(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】酸化物薄膜の堆積
(51)【国際特許分類】
C23C 16/40 20060101AFI20220401BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20220401BHJP
H01L 21/316 20060101ALI20220401BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
C23C16/40
C23C16/455
H01L21/316 X
H01L21/31 B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017222532
(22)【出願日】2017-11-20
【審査請求日】2020-10-22
(32)【優先日】2016-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512144771
【氏名又は名称】エーエスエム アイピー ホールディング ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100118256
【氏名又は名称】小野寺 隆
(72)【発明者】
【氏名】ハウッカ スヴィ ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ファーム エリナ
(72)【発明者】
【氏名】マテロ ライヤ エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】トイス エヴァ イー.
(72)【発明者】
【氏名】スエモリ ヒデミ
(72)【発明者】
【氏名】ニスカネン アンティ ユハニ
(72)【発明者】
【氏名】チョン ソンフン
(72)【発明者】
【氏名】ライサネン ペトリ
【審査官】松本 瞳
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-540773(JP,A)
【文献】特開2004-281479(JP,A)
【文献】特開2010-232316(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0270626(US,A1)
【文献】特表2009-539237(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0217330(US,A1)
【文献】特表2010-518644(JP,A)
【文献】国際公開第2016/147941(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0081827(US,A1)
【文献】K.Kukli etal,Properties of hafnium oxide films grown by ALD from hafnium tetraiodide and oxgen,J.Appl.Physics,2002年,92,5698,https://doi.org/10.1063/1.1515107
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00 -16/56
H01L 21/205
H01L 21/31
H01L 21/312-21/32
H01L 21/365
H01L 21/469
H01L 21/47 -21/475
H01L 21/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第2の表面に対して基材の第1の表面上に選択的に薄膜を堆積する方法であって、前記方法は、
前記基材を第1の気相前駆体と接触させることと、
前記基材を前記第1の気相前駆体と接触させた後、前記基材をパージガス又は真空に曝すことと、
前記基材をパージガス又は真空に曝した後、前記基材を分子状酸素(O
2)を含む第2の気相前駆体と接触させることと、
ここで、前記第2の気相前駆体は、酸素を含む追加の化合物を含まない、を含
み、
前記薄膜は絶縁金属酸化物を含み、また、
前記第2の表面は有機種を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の表面は、前記第2の表面とは実質的に異なる材料である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基材を分子状酸素を含む前記第2の気相前駆体と接触させた後、前記基材をパージガス又は真空に曝すことを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の表面は、自己組織化単分子膜(SAM)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の表面上に堆積された前記薄膜の厚さ又は量は、前記基材の前記第1の表面上に選択的に堆積された前記薄膜の厚さ又は量の約50%未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の気相前駆体は有機金属化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の気相前駆体は、マグネシウム、ランタン、ハフニウム、ジルコニウム、アルミニウム、イットリウム、スカンジウム、ランタニド、又は遷移金属を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の気相前駆体は、ビス(シクロペンタジエニル)マグネシウム(Mg(Cp)
2)を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の気相前駆体は、ランタンホルムアミジネート(La(FAMD)
3)を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の気相前駆体は、テトラメチルエチルアルキルアミドハフニウム(TEMAH)を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記基材を分子状酸素を含む前記第2の気相前駆体と接触させることは、前記第2の表面を分解も酸化もさせない、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記薄膜は、
100℃~
500℃の温度で堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
基材の表面上に酸化マグネシウム、酸化ランタン、又は酸化ハフニウム薄膜
を選択的に堆積させる方法であって、前記方法は、
前記基材をマグネシウム、ランタン、又はハフニウムを含む第1の気相前駆体と接触させることと、
前記基材をマグネシウム、ランタン、又はハフニウムを含む前記第1の気相前駆体と接触させた後、前記基材をパージガス又は真空に曝すことと、
前記基材をパージガス又は真空に曝した後、前記基材を分子状酸素(O
2)を含む第2の気相前駆体と接触させることと、
ここで、分子状酸素を含む前記第2の気相前駆体は、酸素を含む他の化合物を全く含まない、
ここで、前記基材は、第1の表面及び第2の実質的に異なる表面とを含み、酸化マグネシウム、酸化ランタン、又は酸化ハフニウムが、前記第2の実質的に異なる表面に対して前記基材の前記第1の表面上に選択的に堆積される、
を含む、方法。
【請求項14】
前記基材を前記第2の気相前駆体と接触させた後、前記基材をパージガス又は真空に曝すことを更に含む、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
前記基材の前記第2の表面は、有機種を有する、請求項に
13記載の方法。
【請求項16】
マグネシウム、ランタン、又はハフニウムを含む前記第1の気相前駆体は、少なくとも1つのシクロペンタジエニル(Cp)配位子を含む、請求項
13に記載の方法。
【請求項17】
前記酸化マグネシウム、酸化ランタン、又は酸化ハフニウム薄膜は、前記基材の第2の表面に対して前記基材の第1の表面上に選択的に堆積され、前記第2の表面は有機材料を含む、請求項
13に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の表面は、自己組織化単分子膜(SAM)を含む、請求項
13に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の表面は、ポリマーを含む、請求項
13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概ね、気相堆積、特に酸化物材料の周期的な気相堆積の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術
集積回路は、現在、様々な材料の層が半導体基材上の所定の配置で順次構築される精巧なプロセスによって製造されている。
【0003】
半導体基材上の材料の所定の配置は、多くの場合、基材の表面全体に材料を堆積させた後、基材の所定の領域から材料を除去することにより、例えばマスク層の堆積及び後続の選択的エッチングプロセス等により、達成される。
【0004】
場合によっては、基材上に集積化された表面を製造することに関わる工程の数を、選択的堆積プロセスを利用することにより低減することができ、後続の処理を必要とすることなく、又は後続の処理の必要性を低減して、材料を、第2の表面に対して第1の表面上に選択的に堆積する。様々な状況において、選択性は、同じ部品の異なる表面上で堆積量を区別するため、又は異なる部品上で堆積を区別するために有用であることができる。
【0005】
選択的に形成するか、あるいはブランケット堆積するかに係わらず、酸化物材料は、半導体製造を含む様々な状況において有用である。多くの場合、酸化物の均一で薄い層を形成することは有用である。
【発明の概要】
【0006】
いくつかの態様によれば、基材の第2の表面に対して第1の表面上に選択的に薄膜を堆積する方法が開示される。いくつかの実施形態では、方法は、基材を第1の気相前駆体と接触させることと、基材を第1の気相前駆体と接触させた後に基材をパージガス又は真空に曝すことと、及び基材をパージガス又は真空に曝した後に基材を分子状酸素(O2)を含む第2の気相前駆体に曝すことと、を含み得る。いくつかの実施形態では、薄膜は、絶縁性金属酸化物を含み得る。いくつかの実施形態では、第2の表面は有機種を含み得る。
【0007】
いくつかの実施形態では、第1の表面は、第2の表面とは実質的に異なる材料である。いくつかの実施形態では、方法は、基材を分子状酸素を含む第2の気相前駆体と接触させた後、基材をパージガス又は真空に曝すことを更に含み得る。いくつかの実施形態では、第2の表面は自己組織化単分子膜(SAM)を含み得る。いくつかの実施形態では、第2の表面上に堆積された薄膜の厚さ又は量は、基材の第1の表面上に選択的に堆積された薄膜の厚さ又は量の約50%未満である。
【0008】
いくつかの実施形態では、第1の気相前駆体は、有機金属化合物を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の気相前駆体は、マグネシウム、ランタン、ハフニウム、ジルコニウム、アルミニウム、イットリウム、スカンジウム、ランタニド、又は遷移金属を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の気相前駆体は、ビス(シクロペンタジエニル)マグネシウム(Mg(Cp)2)を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の気相前駆体は、ランタンホルムアミジネート(La(FAMD)3)を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の気相前駆体は、テトラメチルエチルアルキルアミドハフニウム(TEMAH)を含み得る。いくつかの実施形態では、第2の気相前駆体は、酸素を含む追加の化合物を含まない。
【0009】
いくつかの実施形態では、基材を分子状酸素を含む第2の気相前駆体と接触させることは、基材の第2の表面を分解も酸化もさせない。いくつかの実施形態では、薄膜は、約100℃~約500℃の温度で堆積される。
【0010】
