(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】ミルクを泡立てるためのアセンブリ及び方法
(51)【国際特許分類】
A47J 31/44 20060101AFI20220401BHJP
【FI】
A47J31/44 410
(21)【出願番号】P 2018546624
(86)(22)【出願日】2017-03-09
(86)【国際出願番号】 NL2017050149
(87)【国際公開番号】W WO2017155403
(87)【国際公開日】2017-09-14
【審査請求日】2020-02-12
(32)【優先日】2016-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】512164779
【氏名又は名称】コーニンクラケ ダウ エグバート ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】クニップ,アブラム クリスティアーン
(72)【発明者】
【氏名】ペーテル,エデュアルド
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-085968(JP,A)
【文献】特開2005-312959(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0075007(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00-31/60
A47J 42/00-44/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミルクを泡立てるためのアセンブリ(10)であって、
空気源と、吸気口(12a)及び下流端(12b)を有する空気流路(12)とを含み、前記空気源が前記吸気口(12a)に接続されている、空気供給アセンブリと、
流体入口(18)から流体出口(20)に延びる流体流路(16)と、を備え、前記流体流路(16)は、
前記空気流路の前記下流端(12b)が接続されている吸気口放出点(16a)と、
ポンプ(24)を含む泡立てユニット(22)と、
前記流体流路(16)の一部であるフロースルー加熱ユニット流体流路(30)を画定しているフロースルー加熱ユニット(26)と、を逐次に含み、前記フロースルー加熱ユニット(26)は通電状態と非通電状態とを有しており、前記フロースルー加熱ユニット(26)がホットの泡立てられたミルクを製造するための前記通電状態からコールドの泡立てられたミルクを製造するための前記非通電状態に切り替えられたわずか10秒後に、前記フロースルー加熱ユニット(26)が前記非通電状態にある場合には、前記流体入口(18)において7℃未満の温度の40~60mLの量の泡立てられたミルクは、該泡立てられたミルクが前記フロースルー加熱ユニット流体流路(30)を通過する時に20℃未満に保たれるような小さい熱質量を前記フロースルー加熱ユニット(26)が有する、ミルクを泡立てるためのアセンブリ。
【請求項2】
前記フロースルー加熱ユニット(26)は、厚膜加熱素子(28)を含む厚膜フロースルー加熱ユニットである、請求項1に記載のミルクを泡立てるためのアセンブリ。
【請求項3】
前記厚膜加熱素子(28)は、第1の面に誘電体膜(28b)が成膜され、前記誘電体膜(28b)の上に導電性材料のトラック(28c)が設けられた金属製熱伝導プレートである第1のプレート(28a)を含み、前記導電性材料のトラック(28c)は電気抵抗を有し、前記導電性材料のトラック(28c)に電流が流れたときに前記トラック(28c)によって熱が生成される、請求項2に記載のミルクを泡立てるためのアセンブリ。
【請求項4】
前記厚膜フロースルー加熱ユニット(26)は、第2のプレート(29)の接触面が前記第1のプレート(28a)の第2の面に接続された第2のプレート(29)を含み、前記第2のプレート(29)は、前記接触面が開放側となる流路構造を含み、前記第1のプレート(28a)は前記流路構造の前記開放側を塞いで前記フロースルー加熱ユニット流体流路(30)を画定している、請求項3に記載のミルクを泡立てるためのアセンブリ。
【請求項5】
少なくともユーザが生成した命令に応答して前記フロースルー加熱ユニット(26)を制御する電子制御アセンブリを備えている、請求項1~4のいずれか一項に記載のミルクを泡立てるためのアセンブリ。
【請求項6】
前記フロースルー加熱ユニット流体流路(30)は、蛇行形状の構成を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のミルクを泡立てるためのアセンブリ。
【請求項7】
前記フロースルー加熱ユニット(26)は、出力電力(P)が、800W<P<2400Wである、請求項1~6のいずれか一項に記載のミルクを泡立てるためのアセンブリ。
【請求項8】
泡立てるミルクを保持するための流体リザーバ(46)を備え、前記流体入口(18)は、前記流体リザーバ(46)内に取り外し可能に挿入されている、又は少なくとも前記流体リザーバ(46)に取り外し可能に接続されている、請求項1~7のいずれか一項に記載のミルクを泡立てるためのアセンブリ。
【請求項9】
・前記流体流路(16)内の前記フロースルー加熱ユニットの下流に配置された第1の三方バルブアセンブリ(58)と、ただし前記第1の三方バルブアセンブリ(58)は、
・前記流体流路(16)を介して前記第1の三方バルブアセンブリを前記フロースルー加熱ユニットに接続する入口と、
・前記第1の三方バルブアセンブリを、前記流体流路(16)の前記流体出口(20)に接続する第1の出口と、
・前記第1の三方バルブアセンブリを、戻り流路(60)に接続する第2の出口と、を有し、前記第1の三方バルブアセンブリ(58)は、流体が前記流体流路(16)の前記流体出口(20)に流される第1の状態と、流体が前記流体流路(16)から分かれて前記第2の出口を介して前記戻り流路(60)に流される第2の状態とを有する、
・制御可能な水バルブ(68)を含み、前記ポンプ(24)よりも上流の位置で前記流体流路(16)に接続されている給水流路(66)と、
・前記戻り流路(60)の下流端が洗浄リザーバ(56)の中にある洗浄リザーバ(56)と、
・少なくとも、前記ポンプ(24)、前記フロースルー加熱ユニット(26)、及び前記第1の三方バルブアセンブリ(58)を制御するように構成されている電子制御アセンブリ(72)と、
を備え、
前記電子制御アセンブリ(72)は、前記アセンブリを、生産モードと洗浄モードとで動作させるように構成され、前記生産モードでは、前記流体流路(16)の前記流体入口(18)には泡立てられる流体が供給され、前記洗浄モードの少なくとも一部の間は、前記流体流路の前記流体入口(18)には洗浄液が供給される、請求項1~8のいずれか一項に記載のミルクを泡立てるためのアセンブリ。
