IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ベシ ネーデルランズ ビー.ヴイ.の特許一覧

特許7050679少なくとも2つの個別制御可能なアクチュエータを有する電子部品封止用のプレス機、アクチュエータセットおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】少なくとも2つの個別制御可能なアクチュエータを有する電子部品封止用のプレス機、アクチュエータセットおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 43/58 20060101AFI20220401BHJP
   B29C 43/36 20060101ALI20220401BHJP
   B29C 43/18 20060101ALI20220401BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
B29C43/58
B29C43/36
B29C43/18
H01L21/56 T
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2018532360
(86)(22)【出願日】2016-12-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-01-17
(86)【国際出願番号】 NL2016050911
(87)【国際公開番号】W WO2017111594
(87)【国際公開日】2017-06-29
【審査請求日】2019-11-21
(31)【優先権主張番号】2016011
(32)【優先日】2015-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513099670
【氏名又は名称】ベシ ネーデルランズ ビー.ヴイ.
【氏名又は名称原語表記】BESI NETHERLANDS B.V.
【住所又は居所原語表記】Ratio 6 NL-6921 RW Duiven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(72)【発明者】
【氏名】ガル,ヴィルヘルムス ヘラルダス ヨゼフ
(72)【発明者】
【氏名】フィエルケンズ,ヘンリクス アントニウス マリア
【審査官】今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-312280(JP,A)
【文献】特開2008-114428(JP,A)
【文献】特開2011-037033(JP,A)
【文献】特開2008-087408(JP,A)
【文献】特開昭64-057724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/58
B29C 43/36
B29C 43/18
H01L 21/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアに搭載された電子部品封止用のプレス機であって、
少なくとも2つの協働する金型部品を支持するために互いに近づいたり離れたりするプレス方向に相対変位可能な少なくとも2つのプレス部品と、
前記少なくとも2つのプレス部品を相対変位させる駆動システムと、
前記少なくとも2つの協働する金型部品が閉じ合わされた状態において、前記少なくとも2つのプレス部品の前記プレス方向の相対変位を、前記プレス部品上の異なる位置において検出することができる複数の変位センサと、
前記駆動システムに接続され、前記駆動システムの駆動を制御するインテリジェント制御装置と、を備え、
前記協働する金型部品のうちの少なくともいずれかは、相手となる前記金型部品と対向する側に前記キャリアに搭載された電子部品を受け入れるために凹設された少なくとも1つの金型キャビティを有し、前記協働する金型部品が閉じ合わされたときに前記金型キャビティを少なくとも部分的に密封するように構成されており、
前記駆動システムは、前記少なくとも2つのプレス部品に、複数の異なる位置において、前記プレス方向の圧力を与えることができる個別制御可能な複数のアクチュエータを備えており、
前記インテリジェント制御装置は、前記複数の変位センサに接続しており、
前記インテリジェント制御装置は、前記少なくとも2つの協働する金型部品が閉じ合わされた状態で前記金型キャビティに封止材料を供給しているときに、前記変位センサによって検出された前記プレス方向の相対変位の検出値に基づいて、前記複数のアクチュエータの駆動を経時的に動的に制御し、前記少なくとも1つのプレス部品に前記駆動システムによって加えられる圧力の分布を変化させて、前記検出された相対変位を抑制することを特徴とするプレス機。
【請求項2】
前記駆動システムは、個別制御可能な前記アクチュエータを少なくとも3つ備えることを特徴とする請求項1に記載のプレス機。
【請求項3】
前記アクチュエータによって加えられる圧力の方向は、前記アクチュエータの変位方向と一致することを特徴とする請求項1または2に記載のプレス機。
【請求項4】
前記個別制御可能なアクチュエータは、圧力シリンダであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のプレス機。
