(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】照明方法、撮像方法、照明装置及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20220401BHJP
G03B 15/05 20210101ALI20220401BHJP
G03B 15/02 20210101ALI20220401BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20220401BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20220401BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20220401BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20220401BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20220401BHJP
H04N 5/235 20060101ALI20220401BHJP
F21Y 103/10 20160101ALN20220401BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220401BHJP
【FI】
F21S2/00 419
G03B15/05
G03B15/02 G
G03B15/02 H
H01L21/66 J
F21V5/00 510
F21V5/04 600
F21V23/00 110
H04N5/225 400
H04N5/235 400
H04N5/225 600
F21Y103:10
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2018130988
(22)【出願日】2018-07-10
【審査請求日】2021-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000115902
【氏名又は名称】レーザーテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(74)【代理人】
【識別番号】100129953
【氏名又は名称】岩瀬 康弘
(72)【発明者】
【氏名】石渡 研志
(72)【発明者】
【氏名】楠瀬 治彦
(72)【発明者】
【氏名】草 史野
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 直
(72)【発明者】
【氏名】多田 光洋
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-301023(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
G03B 15/05
G03B 15/02
H01L 21/66
F21V 5/00
F21V 5/04
F21V 23/00
H04N 5/225
H04N 5/235
F21Y 103/10
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向にライン状に並んだ複数の光源と、前記複数の光源から生成された照明光を集光する照明系集光レンズと、を有するライン状照明部を配置させるステップと、
前記一方向に延在した上端面及び前記上端面に対向する下端面を有する光導波路であって、前記照明系集光レンズで集光され、前記上端面に入射した前記照明光が前記下端面から出射する前記光導波路を配置させるステップと、
前記光導波路から出射した前記照明光で撮像対象を照明するステップと、
を備え
、
前記照明系集光レンズは、前記複数の光源がライン状に並ぶピッチと同じピッチで、複数のレンズがライン状に並んだライン状フライアイレンズを含み、
各前記レンズの光軸上に各前記光源が配置された照明方法。
【請求項2】
一方向にライン状に並んだ複数の光源と、前記複数の光源から生成された照明光を集光する照明系集光レンズと、を有するライン状照明部を配置させるステップと、
前記一方向に延在した上端面及び前記上端面に対向する下端面を有する光導波路であって、前記照明系集光レンズで集光され、前記上端面に入射した前記照明光が前記下端面から出射する前記光導波路を配置させるステップと、
前記光導波路から出射した前記照明光で撮像対象を照明するステップと、
を備え
、
前記照明系集光レンズは、前記一方向に延在したシリンドリカルレンズを含む照明方法。
【請求項3】
