IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ノコミス,インコーポレイテッドの特許一覧

特許7050842偽造電子装置を物理的に検出するシステム及び方法
<>
  • 特許-偽造電子装置を物理的に検出するシステム及び方法 図1
  • 特許-偽造電子装置を物理的に検出するシステム及び方法 図2
  • 特許-偽造電子装置を物理的に検出するシステム及び方法 図3
  • 特許-偽造電子装置を物理的に検出するシステム及び方法 図4
  • 特許-偽造電子装置を物理的に検出するシステム及び方法 図5
  • 特許-偽造電子装置を物理的に検出するシステム及び方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】偽造電子装置を物理的に検出するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/28 20060101AFI20220401BHJP
   G01R 31/319 20060101ALI20220401BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20220401BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
G01R31/28 H
G01R31/28 R
G01R31/28 D
G01R31/28 P
H01L27/04 U
H01L27/04 F
H01L27/04 T
【請求項の数】 25
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020054248
(22)【出願日】2020-03-25
(62)【分割の表示】P 2018155963の分割
【原出願日】2013-03-04
(65)【公開番号】P2020122791
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2020-04-23
(31)【優先権主張番号】13/410,797
(32)【優先日】2012-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512050885
【氏名又は名称】ノコミス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【弁理士】
【氏名又は名称】森 友宏
(72)【発明者】
【氏名】ケラー,ザ・サード,ウォルター・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】フリーマン,スティーヴン・ドーン
(72)【発明者】
【氏名】ガリャート,ジェイソン
【審査官】市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0230597(US,A1)
【文献】特表2009-515172(JP,A)
【文献】特開2006-300753(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0033386(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0099830(US,A1)
【文献】特開平11-174130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/28
G01R 31/319
H01L 21/822
H01L 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)電動デバイスをオンにするための電力信号を前記電動デバイスに入力する電源入力源と、
(b)前記電源入力源からの前記電力信号に加えて、10-8を超える精度の発振信号を前記電動デバイスに注入する高精度信号源と、
(c)アンテナと結合され、且つ、前記発振信号の前記電動デバイスへの注入に応じて前記電動デバイスにより発される高周波数(RF)帯域の電磁エネルギーの放射を収集するように構成されている受信機と、
(d)前記発振信号の入力に応じたRFエネルギーの放射物によって定義される前記電動デバイスの状態が本物のもの又は偽造のもののどちらであるかを決定する手段と、
を備える、
システム。
【請求項2】
前記電動デバイスは、ディスクリートコンポーネント、集積回路、回路基板、回路基板アセンブリ、サブシステム、システム、電子デバイス及び動作のために電気コンポーネントを使用する電気デバイスの内の少なくとも1つである請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記電動デバイスは、半導体デバイスと集積回路の少なくとも一方であり、前記高精度信号源は、ゼロ挿入力ソケットに接続され、前記半導体デバイスと前記集積回路の前記少なくとも一方が前記ゼロ挿入力ソケット内に挿入される請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記高精度信号源が小型の原子周波数標準発振器である請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記電動デバイスの前記状態が本物のもの又は偽造のもののどちらであるかを決定する前記手段は、
(a)前記電磁エネルギーの前記放射のシグネチャを本物の電動デバイスに対して予め決定された1組のパラメータに対して照合する手段と、
(b)前記予め決定された1組のパラメータに対する照合が、前記電動デバイスの前記状態が前記本物のものであると決定するのに十分であるか否かを決定する手段を備える請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記アンテナは、前記電動デバイスの上方の所定の距離に位置決めされたアンテナアレイを含み、前記電動デバイスと前記アンテナアレイとは互いに対して移動するように取り付けられ、
前記アンテナアレイが統合低ノイズ増幅器を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
電動デバイスを検査する又は選別するシステムであって、前記システムは、
(a)前記電動デバイスをオンにするための電力信号を前記電動デバイスに入力する電源入力源と、
(b)前記電源入力源からの前記電力信号に加えて、10-8を超える精度の発振信号を前記電動デバイスに入力するための手段と、
(c)アンテナアレイと、
(d)前記アンテナアレイを前記電動デバイスの上方の所定の距離に位置決めする手段と、
(e)前記発振信号に応答して前記電動デバイスによって放射されたRFエネルギーを収集するための手段と、
(f)前記放射されたRFエネルギーのシグネチャを本物の部品のRFエネルギーシグネチャと比較するための手段と、
(g)前記電動デバイスの本物状態か偽造状態かを決定するための手段と、
を備えるシステム。
【請求項8】
前記シグネチャを比較する前記手段は、調波分析、マッチドフィルタ、人口ニューラルネットワーク(ANN)、具体的には、バックプロパゲーション(BP)による多層パーセプトロン(MLP)フィードフォワードANN、ウェーブレット分解、自己相関、スペクトル的特徴測定又は統計、クラスタリング又は位相トレンド除去アルゴリズムのうち少なくとも1つを含む請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記シグネチャを比較する前記手段は、ディスクリートフーリエ変換、高速フーリエ変換、ディスクリートコサイン変換、ラプラス変換、Z変換、スター変換、短時間フーリエ変換、ケプストラム、無限インパルス応答フィルタ、有限インパルス応答フィルタ、カスケードインテグレータコムフィルタ、楕円フィルタ、チェビシェフフィルタ、バターワースフィルタ、又はベッセルフィルタの少なくとも1つを含む請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
集積回路と前記集積回路を使用するデバイスの少なくとも一方の偽造品を検査又は選別するためのシステムであって、前記システムは、
(a)前記集積回路と前記集積回路を使用するデバイスの前記少なくとも一方をオンにするための電力信号を前記集積回路と前記集積回路を使用するデバイスの前記少なくとも一方に入力する電源入力源と、
