(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/52 20060101AFI20220401BHJP
B65D 5/54 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
B65D5/52 E
B65D5/54 F
(21)【出願番号】P 2017254207
(22)【出願日】2017-12-28
【審査請求日】2020-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】390022895
【氏名又は名称】株式会社トーモク
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 慧
(72)【発明者】
【氏名】久保 裕紀
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-179371(JP,A)
【文献】実開昭63-062321(JP,U)
【文献】特開2016-043960(JP,A)
【文献】実開平06-025117(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/52
B65D 5/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面部、後面部、左面部、右面部、上面部および下面部を有する直方体状の包装箱であって、
前記前面部の上下方向の中間部分で前記前面部の左縁部から右縁部まで延在する前切断補助線が前記前面部に設けられ、
前記左面部の前縁部における前記前切断補助線の左端部に対応する位置から、前記左面部の上縁部における前後方向の中間部分まで延在する左切断補助線が前記左面部に設けられ、
前記右面部の前縁部における前記前切断補助線の右端部に対応する位置から、前記右面部の上縁部における前後方向の中間部分まで延在する右切断補助線が前記右面部に設けられ、
前記上面部において、前記上面部の左縁部における前記左切断補助線の上端部に対応する左端部から、前記上面部の右縁部における前記右切断補助線の上端部に対応する右端部まで延在する基線における当該左端部および当該右端部とは異なる左中間部から右中間部まで、前記基線を基準として前側および後側のうち少なくとも一方に延在する切込線、切断補助線またはこれらの組み合わせにより構成される上境界線が設けられて
おり、
前記上面部において、前記上境界線のうち少なくとも一部が、前記基線を基準として前側および後側に交互にずれながら延在していることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
請求項1記載の包装箱において、
前記上面部において、前記左中間部としての第1左中間部から前記右中間部としての第1右中間部まで、前記基線を基準として後側に延在する開曲線状の第1上境界線と、前記第1左中間部から離間している前記左中間部としての第2左中間部から、前記第1右中間部から離間している前記右中間部としての第2右中間部まで、前記基線を基準として
前側に延在する開曲線状の第2上
境界線と、
が上切断補助線として設けられていることを特徴とする包装箱。
【請求項3】
請求項
2記載の包装箱において、
前記上面部において、前記第2左中間部が前記第1左中間部の右側に配置され、前記第2右中間部が前記第1右中間部から左側に離間していることを特徴とする包装箱。
【請求項4】
請求項1~
3のうちいずれか1つに記載の包装箱において、
前記上面部において、前記基線に沿って前記左中間部から前記右中間部までの間の少なくとも一部に折線が設けられていることを特徴とする包装箱。
【請求項5】
請求項1~
4のうちいずれか1つに記載の包装箱において、
前記上面部において、前記基線によって区画される第1上面部および第2上面部のそれぞれに、前記基線から離間している前記基線を挟んで対応する箇所に配置された第1舌片および第2舌片のそれぞれを画定する一または複数の開曲線状の切込線、切断補助線またはこれらの組み合わせからなる第1境界線および第2境界線のそれぞれが設けられていることを特徴とする包装箱。
【請求項6】
請求項1~
5のうちいずれか1つに記載の包装箱において、
前記前切断補助線において離間している複数の場所から延在する切込線、切断補助線またはこれらの組み合わせにより構成される差込補助線が前記前面部に設けられていることを特徴とする包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
