10は、それぞれ独立的に水素、ハロゲン原子または炭素数1~30の1価または2価に置換または非置換された炭化水素基であり、前記炭化水素基を構成する-CH
2-は炭素が酸素原子、硫黄原子、アミノ基またはカルボニル基に転換されるか、前記炭化水素基に含まれた水素原子はハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホン酸基、-SO
3M、-CO
2M、ヒドロキシ基、ホルミル基本またはアミノ基に転換されるか、エポキシ、アクリレートの反応基を含むか;アルキル、ハロゲン、CN、OR
16、SR
17、カルボニル基、スルホン酸基およびNR
18R
19からなるグループから選択された一つ以上の置換基によって置換され得るフェニルまたは芳香族炭化水素から選択されるものであり得、R
16、R
17、R
18およびR
19は、それぞれ独立的に水素、ハロゲン原子または炭素数1~30の1価または2価の炭化水素基であり、前記炭化水素基を構成する-CH
2-は炭素が酸素原子、硫黄原子、アミノ基またはカルボニル基に転換されるか、前記炭化水素基に含まれた水素原子はハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホン酸基、-SO
3M、-CO
2M、ヒドロキシ基、ホルミル基本またはアミノ基に転換されるか、エポキシ、アクリレートの反応基を含むか;炭素数1~30のアルケニルであるか、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホン酸基、-SO
3M、-CO
2M、ヒドロキシ基、ホルミル基本またはアミノ基のグループから選択された一つ以上の置換基を含んだフェニルまたは芳香族炭化水素基を含み、R
6およびR
7は結合して5~7員環の窒素含有ヘテロ環を形成するか、それぞれ独立的にシクロアルキルであり得、nは0~5である)。
【0016】
[化学式4]
(前記化学式4において、Lは炭素、窒素または硫黄であり、R
11、R
12、R
13、R
14およびR
15は、それぞれ独立的に水素、ハロゲン原子または炭素数1~30の1価または2価に置換または非置換された炭化水素基であり、前記炭化水素基を構成する-CH
2-は炭素が酸素原子、硫黄原子、アミノ基またはカルボニル基に転換されるか、前記炭化水素基に含まれた水素原子はハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホン酸基、-SO
3M、-CO
2M、ヒドロキシ基、ホルミル基本またはアミノ基に転換されるか、エポキシ、アクリレートの反応基を含むか;アルキル、ハロゲン、CN、OR
16、SR
17、カルボニル基、スルホン酸基およびNR
18R
19からなるグループから選択された一つ以上の置換基によって置換され得るフェニルまたは芳香族炭化水素から選択されるものであり得、R
16、R
17、R
18およびR
19は、それぞれ独立的に水素、ハロゲン原子または炭素数1~30の1価または2価の炭化水素基であり、前記炭化水素基を構成する-CH
2-は炭素が酸素原子、硫黄原子、アミノ基またはカルボニル基に転換されるか、前記炭化水素基に含まれた水素原子はハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホン酸基、-SO
3M、-CO
2M、ヒドロキシ基、ホルミル基本またはアミノ基に転換されるか、エポキシ、アクリレートの反応基を含むか;炭素数1~30のアルケニルであるか、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホン酸基、-SO
3M、-CO
2M、ヒドロキシ基、ホルミル基本またはアミノ基のグループから選択された一つ以上の置換基を含んだフェニルまたは芳香族炭化水素基を含み、R
14およびR
15は結合して5~7員環の窒素含有ヘテロ環を形成するか、それぞれ独立的にシクロアルキルであり得、nは0~5である)。
【0017】
また、本発明は前述した着色感光性樹脂組成物の硬化物を含むカラーフィルターおよびこれを含む画像表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る着色感光性樹脂組成物は、染料および特定化学式で表示される化合物を含むことによって、カラーフィルターおよびこれを具備した画像表示装置に適用する時、輝度が低下することなく高い信頼性および高コントラスト特性を示す利点がある。
【0019】
また、前述した着色感光性樹脂組成物で製造されたカラーフィルターおよび前記カラーフィルターを含む画像表示装置は感度が優秀な利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
【0021】
本発明において、ある部材が他の部材「上に」位置しているとする時、これはある部材が他の部材に接している場合だけでなく、二つの部材の間にさらに他の部材が存在する場合も含む。
【0022】
本発明において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0023】
<着色感光性樹脂組成物>
本発明に係る着色感光性樹脂組成物は、染料を含む着色剤;および下記の化学式1で表示される化合物を含むことを特徴とする。
【0024】
[化学式1]
(前記化学式1において、(X
+)は、下記の化学式2~化学式4のうちいずれか一つで表現され、nは1~10であり、(Y)
m-は、タングステン、モリブデン、ケイ素およびリンからなる群から選択される少なくとも1個の元素と酸素原子を有する陰イオンである)。
【0025】
[化学式2]
(前記化学式2において、Zは炭素、窒素、硫黄、リンまたはヨウ素であり、R
1、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立的に水素、ハロゲン原子または炭素数1~30の1価または2価に置換または非置換された炭化水素基であり、前記炭化水素基を構成する-CH
2-は炭素が酸素原子、硫黄原子、アミノ基またはカルボニル基に転換されるか、前記炭化水素基に含まれた水素原子はハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホン酸基、-SO
3M、-CO
2M、ヒドロキシ基、ホルミル基本またはアミノ基に転換されるか、エポキシ、アクリレートの反応基を含むか;アルキル、ハロゲン、CN、OR
16、SR
17、カルボニル基、スルホン酸基およびNR
18R
19からなるグループから選択された一つ以上の置換基によって置換され得るフェニルまたは芳香族炭化水素から選択されるものであり得、R
16、R
17、R
18およびR
19は、それぞれ独立的に水素、ハロゲン原子または炭素数1~30の1価または2価の炭化水素基であり、前記炭化水素基を構成する-CH
2-は炭素が酸素原子、硫黄原子、アミノ基またはカルボニル基に転換されるか、前記炭化水素基に含まれた水素原子はハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホン酸基、-SO
3M、-CO
2M、ヒドロキシ基、ホルミル基本またはアミノ基に転換されるか、エポキシ、アクリレートの反応基を含むか;炭素数1~30のアルケニルであるか、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホン酸基、-SO
3M、-CO
