IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 積水化学工業株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】軒先構造および庇パラペットの交換方法
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/15 20060101AFI20220401BHJP
【FI】
E04D13/15 501A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018064051
(22)【出願日】2018-03-29
(65)【公開番号】P2019173442
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 丈
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-190118(JP,A)
【文献】特開2003-239478(JP,A)
【文献】特開2015-221988(JP,A)
【文献】特開2005-171522(JP,A)
【文献】実開昭57-029739(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/15
E04D 13/158
E04D 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の屋根材の軒先の梁から軒先前方に延設されたアームと、
前記アームの先端部に固定された固定ブラケットと、
前記固定ブラケットに固定された第1の庇パラペット、または、前記第1の庇パラペットとは異なる形状第2の庇パラペットと、
を備え、
前記固定ブラケットは、第1の庇パラペットの裏面に当接可能なパラペット支持面を有し、
前記第2の庇パラペットは、前記パラペット支持面に対し取付金具を介して固定されるようになっており、
前記取付金具は、前記第2の庇パラペットの裏面を支持する金具支持面を有すると共に、前記金具支持面は、前記第2の庇パラペットを、前記パラペット支持面から離れた軒先前方位置に配置させるものであり、
更に、前記第1の庇パラペットは、形状が異なる複数の前記固定ブラケットのいずれかに対応した専用品とされ、
前記固定ブラケットは、専用の前記第1の庇パラペットに対応した形状を有し、
前記パラペット支持面は、前記固定ブラケットごとに専用の前記第1の庇パラペットを支持可能な位置に設けられており、
前記第2の庇パラペットは、異なる形状を有する複数の前記固定ブラケットの間で共用可能とされ、
前記取付金具は、前記第1の庇パラペットごとに形状の異なる前記固定ブラケットの前記パラペット支持面に対応するものとされ、前記取付金具の前記金具支持面は、前記第2の庇パラペットを、前記第2の庇パラペットが共用可能となる軒先前方位置に前記パラペット支持面から離して配置させる
軒先構造。
【請求項2】
建物の屋根材の軒先の梁から軒先前方に延設されたアームと、
前記アームの先端部に固定された固定ブラケットと、
前記固定ブラケットのパラペット支持面に裏面を当接させて固定された第1の庇パラペットと、
前記第1の庇パラペットとは異なる形状の第2の庇パラペットと、
用いる庇パラペットの交換方法であって、
前記固定ブラケットの前記パラペット支持面から、既設の前記第1の庇パラペットを除去する工程と、
前記第1の庇パラペットを除去した前記固定ブラケットの前記パラペット支持面付金具を取り付ける工程と、
前記第2の庇パラペットの裏面を前記取付金具の金具支持面により支持した状態で、前記第2の庇パラペットを前記固定ブラケットに固定する工程と、
を備えて、前記第2の庇パラペットを前記パラペット支持面から離れた軒先前方位置に配置する庇パラペットの交換方法。
【請求項3】
請求項に記載の庇パラペットの交換方法であって、
前記第2の庇パラペットは、上下に分割された上型材と下型材とを結合して形成されたものであり、
前記第2の庇パラペットを前記固定ブラケットに固定する工程は、
前記第2の庇パラペットの前記下型材を前記固定ブラケットに仮固定する工程と、
前記下型材の位置決めを行う工程と、
前記下型材を前記固定ブラケットに本固定を行う工程と、
前記下型材に前記上型材を取り付け、さらに、前記上型材を前記固定ブラケットに固定する工程と、
を備える庇パラペットの交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、軒先構造および庇パラペットの交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の屋上などの屋根材の軒先の鼻隠し部分に、軒先に沿って複数の庇パラペットを並設した軒先構造が知られている(例えば、特許文献1-4参照)。
【0003】
特許文献4に記載の軒先構造は、軒先の下方位置に軒先に沿って梁が配置され、この梁から軒先の前方へ延在されたアームが軒先に沿う方向に所定の間隔で複数設けられ、各アームの先端に固定ブラケットが設けられている。そして、固定ブラケットに、軒先に沿って複数並設された庇パラペットが固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-106129号公報
【文献】実開平6-44898号公報
【文献】特開2002-106128号公報
【文献】特開2015-221988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、庇パラペットは、建物の仕様により形状が異なるものが複数存在し、固定ブラケットの形状も、各庇パラペットの形状に応じ、その内側面に当接可能なように異なる形状のものが存在する。
そのため、従来、建物のリフォームなどで庇パラペットを交換する場合、既設の固定ブラケットで新たな庇パラペットを支持するには、既設の庇パラペットと同じ形状の庇パラペットに交換する必要があった。
【0006】
しかしながら、年々、新しい仕様の建物が開発され、それに応じて異なる形状の庇パラペットおよび固定ブラケットが製造されると、交換に必要な庇パラペットの種類も年々増加し、コストアップを招く。
【0007】
本開示は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、固定ブラケットおよび庇パラペットの共用化を図ることが可能な軒先構造および庇パラペットの交換方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の軒先構造は、
建物の屋根材の軒先の梁から軒先前方に延設されたアームと、
前記アームの先端部に固定された固定ブラケットと、
前記固定ブラケットに固定された第1の庇パラペット、または、前記第1の庇パラペットとは異なる形状第2の庇パラペットと、
を備え、
前記固定ブラケットは、第1の庇パラペットの裏面に当接可能なパラペット支持面を有し、
前記第2の庇パラペットは、前記パラペット支持面に対し取付金具を介して固定されるようになっており、
前記取付金具は、前記第2の庇パラペットの裏面を支持する金具支持面を有すると共に、前記金具支持面は、前記第2の庇パラペットを、前記パラペット支持面から離れた軒先前方位置に配置させるものであり、
更に、前記第1の庇パラペットは、形状が異なる複数の前記固定ブラケットのいずれかに対応した専用品とされ、
前記固定ブラケットは、専用の前記第1の庇パラペットに対応した形状を有し、
前記パラペット支持面は、前記固定ブラケットごとに専用の前記第1の庇パラペットを支持可能な位置に設けられており、
前記第2の庇パラペットは、異なる形状を有する複数の前記固定ブラケットの間で共用可能とされ、
前記取付金具は、前記第1の庇パラペットごとに形状の異なる前記固定ブラケットの前記パラペット支持面に対応するものとされ、前記取付金具の前記金具支持面は、前記第2の庇パラペットを、前記第2の庇パラペットが共用可能となる軒先前方位置に前記パラペット支持面から離して配置させる
【0009】
