IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京東方科技集團股▲ふん▼有限公司の特許一覧

特許7050661有機エレクトロルミネッセンス表示基板及び製造方法、表示パネル、表示装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】有機エレクトロルミネッセンス表示基板及び製造方法、表示パネル、表示装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/02 20060101AFI20220401BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20220401BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20220401BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20220401BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20220401BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20220401BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
H05B33/02
G09F9/00 338
G09F9/30 349Z
G09F9/30 365
H01L27/32
H05B33/10
H05B33/12 B
H05B33/14 A
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2018504674
(86)(22)【出願日】2017-06-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-19
(86)【国際出願番号】 CN2017091189
(87)【国際公開番号】W WO2018099072
(87)【国際公開日】2018-06-07
【審査請求日】2020-06-19
(31)【優先権主張番号】201611091447.X
(32)【優先日】2016-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】樊 星
(72)【発明者】
【氏名】▲ヤン▼ 光
【審査官】横川 美穂
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2015-0019332(KR,A)
【文献】特開2011-065773(JP,A)
【文献】特開2011-060552(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0315290(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/00-33/28
H01L 51/50
H01L 27/32
G09F 9/30
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレイ状に配列した複数の画素を含み、前記画素の各々が第1色光を発光する第1サブ画素と、第2色光を発光する第2サブ画素と、第3色光を発光する第3サブ画素とを含み、前記第1サブ画素、前記第2サブ画素及び前記第3サブ画素の各々が有機エレクトロルミネッセンス素子を含む画素アレイと、
前記画素アレイに被覆され、複数の第1光取り出し層ユニット及び複数の第2光取り出し層ユニットを少なくとも含む光取り出し層であって、前記第1光取り出し層ユニット及び前記第2光取り出し層ユニットは光学特性が互いに異なる光取り出し層と、を含み、
隣接する2つの画素において、前記隣接する2つの画素のうちの一方の第1のサブ画素のカソード発光側は、前記第1光取り出し層ユニットによって完全に覆われ、前記隣接する2つの画素のうちの他方の第1のサブ画素のカソード発光側は、前記第2光取り出し層ユニットによって完全に覆われ、前記隣接する2つの画素のうちの一方の第2サブ画素及び第3サブ画素のカソード発光側は、前記第1光取り出し層ユニットによって少なくとも部分的に覆われ、前記隣接する2つの画素のうちの他方の第2サブ画素及び第3サブ画素のカソード発光側は、前記第2光取り出し層ユニットによって少なくとも部分的に覆われる、有機エレクトロルミネッセンス表示基板。
【請求項2】
前記第1光取り出し層ユニット及び前記第2光取り出し層ユニットは異なる厚さ又は異なる屈折率を有する、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示基板。
【請求項3】
前記第2サブ画素の各々は少なくとも1つの前記第1光取り出し層ユニット及び少なくとも1つの前記第2光取り出し層ユニットにより被覆され、前記第3サブ画素の各々は少なくとも1つの前記第1光取り出し層ユニット及び少なくとも1つの前記第2光取り出し層ユニットにより被覆され、前記第1サブ画素、前記第2サブ画素及び前記第3サブ画素のうちいずれか2つの隣接するサブ画素のカソード発光側の少なくとも一部は同一の前記第1光取り出し層ユニット又は同一の前記第2光取り出し層ユニットにより被覆される、請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示基板。
【請求項4】
並列設置された、複数の第3光取り出し層ユニット及び複数の第4光取り出し層ユニットをさらに含み、前記第3光取り出し層ユニット及び第4光取り出し層ユニットは光学特性が互いに異なり、
前記第2サブ画素の各々のカソード発光側は少なくとも1つの前記第3光取り出し層ユニット及び少なくとも1つの前記第4光取り出し層ユニットにより被覆され、又は隣接する2つの前記第2サブ画素のカソード発光側はそれぞれ少なくとも1つの前記第3光取り出し層ユニット及び少なくとも1つの前記第4光取り出し層ユニットにより被覆される、請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示基板。
【請求項5】
並列設置された、複数の第5光取り出し層ユニット及び複数の第6光取り出し層ユニットをさらに含み、前記第5光取り出し層ユニット及び第6光取り出し層ユニットは光学特性が互いに異なり、
前記第3サブ画素の各々のカソード発光側は少なくとも1つの前記第5光取り出し層ユニット及び少なくとも1つの前記第6光取り出し層ユニットにより被覆され、又は隣接する2つの前記第3サブ画素のカソード発光側はそれぞれ少なくとも1つの前記第5光取り出し層ユニット及び少なくとも1つの前記第6光取り出し層ユニットにより被覆される、請求項に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示基板。
【請求項6】
