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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 15/64 20060101AFI20220401BHJP
   B65G 39/16 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
B65G15/64
B65G39/16
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020178177
(22)【出願日】2020-10-23
(62)【分割の表示】P 2016245487の分割
【原出願日】2016-12-19
(65)【公開番号】P2021006488
(43)【公開日】2021-01-21
【審査請求日】2020-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000103426
【氏名又は名称】オークラ輸送機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】田川 三郎
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-520611(JP,A)
【文献】実開平06-049414(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 15/00-15/28
B65G 15/60-15/64
B65G 39/00-39/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する無端状の搬送ベルトと、
前記搬送ベルトが巻き掛けられ、前記搬送ベルトの搬送面領域およびこの搬送面領域の下方に回り込む前記搬送ベルトのリターン領域を形成する一対のエンドプーリ
前記搬送ベルトを回転させる駆動部と、
軸方向の両端部にそれぞれ回転可能に配設され外端部側に向かって縮径する一対のテーパプーリ、およびこれらテーパプーリ間で軸方向に複数に分割されているとともにそれぞれが独立して回転可能に配設された複数のベンドプーリを有し、前記エンドプーリの下方に配設され、前記テーパプーリおよび前記ベンドプーリが前記搬送ベルトの前記リターン領域に接触するプーリユニットと、前記搬送ベルトの蛇行に応じて、一方の前記テーパプーリが前記搬送ベルトの回転方向に移動し、他方の前記テーパプーリが前記搬送ベルトの回転方向の逆方向に移動するように前記プーリユニットを回動可能に支持する支持ユニットとを備え、前記搬送ベルトの蛇行を防止する蛇行防止装置と
を備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
物品を搬送する無端状の搬送ベルトと、
前記搬送ベルトが巻き掛けられ、前記搬送ベルトの搬送面領域およびこの搬送面領域の下方に回り込む前記搬送ベルトのリターン領域を形成する一対のエンドプーリと、
前記搬送ベルトを回転させる駆動部と、
軸方向の両端部にそれぞれ回転可能に配設され外端部側に向かって縮径する一対のテーパプーリ、およびこれらテーパプーリ間で軸方向に複数に分割されているとともにそれぞれが独立して回転可能に配設された複数のベンドプーリを有し、一対の前記エンドプーリの下方にそれぞれ配設され、前記テーパプーリおよび前記ベンドプーリが前記搬送ベルトの前記リターン領域に接触するプーリユニットと、前記搬送ベルトの蛇行に応じて、一方の前記テーパプーリが前記搬送ベルトの回転方向に移動し、他方の前記テーパプーリが前記搬送ベルトの回転方向の逆方向に移動するように前記プーリユニットを回動可能に支持する支持ユニットとを備え、前記搬送ベルトの蛇行を防止する蛇行防止装置と
を備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項3】
前記蛇行防止装置は、前記支持ユニットと当接して当接位置に応じた回動範囲に前記プーリユニットの回動を規制し、前記当接位置が調整可能な回動規制ユニットを備える
ことを特徴とする請求項1または2記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送ベルトの蛇行を防止する蛇行防止装置を備えた搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1、2に記載された搬送装置が知られている。
【0003】
この従来の搬送装置は、搬送ベルトが回転し、搬送ベルト上の物品を搬送するベルトコンベヤである。この搬送装置では、帯状の搬送ベルトの両端を結合して無端状とすることによって生じるベルト幅方向での周長差の違いの影響や、搬送装置が水平に設置されていない設置状況でのコンベヤフレームのねじれの影響等によって、回転する搬送ベルトがベルト幅方向のいずれかに片寄るような蛇行が生じることがある。そこで、このような搬送ベルトの蛇行を防止するための蛇行防止装置を備えた搬送装置がある。
【0004】
従来の蛇行防止装置は、搬送ベルトに接触するベンドプーリを有し、このベンドプーリの軸方向中央に直交する回動中心軸線を中心としてこのベンドプーリを回動可能に設けている。
