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特許7050742スタックを把持するための把持デバイス、ロードステーション、及びその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】スタックを把持するための把持デバイス、ロードステーション、及びその方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 1/30 20060101AFI20220401BHJP
   B65B 43/14 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
B65H1/30 320
B65B43/14
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019500479
(86)(22)【出願日】2017-07-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-05
(86)【国際出願番号】 SE2017050766
(87)【国際公開番号】W WO2018009140
(87)【国際公開日】2018-01-11
【審査請求日】2020-06-17
(31)【優先権主張番号】1651017-4
(32)【優先日】2016-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】509066156
【氏名又は名称】ノルデン・マシーナリー・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ペール・フリードルフソン
(72)【発明者】
【氏名】ペータル・ヨンソン
【審査官】沖 大樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0147981(US,A1)
【文献】実開平01-166629(JP,U)
【文献】特表平09-502950(JP,A)
【文献】特開平08-192949(JP,A)
【文献】特表2009-521383(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00- 3/68
B65B 43/00-43/62
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦に折り畳まれたカートン(28)のスタック(29)を把持するために適合された把持デバイス(1)であって、
前記把持デバイス(1)は、第1把持ジョー(2)と第2把持ジョー(3)とを備え、前記第1把持ジョー(2)及び第2把持ジョー(3)が互いに隣接して配置されており、且つ保持空間(9)を包囲し、
前記把持デバイス(1)の中心軸(15)は、把持ジョー(2,3)の把持面(21、22)に対して平行であり、
前記把持デバイス(1)は、前記把持ジョー(2,3)の間の距離が、前記平坦に折り畳まれたカートン(28)の前記スタック(29)の高さよりも大きい第1開放状態で設けられており、
前記把持デバイス(1)は、前記平坦に折り畳まれたカートン(28)の前記スタック(29)が傾斜状態に到達するように、前記把持デバイス(1)の閉鎖中に、一方の把持ジョー(2;3)が他方の把持ジョー(2;3)に対して前記把持デバイス(1)の中心軸(15)に沿った長手方向に移動することによって、前記把持デバイス(1)の中心軸(15)に対して平行な長手方向において前記平坦に折り畳まれたカートン(28)の前記スタック(29)の上側又は下側を変位させるように適合されており、
前記把持デバイス(1)は、前記把持ジョー(2,3)の間の距離が、前記平坦に折り畳まれたカートン(28)の前記スタック(29)の高さよりも小さい第2閉鎖状態で設けられており、それによって、前記平坦に折り畳まれたカートン(28)の前記スタック(29)の各平坦に折り畳まれたカートン(28)が前記把持デバイス(1)によって傾斜状態で保持されることを特徴とする、把持デバイス(1)。
【請求項2】
前記把持デバイスには、前記把持デバイスの前方に向けた方向において延在するように適合された押出デバイス(8)が設けられており、
それによって、前記平坦に折り畳まれたカートン(28)の前記スタック(29)の一の側を前記把持デバイスの前方に向けて押し出し、前記平坦に折り畳まれたカートン(28)の前記スタック(29)が傾斜状態に到達する、請求項1に記載の把持デバイス(1)。
【請求項3】
前記把持デバイスには、前記保持空間(9)の前方端部及び後方端部に配置された複数のキャッチ(11、12、13)が設けられており、