また、本開示の庇パラペットの交換方法は、
建物の屋根材の軒先の梁から軒先前方に延設されたアームと、
前記アームの先端部に固定された固定ブラケットと、
前記固定ブラケットのパラペット支持面に裏面を当接させて固定された第1の庇パラペットと、
前記第1の庇パラペットとは異なる形状の第2の庇パラペットと、
用いる庇パラペットの交換方法であって、
前記固定ブラケットの前記パラペット支持面から、既設の前記第1の庇パラペットを除去する工程と、
前記第1の庇パラペットを除去した前記固定ブラケットの前記パラペット支持面付金具を取り付ける工程と、
前記第2の庇パラペットの裏面を前記取付金具の金具支持面により支持した状態で、前記第2の庇パラペットを前記固定ブラケットに固定する工程と、
を備えて、前記第2の庇パラペットを前記パラペット支持面から離れた軒先前方位置に配置する。
【発明の効果】
【0010】
本開示の軒先構造では、上記構成により、固定ブラケットに取付金具を取り付けていない状態では、パラペット支持面で第1の庇パラペットの裏面を支持した状態で第1の庇パラペットを固定することができる。
また、固定ブラケットに取付金具を取り付けた状態では、取付金具の金具支持面で第2の庇パラペットの裏面を支持した状態で第2の庇パラペットをパラペット支持面から離れた軒先前方位置に配置させて固定することができる。
したがって、一種類の固定ブラケットにより、形状の異なる2種類の庇パラペットを固定可能であり、庇パラペットの共用化を図ることが可能となる。
しかも、第2の庇パラペットは、専用品である複数の第1の庇パラペットに対してそれぞれ設けられた形状の異なる複数の固定ブラケットの間で共用でき、汎用性に優れる。
【0011】
また、本開示の庇パラペットの交換方法では、上記構成により、一種類の固定ブラケットを用いながら、既設の第1の庇パラペットから、第1の庇パラペットとは形状の異なる新規の第2の庇パラペットに交換して、第2の庇パラペットをパラペット支持面から離れた軒先前方位置に配置させることができる。
したがって、一種類の固定ブラケットを共用して形状の異なる第1、第2の庇パラペットを固定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】本開示の実施の形態の軒先構造を説明するための断面図であって、第1の既設の庇パラペット1Dが取り付けられた状態を示す。
図1B】本開示の実施の形態の軒先構造の一例を示す断面図であって、図1Aに示す軒先構造において第1の既設の庇パラペット1Dを新設の庇パラペットP1に交換した状態を示す。
図2A】本開示の実施の形態の軒先構造を説明するための断面図であって、第2の既設の庇パラペット1Pが取り付けられた状態を示す。
図2B】本開示の実施の形態の軒先構造の一例を示す断面図であって、図2Aに示す軒先構造において第2の既設の庇パラペット1Pを新設の庇パラペットP1に交換した状態を示す。
図3A】本開示の実施の形態の軒先構造を説明するための断面図であって、第3の既設の庇パラペット1Lが取り付けられた状態を示す。
図3B】本開示の実施の形態の軒先構造の一例を示す断面図であって、図3Aに示す軒先構造において第3の既設の庇パラペット1Lを新設の庇パラペットP2に交換した状態を示す。
図4A】本開示の実施の形態の軒先構造を説明するための断面図であって、第4の既設の庇パラペット1Cが取り付けられた状態を示す。
図4B】本開示の実施の形態の軒先構造の一例を示す断面図であって、図4Aに示す軒先構造において第4の既設の庇パラペット1Cを新設の庇パラペットP3に交換した状態を示す。
図5A】実施の形態の軒先構造において、図1Bに示す固定ブラケット2Dと取付金具71,72との関係を示す斜視図である。
図5B】固定ブラケット2Dに取付金具71を取り付けた状態を示す側面図である。
図6A】実施の形態の軒先構造において、図2Bに示す固定ブラケット2Pと取付金具81,82との関係を示す斜視図である。
図6B】固定ブラケット2Pに取付金具81を取り付けた状態を示す側面図である。
図7A】実施の形態の軒先構造において、図3Bに示す固定ブラケット2Lと取付金具91,92,93との関係を示す斜視図である。
図7B】固定ブラケット2Lに取付金具91を取り付けた状態を示す側面図である。
図7C】固定ブラケット2Lに取付金具93を取り付けた状態を示す側面図である。
図8】実施の形態の軒先構造において、図4Bに示す固定ブラケット2Cと取付金具95,96との関係を示す斜視図である。
図9A】実施の形態の軒先構造に取り付ける庇パラペットP1~P3に使用する上型材610を示す側面図である。
図9B】実施の形態の軒先構造に取り付ける庇パラペットP1に使用する下型材601を示す側面図である。
図9C】実施の形態の軒先構造に取り付ける庇パラペットP2に使用する下型材602を示す側面図である。
図9D】実施の形態の軒先構造に取り付ける庇パラペットP3に使用する下型材603を示す側面図である。
図10】実施の形態の庇パラペットの交換方法の作業手順を示すフローチャートである。
図11】実施の形態の庇パラペットの交換方法における補強作業の説明図である。
図12】実施の形態の庇パラペットの交換方法における補強作業の説明図である。
図13A】実施の形態の庇パラペットの交換方法における庇パラペットの設置手順の説明図であって、最初に仮固定する庇パラペットの位置を示している。
図13B】実施の形態の庇パラペットの交換方法における庇パラペットの設置手順の説明図であって、次に仮固定する庇パラペットの位置を示している。
図13C】実施の形態の庇パラペットの交換方法における庇パラペットの設置手順の説明図であって、最後に仮固定する庇パラペットの位置を示している。
図14】実施の形態の庇パラペットの交換方法におけるジョイントの設置作業の説明図である。
図15】実施の形態の庇パラペットの交換方法における庇パラペットの下型材601の仮固定作業の説明図である。
図16】実施の形態の庇パラペットの交換方法における庇パラペットの下型材601の仮固定作業の説明図である。
図17】実施の形態の庇パラペットの交換方法における庇パラペットの下型材601の仮固定作業の説明図である。
図18】実施の形態の庇パラペットの交換方法における庇パラペットの下型材601の位置出し作業の説明図である。
図19】実施の形態の庇パラペットの交換方法における庇パラペットの下型材601の本固定作業の説明図である。
図20】実施の形態の庇パラペットの交換方法における庇パラペットの上型材610の取付作業の説明図である。
図21】実施の形態の庇パラペットの交換方法における庇パラペットの上型材610の取付作業の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の軒先構造および庇パラペットの交換方法の実施の形態を図面にしたがって説明する。
【0014】
実施の形態の軒先構造および庇パラペットの交換方法は、複数の形状の異なる既設の庇パラペット(第1の庇パラペット)を、既設の庇パラペットとは形状が異なる新規の庇パラペット(第2のパラペット)に交換することを可能とするものである。
【0015】
そこで、複数の形状の異なる既設の庇パラペットとして、図1Aに示す第1の既設の庇パラペット1D、図2Aに示す第2の既設の庇パラペット1P、図3Aに示す第3の既設の庇パラペット1L、図4Aに示す第4の既設の庇パラペット1Cを例示する。
【0016】
これら第1~第4の既設の庇パラペット1D、1P、1L、1Cは、アルミなどの金属製の薄板により形成され、軒先に沿って軒先を覆って設けられている。これらの庇パラペット1D、1P、1L、1Cは、それぞれ、共通する構造の軒先に設けられた異なる形状の固定ブラケット2D、2P、2L、2Cに支持されている。
【0017】
(既設の庇パラペットが取り付けられた軒先構造の説明)
まず、既設の庇パラペット1D、1P、1L、1Cが取り付けられた軒先構造について説明する。
図1A図2A図3A図4Aに示す軒先構造において、上述の庇パラペット1D、1P、1L、1C、固定ブラケット2D、2P、2L、2C以外の建物側の構造は、ほぼ共通しているため、これらを代表して、図1Aに示す軒先構造について説明する。
