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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】構造物の振幅評価方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/13 20200101AFI20220401BHJP
   G01M 7/02 20060101ALI20220401BHJP
   G06F 30/20 20200101ALI20220401BHJP
   G06F 30/28 20200101ALI20220401BHJP
   G06F 113/08 20200101ALN20220401BHJP
【FI】
G06F30/13
G01M7/02 J
G06F30/20
G06F30/28
G06F113:08
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018085200
(22)【出願日】2018-04-26
(65)【公開番号】P2019192003
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100119220
【氏名又は名称】片寄 武彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 靖晃
(72)【発明者】
【氏名】野口 恭平
(72)【発明者】
【氏名】八木 知己
【審査官】松浦 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-021927(JP,A)
【文献】特開2014-106552(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02924598(EP,A1)
【文献】▲濱▼▲崎▼勝俊 外1名,複雑断面をもつ翼型の動的空力特性に関する数値解析,宇宙航空研究開発機構特別資料 第44回流体力学講演会/航空宇宙数値シミュレーション技術シンポジウム2012論文集,宇宙航空研究開発機構,2013年03月,pp.231-236
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00 -30/28
G01M 7/00 -10/00
E01D 1/00 -24/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物のモデルを設定するステップと、
前記構造物のモデルに対する解析領域及び解析格子を設定するステップと、
前記構造物のモデルに対する加振振幅、加振周波数及び風速を設定するステップと、
前記解析格子毎に前記加振振幅、加振周波数及び風速から前記構造物のモデルに対する数値流体解析を実施するステップと、
前記数値流体解析の解析結果から前記構造物のモデルに作用する非定常空気力係数を算出するステップと、
無次元化した風速及び加振振幅に対する非定常空気力係数の関係を算出するステップと、
前記非定常空気力係数から励起される振幅を評価するステップと、
を有する
ことを特徴とする構造物の振幅評価方法。
【請求項2】
前記無次元化した風速及び加振振幅に対する非定常空気力係数の関係を算出するステップの後に、非定常空気力係数の空力減衰項から構造減衰の効果を除去するステップを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の構造物の振幅評価方法。
【請求項3】
前記構造物のモデルに対する数値流体解析を実施するステップでは、以下の式(1)に示す一般座標系の非圧縮性Navier-Stokes方程式、及び式(2)に示す連続式を支配方程式として解析する
ことを特徴とする請求項2に記載の構造物の振幅評価方法。
【数19】

ここで、ui:流速のi(i=1~3)成分、Uk:反変流速のk(k=1~3)成分、xi:デカルト座標のi(i=1~3)成分、ξk:一般座標のk(k=1~3)成分、P=p/ρ、ただし、p:圧力、ρ:空気密度、Re:レイノルズ数(=UD/ν、U:代表風速、D:代表長(桁高)、ν:動粘性係数)、t:時間である。
また、Jは座標変換のヤコビアンで、以下の式(3)で表される。
【数20】
【請求項4】
前記構造物のモデルに作用する非定常空気力係数を算出するステップでは、
以下の式(8)で表す減衰項の係数である非定常空気力係数H1 *について求める
ことを特徴とする請求項3に記載の構造物の振幅評価方法。
【数21】

ここで、K=Bω/U、B:幅員、ω:角振動数、L:奥行き方向長さ、η0:鉛直たわみ振幅、H1 *,H4 *:非定常空気力係数、t:時間である。
【請求項5】
前記非定常空気力係数の空力減衰項から構造減衰の効果を除去するステップでは、
以下の式(9)を用いる
ことを特徴とする請求項4に記載の構造物の振幅評価方法。
【数22】

ここで、δ:対数減衰率、m:質量である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷重が作用した構造物の振幅を評価する構造物の振幅評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、構造物に荷重が作用した際の影響を評価する方法として、部分模型を用いた振動実験を行っていた。例えば、吊り橋に対する風の影響を評価する方法として、部分模型を用いた風洞実験を行う方向が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平1-240835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、部分模型を用いた実験では、例えば、構造物の複雑な形状や微少な部分の評価又は自然環境の再現等、実物の条件の適切な再現に大きな労力が必要であり、厳密な再現は困難であった。
【0005】
本発明は、荷重が作用した構造物の振幅を的確に評価する構造物の振幅評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる実施形態の構造物の振幅評価方法は、
構造物のモデルを設定するステップと、
前記構造物のモデルに対する解析領域及び解析格子を設定するステップと、
前記構造物のモデルに対する加振振幅、加振周波数及び風速を設定するステップと、
前記解析格子毎に前記加振振幅、加振周波数及び風速から前記構造物のモデルに対する数値流体解析を実施するステップと、
前記数値流体解析の解析結果から前記構造物のモデルに作用する非定常空気力係数を算出するステップと、
無次元化した風速及び加振振幅に対する非定常空気力係数の関係を算出するステップと、
前記非定常空気力係数から励起される振幅を評価するステップと、
を有する
ことを特徴とする。
【0007】
本発明にかかる実施形態の構造物の振幅評価方法は、
前記無次元化した風速及び加振振幅に対する非定常空気力係数の関係を算出するステップの後に、非定常空気力係数の空力減衰項から構造減衰の効果を除去するステップを有する
ことを特徴とする。
【0008】
本発明にかかる実施形態の構造物の振幅評価方法は、
前記構造物のモデルに対する数値流体解析を実施するステップでは、以下の式(1)に示す一般座標系の非圧縮性Navier-Stokes方程式、及び式(2)に示す連続式を支配方程式として解析する
ことを特徴とする。
【数1】