前記キャッチ(11、12、13)は、前記平坦に折り畳まれたカートン(28)の前記スタック(29)を傾斜状態で支持し、且つ保持するように適合される、請求項1又は2に記載の把持デバイス(1)。
【請求項4】
前記把持デバイスは、平行四辺形の配置構成(20)を備え、
前記平行四辺形の配置構成(20)は、前記中心軸(15)に沿った、且つ前記中心軸(15)に対して垂直な把持ジョー(2,3)の変位を可能にする、請求項1~3のいずれか一項に記載の把持デバイス(1)。
【請求項5】
各把持ジョー(2,3)には、摩擦材料が設けられる、請求項1~4のいずれか一項に記載の把持デバイス(1)。
【請求項6】
前記第2閉鎖状態における前記把持ジョー(2,3)の間の距離は、前記平坦に折り畳まれたカートン(28)の前記スタック(29)の高さよりも2~15%小さい、請求項1~5のいずれか一項に記載の把持デバイス(1)。
【請求項7】
スタック(29)の前記平坦に折り畳まれたカートン(16)は、前記中心軸(15)に対して垂直な方向に対して、閉鎖状態において3~15度の角度で傾斜される、請求項1~6のいずれか一項に記載の把持デバイス(1)。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の把持デバイス(1)を備えるロードステーション。
【請求項9】
前記ロードステーションは、供給位置(31)において平坦に折り畳まれたカートン(28)のスタック(29)を把持するように適合されており、
前記平坦に折り畳まれたカートン(28)の前記スタック(29)をロード位置(32)へ移動させるように適合されており、
前記ロード位置(32)において、前記平坦に折り畳まれたカートン(28)の前記スタック(29)は、垂直方向から傾斜したマガジン(33)内へ挿入される、請求項8に記載のロードステーション。
【請求項10】
前記マガジンの傾斜は、10~20度の間である、請求項9に記載のロードステーション。
【請求項11】
前記ロードステーションは、複数のマガジン(33)を備える、請求項9又は10に記載のロードステーション。
【請求項12】
平坦に折り畳まれたカートン(28)のスタック(29)を、請求項1に記載の把持デバイス(1)によって把持するための方法であって、
-前記把持デバイス(1)の把持ジョー(2,3)が前記平坦に折り畳まれたカートン(28)の前記スタック(29)の両側に配置されるように、前記把持デバイス(1)によって前記平坦に折り畳まれたカートン(28)の前記スタック(29)を進入させるステップと、
-前記把持ジョー(2,3)の間の距離が前記平坦に折り畳まれたカートン(28)の前記スタック(29)の高さよりも小さくなるように前記把持ジョー(2,3)を閉じるステップと、
-前記平坦に折り畳まれたカートン(28)の前記スタック(29)を、前記平坦に折り畳まれたカートン(28)の前記スタック(29)がマガジン内に挿入されるロード位置へ移動させるステップと、
を備える、方法。
【請求項13】
前記把持デバイス(1)が前記平坦に折り畳まれたカートン(28)の前記スタック(29)を進入させる前に、前記平坦に折り畳まれたカートン(28)の前記スタック(29)の長手方向において前記平坦に折り畳まれたカートン(28)の前記スタック(29)の一の側を変位させるステップをさらに備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記把持ジョー(2,3)が閉鎖すると同時に、前記平坦に折り畳まれたカートン(28)の前記スタック(29)の長手方向において前記平坦に折り畳まれたカートン(28)の前記スタック(29)の一の側を変位させるステップをさらに備え、
それによって、前記平坦に折り畳まれたカートン(28)が前記把持デバイス(1)によって傾斜状態で保持される、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装産業の技術的分野に属し、より具体的には、平坦に折り畳まれたカートンのスタックをマガジンに移送する技術的分野に属する。
【背景技術】
【0002】
物品を包装することは多くの場合、カートン内にそれらの物品を配置することを含み、時々、他の物品と一緒にそれらの物品をカートン内に配置することを含む。それらのカートンは多くの場合、カートンの外側に印刷することによって消費者が製品に惹かれることを可能にする、又は製品に関する情報を受け取ることを可能にするデザインを外側に有し、製品を保護することもできる。多くの場合、機械は、包装プロセスを自動化するために、様々な段階において使用される。
【0003】