前記第1光取り出し層ユニット、前記第3光取り出し層ユニット及び前記第5光取り出し層ユニットの光学特性は同じであり、前記第2光取り出し層ユニット、前記第4光取り出し層ユニット及び前記第6光取り出し層ユニットの光学特性は同じである、請求項に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示基板。
【請求項7】
隣接する2つの前記画素のカソード発光側はそれぞれ少なくとも1つの前記第1光取り出し層ユニット及び少なくとも1つの前記第2光取り出し層ユニットにより被覆される、請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示基板。
【請求項8】
前記有機エレクトロルミネッセンス素子はトップエミッション型又は両面発光型である、請求項1からのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示基板。
【請求項9】
請求項1からのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示基板を含む表示パネル。
【請求項10】
請求項1からのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示基板又は請求項に記載の表示パネルを含む表示装置。
【請求項11】
請求項1からのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示基板の製造方法であって、
アレイ状に配列した複数の画素を含み、前記画素の各々は第1色光を発光する第1サブ画素と、第2色光を発光する第2サブ画素と、第3色光を発光する第3サブ画素とを含み、前記第1サブ画素、前記第2サブ画素及び前記第3サブ画素の各々は有機エレクトロルミネッセンス素子を含む画素アレイを形成するステップと、
前記画素アレイに被覆され、複数の第1光取り出し層ユニット及び複数の第2光取り出し層ユニットを少なくとも含む光取り出し層であって、前記第1光取り出し層ユニット及び前記第2光取り出し層ユニットは光学特性が互いに異なる光取り出し層を形成するステップと、を含み、
隣接する2つの画素において、前記隣接する2つの画素のうちの一方の第1のサブ画素のカソード発光側は、前記第1光取り出し層ユニットによって完全に覆われ、前記2つの隣接する画素のうちの他方の第1のサブ画素のカソード発光側は、前記第2光取り出し層ユニットによって完全に覆われ、前記隣接する2つの画素のうちの一方の第2サブ画素及び第3サブ画素のカソード発光側は、前記第1光取り出し層ユニットによって少なくとも部分的に覆われ、前記隣接する2つの画素のうちの他方の第2サブ画素及び第3サブ画素のカソード発光側は、前記第2光取り出し層ユニットによって少なくとも部分的に覆われる、有機エレクトロルミネッセンス表示基板の製造方法。
【請求項12】
前記第1光取り出し層ユニット及び前記第2光取り出し層ユニットは異なる厚さ又は異なる屈折率を有する、請求項11に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示基板の製造方法。
【請求項13】
前記第1光取り出し層ユニット及び前記第2光取り出し層ユニットは第1ユニット層を含み、前記第2光取り出し層ユニットは、第2ユニット層をさらに含み、前記第2ユニット層は、前記第1ユニット層を覆う、請求項11に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示基板の製造方法。
【請求項14】
前記画素アレイは第2色光を発光する第2サブ画素及び第3色光を発光する第3サブ画素をさらに含み、前記第2サブ画素及び各前記第3サブ画素は有機エレクトロルミネッセンス素子を含む、請求項11から13のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示基板の製造方法。
【請求項15】
前記第2サブ画素の各々は少なくとも1つの前記第1光取り出し層ユニット及び少なくとも1つの前記第2光取り出し層ユニットにより被覆され、前記第3サブ画素の各々は少なくとも1つの前記第1光取り出し層ユニット及び少なくとも1つの前記第2光取り出し層ユニットにより被覆され、前記第1サブ画素、前記第2サブ画素及び前記第3サブ画素のうちいずれか2つの隣接するサブ画素のカソード発光側の少なくとも一部は同一の前記第1光取り出し層ユニット又は同一の前記第2光取り出し層ユニットにより被覆される、請求項14に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示基板の製造方法。
【請求項16】
アレイ状に配列した複数の画素を含み、前記画素の各々が第1色光を発光する第1サブ画素と、第2色光を発光する第2サブ画素と、第3色光を発光する第3サブ画素とを含み、前記第1サブ画素、前記第2サブ画素及び前記第3サブ画素の各々が有機エレクトロルミネッセンス素子を含む画素アレイと、
前記画素アレイに被覆され、第1光取り出し層ユニット、第2光取り出し層ユニット、第3光取り出し層ユニット、第4光取り出し層ユニット、第5光取り出し層ユニット及び第6光取り出し層ユニットを含む光取り出し層であって、前記第1光取り出し層ユニット及び前記第2光取り出し層ユニットは光学特性が互いに異なり、前記第3光取り出し層ユニット及び前記第4光取り出し層ユニットは光学特性が互いに異なり、前記第5光取り出し層ユニット及び前記第6光取り出し層ユニットは光学特性が互いに異なる光取り出し層と、を含み、
隣接する2つの画素において、前記隣接する2つの画素のうちの一方の第1のサブ画素のカソード発光側は、前記第1光取り出し層ユニットによってのみ覆われ、前記2つの隣接する画素のうちの他方の第1のサブ画素のカソード発光側は、前記第2光取り出し層ユニットによってのみ覆われ、前記隣接する2つの画素のうちの一方の前記第2サブ画素のカソード発光側は、前記第3光取り出し層ユニットによってのみ覆われ、前記隣接する2つの画素のうちの他方の前記第2サブ画素のカソード発光側は、前記第4光取り出し層ユニットによってのみ覆われ、前記隣接する2つの画素のうちの一方の前記第3サブ画素のカソード発光側は、前記第5光取り出し層ユニットによってのみ覆われ、前記隣接する2つの画素のうちの他方の前記第3サブ画素のカソード発光側は、前記第6光取り出し層ユニットによってのみ覆われる、有機エレクトロルミネッセンス表示基板。
【請求項17】
