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  • 特許-加圧ユニット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】加圧ユニット
(51)【国際特許分類】
   B65B 51/16 20060101AFI20220401BHJP
   B65B 9/10 20060101ALI20220401BHJP
   B65B 51/10 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
B65B51/16 100
B65B9/10
B65B51/10 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018565348
(86)(22)【出願日】2017-06-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-27
(86)【国際出願番号】 EP2017063344
(87)【国際公開番号】W WO2017215940
(87)【国際公開日】2017-12-21
【審査請求日】2020-05-25
(31)【優先権主張番号】16174436.2
(32)【優先日】2016-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391053799
【氏名又は名称】テトラ ラバル ホールディングス アンド ファイナンス エス エイ
【住所又は居所原語表記】70 Avenue General Guisan,CH-1009 Pully,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100151105
【弁理士】
【氏名又は名称】井戸川 義信
(72)【発明者】
【氏名】ヨーラン・スチュアーソン
(72)【発明者】
【氏名】ミカエル・リンステット
(72)【発明者】
【氏名】ラース・カールソン
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-535210(JP,A)
【文献】特表2004-530601(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 51/16
B65B 9/10
B65B 51/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品用の包装容器(2)を密封するための加圧ユニット(1)であって、前記包装容器(2)を前記加圧ユニット(1)を通して移動方向(d)に搬送するためのコンベヤ(3)と、
第1の回転可能なプレッシャーローラ(11)及び第1の回転可能なアンビルローラ(21)と、前記第1のプレッシャーローラ(11)が前記第1のアンビルローラ(21)の反対側に配置されて、前記包装容器(5)の一部分を受けて回転可能に係合する第1のニップ(4)を形成し、
前記第1のプレッシャーローラ(11)及び前記第1のアンビルローラ(21)の前記進行方向の下流側に配置された、第2の回転可能なプレッシャーローラ(12)及び第2の回転可能なアンビルローラ(22)と、前記第2のプレッシャーローラ(12)が前記第2のアンビルローラ(22)の反対側に配置されて、前記包装容器(5)の前記一部分を受けて回転可能に係合する第2のニップ(6)を形成し、
を備え、
前記第1のプレッシャーローラ(11)は、その周面(18)の周りに環状に延びる第1の隆起部(15)を含み、
前記第2プレッシャーローラ(12)は、その周面(19)の周りに環状に延びる第2の隆起部(16)を含み、
前記第1の隆起部(15)は、前記第2の隆起部(16)に対して前記第1プレッシャーローラ(11)と前記第2プレッシャーローラ(12)の軸方向(7)にずれている、加圧ユニット。
【請求項2】
前記第1の隆起部(15)及び前記第2の隆起部(16)は曲率を含む輪郭を有する、請求項1に記載の加圧ユニット。
【請求項3】
前記第1の隆起部(15)及び前記第2の隆起部(16)の前記曲率は、0.3mmから1.5mmの間である、請求項2に記載の加圧ユニット。
【請求項4】
前記第1の隆起部(15)の前記曲率は、前記第2隆起部(16)の前記曲率とは異なる、請求項2に記載の加圧ユニット。
【請求項5】
対応する隆起部(17)を有する一つ以上の追加プレッシャーローラ及び一つ以上の追加アンビルローラ(23)をさらに備え、前記進行方向において、前記第1のプレッシャーローラ(11)と前記第1のアンビルローラ(21)、及び前記第2プレッシャーローラ(12)と前記第2アンビルローラ(22)の下流に配置されている、請求項1~のいずれか一項に記載の加圧ユニット。
【請求項6】
