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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】ボックス固定具
(51)【国際特許分類】
   F16B 5/12 20060101AFI20220401BHJP
   H02G 3/08 20060101ALI20220401BHJP
   F16B 5/00 20060101ALI20220401BHJP
   F16B 2/06 20060101ALI20220401BHJP
   F16B 1/00 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
F16B5/12 H
H02G3/08
F16B5/00 F
F16B2/06 A
F16B1/00 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018219601
(22)【出願日】2018-11-22
(65)【公開番号】P2020085113
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-06-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)平成30年3月29日頒布の、未来工業株式会社のカタログ「電材カタログ 2018-2019」の、第631頁の下段に掲載 (2)平成30年2月8日に、ウェブサイトのアドレス http://www.mirai.co.jp/cgi-bin/kawaraban/list.cgi?id=kawara-d 及びhttp://www.mirai.co.jp/kawara-d/pdf/sin-49.pdfにて、電設新製品(かわら版)の新商品のご案内49号を公開 (3)平成30年5月21日に、ウェブサイトのアドレス http://www.mirai.co.jp/densetu/index.html 及び http://www.mirai.co.jp/densetu/ab_2018/books/images/pdf/00681.pdfにて、カタログ「2018-2019電設資材総合カタログ(電材カタログ2018-2019)」の第631頁の下段を公開 (4)平成30年2月8日に、ウェブサイトのアドレス https://shop.mirai.co.jp/ 及び https://edistorage.blob.core.windows.net/ssz-pdf-container/C/C-CDOL.PDFにて、製品仕様図(PDF)及びCADデータ(DXF)を公開 (5)平成30年7月3日に、佐藤電材有限会社に販売 (6)平成30年9月6日に、新明電材株式会社 世田谷営業所に販売 (7)平成30年9月20日に、サンコー電材株式会社 米子営業所に販売 (8)平成30年10月17日に、昭和電機産業株式会社 諏訪営業所に販売
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079968
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 光司
(72)【発明者】
【氏名】岸 玄二
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-095130(JP,U)
【文献】特開2012-070475(JP,A)
【文献】特開2003-319529(JP,A)
【文献】特開2004-187404(JP,A)
【文献】特開2011-120420(JP,A)
【文献】特開2017-103887(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0297723(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 5/12
H02G 3/08
F16B 5/00
F16B 2/06
F16B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁に一対の貫通孔が形成された有底箱状のボックスを棒状部材に固定するためのボックス固定具であって、
前記棒状部材への固定部を備え、かつ、
ボックス固定具自身を前記底壁の背面に固定すべく、前記一対の貫通孔のうち一の貫通孔に通される螺着部材が螺着される螺着部と、前記一対の貫通孔のうち他の貫通孔に前記底壁の背面側から挿入されてその貫通孔に係合する係止爪とを備え、また、
前記一対の貫通孔としての一対の第1貫通孔と、その一対の第1貫通孔の間隔よりも大きい間隔を成す前記一対の貫通孔としての一対の第2貫通孔とに選択的に対応すべく、前記一対の第1貫通孔のうち他の貫通孔に挿入される前記係止爪としての第1係止爪が設けられるとともに、前記一対の第2貫通孔のうち他の貫通孔に挿入される前記係止爪としての第2係止爪が、前記第1係止爪よりも前記螺着部から離れる側に延びる延設部の先端側に設けられ、
前記第1係止爪と前記第2係止爪とのそれぞれが、前記一対の貫通孔のうち他の貫通孔に挿入される第1位置と前記底壁から控える第2位置とに変位可能である、ボックス固定具。
【請求項2】
前記延設部には、前記第1係止爪の変位を許容する空隙を備えた開口部が形成され、
前記第1係止爪は、その塑性変形により、前記第1位置と前記第2位置とに変位し、
前記第2係止爪は、前記延設部の塑性変形により、前記第1位置と前記第2位置とに前記延設部とともに変位する、請求項1に記載のボックス固定具。
【請求項3】
前記延設部は、前記底壁の背面に沿うことができるように直状に延び、前記第1係止爪は、前記第2位置に位置し、前記第2係止爪は、前記第1位置に位置し、
前記開口部に差し入れられ、前記第1係止爪と、前記第2係止爪または前記開口部の周縁とに宛がわれて、前記第1係止爪が前記第1位置側に、前記第2係止爪が前記第2位置側に向かうよう、回動操作される工具によって、前記第1係止爪が前記第1位置に変位するとともに、前記第2係止爪が前記第2位置に変位する、請求項2に記載のボックス固定具。
【請求項4】
前記棒状部材は、前記底壁の背面に沿うとともに、前記螺着部と前記第1係止爪および前記第2係止爪との、前記底壁の背面に沿った並び方向に対し、交差する方向を向き、
前記固定部は、前記棒状部材の外面を、前記底壁側に押圧する押圧部からなって、その押圧部は、前記螺着部と前記第1係止爪との間に設けられる、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のボックス固定具。
【請求項5】
前記押圧部として、第1押圧部と第2押圧部とが、前記並び方向において、ずれた位置に設けられる、請求項4に記載のボックス固定具。
【請求項6】
前記第1押圧部は、前記並び方向において、前記螺着部と前記第1係止爪との間の中心位置に設けられ、