一方向にライン状に並んだ複数の光源と、前記複数の光源から生成された照明光を集光する照明系集光レンズと、を有するライン状照明部を配置させるステップと、
前記一方向に延在した上端面及び前記上端面に対向する下端面を有する光導波路であって、前記照明系集光レンズで集光され、前記上端面に入射した前記照明光が前記下端面から出射する前記光導波路を配置させるステップと、
前記光導波路から出射した前記照明光で撮像対象を照明するステップと、
を備え
、
前記ライン状照明部を配置させるステップにおいて、
前記ライン状照明部を、複数準備し、
各前記ライン状照明部は、他の前記ライン状照明部と異なる中心波長の前記照明光を生成する前記複数の光源を含むようにし、
前記一方向に延在した中心軸を中心に回転する回転軸の外周面に、各前記ライン状照明部を外周方向に間隔を空けて配置させた照明方法。
【請求項4】
前記ライン状照明部を配置させるステップにおいて、
前記ライン状照明部を、複数準備し、
各前記ライン状照明部は、他の前記ライン状照明部と異なる中心波長の前記照明光を生成する前記複数の光源を含むようにし、
前記一方向に延在した中心軸を中心に回転する回転軸の外周面に、各前記ライン状照明部を外周方向に間隔を空けて配置させた、
請求項1または2に記載の照明方法。
【請求項5】
一方向にライン状に並んだ複数の光源と、前記複数の光源から生成された照明光を集光する照明系集光レンズと、を有するライン状照明部を配置させるステップと、
前記一方向に延在した上端面及び前記上端面に対向する下端面を有する光導波路であって、前記照明系集光レンズで集光され、前記上端面に入射した前記照明光が前記下端面から出射する前記光導波路を配置させるステップと、
前記光導波路から出射した前記照明光で撮像対象を照明するステップと、
前記照明光により照明された前記撮像対象からの光を集光し、集光した前記光を検出して前記撮像対象の画像を取得するステップと、
を備えた撮像方法。
【請求項6】
前記照明光で撮像対象を照明するステップにおいて、前記照明光を白色光とし、
前記撮像対象の画像を取得するステップにおいて、バンドパスフィルタを透過した前記光を検出して前記画像を取得する、
請求項5に記載の撮像方法。
【請求項7】
一方向にライン状に並んだ複数の光源と、前記複数の光源から生成された照明光を集光する照明系集光レンズと、を有するライン状照明部と、
前記一方向に延在した上端面及び前記上端面に対向する下端面を有する光導波路であって、前記照明系集光レンズで集光され、前記上端面に入射した前記照明光が前記下端面から出射する前記光導波路と、
を備え、
前記照明系集光レンズは、前記複数の光源がライン状に並ぶピッチと同じピッチで、複数のレンズがライン状に並んだライン状フライアイレンズを含み、
各前記レンズの光軸上に各前記光源が配置され、
前記光導波路から出射した前記照明光で撮像対象を照明する照明装置。
【請求項8】
一方向にライン状に並んだ複数の光源と、前記複数の光源から生成された照明光を集光する照明系集光レンズと、を有するライン状照明部と、
前記一方向に延在した上端面及び前記上端面に対向する下端面を有する光導波路であって、前記照明系集光レンズで集光され、前記上端面に入射した前記照明光が前記下端面から出射する前記光導波路と、
を備え、
前記照明系集光レンズは、前記一方向に延在したシリンドリカルレンズを含み、
前記光導波路から出射した前記照明光で撮像対象を照明する照明装置。
【請求項9】
一方向にライン状に並んだ複数の光源と、前記複数の光源から生成された照明光を集光する照明系集光レンズと、を有するライン状照明部と、
前記一方向に延在した上端面及び前記上端面に対向する下端面を有する光導波路であって、前記照明系集光レンズで集光され、前記上端面に入射した前記照明光が前記下端面から出射する前記光導波路と、
を備え、
前記ライン状照明部を、複数有し、
各前記ライン状照明部は、他の前記ライン状照明部と異なる中心波長の前記照明光を生成する前記複数の光源を含み、
各前記ライン状照明部は、前記一方向に延在した中心軸を中心に回転する回転軸の外周面に、外周方向に間隔を空けて配置され、
前記光導波路から出射した前記照明光で撮像対象を照明する照明装置。
【請求項10】
前記ライン状照明部を、複数有し、
各前記ライン状照明部は、他の前記ライン状照明部と異なる中心波長の前記照明光を生成する前記複数の光源を含み、
各前記ライン状照明部は、前記一方向に延在した中心軸を中心に回転する回転軸の外周面に、外周方向に間隔を空けて配置された、
請求項7または8に記載の照明装置。
【請求項11】
一方向にライン状に並んだ複数の光源と、前記複数の光源から生成された照明光を集光する照明系集光レンズと、を有するライン状照明部と、
