(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】硬貨処理装置および硬貨処理システム
(51)【国際特許分類】
G07D 9/00 20060101AFI20220401BHJP
【FI】
G07D9/00 Z
(21)【出願番号】P 2018096616
(22)【出願日】2018-05-18
【審査請求日】2020-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】梶間 寛親
(72)【発明者】
【氏名】本村 友彦
(72)【発明者】
【氏名】木村 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】東川 誠久
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/022767(WO,A1)
【文献】特開2013-117759(JP,A)
【文献】特開2012-212222(JP,A)
【文献】特開2002-324259(JP,A)
【文献】特開2011-248543(JP,A)
【文献】特開2015-018304(JP,A)
【文献】特開2016-173769(JP,A)
【文献】特開2017-228021(JP,A)
【文献】特開2005-031844(JP,A)
【文献】特開2000-251109(JP,A)
【文献】特開2011-197865(JP,A)
【文献】特開2011-253463(JP,A)
【文献】特開平9-161118(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00-13/00
G07F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に並んで配置され、硬貨
の一方の表面を載置するための複数の載置面と、
所定の位置に配置された撮像部と、
前記各載置面に載置された硬貨の側面の像をそれぞれ前記撮像部に導く構成と、
を備える、ことを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項2】
前記複数の載置面は、所定の段差をもって一方向に変位するように配置され、
前記撮像部は、前記段差により分離された前記各硬貨の側面を撮像する、請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項3】
前記撮像部は、前記複数の載置面に載置された複数の硬貨を片面側から撮像し、
前記段差により分離された前記各硬貨の側面の像を前記撮像部に導く光学素子を備える、請求項2に記載の硬貨処理装置。
【請求項4】
前記複数の載置面の境界に個別に配置され、前記各載置面に載置された前記硬貨の側面の像を前記撮像部に導く光学素子を備える、請求項1に記載の硬貨処理装置。
【請求項5】
前記複数の載置面を含む第1載置領域に対し水平方向に並ぶ第2載置領域に硬貨を載置するための他の載置面が配置され、
前記他の載置面に載置された硬貨の側面の像を、第2載置領域を撮像するための撮像部に導く他の光学素子を備える、請求項3または4に記載の硬貨処理装置。
【請求項6】
1つの前記撮像部により前記第1載置領域の載置面および前記第2載置領域の他の載置面の全てが撮像されるよう、前記撮像部と前記載置面が配置されている、請求項5に記載の硬貨処理装置。
【請求項7】
前記第2載置領域に、複数の前記他の載置面が所定の段差をもって一方向に変位するように配置されている、請求項5または6に記載の硬貨処理装置。
【請求項8】
前記第2載置領域に、複数の前記他の載置面が配置され、
前記複数の他の載置面の境界に個別に前記他の光学素子が配置されている、請求項5または6に記載の硬貨処理装置。
【請求項9】
前記複数の載置面を含む第1載置領域に対し水平方向に並ぶ第2載置領域に硬貨を載置するための複数の他の載置面が所定の段差をもって一方向に変位するように配置され、
前記第1載置領域と前記第2載置領域とを区分する仕切りを備え、
前記仕切りの前記第1載置領域側の側面に、前記光学素子としてミラーが配置され、
前記仕切りの前記第2載置領域側の側面に、前記光学素子として他のミラーが配置されている、請求項3に記載の硬貨処理装置。
【請求項10】
前記第1載置領域と前記第2載置領域にそれぞれ載置される硬貨の種類が個別に設定されている、請求項5ないし9の何れか一項に記載の硬貨処理装置。
【請求項11】
前記第1載置領域は損貨が載置される領域に設定され、前記第2載置領域は記念貨が載置される領域に設定される、請求項10に記載の硬貨処理装置。
【請求項12】
前記各載置面は、水平面に対して傾いている、請求項1ないし11に記載の硬貨処理装置。
【請求項13】
前記撮像部により撮像された前記硬貨の側面の画像に基づいて所定の処理を行う制御部を備える、請求項1ないし12の何れか一項に記載の硬貨処理装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記撮像部により撮像された前記硬貨の側面の画像を表示させるための処理を行う、請求項13に記載の硬貨処理装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記撮像部により撮像された前記硬貨の側面の画像に基づいて、前記載置面に載置された前記硬貨の重なりを検出する、請求項13または14に記載の硬貨処理装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記載置面に載置された前記硬貨の重なりを検出した場合に、検出結果を報知するための処理を行う、請求項15に記載の硬貨処理装置。
【請求項17】
水平方向に並んで配置され、硬貨
の一方の表面を載置するための複数の載置面と、
前記複数の載置面に載置された前記硬貨の表面画像を上方から撮像する撮像部と、
前記各載置面に載置された硬貨の側面の像をそれぞれ前記撮像部に導く構成と、
を備える、ことを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項18】
請求項1ないし
17の何れか一項に記載の硬貨処理装置と、
前記撮像部により撮像された前記硬貨の画像を表示するための表示装置と、を備える、ことを特徴とする硬貨処理システム。
【請求項19】
請求項1ないし12の何れか一項に記載の硬貨処理装置と、
前記撮像部により撮像された前記硬貨の側面の像に基づいて所定の処理を行う制御部と、
前記撮像部により撮像された前記硬貨の画像を表示するための表示装置と、を備える、ことを特徴とする硬貨処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨を処理する硬貨処理装置および硬貨処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、損貨(変形硬貨、汚損硬貨)や記念貨等の、市場流通に適さない特殊な硬貨を取り扱う硬貨処理装置が知られている。たとえば、このような硬貨処理装置の一例が、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1の硬貨処理装置では、入金口を介して筐体内部にある入金位置に一枚の硬貨が載置される。載置された硬貨は、入金位置においてカメラで撮像される。このとき、載置された硬貨の側面には一対の鏡が設けられているため、撮像された硬貨の画像には、硬貨の表面とともに硬貨の側面の画像データが含まれる。そしてこの画像は、硬貨の種類および金種に関する候補とともに表示部に表示される。操作者は、硬貨の画像を見ながら、その硬貨の種類および金種を複数の候補の中から選択する。硬貨の種類および金種が選択されると、これら情報が画像に紐付けられて記憶部に記憶される。その後、硬貨は、損貨であるか記念貨であるかに応じて、損貨箱または記念貨箱に振り分けて収納される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の硬貨処理装置では、入金対象の硬貨が複数枚ある場合に、1枚ずつ上記の操作が繰り返される。このため、ユーザにとって、入金操作が面倒であり、入金時間も長く掛かりやすい。
【0006】
このような問題は、複数の硬貨を同時に撮像して処理する方法を用いることにより解消され得る。たとえば、入金用の載置面に複数の硬貨が一度に並べられる。こうした並べられた複数の硬貨が、上方からカメラで一括して撮像される。
【0007】
しかし、この構成では、複数の硬貨が重なった状態で載置面に載置されることが起こり得る。この場合、鏡に近い硬貨であれば重なった側面がカメラで撮像されるが、重なった硬貨と鏡の間に別の硬貨がある場合には、重なった硬貨が、鏡に近い硬貨に隠れて、カメラで撮像されないことがある。こうして撮像された画像を参照しても、操作者は、硬貨の重なりに気づかずに、金種の選択および入金の処理を行うことになってしまう。これにより、違算が生じ得る。
【0008】
かかる課題に鑑み、本発明は、複数の硬貨を円滑かつ適切に処理することが可能な硬貨処理装置および硬貨処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、硬貨処理装置に関する。この態様に係る硬貨処理装置は、水平方向に並んで配置され、硬貨の一方の表面を載置するための複数の載置面と、所定の位置に配置された撮像部と、前記各載置面に載置された硬貨の側面の像をそれぞれ前記撮像部に導く構成と、を備える。
【0010】
上記の構成によれば、各載置面に載置された硬貨の側面の像が撮像部により撮像されるため、載置面に載置された硬貨の重なりを適切に確認できる。よって、本態様に係る硬貨処理装置によれば、複数の硬貨を円滑かつ適切に処理することができる。
【0011】
本態様に係る硬貨処理装置において、前記複数の載置面は、所定の段差をもって一方向に変位するように配置され、前記撮像部は、前記段差により分離された前記各硬貨の側面を撮像するよう構成され得る。
【0012】
ここで、「一方向に変位する」とは、一の載置面に対して次の載置面が高さ方向に変位する方向と、当該次の載置面に対してその次の載置面が変化する方向とが同一であること、すなわち、隣り合う載置面の高さ方向における変位の方向が全ての隣り合う載置面において同じであることを意味する。たとえば、一の載置面よりも次の載置面が高い場合、当該次の載置面よりもその次の載置面が高くなるように、複数の載置面が設定される。但し、「一方向に変位する」の文言は、発明を、載置面が3つ以上存在する構成に限定するものではない。載置面が2つである場合、「一方向に変位する」は、一方の載置面に対して他方の載置面が、段差をもって所定の一方向に変位すると解釈される。
【0013】
この構成によれば、段差により分離された各硬貨の側面の像が撮像部により撮像されるため、各載置面に載置された硬貨の側面の画像を載置面ごとに分離して取得することができる。
【0014】
この構成において、前記撮像部は、前記複数の載置面に載置された複数の硬貨を片面側から撮像するよう配置され得る。この場合、硬貨処理装置は、前記段差により分離された前記各硬貨の側面の像を前記撮像部に導く光学素子を備え得る。
【0015】
上記の構成によれば、撮像部によって、硬貨の表面の像と側面の像を同時に撮像することができる。
【0016】
本態様に係る硬貨処理装置は、前記複数の載置面の境界に個別に配置され、前記各載置面に載置された前記硬貨の側面の像を前記撮像部に導く光学素子を備えるよう構成され得る。