【請求項10】
・制御可能な水バルブ(68)を含み、前記ポンプ(24)よりも上流の位置で前記流体流路(16)に接続されている給水流路(66)と、
・第2の三方バルブアセンブリ(62)であって、
・入口であって、そこを介して前記第2の三方バルブアセンブリが前記フロースルー加熱ユニット(26)に接続されている、又は接続可能である、入口と、
・前記第2の三方バルブアセンブリを流体排出口(64)に接続する第1の出口と、
・第2の出口と、を有する第2の三方バルブアセンブリ(62)と、をミルクを泡立てるためのアセンブリが備え、
前記第2の三方バルブアセンブリ(62)は、前記フロースルー加熱ユニット(26)から来る流体を前記流体排出口(64)に流す第1の状態と、前記フロースルー加熱ユニット(26)から来る流体を前記第2の三方バルブアセンブリ(62)の前記第2の出口に流す第2の状態とを有し、
前記ミルクを泡立てるためのアセンブリは更に、
・前記ミルクを泡立てるためのアセンブリを、制御可能な水バルブ(68)が開状態にあり、前記第2の三方バルブアセンブリ(62)が前記第1の状態にあって、水が前記フロースルー加熱ユニット(26)を通って前記流体排出口(64)に流されるフロースルー加熱ユニット冷却モードにするように構成された電子制御アセンブリ(72)を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のミルクを泡立てるためのアセンブリ。
【請求項11】
前記第2の三方バルブアセンブリ(62)は前記流体流路(16)内に取り付けられており、前記第2の三方バルブアセンブリ(62)の前記第2の出口は、前記流体出口(20)に通じる前記流体流路(16)の下流部分に接続されており、前記電子制御アセンブリ(72)は、前記ミルクを泡立てるためのアセンブリが生産モードにあるときは、前記第2の三方バルブアセンブリ(62)を前記第2の状態にして、前記フロースルー加熱ユニットから来る流体を前記流体出口(20)に流すように構成されている、請求項10に記載のミルクを泡立てるためのアセンブリ。
【請求項12】
・制御可能な水バルブ(68)を含み、前記ポンプ(24)よりも上流の位置で前記流体流路(16)に接続されている給水流路(66)と、
・第2の三方バルブアセンブリ(62)であって、
・入口であって、そこを介して前記第2の三方バルブアセンブリが前記フロースルー加熱ユニット(26)に接続されている、又は接続可能である、入口と、
・前記第2の三方バルブアセンブリを流体排出口(64)に接続する第1の出口と、
・第2の出口と、を有する上記第2の三方バルブアセンブリ(62)と、を前記ミルクを泡立てるためのアセンブリが備え、
前記第2の三方バルブアセンブリ(62)は、前記フロースルー加熱ユニット(26)から来る流体を前記流体排出口(64)に流す第1の状態と、前記フロースルー加熱ユニット(26)から来る流体を前記第2の出口に流す第2の状態とを有し、
前記ミルクを泡立てるためのアセンブリは更に、
・前記ミルクを泡立てるためのアセンブリを、制御可能な水バルブ(68)が開状態にあり、前記第2の三方バルブアセンブリ(62)が前記第1の状態にあって、水が前記フロースルー加熱ユニット(26)を通って前記流体排出口(64)に流されるフロースルー加熱ユニット冷却モードにするように構成された電子制御アセンブリ(72)を含み、
前記第2の三方バルブアセンブリ(62)は前記戻り流路(60)内に取り付けられており、前記第1の三方バルブアセンブリ(58)が前記第2の状態にある場合は、前記第2の三方バルブアセンブリ(62)の前記入口は、前記戻り流路(60)の上流部分を介して前記フロースルー加熱ユニット(26)に接続されており、前記第2の三方バルブアセンブリ(62)の前記第2の出口は、前記洗浄リザーバ(56)内にある前記戻り流路(60)の下流部分に接続されており、前記電子制御アセンブリ(72)は、前記ミルクを泡立てるためのアセンブリが前記フロースルー加熱ユニット冷却モードにある場合に、前記第1の三方バルブアセンブリ(58)を前記第2の状態にして、前記フロースルー加熱ユニット(26)から来る水を、前記第1の三方バルブアセンブリ(58)から前記戻り流路(60)の上流部分を介して前記第2の三方バルブアセンブリ(62)の前記入口に、そして続けて前記流体排出口(64)に流すように構成されており、前記電子制御アセンブリ(72)は、前記ミルクを泡立てるためのアセンブリが前記洗浄モードにある間、前記第2の三方バルブアセンブリ(62)を前記第2の状態にして、前記フロースルー加熱ユニット(26)から来る水を、前記第1の三方バルブアセンブリ(58)、前記戻り流路(60)の上流部分、前記第2の三方バルブアセンブリ(62)、及び前記戻り流路(60)の下流部分を介して、前記洗浄リザーバ(56)に流すように構成されている、請求項9に記載のミルクを泡立てるためのアセンブリ。
【請求項13】
冷蔵庫スペース(52)を画定するハウジング(48)であって、扉開口部を介して前記冷蔵庫スペース(52)にアクセス可能な開位置と、前記扉開口部を閉じる閉位置とを有する扉(50)を含む、ハウジング(48)と、
請求項1~12のいずれか一項に記載のミルクを泡立てるためのアセンブリ(10)と、を備え、ミルクを泡立てるためのアセンブリ(10)の前記泡立てユニット(22)及び前記フロースルー加熱ユニット(26)が前記冷蔵庫スペース(52)内に配置されている、冷蔵庫。
【請求項14】
前記ミルクを泡立てるためのアセンブリ(10)は、前記冷蔵庫スペース(52)内に取り外し可能に取り付けられたコンポーネントトレイ(54)を備え、前記コンポーネントトレイ(54)は、前記扉(50)の前記開位置において、前記冷蔵庫スペース(52)から取り外し可能であり、前記コンポーネントトレイ(54)は、少なくとも、前記ポンプ(24)、前記泡立てユニット(22)、前記フロースルー加熱ユニット(26)、及び、前記流体流路(16)の少なくとも一部を支持している、請求項13に記載の冷蔵庫。
【請求項15】
泡立てるミルクを保持するための流体リザーバ(46)は、前記冷蔵庫スペース(52)内に取り外し可能に配置されており、前記流体リザーバ(46)の位置は、前記ハウジング(48)から他のアセンブリ構成要素を取り外すことなく、前記流体リザーバ(46)を前記冷蔵庫スペース(52)から取り外すことができるような位置である、請求項6に従属する、請求項13又は14に記載の冷蔵庫。
【請求項16】
コーヒーを製造するためのシステムであって、
ユーザにコーヒーを提供するためのコーヒー装置と、
請求項1~12のいずれか一項に記載のミルクを泡立てるためのアセンブリ(10)、又は、請求項13~15のいずれか一項に記載の冷蔵庫と、を備え、
