(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】樹脂組成物およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08L 3/04 20060101AFI20220401BHJP
C08L 29/04 20060101ALI20220401BHJP
C08K 3/34 20060101ALI20220401BHJP
C08J 3/21 20060101ALI20220401BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20220401BHJP
B32B 9/02 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
C08L3/04
C08L29/04 B
C08K3/34
C08J3/21 CEP
C08J3/21 CEX
C08J5/18 CEP
C08J5/18 CEX
B32B9/02
(21)【出願番号】P 2019526394
(86)(22)【出願日】2018-06-25
(86)【国際出願番号】 IB2018054648
(87)【国際公開番号】W WO2019003077
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2020-11-27
(31)【優先権主張番号】P 2017124081
(32)【優先日】2017-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502247341
【氏名又は名称】プランティック・テクノロジーズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】太田 匡彦
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス・ジョン・マキャフリィ
【審査官】佐藤 玲奈
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-532600(JP,A)
【文献】特表2010-516861(JP,A)
【文献】特表2010-529220(JP,A)
【文献】特開平02-202528(JP,A)
【文献】特表平06-507924(JP,A)
【文献】特表平06-502676(JP,A)
【文献】特開平06-041351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
C08J 3/21
C08J 5/18
B32B 9/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変性デンプン(A)およびポリビニルアルコール(B)を含む樹脂組成物であって、変性デンプン(A)およびポリビニルアルコール(B)の合計質量を基準に変性デンプン(A)50~98質量%およびポリビニルアルコール(B)2~50質量%含み、ポリビニルアルコール(B)の少なくとも一部が変性デンプン(A)中に分散し、透過型電子顕微鏡による断面写真において、分散したポリビニルアルコール(B)粒子の断面積を算出し、前記断面積を基にポリビニルアルコール(B)粒子の断面形状が円形であると仮定した場合の換算粒径が数平均で50~300nmであり、かつ換算粒径の分散度が3.0以下であ
り、
変性デンプン(A)中のアミロース含有量が50質量%以上である、樹脂組成物。
【請求項2】
変性デンプン(A)が、エーテル化デンプン、エステル化デンプン、カチオン化デンプンおよび架橋デンプンからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
変性デンプン(A)が、炭素原子数が2~6個であるヒドロキシアルキル基を有するエーテル化デンプン、ジカルボン酸無水物由来の構造単位を有するエステル化デンプン、またはそれらの組み合わせである、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
JIS Z 8803に準拠して測定したポリビニルアルコール(B)の4%水溶液の20℃での粘度が1~50mPa・sである、請求項1~
3のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項5】
粘土を更に含有する、請求項1~
4のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項6】
炭素原子数が12~22個である脂肪酸、その塩、またはそれらの組み合わせの含有量が5質量%以下である、請求項1~
5のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれかに記載の樹脂組成物から構成されるペレット。
【請求項8】
請求項1~
6のいずれかに記載の樹脂組成物から構成されるフィルム。
【請求項9】
請求項1~
6のいずれかに記載の樹脂組成物から構成される層を少なくとも一層含む多層積層体。
【請求項10】
請求項1~
6のいずれかに記載の樹脂組成物を用いて形成される容器。