一般的に、カートンは、カートンの輸送経済性及び取り扱いを改善するように、平坦に折り畳まれたカートンとして折り畳まれた包装施設に配達されるだろう。平坦に折り畳まれたカートンは、複数の物品がそれらのカートンの内側に配置されることができる前に自立される必要がある。このことは、自立プロセス及び包装プロセスを自動化するために、機械によって行われてもよい。時々、この機械は連続的な供給において平坦に折り畳まれたカートンを受け取るが、それらのカートンは、1つずつ受け取られてもよい。カートン自立装置に供給する他の方法は、平坦に折り畳まれたカートンのパックを保持するマガジンを自立装置に設けることによって行われ、そのパックから、自立装置は平坦に折り畳まれたカートンを引き出し、そのカートンを自立させる。自立したカートンは、例えばコンベアによって、物品がカートンの内側に配置される包装ステーションに送られる。
【0004】
つまり、平坦に折り畳まれたカートンは、自立装置においてマガジン内に配置される。この中において、平坦に折り畳まれたカートンは、一度に一つずつマガジンからピックアップされる。平坦に折り畳まれたカートンは多くの場合、ピックアップヘッドによって、マガジンの下側からピックアップされ、マガジンは、上部からロードされる。この方法において、マガジンは、ピックアップヘッド及び自立したカートンの供給を邪魔することなくロードされることができる。マガジンは好ましくは、バッファを平坦に折り畳まれたカートンに提供するために、適切な間隔において平坦に折り畳まれたカートンのスタックによってロードされる。バッファは、マガジンから平坦に折り畳まれたカートンをピックアップすることを安定させるので、さらなる利点である。一方、あまりにも長いバッファは、スタックがあまりにも高い場合に平坦に折り畳まれたカートンが平坦に載置されない可能性がある点で、不安定な状態になる可能性がある。マガジンの好ましいサイズは、100~400個程のカートンとされ得る。
【0005】
特許文献1には、包装装置に、キャリアに配送された平坦に折り畳まれたボックスを供給することが開示されている。把持部の2つの直線的に変位可能な把持アームは、ボックスのスタックの両側でキャビティ内にマガジンを入れ、ボックス上で一緒に押圧する。ボックスが把持部によって作用した圧力によって一緒に保持されるので、ボックスは次いで、キャリアから持ち上げられることができる。ボックスのスタックは次いで、適切な位置に移動され得、例えばコンベアベルトに移送されることができる。特許文献1の解決方法がいくつかの場合においてうまく作用するが、平坦に折り畳まれたカートンをマガジンに供給するために適合された改善された把持デバイスのための余地が依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】独国特許出願第4208450号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、平坦に折り畳まれたカートンのスタックを把持するための改善された把持デバイスを提供することである。本発明のさらなる目的は、平坦に折り畳まれたカートンのスタックをマガジン内にロードするためのロードステーションを提供することである。本発明の他の目的は、平坦に折り畳まれたカートンのスタックを把持デバイスによって把持するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による課題に対する解決方法は、請求項1の特徴部分に記載される。他の請求項は、把持デバイスの有利な実施形態及びさらなる発展例を含む。
【0009】
本発明の目的は、平坦に折り畳まれたカートンのスタックを把持するために適合された把持デバイスであって、前記把持デバイスは、第1把持ジョーと第2把持ジョーとを備え、前記第1把持ジョー及び第2把持ジョーが互いに隣接して配置されており、且つ保持空間を包囲し、前記把持デバイスの中心軸は、把持ジョーの把持面に対して平行であり、前記把持デバイスは、前記把持ジョーの間の距離が、前記平坦に折り畳まれたカートンの前記スタックの高さよりも大きい第1開放状態で設けられており、前記把持デバイスは、前記把持デバイスの中心軸に対して平行な長手方向において、前記平坦に折り畳まれたカートンの前記スタックの上側又は下側を変位させるように適合されており、前記把持デバイスは、前記把持ジョーの間の距離が、前記平坦に折り畳まれたカートンの前記スタックの高さよりも小さい第2閉鎖状態で設けられており、それによって、前記平坦に折り畳まれたカートンの前記スタックの各平坦に折り畳まれたカートンが前記把持デバイスによって傾斜状態で保持される、把持デバイスによって達成される。
【0010】
