(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】印刷機のUV硬化装置の動作方法
(51)【国際特許分類】
B41M 7/00 20060101AFI20220401BHJP
B41F 23/04 20060101ALI20220401BHJP
B05D 3/06 20060101ALI20220401BHJP
B05C 9/12 20060101ALN20220401BHJP
【FI】
B41M7/00
B41F23/04 B
B05D3/06 102Z
B05C9/12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017214569
(22)【出願日】2017-11-07
【審査請求日】2020-05-14
(31)【優先権主張番号】10 2016 221 855.7
(32)【優先日】2016-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390009232
【氏名又は名称】ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Heidelberger Druckmaschinen AG
【住所又は居所原語表記】Kurfuersten-Anlage 52-60, D-69115 Heidelberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル コールマン
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァー ゴットシャルト
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-078862(JP,A)
【文献】特開2009-208463(JP,A)
【文献】特開2011-042061(JP,A)
【文献】特開2015-195133(JP,A)
【文献】特開2006-181805(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0085040(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 - 2/215
B41M 1/00 - 3/18
B41M 7/00 - 9/04
B41F 21/00 - 30/06
B05D 1/00 - 7/26
B05C 7/00 - 21/00
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷機のUV硬化装置の動作方法であって、
UV硬化性の流体(4)が、搬送方向(5)に動かされ、かつ、被印刷材料幅(3’)を有している被印刷材料(3)上に塗布されており、前記UV硬化装置(2)の、少なくとも1つの、液体冷却される第1のUV-LED放射器(10a-d)のUVビーム(14)によって、少なくとも前記第1のUV-LED放射器(10a-d)の作用領域(15)において硬化される動作方法において、
前記第1のUV-LED放射器(10a-d)が、硬化モード(M1)において、第1の動力(P1)によって動作され、少なくとも1つの、液体冷却される第2のUV-LED放射器(11a-d)が、前記硬化モードとは異なる温度調節モード(M2)において、前記第1の動力よりも低く、かつ、ゼロとは異なる第2の動力(P2)によって動作され、
前記第2の動力ひいては前記第2のUV-LED放射器の少なくとも1つのLEDアレイ(13)の温度(T1)は、前記LEDアレイに空気中の水分が凝縮された凝縮物(30)が生じないように選択されて
おり、
前記硬化モード(M1)と前記温度調節モード(M2)とにおいて、同じ冷却動力(P3)で冷却が行われ、前記第2の動力(P2)は、前記冷却動力(P3)に関連して選択される、
方法。
【請求項2】
冷却される前記第2のUV-LED放射器(11a-d)の少なくとも前記LEDアレイ(13)の前記温度(T1)は、露点温度(T2)を上回っている、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1のUV-LED放射器(10a-d)は、搬送方向(5)に対して垂直に、かつ、前記被印刷材料幅(3’)の方向(6)に対して平行に位置する横方向(6)において第1の位置(6a)に配置されており、
前記第2のUV-LED放射器(11a-d)は、前記横方向において、前記第1の位置とは異なる第2の位置(6b)に配置されている、
請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記第1の位置(6a)は、前記被印刷材料幅(3’)に相当する判型領域(8)内に位置し、前記第2の位置(6b)は、前記判型領域外に位置している、