前記一方向に延在した上端面及び前記上端面に対向する下端面を有する光導波路であって、前記照明系集光レンズで集光され、前記上端面に入射した前記照明光が前記下端面から出射する前記光導波路と、
前記光導波路から出射された前記照明光により照明された撮像対象からの光を集光し、集光した前記光を検出して前記撮像対象の画像を取得する結像光学系と、
を備えた撮像装置。
【請求項12】
前記複数の光源は、白色光を生成する光源を含み、
前記結像光学系は、前記光を透過させるバンドパスフィルタを含む、
請求項11に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明方法、撮像方法、照明装置及び撮像装置に関するものであり、例えば、半導体ウェハのパターンを検査するために、半導体ウェハを撮像する場合の照明方法、撮像方法、照明装置及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パターンが形成された半導体ウェハの検査に用いる撮像装置は、例えば、結像光学系及び照明光学系を備えている。照明光学系における光源として、ライン型LED照明部が用いられる場合もある。ライン型LED照明部は、ライン状に配列された複数のLED光源と、LED光源により生成された照明光を集光するシリンドリカルレンズを含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ライン型LED照明部を用いた照明光学系は、撮像対象の受光量を増加させ、撮像対象の画像を取得するスループットを向上させる上で改良の余地がある。
【0005】
本発明の目的は、このような問題を解決するためになされたものであり、撮像対象の受光量を増加させ、撮像対象の画像を取得するスループットを向上させることができる照明方法、撮像方法、照明装置及び撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る照明方法は、一方向にライン状に並んだ複数の光源と、前記複数の光源から生成された照明光を集光する照明系集光レンズと、を有するライン状照明部を配置させるステップと、前記一方向に延在した上端面及び前記上端面に対向する下端面を有する光導波路であって、前記照明系集光レンズで集光され、前記上端面に入射した前記照明光が前記下端面から出射する前記光導波路を配置させるステップと、前記光導波路から出射した前記照明光で撮像対象を照明するステップと、を備える。このような構成により、撮像対象の受光量を増加させることができる。
【0007】
また、本発明に係る撮像方法は、一方向にライン状に並んだ複数の光源と、前記複数の光源から生成された照明光を集光する照明系集光レンズと、を有するライン状照明部を配置させるステップと、前記一方向に延在した上端面及び前記上端面に対向する下端面を有する光導波路であって、前記照明系集光レンズで集光され、前記上端面に入射した前記照明光が前記下端面から出射する前記光導波路を配置させるステップと、前記光導波路から出射した前記照明光で撮像対象を照明するステップと、前記照明光により照明された前記撮像対象からの光を集光し、集光した前記光を検出して前記撮像対象の画像を取得するステップと、を備える。このような構成により、撮像対象の画像を取得するスループットを向上させることができる。
【0008】
本発明に係る照明装置は、一方向にライン状に並んだ複数の光源と、前記複数の光源から生成された照明光を集光する照明系集光レンズと、を有するライン状照明部と、前記一方向に延在した上端面及び前記上端面に対向する下端面を有する光導波路であって、前記照明系集光レンズで集光され、前記上端面に入射した前記照明光が前記下端面から出射する前記光導波路と、を備え、前記光導波路から出射した前記照明光で撮像対象を照明する。このような構成により、撮像対象の受光量を増加させることができる。
【0009】
また、本発明に係る撮像装置は、一方向にライン状に並んだ複数の光源と、前記複数の光源から生成された照明光を集光する照明系集光レンズと、を有するライン状照明部と、前記一方向に延在した上端面及び前記上端面に対向する下端面を有する光導波路であって、前記照明系集光レンズで集光され、前記上端面に入射した前記照明光が前記下端面から出射する前記光導波路と、前記光導波路から出射された前記照明光により照明された前記撮像対象からの光を集光し、集光した前記光を検出して前記撮像対象の画像を取得する結像光学系と、を備える。このような構成により、撮像対象の画像を取得するスループットを向上させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、撮像対象の受光量を増加させ、撮像対象の画像を取得するスループットを向上させることができる照明方法、撮像方法、照明装置及び撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る撮像装置の構成を例示した模式図である。