本発明による把持デバイスは、平坦に折り畳まれたカートンのスタックを傾斜して保持するだろう。それによって、把持されたスタックの高さは、スタックが把持される前のスタックの高さよりもわずかに小さくなる。この方法において、マガジン内への平坦に折り畳まれたカートンのスタックの挿入は単純化される。使用されたマガジンは、平坦に折り畳まれたカートンと同じ寸法をさらに有してもよく、つまり、マガジンの深さは、平坦に折り畳まれたカートンの高さに対応してもよい。平坦に折り畳まれたカートンの長い側縁におけるマガジンと平坦に折り畳まれたカートンとの間の遊びを最小化することによって、平坦に折り畳まれたカートンのスタックは、確実な方法(secure way)で保持されることができ、マガジン内で非常に容易に変位させることができない。第2閉鎖状態における把持ジョーの間の距離は好ましくは、平坦に折り畳まれたカートンの高さより2~15%小さい。小さなカートンの場合に、これは、2~10mmの長さの差に対応してもよい。
【0011】
本発明の一の発展例において、各把持ジョーは複数の把持フィンガを備える。このことは、把持をより安定化させ、供給ステーション内で平坦に折り畳まれたカートンのスタックを把持する場合により良好なアクセスを可能にする。本発明の一の発展例において、第1の把持ジョーは、第2の把持ジョーに関して、長手方向におけるスタックの長さの2~15%の間で変位する。より小さなカートンの場合には、このことは、2~10mmの長さの変位に対応してもよく、これは、平坦に折り畳まれたカートンのスタックが高さにおいてわずかに減少することを可能にし、且つ把持デバイスが平坦に折り畳まれたカートンのスタックを確実な方法で保持することを可能にする。
【0012】
一の発展例において、把持デバイスには、把持デバイスが閉じた場合に長手方向において平坦に折り畳まれたカートンのスタックの一の側を押し出すように適合される押出デバイスが設けられており、それによって、把持デバイスは、平坦に折り畳まれたカートンのスタックを傾斜状態で保持する。
【0013】
一の発展例において、把持デバイスには、平行四辺形の配置構成が設けられており、前記平行四辺形の配置構成は、一方の把持ジョーが他方の把持ジョーに対してその距離を減少させることを可能にし、同時に、前記把持デバイスが閉じた場合に長手方向に変位させることを可能にする。それによって、把持デバイスは、平坦に折り畳まれたカートンのスタックを傾斜状態で保持するだろう。
【0014】
本発明の一の目的は、独創的な把持デバイスを備えるロードステーションによって達成される。
【0015】
本発明の一の発展例において、ロードステーションは、平坦に折り畳まれたカートンが水平方向に配置される供給位置において、平坦に折り畳まれたカートンのスタックをピックアップするように適合されており、且つ前記平坦に折り畳まれたカートンの前記スタックをロード位置へ移動させるように適合されており、前記ロード位置において、前記平坦に折り畳まれたカートンの前記スタックは、垂直方向から傾斜したマガジン内へ挿入される。
【0016】
本発明の一の目的は、平坦に折り畳まれたカートンのスタックを把持デバイスによって把持するための方法であって、前記把持デバイスの把持ジョーが前記平坦に折り畳まれたカートンの前記スタックの両側に配置されるように、前記把持デバイスによってカートンブランクの前記スタックを進入させるステップと、前記把持ジョーの間の距離がカートンのスタックの高さよりも小さくなるように前記把持ジョーを閉じるステップと、同時に又はそれらの前に、前記平坦に折り畳まれたカートンが傾斜状態で保持されるように、前記平坦に折り畳まれたカートンのスタックの長手方向において、前記平坦に折り畳まれたカートンの前記スタックの一の側を変位させるステップと、
を備える、方法によって達成される。
【0017】
本発明は、添付の図面に示される実施形態を参照して、以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】開いた状態における本発明による把持デバイスの斜視図を示す。
図2】閉じた状態における本発明による把持デバイスの斜視図を示す。
図3】開いた状態における本発明による把持デバイスの側面図を示す。
図4】閉じた状態における本発明による把持デバイスの側面図を示す。
図5】開いた状態における本発明による把持デバイスの第2の例の側面図を示す。
図6】中間状態における本発明による把持デバイスの第2の例の側面図を示す。
図7】閉じた状態における本発明による把持デバイスの第2の例の側面図を示す。
図8】本発明による把持デバイスを備えるロードステーションを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に記載されるさらなる発展例を伴う本発明の実施形態は、単なる例としてみなされるべきであり、特許請求の範囲によって提供される保護の範囲を限定することは決してない。
【0020】