該コーヒー装置とミルクを泡立てるためのアセンブリとが接続されて、該コーヒー装置に設けられたユーザインターフェースによって動作可能な集積電子制御システムを備えた一体型のユニットを形成している、上記システム。
【請求項17】
前記ユーザインターフェースは、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)である、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
ミルクを泡立てるための方法であって、
請求項1~12のいずれか一項に記載のミルクを泡立てるためのアセンブリ、又は、請求項13~15のいずれか一項に記載の冷蔵庫を用意することと、
前記ポンプを作動させて前記流体流路内にミルクの流れを生成することと、
前記流体流路内の前記ミルクに空気の流れを供給することと、
前記ミルクの流れと前記空気の流れとを混合してミルク/空気混合物を形成することと、
前記泡立てユニット内で前記ミルク/空気混合物を泡立てて、泡立てられたミルクを形成することと、
前記フロースルー加熱ユニットによって、前記泡立てられたミルクを選択的に加熱する、又は加熱しないことと、
前記流体出口(20)を介して前記泡立てられたミルクを注出することと、を含む、ミルクを泡立てるための方法。
【請求項19】
ミルクを泡立てるためのアセンブリにおいて厚膜フロースルー加熱ユニットを使用する方法であって、前記ミルクを泡立てるためのアセンブリは、流体入口(18)から流体出口(20)に延びる流体流路(16)を備え
該流体流路(16)は前記厚膜フロースルー加熱ユニットの上流に配置された泡立てユニットを含み、前記厚膜フロースルー加熱ユニットはまた前記流体流路内に含まれ、前記厚膜フロースルー加熱ユニットは厚膜加熱素子を備え、前記厚膜フロースルー加熱ユニットは前記ミルクを泡立てるためのアセンブリの前記流体流路(16)の一部であるフロースルー加熱ユニット流体流路を画定し、泡立てられたミルク/空気混合物は、前記フロースルー加熱ユニット流体流路を通るよう方向付けられ、前記厚膜フロースルー加熱ユニットに電力が供給されるか、又は電力が供給されないかに応じて、それぞれ、選択的に加熱されるか、又は加熱されず、
前記厚膜フロースルー加熱ユニットがホットの泡立てられたミルクを製造するための通電状態からコールドの泡立てられたミルクを製造するための非通電状態に切り替えられたわずか10秒後に、前記厚膜フロースルー加熱ユニットが前記非通電状態にある場合には、前記流体入口(18)において7℃未満の温度の40~60mLの量の泡立てられたミルクは、該泡立てられたミルクが前記厚膜フロースルー加熱ユニット流体流路(30)を通過する時に20℃未満に保たれるような小さい熱質量を前記厚膜フロースルー加熱ユニットが有する
厚膜フロースルー加熱ユニットを使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミルクを泡立てるためのアセンブリ及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ミルクのような液体を泡立てるための装置は、例えば、欧州特許出願公開第0485350(A1)号、又は、欧州特許第2120656(B1)号となった国際公開第2008/083941(A1)号のような技術が当該技術分野で知られている。欧州特許第2120656(B1)号には、ミルクベースの飲料のミルクフォームを製造するための装置が開示されている。この装置は、泡立てるために装置に供給されるコールドのミルクを収容する容器と、ミルク導管によって容器と流体接続され、コールドのミルクを容器からポンプにくみ上げることができるポンプとを備えている。この装置はまた、吸気口と排気口とを備えた空気導管を備え、排気口はミルク導管内にある。この装置は、ある量の空気を流体流路に供給して流体/空気混合物を形成するように構成されたバルブアセンブリを更に備えている。ポンプは流体制限部に接続され、ポンプによって流体制限部に供給されたミルク/空気混合物が泡立てられる。流体制限部の下流では、ミルク導管内にバルブアセンブリが設置される。バルブアセンブリの下流側は、2つの並列のミルク導管に接続されている。バルブアセンブリの第1の状態では、泡立てられたミルクは、2つのミルク出口導管のうちの第1のミルク出口導管を介してミルク出口に送られ、ミルク出口から注出される。バルブアセンブリの第2の状態では、泡立てられたミルクは、2つの並列のミルク導管のうちの第2のミルク導管を通って導かれる。第2のミルク導管は、泡立てられたミルクがミルク出口に送られてミルク出口から注出される前に、泡立てられたミルクを加熱するためのフロースルーヒータを含んでいる。
【0003】
欧州特許第2120656号の装置の欠点は、比較的短時間の間に、装置によって、ホット及びコールドの泡立てられたミルクを連続して注出することが、2つの並列のミルク導管によってのみ可能となるということである。フロースルーヒータを含む単一のミルク導管を使用する場合には、ホットの泡立てられたミルクを注出した後すぐに注出されるコールドの泡立てられたミルクは、ヒータが比較的長い冷却期間を有するので、ヒータの余熱により暖められる。その結果、公知の装置は、短時間にホット及びコールドの泡立てられたミルクの両方を連続して供給するために、比較的複雑な構造を有している。2つの並列した流路間を切り換えるバルブアセンブリは、汚染されやすく、細菌が増殖しやすい。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、公知の泡立てアセンブリの欠点を軽減し、ホット及びコールドの泡立てられたミルクを、互いに比較的短い時間の後に製造するためのアセンブリを提供することを目的とする。このような目的のために、アセンブリであって、
空気源と、吸気口及び下流端を有する空気流路とを含み、空気源が吸気口に接続されている、空気供給アセンブリと、
流体入口から流体出口に延びる流体流路と、を備え、流体流路は、
空気流路の下流端が接続されている吸気口放出点と、
ポンプを含む泡立てユニットと、
流体流路の一部である加熱ユニット流体流路を画定しているフロースルー加熱ユニットと、を続けて含み、フロースルー加熱ユニットは通電状態と非通電状態とを有しており、フロースルー加熱ユニットは熱質量が小さいために、フロースルー加熱ユニットがホットの泡立てられたミルクを製造するための通電状態からコールドの泡立てられたミルクを製造するための非通電状態に切り替えられた後、わずか数秒後、特にわずか10秒後に泡立てられたミルクがフロースルー加熱ユニット流体流路を通過する場合であっても、加熱ユニットが非通電状態にある場合には、泡立てられたミルク、特に流体入口において7℃未満の温度の40~60mLの量の泡立てられたミルクは、比較的低い温度、特に20℃未満に保たれる、アセンブリを提供する。
