(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】練り付け具付き杭穴掘削ロッド
(51)【国際特許分類】
E02D 7/00 20060101AFI20220401BHJP
E02D 5/30 20060101ALI20220401BHJP
E21B 7/00 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
E02D7/00 Z
E02D5/30 Z
E21B7/00 A
(21)【出願番号】P 2018001589
(22)【出願日】2018-01-10
【審査請求日】2021-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000176512
【氏名又は名称】三谷セキサン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108947
【氏名又は名称】涌井 謙一
(74)【代理人】
【識別番号】100117086
【氏名又は名称】山本 典弘
(74)【代理人】
【識別番号】100124383
【氏名又は名称】鈴木 一永
(74)【代理人】
【識別番号】100173392
【氏名又は名称】工藤 貴宏
(74)【代理人】
【識別番号】100189290
【氏名又は名称】三井 直人
(72)【発明者】
【氏名】木谷 好伸
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-178049(JP,U)
【文献】特開2003-064679(JP,A)
【文献】特開平06-026036(JP,A)
【文献】特開昭60-088720(JP,A)
【文献】特開昭57-104789(JP,A)
【文献】特開2016-223080(JP,A)
【文献】特開2004-353303(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 7/00
E02D 5/30
E21B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端を掘削機に連結し、下端に掘削ヘッドを連結できる杭穴掘削用のロッド本体で、その外周に練り付け具を備え、以下のように構成したことを特徴とする練り付け具付きの杭穴掘削ロッド。
(1) 前記練り付け具は、水平方向に移動可能な駆動部を前記ロッド本体の外周に装着し、前記駆動
部に杭穴壁を練り付けできる練り付け板を配置し
た。
(2) 前記駆動部は、地上からの操作で、前記練り付け板の水平方向の張り出し量を調整できる可変機構を備えた。
(3) 前記駆動部および可変機構を以下(a)~(c)のように構成した。
(a)前記ロッド本体の外周に、前記ロッド本体の軸方向に沿って上下動できる前記摺動部材を取り付け、前記摺動部材に、地上からの操作で上下動可能な操作ロッドの下端を連結した。
(b) 前記ロッド本体の外周で、前記摺動部材の上方または下方に固定支点を設け、前記練り付け板を前記固定支点と前記摺動部材との中間高さに配置した。
(c) 前記摺動部材と前記練り付け板とを第一連結部材で回転自在に連結し、前記固定支点と前記練り付け板とを第二連結部材で回転自在に連結した。
【請求項2】
以下のようにして、練り付け具を構成した
請求項1に記載の練り付け具付きの杭穴掘削ロッド。
(1) 摺動部材と第一連結部材との連結、練り付け板と第一連結部材との連結、固定支点と第二連結部材との連結、および練り付け板とを第二連結部材との連結は、いずれもロッド本体の軸と直角でかつ略水平方向のピンで回転自在に連結した。
(2) 前記ロッド本体であって、前記第一連部材の中間位置に、前記第一保護部材が前記ピンの軸方向への移動を規制する第一保護部材を取り付けた。
