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▶ レヴォルーショナリィ メディカル ディヴァイセズ、インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】換気マスク
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/06 20060101AFI20220401BHJP
【FI】
A61M16/06 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019515265
(86)(22)【出願日】2017-08-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-07
(86)【国際出願番号】 US2017048046
(87)【国際公開番号】W WO2018052673
(87)【国際公開日】2018-03-22
【審査請求日】2020-07-27
(31)【優先権主張番号】62/394,405
(32)【優先日】2016-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/425,371
(32)【優先日】2016-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/467,808
(32)【優先日】2017-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/510,192
(32)【優先日】2017-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519089956
【氏名又は名称】レヴォルーショナリィ メディカル ディヴァイセズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペドロ、マイケル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】レイリー、トマス エム.
(72)【発明者】
【氏名】レッドフォード、ライアン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ケイン、デーヴィド エム.
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-172347(JP,A)
【文献】米国特許第04231363(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0285466(US,A1)
【文献】特開2004-321721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクの着用時に患者の上唇の上に重なるように適合される、マスクの下側部分に隣接して固定される、可撓性材料又は弾性変形可能材料で形成される呼気スクープを有する鼻用マスクであって、前記呼気スクープが邪魔にならないようにするために押しつぶされるか又はそれ自体で折り畳まれるように適合され、それにより患者の口へのアクセスを可能にする、鼻用マスク。
【請求項2】
患者の口及び鼻から吐き出される呼気COを採取するための呼気終末COポートを更に有し、前記呼気終末COポートが、インターフェース・コネクタに接続されるためのインターフェース、また好適にはルアー・ロックを任選選択で装備し、並びに/或いはマスクが、麻酔機械、換気機械、ハイパーインフレーション・バッグ、又は他の換気アクセサリ若しくはガス・アクセサリに取り付けられるように適合される換気ポート、及び/又は前記マスクの内部に酸素を供給するための酸素供給源に接続されるように適合される酸素ポートを有する、請求項1に記載のマスク。
【請求項3】
マスクの着用時に患者の上唇に被さるように適合される、マスクの下側部分に隣接して固定される呼気スクープを有する鼻用マスクであって、前記呼気スクープが、前記マスクの着用時に患者の口へアクセスするのを可能にする開口部と、前記開口部を閉鎖するための、前記呼気スクープの内部表面上に配置される可撓性フラップとを有し、前記開口部が、好適には、アパーチャ、或いは1つ又は複数のスリットを備える、鼻用マスク。