ここで、ui:流速のi(i=1~3)成分、Uk:反変流速のk(k=1~3)成分、xi:デカルト座標のi(i=1~3)成分、ξk:一般座標のk(k=1~3)成分、P=p/ρ、ただし、p:圧力、ρ:空気密度、Re:レイノルズ数(=UD/ν、U:代表風速、D:代表長(桁高)、ν:動粘性係数)、t:時間である。
また、Jは座標変換のヤコビアンで、以下の式(3)で表される。
【数2】
【0009】
本発明にかかる実施形態の構造物の振幅評価方法は、
前記構造物のモデルに作用する非定常空気力係数を算出するステップでは、
以下の式(8)で表す減衰項の係数である非定常空気力係数H1 *について求める
ことを特徴とする。
【数3】

ここで、K=Bω/U、B:幅員、ω:角振動数、L:奥行き方向長さ、η0:鉛直たわみ振幅、H1 *,H4 *:非定常空気力係数、t:時間である。
【0010】
本発明にかかる実施形態の構造物の振幅評価方法は、
前記非定常空気力係数の空力減衰項から構造減衰の効果を除去するステップでは、
以下の式(9)を用いる
ことを特徴とする。
【数4】

ここで、δ:対数減衰率、m:質量である。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかる構造物の振幅評価方法によれば、荷重が作用した構造物の振幅を的確に評価することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態の構造物振動解析方法のフローチャートを示す。
図2】本実施形態の構造物振動解析方法で用いる構造物のモデルを示す。
図3】本実施形態の構造物空気力評価解析方法で用いる構造物のモデルに対する解析領域及び解析格子を示す。
図4】本実施形態の構造物空気力評価解析方法による構造物のモデルに対する数値流体解析結果を示す。
図5】本実施形態の構造物空気力評価解析方法による構造物のモデルの無次元化した加振振幅と無次元化した風速と非定常空気力係数の関係を示す。
図6】本実施形態の構造物空気力評価解析方法による構造物のモデルの無次元化した加振振幅と無次元化した風速と構造減衰項を除去した非定常空気力係数の関係を示す。
図7図6の表示形式を変更したものを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本実施形態の構造物空気力評価解析方法を説明する。
【0014】
図1は、本実施形態の構造物空気力評価解析方法のフローチャートを示す。
【0015】
まず、本実施形態の構造物空気力評価解析では、ステップ1で、構造物のモデル1を設定する(ST1)。
【0016】
図2は、本実施形態の構造物空気力評価解析方法で用いる構造物のモデル1を示す。本実施形態では、構造物のモデル1として、図2に示すような回転中心Oを有する橋梁の箱桁断面を用いる。図2において、Dfは抗力、Lfは揚力、Mfはモーメント、Dは高さを示す。本実施形態では、構造物のモデル1として橋梁を用いたが、他の構造物を用いても良い。また、本実施形態では、一例として、揚力Lfについて解析するが、抗力Df又はモーメントMfについて解析してもよい。
【0017】
次に、ステップ2で、構造物のモデル1に対する解析領域及び解析格子を設定する(ST2)。解析は、構造物のモデル1の周囲の空間に対して行う。しかしながら、コンピュータで計算を行うことができるのは有限の値であるため、空間を適当なところで切り出して解析を行うことが好ましい。この切り出した領域を解析領域という。また、解析を行うためには、解析領域を複数の小さな格子要素に分割し、方程式を離散化して隣り合う格子要素どうしの関係を得ることが必要である。この分割した格子要素の集合を解析格子という。
【0018】
図3は、本実施形態の構造物空気力評価解析方法で用いる構造物のモデル1に対する解析領域及び解析格子を示す。解析領域は図1に示したモデル1の高さDを基準として円形に決定すると好ましい。
【0019】
モデル1に対する直交方向の格子を構成する要素のサイズは、モデル1の壁面近傍が小さく、モデル1から離れるにつれて大きくなる。モデル1の壁面近傍の各要素は、直交するように調整すると好ましい。
【0020】
次に、ステップ3で、構造物のモデル1に対する加振振幅、加振周波数及び風速を設定する(ST3)。加振振幅、加振周波数及び風速の設定は、解析したい範囲を設定すればよい。
【0021】
次に、ステップ4で、構造物のモデル1に対する数値流体解析を実施する(ST4)。本実施形態では、一例として、以下の式(1)に示す一般座標系の非圧縮性Navier-Stokes方程式、及び式(2)に示す連続式を支配方程式として解析した。
【数5】