いくつかの態様によれば、基材の表面上に酸化マグネシウム、酸化ランタン、又は酸化ハフニウム薄膜を堆積させる方法が開示される。いくつかの実施形態では、方法は、基材を、マグネシウム、ランタン又はハフニウムを含む第1の気相前駆体と接触させることと、基材をパージガス又は真空に曝すことと、基材をパージガス又は真空に曝した後に、基材を分子状酸素(O2)を含む第2の気相前駆体と接触させることと、を含み得る。いくつかの実施形態では、方法は、基材を第2の気相前駆体と接触させた後、基材をパージガス又は真空に曝すことを更に含み得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、基材は、第1の表面及び第2の実質的に異なる表面とを含み、酸化マグネシウム、酸化ランタン、又は酸化ハフニウムが、第2の実質的に異なる表面に対して基材の第1の表面上に選択的に堆積され得る。いくつかの実施形態では、基材の第2の表面は有機種を含む。いくつかの実施形態では、マグネシウム、ランタン、又はハフニウムを含む第1の気相前駆体は、少なくとも1つのシクロペンタジエニル(Cp)配位子を含む。いくつかの実施形態では、分子状酸素を含む第2の気相前駆体は、酸素を含む他の化合物を全く含まない。いくつかの実施形態では、酸化マグネシウム、酸化ランタン、又は酸化ハフニウム薄膜は、基材の第2の表面に対して基材の第1の表面上に選択的に堆積され、第2の表面は有機物である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明は、発明を実施するための形態から、及び本発明を例示することを意図しており本発明を限定することを意図するものではない添付図面から、よりよく理解されるであろう。
【
図1】酸化物膜を堆積する方法を一般的に例示するプロセスフロー図である。
【
図2】酸化マグネシウム膜を堆積する方法を一般的に例示するプロセスフロー図である。
【
図3】酸化ランタン膜を堆積する方法を一般的に例示するプロセスフロー図である。
【
図4】酸化ハフニウム膜を堆積する方法を一般的に例示するプロセスフロー図である。
【
図5A】第1の表面、第2の表面、及びパッシベーション層を含む基材を全体的に例示する概略図である。
【
図5B】選択的堆積処理された後の第1の表面、第2の表面、及びパッシベーション層を含む基材を全体的に例示する概略図である。
【
図6】本明細書に記載のプロセスを実行するように構成された反応器を全体的に例示する概略図である。
【
図7】いくつかの実施形態による堆積された酸化マグネシウム膜の堆積サイクル数の関数としての酸化マグネシウム膜厚を示すプロットである。
【
図8A】様々な堆積プロセス処理前後の自己組織化単分子膜(SAM)の水接触角を比較する棒グラフである。
【
図8B】第2の前駆体としてO
2を含むいくつかの実施形態による堆積プロセス、及び第2の前駆体としてH
2Oを含む堆積プロセスを用いた、第1の自然酸化シリコン表面上に堆積されたMgO膜厚と、SAMを含む第2の表面上に堆積されたMgO膜厚とを比較した棒グラフである。
【
図9A】いくつかの実施形態によるHfO
2堆積プロセス処理された後の第1の自然酸化シリコン表面及びSAMを含む第2の表面の、HfO
2の目標膜厚の関数としての水接触角測定値を示すプロットである。
【
図9B】HfO
2の目標膜厚の関数として、第1の自然酸化シリコン表面上と、SAMを含む第2の表面上とに堆積したHfO
2膜厚を示すプロットである。
【
図10】いくつかの実施形態による第2の前駆体としてO
2を含む堆積プロセスを用いて堆積されたHfO
2の目標膜厚の関数として、X線光電子分光法(XPS)によって検出されたHf(at%)の量を示すプロットである。
【
図11】いくつかの実施形態による第2の前駆体としてO
2を含むHfO
2堆積プロセス処理された後、続いてArスパッタリング処理された後のSAMを含む基材の表面の組成(at%)を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
酸化物薄膜の場合、堆積を達成するために、原子層堆積(ALD)及び化学蒸着(CVD)等の蒸着プロセスを使用することができる。典型的には、これらのプロセスは、酸素含有反応物質、例えば、オゾン(O3)、酸素含有プラズマ又は水(H2O)等、を含むが、選択的堆積プロセスでは、O3又はH2O反応物質の濃度を制御することが困難であり、O3又はH2O反応物質を反応チャンバーから除去することが困難な場合がある。更に、例えば、O3又は酸素プラズマは、堆積が望ましくない第2の表面又はパッシベーション層を破壊又は酸化する可能性がある。
【0014】
本開示のいくつかの態様によれば、第2の表面に対して基材の第1の表面上に酸化物材料を堆積させるのに、選択的堆積を用いることができる。いくつかの実施形態では、選択的堆積プロセスは、蒸着プロセス、例えば基材の表面と、1つ又は複数の前駆体又は反応物質との間の化学反応を利用する堆積プロセス、例えば原子層堆積タイプのプロセスであってもよい。いくつかの実施形態では、蒸着プロセスは、熱蒸着プロセスであってもよい。いくつかの実施形態では、選択的堆積プロセスは、周期的堆積プロセス、例えばALDプロセス又は周期的CVDプロセスであってもよい。いくつかの実施形態では、選択的堆積プロセスは、分子O2を含む酸素含有反応物質を含み得る。いくつかの実施形態では、選択的に堆積した酸化物材料は、酸化物薄膜を含み得る。いくつかの実施形態では、選択的に堆積した酸化物材料は、金属酸化物、例えば、誘電体又は絶縁金属酸化物、例えば酸化ランタン、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、遷移金属酸化物若しくは酸化アルミニウム等、を含み得る。いくつかの実施形態では、堆積した金属酸化物材料は、存在する場合には、貴金属、例えばRu等の相当量を含まない。いくつかの実施形態では、堆積した金属酸化物材料は実質的に導電性ではない。いくつかの実施形態では、堆積した金属酸化物材料は、約10,000μΩ・cmより大きい、又は約1,000,000μΩ・cmより大きい比抵抗を有する。
【0015】
いくつかの実施形態では、第1の表面は、金属材料又は半金属材料を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の表面は金属性材料を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の表面は、酸化された金属又は金属性材料を含み得る。例えば、第1の表面は金属又は金属性材料を含み、金属又は金属性材料はその表面上で酸化された、例えば金属窒化物、金属ケイ化物、金属炭化物、若しくはそれらの混合物等の材料を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、第1の表面は、1つ又は複数の遷移金属を含む。いくつかの実施形態では、第1の表面は、1つ又は複数のAl、Cu、Co、Ni、W、Nb、Feを含む。いくつかの実施形態では、第1の表面は、1つ又は複数の貴金属、例えばRu等、を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の表面は、Zn、Fe、Mn、又はMoを含み得る。いくつかの実施形態では、第1の表面は誘電材料を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の表面は、半導体、又は金属酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物、ケイ酸塩、若しくはそれらの組み合わせを含み得る。例えば、第1の表面は、1つ又は複数のRuOx、NbCx、NbBx、NiOx、CoOx、NbOx、WNCx、TaN、又はTiNを含み得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1の表面は、半導体材料を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の表面はシリコン及び/又はゲルマニウムを含み得る。例えば、第1の表面は、窒化ケイ素、酸化ケイ素、炭化ケイ素、又は酸化ゲルマニウムを含み得る。いくつかの実施形態では、第1の表面は二酸化シリコン表面を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の表面は、2つ以上の上記の材料の混合物を含み得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、酸化物材料は、基材の第2の異なる表面に対して基材の第1の表面上に選択的に堆積される。いくつかの実施形態では、第2の表面は、有機表面を含み得る。いくつかの実施形態では、第2の表面はポリマー表面を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、第2の表面は、ポリイミド、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ尿素、又は他のそのようなポリマーを含み得る。いくつかの実施形態において、ポリマーは、二量体、三量体、ポリウレタン、ポリチオ尿素、ポリエステル、又はポリイミンを含み得る。いくつかの実施形態では、有機表面は、他のポリマー形態又は上記材料の混合物を含み得る。いくつかの実施形態では、第2の有機表面は、グラフェン又は別の形態の炭素を含む。いくつかの実施形態では、有機材料はアモルファスカーボンを含み得る。いくつかの実施形態では、アモルファスカーボンは水素を含み得る。いくつかの実施形態では、第2の有機表面はフォトレジスト材料を含む。いくつかの実施形態では、表面の、例えば大気からの炭化水素汚染がない。
【0018】
いくつかの実施形態では、第2の表面は、ブロック共重合体層等の誘導自己組織化層(DSA)を含み得る。いくつかの実施形態では、第2の表面は自己組織化単分子膜(SAM)を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、第2の表面は、トリクロロ(オクタデシル)シランSAMを含み得る。いくつかの実施形態では、第2の表面は、選択的堆積中にパッシベーション層として働き得る。いくつかの実施形態では、第2の表面は有機パッシベーション材料を含むことができ、例えば、第2の表面はベンゾトリアゾール(BTA)を含み得る。いくつかの実施形態では、第2の表面は、選択的堆積中に第2の表面を不動態化する働きができる有機種を含み得る。いくつかの実施形態では、第2の表面は、連続層でも閉鎖層でもないことができる。いくつかの実施形態では、第2の表面は、レジスト、例えばフォトレジスト等、を含み得る。即ち、いくつかの実施形態では、第2の表面は、例えばフォトリソグラフィ又は写真製版工程で使用することができる感光材料を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、第2の表面は、別名EUVレジストとも称される極端紫外線リソグラフィプロセスで使用されることができるフォトレジストを含み得る。いくつかの実施形態では、第2の表面は、液浸リソグラフィプロセスで使用されることができるフォトレジスト、例えば、別名193iレジストと称される193nmの波長の光を使用する液浸リソグラフィプロセスで使用されることができるフォトレジスト、を含み得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、第2の異なる表面を形成するために、基材の第1の表面の一部の上に、第2の材料、例えばパッシベーション層、有機種若しくは材料、及び/又はSAM等、を堆積させ得る。いくつかの実施形態では、第2の表面は有機材料又は有機種を含むことができ、第1の表面は有機材料も有機種も含み得ない。
【0020】
第2の表面がパッシベーション層等の有機表面を含むいくつかの実施形態では、選択的堆積プロセスは、有機表面の厚さによって測定される有機表面の約40%未満、約30%未満、約20%未満、約10%未満、約5%未満、又は約1%未満を除去又は分解し得る。いくつかの実施形態では、選択的堆積プロセスにより、有機表面から実質的にどんな物質をも除去も分解もされることができない。いくつかの実施形態では、パッシベーション層のような有機第2の表面は、酸素含有反応物質としてのO2を含む選択的堆積プロセスによって、O3、酸素含有プラズマ、及び/又は酸素含有反応物質としてのH2Oを含む類似の堆積プロセスと比較して、実質的に除去も分解もされ得ない。
【0021】
選択性
