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特許7050831ブラックリストに基づく再ナビゲーション方法、装置、記憶媒体、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】ブラックリストに基づく再ナビゲーション方法、装置、記憶媒体、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20220401BHJP
【FI】
G08G1/16 D
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020025859
(22)【出願日】2020-02-19
(65)【公開番号】P2020135896
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2020-02-19
(31)【優先権主張番号】201910127448.2
(32)【優先日】2019-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】321009845
【氏名又は名称】アポロ インテリジェント ドライビング テクノロジー(ペキン)カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ホォンイエ リー
(72)【発明者】
【氏名】シアオシヌ フゥ
(72)【発明者】
【氏名】ジェヌグアン ジュ
【審査官】稲葉 大紀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0300059(US,A1)
【文献】特開2008-281523(JP,A)
【文献】特開2005-274339(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0004214(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0242436(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人車両の再ナビゲーション装置により実行されるブラックリストに基づく再ナビゲーション方法であって、
前記無人車両の走行中に、前記無人車両の前方領域に障害物があるか否かを検出することと、
前記前方領域に障害物があると検出した場合、ブラックリスト生成ポリシーによって前記障害物を車線にマッピングし、前記障害物の所在する車線の一部領域において、前記障害物に対応するブラックリストを生成することと、
ナビゲーションシステムが前記障害物の所在する車線に基づいてナビゲーション経路を再計画するように、前記ブラックリストを前記ナビゲーションシステムに報告することと、を含み、
前記ブラックリストは、前記ナビゲーションシステムに永久に記憶されない、
ことを特徴とするブラックリストに基づく再ナビゲーション方法。
【請求項2】
前記無人車両の走行中に、前記無人車両の前方領域に障害物があるか否かを検出することは、前記無人車両に設けられた感知デバイスによって、前記前方領域に障害物があるか否かを検出すること、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のブラックリストに基づく再ナビゲーション方法。
【請求項3】
前記無人車両の走行中に、前記無人車両の前方領域に障害物があるか否かを検出することは、
前記前方領域に物体があると検出した場合、前記物体が静止状態にあるか否かを検出し、前記無人車両が前記物体を迂回通過できるか否かを判断することと、
前記物体が静止状態にあると検出し、かつ前記無人車両が前記物体を迂回通過できないと判断した場合、前記物体を前記障害物として確定することと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のブラックリストに基づく再ナビゲーション方法。
【請求項4】
無人車両の走行中に、前記無人車両の前方領域に障害物があるか否かを検出する障害物検出ユニットと、
前記前方領域に障害物があると検出した場合、ブラックリスト生成ポリシーによって前記障害物を車線にマッピングし、前記障害物の所在する車線の一部領域において、前記障害物に対応するブラックリストを生成するブラックリスト生成ユニットと、
ナビゲーションシステムが前記障害物の所在する車線に基づいてナビゲーション経路を再計画するように前記ブラックリストを前記ナビゲーションシステムに報告するブラックリスト報告ユニットと、を含み、
前記ブラックリストは、前記ナビゲーションシステムに永久に記憶されない、
ことを特徴とするブラックリストに基づく再ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記障害物検出ユニットは、
前記無人車両に設けられた感知デバイスによって、前記前方領域に障害物があるか否かを検出する、
ことを特徴とする請求項に記載のブラックリストに基づく再ナビゲーション装置。