【請求項4】
鼻用チャンバを形成する内部と、鼻用マスクの下側部分に隣接して固定される呼気スクープと、を有する鼻用マスクであって、前記呼気スクープは、マスクの着用時に患者の上唇の上に重なるように適合され前記鼻用マスクが、前記患者の口から吐き出される呼気COを採取するための第1の開口部と、患者の鼻から吐き出される呼気COを採取するための第2の開口部とを有する、鼻用マスク。
【請求項5】
前記呼気スクープが可撓性又は弾性変形可能であり、邪魔にならないようにするために押しつぶされるか又はそれ自体で折り畳まれるように適合され、それにより患者の口へのアクセスを可能にし、並びに/或いは前記マスクが、麻酔機械、換気機械、ハイパーインフレーション・バッグ、又は換気アクセサリ若しくはガス・アクセサリに取り付けられるように適合される換気ポート、又は前記マスクの内部に酸素を供給するための酸素供給源に接続されるように適合される酸素ポートを有する、請求項に記載のマスク。
【請求項6】
前記第1の開口部が、患者の上唇の上に重なるように呼気スクープ12の後方に位置し、前記第2の開口部が患者の鼻孔の下にあるように前記鼻用マスクの内側に位置する、請求項に記載のマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は麻酔マスク及び換気マスクの改善に関する。
【背景技術】
【0002】
手術中、患者は、通常、麻酔をかけた状態に置かれる。最も一般的な送達システムは、麻酔ガス及び酸素を含むキャニスタと、ガス流量及び患者の呼吸を調整するシステムと、呼吸、酸素供給、及び麻酔ガス混合物の送達のための患者の気道の能力(potency)を確保するデバイスとからなる。換気マスクが、緊急時及び/又は選択的な気道管理のいずれかにおいて患者に酸素を提供するのに使用され、限定しないが、これには、患者が手術のために麻酔をかけられる前、手術又は手技中に患者が鎮静剤を投与されるとき、患者が麻酔状態から回復するとき、患者が麻酔状態から回復した後、及び、患者が酸素補給を必要するような任意の事象中、等が含まれる。しかし、従来の換気マスクは理想的であるとは言えない。
【0003】
更に、手術中に患者に対して迅速な挿管処置を行うことが必要であるような状況が生じる可能性がある。フル・フェイス・マスク、つまり患者の鼻及び口の両方を覆うマスクは緊急性のある状況においては問題がある。その理由は、挿管処置を行うために患者の口を露わにするためにマスクを取り外さなければならないからである。しかし、マスクを取り外すことで、酸素の補給も排除されることになる。
【0004】
本発明者らの同時係属の国際特許出願公開第PCT/US2014/44934号、国際特許出願公開第PCT/US2015/034277号、及び国際特許出願公開第PCT/US2015/044341号(以下、’934、’277、及び’341PCT出願と称す)において、従来技術による上記の問題及び他の問題を克服する改善された換気/麻酔マスクを提供しており、これが、一態様において、互いに着脱自在に接続される、鼻用チャンバ及び口用チャンバをそれぞれ画定する、鼻部分又は鼻用マスクと、口部分又は口用マスクとを備えるコンビネーション・マスクを提供することによってなされ、ここでは、鼻用マスクが口用マスクとは別個に使用され得るか又はコンビネーション・マスク/口用マスクとして口用マスクに接続され得る。また、1つ又は複数のポートを備える鼻用マスクと、患者の顔の上でマスクを保持するための多様なストラップ・システムとを提供している。また、呼吸終末CO又は他のガスを感知するための1つ又は複数のセンサを備える、ガスを排出するための鼻のみのためのマスク(nasal only mask)を提供している。本発明者らの同時係属の国際特許出願公開第PCT/US16/037070号(以下、’070PCT出願と称す)を参照されたい。このような鼻用/口用コンビネーション・マスク(combination nasal/oral mask)及び鼻のみのためのマスクは、アリゾナ州、トゥーソンの、Revolutionary Medical Devices,Inc.からSuperN0VA(登録商標)の商標で市販されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際特許出願公開第PCT/US2014/44934号