内容物を取り出した後も包装箱全体を立てて室内に飾る置物とすることが可能であり、かつ、当該内容物を収納した状態から置物の状態にする包装箱が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
折線を介して連なった第1の側パネル、底パネル、第2の側パネルおよび上パネルをそれらの間の折線に沿って同じ方向に折り曲げられ、第1の側パネルと上パネルとが接合されることにより、包装箱のうち相互に対向する上下両壁および一対の側壁が構成される。さらに、第1の側パネルおよび第2の側パネルの両側から延設された端接合フラップ、ならびに、底パネルおよび上パネルの両側からそれぞれ延設された第1の端フラップおよび第2の端フラップが各自の基部の折線に沿って同じ方向に折り曲げられ、第1の端フラップおよび第2の端フラップの両側に端接合フラップが重ね合わせられて固定される。第1の側パネルおよび第2の側パネル、ならびに、それらの両側にある第1の端接合フラップおよび第2の端接合フラップにわたりそれらの上下方向のほぼ中間部に切断補助線が設けられている。上パネルおよびその両側の第2の端パネルにわたりそれらの幅方向の中間部に切断補助線が設けられている。
【0004】
第1の側パネルとその両側にある第1の端接合フラップが、これらの中間部に設けられた切断補助線に沿って切断される。さらに、上パネルの両側の第2の端パネルが、幅方向の中間部に設けられた切断補助線に沿って切断される。そして、上パネルの幅方向の中間部に設けた切断補助線に沿っては切断せずに連結した状態で包装箱の上部の半分を残しておく。この場合、包装箱の残した上部の半分が、切断補助線を基線として倒した状態で、商品陳列用のトレーとして利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、包装箱の上部そのものの機能性の観点から当該包装箱には改善の余地がある。
【0007】
そこで、本発明は、包装箱の上部をトレーとして利用する際の機能性の向上を図りうる包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の包装箱は、前面部、後面部、左面部、右面部、上面部および下面部を有する直方体状の包装箱であって、前記前面部の上下方向の中間部分で前記前面部の左縁部から右縁部まで延在する前切断補助線が前記前面部に設けられ、前記左面部の前縁部における前記前切断補助線の左端部に対応する位置から、前記左面部の上縁部における前後方向の中間部分まで延在する左切断補助線が前記左面部に設けられ、前記右面部の前縁部における前記前切断補助線の右端部に対応する位置から、前記右面部の上縁部における前後方向の中間部分まで延在する右切断補助線が前記右面部に設けられ、前記上面部において、前記上面部の左縁部における前記左切断補助線の上端部に対応する左端部から、前記上面部の右縁部における前記右切断補助線の上端部に対応する右端部まで延在する基線における当該左端部および当該右端部とは異なる左中間部から右中間部まで、前記基線を基準として前側および後側のうち少なくとも一方に延在する切込線、切断補助線またはこれらの組み合わせにより構成される上境界線が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の包装箱によれば、前面部、左面部および右面部のそれぞれが、前切断補助線、左切断補助線および右切断補助線のそれぞれに沿って切断される。上面部が上境界線に沿って部分的に切断される。上面部の前側の第1上面部および後側の第2上面部が重なり合うように、基線のうち少なくとも両端部付近(例えば、左端部およびこれに最も近い左中間部の間、および、右端部およびこれに最も近い右中間部の間)において上面部が折り曲げられるまたは谷折りされる。
【0010】
上境界線のうち基線の後側にずれている部分がある場合、当該部分および基線により画定される後舌片を、第1上面部に連接した状態で基線よりも前方に張り出させ、あるいは、第1上面部から立ち上がるように折り曲げることができる。これにより、第1上面部および下側部分が重なり合うように折り曲げられた上面部において商品を載置させるスペースの拡張、あるいは、上方に折り曲げられた後舌片による当該商品の前方への変位の防止が図られる。
【0011】
上境界線のうち基線の前側にずれている部分がある場合、当該部分および基線により画定される前舌片を、第2上面部に連接した状態で基線よりも前方に張り出させ、あるいは、第2上面部から垂れ下がるように折り曲げることができる。これにより、第1上面部および下側部分が重なり合うように折り曲げられた上面部において商品を載置させるスペースの拡張、あるいは、下方に折り曲げられた前舌片による当該上面部の下方で包装箱に収容されている商品の前方への変位の防止が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施形態としての包装箱の展開図。