選択性は、[(第1の表面上の堆積)-(第2の表面上の堆積)]/(第1の表面上の堆積)によって計算される百分率として与えられ得る。堆積は、様々な方法のいずれかで測定され得る。いくつかの実施形態では、堆積は、堆積した材料の測定された厚さとして与えられてもよい。いくつかの実施形態では、堆積は、堆積した材料の測定量として与えられてもよい。
【0022】
堆積が堆積した材料の厚さとして測定され、選択性が異なる表面上の厚さの比であるいくつかの実施形態では、選択性は約10%より大きく、約50%より大きく、約75%より大きく、約85%より大きく、約90%より大きく、約93%より大きく、約95%より大きく、約98%より大きく、約99%より大きく、又は更に約99.5%より大きい。本明細書に記載の実施形態では、選択性は、持続時間又は堆積の厚さにより変化し得る。
【0023】
堆積が堆積した材料の量として測定され、選択性が異なる表面上に堆積した材料の量の比であるいくつかの実施形態では、選択性は約10%より大きく、約50%より大きく、約75%より大きく、約85%より大きく、約90%より大きく、約93%より大きく、約95%より大きく、約98%より大きく、約99%より大きく、又は更に約99.5%より大きい。本明細書に記載の実施形態では、選択性は、堆積の過程にわたって持続時間又は堆積した材料の量により変化し得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、堆積は第1の表面上でのみ起こり、第2の表面上では起こらない。いくつかの実施形態では、基材の第2の表面に対して基材の第1の表面上の堆積は、少なくとも選択性約80%であり、いくつかの特定の用途には十分に選択的であることができる。いくつかの実施形態では、基材の第2の表面に対して、基材の第1の表面上の堆積は、少なくとも選択性約50%であり、いくつかの特定の用途には十分に選択的であることができる。いくつかの実施形態では、基材の第2の表面に対して、基材の第1の表面上の堆積は、少なくとも選択性約10%であり、いくつかの特定の用途には十分に選択的であることができる。当業者は、堆積における部分的な選択性さえも、得られる層に完全な選択性を容易に提供できることを理解するであろう。例えば、20nmの材料が第1の表面上に堆積され、1nmだけが第2の表面上に堆積される場合、後続の短時間のエッチング(例えば、等方性ウェットエッチング)は、第2の表面上から材料をすべて除去し、第1の表面上から材料をほんのわずかだけ除去し得る。追加的又は代替的に、第2の表面がその上の堆積を最小にするためにパッシベーション層を含む場合、パッシベーション層の除去は、その上に堆積した材料のいずれかをアンダーカット及び除去することができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、基材の第1の表面上に選択的に堆積された酸化膜は、約50nm未満、約20nm未満、約10nm未満、約5nm未満、約3nm未満、約2nm未満、又は約1nm未満の厚さであることができ、一方、基材の第1の表面上に堆積される材料の、基材の第2の表面上に堆積される材料に対する比は、約2:1以上、約20:1以上、約15:1以上、約10:1以上、約5:1以上、約3:1以上、又は約2:1以上であることができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、酸素含有反応物質としてO2を含む周期的選択的堆積プロセスは、所望のレベルを超える初期選択性、例えば第1の堆積サイクルの場合50%を超える選択性、を有し得る。いくつかの実施形態では、酸素含有反応物質としてO2を含む周期的選択的堆積プロセスは、O3、酸素含有プラズマ、及び/又は酸素含有反応物質としてH2Oを含む類似の堆積プロセスと比較して、更に後続する堆積サイクルでは、所望のレベルを超える選択性、例えば50%を超える選択性、を維持し得るいくつかの実施形態では、酸素含有反応物質としてO2を含む周期的選択的堆積プロセスは、O3、酸素含有プラズマ、及び/又は酸素含有反応物質としてH2Oを含む類似の堆積プロセスよりも、25%を超えるサイクル、50%を超えるサイクル、75%を超えるサイクル、又は100%を超えるサイクル、又はより多くのサイクルでは、所望のレベルを超える選択性を維持し得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、酸素含有反応物質としてO2を含む周期的選択的堆積プロセスは、O3、酸素含有プラズマ、及び/又は酸素含有反応物質としてH2Oを含む類似の選択的堆積プロセスと比較して、1つ又は複数の堆積サイクルではより高いレベルの選択性を達成し得る。いくつかの実施形態では、酸素含有反応物質としてO2を含む選択的堆積プロセスは、O3、酸素含有プラズマ、及び/又は酸素含有反応物としてのH2Oを含む等を含む同様の選択的堆積プロセスよりも、25%高い、50%高い、75%、100%高い、又はより高い選択性を有し得る。
【0028】
原子層堆積タイプのプロセス
原子層堆積(ALD)タイプのプロセスは、前駆体化学物質又は反応物質の制御された自己制御表面反応に基づいている。気相反応は、基材を前駆体と交互に順次接触させることによって回避される。気相反応物質は、例えば、過剰な反応物質及び/又は反応物質副生成物を反応物質パルス間に対象の基材の表面から除去することにより、基材の表面上で互いに分離される。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の基材の表面は、2つ以上の気相前駆体又は反応物質と交互に順次接触する。基材の表面を気相反応物質と接触させることは、反応物質蒸気が限られた時間、基材の表面と接触することを意味する。換言すれば、基材の表面が各気相の反応物質に限られた時間曝されると理解され得る。
【0029】
簡潔に述べると、少なくとも第1の表面と第2の異なる表面とを含む基材を、一般に減圧下で、適切な堆積温度に加熱する。堆積温度は、一般的に、反応物質の熱分解温度未満に維持されるが、反応物質の凝縮を回避し、所望の表面反応の活性化エネルギーを提供するのに十分高いレベルに維持される。もちろん、任意の所定のALD反応の適切な温度ウィンドウは、表面終端及び含まれる反応物質種に依存するであろう。ここで、温度は使用される前駆体に応じて変化し、一般的に約700℃以下であり、いくつかの実施形態では、堆積温度は一般的に熱ALDについて約100℃以上であり、いくつかの実施形態では、約150℃~約350℃であり、いくつかの実施形態では、堆積温度は約175℃~約300℃である。
【0030】
基材の表面は、気相の第1の反応物質又は前駆体と接触する。いくつかの実施形態では、気相の第1の反応物質のパルスが、基材を含む反応空間に供給される(例えば、時間分割ALD)。いくつかの実施形態では、基材は、気相の第1の反応物質を含む反応空間に移動される(例えば、空間分割ALD)。第1反応物質の約1層以下の単層が自己制御で基材の第1の表面上に吸着されるように条件を選択することができる。しかし、いくつかの構成では、ハイブリッドCVD/ALDプロセス又は周期的CVDプロセスは、基材上で異なる相互反応性反応物質の重ね合わせを可能にし、したがって1サイクル当たりで単層より多くの層を生成することができる。当業者は、特定の状況に基づいて適切な接触時間を容易に決定し得る。過剰な第1の反応物質及び反応副生成物がある場合には、不活性ガスでパージすることによって、又は第1の反応物質の存在から基材を除去することによって、基材の表面から除去される。
【0031】
反応物質間の重ね合わせが最小化され又は回避されるALDプロセスでは、例えば、真空ポンプを用いてチャンバーを排気することにより、及び/又はパージする(例えば、反応器内のガスをアルゴン若しくは窒素等の不活性ガスで置換する)ことにより、気相前駆体物質及び/又は気相副生成物は基材の表面から除去される。基材の表面への反応物質の供給は、典型的には、除去期間中に停止され、除去期間中に異なるチャンバー又は真空ポンプに分路され得る。典型的な除去時間は、約0.05~20秒、約1~10秒、又は約1~2秒である。しかし、例えば、非常に高いアスペクト比の構造若しくは複雑な表面形態を有する他の構造上で高度な共形ステップカバレッジが必要な場合、必要に応じて他の除去時間が利用され得る。
【0032】
基材の表面は、気相の第2の気体反応物質又は前駆体と接触する。いくつかの実施形態では、第2の気体反応物質のパルスが、基材を含む反応空間に供給される。いくつかの実施形態では、基材は、気相の第2の反応物質を含む反応空間に移動される。表面反応の過剰な第2の反応物質及び気体の副生成物がある場合には、これらは基材の表面から除去される。接触させること及び除去することは、各サイクルが約1層以下の単分子層を残しながら所望の厚さの薄膜が基材の第1表面の上に選択的に形成されるまで繰り返される。より複雑な材料、例えば三元材料を形成するために、基材の表面を他の反応物質と交互に順次接触させることを含む追加の段階含むことができる。
【0033】
上述したように、各サイクルの各段階はALDプロセスでは自己制御することが可能である。影響を受け易い構造表面、例えば基材の第1の表面等、を飽和させるために、過剰の反応物質前駆体が各段階において供給される。表面飽和によって、(例えば、物理的サイズ又は「立体障害」の制限を受け易い)すべての利用可能な反応性部位の反応物質の占有が確実になり、したがって優れたステップカバレッジが確実になる。典型的には、各サイクルで材料の1分子層未満が堆積されるが、いくつかの実施形態では、1サイクル中に1層を超える分子層が堆積される。
【0034】
過剰な反応物質の除去は、反応空間の内容物の一部を排気すること、及び/又は反応空間をヘリウム、窒素、アルゴン、又は他の不活性ガスでパージすることを含み得る。いくつかの実施形態では、パージすることは、不活性キャリアガスを反応空間に流し続けながら、反応性ガスの流れを止めることを含み得る。
【0035】
基材は、様々なタイプの材料を含み得る。集積回路を製造する場合、基材は、典型的には、様々な化学的及び物理的特性を有する多数の薄膜を含む。限定ではなく例として、基材は、第1の層及び少なくとも第2の異なる層を含み得る。いくつかの実施形態では、第2の異なる層は、パッシベーション層又はブロッキング層であってもよい。いくつかの実施形態では、第2の異なる層は有機層であってもよい。
【0036】
ALDタイプのプロセスで使用される前駆体は、前駆体が基材の表面と接触する前に気相であれば、標準的な条件(室温及び大気圧)下で固体、液体又は気体の材料であってもよい。基材の表面を気化した前駆体と接触させることは、前駆体蒸気が所定の時間、基材の表面と接触することを意味する。典型的には、接触時間は約0.05~10秒である。しかし、基材のタイプ、その表面積、及び/又はチャンバーのサイズに応じて、接触時間は10秒よりも更に長くてもよい。接触時間は、場合によっては、特に複数の基材上のバッチ式堆積プロセスの場合、数分のオーダーである場合がある。当業者は、特定の状況に基づいて適切な接触時間を決定し得る。
【0037】
当業者は、前駆体の質量流量を決定することもできる。いくつかの実施形態では、単一ウェーハ堆積反応容器の場合、金属前駆体の流量は、制限をしないが、約1~1000sccm、より具体的には約100~500sccmである。
【0038】
反応チャンバー内の圧力は、典型的には約0.01~約20ミリバール、又は約1~約10ミリバールである。特定の状況が与えられれば、当業者によって決定され得るが、しかし、場合によっては、圧力はこの範囲よりも高い又は低いであろう。
【0039】
膜の堆積を開始する前に、基材を典型的には適切な成長温度に加熱する。成長温度は、形成される薄膜の種類、前駆体の物理的特性等に応じて異なる。成長温度は、アモルファス薄膜が形成されるように堆積材料の結晶化温度未満である場合があり、又は、結晶薄膜が形成されるように結晶化温度を超える場合もある。堆積温度は、多くの因子、例えば、反応物質前駆体、圧力、流速、反応器の配置、堆積された薄膜の結晶化温度、及び堆積される材料の性質を含む基材の組成等、に応じて変化し得るが、これらに限定されない。当業者は、特定の成長温度を選択し得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、選択性を促進させるために、基材温度は、目的の反応物質についての熱ALDをサポートするのには十分高く、有機パッシベーション層の焼失を回避するのに十分に低い。例えば、成長温度は、一般的に、約100℃より高くてもよい。いくつかの実施形態では、成長温度は、約700℃以下、約500℃以下、又は約400℃以下であってもよい。いくつかの実施形態では、成長温度は約150℃~約500℃であり、いくつかの実施形態では成長温度は約150℃~約350℃であり、いくつかの実施形態では成長温度は約175℃~約300℃である。