(b)前記電源入力源からの前記電力信号に加えて、10-8を超える精度の発振信号を前記集積回路と前記集積回路を使用するデバイスの前記少なくとも一方に入力するための高精度信号源であって、温度補償水晶発振器(TCXO)、マイクロコンピュータ補償水晶発振器(MXCO)、恒温槽付水晶発振器(OCXO)、小型原子周波数標準器、及びルビジウム発振器(RbXO)で構成されるグループから選択されたものである高精度信号源と、
(c)前記高精度信号源に応答して前記集積回路によって放射されるRFエネルギーを収集するための手段と、
(d)収集された前記RFエネルギーを解析し、且つ、前記集積回路と前記集積回路を使用するデバイスの少なくとも一方の本物状態又は偽造状態の一方を決定するための手段と、
を備えるシステム。
【請求項11】
偽造の集積回路と前記集積回路を使用する偽造のデバイスの少なくとも一方を検出するための装置であって、前記装置は、
(a)集積回路と前記集積回路を使用するデバイスの少なくとも一方をオンにするための電力信号を前記集積回路と前記集積回路を使用するデバイスの前記少なくとも一方に入力する電源入力源と、
(b)10-8を超える精度の発振信号を発生し、前記発振信号を前記電源入力源からの前記電力信号に加えて、前記発振信号を前記集積回路と前記集積回路を使用するデバイスのうち少なくとも一方に入力するよう構成される高精度信号源であって、前記発振信号が前記集積回路と前記集積回路を使用するデバイスのうち少なくとも一方の入力要求に一致する周波数を有することと、
(c)前記偽造の集積回路と前記集積回路を使用する偽造のデバイスの少なくとも一方に近接して位置決めされるRF収集手段であって、前記発振信号で駆動される前記集積回路と前記集積回路を使用するデバイスの前記少なくとも一方によって放射された放射物を受容するように構成されるRF収集手段と、
(d)前記RF収集手段に結合されるプロセッサであって、前記放射された放射物のシグネチャを処理し、前記放射された放射物のシグネチャを前記集積回路と前記集積回路を使用するデバイスの前記少なくとも一方に対して予め決定された少なくとも1つの放射物のシグネチャに対して比較することによって、前記比較の結果照合が本物の集積回路と該集積回路を使用する本物のデバイスの少なくとも一方を定義するように構成されるプロセッサと、
を備える装置。
【請求項12】
前記RF収集手段が-152dBmよりも良好な感度を有する請求項11に記載の装置。
【請求項13】
偽造と本物の半導体デバイスを識別するための方法であって、前記方法は、
(a)高精度信号源で10-8を超える精度の発振信号を発生させる工程と、
(b)半導体デバイスをオンにするための電力信号及び前記発振信号を前記半導体デバイスに注入する工程と、
(c)RF収集手段で、ステップ(b)で注入された前記発振信号に応答して前記半導体デバイスによって出された放射物を収集する工程と、
(d)ステップ(c)で収集されたRF放射物の特性を本物の半導体デバイスのベースラインRF特性に対して比較する工程と、
(e)前記比較に基づいて、偽造のデバイスか本物の半導体デバイスかを決定する工程と、を有する方法。
【請求項14】
更に、前記半導体デバイスへ注入される前記発振信号に関して異なる周波数振幅設定でステップ(a)からステップ(c)を繰り返す工程と、偽造品検査を向上するために少なくとも2つの測定された応答のRFデータ収集を比較する工程と、を含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
更に、前記半導体デバイスの少なくとも2つの入力へ注入される発振信号に関して異なる周波数設定でステップ(a)からステップ(c)を繰り返し、個々に注入された各発振信号に対するRF収集データを期待されたシグネチャ及び全ての入力への注入に対して同時に比較する工程を含む請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記本物の半導体デバイスを決定する前記ステップは、放射物コンポーネントの周波数検出、放射物の位相、内部回路によって発生される混変調と相互変調コンポーネント、個別の放射物の形状、個別の放射物の品質ファクタ又は放射物のタイミング特性の少なくとも1つを分析する工程を含む請求項13に記載の方法。
【請求項17】
更に、前記本物の半導体デバイスを表す前記ベースラインRF特性を確立する工程を含む請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記ベースラインRF特性を確立する前記ステップは、局所スペクトル電力密度統計を得る工程を含み、
局所スペクトル電力密度統計を得る前記ステップは、複数の半導体デバイスをサンプリングし、サンプリングされた半導体デバイス間で共通する放射物の各々に関して測定された局所化された統計的特徴に基づいて前記複数の半導体デバイスを識別する工程を含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記統計的特徴は、放射物周波数位置、放射物ピークマグニチュード、放射物位相ノイズ、放射物対称、歪度及び放射物局所ノイズフロアの少なくとも1つを含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記RF放射物の前記特性を比較する前記ステップは、相対位相測定を得る工程を含む請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記RF放射物の前記特性同士を比較する前記ステップは、相対位相測定を得ること、および、相対位相測定を予期された位相測定に対して比較することの少なくとも一方の工程を含む請求項13に記載の方法。
【請求項22】
更に、前記半導体デバイスに注入される前記発振信号に関して同一の設定でステップ(a)から(c)を繰り返す工程と、偽造品検査を向上するために、少なくとも2つの測定された応答のRFデータ収集を平均化又は他の数学的変換によって組み合わせる工程と、を含む請求項13に記載の方法。
【請求項23】
偽造品に対して半導体デバイスを検査する又は選別する少なくとも一方の装置であって、
半導体デバイスをオンにするための電力信号を前記半導体デバイスに入力する電源入力源と、
10-8を超える精度の発振信号を生成して前記電源入力源からの前記電力信号に加えて前記発振信号を前記半導体デバイスに入力する小型原子標準発振器と、
アンテナ、受信機及びプロセッサを含むRF収集装置と、
を備え、
前記RF収集装置は、前記小型原子標準発振器によって発生され且つ前記半導体デバイスに注入された発振信号に反応して前記半導体デバイスから放射されるRFエネルギーを受容し、受容された前記RFエネルギーを解析し、前記半導体デバイスを検査又は選別するように構成される装置。
【請求項24】
電気又は電子デバイスの偽造品に対して検査又は選別するためのシステムであって、前記システムは、
(a)前記電気又は電子デバイスをオンにするための電力信号を前記電気又は電子デバイスに入力する電源入力源と、
(b)前記電源入力源からの前記電力信号に加えて、10-8を超える精度の発振信号を前記電気又は電子デバイスへ入力するように構成された原子周波数発振器と、
(c)前記発振信号に応答して前記電気又は電子デバイスによって放射されるRFエネルギーを収集する手段と、
(d)収集された前記RFエネルギーを解析し、収集された前記RFエネルギーに含まれる情報に基づいて前記電気又は前記電子デバイスの本物又は偽造の状態の一方を決定するための手段と、
を備えるシステム。
【請求項25】
前記発振信号は、前記電動デバイスの入力要求の周波数と一致する周波数を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2011年3月2日に出願された米国仮特許出願第61/464,262号及び2011年7月29日に出願された米国仮特許出願第61/574,250号に関連し、その優先権を主張するものであり、それら仮特許出願は参考として本明細書で援用される。本出願は、更に、「INTEGRATED CIRCUIT WITH ELECTROMAGNETIC ENERGY ANOMALY DETECTION AND PROCESSING(電磁エネルギー異常検出及び処理を行う集積回路)」と題する同時係属中の米国出願第13/410,909号に密接に関連している。本出願は、本発明の譲受人に譲渡されており、当該同時係属中の出願の開示内容は参考として本明細書で援用される。
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
該当なし
シーケンスリスト、表、又はコンピュータプラグラムリストコンパクトディスク付属物の参照
該当なし
発明分野