【請求項5】
複数の前記圧力シリンダが単一の前記プレス部品と協働することを特徴とする請求項4に記載のプレス機。
【請求項6】
前記変位センサは、ミクロンの相対変位を感知できることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のプレス機。
【請求項7】
前記変位センサは、検出されるべき位置ではない位置に存在する物体を検出するように構成されていることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載のプレス機。
【請求項8】
前記プレス機は、液状封止材料を前記金型キャビティに供給するように、前記液状封止材料に圧力をかけるための少なくとも1つのプランジャーが設けられた供給手段を備えることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載のプレス機。
【請求項9】
前記少なくとも2つの協働する金型部品が閉じ合わされた状態で前記少なくとも2つの協働する金型部品の間に挟まれて配置され、
前記少なくとも2つの協働する金型部品の解放を容易にする解放手段をさらに備えることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載のプレス機。
【請求項10】
前記解放手段は前記少なくとも2つのプレス部品の前記相対変位の方向に対して実質的に垂直な方向に変位可能であることを特徴とする請求項9に記載のプレス機。
【請求項11】
前記解放手段は、前記金型キャビティに封止材料を供給するための供給路を備えることを特徴とする請求項9に記載のプレス機。
【請求項12】
キャリアに搭載された電子部品を封止材料で封止する封止方法であって、
A)少なくとも2つの金型部品のいずれかに封止用の電子部品を配置するステップと、
B)前記封止用の電子部品が少なくとも1つの金型キャビティに囲まれて前記キャリアが前記少なくとも2つの金型部品の間でクランプされるように、前記少なくとも2つの金型部品を閉鎖力によって互いに相対変位させるステップと、
C)少なくとも1つのプランジャーで液状封止材料に圧力をかけて液体封止材料前記電子部品を囲む前記少なくとも1つの金型キャビティへ送るステップと、
D)封止材料で前記少なくとも1つの金型キャビティを充填するステップと、
E)前記少なくとも1つの金型キャビティ内で前記封止材料を少なくとも部分的に硬化させるステップと、を有し、
前記処理ステップD)が、
D-1)前記金型部品の少なくとも一つの前記閉鎖力の加わる方向における局部的な変位を複数の異なる位置において測定するステップと、
D-2)前記少なくとも2つの金型部品に加えられる前記閉鎖力を制御して、測定された前記金型部品の局部的変位を抑制するステップと、を備える、封止方法。
【請求項13】
少なくとも処理ステップD)およびE)の際に前記少なくとも2つの金型部品に加えられる前記閉鎖力は、測定された前記金型部品の局部的変位に依存して変えられることを特徴とする請求項12に記載の封止方法。
【請求項14】
前記少なくとも2つの金型部品に加えられる前記閉鎖力は、前記金型部品の少なくとも1つと協働する少なくとも2つの個別制御可能なアクチュエータで個別に制御されることによって変えられることを特徴とする請求項12または13に記載の封止方法。
【請求項15】
前記少なくとも2つの金型部品に加えられる前記閉鎖力は、前記金型部品の局部的な変位測定のフィードバックによって少なくとも部分的に制御されることを特徴とする請求項12または13のいずれかに記載の封止方法。
【請求項16】
前記少なくとも2つの金型部品に加えられる前記閉鎖力は、少なくとも1つの検出されたプロセス変数のフィードフォワードによって少なくとも部分的に制御されることを特徴とする請求項12または13に記載の封止方法。
【請求項17】
前記少なくとも2つの金型部品に加えられる前記閉鎖力は、記録された過去のプロセス情報によって少なくとも部分的に制御されることを特徴とする請求項12または13に記載の封止方法。
【請求項18】
ステップB)において前記金型部品の間で前記キャリアをクランプする前に、少なくとも2つの金型部品の前記相対変位の方向に対して実質的に垂直な方向に解放手段を変位させるステップをさらに有し、前記解放手段が、前記解放手段と前記金型部品との間で、前記キャリアをクランプする少なくとも1つの金型キャビティを設けた少なくとも1つの金型部品の接触側の面の部分を形成することを特徴とする請求項12または13に記載の封止方法。
【請求項19】
前記解放手段と前記金型部品との間で前記キャリアをクランプする前に、封止用の前記電子部品が少なくとも1つの金型キャビティによって囲まれて前記キャリアが前記金型部品の間でクランプされるように、少なくとも2つの金型部品が閉鎖力によって互いに相対変位するステップを含む較正ステップをさらに有することを特徴とする請求項18に記載の封止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリアに搭載された電子部品封止用のプレス機に関する。本発明はまた、キャリアに搭載された電子部品の封止方法、および電子部品を封止するプレス機を本発明のプレス機に改造するためのアクチュエータセットに関する。