【
図2】本発明の第1実施形態としての包装箱の上面部の詳細説明図。
【
図3】本発明の第1実施形態としての包装箱の組み立てが完了した状態の斜視図。
【
図4】本発明の第1実施形態としての包装箱の上部を商品陳列用のトレーとして利用する際の当該包装箱の斜視図。
【
図5】本発明の第2実施形態としての包装箱の展開図。
【
図6】本発明の第2実施形態としての包装箱の上面部の詳細説明図。
【
図7】本発明の第2実施形態としての包装箱の上部を商品陳列用のトレーとして利用する際の当該包装箱の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
(ブランクの構成)
図1には、本発明の第1実施形態としての包装箱のブランクが示されている。包装箱のブランクとしては、紙製の波状のシートからなる中芯がライナーでラミネートされた段ボール板が一般的に使用される。段ボール板の目方向は、例えば
図1の上下方向に一致している。段ボール板が
図1に実線で示されているように打ち抜かれると共に切込線が入れられ、一点鎖線で示されているように切断補助線(例えばミシン目により構成されている。)が入れられ、かつ、破線で示されているように折線が入れられることにより、組み立て前のブランクが得られる。
図1に示されているブランクは包装箱の内側に相当し、折線は
図1の紙面に対して谷折りされる。
【0014】
図1に示されているブランクは、それぞれが略矩形状の前面部10、後面部20、上面部50および下面部60、右前フラップ31、右後フラップ32、右上フラップ35、右下フラップ36、左前フラップ41、左後フラップ42、左上フラップ45、左下フラップ46、および、連接フラップ25を備えている。
【0015】
前面部10は、上側の長辺を介して上面部50と連接され、下側の長辺を介して下面部60と連接され、左側の短辺を介して右前フラップ31と連接され、かつ、右側の短辺を介して左前フラップ41と連接されている。前面部10には、左縁部の中間部から右縁部の中間部まで、下側に膨らんでいる略円弧状に延在している前切断補助線12が設けられている。前切断補助線12は、直線状またはその他の曲線状であってもよい。前切断補助線12は、例えば前面部10の上縁部または下縁部を基準として、前面部10の上下方向サイズの0.4~0.6倍の範囲の領域に含まれている。前面部10には、前切断補助線12の中央部分から上方または斜め上方に延在する一方で上縁部に至らない3本の短い差込補助線14が設けられている。差込補助線14は、切込線、切断補助線またはこれらの組み合わせにより構成されている。
【0016】
後面部20は、上側の長辺を介して下面部60と連接され、下側の長辺を介して連接フラップ25と連接され、左側の短辺を介して右後フラップ32と連接され、かつ、右側の短辺を介して左後フラップ42と連接されている。後面部20には、左縁部の中間部から右縁部の中間部まで、上側に膨らんでいる略円弧状に延在している後切断補助線22が設けられている。後切断補助線22は、直線状またはその他の曲線状であってもよい。後切断補助線22は、例えば後面部20の上縁部または下縁部を基準として、後面部10の上下方向サイズの0.4~0.6倍の範囲の領域に含まれている。後面部20には、後切断補助線22の中央部分から下方または斜め下方に延在する一方で下縁部に至らない3本の短い差込補助線24が設けられている。差込補助線24は、切込線、切断補助線またはこれらの組み合わせにより構成されている。
【0017】
前面部10および後面部20は、切断補助線12、22、および差込補助線14、24の延在態様も含めて略合同である。
【0018】
右前フラップ31には、右縁部において前切断補助線12の左端部に対応する位置から左縁部まで、略波線状に延在する右前切断補助線312が設けられている。右前切断補助線312は、右前フラップ31の上縁部および下縁部に対して略平行に延在している。右前切断補助線312は、曲線状に延在していてもよく、右前フラップ31の上縁部および下縁部に対して傾斜する直線状に延在していてもよい。右前切断補助線312は、例えば右前フラップ31の上縁部または下縁部を基準として、右前フラップ31の上下方向サイズの0.4~0.6倍の範囲の領域に含まれている。
【0019】