【0041】
薄膜を成長させるために使用することができる反応器を堆積に使用し得る。このような反応器としては、前駆体を供給するための適切な装置及び手段を備えたALD反応器、並びにCVD反応器が挙げられる。いくつかの実施形態によれば、シャワーヘッド反応器を使用し得る。
【0042】
使用することができる適切な反応器の例としては、アリゾナ州フェニックスのASM America,Inc.、及びオランダ アルメレのASM Europe B.V.から入手可能な、市販の単一基材(又は単一ウェーハ)堆積装置、例えば、Pulsar(登録商標)反応器(例えば、Pulsar(登録商標)2000及びPulsar(登録商標)3000等)、並びにEmerALD(登録商標)反応器等が挙げられる。他の市販の反応器としては、商品名Eagle(登録商標)XP及びXP8、日本エー・エス・エム(株)(東京、日本)製の反応容器が挙げられる。
【0043】
いくつかの実施形態では、バッチ式反応器を使用し得る。適切なバッチ式反応器としては、ASM Europe B.V(オランダ アルメレ)から市販の商品名ALDA400(商標)及びA412(商標)のAdvance(登録商標)400シリーズ反応器が挙げられるが、これに限定されない。いくつかの実施形態では、中で処理中にボートが回転するA412(商標)等の垂直バッチ式反応器が利用される。したがって、いくつかの実施形態では、ウェーハは処理中に回転する。他の実施形態では、バッチ式反応器は、10枚以下のウェーハ、8枚以下のウェーハ、6枚以下のウェーハ、4枚以下のウェーハ、又は2枚のウェーハを収容するように構成されたミニバッチ反応器を備える。バッチ式反応器が使用されるいくつかの実施形態では、ウェーハ間の均一性は3%(1シグマ)未満、2%未満、1%未満又は更には0.5%未満である。
【0044】
本明細書に記載の堆積プロセスを、クラスターツールに接続された反応器又は反応空間で任意に行うことができる。クラスターツールでは、各反応空間が1つのタイプのプロセス専用であるため、各モジュール内の反応空間の温度を一定に保つことができ、これにより各運転の前に基材をプロセス温度まで加熱する反応器と比較してスループットが向上する。更に、クラスターツールでは、反応空間を基材間で所望のプロセス圧力レベルに排気する時間を短縮することが可能である。
【0045】
独立型反応器にはロードロックが装備されている。その場合、各運転と運転との間に反応空間を冷却する必要はない。いくつかの実施形態では、酸化物材料、例えば金属酸化物薄膜、を堆積させるための選択的堆積プロセスは、複数の堆積サイクル、例えばALDサイクルを含み得る。いくつかの実施形態では、各ALDサイクルは、少なくとも2つの異なる段階を含む。基材を第1の前駆体と接触させた後、過剰の第1の前駆体及び反応副生成物を基材の表面から除去することは、1つの段階とみなされることができ、第1段階、第1の前駆体段階、金属段階、金属前駆体段階、第1の金属段階、第1の金属前駆体段階等と称され得る。堆積サイクルの場合、第1段階においては、基材を、基材の表面上に約1層以下の単層を形成する第1の前駆体と接触させる。第1段階は、供給期間とも称される接触期間と、除去(例えば、パージ)期間とを含み得る。第2段階では、基材を酸素を含む第2の前駆体と接触させ、吸着した第1の前駆体を酸化物材料、例えば酸化ランタン又は酸化マグネシウム等の絶縁性金属酸化物、に転化することができる。基材を第2の前駆体と接触させた後、過剰の第2の前駆体及び反応副生成物を基材の表面から除去することは、1つの段階とみなされることができ、第2段階、第2の前駆体段階、酸化段階、酸素段階、酸素前駆体段階、第2の酸素段階、及び/又は第2の酸素前駆体段階と称され得る。N2、Ar又はHe等のキャリアガスを用いて1つ又は複数の前駆体を供給してもよい。最終的な膜の組成を調整するために、必要に応じて追加の相を加えてもよく、相を除去してもよい。
【0046】
図1を参照すると、いくつかの実施形態によれば、酸化物材料は、
工程120において、基材を第1の気相前駆体と接触させることと、
工程130において、任意の過剰な第1の前駆体及び反応副生成物がある場合には、これらを基材から除去することと、
工程140において、基材を分子状酸素(O
2)を含む第2の気相前駆体と接触させるために、基材の表面に分子状酸素(O
2)を供給することと、
工程150において、分子状酸素及び/又は任意の気体副生成物を含む任意の過剰の第2の前駆体を基材から除去することと、
工程170において、基材上に所望の厚さの酸化物材料が形成されるまで、工程160で接触させる工程及び除去する工程を任意に繰り返すことと、を含む少なくとも1つのサイクルを含む周期的熱蒸着堆積プロセス100により基材上に選択的に堆積される。
【0047】
いくつかの実施形態では、上記の周期的堆積は、ALDタイプのプロセスであってもよい。いくつかの実施形態では、堆積は、酸化物材料を第2の表面に対して第1の表面上に選択的に形成し得る。一実施形態では、第1及び第2の表面は同じ基材上にある。別の実施形態では、第1の表面は基材上にあり、第2の表面は第1の表面とは同じではない基材上にある。
【0048】
いくつかの実施形態では、基材の1つ又は複数の基材の表面は、堆積プロセス100を開始する前に前処理プロセスを受けてもよい。いくつかの実施形態では、前処理プロセスは、選択的堆積プロセス100の選択性を高め得る。いくつかの実施形態では、前処理プロセスは、堆積プロセス100を開始する前に、1つ又は複数の異なる表面に対して1つの表面上の酸化物材料の堆積を向上させ得る。いくつかの実施形態では、前処理プロセスは、堆積プロセス100を開始する前に、1つ又は複数の異なる表面に対して1つの表面上の酸化物材料の堆積を阻害し得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、前処理プロセスは、パッシベーション層又はブロック層を基材の一部の上に形成し、それにより基材上に第2の表面を形成することを含み得る。いくつかの実施形態では、前処理プロセスは、DSA層又はSAM層を基材の一部の上に形成することを含み得る。いくつかの実施形態では、前処理は、有機材料、例えばポリマー、を含む層を基材の一部の上に形成することを含み得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、前処理プロセスを使用して、後続の選択的堆積プロセスの選択性を高めることができる。いくつかの実施形態では、前処理プロセスは、第2の異なる表面上に対して第1の表面上に、酸化物材料の選択的堆積を向上させ得る。いくつかの実施形態では、前処理プロセスは、後続の選択的堆積プロセスの選択性を約2倍より高く、約5倍より高く、又は約10倍より高く向上させ得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、前処理プロセスを、後続の堆積プロセス100と同じ反応チャンバー又は同じ反応器内で実行してもよい。いくつかの実施形態では、前処理プロセスを、後続の堆積プロセス100とは異なる反応チャンバー又は異なる反応器で実行してもよい。
【0052】
再び
図1を参照すると、工程120で、基材は第1の前駆体と接触する。いくつかの実施形態では、第1の前駆体は、気相パルスの形態で反応チャンバーに導かれ、基材の表面と接触する。前駆体の約1層以下の単層が自己制御で基材の表面上に吸着されるように条件を選択し得る。しかし、いくつかの実施形態では、例えば、前駆体の分解により、材料の1層を超える単層が形成されるように条件を選択することができるが、場合によっては、選択性の喪失を引き起こすCVD気相反応を回避すべきである。
【0053】
第1の前駆体パルスを、気相の形態で供給し得る。第1の前駆体ガスは、その種が露出した表面を飽和させるのに十分な濃度でワークピースに種を運ぶためのプロセス条件下で、その種が十分な蒸気圧を示す場合に、本明細書の目的では「揮発性」とみなされる。
【0054】
いくつかの実施形態では、第1の前駆体は、基材に約0.01秒~約60秒間、約0.02秒~約30秒間、約0.025秒~約20秒間、約0.05秒~約5.0秒間、約0.05秒~約2.0秒間、又は約0.1秒~約1.0秒間接触する。
【0055】
周期的堆積プロセスで使用される第1の前駆体は、標準的な条件(室温及び大気圧)下では固体、液体又は気体材料であってもよいが、第1の前駆体は反応チャンバーに導入されて基材の表面と接触する前は気相である。いくつかの実施形態では、第1の前駆体は、金属、例えば、マグネシウム、ランタン、ハフニウム、ジルコニウム、アルミニウム又は遷移金属を含み得る。
【0056】
工程130において、過剰な第1の前駆体及び反応副生成物がある場合には、これらを基材の表面から、例えば基材をパージガス又は真空に曝すこと等、で除去する。いくつかの実施形態では、過剰の第1の前駆体及び任意の反応副生成物の除去は、窒素又はアルゴン等の不活性ガスのパルスでパージすることによって達成し得る。工程130のような除去期間中に、真空ポンプを用いて反応器チャンバーを排気することにより、及び/又は反応器内のガスをアルゴン若しくは窒素等の不活性ガスでパージすることにより、及び/又は基材を前駆体の供給から離して移動させることにより、任意の気相前駆体及び/又は任意の気相副生成物を基材の表面から除去することができる。典型的な除去時間は、約0.05~20秒、例えば、約1~10秒、より具体的には約1~2秒である。しかし、非常に高いアスペクト比の構造上に、又は複雑な表面形態を有する他の構造上に層を堆積することが必要な場合等には、必要に応じて、他の除去時間を利用することができる。当業者は、特定の状況に基づいて適切な除去時間を容易に決定し得る。
【0057】
上述したように、いくつかの実施形態では、過剰な第1の前駆体及び反応副生成物がある場合には、これらを除去することは、第1の前駆体がもはや基材に接触しないように、基材を移動させることを含み得る。いくつかの実施形態では、チャンバーの様々な部分から前駆体を除去しなくてもよい。いくつかの実施形態では、基材は、第1の前駆体を含むチャンバーの一部から、第2の前駆体を含む又は全く前駆体を含まないチャンバーの別の部分に移動される。いくつかの実施形態では、基材は、第1の反応チャンバーから第2の異なる反応チャンバーに移動される。いくつかの実施形態では、基材は、同じ反応チャンバー内の第1及び第2の前駆体に曝される。
【0058】
工程140において、基材を分子状酸素を含む第2の気相前駆体と接触させるために、分子状O2が基材の表面に供給される。いくつかの実施形態では、第2の気相前駆体は分子状酸素を含み、基材と接触する前に励起されない。したがって、いくつかの実施形態では、工程140は、その場(in situ)でもその場外(ex situ)でも励起されることなく分子状O2を反応チャンバーに流すことを含み得る。いくつかの実施形態では、工程140は、基材の表面に分子状O2の流れを供給することを含み得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、第2の前駆体は基材に供給され、第2の前駆体は基材の表面に結合した第1の前駆体と反応する。ALDシークエンスでは、反応により、基材の表面上に酸化物材料を最大でほぼ単層形成し得る。しかし、いくつかの実施形態では、酸化物材料の1層を超える分子層が基材上に形成されるが、場合によっては、選択性の喪失を引き起こすCVD気相反応を回避すべきである。
【0060】
いくつかの実施形態では、第2の前駆体は、基材に約0.01秒~約60秒間、約0.02秒~約30秒間、約0.025秒~約20秒間、約0.05秒~約5.0秒間、約0.05秒~約2.0秒間、又は約0.1秒~約1.0秒間接触する。しかし、反応器の種類、基材の種類及びその表面積に応じて、第2の前駆体の接触時間は、特に、非常に大きな表面積がコーティングされるバッチ式反応器又は他のプロセスの場合には、10秒を超えることさえあり得る。いくつかの実施形態では、接触時間は分のオーダーとすることができる。当業者は、特定の状況に基づいて最適な接触時間を容易に決定し得る。
【0061】