【
図2】実施形態に係る撮像装置の構成を例示した斜視図である。
【
図3】実施形態に係る撮像装置のライン状照明部における光源及び照明系集光レンズを例示した図であり、(a)は、側方から見た模式図であり、(b)は、上方から見た模式図である。
【
図4】実施形態に係る撮像装置のライン状照明部における照明系集光レンズを例示した図であり、(a)は、ライン状フライアイレンズを構成する複数のレンズが配置される前の状態の斜視図を示し、(b)は、ライン状フライアイレンズを構成する複数のレンズが配置された状態の斜視図を示し、(c)は、ライン状フライアイレンズを光軸方向から見た状態を示す。
【
図5】実施形態に係る撮像装置の照明光学系において、光導波路を例示した斜視図である。
【
図6】実施形態に係る撮像装置において、レボルバー式バンドパスフィルタ切替機構を例示した図である。
【
図7】実施形態に係る撮像装置において、照明光及び照明光により照明された撮像対象からの光の光軸に沿って照明光学系及び結像光学系を例示した図である。
【
図8】実施形態に係る撮像装置を用いた撮像方法を例示したフローチャート図である。
【
図9】実施形態に係る撮像装置における照明光及び撮像対象からの光を例示した図である。
【
図10】光導波路が使用されない撮像装置における照明光及び撮像対象からの光を例示した図である。
【
図11】実施形態に係る撮像装置において、撮像対象の受光量を例示した図である。
【
図12】実施形態に係る撮像装置において、撮像対象の画像を取得するスループットを例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施形態の具体的構成について図面を参照して説明する。以下の説明は、本発明の好適な実施の形態を示すものであって、本発明の範囲が以下の実施の形態に限定されるものではない。以下の説明において、同一の符号が付されたものは実質的に同様の内容を示している。
【0013】
(実施形態)
実施形態に係る撮像装置を説明する。
図1は、実施形態に係る撮像装置の構成を例示した模式図である。
図2は、実施形態に係る撮像装置の構成を例示した斜視図である。
図1及び
図2に示すように、撮像装置1は、照明光学系10、結像光学系20及びステージ30を備えている。撮像装置1は、ステージ30上に配置された撮像対象40を撮像する。撮像対象40は、例えば、上面にパターンが形成された半導体ウェハである。
【0014】
撮像装置1の説明の便宜のために、XYZ直交座標軸を導入する、ステージ30の上面に平行な面をXY平面とし、ステージ30の上面に直交する方向をZ軸方向とする。上方を+Z軸方向とする。
【0015】
まず、撮像装置1の構成として、<照明光学系>、<結像光学系>及び<ステージ>を順に説明する。その後、撮像装置1を用いた<撮像方法>を説明し、最後に効果をまとめる。
【0016】
<照明光学系>
まず、照明光学系10を説明する。照明光学系10は、ライン状照明部11と、光導波路12とを備えている。ライン状照明部11は、照明光L10を生成する。
【0017】
図3は、実施形態に係る撮像装置1のライン状照明部11における光源13及び照明系集光レンズ14を例示した図であり、(a)は、側方から見た模式図であり、(b)は、上方から見た模式図である。
図3(a)及び(b)に示すように、ライン状照明部11は、複数の光源13と、照明系集光レンズ14と、を有している。光源13は、例えば、LED(Light Emitting Diode)である。ライン状照明部11において、複数の光源13は、同じ中心波長の光を生成する。複数の光源13は、一方向にライン状に並んで配置されている。例えば、複数の光源13は、X軸方向にライン状に配置されている。照明系集光レンズ14は、複数の光源13から生成された照明光L10を集光する。照明系集光レンズ14は、例えば、一方向に延在したシリンドリカルレンズを含んでいる。照明系集光レンズ14は、ライン状フライアイレンズを含んでもよい。
【0018】
図4は、実施形態に係る撮像装置1のライン状照明部11における照明系集光レンズ14を例示した図であり、(a)は、ライン状フライアイレンズ14aを構成する複数のレンズ15が配置される前の状態の斜視図を示し、(b)は、ライン状フライアイレンズ14aを構成する複数のレンズ15が配置された状態の斜視図を示し、(c)は、ライン状フライアイレンズ14aを光軸方向から見た状態を示す。
【0019】