【背景技術】
【0002】
キャリアに搭載された電子部品の封止材料による封止は、公知技術である。工業的規模においては、そのような電子部品は、通常は充填材料が追加された硬化エポキシによって封止が施される。市場においては、比較的小さな電子部品を大量同時封止するトレンドがある。半導体(チップ、LEDもまたこの観点では半導体とみなされる)は、一般により小さくなりつつあり、電子部品として想定されてもよい。封止材料が用意されて、集合的に封止される電子部品がキャリアの一方側に、時には両側に配置されて、封止(パッケージ)される。封止材料は、しばしばキャリアに接続された平坦な層の形状をとる。キャリアは、リードフレーム、エポキシから部分的に製造された多層キャリア(基板(board)または基板(substrate)などとも呼ばれる)、または実用的なシリコン-、ガラス-、セラミック-キャリア、またはウエハのような別のキャリア構造、または任意の別のキャリア構造から構成されてもよい。
【0003】
キャリアに搭載された電子部品の封止の際には、成形プレス機の2つの金型部品を駆動する封止プレス機の先行技術では、少なくとも1つの金型部品に凹設される1または複数の金型キャビティが用いられる。金型部品の間に封止用の電子部品を有するキャリアをセットした後で、金型部品は、金型部品が接続するために、例えばそれらがキャリアをクランプするように移動するプレス部品によって相互に移動されてもよい。通常は熱せられている液状の封止材料が、その後、通常はトランスファーモールドによって金型キャビティ内に供給される。代替方法として金型部品の閉鎖前に、成形材料が例えば、金型キャビティ内で粒状、またはシート状、または液状でもたらされて、成形される部品が封止材料内に圧入されることも可能である。このような圧縮封止プロセスは、トランスファーモールドの代わりである。封止材料として供給されるのは、通常は充填材料を備えたエポキシ(これはまた樹脂ともよばれる)である。1以上の金型キャビティ内での封止材料の少なくとも部分的な(化学的な)硬化の後で、封止された電子部品を有するキャリアは、封止プレス機から取り出される。その後、封止された製品は、さらなる処理の際に相互に分割されてもよい。封止のこの方法は、大きな工業的規模で実現されており、よく制御された電子部品の封止を可能にしている。封止プロセスおよび引き続く成形された電子部品(成形電子部品)の処理の問題点は、成形製品の正確な寸法の制御が、市場における増大する正確さの要求に対して必ずしも十分ではないことである。さらに、成形プロセスの際にキャリアを損傷するリスクがあることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、先行技術の電子部品封止方法の利点を維持しながら、とりわけ、封止された電子部品(封止電子部品)の寸法のより良い制御をもたらし、および/またはキャリアの損傷のリスクを限定する進歩したプロセス制御を提供する別な方法および装置を提供することを目的とする。本発明はまた、任意の封止材料が供給される前に電子部品をクランプすることによって、露出した電子部品の封止を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこの目的のために、キャリアに搭載された電子部品封止用のプレス機であって、少なくとも2つの協働金型部品を支持するために相対変位可能な少なくとも2つのプレス部品と、プレス部品の相対変位を駆動する駆動システムと、プレス部品の駆動システムに接続されるインテリジェント制御装置と、を備え、前記インテリジェント制御装置は、プレス部品の駆動システムを制御するように構成されており、駆動システムは、プレス部品が相互に圧力を及ぼしているプレス部品の位置におけるプレス部品の少なくとも1つに駆動システムによって加えられる圧力の分布を変化させる(従って、これはプレス部品によって移動される金型部品の閉鎖の後である)ことが可能な少なくとも2つの個別制御可能なアクチュエータを備えている。本発明のプレス機のインテリジェント制御装置は、種々の位置でのプレス部品の相対変位を検出するための複数の変位センサに接続しており、インテリジェント制御装置は、変位センサによって検出された測定値に基づいて駆動システムのアクチュエータを経時的に動的に制御するように構成されている。
【0006】
本発明によるプレス機は、プレス部品の相対的な向きを実質的に維持することを可能にし、従って、プレス部品によって支持される協働金型部品もまた相対的な向きを実質的に維持され、この維持は外部荷重およびプレス部品に加わる(または金型部品に加えられてプレス部品に移される)荷重の分布の変動に対して無関係に可能である。プレス部品が相互に圧力を加えるプレス部品の位置では金型部品は閉鎖位置にある。影響を及ぼす外圧は、少なくとも1つの金型部品の1または複数の金型キャビティ内に供給される(液状)成形材料の供給によるものであってもよい。成形材料の供給の開始の際には、ランナーおよび実質的に金型キャビティ(または複数の金型キャビティ)の一部だけが液状成形材料で充填されるので、これらの位置だけで成形材料が金型部品上に圧力を及ぼす(即ち、プレス部品へ伝達される)。プレス部品上のこの局部的および変動する荷重は、金型部品の(および従って金型部品を支持するプレス部品の)(ミクロンのオーダーで制限される)局部的な変位をもたらし-更なるアクションなしに-形成される成形製品の寸法の同様の不正確さ、およびキャリア上に局部的に増大された圧力を導く。