【0005】
そして、搬送ベルトが蛇行していない状態では、ベンドプーリの両端側での搬送ベルトとの接触抵抗が略均等となり、搬送ベルトの回転方向に対してベンドプーリの軸方向が直交している。また、搬送ベルトがベルト幅方向一側に片寄るように蛇行すると、ベンドプーリの一端側での搬送ベルトとの接触抵抗がベンドプーリの他端側での搬送ベルトとの接触抵抗に比べて大きくなり、ベンドプーリの一端側が搬送ベルトの進行方向に進むように、ベンドプーリが回動中心軸線を中心として回動する。この回動したベンドプーリにより、搬送ベルトをベルト幅方向他側に向けて案内し、搬送ベルトの蛇行を修正している。
【0006】
ところで、従来の蛇行防止装置には、軸方向に1本もののベンドプーリが用いられている。この場合、ベンドプーリの軸方向の広い範囲が搬送ベルトと面で接触しているため、回動中心軸線を中心としたベンドプーリの回動抵抗が大きく、搬送ベルトに対してベンドプーリが回動しにくく、搬送ベルトの蛇行防止効果が不十分となることがある。また、ベンドプーリが軸方向に複数のプーリ部分に分割されているものの、各プーリ部分が一体に回転する場合には、各プーリ部分の回転速度が全て同じであるため、部分的に搬送ベルトの回転速度に対応しない速度で回転するプーリ部分が出てきてしまい、蛇行調整が不安定になることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第5879080号公報
【文献】実開昭60-145104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来の搬送装置では、蛇行防止装置による蛇行防止効果が不十分となることがある。
【0009】
本発明は、搬送ベルトの蛇行を効果的に防止できる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
求項記載の搬送装置は、物品を搬送する無端状の搬送ベルトと、前記搬送ベルトが巻き掛けられ、前記搬送ベルトの搬送面領域およびこの搬送面領域の下方に回り込む前記搬送ベルトのリターン領域を形成する一対のエンドプーリ前記搬送ベルトを回転させる駆動部と、軸方向の両端部にそれぞれ回転可能に配設され外端部側に向かって縮径する一対のテーパプーリ、およびこれらテーパプーリ間で軸方向に複数に分割されているとともにそれぞれが独立して回転可能に配設された複数のベンドプーリを有し、前記エンドプーリの下方に配設され、前記テーパプーリおよび前記ベンドプーリが前記搬送ベルトの前記リターン領域に接触するプーリユニットと、前記搬送ベルトの蛇行に応じて、一方の前記テーパプーリが前記搬送ベルトの回転方向に移動し、他方の前記テーパプーリが前記搬送ベルトの回転方向の逆方向に移動するように前記プーリユニットを回動可能に支持する支持ユニットとを備え、前記搬送ベルトの蛇行を防止する蛇行防止装置とを備えるものである。
【0011】
請求項記載の搬送装置は、物品を搬送する無端状の搬送ベルトと、前記搬送ベルトが巻き掛けられ、前記搬送ベルトの搬送面領域およびこの搬送面領域の下方に回り込む前記搬送ベルトのリターン領域を形成する一対のエンドプーリと、前記搬送ベルトを回転させる駆動部と、軸方向の両端部にそれぞれ回転可能に配設され外端部側に向かって縮径する一対のテーパプーリ、およびこれらテーパプーリ間で軸方向に複数に分割されているとともにそれぞれが独立して回転可能に配設された複数のベンドプーリを有し、一対の前記エンドプーリの下方にそれぞれ配設され、前記テーパプーリおよび前記ベンドプーリが前記搬送ベルトの前記リターン領域に接触するプーリユニットと、前記搬送ベルトの蛇行に応じて、一方の前記テーパプーリが前記搬送ベルトの回転方向に移動し、他方の前記テーパプーリが前記搬送ベルトの回転方向の逆方向に移動するように前記プーリユニットを回動可能に支持する支持ユニットとを備え、前記搬送ベルトの蛇行を防止する蛇行防止装置とを備えるものである。
【0012】
請求項3記載の搬送装置は、請求項1または2記載の搬送装置において、前記蛇行防止装置は、前記支持ユニットと当接して当接位置に応じた回動範囲に前記プーリユニットの回動を規制し、前記当接位置が調整可能な回動規制ユニットを備えるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、搬送ベルトの蛇行を効果的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施の形態を示す搬送装置を示し、(a)は平面図、(b)は側面図である。
図2】同上搬送装置の蛇行防止装置を示す側面図である。
図3】同上搬送装置の蛇行防止装置を模式的に表した端面図である。
図4】同上搬送装置の蛇行防止装置を模式的に表した平面図である。
図5】同上蛇行防止装置の平面図である。
図6】同上搬送装置の搬送ベルトが蛇行せずに回転する場合を示し、(a)はヘッド側の蛇行防止装置を示す斜視図、(b)はテール側の蛇行防止装置を示す斜視図である。
図7】同上搬送装置の搬送ベルトが第1搬送方向から見てベルト幅方向左側に蛇行して回転する場合を示し、(a)は搬送装置の平面図、(b)はヘッド側の蛇行防止装置の斜視図、(c)はテール側の蛇行防止装置の斜視図である。