本発明は、概して、偽造電子デバイスから発せられる意図的又は非意図的な放射物を用いてその偽造電子デバイスを検出するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
米商務省産業安全保障局による最近の2010年度の研究によると、報告された偽造事件の数は、2005年の3,868件から、2008年の9,356件へと増加した。この調査の回答者は、最も一般的な2種類の偽造コンポーネントは、あからさまな模造品と、選別されなかった機能製品であると述べている。この調査の回答者は、電子部品のサプライチェーンのあらゆる構成員を代表する387名であった。当該サプライチェーンのあらゆる構成員が偽造製品の例を報告した。世界半導体市場統計は、半導体に関する国際的なTAMが2000億ドルを超えると予測しており、前記387名の回答者は、全市場のほんの一部に関しての定量的な結果を提供している。電子装置の発達に伴い、偽造者も巧妙になっている。現在、偽造品の多くは、可視検出による検出は不可能であり、最もよくできた偽造品は綿密な電気テストをも通過してしまうが、偽造品が有さない本物の部品が有する他の特定の要件は満たさない可能性がある。完全に機能する製品に組み込まれた場合、偽造品は、誤作動することが多く、環境条件が原因で機能不全になり、経年劣化が早まり、場合によっては、電気的整合性が高くとも全く機能しない。
【0003】
本発明の概念及び設計より前に、偽造品を検査及び選別しようとする取り組みはあった。しかしながら、いずれも表面的なものか、非常に高価なものである。表面的な技術のうち、最も単純なのは目視検査であるが、偽造品は益々巧妙になっているため、これは信頼性が低い。一方、既存の信頼度の高い技術は高価であるか、本質的に破壊的なものである。
【0004】
偽造コンポーネントを発見することができる様々な種類の検査技術としては、再表面加工(resurfacing)の痕跡を発見するための目視による外部からの検査、封止仕上げ及びリード表面の目視顕微鏡検査、及びX線検査が挙げられる。X線検査中、同一の日付及びロットコードの電子コンポーネントの内側構造が調べられ、特定の種類の偽造部品を発見することができる。あまり巧妙でない偽造デバイスは、限定ではないが異なるダイフレーム及び異なるワイヤボンディングを含む、内部構造に大きな違いを示す。X線蛍光分光法を用いて、偽造者が見落としがちなRoHS状態を確認することもできる。ブランドマーク、商標、レーザダイエッチング、日付コード、及びその他の定義的な特徴の顕微鏡検査のために、半導体上の外部パッケージを除去し、半導体ウエハ又はダイを露出させる封止部除去を用いて、一部の偽造品を決定することができる。酸を使用してプラスチック又は樹脂でパッケージ化されたウエハ又はダイを露出させる化学エッチング技術によっても同様に検査のために内部コンポーネントを露出することができるが、本質的に破壊的である。
【0005】
セラミック又は金属を研磨、切断、裂開、又は切削して検査のためにウエハ又はダイを露出する機械的技術も有効に使用されているが、やはり検査対象の部分が破壊される。走査型超音波顕微鏡法を使用して、黒い被覆材料の下にあるレーザエッチングを明らかにし、再表面加工及び黒色被覆加工の証拠を発見することができる。対象製品が予期する電気的特徴を有するかを決定するその他の選択肢としては、内部部品レイアウト追跡法及び外部パッケージングカーブ追跡法がある。
【0006】
電気的テストは、一般的に高価な全電気的テストから、グロスリーク及びファインリード機能電気テストに及ぶ。
【0007】
偽造電子装置には様々な形がある。ほとんどの偽造品に関連する主流な特徴の1つは、内部の電子装置が、製造ラインから直接提供された本物の部品とは、場合によってはほんの僅かであるが、異なるように機能することである。電子機器の内部部品は、ディスクリート半導体であろうと、集積回路であろうと、印刷回路基板であろうと、回路基板組立体又は回路基板製品であろうと、機能的に異なり、異なる電磁シグネチャを放射する。
【0008】
放射される電磁シグネチャは、あらゆる電子デバイスの基本的性質である。最も基本的なレベルでは、加速電子装置は、電磁シグネチャを作成する電磁エネルギーを放射する。電力の供給及び発振入力により、偽造選別対象のデバイス内の電子が加速され、電磁エネルギーが放射され、この発明によって行われる選別及び検査の向上という基本的な特徴が最近の全ての電子機器に適用される。上記の電力は、外部の商用電源、バッテリ電源、又は内部の発電機構であり得る。発振器入力は、周波数ベースの発振を生成する任意の源とすることができる。発振器入力のなかには、例えば、限定はしないが、水晶振動子又はセラミック共振器等、単調性のものもある。その他、非常に複雑なタイミング制御信号又は通信信号もある。基本的に、最近の電子機器には非常に多くの信号が存在し、それらの信号は、高状態と低状態の間で振動を与え、連携し、制御し、通信し、同期し、参照し、多種多様なアクション及び多種多様な回路を提供する。この発振は、物理的法則により、何らかの方法で、放射手段又は導電手段により、電子機器又は電気デバイスの外部に放射される大きなエネルギー源である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、かかる電子機器が放射するRFエネルギーを利用することにより、非破壊的に偽造電子機器を検査及び選別するシステム及び方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の概要
本発明は、偽造の電気及び電子ベースのコンポーネント、基板、デバイス、システムに対して電子装置を選別及び検査する装置と方法を提供する。本発明は、感知電磁エネルギー収集装置、収集されたエネルギーを既知の標準のエネルギーや検知されたオブジェクトの期待されたエミッションの所定の理解範囲と比較する手段及び収集されたエネルギーがこの標準のエネルギーと整合するか否かを自動的に決定するアルゴリズムを含む。
【0011】
この感知電磁エネルギー収集装置は、電磁エネルギーを収集する当該技術分野で既知の手段でよい。
【0012】
一実施形態において、本発明は、高感度高周波(RF)エネルギー収集装置と前記収集されたエネルギーを既知標準のエネルギーと比較するためのシグネチャ比較手段を使用し、RFは3KHz~300GHzの周波数範囲を変換すると定義される。
【0013】
典型的な実施形態において、同じ技術が赤外線スペクトル分析のようなより高い周波数やより短い波長放射物に明確に適合できるが、記述されたRF周波数範囲に焦点を当てる。
【0014】
一実施形態において、高感度RFエネルギー収集装置は、従来のRF受信機である。
【0015】
他の実施形態において、超感度RFエネルギー収集装置は、RFエネルギースペクトルで動作する光子検出器である。
【0016】
他の実施形態において、被検査電子デバイスは、少なくともそれに接続された電源を有し、また検査された電子装置の1つ以上の入力へ接続された1つ以上の発振信号を有していてもよい。
【0017】
他の実施形態において、偽造品を検出する目的で、アクティブ自由場RF照明源を使用してRF収集手段による同時収集のために目標のデバイスによる放射を強めるために使用される。
【0018】
本発明の目的
従って、本発明の主デバイスの1つは、RFスペクトルの電磁エネルギーを使用して偽造の電気及び電子デバイスを検出するシステムを提供する。
【0019】
本発明の他の目的は、偽造の電気及び電子デバイスを検出するためのシステムであって、そのような電気及び電子デバイス中に注入するための精度入力を発生する精度入力源を含む当該システムを提供することである。
【0020】
本発明の更なる目的は、統合低ノイズ増幅器を有するアンテナアレイを含む、偽造の電気及び電子デバイスを検出するためのシステムを提供することである。
【0021】
本発明の他の目的は、放射されたRFエネルギーのシグネチャをベースラインRF特性と比較する手段を含む、偽造の電気及び電子デバイスを検出するためのシステムを提供することである。
【0022】
本発明の更に他の目的は、個々の回路コンポーネントを選別するために予め構成されたテストデバイスを含む、偽造の電気及び電子デバイスを検出するためのシステムを提供することである。
【0023】
本発明の他の目的は、大きなロットの個別のデバイスを検査することができるシステムを提供することである。その検査は、部品の全てが一致し且つ本物であることを保証するために、幾つかのサプライヤーからの引き渡しに応答して行われることがある。ロット中の各及び全てのデバイスを選別するための契約上の要請があることもある。
