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特許7050815接着剤組成物、これを含む接着剤層を含む保護フィルムおよび偏光板、およびこれを含む画像表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】接着剤組成物、これを含む接着剤層を含む保護フィルムおよび偏光板、およびこれを含む画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   C09J 129/04 20060101AFI20220401BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20220401BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20220401BHJP
   C09J 7/30 20180101ALI20220401BHJP
【FI】
C09J129/04
C09J11/06
C09J11/04
C09J7/30
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019562334
(86)(22)【出願日】2018-06-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-02
(86)【国際出願番号】 KR2018006831
(87)【国際公開番号】W WO2019004641
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2019-11-11
(31)【優先権主張番号】10-2017-0081395
(32)【優先日】2017-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521241281
【氏名又は名称】杉金光電(蘇州)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】ユビン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヘ・スン・チョ
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン・ヒ・ソン
(72)【発明者】
【氏名】チャンファ・アン
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ア・ソク
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・グ・ヨ
【審査官】藤田 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-189615(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0090602(KR,A)
【文献】特開2008-15483(JP,A)
【文献】特開2002-294014(JP,A)
【文献】特開2005-119155(JP,A)
【文献】特開平8-27417(JP,A)
【文献】特開2008-145692(JP,A)
【文献】特開2005-222013(JP,A)
【文献】特開昭63-170482(JP,A)
【文献】特開2015-174958(JP,A)
【文献】特開2016-69653(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00- 5/10
7/00- 7/50
9/00-201/10
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリビニルアルコール系樹脂;メラミン系架橋剤;酸触媒;およびシラン系添加剤を含む接着剤組成物において、
前記メラミン系架橋剤と酸触媒との重量比は、5:1~1:1であり、
前記酸触媒は、スルホン酸基を含むものであり、
前記シラン系添加剤は、エポキシ基を含むシランアルコキシド系化合物である、接着剤組成物。
【請求項2】
前記メラミン系架橋剤は、下記化学式1で表されるものである、請求項1に記載の接着剤組成物:
【化1】
前記化学式1において、R1~R6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素、重水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のイミン基、置換もしくは非置換のアミン基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、または置換もしくは非置換のアリール基である。
【請求項3】
前記R1~R6は、アルコキシ基で置換されたアルキル基である、請求項2に記載の接着剤組成物。
【請求項4】
前記R1~R6のうちの少なくとも1つは、水素である、請求項2に記載の接着剤組成物。
【請求項5】
前記酸触媒は、硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、乳酸、酢酸、およびギ酸からなる群より選択される1つ以上をさらに含むものである、請求項1~4のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項6】
前記酸触媒は、パラトルエンスルホン酸である、請求項1~4のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項7】
前記ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、
前記メラミン系架橋剤は5~100重量部、
前記酸触媒は1~20重量部、および