図1は、開いた状態における本発明による把持デバイスの斜視図を示し、図2は、閉じた状態における本発明による把持デバイスの斜視図を示す。図3は、開いた状態における本発明による把持デバイスの側面図を示し、図4は、閉じた状態における本発明による把持デバイスの側面図を示す。図1図4は、把持デバイスの第1の例を示す。
【0021】
把持デバイス1は、平坦に折り畳まれたカートンのスタックを把持し且つ保持するように適合され、それによって、平坦に折り畳まれたカートンのスタックは、供給ステーションにおいてピックアップされることができ、例えばカートン自立装置においてマガジンまで移動されることができる。把持デバイス1には、第1把持ジョー2と、第2把持ジョー3とが設けられており、第1把持ジョー2には、第1把持面21が設けられており、第2把持ジョー3には第2把持面22が設けられている。第1把持面及び第2把持面は、互いに対して平行とされており、且つ把持装置の中心軸15に対して平行とされる。第1把持ジョー及び第2把持ジョーは互いに隣接して配置されており、それによって、平坦に折り畳まれたカートンの縁部によって、それらは、平坦に折り畳まれたカートンのスタックを把持し且つ保持することができる。把持ジョーの間に、保持空間9が存在する。それらの把持ジョーは、把持デバイスが把持するように意図される平坦に折り畳まれたカートンの種類及びサイズに応じて、及び、平坦に折り畳まれたカートンのスタックが把持される供給ステーションに応じて、異なる方法で設計されてもよい。
【0022】
示された例において、各把持ジョーには、2つの把持フィンガが設けられている。第1把持ジョー2には、第1把持フィンガ4及び第2把持フィンガ5が設けられている。また、第2把持ジョー3には、第1把持フィンガ6及び第2把持フィンガ7が設けられている。把持ジョーの安定性を増加させるために、2つの把持フィンガは、把持ジョーの外側部分において、把持フィンガの間で延在する複数のウェブにより互いに相互連結される。2つの把持フィンガは、2つの離隔した支持面(bearing surface)を提供しており、これらの支持面は把持面を構成し、且つ平坦に折り畳まれたカートンのスタックの確実な保持を提供する。把持フィンガはすべて、互いに対して平行に延在しており、且つ把持デバイスの中心軸15を通じて配置された中心平面に対して平行とされる。第1把持ジョーの2つのフィンガの間の距離は本質的に、第2把持ジョーの2つのフィンガの間の距離に等しい。例えば、平坦に折り畳まれたカートンのスタックがどのように供給ステーション内に保持されるかに応じて、把持ジョーが2つ以上の別個の把持フィンガを備えることも可能にする。
【0023】
第1把持ジョー及び第2把持ジョーの形状は、示された例において互いに異なっているが、それらは同一であってもよい。把持デバイスは、任意の配向において使用されることができる。しかしながら、記載された例において、水平位置に配置された平坦に折り畳まれたカートンのスタックを把持する場合に、把持デバイスの位置に対応して、第1把持ジョーは上部把持ジョーと称され、第2把持ジョーは下部把持ジョーと称されるだろう。平坦に折り畳まれたカートンのスタックが水平位置に配置された場合に、スタックの下側及び上側は水平とされるであろう。各平坦に折り畳まれたカートンは、垂直方向とされるだろう。水平方向及び垂直方向のこの規定は、たとえスタックが他の配向で保持されたとしてもスタックを規定するように使用されるだろう。平坦に折り畳まれたカートンはここでは、把持デバイスの中心軸に対して垂直とされる。
【0024】
示された第1の例において、把持フィンガには、平坦であり且つ硬い支持面であって、低い摩擦を有する支持面が設けられる。低い摩擦は、それらが傾斜された場合に、カートンが把持面に対して滑ることを可能にするだろう。平坦に折り畳まれたカートンのスタックを確実な方法で保持することを可能にするために、各把持ジョーには、把持デバイスが閉鎖状態にある場合に、平坦に折り畳まれたカートンのスタックを支持し(bear on)且つスタックを保持するように適合された複数のキャッチが設けられる。キャッチは、把持デバイスの保持空間9を境界付ける。上部把持ジョー2には、把持ジョーの前方端部に前方キャッチ11が設けられており、下部把持ジョー3には、把持ジョーの前方端部に前方キャッチ12が設けられており、把持ジョーの後方端部に後方キャッチ13が設けられている。上部把持ジョーには、平坦に折り畳まれたカートンのスタックを押し出し且つスタックを支持するように適合された押出装置8がさらに設けられている。
【0025】