図1Aは、建物の上部を覆って設けられた屋根材11の先端部である軒先部分を示している。屋根材11は、梁12に支持されており、この梁12は、軒先に沿って設けられている。すなわち、建物の上部の外周に沿って梁12が設けられ、この梁12に支持された屋根材11の先端部分が軒先となる。
なお、図13Aに建物の屋根の平面形状の一例を示している。
【0018】
図1Aに戻り、梁12から、アーム13が、屋根材11よりも建物外方(矢印FRの方向)に突き出て設けられており、以下、この矢印FRの方向を軒先前方と称する。なお、矢印UPは建物の上方を示している。また、このアーム13は、梁12の延在方向に所定の間隔を空けて、建物の全周に亘って複数設けられている。
【0019】
各アーム13の先端部には、固定ブラケット2Dが固定されている。
そして、固定ブラケット2Dと梁12との間には軒樋16、軒天井18、庇カバー19aおよび水はね防水シート19bが設けられている。なお、図4A図4Bに示す軒先構造では、防水シート19bに代えて庇カバー下水切19cが設けられている。
【0020】
軒樋16は、アーム13の上面に支持されて、梁12と略平行に軒先に沿って延在されている。また、軒樋16において、複数箇所に縦樋17が接続されている。
【0021】
軒天井18は、軒先の下面を覆うもので、アーム13にジョイント部材18cを介して支持されて、アーム13の下方に配置されている。
庇カバー19aは、庇パラペット1Dと屋根材11との間の間口を覆って設けられている。この庇カバー19aは、雪やゴミなどを受け止めて、雪やゴミなどが軒樋16内に入らないようにするものである。
【0022】
(固定ブラケットおよび庇パラペット)
次に、図1A図2A図3A図4Aに示す固定ブラケット2D、2P、2L、2Cおよび庇パラペット1D、1P、1L、1Cについて説明する。
【0023】
<固定ブラケット2D>
まず、図1Aに示す第1の既設の固定ブラケット2Dについて説明する。
固定ブラケット2Dは、図5Aの斜視図にも示すように、上から順に上部支持部21、上部傾斜支持面22、中間支持部23、下部凹状部24、下端支持部25を有する。
【0024】
上部支持部21は、図1Aに示す側方から見た形状が、上方に凸状に形成され、図5Aに示すように、上方を向いた平らな上端支持面21aを有する。
上部傾斜支持面22は、上部支持部21の軒先前方側に設けられ、軒先前方に向かうに連れて下がるよう傾斜して、軒先前方斜め上方を向いて形成されている。
【0025】
中間支持部23は、図1Aに示す側方から見た形状が、軒先前方に凸状に形成され、図5Aに示すように、上方を向いた中段支持面23aと、軒先前方を向いた中間正面支持面23bとを備える。
【0026】
下部凹状部24は、図1Aに示すように、側方から見た形状が、軒先後方に凹んだ横向きの凹状に形成され、図5Aに示すように、中間正面支持面23bよりも軒先後方(軒先前方とは逆方向)に配置されて、軒先前方を向いた下部正面第1支持面24aを有する。
【0027】
下端支持部25は、図1Aに示すように、下部正面第2支持面25aと、下端支持面25bと、下端部背面支持面25cとを備える。
下部正面第2支持面25aは、軒先前方を向いて形成され、軒先の前後方向で、下部正面第1支持面24aと中間正面支持面23bとの間に配置されている。下端支持面25bは、下方を向いて形成されている。下端部背面支持面25cは、軒先後方を向いて形成されている。
【0028】
<庇パラペット1D>
次に、上述した固定ブラケット2Dに支持されて固定された、第1の既設の庇パラペット1Dについて説明する。
庇パラペット1Dは、図1Aに示すように、裏面が固定ブラケット2Dに沿う形状に形成されており、上端逆凹状部110、上部傾斜面120、前方凸部130、後方凹部140、下部凹状部150を備える。
そして、上端逆凹状部110は、図示のように、逆凹状に形成されており、その裏面が上端支持面21aに接触状態で支持され、かつ、フランジ部111が固定ブラケット2Dの上部支持部21に軒先前方に係合するよう配置されている。また、上端逆凹状部110は、リベット112により上端支持面21aに固定されている。
【0029】
上部傾斜面120は、軒先前方に向かって下がるように傾斜され、その裏面が上部傾斜支持面22に当接状態で支持されている。
【0030】
前方凸部130は、側面視で凸状に軒先前方に向かって突出され、その裏面が固定ブラケット2Dの中間正面支持面23bに当接され、かつ、その上端部がリベット131により固定ブラケット2Dの中段支持面23aに固定されている。
【0031】
後方凹部140は、庇パラペット1Dの下部に軒先に沿って横溝状の意匠を形成するもので、その裏面が下部正面第1支持面24aに当接されて、リベット141により固定ブラケット2Dに固定されている。
【0032】
下部凹状部150は、略L字断面形状に形成され、さらに、先端部にフランジ151が上方に立ち上げられている。そして、下部凹状部150の上面152が下端支持面25bに当接され、フランジ151が下端部背面支持面25cに当接した状態でリベット153により固定されている。
【0033】
<固定ブラケット2P>
次に、図2Aに示す固定ブラケット2Pについて説明する。
固定ブラケット2Pは、図6Aの斜視図にも示すように、上から順に上部支持部31、上部傾斜支持面32、中間支持部33、下部凹状部34、下端支持部35を有する。
【0034】
上部支持部31は、図2Aに示す側方から見た形状が、上方に凸状に形成され、図6Aに示すように、上方を向いた平らな上端支持面31aを有する。
上部傾斜支持面32は、上部支持部31の軒先前方側に設けられ、軒先前方に向かうに連れて下がるよう傾斜して、軒先前方斜め上方を向いて形成されている。
【0035】
中間支持部33は、図2Aに示す側方から見た形状が、軒先前方に向けて凸状に形成され、図6Aに示すように、上方を向いた中段支持面33aと、軒先前方を向いた中間正面支持面33bとを備える。
【0036】
下部凹状部34は、図2Aに示すように、側方から見た形状が、軒先後方に凹んだ横向きの凹状に形成され、図6Aに示すように、中間正面支持面33bよりも軒先後方(軒先前方とは逆方向)に配置されて、軒先前方を向いた下部正面第1支持面34aを有する。
【0037】
下端支持部35は、図2Aに示すように、下部正面第2支持面35aと、下端支持面35bと、下端部背面支持面35cとを備える。下部正面第2支持面35aは、軒先前方を向いて形成され、軒先の前後方向で、下部正面第1支持面34aと中間正面支持面33bとの間に配置されている。下端支持面35bは、下方を向いて形成されている。下端部背面支持面35cは、軒先後方を向いて形成されている。
【0038】
以上説明した固定ブラケット2Pは、固定ブラケット2Dと比較して、上部支持部31の上下方向寸法が、上部支持部21よりも短く形成されている。これに伴い、上部傾斜支持面32の下端と中間正面支持面33bとの間の軒先前後方向寸法が、上部傾斜支持面22と中間正面支持面23bとの間の軒先前後方向寸法よりも大きく形成されている。また、下部凹状部34の前後方向寸法が下部凹状部24の上下方向寸法よりも小さく形成されている。
【0039】
<庇パラペット1P>
次に、上述した固定ブラケット2Pに固定された、第2の既設の庇パラペット1Pについて説明する。
庇パラペット1Pは、図2Aに示すように、裏面が固定ブラケット2Pに沿う形状に形成されており、上端逆凹状部210、上部傾斜面220、前方凸部230、後方凹部240、下部凹状部250を備える。
【0040】
そして、上端逆凹状部210は、図示のように、逆凹状に形成されており、その裏面が上端支持面31aに接触状態で支持され、かつ、フランジ部211が固定ブラケット2Pの上部支持部31に前方に係合するよう配置されている。そして、上端逆凹状部210は、リベット212により上端支持面31aに固定されている。
【0041】