右後フラップ32には、右縁部において後切断補助線22の左端部に対応する位置から左縁部まで、略波線状に延在する右後切断補助線322が設けられている。右後切断補助線322は、右後フラップ32の上縁部および下縁部に対して略平行に延在している。右後切断補助線322は、曲線状に延在していてもよく、右後フラップ32の上縁部および下縁部に対して傾斜する直線状に延在していてもよい。右後切断補助線322は、例えば右後フラップ32の上縁部または下縁部を基準として、右後フラップ32の上下方向サイズの0.4~0.6倍の範囲の領域に含まれている。
【0020】
左前フラップ41には、左縁部において前切断補助線12の右端部に対応する位置から右縁部まで、略波線状に延在する左前切断補助線412が設けられている。左前切断補助線412は、左前フラップ41の上縁部および下縁部に対して略平行に延在している。左前切断補助線412は、曲線状に延在していてもよく、左前フラップ41の上縁部および下縁部に対して傾斜する直線状に延在していてもよい。左前切断補助線412は、例えば左前フラップ41の上縁部または下縁部を基準として、左前フラップ41の上下方向サイズの0.4~0.6倍の範囲の領域に含まれている。
【0021】
左後フラップ42には、左縁部において後切断補助線22の右端部に対応する位置から右縁部まで、略波線状に延在する左後切断補助線422が設けられている。左後切断補助線422は、左後フラップ42の上縁部および下縁部に対して略平行に延在している。左後切断補助線422は、曲線状に延在していてもよく、左後フラップ42の上縁部および下縁部に対して傾斜する直線状に延在していてもよい。左後切断補助線422は、例えば左後フラップ42の上縁部または下縁部を基準として、左後フラップ42の上下方向サイズの0.4~0.6倍の範囲の領域に含まれている。
【0022】
フラップ31、32、41、42は、切断補助線312、322、412、422の延在態様も含めて略合同である。
【0023】
上面部50は、左側の短辺を介して右上フラップ35と連接され、かつ、右側の短辺を介して左上フラップ45と連接されている。上面部50には、
図2に詳細に示されているように、上面部50の左縁部における右上切込線352の上端部に対応する左端部PLから、上面部50の右縁部における左上切込線452の上端部に対応する右端部PRまで延在する基線L0(
図2/点線参照)における当該左端部PLおよび当該右端部PRとは異なる左中間部P11から右中間部P17まで、基線L0を基準として前側および後側に交互に延在する略波線状の上境界線Qが設けられている。上境界線Qは、切込線、切断補助線またはこれらの組み合わせにより構成されている。
【0024】
上面部50において略波線状の上境界線Qは相互に離間して配置されている中間部P12~P16において基線L0と交差している。上境界線Qは区間P11~P12、P13~P14およびP15~P16のそれぞれにおいて、上面部50の基線L0の前側に延在し、当該区間において前舌片TF1~TF3のそれぞれを画定する。その一方、上境界線Qは区間P12~P13、P14~P15およびP16~P17のそれぞれにおいて、上面部50の基線L0の後側に延在し、当該区間において後舌片TR1~TR3のそれぞれを画定する。略波形状の上境界線Qの各周期(振動数)および振幅は任意に変更されてもよい。
【0025】
上境界線Qの区画P13~P14により画定される前舌片TF2の基部には基線L0に沿って折線が設けられている。上境界線Qの区画P14~P15により画定される後舌片TR2の基部には基線L0に沿って折線が設けられている。
【0026】
右上フラップ35には、右縁部において折線部52の左端部に対応する位置から左縁部まで、略直線状に延在する右上切込線352が設けられている。右上切込線352は、右上フラップ35の上縁部および下縁部に対して略平行に延在している。左上フラップ45には、左縁部において折線部52の右端部に対応する位置から右縁部まで、略直線状に延在する左上切込線452が設けられている。左上切込線452は、左上フラップ45の上縁部および下縁部に対して略平行に延在している。
【0027】
下面部60は、左側の短辺を介して下上フラップ36と連接され、かつ、右側の短辺を介して左下フラップ46と連接されている。
【0028】
上面部50は基線L0により、下側(包装箱の前側)の第1上面部51および上側(包装箱の後側)の第2上面部52のそれぞれに区画されている。基線L0が、上面部50を略半分割している。第1上面部51および第2上面部52のそれぞれには、基線L0を挟んで対応する箇所に配置された第1舌片T1および第2舌片T2のそれぞれを画定する第1境界線C1および第2境界線C2のそれぞれが設けられている。本実施形態では、境界線C1、C2は、開曲線状の切込線からなるが、切断補助線または切込線および切断補助線の組み合わせからなっていてもよい。
【0029】