本発明は、ここで、プレス部品の任意の(限定された)局部的な変位を検出することを可能にし、駆動システムによって加えられる圧力の分布をプレス部品の少なくとも1つで変えることによってこれらの変位を補正/補償することを可能にし、従ってプレス部品(およびプレス部品に取り付けられた金型部品)を最初の(望ましい)相互位置と等しくすることを可能にする。加えて本発明によるプレス機を用いれば、キャリア上のクランプ力は、プレス部品(およびプレス部品に取り付けられた金型部品)の局部的な変位によるキャリアのピーク圧力が避けられる、または少なくとも限定されるので、よりよい制御になる。キャリア上の(最大)圧力のより良い制御の利点は、例えば、実用的なシリコンまたはガラス(または他の弱いキャリアまたはウエハ)のクラックを避け得ることである。また、クランプ力分布の制御を強化することで、プレス部品(および従ってプレス部品に取り付けられた金型部品)の改善された位置制御により、通気孔の計画された寸法が良好に維持されるので、通気(内部キャビティガスを放出すること)のより良い制御を提供する。
加えて、プレス部品の方向の(およびプレス部品に取り付けられた金型部品の方向の)より良い制御によって、金型部品の間からの成形材料のリーク(「にじみ出し(bleed)」または「はみ出し(flash)」)の機会がより少なくなる。本発明は従って、結果として成形製品の寸法をより良く制御し、キャリア損傷の機会減少、よりよいプロセス制御(例えば、適切な放出機能およびにじみ出し/はみ出しの回避)をもたらす。これは、金型部品の少なくとも1つへの成形材料の供給の際のみならず、プレス部品の外部荷重が変化する際にも明らかである。同じ状況は、成形材料の硬化プロセス(または硬化プロセスの一部)の際にも生じる。成形材料の(一部の)硬化の際のプレス部品の相対位置の局部的な変化の同じ補償は、駆動システムによってプレス部品の少なくとも1つに加えられる圧力の分布を、少なくとも2つの個別制御可能なアクチュエータによって変えることによって行われてもよい。
【0007】
プレス機の駆動システムが、例えば1つの駆動シリンダと少なくとも2つのプレスシリンダの組み合わせのように、少なくとも3つの個別制御可能なアクチュエータを備える場合には、プレス部品の二次元での調整が可能になり、成形される電子部品の寸法の制御がさらに向上する。
【0008】
個別制御可能なアクチュエータは、圧力シリンダ、通常は油圧シリンダによって形成されてもよい。しかしながら、代わりに1以上の個別制御可能なアクチュエータが、スピンドル式として実現されてもよい。これらのタイプのアクチュエータは、アクチュエータによって加えられる圧力の方向がアクチュエータの変位方向と一致する限り、成形プロセスにおける圧力要求に適合している。個別制御可能なアクチュエータの位置決めに関しては、アクチュエータによってプレス部品の向きを変えることが可能なように、少なくとも2つの圧力シリンダが偏心した押圧部に接触することが好ましい。アクチュエータは反対側のプレス部品に作用してもよいが、調整および構造上からは、圧力シリンダのような少なくとも3つのアクチュエータが単一のプレス部品と協働するのであれば最も簡単である。代わりのオプションは、単一のプレス部品と協働する4つ以上のアクチュエータを使用することである。
【0009】
成形される電子部品の分野においては、幾何学的な精度およびクランプ力の分布精度の要求が高いので、変位センサは、好ましくはミクロン(μm)の相対変位を感知できる。変位センサはこのような精度を提供してもよく、金型部品の閉鎖中に、例えば検出されるべき位置ではない位置に存在する物体のような、不要なおよび/または予期しない材料を検出するためにUOD(不要な物体検出)と組み合わせることもできる。そのようなセンサのオプションとしては、変位センサとして使用される比較的安価なアナログ誘導近接スイッチ(analog inductive proximity switches)またはアナログ容量近接スイッチがあり、より高価な代替としては、高精度の定規システム(ruler systems)を有する増分近接光学(incremental linear optical)センサまたはホール効果センサの組み込みがある。
【0010】
本発明はこのようなプレス機のみならず、プレス部品が少なくとも2つの金型部品を支持しており、金型部品のうちの少なくとも1つはキャリアに設置された少なくとも1つの電子部品を囲むために接触側の面に凹設された少なくとも1つの金型キャビティを備えており、金型部品の閉鎖位置においてこの金型部品の接触面がキャリア上で媒体密封接触(medium-tight connection)するように少なくとも部分的に金型キャビティを囲むプレス機に関する。金型部品は、また、金型キャビティが設けられた金型部品の接触面に凹設された成形材料用の供給路を含んでもよい。そのような供給路はまた「ランナー」と言われる。