2M、ヒドロキシ基、ホルミル基本またはアミノ基のグループから選択された一つ以上の置換基を含んだフェニルまたは芳香族炭化水素基を含み、R
1およびR
4は結合して5~7員環の窒素含有ヘテロ環を形成するか、それぞれ独立的にシクロアルキルであり得、Mはアルカリ金属原子であり、nは0~5である)。
【0026】
[化学式3]
(前記化学式3において、Lは炭素または窒素であり、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9およびR
10は、それぞれ独立的に水素、ハロゲン原子または炭素数1~30の1価または2価に置換または非置換された炭化水素基であり、前記炭化水素基を構成する-CH
2-は炭素が酸素原子、硫黄原子、アミノ基またはカルボニル基に転換されるか、前記炭化水素基に含まれた水素原子はハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホン酸基、-SO
3M、-CO
2M、ヒドロキシ基、ホルミル基本またはアミノ基に転換されるか、エポキシ、アクリレートの反応基を含むか;アルキル、ハロゲン、CN、OR
16、SR
17、カルボニル基、スルホン酸基およびNR
18R
19からなるグループから選択された一つ以上の置換基によって置換され得るフェニルまたは芳香族炭化水素から選択されるものであり得、R
16、R
17、R
18およびR
19は、それぞれ独立的に水素、ハロゲン原子または炭素数1~30の1価または2価の炭化水素基であり、前記炭化水素基を構成する-CH
2-は炭素が酸素原子、硫黄原子、アミノ基またはカルボニル基に転換されるか、前記炭化水素基に含まれた水素原子はハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホン酸基、-SO
3M、-CO
2M、ヒドロキシ基、ホルミル基本またはアミノ基に転換されるか、エポキシ、アクリレートの反応基を含むか;炭素数1~30のアルケニルであるか、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホン酸基、-SO
3M、-CO
2M、ヒドロキシ基、ホルミル基本またはアミノ基のグループから選択された一つ以上の置換基を含んだフェニルまたは芳香族炭化水素基を含み、R
6およびR
7は結合して5~7員環の窒素含有ヘテロ環を形成するか、それぞれ独立的にシクロアルキルであり得、Mはアルカリ金属原子であり、nは0~5である)。
【0027】
[化学式4]
(前記化学式4において、Lは炭素、窒素または硫黄であり、R
11、R
12、R
13、R
14およびR
15は、それぞれ独立的に水素、ハロゲン原子または炭素数1~30の1価または2価に置換または非置換された炭化水素基であり、前記炭化水素基を構成する-CH
2-は炭素が酸素原子、硫黄原子、アミノ基またはカルボニル基に転換されるか、前記炭化水素基に含まれた水素原子はハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホン酸基、-SO
3M、-CO
2M、ヒドロキシ基、ホルミル基本またはアミノ基に転換されるか、エポキシ、アクリレートの反応基を含むか;アルキル、ハロゲン、CN、OR
16、SR
17、カルボニル基、スルホン酸基およびNR
18R
19からなるグループから選択された一つ以上の置換基によって置換され得るフェニルまたは芳香族炭化水素から選択されるものであり得、R
16、R
17、R
18およびR
19は、それぞれ独立的に水素、ハロゲン原子または炭素数1~30の1価または2価の炭化水素基であり、前記炭化水素基を構成する-CH
2-は炭素が酸素原子、硫黄原子、アミノ基またはカルボニル基に転換されるか、前記炭化水素基に含まれた水素原子はハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホン酸基、-SO
3M、-CO
2M、ヒドロキシ基、ホルミル基本またはアミノ基に転換されるか、エポキシ、アクリレートの反応基を含むか;炭素数1~30のアルケニルであるか、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホン酸基、-SO
3M、-CO
2M、ヒドロキシ基、ホルミル基本またはアミノ基のグループから選択された一つ以上の置換基を含んだフェニルまたは芳香族炭化水素基を含み、R
14およびR
15は結合して5~7員環の窒素含有ヘテロ環を形成するか、それぞれ独立的にシクロアルキルであり得、Mはアルカリ金属原子であり、nは0~5である)。
【0028】
着色剤
【0029】
本発明に係る着色剤は染料を含む。
【0030】
本発明の一実施形態において、前記染料は、キサンテン、トリアリールメタン、クマリンおよびペリレン化合物からなる群から選択される1種以上の化合物を含むことができる。
【0031】
本発明に係る着色感光性樹脂組成物が前記染料を含む着色剤、具体的には、キサンテン、トリアリールメタン、クマリンおよびペリレン化合物からなる群から選択される1種以上の化合物を含む染料および前記化学式1で表示される化合物を含む場合、信頼性およびコントラストが優秀な着色感光性樹脂組成物の提供が可能な利点がある。
【0032】
前記キサンテン系化合物を含む染料は例えば、ローダミン(rhodamine)B、ローダミン6G、アシッドレッド52(Acid Red 52)、ソルベントレッド49(solvent red 49)、ベーシックバイオレット21(basic violet 21)などのキサンテン(xanthene)系色素であり得る。
【0033】
前記トリアリールメタン系化合物を含む染料は例えば、ベーシックブルー7(basic blue 7)、ソルベントレッド41(solvent red 41)、ソルベントバイオレット31(solvent violet 31)、ソルベントブルー5(solvent blue 5)、アシッドブルー90(Acid blue 90)、ソルベントブルー128(solvent blue 128)などを含むことができる。
【0034】
前記クマリン系化合物を含む染料は例えば、3-(2-ベンゾチアゾリル(benzothiazolyl))-7-ジエチルアミノクマリン(diethylamino coumarin)(クマリン6)、3-(2-ベンゾイミダゾリル(benzimidazolyl))-7-ジエチルアミノクマリン(クマリン7)、クマリン135、クマリン153などのクマリン系色素であり得る。
【0035】
前記ペリレン系化合物を含む染料は例えば、4,4-ジフルオロ-1,3,5,7-テトラフェニル-4-ボラ-3a、4a-ジアザ-s-インダセン(IV)、ルモゲンFレッド、ルモゲン(Lumogen)Fオレンジ、ルモゲン(Lumogen)Fイエローなどのペリリン系色素であり得る。
【0036】
本発明に係る着色感光性樹脂組成物は、前述した染料の他にも追加的に当業界で通常的に使われる染料をさらに含むことができる。例えば、カラーインデックス(Colour Index)[The Society of Dyers and Colourists出版]で、ソルベント(Solvent)、アシッド(Acid)、ベーシック(Basic)、リアクティブ(reactive)、ダイレクト(Direct)、ディスパース(Disperse)またはバット(Vat)に分類されている染料などが挙げられる。さらに具体的には、下記のようなカラーインテックス(C.I.)番号の染料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