請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記第1の位置(6a)は、前記被印刷材料(3)の被印刷領域に相当するサブジェクト領域(7)内に位置し、前記第2の位置(6b)は、前記サブジェクト領域外に位置している、
請求項3または4記載の方法。
【請求項6】
前記UV硬化装置(2)は、少なくとも2つの第1のUV-LED放射器(10a-d)の第1のグループ(10’)と、少なくとも2つの第2のUV-LED放射器(11a-d)の第2のグループ(11’)と、によって動作され、
前記被印刷材料幅(3’)に相当する判型領域(8)の大きさに関連して、前記UV硬化装置のどのUV-LED放射器が前記第1のグループに割り当てられ、前記UV硬化装置のどのUV-LED放射器が前記第2のグループに割り当てられるのかが決定される、
請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記第1のUV-LED放射器(10a-d)と前記第2のUV-LED放射器(11a-d)とは、同一の冷却媒体循環路(22)に接続されて共に冷却される、
請求項1から
6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記第1のUV-LED放射器(10a-d)と前記第2のUV-LED放射器(11a-d)とは、各々の個々に切換可能な弁を介して、冷却媒体循環路(22)に接続されており、別個に冷却される、
請求項1から
6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記第2の動力(P2)は、前記第1の動力(P1)の5%から30%の範囲にある、
請求項1から
8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記第2の動力(P2)は、前記第1の動力(P1)の10%から20%の範囲にある、
請求項
9記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つのさらなる、液体冷却されるUV-LED放射器が、前記硬化モードとは異なる温度調節モード(M2)において、前記第1の動力より低く、かつ、ゼロとは異なる第2の動力(P2)によって動作される、
請求項1から
10までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載されている特徴を有する方法に関する。
【0002】
本発明は、基材上の印刷流体、特に、紙、厚紙またはプラスチックフィルム上の重合化可能な印刷インキ、ニスまたはインキの硬化の技術分野にある。この硬化は、塗装された流体に電磁ビーム、特に紫外線を加えることによって実現される。ここでこの流体、少なくともこの流体の重合化可能な成分は、重合化される。
【背景技術】
【0003】
硬化は全面的にまたは部分的に行われてよい。基材の小さい判型領域での全面の硬化は、不必要に高いエネルギー消費をもたらす。これに加えて、判型幅外の、妨害となる散乱放射を生じさせ得る。欧州特許第1302735号明細書(EP 1 302 735 B1)は、印刷像に関連したビームの操作を開示している。しかしここでは、赤外線は乾燥のために使用されている。すなわち印刷流体は熱の導入、およびこれによる溶剤の気化によって乾燥される。この文献は、乾燥に使用される装置またはこの装置の構成部材の冷却は取り扱っていない。
【0004】
硬化は、一時的に中断されることがある。欧州特許出願公開第2907527号明細書(EP 2 907 527 A1)は、例えばニス、接着剤またはプラスチックの硬化のためのUV放射器を開示している。基材の損傷を回避するために、この放射器は、加工プロセスの中断時にスイッチオフされてよい。このような中断の後に放射器を迅速に再起動させることを可能にするために、放射器は休止中に加熱要素によって温度調節される。さらに、この文献は、この放射器のための空気冷却も開示している。
【0005】
印刷流体を硬化するための既知のUV-LED放射器は、個々に駆動制御可能であり、かつ共に液体冷却される多数のモジュールを有している。このような装置の動作時には、これらのモジュールのうちの幾つかをスイッチオフすることが必要である。例えば、基材の比較的小さい判型幅の印刷時には、縁部領域にあるモジュール、すなわち被印刷材料外にあるモジュールがスイッチオフされる。スイッチオフされたこのようなモジュールはさらに、動作中のモジュールと共に液体冷却されるので、冷却されたモジュールで凝縮物が結露してしまう、という問題が生じ得る。凝縮物とは、周辺空気の湿気のことであり得る。このようなモジュールが後の時点で再起動される場合には、さらに、これらのモジュールが、満足のいく乾燥の結果をもたらさず、それどころが損傷を被ってしまうという問題が生じ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって本発明の課題は、UV硬化装置の個々のUV-LED放射器を硬化モードにおいて動作させず、その際に凝縮物が原因となる問題を回避することができる、従来技術と比べて改善された方法を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題は、本発明では、請求項1に記載されている方法によって解決される。本発明の有利な発展形態は、従属請求項ならびに明細書および図面から明らかになる。