前記シラン系添加剤は10~100重量部を含むものである、請求項1~6のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項8】
前記接着剤組成物は、pHが2~6である、請求項1~のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項9】
前記接着剤組成物は、粘度が5cp~40cpである、請求項1~のいずれか一項に記載の接着剤組成物。
【請求項10】
保護フィルムと、前記保護フィルムの一面に請求項1~のいずれか1項に記載の接着剤組成物を含む接着剤層とが備えられた保護フィルム。
【請求項11】
前記保護フィルムは、トリアセチルセルロースフィルム、COP(シクロオレフィンポリマー)フィルム、またはアクリル系フィルムである、請求項10に記載の保護フィルム。
【請求項12】
偏光子と、
前記偏光子の少なくとも一面に備えられ、請求項1~のいずれか1項に記載の接着剤組成物を含む接着剤層と、
前記接着剤層上の少なくとも一面に備えられた保護フィルムとを含む偏光板。
【請求項13】
前記接着剤層の厚さは、0超過20μm以下である、請求項12に記載の偏光板。
【請求項14】
表示パネルと、
前記表示パネルの一面または両面に備えられた請求項12または13に記載の偏光板とを含む画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、接着剤組成物、これを含む接着剤層を含む保護フィルムおよび偏光板、およびこれを含む画像表示装置に関する。本明細書は、2017年6月27日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2017-0081395号の出願日の利益を主張し、その内容はすべて本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置、プラズマ表示装置、電界発光素子などの各種画像表示装置に用いられる偏光板は、ポリビニルアルコール系フィルムからなる偏光子と、偏光子の少なくとも一面に保護フィルムとが形成された構造からなる。一方、前記偏光子と保護フィルムとの接着に用いられる偏光板用接着剤としてポリビニルアルコール系接着剤が主に使用されている。
【0003】
しかし、ポリビニルアルコール系樹脂接着剤は水溶性高分子であるため、湿度が高い条件では接着剤が溶解して偏光子と保護フィルムが剥離される問題点があった。
【0004】
このような問題を改善するために、ポリビニルアルコール系樹脂にアセトアセチル基を付加して変性させたり、エチルアクリレート、メチルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸などの疎水性ビニルモノマーなどを共重合させたり、ポリビニルアルコール系樹脂にグリオキサル酸塩またはアミン金属塩のような架橋剤を混合して使用する方法などが提案された。
【0005】
前記のような方法により製造されたポリビニルアルコール系接着剤の場合、ポリビニルアルコール単独で使用する場合に比べては耐水性がやや向上する傾向があるが、高速生産ラインに適用される場合、依然として耐水性および接着力が十分でない問題点がある。また、変性ポリビニルアルコール系樹脂接着剤の場合、アルカリ性pH条件でムラが発生する問題点があり、架橋剤を混合する方法の場合、架橋剤の量に応じて偏光板の光学特性が低下するなどの問題点も発生していた。
【0006】
したがって、偏光板の光学特性を維持しながらも、偏光子と保護フィルムに対する優れた接着性および耐水性を有する偏光子と保護フィルム接着用接着剤が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書は、接着剤組成物、これを含む接着剤層を含む保護フィルムおよび偏光板、およびこれを含む画像表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書の一実施態様によれば、ポリビニルアルコール系樹脂;メラミン系架橋剤;酸触媒;およびシラン系添加剤を含む接着剤組成物において、前記メラミン系架橋剤と酸触媒との重量比は、5:1~1:1であり、前記酸触媒は、スルホン酸基を含むものである接着剤組成物を提供する。
【0009】
本明細書の一実施態様によれば、保護フィルムと、前記保護フィルムの一面に前述した接着剤組成物を含む接着剤層とが備えられた保護フィルムを提供する。
【0010】
本明細書の一実施態様によれば、偏光子と、前記偏光子の少なくとも一面に備えられ、前述した接着剤組成物を含む接着剤層と、前記接着剤層上の少なくとも一面に備えられた保護フィルムとを含む偏光板を提供する。
【0011】
また、本明細書の一実施態様によれば、表示パネルと、前記表示パネルの一面または両面に備えられた前述した偏光板とを含む画像表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本明細書の一実施態様に係る接着剤組成物は、ポリビニルアルコール系樹脂;メラミン系架橋剤;酸触媒;およびシラン系添加剤を含み、前記メラミン系架橋剤と酸触媒との重量比は、5:1~1:1であり、前記酸触媒は、スルホン酸基を含むものである接着剤組成物は、優れた耐水性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例1による偏光板の耐水性評価後の写真である。
図2】実施例2による偏光板の耐水性評価後の写真である。
図3】比較例2による偏光板の耐水性評価後の写真である。
図4】比較例3による偏光板の耐水性評価後の写真である。
図5】比較例4による偏光板の耐水性評価後の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本明細書について詳細に説明する。
【0015】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0016】