【0017】
この構成によれば、各載置面に載置された硬貨の側面の画像を載置面ごとに個別に取得することができる。
【0018】
本態様に係る硬貨処理装置は、前記複数の載置面を含む第1載置領域に対し水平方向に並ぶ第2載置領域に硬貨を載置するための他の載置面が配置され、前記他の載置面に載置された硬貨の側面の像を、第2載置領域を撮像するための撮像部に導く他の光学素子を備える構成とされ得る。
【0019】
この構成によれば、第2載置領域の載置面に載置された硬貨を、さらに撮像して処理できる。よって、より効率的に硬貨を処理できる。また、第2載置領域に載置された硬貨の側面の像が撮像されるため、第2載置領域に載置された硬貨の重なりを確認できる。よって、第2載置領域に載置された硬貨を円滑かつ適切に処理することができる。
【0020】
この構成において、硬貨処理装置は、1つの前記撮像部により前記第1載置領域の載置面および前記第2載置領域の他の載置面の全てが撮像されるよう、前記撮像部と前記載置面が配置された構成とされ得る。
【0021】
この構成によれば、1つの撮像部により第1載置領域の載置面および第2載置領域の他の載置面の全てが撮像されるため、第1載置領域と第2載置領域のそれぞれに対して個別に撮像部を配する場合に比べて、構成の簡素化とコストの低減を図ることができる。
【0022】
上記構成において、硬貨処理装置は、前記第2載置領域に、複数の前記他の載置面が所定の段差をもって一方向に変位するように配置された構成とされ得る。
【0023】
この構成によれば、第2載置領域に載置可能な硬貨の数を増やすことができる。よって、第2載置領域において、より多くの硬貨を処理することができる。また、複数の他の載置面が所定の段差で配置されているため、他の載置面に載置された硬貨の重なりを適切に確認できる。
【0024】
上記構成において、硬貨処理装置は、前記第2載置領域に、複数の前記他の載置面が配置され、前記複数の他の載置面の境界に個別に前記他の光学素子が配置された構成とされ得る。
【0025】
この構成によれば、第2載置領域に載置可能な硬貨の数を増やすことができる。よって、第2載置領域において、より多くの硬貨を処理することができる。また、複数の他の載置面に載置された硬貨の側面画像が載置面ごとに個別に取得されるため、他の載置面に載置された硬貨の重なりを適切に確認できる。
【0026】
上記構成において、硬貨処理装置は、前記複数の載置面を含む第1載置領域に対し水平方向に並ぶ第2載置領域に硬貨を載置するための複数の他の載置面が所定の段差をもって一方向に変位するように配置され、前記第1載置領域と前記第2載置領域とを区分する仕切りを備え、前記仕切りの前記第1載置領域側の側面に、前記光学素子としてミラーが配置され、前記仕切りの前記第2載置領域側の側面に、前記光学素子として他のミラーが配置された構成とされ得る。
【0027】
このように、仕切りの両側面を、それぞれ、ミラーの配置面として共用することにより、各載置面と各ミラーとを含む設置領域をコンパクトにでき、結果、硬貨処理装置の水平方向における形状を小さくできる。
【0028】
上記構成において、硬貨処理装置は、前記第1載置領域と前記第2載置領域にそれぞれ載置される硬貨の種類が個別に設定された構成とされ得る。たとえば、前記第1載置領域は損貨が載置される領域に設定され、前記第2載置領域は記念貨が載置される領域に設定され得る。
【0029】
この構成によれば、第1載置領域と第2載置領域によって、それぞれ、異なる種類の硬貨を処理することができる。
【0030】
なお、第1載置領域と第2載置領域が同じ種類の硬貨の処理に用いられてもよい。たとえば、第1載置領域と第2載置領域が、何れも、損貨が載置される領域に設定されてもよく、あるいは、何れも、記念貨が載置される領域に設定されてもよい。
【0031】
本態様に係る硬貨処理装置において、前記各載置面は、水平面に対して傾いた構成とされ得る。
【0032】
この構成によれば、撮像部の光軸から離れた載置面を撮像部に向けることができる。これにより、全ての載置面において、硬貨の表面画像をより適正に取得することができる。
【0033】
本態様に係る硬貨処理装置は、前記撮像部により撮像された前記硬貨の側面の画像に基づいて所定の処理を行う制御部を備え得る。
【0034】
この場合、前記制御部は、たとえば、前記撮像部により撮像された前記硬貨の側面の画像を表示させるための処理を行う。
【0035】
この構成によれば、操作者は、表示された硬貨の側面の画像を参照することにより、各載置面に載置された硬貨に重なりが生じたか否かを目視により確認することができる。
【0036】
あるいは、前記制御部は、前記撮像部により撮像された前記硬貨の側面の画像に基づいて、前記載置面に載置された前記硬貨の重なりを検出するよう構成され得る。
【0037】
この構成によれば、硬貨の重なりの検出結果に基づいて、前記制御部により、所定の制御を行うことができる。
【0038】
たとえば、前記制御部は、前記載置面に載置された前記硬貨の重なりを検出した場合に、検出結果を報知するための処理を行い得る。
【0039】
この報知を受けることにより、操作者は、載置面に載置された硬貨に重なりが生じたことを円滑に把握することができる。
【0040】
なお、この報知は、表示により行われてもよく、あるいは、音声やランプの点灯等の他の報知手段によって行われてもよい。
【0041】
本発明の第2の態様は、硬貨処理装置に関する。この態様に係る硬貨処理装置は、水平方向に並んで配置され、硬貨の一方の表面を載置するための複数の載置面と、前記複数の載置面に載置された前記硬貨の表面画像を上方から撮像する撮像部と、前記各載置面に載置された硬貨の側面の像をそれぞれ前記撮像部に導く構成と、を備える。
【0042】
本発明の第3の態様は、硬貨処理システムに関する。この態様に係る硬貨処理システムは、第1または第2の態様に係る硬貨処理装置と、前記撮像部により撮像された前記硬貨の画像を表示するための表示装置と、を備える。この構成によれば、第1の態様と同様の効果が奏され得る。
【0043】
なお、第1または第2の態様に係る硬貨処理装置が表示部を備える構成であってもよい。この場合、硬貨処理装置は、撮像部により撮像された硬貨の画像を表示部に表示させるよう構成され得る。
【0044】
また、第1の態様に係る硬貨処理装置の制御部の処理が、第3の態様に係る硬貨処理システムを構成する他の制御部によって行われてもよい。
【発明の効果】
【0045】
上記のように、本発明によれば、複数の硬貨を円滑かつ適切に処理することが可能な硬貨処理装置および硬貨処理システムを提供することができる。
【0046】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】
図1は、実施形態に係る貨幣処理システムの外観を示す正面図である。
【
図2】
図2(a)、(b)は、実施形態に係る特殊硬貨処理装置の構成を示す斜視図である。
【
図3】
図3(a)、(b)は、実施形態に係る特殊硬貨処理装置の構成および動作を模式的に示す断面図である。
【
図4】
図4(a)、(b)は、実施形態に係る特殊硬貨処理装置の具体的構成を示す斜視図である。
【
図5】
図5(a)は、実施形態に係る、硬貨載置ユニットを取り除いた特殊硬貨処理装置の構成を示す斜視図である。
図5(b)、(c)は、それぞれ、実施形態に係る、硬貨載置ユニットを上側および下側から見た斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る、特殊硬貨処理装置の構成を示す断面図である。
【
図7】
図7(a)、(b)は、実施形態に係る、載置面に載置された硬貨の側面画像を模式的に示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る特殊硬貨処理装置および操作端末の構成を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る、特殊硬貨の入金処理を示すフローチャートである。
【
図10】
図10(a)~(d)は、それぞれ、実施形態に係る、特殊硬貨の入金処理の際に操作端末において表示される画面を示す図である。
【
図11】
図11(a)、(b)は、実施形態に係る、硬貨の画像に対して金種を設定するための操作を模式的に示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る、詳細画面を示す図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係る、詳細画面の他の表示形態を示す図である。
【
図14】
図14は、変更例1に係る特殊硬貨処理装置の構成を示す断面図である。
【
図15】
図15(a)、(b)は、変更例2に係る特殊硬貨処理装置の構成を模式的に示す断面図である。
【
図16】
図16(a)、(b)は、変更例3に係る特殊硬貨処理装置の構成を模式的に示す断面図である。
【
図17】
図17(a)、(b)は、変更例4に係る特殊硬貨処理装置の構成を模式的に示す断面図である。
【
図18】
図18(a)、(b)は、変更例4に係る特殊硬貨処理装置の構成を模式的に示す平面図である。
【
図19】
図19(a)、(b)は、変更例5に係る特殊硬貨処理装置の構成を模式的に示す断面図および平面図である。
【
図20】
図20(a)、(b)は、変更例6に係る特殊硬貨処理装置の構成を模式的に示す断面図および平面図である。
【
図21】
図21は、変更例6の構成において、カメラで撮像された画像を模式的に示す図である。
【
図22】
図22は、他の変更例に係る詳細画面の構成を示す図である。
【
図23】
図23は、さらに他の変更例に係る特殊硬貨処理装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0049】
本実施形態において、特殊硬貨処理装置7が、特許請求の範囲に記載の「硬貨処理装置」に対応し、特殊硬貨処理装置7と操作端末8(操作表示部301)との組み合わせが、特許請求の範囲に記載の「硬貨処理システム」に対応する。操作端末8(操作表示部301)は、特許請求の範囲に記載の「表示装置」に対応する。また、カメラ51が、特許請求の範囲に記載の「撮像部」に対応する。載置面131a、132aの段差、および仕切り141の側面に設置されたミラー142、143が、特許請求の範囲に記載の「各載置面に載置された硬貨の側面の像をそれぞれ撮像部に導く構成」に対応する。
【0050】
ただし、上記記載は、あくまで、特許請求の範囲の構成と実施形態の構成とを対応付けることを目的とするものであって、上記対応付けによって特許請求の範囲に記載の発明が実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【0051】
図1は、本実施形態に係る、貨幣処理システム1の外観を示す正面図である。
【0052】
貨幣処理システム1は、バラ紙幣処理装置2と、束紙幣処理装置3と、バラ硬貨処理装置4と、包装硬貨処理装置5と、有価媒体処理装置6と、特殊硬貨処理装置7と、操作端末8と、貨幣保管装置9と、を備える。
【0053】
バラ紙幣処理装置2は、バラ紙幣を金種別に収納できる紙幣収納部を有し、バラ紙幣を紙幣収納部へ入金する入金処理や紙幣収納部からバラ紙幣を出金する出金処理を行う。束紙幣処理装置3は、所定枚数(たとえば、100枚)のバラ紙幣を結束して束紙幣(帯封紙幣)を形成する束紙幣形成部と、束紙幣を収納する束紙幣収納部とを有する。束紙幣処理装置3は、バラ紙幣処理装置2と接続されており、バラ紙幣処理装置2から送られてきたバラ紙幣をもとに束紙幣形成部で束紙幣を生成して外部に投出し、あるいは、生成した束紙幣を束紙幣収納部に収納する。