C.I.ソルベントイエロー25,79、81、82、83、89;
C.I.アシッドイエロー7、23、25、42、65,76;
C.I.リアクティブイエロー2、76、116;
C.I.ダイレクトイエロー4、28、44、86、132;
C.I.ディスパースイエロー54、76;
C.I.ソルベントオレンジ41、54、56、99;
C.I.アシッドオレンジ56、74、95、108、149、162;
C.I.リアクティブオレンジ16;
C.I.ダイレクトオレンジ26;
C.I.ソルベントレッド24,49、90、91、118、119、122、124、125、127、130、132、160、218;
C.I.アシッドレッド73、91、92、97、138、151、211、274、289;
C.I.アシッドバイオレット102;
C.I.ソルベントグリーン1、5;
C.I.アシッドグリーン3,5、9、25、28;
C.I.ベーシックグリーン1;
C.I.バットグリーン1など。
【0038】
前記着色剤は、前記着色感光性樹脂組成物全体100重量部に対して0.1~30重量部、好ましくは1~15重量部で含まれ得る。
【0039】
前記着色剤が前記範囲未満で含まれる場合、着色力が多少低下され得、前記範囲を超過して含まれる場合、耐溶剤性または密着力が低下する恐れがあり、工程的な側面で好ましくないため、前記範囲内で含まれることが好ましい。
【0040】
本発明のさらに他の実施形態において、前記着色剤は顔料をさらに含むことができる。前記顔料は、本発明では特に限定されず、公知の着色顔料を使うことができる。例えば、前記顔料は、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)で、ピグメントで分類されている着色顔料を使うことができる。
【0041】
前記着色顔料としては、C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、123、144、149、166、168、176、177、180、192,209、215、216、224、242,254、255、264、265、269などの赤色顔料;C.I.ピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6、16、60などの青色顔料;C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、29、32,36、38などのバイオレット色顔料;C.I.ピグメントオレンジ13,31,38、41、42,43,51、55,59、61,64,65,71、73などのオレンジ色顔料;C.I.ピグメントグリーン7、19、21、26、36、58、59、62、63などのグリーン色顔料などが挙げられる。
【0042】
具体的には、前記着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6、60などの青色顔料;C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、29、32,36、38などのバイオレット色顔料;C.I.ピグメントグリーン7、36、58、59などのグリーン色顔料が好ましく、C.I.ピグメントブルー15:3、15:6、C.I.ピグメントバイオレット23およびC.I.ピグメントグリーン7、58がより好ましく、C.I.ピグメントブルー15:6およびC.I.ピグメントグリーン7がさらに好ましい。前記着色顔料をさらに含むことによって透過スペクトルの最適化が容易となり、カラーフィルターの耐光性および耐薬品性が良好となり得る利点がある。
【0043】
前記着色顔料は、必要に応じて、ロジン処理、酸性基または塩基性基が導入された顔料誘導体などを利用した表面処理、高分子化合物などによる顔料表面へのグラフト処理、硫酸微粒化法などによる微粒化処理、または不純物を除去するための有機溶剤や水などによる洗浄処理、イオン性不純物のイオン交換法などによる除去処理などが遂行されたものであり得るが、これに限定されるものではない。
【0044】
前記顔料は、前記着色剤全体100重量部に対して1~90重量部、好ましくは5~90重量部、さらに好ましくは7~82重量部で含まれ得る。前記顔料が前記範囲内で本発明に係る着色感光性樹脂組成物にさらに含まれる場合、透過スペクトルの最適化が容易となり、カラーフィルターを製造する場合、耐光性および耐薬品性が良好となり得るため、好ましい。
【0045】
化学式1で表示される化合物
本発明に係る着色感光性樹脂組成物は、染料を含む着色剤および下記の化学式1で表示される化合物を含む。
【0046】
[化学式1]
前記化学式1において、(X
+)は、下記の化学式2~化学式4のうちいずれか一つで表現され、nは1~10であり、(Y)
m-は、タングステン、モリブデン、ケイ素およびリンからなる群から選択される少なくとも1個の元素と酸素原子を有する陰イオンである。
【0047】
一方、前記陰イオンがタングステンを必須元素として含有するヘテロポリ酸またはイソポリ酸の陰イオンである場合、リンタングステン酸、ケイタングステン酸およびタングステン系イソポリ酸の陰イオンを含み、例えばケギン型リンタングステン酸イオンα-[PW12O40]3-、ドーソン型リンタングステン酸イオンα-[P2W18O62]6-、β-[P2W18O62]6-、ケギン型ケイタングステン酸イオンα-[SiW12O40]4-、β-[SiW12O40]4-、γ-[SiW12O40]4-、また、その他[P2W17O61]10-、[P2W15O56]12-、[H2P2W12O48]12-、[NaP5W30O110]14-、α-[SiW9O34]10-、γ-[SiW10O36]8-、α-[SiW11O39]8-、β-[SiW11O39]8-、[W6O19]2-およびこれらの混合物であり得る。
【0048】
[化学式2]
前記化学式2において、Zは炭素、窒素、硫黄、リンまたはヨウ素であり、R
1、R
2、R
3およびR
4は、それぞれ独立的に水素、ハロゲン原子または炭素数1~30の1価または2価に置換または非置換された炭化水素基であり、前記炭化水素基を構成する-CH
2-は炭素が酸素原子、硫黄原子、アミノ基またはカルボニル基に転換されるか、前記炭化水素基に含まれた水素原子はハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホン酸基、-SO
3M、-CO
2M、ヒドロキシ基、ホルミル基本またはアミノ基に転換されるか、エポキシ、アクリレートの反応基を含むか;アルキル、ハロゲン、CN、OR
16、SR
17、カルボニル基、スルホン酸基およびNR
18R
19からなるグループから選択された一つ以上の置換基によって置換され得るフェニルまたは芳香族炭化水素から選択されるものであり得、R
16、R
17、R
18およびR
19は、それぞれ独立的に水素、ハロゲン原子または炭素数1~30の1価または2価の炭化水素基であり、前記炭化水素基を構成する-CH
2-は炭素が酸素原子、硫黄原子、アミノ基またはカルボニル基に転換されるか、前記炭化水素基に含まれた水素原子はハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホン酸基、-SO
3M、-CO
2M、ヒドロキシ基、ホルミル基本またはアミノ基に転換されるか、エポキシ、アクリレートの反応基を含むか;炭素数1~30のアルケニルであるか、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホン酸基、-SO