ここで、ui:流速のi(i=1~3)成分、Uk:反変流速のk(k=1~3)成分、xi:デカルト座標のi(i=1~3)成分、ξk:一般座標のk(k=1~3)成分、P=p/ρ、ただし、p:圧力、ρ:空気密度、Re:レイノルズ数(=UD/ν、U:代表風速、D:代表長(桁高)、ν:動粘性係数)、t:時間である。
【0022】
また、Jは座標変換のヤコビアンで、以下の式(3)で表される。
【数6】
【0023】
構造物の振動が伴う場合には、時間も含めた4次元の座標(x,y,z,t)に対して座標変換を行うことにより、時間に対して固定された一般座標(ξ,η,ζ,τ)(ただし、τ=tとする)の問題として扱うことが可能である。
【0024】
このとき、時間に対して固定された一般座標系におけるNavier-Stokes方程式は以下の式(4)で表される。
【数7】

ここで、Ug k:格子の反変速度のk(k=1~3)成分である。
【0025】
さらに、連続式についても、Geometric Conservation Lawを用いることにより、次式で表すことができる。
【数8】
【0026】
図4は、本実施形態の構造物空気力評価解析方法による構造物のモデルに対する数値流体解析結果を示す。この結果は、動圧及び代表長さDで無次元化した時間平均流れ場の圧力分布及び風速の絶対値の分布である。濃淡で示したものが圧力分布、線で示したものが風速の絶対値の等直線である。上流端で圧力が高く、少し下流の色の濃い部分で圧力が低く下がる。
【0027】
次に、ステップ5で、構造物のモデル1に作用する非定常空気力を算出する(ST5)。本実施形態では、モデル1に対して鉛直たわみ又はねじれ方向に1自由度で正弦波加振を行う。この場合の加振振動としての鉛直たわみ振動は、以下の式(6)で表すことができる。
【数9】

ここで、η:鉛直たわみ変位、η0:鉛直たわみ振幅、ω:角振動数、t:時間である。
【0028】
鉛直たわみ振動によって構造物に作用する非定常空気力は、Scanlanの非定常空気力係数を用いた以下の式(7)で表すことができる。
【数10】

ここで、B:幅員、L:奥行き方向長さ、K=Bω/U、H1 *,H4 *:非定常空気力係数、
【0029】
次に、ステップ6で、構造物のモデル1に作用する非定常空気力係数を算出する(ST6)。式(7)を式(6)に代入し、無次元振動数:K=Bω/Uの定義を用いると、非定常空気力は、以下の式(8)で表すことができる。ここで、Bは幅員である。
【数11】
【0030】
したがって、鉛直たわみ変位と非定常空気力の振幅比及び位相差から2つの非定常空気力係数H1 *及びH4 *を算出することが可能である。ここで、本実施形態では、減衰項の係数である非定常空気力係数H1 *について求める。
【0031】
なお、ねじれ振動に関する構造物に作用する非定常空気力Maeは、以下の式(9)で表すことができる。ねじれ振動の非定常空気力係数は、空力減衰項の係数A2 *を求めればよい。
【数12】

ここで、B:幅員、L:奥行き方向長さ、K=Bω/U、φ:ねじれ角度、A2 *,A3 *:非定常空気力係数である。
【0032】
次に、ステップ7で、非定常空気力係数が決定したか否かを判定する(ST7)。非定常空気力係数は、ステップ3で設定した範囲で加振振幅、加振周波数及び風速を変化させて解析を行い、範囲内の全ての加振振幅、加振周波数及び風速を解析した時に決定される。
【0033】
ステップ7において、非定常空気力係数が決定していない場合、ステップ3に戻る。ステップ7において、非定常空気力係数が決定した場合、ステップ8に進む。
【0034】
ステップ8では、無次元化した風速及び加振振幅と非定常空気力係数の関係を算出する(ST8)。
【0035】
図5は、本実施形態の構造物空気力評価解析方法による構造物のモデルの無次元化した加振振幅と無次元化した風速と非定常空気力係数の関係を示す。
【0036】
図5に示すように、渦励振の照査を目的とした風速及び加振振幅の範囲では、非定常空気力係数に振幅依存性が確認された。特に過励振の発現風速域であるU/fD=8.0~12.0の範囲においては振幅依存性が顕著であり、非定常空気力係数H1 *が正となる加振振幅域及び風速域が存在することが確認された。
【0037】
次に、ステップ9で、非定常空気力係数の空力減衰項から構造減衰の効果を除去する(ST9)。
【0038】
図6は、本実施形態の構造物空気力評価解析方法による構造物のモデルの無次元化した加振振幅と無次元化した風速と構造減衰項を除去した非定常空気力係数の関係を示す。
【0039】
過励振の振幅の増大及び減少は、空力減衰と構造減衰の関係を用いて評価することができ、以下の式(10)が正の場合は振動が励起され、負の場合には減衰する。
【数13】