【0054】
バラ硬貨処理装置4は、バラ硬貨を金種別に収納できる硬貨収納部を有し、バラ硬貨を硬貨収納部へ入金する入金処理や硬貨収納部からバラ硬貨を出金する出金処理を行う。包装硬貨処理装置5は、所定枚数(たとえば、50枚)のバラ硬貨を包装して包装硬貨を形成する包装硬貨形成部と、包装硬貨を収納する包装硬貨収納部とを有する。包装硬貨処理装置5は、バラ硬貨処理装置4と接続されており、バラ硬貨処理装置4から送られてきたバラ硬貨をもとに包装硬貨形成部で包装硬貨に生成して外部に投出し、あるいは、生成した包装硬貨を装硬貨収納部に収納する。
【0055】
有価媒体処理装置6は、バラ紙幣処理装置2および束紙幣処理装置3で取り扱われない有価媒体の処理を行う。具体的には、有価媒体処理装置6は、損券収納部、有価証券収納部を有し、現在発行されていない紙幣である旧券、市場流通に適さない損券および汚れや破れによってバラ紙幣処理装置2で処理できない損傷券を損券収納部に対して入出金する処理、および、小切手や手形などの特定の有価証券を有価証券収納部に対して入出金する処理を行う。また、有価媒体処理装置6は、新券収納部を有し、未使用の紙幣である新券を新券収納部から出金する処理を行う。
【0056】
特殊硬貨処理装置7は、損貨(変形貨幣、汚損貨幣)、記念貨等の市場流通に適さない特殊な硬貨を取り扱う。これら特殊な硬貨は、バラ硬貨処理装置4では、取り扱うことができない。
【0057】
操作端末8は、操作表示部301と、プリンタ302とを備える。ユーザは、操作端末8を用いて、バラ紙幣処理装置2、束紙幣処理装置3、バラ硬貨処理装置4、包装硬貨処理装置5、有価媒体処理装置6、特殊硬貨処理装置7および貨幣保管装置9に対する入金処理のための操作や出金処理のための操作を行う。
【0058】
貨幣保管装置9は、損貨(変形貨幣、汚損貨幣)、記念貨等の市場の流通に適さない特殊な硬貨等の保管に用いられる。
【0059】
図2(a)(b)は、特殊硬貨処理装置7の構成を示す斜視図である。
【0060】
特殊硬貨処理装置7は、直方体形状の筐体10により、外郭が形成される。筐体10の上部前側に開口11が形成されている。この開口11が、シャッター12により開閉される。
図2(a)には、開口11がシャッター12により閉じられた状態が示され、
図2(b)には、開口11が開放された状態が示されている。シャッター12は、筐体10の左右の内側面に形成されたガイド溝13に沿って、前後方向に移動可能に筐体10に支持されている。
【0061】
シャッター12が開放されると、左右に並ぶ第1載置領域21と第2載置領域22が、外部に露出する。第1載置領域21と第2載置領域22は、仕切り23によって仕切られている。第1載置領域21の直下に、第1載置領域21に載置された硬貨を収納するための第1収納庫31が前方に引き出し可能に設置されている。また、第2載置領域22の直下に、第2載置領域22に載置された硬貨を収納するための第2収納庫32が前方に引き出し可能に設置されている。すなわち、第1載置領域21と第2載置領域22にそれぞれ対応付けられて、第1収納庫31と第2収納庫32が設けられている。
【0062】
本実施形態では、第1載置領域21が損貨の載置領域に設定され、第2載置領域22が記念貨の載置領域に設定されている。したがって、第1収納庫31には損貨が収納され、第2収納庫32には記念貨が収納される。第1収納庫31と第2収納庫32の真上の位置に、それぞれ、第1載置領域21と第2載置領域22に載置されるべき硬貨の種類を示すラベル33、34が付設されている。操作者は、これらのラベル33、34を参照することにより、第1載置領域21と第2載置領域22に載置されるべき硬貨の種類を把握できる。
【0063】
なお、第1載置領域21および第2載置領域22に載置されるべき硬貨の種類は、任意に設定可能である。各載置領域に載置されるべき硬貨の種類は、たとえば、所定の設定画面を用いて設定される。設定された各載置領域の硬貨の種類は、特殊硬貨処理装置7内の記憶部に記憶される。ラベル33、34は設定に応じて付設される。たとえば、第1載置領域21と第2載置領域22が、何れも、損貨が載置される領域に設定されてもよく、あるいは、何れも、記念貨が載置される領域に設定されてもよい。
【0064】
図3(a)、(b)は、特殊硬貨処理装置7の構成および動作を模式的に示す断面図である。
図3(a)、(b)には、それぞれ、
図2(a)のA-A’断面図が示されている。
図3(a)は、第1載置領域21と第2載置領域22に対象の硬貨が載置された後、シャッター12が閉じられた直後の状態が示され、
図3(b)には、その後、収納動作が開始された状態が示されている。
【0065】
図3(a)、(b)に示すように、第1載置領域21は、枠部材24と載置部材25とで構成されている。枠部材24の内側面は、仕切り23の側面とともに、第1載置領域21の内側面を構成し、載置部材25の上面は、第1載置領域21の底面、すなわち、第1載置領域21における硬貨の載置面を構成する。枠部材24は、筐体10内部に固定され、載置部材25は、前後に移動可能に、支持フレーム41に支持されている。支持フレーム41には、枠部材24の内側面と第1収納庫31とを連通させる開口41aが設けられている。第2載置領域22も、
図3(a)、(b)と同様の構成である。
【0066】
シャッター12の上部内側面には、第1載置領域21および第2載置領域22の両方を画角に含むカメラ51が設置されている。すなわち、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された硬貨は、全て、1つのカメラ51で同時に撮像される。この他、筐体10の内部には、第1載置領域21および第2載置領域22を照明するための発光ユニット(図示せず)が設置されている。
【0067】
図3(a)の状態から、載置部材25が図示しない駆動機構により後方に移動されると、第1載置領域21の底面が徐々に開放される。これにより、
図3(b)に示すように、硬貨C1が、開放された底面から開口41aを介して第1収納庫31の内部に落下する。載置部材25は、前端が枠部材24の後端側の内側面の位置まで移動する。これにより、第1載置領域21に載置された全ての硬貨C1が、第1収納庫31の内部に落下して、第1収納庫31に収納される。第2載置領域22に載置された硬貨も、同様の動作により、第2収納庫32に収納される。
【0068】
ところで、
図3(b)に示した硬貨の収納動作は、
図3(a)の状態において、カメラ51で撮像された各硬貨の撮像画像に対し、操作者が、所定の金種を割り当てた後、確定操作を行うことにより実行される。ここで、各硬貨の撮像画像は、硬貨ごとに切出されて、操作端末8に表示される。操作者は、操作端末8に表示された各硬貨の撮像画像を目視で確認しつつ、各撮像画像に当該硬貨の金種を設定する。その後、操作者が、操作端末8に対して確定操作を入力することにより、各撮像画像に金種が紐づけられて、操作端末8の記憶部に記憶される。こうして、各硬貨が管理される。
【0069】
しかし、このとき、複数の硬貨が重なった状態で、第1載置領域21または第2載置領域22の載置面に載置されることが起こり得る。この場合、下側の硬貨が、上側の硬貨に隠れて、カメラ51で撮像されないことがある。こうして撮像された画像を参照しても、操作者は、下側の硬貨の存在に気づかずに、実際に撮像された硬貨に対してのみ、金種の選択および入金のための確定処理を行うことになってしまう。これにより、違算が生じ得る。
【0070】
そこで、本実施形態では、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された硬貨の重なりを検出するための構成が設けられている。以下、この構成について、
図4(a)~
図6を参照して説明する。便宜上、
図4(a)~
図6では、より詳細な構成を示すために、新たな番号体系で各部材に番号が付されている。
【0071】
図4(a)、(b)は、特殊硬貨処理装置7の具体的構成を示す斜視図である。
【0072】
図4(a)、(b)には、筐体10内に収容された構造体の構成が示されている。
図4(a)は、載置部材132が最も前方に移動した状態を示し、
図4(b)は、載置部材132が最も後方に移動した状態を示している。
【0073】
特殊硬貨処理装置7は、支持フレーム101と、壁板111、121と、硬貨載置ユニット130と、仕切り141と、駆動機構150とを備えている。
【0074】
支持フレーム101は、金属材料から構成され、底板の左右両端から側板101a、101bが立ち上がった形状を有する。支持フレーム101の上部に、壁板111、121が前後に並ぶように設置されている。これら壁板111、121に仕切り141が設置されている。壁板111の上端111a、111bは、それぞれ、載置部材131、132の上面に沿った形状を有し、載置部材131、132の上面よりも上方に突出している。壁板121の下端121a、121bは、それぞれ、載置部材131、132の上面に沿った形状を有し、載置部材131、132の上面よりも上方に僅かに後退している。
【0075】
支持フレーム101の後端から前方に延びるようにガイド部材102が設置されている。また、支持フレーム101の左右の側板101a、101bの内側面に、それぞれ、前後に延びるガイド部材103が設置されている。ガイド部材102、103によって、硬貨載置ユニット130が、前後に移動可能に、支持フレーム101に支持されている。
【0076】
図5(a)は、
図4(a)、(b)の構造体から硬貨載置ユニット130を取り除いた構成を示す斜視図である。
図5(b)、(c)は、それぞれ、硬貨載置ユニット130を上側および下側から見た斜視図である。
【0077】
図5(b)、(c)に示すように、硬貨載置ユニット130は、載置部材131、132と、ベース部材133と、ラックギア134と、を備える。ベース部材133の上面前方に載置部材131、132が、左右に並ぶように設置されている。また、ベース部材133の上面後方にラックギア134が前後に延びるように設置されている。ベース部材133の前側には、左右方向の中央位置に、前後に延びる切欠き136が設けられている。この切欠き136を下方から覆うように、矩形のカバー137が設置されている。
【0078】
ベース部材133は、平面視において長方形の形状を有する。ベース部材133の外縁は、全周に亘って立ち上げられている。ベース部材133の左右の側面に、それぞれ、ローラ135が2つずつ設けられている。また、カバー137の下面にも、2つのローラ138が設けられている。
【0079】
載置部材131には、3つの載置面131aが所定の段差で形成されている。これら3つの載置面131aは、所定の段差で一方向に変位するように、すなわち、隣り合う載置面131aの高さ方向における変位の方向が全ての隣り合う載置面131aにおいて同じであるように配置されている。具体的には、最も右側の載置面131aに対して右から2番目の載置面131aが上方向の変位しており、右から2番目の載置面131aに対して最も左側の載置面が上方向に変位している。
【0080】
これら3つの載置面131aは、水平面に対して、右側が低くなるように、所定の角度(数度程度)だけ傾いている。各載置面131aの左右方向の幅は、載置面131aに対する載置対象の硬貨のうち直径が最大の硬貨の直径よりもやや大きい。また、各載置面131aの前後方向の幅は、載置対象の硬貨のうち直径が最大の硬貨の直径よりも大きく、本実施形態では複数枚(たとえば、4枚)載置可能に設定されている。