3M、-CO
2M、ヒドロキシ基、ホルミル基本またはアミノ基のグループから選択された一つ以上の置換基を含んだフェニルまたは芳香族炭化水素基を含み、R
1およびR
4は結合して5~7員環の窒素含有ヘテロ環を形成するか、それぞれ独立的にシクロアルキルであり得、Mはアルカリ金属原子であり、nは0~5である。
【0049】
前記化学式2の具体的な化合物は下記のように表記され得る。
【0050】
[化学式3]
前記化学式3において、Lは炭素または窒素であり、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9およびR
10は、それぞれ独立的に水素、ハロゲン原子または炭素数1~30の1価または2価に置換または非置換された炭化水素基であり、前記炭化水素基を構成する-CH
2-は炭素が酸素原子、硫黄原子、アミノ基またはカルボニル基に転換されるか、前記炭化水素基に含まれた水素原子はハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホン酸基、-SO
3M、-CO
2M、ヒドロキシ基、ホルミル基本またはアミノ基に転換されるか、エポキシ、アクリレートの反応基を含むか;アルキル、ハロゲン、CN、OR
16、SR
17、カルボニル基、スルホン酸基およびNR
18R
19からなるグループから選択された一つ以上の置換基によって置換され得るフェニルまたは芳香族炭化水素から選択されるものであり得、R
16、R
17、R
18およびR
19は、それぞれ独立的に水素、ハロゲン原子または炭素数1~30の1価または2価の炭化水素基であり、前記炭化水素基を構成する-CH
2-は炭素が酸素原子、硫黄原子、アミノ基またはカルボニル基に転換されるか、前記炭化水素基に含まれた水素原子はハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホン酸基、-SO
3M、-CO
2M、ヒドロキシ基、ホルミル基本またはアミノ基に転換されるか、エポキシ、アクリレートの反応基を含むか;炭素数1~30のアルケニルであるか、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホン酸基、-SO
3M、-CO
2M、ヒドロキシ基、ホルミル基本またはアミノ基のグループから選択された一つ以上の置換基を含んだフェニルまたは芳香族炭化水素基を含み、R
6およびR
7は結合して5~7員環の窒素含有ヘテロ環を形成するか、それぞれ独立的にシクロアルキルであり得、Mはアルカリ金属原子であり、nは0~5である。
【0051】
前記化学式3の具体的な化合物は下記のように表記され得る。
【0052】
[化学式4]
前記化学式4において、Lは炭素、窒素または硫黄であり、R
11、R
12、R
13、R
14およびR
15は、それぞれ独立的に水素、ハロゲン原子または炭素数1~30の1価または2価に置換または非置換された炭化水素基であり、前記炭化水素基を構成する-CH
2-は炭素が酸素原子、硫黄原子、アミノ基またはカルボニル基に転換されるか、前記炭化水素基に含まれた水素原子はハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホン酸基、-SO
3M、-CO
2M、ヒドロキシ基、ホルミル基本またはアミノ基に転換されるか、エポキシ、アクリレートの反応基を含むか;アルキル、ハロゲン、CN、OR
16、SR
17、カルボニル基、スルホン酸基およびNR
18R
19からなるグループから選択された一つ以上の置換基によって置換され得るフェニルまたは芳香族炭化水素から選択されるものであり得、R
16、R
17、R
18およびR
19は、それぞれ独立的に水素、ハロゲン原子または炭素数1~30の1価または2価の炭化水素基であり、前記炭化水素基を構成する-CH
2-は炭素が酸素原子、硫黄原子、アミノ基またはカルボニル基に転換されるか、前記炭化水素基に含まれた水素原子はハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホン酸基、-SO
3M、-CO
2M、ヒドロキシ基、ホルミル基本またはアミノ基に転換されるか、エポキシ、アクリレートの反応基を含むか;炭素数1~30のアルケニルであるか、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホン酸基、-SO
3M、-CO
2M、ヒドロキシ基、ホルミル基本またはアミノ基のグループから選択された一つ以上の置換基を含んだフェニルまたは芳香族炭化水素基を含み、R
14およびR
15は結合して5~7員環の窒素含有ヘテロ環を形成するか、それぞれ独立的にシクロアルキルであり得、Mはアルカリ金属原子であり、nは0~5である。
【0053】
前記化学式4の具体的な化合物は下記のように表記され得る。
【0054】
本発明のさらに他の実施形態において、前記化学式1で表示される化合物は前記着色感光性樹脂組成物全体100重量部に対して0.01~40重量部、好ましくは0.1~40重量部、さらに好ましくは0.1~30重量部で含まれ得る。
【0055】
前記化学式1で表示される化合物が前記範囲内で含まれる場合、信頼性および高コントラスト特性の付与が可能な利点がある。
【0056】
本発明のさらに他の実施形態において、前記着色感光性樹脂組成物は結合剤樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤および溶剤からなる群から選択される1種以上をさらに含む。
【0057】
結合剤樹脂
前記結合剤樹脂は、通常光または熱の作用による反応性およびアルカリ溶解性を有し、着色材料の分散媒として作用する。
【0058】
結合剤樹脂は例えばカルボキシ基含有単量体およびこの単量体と共重合可能な他の単量体との共重合体などが挙げられる。カルボキシ基含有単量体としては、例えば不飽和モノカルボン酸や、不飽和ジカルボン酸、不飽和トリカルボン酸などの分子中に1個以上のカルボキシ基を有する不飽和多価カルボン酸などの不飽和カルボン酸などが挙げられる。
【0059】
ここで、不飽和モノカルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α-クロロアクリル酸、ケイ皮酸などが挙げられる。不飽和ジカルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸などが挙げられる。不飽和多価カルボン酸は酸無水物であり得、具体的にはマレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物などが挙げられる。
【0060】