(3) 前記ロッド本体であって、前記第二連部材の中間位置に、前記第二保護部材が前記ピンの軸方向への移動を規制する第二保護部材を取り付けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭穴掘削に際して、杭穴壁を練り付ける練り付け具付きの杭穴掘削ロッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、杭穴掘削する際に、掘削ヘッドで掘削した杭穴壁に、掘削泥土を練り付けドラムで練り付けしていた。これにより、杭穴壁を均して、杭穴壁の崩壊を防止し、所定の径の杭穴を保形していた(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-223080号公報
【文献】特開2004-353303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来練り付けドラムの構造は、1つの練り付けドラムで練り付け径の変更ができず、1つの練り付けドラムで1つの練り付け径となっていた。これは、練り付けドラムの練り付け板に割と大きな練り付け圧力が加わり、また、1つの掘削ロッドで複数高さ(ロッドの長さ方向)に練り付けドラムが取り付けられていたため、これを操作する構造が難しかったことによる。さらに、掘削ヘッドの上方に練り付けドラムが位置するので、掘削径が変化してもその上方の練り付けドラムの練り付け径は未だ変化しない状況もあり、掘削径と練り付け径とが同一となるように連動させることもできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、地上からの操作で、前記練り付け板の水平方向の張り出し量を調整できる可変機構をロッド本体に設けて、これに練り付け板を取り付けたので、前記問題点を解決した。
【0006】
即ちこの発明は、上端を掘削機に連結し、下端に掘削ヘッドを連結できる杭穴掘削用のロッド本体で、その外周に練り付け具を備え、以下のように構成したことを特徴とする練り付け具付きの杭穴掘削ロッドである。
(1) 前記練り付け具は、水平方向に移動可能な駆動部を前記ロッド本体の外周に装着し、前記駆動部に杭穴壁を練り付けできる練り付け板を配置した。
(2) 前記駆動部は、地上からの操作で、前記練り付け板の水平方向の張り出し量を調整できる可変機構を備えた。
(3) 前記駆動部および前記可変機構を以下(a)~(c)のように構成した。
(a)前記ロッド本体の外周に、前記ロッド本体の軸方向に沿って上下動できる前記摺動部材を取り付け、前記摺動部材に、地上からの操作で上下動可能な操作ロッドの下端を連結した。
(b) 前記ロッド本体の外周で、前記摺動部材の上方または下方に固定支点を設け、前記練り付け板を前記固定支点と前記摺動部材との中間高さに配置した。
(c) 前記摺動部材と前記練り付け板とを第一連結部材で回転自在に連結し、前記固定支点と前記練り付け板とを第二連結部材で回転自在に連結した。
【0008】
さらに、前記において、以下のようにして、練り付け具を構成した練り付け具付きの杭穴掘削ロッドである。
(1) 摺動部材と第一連結部材との連結、練り付け板と第一連結部材との連結、固定支点と第二連結部材との連結、および練り付け板とを第二連結部材との連結は、いずれもロッド本体の軸と直角でかつ略水平方向のピンで回転自在に連結した。
(2) 前記ロッド本体であって、前記第一連部材の中間位置に、前記第一保護部材が前記ピンの軸方向への移動を規制する第一保護部材を取り付けた。
(3) 前記ロッド本体であって、前記第二連部材の中間位置に、前記第二保護部材が前記ピンの軸方向への移動を規制する第二保護部材を取り付けた。
【発明の効果】
【0009】
この発明は、地上からの操作で、前記練り付け板の水平方向の張り出し量を調整できる可変機構を備えた駆動部をロッド本体に設けて、これに練り付け板を取り付けたので、小径の軸部を形成した杭穴で、底部や中間部あるいは地面付近に拡径部を有する杭穴で、軸部の穴壁のみならず拡径部の穴壁も効率よく練り付けできる。また、とりわけ、杭穴の拡径部の上端付近で、練り付け径を確認することにより、掘削径を確認できる。よって、杭穴の全長に亘り、穴壁の崩れを生じることなく、かつ設計通りの掘削径で、施工精度の高い杭穴を構築できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】この発明の掘削ロッドで、(a)は練り付け具の斜視図、(b)(c)小径掘削小径練り付け時の掘削ロッドの平面図、(b)は同じく正面図、を表す。