【0081】
隣り合う載置面131a間の段差によって、これら載置面131aの境界に壁面131bが形成されている。壁面131bの高さ方向の幅は、載置面131aに対する載置対象の硬貨のうち厚みが最大の硬貨の厚みよりも大きい。また、各載置面131aの右側端部には、上方に突出する突部131cが前後に延びるように形成されている。この突部131cによって、載置面131aから硬貨が滑り落ちることが規制される。
【0082】
載置部材132には、2つの載置面132aが所定の段差で形成されている。
【0083】
これら2つの載置面132aは、所定の段差で一方向に変位するように、すなわち、一方の載置面132aに対して他方の載置面132aが、段差をもって所定の一方向に変位するように配置されている。具体的には、左側の載置面132aに対して右側の載置面131aが上方向の変位している。
【0084】
これら2つの載置面132aは、水平面に対して、左側が低くなるように、所定の角度(数度程度)だけ傾いている。各載置面132aの左右方向の幅は、載置面132aに対する載置対象の硬貨のうち直径が最大の硬貨の直径よりもやや大きい。また、各載置面132aの前後方向の幅は、載置対象の硬貨のうち直径が最大の硬貨の直径よりも大きく、本実施形態では複数枚(たとえば、2枚)載置可能に設定されている。
【0085】
隣り合う載置面132a間の段差によって、これら載置面132aの境界に壁面132bが形成されている。壁面132bの高さ方向の幅は、載置面132aに対する載置対象の硬貨のうち厚みが最大の硬貨の厚みよりも大きい。また、各載置面132aの左側端部には、上方に突出する突部132cが前後に延びるように形成されている。この突部132cによって、載置面132aから硬貨が滑り落ちることが規制される。
【0086】
硬貨載置ユニット130は、左右のローラ135がそれぞれ、左右に並ぶ一対のガイド部材103に嵌められ、さらに、下面のローラ138がガイド部材102に嵌められることにより、支持フレーム101に支持される。このとき、仕切り141の下端がベース部材133の切欠き136に嵌まる。また、ラックギア134が、駆動機構150のギア152に噛み合う。こうして、
図4(a)の構造体が構成される。
【0087】
図4(a)に戻り、駆動機構150は、モータ151とギア152を備える。駆動機構150は、支持フレーム101とは別の部材に固定されている。モータ151の駆動に応じてギア152が駆動される。これにより、駆動力がギア152からラックギア134に伝達されて、硬貨載置ユニット130が前後に移動される。
【0088】
図4(a)において、第1載置領域21は、壁板111、121と、側板101aと、仕切り141と、載置部材131とで構成される。壁板111、121の内側面と、側板101aの内側面と、仕切り141の左側面とによって、第1載置領域21の内側面が構成され、載置部材131の上面、すなわち、載置面131aによって第1載置領域21の底面が構成される。
【0089】
また、第2載置領域22は、壁板111、121と、側板101bと、仕切り141と、載置部材132とで構成される。壁板111、121の内側面と、側板101bの内側面と、仕切り141の右側面とによって、第2載置領域22の内側面が構成され、載置部材132の上面、すなわち、載置面132aによって第2載置領域22の底面が構成される。
【0090】
図4(a)の状態から、モータ151が駆動されて、硬貨載置ユニット130が
図4(b)の位置に移動すると、第1載置領域21および第2載置領域22の底を構成する載置部材131、132が後方に退避し、第1載置領域21および第2載置領域22に、第1収納庫31および第2収納庫32に繋がる開口101c、101dが生じる。このとき、載置部材131、132に載置されていた硬貨は、壁板121によって移動を制限される。これにより、載置部材131、132に載置されていた硬貨は、開口101c、101dを介して、第1収納庫31および第2収納庫32に落下する。こうして、これら硬貨が、第1収納庫31および第2収納庫32に収容される。本実施形態では、第1載置領域21に載置された損貨が第1収納庫31に収容され、第2載置領域22に載置された記念貨が第2収納庫32に収容される。
【0091】
図6は、
図4(a)の構造体のB-B’断面図である。
【0092】
図6に示すように、カメラ51によって、第1載置領域21の載置面131aおよび第2載置領域22の載置面132aの全てが撮像されるよう、カメラ51と載置面131a、132aが配置されている。具体的には、カメラ51の画角αの範囲に全ての載置面131a、132aが含まれるように、カメラ51と載置面131a、132aが配置されている。カメラ51は、仕切り141の前後方向の中央位置の直上に配置されている。
【0093】
図6に示すように、仕切り141の両側面は傾斜面となっている。これら傾斜面にそれぞれ平板状のミラー142、143が設置されている。ミラー142、143の傾斜角は、カメラ51の撮像方向を載置面131a、132aに平行な方向に折り曲げるように設定される。
図6において、カメラ51から下方に向かう破線の矢印は、ミラー142、143に向かうカメラ51の撮像方向を示している。これにより、載置面131a、132aに載置された硬貨の側面の像が、ミラー142、143を介してカメラ51に取り込まれる。
【0094】
図7(a)、(b)は、載置面131aに載置された硬貨C1の側面画像を模式的に示す図である。
図7(a)は、全ての硬貨C1が重なりなく載置面131aに載置された状態を示し、
図7(b)は、一部の硬貨C1が重なって載置面131aに載置された状態を示している。
【0095】
図7(a)において、D1は、隣り合う載置面131a間の段差であり、D2は、硬貨C1の厚みである。段差D1は、厚みD2よりも大きい。突部131cによって硬貨C1の下部が隠された状態で硬貨C1が撮像される。このため、硬貨C1の側面画像は、本来の厚みD2よりも小さい厚みD3となる。硬貨C1に重なりがない場合、硬貨C1の上側には、次の載置面131aに形成された突部131cの上端までの範囲において、厚みD4の壁面131bが撮像される。
【0096】
これに対し、
図7(b)の状態では、2段目の載置面131aにおいて、2枚の硬貨C1の重なりが、2カ所生じている。この場合、重なりV1の位置では、その上段の載置面131aに載置された硬貨C1との境界となる壁面131bが生じないため、3つの硬貨が重なった厚みD5の側面画像が撮像される。また、重なりV2の位置では、2つの硬貨が重なった厚みD6の側面画像が撮像される。
【0097】
このように、重なりが生じた場合の硬貨C1の側面画像の厚みD5、D6は、重なりがない場合の硬貨C1の側面画像の厚みD3に比べて、顕著に大きくなる。したがって、厚みD3と厚みD6との間に閾値を設け、この閾値と各載置位置の硬貨の側面画像の厚みとを比較することにより、各載置位置において硬貨の重なりが生じているか否かを検出することができる。ここで、閾値は、載置面131aの載置され得る全ての金種の硬貨に対して重なりが検出可能となるように設定される。
【0098】
なお、載置面132aに載置された硬貨の側面画像は、
図7(a)、(b)の場合に比べて、載置面132aの段数が2つに減少するのみであり、その他の要素は、
図7(a)、(b)の場合と同様である。よって、載置面132aに載置された硬貨の重なりについても、上記と同様、側面画像の厚みを所定の閾値と比較することにより検出され得る。
【0099】
図8は、特殊硬貨処理装置7および操作端末8の構成を示すブロック図である。
【0100】
特殊硬貨処理装置7は、撮像処理部201と、シャッター駆動部202と、ユニット駆動部203と、通信部204と、制御部205と、記憶部206と、を備える。
【0101】
撮像処理部201は、制御部205からの制御によりカメラ51を駆動するとともに、カメラ51からの画像データを処理して制御部205に送信する。シャッター駆動部202は、シャッター12を駆動するためのモータおよび駆動回路を備え、制御部205からの制御により、シャッター12を開閉する。ユニット駆動部203は、
図4(a)、(b)に示した駆動機構150および駆動回路を備え、制御部205からの制御により、硬貨載置ユニット130を駆動する。通信部204は、制御部205からの制御により、操作端末8の通信部304との間で無線方式あるいは有線方式による通信を行う。
【0102】
制御部205は、CPU(Central Processing Unit)等の演算回路を備え、記憶部206に記憶されたプログラムに従って、撮像処理部201、シャッター駆動部202、ユニット駆動部203および通信部204を制御する。記憶部206は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)やハードディスク等の記憶媒体を備え、制御部205の制御プログラムを記憶し、また、制御部205の制御処理の際にワーク領域として利用される。
【0103】
操作端末8は、上述した操作表示部301およびプリンタ302の他、カードリーダ303、通信部304、制御部305および記憶部306を備える。
【0104】
操作表示部301は、ディスプレイ301aとタッチセンサ301bとを備えたタッチパネルで構成される。ディスプレイ301aは、各種情報を表示する。タッチセンサ301bは、ディスプレイ301aに対するユーザのタッチ操作を検出する。プリンタ302は、バラ紙幣処理装置2、束紙幣処理装置3、バラ硬貨処理装置4、包装硬貨処理装置5、有価媒体処理装置6、特殊硬貨処理装置7および貨幣保管装置9に対する入金処理、出金処理等の各種処理の結果を、ジャーナルとして用紙に印字し出力する。
【0105】
カードリーダ303は、IDカードを読み取り、読み取ったデータを制御部305に出力する。通信部304は、特殊硬貨処理装置7の通信部204との間で無線方式あるいは有線方式による通信を行う。この他、通信部304は、バラ紙幣処理装置2、束紙幣処理装置3、バラ硬貨処理装置4、包装硬貨処理装置5、有価媒体処理装置6および貨幣保管装置9の各通信部との間で無線方式あるいは有線方式による通信を行う。
【0106】
制御部305は、CPU等の演算回路を備え、記憶部306に記憶されたプログラムに従って、操作表示部301、プリンタ302、カードリーダ303、通信部304を制御する。さらに、制御部305は、通信部304を介して、バラ紙幣処理装置2、束紙幣処理装置3、バラ硬貨処理装置4、包装硬貨処理装置5、有価媒体処理装置6、特殊硬貨処理装置7および貨幣保管装置9との間で各種の指令や情報のやり取りを行うことにより、これら装置の動作を制御する。
【0107】
記憶部306は、ROM、RAMやハードディスク等の記憶媒体を備え、制御部305の制御プログラムを記憶し、また、制御部305の制御処理の際にワーク領域として利用される。さらに、記憶部306は、損貨および記念貨の参照画像と金種とを対応付けた硬貨画像データベース306aを保持している。硬貨画像データベース306aは、硬貨の種類(損貨/記念貨)ごとに準備されている。硬貨画像データベース306aは、カメラ51により撮像された硬貨の画像の金種を判定する際に、制御部305により参照される。
【0108】