本明細書において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているとする時、これは、ある部材が他の部材に接している場合のみならず、2つの部材の間にさらに他の部材が存在する場合も含む。
【0017】
本明細書の一実施態様によれば、ポリビニルアルコール系樹脂;メラミン系架橋剤;酸触媒;およびシラン系添加剤を含む接着剤組成物において、前記メラミン系架橋剤と酸触媒との重量比は、5:1~1:1であり、前記酸触媒は、スルホン酸基を含む接着剤組成物を提供する。
【0018】
本明細書の一実施態様によれば、前記メラミン系架橋剤は、下記化学式1で表される。
【0019】
【化1】
【0020】
前記化学式1において、R1~R6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素、重水素、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のイミン基、置換もしくは非置換のアミン基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、または置換もしくは非置換のアリール基である。
【0021】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1~R6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立に、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基、エチレンジアミン、ピロリジン、ピペリジン、またはアミノ基である。
【0022】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1~R6は、置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0023】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1~R6は、アルコキシ基で置換されたアルキル基である。
【0024】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1~R6は、メトキシ基で置換されたメチル基である。
【0025】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1~R6のうちの少なくとも1つは、水素である。
【0026】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1~R6のうちの少なくとも1つは、置換もしくは非置換のイミン基、または置換もしくは非置換のアミン基である。
【0027】
本明細書の一実施態様によれば、前記メラミン架橋剤は、少なくとも1以上のイミン基またはアミン基を含む。R1~R6のうちの1つが水素の場合、イミン基を含むと考えられ、R1およびR2が水素の場合、アミン基を含むと考えられ、R1~R6のうちの少なくとも1つがイミン基またはアミン基の場合であるか、イミン基またはアミン基が置換されたアルキル基、イミン基またはアミン基が置換されたアリールである場合も、メラミン架橋剤内にイミン基またはアミン基を含むと考えられる。
【0028】
前記「置換」という用語は、化合物の炭素原子に結合した水素原子が他の置換基に変わることを意味し、置換される位置は、水素原子の置換される位置すなわち、置換基が置換可能な位置であれば限定せず、2以上置換される場合、2以上の置換基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0029】
本明細書において、「置換もしくは非置換の」という用語は、重水素;ハロゲン基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のイミン基;置換もしくは非置換のアミン基;置換もしくは非置換のアリール基;および置換もしくは非置換のヘテロ環基からなる群より選択された1または2以上の置換基で置換されているか、前記例示された置換基のうち2以上の置換基が連結された置換基で置換されるか、もしくはいずれの置換基も有しないことを意味する。例えば、「2以上の置換基が連結された置換基」は、ビフェニル基であってもよい。すなわち、ビフェニル基は、アリール基であってもよく、2個のフェニル基が連結された置換基と解釈されてもよい。
【0030】
本明細書において、前記アルキル基は、直鎖もしくは分枝鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、1~30のものが好ましい。具体例としては、メチル、エチル、プロピル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、1-メチル-ブチル、1-エチル-ブチル、ペンチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、ヘプチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、オクチル、n-オクチル、tert-オクチル、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、1-エチル-プロピル、1,1-ジメチル-プロピル、イソヘキシル、2-メチルペンチル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