前記移動方向において、前記第1のプレッシャーローラ(11)の下流に配置された前記プレッシャーローラ(12、13)の前記隆起部(16)は、前記プレッシャーローラ(11)の前記第1の隆起部(15)に対して、ずれを有して配置される、請求項1~のいずれか一項に記載の加圧ユニット。
【請求項7】
包装容器に食品を充填するための充填機であって、
前記包装容器と相互作用するコイル導体を有するインダクタ装置(8)と、
前記インダクタ装置の下流に配置された、請求項1~のいずれか一項に記載の加圧ユニットと、
を備える充填機。
【請求項8】
食品を含有する包装容器(2)であって、
請求項1~のいずれか一項に記載の加圧ユニットを使用して密封されているか、または請求項に記載の前記充填機を使用して充填されている、包装容器。
【請求項9】
食品用の包装容器を密封する方法であって、
前記包装容器の部分(5)の少なくとも1つの層を溶融するため、前記包装容器と相互作用するインダクタ装置を通して前記包装容器を供給し、
前記部分(5)の少なくとも第1の区分と、その後に前記上部部分の第2の区分に圧力を加えるため、請求項1~のいずれか一項に記載の加圧ユニット(1)を通して前記包装容器を供給する、
方法。
【請求項10】
前記部分が前記包装容器(2)の上部(5)又は前記包装容器の(2)下部である、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品用の包装容器を密封するための加圧ユニットに関する。より具体的には、本発明は、請求項1の導入部分による加圧ユニットに関する。本発明はさらに、そのような加圧ユニットを使用して食品用の包装容器を密封するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フルーツジュース、UHTミルク、ワイン、トマトソースなどの多くの流動食品は、滅菌された包装材料からなる包装容器で販売されている。
【0003】
この種の包装容器の典型的な例は、積層ストリップ包装材料を折り畳んで密封することによって製造された液体または流動食品用の平行六面体形状の包装容器である。
【0004】
包装材料は、剛性および強度のためのベース層を実質的に含む多層構造を有し、ベース層は、例えば紙またはミネラル含有ポリプロピレン材料からなる繊維層を含み、さらに前期ベース層の両側を覆う、例えばポリエチレンフィルムからなるヒートシールプラスチック材料の多数の層を含んでいる。
【0005】
UHTミルクのような長期保存製品用の無菌包装容器の場合、包装材料はさらに、例えばアルミホイルまたはエチルビニルアルコール(EVOH)フィルムからなるガスバリアおよび光バリア材料の層を含み、ガスバリア及び光バリア材料の層は、ヒートシールプラスチック材料の層の上に重ねられ、そして最終的に食品と接触する包装容器の内面を形成する別のヒートシールプラスチック材料の層で覆われる。
【0006】
公知の通り、この種の包装容器は全自動包装ユニットで製造され、包装容器は、例えば、シートから形成され、シートが予め折り畳まれて円筒を形成し、長手方向の重なりに沿ってシールされ、円筒は長方形の折り曲げを可能にするために折り目線を有している。次いでこの円筒を横方向に密封し、その頂部で折り曲げて食品のための容器を形成して開放底部を上方に配置する。
【0007】
次のステップで、食品を包装容器内に注ぎ込み、底部を横方向シールでシールして食品を包装容器内に完全に封入する。
【0008】
このような全自動機械では、包装容器またはその前段階はコンベヤラインに沿って移動する。これらのコンベアラインで輸送されている間、包装容器の輸送を止めることなく、底部と上部の横方向のシールが行われる。
【0009】
包装容器の底部と上部のシールを行うためのシールユニットは、シールされるべき包装容器の部分の他方の側のアンビルローラの列を支持して、包装容器の部分に圧力を加えるプレッシャーローラの列の間でシールされるべき縁を一緒に押圧しながら、長手方向の誘導加熱装置によってシールされる部分をスライドさせることによって作られる。これらのローラ上には、シール内の線に沿って局部的により高い圧力を加えるための環状の隆起部(bulge)または突起部が一般的に配置されており、横方向シールに沿った線としてシール内に凹部が生じる。
【0010】
密封装置を通して包装容器をスライドさせることによって密封が行われる、上記の全自動機械における横方向シールは、空気がシールに閉じ込められて密封を弱めるという欠点を有する場合があることが発見された。したがって、これらの種類の密封装置における改良が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、当技術分野における不都合および欠点のうちの1つまたは複数を単独でまたは任意の組み合わせで軽減、軽減または解消し、少なくとも上述の問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の態様によれば、これらおよび他の目的は、進行方向に加圧ユニットを通して前記包装容器を輸送するためのコンベヤを含む、食品用の包装容器を密封するための加圧ユニットによって完全にまたは少なくとも部分的に達成される。