上面部50において、対をなす第1境界線C1および第2境界線C2のそれぞれが、基線L0から離間している開曲線により構成されている。また、上面部50において、第1境界線C1および第2境界線C2のそれぞれが、基線L0に沿って延在する直線を回転軸線とする回転対称性を有する開曲線により構成されている。
【0030】
具体的には、第1上面部51には、左右方向に離間して配置されている一対の第1境界線C1が設けられ、第2上面部52には、左右方向に離間して配置されている一対の第2境界線C2が設けられている。左側の第1境界線C1が左開きの略U字馬蹄形状であるのに対して、左側の第2境界線C2が同様に左開きの略U字馬蹄形状である。右側の第1境界線C1が右開きの略馬蹄形状であるのに対して、右側の第2境界線C2が同様に右開きの略馬蹄形状である。第1舌片T1および第2舌片T2のそれぞれは、境界線C1、C2の馬蹄の開き部分に相当する基部(折線)よりも連続的または断続的に幅広になるなど、基部に近い側に幅狭部を有し、先端部に近い側で幅広部を有するように形成されていてもよい。
【0031】
なお、第1境界線C1および第2境界線C2のそれぞれが、基線L0に沿って延在する直線を回転軸線とする回転対称性を有していなくてもよい。例えば、対をなす第1境界線C1および第2境界線C2の略U字馬蹄形状の開く方向が異なっていてもよい。対をなす第1境界線C1および第2境界線C2の略U字馬蹄形状の開く方向が同一である一方、第1境界線C1および第2境界線C2が合同でなくてもよい。第1舌片T1および第2舌片T2の対の数は「2」以外にも「1」であってもよく、「3」以上の複数(例えば「4」)であってもよい。
【0032】
後面部20において後切断補助線22および差込補助線24が省略され、右後フラップ32において右後切断補助線322が省略され、左後フラップ42において左後切断補助線422が省略されてもよい。
【0033】
上面部50において、第1境界線C1および第2境界線C2、ひいては第1舌片T1および第2舌片T2が省略されてもよい。
【0034】
(包装箱の組み立て)
図1に示されているブランクから、
図2に示されている包装箱を組み立てる方法の一例について説明する。当該一例とは異なる手順にしたがって当該包装箱が組み立てられてもよい。
【0035】
まず、下面部60に対して前面部10および後面部20のそれぞれが垂直に折れ曲がるまたは立ち上がるように、下面部60と前面部10および後面部20のそれぞれとの折線に沿ってブランクが谷折りされる。この段階で下面部60に商品が載置されてもよい。次に、前面部10に対して右前フラップ31および左前フラップ41のそれぞれが垂直に折れ曲がるように、前面部10と右前フラップ31および左前フラップ41のそれぞれとの折線に沿ってブランクが谷折りされる。同様に、後面部20に対して右後フラップ32および左後フラップ42のそれぞれが垂直に折れ曲がるように、後面部30と右後フラップ32および左後フラップ42のそれぞれとの折線に沿ってブランクが谷折りされる。
【0036】
下面部60に対して右下フラップ36および左下フラップ46のそれぞれが垂直に折れ曲がるまたは立ち上がるように、下面部60と右下フラップ36および左下フラップ46のそれぞれとの折線に沿ってブランクが谷折りされる。これにより、右下フラップ36と右前フラップ31および右後フラップ32のそれぞれの下部とが重ね合わせられる。そして、右下フラップ36と右前フラップ31および右後フラップ32のそれぞれの下部とが接着されることにより包装箱の左面部30の下部が構成される。同様に、左下フラップ46と左前フラップ41および左後フラップ42のそれぞれの下部とが重ね合わせられる。そして、左下フラップ46と左前フラップ41および左後フラップ42のそれぞれの下部とが接着されることにより包装箱の右面部40の下部が構成される。
【0037】
続いて、上面部50に対して右上フラップ35および左上フラップ45のそれぞれが垂直に折れ曲がるまたは垂れ下がるように、下面部60と右下フラップ36および左下フラップ46のそれぞれとの折線に沿ってブランクが谷折りされる。この状態から、上面部50が前面部10に対して垂直に折り曲げられるように、上面部50と前面部10との折線に沿ってブランクが谷折りされる。
【0038】