【0024】
本発明の他の目的は、多数の部品を同時にテストするために提供されるテスト装置である。
【0025】
本発明の更に他の目的は、対象の部品に対する予め構成された電力と発振入力を有する装置を提供することである。本発明の他の目的は、多数の部品やデバイスのテストを同時に果たす自動化装置を提供することである。
【0026】
本発明の更に他の目的は、偽造部品を選別するために集積回路や内部ダイ及び集積回路のワイヤボンディングを非破壊的に検査するシステムを提供することである。
【0027】
本発明の他の目的は、電気及び電子デバイス内で使用される多数の電子コンポーネントの複雑なテストを排除する、偽造の電気及び電子デバイスを検出するためのシステムを提供することである。
【0028】
本発明の他の目的は、正真の標準品に比較して基板が偽造品であるか否かを決定するために完全実装回路基板を検査するシステムを提供することである。
【0029】
本発明の他の目的は、基板が何らかの偽造部品を有するか否かを決定するために完全実装回路基板を検査する機構を提供することである。
【0030】
本発明の他の目的は、完全実装回路基板を検査して具体的にどの部品が偽造品でありどの部品が本物であるかを決定することである。
【0031】
本発明の他の目的は、部分的に実装された回路基板にある又は基板が完全に実装される前の回路基板の製造処理におけるステップ中に偽造のコンポーネントを検出することである。
【0032】
完全に又は部分的に実装された基板の場合、本発明の他の目的は、電力を完全又は部分的実装回路へ印加するだけで偽造品選別又は検査プロセスを行うことである。
【0033】
本発明の他の目的は、電力のみを回路基板へ印加することによって回路基板のテストを行う装置である。
【0034】
本発明の他の目的は、電力及び他の信号入力を提供して更に偽造品検出を向上する手段を提供することである。
【0035】
本発明の他の目的は、自由場アクティブ照明手段を提供してRFエネルギー収集装置によって収集されたRFエネルギーを更に高めることである。
【0036】
本発明の他の目的は、多数の基板、コンポーネント、集積回路を含む完全に組み立てられた製品中に偽造のコンポーネントがあるか否かを識別できる検査装置を提供することである。
【0037】
本発明の更に他の目的は、電気又は電子コンポーネントやデバイスの全体の機能性の複雑なテストを排除する、偽造電気及び電子デバイスを検出するためのシステムを提供することである。
【0038】
本発明の他の目的は、偽造部品に対して被検査又は被選別アイテムを有する偽造電子装置の検出のために、電力のみを電子コンポーネント、完全実装回路基板、一連の接続された回路基板又は完全に組み立てられた製品に加えるステップである。
【0039】
本発明の更に他の目的は、テスト中の電気及び電子デバイスに1つ及び1つのみの信号を注入するステップを含む、偽造電気及び電子デバイスを検出するための方法を提供する。
【0040】
本発明の更に他の目的は、テスト中の電気及び電子デバイスに電力信号とモノトーン発振信号の組合せのみを注入するステップを含む、偽造電気及び電子デバイスを検出するための方法を提供することである。
【0041】
本発明の更に他の目的は、テスト中の電気及び電子デバイスに電力信号モノトーン発振信号と複雑な発振信号の組合せを注入するステップを含む、偽造電気及び電子デバイスを検出する方法を提供することである。
【0042】
本発明の他の目的は、クロック入力、信号入力及び通信入力を含むデバイスの信号入力の指定された入力範囲にわたって掃引されるモノトーン発振入力であって、モノトーン発振入力が直接被検査アイテムに注入され、同時にRFエネルギー収集手段は、掃引中に各周波数変化で放射されたエネルギーを収集し、収集されたエネルギーを選別又は検査される本物または正真のアイテムの予想される所定のシグネチャに対して比較する、モノトーン発振入力を提供することである。
【0043】
本発明の他の目的は、クロック入力、信号入力及び通信入力を含むデバイスの信号入力の指定された入力範囲にわたって掃引されるマルチトーン発振入力であって、モノトーン発振入力が直接被検査アイテムに注入され、同時にRFエネルギー収集手段は、掃引中に各周波数変化で放射されたエネルギーを収集し、収集されたエネルギーを選別又は検査されるべき本物または正真のアイテムの予想される所定のシグネチャに対して比較する、マルチトーン発振入力を提供することである。
【0044】
本発明の他の目的は、望ましい周波数帯域にわたる走査において所与のモノトーン又はマルチトーンステップで放射されたシグネチャの照合を識別するための方法であって、所与のステップで収集されたエネルギーが完全に処理されて偽造品又は正真の部品を示すスカラーを出力し、次に、被走査帯域全体にわたる各スカラー出力全体のシーケンスが重み付けされて、検査されるアイテムが偽造品であるか又は正真の部品であるかを決定する全体のスコアを提供する方法を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】電気又は電子デバイスを検査又は選別するシステムの概略ブロック図である。
図2図1のシステムの概略ブロック図であり、特に精度信号入力及びテスト装置を示す図である。
図3図1のシステム内に採用されているテスト装置の平面図である。
図4】電気又は電子デバイスを検査又は選別する方法のフローチャートである。
図5】収集した周波数分布の典型的な図である。
図6図1のシステムに採用されている調波放射物アルゴリズムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
発明の様々な実施形態の簡単な説明
尚、本発明のより詳細な説明に進む前に、分かり易いように、理解し易いように、同一の機能を有する同一のコンポーネントは、図面に示す幾つかの図を通して同一の参照番号によって識別されている。
【0047】
偽造電子部品は当然のことながら、そのID(身元)がサプライチェーンにおける少なくとも1つの構成員によって意図的又は非意図的に詐称されたものである。偽造電子部品は、類似の働きをする部品、既存の組立体から取り出されて新しい部品として販売されている中古部品、及び型番/品番、製造者、ケージコード、日付及び/又はロットコード、信頼度、検査、テストレベル、又は性能仕様を詐称したことが判明している本物の部品を含む。この定義には、コンポーネントの本来の製造者の設計、型及び/又は性能基準に従わない部品、及び意図する機能に関して欺こうとする意図をもって改悪されている部品も含む。
【0048】
これらの偽造部品の定義は、限定はしないが、能動的及び受動的な回路基板部品、半導体デバイス、及び集積回路を含むすべての部品に及ぶ。偽造デバイス、基板、回路基板、回路基板アセンブリ、アセンブリ、サブシステム、システム又は製品に対しても同一の定義を適用する。
【0049】
ここで図1乃至図3を参照すると、電動デバイス2の偽造の条件と本物の条件を差別化する、原則として参照番号10で表すシステムが示されている。デバイス2は、限定はしないが、ディスクリートコンポーネント、集積回路(IC)、回路基板、電子コンポーネントが装着された回路基板アセンブリ、サブシステム、システム、電子デバイス及び動作に電子コンポーネントを用いる電気デバイスのうち少なくとも1つを含む。これらデバイスは全て、電力を供給されると、意図的又は非意図的にエネルギーを放射する。
【0050】
上記の記述は、電磁エネルギーの放射物、特に、本発明では赤外線放射物及び超低周波放射物も考慮しているが、当該技術においては300GHz未満の周波数として言及される高周波数(RF)スペクトルにある電磁エネルギーの放射物に注目する。
【0051】
本発明は集積回路(IC)又は半導体と組み合わせて図示及び記述されるが、本発明はその他の電気又は電子デバイスに適用されてもよく、従って、本発明の限定要素として解釈されないものであることは当業者には明らかである。
【0052】
ここで記述される発明は、全ての電気コンポーネントは電力を供給されると電磁放射を行うという事実を利用する。電磁放射物は、この電磁放射物を発している放射構造体によって定義される。テスト対象の電子コンポーネント、基板、システム又はサブシステムを励磁するエネルギー源がなくてはならない。励磁機構は、単にデバイスに電力を供給し、発振信号をデバイスに入力する、又は電磁エネルギーによってデバイスを照明することができる。直接投入された又は接続された発振入力及び照明源は、適用された変調及び/又はタイミングパラメータによる、単一のトーン、又はマルチトーン又は多周波数又は複素周波数とすることができる。