【請求項11】
請求項1~
6のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法であって、1)変性デンプン(A)およびポリビニルアルコール(B)を加熱しながら混合する工程、2)溶融した混合物を押出す工程、および3)押出された溶融物を冷却および乾燥する工程を含む、製造方法。
【請求項12】
工程1において、120℃超え180℃以下の温度においてクッキング処理を行う、請求項
11に記載の製造方法。
【請求項13】
工程1において混合物に水を導入する、請求項
11または
12に記載の製造方法。
【請求項14】
工程2において押出された混合物の含水量が10~50質量%である、請求項
13に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変性デンプンおよびポリビニルアルコールを含む樹脂組成物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デンプンおよびポリビニルアルコールを含む組成物は、生分解性であり、かつガスバリア性に優れることから、食品を包装する容器において広く用いられている(特許文献1および2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2002-532600号
【文献】特開2010-529220号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、食品を包装する容器は、包装、輸送、販売時に10℃を下回る環境に置かれることが多いが、特許文献1および2における組成物では、低温での破断強度が十分ではなく、落下等の衝撃によって容器が破損したり、多層構造体として用いた場合に、デンプンを含む組成物層が破断し、内容物が損傷したりすることがあった。
【0005】
本発明の目的は、デンプンおよびポリビニルアルコールを含む組成物において、低温(10℃以下)での破断強度と破断伸度に優れると共に、良好なガスバリア性を有する樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、所定量の変性デンプンおよびポリビニルアルコールを含む樹脂組成物において、透過型電子顕微鏡による断面写真から、分散したポリビニルアルコール粒子の断面積を算出し、前記断面積を基にポリビニルアルコール粒子の断面形状が円形であると仮定した場合のポリビニルアルコール粒子の換算粒径が50~300nmであり、かつ換算粒径の分散度が3.0以下である場合に上記目的が達成されることを見出した。
【0007】
上記目的を達成できる本発明の態様は、以下のとおりである。
[1]変性デンプン(A)およびポリビニルアルコール(B)を含む樹脂組成物であって、変性デンプン(A)およびポリビニルアルコール(B)の合計質量を基準に変性デンプン(A)50~98質量%およびポリビニルアルコール(B)2~50質量%含み、ポリビニルアルコール(B)の少なくとも一部が変性デンプン(A)中に分散し、透過型電子顕微鏡による断面写真において、分散したポリビニルアルコール(B)粒子の断面積を算出し、前記断面積を基にポリビニルアルコール(B)粒子の断面形状が円形であると仮定した場合の換算粒径が数平均で50~300nmであり、かつ換算粒径の分散度が3.0以下である、樹脂組成物。
[2]変性デンプン(A)が、エーテル化デンプン、エステル化デンプン、カチオン化デンプンおよび架橋デンプンからなる群から選択される少なくとも1種である、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]変性デンプン(A)が、炭素原子数が2~6個であるヒドロキシアルキル基を有するエーテル化デンプン、ジカルボン酸無水物由来の構造単位を有するエステル化デンプン、またはそれらの組み合わせである、[1]または[2]に記載の樹脂組成物。
[4]変性デンプン(A)中のアミロース含有量が50質量%以上である、[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5]JIS Z 8803に準拠して測定したポリビニルアルコール(B)の4%水溶液の20℃での粘度が1~50mPa・sである、[1]~[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6]粘土を更に含有する、[1]~[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7]炭素原子数が12~22個である脂肪酸、その塩、またはそれらの組み合わせの含有量が5質量%以下である、[1]~[6]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[8][1]~[7]のいずれかに記載の樹脂組成物から構成されるペレット。
[9][1]~[7]のいずれかに記載の樹脂組成物から構成されるフィルム。
[10][1]~[7]のいずれかに記載の樹脂組成物から構成される層を少なくとも一層含む多層積層体。
[11][1]~[7]のいずれかに記載の樹脂組成物を用いて形成される容器。