【文献】国際特許出願公開第PCT/US2015/034277号
【文献】国際特許出願公開第PCT/US2015/044341号
【文献】国際特許出願公開第PCT/US16/037070号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、マスクの着用時に患者の上唇の少なくとも一部分に被せるように鼻用マスクの底部に隣接するところに呼気スクープを提供することにより、上記の本発明者らのPCT出願で説明されるマスク等の鼻用マスクの改善を実現するものである。呼気スクープが、可撓性の、好適には弾性変形可能である材料で形成され得、機械的に又は接着によりマスクに固定される。別法として、呼気スクープが、鼻用マスクの外側表面内にある適合する溝の中に嵌め込まれるためのリップを備えるように形成され得るか又はマスクと一体に形成され得る。呼気スクープが可撓性であり、それにより、患者の上に鼻用マスクが留まるようにしながら、外科医が呼気スクープを邪魔にならないようにするために圧縮するか又は押すことが可能となりまたそれにより患者の口へアクセスすることが可能となる。別法として、呼気スクープがそれ自体で折り畳まれ得、それにより、患者の上に鼻用マスクが留まるようにしながら、患者の口へのアクセス経路を残すようにする。
【0007】
一態様では、本発明が、マスクの着用時に患者の上唇の上に重なるように適合される、マスクの下側部分に隣接して固定される、可撓性材料又は弾性変形可能材料で形成される呼気スクープを有する鼻用マスクを提供する。
【0008】
別の態様では、呼気スクープが邪魔にならないようにするために押しつぶされるように適合され、それにより患者の口へアクセスすることが可能となる。
【0009】
別の態様では、呼気スクープがそれ自体で折り畳まれるように適合され、それにより患者の口へアクセスすることが可能となる。
【0010】
別の態様では、マスクが、患者の口及び/又は鼻から吐き出される呼気COを採取するための呼気終末COポートを有する。
【0011】
別の態様では、マスクが、麻酔機械、換気機械、ハイパーインフレーション・バッグ、或いは他の換気アクセサリ又はガス・アクセサリに取り付けられるように適合される換気ポートを有する。
【0012】
別の態様では、マスクが、マスクの内部に酸素を供給するために酸素供給源に接続されるように適合される酸素ポートを更に有する。
【0013】
別の態様では、マスクが、1つ又は複数のマスク・ストラップを取り付けるためのタブ又はアイレットを有する。
【0014】
本発明はまた、患者に対して換気を行うための方法を提供し、この方法が、マスクの着用時に患者の上唇の上に重なるように適合される、マスクの下側部分に隣接して固定される、可撓性材料又は弾性変形可能材料で形成される呼気スクープを有する鼻用マスクを提供することと、必要である場合に患者の口へのアクセスを実現するために呼気スクープを邪魔にならないようにするために移動させることとを含む。
【0015】
この方法の一態様では、呼気スクープが邪魔にならないようにするために押しつぶされ得、それにより患者の口へアクセスすることが可能となる。
【0016】
この方法の別の態様では、呼気スクープがそれ自体で折り畳まれ、それにより患者の口へアクセスすることが可能となる。
【0017】
別の態様では、この方法が、上述の呼気スクープを備える鼻用マスクを提供することと、患者の口及び/又は鼻から吐き出される呼気COを採取することにより、呼気終末COモニタを使用して呼気終末COポートを監視することとを含む。
【0018】
別の態様では、マスクが、麻酔機械、換気機械、ハイパーインフレーション・バッグ、又は他の換気アクセサリ若しくはガス・アクセサリに取り付けられるか、或いはマスクの内部に酸素を供給するための酸素供給源に取り付けられる。
【0019】
本発明はまた、マスクの着用時に患者の上唇に被さるように適合される、マスクの下側部分に隣接して固定される呼気スクープを有する鼻用マスクを提供し、ここでは、上記呼気スクープが、マスクの着用時に患者の口へアクセスするのを可能にする開口部と、開口部を閉鎖するための、スクープの内部表面上に配置される可撓性フラップとを有する。一実施例では、開口部が、アパーチャ、或いは1つ又は複数のスリットを備える。
【0020】