次に、特殊硬貨処理装置7へ特殊な硬貨である損貨および記念貨を入金するための処理について説明する。
【0109】
図9は、損貨等の特殊硬貨の入金処理を示すフローチャートである。
図10(a)~(d)は、それぞれ、実施形態に係る、特殊硬貨の入金処理の際に操作端末8の操作表示部301において表示される画面を示す図である。
図9のフローチャートは、操作端末8の制御部305において実行される。
【0110】
特殊硬貨の入金処理において、操作者は、まず、
図10(a)に示すメニュー画面410を操作する。メニュー画面410には、処理項目の選択候補を表示する領域411が含まれている。操作者は、領域411中の“特殊硬貨”の処理項目を選択する。これにより、領域412に含まれた貨幣の種類のうち、処理対象とされる損貨/旧貨および記念貨の項目がハイライト表示される。さらに、領域413に、当該硬貨の入金を行うための特殊硬貨処理装置7の画像413aが表示される。操作者は、画像413aを参照することにより、どの装置に対して入金を行えばよいかを円滑に把握できる。その後、操作者は、ボタン414を操作する。これにより、
図9に示す処理が開始される。
【0111】
制御部305は、特殊硬貨処理装置7の制御部205に対して、シャッター12を開放させる指示を送信する(S101)。これにより、特殊硬貨処理装置7のシャッター12が開放される。また、制御部305は、操作表示部301にセット要求画面を表示させる。これにより、操作表示部301の画面が、
図10(a)のメニュー画面410から
図10(b)のセット要求画面420に切り替わる。
【0112】
図10(b)を参照して、領域421には、
図10(a)の領域411と同様の画像が含まれる。領域422には、特殊硬貨処理装置7の硬貨載置領域における硬貨の種類の割り当て形態を示す画像422aが表示される。ここでは、左側の硬貨載置領域(第1載置領域21)が損貨を載置するための領域に割り当てられ、右側の硬貨載置領域(第2載置領域22)が記念貨を載置するための領域に割り当てられている。操作者は、画像422aを参照することにより、各載置領域に載置すべき硬貨の種類を的確に把握できる。
【0113】
領域423には、特殊硬貨処理装置7に処理対象の硬貨をセットすること、および、セット完了後にボタン424を操作することを促すメッセージ423aが含まれる。操作者は、メッセージ423aを参照して、特殊硬貨処理装置7の第1載置領域21および第2載置領域22に、それぞれ、処理対象の損貨および記念貨を載置する。処理対象の全ての損貨および記念貨をセットすると、操作者は、ボタン424を操作する。これにより、
図9のステップS103の判定がYESとなる。
【0114】
こうして、ステップS103の判定がYESとなると、制御部305は、特殊硬貨処理装置7の制御部205に対して、シャッター12を閉塞させる指示を送信する(S104)。これにより、特殊硬貨処理装置7のシャッター12が閉塞される。さらに、制御部305は、特殊硬貨処理装置7の制御部205に対して、硬貨を撮像させる指示を送信する(S105)。これにより、特殊硬貨処理装置7において、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された硬貨が、カメラ51により撮像される。こうして撮像された画像のデータが、通信部204、304を介して、特殊硬貨処理装置7から操作端末8に送信される。制御部305は、受信したデータを、記憶部306に記憶させる。
【0115】
次に、制御部305は、受信した画像のデータを処理して、当該画像に含まれる各硬貨の画像を切り出す(S106)。このとき、制御部305は、切り出した各硬貨の画像に対して歪み補正を行い、真円に近い各硬貨の画像を取得する。そして、制御部305は、歪み補正後の各硬貨の画像と、硬貨画像データベース306aに保持された基準画像とを照合して、各硬貨の画像の金種を識別する(S107)。
【0116】
具体的には、制御部305は、各硬貨の画像について、マッチング度合いが所定の閾値以上で且つ最高の基準画像を硬貨画像データベース306aから抽出し、この基準画像に対応付けられた金種を、当該硬貨の画像に割り当てる。このとき、制御部305は、各硬貨の画像に割り当てられた基準画像が、損貨と記念貨の何れの種類に属するかを示す区分を、各硬貨の画像にさらに割り当てる。また、マッチング度合いが閾値以上の基準画像がない硬貨の画像については、金種が不明との識別結果が割り当てられる。
【0117】
こうして各硬貨の画像について金種を識別した後、制御部305は、第1載置領域21および第2載置領域22に対して、対応する種類(損貨/記念貨)の硬貨が適正にセットされたか否かを判定する(S108)。すなわち、制御部305は、各硬貨の画像に割り当てられた硬貨の種類の区分を参照し、損貨が載置されるべき第1載置領域21から取得された各硬貨の画像の何れかに記念貨の区分が割り当てられた場合、および、記念貨が載置されるべき第2載置領域22から取得された各硬貨の画像の何れかに損貨の区分が割り当てられた場合に、第1載置領域21および第2載置領域22に対して硬貨の置き間違いが生じたと判定する。
【0118】
硬貨の置き間違いが生じた場合(S108:YES)、制御部305は、
図10(c)に示す確認要求画面430を操作表示部301に表示させる(S109)。確認要求画面430では、
図10(b)に示したセット要求画面420に領域431の画像が重ねて表示される。領域431には、硬貨の置き間違いがあること、および、硬貨の再セットを行うことを促すメッセージ431aと、ボタン432が含まれる。操作者は、メッセージ431aを参照して、硬貨の置き間違いを把握した後、ボタン432を操作する。これにより、
図9のステップS110の判定がYESとなる。
【0119】
これに応じて、制御部305は、処理をステップS101に戻して、ステップS101以降の処理を再度実行する。これにより、特殊硬貨処理装置7のシャッター12が開放されて、硬貨の置き直しが可能となる。操作者は、ステップS102で表示されるセット要求画面420等を参照しながら、適正な載置領域に硬貨を置き直す。その後、操作者は、上記と同様の操作を行う。
【0120】
硬貨の置き間違いがない場合(S108:NO)、制御部305は、
図10(d)に示す入金処理画面440を、操作表示部301に表示させる(S111)。
【0121】
図10(d)を参照して、入金処理画面440は、領域441~443と、ボタン444~446とを含んでいる。領域441には、硬貨の入金結果441a、441bが金種ごとに表示される。領域442には、撮像画像から切り出された各硬貨の画像442cが表示される。表示される各硬貨の画像442cは、上述の歪み補正後の画像である。領域442は、損貨の画像を表示させるためのタブ442aと、記念貨の画像を表示させるためのタブ442bとを備えている。タブ442aが選択されると、第1載置領域21にセットされた損貨の各画像が表示され、タブ442bが選択されると、第2載置領域22にセットされた記念貨の各画像が表示される。
【0122】
硬貨の各画像442cの直下の位置に、各画像の金種を示す項目442dが表示される。入金処理画面440の表示開始時には、
図9のステップS107で識別された各硬貨の画像442cの金種が項目442dに表示される。ステップS107で金種が不明と判定された硬貨の画像442cには、“?”の記号が項目442dに表示される。“?”の記号が付された画像442c以外の画像442cについて、金種ごとに枚数が計数され、計数結果が、入金結果441a、441bとして、領域441に表示される。領域442には、画像442cをスクロールさせるためのスクロールバー442eが設けられている。
【0123】
なお、金種を示す項目442dは、必ずしも、各画像442cの直下に配置されなくてもよく、画像442cに対応付けられた形態であれば、他の位置に配置されてもよい。たとえば、画像442cの一部に重なるように項目442dが配置されてもよい。
【0124】
操作者は、項目442dに対する操作により、各硬貨の画像442cの金種を設定できる。
【0125】
図11(a)、(b)は、硬貨の画像442cに対して金種を設定するための操作を模式的に示す図である。
【0126】
たとえば、金種が不明と識別された画像442cに対して金種を設定する場合、操作者は、まず、当該画像442cを参照して、当該画像442cの硬貨の金種を目視により確認する。次に、操作者は、
図11(a)に示すように、当該画像442cに対応付けられた項目442dに指でタッチし、そのまま指を下方にドラッグさせる。これにより、ドラッグの距離に応じて項目442dに表示される金種が変化する。
【0127】
たとえば、指を所定距離だけドラッグさせると、項目442dの金種が1円となり、さらに指を所定距離だけドラッグさせると、項目442dの金種が5円となる。その後、同様に、指を所定距離だけドラッグさせるごとに、項目442dの金種が、10円、50円、…と変化する。指を逆方向(上方)にドラッグさせると、金種の変化が反転する。
【0128】
こうして、操作者は、画像442cに対応する金種が項目442dに表示されるまで、指をドラッグさせる。そして、画像442cに対応する金種が項目442dに表示されると、操作者は、指を画面から離す。これにより、
図11(b)のように、項目442dに金種が設定される。このとき、操作者により金種が設定された項目442dは、
図9のステップS107で金種が識別された項目442dと区別可能な形態で表示される。たとえば、操作者により金種が設定された項目442dは、他の項目442dとは異なる色が付されて表示される。
【0129】
操作者は、金種が不明と識別された他の画像442cについても、同様の操作により金種を設定する。また、操作者は、
図9のステップS107で金種が識別された項目442dについても、適宜、上記と同様の操作により、金種を修正する。こうして、各画像442cの金種が操作者により設定されると、これに応じて、領域441に表示される各金種の入金結果441a、441bが更新される。
【0130】
なお、
図11(a)、(b)に示した例では、指をドラッグさせることにより金種の候補が変更されたが、金種の候補を変化させる方法は、これに限られるものではない。たとえば、項目442dをタップするごとに金種の候補が変化する構成であってもよい。
【0131】
図10(d)に戻り、領域443には、硬貨の側面画像443a、443bが含まれている。側面画像443aは、
図6のミラー142を介して撮像された第1載置領域21における硬貨の側面画像である。また、側面画像443bは、
図6のミラー143を介して撮像された第2載置領域22における硬貨の側面画像である。側面画像443a、443bの何れかにおいて、硬貨の重なりが検出されると、ボタン443cが表示される。
【0132】
すなわち、制御部305は、
図7(a)、(b)を参照して説明した方法により、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された硬貨に重なりが生じたか否かを判定する。そして、制御部305は、第1載置領域21および第2載置領域22の少なくとも一方において硬貨の重なりを検出した場合に、領域443にボタン443cを含める。第1載置領域21および第2載置領域22の何れにも硬貨の重なりを検出しなかった場合、制御部305は、ボタン443cの表示を省略する。
【0133】
側面画像443a、443bを参照することにより、操作者は、第1載置領域21および第2載置領域22における硬貨の重なりの有無を確認できる。