また、不飽和多価カルボン酸は、そのモノ(2-メタクリロイルオキシアルキル)エステルであり得、例えば琥珀酸モノ(2-アクリロイルオキシエチル)、琥珀酸モノ(2-メタクリロイルオキシエチル)、フタル酸モノ(2-アクリロイルオキシエチル)、フタル酸モノ(2-メタクリロイルオキシエチル)などが挙げられる。不飽和多価カルボン酸は、その両末端ジカルボキシ重合体のモノ(メタ)アクリレートであり得、例えばω-カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノメタクリレートなどが挙げられる。これらカルボキシ基含有単量体はそれぞれ単独または2種以上を混合して使うことができる。前記カルボキシ基含有単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えばスチレン、α-メチルスチレン、o-ビニルトルエン、m-ビニルトルエン、p-ビニルトルエン、p-クロロスチレン、o-メトキシスチレン、m-メトキシスチレン、p-メトキシスチレン、o-ビニルベンジルメチルエーテル、m-ビニルベンジルメチルエーテル、p-ビニルベンジルメチルエーテル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、インデンなどの芳香族ビニル化合物;メチルアクリレート、メチルメタクリレ-ト、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルアクリレート、n-プロピルメタクリレート、i-プロピルアクリレート、i-プロピルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、i-ブチルアクリレート、i-ブチルメタクリレート、sec-ブチルアクリレート、sec-ブチルメタクリレート、t-ブチルアクリレート、t-ブチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシブチルメタクリレート、3-ヒドロキシブチルアクリレート、3-ヒドロキシブチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、2-メトキシエチルメタクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、2-フェノキシエチルメタクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールメタクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンタジエニルアクリレート、ジシクロペンタジエニルメタクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、 2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリレート、グリセロール モノアクリレート、グリセロールモノメタクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル類;2-アミノエチルアクリレート、2-アミノエチルメタクリレート、2-ジメチルアミノエチルアクリレート、2-ジメチルアミノエチルメタクリレート、2-アミノプロピルアクリレート、2-アミノプロピルメタクリレート、2-ジメチルアミノプロピルアクリレート、2-ジメチルアミノプロピルメタクリレート、3-アミノプロピルアクリレート、3-アミノプロピルメタクリレート、3-ジメチルアミノプロピルアクリレート、3-ジメチルアミノプロピルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル類;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどの不飽和エーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデンなどのシアン化ビニル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、α-クロロアクリルアミド、N-2-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-2-ヒドロキシエチルメタクリルアミドなどの不飽和アミド類;マレイミド、ペンジルマレイミド、N-フェニルマレイミド.N-シクロヘキシルマレイミドなどの不飽和イミド類;1,3-ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどの脂肪族共役ジエン類;およびポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレ-ト、ポリ-n-ブチルアクリレート、ポリ-n-ブチルメタクリレート、ポリシロキサンの重合体分子鎖の末端にモノアクリロイル基またはモノメタクリロイル基を有する巨大単量体類などが挙げられる。これら単量体はそれぞれ単独または2種以上を混合して使うことができる。特に、前記カルボキシ基含有単量体と共重合可能な他の単量体としてノルボルニル骨格を有する単量体、アダマンタン骨格を有する単量体、ロジン骨格を有する単量体などのバルキー性単量体が比誘電定数値を低くする傾向があるので好ましい。
【0061】
本発明の結合剤樹脂としては、酸価が20~200(KOH mg/g)の範囲が好ましい。酸価が前記範囲にあると、現像液中の溶解性が向上して、非露出部が容易に溶解し感度が増加し、その結果、露出部のパターンが現像時に残って残膜率(film remaining ratio)を改善するので、好ましい。ここで酸価とは、アクリル系重合体1gを中和するのに必要な水酸化カリウムの量(mg)で測定される値であり、通常水酸化カリウム水溶液を使って滴定することによって求めることができる。
【0062】
また、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC;テトラヒドロフランを溶出溶剤とする)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、簡単に「重量平均分子量」という)の3,000~200,000、好ましくは5,000~100,000である結合剤樹脂が好ましい。分子量が前記範囲にあると、コーテイングフィルムの硬度が向上して残膜率が高く、現像液中の非露出部の溶解性が優秀で解像度が向上する傾向があるので好ましい。
【0063】
結合剤樹脂の分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は1.5~6.0であるものが好ましく、1.8~4.0であるものより好ましい。分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]が前記範囲以内の場合には現像性に優れ得る。
【0064】
本発明の結合剤樹脂の含量は、着色感光性樹脂組成物中の固形分全体100重量部に対して1~60重量部で含まれることが好ましい。結合剤樹脂の含量が前記の範囲内で含まれると、現像液への溶解性が充分であるので非画素部分の基板上に現像残渣が発生し難く、現像時に露光部の画素部分の膜減少が発生し難くなるため、非画素部分の脱落性が良好な傾向がある。
【0065】
光重合性化合物
前記光重合性化合物は光および後述する光重合開始剤の作用で重合できる化合物であって、単官能単量体、2官能単量体、その他の多官能単量体などが挙げられる。
【0066】
単官能単量体の具体的な例としては、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-エチルヘキシルカルビトールアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、N-ビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0067】
2官能単量体の具体的な例としては、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイルオキシエチル)エーテル、3-メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0068】