【0053】
電力の供給を受けた、直接的又は間接的に検査されているアイテムは、検査対象のアイテムの内部設計に左右される放射されているエネルギーの伝達機構を提供しなければならない。典型的には、デバイスに電力供給している源は、電子装置に電力を供給するエネルギーであり、これは、上述のように、クロック、クロック信号、信号、周波数入力、周波数参照、信号発生器、周波数発生器、又は当該技術で既知のその他の発振源等の発振信号とすることができる。このエネルギーを検査対象のアイテム内の放射要素に伝達する機構は、集積回路ダイ、ワイヤボンド、半導体トレース、基板トレース、ワイヤ、ケーブル、又は構造的容量結合又は誘導結合である。この放射要素は、意図的に放射するアンテナ、又は物理的寸法が原因で、合理的なアンテナとして機能する意図しないアンテナでもよい。電子機器の内部部品は、ディスクリート半導体、集積回路、印刷回路基板、回路基板アセンブリ又は製品であろうとなかろうと、異なるように機能している場合、この部品は異なる電磁シグネチャを放射し、検査又は選別のために偽造部品を本物の部品と差別化することができる。
【0054】
システム10は、一般的に参照番号18で示す、電動デバイス2のかかる状態を決定する手段を含み、この状態は、テスト又は検査下のデバイス2からのRFエネルギー4の放射物特性(又はシグネチャ)によって定義される。
【0055】
手段18の1つの必須要素は、本好適な実施形態によれば、電子デバイスの検査又は選別の少なくとも1つのために、RFエネルギーの少なくとも1つの放射物を検知、処理、又はアルゴリズム的に照合する、一般的に参照番号20で示される第1の手段即ち放射物検出装置である。
【0056】
第1の手段20の詳細な説明及び動作は、Keller, IIIに発行された米国特許第7,515,094号及び米国特許第8,063,813号、2009年9月1日に提出された「ADVANCE MANUFACTURING MONITORING AND DIAGNOSTIC TOOL(最新式の製造監視及び診断ツール)」と題する米国特許出願第12/55,1635号、及び2012年1月6日に提出された「System and Method for Physically Detecting, Identifying,DiagnosingAnd Geo-locating Devices Connectable To A Network(ネットワームに接続可能な装置を物理的に検出、識別、診断、及び地理的に位置を特定するシステム及び方法)」と題する米国特許出願第13/344,717号に最もよく示され且つ記述されており、これらは全て本発明の譲受人に所有されており、その教示は参考として本明細書で援用される。
【0057】
本発明において、第1の手段20は、アンテナ22に結合されたRF収集手段を含む。なお、RF収集手段20は、一般的な受信機又はチューナである受信機を含み、この一般的な受信機は、ヘテロダイン又はスーパーヘテロダイン受信機とすることができる。
【0058】
受信機の実施形態の多くは、上述のように、ヘテロダイン又はスーパーヘテロダイン受信機、広帯域クリスタルビデオ受信機、同調高周波数クリスタルビデオ受信機、狭帯域走査スーパーヘテロダイン受信機、チャネル化受信機、マイクロスキャン受信機、音響光学受信機、及び受信機と同義とみなされることが多い多くのチューナ技術を含むためにRFエネルギー収集装置のコンポーネントと考えられている。
【0059】
他の実施形態では、高感度RFエネルギー収集装置は、極低温冷却受信機である。
【0060】
この受信機は、広帯域応答を提供することによって改良され得る。一実施形態は100KHz乃至6GHzの放射物に焦点を当てているが、帯域は、デバイスから設備への放射物の大部分を捕捉するために30MHz~1GHzに減少されてもよい。
【0061】
システムのノイズ指数を低下させることによって更なる感度が得られる。一実施形態において、受信機は、超低ノイズ指数の低ノイズ増幅器(LNA)を備える改良したフロントエンドを有する。
【0062】
一実施形態において、システムは、5未満のノイズ指数を有する。他の実施形態において、システムは、1未満のノイズ指数を有する。他の実施形態において、システムは、0.1未満のノイズ指数を有する。
【0063】
受信機からは、プロセッサにシグネチャデータが送信される。一実施形態は、直接アナログ分析である。記述の実施形態は直接アナログ分析であるが、この好適な具現方法は、アナログデジタル変換器(図示せず)を使用して、受信機のアナログ出力をデジタル出力に変換することである。次に、デジタル出力は、信号処理装置に送信される。
【0064】
一実施形態では、アナログ信号のデジタル出力への直接分析が使用される。
【0065】
より高い周波数が必要とされる他の実施形態では、デジタル信号への変換前にアナログ出力のダウン変換が利用される。
【0066】
一実施形態において、高感度受信機は、更に、デジタル信号処理(DPS)を使用して、受信機の感度を更に向上する。
【0067】
他の実施形態では、RFエネルギー収集装置は、DSPフィルタリング技術を利用して、取集したデータをDSPアルゴリズムによる更なる処理のために準備する。
【0068】
受信機の感度を向上する目的の一実施形態は、高速フーリエ変換(FFT)を使用する。
【0069】
他の実施形態では、FFTは、100万点を超えて利用される。
【0070】
他の実施形態において、FFTはRF収集装置内の内蔵チップ上で実施される。
【0071】
好ましくは、かかるアンテナ22は、デバイス2の上方に所定の距離23だけ離れて位置決めされたアンテナアレイである。デバイス2が小さなディスクリートコンポーネント又は集積回路である場合、アンテナアレイ22は、テスト下のデバイス2に対して固定的に位置決めされる。アンテナアレイ22の要素は、電子ステアリングによって重み付けされ、テスト下の回路基板の特定の部品又はより大きなアイテムから収集されたエネルギーを最適化する。検査されている単一のコンポーネントの場合、重み付けは不要であり、或いは、そのコンポーネントの位置からのシグネチャ増幅を強化するために重み付けすることができる。この実施形態では、アンテナアレイ22は、機械的又はロボットによるステアリングを必要とせずに基板上の個々の部品を検査するために対象基板の異なる領域におけるゲインを建設的に増幅するよう要素が重み付けされた場合、アレイ内の各アンテナのアンテナパターンの建設的干渉を提供する。デバイス2が、例えば、電子コンポーネントが装着された印刷回路基板アセンブリ等のより大きなものである場合、単一のアンテナ要素、又はロボットアーム32の端部に統合されたもっと少数の要素、又はコンパクトなバージョンのアンテナアレイ22が、かかる印刷回路基板の表面上を、電子制御された機械的ステアリング又はロボットによるステアリングによって移動するように位置決めされ、或いは、この印刷回路基板は、アンテナアレイ22の下方を移動するように取り付けられる。
【0072】
また、アンテナアレイ22は、アンテナアレイ22内への統合低ノイズ増幅器(LNA)25を含む。統合LNA25の利点は、システム全体の感度向上、及びデバイス2が放射するシグネチャのレベルアップにある。アンテナ22及びLNA25は集積回路(IC)内に取付けられ、偽造品の電子的にステアリングされた検出を行う。
【0073】
放射物シグネチャを更に向上するため、1未満のノイズ指数を有する低ノイズ増幅器25を採用し、システム10の理論的室温感度により良好にアプローチすることができる。
【0074】
他の実施形態では、統合LNA25を備えるコンパクトなアンテナアレイ22、又は単一の要素を備える基板上の検査対象のコンポーネントの大きさとほぼ同じ大きさである単一のコンパクトなアンテナが、電子アイテムの検査のためにロボットアーム32上に統合されてもよい。
【0075】
他の実施形態において、ロボットアーム32に適したアンテナ/LNAアレイ先端は、特定の電子デバイス又はコンポーネントの検査のために求められる性能パラメータに基づき交換可能であってもよい。
【0076】
また、本発明では、アンテナアレイ22及び放射物検出装置20が、シリコーン材料等の半導体基板又はダイ上に取付けられ、ロボットアーム32の先端33に取付けられることも考えられる。この実施形態のより詳細な説明は、参考として本明細書で援用される「INTEGRATED CIRCUIT WITH ELECTROMAGNETIC ENERGY ANOMALY DETECTION AND PROCESSING」と題する同時係属中の米国出願第13/410,909号に記載されている。