【請求項6】
前記障害物検出ユニットは、
前記前方領域に物体があると検出した場合、前記物体が静止状態にあるか否かを検出し、前記無人車両が前記物体を迂回通過できるか否かを判断し、
前記物体が静止状態にあると検出し、かつ前記無人車両が前記物体を迂回通過できないと判断した場合、前記物体を前記障害物として確定する、
ことを特徴とする請求項に記載のブラックリストに基づく再ナビゲーション装置。
【請求項7】
1つ又は複数のプロセッサと
1つ又は複数のプログラムが記憶されているメモリと、を含み、
前記1つ又は複数のプロセッサは、前記1つ又は複数のプログラムを実行する場合、請求項1~のいずれか1項に記載のブラックリストに基づく再ナビゲーション方法を実現させる、
ことを特徴とするブラックリストに基づく再ナビゲーション装置。
【請求項8】
プログラムが記憶されているコンピュータ可読記憶媒体であって、
当該プログラムがプロセッサによって実行される場合、請求項1~のいずれか1項に記載のブラックリストに基づく再ナビゲーション方法を実現させる、
ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項9】
コンピュータにおいて、プロセッサによって実行される場合、請求項1~のいずれか1項に記載のブラックリストに基づく再ナビゲーション方法を実現させる、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動運転技術分野に関し、特にブラックリストに基づく再ナビゲーション方法、装置、コンピュータ可読記憶媒体、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術の無人車両システムには、計画モジュールによって走行経路が計画されている。計画した走行経路において、現在車線を走行中にある位置にて前方道路の塞がりを発見した場合、計画した走行経路に従ってそのまま走行することができなくなる。このような状況では、無人車両は行程を完了することができず、受動的に待機し、道路の塞がりが解消されてから引き続き走行するしかない。従来技術では、無人車両は、一時的な道路障害物に対しての対応能力が不足しているため、道路の塞がり状況に対して柔軟に、機動的に対応することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、少なくとも従来技術における1つ又は複数の技術課題を解決するために、ブラックリストに基づく再ナビゲーション方法、装置、及びコンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1態様は、ブラックリストに基づく再ナビゲーション方法を提供する。当該方法は、
無人車両の走行中に、前記無人車両の前方領域に障害物があるか否かを検出することと、
前記前方領域に障害物があると検出した場合、前記障害物の所在する道路を含む、前記障害物に対応するブラックリストを生成することと、
ナビゲーションシステムが前記障害物の所在する道路に基づいてナビゲーション経路を再計画するように前記ブラックリストを前記ナビゲーションシステムに報告することと、を含む。
【0005】
1つの実施形態において、無人車両の走行中に、前記無人車両の前方領域に障害物があるか否かを検出することは、
前記無人車両に設けられた感知デバイスによって、前記前方領域に障害物があるか否かを検出すること、を含む。
【0006】
1つの実施形態において、無人車両の走行中に、前記無人車両の前方領域に障害物があるか否かを検出することは、
前記前方領域に物体があると検出した場合、前記物体が静止状態にあるか否かを検出し、前記無人車両が前記物体を迂回通過できるか否かを判断することと、
前記物体が静止状態にあると検出し、かつ前記無人車両が前記物体を迂回通過できないと判断した場合、前記物体を前記障害物として確定することと、を含む。
【0007】
1つの実施形態において、前記前方領域に障害物があると検出した場合、前記障害物に対応するブラックリストを生成することは、
前記前方領域に障害物があると検出した場合、前記障害物の所在する道路を特定し、前記障害物の所在する道路の一部領域において、前記障害物に対応するブラックリストを生成すること、を含む。
【0008】
1つの実施形態において、前記ブラックリストには、前記障害物の所在する車線がさらに含まれる。
【0009】
本発明の第2態様は、ブラックリストに基づく再ナビゲーション装置を提供する。当該装置は、
無人車両の走行中に、前記無人車両の前方領域に障害物があるか否かを検出するための障害物検出ユニットと、
前記前方領域に障害物があると検出した場合、前記障害物の所在する道路を含む、前記障害物に対応するブラックリストを生成するためのブラックリスト生成ユニットと、
ナビゲーションシステムが前記障害物の所在する道路に基づいてナビゲーション経路を再計画するように前記ブラックリストを前記ナビゲーションシステムに報告するためのブラックリスト報告ユニットと、を含む。
【0010】