その他の多官能単量体の具体的な例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中から2官能以上の多官能単量体が好ましく使われる。
【0069】
前記光重合性化合物は着色感光性樹脂組成物中の固形分全体100重量部に対して5~50重量部で含まれることが好ましく、7~45重量部で含まれることがより好ましい。光重合性化合物の含量が前記範囲以内で含まれると画素部の強度や平滑性が良好となり得る。
【0070】
光重合開始剤
前記光重合開始剤は制限されないが、トリアジン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物およびオキシム化合物からなる群から選択される1種以上の化合物である。前記光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物は高感度であり、この組成物を使って形成される画素ピクセルはその画素部の強度やパターン性が良好となる。
【0071】
また、光重合開始剤に光重合開始補助剤を併用すれば、これらを含有する感光性樹脂組成物がさらに高感度となって、この組成物を使ってカラーフィルターを形成する時の生産性が向上するので、好ましい。
【0072】
トリアジン系化合物としては、例えば2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシナフチル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル]-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(フラン-2-イル)エテニル]-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル]-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル]-1,3,5-トリアジンなどが挙げられる。
【0073】
アセトフェノン系化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、2-ヒドロキシ-1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパン-1-オンのオリゴマーなどが挙げられる。
【0074】
ビイミダゾール化合物としては、例えば2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’、5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(2,3-ジクロロフェニル)-4,4’、5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’、5,5’-テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’、5,5’-テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール、4,4’、5,5’位置のフェニル基がカルボアルコキシ基によって置換されているイミダゾール化合物などが挙げられる。これらの中で2,2’ビス(2-クロロフェニル)-4,4’、5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(2,3-ジクロロフェニル)-4,4’、5,5’-テトラフェニルビイミダゾールが好ましく使われる。
【0075】
また、本発明の効果を損傷しない程度であれば、この分野で通常使われているその他の光重合開始剤などをさらに含むこともできる。その他の光重合開始剤としては、例えばベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、アントラセン系化合物などが挙げられる。これらはそれぞれ単独でまたは二種以上を組み合わせて使うことができる。
【0076】
ベンゾイン系化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、0-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルスルフィド、3,3’、4,4’-テトラ(tert-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4,4’-ジ(N,N’-ジメチルアミノ)-ベンゾフェノンなどが挙げられる。チオキサントン系化合物としては、例えば、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントンなどが挙げられる。アントラセン系化合物としては、例えば、9,10-ジメトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジエトキシアントラセンなどが挙げられる。その他に、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、10-ブチル-2-クロロアクリドン、2-エチルアントラキノン、ベンジル、9,10-フェナントレンキノン、カンファーキノン、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物などがその他の光重合開始剤として挙げられる。
【0077】
また、本発明で光重合開始剤に組み合わせて使用できる光重合開始補助剤としては、アミン化合物、カルボン酸化合物などからなる群から選択される1種以上の化合物が好ましく使われ得る。
【0078】
光重合開始補助剤のうちアミン化合物の具体例としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどの脂肪族アミン化合物、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、N,N-ジメチルパラトルイジン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称:ミヒラーケトン)、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどの芳香族アミン化合物が挙げられる。アミン化合物としては、芳香族アミン化合物が好ましく使われる。
【0079】
カルボン酸化合物は例えば、フェニルチオ酢酸、メチルフェニルチオ酢酸、エチルフェニルチオ酢酸、メチルエチルフェニルチオ酢酸、ジメチルフェニルチオ酢酸、メトキシフェニルチオ酢酸、ジメトキシフェニルチオ酢酸、クロロフェニルチオ酢酸、ジクロロフェニルチオ酢酸、N-フェニルグリシン、フェノキシ酢酸、ナフチルチオ酢酸、N-ナフチルグリシン、ナフトキシ酢酸などの芳香族ヘテロ酢酸類が挙げられる。
【0080】
本発明の着色感光性樹脂組成物で光重合開始剤の含量は、着色感光性樹脂組成物のうち固形分全体100重量部に対して0.1~20重量部で含まれることが好ましく、1~10重量部で含まれることがより好ましい。前記光重合開始剤の使用量が前記の範囲内で含まれる場合には、感光性樹脂組成物が高感度化されて画素部の強度や、この画素部表面での平滑性が優秀である。
【0081】