前記第1光取り出し層ユニット及び前記第2光取り出し層ユニットは異なる厚さ又は異なる屈折率を有し、前記第3光取り出し層ユニット及び前記第4光取り出し層ユニットは異なる厚さ又は異なる屈折率を有し、前記第5光取り出し層ユニット及び前記第6光取り出し層ユニットは異なる厚さ又は異なる屈折率を有する、請求項16に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施例は有機エレクトロルミネッセンス表示基板、表示パネル、表示装置及び有機エレクトロルミネッセンス表示基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自己発光、低電力消耗、高速応答、湾曲可能、高コントラスト、広視野角、超薄性及び低コスト等の利点を有するので、有機エレクトロルミネッセンスデバイスは人々に歓迎されている。有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、アノード、カソード及びそれらの間に設置された有機発光層を含み、アノードがベース基板に近い側に設置されてもよく、カソードがベース基板から離れる側に設置される。
【0003】
光出射方向に応じて、有機エレクトロルミネッセンス素子は、ボトムエミッション型有機エレクトロルミネッセンス素子、トップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス素子及び両面発光型エレクトロルミネッセンス素子に分けられる。ボトムエミッション型有機エレクトロルミネッセンス素子とは、光がベース基板の一側(すなわちアノード発光側)から出射する有機エレクトロルミネッセンス素子を指し、トップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス素子とは、光が素子のトップ(すなわちカソード発光側)から出射する有機エレクトロルミネッセンス素子を指し、両面発光型有機エレクトロルミネッセンス素子とは、光が同時にベース基板の一側及び素子のトップ(すなわちアノード発光側及びカソード発光側)から出射する有機エレクトロルミネッセンス素子を指す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
有機発光材料の蛍光スペクトルが広いため、有機エレクトロルミネッセンス素子に光学的マイクロキャビティを導入して、マイクロキャビティ効果によって発光スペクトルの半値全幅(FWHM)の狭窄化を実現する必要がある。光学的マイクロキャビティの波長に対する強選択作用のため、マイクロキャビティ型有機エレクトロルミネッセンス素子の発光の輝度及び色座標が視野角の変化に伴って変化し、更に表示効果に影響を与える。従って、有機エレクトロルミネッセンス素子の輝度視野角特性及び/又は色度視野角特性の向上は表示分野の急務である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施例は、画素アレイ及び光取り出し層を含む有機エレクトロルミネッセンス表示基板を提供する。画素アレイはアレイ状に配列した複数の画素を含み、前記画素の各々は第1色光を発光する第1サブ画素を含み、前記第1サブ画素の各々は有機エレクトロルミネッセンス素子を含む。前記画素アレイに被覆される光取り出し層は、複数の第1光取り出し層ユニット及び複数の第2光取り出し層ユニットを少なくとも含み、前記第1光取り出し層ユニット及び前記第2光取り出し層ユニットは光学特性が互いに異なる。隣接する2つの前記第1サブ画素のカソード発光側は少なくとも1つの前記第1光取り出し層ユニット及び少なくとも1つの前記第2光取り出し層ユニットにより被覆される。
【0006】
本開示の別の実施例は、上記の有機エレクトロルミネッセンス表示基板を含む表示パネルを提供する。
【0007】
本開示の別の実施例は、上記の表示基板又は表示パネルを含む表示装置を提供する。
【0008】
本開示のさらに別の実施例は、画素アレイの形成及び光取り出し層の形成を含む有機エレクトロルミネッセンス表示基板の製造方法を提供する。画素アレイはアレイ状に配列した複数の画素を含み、前記画素の各々は第1色光を発光する第1サブ画素を含み、前記第1サブ画素の各々は有機エレクトロルミネッセンス素子を含む。前記画素アレイに被覆される光取り出し層は、複数の第1光取り出し層ユニット及び複数の第2光取り出し層ユニットを少なくとも含み、前記第1光取り出し層ユニット及び第2光取り出し層ユニットは前記光学特性が互いに異なる。隣接する2つの前記第1サブ画素のカソード発光側は少なくとも1つの前記第1光取り出し層ユニット及び少なくとも1つの前記第2光取り出し層ユニットにより被覆される。
【0009】
本開示の実施例の技術案をより明瞭に説明するために、以下では実施例又は関連技術の説明に記載の図面を簡単に説明し、勿論、下記図面は本開示の一部の実施例に関するものに過ぎず、本開示を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1(a)】図1(a)は本開示の一実施例に係る有機エレクトロルミネッセンス表示基板の一構造の断面模式図である。
図1(b)】図1(b)は本開示の一実施例に係る有機エレクトロルミネッセンス表示基板の別の構造の断面模式図である。
図1(c)】図1(c)は本開示の一実施例に係る有機エレクトロルミネッセンス表示基板のさらに別の構造の断面模式図である。
図2(a)】図2(a)は光取り出し層ユニットの異なる屈折率が有機エレクトロルミネッセンス素子の視野角に伴う輝度の変化特性に対する影響のランベルト図である。
図2(b)】図2(b)は光取り出し層ユニットの異なる厚さが有機エレクトロルミネッセンス素子の視野角に伴う輝度の変化特性に対する影響のランベルト図である。
図3図3は本開示の一実施例に係る有機エレクトロルミネッセンス表示基板のさらに別の構造の断面模式図である。
図4図4は本開示の一実施例に係る有機エレクトロルミネッセンス表示基板のさらに別の構造の断面模式図である。
図5図5は本開示の一実施例に係る有機エレクトロルミネッセンス表示基板のさらに別の構造の断面模式図である。
図6図6は本開示の一実施例に係る別の有機エレクトロルミネッセンス表示基板の一構造の断面模式図である。
図7図7は人間の目の最小分解能距離を計算する原理図である。
図8図8は本開示の一実施例に係る別の有機エレクトロルミネッセンス表示基板の別の構造の断面模式図である。
図9図9は本開示の一実施例に係る別の有機エレクトロルミネッセンス表示基板のさらに別の構造の断面模式図である。
図10図10は本開示の一実施例に係る別の有機エレクトロルミネッセンス表示基板のさらに別の構造の断面模式図である。
図11図11は本開示の別の実施例に係る表示装置の模式図である。
図12図12は本開示のさらに別の実施例に係る有機エレクトロルミネッセンス表示基板の製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施例の技術案を明確且つ完全に説明する。図面に示されて以下に詳述される非限定的な例示的実施例を参照して、本開示の例示的な実施例とそれらの複数の特徴及び有利な細部をより完全に説明する。なお、図面に示された特徴は必ずしも一定の縮尺ではない。本開示の例示的な実施例を曖昧にしないように、本開示は既知材料、コンポーネント及びプロセス技術の説明を省いている。与えられる例は、本開示の例示的な実施例の実施を理解しやすく、及び当業者が例示的な実施例を実施できることのみを目的とする。したがって、これらの例は本開示の実施例の範囲を制限するものであると理解されるべきではない。
