(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】手術用器具
(51)【国際特許分類】
A61C 3/02 20060101AFI20220401BHJP
A61B 17/16 20060101ALI20220401BHJP
A61C 8/00 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
A61C3/02 Z
A61B17/16
A61C8/00
(21)【出願番号】P 2019522873
(86)(22)【出願日】2017-09-19
(86)【国際出願番号】 DE2017200097
(87)【国際公開番号】W WO2018077354
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2020-07-10
(31)【優先権主張番号】102016120755.1
(32)【優先日】2016-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519149571
【氏名又は名称】ツァシュトロウ、 フランク
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】特許業務法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ツァシュトロウ、 フランク
【審査官】寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1232709(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0249553(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0000007(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0319466(US,A1)
【文献】米国特許第02429356(US,A)
【文献】特開平02-195954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 3/02
A61C 8/00
A61B 17/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械加工部材(1)と保護部材(8)とを有し、歯科手術で用いられる手術用器具であって、
前記機械加工部材(1)が、接続領域(3)を有するシャフト(2)と中空円筒ヘッド(4)とを有し、
骨を機械加工および/または切削する動作領域(6)が、前記中空円筒ヘッド(4)のヘッド先端部(5)に形成され、
前記ヘッド先端部(5)の円弧のみが、骨構築に使用可能な部分的に円形の骨片を切り取る前記動作領域(6)として機能するように、前記保護部材(8)が、前記中空円筒ヘッド(4)を取り囲み、
前記保護部材(8)が、前記中空円筒ヘッド(4)の内側に少なくとも部分的に延在する、前記機械加工部材(1)の軸受要素(7)に回転可能に連結されることを特徴とする、手術用器具。
【請求項2】
前記軸受要素(7)が、前記中空円筒ヘッド(4)のヘッド底部(9)から前記中空円筒ヘッド(4)の少なくとも前記ヘッド先端部(5)まで軸方向に延在していることを特徴とする、請求項1に記載の手術用器具。
【請求項3】
前記軸受要素(7)が、前記中空円筒ヘッド(4)のヘッド先端部(5)を超えて軸方向に延在していることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の手術用器具。
【請求項4】
前記軸受要素(7)が、ピン形状であることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の手術用器具。
【請求項5】
前記保護部材(8)が、その先端部(11)で前記軸受要素(7)と連結していることを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の手術用器具。
【請求項6】
前記保護部材(8)が、その先端部(11)で閉じていることを特徴とする、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の手術用器具。
【請求項7】
前記保護部材(8)が、その基端部で前記シャフト(2)と回転可能に連結されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の手術用器具。
【請求項8】