本発明はまた、患者に対して換気を行うための方法を提供し、この方法が、マスクの着用時に患者の口の少なくとも一部分に被さるように適合される、マスクの下側部分に隣接して固定される呼気スクープを有する鼻用マスクを提供することであって、呼気スクープが患者の口へアクセスするのを可能にするアパーチャを有することと、アパーチャを通過させるように機能ツールを押すことにより患者の口へアクセスすることとを含む。
【0021】
一実施例では、ツールが排除され、アパーチャがフラップによって実質的に閉じられる。
【0022】
更に、マスクの着用時に患者の口の少なくとも一部分に被さるように適合される、マスクの下側部分に隣接して固定される呼気スクープを有する鼻用マスクが提供され、上記マスクが、患者の口及び鼻から吐き出される呼気COを採取するための呼気終末COポートを更に有し、ここでは、上記呼気終末COポートが、インターフェース・コネクタに接続されるためのインターフェースを更に装備する。
【0023】
一実施例では、インターフェース・コネクタがルアー・ロック・インターフェース・コネクタを備える。最後に、本発明は、上述の鼻用マスクを提供することと、インターフェース・コネクタを通してマスクの内部に流体を導入することとを含む、患者に対して換気を行うための方法を提供する。
【0024】
一実施例では、流体がリドカイン等の鎮静剤を含む。
【0025】
別の実施例では、インターフェース・コネクタを通して加えられた流体がマスク内でガスと混合される。
【0026】
別の実施例では、本発明が、マスクの口用CO採取ポート及び鼻用CO採取ポートの間で流量を実質的に釣り合わせるための機構を提供することにより、口用CO採取ポート及び鼻用CO採取ポートを有する上述の鼻用マスクに対して改善を行うのを実現する。
【0027】
より具体的には、本発明は、鼻用チャンバと口用チャンバとの間の圧力差の関数として抵抗を変化させることにより、鼻用採取開口部及び口用採取開口部の間で流量を実質的に一定に維持するための、マスクの鼻用チャンバの内部に位置する圧力ベースの流れ抵抗装置(flow resistor)を提供する。
【0028】
本発明の一態様では、マスクの着用時に患者の上唇の上に重なるように適合される、マスクの下側部分に隣接して固定される呼気スクープを有する鼻用マスクが提供され、上記マスクが、患者の口から吐き出される呼気COを採取するための第1のポートと、患者の鼻から吐き出される呼気COを採取するための第2のポートとを有し、上記マスクが、患者の口及び鼻から吐き出される、呼気終末COポートまでのCOの採取流量(sampling flow)を実質的に一定に維持するように適合される、上記第2のポストに連通される圧力ベースの流れ抵抗装置を更に有する。
【0029】
別の実施例では、圧力ベースの流れ抵抗装置が、第1のポートと第2のポートとの間の圧力差の関数として抵抗を変化させることにより、(PB-PC)1/2/RBCによって定義されるQBCである流量を一定に維持することにより、一定の流量を維持する。
【0030】
別の態様では、圧力ベースの流れ抵抗装置が、マスクの鼻用チャンバと呼気終末COポートとの間を連通する2つ以上の孔を有するマニホルドを備え、鼻用チャンバと呼気終末COポートとの間の圧力差により流れが生じる。
【0031】
別の態様では、マニホルドが、圧力の関数として偏向して呼気終末COポートに対しての流れ抵抗を変化させる可撓性膜を備える。この態様では、偏向量δZが、好適には、圧力差P-Pに比例して抵抗RBCと共に変化する。
【0032】
別の態様では、最大流れ抵抗が膜内の孔の幾何形状によって定められ、ここでは膜内の中央開口部のおかげで膜により遮断されることがない。
【0033】
別の態様では、圧力が膜をZ方向に偏向させるときに膜が膜内の1つ又は複数の孔への流れを遮断する。
【0034】
本発明はまた、患者に対して換気を行うための方法を提供し、この方法が、マスクの着用時に患者の上唇の上に重なるように適合される、マスクの下側部分に隣接して固定される呼気スクープを有する鼻用マスクを提供することであって、上記マスクが、患者の口から吐き出される呼気COを採取するための第1のポートと、患者の鼻から吐き出される呼気COを採取するための第2のポートとを有し、上記マスクが、患者の口及び鼻から吐き出される、呼気終末COポートまでのCOの採取流量を実質的に一定に維持するように適合される、上記第2のポストに連通される圧力ベースの流れ抵抗装置を更に有することと、採取流量を呼気終末COポートに接続することとを含む。