さらに、上面部50に対して右上フラップ35および左上フラップ45のそれぞれが垂直に折れ曲がるまたは垂れ下がるように、上面部50と右上フラップ35および左上フラップ45との折線に沿ってブランクが谷折りされる。これにより、右上フラップ35と右前フラップ31および右後フラップ32のそれぞれの上部とが重ね合わせられる。そして、右上フラップ35と右前フラップ31および右後フラップ32のそれぞれの上部とが接着されることにより、包装箱の左面部30の上部が構成され、前記下部と合わせて当該左面部30の全体が構成される。同様に、左上フラップ45と左前フラップ41および左後フラップ42のそれぞれの上部とが重ね合わせられる。そして、左上フラップ45と左前フラップ41および左後フラップ42のそれぞれの上部とが接着されることにより、包装箱の右面部40の上部が構成され、前記下部と合わせて当該右面部40の全体が構成される。
【0039】
これらの手順により
図2に示されている包装箱が完成する。
【0040】
前記のように構成される包装箱の左面部30には、右前フラップ31に設けられた右前切断補助線312および右上フラップ35に設けられた右上切込線352によって構成される左切断補助線320が設けられている。左切断補助線320は、左面部30において前縁部の前切断補助線12の左端部に対応する中間位置から上縁部の中間位置まで略L字形状に延在しているが、切断補助線312および352の延在態様が変更されることにより、円弧状などその他の曲線状または直線状に延在していてもよい。
【0041】
前記のように構成される包装箱の右面部40には、左前フラップ41に設けられた左前切断補助線412および左上フラップ45に設けられた左上切込線452によって構成される右切断補助線420が設けられている。右切断補助線420は、右面部40において前縁部の前切断補助線12の右端部に対応する中間位置から上縁部の中間位置まで略L字形状に延在しているが、切断補助線412および452の延在態様が変更されることにより、円弧状などその他の曲線状または直線状に延在していてもよい。
【0042】
(包装箱の利用方法)
図2に示されている包装箱の利用方法の一実施形態について説明する。前面部10、左面部30および右面部40のそれぞれが、前切断補助線12、左切断補助線320および右切断補助線420のそれぞれに沿って破断される。この際、差込補助線14の箇所で前面部10を局所的に内側に押し込まれることで、当該押し込まれた箇所を前面部10の破断の手掛かりとすることができる。
【0043】
上面部50が基線L0において第1上面部51および第2上面部52が上下に重なり合うように上面部50が折り曲げられる(
図3参照)。このように折り曲げられた上面部50に商品が載置される。後舌片TR1~TR3を、第1上面部51に連接した状態で基線L0よりも少なくとも部分的に前方に張り出させることができる。前舌片TF1~TF3を、第2上面部52に連接した状態で基線L0よりも前方に張り出させることができる。これにより、第1上面部51および下側部分52が重なり合うように折り曲げられた上面部50において商品を載置させるスペースの拡張が図られる。
【0044】
後舌片TR1~TR3が上面部10の第1上面部51から立ち上がるように折り曲げられることにより、第1上面部51および下側部分52が重なり合うように折り曲げられた上面部50に載置された商品の前方への変位の防止が図られる。前舌片TF1~TF3が第2上面部52から垂れ下がるように折り曲げられることにより、当該上面部50の下方で包装箱に収容されている商品の前方への変位の防止が図られる。
【0045】
位相をずらして上下に重ね合わせられた後舌片TR1~TR3および前舌片TF1~TF3により包装箱の意匠性の向上が図られる。後舌片TR1~TR3および前舌片TF1~TF3のうち少なくとも1つがポップ広告の掲載スペースとして利用されてもよい。
【0046】
第1舌片T1および第2舌片T2は、基線L0を挟んで対応する箇所に配置されているので、第1上面部51および第2上面部52が上下に重なり合うことで同様に上下に重なり合う。この状態で、重なっている第1舌片T1および第2舌片T2をまとめて下方に押し下げることにより、
図3および
図4に示されているように、第1舌片T1が基部(または折線)において第1上面部51に対して下方に折り曲げられ、第2舌片T2が基部(または折線)において第2上面部52に対して下方に折り曲げられた状態が実現される。第1舌片T1の折り曲げにより第1上面部51には第1開口部O1が形成され、第2舌片T2の折り曲げにより第2上面部52に第2開口部O2が形成される。
【0047】
第1舌片T1を第2開口部O2に係合させることにより、第1上面部51が包装箱を再び閉じる方向に動くことが防止され、包装箱の上部が商品陳列用のトレーとして安定に利用されうる。
【0048】
前記のように第1舌片T1および第2舌片T2のそれぞれが基部に近い側に幅狭部を有し、先端部に近い側で幅広部を有するように形成されている場合、第1舌片T1の幅広部が第2開口部O2の幅狭部に係合することによって、第1舌片T1が第2開口部O2から外れることが防止される。