[12][1]~[7]のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法であって、1)変性デンプン(A)およびポリビニルアルコール(B)を加熱しながら混合する工程、2)溶融した混合物を押出す工程、および3)押出された溶融物を冷却および乾燥する工程を含む、製造方法。
[13]工程1において、120℃超え180℃以下の温度においてクッキング処理を行う、[12]に記載の製造方法。
[14]工程1において混合物に水を導入する、[12]または[13]に記載の製造方法。
[15]工程2において押出された混合物の含水量が10~50質量%である、[14]に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の樹脂組成物は、優れたガスバリア性を有すると共に低温での破断強度と破断伸度に優れ、生分解性であるため、低温で貯蔵する食品用包装および容器等に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の樹脂組成物の調製に適切な押出成形機の概略図を示す。
【
図2】実施例2において得られた樹脂組成物から構成されるフィルム断面のTD方向の透過型電子顕微鏡による観察像を示す。
【
図3】実施例2において得られた樹脂組成物から構成されるフィルム断面のMD方向の透過型電子顕微鏡による観察像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の態様を具体的に説明する。
【0011】
<変性デンプン(A)>
本発明の樹脂組成物は変性デンプン(A)を含有する。変性デンプン(A)としては、例えばエーテル化デンプン、エステル化デンプン、カチオン化デンプンおよび架橋デンプンからなる群から選択される少なくとも1種を用いることができる。
【0012】
デンプンとしては、キャッサバ、トウモロコシ、馬鈴薯、甘藷、サゴ、タピオカ、モロコシ、豆、ワラビ、ハス、ヒシ、小麦、コメ、オート麦、クズウコン、エンドウ等に由来するデンプンが挙げられる。中でもトウモロコシ、キャッサバに由来するデンプンが好ましく、高アミロースのトウモロコシに由来するデンプンがさらに好ましい。デンプンは単独でまたは2種以上の混合物であってよい。
【0013】
エーテル化デンプンとしては、アルキルエーテル化デンプン、例えばメチルエーテル化デンプン等、カルボキシアルキルエーテル化デンプン、例えばカルボキシメチルエーテル化デンプン等、ヒドロキシアルキルエーテル化デンプン、例えば炭素原子数が2~6個であるヒドロキシアルキル基を有するエーテル化デンプン等が挙げられる。また、アリルエーテル化デンプン等も用いることができる。
【0014】
エステル化デンプンとしては、例えば酢酸由来の構造単位を有するエステル化デンプン等のカルボン酸由来の構造単位を有するエステル化デンプン;例えばマレイン酸無水物由来の構造単位を有するエステル化デンプン、フタル酸無水物由来の構造単位を有するエステル化デンプン、オクテニルスクシン酸無水物由来の構造単位を有するエステル化デンプン等のジカルボン酸無水物由来の構造単位を有するエステル化デンプン;例えば硝酸エステル化デンプン、リン酸エステル化デンプン、尿素リン酸エステル化デンプン等のオキソ酸由来の構造単位を有するエステル化デンプンが挙げられる。他の例としては、キサントゲン酸エステル化デンプン、アセト酢酸エステル化デンプン等が挙げられる。
【0015】
カチオン化デンプンとしては、デンプンと2-ジエチルアミノエチルクロライドとの反応物、デンプンと2,3-エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドの反応物等が挙げられる。
【0016】
架橋デンプンとしては、ホルムアルデヒド架橋デンプン、エピクロルヒドリン架橋デンプン、リン酸架橋デンプン、アクロレイン架橋デンプン等が挙げられる。
【0017】
変性デンプン(A)としては、炭素原子数が2~6個であるヒドロキシアルキル基を有するエーテル化デンプン、ジカルボン酸無水物由来の構造単位を有するエステル化デンプン、またはそれらの組み合わせが好ましく、ヒドロキシエチルエーテル化デンプン、ヒドロキシプロピルエーテル化デンプン、ヒドロキシブチルエーテル化デンプン、マレイン酸無水物由来の構造単位を有するエステル化デンプン、フタル酸無水物由来の構造単位を有するエステル化デンプン、オクテニルスクシン酸無水物由来の構造単位を有するエステル化デンプン、またはそれらの組み合わせがより好ましい。
【0018】
変性デンプン(A)は、変性デンプン(A)中のアミロースの含有量が好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。変性デンプン(A)中のアミロースの含有量が50質量%以上である場合、粘度の上昇が抑制され、後述するポリビニルアルコール粒子の換算粒径が粗大化し難くなる傾向がある。一方、変性デンプン(A)は通常、変性デンプン(A)中のアミロースの含有量が90質量%以下である。
【0019】
変性デンプン(A)は、変性デンプン(A)中の含水量が好ましくは10~15質量%である。