前記第2押圧部は、前記並び方向において、前記螺着部と前記第2係止爪との間の中心位置に設けられる、請求項5に記載のボックス固定具。
【請求項7】
底壁に一対の貫通孔が形成された有底箱状のボックスを棒状部材に固定するためのボックス固定具であって、
前記棒状部材への固定部を備え、かつ、
ボックス固定具自身を前記底壁の背面に固定すべく、前記一対の貫通孔のうち一の貫通孔に通される螺着部材が螺着される螺着部と、前記一対の貫通孔のうち他の貫通孔に前記底壁の背面側から挿入されてその貫通孔に係合する係止爪とを備え、
前記棒状部材は、前記底壁の背面に沿うとともに、前記螺着部と前記係止爪との、前記底壁の背面に沿った並び方向に対し、交差する方向を向き、
異なる間隔の前記一対の貫通孔に選択的に対応すべく、前記螺着部として、第1螺着部と第2螺着部とが、前記並び方向において、ずれた位置に設けられ、
前記固定部は、前記棒状部材の外面を、前記底壁側に押圧する押圧部からなり、
前記押圧部としての第1押圧部が、前記並び方向において、前記第1螺着部と前記係止爪との間の中心位置に設けられ、前記押圧部としての第2押圧部が、前記並び方向において、前記第2螺着部と前記係止爪との間の中心位置に設けられる、ボックス固定具。
【請求項8】
底壁に一対の貫通孔が形成された有底箱状のボックスを棒状部材に固定するためのボックス固定具であって、
前記棒状部材への固定部を備え、かつ、
ボックス固定具自身を前記底壁の背面に固定すべく、前記一対の貫通孔のうち一の貫通孔に通される螺着部材が螺着される螺着部と、前記一対の貫通孔のうち他の貫通孔に前記底壁の背面側から挿入されてその貫通孔に係合する係止爪とを備え、
前記棒状部材は、前記底壁の背面に沿うとともに、前記螺着部と前記係止爪との、前記底壁の背面に沿った並び方向に対し、交差する方向を向き、
異なる間隔の前記一対の貫通孔に選択的に対応すべく、前記係止爪として、第1係止爪と第2係止爪とが、前記並び方向において、ずれた位置に設けられ、
前記固定部は、前記棒状部材の外面を、前記底壁側に押圧する押圧部からなり、
前記押圧部としての第1押圧部が、前記並び方向において、前記螺着部と前記第1係止爪との間の中心位置に設けられ、前記押圧部としての第2押圧部が、前記並び方向において、前記螺着部と前記第2係止爪との間の中心位置に設けられる、ボックス固定具。
【請求項9】
底壁に一対の貫通孔が形成された有底箱状のボックスを棒状部材に固定するためのボックス固定具であって、
前記棒状部材への固定部を備え、かつ、
ボックス固定具自身を前記底壁の背面に固定すべく、前記一対の貫通孔のうち一の貫通孔に通される螺着部材が螺着される螺着部と、前記一対の貫通孔のうち他の貫通孔に前記底壁の背面側から挿入されてその貫通孔に係合する係止爪とを備え、
前記棒状部材は、前記底壁の背面に沿うとともに、前記螺着部と前記係止爪との、前記底壁の背面に沿った並び方向に対し、交差する方向を向き、
異なる間隔の前記一対の貫通孔に選択的に対応すべく、前記螺着部および/または前記係止爪は、二つ設けられるとともに、その二つは、前記並び方向において、ずれた位置に設けられ、
前記固定部は、前記棒状部材の外面を、前記底壁側に押圧する押圧部からなり、
前記押圧部としての第1押圧部が、前記並び方向において、前記螺着部と前記係止爪のうちの最も近接した螺着部と係止爪との間の中心位置からずれた位置に設けられ、
前記押圧部としての第2押圧部が、前記並び方向において、前記第1押圧部とは異なる位置に設けられる、ボックス固定具。
【請求項10】
底壁に一対の貫通孔が形成された有底箱状のボックスを棒状部材に固定するためのボックス固定具であって、
前記棒状部材への固定部を備え、かつ、
ボックス固定具自身を前記底壁の背面に固定すべく、前記一対の貫通孔のうち一の貫通孔に通される螺着部材が螺着される螺着部と、前記一対の貫通孔のうち他の貫通孔に前記底壁の背面側から挿入されてその貫通孔に係合する係止爪とを備え、
前記棒状部材は、前記底壁の背面に沿うとともに、前記螺着部と前記係止爪との、前記底壁の背面に沿った並び方向に対し、交差する方向を向き、
異なる間隔の前記一対の貫通孔に選択的に対応すべく、前記螺着部として、第1螺着部と第2螺着部とが、前記並び方向において、ずれた位置に設けられるとともに、前記係止爪として、第1係止爪と第2係止爪とが、前記並び方向において、ずれた位置に設けられ、
前記固定部は、前記棒状部材の外面を、前記底壁側に押圧する押圧部からなり、
前記押圧部が、前記並び方向において、前記第1螺着部と前記第1係止爪との間の中心位置にあり、かつ、前記並び方向において、前記第2螺着部と前記第2係止爪との間の中心位置にあるように、前記第1および第2螺着部と、前記第1および第2係止爪とが位置する、ボックス固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、有底箱状のボックスを棒状部材に固定するためのボックス固定具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、配線ボックスを吊りボルト等の棒状部材に固定するためのボックス固定具があった(例えば、特許文献1、2参照)。このボックス固定具は、配線ボックスの底壁に設けられた一対の貫通孔に対し、一方の貫通孔に係合する係合爪と、他方の貫通孔に挿入されたビスが螺合するビス孔とを備えて、それら係合爪とビスとで、配線ボックスに取り付けられた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-70475号公報
【文献】実開平5-95130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、配線ボックス(ボックス)には、一対の貫通孔の間隔が異なるものが存在していた。このため、前記従来のボックス固定具においては、配線ボックス(ボックス)の一対の貫通孔のそれぞれの間隔に対応して、ボックス固定具を複数用意する必要があった。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、一つのボックス固定具で、貫通孔の間隔の異なる二種類のボックスに対応することができる、ボックス固定具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るボックス固定具は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係るボックス固定具は、底壁に一対の貫通孔が形成された有底箱状のボックスを棒状部材に固定するためのボックス固定具である。このボックス固定具は、前記棒状部材への固定部を備える。そして、このボックス固定具は、ボックス固定具自身を前記底壁の背面に固定すべく、前記一対の貫通孔のうち一の貫通孔に通される螺着部材が螺着される螺着部と、前記一対の貫通孔のうち他の貫通孔に前記底壁の背面側から挿入されてその貫通孔に係合する係止爪とを備える。ここで、前記一対の貫通孔としての一対の第1貫通孔と、その一対の第1貫通孔の間隔よりも大きい間隔を成す前記一対の貫通孔としての一対の第2貫通孔とに選択的に対応すべく、前記一対の第1貫通孔のうち他の貫通孔に挿入される前記係止爪としての第1係止爪が設けられるとともに、前記一対の第2貫通孔のうち他の貫通孔に挿入される前記係止爪としての第2係止爪が、前記第1係止爪よりも前記螺着部から離れる側に延びる延設部の先端側に設けられる。そこで、前記第1係止爪と前記第2係止爪とのそれぞれが、前記一対の貫通孔のうち他の貫通孔に挿入される第1位置と前記底壁から控える第2位置とに変位可能である。