【0035】
この方法の別の態様では、圧力ベースの流れ抵抗装置が、第1のポートと第2のポートとの間の圧力差の関数として抵抗を変化させることにより、(PB-PC)1/2/RBCによって定義されるQBCである流量を一定に維持することにより、一定の流量を維持する。
【0036】
この方法の別の態様では、圧力ベースの流れ抵抗装置が、マスクの鼻用チャンバと呼気終末COポートとの間を連通する2つ以上の孔を有するマニホルドを備え、鼻用チャンバと呼気終末COポートとの間の圧力差により流れが生じる。
【0037】
この方法の別の態様では、マニホルドが、圧力の関数として偏向して呼気終末COポートに対しての流れ抵抗を変化させる可撓性膜を備える。この態様では、偏向量δZが、好適には、圧力差P-Pに比例して抵抗RBCと共に変化する。
【0038】
この方法の別の態様では、最大流れ抵抗が膜内の孔の幾何形状によって定められ、ここでは膜内の中央開口部のおかげで膜により遮断されることがない。
【0039】
この方法の別の態様では、圧力が膜をZ方向に偏向させるときに膜が膜内の1つ又は複数の孔への流れを遮断する。
【0040】
添付図面と併せて以下の詳細な説明から本発明の別の特徴及び利点が理解される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1A】本発明の第1の実施例による呼気スクープを組み込む鼻用マスクを示す正面図である。
図1B】本発明の第1の実施例による呼気スクープを組み込む鼻用マスクを示す背面図である。
図1C】本発明の第1の実施例による呼気スクープを組み込む鼻用マスクを示す上面図である。
図1D】本発明の第1の実施例による呼気スクープを組み込む鼻用マスクを示す斜視図である。
図2】患者の上にある本発明による呼気スクープを備える鼻用マスクを示す斜視図である。
図3】オーラル・アクセスを実現するために邪魔にならないようにするために圧縮されるか又は押される呼気スクープを示す、図2と同様の図である。
図4】オーラル・アクセスを実現するように折り畳まれる呼気スクープを備える鼻用マスクを示す、図2と同様の図である。
図5】本発明の第2の実施例による、口へのアクセス経路を得る代替の方法を示している、呼気スクープを備える鼻用マスクを示す斜視図である。
図6図5の呼気スクープを使用して如何にしてオーラル・アクセスが達成されるかを示す、図5と同様の図である。
図7】本発明の第3の実施例を示す、図5と同様の図である。
図8A】本発明の別の第4の実施例を示す、図2と同様の斜視図である。
図8B】本発明の別の第4の実施例を示す、図2と同様の斜視図である。
図8C】本発明の別の第4の実施例を示す、図2と同様の斜視図である。
図9図2のマスクのCO採取ポートを示す側断面図である。
図10図2のマスクを示す側断面図である。
図11図2のマスクに従う流体流れを示す概略図である。
図12A】本発明の好適な実施例によるマスクを示す内側からの斜視図である。
図12B図12Aの鼻用マスクの可撓性シール・フラップ・バルブを示す拡大図である。
図12C図12Aの鼻用マスクを示す側断面図である。
図13A】開位置にある図12Bのシールを示す側断面図である。
図13B図13Aのシール・フラップ・バルブを示す、図13Aと同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本明細書で使用される「鼻用マスク」は、好適には、アリゾナ州、トゥーソンの、Revolutionary Medical Devices,Inc.から市販されているSuperN0VA(登録商標)の鼻用マスクを具体的に含めた、上記の本発明者らの’934、’277、’341、及び’070PCT出願で説明されるマスク等の鼻用マスクに類似の鼻用マスクを含む。
【0043】
図1A~1Dは、上記の本発明者らの国際特許出願公開第PCT/US16/37070号の図16A~16Eで説明される鼻用マスクにある程度類似する鼻用マスク10の正面図、背面図、上面図、及び斜視図であるが、マスクの下側部分14に固定される、可撓性の、また好適には弾性変形可能である材料で形成される呼気スクープ12を有する。呼気スクープ14が、好適には、0020から0050のOOデュロメータ硬さ、2~10のショアA硬さ、より好適には3~7のショアA硬さ、最も好適には約5のショアA硬さを有する。より柔らかい材料がより良好である。
