(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】可撓性容器のための可撓性付属部
(51)【国際特許分類】
B65D 33/38 20060101AFI20220401BHJP
B65D 30/16 20060101ALI20220401BHJP
B65D 30/02 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
B65D33/38
B65D30/16 A
B65D30/02
(21)【出願番号】P 2019513960
(86)(22)【出願日】2017-09-25
(86)【国際出願番号】 US2017053270
(87)【国際公開番号】W WO2018058047
(87)【国際公開日】2018-03-29
【審査請求日】2020-09-16
(32)【優先日】2016-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【氏名又は名称】新井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】リアンカイ・マー
(72)【発明者】
【氏名】サム・エル・クラブツリー
(72)【発明者】
【氏名】ホルヘ・カミネーロ・ゴメス
(72)【発明者】
【氏名】マーク・エイチ・ミルゴン
(72)【発明者】
【氏名】マーク・エス・ブラック
(72)【発明者】
【氏名】マーク・オー・ラボンビル
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ジェイ・ターピン
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ジェイー・ヒース
(72)【発明者】
【氏名】コリー・エム・セイラー
(72)【発明者】
【氏名】リー・アン・ファンスュメレン
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス・カルドーソ・マッツォーラ
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-169133(JP,A)
【文献】特開2011-144373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/38
B65D 30/00-30/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性容器であって、
第1の多層フィルムおよび第2の多層フィルムであって、各多層フィルムが、シール層を備え、
前記シール層はオレフィン系ポリマーから構成され、前記多層フィルムが、前記シール層が互いに対向し、かつ前記第2の多層フィルムが前記第1の多層フィルムの上に重ねられるように配置され、前記フィルムが、共通の周縁部に沿ってシールされる、
前記第1の多層フィルムおよび第2の多層フィルムと、
基部を備える付属部であって、前記基部が、60重量%~90重量%のエチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーと40重量%~10重量%の高密度ポリエチレン(HDPE)とのポリマーブレンドを含
み、前記エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは硬質セグメント及び軟質セグメントを有し、前記ポリマーブレンドは、ASTM D 1708に従って測定される50%~90%の弾性回復率を有する、前記付属部と、
前記多層フィルム間に位置する前記基部を備える付属部シールであって、前記基部が、前記共通の周縁部の一部分で各多層フィルムにシールされる、
前記付属部シールと
を備える
前記可撓性容器。
【請求項2】
前記HDPEが、0.955g/cc~0.965g/ccの密度を有する、請求項1に記載の可撓性容器。
【請求項3】
前記HDPEが、1.0g/10分~3.0g/10分のメルトインデックスを有する、請求項2に記載の可撓性容器。
【請求項4】
前記HDPEが、二峰性HDPEである、請求項3に記載の可撓性容器。
【請求項5】
前記基部が、0.3mm~2.0mmの壁厚を有する、請求項1に記載の可撓性容器。
【請求項6】
前記ポリマーブレンドが、80~100のショアA硬度を有する、請求項1に記載の可撓性容器。
【請求項7】
前記ポリマーブレンドが、180%~410%の破断点伸びを有する、請求項1に記載の可撓性容器。
【請求項8】
前記ポリマーブレンドが、50MPa~275MPaの引張弾性率を有する、請求項1に記載の可撓性容器。
【請求項9】
前記基部が、原位置で形成されたウィングレットを備える、請求項1に記載の可撓性容器。
【請求項10】
前記シール層が、エチレン系ポリマーから構成される、請求項1に記載の可撓性容器。
【請求項11】
前記付属部が、前記基部から延在する頂部を備え、前記基部および前記頂部が前記ポリマーブレンドから構成される、請求項1に記載の可撓性容器。
【請求項12】
前記可撓性容器が、スタンドアップパウチである、請求項
11に記載の可撓性容器。
【請求項13】
前記付属部に固定されたクロージャを備える、請求項1に記載の可撓性容器。
【請求項14】
前記可撓性容器が、Lippke試験に従って測定された
600Pa未満の圧力降下を呈する、請求項
13に記載の可撓性容器。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、可撓性付属部を有する可撓性容器を対象とする。
【0002】
流動性材料の保管および運搬のための剛性注ぎ口を有する可撓性パウチが知られており、これらは多くの場合「注ぎパウチ」と呼ばれる。多くの従来の注ぎパウチは、剛性注ぎ口を利用し、注ぎ口の基部はウィングレットを有する。各ウィングレットは基部に対して垂直な構造体であり、各ウィングレットは注ぎ口の環状基部から離れて(反対方向に)半径方向に延在する。ウィングレットは、注ぎ口と可撓性包装フィルムとの間の接着を促進するため、環状基部の表面積を増加させるために使用される。
【0003】
しかしながら、ウィングレットを可撓性フィルム包装に効果的にシールするには特殊なヒートシールバーが必要となるため、ウィングレットには問題がある。特殊なヒートシールバーは、注ぎ口基部およびウィングレットの形状と一致する特有の形状を必要とする。加えて、ヒートシール工程は、注ぎ口がフィルム配向と平行に整合することを確実にするために、注ぎ口とフィルムとの間に正確かつ一致した整合を必要とする。
【0004】
したがって、可撓性パウチの製造には、(1)特殊なヒートシール設備の費用、(2)正確なシールバーとウィングレットとの整合のための製造休止時間、(3)正確な注ぎ口とフィルムとの整合のために必要とされる製造休止時間、(4)不整合による破損率(漏れ)、および(5)注ぎパウチ製造の各段階で必要な品質制御ステップによる非効率が多く存在する。
【0005】
本技術は、注ぎパウチの製造における代替工程の必要性を認識する。本技術分野はさらに、ウィングレットを有する注ぎ口の製造欠点を回避する、改善された注ぎ口の必要性を認識する。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、可撓性容器を提供する。ある実施形態では、可撓性容器は、第1の多層フィルムおよび第2の多層フィルムを含む。各多層フィルムは、シール層を備える。多層フィルムは、シール層が互いに対向し、かつ第2の多層フィルムが第1の多層フィルムの上に重ねられるように配置される。多層フィルムは、共通の周縁部に沿ってシールされる。可撓性容器は、付属部を含む。付属部は、基部を備える。基部は、60重量%~90重量%のエチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーと40重量%~10重量%の高密度ポリエチレン(HDPE)とのポリマーブレンドを含む。可撓性容器は、多層フィルム間に位置する基部を備える付属部シールを含む。基部は、共通の周縁部の一部分で各多層フィルムにシールされる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示のある実施形態による斜視可撓性容器である。
【
図1A】本開示のある実施形態における、
図1の範囲Aの、クロージャを有する可撓性容器の拡大図である。
【
図1B】本開示のある実施形態による、クロージャを含む
図1の可撓性容器の斜視図である。
【
図3】
図2の線3-3に沿った、
図1のパウチの断面図である。
【0008】
定義
本明細書中の元素の周期律表への全ての言及は、CRC Press,Inc.,2003によって出版および著作権化されている元素の周期律表を指すものとする。さらに、族(複数可)への全ての言及は、族の番号付けに関してIUPACシステムを使用するこの元素周期表に反映される族(複数可)とする。矛盾する記載、文脈から暗示的、または本技術分野において慣習的でない限り、全ての部およびパーセントは、重量に基づく。米国の特許実務の目的上、本明細書で参照されるあらゆる特許、特許出願、または刊行物の内容は、特に合成技術、定義(本明細書で提供される任意の定義と矛盾しない範囲まで)、および当該術分野における一般知識の開示に関して、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる(またはそのように、それらの同等の米国版が参照により組み込まれる)。
【0009】
本明細書で開示される数値範囲は、下限値および上限値からの全ての値を含み、かつ下限値および上限値を含む。明確な値(例えば、1または2、または3~5、または6、または7)を含む範囲については、いずれかの2つの明確な値間の任意の部分範囲が含まれる(例えば、1~2、2~6、5~7、3~7、5~6等)。
【0010】
矛盾する記載、文脈から暗示的、または本技術分野において慣習的でない限り、全ての部およびパーセントは重量に基づき、全ての試験方法は本開示の出願日の時点で現行のものである。
【0011】
本明細書で使用する場合、用語「組成物」は、組成物を含む材料の混合物、ならびに組成物の材料から形成された反応生成物および分解生成物を指す。
【0012】
用語「備える(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」、およびそれらの派生語は、任意の追加の構成要素、ステップ、または手順が、具体的に開示されているかに関わらず、それらの存在を除外するようには意図されない。曖昧さを避けるために、用語「含む」の使用を通じて主張される全ての組成物は、否定する記載がない限り、任意の追加の添加剤、アジュバント、またはポリマー化合物であるかに関わらず化合物を含み得る。対照的に、用語「本質的に~からなる」は、操作性に必須ではないものを除いて、任意の後続の引用の範囲から、任意の他の構成要素、ステップ、または手順を除外する。用語「~からなる」は、具体的に規定または列記されていない任意の構成要素、ステップ、または手順を除外する。
【0013】
密度は、ASTM D 792に従って測定され、値は、1立方センチメートル当たりのグラム数、g/ccで報告される。