【0049】
(第2実施形態)
(ブランクの構成)
図5には、本発明の第2実施形態としての包装箱のブランクが示されている。第2実施形態では、上面部50には、
図6に詳細に示されているように、基線L0において左右に離間している第1左中間部P21および第1右中間部P24を両端部とし、基線L0の後側で略半環状に延在する第1上境界線Q1が設けられている。基線L0において第1左中間部P21および第1右中間部P24の中間にある第2左中間部P22および第2右中間部P23を両端部とし、基線L0の前側で略半環状に延在する第2上境界線Q2が設けられている。第1上境界線Q1および第2上境界線Q2のそれぞれは、切込線、切断補助線またはこれらの組み合わせにより構成されている。
【0050】
第1上境界線Q1により、中央部において上端部が凸曲面状または円弧状に盛り上がった横長の略矩形状の後舌片TRが画定されている。第2上境界線Q2により、下端部が左右に張り出した縦長の略矩形状の前舌片TFが画定されている。上面部50には、基線L0に沿って区画P22~P23を除いて折線が設けられている。
【0051】
第2実施形態のブランクのその他の構成については、第1実施形態のブランクと同様であるため、当該同様の構成については同一符号を用いるとともに説明を省略する。
【0052】
(包装箱の組み立て)
図5に示されているブランクから、包装箱を組み立てる方法については第1実施形態とほぼ同様であるため、説明を省略する。
【0053】
(包装箱の利用方法)
図5に示されているブランクから組み立てられた包装箱の利用方法の一実施形態について説明する。前面部10、左面部30および右面部40のそれぞれが、前切断補助線12、左切断補助線320および右切断補助線420のそれぞれに沿って破断される。この際、差込補助線14の箇所で前面部10を局所的に内側に押し込まれることで、当該押し込まれた箇所を前面部10の破断の手掛かりとすることができる。
【0054】
上面部50が基線L0において第1上面部51および第2上面部52が上下に重なり合うように上面部50が折り曲げられる(
図3参照)。このように折り曲げられた上面部50に商品が載置される。後舌片TRが上面部10の第1上面部51から立ち上がるように折り曲げられることにより、第1上面部51および下側部分52が重なり合うように折り曲げられた上面部50に載置された商品の前方への変位の防止が図られる。前舌片TFが後舌片TRに連接しているので、後舌片TRが上面部10の第1上面部51から立ち上がるように折り曲げられることにより前舌片TFは第2上面部52から垂れ下がる。これにより、当該上面部50の下方で包装箱に収容されている商品の前方への変位の防止が図られる。
【0055】
後舌片TRおよび前舌片TFにより包装箱の意匠性の向上が図られる。後舌片TRおよび前舌片TFのうち少なくとも1つがポップ広告の掲載スペースとして利用されてもよい。この状態で前舌片TFの前方を抑えるように商品が下面部60に載置されている場合、前舌片TFに連接されている後舌片TRが後方に倒れずに第2上面部52に対して起立した状況が維持される。これにより、前舌片TFの裏面に掲載されたポップ広告が定常的に視認可能な状態が維持される。
【0056】
第1舌片T1を第2開口部O2に係合させることにより、第1上面部51が包装箱を再び閉じる方向に動くことが防止され、包装箱の上部が商品陳列用のトレーとして安定に利用されうる。
【0057】
(本発明の他の実施形態)
前記実施形態では
図1または
図5に示されているブランクから包装箱が組み立てられたが、他の実施形態として、これらとは異なるさまざまな形態のブランクから
図2に示されているような略直方体状の包装箱が組み立てられてもよい。
【符号の説明】
【0058】
10‥前面部、12‥前切断補助線、14‥差込補助線、20‥後面部、22‥後切断補助線、24‥差込補助線、30‥左面部、31‥左前フラップ、32‥左後フラップ、35‥左上フラップ、36‥左下フラップ、40‥右面部、41‥右前フラップ、42‥右後フラップ、45‥右上フラップ、46‥右下フラップ、50‥上面部、51‥第1上面部、52‥第2上面部、60‥下面部、312‥左前切断補助線、320‥左切断補助線、322‥左後切込線、352‥左上切込線、412‥右前切断補助線、420‥右切断補助線、422‥右後切込線、452‥右上切込線、C‥境界線、C1‥第1境界線、C2‥第2境界線、F0‥折曲補助線、L0‥上面の基線、T1‥第1舌片、T2‥第2舌片、TF、TF1、TF2、TF3‥前舌片、TR、TR1、TR2、TR3‥後舌片、O1‥第1開口部、O2‥第2開口部、Q‥上境界線、Q1‥第1上境界線、Q2‥第2上境界線。