【0020】
炭素原子数が2~6個であるヒドロキシアルキル基を有するエーテル化デンプンは、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドとデンプンとの反応により得られるものであってよい。変性に用いられるヒドロキシ基の平均数は、デンプン中の1グルコースユニット当たり好ましくは0.05~2である。
【0021】
変性デンプン(A)は、市販されているものを用いることができる。変性デンプン(A)の代表的市販品の例としては、例えばNational Starch & Chemical Company社から入手できるヒドロキシプロピルエーテル化デンプンである、ECOFILM(登録商標)やNational7(登録商標)が挙げられる。
【0022】
<ポリビニルアルコール(B)>
本発明の樹脂組成物はポリビニルアルコール(B)を含有する。ポリビニルアルコール(B)は、鹸化度が好ましくは80~99.8モル%である。ポリビニルアルコール(B)の鹸化度が上記範囲内である場合には、十分な強度やガスバリア性が得られ易い傾向がある。鹸化度は、より好ましくは85モル%以上、さらに好ましくは88モル%以上である。鹸化度は、ポリビニルアルコールにおける水酸基とエステル基との合計に対する水酸基のモル分率をいう。
【0023】
ポリビニルアルコール(B)は、JIS Z 8803に準拠して測定したポリビニルアルコール(B)の4%水溶液の20℃での粘度が好ましくは1~50mPa・sである。ポリビニルアルコール(B)の上記粘度が上記範囲内である場合には、十分な強度やガスバリア性が得られ易い傾向がある。ポリビニルアルコール(B)の上記粘度の下限としては、より好ましくは3mPa・s、さらに好ましくは5mPa・sであり、上限としては、より好ましくは45mPa・s、さらに好ましくは35mPa・sである。
【0024】
ポリビニルアルコール(B)は、ビニルアルコール単位以外の他の単量体単位を更に含むことができる。他の単量体単位としては、エチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位等が挙げられる。エチレン性不飽和単量体としては、エチレン、プロピレン、n-ブテン、イソブチレン、1-ヘキセンなどのα-オレフィン類;アクリル酸およびその塩;アクリル酸エステル基を有する不飽和単量体;メタクリル酸およびその塩;メタクリル酸エステル基を有する不飽和単量体;アクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩(例えば4級塩);メタクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸およびその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンおよびその塩(例えば4級塩);メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、i-プロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、i-ブチルビニルエーテル、t-ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル、2,3-ジアセトキシ-1-ビニルオキシプロパンなどのビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル類;塩化ビニル、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン類;酢酸アリル、2,3-ジアセトキシ-1-アリルオキシプロパン、塩化アリルなどのアリル化合物;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの不飽和ジカルボン酸およびその塩またはエステル;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシリル化合物、酢酸イソプロペニル;蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、カプロン酸ビニル、カルリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オレイン酸ビニル、安息香酸ビニルなどのビニルエステル単量体が例示される。また、不飽和単量体に由来する単量体単位であって、けん化されなかったものも、前記他の単量体単位に含まれる。他の単量体単位の含有量は、10モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがより好ましい。
【0025】
ポリビニルアルコール(B)の製造方法は特に限定されない。例えばビニルアルコール単量体と、他の単量体とを共重合し、得られた共重合体を鹸化してビニルアルコール単位に変換する方法が挙げられる。共重合する際の重合方式としては、回分重合、半回分重合、連続重合、半連続重合等が挙げられる。重合方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の方法が挙げられる。共重合体の鹸化は、公知の方法を適用できる。例えばアルコールまたは含水アルコールに当該共重合体が溶解した状態で行うことができる。このとき使用できるアルコールは、例えばメタノール、エタノール等の低級アルコールである。