【0044】
更に図2を参照すると、マスク10が、呼気終末(ET:end-tidal)COポート18に取り付けられる、吸引するように適合される、及び患者の口呼気及び鼻呼気の両方からガス試料を取り出すように適合されるガス採取デバイス(16のところに想像線で示される)を更に有する。EtCOマニホルドの1つの開口部20が、鼻用マスク10の外側において、患者によるマスクの着用時に患者の上唇の上に重なるために呼気スクープ12の後方に位置し、ここでは、ガス採取デバイス16により負圧(大気圧未満の圧力)が発生する。マニホルドの第2の開口部22が鼻用マスクの内側において患者の鼻孔の下に重なるように位置し、ここでは、ガス採取デバイス16によりやはり負圧が発生する。患者が呼気するとき、口呼気及び鼻呼気が開口部20、22を通して集められ、マニホルドを通って前進し、EtCOポートから外に出る。EtCOポートが、負圧を提供したガス採取デバイス16に接続されている。次いで、CO等のガスの濃度レベルがガス採取デバイス16によって測定される。
【0045】
鼻用マスクの内部チャンバが、換気ポート23を通して、麻酔機械又は別の換気デバイス(24のところに想像線で示される)によって加圧される。患者の鼻からの流れが鼻用チャンバの内部のマニホルドの開口部の負圧のところまで取り出される。患者の口が大気圧であり、口呼気の流れが呼気スクープによって誘導され、呼気スクープにおいて、この流れが、マニホルド開口部を通して、ガス採取システムによって提供される負圧によって取り出される。鼻呼気及び口呼気の両方の試料がマニホルドを通って流れ、EtCOポート18から外に出てガス採取デバイス16に達する。マスク10が、酸素供給源(27のところに想像線で示される)から患者へと酸素を供給するための酸素ポート25を更に有する。
【0046】
可撓性呼気スクープのデザインの1つの利点は、外科医が挿管チューブ又は内視鏡26等のデバイスを使用するために患者の口へアクセスする必要があるとき、呼気スクープ12が公称の「y」方向においてデバイスによって曲げられるか又は押され、それにより図3に示されるように患者の口へのアクセスを実現する。
【0047】
1つの可撓性呼気スクープ12のデザインの別の利点は、外科医が患者の口へアクセスする必要があるとき、2つの安定した状態が存在することになり、ここでは、図2に示されるようにスクープ12が患者の上唇及び/又は口の上に重なるか、或いはスクープ12が公称の「X」軸を中心としてそれ自体で折り畳まれ得てそれにより図4に示されるようにスクープ12により口を覆わない安定した状態が維持されることである。これにより示されるように患者の口へアクセスすることが可能となり、それでも鼻側のEtCOが集められ得る。内視鏡26又は他のデバイスが患者の口から取り外されている状態では、臨床医が継続して口EtCO試料を集めることを決定する場合には、可撓性呼気スクープ12が「X」軸を中心として広げられ得、図2のように患者の口を再び覆うことができる。
【0048】
タブ及び/又はアイレット30を1つ又は複数のヘッド・ストラップ(図示せず)を取り付けることで鼻用マスクが完成する。
【0049】
図5及び6を参照すると、本発明の代替的実施例において、呼気スクープ12Aが、アンカー54のところで呼気スクープ12Aの内側に取り付けられるフラップ52によって覆われる円形アパーチャ50を有する。呼気スクープ12Aは図1~4の呼気スクープ12に形状が類似するが、可撓性材料で作られる必要はない。フラップ52及びアンカー54は想像線で示される。その理由は、フラップ52及びアンカー54がスクープ12Aの内部にあるからである。フラップ50が通常は閉位置にあり、患者によるマスクの着用時にマスク内の負圧によりスクープ12Aの内側表面に接触して保持される。
【0050】
図6が、アパーチャ50を通して挿入される挿管チューブ又は内視鏡26等の機能デバイスを示しており、ここではフラップ52を横に押してそれにより患者の口へアクセスするのを可能にし、一方で呼気終末採取等を継続するのを可能にする。フラップ50は可撓性であり、それにより機能デバイスの周りを実質的に密閉する。機能ツール26が取り外されると、アパーチャ50がフラップ50により再び密閉される。