加圧ユニットは、第1の回転可能なプレッシャーローラと第1の回転可能なアンビルローラとをさらに含み、第1のプレッシャーローラは、第1のアンビルローラに対向して配置されて包装容器の一部を受けて回転係合するための第1のニップを形成し、進行方向に対して第1のプレッシャーローラ及び第1のアンビルローラーの下流に配置された第2のプレッシャーローラと第2の回転可能なアンビルローラとをさらに含み、第2のプレッシャーローラは、第2のアンビルローラに対向して配置されて包装容器の一部を受けて回転係合するための第2のニップを形成する。第1のプレッシャーローラはその周面の周りに環状に延びる第1の隆起部(bulge)を含み、第2のプレッシャーローラはその周面の周りに環状に延びる第2の隆起部を含む。第1の隆起部は、第2の隆起部に対して、第1のプレッシャーローラと第2のプレッシャーローラの軸方向にずれて(offset)いる。第1のアンビルローラ及び第2のアンビルローラはそれぞれ、実質的に滑らかな縁部表面を有している。
【0013】
隆起部の位置がずれることによって、隆起部はシールの異なる部分に余分な圧力を加え、それによって閉じ込められた空気を強制的に動かす。最終的な結果は、驚くべきことに、本発明による加圧ユニットを使用することによってほとんどの空気がシールから除去されることである。
【0014】
第1及び第2の隆起部は、シール内に閉じ込められた空気の移動方向に影響を及ぼそうと試みるための曲率を含む輪郭(Profile)を有してもよい。空気をシールから移動させるが包装容器内には移動させないことが好ましい。上部シールでは、閉じ込められた空気を底部から上部へ移動させることが好ましく、底部シールでは、閉じ込められた空気を上部から底部へ移動させることが好ましい。
【0015】
第1及び第2の隆起部は、0.3mmから1.5mmの間、好ましくは約0.7mmの半径を有してもよい。
【0016】
第1の隆起部の曲率は、第2の隆起部の曲率とは異なってもよい。その理由は、異なる隆起部から異なる量の圧力を加えることが可能となるからである。
【0017】
第2の隆起部の曲率は、第1隆起部よりも広くてもよい。
【0018】
加圧ユニットは、進行方向において、第1のプレッシャーローラと第1のアンビルローラ、および第2のプレッシャーローラと第2のアンビルローラと同様に、それらのさらに下流に配置された1つ以上の追加プレッシャーローラ及び追加アンビルローラをさらに含んでもよい。
【0019】
移動方向において第1のプレッシャーローラの下流に配置されたプレッシャーローラの隆起部は、第1のプレッシャーローラの第1の隆起部に対して、その後増加するずれを有してもよい。そのようにして、隆起部は、シールの全ての部分に影響を及ぼすようにずれ方向に広がる。隆起部は、例えば、捕捉された空気を段階的に上方に(底部シールのために)移動させて包装容器の内部から離れるように段階的にずれを増加させて配置する。
【0020】
移動方向において第1のプレッシャーローラの下流に配置されたプレッシャーローラの隆起部は、前記第1のプレッシャーローラの前記第1の隆起部に対して、続いて増加またはその後減少する幅で配置されてもよい。これは、閉じ込められた空気に影響を与える代替方法となる。最初の細い隆起部は、例えば包装容器内部に近い圧力をかけるために、プレッシャーローラの底部に置くことができる。次のプレッシャーローラの隆起部はもっと広くてもよく、これもプレッシャーローラの底部に置ことができる。後続のプレッシャーローラは、最後のローラがローラと同じ幅の隆起部を有するまで、プレッシャーローラの底部に配置される徐々に広くなる隆起部を有することができる。
【0021】
第2の態様によれば、目的は、包装容器に食品を充填する充填機によって完全にまたは少なくとも部分的に達成され、その充填機は、包装容器と相互作用するコイル導体を有するインダクタ装置を備え、インダクタ装置の下流に配置された、本発明の前記第1の態様による加圧ユニットをさらに備える。
【0022】
第3の態様によれば、本発明の第1の態様による前記加圧ユニットを使用して密封される食品を収容する包装容器、又は本発明の第2の態様による充填機によって充填された食品を収容する包装容器によって、目的は、完全にまたは少なくとも部分的に達成される。
【0023】
第4の態様によれば、目的は、食品用包装容器を密封する方法によって完全にまたは少なくとも部分的に達成され、その方法は、少なくとも1つの層を溶融するために包装容器と相互作用するインダクタ装置を通して前記包装容器を供給すること、本発明の第1の態様による加圧ユニットを通して包装容器を供給して、その部分の少なくとも第1の区分に、その後上部の第2の区分に圧力を加えること、を含む。第1の区分と第2の区分は、異なる圧力ローラの異なる高さの隆起部に対応する。この部分は、包装容器の上部または下部であり得る。