反応チャンバー内の第2の前駆体の濃度は、約0.01体積%~約99.0体積%であることができる。そして、第2の前駆体は、約1標準cm3/分~約4000標準cm3/分の速度で反応チャンバーを通って流れ得る。
【0062】
工程150では、工程130について上述したように、過剰な第2の前駆体及び表面反応の気体副生成物がある場合には、これらは基材から除去される。いくつかの実施形態では、不活性ガスを用いて過剰の前駆体及び反応副生成物を除去する。いくつかの実施形態では、過剰の第2の前駆体及び任意の副生成物は、基材をパージガス又は真空に曝すことによって除去される。
【0063】
接触させる及び除去する操作は、各サイクルが約1層以下の単分子層を堆積しながら、所望の厚さの酸化物材料が基材の表面上に形成されるまで任意に工程160で繰り返される。場合によっては、様々な前駆体の少なくとも1種の少なくとも部分的な分解を達成することが望ましい場合がある。したがって、いくつかの実施形態では、酸化物材料の1層を超える分子層が各堆積サイクルで基材上に形成されるように条件を選択し得るが、場合によっては、選択性の喪失を引き起こすCVD気相反応を回避すべきである。場合によっては、様々な前駆体の少なくとも1種の部分的な分解が起こり得る、そしてそれは、ある場合には、いずれかの理論に縛られることなく、少なくとも部分的に分解した前駆体のO2に対する反応性を増加し得る。
【0064】
本開示の酸化物材料の選択的堆積プロセスは、1つ又は複数のサイクルを含み得る。いくつかの実施形態は、少なくとも約5サイクル、少なくとも約10サイクル、少なくとも約50サイクル、少なくとも約100サイクル、少なくとも約200サイクル、又は少なくとも約300サイクル、又はそれを超える繰り返しを含む。
【0065】
いくつかの実施形態によれば、O2を用いて堆積された堆積薄膜は、約50%より高い、約80%より高い、約90%より高い、又は約95%より高いステップカバレッジ及びパターンローディング効果を示し得る。場合によっては、ステップカバレッジ及びパターンローディング効果は、(測定ツール又は測定方法の正確さ内で)約98%よりも大きく、場合によっては、約100%であることができる。これらの値は、2以上のアスペクト比、いくつかの実施形態では約3以上のアスペクト比、いくつかの実施形態では約5以上のアスペクト比、及びいくつかの実施形態では約8以上のアスペクト比の形体で達成され得る。
【0066】
例示の酸化物材料堆積サイクルは、基材の表面を第1の気相前駆体と接触させることから始まるが、他の実施形態では、堆積サイクルは、基材の表面を分子状酸素を含む第2の気相前駆体と接触させることから始まる。基材の表面を第1の気相前駆体及び分子状酸素を含む第2の気相前駆体と接触させることは、堆積サイクルにおいて交換可能であることは、当業者には理解されるであろう。更に、いくつかのサイクルは、同じ段階の複数の逐次繰り返しを含み得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、所望の順序で所望の時間、異なる反応物質が基材の表面に交互に順次接触するように、基材を移動する。いくつかの実施形態では、除去する工程130及び150を行わない。いくつかの実施形態では、チャンバーの様々な部分から反応物質を除去しなくてもよい。いくつかの実施形態では、基材は、第1の前駆体を含むチャンバーの一部から、第2の反応物質を含むチャンバーの別の部分へ移動される。いくつかの実施形態では、基材は、第1の反応チャンバーから第2の異なる反応チャンバーに移動される。いくつかの実施形態では、基材は、同じ反応チャンバー内の第1及び第2の前駆体に曝される。
【0068】
当業者は、選択された前駆体の特性に基づいて適切な反応物質蒸発温度を決定し得る。当業者は、選択された前駆体の特性及び堆積した酸化物材料の所望の特性に基づいて、定型的実験を通して最適な反応物質の接触時間を決定し得る。
【0069】
堆積した酸化物材料の成長速度は、反応条件に応じて変化する。後述のように、最初の実験では、成長速度は約0.01Å/サイクルと約1.5Å/サイクルとの間で変化した。いくつかの実施形態では、成長速度は、約0.01Å/サイクル~約10.0Å/サイクル、約0.1Å/サイクル~約2.5Å/サイクル、又は0.3Å/サイクル~約1.5Å/サイクルであってもよい。いくつかの実施形態では、前駆体の分解が起こる場合、成長速度は2.5Å/サイクルを超える、又は5Å/サイクルを超えることができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、堆積した酸化物材料は薄膜を含む。いくつかの実施形態では、堆積した酸化物材料は金属酸化物を含み、いくつかの実施形態では、堆積した酸化物材料は、絶縁金属酸化物、例えば、酸化ランタン、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、遷移金属酸化物又は酸化アルミニウム等、を含む。いくつかの実施形態では、堆積した酸化物材料は、酸化ランタン、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、遷移金属酸化物、又は酸化アルミニウムである。ここで用いられる場合には、酸化マグネシウムは、一般化学式がMgO又はMgOx、(式中、xが約0.8~約1.2である)を有する材料を指すが、酸化マグネシウムは化学量論である必要はないことが理解されるであろう。ここで用いられる場合には、酸化ランタンは、一般化学式がLa2O3又はLaOxを有する材料を指すが、酸化ランタンは化学量論である必要はないことが理解されるであろう。ここで用いられる場合には、酸化ハフニウムは、一般化学式がHfO2又はHfOxを有する材料を指すが、酸化ハフニウムは化学量論である必要はないことが理解されるであろう。ここで用いられる場合には、酸化ジルコニウムは、一般化学式がZrO2又はZrOxを有する材料を指すが、酸化ジルコニウムは化学量論である必要はないことが理解されるであろう。ここで用いられる場合には、酸化アルミニウムは、一般化学式がAl2O3又はAlOxを有する材料を指すが、酸化アルミニウムは化学量論である必要はないことが理解されるであろう。
【0071】
いくつかの実施形態では、金属酸化物材料は、他の成分(例えば、金属ケイ酸塩又は金属酸窒化物)を含む。いくつかの実施形態では、金属(単数)又は金属(複数)及び酸素から本質的になる金属酸化物材料が形成される。いくつかの実施形態では、金属(単数)又は金属(複数)及び酸素以外の汚染物質は、水素を除いた場合の薄膜の約30at%以下、約20at%以下、約10at%以下、約5at%以下、約3at%以下、約1.5at%以下、又は約0.5at%以下である。いくつかの実施形態では、金属(単数)又は金属(複数)及び酸素以外の汚染物質は、水素を含む場合、薄膜の約45at%以下、約30at%以下、約20at%以下、約10at%以下、約5at%以下、約3at%以下、約1.5at%以下、又は約0.5at%以下である。いくつかの実施形態では、追加の金属相等の追加の相は、最終堆積サイクルの後に、又は堆積プロセスにおいて間欠的に供給されてもよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、酸化物材料は、1つ又は複数のサイクルを含む周期的蒸着プロセスにより基材上に選択的に堆積され、各サイクルは、
基材を第1の気相前駆体と接触させることと、
基材を第1の気相前駆体と接触させた後、基材をパージガス又は真空に曝すことと、
基材を分子状酸素(O2)を含む第2の気相前駆体と接触させるために、基材の表面に分子状酸素(O2)を供給することと、
基材を分子状酸素と接触させた後、基材をパージガス又は真空に曝すことと、
基材上に所望の厚さの酸化物材料が形成されるまで、接触させる工程及び除去する工程を任意に繰り返すことと、を含む。
【0073】
ここで
図2を参照して、いくつかの実施形態によれば、酸化マグネシウム材料、例えば、酸化マグネシウム薄膜は、
工程220において、基材をマグネシウムを含む第1の気相前駆体と接触させることと、
工程230において、任意の過剰な、マグネシウムを含む第1の気相前駆体及び反応副生成物がある場合には、これらを表面から除去することと、
工程240において、基材を分子状酸素を含む第2の気相前駆体と接触させるために、基材の表面に分子状酸素(O
2)を供給することと、
工程250において、分子状酸素及び/又は任意の気体副生成物を含む任意の過剰の第2の前駆体を表面から除去することと、
工程270において、基材の表面上に所望の厚さの酸化マグネシウム薄膜が形成されるまで、工程260で接触させる工程及び除去する工程を任意に繰り返すことと、を含む少なくとも1サイクルを含む周期的堆積プロセス200により、基材の表面上に堆積される。
【0074】
いくつかの実施形態では、上記の周期的堆積は、ALDタイプのプロセスであってもよい。いくつかの実施形態では、堆積は、酸化マグネシウム材料を第2の表面に対して第1の表面上に選択的に形成し得る。一実施形態では、第1及び第2の表面は同じ基材上にある。別の実施形態では、第1の表面は基材上にあり、第2の表面は他の部分上、例えば反応器表面上にある。
【0075】
例示の酸化マグネシウムの堆積サイクルは、基材をマグネシウムを含む第1の前駆体と接触させることから始まるが、他の実施形態では、堆積サイクルは、基材を分子状酸素を含む第2の前駆体と接触させることから始まる。基材の表面をマグネシウムを含む第1の前駆体と分子状酸素を含む第2の前駆体と接触させることが、堆積サイクルにおいて交換可能であることは、当業者には理解されるであろう。
【0076】
いくつかの実施形態では、上記の堆積プロセスは、選択的堆積プロセスであってもよい。即ち、いくつかの実施形態では、第1の表面及び第2の異なる表面を含む基材が提供され、基材をマグネシウムを含む気相第1の前駆体及び分子状酸素を含む気相第2の前駆体と交互に順次接触させることを含む、少なくとも1つのサイクルを含む周期的堆積プロセスにより、酸化マグネシウムは第2の異なる表面に対して基材の第1の表面上に選択的に堆積される。
【0077】
いくつかの実施形態では、第1の前駆体はマグネシウムを含む有機金属化合物を含むことができ、第2の前駆体はO2を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の前駆体はMg(Cp)2を含むことができ、第2の前駆体はO2を含み得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、約0.01Å/サイクル~約2.0Å/サイクルの成長速度で酸化マグネシウム膜を堆積し得る。いくつかの実施形態では、酸化マグネシウム薄膜の成長速度は、約0.1Å/サイクルより大きく、約0.5Å/サイクルより大きく、約0.75Å/サイクルより大きく、又は約1.0Å/サイクルより大きくてもよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、堆積した酸化マグネシウム薄膜の標準偏差(STD)均一性は、約10%未満、約7.5%未満、約5%未満、又は更に約1%未満であることができる。いくつかの実施形態では、堆積した酸化マグネシウム薄膜は、約50%より大きい、約80%より大きい、約90%より大きい、約95%より大きい、約98%より大きい、約99%より大きい、又はより大きいステップカバレッジを有し得る。これらの値は、2以上のアスペクト比、いくつかの実施形態では約3以上のアスペクト比、いくつかの実施形態では約5以上のアスペクト比、及びいくつかの実施形態では約8以上のアスペクト比の形体で達成され得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、酸化マグネシウム選択的堆積プロセスのための堆積温度は、約150℃~約500℃、約200℃~約450℃、又は約225℃~約400℃であってもよい。いくつかの実施形態では、反応チャンバー内の圧力は、約0.001トール~約100トール、又は約0.1トール~約20トールであってもよい。
【0081】
ここで
図3を参照して、いくつかの実施形態によれば、酸化ランタン材料、例えば、酸化ランタン薄膜は、
工程320において、基材をランタンを含む第1の気相前駆体と接触させることと、
工程330において、任意の過剰な第1の前駆体及び反応副生成物がある場合には、これらを基材から除去することと、
工程340において、基材を分子状酸素を含む第2の気相前駆体と接触させるために、基材の表面に分子状酸素(O