上部傾斜面220は、軒先前方に向かって下がるように傾斜され、その裏面が上部傾斜支持面32に当接状態で支持されている。
【0042】
前方凸部230は、軒先前方に向かって凸状に突出して形成され、その裏面が固定ブラケット2Pの中間正面支持面33bに当接され、かつ、その上端部がリベット231により固定ブラケット2Pの中段支持面33aに固定されている。
【0043】
後方凹部240は、庇パラペット1Pの下部に軒先に沿って横溝状の意匠を形成するもので、その裏面が下部正面第1支持面34aに当接されている。そして、リベット241により下部正面第1支持面34aに固定されている。
【0044】
下部凹状部250は、略L字断面形状に形成され、さらに、先端部にフランジ251が上方に立ち上げられている。そして、下部凹状部250の上面252が下端支持面35bに当接され、フランジ251が下端部背面支持面35cに当接した状態でリベット253により固定されている。
【0045】
以上のように、庇パラペット1Pは、上部傾斜面220の上下方向寸法が庇パラペット1Dの上部傾斜面120よりも小さな寸法に形成されている。さらに、庇パラペット1Pは、後方凹部240の上下方向寸法が、庇パラペット1Dの後方凹部140の上下方向寸法よりも小さな形状に形成されている。
【0046】
<固定ブラケット2L>
次に、図3Aに示す固定ブラケット2Lについて説明する。
固定ブラケット2Lは、図7Aの斜視図にも示すように、上から順に上部支持部41、上部傾斜支持面42、中間支持部43、下部凹状部44、下端支持部45を有する。
【0047】
上部支持部41は、図3Aに示す側方から見た形状が、上方に凸状に形成され、図7Aに示すように、上方を向いた平らな上端支持面41aを有する。
上部傾斜支持面42は、上部支持部41の軒先前方側に設けられ、軒先前方に向かうに連れて下がるよう傾斜して、軒先前方斜め上方を向いて形成されている。
【0048】
中間支持部43は、図3Aに示す側方から見た形状が、軒先前方に向けて凸状に形成され、図7Aに示すように、軒先前方を向いた中間正面支持面43bを備える。そして、中間正面支持面43bに連続して、詳細な図示は省略するが、中間支持部43の下端には、下方を向いた締結用面43cを有する。また、中間支持部43の上端には、板材の上端面から成る中段支持部43aを備える。
【0049】
下部凹状部44と下端支持部45は、図3Aに示すように、側方から見て中間正面支持面43bから軒先後方に向かって下方に階段状に形成されている。
下部凹状部44は、中間正面支持面43bよりも軒先後方に後退して配置された板材の端面から形成されている。
【0050】
下端支持部45は、図3Aに示すように、下部正面支持面45aと、下端支持面45bと、下端部背面支持面45cとを備える。下部正面支持面45aは、軒先前方を向いて形成され、軒先の前後方向で、下部凹状部44よりも軒先後方に配置されている。下端支持面45bは、下方を向いて形成されている。下端部背面支持面55cは、軒先後方を向いて形成されている。
【0051】
以上説明した固定ブラケット2Lは、固定ブラケット2Dおよび固定ブラケット2Pと比較して、上部支持部31の上下方向寸法が小さく、逆に、中間支持部43の上下方向寸法が大きく形成されている。また、下部凹状部44と下端支持部45とは、下方側ほど、軒先後方に配置されるよう、階段状に形成されている。
【0052】
<庇パラペット1L>
次に、上述した固定ブラケット2Lに支持されて固定された、第3の既設の庇パラペット1Lについて説明する。
庇パラペット1Lは、図3Aに示すように、裏面が固定ブラケット2Lに沿う形状に形成されており、上端逆凹状部310、上部傾斜面320、前方凸部330、第2凸部340、下部凹状部250を備える。
【0053】
そして、上端逆凹状部310は、図示のように、逆凹状に形成されており、その裏面が上端支持面41aに接触状態で支持され、かつ、フランジ部311が固定ブラケット2Lの上部支持部41に軒先前方向で係合するよう配置されている。
【0054】
上部傾斜面320は、軒先前方に向かって下がるように傾斜され、その裏面が上部傾斜支持面42に当接状態で支持されている。
そして、上端逆凹状部310は、リベット312により上端支持面41aに固定されるとともに、上部傾斜面320がリベット313により上部傾斜支持面42に固定されている。
【0055】
前方凸部330は、軒先前方に向かって凸状に突出して形成され、その裏面が固定ブラケット2Lの中間正面支持面43bに当接されている。
【0056】
第2凸部340および下部凹状部350は、庇パラペット1Lの前方凸部330の下側に、前方凸部330から段階的に軒先後方に段差を形成する。そして、第2凸部340には、前方凸部330の軒先後方位置に、上方に凹状の凹溝341が形成され、この凹溝341が中間支持部43の下端部の締結用面(不図示)に当接されて、リベット342により固定されている。
【0057】
また、下部凹状部350は、固定ブラケット2Lの下端支持部45を覆うように、略L字断面形状に形成され、さらに、先端部にフランジ351が上方に立ち上げられている。そして、下部凹状部350の上面352が下端支持面45bに当接され、フランジ351が下端部背面支持面45cに当接した状態でリベット353により固定されている。
【0058】
以上のように、庇パラペット1Lは、前方凸部330が、前述の庇パラペット1D、1Pの前方凸部130,230と比較して、上下方向寸法が大きな形状(意匠)に形成されている。さらに、庇パラペット1Lは、その下部に溝状の形状を有しておらず、下方の部分程、軒先後方に配置された階段形状に形成されている。
【0059】
<固定ブラケット2C>
次に、図4Aに示す固定ブラケット2Cについて説明する。
固定ブラケット2Cは、図8の斜視図にも示すように、上から順に上部支持部51、上部傾斜支持面52、上部支持凸部53、中間凹状部54、下端支持部55を有する。
【0060】
上部支持部51は、図7Aに示すように、上方を向いた平らな上端支持面51aを有する。また、上部傾斜支持面52は、上端支持面51aの前端縁から、軒先前方に向かうに連れて下がるよう傾斜して、軒先前方斜め上方を向いて形成されている。
【0061】
上部支持凸部53は、図4Aに示すように、軒先前方を向いた上部正面支持面53bと、この上部正面支持面53bの下端縁から軒先後方に略直角に延在され、下方を向いた上部下方向支持面53cを備える。なお、上部正面支持面53bは、他の固定ブラケット2D,2L、2Pの中間正面支持面23b,33b,43bと比較して、上方に位置し、かつ、上下方向寸法が小さな寸法に形成されている。
【0062】
中間凹状部54は、上部支持凸部53よりも軒先後方に配置された中間正面支持面54aを備え、かつ、中間凹状部54の上端部には、軒先後方に凹んだ凹部54bを備える。また、中間凹状部54の下端部には、中間正面支持面54aから軒先後方に略水平に延在された締結用面54cが設けられている。
下端支持部55は、図4Aに示すように、湾曲状に形成され、詳細な図示は省略するが、この湾曲形状に沿って、軒先前方から軒先下方に向きを変える形状の湾曲支持面55aを備える。
【0063】
以上説明した固定ブラケット2Cは、他の固定ブラケット2D、2P、2Lと比較して、上部の軒先前方への突出量が大きく、中間部が軒先後方へ後退した形状に形成されている。
【0064】
<庇パラペット1C>
次に、上述した固定ブラケット2Cに支持されて固定された、第4の既設の庇パラペット1Cについて説明する。
庇パラペット1Cは、図4Aに示すように、その裏面が固定ブラケット2Cに沿うように形成されており、上端逆凹状部410、上部傾斜面420、上部前方凸部430、中間凹部440を備える。
【0065】
また、庇パラペット1Cは、固定ブラケット2Cの上端から中間凹状部54の下端の高さまでの上下方向長を有する。そして、軒先において、庇パラペット1Cの下側部分は、軒天井18の外側を覆う軒天井カバー部材18aが、軒天井18の軒先前方を覆うように湾曲された湾曲カバー部18bにより覆われている。すなわち、下端支持部55の湾曲支持面55aの湾曲形状は、この湾曲カバー部18bの湾曲形状に一致する形状に形成されている。