【0014】
弾性回復率は、以下のように測定される。一軸張力における応力-歪み挙動は、21℃で300%分-1の変形速度で、Instron(商標)万能試験機を使用して測定される。300%の弾性回復率は、ASTM D 1708マイクロ引張試験片を使用して、荷重とそれに続く300%歪みまでの除荷サイクルから決定される。全ての実験の回復率は、負荷がベースラインに戻ったときの歪みを使用して、除荷サイクル後に計算される。回復率は、次のように定義される。
%回復率=100*(Ef-Es)/Ef
式中、Efは、繰り返し荷重にかかる歪み、Esは、除荷サイクル後に荷重がベースラインに戻るときの歪みである。
【0015】
破断点伸びおよび引張弾性率は各々、ASTM D 638に従って測定される。破断点伸びは、破断したときの試料の歪みである。破断点伸びの値は、パーセント(%)として表される。引張弾性率の値は、メガパスカル(MPa)で報告される。ASTM D638試験手順は、公称厚さ0.50mmの押出テープから切断した公称IV型ドッグボーン試験片を使用することを伴う。引張試験は、INSTRON(登録商標)引張試験機で20インチ/分の試験速度で実行される。
【0016】
「エチレン系ポリマー」は、(重合性モノマーの総重量に基づいて)50重量パーセントを超える重合エチレンモノマーを含有するポリマーであり、任意選択で、少なくとも1つのコモノマーを含有してもよい。エチレン系ポリマーは、エチレンホモポリマー、およびエチレンコポリマー(エチレンおよび1つ以上のコモノマー由来の単位を意味する)を含む。用語「エチレン系ポリマー」および「ポリエチレン」は、同じ意味で使用され得る。エチレン系ポリマー(ポリエチレン)の非限定的な例として、低密度ポリエチレン(LDPE)および直鎖ポリエチレンが挙げられる。直鎖ポリエチレンの非限定的な例として、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、極低密度ポリエチレン(VLDPE)、多成分エチレン系コポリマー(EPE)、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー(オレフィンブロックコポリマー(OBC)としても知られる)、シングルサイト触媒化された直鎖低密度ポリエチレン(m-LLDPE)、実質的に直鎖、または直鎖のプラストマー/エラストマー、および高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられる。一般に、ポリエチレンは、Ziegler-Natta触媒等の不均一触媒系、4族遷移金属および配位子構造、例えばメタロセン、非メタロセン金属中心、ヘテロアリール、ヘテロ原子アリールオキシエーテル、ホスフィンイミン等を含む均一触媒系を使用して、気相流動床反応器、液相スラリー工程反応器、または液相溶液工程反応器で生産され得る。不均一触媒および/または均一触媒の組み合わせもまた、単一反応器または二重反応器構成のいずれかにおいて使用してもよい。
【0017】
「低密度ポリエチレン」(または「LDPE」)は、エチレンホモポリマー、または0.915g/cc~0.940g/ccの密度を有し、かつ広いMWDを有する長鎖分岐を含有する少なくとも1つのC3-C10α-オレフィン、好ましくはC3-C4を含むエチレン/α-オレフィンコポリマーからなる。LDPEは、典型的には、高圧フリーラジカル重合(フリーラジカル開始剤を有する管状反応器またはオートクレーブ)によって生産される。LDPEの非限定的な例として、MarFlex(商標)(Chevron Phillips)、LUPOLEN(商標)(Lyondell Basell)、ならびにBorealis、Ineos、ExxonMobil等からのLDPE製品が挙げられる。
【0018】
「直鎖低密度ポリエチレン」(または「LLDPE」)は、エチレン由来の単位および少なくとも1つのC3-C10α-オレフィンコモノマーまたは少なくとも1つのC4-C8α-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC6-C8α-オレフィンコモノマー由来の単位を含む不均一短鎖分岐分布を含有する直鎖エチレン/α-オレフィンコポリマーである。LLDPEは、従来のLDPEとは対照的に、もし存在するのであれば、少しの長鎖分岐を特徴とする。LLDPEは、0.910g/cc、または0.915g/cc、または0.920g/cc、または0.925g/cc~0.930g/cc、0.935g/cc、または0.940g/ccの密度を有する。LLDPEの非限定的な例として、TUFLIN(商標)直鎖低密度ポリエチレン樹脂(The Dow Chemical Companyから入手可能)、DOWLEX(商標)ポリエチレン樹脂(The Dow Chemical Companyから入手可能)、およびMARLEX(商標)ポリエチレン(Chevron Phillipsから入手可能)が挙げられる。
【0019】
「超低密度ポリエチレン」(または「ULDPE」)および「極低密度ポリエチレン」(または「VLDPE」)は各々、エチレン由来の単位および少なくとも1つのC3-C10α-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC4-C8α-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC6-C8α-オレフィンコモノマー由来の単位を含む不均一短鎖分岐分布を含有する直鎖エチレン/α-オレフィンコポリマーである。ULDPEおよびVLDPEは各々、0.885g/cc、または0.90g/cc~0.915g/ccの密度を有する。ULDPEおよびVLDPEの非限定的な例として、ATTANE(商標)超低密度ポリエチレン樹脂(The Dow Chemical Companyから入手可能)およびFLEXOMER(商標)極低密度ポリエチレン樹脂(The Dow Chemical Companyから入手可能)が挙げられる。
【0020】
「多成分エチレン系コポリマー」(または「EPE」)は、エチレン由来の単位と、特許参考文献USP6,111,023、USP5,677,383、およびUSP6,984,695に記載されているような少なくとも1つのC3-C10α-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC4-C8α-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC6-C8α-オレフィンコモノマー由来の単位とを含む。EPE樹脂は、0.905g/cc、または0.908g/cc、または0.912g/cc、または0.920g/cc~0.926g/cc、または0.929g/cc、または0.940g/cc、または0.962g/ccの密度を有する。EPE樹脂の非限定的な例として、ELITE(商標)強化ポリエチレン(The Dow Chemical Companyから入手可能)、ELITE AT(商標)先進技術樹脂(The Dow Chemical Companyから入手可能)、SURPASS(商標)ポリエチレン(PE)樹脂(Nova Chemicalsから入手可能)、およびSMART(商標)(SK Chemicals Co.から入手可能)が挙げられる。
【0021】
「シングルサイト触媒化された直鎖低密度ポリエチレン」(または「m-LLDPE」)は、エチレン由来の単位および少なくとも1つのC3-C10α-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC4-C8α-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC6-C8α-オレフィンコモノマー由来の単位を含む不均一短鎖分岐分布を含有する直鎖エチレン/α-オレフィンコポリマーである。m-LLDPEは、0.913g/cc、または0.918g/cc、または0.920g/cc~0.925g/cc、または0.940g/ccの密度を有する。m-LLDPEの非限定的な例として、EXCEED(商標)メタロセンPE(ExxonMobil Chemicalから入手可能)、LUFLEXEN(商標)m-LLDPE(Lyondell Basellから入手可能)、およびELTEX(商標)PF m-LLDPE(Ineos Olefins&Polymersから入手可能)が挙げられる。
【0022】
「エチレンプラストマー/エラストマー」は、エチレン由来の単位および少なくとも1つのC3-C10α-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC4-C8α-オレフィンコモノマー、または少なくとも1つのC6-C8α-オレフィンコモノマー由来の単位を含む均一短鎖分岐分布を含有する実質的に直鎖、または直鎖のエチレン/α-オレフィンコポリマーである。エチレンプラストマー/エラストマーは、0.870g/cc、または0.880g/cc、または0.890g/cc~0.900g/cc、または0.902g/cc、または0.904g/cc、または0.909g、または0.910g/cc、または0.917g/ccの密度を有する。エチレンプラストマー/エラストマーの非限定的な例として、AFFINITY(商標)プラストマーおよびエラストマー(The Dow Chemical Companyから入手可能)、EXACT(商標)プラストマー(ExxonMobil Chemicalから入手可能)、Tafmer(商標)(Mitsuiから入手可能)、Nexlene(商標)(SK Chemicals Co.から入手可能)、およびLucene(商標)(LG Chem Ltd.から入手可能)が挙げられる。
【0023】