【0026】
本発明の樹脂組成物は、変性デンプン(A)およびポリビニルアルコール(B)の合計質量を基準に変性デンプン(A)50~98質量%およびポリビニルアルコール(B)2~50質量%含有する。本発明の樹脂組成物が上記範囲内で変性デンプン(A)およびポリビニルアルコール(B)を含有する場合、良好なガスバリア性が得られると共に低温での強度が向上し易い傾向がある。変性デンプン(A)の含有量は、好ましくは70~98質量%、より好ましくは90~98質量%である。ポリビニルアルコール(B)の含有量は、好ましくは2~30質量%、より好ましくは2~10質量%である。
【0027】
本発明の樹脂組成物は、ポリビニルアルコール(B)の少なくとも一部が、変性デンプン(A)中に分散し、透過型電子顕微鏡による断面写真において、分散したポリビニルアルコール(B)粒子の断面積を算出し、前記断面積を基にポリビニルアルコール(B)粒子の断面形状が円形であると仮定した場合のポリビニルアルコール(B)粒子の換算粒径が数平均で50~300nmであり、かつ換算粒子の分散度が3.0以下である。
【0028】
上記断面積を基にポリビニルアルコール(B)粒子の断面形状が円形であると仮定した場合のポリビニルアルコール(B)粒子の換算粒径とは、透過型電子顕微鏡による断面写真において、ポリビニルアルコール(B)粒子の断面形状が例えば楕円形である場合、その楕円形の面積と同じ面積を有する円形の直径をいう。また、換算粒径の分散度とは、換算粒径の(重量平均)/(数平均)をいう。上記換算粒径は、後述する実施例において説明する通り行うことにより得られる。
【0029】
換算粒径が50μm未満または300μmを超える場合、いずれの場合にも、低温での破断伸度および破断強度に劣る傾向がある。また、換算粒径の分散度が3.0を超える場合に、低温での破断伸度に劣る傾向がある。
【0030】
上記換算粒径は、好ましくは50~295nm、より好ましくは50~290nm、さらに好ましくは50~285nmである。換算粒径の分散度は、好ましくは2.9以下、より好ましくは2.8以下である。
【0031】
本発明の樹脂組成物は、粘土を更に含有することができる。粘土としては、合成または天然層状ケイ酸塩粘土、例えばモンモリロナイト、ベントナイト、バイデライト、雲母(マイカ)、ヘクトライト、サポナイト、ノントロナイト、ソーコナイト、バーミキュライト、レディカイト、マガダイト、ケニヤアイト、スチーブンサイト、ヴォルコンスコイトおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0032】
本発明の樹脂組成物が粘土を含有する場合、樹脂組成物中の粘土の含有量は、好ましくは0.1~5質量%、より好ましくは0.1~3質量%、さらに好ましくは0.5~2質量%である。樹脂組成物が粘土を上記範囲の量で含む場合、透明性、柔軟性、引張強度、耐衝撃性および/または引張特性が向上し易い傾向がある。
【0033】
本発明の樹脂組成物は、炭素原子数が12~22個である脂肪酸、その塩、またはそれらの組み合わせを更に含有することができる。炭素原子数が12~22個である脂肪酸およびその塩としては、例えばステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、リノレイン酸、ベヘニン酸等が挙げられる。
【0034】
本発明の樹脂組成物が、炭素原子数が12~22個である脂肪酸、その塩、またはそれらの組み合わせを含有する場合、樹脂組成物中の含有量は好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下、最も好ましくは0.1質量%未満である。また、樹脂組成物は、炭素原子数が12~22個である脂肪酸、その塩、またはそれらの組み合わせを含有しなくてもよい。
【0035】
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、充填剤、加工安定剤、耐候性安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、他の熱可塑性樹脂、潤滑剤、香料、消泡剤、消臭剤、増量剤、剥離剤、離型剤、補強剤、架橋剤、防かび剤、防腐剤、結晶化速度遅延剤などの添加剤を含むことができるが、ガスバリア性の観点から、これらの添加剤の合計含有量は、樹脂組成物の質量に対して、2質量%以下であることが好ましく、含まないことがより好ましい。なお、本発明の効果を阻害しない成分、例えば水は、樹脂組成物の質量に対して、2質量%を超えて含有してもよい。
【0036】
本発明の樹脂組成物は、ペレットおよびフィルムの形態であってよく、いずれの形態においてもポリビニルアルコール(B)の少なくとも一部は変性デンプン(A)中に分散し、上述の所定の換算粒径および換算粒径の分散度を有する。
【0037】