【0077】
所定の距離23は、基本的に、偽造デバイス、検査又は選別対象のデバイスの種類、及びアンテナアレイ22及びRF収集手段20の感度を検出する所望の成功率によって決まる。
【0078】
電子装置を即座に検出し、範囲内の電子デバイスを識別する場合、大抵の放射エネルギーコンポーネントは、検出が非常に困難なレベルにまで減衰される。偽造電子装置の選別又は検査が目的の場合、テスト対象のコンポーネント、基板、又はシステムのごく近距離に検出装置を配置することができる。この発明は、そのような環境、及びRF収集手段の近隣環境にある場合の選別又は検査対象の電子装置に関して提供される追加情報の利点に注目している。従って、この場合、デバイス2の表面から約1マイクロメートル~約1センチメートルの間にアンテナアレイ22の端部を位置決めするのが好ましい。好ましくは、RF収集手段22の感度は約-152dBmよりも良好である。
【0079】
更に、本発明では、テスト下のデバイス2の放射物シグネチャを更に向上するために自由場RFエネルギーによって検出、検査、又は選別の少なくとも1つが行われるデバイス2を照らすように構成されたアクティブ照明源38を使用することが考えられる。
【0080】
アンテナアレイ22は、アレイのビームの固定的電子ステアリングのため又はテスト下のデバイス2に対する移動のために取付けられる時、手段18は、デバイス2からのRFエネルギーを収集するための自動化機構30を提供する。図2の一例として、かかる自動化機構30は、ロボットアーム32、及びロボットアーム32の動きを制御するように構成された全体コントローラ34を含む。自動化機構30は、更に、特に、例えば印刷回路基板アセンブリ等のデバイス2内のコンポーネントの高さが変化する場合に、上記所定の距離23を設定するためのセンサ36を含んでもよい。
【0081】
当然のことながら、RFエネルギーを収集する手段の位置決めに使用されるロボットアーム32を制御するためのこのような自動化機構30は、スタンドアロン型システムとして設けられてもよく、或いは、印刷回路基板アセンブリ又は入力、出力、及び電源接続の少なくとも1つを可能にする任意の装置の製造ライン(図示せず)に組み込まれてもよい。
【0082】
更に、当然のことながら、テスト下のデバイス2上方のアンテナアレイ22又は単一要素のアンテナの位置決めは垂直方向に行われるように図示されているが、その他の方向及び操作をロボットアームによって行い、完成した組立製品又は複雑なアセンブリにおける接触が困難な空間に接触することができる。他の実施形態では、検査対象のデバイス2がその方向から収集されるRFエネルギーを放射する傾向にあるという評価に基づいて、アンテナアレイ22のその異なる方向を利用してもよい。従って、当該技術分野における従来の知識に基づき、多くの他のテスト指定配向に対する他の特別な配向が本発明によって考えられることになる。
【0083】
従来の完全な電気的テストとは異なり、本発明は、偽造品の選別及び検査のためにデバイス2の限定的機能又はベースライン機能を起動させることに基づいている。回路基板、印刷回路基板アセンブリ、又は部分的又は完全に組み立てられた製品の場合、典型的には、基板に電力を供給すれば十分である。入力及び出力が全て必要という訳ではないが、入力及び出力を全て接続することで本発明の統計的な選別の成功率の上昇に寄与する可能性があることは当業者には自明である。この状態にある基板は、その基本的な機能を担い、RF放射収集手段20は、偽造品を選別して基板自体が本物であるか偽造品であるかを見分け、基板上の特定のコンポーネントが偽造品であるか否かを見分けるのに十分に弁別可能な情報を収集することができる。
【0084】
基板が存在する製造ラインに先行して回路基板に集積されるコンポーネント/デバイス2の場合、一実施形態では、コンポーネント/デバイス2に単に電源入力42を提供し、単純にコンポーネント又は基板を電気的にオンにする。他の実施形態としては、好ましくは、テスト下のデバイス2の入力又は出力においてクロックを作動するために単に発振入力44を提供する。この場合に好適な本発明の実施形態では、電力信号42は、発振入力44と組み合わされる。かかる発振入力44は、好ましくは、単調な発振信号であるが、マルチトーン入力又は変調発振信号又は変調された発振信号として提供されることもできる。マルチトーン入力注入を用いると、偽造品対本物デバイスに関して固有のシグネチャに変わる混変調応答及び相互変調応答の発達が支援される。更に、マルチトーン注入の使用により、偽造品対本物デバイスに関して固有のシグネチャに変わる非線形応答の展開が支援される。
【0085】
電力信号42及び発振信号44によるデバイス2の励起方法は、半導体デバイス、集積回路、表面実装や貫通孔部品等の基板レベルデバイス、サブ基板又はドーターボード、回路基板全体、複数の基板のアセンブリ、更には製品全体に適用される。この場合に好適な本発明の実施形態において重要なのは、ベースラインとしてデバイス2に電力供給するための電力信号42、基本的なデバイスの機能作動させるための単一の単純な単調発振信号44とを提供することであり、この発振信号44はその後アクティブになると、RF収集手段20及びアンテナアレイ22又はデバイス2の近傍に位置決めされた個別のアンテナによって捕捉され、本物の部品において期待される基準特性又はベースライン特性に対して分析される電磁放射物を生じる。
【0086】
IC部品であるデバイス2の例では、電力入力42は、ICをオンにし、発振信号44によって、クロック入力又はクロックInと呼ばれることが多いIC仕様書上のピン又はポートに発振入力を提供することによって内部回路が使用可能になるが、他の入力が作動されていないので、ICのより複雑な動作を引き起こすことはない。他の例は、ICの基礎回路を作動することに主に焦点を置く発振入力のみの信号、通信、又は二次クロック入力の提供である。
【0087】
従って、システム10は、電力入力源46及び発振器入力源48を提供する。発振器入力源48は、水晶発振器、セラミック発振器、発振器、標準時間、信号、信号発生器、周波数基準又は当該技術において典型的な他の類似の用語で呼ばれることもある。これらの信号入力源はいずれも詳細に分析すれば異なるが、夫々、基本的に、デバイス2へ発振入力を提供する機構を提供する。
【0088】
半導体の応答の仕方は、半導体デバイス2のクロック入力又は信号入力のいずれかを駆動するために使用される発振入力44の品質に依存することが分かっている。
【0089】
温度補償水晶発振器(TCXO)、マイクロコンピュータ補償水晶発振器(MXCO)、恒温槽付水晶発振器(OCXO)、小型原子周波数標準器(ルビジウム(Rb)及びルビジウム発振器(RbXO))、及びCs等の高性能原子標準器を使用することによって満足な結果が得られており、全て10-4を超える精度を提供する。この場合に好適な実施形態では、発振信号44の精度は10-8を超え、発振器入力源48は、小型原子周波数標準発振器である。従って、発振器信号源48は、以下、「高精度信号源」と呼び、発振器信号44は、以下、「高精度発振器信号」と呼ぶ。高精度信号は、更に、デバイス2の入力要求と一致するその周波数を有する。
【0090】
上述の発振器源48は、デバイス2を励起するために使用する必要があるだけである。デバイスの駆動方法に対して変調又は複雑なタイミングを加えることによって、よりスペクトルに富んだ放射を導き出すことができ、この好適な実施形態は、クロック又はその他の信号入力等のデバイス入力を励起するだけで、デバイス2の状態が本物か偽物かに関する情報を提供する放射物パターンの生成における複雑性を制限する。
【0091】
他の実施形態では、デバイス2の放射物を測定する手段を提供すると同時に、発振器源48が周波数帯を掃引することができるようにする第2の機構を提供する。一実施形態では、継続的に発生する周波数掃引を有する。他の実施形態では、注目帯域にわたる特定の所定の離散周波数のみを掃引する離散掃引が用いられる。掃引される周波数は、テスト下のデバイス2の期待される入力に依存する。数Hzの帯域を掃引すれば十分である場合もあれば、KHzの帯域を掃引するもの、MHzの帯域を掃引するもの、GHzの帯域を掃引するものもある。本発明は、これらの範囲いずれにも対応することができるが、コストの面から、帯域は、全てを網羅する範囲ではなく効果的な範囲に限定される。当然のことながら、これらの帯域間隔はいずれも使用可能であり、本発明によって期待されていると考えられる。
【0092】