2)を供給することと、
工程350において、分子状酸素及び任意の気体副生成物を含む任意の過剰の第2の前駆体を基材から除去することと、
工程370において、基材の第1の表面上に所望の厚さの酸化物材料が形成されるまで、工程360で接触させる工程及び除去する工程を任意に繰り返すことと、を含む少なくとも1サイクルを含むADLタイプの堆積プロセス300により、基材上に選択的に堆積される。
【0082】
いくつかの実施形態では、上記の周期的堆積は、ALDタイプのプロセスであってもよい。いくつかの実施形態では、堆積は、酸化ランタン材料を第2の表面に対して第1の表面上に選択的に形成し得る。一実施形態では、第1及び第2の表面は同じ基材上にある。別の実施形態では、第1の表面は基材上にあり、第2の表面は他の部分上、例えば反応器表面上にある。
【0083】
例示の酸化ランタンの堆積サイクルは、基材をランタンを含む第1の前駆体と接触させることから始まるが、他の実施形態では、堆積サイクルは、基材を分子状酸素を含む第2の前駆体と接触させることから始まる。基材の表面をランタンを含む第1の前駆体と分子状酸素を含む第2の前駆体と接触させることが、堆積サイクルにおいて交換可能であることは、当業者には理解されるであろう。
【0084】
いくつかの実施形態では、第1の前駆体はランタンを含む有機金属化合物を含むことができ、第2の前駆体はO2を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の前駆体はランタンホルムアミジネート(La(FAMD)3)を含むことができ、第2の前駆体はO2を含み得る。
【0085】
ここで
図4を参照して、いくつかの実施形態によれば、酸化ハフニウム材料、例えば、酸化ハフニウム薄膜は、
工程420において、基材をハフニウムを含む第1の気相前駆体と接触させることと、
工程430において、任意の過剰な第1の前駆体及び反応副生成物がある場合には、これらを基材から除去することと、
工程440において、基材を分子状酸素を含む第2の気相前駆体と接触させるために、基材の表面に分子状酸素(O
2)を供給することと、
工程450において、分子状酸素及び任意の気体副生成物を含む任意の過剰の第2の前駆体を基材から除去することと、
工程470において、基材の第1の表面上に所望の厚さの酸化物材料が形成されるまで、工程460で接触させる工程及び除去する工程を任意に繰り返すことと、を含む少なくとも1サイクルを含むADLタイプの堆積プロセス400により、基材上に選択的に堆積される。
【0086】
いくつかの実施形態では、上記の周期的堆積は、ALDタイプのプロセスであってもよい。いくつかの実施形態では、堆積は、酸化ハフニウム材料を第2の表面に対して第1の表面上に選択的に形成し得る。一実施形態では、第1及び第2の表面は同じ基材上にある。別の実施形態では、第1の表面は基材上にあり、第2の表面は他の部分上、例えば反応器表面上にある。
【0087】
例示の酸化ハフニウムの堆積サイクルは、基材をハフニウムを含む第1の前駆体と接触させることから始まるが、他の実施形態では、堆積サイクルは、基材を分子状酸素を含む第2の前駆体と接触させることから始まる。基材の表面をハフニウムを含む第1の前駆体と分子状酸素を含む第2の前駆体と接触させることが、堆積サイクルにおいて交換可能であることは、当業者には理解されるであろう。
【0088】
いくつかの実施形態では、第1の前駆体は、ハフニウムを含む有機金属化合物を含むことができ、第2の前駆体は、O2を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の前駆体は、アルキルアミドハフニウム(TEMAH)を含むことができ、第2の前駆体は、O2を含み得る。
【0089】
図5Aは選択的堆積プロセス処理される前の第1の表面510及び第2の異なる表面520を含む基材500を全体的に例示する概略図である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される堆積プロセスを使用して、酸化物材料を第2の表面520に対して基材500の第1の表面510上に選択的に堆積させることができる。いくつかの実施形態では、基材の第2の表面520は、本明細書に記載のように有機パッシベーション層522、例えばポリマーパッシベーション層又はSAM、を含み得る。
【0090】
図5Bは、本明細書に記載のように選択的堆積プロセス処理された後の第1の表面510及び第2の異なる表面520を含む基材500を全体的に例示する概略図である。所望の厚さの酸化物材料530が、パッシベーション層522を含む第2の表面520に対して基材の第1の表面510上に選択的に堆積されている。したがって、いくつかの実施形態では、有機パッシベーション層522は、第2の表面520上の酸化物材料530の堆積を抑制又は防止し得る。更に、いくつかの実施形態では、選択的堆積プロセスは、下にある第2の表面520を露出させるのに十分には有機パッシベーション層522を分解することも酸化することもなく、第1の表面510上に酸化物材料530を堆積することができる。
【0091】
図5A及び
図5Bは概略図であり、その中に示される層の厚さは、いくつかの実施形態における層の実際の厚さ又はサイズに必ずしも対応していないことに留意されたい。更に、酸化物材料は、第2の表面520又はパッシベーション層522の上に堆積されているように例示されていないが、いくつかの実施形態では、いくつかの酸化物材料530は、堆積における選択性により第1の表面510上よりもより薄い厚さに、第2の表面520上に堆積され得る。いくつかの実施形態では、第2の表面502が、その上の堆積を最小にするためにパッシベーション層522を含む場合、パッシベーション層422の除去は、その上に堆積した酸化物材料430のいずれかをアンダーカット及び除去し得る。しかし、いくつかの実施形態では、酸化物材料430の堆積は、第1の表面410上でのみ起こり、第2の表面420上では起こらない。
【0092】
図6を参照すると、いくつかの実施形態では、上記堆積プロセスを、堆積チャンバー又は反応空間510を含む反応器600内で行うことができる。上記のプロセスを実施するために、いくつかの実施形態では、反応器500は、制御システム620を含む。制御システム620は、堆積チャンバー610へ接続された第1の金属前駆体源630を介して、堆積チャンバー610への第1の金属前駆体の供給を制御するように構成され得る。制御システム620は、堆積チャンバー610へ接続された酸素源640を介して、堆積チャンバー610への第2の反応物質の供給を制御するようにも構成され得る。したがって、制御システム620は、
図1~4に関して上述したように、例えば金属前駆体源630及び/又は酸素源640から前駆体のパルスを介して、所望の交互及び/又は順次接触工程を提供することができる。制御システム620は、プロセッサ622及びメモリ624を含むことができる。いくつかの実施形態では、制御システム620は、メモリに格納され、プロセスを実行するように構成されたソフトウェアプログラムを含み得る。それは、業界で知られている他のコンポーネントを含むこともできる。汎用コンピュータを制御システム620として使用するようにプログラムすることができる。制御システム620は、メモリに格納されたプログラムに従って、例えば、第1の金属前駆体源630及び/又は酸素源640のバルブを開閉することによって、第1の金属前駆体及び/又は第2の反応物質を堆積チャンバー610に自動的に供給し得る。制御システム620は、他の動作パラメータの中で、温度、圧力、及びロボット制御等の反応器600の他の動作を制御するように構成され得る。
【0093】
当業者は、空間分割ALD又はハイブリッドシステムに本明細書の教示をどのようにして取り入れるのかを容易に理解するであろうが、固定基材のための時間分割ALDの例を用いて反応器600の操作手順をここで説明する。第1の段階では、第1の金属前駆体を堆積チャンバー610に供給する。具体的には、酸素源640が堆積チャンバー610へ流れない間、第1の金属前駆体が、例えば第1の供給導管を通って堆積チャンバー610内へ流れ込むことができるように、第1の金属前駆体源630は取り込まれる。第2の反応物質の流れは、例えば2002年1月21日公開、国際特許公開第02/08488号の8ページに記載されているようなパルスバルブ又は不活性ガス弁の配置によって、堆積チャンバー610へ流れることを防止することができ、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、パージガスは、第1の金属前駆体源630を堆積チャンバー610に接続する第1の供給導管と、酸素源640を堆積チャンバー610に接続する第2の供給導管との両方を通って流れる。この段階の間に、第1の金属前駆体を基材の活性部位に吸着させて、本明細書に記載の吸着単層を形成することができる。第2の段階の間に、任意の過剰の第1の金属前駆体及び任意の気体副生成物が堆積チャンバー610から、又は少なくとも基材の表面の近傍から除去される。いくつかの実施形態では、これは、供給導管を通るパージガスの流れを継続しながら、第1の金属前駆体流を遮断することにより達成され得る。いくつかの実施形態では、パージガスを、追加的に又は代わりに堆積チャンバー610へ独立して接続された第3の供給導管を介して供給し得る。第3の段階では、第2の反応物質は堆積チャンバー610に供給される。具体的には、第1の金属前駆体源630が堆積チャンバー610に流れない間に、酸素源640は取り込まれて堆積チャンバー610に流れる。いくつかの実施形態では、パージガスは依然として第1及び第2の導管の両方を通って供給される。第1の金属前駆体及び第2の反応物質は相互に反応性である。このように、第1の金属前駆体の吸着種(典型的には、純粋なALDでは単分子層以下)は、堆積チャンバー610に導入された第2の反応物質と反応する。この反応は、所望の金属酸化物薄膜を基材上に残す。この反応は、一般的に自己制御的であり、第1の金属前駆体の吸着種の全量が消費されると終了する。反応は、薄層中に元素を残してもよく、又は単に吸着層から配位子を取り除いてもよいことに注目されたい。第4の段階では、任意の過剰の第2の反応物質及び任意の気体の副生成物が堆積チャンバー610から、又は少なくとも基材の表面の近傍から除去される。これは、パージガスが第1及び第2の供給導管の両方に流れ続ける間に、酸素源を遮断することによって達成され得る。金属酸化物薄膜を所望の厚さに堆積させるために、上記のサイクルを必要に応じて繰り返すことができる。勿論、いくつかの実施形態では、パージ段階は、減圧段階、又は、所定の反応物質を含まない別の堆積チャンバーへ、若しくは所定の反応物質を含まない堆積チャンバーの領域へ基材を移動させることを含む段階で置き換えることができる。
【0094】
第1の前駆体
いくつかの異なる第1の前駆体を、本明細書に記載の選択的堆積プロセスで使用し得る。いくつかの実施形態では、第1の前駆体は金属を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の前駆体は、少なくとも1つのアルキル配位子、例えばC1-C4アルキル配位子等、を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の前駆体は、有機金属化合物又は金属有機化合物を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の前駆体は、少なくとも1つのシクロペンタジエニル(Cp)配位子を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の前駆体は、ホルムアミジネート又はアミジネート化合物を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の前駆体はβ-ジケトネート化合物を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の前駆体は、ジアルキルアミノ化合物等のアルキルアミノ化合物を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の前駆体は、-NMe2、-NEt2又は-NEtMe等のアルキルアミノ配位子を含み得る。
【0095】