【0011】
金型部品を有するプレス機は、液状封止材料が電子部品を囲む金型キャビティに移動するように、液状封止材料に圧力をかけるための少なくとも1つのプランジャーが設けられた供給手段をさらに備えてもよい。このタイプのプレス機は、「トランスファーモールド」プレス機と呼ばれる。本発明によるプレス機は、先行技術の金型部品を用いてより高い製品仕様に到達してキャリアの損傷の機会を限定することを可能にするので、標準の金型部品に対して改造/調整を必要としない。これにより、製品の正確さとプロセス制御とを向上させるために必要な投資は限定される。
【0012】
金型部品を有するプレス機は、少なくとも1つの金型部品の解放を容易にする解放手段をさらに備え、少なくとも1つの金型部品にはキャリアに配設された少なくとも1つの電子部品を囲むための接触側の面に凹設された少なくとも1つの金型キャビティが設けられている。このような解放手段を使用することにより、接触側の面は、解放手段の接触面および解放手段と協働する少なくとも1つの金型部品の接触面によって形成される。解放手段を提供することによって、キャリアに搭載された電子部品の封止アセンブリから金型キャビティが設けられている金型部品の解放が容易になる。好ましくは、開放手段は、ランナーが設置されている位置の金型部品の真下の接触側の面で協働するように構成される。さらに好ましくは、解放手段は、ランナーが開放手段上で少なくとも1つの金型部品の閉鎖を形成するように、金型キャビティを備える少なくとも1つの金型部品と協働する。代わりに、ランナーは、解放手段内に組み込まれてもよい。即ち、解放手段と協働する少なくとも1つの金型部品は、もはやランナーは備えていない。解放手段は、解放手段に設けられたランナーが、解放手段上の少なくとも1つの金型部品を閉じることによって形成された金型キャビティ内に脱着するように構成されている。
【0013】
解放手段を備えるプレス機は、ランナーの下の金型部品の接触側の面が、金型部品の解放と共に取り外される必要がないので、ランナーを備える金型部品の容易な開放を促進する。ランナーの下の接触側の面の除去は、封止方法を行った後では封止プロセスの後でランナーに残された硬化した成形材料のために、かなり困難である。例えば上型部品のような金型キャビティを設けた金型部品を解放するために、金型アセンブリから解放手段を戻す前に封止された電子部品が実質的に解放されてもよい。
【0014】
代わりに、解放手段は、解放手段が協働する金型部品の解放後に金型アセンブリから取り外されてもよい。好ましくは、解放手段は、プレス部品の相対変位の方向に対して実質的に垂直な方向に変位可能である。このような実施形態においては、解放手段の材料は、ランナー内で硬化した成形材料の一部(および解放手段の表面に部分的に接続する成形材料)が解放手段の取り外しによって金型アセンブリから取り除かれるように選択されたものから作られる。
【0015】
代わりに、解放手段は、プレス部品の相対変位方向に一致する方向に変位可能であってもよい。プレス部品の相対変位方向と同じ方向に変位可能な解放手段を提供することによって電子部品を成形した後で、成形後にランナー内で硬化した成形材料を破壊することによって除去してもよい。
【0016】
本発明は、また、キャリアに搭載された電子部品を封止するプレス機を、上述したような本発明によるプレス機に改造するためのアクチュエータセットを提供する。アクチュエータセットは、プレス部品の少なくとも1つに取り付けられてプレス機のインテリジェント制御装置に接続されるように構成されて、プレス機のプレス部品の少なくとも1つの相対変位を駆動する少なくとも1つのアクチュエータを備える。このようなアクチュエータセットは、単一の駆動部を有する先行技術のプレス機を、本発明による進歩したプレス機に改造することができる。このような改造ユニットは、標準的なプレス機を限定された投資で本発明による進歩したシステムに変えることを可能にする。アクチュエータセットは、また、プレス機のプレス部品の相対変位を種々の位置で検出する変位センサを備えており、前記変位センサは、プレス機のプレス部品に取り付けられてプレス機のインテリジェント制御装置に接続するように構成されている。アクチュエータセットは、変位センサの処理情報を制御することが義務付けられているインテリジェント制御プログラムをさらに備えてもよい。
【0017】
本発明は、また、キャリアに搭載された電子部品を封止材料で封止する封止方法を提供する。この封止方法は、A)金型部品に封止用の電子部品を配置するステップと、B)封止用の電子部品が少なくとも1つの金型キャビティに囲まれてキャリアが金型部品の間でクランプされるように、少なくとも2つの金型部品を閉鎖力によって互いに相対変位させるステップと、C)封止材料が電子部品を囲む少なくとも1つの金型キャビティへ移動されるように少なくとも1つのプランジャーで液状封止材料に圧力をかけるステップと、D)封止材料で金型キャビティを充填するステップと、E)金型キャビティ内で封止材料を少なくとも部分的に硬化させるステップと、を有しており、少なくとも処理ステップD)の際に金型部品の少なくとも1つに及ぼされる圧力の分布は、測定された前記金型部品の局部的変位に依存して変えられる。
【0018】