本発明の樹脂組成物は、樹脂組成物から構成される層を少なくとも一層含む多層積層体に用いることができる。また、樹脂組成物は、容器、フィルム、シート、チューブ、ボトル、繊維等に成形することができ、とりわけ、低温時の強度およびガスバリア性に優れ、生分解性であることから、食品の包装用の容器、包装フィルム等に好適に用いることができる。
【0038】
本発明の樹脂組成物は、1)変性デンプン(A)およびポリビニルアルコール(B)を加熱しながら混合する工程、2)溶融した混合物を押出す工程、および3)押出された溶融物を冷却および乾燥する工程を含む製造方法により製造できる。
【0039】
変性デンプン(A)およびポリビニルアルコール(B)を加熱しながら混合する工程1は通常、押出機を用いて行う。押出機中において、各成分にスクリューによりせん断応力を与え、バレルへの外部熱の適用により加熱しながら均質に混合する。
【0040】
押出機としては、1軸または2軸スクリュー押出機を用いることができる。2軸スクリュー押出機は、共回転または逆回転のいずれであってもよい。スクリュー直径は、例えば20~150mm、押出機長さ(L)とスクリュー直径(D)の比L/D比は、例えば20~50であってよい。スクリューの回転速度は、好ましくは少なくとも80rpm、より好ましくは少なくとも100rpmである。また、押出成形圧力は、好ましくは少なくとも5バール(0.5MPa)、より好ましくは少なくとも10バール(1.0MPa)である。
【0041】
変性デンプン(A)、ポリビニルアルコール(B)および任意に他の成分はそれぞれ直接、押出機中へ導入することができる。また、これらの各成分をミキサーを用いて予備混合したものを押出機中へ導入してもよい。
【0042】
工程1において、好ましくは120℃超180℃以下、より好ましくは160~180℃の温度に加熱してクッキング処理を行う。ここで、クッキング処理とは、デンプン粒を破砕し、ゲル化させる処理である。加熱は押出機のバレルに外部から熱を適用することにより行える。各バレルへは、段階的に変えた温度を適用することにより、目的とする温度にまで加熱できる。120℃超の温度においてクッキング処理を行う場合、ポリビニルアルコール(B)粒子の粗大化を抑え、上述の所定の換算粒径および分散度で分散させることができる。
【0043】
工程1において、押出機の比較的初期段階において水を導入してもよく、上記加熱温度に達する前、例えば100℃以下のときに水を導入することができる。変性デンプン(A)は、水分、熱およびせん断応力の組み合わせによりクッキング処理が施され、ゼラチン(ゲル)化させることができる。また、別途水を導入することにより、ポリビニルアルコール(B)等の水溶性ポリマーを溶解し、樹脂組成物を軟化し、モジュラスおよび脆性を低下させることができる。
【0044】
加熱した混合物は、発泡を防止するため、好ましくは85~120℃、より好ましくは100~120℃の温度へ低下しながら、ダイの方へ押し進めるのがよい。また、バレルから排気することにより発泡を防止し、水分を除去できる。
【0045】
押出機中の滞留時間は、温度プロファイルやスクリュー速度に応じて設定可能であり、好ましくは1分~2.5分の間である。
【0046】
溶融した混合物を押出す工程2では、溶融混練されながら押出機中を押し進められてきた溶融した混合物をダイから押出す。ダイの温度は好ましくは85~120℃、より好ましくは90~110℃の温度である。
【0047】
工程2において押出された混合物中の含水量は、好ましくは10~50質量%である。含水量の下限としては、より好ましくは20質量%、さらに好ましくは22質量%であり、特に好ましくは25質量%であり、上限としては、より好ましくは40質量%であり、さらに好ましくは40質量%であり、特に好ましくは35質量%である。
【0048】
押出された溶融物を冷却および乾燥する工程3では、溶融物はフィルム状またはストランド状に押出すことができる。
【0049】
溶融物をフィルム状に押出す場合、溶融物はフィルム成形用ダイから押出し、次いで引取りローラーで巻取りながら冷却および乾燥することができる。ダイおよびローラーの間では、溶融物がローラーに付着するのを防ぐように冷却するのが好ましい。乾燥のために、ロールは加温してもよく、巻取の際に脱湿空気を供給してもよい。脱湿空気は、吹込チューブ法の場合、フィルムがダイを退出するときにフィルムを膨張させるために使用できる。タルクを空気流中に同伴させてフィルムのブロッキングを防ぐこともできる。
【0050】
溶融物をストランド状に押出す場合、複数穴のストランドノズルから押出し、回転カッターで切断することでストランドをペレット形状にできる。ペレットの膠着を防ぐために、振動を定期的もしくは定常的に与え、熱風、脱湿空気または赤外線ヒーターによりペレット中の水分を除去することができる。
【0051】
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例】
【0052】
<試験方法>
(1)PVOH相の計測
サンプル小片をミクロトームで切削し観察断面を作製した後、四酸化オスミウムの4%水溶液で30℃の環境下7日間蒸気染色を行った。続いてロータリーポンプで12時間真空引きを行った後、クライオミクロトームでMD及びTD方向に平行な方向にそれぞれ切削し凍結切片とした。