【0066】
庇パラペット1Cの上端逆凹状部410は、図示のように、逆凹状に形成されており、その裏面が上端支持面51aに接触状態で支持され、かつ、フランジ部411が固定ブラケット2Cの上部支持部51に軒先前方向に係合するよう配置されている。
【0067】
上部傾斜面420は、軒先前方に向かって下がるように傾斜され、その裏面が上部傾斜支持面52に当接状態で支持されている。そして、上端逆凹状部410は、リベット412により上端支持面51aに固定されている。
【0068】
上部前方凸部430は、上部傾斜面420の下端に連続して下方に垂下され、軒先前方に最も突出して配置されている。そして、上部前方凸部430の下端は、中間凹部440に向かって軒先後方に略直角に折り返され、上部下方向支持面53cに当接されて、リベット431により固定ブラケット2Cに固定されている。
【0069】
中間凹部440は、上部前方凸部430の折返し部分から下方に垂下され、その下端に、軒先後方に折曲されたフランジ部441を備える。
そして、フランジ部441が、軒天井18の軒天井カバー部材18aの湾曲カバー部18bの先端部と重なった状態で、リベット442により固定ブラケット2Cの締結用面54cに固定されている。
【0070】
以上のように、図1A図2A図3A図4Aに示す既設の庇パラペット1D、1P、1L、1Cは、それぞれ、軒先前後方向の突出量、凹凸形状、上下方向寸法が異なり、これに応じて、これを固定する固定ブラケット2D、2P、2L、2Cの形状も異なる。
【0071】
(実施の形態の軒先構造)
本実施の形態の軒先構造では、上述の形状の異なる固定ブラケット2D、2P、2L、2Cに取り付けることが可能な後述する庇パラペットP1,P2,P3を用いた軒先構造を提案するものである。
【0072】
庇パラペットP1,P2,P3は、図9Aに示す上型材610と、図9B図9C図9Dに示す下型材601,602,603とにより形成される。
すなわち、庇パラペットP1(図1B図2B参照)は、図9Aに示す上型材610と、図9Bに示す下型材601とを結合して形成される。また、庇パラペットP2(図3B参照)は、図9Aに示す上型材610と、図9Cに示す下型材602とを結合して形成される。さらに、庇パラペットP3(図4B参照)は、図9Aに示す上型材610と、図9Cに示す下型材603とを結合して形成される。
また、図9Bに示す下型材601は、中間部材620と第1下部部材630とを結合して形成され、図9Cに示す下型材602は、中間部材620と第2下部部材640とを結合して形成され、図9Dに示す下型材603は、中間部材620のみにより形成されたものである。
【0073】
すなわち、庇パラペットP1,P2,P3は、上型材610と中間部材620とを共用し、第1下部部材630と第2下部部材640とのいずれかを選択的に使用したものと、両下部部材630,640を使用しないものとにより形成される。
【0074】
そして、庇パラペットP1は、図1Bに示す固定ブラケット2Dを備える軒先構造および図2Bに示す固定ブラケット2Pを備える軒先構造に取り付けることができる。
また、庇パラペットP2は、図3Bに示す固定ブラケット2Lを備える軒先構造に取り付けることができる。
また、庇パラペットP3は、図4Bに示す固定ブラケット2Cを備える軒先構造に取り付けることができる。
なお、以下の説明において庇パラペットP1,P2,P3を総称する場合は、共通する符号「P」のみを用いて庇パラペットPと称する。
【0075】
<上型材>
まず、庇パラペットPの上部を形成する上型材610について説明する。
【0076】
上型材610は、庇パラペットPの上部を形成する部材であり、前述した既設の各庇パラペット1D、1P、1L、1Cの各上端逆凹状部110,210,310,410および各上部傾斜面120,220,320,420に相当する部材である。
【0077】
上型材610は、図9Aに示すように、上面部611とフランジ部612と上部傾斜面613とを備える。
【0078】
上面部611は、庇パラペットPの上端面を形成する。
フランジ部612は、軒先取付時に、上面部611の軒先後方に配置される端部から垂下されている。
上部傾斜面613は、軒先取付時に、上面部611の軒先前方に配置される端部から軒先前方程、下方に配置されるように傾斜されており、そして、その下端部に、上方に膨らんだ形状の固定片部613aを備える。また、上部傾斜面613は、設置時に、図4Bに示すように、固定ブラケット2Cの上部傾斜面420の全長に亘って沿うような傾斜角度および上下方向寸法に形成されている。
【0079】
また、図4Bに示すように、上型材610は、固定ブラケット2Cの上部支持部51および上部傾斜支持面52に沿う形状に形成されている。
【0080】
<下型材>
次に、下型材601,602,603を形成する中間部材620、第1下部部材630および第2下部部材640について説明する。
中間部材620は、庇パラペットP1、P2の中間部、庇パラペットP3の中間部および下端部を形成する部材であり、図9Bに示すように、上部傾斜部621、中間突出面部622、下端凹部623を備える。
【0081】
上部傾斜部621は、図1B図2Bなどに示すように、上部傾斜面613の下端部の固定片部613aの下側に重なって固定片部613aに固定される。したがって、その下端部621aは、固定片部613aと同様の湾曲形状に形成され、この下端部621aから斜め上方に延びる延長片621bは、上部傾斜部621の裏面に重なった際に上部傾斜部621に圧設されるように、上部傾斜部621の傾斜角度よりも僅かに急な傾斜角度で立ち上げられている。
なお、上部傾斜部621の下端部621aと延長片621bとは、庇パラペットPの設置時に、上部傾斜面613の固定片部613aおよび上部傾斜面613の下端部とに、それぞれ、不図示のブラインドリベットにより一体に固定される。
【0082】
図9Bに戻り、中間突出面部622は、上部傾斜部621の下端から垂下されている。この中間突出面部622は、図1B図2Bに示すように、上型材610の上面部611と結合させて設置した場合に、固定ブラケット2D,2Pの中間正面支持面23b,33bに当接されるような軒先前後方向位置となるように形成されている。
【0083】
下端凹部623は、中間突出面部622の下端部から設置状態で、軒先後方に凹んで形成されており、固定片部623a、下部正面部623b、結合片部623c、フランジ623dを備える。
固定片部623aは、中間突出面部622の下端部から、設置状態で軒先後方となる方向へ略水平に延在されている。
下部正面部623bは、設置時において軒先前方を向くよう形成され、固定片部623aの設置時の軒先後方側端部から下方に垂下されている。
結合片部623cは、下部正面部623bの下端から、設置時において軒先後方を向く方向に延在されている。この結合片部623cは、図9Bに示す第1下部部材630との結合や、図9Cに示す第2下部部材640との結合、あるいは、図4Bに示すように、固定ブラケット2Cとの固定に用いられる。
フランジ623dは、中間突出面部622に連続して固定片部623aよりも下方に垂下されている。下部正面部623bの奥行き感を演出している。
【0084】
なお、中間部材620の上下方向寸法は、図4Bに示すように、固定ブラケット2Cに設置した際に、結合片部623cが固定ブラケット2Cの締結用面54cの下面に重なる位置となるように設定されている。
【0085】
以上説明した中間部材620は、図4Bに示すように、固定ブラケット2Cの上部支持凸部53から中間凹状部54を覆い、結合片部623cが締結用面54cの下側に配置される寸法および形状に形成されている。
【0086】
次に、第1下部部材630および第2下部部材640について説明する。
第1下部部材630は、庇パラペットP1、P2の下端部を形成するもので、図9Bに示すように、湾曲部631、結合フランジ632、下端カバー部633を備える。