【
図2】この発明の掘削ロッドで、(a)(b)は大径掘削小径練り付け時の平面図および正面図、(c)(d)は大径掘削小径練り付け時の平面図および正面図、を表す。
【
図3】(a)~(c)は、掘削ロッドで杭穴を掘削および練り付けをしている状態の概略した正面図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面に基づいて、この発明の実施形態を説明する。
【0012】
1.掘削ロッド60の構成
【0013】
(1) 円筒状のロッド本体1は、上端に凸連結部3、下端に凹連結部4を形成してある。上端の凸連結部3は、他のロッド本体1の凹連結部4、あるいは掘削機のオーガに連結できる構造となっており、下端の凹連結部4は、他のロッド本体1の凸連結部3、あるいは掘削ヘッド50の凸連結部54に連結できる構造となっている。ロッド本体1の長さ方向の中心軸をロッド軸5とする(
図1)。
ロッド本体1の中間高さで、ロッド本体1の外周に摺動部材10を、上下に摺動可能に、取り付ける。摺動部材10は、四角柱形状の外観で、内側に、ロッド本体1の外周形状に対応した円形開口11を形成してある。また、ロッド本体1の外周に、ロッド軸5に沿って縦凸条9が形成され、摺動部材10の円形開口11の内周面には、縦凸条9に対応した縦凹条12が形成されている。縦凹条12に縦凸条9が挿入されて、摺動部材10は、縦凸条9に沿って、ロッド本体1を摺動できるようになっており、かつ摺動部材10がロッド本体1の周りに回転することを制限している。
また、摺動部材10の外周に、ロッド軸5対して放射状の連結凸片13、13を、板面を鉛直方向に合わせて、突設する。連結凸片13、13はロッド軸5に対して直径対称な位置に、放射状に2ヶ所設ける。
【0014】
(2) ロッド本体1で、摺動部材10の上方に、固定支点16を設定して、固定支点16に、連結凸片13、13と面を合わせて、固定凸片17、17を突設する。したがって、固定凸片17、17もロッド軸5に直径対称な位置に、放射状に配置される。
固定支点16(固定凸片17、17)と摺動部材10(連結凸片13、13)との中間位置に、練り付け板20を配置する。練り付け板20は、練り付け対象の杭穴壁に対応した(ロッド軸5から放射方向に凸の)練り付け曲面21を有し、練り付け板10の内面にロッド本体1の外周面に当接する支持凸板22を連結してある。支持凸板22は板面が連結凸片13、固定凸片17と同一平面にある鉛直方向に配置されている。
練り付け板20(支持凸板22)は、最小径練り付け径の場合には、支持凸板22の先端23がロッド本体1の外面に当接している。大径練り付けの際には、練り付け板20(支持凸板22)はロッド軸5から放射方向に移動して、支持凸板22に先端23がロッド本体1から離れるように移動する(
図2(c)(d))。
【0015】
(3) 摺動部材10の各連結凸片13、13と、各練り付け板20の支持凸板22の基端部24(練り付け板20に近い側)とを、第一連結部材25の両端部でそれぞれ連結する。第一連結部材25と連結凸片13、支持凸板22との連結は、水平方向のピン26、26で回転自在に連結されている。
また、各固定凸片17、17と、各練り付け板20、20の支持凸板22の基端部24(練り付け板20に近い側)の固定支点17側とを、第二連結部材28の両端部でそれぞれ連結する。第二連結部材28、28と固定凸片17、17、支持凸板22との連結は、水平方向のピン29、29で回転自在に連結されている。
【0016】
(4) ロッド軸5方向で、第一連結部材25の中間付近を挟むように、かつロッド軸5に直角に、水平方向の第一保護部材31、31を、ロッド本体1の外周に固定する。第一保護部材31、31はロッド軸5に対して直径対称な位置に配置されている。また、第一保護部材31、31は、並列して水平に配置した第一保護部材片31a、31aからなり、第一保護部材片31aはその基端をロッド本体1に固定し、第一保護部材片31aの先端部は、両側から第一連結部材25の中間部を挟む位置に配置される。また、両第一保護部材片31a、31aを略水平方向の補強片32、32で一体に連結固定し、両第一保護部材片31a、31aの先端部の間が、第一連結部材貫通部33を形成する。