図4に示すように、照明系集光レンズ14は、例えば、ライン状フライアイレンズ14aを含んでもよい。ライン状フライアイレンズ14aは、ライン状に複数のレンズ15が並んだ集光レンズである。ライン状フライアイレンズ14aは、所定のピッチで複数のレンズ15がライン状に並んでいる。ライン状フライアイレンズ14aの所定のピッチは、複数の光源13がライン状に並ぶピッチと同じピッチである。よって、各レンズ15の光軸上に各光源13が配置されている。なお、照明系集光レンズ14上に拡散板が配置されてもよい。
【0020】
図1及び
図2に示すように、照明光学系10は、複数のライン状照明部11を有してもよい。各ライン状照明部11は、他のライン状照明部11と異なる中心波長の照明光L10を生成する複数の光源13を含んでいる。したがって、複数のライン状照明部11が設けられた照明光学系10は、照明光L10の波長切替機構を有している。よって、照明光学系10は、撮像対象40を照明する照明光L10の波長を切り替えることができる。
【0021】
例えば、照明光学系10は、紫外光(Ultraviolet:UV)から赤外光(Infrared:IR)までの複数の中心波長を有する照明光L10、並びに、白色光の照明光L10を生成する各ライン状照明部11を有してもよい。照明光学系10は、ライン状照明部11を切り替えることによって、各ライン状照明部11に対応した波長の照明光L10で撮像対象40を照明することができる。
【0022】
例えば、照明光学系10は、一方向に延在した中心軸Cを中心に回転する回転軸16と、回転軸16の外周面に設けられた複数のライン状照明部11と、を備えている。各ライン状照明部11は、一方向に延在した中心軸Cを中心に回転する回転軸16の外周面に、外周方向に間隔を空けて配置されている。外周方向は、中心軸Cを中心に回転する方向である。例えば、4つのライン状照明部11は、紫外光側の複数の中心波長を有する照明光L10を生成するUV光源となっている。4つのライン状照明部11は、回転軸16の外周面上に相互に45[°]の間隔を空けて配置されている。
【0023】
8つのライン状照明部11のうち、残りの4つのライン状照明部11は、赤外光側の複数の中心波長の照明光L10、並びに、白色光の照明光L10を生成する可視光の光源となっている。4つのライン状照明部11は、回転軸16の外周面上に相互に45[°]の間隔を空けて配置されている。したがって、8つのライン状照明部11をX軸方向から見たとき、各ライン状照明部11は、回転軸16の外周面上に、45[°]の間隔を空けて並んで配置されている。
【0024】
図5は、実施形態に係る撮像装置1の照明光学系10において、光導波路12を例示した斜視図である。
図5に示すように、光導波路12は、透明な板状の部材である。例えば、光導波路12は、材料として、石英を含んでいる。なお、光導波路12は、紫外光及び可視光等の光を透過すれば、石英以外の材料を含んでもよい。
【0025】
光導波路12は、対向する板面、対向する側面及び対向する端面を有している。対向する板面を上面12a及び下面12bとする。上面12a及び下面12bは、側面及び端面よりも面積が大きい。対向する端面を上端面12c及び下端面12dとする。下端面12dは、上端面12cに対向している。上端面12c及び下端面12dは一方向に延在している。例えば、上端面12c及び下端面12dはX軸方向に延在している。光導波路12を配置する場合には、結像光学系20におけるNA等の条件に対して、最も効率が良くなるように、光導波路12の厚さ、すなわち、対向する板面の間の長さ、及び、光導波路12を配置させる位置を、シミュレーション等を用いて計算し、その計算結果に基づいて配置する。
【0026】
ライン状照明部11から出射した照明光L10は、光導波路12の上端面12cに入射する。光導波路12の上端面12cに入射した照明光L10は、光導波路12の内部を通って下端面12dから出射する。光透過方向は、上端面12cから下端面12dに向かう方向である。このように、照明系集光レンズ14で集光され、上端面12cに入射した照明光L10が下端面12dから出射する。そして、照明光学系10は、光導波路12から出射した照明光L10で撮像対象40を照明する。このような観点から、照明光学系10は、撮像対象40を照明する照明装置ということができる。
【0027】
<結像光学系>
次に、結像光学系20を説明する。結像光学系20は、照明光L10により照明された撮像対象40からの光を集光し、集光した光を検出して撮像対象40の画像を取得する。
図1及び
図2に示すように、結像光学系20は、結像系集光レンズ21及び受光センサ22を有している。結像光学系20は、結像系集光レンズ21及び受光センサ22以外に、バンドパスフィルタ23、ポラライザ24等の光学素子を含んでもよい。例えば、ライン状照明部11が白色光を生成する白色LEDを光源13として含む場合に、バンドパスフィルタ23を組み合わせて撮像する。これにより、多数の波長帯による撮像を可能とすることができる。