前記保護部材(8)が、滑り軸受(17)および/または玉軸受および/または転がり軸受を介して、前記軸受要素(7)および/またはシャフト(2)と回転可能に連結されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の手術用器具。
【請求項9】
流路(14)に接続されている少なくとも1つの流体開口部(15)が、前記軸受要素(7)上に形成され、前記流路(14)が、前記シャフト(2)および前記軸受要素(7)を通って前記接続領域(3)から延在している、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の手術用器具 。
【請求項10】
前記保護部材(8)が、プラスチック製または金属製であることを特徴とする、請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の手術用器具。
【請求項11】
前記保護部材(8)が、透明であることを特徴とする、請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の手術用器具。
【請求項12】
少なくとも1つの側壁開口部(12)が、前記中空円筒ヘッド(4)のヘッド側壁(13)に形成されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の手術用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科手術に使用するための手術用器具に関する。
【背景技術】
【0002】
手術を行う歯科医、口腔外科医、および、顎顔面外科医は、骨萎縮、事故、歯周炎、または、抜歯の結果として、口腔内の骨が失われているという課題にしばしば直面する。
【0003】
新たな歯を挿入するために歯科用インプラントを計画する際、これらの欠損した骨を、インプラントが配置される前または同時に構築することが重要であり、歯科用インプラントは、新たな基礎を得て、安定して支えられる。
【0004】
自家骨は、依然として骨移植処置における王道であると考えられている。
この理由は、骨の性質によるものであり、自家骨は、骨形成性、骨誘導性、および、骨伝導性を兼ね備えているためである。
これは、骨が、それ自身の骨組織を生成する能力と、新しく生成された骨のための案内構造として機能する、自身の血管を形成する能力とを有することを意味している。
自家骨とは対照的に、骨置換材料は、いかなる生物学的能力も有さず、したがって、骨伝導的にのみ、すなわち、案内としてのみ機能する。
【0005】
自家骨を扱うための様々な方法が、既に知られている。
骨の欠損がより大きい場合、歯のない骨領域である、上顎結節、前鼻棘、口蓋、上顎、または、下顎の上顎洞壁の領域が、腔内の二次的な摘出点として、基本的に代用されている。
なぜなら、それらには、皮質的な性質があり、骨質が非常に良く、安定していると考えられているからである。
下顎には、様々な骨摘出箇所、例えば、歯のない部分、顎、または臼歯部がある。
【0006】
この場合、骨の摘出は、様々な器具を用いて行われてもよい。
骨の摘出の概念は、ここでも、ほぼ同じである。
【0007】
リンデマンバーもしくはピエゾ手術用装置、または小型のこぎりのいずれかを使用して、3個から4個の所定の破壊点を作成し、続いて、ノミまたは他の器具を使用して骨の塊を摘出する。
これは、骨を摘出する際にやや強い力を顎に加える必要があるという点で不利である。
したがって、このハンマリングや、それぞれの領域から骨の塊を破壊して取りだすことが、患者にとって不快でもあるという理由もあり、この処置は、医師にとっては幾分煩わしい。
【0008】
歯科医は、職業上、回転式の器具やドリルに慣れている。
いわゆるトレフィンバーや、ハンドピースに配置され中空円筒状に設計されたヘッドを有する中空バーも、同様に用いるように確立されている。
骨を機械加工するための複数の刃が、ヘッドの先端に形成されている。
トレフィンバーは、例えば、インプラント床を準備するために使用され、3mmから4mm程の直径を有している。
これらのトレフィンバーを使用することで、非常に小さくて細く切削された円筒形状が取り除かれ、それらは、条件付きでのみ骨の構築に適している。
【0009】
前述の装置の場合には、必要な骨片を得るために、骨の摘出のための3~4個程の切断または所定の破壊点を作らなければならない。
これは、患者に大きなストレスを引き起こし、外科医の側には、高度な技術的スキルを必要とする。
この処置では、周囲の軟組織、例えば、頬または唇が、手術用器具によって確実に傷つけられないようにしなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、患者にとって優しく、信頼性のある骨の摘出が簡単な構造で可能となるような、手術用器具を設計し開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によると、前述の目的は、請求項1の特徴によって達成される。