いくつかの実施形態では、第1の前駆体は、マグネシウムを含み得る。いくつかの実施形態では、第1の前駆体は、マグネシウムを含む有機金属化合物又は金属有機化合物であることができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1の前駆体は、Mg(Cp)2又は、その誘導体を含み得る。
【0096】
いくつかの実施形態では、第1の前駆体はランタンを含み得る。いくつかの実施形態では、第1の前駆体はランタンを含む有機金属化合物であることができる。いくつかの実施形態では、第1の前駆体は、ランタンホルムアミジネート(La(FAMD)3)を含み得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、第1の前駆体はハフニウムを含み得る。いくつかの実施形態では、第1の前駆体はハフニウムを含む有機金属化合物を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、第1の前駆体は、アルキルアミノハフニウム化合物、例えば、テトラメチルエチルアルキルアミノハフニウム(TEMAH、Hf(NEtMe)4)又はその誘導体等、を含み得る。
【0098】
いくつかの実施形態では、第1の前駆体はジルコニウムを含み得る。いくつかの実施形態では、第1の前駆体はアルミニウムを含み得る。いくつかの実施形態では、第1の前駆体は遷移金属を含む。いくつかの実施形態では、第1の前駆体は、Ru等の貴金属を含まない。
【0099】
いくつかの実施形態では、第1の前駆体は次の式:
MgL2 (I)
(式中、Mgはマグネシウム、及び各Lは炭化水素基であるように互いに独立して選択され得る)を有する。
【0100】
いくつかの実施形態では、各Lは、直鎖、分枝鎖、環状アルキル又は不飽和炭化水素基、例えば、アルケニル、アルキニル、芳香族、シクロペンタジエニル、フェニル、シクロオクタジエニル、又はシクロヘプタトリエニル基等、であることができる。いくつかの実施形態では、1つ又は両方のLはシクロペンタジエニル基であることができる。いくつかの実施形態では、1つ又は両方のLは二座配位子、例えばベタジケトネート、グアニジネート又はアミジネート等、であることができる。いくつかの実施形態において、ベタジケトネート配位子は、アセチルアセトネート、又は2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト(thd)であることができる。
【0101】
いくつかの実施形態では、第1の前駆体は、シクロペンタジエニル化合物又はその誘導体、例えばアルキル置換シクロペンタジエニル化合物であり、以下の式:
Mg(R1R2R3R4R5Cp)2 (II)
(式中、R1基のそれぞれ、R2基のそれぞれ、R3基のそれぞれ、R4基のそれぞれ、及びR5基のそれぞれは、水素、又は置換若しくは非置換のアルキル基であるように互いに独立して選択され得る)を有する。
【0102】
いくつかの実施形態では、R1基のそれぞれ、R2基のそれぞれ、R3基のそれぞれ、R4基のそれぞれ、及びR5基のそれぞれは、水素、又は直鎖若しくは分枝鎖C1-C5アルキル基であるように、互いに独立して選択され得る。いくつかの実施形態では、R1基のそれぞれ、R2基のそれぞれ、R3基のそれぞれ、R4基のそれぞれ、及びR5基のそれぞれは、水素又はC1-C3アルキル基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、又はi-プロピル基等、であるように、互いに独立して選択され得る。いくつかの実施形態では、第1の前駆体はMg(Cp)2であることができる。
【0103】
いくつかの実施形態では、第1の前駆体は、1つ又は複数の配位子、例えばシクロペンタジエニル(「Cp」)配位子等、を含む。これらの第1の前駆体化合物を、以下の化合物からなる群から選択することができる。
(Cp)xLa (III);
(Cp)xLyLa (IV);
(Cp)xWnLa (V);
(CP)xLyWnLa (VI);
Laはランタン、Cpはシクロペンタジエニル又はシクロオクタジエニル基であり、化学式I~IVのCp基は互いに同じであっても他のものと異なっていてもよい。xはCp配位子の数を示し、1からLaの酸化状態までの整数である。シクロオクタジエンは、通常、Codと短縮されるが、ここでは、シクロペンタジエニル及びシクロオクタジエニルの両方に対して単一の一般的な略語Cpを使用することにより表記を簡略化することとする。
Lyはその1つ又は複数の原子から金属に結合する中性付加物配位子であり、yは結合配位子の数を表す。
WはCpではない1価の他の配位子であり、nは配位子の数を示す。いくつかの実施形態では、Wはアミジネート又はホルムアミジネートである。いくつかの実施形態では、Wはβ-ジケトネート又はその対応する硫黄若しくは窒素化合物、ハロゲン化物、アミド、アルコキシド、カルボキシレート又はシッフ塩基である。
【0104】
化学式I~IVにおいて、シクロペンタジエニル及び/又はシクロオクタジエニル基は同一分子内に存在してもよく、その結果、Si、N、P、Se、S又はBから選択されるヘテロ原子を含み得る、置換又は非置換のC1-C6鎖からなる2つのCp基の間に架橋が存在する。
【0105】
いくつかの実施形態では、Lは互いに独立して選択される、
(i)炭化水素、
(ii)酸素を含有する炭化水素、
(iii)窒素を含有する炭化水素、
(iv)硫黄を含有する炭化水素、
(v)リンを含有する炭化水素、
(vi)ヒ素を含有する炭化水素、
(vii)セレンを含有する炭化水素、及び/又は
(viii)テルルを含有する炭化水素、である。
【0106】
いくつかの実施形態では、Lは互いに独立して選択される、
(a)アミン又はポリアミン、
(b)ビピリジン、
(c)化学図式:
【化1】
(式中、Gは-O-、-S-又は-NR
1であり、R
1は互いに独立して選択される水素、又は置換若しくは非置換の、環状、直鎖若しくは分枝鎖アルキル、アルケニル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルコキシ、チオ、シアノ又はシリル基である。R
1中の環式又は芳香族環は、ヘテロ原子を含み得る。水素又はR
1型置換基は化学式Vの炭素原子に結合していてもよい)による配位子、又は、
(d)エーテル又はチオエーテル、である。
【0107】
化学式I~IVのシクロペンタジエニル又はシクロオクタジエニル基、Cpは、式:
Cp’RmHa-m (VII)
(式中、aが8である場合mは0~8の整数であり、aが5である場合、mは0~5の整数であり、
Cp’は、縮合した又は単離したシクロペンタジエニル若しくはシクロオクタジエニルであり、
Rは、互いに独立して選択された1~6個の炭素原子を含む炭化水素フラグメント、例えばC1-C6炭化水素である)を有する。
【0108】
いくつかの実施形態では、各R配位子は、互いのR配位子と同一であることができ、又は各R配位子は、互いに異なることもできる。即ち、各R配位子を互いに独立して選択し得る。いくつかの実施形態において、Rは、置換若しくは非置換の、環状、直鎖若しくは分枝鎖アルキルアルケニル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルコキシ、チオ、アミノ、シアノ又はシリル基であることができる。置換基の環状又は芳香族環は、ヘテロ原子を含み得る。置換基の例は、メチル、エチル、プロピル及びイソプロピル基である。
【0109】
化学式II及びIVに示される中性付加物配位子Lは、互いに独立して選択された、エーテル、アミン、又は溶媒分子、例えばテトラヒドロフラン等、であることができ、1つの原子で金属との結合を形成する。いくつかの原子で金属との結合を形成する好適な中性付加物配位子の例は、ポリエーテル及びポリアミンである。
【0110】
いくつかの実施形態では、第1の前駆体は、少なくとも1つのシクロペンタジエニル配位子を含むことができ、式VIII:
(R1R2R3R4R5Cp)x-MR0
z-(R6)y (VIII)
(式中、Mは、Mg、Sr、Ba、Sc、Y、及びランタニドからなる群から選択される金属であり、
ここで、R0基のそれぞれ、R1基のそれぞれ、R2基のそれぞれ、R3基のそれぞれ、R4基のそれぞれ、及びR5基のそれぞれは、互いに独立して、
i. 水素、
ii. 互いに独立して置換又は非置換の、直鎖及び分枝鎖C1-C6アルキル、アルケニル並びにアルキニル基、
iii. アリール、フェニル、シクロペンタジエニル、アルキルアリール、及びハロゲン化炭素環式基等の炭素環式基、及び
iv. 複素環式基、から選択されることができ、
ここで、R6は、互いに独立して、
i. 水素、
ii. 互いに独立して置換又は非置換の、直鎖及び分枝鎖C1-C6アルキル、アルケニル並びにアルキニル基、
iii. アリール、フェニル、シクロペンタジエニル、アルキルアリール、ハロゲン化炭素環基等の炭素環式基、
iv. 複素環式基、及び、
v. NR1R2、から選択され、並びに、
ここで、x≧1、y≧1、及びz≧0である)、により記載され得る。
【0111】
いくつかの実施形態では、シクロペンタジエニル化合物を含む第1の前駆体は、式IX:
(R1R2R3R4R5Cp)x-MR0
z-(NR1R2)y (IX)
(式中、Mは、Mg、Sr、Ba、Sc、Y、又はランタニドからなる群から選択される金属であり、
ここで、R0基のそれぞれ、R1基のそれぞれ、R2基のそれぞれ、R3基のそれぞれ、R4基のそれぞれ、及びR5基のそれぞれは、互いに独立して、
i. 水素、
ii. 互いに独立して置換又は非置換の、直鎖及び分枝鎖C1-C6アルキル、アルケニル並びにアルキニル基、
iii. アリール、フェニル、シクロペンタジエニル、アルキルアリール、及びハロゲン化炭素環式基等の炭素環式基、及び
iv. 複素環式基、から選択され、並びに、
ここで、x≧1、y≧1、及びz≧0である)、により記載されるように、窒素を介して金属と結合する少なくとも1つの配位子を含む。
【0112】
式IXにおいて、アルキル、アルケニル及びアルキニル基は、1~6個の炭素原子を有する任意の直鎖又は分枝鎖アルキル、アルケニル及びアルキニル基から選択することができる。このようなアルキル基の例としては、メチル、エチル、n-及びi-プロピル-、n-、i-及びt-ブチル-、n-及びイソアミル、n-及びイソペンチル、n-及びイソヘキシル、及び2,3-ジメチル-2-ブチルが挙げられる。いくつかの実施形態では、アルキル基が用いられる。別の実施形態では、対応する不飽和度を有する対応する基を含むC1-6アルケニル及びアルキニル基が用いられる。
【0113】
いくつかの実施形態では、第1の前駆体は、少なくとも1つのシクロペンタジエニル配位子及び少なくとも1つのキレート配位子、例えば二座配位子、を有する化合物である。いくつかの実施形態では、この化合物は、以下のように、式X:(R
1R
2R
3R
4R
5Cp)
x-MR
0
z-(NR
1NR
2R)
y、
【化2】
(式中、Mは、Mg、Sr、Ba、Sc、Y、又はランタニドからなる群から選択される金属であり、
Rは、互いに独立して置換若しくは非置換の、任意の直鎖及び分枝鎖C1-C6アルキル、アルケニル又はアルキニル基であり、Rは、2つの架橋窒素原子にアルキル、アルケニル及びアルキニル基の任意の位置に結合し得る。
ここで、R
0基のそれぞれ、R
1基のそれぞれ、R
2基のそれぞれ、R
3基のそれぞれ、R
4基のそれぞれ、及びR
5基のそれぞれは、互いに独立して、
i. 水素、
ii. 互いに独立して置換又は非置換の、直鎖及び分枝鎖C1-C6アルキル、アルケニル並びにアルキニル基、
iii. アリール、フェニル、シクロペンタジエニル、アルキルアリール、及びハロゲン化炭素環式基等の炭素環式基、及び
iv. 複素環式基、から選択され、並びに、
ここで、x≧1、y≧1、及びz≧0である)、により表される。
【0114】
いくつかの実施形態では、第1の前駆体は、以下のように、式XI:(R
1R
2R
3R
4R
5Cp)
x-MR
0
z-[(NR
1NR
2)CNR
3]
y、
【化3】
(式中、Mは、Mg、Sr、Ba、Sc、Y、又はランタニドからなる群から選択される金属であり、
ここで、R
0基のそれぞれ、R
1基のそれぞれ、R
2基のそれぞれ、R
3基のそれぞれ、R
4基のそれぞれ、及びR
5基のそれぞれは、互いに独立して、
i. 水素、
ii. 互いに独立して置換又は非置換の、直鎖及び分枝鎖C1-C6アルキル、アルケニル並びにアルキニル基、
iii. アリール、フェニル、シクロペンタジエニル、アルキルアリール、及びハロゲン化炭素環式基等の炭素環式基、及び