トリプル検出ゲル浸透クロマトグラフィーまたはGPC(3D-GPCまたはTDGPC)システムは、Polymer Laboratories(現Agilent)高温クロマトグラフModel 220からなり、2角度レーザー光散乱(LS)検出器Model 2040(Precision Detectors、現Agilent)、Polymer Char(スペイン、バレンシア)のIR-4赤外線検出器、および4-キャピラリ-溶液粘度計(DP)(Visotek、現Malvern)を使用する。データ収集は、Polymer Char DM100データ取得ボックスおよび関連のソフトウェア(スペイン、バレンシア)を使用して実行される。このシステムには、Polymer Laboratories(現Agilent)からのオンライン溶媒脱気機器も備わっている。Polymer Laboratories(現Agilent)からの4つの30cm、20μm混合A LSカラムからなる高温GPCカラムを使用する。試料のカルーセルコンパートメントを140℃で操作し、カラムコンパートメントは150℃で操作する。50ミリリットルの溶媒中の0.1グラムのポリマーの濃度で試料を調製した。クロマトグラフィー溶媒および試料調製溶媒は、「200ppmの2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)」を含有する1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)である。溶媒を窒素でスパージする。ポリマー試料を160℃で4時間穏やかに撹拌する。注入量は、200マイクロリットルである。GPCを通る流速は、1.0ml/分に設定される。カラム較正および試料分子量計算を、Polymer Char「GPC One」ソフトウェアを使用して実行する。GPCカラムの較正を、21種の狭い分子量分布のポリスチレン標準物を用いて実行する。ポリスチレン標準物の分子量は、580~8,400,000g/molの範囲であり、個々の分子量の間に少なくとも一桁の間隔を置いて6つの「カクテル」混合物中に配置した。ポリスチレン標準物のピーク分子量は、次の式を使用してポリエチレン分子量に変換される(T.Williams & I.M.Ward,The Construction of a Polyethylene Calibration Curve for Gel Permeation Chromatography Using Polystyrene Fractions,6J.Polymer Sci.Pt.B:Polymer Letter 621,621-624(1968)):Mポリエチレン=A(Mポリスチレン)B。式中、Bは1.0の値を有し、実験的に決定されたAの値は、約0.38~0.44である。カラムの較正曲線は、上式から得られたそれぞれのポリエチレン換算較正点に一次多項式を観測された溶出体積にあてはめることによって得られる。従来の数および重量平均分子量(それぞれMn(従来)およびMw(従来))は、以下の式に従って計算され、
【0024】
【0025】
式中、Wfiは、i番目の成分の重量分率であり、Miは、i番目の成分の分子量である。分子量分布(MWD)は、重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比率として表される。A値は、上記式を使用して計算された重量平均分子量Mw、および独立して決定されたMwの値と一致する対応する保持体積多項式が、標準ホモポリマーポリエチレンNBS1475に追跡可能な方式でLALLSにより測定された115,000g/molの既知の絶対重量平均分子量を有する直鎖ポリエチレンホモポリマー基準に従って得られるまで、WilliamsおよびWard式のA値を調整することによって決定される。絶対重量平均分子量(Mw(絶対))は、以下の式を使用してLS検出器およびIR-4濃度検出器によって特徴付けられ、
【0026】
【0027】
式中、Σ(LSi)は、LS検出器の応答面積、Σ(IRi)は、IR-4検出器の応答面積、KLSは、52,000g/molの重量平均分子量の既知の濃度および認定値を有する標準NIST 1475を使用して決定される計器定数である。各溶出体積における絶対分子量は、以下の式を使用して計算され、
【0028】
【0029】
式中、KLSは、決定された計器定数であり、LSiおよびIRiは、同じi番目の溶出成分のLSおよびIR検出器応答である。絶対数平均およびゼータ平均分子量は、以下の式で計算される。
【0030】
【0031】
対数MLS、iデータ散在が低いLSまたはIR検出器応答によって引き起こされるとき、線形外挿は、対数MLS、i-溶出体積プロット上で実行される。
【0032】
メルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238、条件280℃/2.16kg(g/10分)に従って測定される。
【0033】
メルトインデックス(MI)は、ASTM D1238、条件190℃/2.16kg(g/10分)に従って測定される。
【0034】
ショアA硬度(およびショアD硬度)は、ASTM D 2240に従って測定される。
【0035】
本明細書で使用する場合、Tmまたは「融点」(プロットされたDSC曲線の形状に関して融解ピークとも称される)は、典型的には、USP5,783,638に記載されているように、ポリオレフィンの融点またはピークを測定するためのDSC(示差走査熱量測定)技術によって測定される。2つ以上のポリオレフィンを含む多くのブレンドが、1つを超える融点またはピークを有し、多くの個々のポリオレフィンが1つのみの融点またはピークを含むことに留意されたい。
【0036】
本明細書で使用する場合、「オレフィン系ポリマー」は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50モルパーセントを超える重合オレフィンモノマーを含有し、任意選択で、少なくとも1つのコモノマーを含有し得るポリマーである。オレフィン系ポリマーの非限定的な例として、エチレン系ポリマーおよびプロピレン系ポリマーが挙げられる。
【0037】
「ポリマー」は、同一の種類または異なる種類であるかに関わらず、モノマーを重合することによって調製された化合物であり、重合形態で、ポリマーを組成する複数および/もしくは反復「単位」または「構造単位」を提供する化合物である。したがって、一般的な用語ポリマーは、通常1種類のみのモノマーから調製されるポリマーを指すのに用いられる、用語ホモポリマー、および通常少なくとも2種類のモノマーから調製されるポリマーを指すのに用いられる、用語コポリマーを包含する。それはまた、全ての形態のコポリマー、例えば、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー等も包含する。用語「エチレン/α-オレフィンポリマー」および「プロピレン/α-オレフィンポリマー」は、それぞれエチレンまたはプロピレンと、1つ以上の追加の重合性α-オレフィンモノマーとを重合することによって調製される、上記のコポリマーを示す。ポリマーは、多くの場合、1つ以上の特定のモノマー「から作製される」、特定のモノマーもしくはモノマーの種類「に基づく」、または特定のモノマー含有量「を含有する」として称されるものの、この文脈において、用語「モノマー」は、非重合種ではなく、特定のモノマーの重合レムナントを指していることが理解されることに留意されたい。一般に、本明細書におけるポリマーは、対応するモノマーの重合形態である「単位」に基づくものを指す。
【0038】
「プロピレン系ポリマー」は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50モルパーセントを超える重合プロピレンモノマーを含有し、任意選択で少なくとも1つのコモノマーを含有し得るポリマーである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本開示は、可撓性容器を提供する。ある実施形態では、可撓性容器は、第1の多層フィルムおよび第2の多層フィルムを備える。各多層フィルムは、シール層を含む。多層フィルムは、シール層が互いに対向し、かつ第2の多層フィルムが第1の多層フィルムの上に重ねられるように配置される。多層フィルムは、共通の周縁部に沿ってシールされる。可撓性容器は、基部を有する付属部を含む。基部は、60~90重量%のエチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーと40~10重量%の高密度ポリエチレンとのブレンドから形成される。可撓性容器は、多層フィルム間に位置する基部を備える付属部シールを備える。基部は、共通の周縁部の一部分に沿って各多層フィルムにシールされる。
【0040】
1.付属部
本発明の可撓性容器は、第1の多層フィルム、第2の多層フィルム、および付属部を含む。ある実施形態では、可撓性容器8は、付属部10を含む。付属部10は、
図1に示すように、基部12および頂部14を有する。
【0041】
付属部10は、
図1に示すように基部12と頂部14とを有する。付属部10は、2つ以上(すなわち、ブレンド)のポリマー材料から作製される。基部12は、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーおよび高密度ポリエチレンから構成されるポリマーブレンドから作製される。頂部14は、クロージャとの取り付けに適切な構造(例えばねじ山等)を含み得る。
【0042】
ある実施形態では、基部は、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーと高密度ポリエチレンとのポリマーブレンドのみから構成されるか、またはそれから単独で形成される。
【0043】
ある実施形態では、付属部10全体(基部12および頂部14)は、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーと高密度ポリエチレンとのポリマーブレンドのみから構成されるか、またはそれから単独で形成される。
【0044】
ある実施形態では、基部は、
図3に示すように、壁15を有する。壁15は、0.3mm、または0.4mm、または0.5mm、または0.6mm、または0.7mm、または0.8mm、または0.9mm、または1.0mm~1.2mm、または1.5mm、または1.7mm、または1.9mm、または2.0mmの厚さを有する。さらなる実施形態では、壁15は、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーと高密度ポリエチレンとのポリマーブレンドのみから構成され、前述の厚さを有する。
【0045】
基部12(および任意選択で付属部10全体)は、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーと高密度ポリエチレンとのポリマーブレンドから形成される。用語「エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー」は、重合形態にあるエチレンおよび1つ以上の共重合性α-オレフィンコモノマーを含み、2つ以上の重合モノマー単位の複数のブロックまたはセグメントが、化学的または物理的特性において異なることを特徴とする。用語「エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー」は、2つのブロック(ジブロック)および3つ以上のブロック(マルチブロック)を有するブロックコポリマーを含む。用語「インタ-ポリマー」および「コポリマー」は、本明細書において同じ意味で使用される。コポリマー中の「エチレン」または「コモノマー」の量を指すとき、これはそれらの重合単位を意味することが理解される。いくつかの実施形態では、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、以下の式によって表すことができる。
(AB)n
【0046】
式中、nは、少なくとも1であり、好ましくは1より大きい整数、例えば、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、またはそれ以上であり、「A」は、硬質ブロックまたはセグメントを表し、「B」は、軟質ブロックまたは軟質セグメントを表す。好ましくは、AおよびBは、実質的に分岐鎖または実質的に星形の様式に対して、実質的に直鎖様式または直鎖様式で、連結または共有結合される。他の実施形態では、AブロックおよびBブロックは、ポリマー鎖に沿ってランダムに分布する。換言すると、ブロックコポリマーは、通常以下のような構造は有しない。