【0005】
この文脈において、比較的低い温度というのは、流体入口におけるミルクの温度が7℃未満で約40~60mLのミルクが泡立てられる場合に、20℃未満の温度である。この文脈において、「数秒」は約10秒を意味する。したがって、請求項1における最後の特徴は、以下のように置き換えて解釈することができる。
フロースルー加熱ユニットは熱質量が小さいために、フロースルー加熱ユニットがホットの泡立てられたミルクを製造するための通電状態からコールドの泡立てられたミルクを製造するための非通電状態に切り替えられた後、わずか10秒後に泡立てられたミルクがフロースルー加熱ユニット流体流路を通過する場合であっても、加熱ユニットが非通電状態にある場合には、流体入口において7℃未満の温度の40~60mLの量の泡立てられたミルクは、20℃未満の比較的低い温度に保たれる。
【0006】
請求項1で定義される熱質量が小さいフロースルー加熱ユニットを本発明のミルクを泡立てるための泡立てアセンブリに適用することは、驚くほど有利である。
【0007】
請求項1で定義される熱質量が小さいフロースルー加熱ユニットは、厚膜フロースルー加熱ユニットとして実施することができる。厚膜フロースルー加熱ユニットの内部流体流路は、非常に滑らかで、デッドキャビティが生じないように実施することができる。衛生的な観点から、これは非常に有利である。
【0008】
まず、本発明のアセンブリは、比較的短時間の間にコールド及びホットの泡立てられたミルクを連続して供給するために、泡立てユニットと流体流路出口との間に、2つの並列なミルクラインの代わりに、単一の流体ラインのみが必要とされるという利点を有する。これが可能なのは、フロースルー加熱ユニットの熱質量が小さいからである。厚膜フロースルー加熱ユニットの実施形態では、熱質量を非常に小さくすることができる。その結果、加熱ユニットは、通電された後、ホットの泡立てられたミルクを製造するため、非常に急速に温度が上昇する。その後、加熱ユニットへの電力供給がオフにされると、フロースルー加熱ユニットの温度は非常に急速に低下する。
【0009】
更に、広範囲にわたる試験によって、コールドの泡立てられたミルクを製造する場合と、ホットの泡立てられたミルクを製造する場合の両方において、泡立てられたミルクの品質は非常に良好であることが明らかになっている。いずれの場合も、泡立てられたミルクの泡の品質の安定性は非常に良好である。
【0010】
並列な流体ラインも、また、2つの並列なラインのうちの1つに泡立てられたミルクを通すよう選択的に方向付けるための切り替えバルブも必要でないことにより、本発明のアセンブリは、部品が少なくてすみ、複雑さが軽減され、従来の泡立てアセンブリよりもエネルギー効率がよい。更に、流体流路が比較的滑らかであり得、デッドキャビティがないため、2つの並列な流体流路と切り替えバルブとを有する従来の泡立てユニットと比較して、汚染の危険性が低減される。これらのデッドキャビティは、多くの場合スイッチバルブに存在し、しばしば汚染源を形成する。
【0011】
これらの利点は、請求項1で定義されるフロースルー加熱ユニットの熱質量が低いことによって達成され、これは、スイッチをオンするときとスイッチをオフするときの両方において急峻な温度プロファイルをもたらす。これらの特性を有するフロースルー加熱ユニットは、厚膜フロースルー加熱ユニットとして実施することができる。
【0012】
これらの特徴によって、第一に、加熱ユニットを通る泡立てられたミルクの流れを比較的急速に加熱することができ、並列な流体ラインのうちの1つにおける加熱素子が絶えず少なくとも部分的に加熱されている従来技術における加熱ユニットの待機モードが不要になる。これによりアセンブリのエネルギー消費が低減されるだけでなく、流体流路出口から注出される前にコールドのミルクが加熱されることなく、コールドの泡立てられたミルクが加熱ユニットを通って流れることが可能になる。
【0013】
第二に、待機モードを必要としないこと、及び加熱ユニットの冷却期間が比較的短いことによって、加熱ユニットからの余熱によりコールドのミルクが加熱される危険を招くことなく、ホットの泡立てられたミルクを注出した後すぐに、コールドの泡立てられたミルクの流れを加熱ユニットに送り込むことができる。
【0014】
厚膜フロースルーヒータ自体は知られており、例えば、Ferrotechniek B.V.(www.ferrotechniek.nlを参照)によって市販されていることに留意すべきである。厚膜フロースルー加熱ユニットをお湯の調製に適用することについては、国際公開第2008/1200991(A1)号に開示されている。
【0015】
本発明は、また、
冷蔵庫スペースを画定するハウジングであって、扉開口部を介して冷蔵庫スペースにアクセス可能な開位置と、扉開口部を閉じる閉位置とを有する扉を含むハウジングと、
本発明によるミルクを泡立てるためのアセンブリと、を含み、泡立てユニット及びフロースルー加熱ユニットを含むアセンブリの主要な構成要素が冷蔵庫スペース内に配置されている、冷蔵庫を提供する。
【0016】
本発明のアセンブリを含む冷蔵庫は、ミルク泡立てアセンブリを含まない従来のコーヒー装置のユーザに、ミルク泡立てアセンブリを提供することができるという利点を有する。一実施形態では、冷蔵庫は、コーヒーマシンに接続されてもよいし、コーヒーマシンと一体化されてもよい。
【0017】
この冷蔵庫の別の利点は、厚膜フロースルー加熱ユニットが、素子が加熱されている待機モードを必要とせず、(ホットの)泡立てられたミルクの次の注出までの間はスイッチがオフされるということである。その結果、冷蔵庫内で発生する熱が少なくなり、冷蔵庫内に設けられたミルク泡立てアセンブリのエネルギー効率が向上する。更に、加熱ユニットが冷蔵庫スペース内に配置されていることから、加熱ユニットは比較的低温の環境にあることで、スイッチがオフされた後の加熱ユニットの冷却が促進される。これは、ホットの泡立てられたミルクを製造した直後にコールドの泡立てられたミルクを製造しなければならない場合に有益である。最後に、冷蔵庫スペース内が比較的低温の環境にあるために、様々な構成要素を含む流体流路内の衛生環境が向上する。
【0018】
本発明は、コーヒーを製造するためのシステムであって、
ユーザにコーヒーを提供するための装置と、
本発明によるアセンブリ、又は、本発明による冷蔵庫と、を備え、
コーヒー装置とアセンブリとが接続されて、コーヒー装置に設けられたユーザインターフェースによって操作可能な集積電子制御システムを備えた一体型のユニットを形成している、システムを更に備えている。
【0019】