【0087】
湾曲部631は、下部正面部623bから下方に連続し、下方に向かうほど軒先後方へ向かうように湾曲した形状に形成されている。
結合フランジ632は、湾曲部631の上端から、設置時に軒先後方に向かう方向に延在され、中間部材620との結合の際に、結合片部623cの下側に重なった状態で、リベット624により結合される。
【0088】
下端カバー部633は、庇パラペットP1、P2の下端部を形成する部分であり、湾曲部631の下端から、設置時における軒先後方に向かって延在され、上方に向けて凹んだ凹溝633aと、軒先後方の端部から上方に立ち上げられたフランジ633bを有する。
【0089】
また、下端カバー部633は、軒先に設置した際には、図1B,図2Bに示すように、固定ブラケット2D,2Pの下端支持部25,35に沿って配置され、凹溝633aの位置で、ブラインドリベット182により固定ブラケット2D,2Pに固定される。
【0090】
なお、フランジ633bは、図1B図2Bに示すように、中間部材620を固定ブラケット2D,2Pの中間支持部23、33に当接させたときに、固定ブラケット2D,2Pの下端部背面支持面25c,35cに当接する位置に配置されている。
【0091】
第2下部部材640は、図9Cに示す、湾曲部641、結合フランジ642、下端カバー部643を備える。湾曲部641、結合フランジ642については、第1下部部材630の湾曲部631、結合フランジ632と同様に形成されている。
【0092】
下端カバー部643は、第1下部部材630の下端カバー部633よりも軒先前後方向に長い寸法に形成されている。
そして、下端カバー部643は、凹溝643aとフランジ633bとを有し、軒先に設置した際には、図3Bに示すように、固定ブラケット2Lの下端支持部45に沿って配置され、凹溝643aの位置で、ブラインドリベット182により固定ブラケット2Lに固定される。
【0093】
また、フランジ643bは、図3Bに示すように、中間部材620を固定ブラケット2Lの中間支持部43に当接させたときに、固定ブラケット2Lの下端部背面支持面45cに当接する位置に配置されている。
【0094】
(取付金具)
次に、庇パラペットP1、P2、P3を設置する際に使用する取付金具について説明する。
本実施の形態では、形状の異なる各固定ブラケット2D,2P,2L,2Cに対し、新規の庇パラペットP1、P2、P3を取り付けるのにあたり、取付金具71,72,81,82,91,92,93,95,96を使用する。
【0095】
以下に、各取付金具71,72,81,82,91,92,93,95,96について説明する。
【0096】
取付金具71,72は、図1Bに示すように、固定ブラケット2Dに庇パラペットP1を取り付けるのに使用する。なお、庇パラペットP1は、前述したように、上型材610と、中間部材620と第1下部部材630とを結合して形成された下型材601とを結合して形成されるものである。
【0097】
取付金具71は、金属板により形成されたもので、図5A図5Bに示すように、支持片71aと、その両端に一体に設けられたL字断面形状の脚部71b.71bとによりハット断面形状に形成されている。脚部71bは、支持片71aを、図1Bに示すように、固定ブラケット2Dの上部傾斜支持面22から、斜め上方に離れた位置であって、庇パラペットP1の上型材610の上部傾斜面613の裏面を支持する位置に配置できる寸法に形成されている。そして、この取付金具71は、ドリルビス71c、71cにより、脚部71bが上部傾斜支持面22に固定されている。
【0098】
また、取付金具72は、図5Aに示すように、横長の長方形の板状に形成され、ブラインドリベット72aにより固定ブラケット2Dの上端支持面21aに固定される。
なお、固定ブラケット2Dの下端の下端支持面25bには、発泡体製のテープ73が貼り付けられる。
【0099】
取付金具81,82は、固定ブラケット2Pに庇パラペットP1を取り付けるのに使用する。
取付金具81は、金属板により形成されたもので、図6A図6Bに示すように、支持片81aと、その上部および側部に一体に設けられたL字断面形状の脚部81bおよび平板状の脚部81cとを有する。
脚部81b、81cは、支持片81aを、図2Bに示すように、固定ブラケット2Pの上部傾斜支持面32から、斜め上方に離れた位置であって、庇パラペットP1の上型材610の上部傾斜面613の裏面を支持する位置に配置できる寸法に形成されている。そして、この取付金具81は、ドリルビス81d、81dにより、脚部81bが上部傾斜支持面32に固定され、脚部81cが上部支持部31の側面に固定されている。
【0100】
また、取付金具82は、図6Aに示すように、横長の長方形の板状に形成され、ブラインドリベット82aにより固定ブラケット2Pの上端支持面31aに固定される。
【0101】
取付金具91,92,93は、固定ブラケット2Lに庇パラペットP2を取り付けるのに使用する。
【0102】
取付金具91は、金属板により形成されたもので、図7A図7Bに示すように、支持片91aと、その側部に一体に設けられた平板状の脚部91bとによりL字断面形状に形成されている。
脚部91bは、支持片91aを、図3Bに示すように、固定ブラケット2Lの上部傾斜支持面32から、軒先前方に離れた位置であって、庇パラペットP2の上型材610の上部傾斜面613と、中間部材620の上部傾斜部621の延長片621bとが重なった箇所の裏面を支持する位置に配置できる寸法に形成されている。そして、この取付金具91は、ドリルビス91c、91cにより、脚部91bが中段支持部43aの側面に固定されている。
【0103】
また、取付金具92は、図7Aに示すように、横長の長方形の板状に形成され、ブラインドリベット92aにより固定ブラケット2Lの上端支持面41aに固定される。
【0104】
取付金具93は、図示のように、略四角形の板状の支持片93aの両側に、一対の板状の取付片93b、93bを立ち上げた略凹状の断面形状に形成されている。そして、支持片93aを、下端支持部45の下端支持面45bの下側に当接した状態で、ドリルビス93c,93cにより取付片93b、93bが下端支持部45の側面に固定されている。
【0105】
取付金具95,96は、固定ブラケット2Cに庇パラペットP3を取り付けるのに使用する。
取付金具95は、図8に示すように、横長の長方形の板状に形成され、ブラインドリベット95aにより固定ブラケット2Cの上端支持面51aに固定される。
【0106】
取付金具96は、横長の長方形の板状に形成され、中間凹状部54の下端の締結用面54cの下側に湾曲カバー部18bの先端縁部を重ねた状態で、さらにその下側に重ねた状態でブラインドリベット96aにより固定される。
【0107】
(実施の形態の作用)
実施の形態の作用として、軒先構造において、既設の庇パラペットから新規の庇パラペットに交換する作業の手順を、図10のフローチャートに沿って順を追って説明する。
なお、この作業の説明にあたり、まず、図1Aに示す第1の既設の庇パラペット1Dを除去し、新規の庇パラペットP1を設置する場合を例に挙げる。
【0108】
(ステップS1:既設の庇パラペットの取り外し)
まず、既設の第1の庇パラペット1Dを軒先から取り外す。このとき、固定ブラケット2Dへの固定に使用しているリベット112、131、141、153を撤去する。また、この庇パラペット1Dに使用している、隣接する庇パラペット1Dどうしの接続を行っているジョイナ(不図示)も撤去する。
【0109】
なお、後述する庇パラペット1Cの場合は、後述する軒天井ジョイナ192は、再利用するため、破棄しない。
そして、各アーム13や各固定ブラケット2Dなどの点検を行い、防錆作業や必要であれば補修を行う。
【0110】
(ステップS2:補強作業)
次に、軒天井18の補強作業を行う。
この補強作業は、庇パラペット1Dが設置されていた軒先構造の場合は、図11に示すように、軒天井18を支持するジョイント部材18cどうしを補強アングル材190により連結して補強する。なお、補強アングル材190は、ドリルビス191によりジョイント部材18cに締結する。