本明細書において、前記アルコキシ基は、直鎖、分枝鎖もしくは環鎖であってもよい。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1~30のものが好ましい。具体的には、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、i-プロピルオキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ、3,3-ジメチルブチルオキシ、2-エチルブチルオキシ、n-オクチルオキシ、n-ノニルオキシ、n-デシルオキシ、ベンジルオキシ、p-メチルベンジルオキシなどになってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0032】
本明細書において、アミン基は、-NH;モノアルキルアミン基;ジアルキルアミン基;N-アルキルアリールアミン基;モノアリールアミン基;ジアリールアミン基;N-アリールヘテロアリールアミン基;N-アルキルヘテロアリールアミン基、モノヘテロアリールアミン基、およびジヘテロアリールアミン基からなる群より選択されてもよいし、炭素数は特に限定されないが、1~30のものが好ましい。アミン基の具体例としては、メチルアミン基、ジメチルアミン基、エチルアミン基、ジエチルアミン基、フェニルアミン基、ナフチルアミン基、ビフェニルアミン基、アントラセニルアミン基、9-メチル-アントラセニルアミン基、ジフェニルアミン基、ジトリルアミン基、N-フェニルトリルアミン基、トリフェニルアミン基、N-フェニルビフェニルアミン基;N-フェニルナフチルアミン基;N-ビフェニルナフチルアミン基;N-ナフチルフルオレニルアミン基;N-フェニルフェナントレニルアミン基;N-ビフェニルフェナントレニルアミン基;N-フェニルフルオレニルアミン基;N-フェニルターフェニルアミン基;N-フェナントレニルフルオレニルアミン基;N-ビフェニルフルオレニルアミン基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
本明細書において、アリール基は特に限定されないが、炭素数6~30のものが好ましく、前記アリール基は、単環式もしくは多環式であってもよい。
【0034】
前記アリール基が単環式アリール基の場合、炭素数は特に限定されないが、炭素数6~30のものが好ましい。具体的には、単環式アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などになってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0035】
前記アリール基が多環式アリール基の場合、炭素数は特に限定されないが、炭素数10~30のものが好ましい。具体的には、多環式アリール基としては、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、トリフェニル基、ピレニル基、ペリレニル基、クリセニル基、フルオレニル基などになってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0036】
本明細書において、前記フルオレニル基は置換されていてもよいし、隣接した基が互いに結合して環を形成してもよい。
【0037】
前記フルオレニル基が置換される場合、
【0038】
【化2】
【0039】
などになってもよい。ただし、これらに限定されるものではない。
【0040】
本明細書の一実施態様によれば、前記酸触媒は、硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、乳酸、酢酸、およびギ酸からなる群より選択される1つ以上をさらに含む。
【0041】
本明細書の一実施態様によれば、前記酸触媒は、パラトルエンスルホン酸であることが好ましく、パラトルエンスルホン酸を用いる場合、その他の酸触媒を用いたり、酸触媒を用いない場合に比べて、架橋剤の硬化温度が上昇するのを防ぐことができ、接着剤配合後の安定性に優れ、常温でゲル状ではない液状型で存在するので、工程化が容易である。
【0042】
本明細書の一実施態様によれば、前記シラン系添加剤は、シランアルコキシド系化合物である。
【0043】
本明細書の一実施態様によれば、前記シランアルコキシド系化合物は、アミン基またはエポキシ基を含む。アミン基またはエポキシ基を含む場合に、メラミン架橋剤内にイミン基またはアミン基と反応して架橋反応が増加して耐水性上昇の効果がある。
【0044】
本明細書の一実施態様によれば、前記ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、前記メラミン系架橋剤は5~100重量部、前記酸触媒は1~20重量部、および前記シラン系添加剤は10~100重量部を含む。
【0045】
本明細書の一実施態様によれば、前記ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、前記メラミン系架橋剤は5~100重量部、前記酸触媒は1~20重量部、前記シラン系添加剤は10~100重量部、および水1000~10000重量部を含む。
【0046】
前記メラミン架橋剤は、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して5~100重量部程度が好ましく、メラミン架橋剤が5重量部以上で含まれる場合、架橋が十分に起きて耐水性が向上し、100重量部以下で含まれる場合、接着剤組成物を配合した後に短期間でゲル化しないので、保存性が増加して安定性が高くなる。
【0047】
前記酸触媒は、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して1~20重量部程度が好ましい。
【0048】
前記シラン系添加剤は、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して10~100重量部程度が好ましく、シラン系添加剤が10重量部以上で含まれる場合、耐水および耐湿環境で接着力が向上し、100重量部以下で含まれる場合、偏光板の製造時、乾燥過程でのシワの発生を防止する。