このアセンブリ又はアセンブリによる冷蔵庫は、有利なことに、コーヒーを製造する様々な既存の装置、特にミルク泡立てユニットを有さない装置と組み合わせることができ、それにより、カプチーノ又はラテマキアートのような泡立てられたミルクを含むコーヒーを注出することができる。
【0020】
更に、本発明は、泡立てられたミルクの製造方法であって、
本発明によるアセンブリ又は冷蔵庫を用意することと、
ポンプを作動させて流体流路内にミルクの流れを生成することと、
流体流路内のミルクに空気の流れを供給することと、
ミルクの流れと空気の流れとを混合してミルク/空気混合物を形成することと、
泡立てユニット内でミルク/空気混合物を泡立て、泡立てられたミルクを形成することと、
フロースルー加熱ユニットによって、泡立てられたミルクを選択的に加熱する、又は加熱しないことと、
流体出口を介して泡立てられたミルクを注出することと、を含む方法を提供する。
【0021】
本発明の方法は、例えば、特定の種類の泡立てられたミルクの選択など、ユーザが生成した入力に基づいて、流体ライン中のミルクを選択的に加熱することができるという利点を有する。この方法は、フロースルー加熱ユニットを備えた従来の泡立てユニットの場合のように、ホットの泡立てられたミルク又はコールドの泡立てられたミルクのいずれかを製造するために、並列なライン、及び、並列なラインのうちの1つに泡立てられたミルクを通すよう方向付けるための切り換えバルブを必要としない。低い熱質量、及び、小さな熱質量のフロースルー加熱ユニットによって生成が可能となる急峻な温度プロファイルによって、加熱ユニット流路を通して生成された全ての泡立てられたミルクを方向付ける可能性がもたらされ、ホットの泡立てられたミルク又はコールドの泡立てられたミルクの一方を製造するためにフロースルー加熱ユニットへの電源供給を選択的にオン又はオフすることだけが必要となる。この方法は、フロースルー加熱ユニットが厚膜フロースルー加熱ユニットとして具体化されているアセンブリを用いることで、非常に良好に実施することができる。
【0022】
最後に、本発明は、泡立てられたミルクを製造するためのアセンブリにおける厚膜フロースルー加熱ユニットの使用に関する。このアセンブリは、厚膜フロースルー加熱ユニットの上流に配置された泡立てユニットを含む流体流路を備え、厚膜フロースルー加熱ユニットはまた流体流路内に含まれ、厚膜フロースルー加熱ユニットは厚膜加熱素子を備え、厚膜フロースルー加熱ユニットは、アセンブリの流体流路(16)の一部である加熱ユニット流体流路を画定している。泡立てられたミルク/空気混合物は、加熱ユニット流体流路を通るよう方向付けられ、厚膜フロースルー加熱ユニットに電力が供給されるか、又は電力が供給されないかに応じて、それぞれ、選択的に加熱され、又は加熱されない。
【0023】
泡立てられたミルクを製造するために厚膜フロースルー加熱ユニットを使用することの利点は、上記に記載され参照される本発明の泡立てアセンブリの利点と同様である。
【0024】
種々な実施形態が従属請求項に記載され、図示の例を参照して更に説明される。これらの実施形態は、組み合わせてもよいし、互いに別々に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】ミルクを泡立てるためのアセンブリの例を示す概略図である。
【
図2】泡立て用のアセンブリを取り付けた冷蔵庫の例を示す図である。
【
図3】厚膜フロースルー加熱ユニットの例を示す斜視図である。
【
図4】
図3の厚膜フロースルー加熱ユニットの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
最も一般的な用語では、ミルクを泡立てるためのアセンブリ10は、空気源と、吸気口12a及び下流端12bを有する空気流路12とを含む空気供給アセンブリを含んでいる。空気源は、吸気口12aに接続されている。一実施形態では、空気供給アセンブリは、下流端に供給される空気の流れを制御するように構成されてもよい。これは、吸気口12aに接続され、流量を調節可能な空気ポンプ、又は、空気流路12内に取り付けられる制御可能な空気バルブ14によって達成できる。アセンブリ10は、流体入口18から流体出口20まで延びる流体流路16を更に含んでいる。流体流路16は、空気流路12bの下流端が接続される吸気口放出点16aと、ポンプ24を含む泡立てユニット22と、流体流路16の一部である加熱ユニット流体流路30を画定しているフロースルー加熱ユニット26と、を続けて含んでいる。フロースルー加熱ユニット26は、通電状態と非通電状態とを有している。フロースルー加熱ユニット26は、熱質量が小さいために、フロースルー加熱ユニット26がホットの泡立てられたミルクを製造するための通電状態からコールドの泡立てられたミルクを製造するための非通電状態に切り替えられた後、わずか数秒後に泡立てられたミルクがフロースルー加熱ユニット流体流路30を通過する場合であっても、加熱ユニット26が非通電状態にある場合には、泡立てられたミルクは比較的低い温度に保たれる。典型的には、熱質量が小さいために、フロースルー加熱ユニット26がホットの泡立てられたミルクを製造するための通電状態からコールドの泡立てられたミルクを製造するための非通電状態に切り替えられた後、わずか10秒後に泡立てられたミルクがフロースルー加熱ユニット流体流路30を通過する場合であっても、加熱ユニット26が非通電状態にある場合には、7℃未満の温度の40~60mLの量の泡立てられたミルクは、20℃未満の比較的低い温度に保たれる。
【0027】
本発明のアセンブリの利点は発明の概要に示されており、ここで参照される。
【0028】
一実施形態では、フロースルー加熱ユニット26は、厚膜加熱素子28を含む厚膜フロースルー加熱ユニット26とすることができる。厚膜フロースルー加熱ユニット26は、流体流路16の一部である加熱ユニット流体流路30(
図4参照)を画定している。
【0029】
厚膜フロースルー加熱ユニットは、熱質量を非常に小さくすることができ、それによって、スイッチがオンされた場合とスイッチがオフされた場合の両方における温度プロファイルを非常に急峻なものとすることができる。
図4に例を示す一実施形態では、厚膜加熱素子28は、第1の面に誘電体膜28bが成膜され、その上に導電性材料のトラック28cが設けられた金属製熱伝導プレート28aを含んでいてもよい。導電性材料のトラック28cは電気抵抗を有しており、導電性材料のトラック28cに電流が流れたときにトラック28cによって熱を生成できる。
【0030】
厚膜加熱素子28を、誘電体膜28b及び導電性材料のトラック28cが設けられた金属製の熱伝導プレート28aとして製造することにより、小型で効率的な加熱素子28を得ることができる。厚膜加熱素子28は、熱質量が小さく、応答時間が比較的短いため、急峻な温度プロファイルを得ることができる。