本発明は、機械加工部材と保護部材とを備え、歯科手術で用いられる手術用器具であって、前記機械加工部材が、接続領域を有するシャフトと中空円筒ヘッドとを備え、骨を機械加工および/または切削する動作領域が、中空円筒ヘッドのヘッド先端部に形成され、前記保護部材が、中空円筒ヘッドを少なくとも部分的に取り囲み、前記保護部材が、中空円筒ヘッド内に少なくとも部分的に延在する、前記機械加工部材の軸受要素に回転可能に連結される、手術用器具に関する。
【0012】
本発明によれば、機械加工部材、特に、トレフィンバー、と保護部材とを組み合わせることによって、根本的な目的が驚く程簡単な様式で達成可能であることが認識される。
この目的のために、機械加工部材は、接続領域を有するシャフトと中空円筒ヘッドとを有している。
接続領域は、歯科医または歯科外科医が使用する、手術用の手持ち器具(例えば、一般的なコントラアングルハンドピースまたはハンドピース)への接続に使用可能である。
さらに、中空円筒ヘッドのヘッド先端部は、骨を機械加工するための動作領域として設計されている。
例えば、中空円筒ヘッドのヘッド先端部は、切削刃もしくはのこぎり刃および/またはダイヤモンドのチップを有していてもよい。
【0013】
本発明のさらなる様式では、保護部材を安全で簡単な様式で、中空円筒ヘッドまたは機械加工部材に回転可能に結合可能なことがわかる。
その様式とは、機械加工部材が、中空円筒ヘッド内に少なくとも部分的に延在する軸受要素を有する様式である。
したがって、少なくとも実質的に保護部材を静止させつつ、医療用の手持ち器具で回転させる機械加工部材の先端部で、摘出部位で骨を機械加工することができる。
これは、すなわち、保護部材と機械加工部材とが回動接続されているからである。
これにより、周囲の組織が理想的に損傷から保護される。
【0014】
そうすることで、具体的には、軸受要素が、軸方向に、特に中空円筒ヘッドのヘッド底部から少なくとも中空円筒ヘッドのヘッド先端部まで延在していると考えられる。
保護部材は、軸受要素の自由端に連結可能である。
保護部材を軸受要素に回転可能に連結するために、保護部材を中空円筒ヘッド内に対応する距離だけ突出させると、軸受要素は、必ずしも軸方向の先端部まで延在する必要はない。
中空円筒ヘッドの外側で保護部材と機械加工部材との間の接続がなされるよう、軸受要素は、軸方向に中空円筒ヘッドのヘッド先端部を超えて延在する。
特に、軸受要素が、ピン形状に形成され、対応する領域で保護部材と係合することが考えられる。
【0015】
特に、中空円筒ヘッドのヘッド先端部の円弧のみが動作領域として機能するように、保護部材が中空円筒ヘッドを取り囲む。
当業者の先入観に反して、骨を機械加工するための動作領域を有する、中空円筒として設計された中空円筒ヘッドを有する機械加工部材は、小さく切削される円筒形状を取り除くのに適しているだけではないことが認識されている。
むしろ、適切に設計された機械加工部材を使用すると、必要な骨塊または骨片を骨から「切り取る」ことができる。
保護部材の特別な配置および構成は、中空円筒ヘッドのヘッド先端部の円弧のみが骨と接触するように配置可能であり、かつ、有効な動作領域として機能可能であることである。
この結果、外科医は、骨構築に使用可能な骨からほぼ三日月形の骨片を「はがす」ことが可能である。
従来技術から既知の器具および道具とは、対照的に、3個~4個の切断および/または所定の破壊点を作り出す必要はない。
その代わりに、単一の所定の(例えば、中空円筒ヘッドのヘッド先端部での)破壊点のみが生じ、骨をハンマリングする必要はない。
結果生じるブロックは、その後、大きな力を加えることなく摘出または引き離すことができる。
これは、既知の装置および技術と比較すると、患者にとって、はるかに優しく、快適である。
保護部材は、円弧で形成される円形セグメントが、2.0mm~3.5mm、好ましくは、2.2mm~2.5mmのセグメント高さを有するように中空円筒ヘッドを取り囲む。
【0016】
中空円筒ヘッドが、5mm~10mm、好ましくは、6mm~8mmの内径、および/または、0.2mm~0.6mm、好ましくは、0.4mmの壁厚を有することが特に考えられる。
中空円筒ヘッドは、6mm~17mm、特に、9mm~14mmの深さを有してもよく、かつ/又は、軸受要素は、10mm~19mm、特に、12mm~17mmの長さを有してもよい。
特に、軸受要素は、軸方向に中空円筒ヘッドのヘッド先端部を超えて2mm~4mm、特に、3mm延在していてもよい。
【0017】
保護部材の先端部を使用して、摘出部位で周囲組織を移動するために、保護部材は、好ましくは、完全に、しかし、少なくとも大部分は、その先端部で閉じられていてもよい。