【0028】
図6は、実施形態に係る撮像装置1において、レボルバー式バンドパスフィルタ切替機構25を例示した図である。
図6に示すように、結像光学系20は、レボルバー式バンドパスフィルタ切替機構25を有してもよい。バンドパスフィルタ切替機構25は、複数のバンドパスフィルタ23を含んでいる。そして、バンドパスフィルタ切替機構25は、各バンドパスフィルタ23に切り替え可能となっている。このように、撮像装置1は、複数の異なる波長帯のバンドパスフィルタ23と、レボルバー式バンドパスフィルタ切替機構25を使用することで、ライン状照明部11の個数よりも多い波長帯による撮像を可能にすることができる。例えば、
図6に示すように、1本の白色LEDの光源13に対して、4つの異なる波長帯のバンドパスフィルタ23を切り替えた場合には、単色LEDの7つのライン状照明部11に合わせて、合計11の波長帯による撮像を可能とすることができる。
【0029】
図7は、実施形態に係る撮像装置1において、照明光L10及び照明光L10により照明された撮像対象40からの光L20の光軸Kに沿って、照明光学系10及び結像光学系20を例示した図である。
図7に示すように、ライン状照明部11における光源13で生成され、照明系集光レンズ14で集光された照明光L10は、光導波路12を通って、下端面12dから出射する。光導波路12の下端面12dから出射した照明光L10は、撮像対象40を照明する。
【0030】
結像系集光レンズ21は、照明光L10により照明された撮像対象40からの光L20を集光する。照明光L10により照明された撮像対象40からの光L20は、照明光L10が撮像対象40で反射した反射光を含んでいる。また、撮像対象40からの光L20は、撮像対象40における回折光等を含んでもよい。
【0031】
受光センサ22は、結像系集光レンズ21で集光された撮像対象40からの光L20を検出して撮像対象40の画像を取得する。結像光学系20は、1つの結像系集光レンズ21及び1つの受光センサ22を用いて、紫外光から赤外光までの波長域の光L20を検出することが好ましい。しかしながら、1つの結像系集光レンズ21及び1つの受光センサ22を用いて、紫外光から赤外光までの波長域の光L20を検出することができない場合には、複数の結像系集光レンズ21及び複数の受光センサ22を組み合わせて、紫外光から赤外光までの波長域の光L20を検出してもよい。例えば、受光センサ22は、紫外光の中心波長の光を検出する受光センサ、可視光の中心波長の光を検出する受光センサ、赤外光の中心波長の光を検出する受光センサに分けてもよい。この場合には、撮像装置1の結像光学系20は、波長によって切り換えることができる。
【0032】
<ステージ>
次に、ステージ30を説明する。
図1及び
図2に示すように、ステージ30は、照明光学系10及び結像光学系20の下方に設けられている。ステージ30上には、撮像対象40が配置されている。照明光学系10は、ライン状照明部11から出射した照明光L10を、光導波路12を介して、ステージ30上に配置された撮像対象40を照明する。例えば、光導波路12から出射した照明光L10は、撮像対象40の上面に対して所定の入射角で入射するように照明される。照明光L10により照明された撮像対象40からの光は、入射角と同じ出射角で結像光学系20に集光される。なお、入射角と出射角は同一の角度でなくてもよい。また、入射角と出射角は独立に設定することができるようになっている。
【0033】
ステージ30は、Y軸方向にスライド移動可能である。例えば、撮像対象40が配置されたステージ30をY軸方向にスライド移動させながら、撮像対象40に照明光L10を照明し、結像光学系20で撮像する。
【0034】
<撮像方法>
次に、撮像装置1の動作として、撮像装置1を用いた撮像方法を説明する。
図8は、実施形態に係る撮像装置1を用いた撮像方法を例示したフローチャート図である。
図8のステップS11に示すように、まず、ライン状照明部11を配置させる。具体的には、一方向にライン状に並んだ複数の光源13と、複数の光源13から生成された照明光L10を集光する照明系集光レンズ14と、を有するライン状照明部11を配置させる。
【0035】
なお、ライン状照明部11を配置させる際に、ライン状照明部11を、複数準備してもよい。各ライン状照明部11は、他のライン状照明部11と異なる中心波長の照明光L10を生成する複数の光源13を含むようにしてもよい。また、各ライン状照明部11を、一方向に延在した中心軸Cを中心に回転する回転軸16の外周面に、外周方向に間隔を空けて配置させてもよい。
【0036】