AAA-AA-BBB-BB
【0047】
さらに他の実施形態では、ブロックコポリマーは、通常、異なるコモノマー(複数可)を含む第3の種類のブロックを有しない。さらに他の実施形態では、ブロックAおよびブロックBの各々は、ブロック内に実質的にランダムに分布したモノマーまたはコモノマーを有する。換言すると、ブロックAもブロックBも、ブロックの残りの部分とは実質的に異なる組成を有する、先端部分等の違う組成の2つ以上のサブセグメント(またはサブブロック)を含まない。
【0048】
好ましくは、エチレンは、ブロックコポリマー全体の大部分のモル分率を含み、すなわち、エチレンは、全ポリマーの少なくとも50モルパーセントを含む。より好ましくは、エチレンは、少なくとも60モルパーセント、少なくとも70モルパーセント、または少なくとも80モルパーセントを含み、ポリマー全体の実質的な残部は、好ましくは3つ以上の炭素原子を有する少なくとも1つの他のコモノマーを含む。いくつかの実施形態では、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、50モル%~90モル%のエチレン、または60モル%~85モル%のエチレン、または65モル%~80モル%のエチレンを含み得る。多くのエチレン/オクテンマルチブロックコポリマーについて、組成物は、ポリマー全体の80モルパーセントを超えるエチレン含量、およびポリマー全体の10~15モルパーセント、または15~20モルパーセントのオクテン含量を含む。
【0049】
エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、様々な量の「硬質」セグメントおよび「軟質」セグメントを含む。「硬質」セグメントは、エチレンが、ポリマーの重量に基づいて、90重量パーセントを超える、または95重量パーセント、または95重量パーセントを超える、または98重量パーセントを超える、最大100重量パーセントの量で存在する重合単位のブロックである。換言すると、硬質セグメント中のコモノマー含量(エチレン以外のモノマー含量)は、ポリマーの重量に基づいて、10重量パーセント未満、または5重量パーセント、または5重量パーセント未満、または2重量パーセント未満であり、最低でゼロであり得る。いくつかの実施形態では、硬質セグメントは、エチレンに由来する全ての、または実質的に全ての単位を含む。「軟質」セグメントは、コモノマー含有量(エチレン以外のモノマー含有量)が、ポリマーの重量に基づいて、5重量パーセントを超える、または8重量パーセントを超える、10重量パーセントを超える、または15重量パーセントを超える重合単位のブロックである。いくつかの実施形態では、軟質セグメント中のコモノマー含量は、20重量パーセントを超える、25重量パーセントを超える、30重量パーセントを超える、35重量パーセントを超える、40重量パーセントを超える、45重量パーセントを超える、50重量パーセントを超える、または60重量パーセントを超えてもよく、最大100重量パーセントであり得る。
【0050】
軟質セグメントは、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー中に、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーの総重量の1重量パーセント~99重量パーセント、または5重量パーセント~95重量パーセント、10重量パーセント~90重量パーセント、15重量パーセント~85重量パーセント、20重量パーセント~80重量パーセント、25重量パーセント~75重量パーセント、30重量パーセント~70重量パーセント、35重量パーセント~65重量パーセント、40重量パーセント~60重量パーセント、またはエチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーの総重量の45重量パーセント~55重量パーセントの量で存在し得る。逆に、硬質セグメントは、同様の範囲で存在し得る。軟質セグメントの重量パーセントおよび硬質セグメントの重量パーセントは、DSCまたはNMRから得られたデータに基づいて計算され得る。そのような方法および計算は、例えば、「ETHYLENE/α-OLEFIN BLOCK INTERPOLYMERS」と題され、Colin L.P.Shan、Lonnie Hazlittらの名において2006年3月15日に出願され、Dow Global Technologies Inc.に譲渡された、米国特許第7,608,668号に開示されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。具体的には、硬質セグメントおよび軟質セグメントの重量パーセントならびにコモノマー含有量は、US7,608,668の第57欄~第63欄に記載されるように決定されてもよい。
【0051】
エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、ペンデントまたはグラフト様式ではなく、好ましくは直鎖様式で接合(または共有結合)された、2つ以上の化学的に異なる領域またはセグメント(「ブロック」と称される)を含むポリマーであり、すなわち、ポリマーは、重合エチレン官能基に関して端々接合された化学物的に分化した単位を含むものである。ある実施形態では、ブロックは、組み込まれたコモノマーの量もしくは種類、密度、結晶化度、そのような組成のポリマーに起因する結晶のサイズ、立体規則性の種類もしくは程度(アイソタクチックまたはシンジオタクチック)、位置規則性または位置不規則性、分岐の量(長鎖分岐もしくは超分岐を含む)、均質性、または任意の他の化学的もしくは物理的特性において異なる。連続モノマー付加、流動触媒、またはアニオン重合技術によって生産されるインターポリマーを含む、先行技術のブロックインターポリマーと比較して、本発明のエチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、一実施形態では、シャトリング剤(複数可)とそれらの調製において使用される複数の触媒との組み合わせの効果のため、ポリマー多分散性(PDIもしくはMw/MnもしくはMWD)、多分散ブロック長分布、および/または多分散ブロック数分布の両方の特有の分布を特徴とする。
【0052】
ある実施形態では、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、連続工程で生産され、1.7~3.5、または1.8~3、または1.8~2.5、または1.8~2.2の多分散指数(Mw/Mn)を有する。バッチまたは半バッチ工程で生産される場合、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、1.0~3.5、または1.3~3、または1.4~2.5、または1.4~2のMw/Mnを有する。
【0053】
さらに、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、ポアソン分布ではなく、シュルツ・フロリー分布に適合するPDI(またはMw/Mn)を有する。本発明のエチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、多分散ブロック分布ならびにブロックサイズの多分散分布の両方を有する。これにより、改善された識別可能な物理的特性を有するポリマー製品の形成が生じる。多分散ブロック分布の理論的利点は、Potemkin,Physical Review E(1998)57(6),pp.6902-6912およびDobrynin,J.Chem.Phvs.(1997)107(21),pp9234-9238に以前モデル化され論じられている。
【0054】
ある実施形態では、本発明のエチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、ブロック長の最確分布を有する。
【0055】
さらなる実施形態では、本発明のエチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー、特に連続溶液重合反応器で作製されるものは、ブロック長の最確分布を有する。本開示の一実施形態では、エチレンマルチブロックインターポリマーは、以下を有するものとして定義される。
【0056】
(A)約1.7~約3.5のMw/Mn、摂氏での少なくとも1つの融点Tm、およびグラム/立方センチメートルでの密度dを有し、Tmおよびdの数値は、以下の関係に対応し、
Tm>-2002.9+4538.5(d)-2422.2(d)2、または
【0057】
(B)約1.7~約3.5のMw/Mnを有し、かつJ/gでの融解熱ΔH、および最高DSCピークと最高結晶化分析分画(「CRYSTAF」)ピークとの間の温度差として定義される摂氏でのデルタ量ΔTを特徴とし、ΔTおよびΔHの数値は、以下の関係を有し、
ゼロ超~最大130J/gまでのΔHについて、ΔT>-0.1299(ΔH)+62.81、
130J/gを超えるΔHについて、ΔT≧48℃、
CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して決定され、ポリマーの5パーセント未満が識別可能なCRYSTAFピークを有する場合、CRYSTAF温度は30℃であり、または
【0058】
(C)エチレン/α-オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムで測定した300%歪みおよび1サイクルでの弾性回復率Re、ならびにグラム/立方センチメートルでの密度d、エチレン/α-オレフィンインターポリマーが架橋相を実質的に有しない場合、Reおよびdの数値は、以下の関係を満たし、
Re>1481-1629(d)、または、
【0059】
(D)TREFを使用して分画されたときに40℃~130℃で溶出する分子量画分であって、画分が、同じ温度の間で溶出する同程度のランダムエチレンインターポリマー画分のものよりも少なくとも5パーセント高いモルコモノマー含有量を有することを特徴とする、分子量画分を有し、当該同程度のランダムエチレンインターポリマーが、同じコモノマー(複数可)を有し、かつメルトインデックス、密度、およびエチレン/α-オレフィンインターポリマーのものの10パーセント以内のモルコモノマー含有量(ポリマー全体に基づく)を有し、または
【0060】
(E)25℃での貯蔵弾性率G’(25℃)、および100℃での貯蔵弾性率G’(100℃)を有し、G’(25℃)のG’(100℃)に対する比率は、約1:1~約9:1の範囲にある。
【0061】
エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーはまた、以下も有してもよい。
【0062】
(F)TREFを使用して分画されたときに40℃~130℃の間で溶出する分子画分であって、画分が、少なくとも0.5~最大約1のブロックインデックス、および約1.3を超える分子量分布Mw/Mnを有することを特徴とする、分子画分、または
【0063】