1つの実施形態において、前記障害物検出ユニットは、
前記無人車両に設けられた感知デバイスによって、前記前方領域に障害物があるか否かを検出することにさらに用いられる。
【0011】
1つの実施形態において、前記障害物検出ユニットは、
前記前方領域に物体があると検出した場合、前記物体が静止状態にあるか否かを検出し、前記無人車両が前記物体を迂回通過できるか否かを判断し、
前記物体が静止状態にあると検出し、かつ前記無人車両が前記物体を迂回通過できないと判断した場合、前記物体を前記障害物として確定することにさらに用いられる。
【0012】
1つの実施形態において、前記ブラックリスト生成ユニットは、
前記前方領域に障害物があると検出した場合、前記障害物の所在する道路を特定し、前記障害物の所在する道路の一部領域において、前記障害物に対応するブラックリストを生成することにさらに用いられる。
【0013】
1つの実施形態において、前記ブラックリストには、前記障害物の所在する車線がさらに含まれる。
【0014】
本発明の第3態様は、ブラックリストに基づく再ナビゲーション装置を提供する。前記装置の機能は、ハードウェアによって実現されてもよく、ハードウェアをもって対応するソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。前記ハードウェア又はソフトウェアは、上記機能に対応する1つ又は複数のモジュールを含む。
【0015】
1つの可能な実施形態において、前記装置には、プロセッサとメモリとが含まれ、前記メモリは、前記装置が上記の方法を実行することをサポートするプログラムを記憶することに用いられ、前記プロセッサは、前記メモリに記憶されたプログラムを実行するように構成される。前記装置は、他のデバイス又は通信ネットワークと通信するための通信インターフェースをさらに含むことができる。
【0016】
本発明の第4態様は、プロセッサによって実行される場合、上記第1態様のいずれか1つの方法を実行するコンピュータプログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【発明の効果】
【0017】
上記の技術案は、下記のメリットと有益な効果を有する。前方道路が塞がっていることを発見した場合、障害物の所在する道路のブラックリストをナビゲーションシステムに送信し、ナビゲーション再計画をトリガーし、塞がっている道路区間を回避するよう、道路の塞がり状況に対してナビゲーション再計画を生成し、無人車両を案内して続けて走行させることにより、自動運転がより安全かつスムーズとなる。
【0018】
上記の概要は、単に説明のために過ぎず、いかなる限定をも目的としない。上記の例示的な態様、実施形態、及び特徴以外に、図面及び下記の詳細説明を参照することによって、本発明のさらなる態様、実施形態、及び特徴の理解を促す。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態におけるブラックリストに基づく再ナビゲーション方法のフローチャートである。
図2】本発明の実施形態におけるブラックリストに基づく再ナビゲーション方法による障害物検出の場面の模式図である。
図3】本発明の他の実施形態におけるブラックリストに基づく再ナビゲーション方法による障害物検出のフローチャートである。
図4】本発明の実施形態におけるブラックリストに基づく再ナビゲーション装置のブロック図である。
図5】本発明の他の実施形態におけるブラックリストに基づく再ナビゲーション装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面において特に規定されない限り、複数の図面において同様の図面符号は、同様又は類似の部材又はエレメントを示す。これらの図面は必ずしも実際の寸法に比例して作成されたものではない。これらの図面は本発明に基づいて開示された幾つかの実施形態を描いたものに過ぎず、本発明の範囲に対する限定としてはならないことを理解すべきである。
【0021】
下記において、幾つかの例示的実施形態を簡単に説明する。当業者が把握出来るよう、本発明の主旨又は範囲を逸脱しない限り、様々な方式により説明された実施形態に変更可能である。従って、図面と説明は限定を加えるものでなく、本質的には例示的なものである。
【0022】
図1は、本発明の実施形態におけるブラックリストに基づく再ナビゲーション方法のフローチャートである。図1に示すように、本発明の実施形態におけるブラックリストに基づく再ナビゲーション方法は、下記のステップS110、S120、S130を含む。
【0023】
ステップS110において、無人車両の走行中に、前記無人車両の前方領域に障害物があるか否かを検出する。
ステップS120において、前記前方領域に障害物があると検出した場合、前記障害物の所在する道路を含む、前記障害物に対応するブラックリストを生成する。
ステップS130において、ナビゲーションシステムが前記障害物の所在する道路に基づいてナビゲーション経路を再計画するように前記ブラックリストを前記ナビゲーションシステムに報告する。