図8】同上搬送装置の搬送ベルトが第1搬送方向から見てベルト幅方向右側に蛇行して回転する場合を示し、(a)は搬送装置の平面図、(b)はヘッド側の蛇行防止装置の斜視図、(c)はテール側の蛇行防止装置の斜視図である。
図9】同上搬送装置の設置状態の例であって蛇行防止装置を模式的に表した端面図である。
図10】本発明の第2の実施の形態を示す搬送装置の蛇行防止装置を模式的に表した端面図である。
図11】同上蛇行防止装置の一部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の第1の実施の形態を、図1ないし図9を参照して説明する。
【0016】
図1において、搬送装置10は、回転(回行)する搬送ベルト11の搬送面12上に物品を載せて搬送するベルトコンベヤである。さらに、搬送装置10は、搬送ベルト11が例えば正転方向である第1搬送方向F1および例えば逆転方向である第2搬送方向F2のいずれにも回転可能とするベルトコンベヤである。
【0017】
搬送装置10は、搬送ベルト11、この搬送ベルト11を回転可能に支持するコンベヤフレーム13、このコンベヤフレーム13の長手方向の両端にそれぞれ配設された一対のエンドユニット14、コンベヤフレーム13の下部に配設された駆動ユニット15、およびコンベヤフレーム13の両端にそれぞれ配設された一対の蛇行防止装置(調心装置)16を備えている。
【0018】
そして、搬送ベルト11は、帯状の平ベルトの両端が連結されて無端状に形成されている。そして、コンベヤフレーム13の上面側で搬送面12を構成する搬送ベルト11の領域が搬送面領域11aであり、コンベヤフレーム13の下側に回り込む搬送ベルト11の領域がリターン領域11bである。
【0019】
また、コンベヤフレーム13は、搬送方向(F1またはF2)に長手状とする長方形板状の上面フレーム部20、およびこの上面フレーム部20の長手方向に直交する幅方向両側に設けられたサイドフレーム部21を有している。なお、コンベヤフレーム13の下部には、搬送装置10を床面等の設置面に設置するための図示しない複数の脚体が取り付けられている。また、上面フレーム部20とサイドフレーム部21とは、別々の部材でも一体でもよい。
【0020】
また、図1ないし図4に示すように、一対のエンドユニット14は、コンベヤフレーム13の長手方向の両端にそれぞれ配設されている。なお、一対のエンドユニット14のそれぞれは、共通の構造とすることができる。
【0021】
各エンドユニット14は、コンベヤフレーム13の長手方向の端部に取り付けられたエンドフレーム25、およびこのエンドフレーム25に支持されたエンドプーリユニット26を備えている。
【0022】
エンドプーリユニット26は、両端がエンドフレーム25に支持されるプーリ軸27、このプーリ軸27の軸方向に複数に分割されているとともにこのプーリ軸27にそれぞれが独立して回転可能に設けられた複数のエンドプーリ28、およびこれらエンドプーリ28間でプーリ軸27に配置されたスペーサ29を有している。各エンドプーリ28には、プーリ軸27に対して自由に回転可能なベアリングを備えたベアリングプーリ等が用いられている。そして、エンドプーリ28(エンドプーリユニット26)は、搬送ベルト11が巻き掛けられ、搬送ベルト11の搬送面領域11aおよびこの搬送面領域11aの下方に回り込む搬送ベルト11のリターン領域11bを形成している。
【0023】
また、図1に示すように、駆動ユニット15は、搬送ベルト11を第1搬送方向F1または第2搬送方向F2に回転させるものである。
【0024】
駆動ユニット15は、コンベヤフレーム13の下部に取り付けられた下部フレーム32、この下部フレーム32に回転可能に支持された駆動プーリ33および複数のガイドプーリ34、および駆動プーリ33を回転駆動するモータ35を備えている。搬送ベルト11のリターン領域11bが、複数のガイドプーリ34を介して、駆動プーリ33に巻き掛けられている。そして、モータ35の例えば正転駆動または逆転駆動により、搬送ベルト11を第1搬送方向F1または第2搬送方向F2に回転させる。なお、モータ35を用いる代わりに、駆動プーリ33にモータ内蔵プーリを用いてもよい。
【0025】
また、図1ないし図5に示すように、一対の蛇行防止装置16は、搬送ベルト11の蛇行が生じ始めた際にその蛇行を修正することにより、搬送ベルト11の蛇行を防止するものである。
【0026】
一対の蛇行防止装置16は、共通の構造に設けられており、コンベヤフレーム13の両端でエンドプーリユニット26の下側にそれぞれ配設されている。
【0027】
各蛇行防止装置16は、プーリユニット(ベンドプーリユニット)40、このプーリユニット40をコンベヤフレーム13に対して支持する支持ユニット41を備えている。
【0028】
そして、プーリユニット40は、プーリ軸44、このプーリ軸44の両端部にそれぞれ独立して回転可能に設けられた一対のテーパプーリ45、これら一対のテーパプーリ45間でプーリ軸44にそれぞれ独立して回転可能に設けられた複数のベンドプーリ46、および、テーパプーリ45とベンドプーリ46との間および隣り合うベンドプーリ46間でプーリ軸44に配置された複数のスペーサ47を有している。