少なくとも2つ金型部品の相対変位に関して、用語「相対変位」とは少なくとも双方の金型部品の他に対する変位のみならず、1つの金型部品の他の金型部品に対する変位をも含むことを注記しなければならない。
【0019】
少なくとも処理ステップD)およびE)の際に金型部品の少なくとも1つに及ぼされる圧力の分布は、測定された金型部品の局部的変位に依存して変えられてもよい。この方法を用いることにより、1つの(または双方の)金型部品に亘る能動的な圧力分布が、移送軌道の少なくとも一部の間に実現される。成形材料の移送は、金型部品に及ぼされる荷重の変化および金型部品の局部的な相対位置の(限定的な)変化の影響による金型部品に加えられる荷重の分布の変化によって実現される。金型部品の局部的な相対位置におけるこれらの(限定された)変化は、成形製品の寸法における不正確を減少させ、強化されたプロセス制御、および、成形プロセスの際のキャリアの損傷の機会減少に帰結する。本発明による方法の更なる利点は、本発明によるプレス機に関連する上記記載を参照することにより明らかになり、本発明による方法に関連して本明細書に参照として組み込まれる。
【0020】
金型部品の少なくとも1つに及ぼされる圧力の分布は、金型部品の少なくとも1つと協働する、少なくとも2つの、しかし好ましくは少なくとも3つの、個別制御可能なアクチュエータによって個別制御することによって変更されてもよい。複数の制御装置が、金型部品の向きを変化させることを可能にし、向き処理の完全な制御には、少なくとも3つの制御装置を必要とする。金型部品の向きを制御するために、金型部品の少なくとも1つに及ぼされる圧力の分布は、金型部品の測定された局部的変位のフィードバックによって少なくとも部分的に制御されてもよい。さらに、金型部品の少なくとも1つに及ぼされる圧力の分布は、少なくとも1つの検出されたプロセス変数のフィードフォワードによって少なくとも部分的に制御されてもよい。例えば、充填圧力および充填の進行が既知の進路に沿って進行していく場合には、そこで加えられる圧力および圧力分布の変化は、予想される変化が補償されない受動的な状況における金型部品の相対的な向きの変化について客観的な推定が行われる。これらの挙動推定に基づいてフィードフォワードステアリングは、予想されるように変化した相対的な向きを予測することができる。このようなフィードフォワードステアリング用に、金型部品の少なくとも1つに及ぼされる圧力の分布は、記録された過去のプロセス情報によって少なくとも部分的に制御されてもよい。また、制御装置が「自己学習」制御システムになるようにこのようなステアリング(制御)を継続的に適合させてもよい。
【0021】
その上、本発明による封止方法はさらに、ステップB)において金型部品の間でキャリアをクランプする前に、少なくとも2つの金型部品の相対変位の方向に対して実質的に垂直な方向(または代わりに相対変位の方向に一致にする方向)に解放手段を変位させるステップを有し、解放手段が解放手段と金型部品との間で前記キャリアをクランプする少なくとも1つの金型キャビティを設けた少なくとも1つの金型部品の接触側の面の部分を形成する。解放手段を用いることにより、解放手段は解放手段が協働する金型部品の有効なクランプ力を低減することを注記しなければならない。従って、本発明の方法は、解放手段と金型部品との間でキャリアをクランプする前に、さらに較正ステップを有してもよい。このような較正ステップは、封止用の電子部品が少なくとも1つの金型キャビティで囲まれてキャリアが金型部品でクランプされるように、少なくとも2つの金型部品が閉鎖力によって互いに相対変位するステップを有する。このような較正ステップを含むことによって、基準圧力が解放手段を使用することなく測定されてもよい。クランプ力の基準測定は、少なくとも2つの金型部品相互の相対変位によって行われる。解放手段の使用中に測定されたクランプ力は、基準測定の際に測定されたクランプ力と比較される。キャリア上に加えられる実際のクランプ力は、アクチュエータを個別制御することによって補正される。
【0022】
本発明は、以下の図面に示す例示的な実施形態に基づいてさらに明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明による電子部品封止用プレス機の概略図である。
図2A】金型部品が開かれている封止前の状態における、電子部品を有するキャリアおよび一対の金型部品の概略側面図である。
図2B図2Aに示す電子部品を有するキャリアおよび一対の金型部品であるが、金型部品が閉じられており、封止前の状態を示す側面図である。
図2C図2Aおよび2Bに示す電子部品を有するキャリアおよび一対の金型部品であるが、金型部品が閉じられており、先行技術による封止の際の状態を示す側面図である。
図2D図2Aおよび2Bに示す電子部品を有するキャリアおよび一対の金型部品であるが、金型部品が閉じられており、本発明による封止の際の状態を示す側面図である。
図2E図2Bに示す状態であるが、1対の金型部品および異なる寸法の電子部品を有するキャリアであり、ここでも金型部品が閉じられており封止前の状態を示す側面図である。
図2F図2Eに示す電子部品を有するキャリアおよび一対の金型部品であるが、金型部品が閉じられており、本発明による封止の際の状態を示す側面図である。