図4は、厚膜フロースルー加熱ユニット26の一例を示す分解図であり、本実施形態における厚膜加熱素子28及び層28a、28b、28cが明確に示されている。
【0031】
本実施形態を更に詳細に説明すると、厚膜フロースルー加熱ユニット26は、その接触面が、金属製プレート28aの第2の面に接続された第2のプレート29を含んでいてもよい。第2のプレート29は、接触面が開放側となる流路構造を含んでいる。第1のプレート28aは、流路構造の開放側を塞ぎ、加熱ユニット流体流路30を画定する。
【0032】
本実施形態は、金属製の熱伝導プレート28aと、流路構造を有する第2のプレート29とを接続することにより、比較的簡単で堅牢な加熱ユニット26を提供することができるという利点を有する。ミルク用泡立てアセンブリに適用するためには、加熱ユニット26、より具体的には、ミルクがポンプで送られる流路構造が食品加工用に承認されるように材料を選択するべきである。
【0033】
第2のプレート29に流路構造を設けるためには、例えば、フライス加工、パンチング加工、又は変形加工などのいくつかの製造技術を使用することができる。第2のプレート29は、鋳造加工によって製造することもできる。また、第2のプレート29の製造中に流路構造を設け、流路構造が予め形成されたプレートを得ることもできる。更に、金属製の熱伝導プレート28aと第2のプレート29との間の接続は、例えば溶接など任意選択の適切な技術を用いて形成することができる。金属製熱伝導プレート28aが加熱ユニット流体流路30を直接画定することにより、泡立てられたミルクと金属製熱伝導プレート28aとの直接的な接触が得られ、熱伝導プレート28aから泡立てられたミルクへの熱の伝達が非常に効率よく行われる。
【0034】
一実施形態では、アセンブリは、少なくともユーザが生成した命令に応答して加熱ユニット26を制御する電子制御アセンブリ72を含んでいてもよい。
【0035】
アセンブリ10は、例えば加熱ユニットの制御などの様々な機能を実行するための電子制御アセンブリ72を備えていてもよい。ユーザは、例えばグラフィカルユーザインターフェース(graphical user interface、GUI)又は他の種類のインターフェースを用いて、メニューの中から、例えば、ドライでホットの泡立てられたミルクなどの飲料を選択することができる。電子制御アセンブリ72は、例えば、ドライでホットの泡立てられたミルク、ドライでコールドの泡立てられたミルク、ウェットでホットの泡立てられたミルク、ウェットでコールドの泡立てられたミルク、などの要求された飲料を提供するため、加熱ユニット流体流路内でミルクに伝達される熱の量を調節するために加熱ユニット26を制御するように構成されている。アセンブリ10及び電子制御アセンブリ72は、例えば、ホットの泡立てられたミルクかコールドの泡立てられたミルクかの選択など、限られた量の、ユーザが生成した入力のみを提供するように構成されていてもよいし、例えば、特定の出力温度を選択する温度制御、又は、提供される泡立てられたミルクの温度及び種類(例えば、ウェットの/ドライの泡立てられたミルク)をユーザが選択することを可能にする選択モジュールなど、より高度な制御オプションをユーザに提供するように構成されていてもよい。
【0036】
一実施形態では、
図3及び
図4に例を示すように、加熱ユニット流体流路30は、蛇行及び/又は螺旋形状の構成を有している。
【0037】
このような蛇行及び/又は螺旋形状の構成は、第一に、加熱ユニット流体流路30の長さを比較的長くすることができ、そのため、ミルクを加熱するために利用できる時間が比較的長く、その結果、より高い最終温度を得ることができるという利点がある。第二に、ある長さの加熱ユニット流体流路30に必要な空間を比較的小さく抑えることができる。
【0038】
一実施形態では、厚膜フロースルー加熱ユニット26は、出力電力Pが800W~2,400Wであってもよい。好ましくは、厚膜フロースルー加熱ユニット26は、出力電力Pが1,500W~2,100Wであってもよい。更に好ましくは、厚膜フロースルー加熱ユニット26は、出力電力Pが約1,800Wであってもよい。
【0039】
厚膜フロースルー加熱ユニット26による出力電力Pの選択は、加熱ユニット26によって特定の温度に加熱することができる最大流量に関する重要な要素である。出力電力Pはまた、加熱素子28が特定温度に達することができる速さに関しても重要である。約1,800Wの出力電力Pが、本発明の流体泡立てアセンブリのために好ましい出力であることが、試験によって示されている。しかしながら、異なる出力電力、特に、より高い出力電力が、加熱ユニット26に供給されてもよい。例えば、高い流量を有し、かつ/又は非常に短い応答時間を必要とするミルク泡立てアセンブリには、より高い出力電力Pが好ましい。
【0040】
一実施形態では、アセンブリは、泡立てるミルクを保持するための流体リザーバ46を備えていてもよい。流体入口18は、流体リザーバ46内に取り外し可能に挿入されてもよく、又は少なくとも流体リザーバ46に取り外し可能に接続されてもよい。
【0041】
アセンブリ10は、予め形成された再使用可能な流体リザーバ46であって、ミルクを使い切った後にミルクを補充することができる流体リザーバ46を備えていてもよい。しかしながら、より好ましい実施形態では、流体リザーバ46は、ミルクカートン、ミルクボトル又はプラスチック製ミルク容器などの交換可能な標準のミルクリザーバであってもよく、ミルク泡立てアセンブリの流体入口18に接続されている、又は流体入口18が挿入されている。これにより、ミルクリザーバ洗浄の利用が不要になり、アセンブリの停止時間が短縮される。ミルクリザーバ46、例えばミルクカートンが空になっても、リザーバ46を洗浄する必要はなく、容易に交換することができる。
【0042】