【0111】
また、庇パラペット1Cが設置されていた軒先構造の場合は、図12に示すように、軒先の延在方向に隣り合う軒天井カバー部材18aの湾曲カバー部18bどうしに跨らせて軒天井ジョイナ192を設け、リベット193により固定する。
【0112】
(ステップS3:取付金具の取付作業)
次に、固定ブラケット2D(2P、2L、2C)に取付金具を取り付ける。
固定ブラケット2Dには、図5Aに示すように、取付金具71、72を取り付ける。
取付金具71は、脚部71b,71bを上部傾斜支持面22の上に重ねてドリルビス71c,71cを締結して固定する。
また、取付金具72は、その長手方向を軒先に対して横方向に向けて上端支持面21aの上に重ねブラインドリベット72aにより締結して固定する。
さらに、固定ブラケット2Dの下端の下端支持面25bには、発泡体製のテープ73を貼り付ける。
【0113】
ここで、庇パラペットP1を図2A図2Bに示す固定ブラケット2Pに取り付ける場合には、固定ブラケット2Pには、図6Aに示すように、取付金具81、82を取り付ける。
取付金具81は、脚部81bを上部傾斜支持面32の上に重ねてドリルビス81dを締結して固定するとともに、脚部81cを固定ブラケット2Pの側面に重ねてドリルビス81dを締結して固定する。
また、取付金具82は、その長手方向を軒先に対して横方向に向けて上端支持面31aの上に重ねてブラインドリベット82aにより締結して固定する。
【0114】
また、庇パラペットP2を図3A図3Bに示す固定ブラケット2Lに取り付ける場合には、固定ブラケット2Lに、図7Aに示すように、取付金具91、92、93を取り付ける。
取付金具91は、図7A図7Bに示すように、脚部91bを固定ブラケット2Lにおいて中段支持部43aの近傍の側面に重ねてドリルビス91cを締結して固定する。
また、取付金具92は、図7Aに示すように、その長手方向を軒先に対して横方向に向けて上端支持面41aの上に重ねてブラインドリベット92aにより締結して固定する。
【0115】
そして、取付金具93は、図7A図7Cに示すように、取付片93b,93bを、固定ブラケット2Lの下端支持部45の両側面に重ねてドリルビス93c,93cにより固定する。
【0116】
また、庇パラペットP3を図4A図4Bに示す固定ブラケット2Cに取り付ける場合には、固定ブラケット2Cに、図8に示すように、取付金具95,96を取り付ける。
取付金具95は、その長手方向を軒先に対して横方向に向けて上端支持面41aの上に重ねてブラインドリベット92aにより締結して固定する。
【0117】
そして、取付金具96は、軒天井18の湾曲カバー部18bの先端縁のフランジ部18fの下側に重ねた上で、固定ブラケット2Cの締結用面54cの下側に、フランジ部19fと取付金具95を重ね、ブラインドリベット96aを締結して固定する。
【0118】
(ステップS4:庇パラペットの下型材の取付作業)
次に、庇パラペットP1の下型材601の取付作業を行う。なお、庇パラペットP2を設置する場合には、下型材602の取付作業を行う。また、庇パラペットP3を設置する場合には、下型材603の取付作業を行う。
この下型材601(602、603)の取付作業では、ステップS41の仮固定作業、ステップS42の位置出し作業、ステップS43の本固定作業を行う。
【0119】
<S41:仮固定作業>
仮固定作業(S41)では、下型材601(602、603)を、軒先に対して、図13A図13B図13Cに示す順番で仮固定し、軒先に沿う方向の位置決めを行った後、本固定する。
【0120】
すなわち、まず、図13Aに示すように、下型材601(602、603)をコーナ入隅部C1に仮固定する。
次に、図13Bに示すように、下型材601(602、603)をコーナ出隅部C2に仮固定する。
最後に、図13Cに示すように、下型材601(602、603)を直線部SPに仮固定する。
次に、仮固定作業を具体的に説明する。
なお、下型材601~603の仮固定作業は、共通しているため、下型材601の仮固定作業について説明する。
【0121】
まず、図14に示すように、下型材601の長手方向の端部にジョイント710を差し込む。このジョイント710は、隣り合う庇パラペットP1どうしの継目を塞ぐ部材である。したがって、ジョイント710は、設置する庇パラペットP1の内側に沿う形状に形成されている。
また、ジョイント710は、下型材601の取付時には、図14の矢印により示す方向ン押込み、下型材601の端縁部の位置まで押し込んでおく。
【0122】
次に、下型材601を軒先に設置し、仮固定する。
この場合、図1Bに示すように、下型材601の下端のフランジ633bを固定ブラケット2Dの下端部背面支持面25cに当接させ、かつ、下端カバー部633を固定ブラケット2Dの下端支持面25bに当接させた上で、下記の仮固定作業を行う。
【0123】
仮固定作業は、図15に示すように、下型材601の長手方向両端に設けられた仮留用金具720の長穴721に、図16に示すように仮留ビス722を挿通し、固定ブラケット2Dに締結して仮固定する。
【0124】
なお、このとき、図17に示すように、仮固定を行っていない箇所の固定ブラケット2Dについては、固定ブラケット2Dと下型材601とを密着させるように両者を押し付けた上で、固定ブラケット2Dに、下型材601の上端の位置にマーキングMを施す。このマーキングMを後述の本固定時に、目印とする。
【0125】
<S42:位置出し作業>
位置決め作業(S42)は、図18に示すように、隣り合う下型材601を、それぞれ長手方向(左右方向)に移動させ、両者の間の目地の間隔を調節する。また、この作業時に、一方の下型材に取り付けておいたジョイント710をスライドさせ目地を隠す。なお、下型材601を移動させる際には、仮留ビス722を適宜緩めて移動させる。
【0126】
<S43:本固定作業>
下型材601の本固定作業(S43)は、まず、ジョイント710を挟む一方の下型材601(図18では左側の下型材601)を、リベット712、713によりジョイント710と固定する。
次に、仮留ビス722を緩め目地間隔と目地立ちとが平行になるように調整し、仮留ビス722を締め付ける。
その後、図19に示すように、もう一方の下型材601(図19において左側の下型材601)を、リベット712、713によりジョイント710と固定する。
そして、下型材601の上端の延長片部621bにおいて、横方向で固定ブラケット2Dと重なる位置に孔を穿設し、これを貫通させたリベット711を固定ブラケット2Dに締結し固定する。なお、リベット711は、取付金具71の支持片71aに締結される。
【0127】
また、取付対象が固定ブラケット2Pの場合は、下型材601の延長片部621bを貫通したリベット711を、取付金具81の支持片81aに締結する。
【0128】
また、取付対象が固定ブラケット2Lの場合は、下型材602の延長片部621bを貫通したリベット711を、取付金具91の支持片91aに締結する。
【0129】
また、取付対象が固定ブラケット2Cの場合は、下型材603の延長片部621bを貫通したリベット711を、固定ブラケット2Cの上部傾斜面613に締結する。
【0130】
そして、下型材601の下端部をブラインドリベット182(図1B参照)により、固定ブラケット2Dの下端支持面25bに固定する。
なお、下型材603の場合は、その下端部の固定は、図8に示すように、ブラインドリベット96aにより固定ブラケット2Cの締結用面54cに対して締結することで固定する。
以上で下型材601の取付作業を終える。
【0131】
(ステップS5:庇パラペットの上型材の取付作業)
次に、ステップS5の上型材610の取付作業を行う。
この場合、図20に示すように、軒先に対して固定した下型材601に対して、上型材610を上方から載置する。
次に、庇パラペットP1の場合は、上型材610の固定片部613aと、上部傾斜部621の下端部621aとをブラインドリベット713により締結する。また、ジョイント710が設けられている箇所では、固定片部613aと下端部621aに加え、ジョイント710も一緒にブラインドリベット714により締結する。