また、ロッド軸5方向で、第二連結部材28の中間付近を挟むように、かつロッド軸5に直角に、水平方向の第二保護部材35、35を、ロッド本体1の外周に固定する。第二保護部材35、35はロッド軸5に対して、直径対称な位置に配置されている。また、第二保護部材35は、並列して水平に配置した第二保護部材片35a、35aからなり、第二保護部材片35a、35aはその基端をロッド本体1に固定し、第二保護部材片35a、35aの先端部は、両側から第二連結部材28の中間部を挟む位置に配置される。また、両第二保護部材片35a、35aを略水平方向の補強片36、36で一体に連結固定し、両第二保護部材片35a、35aの先端部、両補強片36、36の間の開口が、第二保護部材貫通部37を形成する。
【0017】
(5) ロッド軸5方向で、練り付け板20が配置された高さ(第一保護部材31と第二保護部材35との中間高さ)で、ロッド本体1の外面に、第一保護部材31と第二保護部材35とに沿った平行に、第三保護部材40、40を固定する。第三保護部材40、40はロッド軸5に対して直径対称な位置に配置されている。また、第三保護部材40、40は、並列して水平方向に配置した第三保護部材片40a、40aからなり、第三保護部材片40a、40aは、その基端をロッド本体1に固定されている。また、第三保護部材片40a、40aは、練り付け板20の支持凸板22を挟むように配置され、第三保護部材片40a、40aの間に支持凸板挿入スリット41を構成する。練り付け板20がロッド軸5に対して、放射方向または求心方向に移動する際、支持凸板22が常に支持凸板挿入スリット41内に位置して、練り付け板20が移動の際にぶれないように案内する。
【0018】
(6) また、第一保護部材31(第一保護部材片31a、31a)と第三保護部材35(第三保護部材片35a、35a)とを縦方向の縦補強片43、43で一体に連結固定する。また、第三保護部材35(第三保護部材片35a、35a)と第二保護部材35(第二保護部材片35a、35a)とを縦方向の縦補強片44、44で一体に連結する(
図1)。
【0019】
(7) ロッド本体1の外面で、ロッド軸5に沿って、操作ロッド47を配置して、操作ロッド47の下端を摺動部材10に連結する。操作ロッド47の上端部48は、ロッド本体1を他のロッド本体1と連結する際に、操作ロッド47、47同士も連結するための連結部48を形成してある。なお、下方に他のロッド本体1を連結する位置で使用するロッド本体1では、凹部連結部4の付近に、下方の操作ロッド47の連結部48と繋ぐための連結部を形成してある(図示していない)。
また、操作ロッド47は、ロッド軸5に対して、連結凸板13、固定凸板17、支持凸板22の設置した側に対して、直角の方向に配置される。
また、操作ロッド47は、一つの摺動部材10について、ロッド軸5に対して、直径対称な位置に2本配置する(
図1(b))。
【0020】
(8) 以上のようにして、この発明の杭穴掘削ロッド60を構成する(
図1(a)(b)(c))。
なお、摺動部材10、操作ロッド47、練り付け板20、第一第二連結部材25、28、第一第二第三保護部材31、35、40などを合わせて練り付け具58とする。また、練り付け具58は、1つのロッド本体1に対して複数個設けることもできる(図示していない)。
また、練り付け板20を支える支持凸板22、摺動部材10、支持支点16の固定凸片17および第一第二連結部材25、28などから駆動部を構成する。
【0021】
2.杭穴掘削ロッド60の使用
【0022】
(1) この実施に使用する掘削ヘッド50は、凹連結部4と連結できる凸連結部54を有するヘッド本体51に、揺動自在の掘削腕55、55を取り付けて構成する(