【0029】
プーリ軸44は、支持ユニット41に支持されている。なお、プーリ軸44は、1本で、両側のテーパプーリ45および複数のベンドプーリ46を一体に支持する場合に限らず、各テーパプーリ45毎に1本ずつ、複数のベンドプーリ46に1本の合計3本に分割されていてもよい。この場合、各プーリは同一中心軸線上に配置されていればよい。
【0030】
各テーパプーリ45は、テーパプーリ45の内端部側の外径がベンドプーリ46の外径と同一であり、この内端部側から外端部側に向かって外径が縮径するように形成されている。各テーパプーリ45には、プーリ軸44に対して自由に回転可能なベアリングを備えたベアリングテーパプーリ等が用いられている。
【0031】
各ベンドプーリ46は、プーリ軸44の軸方向に複数に分割されているとともに、プーリ軸44にそれぞれが独立して回転可能に設けられている。各ベンドプーリ46には、プーリ軸44に対して自由に回転可能なベアリングを備えたベアリングプーリ等が用いられている。各ベンドプーリ46は、周面が中心軸(プーリ軸44)に平行な円筒状である。ベンドプーリ46の分割数は、少なくとも2以上であれば、いくつでも構わない。なお、ベンドプーリ46は、回動中心軸線50を中心として左右(軸方向)に同数でかつそれぞれ回動中心軸線50からの距離が同じとなる対象位置に設けられていることが好ましい。この場合、本実施の形態のように、回動中心軸線50上にベンドプーリ46が配置されず、回動中心軸線50よりも左右に離れた位置から他のベンドプーリ46が配置されていてもよいし、あるいは、回動中心軸線50上に1つの中央のベンドプーリ46が配置され、この中央のベンドプーリ46の左右に他のベンドプーリ46が配置されていてもよい。
【0032】
各スペーサ47は、テーパプーリ45とベンドプーリ46との間および隣り合うベンドプーリ46間のそれぞれに所定の間隔を設けている。
【0033】
また、プーリユニット40の両端のテーパプーリ45の外端部間の長さ(幅)は、搬送ベルト11の幅よりも長く(広く)、搬送ベルト11がベルト幅方向に蛇行してもテーパプーリ45に巻き掛けられた状態が保たれるように蛇行代を考慮した長さ(幅)とされている。なお、テーパプーリ45およびベンドプーリ46の外径は、エンドプーリ28の外径よりも大きい関係にすることができる。
【0034】
また、支持ユニット41は、プーリユニット40を支持する支持体49、この支持体49をプーリユニット40の軸方向中央部に直交する回動中心軸線50を中心として回動可能に支持する軸支部51、この軸支部51を介して支持体49をコンベヤフレーム13に取り付ける取付体52、および支持体49に取り付けられたカウンタウエイト53を有している。
【0035】
支持体49は、幅方向に横長の支持板55、この支持板55の幅方向両端部に取り付けられた一対の端板56、および支持板55の幅方向中間部に取り付けられた複数の中間支持部57を備えている。支持板55は、幅方向に直交する断面が、上面部58およびこの上面部58の両側から折曲された側面部59,60を有する断面略コ字形に形成されている。一対の端板56は、プーリユニット40のプーリ軸44の両端を支持しているとともに、プーリユニット40の軸方向の位置を規制している。各中間支持部57は、プーリユニット40の隣り合うベンドプーリ46間に介在され、プーリユニット40のプーリ軸44の軸方向中間部を支持している。
【0036】
軸支部51は、支持体49の上面で幅方向中央に配設されている。軸支部51は、ベアリング62、このベアリング62を保持して支持体49の上面に取り付けられるベアリングホルダ63、および支持体49の下面側からベアリング62を通じて取付体52に固着される例えばねじ等の軸部材64を備えている。ベアリング62は、例えば、外輪と内輪とを複数のボールを介して互いに回転可能に設けられたボールベアリングである。その外輪がベアリングホルダ63によって支持体49に固定され、内輪が軸部材64によって取付体52に固定されている。そして、軸支部51は、ベアリング62および軸部材64の中心部を通る回動中心軸線50を中心として支持体49およびプーリユニット40を取付体52に対して回動可能に支持している。
【0037】
取付体52は、軸支部51が連結される連結部66、およびこの連結部66に対して斜めに折曲された取付部67を備えている。取付部67はコンベヤフレーム13の下面に取付部材68を介して取り付けられている。
【0038】