iv. 複素環式基、から選択され、並びに、
ここで、x≧1、y≧1、及びz≧0である)、により表される。
【0115】
いくつかの実施形態では、第1の前駆体は、以下のように、式XII:(R
1R
2R
3R
4R
5Cp)
x-MR
0
z-[(NR
1NR
2)CNR
3R
4]
y、
【化4】
(式中、Mは、Mg、Sr、Ba、Sc、Y、又はランタニドからなる群から選択される金属であり、
ここで、R
0基のそれぞれ、R
1基のそれぞれ、R
2基のそれぞれ、R
3基のそれぞれ、R
4基のそれぞれ、及びR
5基のそれぞれは、互いに独立して、
i. 水素、
ii. 互いに独立して置換又は非置換の、直鎖及び分枝鎖C1-C6アルキル、アルケニル並びにアルキニル基、
iii. アリール、フェニル、シクロペンタジエニル、アルキルアリール、及びハロゲン化炭素環式基等の炭素環式基、及び
iv. 複素環式基、から選択され、並びに、
ここで、x≧1、y≧1、及びz≧0である)、により表される。
【0116】
いくつかの実施形態では、式VIII~XIIに記載の第1の前駆体は、R0、R1、R2、R3、R4、R5及びR6を含むことができ、ここで、R0基のそれぞれ、R1基のそれぞれ、R2基のそれぞれ、R3基のそれぞれ、R4基のそれぞれ、及びR5基のそれぞれ、並びにR6基のそれぞれは、互いに独立して、
i. 水素、
ii. 互いに独立して置換又は非置換の、直鎖及び分枝鎖C1-C6アルキル、アルケニル並びにアルキニル基、
iii. アリール、フェニル、シクロペンタジエニル、及びアルキルアリール等の炭素環式基、並びに、
iv. 複素環式基、から選択され得る。
【0117】
場合によっては、記載の第1の前駆体は、修飾されたシクロペンタジエニル基を含み得る。いくつかの実施形態では、修飾されたシクロペンタジエニル基は、Me5Cp、MeCp、EtCp、及びMe3SiCpからなる群から選択される。更なる実施形態では、第1の前駆体は、トリイソプロピルグアニジネート(triisopropylguandinate)配位子等のアニオン性又はジアニオン性のグアニジネート配位子を含み得る。
第2の配位子
【0118】
いくつかの実施形態では、第2の前駆体は酸素を含み、本明細書で酸素前駆体、酸素反応物質、酸素含有前駆体、又は酸素含有反応物質と称され得る。いくつかの実施形態では、第2の前駆体は分子状酸素(O2)を含み得る。いくつかの実施形態では、第2の前駆体はO2以外の酸素を含む化合物を含まない。いくつかの実施形態では、第2の前駆体はO3もH2Oも含まない。いくつかの実施形態では、第2の前駆体はプラズマ、例えば、酸素プラズマを含まない。いくつかの実施形態では、第2の前駆体はN2、He、若しくはAr等の不活性ガスと共に、若しくはそれらと混合して供給される。
【0119】
いくつかの実施形態では、第2の前駆体は、分子状酸素と、約50%、25%、15%、10%、5%、1%又は0.1%未満の不活性ガス以外の不純物を含む。
【0120】
第2の前駆体が分子状酸素であるいくつかの実施形態では、このような第2の前駆体は、O3又はH2Oと比較して、基材の表面からのパージを有利に改善し得る。いくつかの実施形態では、改善されたパージは、サイクル時間をより速くすることができるため、第2の表面、例えばSAM又はポリマー等の有機パッシベーション層を備える第2の表面、の状態が改善することができ又は損傷を最小にすることができる。
【0121】
いくつかの実施形態では、第2の前駆体は、基材の第2の表面を実質的に酸化も分解もしない。例えば、いくつかの実施形態では、分子状酸素は、堆積条件下でSAM又はポリマー層等の有機パッシベーション層を含む第2の表面を酸化も分解もしない。即ち、いくつかの実施形態では、選択的堆積プロセスは、有機パッシベーション層が分解又は燃焼する温度よりも低い堆積温度を有し得る。いくつかの実施形態では、堆積温度は、約450℃未満、約400℃未満、約350℃未満、約300℃未満、又はより低い場合がある。
【実施例】
【0122】
実施例1
マグネシウムを含む第1の前駆体としてビス(シクロペンタジエニル)マグネシウム(Mg(Cp)2)、及び第2の前駆体として分子状酸素(O2)を用いて、いくつかの実施形態によるALDタイプのプロセスにより、酸化マグネシウム(MgO)薄膜を堆積が行われた。堆積温度は約250℃であり、各サンプル毎に堆積サイクル数を変えた。
【0123】
ここで
図7を参照すると、堆積した酸化マグネシウム膜の厚さは、堆積サイクル数の増加と共に直線的に増加した。酸化マグネシウムの堆積プロセスの成長速度は約0.77nm/サイクルであることが観察され、堆積は非常に均一であることが観察された。
【0124】
実施例2
酸化マグネシウム(MgO)の堆積は2つの試験基材片、自然酸化シリコン表面を有する参照シリコン試験基材片、及び2つのSAMシリコン試験基材片上で行われ、各基材は、自然酸化シリコン表面の一部の上に形成されたSAM層を含む表面を有していた。
【0125】
試験基材片の表面の水接触角を、MgO層の堆積の前後に測定した。表面の水接触角は、その表面の疎水性又は親水性を示す。この水接触角測定は、SAM試験基材片上のSAM層のパッシベーション能力を研究するために用いられた。
【0126】
図8Aに示すように、SAM層の接触角はMgO堆積プロセスの前では、非常に高く、105°より高く、これは、-CH
x終端を含むSAM表面は非常に疎水性であることを示していた。自然酸化物表面は、非常に小さい接触角を有するとして測定され、Si-OH終端を含む表面の親水性を示していた。
【0127】
その後、SAM試験基材片をMgO堆積プロセス処理した。第1のSAM試験基材片は、いくつかの実施形態による、及び本明細書に記載の、第1の前駆体としてMgCp2と第2の前駆体としてO2とを含むMgO堆積プロセスで処理された。第2のSAM試験基材片は、第1の前駆体としてMgCp2及び第2の前駆体としてH2Oを含む、当該技術分野で公知の典型的なMgO堆積プロセスで処理された。
【0128】
図8Aに示すように、第1のSAM試験基材片のSAM層の水接触角は、いくつかの実施形態による第2の前駆体としてO
2を含むMgO堆積プロセス後に非常に高いままであった。これは、第2の前駆体としO
2を含むMgO堆積プロセスに対するSAM層の望ましいパッシベーション特性を示し、それにより堆積プロセスを高度に選択的にすることを可能にする。第2のSAM試験基材片のSAM層の水接触角は、第2の前駆体としてH
2Oを含むMgO堆積プロセスで処理された後に非常に低下し、パッシベーション層としてのSAMの性能が低いことを示した。
【0129】
図8Bは、参照試験基材片上に堆積したMgOの厚さを、2枚のSAM試験基材片上に堆積したMgOの厚さと比較する。堆積したMgO層の厚さは、第2の前駆体としてH
2Oを含むMgO堆積プロセスで処理された参照試験基材片及び第2のSAM基材では、ほぼ同じであったが、いくつかの実施形態による、第2の前駆体としてO
2を含むMgO堆積プロセスで処理された第1のSAM試験基材片上で、MgO層は測定されなかった。
【0130】
第1のSAM試験基材片はXPSでも分析され、第1のSAM試験基材片上に少量のMgを検出したが、検出されたMgの量は、第2の前駆体としてO2を含むMgO堆積サイクルの関数として、25nmの公称厚さまで大きくは増加しなかった。
【0131】
実施例3
酸化ハフニウム(HfO2)の堆積は、自然酸化シリコン表面を有する第1のシリコン試験基材片上と、自然酸化シリコン表面の一部の上に形成されたSAM層を含む表面を有する第2のシリコン試験基材片上で行われた。試験基材片は、いくつかの実施形態による、及び本明細書に記載の、第1前駆体としてTEMAH及び第2の前駆体としてO2を含むALDハフニウム酸化物堆積プロセスで処理された。堆積温度は285℃であった。
【0132】
試験基材片の表面の水接触角は、HfO
2堆積プロセスの前後で測定された。
図9Aに示すように、SAM層の接触角はHfO
2堆積プロセスの前では、非常に高く、110°であり、これは、-CH
x終端を含むSAM表面は非常に疎水性であることを示していた。自然酸化物表面は、非常に小さい接触角を有するとして測定され、Si-OH終端を含む表面の親水性を示していた。
【0133】
図9Aから更に分かるように、第2の試験基材片のSAM表面の水接触角は、10nmの目標厚さを有するHfO
2堆積プロセス処理された後でも100°を超えたままであった。この結果は、SAM層が、いくつかの実施形態による、第1の前駆体としてTEMAH及び第2の前駆体としてO
2を含むHfO
2堆積プロセスに対して望ましいパッシベーション特性を有し、それにより選択的HfO
2堆積を可能にすることを示した。
【0134】
図9Bは、第2の前駆体としてO
2を含むHfO
2堆積プロセスによって第1及び第2の試験基材片上に堆積されたHfO
2材料の厚さを示す。SAM層上に堆積された材料の厚さは、HfO
2の目標厚さが増加しても、したがって堆積サイクル数が増加しても、一定のままであることが判明した。自然酸化シリコン表面上のHfO
2の厚さは、期待されるように、目標厚さと共に直線的に増加し、HfO
2の規則的な堆積を示した。
【0135】
同様の実験を第2のSAM試験基材片上で行ったが、基材は、第1の前駆体としTEMAH及び第2の前駆体としてH2Oを含む、当技術分野で公知の典型的なHfO2堆積プロセスで処理された。SAM層の水接触角は、6nmの目標厚さのHfO2堆積プロセスで処理された後に94°に低減した。このHfO2堆積プロセスは、285℃の堆積温度を有し、85の堆積サイクルであった。堆積プロセスの前は、試験基材片の自然酸化シリコン表面上に液相から形成されたSAM層は水接触角が107°であり、高品質であることを示した。
【0136】
図10に示すように、第2の前駆体としてO
2を含む堆積プロセスを用いて第1及び第2の試験基材片上に堆積したHfO
2材料の厚さは、XPSにより決定された。第1の試験基材片の自然酸化物表面上のXPSによって検出されたHfの原子百分率は、目標のHfO
2厚さの増加と共に増加したが、第2の試験片のSAM表面上のHfの原子百分率は、HfO
2の目標厚さの増加にもかかわらずほぼゼロのままであった。この結果は、いくつかの実施形態による、第1の前駆体としてTEMAH及び第2の前駆体としてO
2を含むHfO
2堆積プロセスに対するSAM層の望ましいパッシベーション特性を示し、それにより選択的堆積を可能にすることを示した。
【0137】
図11は、第2の前駆体としてO
2を含み、5nmと7.5nmの目標膜厚のHfO
2堆積プロセスで処理された後の、第2の試験片のSAM表面の原子百分率での組成を示す。堆積プロセス後には、表面上に0.1at%~0.5at%の非常に少量のHfしか検出されなかった。その後、SAM表面の一部を除去するために、SAM表面を15秒間の軟らかくArスパッタリングした。Arスパッタリング後、基材の表面上に、0.18at%~0.22at%のHfが検出された。
【0138】
本明細書で使用される場合、用語「約」は、所定の値の15%以内、10%以内、5%以内、又は1%以内の値を指し得る。
【0139】
用語「膜」及び「薄膜」は、本明細書では簡略化のために使用される。「膜」及び「薄膜」は、本明細書に開示された方法により堆積された任意の連続的又は非連続的な構造及び材料を意味することを意図する。「膜」及び「薄膜」としては、例えば、2D材料、ナノロッド、ナノチューブ若しくはナノ粒子、又は平坦な単一の部分的な若しくは完全な分子層、又は部分的な若しくは完全な原子層、又は原子及び/若しくは分子のクラスター、を挙げることができる。「膜」及び「薄膜」は、ピンホールを有する材料又は層を含み得るが、それでも少なくとも部分的に連続している。
【0140】
当業者であれば、本発明の精神から逸脱することなく、多くの様々な変更が可能であることを理解するであろう。記載された特徴、構造、特性及び前駆体は、任意の適切な方法で組み合わせることができる。したがって、本発明の形態は例示的なものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではないことは明らかである。添付の特許請求の範囲によって規定されるように、すべての修正及び変更は、本発明の範囲内に入ることが意図される。
【0141】
特定の実施形態及び実施例について論じたが、特許請求の範囲は、具体的に開示された実施形態を超えて他の代替実施形態、並びに/又はそれらの使用、明らかな変更及び等価物に及ぶことを理解するであろう。