(G)ゼロよりも大きく、最大約1.0の平均ブロックインデックス、および約1.3を超える分子量分布Mw/Mn。
【0064】
本発明のエチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーの調製に使用するのに適切なモノマーには、エチレンおよびエチレン以外の1つ以上の付加重合性モノマーが含まれる。適切なコモノマーの例として、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-l-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、および1-エイコセン等の3~30個、または3~20個、または4~8個の炭素原子の直鎖もしくは分岐α-オレフィン;シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5-メチル-2-ノルボルネン、テトラシクロドデセン、および2-メチル-1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロナフタレン等の3~30個、または3~20個の炭素原子のシクロオレフィン;ブタジエン、イソプレン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ペンタジエン、1,4-ペンタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,4-ヘキサジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-オクタジエン、1,4-オクタジエン、1,5-オクタジエン、1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン、および5,9-ジメチル-1,4,8-デカトリエン等のジ-およびポリオレフィン;ならびに3-フェニルプロペン、4-フェニルプロペン、1,2-ジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、および3,3,3-トリフルオロ-1-プロペンが挙げられる。
【0065】
ある実施形態では、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、スチレンを含まない(すなわち、スチレンを有しない)。
【0066】
エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,858,706号に記載されているような鎖シャトリング工程を介して生産され得る。具体的には、適切な鎖シャトリング剤および関連情報は、第16欄39行目~第19欄44行目に列記されている。適切な触媒は、第19欄45行目~第46欄19行目に記載され、適切な共触媒は、第46欄20行目~第51欄28行目に記載されている。この工程は、本明細書を通して記載されているが、特に第51欄29行目~第54欄56行目に記載されている。この工程はまた、例えば、以下の、米国特許第7,608,668号、同第7,893,166号、および同第7,947,793号にも記載されている。
【0067】
ある実施形態では、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、硬質セグメントおよび軟質セグメントを有し、スチレンを有せず、(i)エチレン、および(ii)C4-C8α-オレフィンコモノマーからなり、かつ以下を有するものとして定義される。
【0068】
1.7~3.5Mw/Mn、摂氏での少なくとも1つの融点Tm、およびグラム/立方センチメートルでの密度dを有し、Tmおよびdの数値は、以下の関係に対応し、
Tm<-2002.9+4538.5(d)-2422.2(d)2、
式中、dは、0.86g/cc、または0.87g/cc、または0.88g/cc~0.89g/ccであり、
Tmは、80℃、または85℃、または90℃~95℃、または99℃、または100℃、または105℃~110℃、または115℃、または120℃、または125℃である。
【0069】
ある実施形態では、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、エチレン/オクテンマルチブロックコポリマー(エチレンおよびオクテンコモノマーのみからなる)であり、下記(i)~(ix)の特性ののうちの1つ、いくつか、任意の組み合わせ、または全てを有する。
【0070】
(i)80℃、または85℃、または90℃~95℃、または99℃、または100℃、または105℃~110℃、または115℃、または120℃、または125℃の融解温度(Tm)、
【0071】
(ii)0.86g/cc、または0.87g/cc、または0.88g/cc~0.89g/ccの密度、
【0072】
(iii)50~85重量%の軟質セグメントおよび40~15重量%の硬質セグメント、
【0073】
(iv)軟質セグメント中の10モル%、または13モル%、または14モル%、または15モル%~16モル%、または17モル%、または18モル%、または19モル%、または20モル%のオクテン、
【0074】
(v)硬質セグメント中の0.5モル%、または1.0モル%、または2.0モル%、または3.0モル%~4.0モル%、または5モル%、または6モル%、または7モル%、または9モル%のオクテン、
【0075】
(vi)1g/10分、または2g/10分、または5g/10分、または7g/10分~10g/10分、または15g/10分~20g/10分のメルトインデックス(MI)、
【0076】
(vii)65、または70、または71、または72~73、または74、または75、または77、または79、または80のショアA硬度、
【0077】
(viii)ASTM D 1708に従って測定された21℃での300%分-1変形率で、50%、または60%~70%、または80%、または90%の弾性回復率(Re)。
【0078】
(ix)ブロックの多分散分布およびブロックサイズの多分散分布。
【0079】
ある実施形態では、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、エチレン/オクテンマルチブロックコポリマーである。
【0080】
本発明のエチレン/α-オレフィンブロックコポリマーは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含んでもよい。
【0081】
ある実施形態では、エチレン/オクテンマルチブロックコポリマーは、商品名INFUSE(商標)の下で販売されており、米国ミシガン州ミッドランド所在のThe Dow Chemical Companyから入手可能である。さらなる実施形態では、エチレン/オクテンマルチブロックコポリマーは、INFUSE(商標)9817である。
【0082】
ある実施形態では、エチレン/オクテンマルチブロックコポリマーは、INFUSE(商標)9500である。
【0083】
ある実施形態では、エチレン/オクテンマルチブロックコポリマーは、INFUSE(商標)9507である。
【0084】
2.高密度ポリエチレン
基部(および任意選択で付属部全体)は、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーと高密度ポリエチレンとのポリマーブレンドから構成される。「高密度ポリエチレン」(または「HDPE」)は、エチレンホモポリマー、または少なくとも1つのC3-C10α-オレフィンコモノマーを有するエチレン/α-オレフィンコポリマーであり、0.940g/cc、もしくは0.945g/cc、もしくは0.950g/cc、もしくは0.955g/cc、もしくは0.960g/cc、もしくは0.965g/cc、もしくは0.970g/cc、もしくは0.975g/cc、もしくは0.980g/ccを超える密度を有する。適切なコモノマーの非限定的な例として、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、および1-オクテンが挙げられる。HDPEは、エチレン、すなわち、重合エチレンに由来する、少なくとも50重量パーセントの単位、または少なくとも70重量パーセント、または少なくとも80重量パーセント、または少なくとも85重量パーセント、または少なくとも90重量パーセント、または少なくとも95重量パーセントのエチレンを重合形態で含む。HDPEは、単峰性コポリマーまたは多峰性コポリマーであり得る。「単峰性エチレンコポリマー」は、分子量分布を示すゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)において1つの明確なピークを有するエチレン/C4-C10α-オレフィンコポリマーである。「多峰性エチレンコポリマー」は、分子量分布を示すGPCにおいて少なくとも2つの明確なピークを有するエチレン/C4-C10α-オレフィンコポリマーである。多峰性は、2つのピークを有するコポリマー(二峰性)ならびに3つ以上のピークを有するコポリマーを含む。
【0085】
ある実施形態では、HDPEは、以下の特性のうちの1つ、いくつか、または全てを有し、以下の特性(i)~(iv)のうちの1つ、いくつか、任意の組み合わせ、または全てを有する。
【0086】
(i)0.950g/cc、もしくは0.955g/cc、もしくは0.960g/cc~0.965g/cc、もしくは0.970g/cc、もしくは0.975g/cc、もしくは0.980g/ccの密度、および/または
【0087】
(ii)0.5g/10分、もしくは1.0g/10分、もしくは1.5g/10分、もしくは2.0g/10分~2.5g/10分、もしくは3.0のメルトインデックス(MI)、および/または
【0088】
(iii)125℃、もしくは128℃、もしくは130℃~132℃、もしくは135℃、もしくは137℃の融解温度(Tm)、および/または
【0089】
(iv)二峰性分子量分布。
【0090】
ある実施形態では、HDPEは、0.955g/cc、または0.957g/cc、または0.959g/cc~0.960g/cc、または0.963g/cc、または0.965g/ccの密度を有し、かつ1.0g/10分、または1.5g/10分、または2.0g/10分~2.5g/10分、または3.0g/10分のメルトインデックスを有する。
【0091】
適切な市販のHDPEの非限定的な例として、CONTINUUM(商標)およびUNIVAL(商標)の商品名の下で販売されている、Dow高密度ポリエチレン樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
HDPEは、LLDPE、m-LLDPE ULDPE、VLDPE、EPE、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー、エチレンプラストマー/エラストマー、およびLDPEの種類のエチレン系ポリマーの各々とは異なる。
【0093】