【0024】
一般に、特許請求の範囲で使用される全ての用語は、本明細書で他に明示的に定義されない限り、技術分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されるべきである。「要素、装置、構成要素、手段、ステップなど」に対するすべての言及は、特に明記しない限り、その要素、装置、構成要素、手段、ステップなどの少なくとも1つの例を指すものとして公然と解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の上記の目的、並びにさらなる目的、特徴、および利点は、添付の図面と併せて、本発明の好ましい実施形態の以下の例示的かつ非限定的な詳細な説明を参照することによってより完全に理解される。
【0026】
図1】本発明による加圧ユニットを備えた誘導シール装置を示す充填機の一部の斜視図である。
図2】加圧ユニットのプレッシャーローラの隆起部の異なるずれの設定の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明による加圧ユニットを備えた誘導シール装置を示す充填機の一部の斜視図である。包装容器2は、包装容器ホルダ9によって保持され、コンベア3によって搬送される。包装容器2の部分5は、包装容器2の縁部の内側を部分5に封止する第1のステップとして、部分5が加熱される方向dにインダクタ装置8を通って搬送される。その後、加熱された部分5は加圧ユニット1に移動され、そこで加熱された部分が多数の対のプレッシャーローラ11、12、13およびアンビルローラ21、22、23によって加圧される。各プレッシャーローラ11、12、13は、部分5および部分5の背後にあるアンビルローラ21、22、23に対して圧力を加える。圧力は、プレッシャーローラ11、12,13の他の滑らかな縁部表面18、19の周りに環状に延びる隆起部15、16、17によって特に加えられる。第1のプレッシャーローラ11の第1の隆起部15は、第2のプレッシャーローラ12の前記第2の隆起部16に対して、前記第1のプレッシャーローラ11及び第2のプレッシャーローラ12の軸方向7にずれて(offset)いる。このようにして、第1のプレッシャーローラ11及び第2のプレッシャーローラ12のそれぞれの隆起部15、16は、包装容器2の部分5の異なる箇所に対して圧力を加える。後続のプレッシャーローラ13もずれた隆起部を備えている。図1の実施形態では、プレッシャーローラ11、12、13の隆起部は3つのグループでずらされているが、上記の要約のセクションで述べたように、隆起部のずらされた構成は、以下の図2a~図2eに示すように異なってもよい。正確な構成は、シールされるべき包装容器2の部分5の交互の領域に隆起部が圧力を加えるように、異なる圧力ローラの隆起部間のある種のずれを容易にするほど重要ではない。このずれが、シーリング内に閉じ込められた空気を押し出して、より良いシーリングを生み出す。
【0028】
図2a~図2eは、プレッシャーローラ11、12、13の列の隆起部15、16、17のずれの異なる構成を示す。図2aは、従来技術の構成、すなわち、ローラ間に何もずれがない隆起部を有するプレッシャーローラの列を示す。矢印dは、包装容器2及び被封される部分5の移動方向を示しており、図1の方向dと同じ方向である。
【0029】
図2bは、図1に示したのと同じ方法でずらされた隆起部15、16、17の構成、すなわち、ずらされた隆起部を有する3つのグループが続いて繰り返される構成を示す。
【0030】
図2cにおいて、本発明による異なる構成は、第1のプレッシャーローラ11の第1の隆起部15へのずれが増している5つの隆起部15、16、17のグループが示されている。
【0031】
図2dは、隆起部15、16、17の間にランダムなずれを有するランダムな構成を示す。ずれのランダムな構成を使用する効果は、図2cまたは図2eのように増加するずれを使用する場合と同程度に良いことが分かった。
【0032】
図2eは、図2cと同様に、第1のプレッシャーローラ11の第1の隆起部15へのずれが増加しているが、ずれの方向が図2のそれとは逆になっている5つの隆起部15、16、17のグループを有する構成を示す。
【0033】
本発明における他の変形形態が意図され、場合によっては、他の特徴の対応する使用なしに本発明のいくつかの特徴を採用できることを理解されたい。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の範囲と一致する方法で広く解釈されることが適切である。
【0034】
例えば、図2a~図2eに示すものとは異なるプレッシャーローラ11、12、13の隆起部15、16、17間のずれの他の構成も、本発明の範囲内で可能である。実際、従来技術の解決法に大きな改善をもたらすためには、ランダムな構成があれば十分である。
図1
図2