この取付体52を有する支持ユニット41によって支持されたプーリユニット40は、エンドプーリユニット26の下側でかつ搬送装置10の長手方向端部に位置するエンドプーリユニット26よりも搬送装置10の内側位置に配設されている。このプーリユニット40のテーパプーリ45およびベンドプーリ46に、搬送ベルト11のリターン領域11bが巻き掛けられている。そして、プーリユニット40は、エンドプーリユニット26に対する搬送ベルト11の巻き付き角度を増やす方向に、搬送ベルト11の内側からテンションを付与している。また、支持ユニット41の回動中心軸線50は、エンドプーリユニット26の軸方向(幅方向)に対して直交しかつ上下方向に対して傾斜されている。この回動中心軸線50の傾斜は、回動中心軸線50の上側が搬送装置10の長手方向中央側に向けて傾斜するように構成されている。本実施の形態では、プーリユニット40により、プーリユニット40からエンドプーリユニット26側のリターン領域11bと、プーリユニット40からエンドプーリユニット26とは反対側(駆動ユニット15のガイドプーリ34側)のリターン領域11bとのなす角度が所定角度α(例えば90°~170°程度)となるように、搬送ベルト11のリターン領域11bを屈曲させている。そして、支持ユニット41の回動中心軸線50は、所定角度αの二等分の角度α/2に一致するように傾斜されている。
【0039】
カウンタウエイト53は、軸支部51(回動中心軸線50)よりも下側で支持体49に取り付けられ、支持体49に均等の荷重を付与している。本実施の形態では、回動中心軸線50の傾斜によって支持体49の側面部60が略鉛直状となり、この側面部60にカウンタウエイト53が取り付けられている。なお、カウンタウエイト53は、1つの一体形で、幅寸法が支持体49の幅寸法よりも短く、支持体49の幅方向中央部に取り付けられている。そして、軸支部51よりも下側で回動中心軸線50を挟んで支持体49の幅方向両側に均等の荷重を付与するカウンタウエイト53により、回動中心軸線50を中心として支持体49とともにプーリユニット40が水平状態を保つように作用する。なお、カウンタウエイト53は、1つの一体形に限らず、例えば2つに分割して支持体49の左右端部側にそれぞれ取り付けてもよく、形状は適宜変更可能である。
【0040】
また、蛇行防止装置16は、回動中心軸線50を中心としたプーリユニット40の回動範囲を規制するための一対の回動規制ユニット71を備えている。各回動規制ユニット71は、コンベヤフレーム13に図示しない取付部材を介して取り付けられる断面略L字形の取付金具72、この取付金具72に螺着されたねじ73、およびこのねじ73に螺合されて取付金具72にねじ73を固定するナット74を備えている。
【0041】
各回動規制ユニット71のねじ73の先端が、支持体49の幅方向両側(カウンタウェイト53の両側)で側面部60に対向されている。そして、回動中心軸線50を中心として回動した支持体49がねじ73の先端側に当接することにより、支持体49とともにプーリユニット40の回動を規制する。取付金具72からのねじ73の先端側の突出量を調整することにより、プーリユニット40の回動範囲を任意に調整することが可能となっている。
【0042】
次に、第1の実施の形態の搬送装置10の作用等を説明する。
【0043】
図1において、搬送ベルト11の第1搬送方向F1への回転時には、搬送ベルト11の搬送面12に載せた搬送物を第1搬送方向F1へ搬送する。この場合、搬送装置10の第1搬送方向F1の端部側をヘッドHと呼び、搬送装置10の第1搬送方向F1に対して反対側の端部をテールTと呼ぶ。
【0044】
図6(a)(b)には、搬送ベルト11が蛇行せずに回転する場合を示す。図6(a)はヘッドH側の蛇行防止装置16の斜視図を示し、図6(b)はテールT側の蛇行防止装置16の斜視図を示す。
【0045】
搬送ベルト11に蛇行が生じていない場合、蛇行防止装置16では、搬送ベルト11がプーリユニット40の軸方向の中央に巻き掛けられた状態で回転し、プーリユニット40の両端のテーパプーリ45に巻き掛かる搬送ベルト11の量(幅)が略均等となり、プーリユニット40の両端側での搬送ベルト11との接触抵抗が略均等となる。そのため、プーリユニット40は、エンドプーリユニット26と平行な水平状態で回転して搬送ベルト11を案内する。
【0046】
また、プーリユニット40を支持する支持体49にカウンタウエイト53が取り付けられているため、このカウンタウエイト53の作用によってプーリユニット40が水平状態を保つように付勢しており、回動中心軸線50を中心として回動可能とするプーリユニット40がふらつくのを抑制し、プーリユニット40の姿勢を安定させることができる。
【0047】
また、プーリユニット40は、プーリ軸44の軸方向に複数に分割されているとともにプーリ軸44に対してそれぞれが独立して回転可能とする複数のベンドプーリ46を用いているため、各ベンドプーリ46が搬送ベルト11と線で接触することになって、搬送ベルト11のベルト幅方向での周速差に応じて各ベンドプーリ46が独立して回転する。そのため、搬送ベルト11のベルト幅方向での周長差が多少あっても、その周長差に伴う搬送ベルト11のベルト幅方向での周速差を各ベンドプーリ46で吸収でき、搬送ベルト11に蛇行が生じるのを抑制することができる。
【0048】
そして、搬送ベルト11がベルト幅方向のいずれかに片寄るように蛇行すると、蛇行防止装置16によって搬送ベルト11をベルト幅方向の中央に戻すように搬送ベルト11の蛇行を修正する。
【0049】