この場合、軸受要素の設計によって特別な組合せ効果が達成される。
すなわち、外側組織が保護部材の先端部に、特に、軸方向に圧力を加えたときに保護部材を安定させる。
【0018】
保護部材と機械加工部材との間の接続を確実にするために、保護部材は、その基端部でシャフトに回転可能に連結されていてもよい。
具体的には、保護部材がシャフトを周方向に取り囲むことが考えられる。
【0019】
保護部材は、滑り軸受および/または玉軸受および/または転がり軸受を介して軸受要素および/またはシャフトに回転可能に連結可能である。
特に、滑り軸受は、極めて単純で費用対効果の高い設計を特徴とするので、ここでは、有利である。
滑り軸受は、別個の要素として形成される必要はない。
代わりに、保護部材または機械加工部材の対応する領域が、滑り軸受を表現してもよい。
【0020】
処置された組織が過熱によって損傷を受けるのを防ぐために、例えば、0.5mm~0.9mm程の、好ましくは、0.7mmの直径を有する少なくとも1つの流体開口部を軸受要素に形成可能であり、この流体開口部は、例えば、0.5mm~1.0mm程の、好ましくは、0.8mmの直径を有する流路に接続される。
流路は、接続領域からシャフトおよび軸受要素を通って少なくとも1つの流体開口部まで延在してもよい。
これにより、例えば、接続領域を介して手術用器具が接続される手術用のハンドピースから、冷却液を導入可能である。
軸受要素は、中空円筒ヘッド内に配置されているので、中空円筒ヘッドと、特に、ヘッド先端部とを理想的に冷却流体にさらすことが可能である。
【0021】
さらに、保護部材は、プラスチック製または金属製であってもよい。
プラスチックは、保護部材を、特に簡単に、費用対効果良く製造可能である。
さらに、保護部材がプラスチック製である場合、保護部材を軸受要素および/またはシャフトに接続するための滑り軸受を、簡単に製造可能である。
保護部材を金属から製造することには、保護部材を(例えば、オートクレーブ内で)再び準備することができ、複数回の使用が可能になる。
【0022】
外科医が摘出部位をよく見えるようにするために、保護部材は、透明であってもよく、例えば、透明なプラスチック製であってもよい。
付加的に、機械加工される骨の内部に中空円筒ヘッドがどれだけ深く位置しているかを外科医が容易に理解可能なように、中空円筒ヘッドの外壁に深さマーキングを形成可能である。
この目的のために、例えば、レーザーマーキングとして、黒いストリップを一定の間隔で外壁に形成してもよい。
深さマーキングは、1mm~3mm、好ましくは、2mm毎に形成されてもよい。
【0023】
洗練された様式では、少なくとも1つの側壁開口部を中空円筒ヘッドのヘッド側壁に形成可能であり、その領域を通して、外科医は、摘出された骨片を、例えば、ピンセットで中空円筒ヘッドから押し出すことができる。
側壁開口部は、例えば、楕円形とすることができ、その場合、長径は、具体的には、3mm~5mm、好ましくは、4mmとすることができる。
更に、プラスチック材料製の固定要素をシャフト上に形成可能であり、その形状および/または色は、手術用器具の準備中、例えば、オートクレーブの間に変化する。
特に、手術用器具の準備中に、手術用器具が医療用ハンドセットに連結不可能になるように、固定要素を接続領域内または接続領域上に配置し、変化させることが可能である。
【0024】
本発明を設計および開発するための様々なオプションがある。
この目的のために、請求項1と図面による実施形態の記載を、参照されたい。
本実施形態とその発展も、図面を参照する本発明の実施形態と併せて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本発明による手術用器具の実施形態の斜視図を示す。
【
図7】
図7は、
図1の手術用器具をさらなる部分断面図で示す。
【
図8】
図8は、
図1の手術用器具をさらなる部分断面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1~
図10は、様々な表現で、本発明による手術用器具の実施形態を示す。
ここに示す実施形態では、手術用器具は、中空バーまたはトレフィンバーとして設計されている機械加工部材1を備えている。
機械加工部材1は、図示しない手術用の手持ち器具、例えば、歯科医または歯科外科医のコントラアングルハンドピースまたはハンドピースに連結するための接続領域3を有するシャフト2を備えている。
機械加工部材1は、手持ち器具を介して回転可能である。
【0027】
中空円筒ヘッド4が、シャフト2に配置されている。
中空円筒ヘッド4は、ヘッド先端部5を有し、これは、骨を機械加工および/または摘出するための動作領域6として使用される。