ナイフ速度:1.0mm/s
試料及びナイフの冷却温度:-100℃
切片厚:90nm
【0053】
上記の手法で作製した切片を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。
装置:日立製作所製透過型電子顕微鏡H7100FA
加速電圧:100kV
倍率:50,000倍
【0054】
顕微鏡像中のPVOHに由来する分散体に対して、画像解析ソフト(MOUNTECH社製mac-view)を用いて、写真画面内に輪郭全体が映っている(輪郭が途切れていない)粒子をピックアップして、MD平行断面50個、TD平行断面50個、計100個に関して、各断面積を算出した。なお、画像解析ソフトが粒子の輪郭を自動認識しない場合には、粒子の輪郭を認識するような処置を施した。算出された断面積に対して、断面が円形と仮定した場合の直径(換算粒径)を算出し、計100個の換算粒径に対して、数平均と重量平均を算出し、数平均を換算粒径とし、分散度を(重量平均)/(数平均)と定義した。分散度の値が1に近いほど、単分散であることを表す。
【0055】
(2)低温(0℃)での破断強度・破断伸度の測定
23℃・50%RHに二週間保管し調湿させた後、フィルムは幅15mm、長さ150mm、ペレットは切断前のストランドを直径3mm、長さ100mmに切断し試験片とした。0℃で2時間静置した後、0℃に設定した恒温槽付き引張試験装置に取り付け、30分静置後に引張試験を実施した。5サンプルの破断点における応力の数平均値と伸度の数平均値をそれぞれ破断強度、破断伸度とした。
装置:インストロン3367(恒温槽付き)
恒温槽温度制御範囲:-40℃~160℃
設定温度:0℃
速度:10mm/min
チャック間距離:50mm
【0056】
(3)酸素透過度の測定
23℃・50%RH、もしくは23℃・75%RHに二週間保管し調湿させた後、酸素透過量測定装置に取り付け、酸素透過度を測定した。測定条件は以下の通りとした。
装置:モダンコントロール社製MOCON OX-TRAN2/20
温度:23℃
酸素供給側及びキャリアガス側の湿度:50%RHもしくは75%RH
酸素圧:1.0atm
キャリアガス圧力:1.0atm
【0057】
(4)ポリビニルアルコールの粘度測定法
ポリビニルアルコールは、JIS Z 8803(落球式粘度計)、JIS K 6726(ポリビニルアルコール試験方法)に基づき4%水溶液を調製し、ヘブラー粘度計を用い20℃で測定した。
【0058】
(5)樹脂組成物の調製
樹脂組成物は、液体ポンプを接続した二軸押出機に原料を供した後、成形体から水分を除去することで調製した。二軸押出機は共回転(かみ合せ自己ワイピング)方式で運転した。適切な押出機の例を
図1に示す。
【0059】
原料は、重量フィーダーを経由してC1におけるホッパーを通ってバレル内に供給した。水はC4における液体ポンプ(L)を通ってバレル内に噴射された。C5~C9の温度域はクッキング域であり、これらの帯域内で完全なゼラチン化を完了した。ダイまたはフィルムダイは、C11以後にある。
【0060】
用いた押出機のスクリュー直径、L/D比、最大回転速度は以下の通りである:
スクリュー直径:27mm
L/D比:48
最大回転速度1200rpm
【0061】
フィルム成形時は、フィルム成形用ダイから押出し、次いで引取りローラーで巻き取った。巻き取り時は、ロールを加温及び脱湿空気を供給することによって、フィルムの乾燥と冷却を行った。
【0062】
ペレット成形時は、複数穴のストランドノズルから押出し、回転カッターで切断することでストランドをペレット形状とした。ペレットは過剰の水分を含有するため、膠着を防ぐために振動を定常的に与えながら、熱風、脱湿空気もしくは赤外線ヒーターで水分を除去した。
【0063】
ペレットを破断強度測定および破断伸度測定に供する場合は、切断前のストランドを上記と同様の方法で乾燥させたものを使用した。酸素透過性測定に供する場合は、上記のフィルム成形と同一の成形方法にてペレットを原料としてフィルム状に成形した。
【0064】
(6)用いた材料
<変性デンプン(A)>
・ECOFILM(登録商標):プロピレンオキシドにより変性されたトウモロコシデンプン、アミロース含有量80質量%、National Starch and Chemical Companyから入手
・National7(登録商標)::プロピレンオキシドにより変性されたキャッサバデンプン、アミロース含有量20質量%、Ingredion社から入手
【0065】
<ポリビニルアルコール(B)>
・ELVANOL(登録商標)71-30:ポリビニルアルコール樹脂、鹸化度99mol%以上、粘度27-33mPa・s(20℃、4%水溶液)、クラレ社から入手
・ELVANOL(登録商標)90-50:ポリビニルアルコール樹脂、鹸化度99mol%以上、粘度12-15mPa・s(20℃、4%水溶液)、クラレ社から入手
・クラレポバール(登録商標)PVA217:ポリビニルアルコール樹脂、鹸化度88mol%、粘度22mPa・s(20℃、4%水溶液)、クラレ社から入手