搬送ベルト11が蛇行する原因としては、搬送ベルト11のベルト幅方向における周長差の精度の影響や、搬送装置10の設置不良による影響等がある。搬送ベルト11は、帯状の平ベルトの両端を結合して無端状に形成しているが、この結合の精度にばらつきがあると、ベルト幅方向で周長差が生じる。このベルト幅方向で周長差のある搬送ベルト11が回転すると、周長差=周速差となって、ベルト幅方向で周速差が生じることになり、搬送ベルト11に蛇行が生じる。また、搬送装置10の水平レベルが十分に確保されていないような設置不良で、コンベヤフレーム13がねじれた状態に設置された場合、このコンベヤフレーム13の端部に取り付けられているエンドプーリユニット26の軸方向に傾きが生じるため、このエンドプーリユニット26に巻き掛けられて回転する搬送ベルト11がエンドプーリユニット26の傾きに応じて上昇移動または下降移動することで、搬送ベルト11に蛇行が生じる。
【0050】
そして、図7(a)(b)(c)には、搬送ベルト11が第1搬送方向F1から見てベルト幅方向左側に蛇行して回転する場合を示す。図7(a)は搬送装置10の平面図を示し、(b)はヘッドH側の蛇行防止装置16の斜視図を示し、(c)はテールT側の蛇行防止装置16の斜視図を示す。なお、図中、搬送ベルト11は、実線で示す位置が蛇行した状態であり、2点鎖線で示す位置が蛇行していない状態である。また、搬送ベルト11が蛇行する第1搬送方向F1から見てベルト幅方向左側をベルト蛇行側、このベルト蛇行側に対して反対側となるベルト幅方向右側を反ベルト蛇行側という。
【0051】
図7(a)(b)に示すように、搬送装置10のヘッドH側において、搬送ベルト11が第1搬送方向F1から見てベルト幅方向左側(ベルト蛇行側)に蛇行すると、プーリユニット40のベルト蛇行側のテーパプーリ45に巻き掛かる搬送ベルト11の量(幅)が増加し、反ベルト蛇行側のテーパプーリ45に巻き掛かる搬送ベルト11の量(幅)が減少する。さらに、ベルト蛇行側のテーパプーリ45の小径側に搬送ベルト11の巻き掛かり領域が移行してテーパプーリ45と搬送ベルト11との接触抵抗が増加し、反ベルト蛇行側のテーパプーリ45の大径側に搬送ベルト11の巻き掛かり領域が移行してテーパプーリ45と搬送ベルト11との接触抵抗が減少する。
【0052】
そのため、搬送装置10のヘッドH側においては、プーリユニット40のベルト蛇行側の端部側に対して搬送ベルト11のリターン領域11bの進行方向に作用する力が、プーリユニット40の反ベルト蛇行側の端部側に対して搬送ベルト11のリターン領域11bの進行方向に作用する力よりも大きくなり、このプーリユニット40のベルト蛇行側の端部側と反ベルト蛇行側の端部側とに作用する力の差により、プーリユニット40が回動中心軸線50を中心として回動する。このプーリユニット40が回動する方向は、ベルト蛇行側に対して反対の反ベルト蛇行側に搬送ベルト11を案内する方向となる。このプーリユニット40の回動は、カウンタウエイト53による付勢に抗してなされる。
【0053】
このプーリユニット40が回動中心軸線50を中心として回動する際、仮に、軸方向に1本もののベンドプーリ46であった場合には、ベンドプーリ46の軸方向の広い範囲が搬送ベルト11と面で接触することになるため、回動中心軸線50を中心としたベンドプーリ46の回動抵抗が大きく、搬送ベルト11に対してプーリユニット40が回動しにくい。また、ベンドプーリ46が軸方向に複数のプーリに分割されているものの、各プーリが一体に回転する場合も、各プーリと搬送ベルト11との回動抵抗が大きく、搬送ベルト11に対してプーリユニット40が回動しにくい。しかも、各プーリの回転速度が全て同じであるため、部分的に搬送ベルト11の回転速度に対応しない速度で回転するプーリが出てきてしまい、蛇行調整が不安定になることがある。
【0054】
本実施の形態のプーリユニット40では、プーリ軸44の軸方向に複数に分割されているとともにプーリ軸44に対してそれぞれが独立して回転可能とする複数のベンドプーリ46を用いているため、各ベンドプーリ46が搬送ベルト11と線で接触することになって、搬送ベルト11のベルト幅方向での周速差に応じて各ベンドプーリ46が独立して回転することができるようになり、回動中心軸線50を中心としたベンドプーリ46の回動抵抗が小さく、搬送ベルト11に対してプーリユニット40が回動しやすい。
【0055】
そのため、搬送ベルト11の蛇行が生じると、搬送装置10のヘッドH側において、ベルト蛇行側に対して反対の反ベルト蛇行側に搬送ベルト11を案内するように、プーリユニット40が確実に回動する。
【0056】
また、プーリユニット40が回動中心軸線50を中心として回動することにより、このプーリユニット40を支持する支持体49が回動規制ユニット71のねじ73に当接し、プーリユニット40の過度な回動が規制される。
【0057】
そして、図7(a)(b)に示すように、回動中心軸線50を中心として回動したプーリユニット40は、平面方向から見て、プーリユニット40がベルト蛇行側に対して反対の反ベルト蛇行側に搬送ベルト11を案内する向きとなり、さらに、水平方向から見て、プーリユニット40のベルト蛇行側の端部側が下降し、反ベルト蛇行側の端部側が上昇する。このように、プーリユニット40がベルト蛇行側に対して反対の反ベルト蛇行側に搬送ベルト11を案内する向きとなることにより、搬送ベルト11にはベルト蛇行側に対して反対の反ベルト蛇行側へ向けた力h1が作用し、さらに、プーリユニット40のベルト蛇行側の端部側が下降し、反ベルト蛇行側の端部側が上昇することにより、搬送ベルト11にはベルト蛇行側に対して反対の反ベルト蛇行側へ向けた力h2が作用する。これら力h1,h2により、搬送ベルト11にはベルト蛇行側に対して反対の反ベルト蛇行側へ向けたベルト幅方向の力h3の成分が作用し、搬送ベルト11の蛇行を修正する。