【0007】
このボックス固定具によると、ボックス固定具は、固定部を備えており、その固定部によって、棒状部材に固定される。そして、ボックス固定具は、ボックスの底壁に設けられた一対の貫通孔に対応した、螺着部と係止爪とを備えており、それら螺着部と係止爪とで、ボックス固定具自身が、ボックスの底壁の背面に固定される。こうして、ボックスは、固定部と螺着部および係止爪とを備えるボックス固定具を介して、棒状部材に固定される。ここで、係止爪として、第1係止爪と第2係止爪とが設けられる。そこで、ボックスの一対の貫通孔としての一対の第1貫通孔の、一の貫通孔と他の貫通孔に対し、螺着部と第1係止爪とをそれぞれ対応させることで、ボックス固定具をボックスに固定して、そのボックスを棒状部材に固定することができる。そして、別のボックスの、前記一対の第1貫通孔の間隔よりも大きい間隔を成す一対の貫通孔としての一対の第2貫通孔の、一の貫通孔と他の貫通孔に対し、螺着部と第2係止爪とをそれぞれ対応させることで、ボックス固定具を別のボックスに固定して、その別のボックスを棒状部材に固定することができる。ここにおいて、前記第1係止爪と前記第2係止爪とのそれぞれが、一対の貫通孔のうち他の貫通孔に挿入される第1位置と前記底壁から控える第2位置とに変位可能であることから、ボックス固定具をボックスに固定するにあたって、使用しない係止爪をボックスの底壁から控える第2位置に位置させることで、その係止爪が固定の邪魔をすることがない。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係るボックス固定具は、請求項1に記載のボックス固定具において、前記延設部には、前記第1係止爪の変位を許容する空隙を備えた開口部が形成される。そして、前記第1係止爪は、その塑性変形により、前記第1位置と前記第2位置とに変位する。一方、前記第2係止爪は、前記延設部の塑性変形により、前記第1位置と前記第2位置とに前記延設部とともに変位する。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係るボックス固定具は、請求項2に記載のボックス固定具において、前記延設部は、前記底壁の背面に沿うことができるように直状に延び、前記第1係止爪は、前記第2位置に位置し、前記第2係止爪は、前記第1位置に位置する。そこで、前記開口部に差し入れられ、前記第1係止爪と、前記第2係止爪または前記開口部の周縁とに宛がわれて、前記第1係止爪が前記第1位置側に、前記第2係止爪が前記第2位置側に向かうよう、回動操作される工具によって、前記第1係止爪が前記第1位置に変位するとともに、前記第2係止爪が前記第2位置に変位する。
【0010】
また、請求項4に記載の発明に係るボックス固定具は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のボックス固定具において、前記棒状部材は、前記底壁の背面に沿うとともに、前記螺着部と前記第1係止爪および前記第2係止爪との、前記底壁の背面に沿った並び方向に対し、交差する方向を向く。そして、前記固定部は、前記棒状部材の外面を、前記底壁側に押圧する押圧部からなって、その押圧部は、前記螺着部と前記第1係止爪との間に設けられる。
【0011】
また、請求項5に記載の発明に係るボックス固定具は、請求項4に記載のボックス固定具において、前記押圧部として、第1押圧部と第2押圧部とが、前記並び方向において、ずれた位置に設けられる。押圧部として、第1押圧部と第2押圧部とが設けられることで、状況に応じて、第1押圧部と第2押圧部とを使い分けて、棒状部材に対するボックスの位置を変えることができる。
【0012】
また、請求項6に記載の発明に係るボックス固定具は、請求項5に記載のボックス固定具において、前記第1押圧部は、前記並び方向において、前記螺着部と前記第1係止爪との間の中心位置に設けられる。そして、前記第2押圧部は、前記並び方向において、前記螺着部と前記第2係止爪との間の中心位置に設けられる。これにより、第1係止爪を用いる場合には、第1押圧部を用い、第2係止爪を用いる場合には、第2押圧部を用いることで、螺着部と係止爪との中心位置、つまりは、ボックスにおける一対の貫通孔の中心位置に、棒状部材を位置させることができる。
【0013】
また、請求項7に記載の発明に係るボックス固定具は、底壁に一対の貫通孔が形成された有底箱状のボックスを棒状部材に固定するためのボックス固定具である。このボックス固定具は、前記棒状部材への固定部を備える。そして、このボックス固定具は、ボックス固定具自身を前記底壁の背面に固定すべく、前記一対の貫通孔のうち一の貫通孔に通される螺着部材が螺着される螺着部と、前記一対の貫通孔のうち他の貫通孔に前記底壁の背面側から挿入されてその貫通孔に係合する係止爪とを備える。ここにおいて、前記棒状部材は、前記底壁の背面に沿うとともに、前記螺着部と前記係止爪との、前記底壁の背面に沿った並び方向に対し、交差する方向を向く。そして、異なる間隔の前記一対の貫通孔に選択的に対応すべく、前記螺着部として、第1螺着部と第2螺着部とが、前記並び方向において、ずれた位置に設けられる。また、前記固定部は、前記棒状部材の外面を、前記底壁側に押圧する押圧部からなる。そこで、前記押圧部としての第1押圧部が、前記並び方向において、前記第1螺着部と前記係止爪との間の中心位置に設けられ、前記押圧部としての第2押圧部が、前記並び方向において、前記第2螺着部と係止爪との間の中心位置に設けられる。
【0014】
このボックス固定具によると、ボックス固定具は、押圧部からなる固定部を備えており、その固定部によって、棒状部材に固定される。そして、ボックス固定具は、ボックスの底壁に設けられた一対の貫通孔に対応した、螺着部と係止爪とを備えており、それら螺着部と係止爪とで、ボックス固定具自身が、ボックスの底壁の背面に固定される。こうして、ボックスは、固定部と螺着部および係止爪とを備えるボックス固定具を介して、棒状部材に固定される。ここで、螺着部として、第1螺着部と第2螺着部とが設けられている。そこで、ボックスの一対の貫通孔の、一の貫通孔と他の貫通孔に対し、第1螺着部と係止爪とをそれぞれ対応させることで、ボックス固定具をボックスに固定して、そのボックスを棒状部材に固定することができる。そして、別のボックスの、異なる間隔を成す一対の貫通孔の、一の貫通孔と他の貫通孔に対し、第2螺着部と係止爪とをそれぞれ対応させることで、ボックス固定具を別のボックスに固定して、その別のボックスを棒状部材に固定することができる。ここにおいて、押圧部としての第1押圧部が、第1螺着部と係止爪との間の中心位置に設けられ、押圧部としての第2押圧部が、第2螺着部と係止爪との間の中心位置に設けられている。このため、第1螺着部を用いる場合には、第1押圧部を用い、第2螺着部を用いる場合には、第2押圧部を用いることで、螺着部と係止爪との中心位置、つまりは、ボックスにおける一対の貫通孔の中心位置に、棒状部材を位置させることができる。