ここで、δ:対数減衰率、m:質量である。
【0040】
なお、ねじれ振動の場合は、以下の式(11)を用いればよい。
【数14】

ここで、I:質量慣性モーメントである。
【0041】
次に、ステップ10で、構造減衰の効果を除去した非定常空気力係数が0以上となる無次元化した風速及び加振振幅から励起される振幅を評価する(ST10)。
【0042】
過励振は、式(10)が0となる無次元化した風速と加振振幅を求めることにより、評価することができる。図6に示すように、U/fD=9.0~12.0の風速域において、一部の加振振幅で式(10)が正となっており、過励振が発生すると評価できる。
【0043】
図7は、図6の表示形式を変更したものを示す。
【0044】
図7では、無次元化した風速と加振振幅に応じた構造減衰の効果を除去した非定常空気力係数が一目で確認できるようにしたものである。U/fD=9.0~12.0の風速域且つη/D=0.025~0.15の加振振幅において、式(10)が正となっており、過励振が発生すると評価できる。
【0045】
以上、本実施形態の構造物の振幅評価方法は、構造物のモデル1を設定するステップと、構造物のモデル1に対する解析領域及び解析格子を設定するステップと、構造物のモデル1に対する加振振幅、加振周波数及び風速を設定するステップと、解析格子毎に加振振幅、加振周波数及び風速から構造物のモデル1に対する数値流体解析を実施するステップと、数値流体解析の解析結果から構造物のモデル1に作用する非定常空気力係数を算出するステップと、無次元化した風速及び加振振幅に対する非定常空気力係数の関係を算出するステップと、非定常空気力係数から励起される振幅を評価するステップと、を有する。したがって、荷重が作用した構造物の振幅を的確に評価することが可能となる。また、演算負荷を低減させることが可能となる。
【0046】
また、本実施形態の構造物の振幅評価方法は、無次元化した風速及び加振振幅に対する非定常空気力係数の関係を算出するステップの後に、非定常空気力係数の空力減衰項から構造減衰の効果を除去するステップを有する。したがって、構造物の振幅をより的確に評価することが可能となる。
【0047】
本実施形態の構造物の振幅評価方法は、前記構造物のモデルに対する数値流体解析を実施するステップでは、以下の式(1)に示す一般座標系の非圧縮性Navier-Stokes方程式、及び式(2)に示す連続式を支配方程式として解析する。
【数15】

ここで、ui:流速のi(i=1~3)成分、Uk:反変流速のk(k=1~3)成分、xi:デカルト座標のi(i=1~3)成分、ξk:一般座標のk(k=1~3)成分、P=p/ρ、ただし、p:圧力、ρ:空気密度、Re:レイノルズ数(=UD/ν、U:代表風速、D:代表長(桁高)、ν:動粘性係数)、t:時間である。
また、Jは座標変換のヤコビアンで、以下の式(3)で表される。
【数16】

したがって、構造物の振幅をより的確に評価することが可能となる。
【0048】
本発明にかかる実施形態の構造物の振幅評価方法は、構造物のモデルに作用する非定常空気力係数を算出するステップでは、以下の式(8)で表す減衰項の係数である非定常空気力係数H1 *について求める。
【数17】

ここで、K=Bω/U、B:幅員、ω:角振動数、L:奥行き方向長さ、η0:鉛直たわみ振幅、H1 *,H4 *:非定常空気力係数、t:時間である。
したがって、構造物の振幅をより的確に評価することが可能となる。
【0049】
本発明にかかる実施形態の構造物の振幅評価方法は、非定常空気力係数の空力減衰項から構造減衰の効果を除去するステップでは、以下の式(10)を用いる。
【数18】

ここで、δ:対数減衰率、m:質量である。
したがって、構造物の振幅をより的確に評価することが可能となる。
【0050】
なお、この実施形態によって本発明は限定されるものではない。すなわち、実施形態の説明に当たって、例示のために特定の詳細な内容が多く含まれるが、当業者であれば、これらの詳細な内容に色々なバリエーションや変更を加えてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…構造物のモデル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7