基部および/または付属部全体は、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー/HDPEのポリマーブレンドから構成される。エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーとHDPEとのポリマーブレンドは、60重量%、もしくは65重量%、もしくは70重量%、もしくは75重量%~80重量%、もしくは85重量%、もしくは90重量%のエチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーおよび相互量のHDPE、または40重量%、もしくは35重量%、もしくは30重量%、もしくは25重量%、もしくは20重量%、もしくは15重量%、もしくは10重量%のHDPEを含む。
【0094】
ある実施形態では、付属部全体は、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーおよびHDPEのポリマーブレンドから構成され、70重量%、もしくは73重量%、もしくは75重量%~78重量%、もしくは80重量%、もしくは83重量%、もしくは85重量%、もしくは87重量%、もしくは90重量%のエチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー、および相互量のHDPE、または30重量%、もしくは27重量%、もしくは25重量%~22重量%、もしくは20重量%、もしくは17重量%、もしくは15重量%、もしくは13重量%、もしくは10重量%のHDPEを含む。
【0095】
ある実施形態では、付属部全体は、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーおよびHDPEのポリマーブレンドから構成され、70重量%、もしくは73重量%、もしくは75重量%~78重量%、もしくは80重量%、もしくは83重量%、もしくは85重量%、もしくは87重量%、もしくは90重量%のエチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー、および相互量のHDPE、または30重量%、もしくは27重量%、もしくは25重量%~22重量%、もしくは20重量%、もしくは17重量%、もしくは15重量%、もしくは13重量%、もしくは10重量%のHDPEを含み、ポリマーブレンドは、以下の特性のうちの1つ、いくつか、または全てを有する。
【0096】
(i)80(29)、もしくは83(31)、もしくは85(33)、もしくは87(35)、もしくは89(38)、もしくは90(39)、もしくは91(40)、もしくは93(44)、もしくは95(46)、もしくは97(50)、もしくは99(56)、もしくは100(59)のショアA硬度(括弧内のショアD硬度)、および/または
【0097】
(ii)180%、もしくは200%、もしくは220%、もしくは240%、もしくは260%、もしくは280%、もしくは300%、もしくは320%~340%、もしくは360%、もしくは380%、もしくは400%、もしくは410%の破断点伸び、および/または
【0098】
(iii)50MPa、もしくは75MPa、もしくは100MPa、もしくは125MPa、もしくは150MPa、もしくは175MPa、もしくは200MPa~225MPa、もしくは250MPa、もしくは275MPaの引張弾性率。
【0099】
付属部および関連特性のためのエチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーおよびHDPEのポリマーブレンドの非限定的な例を、以下の表1に記載する。
【0100】
【0101】
3.多層フィルム
本発明の可撓性容器は、第1の多層フィルムおよび第2の多層フィルムを含む。ある実施形態では、可撓性容器8は、
図1に示すように、第1の多層フィルム16(前面フィルム)および第2の多層フィルム18(背面フィルム)を含む。用語「第1の多層フィルム」および用語「前面フィルム」は、同じ意味で使用される。用語「第2の多層フィルム」および用語「背面フィルム」は、同じ意味で使用される。
【0102】
付属部基部10は、2つの対向する多層フィルムの間に載置され、その後多層フィルムにシールされる。各多層フィルム16、18は、オレフィン系ポリマーを含有するそれぞれのシール層を有する。
【0103】
ある実施形態では、各多層フィルム16、18は、少なくとも1つ、または少なくとも2つ、または少なくとも3つの層を有する可撓性フィルムから作製される。可撓性フィルムは、弾力性、可撓性、変形可能、かつ柔軟である。各可撓性フィルム16、18の構造および組成は、同一であっても、または異なっていてもよい。例えば、各多層フィルム16、18は、別々の織布から作製されてもよく、各織布は、特有の構造および/または特有の組成、仕上がり、または印刷を有する。代替として、各多層フィルム16、18は、同一の構造および同一の組成であり得る。
【0104】
可撓性多層フィルムは、ポリマー材料から構成される。適切なポリマー材料の非限定的な例として、オレフィン系ポリマー、プロピレン系ポリマー、エチレン系ポリマー、ポリアミド(ナイロン等)エチレン-アクリル酸またはエチレン-メタクリル酸および亜鉛、ナトリウム、リチウム、カリウムまたはマグネシウム塩とのそれらのアイオノマー、エチレン酢酸ビニル(EVA)コポリマー、およびそれらのブレンドが挙げられる。可撓性多層フィルムは、印刷可能であるか、または可撓性容器8上に印を表示するための感圧性ラベルもしくは他の種類のラベルの受容に適合性であるかのいずれかであり得る。
【0105】
ある実施形態では、可撓性多層フィルムが提供され、少なくとも3つの層、(i)最外層、(ii)1つ以上のコア層、および(iii)最内シール層を含む。最外層(i)および最内シール層(iii)は表面層であり、表面層の間に挟まれた1つ以上のコア層(ii)を有する。最外層は、(a-i)HDPE、(b-ii)プロピレン系ポリマー、または(a-i)および(b-ii)の組み合わせ、単独で、またはLDPE等の他のオレフィン系ポリマーとの組み合わせを含み得る。適切なプロピレン系ポリマーの非限定的な例として、プロピレンホモポリマーランダムプロピレン/α-オレフィンコポリマー(10重量%未満のエチレンコモノマーを有する大部分の量のプロピレン)、プロピレンインパクトコポリマー(マトリックス相中に分散された異相プロピレン/エチレンコポリマーゴム相)が挙げられる。
【0106】
1つ以上のコア層(ii)を用いて、本発明の多層フィルム(16、18)中の全層の数は、3層(1コア層)、または4層(2コア層)、または5層(3コア層、または6層(4コア層)、または7層(5コア層)~8層(6コア層)、または9層(7コア層)、または10層(8コア層)、または11層(9コア層)以上であり得る。
【0107】
各多層フィルム16、18は、75ミクロン、または100ミクロン、または125ミクロン、または150ミクロン~200ミクロン、または250ミクロン、または300ミクロン、または350ミクロン、または400ミクロンの厚さを有する。
【0108】
ある実施形態では、各多層フィルム16、18は、同一の構造および同一の組成を有する可撓性多層フィルムである。
【0109】
可撓性多層フィルム16、18は、(i)共押出多層構造、または(ii)積層物、または(iii)(i)および(ii)の組み合わせであってもよい。ある実施形態では、可撓性多層フィルムは、少なくとも3つの層、つまり、シール層、外層、およびその間の結合層を有する。結合層は、シール層を外層に隣接させる。可撓性多層フィルムは、シール層と外層との間に配設された1つ以上の任意選択の内層を含み得る。
【0110】
ある実施形態では、可撓性多層フィルムは、少なくとも2つ、または3つ、または4つ、または5つ、または6つ、または7つ~8つ、または9つ、または10、または11以上の層を有する、共押出フィルムである。例えば、フィルムを構築するために使用されるいくつかの方法は、キャスト共押出法またはブロー共押出法によるもの、接着積層、押出積層、熱積層、および蒸着等のコーティングである。また、これらの方法の組み合わせも可能である。フィルム層は、ポリマー材料に加えて、包装産業で一般的に使用される安定剤、スリップ添加剤、粘着防止添加剤、加工助剤、清澄剤、核剤、顔料または着色剤、充填剤および補強剤等の添加剤を含み得る。適切な感覚刺激特性および/または光学特性を有する添加剤およびポリマー材料を選択することが特に有用である。
【0111】
ある実施形態では、最外層は、HDPEを含む。さらなる実施形態では、HDPEは、The Dow Chemical Companyによって提供されるELITE(商標)樹脂等の実質的に直鎖の多成分エチレン系コポリマー(EPE)である。
【0112】
ある実施形態では、各コア層は、0.908g/cc、または0.912g/cc、または0.92g/cc、または0.921g/cc~0.925g/cc、または0.93g/cc未満の密度を有する、1つ以上の直鎖もしくは実質的に直鎖のエチレン系ポリマーまたはブロックコポリマーを含む。ある実施形態では、1つ以上のコア層の各々は、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、極低密度ポリエチレン(VLDPE)、EPE、オレフィンブロックコポリマー(OBC)、プラストマー/エラストマー、およびシングルサイト触媒化された直鎖低密度ポリエチレン(m-LLDPE)から選択される1つ以上のエチレン/C3-C8α-オレフィンコポリマーを含む。
【0113】
ある実施形態では、シール層は、0.86g/cc、または0.87g/cc、または0.875g/cc、または0.88g/cc、または0.89g/cc~0.90g/cc、または0.902g/cc、または0.91g/cc、または0.92g/ccの密度を有する、1つ以上のエチレン系ポリマーを含む。さらなる実施形態では、シール層は、EPE、プラストマー/エラストマー、またはm-LLDPEから選択される、1つ以上のエチレン/C3-C8α-オレフィンコポリマーを含む。
【0114】
ある実施形態では、可撓性多層フィルムは、共押出フィルムであり、シール層は、直鎖もしくは実質的に直鎖のポリマー等のエチレン系ポリマー、または55℃~115℃のTm、および0.865~0.925g/cm3、もしくは0.875~0.910g/cm3、もしくは0.888~0.900g/cm3の密度を有する、エチレンと、1-ブテン、1-ヘキセン、もしくは1-オクテン等のアルファ-オレフィンモノマーとの、シングルサイト触媒化された直鎖もしくは実質的に直鎖のポリマーから構成され、外層は、170℃~270℃のTmを有するポリアミドから構成される。
【0115】
ある実施形態では、可撓性多層フィルムは、少なくとも5つの層を有する共押出フィルムおよび/または積層フィルムであり、共押出フィルムは、直鎖もしくは実質的に直鎖のポリマー等のエチレン系ポリマー、またはエチレンと、1-ブテン、1-ヘキセン、もしくは1-オクテン等のアルファ-オレフィンコモノマーとの、シングルサイト触媒化された直鎖もしくは実質的に直鎖のポリマーから構成されるシール層を有し、エチレン系ポリマーは、55℃~115℃のTm、および0.865~0.925g/cm3、もしくは0.875~0.910g/cm3、もしくは0.888~0.900g/cm3の密度を有し、最外層は、HDPE、EPE、LLDPE、OPET(二軸延伸ポリエチレンテレフタレート)、OPP(延伸ポリプロピレン)、BOPP(二軸延伸ポリプロピレン)、ポリアミド、およびそれらの組み合わせから選択される材料から構成される。