【0058】
一方、図7(a)(c)に示すように、搬送装置10のテールT側において、搬送ベルト11が第1搬送方向F1から見てベルト幅方向左側(ベルト蛇行側)に蛇行すると、プーリユニット40のベルト蛇行側のテーパプーリ45に巻き掛かる搬送ベルト11の量(幅)が増加し、反ベルト蛇行側のテーパプーリ45に巻き掛かる搬送ベルト11の量(幅)が減少する。さらに、ベルト蛇行側のテーパプーリ45の小径側に搬送ベルト11の巻き掛かり領域が移行してテーパプーリ45と搬送ベルト11との接触抵抗が増加し、反ベルト蛇行側のテーパプーリ45の大径側に搬送ベルト11の巻き掛かり領域が移行してテーパプーリ45と搬送ベルト11との接触抵抗が減少する。
【0059】
そのため、搬送装置10のテールT側においては、プーリユニット40のベルト蛇行側の端部側に対して搬送ベルト11のリターン領域11bの進行方向に作用する力が、プーリユニット40の反ベルト蛇行側の端部側に対して搬送ベルト11のリターン領域11bの進行方向に作用する力よりも大きくなり、このプーリユニット40のベルト蛇行側の端部側と反ベルト蛇行側の端部側とに作用する力の差により、プーリユニット40が回動中心軸線50を中心として回動する。このプーリユニット40が回動する方向は、ベルト蛇行側に対して反対の反ベルト蛇行側に搬送ベルト11を案内する方向となる。このプーリユニット40の回動は、カウンタウエイト53による付勢に抗してなされる。
【0060】
このときにも、プーリユニット40では、プーリ軸44の軸方向に複数に分割されているとともにプーリ軸44に対してそれぞれが独立して回転可能とする複数のベンドプーリ46を用いているため、各ベンドプーリ46が搬送ベルト11と線で接触することになって、搬送ベルト11のベルト幅方向での周速差に応じて各ベンドプーリ46が独立して回転することができるようになり、回動中心軸線50を中心としたベンドプーリ46の回動抵抗が小さく、搬送ベルト11に対してプーリユニット40が回動しやすい。そのため、搬送ベルト11の蛇行が生じると、搬送装置10のテールT側において、ベルト蛇行側に対して反対の反ベルト蛇行側に搬送ベルト11を案内するように、プーリユニット40が確実に回動する。
【0061】
また、プーリユニット40が回動中心軸線50を中心として回動することにより、このプーリユニット40を支持する支持体49が回動規制ユニット71のねじ73に当接し、プーリユニット40の過度な回動が規制される。
【0062】
そして、図7(a)(c)に示すように、回動中心軸線50を中心として回動したプーリユニット40は、平面方向から見て、プーリユニット40がベルト蛇行側に対して反対の反ベルト蛇行側に搬送ベルト11を案内する向きとなり、さらに、水平方向から見て、プーリユニット40のベルト蛇行の端部側が上昇し、反ベルト蛇行側の端部側が下降する。このように、プーリユニット40がベルト蛇行側に対して反対の反ベルト蛇行側に搬送ベルト11を案内する向きとなることにより、搬送ベルト11にはベルト蛇行側に対して反対の反ベルト蛇行側へ向けた力t1が作用し、さらに、プーリユニット40のベルト蛇行側の端部側が上昇し、反ベルト蛇行側の端部側が下降することにより、搬送ベルト11にはベルト蛇行側に対して反対の反ベルト蛇行側へ向けた力t2が作用する。これら力t1,t2により、搬送ベルト11にはベルト蛇行側に対して反対の反ベルト蛇行側へ向けたベルト幅方向の力t3の成分が作用し、搬送ベルト11の蛇行を修正する。
【0063】
したがって、搬送装置10のヘッドH側の蛇行防止装置16およびテールT側の蛇行防止装置16により、搬送ベルト11の蛇行を修正する。
【0064】
なお、エンドプーリユニット26についても、プーリ軸27の軸方向に複数に分割されているとともにプーリ軸27に対してそれぞれが独立して回転可能とする複数のエンドプーリ28を用いているため、搬送ベルト11のベルト幅方向での周速差に応じて各エンドプーリ28が独立して回転することができ、蛇行防止装置16による搬送ベルト11の蛇行の修正をしやすくできる。
【0065】
そして、搬送ベルト11の蛇行が修正されていくと、プーリユニット40の両端のテーパプーリ45に巻き掛かる搬送ベルト11の量(幅)の差が小さくなり、つまり、プーリユニット40の両端側での搬送ベルト11との接触抵抗の差が小さくなるため、プーリユニット40は、ベルト蛇行前の位置に復帰するように、回動中心軸線50を中心として回動する。
【0066】
搬送ベルト11の蛇行が修正されれば、プーリユニット40の両端のテーパプーリ45に巻き掛かる搬送ベルト11の量(幅)が略均等となり、プーリユニット40の両端側での搬送ベルト11との接触抵抗が略均等となる。そのため、プーリユニット40は、エンドプーリユニット26と平行な水平状態で回転して搬送ベルト11を案内する。
【0067】