【0134】
硬貨の重なりを確認する際に、操作者は、適宜、
図10(d)のボタン444を操作する。これにより、操作表示部301のディスプレイ301a全体に、
図12に示す詳細画面450が表示される。
【0135】
詳細画面450には、カメラ51の撮像画像の全体が表示される。領域451a、451bには、それぞれ、第1載置領域21および第2載置領域22を上方から撮像した画像が表示される。領域451c、451dには、それぞれ、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された硬貨の側面画像、すなわち、ミラー142、143を介して撮像された硬貨の側面画像が表示される。
【0136】
領域451c、451dに表示される側面画像は、ディスプレイ301aの表示領域の略全体に表示されるため、
図10(d)の入金処理画面440において表示される側面画像443a、443bよりも拡大される。よって、操作者は、この詳細画面450を参照することにより、各硬貨の重なりを、より正確に確認することができる。確認の後、操作者は、ボタン452を操作する。これにより、画面が、
図10(d)の入金処理画面440に戻る。
【0137】
図12に示した詳細画面においては、たとえば、
図13に示すように、重なりが検出された箇所を強調表示することとしてもよい。強調表示の形態は、
図13に示すように枠で囲む形態の他、色を付与する等の他の形態であってもよい。また、
図10(d)に示した側面画像443a、443bについても同様に、重なりが検出された箇所が強調表示されてもよい。
【0138】
なお、操作者は、領域442に対する金種の設定操作の際にも、適宜、ボタン444を操作して、詳細画面450を表示させる。これにより、操作者は、各画像の金種をより円滑に目視により確認することができる。
【0139】
図9に戻り、制御部305は、入金処理画面440を表示させた後(S111)、金種受付処理(S112)および詳細確認受付処理(S113)を実行する。金種受付処理(S112)において、制御部305は、
図11(a)、(b)に示した操作を受け付け、操作者により当該操作がなされた場合に、上記のように、項目442dの金種を変更する。また、詳細確認受付処理(S113)において、制御部305は、
図10(d)のボタン444に対する操作を受け付け、ボタン444に対する操作がなされた場合に、
図12に示した詳細画面450を表示させる。
【0140】
ステップS112、S113の処理とともに、制御部305は、入金処理画面440に対して、操作者により、やりなおし操作または重なり確認操作がなされたか否かを判定する(S114)。具体的には、制御部305は、入金処理画面440中のボタン445またはボタン443cが操作者により操作されたか否かを判定する。
【0141】
操作者は、側面画像443a、443bまたは
図12に示した詳細画面450を参照して硬貨の重なりが生じたことを確認した場合に、ボタン443cを操作する。これにより、制御部305は、ステップS114の判定をYESとして、処理をステップS101に戻す。これに応じて、特殊硬貨処理装置7のシャッター12が開放される。これにより、操作者は、第1載置領域21または第2載置領域22にアクセスして、硬貨の重なりを解消させる。
【0142】
この場合にも、
図13に示すように重なりが検出された箇所を強調表示することで、操作者は容易に硬貨の重なりを解消できる。
【0143】
また、操作者は、処理対象の硬貨の一部を第1載置領域21または第2載置領域22にセットし忘れた場合、あるいは、ボタン443cが表示されていないものの
図12の詳細画面450により硬貨の重なりを見つけた場合等、入金処理をやり直す必要性を確認した場合、ボタン445を操作する。これにより、制御部305は、ステップS114の判定をYESとして、処理をステップS101に戻す。これに応じて、特殊硬貨処理装置7のシャッター12が開放される。これにより、操作者は、第1載置領域21または第2載置領域22にアクセスして、硬貨入金のための操作をやり直す。
【0144】
やりなおし操作および重なり確認操作の何れも行われることなく(S114:NO)、
図10(d)の入金処理画面440において、操作者により、全ての硬貨の画像442cに対して金種が設定され、その後、処理を確定させるボタン446が操作されると(S115:YES)、制御部305は、入金確定処理を実行する(S116)。入金確定処理において、制御部305は、各硬貨の画像442cと項目442dに設定された金種とを対応付けて、記憶部306に記憶させる。このとき同時に、制御部305は、領域441に示された入金結果441a、441bを記憶部306に記憶させる。
【0145】
こうして、入金確定処理を完了すると、制御部305は、通信部304を介して、処理の完了を示す通知を特殊硬貨処理装置7に送信する。これに応じて、特殊硬貨処理装置7の制御部205は、ユニット駆動部203を制御して、硬貨載置ユニット130を最後方位置へと移送させる。これにより、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された硬貨が、それぞれ、第1収納庫31および第2収納庫32に落下して収納される。その後、制御部205は、硬貨載置ユニット130を最前方位置(初期位置)へと移送させる。これにより、硬貨の入金処理が終了する。
【0146】
<実施形態の効果>
本実施形態によれば、以下の効果が奏され得る。
【0147】
特殊硬貨処理装置7は、複数の載置面131aにそれぞれ載置された複数の硬貨を一括して撮像して処理できる。また、各載置面131aに載置された複数の硬貨の表面とともに、段差により分離された各硬貨の側面がカメラ51により撮像されるため、載置面131aに載置された硬貨の重なりを適切に確認できる。よって、本実施形態に係る特殊硬貨処理装置7によれば、複数の硬貨を円滑かつ適切に処理することができる。
【0148】
複数の載置面131aに載置された複数の硬貨を片面側から撮像するようにカメラ51が配置され、特殊硬貨処理装置7は、段差により分離された各硬貨の側面の像をカメラ51に導くミラー142(光学素子)を備える。これにより、カメラ51によって、複数の硬貨について、各硬貨の表面の像と側面の像を同時に撮像することができる。
【0149】
特殊硬貨処理装置7は、複数の載置面131aを含む第1載置領域21に対し水平方向に並ぶ第2載置領域22に他の載置面132aが配置され、他の載置面132aに載置された硬貨の側面の像を、第2載置領域22を撮像するためのカメラ51に導く他のミラー143(光学素子)を備える。これにより、第2載置領域22の載置面132aに載置された硬貨を、さらに撮像して処理できる。よって、より効率的に硬貨を処理できる。また、第2載置領域22に載置された硬貨の側面の像が撮像されるため、第2載置領域22に載置された硬貨の重なりを確認できる。よって、第2載置領域22に載置された硬貨を円滑かつ適切に処理することができる。
【0150】
特殊硬貨処理装置7は、1つのカメラ51により第1載置領域21の載置面131aおよび第2載置領域22の載置面132aの全てが撮像されるよう、カメラ51と載置面131a、132aが配置された構成となっている。これにより、第1載置領域21と第2載置領域22のそれぞれにカメラ51を個別に配する場合に比べて、構成の簡素化とコストの低減を図ることができる。
【0151】
第2載置領域22にも、複数の載置面132aが所定の段差で配置されている。これにより、第2載置領域22に載置可能な硬貨の数を増やすことができる。よって、第2載置領域22において、より多くの硬貨を処理することができる。また、複数の載置面132aが所定の段差で配置されているため、カメラ51の撮像画像により、載置面132aに載置された硬貨の重なりを適切に確認できる。
【0152】
特殊硬貨処理装置7は、第1載置領域21と第2載置領域22とを区分する仕切り141を備え、仕切り141の第1載置領域21側の側面にミラー142が配置され、仕切り141の第2載置領域22側の側面に、他のミラー143が配置されている。このように、仕切り141の両側面を、それぞれ、ミラー142、143の配置面として共用することにより、各載置面131a、132aと各ミラー142、143とを含む設置領域をコンパクトにでき、結果、特殊硬貨処理装置7の水平方向の形状を小さくすることができる。
【0153】
特殊硬貨処理装置7は、第1載置領域21と第2載置領域22にそれぞれ載置される硬貨の種類が個別に設定され得る。すなわち、本実施形態では、第1載置領域21が損貨の載置領域に設定され、第2載置領域22は記念貨の載置領域に設定されている。これにより、第1載置領域21と第2載置領域22によって、それぞれ、損貨と記念貨を個別に処理することができる。
【0154】
特殊硬貨処理装置7は、各載置面131a、132aが、水平面に対して傾くように構成とされている。これにより、カメラ51の光軸から離れた載置面131a、132aをカメラ51に向けることができる。これにより、全ての載置面131a、132aにおいて、硬貨の表面画像をより適正に取得することができる。たとえば、各載置面131a、132aが、水平面に平行である場合、カメラ51の光軸から離れた載置面131a、132aは、斜め方向から撮像されることになる。このため、これら載置面131a、132aに載置された硬貨の表面画像に大きな歪みが生じやすい。これに対し、本実施形態では、載置面131a、132aがカメラ51の方向を向くように傾いているため、これら載置面131a、132aに載置された硬貨の表面をよりカメラ51の方向に向けることができる。よって、何れの載置面131a、132aにおいても、硬貨の表面画像をより適正に取得することができる。
【0155】
本実施形態では、操作端末8側の制御部305において、カメラ51により撮像された硬貨の側面の像に基づいて所定の処理が行われる。具体的には、硬貨の側面画像を表示させるための処理が行われる。これにより、たとえば、
図10(d)の入金処理画面440において、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された硬貨の側面画像443a、443bが表示され、あるいは、
図12の詳細画面450において、領域451c、451dに、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された硬貨の側面画像が表示される。これにより、操作者は、表示された硬貨の側面画像を参照することにより、各載置面131a、132aに載置された硬貨に重なりが生じたか否かを目視により確認することができる。
【0156】
操作端末8側の制御部305は、カメラ51により撮像された硬貨の側面画像に基づいて、
図7(a)、(b)を参照して説明した方法により、載置面131a、132aに載置された硬貨の重なりを検出する。これにより、制御部305は、硬貨の重なりの検出結果に基づいて、所定の制御を行うことができる。
【0157】
たとえば、制御部305は、載置面131a、132aに載置された硬貨の重なりを検出した場合に、
図10(d)の入金処理画面440にボタン443cを表示させて、重なりの検出結果を操作者に報知する。これにより、操作者は、載置面131a、132aに載置された硬貨に重なりが生じたことを円滑に把握することができる。