・クラレポバール(登録商標)PVA205:ポリビニルアルコール樹脂、鹸化度88mol%、粘度5mPa・s(20℃、4%水溶液)、クラレ社から入手
【0066】
<粘土>
CLOISITE(登録商標)20A:ジメチルジ(水素化獣脂)四級アンモニウムクロリドにより改質した天然モンモリロナイト、Southern Clay Industries社から入手
【0067】
<実施例1>
以下の表3に示す通り、ECOFILM(登録商標)(9.80kg)、ELVANOL71-30(200g)をタンブラーミキサー内で2時間混合した。混合した粉末は、3.5kg/時間の速度で重量フィーダーを経由し押出機のホッパーに供給された。水は、26g/分の流速で液体ポンプを通ってバレル内に噴射された。ダイから押し出されたフィルムは、冷却、乾燥後に厚さ350μmになるように引取速度を設定した。シリンダー温度は下記表1の温度プロファイルAに設定した。C5~C9はクッキング域である。
【表1】
【0068】
<実施例2>
原料としてECOFILM(登録商標)(9.00kg)、ELVANOL71-30(1.00kg)を用いた以外は実施例1と同様にして、厚さ350μmのフィルムを作製した。
【0069】
<実施例3>
原料としてECOFILM(登録商標)(7.00kg)、ELVANOL71-30(3.00kg)を用いた以外は実施例1と同様にして、厚さ350μmのフィルムを作製した。
【0070】
<実施例4>
原料としてECOFILM(登録商標)(5.00kg)、ELVANOL71-30(5.00kg)を用いた以外は実施例1と同様にして、厚さ350μmのフィルムを作製した。
【0071】
<実施例5>
原料としてECOFILM(登録商標)(6.75kg)、National7(登録商標)(2.25kg)、ELVANOL(登録商標)71-30(1.00kg)、CLOISITE(登録商標)20A(200g)を用いた以外は実施例1と同様にして、厚さ350μmのフィルムを作製した。
【0072】
<実施例6>
原料としてECOFILM(登録商標)(4.50kg)、National7(登録商標)(4.50kg)、ELVANOL(登録商標)71-30(1.00kg)、CLOISITE(登録商標)20A(200g)を用いた以外は実施例1と同様にして、厚さ350μmのフィルムを作製した。
【0073】
<実施例7>
PVOHとしてELVANOL(登録商標)90-50(1.00kg)を用いた以外は実施例5と同様にして、厚さ350μmのフィルムを作製した。
【0074】
<実施例8>
PVOHとしてクラレポバール(登録商標)PVA217(1.00kg)を用いた以外は実施例5と同様にして、厚さ350μmのフィルムを作製した。
【0075】
<実施例9>
PVOHとしてクラレポバール(登録商標)PVA205(1.00kg)を用いた以外は実施例5と同様にして、厚さ350μmのフィルムを作製した。
【0076】
<実施例10>
ダイから押し出された後にストランドノズルを通りペレタイズ後、熱風で水分を除去する工程とした以外は実施例5と同様にして、ペレットを作製した。
【0077】
<比較例1>
原料としてECOFILM(登録商標)(10.00kg)を用いた以外は実施例1と同様にして、厚さ350μmのフィルムを作製した。
【0078】
<比較例2>
原料としてECOFILM(登録商標)(9.90kg)、ELVANOL71-30(100g)を用いた以外は実施例1と同様にして、厚さ350μmのフィルムを作製した。
【0079】
<比較例3>
原料としてECOFILM(登録商標)(3.00kg)、ELVANOL(登録商標)71-30(7.00kg)を用いた以外は実施例1と同様にして、厚さ350μmのフィルムを作製した。
【0080】
<比較例4>
原料としてNational7(登録商標)(9.00kg)、ELVANOL(登録商標)71-30(1.00kg)を用いた以外は実施例1と同様にして、厚さ350μmのフィルムを作製した。
【0081】
<比較例5>
シリンダー温度を下記表2の温度プロファイルBに変更する以外は実施例5と同様にして、厚さ350μmのフィルムを作製した。C5~C9はクッキング域である。
【表2】
【0082】
<比較例6>
ダイから押出された後にストランドノズルを通りペレタイズ後、熱風で水分を除去する工程とした以外は比較例5と同様にして、ペレットを作製した。
【0083】
【0084】
【0085】
表4に示される通り、実施例1~10では、低温(0℃;以下同様)での破断強度及び破断伸度が高く、バリア性に優れた樹脂組成物が得られた。これに対し、ポリビニルアルコールを含まない比較例1、およびポリビニルアルコールの分散度が3を超える比較例2および6では、得られた樹脂組成物の低温での破断伸度が十分ではなかった。また、ポリビニルアルコールを50質量%を超えて含む比較例3では、低温での破断伸度が高いものの、破断強度が低いことに加え、高湿下で十分なガスバリア性が得られなかった。また、ポリビニルアルコールの換算粒径が300nmを超える比較例4および5は、低温での破断伸度が十分ではなく、特に比較例4は破断強度にも劣った。