【0116】
ある実施形態では、可撓性多層フィルムは、少なくとも7つの層を有する共押出フィルムおよび/または積層フィルムである。シール層は、直鎖もしくは実質的に直鎖のポリマー等のエチレン系ポリマー、またはエチレンと、1-ブテン、1-ヘキセン、もしくは1-オクテン等のアルファ-オレフィンモノマーとの、シングルサイト触媒化された直鎖もしくは実質的に直鎖のポリマーから構成され、エチレン系ポリマーは、55℃~115℃のTm、および0.865~0.925g/cm3、もしくは0.875~0.910g/cm3、もしくは0.888~0.900g/cm3の密度を有する。外層は、HDPE、EPE、LLDPE、OPET、OPP、BOPP、ポリアミド、およびそれらの組み合わせから選択される材料から構成される。
【0117】
ある実施形態では、可撓性多層フィルムは、全ての層がエチレン系ポリマーからなる、3層以上の共押出(または積層)フィルムである。さらなる実施形態では、可撓性多層フィルムは、各層がエチレン系ポリマーからなる、3層以上の共押出(または積層)フィルムであり、(1)シール層は、直鎖もしくは実質的に直鎖のエチレン系ポリマー、またはエチレンと、1-ブテン、1-ヘキセン、もしくは1-オクテン等のアルファ-オレフィンコモノマーとのシングルサイト触媒化された直鎖もしくは実質的に直鎖のポリマーから構成され、エチレン系ポリマーは、55℃~115℃のTm、および0.865~0.925g/cm3、または0.875~0.910g/cm3、または0.888~0.900g/cm3の密度を有し、(2)外層は、HDPE、EPE、LLDPEまたはm-LLDPEから選択される1つ以上のエチレン系ポリマーを含み、(3)1つ以上のコア層の各々は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、極低密度ポリエチレン(VLDPE)、EPE、オレフィンブロックコポリマー(OBC)、プラストマー/エラストマー、およびシングルサイト触媒化された直鎖低密度ポリエチレン(m-LLDPE)から選択される1つ以上のエチレン/C3-C8α-オレフィンコポリマーを含む。
【0118】
ある実施形態では、可撓性多層フィルムは、OPETまたはOPPを含有する少なくとも1つの層を有する共押出および/もしくは積層5層、または共押出(もしくは積層)7層フィルムである。
【0119】
ある実施形態では、可撓性多層フィルムは、ポリアミドを含有する少なくとも1つの層を有する共押出(もしくは積層)5層、または共押出(もしくは積層)7層フィルムである。
【0120】
ある実施形態では、可撓性多層フィルムは、エチレン系ポリマー、または直鎖もしくは実質的に直鎖のポリマー、または90℃~106℃のTmを有する、エチレンと、1-ブテン、1-ヘキセン、もしくは1-オクテン等のアルファ-オレフィンモノマーとの、シングルサイト触媒化された直鎖もしくは実質的に直鎖のポリマーから構成されるシール層を有する7層の共押出(もしくは積層)フィルムである。外層は、170℃~270℃のTmを有するポリアミドである。フィルムは、シール層内のエチレン系ポリマーとは異なる、第2のエチレン系ポリマーから構成される内層(第1の内層)を有する。フィルムは、外層内のポリアミドと同一のまたはそれとは異なるポリアミドから構成される内層(第2の内層)を有する。7層のフィルムは、100マイクロメートル~250マイクロメートルの厚さを有する。
【0121】
4.付属部シール
前面フィルム16および背面フィルム18は、共通の周縁部20の周りにシールされる。可撓性容器8は、周縁部20の一部分に沿って位置する付属部シール22を含む。付属部シール22は、前面フィルム16と背面フィルム18との間に挟まれた基部12、(ii)前面フィルム16と基部12との間の溶接部24、(iii)背面フィルム18と基部12との間の溶接部26、(iv)前面フィルム16と背面フィルム18との間の溶接部28、ならびに(v)
図3に示すように基部12の両側から延在する原位置ウィングレット30および原位置ウィングレット32を含む。
【0122】
付属部シール22は、2016年9月26日に出願された同時係属中の米国特許出願第15/276,014号に開示されているように、凹面を有する対向シールバーがフィルム-基部-フィルムの挟み込みをシールして原位置ウィングレット30、32を形成する、単段階ヒートシール工程によって形成される。溶接部24、26、28は、(i)それぞれの各多層フィルム16、18のシール層中のオレフィン系ポリマーの一部分および(ii)基部12中に存在するエチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーとHDPEとのポリマーブレンドの一部分を融解するか、または流動状態にするヒートシール工程によって形成される。このようにして、溶接部24および溶接部26は、(i)エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーおよびHDPE(基部12から)、(ii)オレフィン系ポリマー(シール層から)、または(iii)(i)および(ii)の組み合わせから構成されるか、またはそれから形成される。溶接部28は、多層フィルム16、18からのオレフィン系ポリマーから構成されるか、またはそれから形成される。
【0123】
原位置ウィングレット30、32は、付属部シール22を作成するヒートシール工程中に形成される。本明細書で使用する場合、「原位置ウィングレット」は、基部12の延在部である構造であり、原位置ウィングレットは、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー(基部12から)から構成される流動性コーキングのポリマー固化物であり、コーキングは、基部が熱下で平坦化されるときに作成され、コーキングは、続いてフィルムと基部との間の接合部の間隙がピンチされ、閉鎖されるときに固化される。原位置ウィングレットは、(i)エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーおよびHDPE(基材12から)、または(ii)エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーとオレフィン系ポリマーとのブレンド(シール層から)から構成されるか、またはそれから形成される。
【0124】
容器を作製するための付属部をフィルムにシールするシールバーの熱および応力は限定される。低弾性ポリオレフィン(例えば、LDPEのみ、またはHDPEのみ)から構成される付属部は粉砕し、亀裂が入り、破断し、使用することができない。ポリオレフィンエラストマー(例えば、ENGAGEまたはVERSIFYエラストマー)から構成される付属部は、変形を呈することができるが、十分には回復しないか、または溶接して閉じられる。架橋エラストマー(例えば、TPV)から構成される付属部は、完全に回復し得るが、十分にはシールせず、密封シールを形成しない。驚くべきことに、出願者は、本発明のエチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーとHDPEとのポリマーブレンドから構成される付属部が、回復(反跳)し、それ自体にはシールせず、対向シールバーヒートシール技術を使用して容器のフィルムの付属部をシールすることを発見した。具体的には、50%~90%の弾性回復率を有する本発明のエチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーとHDPEとのブレンドから構成される基部12は、ひび割れ、亀裂、または破断せずにシールするには十分可撓性であり、さらに、反跳し、跳ね返り、シール後に楕円形の断面形状に開くには十分弾性である。
【0125】
ある実施形態では、各原位置ウィングレットは、0.5mm、または1.0mm、または2.0mm、または3.0mm、または4.0mm、または5.0mmの長さB(
図3)を有する。
【0126】
ある実施形態では、基部12は、壁15を有する。壁15は、0.3mm、または0.4mm、または0.5mm、または0.6mm、または0.7mm、または0.8mm、または0.9mm、または1.0mm~1.2mm、または1.5mm、または1.7mm、または1.9mm、または2.0mmの厚さを有する。
【0127】
ある実施形態では、基部12は、楕円の形状を有する断面を有する。楕円の形状の非限定的例として、円形、実質的に円形、レンズ形、および両凸が挙げられる。
【0128】
ある実施形態では、楕円形断面は、
図3に示すように、長軸Cおよび短軸Dを有する。短軸に対する長軸の長さの比(mm)は、4:1、または3:1、または2:1~1:1である。
【0129】
ある実施形態では、付属部シール22は、密封シールである。
【0130】
ある実施形態では、付属部シール22は、硬質シールである。本明細書で使用する場合、「ハードシール」は、フィルムを破壊せずに手で分離することができないヒートシールである。ハードシールは、フランジブルシールとは異なる。本明細書で使用する場合、「フランジブルシール」は、フィルムを破壊せずに手で分離することができる(または剥がすことができる)ヒートシールである。一般的に、フランジブルシールは、シールに指の圧力または手の圧力を加えることで分離または開くことができるように設計される。ハードシールは、シールに指の圧力または手の圧力を加えても無傷のままであるように設計される。
【0131】
5.可撓性容器
本発明の可撓性容器は、箱型パウチ、ピローパウチ、注ぎ口付きのk-シールパウチ、注ぎ口付きで横にガセットが付いたパウチであり得る。容器内に装着された付属部(注ぎ口もしくは弁または他のもの)の位置は、2つのフィルムの間にシールが存在するところであればどこであってもよく、すなわち、例えば、前方パネルに対する底部ガセットのシールにおける頂部、側部、またはさらには、底部であってもよい。換言すると、付属部シール22は、可撓性容器上の2つのフィルムが交わり、一緒にヒートシールされるところのどこかに位置するか、または形成され得る。付属部シール22の適切な位置の非限定的な例として、可撓性容器の頂部、底部、側部、角部、ガセット範囲が含まれる。
【0132】
本発明の可撓性容器は、ハンドルの有無にかかわらず形成され得る。
【0133】
ある実施形態では、可撓性容器は、
図1および4に示すように、スタンドアップパウチ(SUP)である。SUPは、ガセット34を含む。ガセット34は、前面フィルム16の下部および/または背面フィルム18の下部に取り付けられるか、またはそこから延在する。ガセット34は、ガセットフィルム36およびガセットリム38を含む。ガセット34は、ヒートシール、溶接(超音波または高周波または無線周波)、接着剤、およびそれらの組み合わせによって形成されてもよい。ガセット34、フィルム16、18、および付属部シール22は、例えば液体等の流動性物質を保持するための、閉鎖および密閉シールされたチャンバを画定する。