【0015】
また、請求項8に記載の発明に係るボックス固定具は、底壁に一対の貫通孔が形成された有底箱状のボックスを棒状部材に固定するためのボックス固定具である。このボックス固定具は、前記棒状部材への固定部を備える。そして、このボックス固定具は、ボックス固定具自身を前記底壁の背面に固定すべく、前記一対の貫通孔のうち一の貫通孔に通される螺着部材が螺着される螺着部と、前記一対の貫通孔のうち他の貫通孔に前記底壁の背面側から挿入されてその貫通孔に係合する係止爪とを備える。ここにおいて、前記棒状部材は、前記底壁の背面に沿うとともに、前記螺着部と前記係止爪との、前記底壁の背面に沿った並び方向に対し、交差する方向を向く。そして、異なる間隔の前記一対の貫通孔に選択的に対応すべく、前記係止爪として、第1係止爪と第2係止爪とが、前記並び方向において、ずれた位置に設けられる。また、前記固定部は、前記棒状部材の外面を、前記底壁側に押圧する押圧部からなる。そこで、前記押圧部としての第1押圧部が、前記並び方向において、前記螺着部と前記第1係止爪との間の中心位置に設けられ、前記押圧部としての第2押圧部が、前記並び方向において、前記螺着部と前記第2係止爪との間の中心位置に設けられる。
【0016】
このボックス固定具によると、ボックス固定具は、押圧部からなる固定部を備えており、その固定部によって、棒状部材に固定される。そして、ボックス固定具は、ボックスの底壁に設けられた一対の貫通孔に対応した、螺着部と係止爪とを備えており、それら螺着部と係止爪とで、ボックス固定具自身が、ボックスの底壁の背面に固定される。こうして、ボックスは、固定部と螺着部および係止爪とを備えるボックス固定具を介して、棒状部材に固定される。ここで、係止爪として、第1係止爪と第2係止爪とが設けられている。そこで、ボックスの一対の貫通孔の、一の貫通孔と他の貫通孔に対し、螺着部と第1係止爪とをそれぞれ対応させることで、ボックス固定具をボックスに固定して、そのボックスを棒状部材に固定することができる。そして、別のボックスの、異なる間隔を成す一対の貫通孔の、一の貫通孔と他の貫通孔に対し、螺着部と第2係止爪とをそれぞれ対応させることで、ボックス固定具を別のボックスに固定して、その別のボックスを棒状部材に固定することができる。ここにおいて、押圧部としての第1押圧部が、螺着部と第1係止爪との間の中心位置に設けられ、押圧部としての第2押圧部が、螺着部と第2係止爪との間の中心位置に設けられている。このため、第1係止爪を用いる場合には、第1押圧部を用い、第2係止爪を用いる場合には、第2押圧部を用いることで、螺着部と係止爪との中心位置、つまりは、ボックスにおける一対の貫通孔の中心位置に、棒状部材を位置させることができる。
【0017】
また、請求項9に記載の発明に係るボックス固定具は、底壁に一対の貫通孔が形成された有底箱状のボックスを棒状部材に固定するためのボックス固定具である。このボックス固定具は、前記棒状部材への固定部を備える。そして、このボックス固定具は、ボックス固定具自身を前記底壁の背面に固定すべく、前記一対の貫通孔のうち一の貫通孔に通される螺着部材が螺着される螺着部と、前記一対の貫通孔のうち他の貫通孔に前記底壁の背面側から挿入されてその貫通孔に係合する係止爪とを備える。ここにおいて、前記棒状部材は、前記底壁の背面に沿うとともに、前記螺着部と前記係止爪との、前記底壁の背面に沿った並び方向に対し、交差する方向を向く。そして、異なる間隔の前記一対の貫通孔に選択的に対応すべく、前記螺着部および/または前記係止爪は、二つ設けられるとともに、その二つは、前記並び方向において、ずれた位置に設けられる。また、前記固定部は、前記棒状部材の外面を、前記底壁側に押圧する押圧部からなる。そこで、前記押圧部としての第1押圧部が、前記並び方向において、前記螺着部と前記係止爪のうちの最も近接した螺着部と係止爪との間の中心位置からずれた位置に設けられる。そして、前記押圧部としての第2押圧部が、前記並び方向において、前記第1押圧部とは異なる位置に設けられる。
【0018】
このボックス固定具によると、ボックス固定具は、押圧部からなる固定部を備えており、その固定部によって、棒状部材に固定される。そして、ボックス固定具は、ボックスの底壁に設けられた一対の貫通孔に対応した、螺着部と係止爪とを備えており、それら螺着部と係止爪とで、ボックス固定具自身が、ボックスの底壁の背面に固定される。こうして、ボックスは、固定部と螺着部および係止爪とを備えるボックス固定具を介して、棒状部材に固定される。ここで、螺着部および/または係止爪は、二つ設けられている。そこで、ボックスの異なる間隔の一対の貫通孔の、一の貫通孔と他の貫通孔に対し、螺着部と係止爪とを適宜選択してそれぞれ対応させることで、ボックス固定具をボックスに固定して、そのボックスを棒状部材に固定することができる。そして、押圧部として、第1押圧部と第2押圧部が設けられており、状況に応じて、第1押圧部と第2押圧部とを使い分けて、棒状部材に対するボックスの位置を変えることができる。
【0019】
また、請求項10に記載の発明に係るボックス固定具は、底壁に一対の貫通孔が形成された有底箱状のボックスを棒状部材に固定するためのボックス固定具である。このボックス固定具は、前記棒状部材への固定部を備える。そして、このボックス固定具は、ボックス固定具自身を前記底壁の背面に固定すべく、前記一対の貫通孔のうち一の貫通孔に通される螺着部材が螺着される螺着部と、前記一対の貫通孔のうち他の貫通孔に前記底壁の背面側から挿入されてその貫通孔に係合する係止爪とを備える。ここにおいて、前記棒状部材は、前記底壁の背面に沿うとともに、前記螺着部と前記係止爪との、前記底壁の背面に沿った並び方向に対し、交差する方向を向く。そして、異なる間隔の前記一対の貫通孔に選択的に対応すべく、前記螺着部として、第1螺着部と第2螺着部とが、前記並び方向において、ずれた位置に設けられるとともに、前記係止爪として、第1係止爪と第2係止爪とが、前記並び方向において、ずれた位置に設けられる。また、前記固定部は、前記棒状部材の外面を、前記底壁側に押圧する押圧部からなる。ここで、前記押圧部が、前記並び方向において、前記第1螺着部と前記第1係止爪との間の中心位置にあり、かつ、前記並び方向において、前記第2螺着部と前記第2係止爪との間の中心位置にあるように、前記第1および第2螺着部と、前記第1および第2係止爪とが位置する。
【0020】