【0012】
特に定義しない限り、本開示で使用される技術用語又は科学用語は、当業者が理解できる一般的な意味を有する。本開示に記載の「第1」、「第2」及び類似する用語は、順序、数量又は重要性を示すものではなく、異なる構成要素を区別するためのものにすぎない。また、本開示の各実施例では、同一又は類似符号は同一又は類似部材を示す。
【0013】
本開示の実施例は、有機エレクトロルミネッセンス表示基板、表示パネル、表示装置及び有機エレクトロルミネッセンス表示基板の製造方法を提供し、該有機エレクトロルミネッセンス表示基板は、光学特性が互いに異なる少なくとも2種の光取り出しユニットを設置することによって、デバイスの輝度視野角特性及び/又は色度視野角特性の改善を実現する。
【0014】
本開示の少なくとも1つの実施例は、画素アレイと光取り出し層を含む有機エレクトロルミネッセンス表示基板を提供する。画素アレイはアレイ状に配列した複数の画素を含み、各画素は第1色光を発光する第1サブ画素を含み、各第1サブ画素は有機エレクトロルミネッセンス素子を含み、画素アレイに被覆される光取り出し層は、例えば並列設置された、複数の第1光取り出し層ユニット及び複数の第2光取り出し層ユニットを少なくとも含み、第1光取り出し層ユニット及び第2光取り出し層ユニットは光学特性が互いに異なり、隣接する2つの前記第1サブ画素のカソード発光側は少なくとも1つの前記第1光取り出し層ユニット及び少なくとも1つの前記第2光取り出し層ユニットにより被覆される。例えば、各第1サブ画素のカソード発光側は少なくとも1つの第1光取り出し層ユニット及び少なくとも1つの第2光取り出し層ユニットにより被覆され、又は隣接する2つの第1サブ画素のカソード発光側はそれぞれ少なくとも1つの第1光取り出し層ユニット及び少なくとも1つの第2光取り出し層ユニットにより被覆される。
【0015】
例えば、本開示の実施例では、隣接する2つの第1サブ画素は、上記隣接する2つの第1サブ画素の間に他の第1サブ画素を含まないことを示し、上記隣接する2つの第1サブ画素が物理的に接触することを限定せず、上記隣接する2つの第1サブ画素の間に第1サブ画素以外のサブ画素を設置できないことも限定しない。例えば、各画素が第1サブ画素のみを含む場合、隣接する2つの第1サブ画素の間に第1サブ画素を含むいずれかのサブ画素を有しなくてもよく、また例えば、各画素が第1サブ画素、第2サブ画素及び第3サブ画素を含む場合、隣接する2つの第1サブ画素の間に第2サブ画素及び/又は第3サブ画素が設置されてもよい。
【0016】
有機エレクトロルミネッセンス素子のカソード発光側に光取り出し層ユニットが被覆された場合、カソード電極付近の表面プラズモンポラリトン(surface plasma polariton)の数が減少し、それで、光のカソード電極付近のエネルギー消耗を減少させ、カソード電極の有効な透過率を増加させる。厚さ及び/又は屈折率が異なる光取り出し層ユニットによって、カソード電極が異なる有効な透過率及び反射率を有し、それで有機エレクトロルミネッセンス素子の視野角に伴う輝度及び色座標(色度)の変化特性に対する変化も異なる。少なくとも2種の光取り出し層ユニットを導入し、該少なくとも2種の光取り出し層ユニットが発光輝度及び色座標に対する平均効果を利用することによって、有機エレクトロルミネッセンス素子及び有機エレクトロルミネッセンス表示基板の輝度視野角及び/又は色度視野角特性の改善を実現することができる。
【0017】
例えば、図1(a)は本開示の一実施例に係る有機エレクトロルミネッセンス表示基板10の一構造の断面模式図である。図1(a)に示すように、該有機エレクトロルミネッセンス表示基板10は画素アレイ100及び光取り出し層200を含む。画素アレイ100はアレイ(1次元又は2次元アレイ)状に配列した複数の画素110を含み、各画素110は第1色光を発光する第1サブ画素120を含み、各第1サブ画素120は有機エレクトロルミネッセンス素子150を含み、該有機エレクトロルミネッセンス素子150はトップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス素子又は両面発光型有機エレクトロルミネッセンス素子であってもよい。例えば、画素110は第1色光を発光する第1サブ画素120のみを含んでもよく、また例えば、実際の応用需要に応じて、画素110は第2色光を発光する第2サブ画素130と第3色光を発光する第3サブ画素140とを含んでもよく、各第2サブ画素130及び各第3サブ画素140は有機エレクトロルミネッセンス素子150を含み、本開示はこれを具体的に限定しない。例えば、光取り出し層200は画素アレイ100に被覆されてもよく、並列設置された複数の第1光取り出し層ユニット211及び複数の第2光取り出し層ユニット212を含んでもよく、例えば、第1光取り出し層ユニット211及び第2光取り出し層ユニット212は同じ厚さを有するが、異なる屈折率を有するようにしてもよい。各第1サブ画素120のカソード発光側は1つの第1光取り出し層ユニット211及び1つの第2光取り出し層ユニット212により被覆される。
【0018】
図1(b)は本開示の一実施例に係る有機エレクトロルミネッセンス表示基板10の別の構造の断面模式図である。図1(b)に示すように、該有機エレクトロルミネッセンス表示基板10と図1(a)に示された有機エレクトロルミネッセンス表示基板10との相違点は、第1光取り出し層ユニット211と第2光取り出し層ユニット212が異なる厚さを有することである。第1光取り出し層ユニット211及び第2光取り出し層ユニット212は同じ材料で製造できるので、図1(b)に示される光取り出し層200の製造プロセスは図1(a)に示された光取り出し層200の製造プロセスより簡単である。
【0019】
図1(c)は本開示の一実施例に係る有機エレクトロルミネッセンス表示基板10のさらに別の構造の断面模式図である。図1(c)に示すように、該有機エレクトロルミネッセンス表示基板10の第1光取り出し層ユニット211及び第2光取り出し層ユニット212は異なる厚さ及び被覆面積を有してもよい。該有機エレクトロルミネッセンス表示基板10と図1(b)に示された有機エレクトロルミネッセンス表示基板10との相違点は、光取り出し層の形成方式が異なることであり、図1(c)に示される第1光取り出し層ユニット211及び第2光取り出し層ユニット212は第1ユニット層241を含み、第2光取り出し層ユニット212は、第1ユニット層241に被覆される第2ユニット層242をさらに含む。
【0020】