【0134】
ガセット34は、可撓性ポリマー材料から作製される。ある実施形態では、ガセット34は、前面フィルム16および背面フィルム18と同一の構造および組成を有する多層フィルムから作製される。ガセット34は、(1)漏らすことなくSUPおよびその内容物を支持するための構造的統合性、および(2)SUPが倒れずに直立する(すなわち、水平の表面、または実質的に水平の表面等の支持表面に基づく)ための安定性を提供する。この意味で、このパウチは、「スタンドアップ」パウチである。
【0135】
ある実施形態では、ガセット34は、多層フィルム16、18のうちの1つまたは両方の延在部である。折り畳み手順は、フィルム16、18のうちの1つまたは両方からガセット34を形成する。
【0136】
ガセットリム38は、SUPの設置面積を画定する。設置面積は、様々な形状を有し得る。設置面積の適切な形状の非限定的な例として、円形、正方形、長方形、三角形、卵形、楕円形、眼の形、および涙形が挙げられる。さらなる実施形態では、設置面積の形状は、楕円形である。
【0137】
ある実施形態では、可撓性容器は、クロージャを含む。適切なクロージャの非限定的な例として、ねじ式キャップ、押し上げ蓋式キャップ、スナップキャップ、液体または飲料分注付属部(コックの栓または親指プランジャ)、Colder付属部コネクタ、開封明示付き注ぎ口、垂直ひねりキャップ、水平ひねりキャップ、無菌キャップ、バイトッププレス(vitop press)、プレスタップ、プッシュオンタップ、レバーキャップ、コンロ(conro)付属部コネクタ、ならびに他の種類の取り外し可能な(および任意選択で再閉鎖可能な)クロージャが挙げられる。クロージャおよび/または付属部は、ガスケットを含んでも含まなくてもよい。
【0138】
ある実施形態では、可撓性容器は、
図1Aおよび
図1Bに示すように、ねじキャップ40であるクロージャを含む。付属部の頂部14のねじ山17とねじキャップ40の相互ねじ山42は、互いに係合して、ねじキャップが付属部10に完全にねじ込まれると付属部10とねじキャップ40との間に気密シールを提供する。
【0139】
ある実施形態では、可撓性容器8は、0.25リットル(L)、または0.5L、または0.75L、または1.0L、または1.5L、または2.5L、または3L、または3.5L、または4.0L、または4.5L、または5.0L~6.0L、または7.0L、または8.0L、または9.0L、または10.0L、または20L、または30Lの容積を有する。
【0140】
ある実施形態では、本発明の可撓性容器は、90重量%~100重量%のエチレン系ポリマーから作製され、フィルム16、18およびガセット34は、可撓性多層フィルムから構成され、層の材料は、LLDPE、LDPE、HDPE、およびこれらの組み合わせ等のエチレン系ポリマーから選択され、付属部10は、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーおよびHDPEから構成される。重量パーセントは、可撓性容器(内容物を含まない)の総重量に基づく。90重量%~100重量%のエチレン系ポリマーから作製された可撓性容器は、容易にリサイクル可能であるため、有利である。
【0141】
本発明の可撓性容器は、液体食料品(飲料等)、油、塗料、グリース、化学物質、液体中の固体の懸濁液、および固体粒子状物質(粉末、穀物、粒状固体)を含むがこれらに限定されない、流動性物質の貯蔵に適切である。適切な液体の非限定的な例として、シャンプー、コンディショナー、液体石鹸、ローション、ジェル、クリーム、バーム、および日焼け止め剤等の液体パーソナルケア製品が挙げられる。他の適切な液体としては、家庭用手入れ用/洗浄用製品および自動車用手入れ用製品が挙げられる。他の液体としては、調味料(ケチャップ、マスタード、マヨネーズ)および乳幼児食品等の液体食品が挙げられる。
【0142】
本発明の可撓性容器は、より高い粘度を有し、放出するために容器への圧搾力の適用を必要とする、流動性物質の貯蔵に適切である。このような圧搾可能な流動性物質の非限定的な例として、グリース、バター、マーガリン、石鹸、シャンプー、動物飼料、ソース、および乳幼児食品が挙げられる。
【0143】
限定するものではなく、例として、本開示の実施例が提供される。
【実施例】
【0144】
以下の表2に示す構造を有する可撓性多層フィルムを、本実施例において使用する。
【0145】
1.多層フィルム
【0146】
【0147】
2.付属部
付属部の9つの比較試料(CS)および4つの本発明の実施例(IE)を調製する。各付属部の寸法は同一で、材料のみが付属部全体で異なる。CS付属部は、100重量%のINFUSE 9817から構成される。本発明の付属部は、70重量%のINFUSE 9817および30重量%のDMDC-1250 NT 7 HDPEから構成される。各付属部は、0.8mmの厚さおよび12.5mmの基部内径、および14.1mmの基部外径を有する基部壁を有する。
【0148】
付属部の材料および組成を以下の表3に示す。
【0149】
【0150】
3.加工条件
各付属部を、シール層が互いに向き合った状態で、フィルム1(表2)の2つの対向するフィルム間に載置する。
【0151】
各付属部-フィルム構成を、以下の条件で、2016年9月26日に出願された同時係属出願第15/276,014号に記載されるように、平らな前面と平らな凹面との間に凹面を有する対向シールバーを利用してヒートシール工程に供する。
【0152】
【0153】
ヒートシール手順は、
図1~5に示すようにスタンドアップパウチ(SUP)である可撓性容器を生産する。
【0154】
4.漏れ検査
Lippke試験は、SUPの追加のシールの統合性を評価する。Lippke試験は、下記の表5に記載されている条件に従って、可撓性容器を針で穿孔し、空気を150ミリバールに加圧した。60秒後、圧力差を記録する。可撓性容器に破損がなければ、圧力に変化は無い。可撓性容器試料は、裂け目または破損が存在する場合にそこから出てくる気泡を観察することができるように水槽に沈める。Lippke試験によって、破損が3重のシール点から、または付属部とクロージャとの接合部の不具合等の異なる原因に由来するかが判断される。
【0155】
可撓性容器の漏れ試験を、以下のパラメータで実行する。
【0156】
【0157】
可撓性容器を150ミリバールの内圧に供する。試験は、沈降のための60秒間の待機を伴う。圧力降下を60秒間測定する。次いで、可撓性容器を水中に沈め、注ぎ口/キャップ接合部を観察して、気泡形成が発生するか否かを監視する。圧力降下値が高いほど、パッケージ内の漏れが多いことを示す。
【0158】
【0159】
表6は、60~90重量%のエチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーと(具体的にはエチレン/オクテンマルチブロックコポリマー)と40~10重量%のHDPEとの本発明のポリマーブレンドで作製された付属部が、ヒートシール工程中の変形が少ないことを呈し、また、100重量%のエチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーから構成される付属部と比較して、改善された反跳およびヒートシール後の回復も呈することを示す。
【0160】
エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーとHDPEとのポリマーブレンドで作製された本発明の付属部は、100重量%のエチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーで作製された付属部と比較して、より完全な程度まで回復する(ヒートシール後)。本発明の付属部は、ヒートシール後に円形または実質的に円形の断面形状に回復する。本発明の付属部の円形断面シール後形状は、100重量%のエチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーから作製された付属部と比較した場合のより低いLippke試験圧力降下によって実証されるように、より良好な付属部とクロージャとのシールをもたらす。
【0161】
本開示が、本明細書に含まれる実施形態および例示に限定されず、実施形態の一部、および異なる実施形態の要素の組み合わせを含むこれらの実施形態の修正された形態を、以下の特許請求の範囲内に含むことが明確に意図される。
なお、本発明には以下の態様が含まれることを付記する。
〔態様1〕
可撓性容器であって、
第1の多層フィルムおよび第2の多層フィルムであって、各多層フィルムが、シール層を備え、前記多層フィルムが、前記シール層が互いに対向し、かつ前記第2の多層フィルムが前記第1の多層フィルムの上に重ねられるように配置され、前記フィルムが、共通の周縁部に沿ってシールされる、第1の多層フィルムおよび第2の多層フィルムと、
基部を備える付属部であって、前記基部が、60重量%~90重量%のエチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーと40重量%~10重量%の高密度ポリエチレン(HDPE)とのポリマーブレンドを含む、付属部と、
前記多層フィルム間に位置する前記基部を備える付属部シールであって、前記基部が、前記共通の周縁部の一部分で各多層フィルムにシールされる、付属部シールと、を備える、可撓性容器。
〔態様2〕
前記HDPEが、0.955g/cc~0.965g/ccの密度を有する、態様1に記載の可撓性容器。
〔態様3〕
前記HDPEが、1.0g/10分~3.0g/10分のメルトインデックスを有する、態様2に記載の可撓性容器。
〔態様4〕
前記HDPEが、二峰性HDPEである、態様3に記載の可撓性容器。
〔態様5〕
前記基部が、0.3mm~2.0mmの壁厚を有する、態様1に記載の可撓性容器。
〔態様6〕
前記ポリマーブレンドが、ASTM D 1708に従って測定された50%~90%の弾性回復率を有する、態様1に記載の可撓性容器。
〔態様7〕
前記ポリマーブレンドが、80~100のショアA硬度を有する、態様1に記載の可撓性容器。
〔態様8〕
前記ポリマーブレンドが、180%~410%の破断点伸びを有する、態様1に記載の可撓性容器。
〔態様9〕
前記ポリマーブレンドが、50MPa~275MPaの引張弾性率を有する、態様1に記載の可撓性容器。
〔態様10〕
前記基部が、原位置で形成されたウィングレットを備える、態様1に記載の可撓性容器。
〔態様11〕
前記シール層が、エチレン系ポリマーから構成される、態様1に記載の可撓性容器。
〔態様12〕
前記付属部が、前記基部から延在する頂部を備え、前記基部および前記頂部が前記ポリマーブレンドから構成される、態様1に記載の可撓性容器。
〔態様13〕
前記可撓性容器が、スタンドアップパウチである、態様12に記載の可撓性容器。
〔態様14〕
前記付属部に固定されたクロージャを備える、態様1に記載の可撓性容器。
〔態様15〕
前記可撓性容器が、Lippke試験に従って測定された600Pa未満の圧力降下を呈する、態様14に記載の可撓性容器。