このボックス固定具によると、ボックス固定具は、押圧部からなる固定部を備えており、その固定部によって、棒状部材に固定される。そして、ボックス固定具は、ボックスの底壁に設けられた一対の貫通孔に対応した、螺着部と係止爪とを備えており、それら螺着部と係止爪とで、ボックス固定具自身が、ボックスの底壁の背面に固定される。こうして、ボックスは、固定部と螺着部および係止爪とを備えるボックス固定具を介して、棒状部材に固定される。ここで、螺着部として、第1螺着部と第2螺着部とが設けられ、係止爪として、第1係止爪と第2係止爪とが設けられている。そこで、ボックスの異なる間隔の一対の貫通孔の、一の貫通孔と他の貫通孔に対し、螺着部と係止爪とを適宜選択してそれぞれ対応させることで、ボックス固定具をボックスに固定して、そのボックスを棒状部材に固定することができる。ここにおいて、押圧部が、第1螺着部と第1係止爪との間の中心位置にあり、かつ、第2螺着部と第2係止爪との間の中心位置にあるように、第1および第2螺着部と、第1および第2係止爪とが位置する。このため、第1螺着部と第1係止爪とを用いたり、第2螺着部と第2係止爪とを用いたりすることで、螺着部と係止爪との中心位置、つまりは、ボックスにおける一対の貫通孔の中心位置に、棒状部材を位置させることができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明に係るボックス固定具によれば、次の効果がある。
【0022】
請求項1~6、および8に記載されたボックス固定具によれば、螺着部と係止爪において、係止爪を二つ設けて、その二つのうち、いずれか一方を適宜選択して用いることで、一つのボックス固定具で、貫通孔の間隔の異なる二種類のボックスに対応することができる。
【0023】
また、請求項7に記載されたボックス固定具によれば、螺着部と係止爪において、螺着部を二つ設けて、その二つのうち、いずれか一方を適宜選択して用いることで、一つのボックス固定具で、貫通孔の間隔の異なる二種類のボックスに対応することができる。
【0024】
また、請求項9に記載されたボックス固定具によれば、螺着部と係止爪において、螺着部および/または係止爪を二つ設けて、その二つのうち、いずれか一方を適宜選択して用いることで、一つのボックス固定具で、貫通孔の間隔の異なる二種類あるいは二種類以上のボックスに対応することができる。
【0025】
また、請求項10に記載されたボックス固定具によれば、螺着部と係止爪において、螺着部および係止爪を二つ設けて、その二つのうち、いずれか一方を適宜選択して用いることで、一つのボックス固定具で、貫通孔の間隔の異なる二種類以上のボックスに対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】この発明の第一の実施の形態の、ボックス固定具を示す図であって、(a)は、斜め上からの斜視図、(b)は、斜め下からの斜視図である。
図2】同じく、ボックス固定具を示す図であって、(a)は、平面図、(b)は、(a)におけるA-A線による断面図である。
図3】同じく、第1係止爪と第2係止爪とを、工具を用いて変位させる手順を示す断面図である。
図4】同じく、ボックス固定具を用いて、ボックスを棒状部材に固定した状態を示す断面図であって、(a)は、一対の貫通孔の間隔が小であるボックスに適用した例を示し、(b)は、一対の貫通孔の間隔が大であるボックスに適用した例を示す。
図5】この発明の第二の実施の形態の、ボックス固定具を用いて、ボックスを棒状部材に固定した状態を示す断面図であって、図4に相当し、(a)は、一対の貫通孔の間隔が小であるボックスに適用した例を示し、(b)は、一対の貫通孔の間隔が大であるボックスに適用した例を示す。
図6】この発明の第三の実施の形態の、ボックス固定具を用いて、ボックスを棒状部材に固定した状態を示す断面図であって、(a)は、一対の貫通孔の間隔が小であるボックスに適用した例を示し、(b)は、一対の貫通孔の間隔が大であるボックスに適用した例を示す。
図7】この発明の第四の実施の形態の、ボックス固定具を用いて、ボックスを棒状部材に固定した状態を示す断面図であって、(a)は、一対の貫通孔の間隔が小であるボックスに適用した例を示し、(b)は、一対の貫通孔の間隔が大であるボックスに適用した例を示す。
図8】この発明の他の実施の形態の、図1の(a)相当図である。
図9】同じく、図2の(b)相当図である。
図10】この発明のさらに他の実施の形態の、ボックス固定具を用いて、ボックスを棒状部材に固定した状態を示す断面図であって、(a)は、一対の貫通孔の間隔が小であるボックスに適用した例を示し、(b)は、一対の貫通孔の間隔が大であるボックスに適用した例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、この発明に係るボックス固定具を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
図1図4は、本発明の第一の実施の形態を示す。図中符号1は、棒状部材を示し、この棒状部材1は、例えば、吊りボルトとか、コンクリートに埋設される鉄筋とかからなる。2は、有底箱状のボックスを示し、このボックス2は、例えば、配線ボックスとか、配管ボックス、その他のボックスからなり、そのボックス2の底壁2aには、一対の貫通孔2b、2bが形成されている。3は、前記ボックス2を前記棒状部材1に固定するためのボックス固定具を示す。
【0029】
このボックス固定具3は、棒状部材1への固定部4を備える。そして、ボックス固定具3は、ボックス固定具自身をボックス2の底壁2aの背面に固定すべく、底壁2aに形成された一対の貫通孔2b、2bのうち一の貫通孔2bに通される螺着部材11が螺着される螺着部5と、一対の貫通孔2b、2bのうち他の貫通孔2bに底壁2aの背面側から挿入されてその貫通孔2bに係合する係止爪6とを備える。
【0030】
棒状部材1は、ボックス2の底壁2aの背面に沿うとともに、螺着部5と係止爪6(図示実施の形態においては、後述する第1係止爪6aおよび第2係止爪6b)との、ボックス2の底壁2aの背面に沿った並び方向12に対し、交差する方向(図示実施の形態においては、直交する方向)を向く。
【0031】
ここで、ボックス固定具3は、異なる間隔の一対の貫通孔2b、2bに選択的に対応すべく、係止爪6として、第1係止爪6aと第2係止爪6bとが、前記並び方向12において、ずれた位置に設けられる。詳細には、一対の貫通孔2b、2bとしての一対の第1貫通孔201、201と、その一対の第1貫通孔201、201の間隔よりも大きい間隔を成す、一対の貫通孔2b、2bとしての一対の第2貫通孔202、202とに、選択的に対応すべく、前記螺着部5を共通にして、一対の第1貫通孔201、201のうち他の貫通孔201に挿入される前記係止爪6としての第1係止爪6aが設けられるとともに、一対の第2貫通孔202、202のうち他の貫通孔202に挿入される前記係止爪6としての第2係止爪6bが、第1係止爪6aよりも螺着部5から離れる側に延びる延設部7の先端側に設けられる。