例えば、図1(c)に示される第1光取り出し層ユニット211及び第2光取り出し層ユニット212の製造方法としては、先ず画素アレイ100のカソード発光側に一層の第1ユニット層241を形成し、次に第2光取り出し層ユニット212に対応する領域に第2ユニット層242を形成し、更に同一のサブ画素に異なる厚さの第1光取り出し層ユニット211及び第2光取り出し層ユニット212を被覆することを実現するようであってもよい。それにより、第1光取り出し層ユニット211及び第2光取り出し層ユニット212の厚さをより高精度に制御し、且つ第1光取り出し層ユニット211及び第2光取り出し層ユニット212の製造難度をさらに低下させることができる。
【0021】
例えば、本実施例に示される第1光取り出し層ユニット211及び第2光取り出し層ユニット212はファインメタルマスク(Fine Metal Mask)によって形成される。例えば、本実施例に示される第1光取り出し層ユニット211及び第2光取り出し層ユニット212は例えば8-ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq)等の有機材料で製造されてもよく、例えば二酸化チタン(TiO)、酸化マグネシウム(MgO)、フッ化マグネシウム(MgF)、二酸化ケイ素(SiO)等の無機材料で製造されてもよく、又は他の適切な材料で製造されてもよく、形成される光取り出し層ユニットは光を取り出すことができ、それで、デバイスの輝度視野角特性及び/又は色度視野角特性を改善することができる。
【0022】
以下、図2(a)のシミュレーション結果を参照して、屈折率が異なる光取り出し層ユニットが有機エレクトロルミネッセンス素子150の視野角に伴う輝度の変化特性に対する影響、及び少なくとも2つの屈折率が異なる光取り出し層ユニットの設置による図1(a)に示された有機エレクトロルミネッセンス表示基板10の輝度視野角特性の向上の原理を説明する。
【0023】
図2(a)に示されるランベルト図は、光取り出し層ユニット(図でcplにより示される)の屈折率が有機エレクトロルミネッセンス素子150の視野角に伴う赤色発光輝度の変化特性に対する影響を示し、ここで、光取り出し層の厚さが55nm(すなわち、55ナノメートル)である。図2(a)に示すように、光取り出し層ユニットの屈折率が小さい(例えば、n=1.4)場合、有機エレクトロルミネッセンス素子150の零視野角(すなわち正面)時の輝度は比較的に強く、視野角が大きくなると、輝度は迅速に低下し、大視野角での輝度は比較的に弱く、光取り出し層ユニットの屈折率が大きい(例えば、n=2)場合、有機エレクトロルミネッセンス素子150の零視野角(すなわち正面)時の輝度は比較的に弱く、視野角が大きくなると、輝度はゆっくりと低下し、大視野角での輝度は比較的に強い。
【0024】
有機エレクトロルミネッセンス素子150に屈折率が異なる2つの光取り出しユニットを被覆する場合、2つの光取り出しユニットが同一の有機エレクトロルミネッセンス素子150に設置されるので、有機エレクトロルミネッセンス素子150の有効発光輝度は、(第1ユニット層のみを設置した時の発光輝度×第1光取り出し層ユニット211の幅+第2ユニット層のみを設置した発光輝度×第2光取り出し層ユニット211の幅)/(第1光取り出し層ユニット211の幅+第2光取り出し層ユニット212の幅)である。例えば、第1光取り出し層ユニット211及び第2光取り出し層ユニット212の幅が同じである場合、有機エレクトロルミネッセンス素子150の有効発光輝度は上記2つの発光輝度の和の半分である。従って、同一の有機エレクトロルミネッセンス素子150に、小視野角で輝度が高く、大視野角で輝度が低い1つの光取り出しユニットと小視野角で輝度が低く、大視野角で輝度が高い1つの光取り出しユニットを設置する場合、有機エレクトロルミネッセンス素子150の視野角に伴う輝度の変化が遅くなり、それにより有機エレクトロルミネッセンス素子150の輝度視野角特性を改善することができ、更に図1(a)に示された有機エレクトロルミネッセンス表示基板10の輝度視野角特性を改善することができる。
【0025】
以下、表1のシミュレーション結果を参照して、屈折率が異なる光取り出し層ユニットが有機エレクトロルミネッセンス素子150の視野角に伴う赤色発光色座標の変化特性に対する影響、及び屈折率が異なる少なくとも2つの光取り出し層ユニットの設置による図1(a)に示された有機エレクトロルミネッセンス表示基板10の色度視野角特性の改善の原理を説明する。
【0026】
表1は、屈折率が異なる光取り出し層ユニットが有機エレクトロルミネッセンス素子150の視野角に伴う色座標の変化特性に対する影響を示し、CIEx及びCIEyは有機エレクトロルミネッセンス素子150の発光色座標を示し、Δu’Δv’は有機エレクトロルミネッセンス素子150の零視野角に対する色ずれを示す。
【0027】
【表1】
【0028】
表1に示すように、1つのみの光取り出し層ユニットを有機エレクトロルミネッセンス素子150に被覆する場合、大視野角(例えば、60°)での色ずれはいずれも比較的に大きく、屈折率がそれぞれ1.4及び2の2つの光取り出し層ユニットを同一の有機エレクトロルミネッセンス素子150に被覆する場合、大視野角での色ずれは比較的に小さい。従って、同一の有機エレクトロルミネッセンス素子150に2つの屈折率が異なる光取り出し層ユニットを設置することによって、有機エレクトロルミネッセンス素子150の色度視野角特性の改善を実現することができ、更に図1(a)に示された有機エレクトロルミネッセンス表示基板10の色度視野角特性を改善することができる。
【0029】
以下、図2(b)のシミュレーション結果を参照して、厚さが異なる光取り出し層ユニットが有機エレクトロルミネッセンス素子150の視野角に伴う輝度の変化特性に対する影響、及び厚さが異なる少なくとも2つの光取り出し層ユニットの設置による図1(b)及び図1(c)に示された有機エレクトロルミネッセンス表示基板10の輝度視野角特性の向上の原理を説明する。
【0030】
図2(b)に示されるランベルト図は、光取り出し層ユニット(図でcplにより示される)の厚さが有機エレクトロルミネッセンス素子150の視野角に伴う緑色発光輝度の変化特性に対する影響を示し、ここで、光取り出し層の屈折率が1.8である。図2(b)に示すように、光取り出し層ユニットの厚さが45ナノメートルである場合、有機エレクトロルミネッセンス素子150の大視野角での輝度は比較的に弱く、光取り出し層ユニットの厚さが65ナノメートルである場合、有機エレクトロルミネッセンス素子150の大視野角での輝度は比較的に強い。従って、同一の有機エレクトロルミネッセンス素子150に厚さが異なる2つの光取り出し層ユニットを設置することによって、有機エレクトロルミネッセンス素子150の輝度視野角特性の向上を実現することができ、更に図1(b)及び図1(c)に示された有機エレクトロルミネッセンス表示基板10の輝度視野角特性を改善することができる。
【0031】
以下、表2のシミュレーション結果を参照して、厚さが異なる光取り出し層ユニットが有機エレクトロルミネッセンス素子150の視野角に伴う緑色発光色座標の変化特性に対する影響、及び厚さが異なる少なくとも2つの光取り出し層ユニットの設置による図1(b)及び図1(c)に示された有機エレクトロルミネッセンス表示基板10の色度視野角特性の改善の原理を説明する。