【0049】
本明細書の一実施態様によれば、前記接着剤組成物は、pHが2~6であり、アルカリ性pH条件に比べて、ムラが発生する問題を防止するのに容易である。
【0050】
本明細書の一実施態様によれば、前記接着剤組成物は、粘度が5cp~40cpである。
【0051】
本明細書の一実施態様によれば、前記接着剤組成物は、粘着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、安定化剤、カップリング剤などの添加剤を添加してもよい。当該添加剤を添加することにより、所望の性能を有する接着剤になる。
【0052】
本明細書の一実施態様によれば、保護フィルムと、前記保護フィルムの一面に前述した接着剤組成物を含む接着剤層とが備えられた保護フィルムを提供する。
【0053】
本明細書の一実施態様によれば、前記保護フィルムは、トリアセチルセルロースフィルム、COP(シクロオレフィンポリマー)フィルム、またはアクリル系フィルムである。
【0054】
本明細書の一実施態様によれば、偏光子と、前記偏光子の少なくとも一面に備えられ、前述した接着剤組成物を含む接着剤層と、前記接着剤層上の少なくとも一面に備えられた保護フィルムとを含む偏光板を提供する。
【0055】
前記偏光子は特に限定されず、当該技術分野でよく知られた偏光子、例えば、ヨウ素または二色性染料を含むポリビニルアルコール(PVA)からなるフィルムを使用することができる。前記偏光子は、PVAフィルムにヨウ素または二色性染料を染着させて製造されるが、その製造方法は特に限定されない。本明細書において、偏光子は、保護フィルムを含まない状態を意味し、偏光板は、偏光子と保護フィルムとを含む状態を意味する。
【0056】
次に、前記接着剤層は、前述した本明細書の実施態様に係る接着剤組成物を含むもので、当該技術分野でよく知られた方法により形成される。例えば、偏光子または保護フィルムの一面に接着剤組成物を塗布して接着剤層を形成した後、偏光子と保護フィルムとを貼り合わせた後、硬化させる方法で行われる。この時、前記塗布は、当該技術分野でよく知られた塗布方法、例えば、スピンコーティング、バーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、ブレードコーティングなどの方法で行われる。
【0057】
一方、前記接着剤層の厚さは、0超過20μm以下程度、0超過10μm以下程度、好ましくは0.1~10μmまたは0.1~5μm程度であるのが良い。接着剤層の厚さが薄すぎる場合には、接着剤層の均一度および接着力が低下し、接着層の厚さが厚すぎる場合には、偏光板の外観にシワの寄る問題が発生することがあるからである。
【0058】
前記保護フィルムは、偏光子を支持および保護するためのもので、当該技術分野で一般的に知られている多様な材質の保護フィルム、例えば、セルロース系フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET、polyethylene terephthalate)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP、cycloolefin polymer)フィルム、アクリル系フィルムなどが制限なく使用可能である。なかでも、光学特性、耐久性、経済性などを考慮する時、アクリル系フィルムを用いることが特に好ましい。
【0059】
一方、本明細書の前記偏光板は、接着力をさらに向上させるために、前記接着剤層と前記保護フィルムとの間にプライマー層をさらに含んでもよい。この時、前記プライマー層は、水分散性高分子樹脂、水分散性微粒子、および水を含むコーティング液を、バーコーティング法、グラビアコーティング法などを利用して保護フィルム上に塗布し乾燥する方法により形成される。前記水分散性高分子樹脂は、例えば、水分散ポリウレタン系樹脂、水分散アクリル系樹脂、水分散ポリエステル系樹脂、またはこれらの組み合わせなどであってもよいし、水分散性微粒子は、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニアなどの無機系微粒子や、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、架橋ポリビニルアルコール、およびメラミン系樹脂からなる有機系微粒子、またはこれらの組み合わせを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0060】
本明細書の一実施態様によれば、表示パネルと、前記表示パネルの一面または両面に備えられた前述した実施態様に係る偏光板とを含む画像表示装置を提供する。
【0061】
前記表示パネルは、液晶パネル、プラズマパネル、および有機発光パネルであってもよい。
【0062】
これによって、前記画像表示装置は、液晶表示装置(LCD)、プラズマ表示装置(PDP)、および有機電界発光表示装置(OLED)であってもよい。
【0063】
より具体的には、前記画像表示装置は、液晶パネルと、該液晶パネルの両面にそれぞれ備えられた偏光板とを含む液晶表示装置であってもよいし、この時、前記偏光板の少なくとも1つが、前述した本明細書の一実施態様に係る偏光子を含む偏光板であってもよい。すなわち、前記偏光板は、ヨウ素および/または二色性染料が染着されたポリビニルアルコール系偏光子と、前記ポリビニルアルコール系偏光子の少なくとも一面に備えられた保護フィルムとを含む偏光板において、局地的に400nm~800nmの波長帯域における単体透過度が80%以上の偏光解消領域を有し、前記偏光解消領域の算術平均粗さ(Ra)が200nm以下であり、偏光度が10%以下であり、サギング(sagging)が10μm以下であることを特徴とする。
【0064】