平坦に折り畳まれたカートンのスタックが把持デバイスによって把持されるべきである場合に、把持デバイスは、スタックが把持デバイスの保持空間内に配置されるように平坦に折り畳まれたカートンのスタックの周りに配置される。把持デバイスは次いで、開いた状態に配置される。前方キャッチの縁部の間の距離は、平坦に折り畳まれたカートンのスタックの高さより大きくなり、それによって、把持デバイスは、スタックと接触することなく把持位置において位置付けられることができる。スタックは、供給ステーション(図示せず)の保持手段によって供給位置で保持される。平坦に折り畳まれたカートンの高さは、平坦に折り畳まれたカートンのスタックの高さと同じである。平坦に折り畳まれたカートンの高さは、カートンが平坦に折り畳まれた場合に、互いのそばに配置されたカートンの2つの隣接した側の和として規定される。高さは、カートンの上側の幅をカートンの側面の高さに加えたものと等しいとされるだろう。
【0026】
平坦に折り畳まれたカートンのスタックを把持するために、把持デバイスが閉鎖動作を実施する場合に、把持ジョーは、把持デバイスの中心平面に向けて、且つ平坦に折り畳まれたカートンのスタックにおける平坦に折り畳まれたカートンの上側縁部及び下側縁部に向けて、内側へ移動するだろう。同時に、平坦に折り畳まれたカートンのスタックの一の側は、中心軸に対して平行な長手方向において変位される。スタックの上側又は下側を変位させることは可能である。示された例において、押出デバイス8は、スタックを傾斜させるために、前方方向において、平坦に折り畳まれたカートンのスタックの上側を圧し出すように使用され、それによって、スタックにおける最も外側の平坦に折り畳まれたカートンは、上部前方キャッチ11に対して支持されるだろう。平坦に折り畳まれたカートンのスタックは次いで、把持デバイス内に傾斜した状態で保持され、上部前方キャッチ11、下部前方キャッチ12、下部後方キャッチ13、及び押出デバイス8によって固定される。押出デバイス8は、平坦に折り畳まれたカートンのスタックの移送中に延在位置にあるだろう。押出デバイスは、示された例において空気シリンダとされるが、他のアクチュエータも使用されてもよい。平坦に折り畳まれたカートンの傾斜角度は好ましくは、把持デバイスの中心軸に対して垂直であるスタックの垂直平面に対して3度~15度の範囲内とされる。把持デバイスが把持位置内にある前に、或いは、把持デバイスが閉鎖動作を実行すると同時に、平坦に折り畳まれたカートンを傾斜状態に押し出すように適合される、押出デバイスを供給ステーションに提供することも可能である。
【0027】
図3において、把持デバイスは、平坦に折り畳まれたカートンのスタックが把持される前に、開いた状態で示されており、図4は、平坦に折り畳まれたカートンのスタックを保持する、閉鎖状態における把持デバイスを示す。把持デバイスが平坦に折り畳まれたカートンのスタックの周りに位置付けられており、且つ平坦に折り畳まれたカートンのスタックを把持すべきである場合に、下部把持ジョーは、スタックの下側に向けて上向きに移動し、上部把持ジョーは、スタックの上側に向けて下向きに移動する。同時に、押出デバイスは延在し、把持ジョーの前方に向けて、平坦に折り畳まれたカートンのスタックの上側を前方に押し出す。それによって、最も外側の平坦に折り畳まれたカートンは、上部前方キャッチに対して支持するだろう。この方法において、平坦に折り畳まれたカートンは、把持デバイスによって傾斜した方法で保持されるだろう。
【0028】
把持デバイスは、把持ジョーが取り付けられる把持ヘッド10をさらに備える。把持ヘッドは移動可能な取付部分を備え、それによって、把持ジョーが少なくとも1つの方向に移動することができる。示された例において、把持ジョーは、移動方向14に沿って移動するように適合されており、移動方向14は垂直方向に対して傾斜される。把持デバイスの設計に応じて、且つ平坦に折り畳まれたカートンを傾斜するための方法に応じて、把持ジョーはまた、中心軸15に対して垂直な方向において移動してもよい。示された例において、把持デバイスの中心軸15は、把持位置において水平とされる。しかしながら、把持デバイスは、任意の方向及び配向において平坦に折り畳まれたカートンのスタックを把持するように使用されてもよく、水平方向は、参照の目的で使用される。水平方向の中心平面に対して垂直ではない角度で把持ジョーの移動方向を配向することによって、把持ジョーはまた、把持デバイスが閉鎖されている場合に、水平方向の平面に対して平行な長手方向におけるわずかな移動を実行するであろう。この移動は、把持デバイス内で平坦に折り畳まれたカートンのスタックを配向し、且つ保持するように手助けするだろう。
【0029】