【0032】
また、固定部4は、棒状部材1の外面を、ボックス2の底壁2a側に押圧する押圧部4aからなる。そこで、押圧部4aは、螺着部5と第1係止爪6aとの間に設けられる。そして、押圧部4aとして、第1押圧部4bと第2押圧部4cとが、前記並び方向12において、ずれた位置に設けられる。詳細には、押圧部4aとしての第1押圧部4bは、前記並び方向12において、螺着部5と第1係止爪6aとの間の中心位置に設けられ、押圧部4aとしての第2押圧部4cは、前記並び方向12において、螺着部5と第2係止爪6bとの間の中心位置に設けられる。
【0033】
また、ボックス固定具3は、第1係止爪6aと第2係止爪6bとのそれぞれが、前記一対の貫通孔2b、2bのうち他の貫通孔2bに挿入される第1位置と、ボックス2の底壁2aから控える第2位置とに変位可能である。詳細には、延設部7には、第1係止爪6aの変位を許容する空隙を備えた開口部7aが形成されている。そして、第1係止爪6aは、その塑性変形により(例えば、第1係止爪6aの基端部分が塑性変形することで)、前記第1位置(図2の(b)において、二点鎖線で示す)と前記第2位置(図2の(b)において、実線で示す)とに変位する。一方、第2係止爪6bは、延設部7の塑性変形により(例えば、延設部7の基端部分(つまり、延設部7における、第1係止爪6aの基端部分の脇となる箇所であり、開口部7aの螺着部5側の端に並ぶ箇所)が塑性変形することで)、前記第1位置(図2の(b)において、実線で示す)と前記第2位置(図2の(b)において二点鎖線で示す)とに前記延設部7とともに変位する。
【0034】
具体的には、ボックス固定具3は、全体が、例えば金属製の板材からなる。このボックス固定具3は、ボックス2の底壁2aの背面に当接する基板部8と、その基板部8に対向する(詳しくは、基板部8に対向するとともに、その基板部8を通して底壁2aに対向する)対向板部9と、それら基板部8と対向板部9とを一端側で繋ぐ連結板部10とを備えて、略U字状に形成されている。そこで、このボックス固定具3は、連結板部10が撓み変形可能なヒンジとして機能することにより、基板部8に対して対向板部9が接近離反可能となって、棒状部材1は、対向板部9の先端側から、その対向板部9と基板部8との間に受け入れられる。
【0035】
基板部8には、連結板部10に近い側に、前記螺着部材11が通る通孔8aがあけられ、対向板部9には、通孔8aと対向する位置に、前記螺着部5が設けられている。そして、対向板部9に、前記押圧部4a(詳しくは、第1押圧部4bおよび第2押圧部4c)が設けられる。詳細には、基板部8は、底板8bと、その底板8bの連結板部10側において幅方向の両側から対向板部9側に向かって折れ曲がる側板8c、8cとを有する。そして、対向板部9は、天板9aと、その天板9aの幅方向の両側から基板部8側に向かって折れ曲がる側板9b、9bとを有し、その側板9bの先端側に、基板部8側(つまり、ボックス2の底壁2a側)を向くようにして、押圧部4aとしての第1押圧部4bと第2押圧部4cとが、円弧状に窪むように設けられる。そこで、螺着部5に螺着部材11をねじ込むことで、連結板部10がヒンジとなって、対向板部9が、基板部8側(つまりは、ボックス2の底壁2a側)に引き寄せられて、押圧部4aが棒状部材1を押圧する。そして、この押圧により、棒状部材1は、押圧部4aと、基板部8(ひいては、ボックス2の底壁2a)とで挟持される。
【0036】
そして、基板部8の先端から延びるように前記延設部7が設けられる。そこで、その延設部7に、前記開口部7aが設けられ、基板部8の先端から開口部7a側に突出するようにして前記第1係止爪6aが設けられる。そして、前記第2係止爪6bは、延設部7の先端から突出するようにして設けられる。
【0037】
図示実施の形態においては、初期の状態では、延設部7は、ボックス2の底壁2aの背面に沿うことができるように直状に延び、第1係止爪6aは、前記第2位置に位置し、第2係止爪6bは、前記第1位置に位置する(図1と、図2の(a)と、図2の(b)および図3の実線と、図4の(b)参照)。そこで、図3に示すように、開口部7aに差し入れられ、第1係止爪6aと、第2係止爪6bまたは開口部7aの周縁(図示実施の形態においては、開口部7aの周縁)とに宛がわれて、第1係止爪6aが前記第1位置側に、第2係止爪6bが前記第2位置側に向かうよう、回動操作される(詳しくは、図3において、時計回り方向に回動操作される)、棒状部、板状部等を備えた細長の工具13によって、第1係止爪6aが前記第1位置に変位するとともに、第2係止爪6bが第2位置に変位する(図2の(b)および図3の二点鎖線と、図4の(a)参照)。
【0038】
また、係止爪6(第1係止爪6a、第2係止爪6b)は、鉤状に折れ曲がって形成され、その係止爪6は、ボックス2の底壁2aに設けられた貫通孔2bに挿入されて、その先端が、底壁2aの内面に対向(詳しくは、当接)する。
【0039】
次に、第一の実施の形態に示すボックス固定具3の作用効果について説明する。このボックス固定具3によると、ボックス固定具3は、固定部4を備えており、その固定部4によって、棒状部材1に固定される。そして、ボックス固定具3は、ボックス2の底壁2aに設けられた一対の貫通孔2b、2bに対応した、螺着部5と係止爪6とを備えており、それら螺着部5と係止爪6とで、ボックス固定具自身が、ボックス2の底壁2aの背面に固定される。こうして、ボックス2は、固定部4と螺着部5および係止爪6とを備えるボックス固定具3を介して、棒状部材1に固定される。
【0040】
ここで、係止爪6として、第1係止爪6aと第2係止爪6bとが設けられている。そこで、図4の(a)に示すように、ボックス2の一対の貫通孔2b、2bとしての一対の第1貫通孔201、201の、一の貫通孔201と他の貫通孔201に対し、螺着部5と第1係止爪6aとをそれぞれ対応させることで、ボックス固定具3をボックス2に固定して、そのボックス2を棒状部材1に固定することができる。そして、図4の(b)に示すように、別のボックス2の、異なる間隔を成す(図示実施形態においては、一対の第1貫通孔201の間隔よりも大きい間隔を成す)一対の貫通孔2b、2bとしての一対の第2貫通孔202、202の、一の貫通孔202と他の貫通孔202に対し、螺着部5と第2係止爪6bとをそれぞれ対応させることで、ボックス固定具3を別のボックス2に固定して、その別のボックス2を棒状部材1に固定することができる。
【0041】
すなわち、このボックス固定具3によれば、螺着部5と係止爪6において、係止爪6を二つ設けて、その二つのうち、いずれか一方を適宜選択して用いることで、一つのボックス固定具3で、貫通孔2b、2bの間隔の異なる二種類のボックス2に対応することができる。
【0042】