【0008】
本発明の、印刷機のUV硬化装置の動作方法では、UV硬化性の流体が、搬送方向に動かされ、かつ被印刷材料幅を有している被印刷材料上に塗布されており、UV硬化装置の、少なくとも1つの、液体冷却される第1のUV-LED放射器のUVビームによって、少なくとも第1のUV-LED放射器の作用領域において硬化される。第1のUV-LED放射器が、硬化モードにおいて、第1の動力によって動作され、少なくとも1つの、液体冷却される第2のUV-LED放射器が、硬化モードとは異なる温度調節モードにおいて、第1の動力よりも低く、かつゼロとは異なる第2の動力によって動作され、ここでこの第2の動力、ひいては冷却される第2のUV-LED放射器の少なくとも1つのLEDアレイの温度は、このLEDアレイに凝縮物、特に凝縮された水が生じないように選択されている、という特徴をこの方法は有している。
【0009】
本発明では、妨害する、またはむしろ損傷を与える、例えば空気中の湿気の凝縮物生成は温度調節モードにおける動作によって阻止され、UV硬化は妨害されず、したがって有利に実行される。したがって第2のUV-LED放射器は、一見、矛盾しているように見えるが、(液体によって)冷却され、(電気によって)温度調節、特に加熱もされる。
【0010】
本発明の方法は一般的に製造機器およびコーティングラインにおいて使用可能であり、特にオフセット印刷機(UV印刷インキおよびUVニス)およびインキ印刷機(UVインキおよびUVニス)において使用可能である。
【0011】
本発明の有利な発展形態は、冷却される第2のUV-LED放射器の少なくとも1つのLEDアレイの温度は、露点温度を上回っている、ということを特徴とし得る。
【0012】
本発明の有利な発展形態は、第1のUV-LED放射器は、搬送方向に対して垂直に、かつ被印刷材料幅の方向に対して平行に位置する横方向において第1の位置に配置されており、第2のUV-LED放射器はこの横方向において、第1の位置とは異なる第2の位置に配置されている、ということを特徴とし得る。
【0013】
本発明の有利な発展形態は、この第1の位置が被印刷材料幅に相当する判型領域内に位置し、この第2の位置が判型領域外に位置している、ということを特徴とし得る。
【0014】
本発明の有利な発展形態は、この第1の位置が被印刷材料の被印刷領域に相当するサブジェクト領域内に位置し、この第2の位置がサブジェクト領域外に位置している、ということを特徴とし得る。
【0015】
本発明の有利な発展形態は、このUV硬化装置が、少なくとも2つの第1のUV-LED放射器の第1のグループと、少なくとも2つの第2のUV-LED放射器の第2のグループとによって動作され、判型領域の大きさに関連して、UV硬化装置のどのUV-LED放射器が第1のグループに割り当てられ、UV硬化装置のどのUV-LED放射器が第2のグループに割り当てられるのかが決定される。
【0016】
本発明の有利な発展形態は、硬化モードと温度調節モードとにおいて、同じ冷却動力で冷却が行われる、ということを特徴とし得る。
【0017】
本発明の有利な発展形態は、第2の動力が、冷却動力に関連して選択される、ということを特徴とし得る。
【0018】
本発明の有利な発展形態は、第1のUV-LED放射器と第2のUV-LED放射器とが共に冷却される、すなわち、同一の冷却媒体循環路に接続されている、といことを特徴とし得る。有利には、個々の放射器の(付加的な切換弁を有している)別個の冷却部を省くことができる。しかし択一的に、第1のUV-LED放射器と第2のUV-LED放射器とが別個に冷却されてもよく、特に、各々の個々に切換可能な弁を介して、冷却媒体循環路に接続されていてもよい。
【0019】
本発明の有利な発展形態は、第2の動力が、第1の動力の5%から30%の範囲、有利には10%から20%の範囲にある、ということを特徴とし得る。
【0020】
本発明の有利な発展形態は、少なくとも1つのさらなる、液体冷却されるUV-LED放射器が、硬化モードとは異なる温度調節モードにおいて、第1の動力より低く、かつゼロとは異なる第2の動力によって動作される、ということを特徴とし得る。このさらなるUV-LED放射器は、例えば搬送方向において、かつ/または搬送方向に対して垂直に、第1および/または第2のUV-LED放射器に対してずらして配置されていてよい。
【0021】