【0158】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0159】
<変更例1>
図14は、変更例1に係る特殊硬貨処理装置7の構成を示す断面図である。
図14には、第1載置領域21および第2載置領域22付近の構成のみが示されている。
【0160】
変更例1では、載置面131a、132aの傾き方向が、上記実施形態と相違している。すなわち、変更例1では、載置面131aの左端が低くなるように載置面131aが水平面に対して傾いており、載置面132aの右端が低くなるように載置面132aが水平面に対して傾いている。また、カメラ51の撮像方向がミラー142、143によって載置面131a、132aに平行な方向に折り曲げられるように、ミラー142、143の傾斜角が設定され、これに応じて、仕切り141の両側面の傾斜角が設定されている。さらに、壁板121の左右の端部から壁板111付近まで前方に延びる一対の側板部121cが、壁板121に一体に形成されている。
【0161】
変更例1の構成では、壁板111、121と、左側の側板部121cおよび仕切り141の左側面とによって、第1載置領域21の内側面が構成され、載置部材131の上面(載置面131a)によって第1載置領域21の底面が構成される。また、壁板111、121と、右側の側板部121cおよび仕切り141の右側面とによって、第2載置領域22の内側面が構成され、載置部材132の上面(載置面132a)によって第2載置領域22の底面が構成される。
【0162】
変更例1によっても、ミラー142、143を介して、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された硬貨の側面の像をカメラ51に導くことができる。よって、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された硬貨の表面画像とともに硬貨の側面画像をカメラ51によって撮像することができる。
【0163】
<変更例2>
図15(a)は、変更例2に係る特殊硬貨処理装置7の構成を示す断面図である。
図15(a)には、第1載置領域21および第2載置領域22付近の構成のみが示されている。
【0164】
変更例2では、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された硬貨の側面の画像を取得するためのミラー144、145が、載置部材131、132の外側に配置されている。また、内側の載置面131a、132aが外側の載置面131a、132aよりも高くなるように、所定の段差で載置面131a、132aが配置されている。ミラー144、145は、カメラ51の撮像方向を載置面131a、132aに平行な方向に折り曲げるように、所定の傾斜角で配置されている。
【0165】
変更例2によっても、ミラー144、145を介して、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された硬貨の側面の像をカメラ51に導くことができる。よって、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された硬貨の表面画像とともに硬貨の側面画像をカメラ51によって撮像することができる。
【0166】
なお、変更例2の構成では、載置部材131、132の外側に、ミラー144、145を支持するための構造が必要となる。このため、上記実施形態に比べて、構成がやや複雑となる。また、変更例2の構成では、載置部材131、132の外側に、ミラー144、145を支持するための構造が配置されるため、上記実施形態に比べて、各載置面と各ミラーとを含む設置領域が大きくなり、特殊硬貨処理装置7の水平方向における形状がやや大きくなる。よって、構成の簡素化と装置の小型化を図るためには、上記実施形態のように、仕切り141の両側面にミラー142、143を配置する構成が好ましいと言える。
【0167】
また、変更例2の構成では、
図15(b)に示すように、カメラ51とは別に、第1載置領域21および第2載置領域に載置された硬貨の側面画像をそれぞれ個別に撮像するためのカメラ52、53が配置されてもよい。この場合、カメラ51の画角は、カメラ52、53を含まないように設定される。
【0168】
<変更例3>
図16(a)、(b)は、変更例3に係る特殊硬貨処理装置7の構成を模式的に示す断面図である。
【0169】
上記実施形態では、
図3(a)、(b)を参照して説明したように、載置部材25を後方に移動させることにより、載置部材25に載置された硬貨が第1収納庫31に収納された。これに対し、変更例3では、
図16(a)、(b)に示すように、枠部材24を後方に移動させることにより、載置部材25に載置された硬貨が第1収納庫31に収納される。すなわち、変更例3では、載置部材25が固定され、枠部材24が前後に移動可能に配置されている。また、第1収納庫31の開口が後方に広げられている。
【0170】
図16(a)の状態から、枠部材24が後方に移送されると、枠部材24の開口が、後ろ側から徐々に載置部材25から外れていく。これにより、第1載置領域21において、後ろ側から無底の範囲が広がっていく。この無底の範囲により、第1載置領域21に載置された硬貨が落下し、第1収納庫31に収納される。こうして、枠部材24が後端位置まで移動すると、第1載置領域21に載置された全ての硬貨が第1収納庫31に落下して収納される。第2載置領域22にも同様の構成が適用される。
【0171】
変更例3の構成によっても、上記実施形態と同様、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された硬貨を、円滑に、第1収納庫31および第2収納庫32に収納させることができる。ただし、変更例3の構成では、上記実施形態に比べて、第1収納庫31および第2収納庫32の形状が前後方向に長くする必要がある。
【0172】
<変更例4>
図17(a)、(b)は、変更例4に係る特殊硬貨処理装置7の構成を模式的に示す断面図である。
図18(a)、(b)は、変更例4に係る特殊硬貨処理装置7の構成を模式的に示す平面図である。
図18(a)、(b)には、トレイ61およびその駆動機構が平面図により示され、さらに、トレイ61付近の筐体10の部分が示されている。便宜上、
図18(a)、(b)では、筐体10の部分にハッチングが付されている。
【0173】
変更例4では、上記実施形態1に比べて、シャッター12が省略され、トレイ61により、第1載置領域21および第2載置領域22が、筐体10の外部に突出した位置と筐体10の内部に収容される位置との間で移送される。トレイ61は、支持ローラ62によって、前後方向に移動可能に支持されている。トレイ61の右側面には、ギア61cが設けられ、このギア61cにギア63が噛み合っている。ギア63は、図示しないモータによって駆動される。ギア63が駆動されることにより、トレイ61が、筐体10の開口14を介して、前後に移送される。トレイ61が最後方位置に位置付けられると、トレイ61前端の蓋部61bによって、開口14が閉塞される。
【0174】
トレイ61は、上面および後面が開放された箱形の形状である。トレイ61の底面には、前側の領域に開口61aが形成されている。トレイ61に枠部材24が固定されている。トレイ61に支持板27が前後に移動可能に嵌め込まれ、この支持板27の上面前部に載置部材25、26が設置されている。支持部材27は、ガイドによって前後に移動可能に支持されてもよい。載置部材25、26の上面には、上記実施形態と同様、所定の段差で複数の載置面が形成されている。
【0175】
支持板27の後部には、前後に延びるようにラックギア28が設置されている。支持板27には開口27aが形成され、この開口27aを介してトレイ61にモータ71が設置されている。モータ71の駆動軸に設置されたギア72が、ラックギア28に噛み合っている。モータ71を駆動することにより、ラックギア28が前後に送られる。これにより、支持板27がトレイ61に対して前後方向に相対的に移動する。
【0176】
変更例4では、
図8のブロック図中のシャッター駆動部202が、トレイ61を駆動するためのトレイ駆動部に変更される。また、ユニット駆動部203は、ギア63を駆動するためのモータを駆動して、支持板27とともに載置部材25、26を移送する。また、変更例4では、
図9のフローチャートにおいて、シャッター12の開閉に代えて、トレイ61の突出および引込みが行われる。
【0177】
特殊硬貨の入金処理時において、制御部205は、操作端末8からの指示に応じて、
図17(a)および
図18(a)に示すように、トレイ61を筐体10の外部に突出する位置に移送する。この状態において、操作者は、第1載置領域21および第2載置領域22の載置面に、それぞれ、対応する硬貨C1、C2を載置する。その後、制御部205は、操作端末8に対する操作者からの操作に応じて、
図18(b)に示すように、トレイ61を筐体10の内部に収容する位置に移送させる。
【0178】
トレイ61の移動が完了すると、制御部205は、カメラ51により、第1載置領域21および第2載置領域22を撮像する。これにより、上記実施形態と同様、硬貨C1、C2の表面画像と側面画像とを含む撮像画像が取得される。撮像画像は、操作端末8に送信される。
【0179】
その後、操作者が操作端末8に処理を確定させる操作を行うと、その旨を示す通知が操作端末8から制御部205に送信される。これに応じて、制御部205は、
図17(a)に示すように、支持板27を後方に移動させる。これにより、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された硬貨C1、C2が、開口61aを介して、第1収納庫31および第2収納庫32に落下する。
【0180】
図18(c)に示すように、支持板27は、最後方位置まで移送される。これにより、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された全ての硬貨C1、C2が第1収納庫31および第2収納庫32に落下して収納される。その後、制御部205は、支持板27を、
図18(b)に示す初期位置に移送する。これにより、入金処理時の動作が終了する。
【0181】
変更例4においても、上記実施形態と同様の効果が奏され得る。
【0182】
<変更例5>
図19(a)、(b)は、変更例5に係る特殊硬貨処理装置7の構成を模式的に示す断面図および平面図である。
【0183】
変更例5では、変更例4に比べて、カメラ51がラインセンサ54に置き換えられている。その他の構成は、変更例4と同様である。ラインセンサ54は、第1載置領域21および第2載置領域22の両方を横断するように配置されている。
【0184】
変更例5では、ラインセンサ54が特許請求の範囲に記載の「撮像部」を構成する。
【0185】
変更例5では、トレイ61を突出位置から収納位置に移動する間に、ラインセンサ54によって、第1載置領域21および第2載置領域22と、仕切り23の範囲が撮像される。これにより、硬貨C1、C2の表面画像と側面画像とを含む撮像画像が取得される。入金処理時のその他の動作は、変更例4と同様である。
【0186】
変更例5においても、上記実施形態および変更例4と同様の効果が奏され得る。加えて、変更例5では、トレイ61の引込み動作時に硬貨C1、C2の表面画像と側面画像とを含む撮像画像が取得されるため、上記実施形態および変更例4に比べて、入金処理をより円滑かつ迅速に進めることができる。
【0187】
<変更例6>