把持デバイスの各把持フィンガには、例えば摩擦インサートの形態で、高摩擦面が設けられてもよい。摩擦インサートは好ましくは、プラスチック、ゴム、又はコルクなどの比較的ソフトな材料から製造され、把持ジョーの高信頼性の把持面を提供するように適合される。摩擦インサートは、取り外し可能な方法で把持フィンガに取り付けられ、それによって、例えば異なる把持面が要求された場合に又は摩擦インサートが摩耗した場合に、摩擦インサートは、容易に置き換えられることができる。摩擦インサートは、平坦に折り畳まれたカートンに損傷を与えない把持面をさらに提供するだろう。
【0030】
押出デバイスを使用することの代わりに、把持デバイスの中心平面に対して平行な長手方向において把持ジョーの1つを変位させることも可能である。この方法において、把持ジョーの1つは、好ましくは上部把持ジョーは、把持ヘッドに向けた方向又は把持ヘッドから離れた方向において移動するだろう。平坦に折り畳まれたカートンが把持ジョーの高摩擦の把持面によって保持されるので、平坦に折り畳まれたカートンの上側は、把持デバイスから落ちることなく長手方向に変位され、且つ傾斜されることができる。上部把持ジョーはまた、同時に垂直方向にわずかに移動される。それによって、把持ジョーの間の距離は、平坦に折り畳まれたカートンのスタックの高さよりも小さくなり、平坦に折り畳まれたカートンのスタックは、傾斜した確実な方法で把持される。
【0031】
把持ジョーの間の距離は、把持デバイスが開いた状態にある場合に平坦に折り畳まれたカートンのスタックの高さより大きくなる。それによって、把持デバイスが容易な方法で平坦に折り畳まれたカートンのスタックの周りに位置付けられることができる。一の例において、下部把持ジョー3は、把持デバイスの水平方向の中心平面に向けて垂直方向軸に沿って、一の方向において移動するように適合される。上部把持ジョー2はまた、水平方向の中心平面に向けて移動するように適合される。両方の把持ジョーを内側に向けて移動させ中心平面に向けて移動させることによって、カートンのスタックは、高信頼性の方法で把持されることができる。
【0032】
図5図7に示されるような、把持デバイスの他の例において、把持デバイスには、互いに対して平行に配置される第1アーム16及び第2アーム17が設けられる。アームの一方の端部は、把持ヘッド10に取り付けられたブラケット18に取り付けられる。アームの他方の端部は、下部把持ジョー3に取り付けられる。アームの取付部の間の距離は、ブラケット及び把持ジョーのために同じである。これは、平行四辺形の配置構成20を生み出すだろう。この平行四辺形の配置構成20は、同時に、下部把持ジョーが、第1把持ジョーに向けて把持デバイスの後方に向けた移動を実行することを可能にする。移動中に、第1把持ジョー及び第2把持ジョーは、平行となるだろう。
【0033】
図5において、把持デバイスは、平坦に折り畳まれたカートンのスタックが把持される前の、開いた状態において示される。図6は、中間状態において把持デバイスを示す。この中間状態において、第1の把持ジョーは、スタックの上側を支持し、第2の把持ジョーはスタックの下側を支持する。この状態は、第1の把持ジョー及び第2の把持ジョーを互いに向けて移動させることによって到達される。示された例において、第1の把持ジョー及び第2の把持ジョーは、把持ヘッドの移動方向14に沿って移動させる。この中間状態において、平坦に折り畳まれたカートンがまだ垂直方向であり、スタックは傾斜されていない。
【0034】
図7は、閉鎖状態における把持デバイスを示す。この状態は、第1の把持ジョーをまだ保持させることによって、且つ平行四辺形の配置構成の使用によって上向きに且つ後ろ向きに第2の把持ジョーを移動させることによって、到達される。アクチュエータは、この例において空気シリンダ19は、第2の把持ジョーを引っ込めて、第2の把持ジョーを後ろ向きに引っ張る。平行四辺形の配置構成20に起因して、第2の把持ジョーは、第1の把持ジョーに向けて同時に移動させるだろう。スタックの下側は、スタックが傾斜されるように後ろ向きに変位されるだろう。押出デバイス8は、上部前方キャッチ11、下部前方キャッチ12、及び下部後方キャッチ13と一緒に傾斜したスタックをサポートするように同時に延在される。
【0035】
図8は、本発明による把持デバイス1を有するロード装置34を備えるロードステーション30を示す。ロード装置は好ましくは、把持デバイスが取り付けられる連結式の工業用ロボットである。把持デバイスは、供給位置31において平坦に折り畳まれたカートン28のスタック29をピックアップする。平坦に折り畳まれたカートンのスタックは、示された例において水平方向において保持されるが、平坦に折り畳まれたカートンのスタックが供給される方法に応じて任意の位置において保持されてもよい。平坦に折り畳まれたカートンのスタックは、上述されるような把持デバイスによって保持され、それによって、平坦に折り畳まれたカートンのスタックは、把持デバイスによって、傾斜した方法で保持される。把持デバイスは次いで、平坦に折り畳まれたカートンのスタックをカートン自立装置において位置付けられるロード位置32まで移動させるだろう。このロード位置において、平坦に折り畳まれたカートンのスタックは、平坦に折り畳まれたカートンをカートン自立装置に供給するために使用されるマガジン33内に挿入される。このマガジンの内側寸法は、平坦に折り畳まれたカートンの寸法と本質的に等しく、それによって、平坦に折り畳まれたカートンとマガジンとの間の遊びが最小化される。このことは、平坦に折り畳まれたカートンがマガジン内でより確実な方法で格納され、且つ保持されるので、カートン自立装置のピックアップヘッドに対する平坦に折り畳まれたカートンの供給を改善するだろう。