加えて、本発明では、駆動されるデバイスに固有の範囲外の入力を励起することも考えられる。この場合、本物の部品は、より堅牢な部品を提供するために既定よりも広い入力範囲を有するように開発されているが、偽造部品はこのような能力を有さない。いずれにしても、部品間で異なる非線形応答などの応答は、適切に構成されたRF収集手段20に容易に変換される。
【0093】
更に、本発明では、発振器入力の振幅を、クロック入力、信号入力、及びデバイス2の製造者によって定義されているその他の入力等のデバイス入力に変化することが考えられる。
【0094】
他の実施形態では、振幅が変化するだけでなく、振幅変調が適用される。
【0095】
入力を励起することに加え、本発明では、出力(単数又は複数)を励起することが考えられる。出力の駆動によっても、デバイスアーキテクチャ応答が生じる。例えば、本物の部品は、偽造部品が有さないデバイスにおいてフィルタリング又は静電放電(ESD)保護されている。偽造部品は、コストを省こうとする偽造者によって回路において何らかの標準的な保護がなされていない場合、RFスペクトルにおいて「クリスマスツリーのように照らし出される」。
【0096】
デバイス2が、印刷回路基板、印刷回路基板アセンブリ又は任意のより大きなデバイスである場合、本発明では、電源入力42を単にデバイスに接続することが考えられ、デバイスのその他の入力又は出力を駆動する必要がない。また、本発明は、当然のことながら、かかるデバイス2の各入力(又は出力)に対して電源入力42及び発振器入力44を使用することが考えられる。ディスクリート半導体や集積回路等のより小さなコンポーネントに関して、本発明は、かかる入力42及び44をデバイス2に転送する手段を提供するテスト装置50を提供する。例えば、かかるテスト装置50は、かかるデバイス2を受容するように構成され、デバイス2に入力42及び44を適用するように予め構成されたゼロ挿入力ソケットである。他の例では、テスト装置50は、効果的な方法を促進する、即ち、電力を電源ピンに加え、発振信号をその他の所望の入力(又は出力)に加えることを容易にする任意の特殊な装置でもよい。通常、接地も同様に接続される。或いは、図3から分かるように、テスト装置50は、単に、2つの表面レベルコンタクト56,58、及びその上に位置決めされたデバイス2を一時的に固定する手段を提供してもよい。例えば、かかる一時的固定手段は、テスト装置50の表面55の下方に位置決めされた真空生成デバイス57である。
【0097】
手段18の第2の基本的要素は、収集されたRFエネルギーを、本物のデバイス2のベースライン構成に関して特定された一組のパラメータと比較し一致させる手段24である。当然のことながら、手段24は、少なくとも1つのプロセッサを含むが、期待されるパラメータとの一致を確認するその他のハードウェア又はファームウェアとしての形態も考えられる。
【0098】
手段24は、収集データをデバイス2の期待されるシグネチャと一致させる少なくとも1つのアルゴリズムを含む。本好適な実施形態は2つ以上の自動化アルゴリズムを利用する。本好適な実施形態は、RFエネルギー放射物シグネチャの互いに排他的なパラメータを一致させる幾つかのアルゴリズムを利用する。このようにして、収集したシグネチャを期待されるシグネチャと一致させる能力が向上する。これらのアルゴリズムの重み付けは、偽造部品を含む低品質の部品を検出する能力を向上するので好ましい。
【0099】
従って、手段24は、調波分析、マッチドフィルタ、非調波相関、タイミング相関、人口ニューラルネットワーク(ANN)、具体的には、バックプロパゲーション(BP)による多層パーセプトロン(MLP)フィードフォワードANN、ウェーブレット分解、自己相関、スペクトル的特徴測定又は統計、クラスタリング又は位相トレンド除去アルゴリズムのうち少なくとも1つを含む。
【0100】
クラスタリング分析では、サンプリングされたコンポーネントの重要な電磁放射物に関する統計が測定され生成される。M個のコンポーネント各々に関して合計でN個の統計値が測定され、次に、M組のN個の統計値が展開される。次に、各統計値にN次元空間における固有軸を割り当て、M個の測定されたコンポーネントの夫々に関して測定された統計値を保存する。次に、階層的凝集クラスタリング(HAC)アルゴリズムを空間的分布において分離クラスタに適用する。識別されたクラスタは、製造における典型的な分布を外れて性能パラメータが異なるコンポーネントセットを表す。この分析においては、サンプリングされたセットに挿入された違反コンポーネントは分離クラスタとして必ず明らかにされる。HACアルゴリズムは反復的に動作し、逐次反復し、特定の類似性基準を満足することによって最も近接するクラスタ対(又は、1回目の反復において、データ点)を凝集(統合)する。典型的には、この類似性は、クラスタ間の距離の測定値によって定義される。しかしながら、N次元空間における前記軸を表す測定された特徴の多くは互いに異なり無関係である。まさにこの目的のために考えられた、共分散の評価によって異なるスケールを補正する測定基準であるマハラノビス距離が、この分析においてクラスタ間の類似性の基準として用いられる。マハラノビス距離d(ベクトルx→,ベクトルy→)は、2つのベクトルx→とベクトルy→の間で以下のように定義される。
【0101】
【数1】
【0102】
Sは2つのベクトル間の結合共分散の推定値である。本出願において、各ベクトルは、N空間における位置ベクトルによって表され、2つのクラスタ間の結合共分散はそれらを構成するデータ点から推定される。その2つのクラスタの結合共分散マトリクスへの正規化により、マハラノビス距離にスケール不変性という基本的な特性が与えられる。
【0103】
クラスタは、N次元空間における延長体であり、これは、距離測定基準の端点が明確に定義されることを必要とする。2つのクラスタ間の最小データ点距離(単一連結と呼ぶ)や最大点方向距離(最大連結と呼ぶ)等の幾つかの「連結」オプションを利用することができるが、ルーラの端点を配置する場所は、N空間における各クラスタの平均値である。この連結方法により、各クラスタの共分散を、マハラノビス距離測定基準で考えることができるようになる。また、全ての構成データ点に関して反復することなくクラスタ平均値が継続的に更新され得るので、必要な計算が少なくなる。
【0104】
アルゴリズムの停止基準(即ち、更なる凝集を防止する分離距離閾値)は、分析時に観察される製造公差の評価によって決まる。クラスタは、展開され、類似性によって多層にネストされ、これらの層の分析によって、既存の分散への洞察が得られる。
【0105】
クラスタ数の増加とともに、情報損失を用いて最適な停止基準を特定する。対称化されたカルバックライブラーダイバージェンス(SKLD)は、情報損失の優良な測定単位である。SKLDは2つのモデルP及びQに関して以下のように定義される。
【0106】
【数2】
【0107】
SKLDは、2つのモデル(即ち、HACの2つの層(段))間の情報差の測定を提供する。幾つかの層(段)に対してD(P//Q)をプロットすることは、通常変曲点を示す。最適数のクラスタは、変曲点の丁度下で識別される。
【0108】
ここで図4を参照すると、偽造電子又は電気デバイス2に対して検査又は選別する本好適な方法は、ステップ102でデバイス2に電力を投入することから始まり、ステップ104で発振信号を入力する。次に、RF収集手段20は、ステップ106で位置決めされ、電力信号42と発振信号44が注入されるデバイス2からのRF放射を収集するように動作可能である。収集されたRF放射は、ステップ110で演算処理され、このステップは、収集されたRF放射物4のシグネチャを本物のデバイス2に対するRF放射物シグネチャ特性と比較し一致させるステップを含み、種々の方法、例えば、複数のデバイス2のサンプリング、製造仕様及び同様な方法によって決定される。
【0109】
ステップ110内で種々の自動化アルゴリズムを使用することが考えられる。ステップ110は、ディスクリートウェーブレット変換係数統計を得るステップや、相対位相測定を得て、および位相測定を期待された位相測定を得て比較するステップを含むことができる。また、ステップ110は、クラスタリングアルゴリズム、階層的凝集クラスタリング(HAC)アルゴリズムの少なくとも1つを使用するステップを含んでいてもよい。
【0110】
ウェーブレット変換は、分析された放射の時間周波数表示を得るために使用される多解像度分析技術である。このウェーブレット変換は、フーリエ変換に対する他の基底関数であり、早晩変換され広げられる所謂マザーウェーブレットと呼ばれる関数に関して入力信号の拡張に基づく。演算の観点から、ディスクリートウェーブレット変換(DWT)は、“近似”情報と“詳細”情報に信号を分解することによってその信号を分析し、それは、連続する低帯域と高帯域フィルタリング処理を夫々使用することによって達成される。