次に、ステップS12に示すように、光導波路12を配置する。具体的には、一方向に延びた上端面12c及び上端面12cに対向する下端面12dを有する光導波路12であって、照明系集光レンズ14で集光され、上端面12cに入射した照明光L10が下端面12dから出射する光導波路12を配置させる。
【0037】
次に、ステップS13に示すように、照明光L10で撮像対象40を照明する。具体的には、光導波路12から出射した照明光L10で撮像対象40を照明する。照明光L10を、白色LEDから生成された白色光としてもよい。
【0038】
次に、ステップS14に示すように、撮像対象40の画像を取得する。具体的には、照明光L10により照明された撮像対象40からの光を集光し、集光した光を検出して撮像対象40の画像を取得する。バンドパスフィルタを透過した光を検出して画像を取得してもよい。
【0039】
次に、ステップS15に示すように、他の波長の照明光L10でも撮像対象40の画像を取得するか判断する。他の波長の照明光L10でも撮像対象40の画像を取得するYesの場合には、ステップS16に示すように、他のライン状照明部11を配置する。具体的には、回転軸16を中心軸Cの周りに回転させる。そして、他のライン状照明部11から出射する照明光L10が、光導波路12の上端面12cに入射するようにする。そして、ステップS13~S15を繰り返す。
【0040】
一方、ステップS15において、他の波長の照明光L10で撮像対象40の画像を取得しないNoの場合には、処理を終了する。なお、ステップS11~S13は、撮像対象40を照明光L10で照明している。このような観点から、ステップS11~S13を撮像対象40の照明方法ということができる。
【0041】
次に、本実施形態の撮像装置1の効果を説明する。
本実施形態の撮像装置1は、光導波路12を有している。光導波路12は、光導波路12の内部における照明光L10の反射によって、照明光L10を撮像対象40まで導き、撮像対象40の受光量を増加させることができる。
【0042】
図9は、実施形態に係る撮像装置1における照明光L10及び撮像対象40からの光L20を例示した図である。
図10は、光導波路12を使用しない撮像装置における照明光L110及び撮像対象40からの光L120を例示した図である。
図9に示すように、本実施形態の撮像装置1の光導波路12は、光導波路12の内部に入射した照明光L10が外部に拡散することを抑制し、撮像対象40の受光量を増加させることができる。そして、受光センサ22が受光する撮像対象40からの光L20を増加させることができる。
【0043】
これに対して、
図10に示すように、光導波路12を使用しない撮像装置においては、照明光L110は拡散し、撮像対象40の受光量を増加させることができない。そして、受光センサ22が受光する撮像対象40からの光L120を増加させることができない。
【0044】
図10に示すように、光導波路12を使用しない撮像装置では、ライン状照明部11から出射した所定の光束の照明光L110により照明された撮像対象40からの光L120の全てを受光センサ22は受光することができない。撮像対象からの光L120の一部のみ受光センサ22は受光する。
【0045】
一方、
図9に示すように、本実施形態の撮像装置1では、ライン状照明部11から出射した所定の光束の照明光L10により照明された撮像対象40からの光L20全てを受光センサ22は受光することができる。すなわち、
図10に示した結像系集光レンズ21のNAから、外れるはずだった光L120は、本実施形態では、
図9に示すように、光導波路12を透過させることにより、受光センサ22の受光範囲内に光L20を入るようにすることができる。よって、受光センサ22が検出する光量を増加させることができる。
【0046】
図11は、実施形態に係る撮像装置1において、撮像対象40の受光量を例示した図である。
図11において、条件3及び条件4は、本実施形態の場合を示し、条件1及び条件2は、光導波路12を使用しない比較例の場合を示す。
【0047】
条件1は、照明系集光レンズ14をシリンドリカルレンズとし、光導波路12を使用しない比較例の撮像装置において、撮像対象40の受光量をシミュレーションした結果である。条件1の場合の受光量は、(1.01E-04)であり、この値を1とする。
【0048】
条件2は、照明系集光レンズ14をライン状フライアイレンズ14aとし、光導波路12を使用しない比較例の撮像装置において、撮像対象40の受光量をシミュレーションした結果である。条件2の場合の受光量は、(8.11E-05)であり、条件1の場合に対する相対強度比は0.8である。
【0049】