【0024】
無人車両の走行中、道路状況はリアルタイムに変化するため、前方道路が塞がっているため通行できないことを発見した場合、待機して前方の塞がりが解消されてから引き続き通過する必要がある。本発明の実施形態において、前方道路が塞がっていることを発見した場合、ナビゲーション再計画をブラックリストによってトリガーし、塞がっている道路区間を回避し、ナビゲーション再計画によって無人車両を案内して目的地までスムーズに到着させることができる。ナビゲーション再計画とは、ナビゲーション経路を再計画することを指す。無人車両は、走行中に前方道路が塞がっているため迂回通過できず、元のナビゲーション経路に従って続けて走行することができない場合、ナビゲーション経路を再計画する必要がある。
【0025】
図2は、本発明の実施形態におけるブラックリストに基づく再ナビゲーション方法による障害物検出の場面の模式図である。図2に示すように、1つの例において、無人車両は、交差点を走行したとき、元のナビゲーション計画に従って右折する必要があるが、右折交差点に接近した時、右折交差点に動けない事故車両があることを発見し、又は右折交差点にバリケードが設置されていることを発見するとする。塞がりに遭遇した無人車両は、元のナビゲーション計画に従って右折することができず、ナビゲーション経路を再計画する必要がある。このような状況では、無人車両は、右折できず直進走行する必要があるとの現在の道路状況をナビゲーションシステムに報告し、右折を回避する経路を計画するようにナビゲーションシステムに要求することができる。
【0026】
1つの実施形態において、図1のステップS110、即ち、無人車両の走行中に、前記無人車両の前方領域に障害物があるか否かを検出するステップは、
前記無人車両に設けられた感知デバイスによって、前記前方領域に障害物があるか否かを検出すること、を含む
この実施形態において、無人車両に設けられたカメラ、レーザーレーダー、ミリ波レーダー、超音波レーダー等の感知デバイスを利用することにより、周囲の環境情報を感知し、前方道路が塞がっているか否かを判断することができる。
【0027】
図3は、本発明の実施形態におけるブラックリストに基づく再ナビゲーション方法による障害物検出のフローチャートである。図3に示すように、1つの実施形態において、図1のステップS110、即ち、無人車両の走行中に、前記無人車両の前方領域に障害物があるか否かを検出するステップは、下記のステップS210、S220を含む。
【0028】
ステップS210において、前記前方領域に物体があると検出した場合、前記物体が静止状態にあるか否かを検出し、前記無人車両が前記物体を迂回通過できるか否かを判断する。
ステップS220において、前記物体が静止状態にあると検出し、かつ前記無人車両が前記物体を迂回通過できないと判断した場合、前記物体を前記障害物として確定する。
上記のように、感知デバイスにより前方道路における障害物を検出することができる。前記障害物は、一時的に道路で発見された、無人車両が元のナビゲーション計画に従って通行することを阻害する物体を含むことができる。例えば、前方道路にバリケードが一時的に設けられることによって、無人車両は元のナビゲーション計画に従って通行することができなくなる。また、例えば、前方道路区間に交通事故が発生し、複数の事故車両が道路を塞ぐことによって、主車両は、元のナビゲーション計画に従って通行することができなくなる。上記の2つの例において、バリケードと事故車両は、いずれも前記障害物として確定することができる。
【0029】
もう1つの例において、ある車両は、前方道路で一時停車し、暫くすると引き続き動き始める。当該車両が動いてから正常に走行すれば主車両に対して阻害にならないため、このような状況では、当該車両を前記障害物として確定すべきではない。別の例において、前方道路に体積の小さい物体があり、例えば、前の車両が走行中にうっかり落下した貨物である。当該物体の体積は小さいため、主車両は、当該物体の近傍から迂回通過することが可能である。このような状況では、当該物体は、元のナビゲーション計画に従う主車両の通行阻害にならないため、前記障害物として確定すべきではない。
そのため、無人車両が障害物を検出する際、以下の要因を考慮することができる。即ち、第1に、前方道路の物体は静止状態にあるか否かである。つまり、物体が離れる傾向があるか否かであり、前方道路をずっと塞ぐか否かである。第2に、前方道路の物体を迂回通過できるか否かである。例えば、物体の体積が大きい場合、その近傍から迂回通過できない可能性がある。上記の要因を考慮し、前方道路で静止しており、迂回できない物体を検出した場合、当該物体を障害物として確定することができる。前方道路に障害物があることを確定した場合、前方道路は塞がって通行することができないと判断することができる。
【0030】
1つの実施形態において、図1のステップS120、即ち、前記前方領域に障害物があると検出した場合、前記障害物に対応するブラックリストを生成することは、