また、光重合開始補助剤の使用量は、前記感光性樹脂組成物のうち固形分全体100重量部に対して0.1~20重量部で含まれることが好ましく、1~10重量部で含まれることがより好ましい。前記光重合開始補助剤の使用量が前記範囲内で含まれると感光性樹脂組成物の感度効率性がさらに高まり、この組成物を使って形成されるカラーフィルターの生産性が向上され得る。
【0082】
溶剤
前記溶剤は特に制限されず、着色感光性樹脂組成物の分野で使われている各種有機溶剤を使うことができる。
【0083】
具体的な例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキルエーテル類、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテートおよびメトキシペンチルアセテートなどのアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類、γ-ブチロラクトンなどの環状エステル類などが挙げられる。
【0084】
前記の溶剤は塗布性および乾燥性の面で、好ましくは前記溶剤の中で沸点が100~200℃である有機溶剤が挙げられ、より好ましくはアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ケトン類、3-エトキシプロピオン酸エチルや、3-メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類が挙げられ、さらに好ましくはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチルなどが挙げられる。これらの溶剤はそれぞれ単独でまたは二種類以上混合して使うことができる。
【0085】
本発明の着色感光性樹脂組成物中の溶剤の含量は、着色感光性樹脂組成物全体100重量部に対して60~90重量部で含まれることが好ましく、65~85重量部で含まれることがより好ましい。前記溶剤の含量が前記範囲以内で含まれる場合には、ロールコーター、スピンコーター、スリットアンドスピンコーター、スリットコーター(ダイコーターともいう場合がある)、インクジェットなどの塗布装置で塗布した時、塗布性が良好となり得る。
【0086】
添加剤
本発明に係る着色感光性樹脂組成物は、コーティング性または密着性を増進させるために酸化防止剤、密着促進剤、界面活性剤のような添加剤をさらに含むことができる。
【0087】
前記酸化防止剤は、ベンゾトリアゾール系光安定剤、トリアジン系光安定剤、ベンゾフェノン系、Hals光安定剤およびこれらの組合わせからなる群から選択される一つを使うことができるが、これに制限されるものではない。
【0088】
前記密着促進剤は、基板との密着性を高めるために添加され得るものであって、カルボキシ基、メタクリロイル基、イソシアネート基、エポキシ基およびこれらの組合わせからなる群から選択される反応性置換基を有するシランカップリング剤を含むことができるが、これに限定されるものではない。例えば、前記シランカップリング剤は、トリメトキシシリル安息香酸、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられ、これは単独および二種以上を組み合わせて使うことができる
【0089】
本発明に係る着色感光性樹脂組成物が前記界面活性剤を含む場合、コーティング性が向上され得る利点がある。例えば前記界面活性剤は、BM-1000、BM-1100(BM Chemie社)、FLUORAD FC-135/FC-170C/FC-430(住友スリーエム(株))、SH-28PA/-190/SZ-6032(東レシリコーン(株))などのフッ素系界面活性剤を使うことができるが、これに限定されない。
【0090】
この他にも本発明に係る着色感光性樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で紫外線吸収剤、凝集防止剤のような添加剤をさらに含むこともでき、前記添加剤も本発明の効果を阻害しない範囲で当業者が適切に追加して使用可能である。例えば前記添加剤は、前記着色感光性樹脂組成物全体100重量部を基準として0.05~10重量部、具体的には0.1~10重量部、さらに具体的には0.1~5重量部で使うことができるがこれに限定されるものではない。
【0091】
<カラーフィルター>
本発明は前記着色感光性樹脂組成物で製造された着色パターンを含むカラーフィルターを提供する。すなわち、本発明は前記着色感光性樹脂組成物を利用して製造されるカラーフィルターを含む。本発明に係るカラーフィルターは、染料および前記化学式1の構造で表示される化合物を共に含むことによって、輝度が低下することなく信頼性およびコントラスト比が優秀な利点がある。
【0092】
本発明のカラーフィルターは、基板および前記基板上に本発明の着色感光性樹脂組成物で製造された着色パターンを含む。前記基板は透明な材質であって、カラーフィルターの安定性のために十分な強度と支持力を有する素材を使うことができる。好ましくは化学的安定性が優秀であり、強度の高いガラスを使うことができる。各着色パターンの間に隔壁をさらに形成することもでき、ブラックマトリックスを付加することもできる。
【0093】
前記カラーフィルターの製造方法は、当該分野で広く知られている通常の方法を利用することができる。
【0094】
<画像表示装置>
また、本発明は前記カラーフィルターを含む画像表示装置を提供する。前記画像表示装置の具体例としては、液晶ディスプレイ(液晶表示装置;LCD)、有機ELディスプレイ(有機EL表示装置)、液晶プロジェクター、ゲーム機用表示装置、携帯電話などの携帯端末用表示装置、デジタルカメラ用表示装置、カーナビゲーション用表示装置などの表示装置などが挙げられるが、これに限定されない。
【0095】
本発明の画像表示装置は前記カラーフィルターを具備したことを除いては、本発明の技術分野で通常的に公知された方法で製造されるものであり得る。
【実施例】
【0096】
以下、本明細書を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本明細書に係る実施例は、多様な他の形態に変形され得、本明細書の範囲は以下で説明される実施例に限定されない。本明細書の実施例は、当業界で平均的な知識を有した者に本明細書をより完全に説明するために提供されるものである。また、以下で含量を表わす「%」および「部」は、特に言及しない限り重量基準である。
【0097】
合成例1
ドデシルピリジニウムクロリド(Dodecylpyridinium chloride)2gにメタノール30gを添加して完全に溶解させた溶液に、ホスホタングステン酸水和物(Phosphotungstic acid hydrate)(Aldrich、P4006)6gを水25gに溶解させた溶液をゆっくり滴下した。滴下後、25~50℃で4時間攪拌した後、沈殿物を濾過および水で洗浄した。濾過後、50℃の真空オーブンで12時間乾燥して下記の化学式A-1 8.5gを得た。(Eur.J.Inorg.Chem.2014、21-35を参照して合成した。)
【0098】
【0099】
合成例2
ドデシルピリジニウムクロリド(Dodecylpyridinium chloride)の代わりにテトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(Tetrapropylammonium Hydroxide)(TCI、製品番号T0171)を使って、合成例1と同じ方法で化学式A-2 7.3gを得た。