【0051】
図7に示される別の実施例では、アパーチャ50がスリップ70に置き換えられ、スリップ70が74のところで呼気スクープ12Bの内部に固着される可撓性フラップ72によって補強される。ポート50と同様に、スリット70が呼気スクープを通して機能デバイスを挿入するのを可能にし、それにより、呼気スクープを定位置に残したままにして呼気終末CO採取等を継続するのを可能にする一方で、患者の口へのアクセス経路を与える。
【0052】
図5~6及び7の実施例に関して以下のことに留意されたい。喉頭鏡、気管内チューブ、内視鏡、又は他の機能デバイスを通過させるのを可能にするように、アパーチャ、スリット、及びフラップには任意の幾何形状が使用され得、それにより呼気スクープを通過することが可能となり、また一方で、呼気終末COの継続的な監視のために呼気スクープを定位置に残したままにする。フラップが可撓性を有することを理由として、フラップが機能ツールの周りを実質的に密閉し、それにより、口から吐き出されるCOを継続的に集めるのを可能にする。ツールがスクープから取り外されると、フラップがアパーチャ又はスリットを再び閉鎖する。
【0053】
本発明の別の実施例が図8A~8Cに示される。この実施例では、EtCOポート16が、シリンジ84等のルアー・インターフェース接続部82を有するルアー接続部80を有し、それにより他のデバイスにインターフェース接続される能力をポート16に提供する。したがって、ポート16が、シリンジ内に含まれる、リドカイン等の鎮静剤を含めた、流体又はガスを送達するのに利用され得る。図8A~8BがEtCOポート16に接続された流体で充填されたシリンジ84を示し、図8Cが圧縮されたシリンジ84を示し、流体がマスクの内部へ吐き出されている。Oポート又は換気ポート86のいずれか或いはその両方を通って流れるO等のガスが、送り込まれる流体と混合され、それにより流体を噴霧化し、次いで流体が患者によって吸入される。
【0054】
再び図2を参照すると、上で述べたように、マスク10が、患者の口呼気及び鼻呼気の両方からガス試料を取り出すように適合される、呼気終末(ET)COポート18に取り付けられる吸引形態のガス採取デバイス(16のところに想像線で示される)を更に有する。患者によるマスクの着用時、鼻用マスク10の外側において、EtCOマニホルドの1つの開口部20が、患者の上唇の上に重なるための呼気スクープ12の後方にあり、ここでは、ガス採取デバイス16により負圧(大気圧未満の圧力)が発生する。鼻用マスクの内側において、マニホルドの第2の開口部22が鼻孔の下方にあり、ここでは、ガス採取デバイス16によりやはり負圧が発生する。患者が呼気するとき、口呼気及び鼻呼気が開口部20、22を通して集められ、マニホルドを通って前進し、EtCOポートから外に出る。EtCOポートが、負圧を提供したガス採取デバイス16に接続されている。次いで、CO等のガスの濃度レベルがガス採取デバイス16によって測定される。
【0055】
更に図9~11を参照すると、使用時に口呼気が単一の開口部である孔20を通してCOポートに入り、鼻呼気が図2に示されるように単一の開口部である孔30を通ってCOポートに入る。COポートがCO監視デバイスに接続され、CO監視デバイスが吸引力を発生させ、採取ラインにより呼気試料を集める。マスクが非加圧構成で動作し、ここでは、酸素がOポート25を通して供給され、換気ポート23が周囲空気に対して開いており、ここでは酸素及びCOの呼気が流出し、更にはマスクが加圧構成で動作し、ここでは、酸素が換気ポート及び任意選択で更に酸素ポートを通ってマスクに入る。次いで、COの呼気及び酸素が換気ポート23を通って外に出る。換気ポート23が、麻酔機械、ベンチレータ、CPAP機械、又はハイパーインフレーション・システム上にあるような換気バッグに接続されている。
【0056】
パイプを通る体積流量Qは式1~5に示される流体力学の原理によって決定される。
Q=πφV/4 式1
ΔP=ρfLV/2φ 式2
ΔP=(8ρfL/πφ)Q 式3
=(8ρfL/πφ) 式4
Q=ΔP1/2/R 式5
ここでは、
Q=体積流量(m/分)
ρ=流体密度(kg/m
φ=パイプ直径(m)
V=流体速度(m/分)
ΔP=2つのポイントの間の圧力差(Pa)