図3】成形材料で部分的に充填された金型キャビティを有する金型部品の上面図である。
図4A】電子部品を有するキャリアおよび一対の金型部品の、金型部品が開かれており、封止前の状態における側面図である。
図4B図4Aに示す電子部品を有するキャリアおよび一対の金型部品の、金型部品が閉じられており、封止前の状態における側面図である。
図5A】電子部品を有するキャリアおよび一対の金型部品の、金型部品が開かれており、封止前の状態における側面図である。
図5B図5Aに示す電子部品を有するキャリアおよび一対の金型部品の、金型部品が閉じられており、封止前の状態における側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は電子部品封止用のプレス機1を示す。プレス機は矢印P1に従って相互に移動可能な2つのプレス部品3、4を保持するフレーム2を備える。プレス機1は、主駆動シリンダ5、すなわち第1アクチュエータを備えており、これは流体ポンプシステム6によって制御される。プレス部品3、4は(図示しない)2つの協働する金型部品を支持するのに適している。プレス機はまた、プレス部品3、4の位置(ここでは、プレス部品3、4の位置は左右である)が種々の位置でプレス部品3、4の相対変位を検出するための2つの変位センサ7、8を含んでいる。変位センサ7、8は、操作者制御盤10の一部でありうるインテリジェント制御装置9に接続されている。変位センサ7、8から提供される情報は、インテリジェント制御装置9で処理されて、流体ポンプシステム6を制御してもよい。本発明においては、2つの追加的な個別制御可能なプレスシリンダ11、12、すなわち、第2および第3のアクチュエータがあるが、それらの変位は個別に制御される(すなわち、主駆動シリンダ5から独立しており、および互いに独立している)ように制御線13を介して流体ポンプシステム6によって動力を供給される(制御される)。これによって、下部プレス部品4上に加えられる圧力(荷重)の分布に影響を与え、従って下部プレス部品4の方向に影響を与える機会を提供する。
【0025】
図2Aは、一対の金型部品20、21の概略側面図である。上型部品21には、キャリア25上に設置された電子部品24を少なくとも囲むための上型部品21の接触側の面23内に金型キャビティ22が凹設されている。上型部品21においてはまた、金型キャビティ22に(この図には見えない)成形材料を供給するための供給路26が凹設されている。金型キャビティ22は、キャリア25上に接続するように設計された接触側の面23によって取り囲まれており、この接触側の面23には、放出開口27が成形プロセスの際に金型キャビティ22からガスが放出されることを許容するように設けられている。矢印P2に従って、金型部品20、21が図2Bに示すように相互に閉められる。
【0026】
図2Bにおいては、金型キャビティ22内に成形材料が供給される前に、型絞めが下型部品20上のキャリア25に接触する上型部品21に行われる。放出開口27は、キャリア25と上型部品21との間の小さなガス出口を自由にしておく。金型部品20、21が閉じられると、キャリア25上の損傷を防ぐために金型部品20、21を支持するプレスからクランプ力を制限する。この状況で、成形材料がランナー26を介してP3に従って金型キャビティ22に充填されるように準備される。
【0027】
図2Cにおいては、成形材料28が、先行技術に従って金型キャビティ22内に供給される。(この図2Cに誇張されている)起こり得る影響は、成形材料28が局部的に(ここでは左側に)上型部品21上に圧力(矢印P4参照)を加えて、この局部圧力(P4 )が上型部品21を傾ける(下型部品20に対する変位)。このような金型部品20、21の相対変位の欠点は、とりわけ、成形材料28が上型部品21の接触側の面23とキャリアとの間から漏出し得ること(漏出/ブリード/フラッシュ30を参照)のみならず、出来上がった成形電子部品が望ましくない形状を有すること(ここでは成形材料28のハウジング「パッケージ」に傾斜を残している)ことである。図2Cに示すような状況の更なる欠点は、上型部品21が局部的にキャリア25内に圧入され(図の右側の眺めを参照)、キャリア25が損傷を受け、また、放出開口27のガス放出能力に悪影響を与えうる(またはガス放出を完全に阻害するようにさえする)ことである。
【0028】
図2Dにおいても成形材料28が金型キャビティ22内に供給されるが、これは本発明による状況である。上型部品21は、2つの個別制御可能なアクチュエータ32、33(ここでは、図1に示すシリンダクチュエータの代わりにスピンドルアクチュエータである)によって駆動されるプレス部品31に取り付けられている。成形材料28によって加えられる圧力(矢印P4を参照)を相殺するために、左側のアクチュエータ32によって加えられる圧力(矢印P5を参照)は、右側のアクチュエータ33によって加えられる圧力(矢印P6を参照)よりも大きい。アクチュエータ32、33による成形材料28の供給の際の本発明による異なる圧力分散は、図2Cに示すような種々の欠点を防ぐ。成形電子部品24の寸法は、より良く制御されており、ここではキャリア25の損傷の機会はほとんどなく、放出開口27は適切に機能する。
【0029】