【0132】
そして、図21に示すように、固定ブラケット2Dの取付金具72の中央の位置に合わせて上型材610の上端の上面部611にマーキングM2を行い、その位置で上面部611を、ドリルビス181により固定ブラケット2Dの上端支持面21aに締結する。
なお、設置対象が図2Bに示す軒先の場合は、上型材610の上端の上面部611を、ドリルビス181により固定ブラケット2Pの上端支持面31aの取付金具82に締結する。
また、設置対象が図3Bに示す軒先の場合は、上型材610の上端の上面部611を、ドリルビス181により固定ブラケット2Lの上端支持面41aの取付金具92に締結する。
また、設置対象が図4Bに示す軒先の場合は、上型材610の上端の上面部611を、ドリルビス181により固定ブラケット2Cの上端支持面51aの取付金具95に締結する。
以上で、新規の庇パラペットP1(P2、P3)の設置を終了する。
【0133】
(実施の形態の効果)
以下に、実施の形態の効果を列挙する。
(1)実施の形態の軒先構造は、
建物の屋根材11の軒先の梁12から軒先前方に延設されたアーム13と、
アーム13の先端部に固定された固定ブラケット2D,2P,2Lと、
固定ブラケット2D,2P,2Lに固定された庇パラペットP1,P2と、
を備える軒先構造であって、
固定ブラケット2D,2P,2Lは、第1の庇パラペットとしての既設の庇パラペット1D,1P,1Lの裏面に当接可能なパラペット支持面としての上部傾斜支持面22、32,42を有するとともに、上部傾斜支持面22、32,42に取り付けられて上部傾斜支持面22、32,42よりも軒先前方位置に配置され、庇パラペット1D,1P,1Lとは異なる形状の第2の庇パラペットとしての庇パラペットP1,P2の裏面を支持する金具支持面としての支持片71a,81a,91aを有する取付金具71,81,91を備える軒先構造とした。
したがって、固定ブラケット2D,2P,2Lに取付金具71,81,91を取り付けていない状態では、上部傾斜支持面22、32,42で庇パラペット1D,1P,1Lの裏面を支持した状態で庇パラペット1D,1P,1Lを固定することができる。
また、固定ブラケット2D,2P,2Lに取付金具71,81,91を取り付けた状態では、取付金具71,81,91の支持片71a,81a,91aで庇パラペットP1,P2の裏面を支持した状態で庇パラペットP1,P2を固定することができる。
したがって、固定ブラケット2D,2P,2Lにより、それぞれ、2種類の庇パラペット1DとP1、1PとP1、1LとP2を固定可能であり、庇パラペットの共用化を図ることが可能となる。
【0134】
(2)実施の形態の軒先構造は、
固定ブラケット2D,2P,2Lとして、複数の形状のものが設定され、かつ、形状の異なる固定ブラケット2D,2P,2Lに対応した専用の庇パラペット1D,1P,1Lがそれぞれ設定され、
固定ブラケット2D,2P,2Lは、それぞれ、専用の庇パラペット1D,1P,1Lを支持可能な位置に上部傾斜支持面22、32,42を有し、
取付金具71,81,91は、固定ブラケット2D,2P,2Lのそれぞれに対応して、庇パラペットP1,P2を共用可能な位置に支持片71a,81a,91aを配置可能に複数の形状のものが設定されている。
したがって、庇パラペットP1、P2は、複数種類の固定ブラケット2D,2P,2Lを共用でき、汎用性に優れる。
しかも、新規の庇パラペットP1,P2は、他の固定ブラケット2Cの形状に応じた庇パラペットP3とも部品を共用しており、さらに汎用性に優れる。
【0135】
(3)実施の形態の軒先構造は、
庇パラペットP1,P2は、上下に分割された上型材610と、複数種類の形状の下型材601,602とを結合して形成されている。
このように、庇パラペットP1,P2は上型材610を共用して形成され、部品を共用することで、汎用性に優れ、かつ、少ない部品で、複数の庇パラペットP1,P2を形成でき、コスト低減を図ることができる。
加えて、上記のように、下型材601,602は、他の下型材603とも中間部材620を共用しており、さらにコスト低減を図ることができる。
【0136】
(4)実施の形態の軒先構造は、
下型材601,602が、さらに、中間部材620と各下部部材630,640との上下に分割された部材を結合して形成されている。
したがって、中間部材620を共用して下型材601,602を形成することができ、さらなるコスト低減を図ることができる。
加えて、本実施の形態では、中間部材620により、下型材603も形成しているため、さらなるコスト低減を図ることができる。
【0137】
(5)実施の形態の庇パラペットの交換方法は、
固定ブラケット2D,2P,2Lから、既設の庇パラペット1D,1P,1Lを除去する工程(ステップS1)と、
既設の庇パラペット1D,1P,1Lを除去した固定ブラケット2D,2P,2Lに取付金具71,81,91を取り付ける工程(ステップS3)と、
庇パラペットP1,P2の裏面を取付金具71,81,91により支持した状態で、庇パラペットP1,P2を固定ブラケット2D,2P,2Lに固定する工程(ステップS4~S5)と、
を備える。
したがって、一種類の固定ブラケット2D,2P,2Lを用いながら、既設の庇パラペット1D,1P,1Lから、庇パラペット1D,1P,1Lとは形状の異なる新規の庇パラペットP1,P2に交換することができる。
【0138】
(6)実施の形態の庇パラペットの交換方法は、
庇パラペットP1,P2を固定ブラケット2D,2P,2Lに固定する工程は、
庇パラペットP1,P2の下型材601,602を固定ブラケット2D,2P,2Lに仮固定する工程(ステップS41)と、
下型材601,602の位置決めを行う工程(ステップS42)と、
下型材601,602を固定ブラケット2D,2P,2Lに本固定を行う工程(ステップS43)と、
下型材601,602に上型材610を取り付け、さらに、上型材610を固定ブラケット2D,2P,2Lに固定する工程(ステップS5)と、を備える。
したがって、新規に取り付ける庇パラペットP1、P2を、高精度で軒先に取り付けて固定することができる。
【0139】
以上、本開示にかかる実施の形態を例示したが、この実施の形態は本開示の内容に限定されるものではない。また、本開示の請求項の範囲を逸脱しない範囲であれば、各種の変更等は可能である。
【0140】
例えば、本実施の形態では、既設の庇パラペット1D,1P,1Lを新規の庇パラペットP1,P2に交換する場合を示したが、本開示の軒先構造は、このような交換に適用するものに限定されるものではなく、新規の固定ブラケット2D、2P、2Lおよび庇パラペットP1、P2の設置に適用することができる。この場合、庇パラペットP1、P2、P3の設置の際に固定ブラケット2D、2P、2L、2Cのいずれでも使用でき、汎用性に優れる。
【符号の説明】
【0141】
P1 庇パラペット(第2の庇パラペット)
P2 庇パラペット(第2の庇パラペット)
P3 庇パラペット(第2の庇パラペット)
1C (第4の既設の)庇パラペット(第1の庇パラペット)
1D (第1の既設の)庇パラペット(第1の庇パラペット)
1L (第3の既設の)庇パラペット(第1の庇パラペット)
1P (第2の既設の)庇パラペット(第1の庇パラペット)
2C 固定ブラケット
2D 固定ブラケット
2L 固定ブラケット
2P 固定ブラケット
11 屋根材
12 梁
13 アーム
22 上部傾斜支持面(パラペット支持面)
32 上部傾斜支持面(パラペット支持面)
42 上部傾斜支持面(パラペット支持面)
71 取付金具
71a 支持片(金具支持面)
81 取付金具
81a 支持片(金具支持面)
93 取付金具
93a 支持片(金具支持面)
601 下型材
602 下型材
603 下型材
610 上型材
620 中間部材
630 下部部材
640 下部部材
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21