前記前方領域に障害物があると検出した場合、前記障害物の所在する道路を特定し、前記障害物の所在する道路の一部領域において、前記障害物に対応するブラックリストを生成すること、を含む。
ブラックリストは、一時的な道路レベルの塞ぎ情報を含んでもよい。例えば、図2に示される例において、無人車両は、ブラックリストによって右折不可のメッセージをナビゲーションシステムに報告する。無人車両は、障害物を発見した後、ブラックリスト生成ポリシーによって障害物を道路にマッピングし、さらに障害物の所在する道路(road)をナビゲーションシステムに報告することができる。ナビゲーションシステムが受け取る必要がある情報は、塞がっているのがどの道路であるかであり、ある位置における障害物がどんなものであるかについては必要としない。ブラックリスト生成ポリシーは、障害物を発見した後、障害物の所在する道路を特定し、そして障害物の所在する道路の一部領域において、前記障害物に対応するブラックリストを生成するためのものである。
【0031】
具体的に、図1のステップS110において、前方道路の塞がりに対する判断において、無人車両に設けられたレーダー、カメラによって、無人車両の前方に障害物があることを検出する。ステップS120において、ブラックリストの生成は、検出された前方の障害物が所在する道路を特定することを含む。ここで、ブラックリストは一時的に発生した道路の塞がりであってもよい。例えば、無人車両は、走行中に遭遇した塞がり状況を動的に発見してナビゲーションシステムに報告する。ナビゲーションシステム内のデフォルト情報は、ブラックリストが存在しないものであり、これは、一時的に発生した道路の塞がりが随時に解消される可能性があるためである。そのため、ある無人車両は、一時的に発生した道路の塞がりに遭遇した時、ブラックリストの方式でナビゲーションシステムに報告することができる。ステップS130において、無人車両は、ブラックリストをナビゲーションシステムに報告し、経路を再計画するように要求する。ナビゲーションシステムは、前記障害物の所在する道路を含むブラックリストを受け取った後、もう1つのナビゲーション計画を再作成し、再計画したナビゲーションの結果を無人車両の走行制御システムに返信する。
上記のよう、ブラックリストは、ナビゲーション再計画をトリガーするという役割を果たすものであり、ナビゲーションシステムは、ブラックリストの情報を利用することによりナビゲーション経路を再計画するものである。1つの例において、ブラックリストは一時的に発生した道路の塞がりである可能性があり、かつ一時的に発生した道路の塞がりは随時解消される可能性があるため、ブラックリストは、ナビゲーションシステムに永久に記憶されなくてもよく、道路の塞がりに遭遇した時にのみ、対応的なナビゲーション再計画を生成することに用いられる。
【0032】
1つの実施形態において、前記ブラックリストには、前記障害物の所在する車線がさらに含まれる。
ブラックリストは、道路(road)レベルのものであってもよく、車線レベルのものであってもよい。道路レベルのブラックリストには、前記障害物の所在する道路が含まれる。車線レベルのブラックリストには、前記障害物の所在する車線が含まれる。
車線レベルのブラックリストによって追い越しの機能を実現することができる。1つの例において、主車両は、現在の車線の前方に「死車」があることを検出する。ここでの「死車」とは、長期間に静止状態にある車両を含む。主車両は、現在車線の所在する一部の領域において1つのブラックリストを生成し、当該ブラックリストをナビゲーションシステムに報告する。ナビゲーションシステムは、当該ブラックリストを受け取ってから経路を再計画する。例えば、このブラックリストに対して、前方を塞ぐ「死車」を迂回するよう、車線を変更する1つの走行経路を再計画する。
【0033】
上記の技術案は、下記のメリットと有益な効果を有する。前方道路が塞がっていることを発見した場合、障害物の所在する道路のブラックリストをナビゲーションシステムに報告することによって、ナビゲーションの再計画をトリガーし、塞がっている道路区間を回避し、道路の塞がり状況に対してナビゲーション再計画を提供し、無人車両を案内して行程を継続させ、自動運転をより安全かつスムーズにする。
【0034】
図4は、本発明の実施形態におけるブラックリストに基づく再ナビゲーション装置のブロック図である。図4に示すよう、本発明の実施形態におけるブラックリストに基づく再ナビゲーション装置は、
無人車両の走行中に、前記無人車両の前方領域に障害物があるか否かを検出するための障害物検出ユニット100と、
前記前方領域に障害物があると検出した場合、前記障害物の所在する道路を含む、前記障害物に対応するブラックリストを生成するためのブラックリスト生成ユニット200と、
ナビゲーションシステムが前記障害物の所在する道路に基づいてナビゲーション経路を再計画するように前記ブラックリストを前記ナビゲーションシステムに報告するためのブラックリスト報告ユニット300と、を含む。
【0035】
1つの実施形態において、前記障害物検出ユニット100は、