図1(c))。この掘削ヘッド50は、掘削腕55の下端に備えた掘削刃56、56と、ヘッド本体51の固定掘削刃52、52とで杭穴を掘削でき、掘削腕55は、水平軸53周りに回動して揺動角度を変化させることができる。この掘削腕56、56の揺動角度に応じて、掘削径を変化させることができる。
なお、使用する掘削ヘッド50は、掘削径を変化させることができれば、その構造は任意である。
【0023】
(2) 杭穴掘削ロッド60の下端の凹連結部4に、掘削ヘッド50の凸連結部54を連結して、杭穴掘削ロッド60の上端の凸連結部3を掘削機のオーガ((図示していない)に連結する。掘削ヘッド50を掘削径D1の軸部掘削モードに設定して、オーガを回転させながら下降して、杭穴掘削ロッド60を下降して、地面62から径D1の杭穴軸部64を掘削する(
図3(a)、
図1(b)(c))。
この際、杭穴掘削ロッド60はD1の最小練り付けモードにしてあり、摺動部材10は最も下がった位置にあり、練り付け板20の支持凸板22の先端23は、ロッド本体1の外面に当接している(
図1(b)(c))。最小張り出し量)。したがって、練り付け板20の練り付け曲面21は径D1の杭穴の軸部64の側壁を練り付けて均しながら、杭穴掘削ロッド60とともに下降する(
図3(a))。
また、この際、杭穴掘削ロッド60は、通常単位長さ10m程度であり、杭穴の深さに応じて適宜、凸連結部3(上端部)に他の杭穴掘削ロッド60(ロッド本体1)の凹連結部4(下端部)を連結する。また、連結Bに際して、上下の杭穴掘削ロッド60(ロッド本体1)で、操作ロッド47、47も連結部48で連結する。
また、この際、練り付け板20がある程度の圧力で杭穴の側壁を練り付けるので、第一連結部材25、第二連結部材28および支持凸板22で、ピン26、29方向に、たわみやねじれが生じるが、それぞれ、第一保護部材31、第二保護部材、第三保護部材で両側から挟まれているので、大きな負荷が生じることを防止している。
【0024】
(3) また、この際、練り付け板20を設けた杭穴掘削ロッド60が複数ある場合(あるいは、杭穴掘削ロッド60の複数高さに練り付け板20、20があった場合)、練り付け板20毎(摺動部材10毎)に操作ロッド47、47が設けられ、各練り付け板20毎(摺動部材10毎)の操作ロッド4、47が地上に至っている(
図3(c)参照)。
したがって、杭穴掘削ロッド60を繋ぐ際には、下方に複数の練り付け板20があれば、それに応じて操作ロッド47、47があり、総ての操作ロッド47、47を繋ぐことになる。
【0025】
(4) 杭穴の軸部64の掘削が完了したならば、続いて、所定深さから掘削ロッド60(オーガ)を逆回転して、掘削ヘッド50の掘削腕55、55の揺動を拡大モードして、径D2(>D1)で杭穴の拡底部65を掘削する(
図2(b))。この際、杭穴掘削ロッド60の練り付け板20は未だ径D1の杭穴の軸部64内にあるので、練り付け板20の練り付け径はD1のままとなっている(
図2(a)(b))。
【0026】
(5) 杭穴掘削ロッド60の練り付け板20が径D2の杭穴の拡底部65内に入ったならば(
図3(b))、杭穴掘削ロッド60に対して、操作ロッド47、47を地上62から引き上げる。操作ロッド47、47の引き上げにより、杭穴掘削ロッド60(ロッド本体1)に対して、摺動部材10も上側に移動して、伴い、第一連結部材25および第二連結部材28は傾斜角度が大きくなるように起きあがり、練り付け板20は練り付け板20と一緒にロッド軸5から放射方向に移動して、支持凸板22の先端23はロッド本体1から離れ、練り付け板20はD2の練り付け径となる(
図1(a)、
図2(c)(d)。最大張り出し量)。この際、第一連結部材25、第二連結部材28、および支持凸板22は、それそれ、第一保護部材31、第二保護部材35、第三保護部材40で両側から挟まれているので、各部材25、28、22などの滑らかで速やかな移動・変化を案内できる。
【0027】
(6) また、練り付け板20を設けた掘削ロッド60が複数ある場合(掘削ロッド60の複数高さに練り付け板20があった場合)、拡底部65に至った練り付け板20毎(摺動部材毎)に、操作ロッド47を地上62で操作して、順次、練り付け径をD2に設定する(