この時、前記液晶表示装置に含まれる液晶パネルの種類は特に限定されない。例えば、その種類に限定されず、TN(twisted nematic)型、STN(super twisted nematic)型、F(ferroelectic)型、またはPD(polymer dispersed)型のようなパッシブマトリクス方式のパネル;2端子型(two terminal)または3端子型(three terminal)のようなアクティブマトリクス方式のパネル;横電界型(IPS;In Plane Switching)パネルおよび垂直配向型(VA;Vertical Alignment)パネルなどの公知のパネルがすべて適用可能である。また、液晶表示装置を構成するその他の構成、例えば、上部および下部基板(例えば、カラーフィルタ基板またはアレイ基板)などの種類も特に限定されず、この分野で公知の構成が制限なく採用可能である。
【実施例
【0065】
以下、実施例を通じてより詳細に説明する。ただし、以下の実施例は本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲を制限しようとする意図ではない。
【0066】
<実施例1>
(a)偏光フィルム(偏光子)の製造
厚さ40μmのポリビニルアルコールフィルムをガイドロールを用いて動かしながら、ヨウ素とヨウ化カリウムの染色液に浸漬して染色した後、約3~5倍延伸処理した。次に、前記フィルムをホウ酸とヨウ化カリウムとの組み合わせで投入して架橋処理をし、80℃で約5~8分間乾燥して、偏光フィルムを得た。
【0067】
(b)接着剤の製造
純水にアセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール(PVA、日本合成社のZ-200)(平均重合度2000、ケン化度94%)を溶かして3.8%のポリビニルアルコール水溶液を製造した。
【0068】
純水にメラミン架橋剤(Melamine、Cytec社のcymel327)に溶かして10重量%のメラミン水溶液を製造した。前記メラミン水溶液を前記製造したポリビニルアルコール水溶液中のポリビニルアルコールの100重量部に対して20重量部(メラミン固形分基準)を添加して撹拌しながら混合した。前記混合溶液にポリビニルアルコール100重量部に対して、パラトルエンスルホン酸(p-tsa、Sigma aldrich購入)10重量部、シラン系添加剤(Chisso社、S510)40重量部を添加して、接着剤を製造した。
【0069】
(c)偏光板の製造
前記製造した接着剤を用いて、ポリビニルアルコール系偏光フィルムの両面に保護フィルムとして厚さ40μmのケン化処理されたトリアセチルセルロース(TAC)フィルムを接着させてラミネートした後、乾燥して、偏光板を製造した。
【0070】
<実施例2>
実施例1の接着剤組成物中、ポリビニルアルコール100重量部に対して、パラトルエンスルホン酸を4重量部用いることを除けば、実施例1と同様の方法で偏光板を製造した。
【0071】
<比較例1>
実施例1の接着剤組成物中、パラトルエンスルホン酸の代わりに1Mの酢酸(Sigma aldrich購入)を10重量部用いることを除けば、実施例1と同様の方法で偏光板を製造した。
【0072】
<比較例2>
実施例1の接着剤組成物中、シラン系添加剤を添加しないことを除けば、実施例1と同様の方法で偏光板を製造した。
【0073】
<比較例3>
実施例1の接着剤組成物中、パラトルエンスルホン酸を、ポリビニルアルコール100重量部に対して2重量部用いることを除けば、実施例1と同様の方法で偏光板を製造した。
【0074】
<比較例4>
実施例1の接着剤組成物中、パラトルエンスルホン酸を添加しないことを除けば、実施例1と同様の方法で偏光板を製造した。
【0075】
<比較例5>
実施例1の接着剤組成物中、パラトルエンスルホン酸およびシラン系添加剤を添加しないことを除けば、実施例1と同様の方法で偏光板を製造した。
【0076】
<比較例6>
実施例1の接着剤組成物中、メラミン架橋剤およびパラトルエンスルホン酸およびシラン添加剤を添加しないことを除けば、実施例1と同様の方法で偏光板を製造した。
【0077】
<保存安定性および耐水性評価>
1)保存安定性-可溶時間(pot life)評価
接着剤を調製後に10分間撹拌し、接着剤50mLを100mLのバイアルに入れて、ゲル(gel)化するのにかかる時間を測定した。ゲル化の確認は、接着剤の入っているバイアルを振盪した時、それ以上接着剤が動かない状態になるのを肉眼で確認する方法で評価した。接着剤は可溶時間(Pot life)が長いほど好ましく、工程に適用するためには、最小12時間(hr)以上、より好ましくは3日(day)以上必要である。
【0078】
2)耐水性評価
実施例1、2、および比較例1~6で得られた偏光板を50×80mmの大きさに切った後、アクリレート系の粘着剤を偏光板のトリアセチルセルロース(TAC)フィルムの片面に塗布した後、ガラスに積層した。ガラスに積層された偏光板を耐水性(25℃/100%)の恒温槽に72時間放置した時の、剥離およびPVAの溶解度の程度を測定した。剥離および溶解の程度は小さいほど好ましい。
【0079】
また、実施例1、2、および比較例2~4の偏光板の耐水性評価後の写真を図1~5に示した。
【0080】
【表1】
【0081】
比較例1の場合、保存安定性および100℃硬化後の耐水性がパラスルホン酸を用いた時と比べて低下し、比較例2の場合には、シラン系添加剤がない場合、保存安定性には優れているが、偏光板の耐水性に劣ることが分かる。
【0082】
比較例3の場合、酸触媒を特定の比率を超えて使用時、保存安定性および耐水性に劣ることが分かり、比較例4および5の場合、酸触媒を用いない時、低場安定性が1日以内と非常に短くて、実際の工程で使用しにくく、耐水性を確保するための硬化温度も140℃以上であるので、実際の工程に適用するには困難がある。
図1
図2
図3
図4
図5