【0111】
信号分類における特徴としてのこれらの複数分解の高帯域“詳細”係数出力は、本発明での使用において有利であることが分かった。DWTは、ウェーレット変換を周波数ドメイン情報に適用することによって得られる歪度の対策に基づいて略同じデバイス放射物分を分類するために有利であることが分かった。DWT分析は、定義される交差∩E内で各放射物の周波数ドメイン放射物データに適用される。異なる詳細係数スケールの各々での平均エネルギーが演算され、各結果の値が保持され、分類で使用される。
【0112】
識別された放射物の位相情報は、回路変更の特定の感度評価を提供するために使用される。信号位相(及び、次に、放射位相)が所与の回路内の分布又は局所インピーダンスのいずれかの僅かな変動によって容易に変更される。従って、位相情報は、微妙な回路変更を識別しようとする時に、非常に適切である。
【0113】
ここで図6を参照して、相対位相測定アルゴリズムにおいて、位相測定は、既知の基準が無いために、他の(又は幾つか他の)放射物に相対する各放射物に対して実行される。任意の組の静的周波放射物は、時間ドメインエンベロープ内で必然的に繰り返され、従って、基準時間trefと名付けられるこのエンベロープ内のある点で繰り返しの位相関係を含む。信号の測定が繰り返しのエンベロープ中幾つかの他の時間tになされると、tでの位相は、明瞭には時間差tref-tに起因してtrefの位相に対応しては通常現われない。tでなされた測定からtrefの識別によって、時間基準のtrefへのシフト、及び相対位相関係の単一の繰り返し可能測定が取られるように位相(複数)の位置合わせが行われる。
【0114】
名目上、高調波は、0°の相対位相測定を有することが期待され、他方、相互変調コンポーネントは、0°又は180°の相対位相測定値を有することが期待される。高調波と相互変調コンポーネントの正確な位相関係は、これらの名目上の期待から変化することが多く、回路を特徴付けるために効果的に使用され得る。名目値からの相対位相における逸脱は、分析された高調波の変化する周波数での回路リアクタンスの小さな変化に起因する。
【0115】
幾つかの方法は、一般的にはモジュロ2pi計算に関連する演算多様性に欠陥を有する周波数ドメイン位相トレンド除去に依存する。他の方法は、測定される正確な基準のタイムオフを確立するための基準信号の使用に依存している。これらの欠点があると、これらのアプローチはいずれも放射物測定のための最適な方法ではない。しかしながら、この関係が経験的に既知である(即ち、信号が高調波であれば0°がシフトする、或いは相互変調コンポーネントであれば0°又は180°がシフトする)場合、単一の信号遅延位相オフセットを独立変数として使用して期待された値からの各信号に関する位相差の関数を最小にできる。本発明者等によって取られたこのアプローチは、測定されたICと他のデバイスとの間の変動に対して高調波の位相と相互変調放射物コンテントを分析するためのフレームワークを提供する。
【0116】
高調波又は相互変調関係に属しているとして識別された放射パターンの各々は、正確な相対位相対策を決定するために評価される。
【0117】
ANNアルゴリズムは、大きなデータベースに生じるトレンドを学習し、情報の分類又は機能当て嵌めに最適な方法で組み合わせることに優れていることが分かった。
【0118】
ニューラルネットワーク駆動データ分析に対して幾つかの望ましい態様がある。RF放射物データは、持続するモニタリングと診断のための豊富で多様な組の特性シグネチャを含む。最も敏感で、正確かつ信頼できる結果を達成するために、可能な限りこの情報の多くが分析に含まれる。しかしながら、RF放射物の現象論が高帯域と狭帯域の特徴の組合せから成る事実によって、タスクに適合する堅牢なRF処理技術を決定することが困難になる。ANNは、大きく且つ多様な情報を容易に理解される量に組み合わせることに高度に熟練している。加えて、望ましいカテゴリー化に適する有用なデータと命令をANNに簡単に提供することによって、複雑な問題への解法が得られる。この特徴によって、全ての関連する情報を1つの独自のシグネチャを他の物から究極的に区別するために利用して、一体化した複数のRF技術の使用が可能となる。
【0119】
次に、ステップ112で、演算処理されたRF放射物が本物又は偽造デバイス2の状態を決定するために見分けられる。必要ならば、発振信号の周波数設定が、ステップ114で変化されてもよく、ステップ104からステップ112が繰り返される。各測定された応答は、ステップ116で記憶され、それらの応答が偽造物検知を向上するために互いに比較される。周波数変化は、異なる周波数振幅設定及び/又は2つ以上の信号間の異なる相対位相に関連してもよい。少なくとも2つの入力が発振入力44で注入されると、各入力に対する収集されたRF送出データは、個別に期待されたシグネチャと同時に全ての入力への注入に対して比較される。
【0120】
最後に、ステップ118で、デバイス2の状態の評価が本物と偽造デバイス2とを見分けるために行われる。本物デバイス2を決定するステップ118は、放射物コンポーネントの周波数位置、放射物の位相、内部回路によって発生される混変調と相互変調コンポーネント、個別の放射物の形状、個別の放射物の品質ファクタや放射物のタイミング特性の少なくとも1つを分析するステップを含む。
【0121】
偽造の電子や電気デバイス2に対する検査や選別を行う本好適な実施形態は、更に本物のデバイス2を表すベースラインRF特性を確立するステップを含む。このようなベースラインRF特性を確立するステップは、スペクトル放射物の大きな比較を行うステップとその大きなスケール比較を狭帯域比較に減少し、比較後に出力し、更に比較照合の品質に基づいて単一のスカラー値を減少するステップを含む。また、ベースラインRF特性を確立するステップは、局所スペクトル電力密度統計を得るステップを含んでよく、複数の半導体がサンプリングされてサンプリングされたデバイス間に共通の放射物の各々に関して測定された局所化統計特徴に基づいて識別される。統計的特徴は、図5に最良に示されているように、放射物周波数位置、放射物ピークマグニチュード、放射物位相ノイズ、放射物対称、歪度及び放射物局所ノイズフロアの少なくとも1つを含む。
【0122】
本発明は、必要なステップと細目を提供し、同時に電力と1つ以上の発振入力を印加し、且つ放射物4が処理されるべきか、偽造電子装置を検出し、選別し、識別し且つ検査するために放射されるべきか、これらの条件下でデバイス2によって放射されたRFを同時に測定する。
【0123】
また、本発明は、意図する又は意図しないRF放射物4を使用してダイや基板レベルでデバイスを特徴付ける。デバイスが放射していることを測定する選択周波数で自由場EM磁場強度の導入によって、デバイスの意図しない放射特性が増幅及び/又は変更される。本発明は、更に、アクティブ照明源を使用してRF収集手段によって収集される放射を向上する実施形態を考えている。この場合、適用されるデバイスへの電力は、テスト装置によって印加され、RF収集手段は、放射されたエネルギーを収集する。この収集中に、自由場照明源がオンにされて回路を作動する。他の実施形態は、テストされるデバイスへの物理的接続による電力と発振信号の印加を含み、一方、自由場照明が実行され、RF収集装置が放射されたエネルギーを収集する。この実施形態において、照明源は、単一周波数モノトーン、マルチトーン又は複素変調RFエネルギーを使用して照明できる。
【0124】
選択周波数での照明源によるEM場強度の導入によって、デバイスの意図しない放射特性を増幅及び/変更できる。本発明の一利点は、RF放射シグネチャの増幅を含み、偽造電子装置を検出し、検査し及び選別する能力を向上する。
【0125】
既述された応答を引き起こすのに必要な磁場強度は、それほど堅牢である必要はない。低い磁場強度が収集された放射物を大きく向上することもある。例えば、低磁場強度での発振器の不安定さは、そのようなデバイスの放射物シグネチャを大きく変更できる。
【0126】
本発明の本好適な種々の他の実施形態は、当業者がそれを作り且つ使用できるよう十分詳細に記述されたが、種々の他の適応及び変更が本発明の精神や添付の請求項の範囲から逸脱することなく当業者によって想定されることは明白である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6