また、固定部4は、棒状部材1の外面を、ボックス2の底壁2a側に押圧する押圧部4aからなっている。この押圧部4aとして、第1押圧部4bと第2押圧部4cとが設けられることで、状況に応じて、第1押圧部4bと第2押圧部4cとを使い分けて、棒状部材1に対するボックス2の位置を変えることができる。特に、第1押圧部4bが、螺着部5と第1係止爪6aとの間の中心位置に設けられ、第2押圧部4cが、螺着部5と第2係止爪6bとの間の中心位置に設けられていることから、第1係止爪6aを用いる場合には、第1押圧部4bを用い、第2係止爪6bを用いる場合には、第2押圧部4cを用いることで、螺着部5と係止爪6(第1係止爪6a、第2係止爪6b)との中心位置、つまりは、ボックス2における一対の貫通孔2b、2b(第1貫通孔201、201、第2貫通孔202、202)の中心位置に、棒状部材1を位置させることができる。
【0043】
また、係止爪6としての、第1係止爪6aと第2係止爪6bとのそれぞれが、一対の貫通孔2b、2bのうち他の貫通孔2bに挿入される第1位置とボックス2の底壁2aから控える第2位置とに変位可能となっている。このため、ボックス固定具3をボックス2に固定するにあたって、使用しない係止爪6をボックス2の底壁2aから控える第2位置に位置させることで、その係止爪6が固定の邪魔をすることがない。
【0044】
図5は、本発明の第二の実施の形態を示す。この実施の形態は、第一の実施の形態とは、ボックス固定具3の形状が異なるが、機能としては同様であり、以下に、同様の部分には同一の符号を付して、異なる部分を主に説明する(図5は、第一の実施の形態の図4に相当する)。
【0045】
ボックス固定具3は、全体が、例えば金属製の板材からなる。このボックス固定具3は、ボックス2の底壁2aの背面に当接する基板部8と、その基板部8から一方側に延設されて、底壁2aに対向する対向板部9とを備える。そこで、対向板部9に、螺着部5と、押圧部4a(固定部4)とが設けられる。詳細には、対向板部9における基板部8寄りの位置に、弧状に湾曲形成された押圧部4a(詳しくは、第1押圧部4bおよび第2押圧部4c)が設けられる。そして、対向板部9の先端側が、ボックス2の底壁2aに近接して延びて、その延びた部分に、螺着部5が設けられる。
【0046】
そして、基板部8から、対向板部9とは反対側に延びるようにして延設部7が設けられる。そこで、その延設部7に、開口部7aが設けられ、基板部8の先端から開口部7a側に突出するようにして係止爪6としての第1係止爪6aが設けられる。そして、係止爪6としての第2係止爪6bは、延設部7の先端から突出するようにして設けられる。
【0047】
この第二の実施の形態に示すボックス固定具3の作用効果は、第一の実施の形態と同様であるが、押圧部4aに関しては、螺着部5に螺着部材11をねじ込むと、対向板部9が、撓むようにして、ボックス2の底壁2a側に引き寄せられて、押圧部4aが棒状部材1を押圧する。そして、この押圧により、棒状部材1は、押圧部4aとボックス2の底壁2aとで挟持される。
【0048】
図6は、本発明の第三の実施の形態を示す。この実施の形態に示すボックス固定具3は、第二の実施の形態とは、螺着部5が二つ設けられ、係止爪6が一つである点が異なるが、他は同様であり、以下に、同様の部分には同一の符号を付して、異なる部分を主に説明する。
【0049】
このボックス固定具3においては、ボックス2における異なる間隔の一対の貫通孔2b、2bに選択的に対応すべく、螺着部5として、第1螺着部5aと第2螺着部5bとが、螺着部5と係止爪6との、ボックス2の底壁2aの背面に沿った並び方向12において、ずれた位置に設けられる。そこで、押圧部4a(固定部4)としての第1押圧部4bが、前記並び方向12において、第1螺着部5aと係止爪6との間の中心位置に設けられ、押圧部4aとしての第2押圧部4cが、前記並び方向12において、第2螺着部5bと係止爪6との間の中心位置に設けられる。
【0050】
この第三の実施の形態に示すボックス固定具3の作用効果は、第一の実施の形態とか、第二の実施の形態と同様であるが、係止爪6が一つであることから、係止爪6は、常に、ボックス2の底壁2aに形成された貫通孔2bに挿入される第1位置にある。そして、螺着部5として、第1螺着部5aと第2螺着部5bとが設けられている。そこで、図6の(a)に示すように、ボックス2の一対の貫通孔2b、2bとしての一対の第1貫通孔201、201の、一の貫通孔201と他の貫通孔201に対し、第1螺着部5aと係止爪6とをそれぞれ対応させることで、ボックス固定具3をボックス2に固定して、そのボックス2を棒状部材1に固定することができる。そして、図6の(b)に示すように、別のボックス2の、異なる間隔を成す一対の貫通孔2b、2bとしての一対の第2貫通孔202、202の、一の貫通孔202と他の貫通孔202に対し、第2螺着部5bと係止爪6とをそれぞれ対応させることで、ボックス固定具3を別のボックス2に固定して、その別のボックス2を棒状部材1に固定することができる。
【0051】
すなわち、このボックス固定具3によれば、螺着部5と係止爪6において、螺着部5を二つ設けて、その二つのうち、いずれか一方を適宜選択して用いることで、一つのボックス固定具3で、貫通孔2b、2bの間隔の異なる二種類のボックス2に対応することができる。
【0052】
また、押圧部4aとして、第1押圧部4bと第2押圧部4cとが設けられることで、状況に応じて、第1押圧部4bと第2押圧部4cとを使い分けて、棒状部材1に対するボックス2の位置を変えることができる。特に、第1押圧部4bが、第1螺着部5aと係止爪6との間の中心位置に設けられ、第2押圧部4cが、第2螺着部5bと係止爪6との間の中心位置に設けられている。このため、第1螺着部5aを用いる場合には、第1押圧部4bを用い、第2螺着部5bを用いる場合には、第2押圧部4cを用いることで、螺着部5(第1螺着部5a、第2螺着部5b)と係止爪6との中心位置、つまりは、ボックス2における一対の貫通孔2b、2bの中心位置に、棒状部材1を位置させることができる。
【0053】
図7は、本発明の第四の実施の形態を示す。この実施の形態に示すボックス固定具3は、第二の実施の形態とは、螺着部5と係止爪6とのそれぞれが、二つ設けられ、押圧部4a(固定部4)が一つでる点が異なるが、他は同様であり、以下に、同様の部分には同一の符号を付して、異なる部分を主に説明する。
【0054】
このボックス固定具3においては、ボックス2における異なる間隔の一対の貫通孔2b、2bに選択的に対応すべく、螺着部5として、第1螺着部5aと第2螺着部5bとが、螺着部5と係止爪6との、ボックス2の底壁2aの背面に沿った並び方向12において、ずれた位置に設けられるとともに、係止爪6として、第1係止爪6aと第2係止爪6bとが、前記並び方向12において、ずれた位置に設けられる。そこで、押圧部4aが、前記並び方向12において、第1螺着部5aと第1係止爪6aとの間の中心位置にあり、かつ、前記並び方向12において、第2螺着部5bと第2係止爪6bとの間の中心位置にあるように、第1および第2螺着部5a、5bと、第1および第2係止爪6a、6bとが位置する。
【0055】