更に、アセンブリ10において、ミルクカートンなどの交換可能な標準のミルクリザーバを使用することは、洗浄工程に関して有利となり得る。流体入口18をミルクリザーバ46から一時的に切り離し又は取り去って、流体入口18を洗浄液リザーバ56に接続する又は挿入することによって、アセンブリ10をいつでも洗浄することができる。一実施形態では、アセンブリは、流体流路16内のフロースルー加熱ユニットの下流に配置された第1の三方バルブアセンブリ58を含んでいてもよい。第1の三方バルブアセンブリ58は、第1の三方バルブアセンブリ58を流体流路16を介してフロースルー加熱ユニット26に接続する入口を有している。第1の三方バルブはまた、第1の出口と第2の出口とを有している。第1の出口は、第1の三方バルブ58を、流体流路16の流体出口20に接続する。第2の出口は、第1の三方58バルブを、戻り流路60に接続する。第1の三方バルブアセンブリ58は、流体が流体流路16の流体出口20に流される第1の状態と、流体が流体流路16から分かれて第2の出口を介して戻り流路60に流される第2の状態とを有している。更に、アセンブリ10は、制御可能な水バルブ68を含む給水流路66を含んでいる。給水流路66は、ポンプ24よりも上流の位置で流体流路16に接続されている。アセンブリ10はまた、洗浄リザーバ56を含んでおり、戻り流路60の下流端がその中にある。少なくともポンプ24、フロースルー加熱ユニット26、第1の三方バルブアセンブリ58、及び任意で、制御可能な水バルブ68及び制御可能な流体バルブ70を制御するための電子制御アセンブリ72が設けられている。制御可能な流体バルブ70は、流体流路16内の、給水流路66が流体流路16に接続する位置よりも上流に配置されている。本実施形態では、電子制御アセンブリ72は、アセンブリを、生産モードと洗浄モードとで動作させるように構成されている。生産モードでは、流体流路16の流体入口18には、流体リザーバ46内に存在するこれから泡立てられる流体が供給される。生産モードの間、制御可能な水バルブ68は閉じられ、制御可能な流体バルブ70は開かれる。洗浄モードの少なくとも一部の間、流体流路の流体入口18には洗浄液が供給される。そのために、例えば、流体入口18を流体リザーバ46から取り出して、流体入口18を洗浄リザーバ56に挿入することにより、流体流路の流体入口18を洗浄リザーバ56に接続することができる。これは、例えば浸漬管として具体化された流体入口18が、その内側と外側の両方を洗浄されるという利点を有する。制御可能な水68を開状態に切り替え、第1の三方バルブアセンブリ58を第2の状態に切り替えて、水を、給水流路68、流体流路16、戻り流路60を経由して洗浄リザーバ56に流すことにより、洗浄リザーバ56を水で満たすことができる。洗浄リザーバ56が、水、及び、場合により液体又は錠剤の形態のいくらかの洗浄剤で満たされた後、水制御可能なバルブ68を閉じ、流体バルブ70を開くことで、ポンプ24が稼働している限り、流体流路16、戻り流路60及び洗浄リザーバ56を通って流体を再循環させることができる。洗浄モードはまた、給水流路66を介して供給された水が、流体流路16及びその構成要素から残留ミルクを除去する、予備リンス動作を含んでいてもよい。例えば、第1の三方バルブ58は第1の状態で最初に保持されているため、水/ミルク流体は流体出口20を介して除去される。洗浄動作ではまた、再循環中に水を加熱して、システム内の細菌を死滅させることを含んでもよい。
【0043】
一実施形態では、制御可能な水バルブ68を備えた給水流路66を含み、アセンブリ10は、第2の三方バルブアセンブリ62を含んでいてもよい。「第2の」という形容詞は、常に第1の三方バルブアセンブリ58とともに設けられなければならないという意味に解釈するべきではない。「第1の」及び「第2の」という形容詞は、本明細書では、これら2つの三方バルブの異なる機能を示すために用いられる。すなわち、本発明は、第1の三方バルブ58のみを有する実施形態と、第2の三方バルブ62のみを有する実施形態と、第1の三方バルブ58及び第2の三方バルブ62の両方を有する実施形態と、を含む。
【0044】
第2の三方バルブ62を有する実施形態では、三方バルブは入口を有し、そこを介して第2の三方62がフロースルー加熱ユニット26に接続される又は接続可能である。第2の三方バルブ62は、第1の出口と第2の出口とを有している。第1の出口は、第2の三方バルブ62を、流体排出口64に接続する。更なる実施形態によれば、第2の出口は、洗浄リザーバ56を有するアセンブリ10の実施形態に関してすでに説明した流体出口20又は戻り流路60に接続されてもよい。いずれにしても、第2の三方バルブアセンブリ62は、フロースルー加熱ユニット26から来る流体を流体排出口64に流す第1の状態を有している。第2の三方バルブ62の第2の状態では、フロースルーヒータ26から来る流体は、第2の三方バルブアセンブリ58の第2の出口に流される。アセンブリ10は更に、電子制御アセンブリ72を含んでいる。電子制御アセンブリ72は、アセンブリ10を、制御可能な水バルブ68が開状態にあり、第2の三方バルブアセンブリ62が第1の状態にあって、水がフロースルー加熱ユニット26を通って流体排出口64に流されるフロースルー加熱ユニット冷却モードにするように構成されている。水が比較的低温であるために、ヒータ又は下流の流体ラインに存在する熱は、これらの部分を通って流れる水によって 迅速に除去することができる。
【0045】
更なる実施形態では、第2の三方バルブアセンブリ62は、流体流路16内に取り付けられてもよい。この実施形態は図面には示されていない。その更なる実施形態では、第2の三方バルブアセンブリ62の第2の出口は、流体出口20に通じる流体流路16の下流部分に接続される。電子制御アセンブリ72は、アセンブリが生産モードにあるときは、第2の三方バルブ62を第2の状態にして、フロースルー加熱ユニット26から来る流体を流体出口20に流すように構成されている。
【0046】
他の更なる実施形態ではまた、戻り流路60と、洗浄リザーバ56と、アセンブリ10を生産モード及び洗浄モードで動作させるように構成された電子制御アセンブリ72とを含んでおり、第2の三方バルブアセンブリ62は、戻り流路60内に取り付けられてもよい。本実施形態の一例が、
図1に示されている。そして、第1の三方バルブ58が第2の状態にある場合は、第2の三方バルブアセンブリ62の入口は、戻り流路60の上流部分を介してフロースルー加熱ユニット26に接続される。第2の三方バルブアセンブリ62の第2の出口は、洗浄リザーバ56内に出る戻り流路60の下流部分に接続されている。電子制御アセンブリ72は、アセンブリ10がフロースルー加熱ユニット冷却モードにある場合に、第1の三方バルブアセンブリ58を第2の状態にして、フロースルー加熱ユニット26から来る水を、第1の三方バルブ58から戻り流路60の上流部分を介して第2の三方バルブ62の入口に、続けて流体排出口64に流すように構成されている。電子制御アセンブリ72は、アセンブリが洗浄モードにある間、第2の三方バルブ62を第2の状態にして、フロースルー加熱ユニット26から来る水を、第1の三方バルブ58、戻り流路60の上流部分、第2の三方バルブ62、及び戻り流路60の下流部分を介して、洗浄リザーバ56に流すように構成されている。
【0047】
本発明はまた、冷蔵庫を備え、その例が
図2に示されている。ごく大まかにいうと、冷蔵庫は、冷蔵庫スペース52を画定するハウジング48を含んでいる。ハウジングは、扉開口部を介して冷蔵庫スペース52にアクセス可能な開位置と、扉開口部を閉じる閉位置とを有する扉50を含んでいる。冷蔵庫はまた、本発明のミルクを泡立てるためのアセンブリ10を含んでいる。泡立てユニット22及びフロースルー加熱ユニット26を含むアセンブリ10の主要な構成要素は、冷蔵庫スペース52内に配置されている。