例えば、ダイヤモンドチップおよび/またはのこぎり刃および/または切削刃が、ヘッド先端部5に形成されてもよい。
【0028】
ジャーナル軸受として設計されている軸受要素7が、中空円筒ヘッド4内に延在している。
図示の実施形態では、軸受要素7は、中空円筒ヘッド4のヘッド底部9から中空円筒ヘッド4全体を通って軸方向にヘッド先端部5を越えて延在している。
具体的には、軸受要素7は、シャフト2の延長部として設計されている。
【0029】
さらに、保護部材8が、機械加工部材1に回転可能に連結されている。
保護部材8の基部10は、シャフト2を取り囲み、シャフト2と中空円筒ヘッド4のヘッド底部9との両方に回転可能に連結されている。
すなわち、軸受要素7は、保護部材8の先端部11から後退して配置されてもよい。
さらに、保護部材8の先端部11は、閉じられ、保護部材8は、先端部11を介して軸受要素7に回転可能に連結されている。
この点で、保護部材8と機械加工部材1との間の連結が、別個の軸受を介してなされることも可能である。
骨は機械加工部材1の回転する中空円筒ヘッド4を用いて機械加工および/または摘出が可能な一方で、保護部材8は、実質的に回転せず周囲の組織を保護するだけである。
【0030】
図1は、中空円筒ヘッド4のヘッド先端部5の円弧のみが動作領域6として機能するように、かつ/または、機械加工される骨と接触するように配置されるように、保護部材8が機械加工部材1を取り囲んでいる。
この実施形態により、骨への過度の侵入が防がれ、そして、周囲の組織が保護される。
さらに、顎からほぼ三日月形の骨片を、外科医が剥がすことが可能である。
保護部材8の先端部11を軸受要素7に連結することで、切削中に周囲組織を移動させることができる移動要素として、先端部11は、機能可能である。
図5は、傾斜部17が保護部材8の先端部11に形成されている。
傾斜部17により、骨片が中空円筒ヘッド4から簡単に摘出される。
傾斜部17の領域における先端部11は、充分な剛性を有し、軸受要素7の直径は、その端部で減少している。
保護部材8の傾きを防止するために、先端部11の角領域18を丸くしてもよいことも留意するべきである。
【0031】
円弧形状の骨片を中空円筒ヘッド4から摘出するために、側壁開口部12が、中空円筒ヘッド4のヘッド側壁13に形成されている。
これにより、外科医は、例えば、ピンセットまたは同様の道具を用いて、取り出した骨片を中空円筒ヘッド4の側壁開口部12を通して、中空円筒ヘッド4から押し出すことができる。
図5は、側壁開口部12’が、中空円筒ヘッド4のヘッド底部9まで延在していることを明確に示し、摘出された骨片は、別の器具を用いて、簡単な方法で中空円筒ヘッド4から押し出すことができる。
これをさらに単純化するために、円筒要素16の縁部19は、中空円筒ヘッド4のヘッド底部9で軸方向に終端する。
【0032】
切削点を冷却するために、接続領域3からシャフト2および軸受要素7を通って延在している流路14が形成される。
図5は、2つの流体開口部15が、軸受要素7に形成されることを示している。
流体開口部15は、冷却流体が手術用ハンドピースから接続領域3および流路14を介して流体開口部15に移動可能なように、流路14と接触している。
冷却流体は、流体開口部15から中空円筒ヘッド4および/またはその背後に位置する摘出部位へと吹きかけられる。
【0033】
特に、
図9および
図10からわかるように、保護部材8は、基部10と円筒要素16とを有している。
基部10および円筒要素16は、ポジティブロックおよび/または摩擦式締結および/または(例えば、ねじ止め、締め付け、接着、超音波溶接などの)接続を用いて相互接続可能である。
保護部材8の基部10は、中空円筒ヘッド4のヘッド底部9上に、少なくとも部分的に水平に配置することができる。
【0034】
本発明による装置の他の実施形態に関しては、繰り返しを避けるために、記載の一般的な部分および添付の請求項を参照されたい。
【0035】
最後に、本発明による実施形態は、特許請求の範囲に記載された教示を説明するためのみに役立つものであり、本発明は、実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0036】
1 ・・・機械加工部材
2 ・・・シャフト
3 ・・・接続領域
4 ・・・中空円筒ヘッド
5 ・・・ヘッド先端部
6 ・・・中空円筒ヘッドの動作領域
7 ・・・軸受要素
8 ・・・保護部材
9 ・・・ヘッド底部
10 ・・・保護部材の基部
11 ・・・保護部材の先端部
12、12‘ ・・・側壁開口部
13 ・・・ヘッド側壁
14 ・・・流路
15 ・・・流体開口部
16 ・・・円筒要素
17 ・・・傾斜部
18 ・・・角領域
19 ・・・円筒要素の縁部