【0036】
マガジンの高さは比較的低く、好ましくは平坦に折り畳まれたカートンのスタックの数に対応する。それによって、最大、平坦に折り畳まれたカートンの3~4個のスタックは、同時にマガジン内に保持されることができる。この方法において、十分な量の平坦に折り畳まれたカートンは、バッファが形成されるので、カートン自立装置に対する平坦に折り畳まれたカートンの高信頼性の供給を確保するために、マガジンによって保持されることができる。そして、格納された平坦に折り畳まれたカートンの量は、互いに平坦に載置されることを保証するだろう。互いに格納されたあまりも多い平坦に折り畳まれたカートンによって、平坦に折り畳まれたカートンが一の側で隆起し、且つ互いに平坦に載置されないリスクが存在する。このことは、カートン自立装置に対する平坦に折り畳まれたカートンの供給において誤作動を引き起こす場合がある。
【0037】
マガジンは好ましくは、垂直方向に対して傾斜されており、好ましくは垂直方向に対して10度~20度の角度だけ傾斜される。把持デバイスはロード位置に到着し、マガジン内に平坦に折り畳まれたカートンのスタックを挿入する。平坦に折り畳まれたカートンのスタックが把持デバイスによって所定の角度で保持されるので、そして、マガジンが傾斜されるので、マガジンへの平坦に折り畳まれたカートンの供給は、簡略化される。好ましくは、平坦に折り畳まれたカートンのスタックが把持デバイスによって保持される角度は、マガジンの傾斜角度に対応する。平坦に折り畳まれたカートンのスタックが把持ジョーを開くことによってマガジン内に解放された場合に、平坦に折り畳まれたカートンは、それらがマガジン内に格納されるべきである位置に多かれ少なかれ位置付けられるだろう。位置合わせされていない平坦に折り畳まれたカートンの可能性はそれ故に最小化される。同時に、把持された平坦に折り畳まれたカートンの高さは、スタックを供給位置からロード位置へ移送させる間に減少するので、マガジン内の遊びが減少されたけれども、マガジン内へ挿入される間の平坦に折り畳まれたカートンの損傷のリスクも最小化される。
【0038】
ロードステーションは好ましくは、1つのロードデバイスが複数のマガジンをロードすることができるように、並んで配置された複数のマガジンを備える。例えば、カートン自立ステーションの能力を増加させるために、4~8個の並んだカートン自立装置を装着することも可能である。
【0039】
ロードステーション30はまた、それらが垂直方向に方向付けられた場合に平坦に折り畳まれたカートン28のスタック29をピックアップすることを可能にする。好ましくは、平坦に折り畳まれたカートンのスタックは、そのような場合において、把持デバイス1が確実な方法において平坦に折り畳まれたカートンのスタックを把持されるまで、ホルダーによって保持される。把持ジョーの把持フィンガの間の距離は好ましくは、ホルダーの両側で把持することによって、把持フィンガがホルダーと接触した状態になることなく、スタックが把持されるようになる。
【0040】
本発明は上述の実施形態に限定されると見なされるべきではなく、以下の特許請求の範囲内で多数の追加の変形および修正が可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 把持デバイス
2 第1の把持ジョー
3 第2の把持ジョー
4 把持フィンガ
5 把持フィンガ
6 把持フィンガ
7 把持フィンガ
8 押出デバイス
9 保持空間
10 把持ヘッド
11 上部前方キャッチ
12 下部前方キャッチ
13 下部後方キャッチ
14 移動方向
15 中心軸
16 第1アーム
17 第2アーム
18 ブラケット
19 シリンダ
20 平行四辺形の配置構成
21 第1把持面
22 第2把持面
28 平坦に折り畳まれたカートン
29 平坦に折り畳まれたカートンのスタック
30 ロードステーション
31 供給位置
32 ロード位置
33 マガジン
34 ロードデバイス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8