図20(a)、(b)は、変更例6に係る特殊硬貨処理装置7の構成を模式的に示す断面図および平面図である。
図20(a)、(b)には、第1載置領域21および第2載置領域22付近の構成のみが示されている。
図20(b)では、硬貨を載置するための載置面131a、132aの範囲が明確となるように、仕切り141と、ミラー146、147にハッチングが付されている。
【0188】
変更例2では、載置部材131、132の上面に段差が設けられておらず、載置部材131、132の上面は平面となっている。載置部材131、132の上面に、それぞれ、前後方向に延びるプリズム状のミラー146、147が複数設置されている。これらミラー146、147により載置部材131、132の上面が区切られることにより、第1載置領域21および第2載置領域22に、それぞれ、複数の載置面131a、132aが配置されている。
【0189】
ミラー146は、それぞれ、各載置面131aの左側の境界に配置されている。ミラー147は、それぞれ、各載置面132aの右側の境界に配置されている。ミラー146は、それぞれ、カメラ51の撮像方向を右側の載置面131aに平行な方向に折り曲げる。載置面131aに載置された硬貨C1の左側面の像が、ミラー146を介して、カメラ51に導かれる。ミラー147は、それぞれ、カメラ51の撮像方向を左側の載置面131aに平行な方向に折り曲げる。載置面132aに載置された硬貨C2の右側面の像が、ミラー147を介して、カメラ51に導かれる。カメラ51は、全ての載置面131a、132aおよび全てのミラー146、147を画角に含むように構成されている。
【0190】
図21は、変更例6の構成において、カメラ51で撮像された画像を模式的に示す図である。
【0191】
変更例6の構成では、撮像画像が、載置面131aに対応する領域R11と、載置面132aに対応する領域R21と、ミラー146に対応する領域R12と、ミラー147に対応する領域R22とを含んでいる。領域R11、R21には、それぞれ、載置面131a、132aに載置された硬貨の表面画像I11、I21が含まれる。また、領域R12、R22には、それぞれ、載置面131a、132aに載置された硬貨の側面画像I12、I22が含まれる。側面画像I12、I22に基づいて、硬貨の重なりを確認することができる。
図21の例では、重なりV3の側面画像I22により、硬貨の重なりが確認される。
【0192】
変更例6の構成によれば、各載置面131a、132aに載置された硬貨の側面の画像を載置面131a、132aごとに個別に取得することができる。よって、上記実施形態および変更例1~6と同様、各載置面における硬貨の重なりを円滑かつ適正に確認できる。
【0193】
また、
図21に示す撮像画像がそのまま表示された場合は、載置面の領域R21の真横に、当該載置面に載置された硬貨の側面画像を表示する領域R22が位置付けられるため、操作者は、どの載置領域のどの硬貨の載置位置において硬貨の重なりが生じたかを、円滑かつ直感的に把握できる。
【0194】
たとえば、変更例6では、
図12に示した詳細画面450に代えて、
図21に示す構成の画像が表示される。これにより、操作者は、硬貨の重なりの有無およびその位置を円滑かつ的確に把握できる。この場合、
図13の場合と同様、硬貨の重なり箇所が強調表示されてもよい。
【0195】
なお、
図20(a)、(b)の構成では、各載置面131a、132aの左右方向の外側の境界にミラー146、147が配置されたが、各載置面131a、132aの左右方向の内側の境界に、硬貨の側面の像をカメラ51に導くためのミラー146、147が配置されてもよい。また、本変更例6においても、上記実施形態と同様、載置面がカメラ51の方向を向くように傾いていてもよい。また、本変更例6においても、
図16(a)、(b)に示した変更例3の構成や、
図17(a)~
図18(c)に示した変更例4の構成、および、
図19(a)、(b)に示した変更例5の構成が適用されてもよい。
【0196】
なお、本変更例6では、載置領域ごとにミラーが配置されるため、上記実施形態および変更例1~5に比べて、ミラーを配置するための領域を確保する必要があり、その分、構成が大型化する。よって、装置の小型化および部品点数の削減を図るためには、上記実施形態および変更例1~5のように、載置面に段差を設けてミラーを共用する構成が好ましいと言える。
【0197】
<その他の変更例>
上記実施形態では、
図12の詳細画面450において、領域451c、451dに、第1載置領域21および第2載置領域22に載置された硬貨の側面画像が表示されたが、
図22に示すように、各硬貨の画像と各側面画像を切り出して、これらを対応付けて表示してもよい。
図22では、領域451eに1つの載置面に載置された硬貨の画像とこれら硬貨の側面画像が互いに対応づけられて表示されている。これにより、操作者は各硬貨が重なっていないかを容易に確認することができる。
【0198】
また、上記実施形態では、操作表示部301が特殊硬貨処理装置7と別体であったが、操作表示部301が特殊硬貨処理装置7に一体的に設けられてもよい。この構成においては、さらに、
図9の処理が、特殊硬貨処理装置7側の制御部205によって行われてもよい。
【0199】
この場合、特殊硬貨処理装置7は、たとえば、
図23のように構成される。特殊硬貨処理装置7は、ディスプレイ207aおよびタッチセンサ207bからなる操作表示部207を備える。記憶部206は、
図8に示した硬貨画像データベース306aと同様の硬貨画像データベース206aを保持する。
【0200】
制御部205は、
図10(a)~(d)および
図12の画面を操作表示部207に表示させながら、
図9の処理を実行する。処理結果に基づく情報は、記憶部206に記憶されてもよく、あるいは、操作端末8側に送信されて、操作端末8側の記憶部306に記憶されてもよい。
【0201】
また、上記実施形態の構成において、
図9の処理が、特殊硬貨処理装置7側の制御部205によって行われてもよい。この場合、操作端末8の操作表示部301は、単に、画面の表示および操作入力の受け付けのために用いられる。この場合も、特殊硬貨処理装置7の記憶部206には、
図23の場合と同様、硬貨画像データベース206aが保持される。この他、
図9の処理が、特殊硬貨処理装置7側の制御部205と操作端末8側の制御部305との共同動作により行われてもよい。
【0202】
また、上記実施形態では、第1載置領域21に3つの載置面131aが配置され、第2載置領域22に2つの載置面132aが配置されたが、第1載置領域21および第2載置領域22に配置される載置面の数はこれに限られるものではない。たとえば、第1載置領域21および第2載置領域22に、それぞれ、2つずつ載置面が配置されてもよく、あるいは、第1載置領域21および第2載置領域22の何れか一方の載置面が1つであってもよい。また、第1載置領域21および第2載置領域22の何れか一方の載置面が4つ以上配置されてもよい。この場合も、載置面は、所定の段差をもって一方向に変位するように、すなわち、隣り合う載置面の高さ方向における変位の方向が全ての隣り合う載置面において同じであるように配置される。
【0203】
また、必ずしも、第1載置領域21および第2載置領域22の両方が存在しなくてもよく、第1載置領域21および第2載置領域22の何れか一方が省略されてもよい。載置領域の数は、必ずしも2つに限られるものではない。
【0204】
また、第1載置領域21に配置された各載置面131aの傾斜角は、必ずしも、同じでなくてもよい。各載置面131aに載置された硬貨の側面の像を、ミラー142を介してより良好に撮像できるように、各載置面131aの傾斜角が個別に調整されていてもよい。第2載置領域22に配置された各載置面132aの傾斜角についても同様である。この点は、変更例1、2についても同様である。
【0205】
また、上記実施形態では、1つのカメラ51で第1載置領域21および第2載置領域とミラー142、143の全範囲が撮像されたが、カメラ51の配置方法はこれに限られるものではない。たとえば、第1載置領域21とミラー142の範囲を撮像するカメラと、第2載置領域22とミラー143の範囲を撮像するカメラとが個別に配置されてもよく、また、第1載置領域21を撮像するカメラと、第2載置領域22を撮像するカメラと、ミラー142、142の範囲を撮像するカメラとが、個別に配置されてもよい。
【0206】
また、上記実施形態の構成においても、
図15(b)の変更例と同様、ミラー142、143を省略して、第1載置領域21に載置された硬貨の側面画像と、第2載置領域22に載置された硬貨の側面画像とを、それぞれ個別に撮像するカメラが別途配置されてもよい。この場合、これらのカメラは、載置部材131、132の間に配置される。
【0207】
また、載置部材131、132を透明な部材として、載置面131a、132aの背面側から載置面131a、132aに光を導く構成であってもよい。すなわち、載置部材131、132を導光部材として用い、たとえば、載置部材131、132の側面から、線状光源によって載置部材131、132に光を導入するようにしてもよい。こうすると、載置面131a、132aに載置された硬貨の側面画像をより明瞭に撮像することができる。
【0208】
この場合、載置部材131、132の背面側にもカメラを配置して、載置面131a、132aに載置された硬貨の背面画像を同時に撮像するようにしてもよい。この構成では、背面画像を撮像可能なように、たとえば、ベース部材133の載置部材131、132の設置位置に、開口が形成される。
【0209】
また、載置部材131、132が透明である場合、カメラ51は、必ずしも、第1載置領域21および第2載置領域22の上方に配置されなくともよく、第1載置領域21および第2載置領域22の下方に配置されてもよい。カメラ51は、少なくとも、硬貨の片面側に配置されればよい。ラインセンサ54についても同様である。
【0210】
また、特殊硬貨処理装置7が、タブレット端末やスマートフォンとの通信機能を有し、タブレット端末等の表示機能、操作機能を用いて、特殊硬貨処理装置7への特殊な硬貨の入金処理が行われてもよい。
【0211】
また、上記実施形態では、
図10(d)に示したボタン443cによって硬貨の重なりが操作者に報知されたが、重なりの報知の形態はこれに限られるものではない。たとえば、音声やランプの点灯等の他の報知手段によって、硬貨の重なりが操作者に報知されてもよい。
【0212】
また、硬貨の側面の像は、必ずしもミラー142、143によってカメラ51に導かれなくともよく、プリズム等の他の光学素子によってカメラ51に導かれる構成であってもよい。
【0213】
また、上記実施形態では、側面画像の厚みを所定の閾値と比較することにより硬貨の重なりを検出したが、その他の方法で硬貨の重なりを検出することとしてもよい。
【0214】
さらに、上記実施形態において、特殊硬貨処理装置7に、特殊な硬貨として、外国硬貨を入金できてもよい。また、特殊硬貨に限らず、通常の硬貨を処理する硬貨処理装置に本発明が適用されてもよい。
【0215】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0216】
7 特殊硬貨処理ユニット
8 操作端末
21 第1載置領域
22 第2載置領域
23 仕切り
51、52、53 カメラ
54 ラインセンサ
131a、132a 載置面
141 仕切り
142、143 ミラー
205、305 制御部
207、301 操作表示部