【0100】
【0101】
合成例3:結合剤樹脂(B)の合成
攪拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を具備したフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100g、プロピレングリコールモノメチルエーテル100g、フラスコ内の雰囲気を空気から窒素にした後、アゾビスイソブチロニトリル8.2g、トリシクロデカン骨格のモノメタクリレート(日立化成(株)製造FA-513M)3.1g、2-エチルヘキシルアクリレート55.2g、4-メチルスチレン5.9g、グリシジルメタクリレート85.2g、n-トデカンチオール6.0gを投入した。その後、攪拌して反応液の温度を80℃に上昇させて4時間反応させた。
【0102】
反応液の温度を常温に下げ、フラスコの雰囲気を窒素からで空気に置換した後、滴下ロートからトリエチルアミン0.2g、4-メトキシフェノール0.1g、アクリル酸43.2gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート136gと共に2時間にかけて滴下した後、100℃で6時間反応させた。以後、反応液の温度を常温に下げて琥珀酸無水物6.0gを投入し、80℃で6時間反応させた。
【0103】
このように合成されたアルカリ可溶性樹脂の固形分の酸価は36.2mgKOH/gであり、GPCで測定した重量平均分子量Mwは約7.540であり、Tgは-12℃であった。
【0104】
前記アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)および水平菌分子量(Mn)の測定については、GPC法を利用して以下の条件で遂行し、このとき、得られた重量平均分子量および水平菌分子量の比を分子量分布(Mw/Mn)とした。
【0105】
装置:HLC-8120GPC(東ソー(株)製造)
カラム:TSK-GELG4000HXL + TSK-GELG2000HXL(直列接続)
カラム温度:40℃
移動床溶剤:テトラヒドロフラン
流速:1.0ml/分
注入量:50μl
検出器:RI
測定試料濃度:0.6重量%(溶剤=テトラヒドロフラン)
較正用標準物質:TSK STANDARD POLYSTYRENE F-40、F-4、F-1、A-2500、A-500(東ソー(株)製造)
【0106】
着色感光性樹脂組成物の製造:実施例1~3および比較例1~3
下記の表1の組成の通りに実施例および比較例に係る着色感光性樹脂組成物を製造し、このとき、溶剤は着色感光性樹脂組成物全体100重量部となるように残部で含ませた。
【0107】
【0108】
カラーフィルター(Glass基板)製造例
実施例および比較例により製造された着色感光性樹脂組成物を利用してカラーフィルターを製造した。すなわち、前記それぞれの着色感光性樹脂組成物をスピンコート法でガラス基板の上に塗布した後、加熱板上に置いて100℃の温度で3分間維持して薄膜を形成させた。引き続き、前記薄膜上に透過率を1~100%の範囲で階段状に変化させるパターンと1μm~50μmのライン/スペースパターンを有する試験フォトマスクを載置し、試験フォトマスクとの間隔を100μmにして紫外線を照射した。このとき、紫外線の光源は、g、h、i線をすべて含有する1kWの高圧水銀灯を使って100mJ/cm2の照度で照射しており、特別な光学フィルターは使用していない。前記において紫外線が照射された薄膜をpH10.5のKOH水溶液現像溶液に2分の間浸けて現像した。この薄膜が被せられたガラス板を蒸留水を使用して洗浄した後、窒素ガスを吹き込んで乾燥し、220℃の加熱オーブンで1時間の間加熱してカラーフィルターを製造した。前記において製造されたカラーフィルターのフィルム厚は2.0μmであった。
【0109】
実験例
【0110】
(1)着色感光性樹脂組成物の増粘率
実施例および比較例により製造した直後の各着色感光性樹脂組成物の初期粘度(動粘度)A(mPa・s)を測定した。
【0111】
その後、実施例および比較例に係る各着色感光性樹脂組成物を25℃の環境下で、製造直後から1日間放置した後に、各着色感光性樹脂組成物の放置後粘度(動粘度)B(mPa・s)を測定した。着色感光性樹脂組成物の粘度(動粘度)の測定は、JIS Z8809に準拠し、E型粘度計(商品名:RE-01、ドンギ産業(株)製品)を使って25℃の環境下で行った。増粘率は次の式に基づいて算出した。
【0112】
増粘率=(放置後粘度B)/(初期粘度A)
【0113】
結果は下記の表2に表わしており、実施例1~3の初期粘度は比較例1の着色感光性樹脂組成物の初期粘度を標準(100)とした場合の相対値で表わし、その結果を表2に表わした。
【0114】
(2)輝度(Y)の測定
実施例および比較例に係る着色グラス板の輝度(Y)を次のようにして測定した。着色グラス板を分光側色計(商品名:CM-3700d、コニカミノルタセンシング(株)製品)にセットし、C光源2度(°)におけるX、Y、Z座標軸での透過色度を測定した。このときのY値を輝度(Y)として採用した。結果を下記の表2に表わした。
【0115】
下記の表2において、実施例1~3の輝度値は、比較例1の着色感光性樹脂組成物を使って得られる着色グラス板の輝度を標準(100)とした場合の相対値で表わし、その結果を表2に表わした。
【0116】
(3)コントラストの測定
実施例および比較例に係る、ポストベーク後の着色グラス板(カラーフィルター)のコントラストを、コントラスト測定装置を使って測定した。コントラスト測定装置は、色彩輝度計(商品名:LS-100、コニカミノルタセンシング(株)製品)、ランプ(商品名:HF-SL-100WLCG、ジョントン産業(株)製品)および偏光板(商品名:POLAX-38S、(株)ルケオ製品)で構成した。
【0117】
バックライト上に偏光板(POLAX-38S)と着色グラス板との間隔が1mmとなるように偏光板を設置した。
【0118】
その上部に回転可能な偏光板を設置した。バックライトの輝度が十分に安定していることを確認した後、上部に設置した回転可能な偏光板をクロスニコルの位置に調節して着色グラス板の輝度を測定し、引き続き90度回転させてパラレルの位置で着色グラス板の輝度を測定した。両者の比(%)をコントラストとして求めた。
【0119】
結果を下記の表2に表わしており、実施例1~3のコントラスト値は比較例1の着色感光性樹脂組成物を使って得られる着色グラス板のコントラストを標準(100)とした場合の相対値で表わし、その結果を表2に表わした。
【0120】
(4)耐熱性測定
耐熱性は、230℃下で120分の間加熱後の色変化値(ΔE*
ab)を測定して評価した。ΔE*
abはCIE 1976(L*、a*、b*)空間表色系による下記の彩度公式によって要求される値である。その結果は表2に表わした。(日本色彩学会編新編色彩科学ハンドブック(昭和60年)p.266)。
【0121】
ΔE*
ab={(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2}1/2
【0122】
[耐熱性評価基準]
○:ΔE*
ab値:3以下
△:ΔE*
ab値:3~10以下
×:ΔE*
ab値:10超過
【0123】
【0124】
前記表2に表わされたように、本発明によって前記組成物を混合した実施例1~3の着色感光性樹脂組成物は、耐熱性および高いコントラストのカラーフィルターを提供できるという点を確認することができる。