【0032】
表2は、厚さが異なる光取り出し層ユニットが有機エレクトロルミネッセンス素子150の視野角に伴う色座標の変化特性に対する影響を示す。
【0033】
【表2】
【0034】
表2に示すように、1つのみの光取り出し層ユニットを有機エレクトロルミネッセンス素子150に被覆する場合、大視野角での色ずれはいずれも比較的に大きく、厚さがそれぞれ45及び60ナノメートルの2つの光取り出し層ユニットを同一の有機エレクトロルミネッセンス素子150に被覆する場合、大視野角での色ずれは比較的に小さい。従って、同一の有機エレクトロルミネッセンス素子150に厚さが異なる2つの光取り出し層ユニットを設置することによって、有機エレクトロルミネッセンス素子150の色度視野角特性の改善を実現することができ、更に図1(b)及び図1(c)に示された有機エレクトロルミネッセンス表示基板10の色度視野角特性を改善することができる。
【0035】
例えば、該有機エレクトロルミネッセンス表示基板10は、第2色光を発光する第2サブ画素130と第3色光を発光する第3サブ画素140とをさらに含み、各第2サブ画素130及び各第3サブ画素140は有機エレクトロルミネッセンス素子150を含む。
【0036】
例えば、図3は本開示の一実施例に係る有機エレクトロルミネッセンス表示基板10のさらに別の構造の断面模式図である。図3に示すように、該有機エレクトロルミネッセンス表示基板10と図1に示された有機エレクトロルミネッセンス表示基板10との相違点は、第1光取り出し層ユニット211及び第2光取り出し層ユニット212が第1サブ画素120のカソード発光側に被覆されるだけでなく、それぞれ隣接する第2サブ画素130及び隣接する第3サブ画素140のカソード発光側に少なくとも部分的に被覆されることである。第1サブ画素120のカソード発光側に屈折率又は厚さが異なる第1光取り出し層ユニット211及び第2光取り出し層ユニット212が被覆されるので、有機エレクトロルミネッセンス表示基板10の第1色光の輝度視野角及び/又は色度視野角特性を向上させることができる。第1光取り出し層ユニット211及び第2光取り出し層ユニット212の幅が増加するので、光取り出し層200の製造難度を低下させることができる。
【0037】
例えば、図4は本開示の一実施例に係る有機エレクトロルミネッセンス表示基板10のさらに別の構造の断面模式図である。図4に示すように、該有機エレクトロルミネッセンス表示基板10と図1に示された有機エレクトロルミネッセンス表示基板10との相違点は、光取り出し層200が並列設置された複数の第3光取り出し層ユニット221及び複数の第4光取り出し層ユニット222をさらに含むことである。第3光取り出し層ユニット221及び第4光取り出し層ユニット222の光学特性は互いに異なり、例えば第3光取り出し層ユニット221及び第4光取り出し層ユニット222は異なる屈折率又は厚さを有する。各第2サブ画素130のカソード発光側は1つの第3光取り出し層ユニット221及び1つの第4光取り出し層ユニット222により被覆される。第2サブ画素130のカソード発光側に1つの第3光取り出し層ユニット221及び1つの第4光取り出し層ユニット222が被覆されるので、有機エレクトロルミネッセンス表示基板10の第2色光の輝度視野角及び/又は色度視野角特性を改善することもできる。
【0038】
例えば、図4に示すように、該有機エレクトロルミネッセンス表示基板10は、並列設置された複数の第5光取り出し層ユニット231及び複数の第6光取り出し層ユニット232を含んでもよい。第5光取り出し層ユニット231及び第6光取り出し層ユニット232の光学特性は互いに異なり、例えば第5光取り出し層ユニット231及び第6光取り出し層ユニット232は異なる屈折率又は厚さを有する。各第3サブ画素140のカソード発光側は1つの第5光取り出し層ユニット231及び1つの第6光取り出し層ユニット232により被覆される。第3サブ画素140のカソード発光側に1つの第5光取り出し層ユニット231及び1つの第6光取り出し層ユニット232が被覆されるので、有機エレクトロルミネッセンス表示基板10の第3色光の輝度視野角及び/又は色度視野角特性を改善することもできる。
【0039】
図4に示された光取り出し層200は第1サブ画素120、第2サブ画素130及び第3サブ画素140のそれぞれに対して光学特性が異なる2つの光取り出しユニットを設置することができ、それにより、第1色光、第2色光及び第3色光の輝度視野角及び/又は色度視野角特性をさらに向上させることができる。
【0040】
例えば、該有機エレクトロルミネッセンス表示基板10のプロセス複雑度を低下させるために、図4に示された第1光取り出し層ユニット、第3光取り出し層ユニット及び第5光取り出し層ユニットの厚さ及び屈折率を同じように設定することができ、また例えば、図4に示された第2光取り出し層ユニット、第4光取り出し層ユニット及び第6光取り出し層ユニットの厚さ及び屈折率を同じように設定することもできる。
【0041】
例えば、第1色光、第2色光及び第3色光の輝度視野角及び/又は色度視野角特性を最大限に向上させるために、図4に示された第1光取り出し層ユニット、第3光取り出し層ユニット及び第5光取り出し層ユニットの厚さ又は/及び屈折率を異なるように設定することができ、第2光取り出し層ユニット、第4光取り出し層ユニット及び第6光取り出し層ユニットの厚さ又は/及び屈折率を異なるように設定することもできる。
【0042】
例えば、図5は本開示の一実施例に係る有機エレクトロルミネッセンス表示基板10のさらに別の構造の断面模式図である。図5に示すように、該有機エレクトロルミネッセンス表示基板10と図1に示された有機エレクトロルミネッセンス表示基板10との相違点は、図5に示される有機エレクトロルミネッセンス表示基板10が第2色光を発光する第2サブ画素130及び第3色光を発光する第3サブ画素140をさらに含み、各第2サブ画素130及び各第3サブ画素140が有機エレクトロルミネッセンス素子150を含むことである。各第2サブ画素130は1つの第1光取り出し層ユニット211及び第2光取り出し層ユニット212により被覆され、各第3サブ画素140は1つの第1光取り出し層ユニット211及び第2光取り出し層ユニット212により被覆され、第1サブ画素120、第2サブ画素130及び第3サブ画素140のうちいずれか2つの隣接するサブ画素のカソード発光側の少なくとも一部は同一の第1光取り出し層ユニット211又は同一の第2光取り出し層ユニット212により被覆され、それにより第1サブ画素120、第2サブ画素130及び第3サブ画素140のそれぞれは光学特性が異なる少なくとも2つの光取り出し層により被覆される。
【0043】