【0048】
本発明の冷蔵庫の利点は発明の概要に示されており、参照される。
図2は本発明の冷蔵庫の例を示しており、冷蔵庫は、例えば標準のカップボードと一体化させたり、標準の流し台の下に置いたり、既存のコーヒーマシンに隣接して置いたりすることができる、テーブルサイズのモデルである。一般に、アセンブリ10を保持するために、任意の冷蔵庫を使用することができる。
【0049】
一実施形態では、
図2に例が示されているように、アセンブリ10は、冷蔵庫スペース52内に取り外し可能に取り付けられたコンポーネントトレイ54を備えていてもよい。コンポーネントトレイ54は、扉50の開位置において、冷蔵庫スペース52から取り外し可能であってもよい。コンポーネントトレイ54は、少なくとも、ポンプ24、泡立てユニット22、加熱ユニット26、及び、流体流路16の少なくとも一部を支持することができる。
【0050】
アセンブリ10の少なくとも主要な構成要素22、24、26を取り外し可能なコンポーネントトレイ52に配置することにより、例えば破損した又は摩耗した部品の交換を含むアセンブリ10のメンテナンスが比較的容易になる。また、アセンブリ10の構成要素22、24、26は、利用可能な冷蔵庫スペース52が最適な方法で使用されるように、コンポーネントトレイ上に最適な方法で配置することができる。その結果、冷蔵庫スペース52は、例えば、複数のミルクリザーバ/パッケージの保管のために、又は、冷却を必要とする追加の製品のためにも使用することができる。コンポーネントトレイ52を冷蔵庫に取り付けるため、いくつかの技術を使用することができる。好ましくは、コンポーネントトレイ52は、レール、グライダー又は類似物にスライド可能に取り付けられ、冷蔵庫スペースへの取り付け及び冷蔵庫スペースからの取り外しを容易にする。
【0051】
一実施形態では、
図2に例が示されているように、アセンブリに流体リザーバ46が設けられており、流体リザーバ46は、冷蔵庫スペース52内に取り外し可能に配置されていてもよい。流体リザーバ46の位置は、ハウジング48から他のアセンブリ構成要素を取り外すことなく、流体リザーバ46をハウジングスペース52から取り外すことができるような位置とすることができる。
【0052】
取り外し可能な流体リザーバ46を用いることで、空になったリザーバをミルクで満たされた新しいリザーバに迅速に交換することが容易になる。予め形成された、再充填可能なリザーバが使用される場合、取り外し可能なリザーバは、例えば冷蔵庫の外側のユーザがより容易に再充填を行うことができるという利点を有する。好ましくは、リザーバは、冷蔵庫扉50の近くで、コンポーネントトレイ52の手前に配置され、それによって、コンポーネントトレイ52を取り外すことなくリザーバを取り外すことができる。
【0053】
本発明はまた、ユーザにコーヒーを提供するための装置と、本発明のアセンブリ10又は冷蔵庫とを備える、コーヒーを製造するためのシステムを提供する。コーヒー装置とアセンブリとは、接続されて一体型のユニットを形成する。一体型のユニットは、コーヒー装置に設けられたユーザインターフェースによって操作可能な一体型の電子制御システムを備えていてもよい。一実施形態では、ユーザインターフェースは、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)であってもよい。
【0054】
コーヒーを製造するためのシステムの利点は発明の概要に記載されており、参照される。
【0055】
本発明はまた、泡立てられたミルクの製造方法を提供する。本方法は、本発明のアセンブリ又は冷蔵庫を用意することと、ポンプ24を作動させて流体流路16内にミルクの流れを生成することとを含んでいる。本方法は、更に、流体流路16内のミルクに空気の流れを供給することと、ミルクの流れと空気の流れとを混合してミルク/空気混合物を形成することと、泡立てユニット22内でミルク/空気混合物を泡立て、泡立てられたミルクを形成することと、を含んでいる。本方法はまた、フロースルー加熱ユニット26によって、泡立てられたミルクを選択的に加熱する、又は加熱しないことと、流体出口20を介して泡立てられたミルクを注出することと、を含んでいる。
【0056】
ミルクを泡立てるための方法の利点は発明の概要に記載されており、参照される。
【0057】
最後に、本発明は、泡立てられたミルクを製造するためのアセンブリにおける厚膜フロースルー加熱ユニット26の使用に関する。アセンブリは、厚膜フロースルー加熱ユニット26の上流に配置された泡立てユニット22を含む流体流路16を備えており、厚膜フロースルー加熱ユニット26はまた、流体流路16に含まれる。厚膜フロースルー加熱ユニット26は、厚膜加熱素子28を備えている。厚膜フロースルー加熱ユニット26は、アセンブリの流体流路16の一部である加熱ユニット流体流路30を画定している。泡立てられたミルク/空気混合物は、加熱ユニット流体流路30を通るよう方向付けられ、厚膜フロースルー加熱ユニット26に電力が供給されるか、又は電力が供給されないかに応じて、それぞれ、選択的に加熱されるか、又は加熱されない。
【0058】
泡立てられたミルクを製造するために厚膜フロースルー加熱ユニットを使用することの利点は発明の概要に記載されており、参照される。
【0059】
上記の説明は例示を意図しており、限定するものではない。したがって、以下に示す特許請求の範囲から逸脱することなく、上述した本発明を改変することができることは、当業者には明らかであろう。様々な実施形態は、組み合わせて適用してもよいし、互いに独立して適用してもよい。上記の詳細な説明で使用された参照番号は、実施形態の説明を、図面に示された例に限定することを意図するものではない。図面は単に例を示したものであり、実施形態は、図面の例に示された特定の方法以外の方法で具体化されてもよい。
【符号の説明】
【0060】
10 ミルクを泡立てるためのアセンブリ
12 空気流路
12a 吸気口流路
12b 空気流路の下流端
14 制御可能な空気バルブ
16 流体流路
16a 吸気口放出点
18 流体入口
20 流体出口
22 泡立てユニット
24 ポンプ
26 厚膜フロースルー加熱ユニット
28 厚膜加熱素子
28a 金属製熱伝導プレート
28b 誘電体膜
28c 導電性トラック
29 第2のプレート
30 加熱ユニット流体流路
46 流体リザーバ
48 ハウジング
50 扉
52 冷蔵庫スペース
54 コンポーネントトレイ
56 洗浄リザーバ
58 第1の三方バルブ
60 リサイクル流路
62 第2の三方バルブ
64 排出
66 給水流路
68 制御可能な水バルブ
70 制御可能な流体バルブ
72 電子制御アセンブリ