図3(c)(d))。
この杭穴掘削ロッド60での掘削および練り付けにより、径D1の軸部64、径D2の拡底部65を有する杭穴が精度良く掘削できる。とりわけ、比較的崩壊しやすい地盤を通過した杭穴の場合には、杭穴壁の壊れを未然に防止できる。
【0028】
(7) 所定の深さまで杭穴を掘削したならば、掘削ヘッド50の下端からセメントミルクを放出しながら、杭穴掘削ロッド60を回転しながら引き上げる。この際、径D2に広げた練り付け板20が杭穴の軸部64の直下に至った段階で、地上62から杭穴掘削ロッド60(ロッド本体1)に対して操作ロッド47を押し下げて、ロッド本体1に対して摺動部材10を下げて、第一連結部材25、第二連結部材28、支持凸板22を当初の位置に戻す(
図2(a)(b)参照)。この際、練り付け板20を広げる時と同様に、第一連結部材25、第二連結部材28、支持凸板22は、第一保護部材31、第二保護部材および第三保護部材で両側から挟まれているので、各部材22、25、28の滑らかで速やかな移動・変化を案内する。
したがって、杭穴掘削ロッド60を引き上げながら、杭穴の拡底部65、軸部64が、各練り付け板20、20により練り付けられる。
【0029】
(8) なお、練り付け板20の径D2から径D1への縮径は、各練り付け板20、20が、杭穴の拡径部65から杭穴の軸部64に入る直前に実行することが好ましいが、全部の練り付け板20をまとめて操作することもできる。
【0030】
(9) また、以上のようにして、杭穴掘削ロッド60(掘削ヘッド50を含む)を地上62に引き上げたならば、従来と同様に、セメントミルクなどで満たされた杭穴内に既製杭を埋設する(図示していない)。
【0031】
3.他の実施形態
【0032】
(1) 前記実施形態において、ロッド本体1に掘削ヘッド50の凸連結部53に連結する凹連結部4を形成したが、最下端に使用するロッド本体1や充分に長いロッド本体1では、ロッド本体1の下端部に、直接に、掘削ヘッド50を形成することもできる(図示していない)。
【0033】
(2) また、前記実施形態において、摺動部材10の上方に固定支点16(固定凸片17、17)を設けたが、摺動部材10の下方に固定支点16(固定凸片17、17)を設けることもできる(図示していない)。
【0034】
(3) また、前記実施形態において、1つの操作ロッド47で、1つの摺動部材10(同一高さの練り付け具58)を操作したが、総ての摺動部材10(同一高さの練り付け具58)を1つの操作ロッド47で操作することもできる(図示していない)。
【0035】
(4) また、前記実施形態において、摺動部材10の摺動により、練り付け板20をロッド軸5に対して放射状に移動させる際に、第一第二連結部材25、28を使用したが、他の駆動機構とすることもできる(図示していない)。
さらに、地上からの操作ロッド47を上下動させて、摺動部材10の摺動により、練り付け板20をロッド軸5に対して放射状に移動させたが、他の機構を採用して練り付け板20をロッド軸5に対して放射状に移動させることもできる(図示していない)。
【符号の説明】
【0036】
1 ロッド本体
3 凸連結部
4 凹連結部
5 ロッド軸
9 縦凸条
10 摺動部材
11 円形開口
12 縦凹条
13 連結凸片
16 固定支点
17 固定凸片
20 練り付け板
21 練り付け曲面
22 支持凸板
25 第一連結部材
26 ピン
28 第二連結部材
29 ピン
31 第一保護部材
31a 第一保護部材片
32 補強片
33 第一連結部材貫通部
35 第二保護部材
35a 第二保護部材片
36 補強片
37 第二連結部材貫通部
40 第三保護部材
40a 第三保護部材片
41 支持凸板挿入スリット
43、44 縦補強片
47 操作ロッド
48 操作ロッドの連結部
50 掘削ヘッド
51 ヘッド本体
52 固定掘削刃
53 水平軸
54 凸連結部
55 掘削腕
56 掘削刃
58 練り付け具
60 杭穴掘削ロッド
62 地面(地上)
64 杭穴の軸部
65 杭穴の拡底部(杭穴の拡径部)