例えば、図5に示される有機エレクトロルミネッセンス表示基板10において、図5の左側の2つの隣接する第1サブ画素120及び第2サブ画素130は同一の第1光取り出し層ユニット211により被覆され、図5の右側の2つの隣接する第1サブ画素120及び第2サブ画素130は同一の第2光取り出し層ユニット212により被覆され、図5の左側の2つの隣接する第1サブ画素120及び第3サブ画素140は同一の第2光取り出し層ユニット212により被覆され、図5の右側の2つの隣接する第1サブ画素120及び第3サブ画素140は同一の第1光取り出し層ユニット211により被覆される。第1サブ画素120、第2サブ画素130及び第3サブ画素140のそれぞれに光学特性が異なる2つの光取り出しユニットが設置されるので、有機エレクトロルミネッセンス表示基板10の第1色光、第2色光及び第3色光のそれぞれの輝度視野角及び/又は色度視野角特性を改善することができる。2つごとのサブ画素が1つの光取り出しユニットを共用するため、光取り出しユニットの幅が増加して、光取り出し層200の製造難度を低下させることができる。
【0044】
例えば、図5に示される光取り出し層は2つの光取り出し層ユニット(第1光取り出し層ユニット及び第2光取り出し層ユニット)が設置されることに制限されず、光学特性が互いに異なるより多くの光取り出しユニットが設置されてもよい。例えば、3つの光取り出し層ユニット(第1光取り出し層ユニット、第2光取り出し層ユニット及び第7光取り出し層ユニット)が設置されてもよく、このとき、2つの隣接する第1サブ画素及び第2サブ画素は同一の第1光取り出し層ユニットにより被覆され、2つの隣接する第1サブ画素及び第3サブ画素は同一の第2光取り出し層ユニットにより被覆され、2つの隣接する第3サブ画素及び第2サブ画素は同一の第7光取り出し層ユニットにより被覆される(図5に未図示)。従って、本願は光取り出し層ユニットの数を限定しない。
【0045】
例えば、図6は本開示の一実施例に係る別の有機エレクトロルミネッセンス表示基板10の一構造の断面模式図である。図6に示すように、該有機エレクトロルミネッセンス表示基板10は画素アレイ100及び光取り出し層200を含む。画素アレイ100はアレイ状に配列した複数の画素110を含み、各画素110は第1色光を発光する第1サブ画素120を含み、各第1サブ画素120は有機エレクトロルミネッセンス素子150を含み、該有機エレクトロルミネッセンス素子150はトップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス素子又は両面発光型有機エレクトロルミネッセンス素子であってもよい。画素アレイ100に被覆される光取り出し層200は、並列設置された、複数の第1光取り出し層ユニット211及び複数の第2光取り出し層ユニット212を含み、第1光取り出し層ユニット211及び第2光取り出し層ユニット212は異なる屈折率又は厚さを有する。隣接する2つの第1サブ画素120のカソード発光側はそれぞれ少なくとも1つの第1光取り出し層ユニット211及び少なくとも1つの第2光取り出し層ユニット212により被覆される。
【0046】
以下、図7を参照して、図6に示された有機エレクトロルミネッセンス表示基板10の輝度視野角特性及び/又は色度視野角特性の改善原理を説明する。点Oは目の瞳孔中心を示し、θは人間の目が識別できる両点の瞳孔中心に対する最小開角(約1´)を示し、Dは人間の目とディスプレイスクリーンとの距離(携帯電話の作動距離が通常25cmである)を示し、Lは人間の目の最小分解能距離(通常0.1mmより大きい)を示す。解像度がQHDである携帯電話は、2つの隣接する同じ色のサブ画素間の距離が0.04mmより小さい(緑色が約0.02mmである)。従って、人間の目は解像度がQHD(フルHD1920*1080解像度の四分の一)の携帯電話の2つの隣接する同じ色のサブ画素を区別できず、同一の発光点により発光された光であると思われる。そのため、図6に示される有機エレクトロルミネッセンス表示基板10は、同一の発光点に光学特性が異なる2つの第1光取り出し層ユニット211と第2光取り出し層ユニット212を設置することに相当し、それにより、第1色光の輝度視野角及び/又は色度視野角特性の改善を実現することができる。
【0047】
例えば、実際の応用需要に応じて、光取り出し層200は、隣接する2つの第1サブ画素120のうちの一方のカソード発光側が1つの第1光取り出し層ユニット211により被覆され、他方のカソード発光側が1つの第2光取り出し層ユニット212により被覆されるように設置されてもよい。この場合も、同一の発光点に光学特性が異なる2つの第1光取り出し層ユニット211及び第2光取り出し層ユニット212を設置することに相当し、それにより、第1色光の輝度視野角及び/又は色度視野角特性をある程度改善することもできる。
【0048】
例えば、該有機エレクトロルミネッセンス表示基板10は、第2色光を発光する第2サブ画素130及び第3色光を発光する第3サブ画素140をさらに含み、各第2サブ画素130及び各第3サブ画素140は有機エレクトロルミネッセンス素子150を含む。
【0049】
例えば、図8は本開示の一実施例に係る別の有機エレクトロルミネッセンス表示基板10の別の構造の断面模式図である。図8に示すように、該有機エレクトロルミネッセンス表示基板10と図6に示された有機エレクトロルミネッセンス表示基板10との相違点は、第1光取り出し層ユニット211及び第2光取り出し層ユニット212が第1サブ画素120のカソード発光側に被覆されるだけでなく、第2サブ画素130及び第3サブ画素140のカソード発光側に少なくとも部分的に被覆されることである。2つの隣接する第1サブ画素120のカソード発光側に屈折率又は厚さが異なる第1光取り出し層ユニット211と第2光取り出し層ユニット212が被覆されるので、有機エレクトロルミネッセンス表示基板10の第1色光の輝度視野角及び/又は色度視野角特性を改善することができる。第1光取り出し層ユニット211及び第2光取り出し層ユニット212の幅が増加するので、光取り出し層200の製造難度を低下させる。
【0050】
例えば、図9は本開示の一実施例に係る別の有機エレクトロルミネッセンス表示基板10のさらに別の構造の断面模式図である。図9に示すように、該有機エレクトロルミネッセンス表示基板10と図6に示された有機エレクトロルミネッセンス表示基板10との相違点は、光取り出し層200が並列設置された複数の第3光取り出し層ユニット221と複数の第4光取り出し層ユニット222をさらに含むことである。第3光取り出し層ユニット221と第4光取り出し層ユニット222の光学特性は互いに異なり、例えば第3光取り出し層ユニット221及び第4光取り出し層ユニット222は異なる屈折率又は厚さを有する。隣接する2つの第2サブ画素130のカソード発光側はそれぞれ1つの第3光取り出し層ユニット221及び1つの第4光取り出し層ユニット222により被覆される。それにより、有機エレクトロルミネッセンス表示基板10の第2色光の輝度視野角及び/又は色度視野角特性を改善することができる。
【0051】