この第四の実施の形態に示すボックス固定具3の作用効果は、第一の実施の形態とか、第二の実施の形態と同様であるが、螺着部5として、第1螺着部5aと第2螺着部5bとが設けられ、係止爪6として、第1係止爪6aと第2係止爪6bとが設けられている。そこで、ボックス2の異なる間隔の一対の貫通孔2b、2bの、一の貫通孔2bと他の貫通孔2bに対し、螺着部5と係止爪6とを適宜選択してそれぞれ対応させることで、ボックス固定具3をボックス2に固定して、そのボックス2を棒状部材1に固定することができる。
【0056】
すなわち、螺着部5と係止爪6において、螺着部5および係止爪6を二つ設けて、その二つのうち、いずれか一方を適宜選択して用いることで、一つのボックス固定具3で、貫通孔2b、2bの間隔の異なる二種類以上のボックス2に対応することができる。
【0057】
また、押圧部4aが、第1螺着部5aと第1係止爪6aとの間の中心位置にあり、かつ、第2螺着部5bと第2係止爪6bとの間の中心位置にあるように、第1および第2螺着部5a、5bと、第1および第2係止爪6a、6bとが位置する。このため、図7の(a)に示すように、ボックス2の一対の貫通孔2b、2bとしての一対の第1貫通孔201、201の、一の貫通孔201と他の貫通孔201に対し、第1螺着部5aと第1係止爪6aを用いたり、図7の(b)に示すように、ボックス2の一対の貫通孔2b、2bとしての一対の第2貫通孔202、202の、一の貫通孔202と他の貫通孔202に対し、第2螺着部5bと第2係止爪6bを用いたりすることで、螺着部5と係止爪6との中心位置、つまりは、ボックス2における一対の貫通孔2b、2bの中心位置に、棒状部材1を位置させることができる。
【0058】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、第1係止爪6aは、その塑性変形により、第1位置と第2位置とに変位し、第2係止爪6bは、延設部7の塑性変形により、第1位置と第2位置とに延設部7とともに変位するが、図8および図9に示すように、第1係止爪6aと第2係止爪6bとの両方が、それらの塑性変形により、第1位置と第2位置とに変位してもよい。そして、これらの図に示す例においては、延設部7は、直状に延びるのではなく、への字状に折れ曲がって延びている。
【0059】
また、第一から第三の実施の形態においては、異なる間隔の一対の貫通孔2b、2bに選択的に対応すべく、螺着部5と係止爪6とのいずれか一方が、二つ設けられているが、これに限らず、螺着部5および/または係止爪6は、二つ設けられるとともに、その二つは、螺着部5と係止爪6との、ボックス2の底壁2aの背面に沿った並び方向12において、ずれた位置に設けられてもよい。そして、この際、押圧部4a(固定部4)としての第1押圧部4bが、前記並び方向12において、螺着部5と係止爪6のうちの最も近接した螺着部5と係止爪6との間の中心位置からずれた位置に設けられ、押圧部4aとしての第2押圧部4cが、前記並び方向12において、第1押圧部4bとは異なる位置に設けられてもよい。
【0060】
このボックス固定具3の作用効果は、第一から第三の実施の形態と同様であるが、螺着部5および/または係止爪6は、二つ設けられている。そこで、ボックス2の異なる間隔の一対の貫通孔2b、2bの、一の貫通孔2bと他の貫通孔2bに対し、螺着部5と係止爪6とを適宜選択してそれぞれ対応させることで、ボックス固定具3をボックス2に固定して、そのボックス2を棒状部材1に固定することができる。そして、押圧部4aとして、第1押圧部4bと第2押圧部4cが設けられており、状況に応じて、第1押圧部4bと第2押圧部4cとを使い分けて、棒状部材1に対するボックス2の位置を変えることができる。すなわち、螺着部5と係止爪6において、螺着部5および/または係止爪6を二つ設けて、その二つのうち、いずれか一方を適宜選択して用いることで、一つのボックス固定具3で、貫通孔2b、2bの間隔の異なる二種類あるいは二種類以上のボックス2に対応することができる。
【0061】
また、一般に、押圧部4a(固定部4)は、二つ設けられなくても、一つであってもよい。すなわち、第二の実施の形態を例に説明すると、図10に示すように、押圧部4aとしての第1押圧部4bと第2押圧部4cのうち、例えば、第1押圧部4bを残し、第2押圧部4cを無くすなどして、押圧部4aを一つとしてもよい(この図10は、第二の実施の形態の図5に相当する)。
【0062】
また、以上に示すように、押圧部4a(固定部4)は、一つでも、二つでもよく、その押圧部4aは、螺着部5と係止爪6との間の中心位置に設けられても、その中心位置からずれた位置に設けられてもよい。
【0063】
また、螺着部5は、雌ねじが形成された孔であっても、螺着部材11をねじ込むことで、雌ねじが形成される孔であってもよく、また、孔の周囲が螺旋状に湾曲したものでも、螺着部材11をねじ込むことで、孔の周囲が螺旋状に湾曲するものでもよく、さらには、孔に固定されたナット、あるいは別体のナットからなってもよい。
【0064】
また、係止爪6は、鉤状に折れ曲がって形成され、ボックス2の底壁2aに設けられた貫通孔2bに挿入されると、その先端が底壁2aの内面に対向するが、鉤状に折れ曲がることなく、単に、貫通孔2bの内周面に係合するのみでもよい。
【0065】
また、係止爪6が二つ設けられる場合、ボックス固定具3は、係止爪6が、ボックス2の底壁2aに設けられた貫通孔2bに挿入される第1位置と、底壁2aから控える第2位置とに変位可能であるが、その変位は、ボックス固定具3をボックス2の底壁2aに固定する前に行ってもよく、また、初期状態では、両方の係止爪6、6を第1位置とし、固定にあたって、ボックス固定具3を底壁2aに押し付けることで、使用しない方の係止爪6が第1位置から第2位置に変位してもよい。
【0066】
また、係止爪6が二つ設けられる場合、ボックス固定具3は、係止爪6が、第1位置と第2位置とに変位可能とならなくとも、両方の係止爪6、6が、第1位置に位置して、使用しない方の係止爪6が、ボックス2の底壁2aからはみ出た位置にあったり、ボックス2にあけられた逃がし孔内に位置したりして、その係止爪6が、ボックス2と干渉しないようにしてもよい。
【0067】
また、押圧部4aとか螺着部5とか係止爪6は、一つであったり、二つであったりするが、それに加えて、さらに、押圧部4aとか螺着部5とか係止爪6が増設されてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 棒状部材
2 ボックス
2a 底壁
2b 貫通孔
201 第1貫通孔
202 第2貫通孔
3 ボックス固定具
4 固定部
4a 押圧部
4b 第1押圧部
4c 第2押圧部
5 螺着部
5a 第1螺着部
5b 第2螺着部
6 係止爪
6a 第1係止爪
6b 第2係止爪
7 延設部
7a 開口部
11 螺着部材
12 並び方向
13 工具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10