前記無人車両に設けられた感知デバイスによって、前記前方領域に障害物があるか否かを検出することにさらに用いられる。
【0036】
1つの実施形態において、前記障害物検出ユニット100は、
前記前方領域に物体があると検出した場合、前記物体が静止状態にあるか否かを検出し、前記無人車両が前記物体を迂回通過できるか否かを判断し、
前記物体が静止状態にあると検出し、かつ前記無人車両が前記物体を迂回通過できないと判断した場合、前記物体を前記障害物として確定することにさらに用いられる。
【0037】
1つの実施形態において、前記ブラックリスト生成ユニット200は、
前記前方領域に障害物があると検出した場合、前記障害物の所在する道路を特定し、前記障害物の所在する道路の一部領域において、前記障害物に対応するブラックリストを生成することにさらに用いられる。
【0038】
1つの実施形態において、前記ブラックリストには、前記障害物の所在する車線がさらに含まれる。
【0039】
本発明の実施形態におけるブラックリストに基づく再ナビゲーション装置内の各ユニットの機能は、上記方法に対応する説明を参照することができ、ここでは省略する。
【0040】
1つの可能な実施形態において、ブラックリストに基づく再ナビゲーション装置には、プロセッサとメモリとが含まれ、前記メモリは、ブラックリストに基づく再ナビゲーション装置が上記ブラックリストに基づく再ナビゲーション方法を実行することをサポートするプログラムを記憶することに用いられ、前記プロセッサは、前記メモリに記憶されたプログラムを実行するように構成される。ブラックリストに基づく再ナビゲーション装置は、他のデバイス又は通信ネットワークと通信するための通信インターフェースをさらに含むことができる。
【0041】
図5は、本発明の実施形態におけるブラックリストに基づく再ナビゲーション装置のブロック図である。図5に示すように、当該装置は、メモリ101とプロセッサ102を含み、メモリ101には、プロセッサ102で実行することができるコンピュータプログラムが記憶される。前記プロセッサ102は、前記コンピュータプログラムを実行する場合、上記の実施形態におけるブラックリストに基づく再ナビゲーション方法を実現する。前記メモリ101とプロセッサ102の数は、1つであってよく、複数であってもよい。
【0042】
当該装置は、
他のデバイスと通信するために用いられ、データの相互伝送を行う通信インターフェース103をさらに含む。
メモリ101は、高速RAMを含んでもよく、少なくとも1つの磁気メモリのような不揮発性メモリ(non-volatile memory)をさらに含んでもよい。
【0043】
メモリ101、プロセッサ102、及び通信インターフェース103が個別に実現される場合、メモリ101、プロセッサ102、及び通信インターフェース103は、バスによって相互接続して相互通信を行うことができる。前記バスは、インダストリスタンダードアーキテクチャ(ISA、Industry Standard Architecture)バス、外部デバイス相互接続(PCI、Peripheral ComponentInterconnect)バス、又は拡張インダストリスタンダードアーキテクチャ(EISA、Extended Industry Standard Component)バス等であってもよい。前記バスは、アドレスバス、データバス、制御バス等として分けられることが可能である。表示の便宜上、図5に1本の太線のみで表示するが、バスが1つ又は1種類のみであることを意味しない。
任意選択で、具体的な実現において、メモリ101、プロセッサ102及び通信インターフェース103が1つのチップに集成した場合、メモリ101、プロセッサ102、及び通信インターフェース103は、内部インターフェースによって相互通信を行うことができる。
【0044】
他の態様において、本発明の実施形態は、コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ可読記憶媒体を提供し、当該プログラムがプロセッサに実行される場合、上記のブラックリストに基づく再ナビゲーション方法のいずれか1つに記載されている方法を実現する。
【0045】
本明細書において、「1つの実施形態」、「幾つかの実施形態」、「例」、「具体例」或いは「一部の例」などの用語とは、当該実施形態或いは例で説明された具体的特徴、構成、材料或いは特点を結合して、本発明の少なくとも1つの実施形態或いは実施例に含まれることを意味する。また、説明された具体的特徴、構成、材料或いは特点は、いずれか1つ或いは複数の実施形態または例において適切に結合することが可能である。また、矛盾しない限り、当業者は、本明細書の異なる実施形態または例、および、異なる実施形態または例における特徴を結合したり、組み合わせたりすることができる。
また、用語「第1」、「第2」とは比較的重要性を示している又は暗示しているわけではなく、単に説明のためのものであり、示される技術的特徴の数を暗示するわけでもない。そのため、「第1」、「第2」で限定される特徴は、少なくとも1つの当該特徴を明示又は暗示的に含むことが可能である。本出願の記載において、「複数」は、明確に限定される以外は、2つ又は2つ以上を意味する。