f=パイプの摩擦係数
L=パイプ長さ(m)
R=パイプ抵抗(Pa1/2-分/m
【0057】
図2及び9~11に示される最新のマスク10のための流体流れモデルが、以下で説明されるように定義される、個別の圧力及び流量を有する4つのノード・ポイントを有する。
COポートへの口用開口部である孔20の入口のノード・ポイントA
- 孔20の直径、φ=φCO2ポート
- 孔20のところの圧力、P
- 孔20を通る口呼気の体積流量、QAC
- ノードAからノードCまでのパイプ抵抗、RAC
- ノードAからノードCまでのパイプの長さ、LAC
COポートへの鼻用開口部である孔22の入口のノード・ポイントB
- 孔22の直径、φ
- 孔22のところの圧力、P
- 孔22を通る鼻呼気の体積流量、QBC
- ノードBからノードCまでのパイプ抵抗、RBC
- ノードBからノードCまでのパイプの長さ、LBC
COポートへの孔22の出口に隣接するCOポートの内部のノード・ポイントC
- COポートの直径、φCO2ポート
- ノードCのところの圧力、P
- ノードCを通る体積流量、QCD
- ノードCからノードDまでのパイプ抵抗、RCD
- ノードCからノードDまでのパイプの長さ、LCD
COポートの出口のノード・ポイントD(CO試料ラインへのコネクタ)
- COポートの直径、φCO2ポート
- ノードDのところの圧力、P
- ノードDを通る体積流量、QCD
各々のノード・ポイントの間の流量は以下のように定義される。
AC+QBC=QCD 式6
AC=(P-P1/2/RAC 式7
BC=(P-P1/2/RBC 式8
CD=(P-P1/2/RCD 式9
理想的には、呼気COを測定するために、口呼気からの流量QAC及び鼻呼気からの流量QBCが等しい。非加圧構成では、P及びPの両方がほぼ等しく、また大気圧に等しい。この構成では、ノード間の付随する抵抗RAC及びRBCが、関連のパイプ直径及びパイプ長さを適切に構成することにより等しくなるように設計される。ここでの課題は、加圧構成において、マスクの鼻部分PBが大気圧及びPを基準とした10~15CM HOの公称値まで加圧されることである。この構成では、QBCに等しいQACを有するために、RBCがRACより比例的に大きいことが必要である。RBCが増大しないと、QBCがQACより大きくなる。非加圧構成及び加圧構成の両方においてCO採取のために実質的に等しい口側の流れ及び鼻側の流れを維持することを目的として、等しい流量を維持するためにRBCがPの関数として変化しなければならない。
【0058】
本明細書で使用される「流量を実質的に釣り合わせる」及び「実質的に一定の流量」という表現は相互交換可能に使用され、約10体積%の範囲内、好適には約5体積%の範囲内、より好適には約2~3体積%の範囲内の流れを意味する。
【0059】
圧力ベースの流れ抵抗装置の好適な実施例が図12A~12Cに示される。この実施例では、上述のマスク10に類似の鼻用マスク100が、マスクの鼻用チャンバをCOポート18に接続する2つ以上の孔104、106を備えるマニホルド102を有する。更に図13A及び13Bを参照すると、開口部114を有する膜ディスク112が孔116の上に位置合わせされ、膜ディスク112がマニホルド102を覆い、ここでは、所与の圧力PBにおいて鼻呼気が、マニホルドの孔114、孔116、更には孔118を通ってCOポート18の中まで移動することができる。圧力がPBcritまで増大すると、膜ディスク12が距離δZだけ上方に移動することによりZ方向に偏向する。この時点で、鼻用チャンバ11から孔118までの流れが遮断され、孔116を通ってのみ移動することができる。その結果、鼻用チャンバ11からCOポート18までの流れ抵抗RBCが増大する。膜ディスク112がδZ未満の大きさで偏向するときに、(PB-PC)1/2/RBCによって定義される流量ZBCが公称上一定となり口呼気からのQACに実質的に等しくなるように、孔118及び孔116の幾何形状が選択され得る。その結果、採取流量が実質的に一様化される。
【0060】
本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、上記に対して種々の変更が行われ得る。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B