図2Eは電子部品24を有するキャリア25をクランプしている金型部品20、21を示す。ここで、電子部品24は上型部品21の金型キャビティ22の内側に非常に高精度に接触している。示された状況においては、キャリア25および電子部品24の損傷を避けるためにクランプ力を制限しながら金型部品20、21が閉じられる。
【0030】
図2Fにおいては、本発明に従って図2Eに示すように、電子部品を保持する金型キャビティ22内に成形材料28が供給される。電子部品24の上面は、成形プロセスの後で「露出された」電子部品24が維持されるように、成形材料28で覆われない。上型部品21は、図2Dに示すようにプレス部品31取り付けられており、図2Dに関連してすでに述べたように2つの個別制御可能なアクチュエータ32、33によって駆動される。また、ここでは、成形材料28によって加えられる圧力(矢印P4を参照)は、右側のアクチュエータ33によって加えられる圧力(矢印P6を参照)より大きい左側のアクチュエータ32によって加えられる圧力(矢印P5を参照)によって相殺される。成形電子部品24の寸法および露出表面は、よく制御されており、キャリア25または電子部品24が損傷する機会は限定されており、放出開口27は適切に機能する。
【0031】
図3は、成形材料42で部分的に充填された金型キャビティ41を有する金型部品40の上面図を示す。(液体の)成形材料42はプランジャー43によって金型キャビティ41に供給される。金型キャビティ41は、ここでは例えばウエハタイプのキャリアの成形用に円形で示される。また、3つの個別制御可能なアクチュエータ44、45、46が金型キャビティ41が位置している金型部品40の反対側に配置されていることを破線で示す。個別制御可能なアクチュエータ44、45、46の位置は、3つのアクチュエータ44、45、46が(成形材料42の流れ方向における長さ方向および幅方向の)2次元において、(金型部品40の)表面の高さを完全に同じにすることができるように金型部品40の向きを完全に制御可能である。
【0032】
図4Aおよび4Bは、本発明の更なる実施形態を示す。図4Aは、一対の金型部品20、21の概略的な側面図である。上型部品21は、キャリア25に設置された電子部品24を少なくとも囲むために金型キャビティ22を備えている。上型部品21内においては、金型キャビティ22に(図示しない)成形材料を供給するための供給路26が凹設されている。図2Aに示す実施形態とは異なり、図4Aの成形装置は、封止電子部品24から上型部品21の解放を容易にするための解放手段47を上型部品21にさらに備えている。解放手段47は矢印P7 に従って変位可能ある。この解放手段47は、金型部品20、21の変位から独立的に変位させることができる。図2Aに記載された実施形態と同様に、金型部品20、21は矢印P2 に従って相互に閉じられる。最終的には金型部品20、21が閉じられるが、好ましくは金型部品20、21が閉じられる前に、解放手段47が図4Bの閉じられた金型部品アセンブリを形成するように、金型部品20、21と列をなして配置される。
【0033】
図4Bにおいて、金型キャビティ22は、図2Bに示すように接触側の面23によって囲まれており、解放手段47はこの(接触側の面の)一部を形成する。ここで、接触側の面23がキャリア25上に接触するように設計されており、さらにこの接触側の面23において放出開口27が成形プロセスの際にガスを金型キャビティ22から放出することを許容するように設計されている。加えて、型閉めは、成形材料が金型キャビティ22に供給される前までに、キャリア25上に接触する上型部品21および下型部品20上の解放手段47によって起動される。放出開口27は、キャリア25と上型部品21との間で小さなガス出口を自由にしておく。金型部品20、21が閉じられると、ここで、キャリア25の損傷を避けるために金型部品20、21を支持するプレスから制限されたクランプ力が生じ、P3に従って、成形材料がランナー26を経由して金型キャビティ22を充填する状況が準備される。
【0034】
成形材料で金型キャビティ22を充填した後で、上型部品21を容易に解放することができる。ランナー26が設けられている接触側の面23の一部に解放手段47を提供することにより、上型部品21は下型部品20上のキャリア25から、接触側の面23の全周を解放する必要なく解放することができる。上型部品21が取り除かれた後で、封止電子部品24のさらなる解放を許容するために、解放手段47は閉鎖位置(図4Bに示す位置)から戻される。好ましくは、解放手段47は、図4Aに示す矢印P7の方向の反対方向に戻される。好ましくは、解放手段47用に用いられる材料は、ランナー26内で硬化された成形材料28の一部がその金型部品装置から解放手段47の撤去によって戻されるように選択される。
【0035】
図4Aおよび4Bに示す実施形態と同様に、図5Aおよび5Bには、解放手段47を備える実施形態を示す。ここでは、ランナー26が解放手段47内に備えられている。金型部品20、21を閉じることにより、金型キャビティ22は解放手段47のランナー26への接続を形成する。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図4A
図4B
図5A
図5B