【0046】
フローチャート又はその他の方式で説明された、いかなるプロセス又は方法に対する説明は、特定の論理的機能又はプロセスのステップを実現するための命令のコードを実行可能な1つ又はそれ以上のモジュール、フラグメント若しくはセグメントとして理解することが可能であり、さらに、本発明の好ましい実施形態の範囲はその他の実現を含み、示された、又は、記載の順番に従うことなく、係る機能に基づいてほぼ同時にまたは逆の順序に従って機能を実行することを含み、これは当業者が理解すべきことである。
フローチャートに示された、又はその他の方式で説明された論理及び/又はステップは、例えば、論理機能を実現させるための実行可能な命令のシーケンスリストとして見なされることが可能であり、命令実行システム、装置、又はデバイス(プロセッサのシステム、又は命令実行システム、装置、デバイスから命令を取得して実行することが可能なその他のシステムを含むコンピュータによるシステム)が使用できるように提供し、又はこれらの命令を組み合わせて使用する命令実行システム、装置、又はデバイスに使用されるために、いかなるコンピュータ読取可能媒体にも具体的に実現されることが可能である。本明細書において、「コンピュータ読取可能媒体」は、命令実行システム、装置、デバイス、又はこれらの命令を組み合わせて実行するシステム、装置又はデバイスが使用できるように提供するため、プログラムを格納、記憶、通信、伝搬又は伝送する装置であってもよい。コンピュータ読み取り可能媒体のより具体的例(非網羅的なリスト)として、1つ又は複数の布配線を含む電気接続部(電子装置)、ポータブルコンピュータディスク(磁気装置)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リード・オンリー・メモリ(ROM)、消去書き込み可能リード・オンリー・メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバー装置、及びポータブル読み取り専用メモリ(CDROM)を少なくとも含む。また、コンピュータ読み取り可能媒体は、そのうえで前記プログラムを印字できる紙又はその他の適切な媒体であってもよく、例えば紙又はその他の媒体に対して光学的スキャンを行い、そして編集、解釈又は必要に応じてその他の適切の方式で処理して電子的方式で前記プログラムを得、その後コンピュータメモリに記憶することができるためである。
【0047】
なお、本発明の各部分は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はこれらの組み合わせによって実現されることができる。上記実施形態において、複数のステップ又は方法は、メモリに記憶された、適当な命令実行システムによって実行されるソフトウェア又はファームウェアによって実施されることができる。例えば、ハードウェアによって実現するとした場合、別の実施形態と同様に、データ信号に対して論理機能を実現する論理ゲート回路を有する離散論理回路、適切な混合論理ゲート回路を有する特定用途向け集積回路、プログラマブルゲートアレイ(GPA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などといった本技術分野において知られている技術のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせによって実現される。
当業者は、上記の実施形態における方法に含まれるステップの全部又は一部を実現するのは、プログラムによって対応するハードウェアを指示することによって可能であることを理解することができる。前記プログラムは、コンピュータ読取可能な媒体に記憶されてもよく、当該プログラムが実行されるとき、方法の実施形態に係るステップのうちの1つ又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0048】
また、本発明の各実施形態における各機能ユニットは、1つの処理モジュールに統合されてよく、別個の物理的な個体であってもよく、2つ又は3つ以上のユニットが1つのモジュールに統合されてもよい。上記の統合モジュールは、ハードウェアで実現されてもよく、ソフトウェア機能モジュールで実現されてもよい。上記の統合モジュールが、ソフトウェア機能モジュールで実現され、しかも独立した製品として販売又は使用される場合、コンピュータ読取可能な記憶媒体に記憶されてもよい。前記記憶媒体は読取専用メモリ、磁気ディスク又は光ディスク等であってもよい。
【0049】
上記の記載は、単なる本発明の具体的な実施形態に過ぎず、本発明の保護範囲はそれに限定されることなく、当業者が本発明に開示されている範囲内において、容易に想到し得る変形又は置換は、全て本発明の範囲内に含まれるべきである。そのため、本発明の範囲は、記載されている特許請求の範囲に準じるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5