条件3は、照明系集光レンズ14をシリンドリカルレンズとし、光導波路12を使用する実施形態の撮像装置1において、撮像対象40の受光量をシミュレーションした結果である。条件3の場合の受光量は、(1.99E-04)であり、条件1の場合に対する相対強度比は2である。
【0050】
条件4は、照明系集光レンズ14をライン状フライアイレンズ14aとし、光導波路12を使用する実施形態の撮像装置において、撮像対象40の受光量をシミュレーションした結果である。条件4の場合の受光量は、(4.06E-04)であり、条件1の場合に対する相対強度比は4である。
【0051】
このように、照明系集光レンズ14をシリンドリカルレンズとし、光導波路12を使用しない条件1の場合に対して、光導波路12を用いることによって、受光量を2倍にすることができる。また、条件1の場合に対して、照明系集光レンズ14をライン状フライアイレンズ14aとし、光導波路12を用いることによって、受光量を4倍にすることができる。
【0052】
図12は、実施形態に係る撮像装置1において、撮像対象40の画像を取得するスループットを例示した図である。例えば、波長が短い285[nm]の照明光L10により撮像する場合のスループットを示す。撮像対象40の受光量を増加させることにより、撮像に要する時間を短縮し、スループットを向上させさせることができる。スループットは、例えば、1時間当たりのウェハの枚数である。ポラライザ24による偏光無しの場合及び偏光有りの場合のそれぞれにおいて、反射率が異なる撮像対象40を撮像するスループットを示す。
【0053】
図12に示すように、照明系集光レンズ14をシリンドリカルレンズとし、光導波路12を使用しない条件1の比較例の撮像装置においては、偏光無しであって、反射率が10%、25%及び50%のスループットは、それぞれ、1.5、4及び7である。偏光有りであって、反射率が10%、25%及び50%のスループットは、それぞれ、0.7、1.5及び3である。
【0054】
照明系集光レンズ14をシリンドリカルレンズとし、光導波路12を使用する条件3の実施形態の撮像装置1においては、偏光無しであって、反射率が10%、25%及び50%のスループットは、それぞれ、3、8及び14である。偏光有りであって、反射率が10%、25%及び50%のスループットは、それぞれ、1.5、3及び7である。
【0055】
照明系集光レンズ14をライン状フライアイレンズ14aとし、光導波路12を使用する条件4の実施形態の撮像装置1においては、偏光無しであって、反射率が10%、25%及び50%のスループットは、それぞれ、6、16及び29である。偏光有りであって、反射率が10%、25%及び50%のスループットは、それぞれ、3、7及び14である。このように、実施形態に係る撮像装置1においては、スループットを大幅に向上させることができる。
【0056】
本実施形態の撮像装置1では、複数のライン状照明部11を有し、各ライン状照明部11は異なる中心波長の照明光L10を生成する。よって、撮像対象40を、異なる波長の照明光L10で撮像することができる。これにより、パターンを構成する膜厚、線幅及び深さ等と、照明光L10の波長に応じた反射率との関係を得ることができるとともに、最適化された波長で撮像対象を撮像することができる。
【0057】
また、照明光L10を白色光とし、複数のバンドパスフィルタ23を透過した光を検出して画像を取得することにより、多数の波長帯による撮像を可能とすることができる。例えば、ライン状照明部11を8本用意した場合に、7本のライン状照明部11は、単色LEDの光源13を含み、1本のライン状照明部11は、白色LEDの光源13を含むようにする。仮に、8本のライン状照明部11全てが単色LEDの光源13を含む場合には、8種類の波長帯による撮像しか行えない。しかしながら、1本の白色LEDの光源13を含むようにするとともに、複数の異なる波長帯のバンドパスフィルタ23とその切替機構、例えば、レボルバー式バンドパスフィルタ切替機構25を使用することで、それよりも多い波長帯による撮像を可能とすることができる。例えば、11の波長帯による撮像を可能とすることができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態よる限定は受けない。
【符号の説明】
【0059】
1 撮像装置
10 照明光学系
11 ライン状照明部
12 光導波路
12a 上面
12b 下面
12c 上端面
12d 下端面
13 光源
14 照明系集光レンズ
14a ライン状フライアイレンズ
15 レンズ
16 回転軸
20 結像光学系
21 結像系集光レンズ
22、22a、22b、22c 受光センサ
23 バンドパスフィルタ
24 ポラライザ
25 レボルバー式バンドパスフィルタ切替機構
30 ステージ
40 撮像対象
C 中心軸
K 光軸
L10、L110 照明光
L20、L120 光