例えば、図9に示すように、該有機エレクトロルミネッセンス表示基板10は、並列設置された複数の第5光取り出し層ユニット231及び複数の第6光取り出し層ユニット232をさらに含んでもよい。第5光取り出し層ユニット231及び第6光取り出し層ユニット232の光学特性は互いに異なり、例えば第5光取り出し層ユニット231及び第6光取り出し層ユニット232は異なる屈折率又は厚さを有する。隣接する2つの第3サブ画素140のカソード発光側はそれぞれ1つの第5光取り出し層ユニット231及び1つの第6光取り出し層ユニット232により被覆される。それにより、有機エレクトロルミネッセンス表示基板10の第3色光の輝度視野角及び/又は色度視野角特性を改善することができる。
【0052】
例えば、図9に示された光取り出し層200は隣接する2つの第1サブ画素120、隣接する2つの第2サブ画素130及び隣接する2つの第3サブ画素140のそれぞれに対して光学特性が異なる2つの光取り出しユニットを設置することができ、それにより、第1色光、第2色光及び第3色光の輝度視野角及び/又は色度視野角特性を最大限に向上させることができる。
【0053】
例えば、図10は本開示の一実施例に係る別の有機エレクトロルミネッセンス表示基板10のさらに別の構造の断面模式図である。図10に示すように、該有機エレクトロルミネッセンス表示基板10と図6に示された有機エレクトロルミネッセンス表示基板10との相違点は、第1光取り出し層ユニット211及び第2光取り出し層ユニット212が第1サブ画素120のカソード発光側に被覆されるだけでなく、第2サブ画素130及び第3サブ画素140のカソード発光側に被覆されることであり、つまり第1光取り出し層ユニット211は1つの画素110(例えば、図10の左側の画素)に被覆され、第2光取り出し層ユニット212は第1光取り出しユニットと隣接する1つの画素110(例えば、図10の右側の画素)に被覆される。隣接する2つの第1サブ画素120、隣接する2つの第2サブ画素130及び隣接する2つの第3サブ画素140のカソード発光側のそれぞれに屈折率又は厚さが異なる第1光取り出し層ユニット211及び第2光取り出し層ユニット212が被覆されるので、有機エレクトロルミネッセンス表示基板10の第1色光、第2色光及び第3色光の輝度視野角及び/又は色度視野角特性を改善する。第1光取り出し層ユニット211及び第2光取り出し層ユニット212の幅が更に増加するので、光取り出し層200の製造難度を更に低下させる。
【0054】
例えば、本開示の別の実施例は、本開示のいずれかの実施例に係る有機エレクトロルミネッセンス表示基板10を含む表示パネルを提供する。例えば、本開示の別の実施例はさらに表示装置を提供し、図11は本開示の別の実施例に係る表示装置20の模式図であり、該表示装置20は、本開示のいずれかの実施例に係る有機エレクトロルミネッセンス表示基板10、又は上記表示パネルを含む。なお、ガラスカバープレート等の表示パネルの他の構成部分、及び表示装置20の他の構成部分はいずれも当業者が理解できるものであり、ここで繰り返し説明せず、本発明を制限するものではない。光学特性が互いに異なる少なくとも2つの光取り出しユニットを設置することによって、有機エレクトロルミネッセンス表示基板、及び該有機エレクトロルミネッセンス表示基板を含む表示パネルと表示装置の輝度視野角特性及び/又は色度視野角特性の改善を実現する。
【0055】
例えば、同一の発明構想に基づき、本開示の実施例はさらに有機エレクトロルミネッセンス表示基板の製造方法を提供する。該有機エレクトロルミネッセンス表示基板の製造方法は、画素アレイの形成及び光取り出し層の形成を含む。画素アレイはアレイ状に配列した複数の画素を含み、各画素は第1色光を発光する第1サブ画素を含み、各第1サブ画素は有機エレクトロルミネッセンス素子を含む。画素アレイに被覆される光取り出し層は、例えば並列設置された、複数の第1光取り出し層ユニット及び複数の第2光取り出し層ユニットを少なくとも含み、第1光取り出し層ユニット及び第2光取り出し層ユニットは光学特性が互いに異なる。隣接する2つの前記第1サブ画素のカソード発光側は少なくとも1つの前記第1光取り出し層ユニット及び少なくとも1つの前記第2光取り出し層ユニットにより被覆され、例えば、各第1サブ画素のカソード発光側は少なくとも1つの第1光取り出し層ユニット及び少なくとも1つの第2光取り出し層ユニットにより被覆され、又は隣接する2つの第1サブ画素のカソード発光側はそれぞれ少なくとも1つの第1光取り出し層ユニット及び少なくとも1つの第2光取り出し層ユニットにより被覆される。
【0056】
例えば、図12は本開示のさらに別の実施例に係る有機エレクトロルミネッセンス表示基板を製造するための製造方法のフローチャートである。図12に示すように、該製造方法は、画素アレイを形成するステップS10と、光取り出し層を形成するステップS20とを含んでもよい。
【0057】
画素アレイ及び光取り出し層の設置形態は前述した有機エレクトロルミネッセンス表示基板の実施例を参照でき、ここで繰り返し説明しない。各第1サブ画素のカソード発光側又は隣接する2つの第1サブ画素のカソード発光側に光学特性が互いに異なる少なくとも2つの光取り出しユニットを形成することによって、有機エレクトロルミネッセンス表示基板の輝度視野角特性及び/又は色度視野角特性の改善を実現する。
【0058】
本開示の実施例は有機エレクトロルミネッセンス表示基板、表示装置及び有機エレクトロルミネッセンス表示基板の製造方法を提供し、該有機エレクトロルミネッセンス表示基板は、光学特性が互いに異なる少なくとも2つの光取り出しユニットを設置することによって、デバイスの輝度視野角特性及び/又は色度視野角特性の改善を実現する。
【0059】
以上では一般的な説明及び実施形態によって、本開示を詳しく説明したが、本開示の実施例に基づき、いくつかの修正や改良を行うことができ、これは当業者にとって明らかである。従って、本開示の精神を逸脱せずに行った修正や改良は、いずれも本開示の保護範囲に属する。本願は2016年12月01日に出願した中国特許出願第201611091447.X号の優先権を主張し、ここで、上記中国特許出願の全内容を援用して本願の一部として組み込む。
【符号の説明】
【0060】
10 有機エレクトロルミネッセンス表示基板
100 画素アレイ
110 画素
120 第1サブ画素
130 第2サブ画素
140 第3サブ画素
150 有機エレクトロルミネッセンス素子
200 光取り出し層
211 第1光取り出し層ユニット
212 第2光取り出し層ユニット
221 第3光取り出し層ユニット
222 第4光取り出し層ユニット
231 第5光取り出し層ユニット
232 第6光取り出し層ユニット
241 第1ユニット層
242 第2ユニット層
図1(a)】
図1(b)】
図1(c)】
図2(a)】
図2(b)】
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12