本発明および本発明の有利な発展形態を以降で、図面を参照して、有利な実施例に基づいて、より詳細に説明する。より分かりやすくするために、この図面には相応する要素に同じ参照符号が付けられており、単に繰り返し現れる参照符号は部分的に省かれている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図3】硬化モードおよび温度調節モードのダイヤグラム
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、硬化装置2を有する印刷機1の一部を示している。硬化装置2は、被印刷材料幅3’を備えた被印刷材料もしくは基材3のUV硬化のために用いられる。被印刷材料上には、少なくとも部分的に、有利には印刷像に相応して、流体4が塗布されている。ここでこれはUV硬化性の流体であり、例えばUV印刷インキ、UVニスまたはUVインキのことである。被印刷材料は、搬送方向5において、印刷機を通って動かされる。いわゆる横方向6は、搬送方向に対して垂直に、かつ被印刷材料幅の方向に対して平行に延在している。被印刷材料は判型領域8を有している。判型領域8は、被印刷材料幅3’に相当する。さらに、被印刷材料はサブジェクト領域7を有している。サブジェクト領域7は、被印刷材料の、流体が加えられた領域または(搬送方向に延在する)ゾーンに相当する。印刷機は、印刷可能な最少の判型領域と最大の判型領域とを有している。示されているのは中間の判型領域である。
【0024】
UV硬化装置2は、多数のUV-LED放射器を含んでいる。これらのUV-LED放射器は、相互に隣接して配置されており、ここで少なくとも判型領域8、有利には全体的な印刷機幅もしくは最大の判型領域を覆っている。硬化装置は実質的に横方向に対して平行に配置されている。硬化装置は第1のUV-LED放射器10a-10d(位置6aでの放射器10a)を含んでおり、それらの配置はサブジェクト領域7に一致している(または他には、サブジェクト領域に一致するこれらの放射器は、第1の放射器と称される)。さらに、硬化装置は、第2のUV-LED放射器11a-11dを含んでいる(位置6bでの放射器11b)。これらは、判型領域外に配置されている。最後に、硬化装置は、さらなる第2のUV-LED放射器12aおよび12bも含んでいる。これらは、サブジェクト領域外だが、判型領域8内に配置されている。図示の例では、第1のUV-LED放射器10a-10dは活動状態にあり、第2のUV-LED放射器11a-11dおよび12aおよび12bは準無活動状態にある。すなわち、実質的に、硬化動作状態にない。したがって、被印刷材料上での流体4の乾燥は、第1のUV-LED放射器10a-10dを用いてのみ行われるだろう。換言すれば、第1のUV-LED放射器10a-10dは硬化モードM1で動作され、別のUV-LED放射器は硬化モードでは動作されない。これらは、その代わりに、本発明に相応して、硬化モードとは異なる温度調節モードM2で動作される。基材の判型および/または印刷タスクひいてはサブジェクトが変化すると、第1の放射器は第2の放射器になり、第2の放射器は第1の放射器になる。
【0025】
硬化モードM1で動作されるUV-LED放射器10a-10dは、活動状態の、硬化動作状態にある第1のグループ10’を形成し、温度調節モードM2で動作するUV-LED放射器11a-11dおよび12aおよび12bは、準無活動状態の第2のグループ11’および12’を形成する。最大の判型幅で、判型幅の、中断されていないサブジェクトの場合、もしくは相応する印刷タスクの場合、全ての放射器が活動状態、すなわち硬化モードM1にあってもよい。これとは異なる印刷タスクの場合には、少なくとも1つの放射器は準無活動状態、すなわち温度調節モードM2にある。最大判型よりも小さい判型の場合には、このような放射器は、例えば、UV硬化装置2の縁部領域にある放射器である。
【0026】
硬化装置2は、図示されているよりも多くの、例えば20個よりも多くのUV-LED放射器を有していてよい。このような硬化装置の第1および第2のグループ10’、11’および12’は、任意に、多くのUV-LED放射器を有していてよく、任意に、硬化装置の幅にわたって配置されていてよい。その点では、
図1に示されている、硬化装置の構造は、個々の選択された例として理解されるべきである。
【0027】
図2に示された、硬化装置の側面図は、見やすくするために、2つのUV-LED放射器10aおよび11bに制限されており、この中から、例示的に、放射器10aを説明する。UVビーム14を形成するためのLEDアレイまたはLED行13が示されている。図示されているのとは異なり、LEDアレイが1つの単独のLEDだけを有していてもよい。LEDアレイによって形成されたUVビームは、UV-LED放射器の作用領域15を規定する。UV-LED放射器は、各LEDアレイを有するボード16を有する。同様に、UV-LED放射器は、多数の光学的なレンズ17を有する。この光学的なレンズは、LEDアレイの前に配置されており、UVビームを形成する。レンズの前には、同様に、例えばガラスから成るUV透過性の被覆部18が配置されている。各LEDアレイの各UV-LEDのUVビームは、各レンズおよび被覆部を通過し、最終的に、作用領域において基材3上に達する。
【0028】
2つのUV-LED放射器10aおよび11bは、それぞれ液体冷却されている。このために、液体冷却装置20が設けられている。ボード16は、冷却体21上に載置されている。冷却体は、冷却媒体循環路22に接続されている。ここに示されたのとは異なり、ボードを、1つの共通の冷却体上に載置してもよい。制御装置25は、冷却媒体循環路22の冷却動力を、例えば時間単位あたりの冷却液流量を介して制御する。
図2では、2つの冷却体が、冷却媒体循環路において並列接続されていることが見て取れる。図示の例では、2つの冷却体が共に冷却されてよい。しかし、循環路内に弁を設けることも可能である。この弁は個々に切り換え可能であり、かつ各冷却体21を個々に、例えば0%から100%の間で冷却することが可能である。
【0029】
制御装置23は、ボード16に電流を供給する。ここで、各ボード16は、制御装置によって個々に駆動制御可能である。本発明では、第1のUV-LED放射器10aは、硬化モードM1で動作される。このために、UV-LED放射器10aは、制御装置を介して、(相対的に)高い動力(硬化動力)によって動作される。第2のUV-LED放射器11bは、温度調節モードM2で動作され、このために、制御装置を介して、(相対的に)低い、ゼロとは異なる動力によって動作される。本発明では、準無活動状態の第2のUV-LED放射器、すなわち、目下の印刷タスクで硬化のために使用されていない第2のUV-LED放射器は、ゼロの電力によって動作されるのではなく、温度調節モードM2に対応する動力(ゼロを上回り、かつ硬化動力を下回る)によって動作される。このような動力のもとで、第2のUV-LED放射器は、次のように温度調節、特に加熱される。すなわち、特に空気中の湿気の凝縮が、第2のUV-LED放射器の構成部材で、特に第2のUV-LED放射器のLEDアレイ13、レンズ17または被覆部18で、実質的に阻止されるように温度調節、特に加熱される。
【0030】
例えば、印刷機1の操作盤に設けられていてよい計算器24は、2つの制御装置23および25と、冷却の電気的な駆動制御もしくは駆動制御のために接続されている。この計算器によってここでは、所定の冷却動力のもとで、凝縮物回避のために十分な温度調節動力が設定される。計算器は、大気湿度を測定する(図示されていない)センサと接続されていてもよく、相応の測定値をこの設定時に考慮することができる。
【0031】
図3に示されたダイヤグラムは、硬化モードM1も、温度調節モードM2も示している。第1のUV-LED放射器10aが、第1の(硬化)動力P1によって動作されることが見て取れる。さらに、第2のUV-LED放射器11bが、第1の動力よりも低い第2の(温度調節)動力P2によって動作されることも明らかである。2つの動力P1とP2との間に、境界動力P’が位置する。これは、硬化モードM1と温度調節モードM2との間の境界を形成する。第1の動力P1は境界動力を上回り、第2の動力P2は境界動力を下回る。
【0032】
さらに、
図3から、温度も見て取れる。温度T1は、温度調節された第2のUV-LED放射器11bの(第2の)LEDアレイの温度に相当する。温度T2は、LEDアレイの露点温度もしくは凝縮点温度に相当し、温度T3は、液体冷却装置20の冷却温度に相当する。第2のUV-LED放射器11bの温度T1は、露点温度T2を上回る。したがって本発明では、準無活動状態にある第2のUV-LED放射器11bも、(電気的な)動力P2によって、露点温度を上回る温度レベルT1にされ、これによって、露点温度T2を下回る温度T3への第2のUV-LED放射器の冷却および妨害する凝縮物生成が阻止される。第1のUV-LED放射器10aもしくは属する(第1の)LEDアレイ13の温度T4は、T1を上回る。
【符号の説明】
【0033】
1 印刷機
2 硬化装置
3 被印刷材料
3’ 被印刷材料幅
4 流体
5 搬送方向
6 横方向
7 サブジェクト領域
8 判型領域
10a-d 第1のUV-LED放射器
11a-d 第2のUV-LED放射器
12a、b 第2のUV-LED放射器
10’ 第1のグループ
11’ 第2のグループ
12’ 第2のグループ
13 LEDアレイ
14 UVビーム
15 作用領域
16 ボード
17 レンズ
18 被覆部
20 液体冷却装置
21 冷却体
22 冷却媒体循環路
23 制御装置
24 計算器
25 制御装置
30 凝縮物
M1 硬化モード
M2 温度調節モード
P1 第1の動力
P2 第2の動力
P’ 境界動力
T1 第2のLEDアレイの温度
T2 露点温度
T3 冷却温度
T4 第1のLEDアレイの温度