また、図8(a)(b)(c)には、搬送ベルト11が第1搬送方向F1から見てベルト幅方向右側に蛇行して回転する場合を示す。図8(a)は搬送装置10の平面図を示し、(b)はヘッドH側の蛇行防止装置16の斜視図を示し、(c)はテールT側の蛇行防止装置16の斜視図を示す。なお、図中、搬送ベルト11は、実線で示す位置が蛇行した状態であり、2点鎖線で示す位置が蛇行していない状態である。また、搬送ベルト11が蛇行する第1搬送方向F1から見てベルト幅方向右側がベルト蛇行側、このベルト蛇行側に対して反対側となるベルト幅方向左側が反ベルト蛇行側となる。
【0068】
この場合にも、上述した図7に示す搬送ベルト11が第1搬送方向F1から見てベルト幅方向左側に蛇行して回転した場合と同様に、搬送装置10のヘッドH側の蛇行防止装置16およびテールT側の蛇行防止装置16により、搬送ベルト11をベルト蛇行側に対して反対の反ベルト蛇行側に案内し、搬送ベルト11の蛇行を修正する。
【0069】
なお、図8(b)に示すように、搬送ベルト11の蛇行に対するヘッドH側のプーリユニット40の回動中心軸線50を中心とした回動方向は、上述した図7(b)に示す搬送ベルト11が第1搬送方向F1から見てベルト幅方向左側に蛇行して回転した場合とは逆方向となる。同様に、図8(c)に示すように、搬送ベルト11の蛇行に対するテールT側のプーリユニット40の回動中心軸線50を中心とした回動方向は、上述した図7(c)に示す搬送ベルト11が第1搬送方向F1から見てベルト幅方向左側に蛇行して回転した場合とは逆方向となる。
【0070】
また、搬送ベルト11の第2搬送方向F2への回転時には、搬送ベルト11の搬送面12に載せた搬送物を第2搬送方向F2へ搬送する。この場合、搬送装置10の第2搬送方向F2の端部側がヘッドHとなり、搬送装置10の第2搬送方向F2に対して反対側の端部がテールTとなる。
【0071】
この場合、搬送ベルト11の蛇行に対するヘッドH側およびテールT側のプーリユニット40の回動中心軸線50を中心とした回動方向は、上述した図7および図8に示す搬送ベルト11が第1搬送方向F1に回転する場合とは逆方向となる。
【0072】
そして、搬送ベルト11が第2搬送方向F2へ回転する場合にも、ヘッドH側およびテールT側の蛇行防止装置16によって、搬送ベルト11をベルト蛇行側に対して反対の反ベルト蛇行側に案内し、搬送ベルト11の蛇行を修正する。
【0073】
また、図9には、搬送装置10を設置状態の例を示す。この例では、例えば凹凸状の設置面、または傾斜状の設置面に対して水平状態が確保されずに搬送装置10を設置された場合に、コンベヤフレーム13にねじれが生じた状態を示す。コンベヤフレーム13にねじれが生じることにより、搬送面12のベルト幅方向において、ねじれ角度θで水平面に対して傾斜する。
【0074】
図9に示す搬送装置10の端部では、コンベヤフレーム13の右側の高さが高く、左側の高さが低い状態にある。それに伴って、エンドプーリユニット26の右端側の高さが高く、左端側の高さが低く、エンドプーリユニット26が右上がり(左下がり)にねじれ角度θで水平面に対して傾斜している。
【0075】
図9に示す搬送装置10の端部がヘッドH側である場合、搬送ベルト11が回転すると、蛇行防止装置16がなければ、搬送ベルト11は高い側に移動するように蛇行しやすい。
【0076】
図9に示す搬送装置10の端部がテールT側である場合、搬送ベルト11が回転すると、蛇行防止装置16がなければ、搬送ベルト11は低い側に移動するように蛇行しやすい。
【0077】
蛇行防止装置16は、プーリユニット40を支持する支持体49にカウンタウエイト53を取り付けているため、コンベヤフレーム13にねじれが生じてエンドプーリユニット26が傾斜するような場合でも、カウンタウエイト53の作用によってプーリユニット40が水平状態を保つように付勢される。つまり、カウンタウエイト53の作用によって、プーリユニット40が水平状態を保つように回動中心軸線50を中心として回動する。
【0078】
そして、図9に示す搬送装置10の端部がヘッドH側である場合、蛇行防止装置16は、図7(a)(b)に示すヘッドH側の蛇行防止装置16と同様の状態となり、エンドプーリユニット26の高い側に蛇行しようとする搬送ベルト11をプーリユニット40によってそのベルト蛇行側に対して反対の反ベルト蛇行側に案内し、搬送ベルト11の蛇行を防止する。
【0079】
また、図9に示す搬送装置10の端部がテールT側である場合、蛇行防止装置16は、図7(a)(c)に示すテールT側の蛇行防止装置16と同様の状態となり、エンドプーリユニット26の低い側に蛇行しようとする搬送ベルト11をプーリユニット40によってそのベルト蛇行側に対して反対の反ベルト蛇行側に案内し、搬送ベルト11の蛇行を防止する。
【0080】
また、カウンタウエイト53の作用によってプーリユニット40が水平状態を保つように付勢しているため、回動中心軸線50を中心として回動可能とするプーリユニット40がふらつくのを抑制し、プーリユニット40の姿勢を安定させることができる。
【0081】
そして、本実施の形態の搬送装置10によれば、蛇行防止装置16のプーリユニット40が、プーリ軸44の軸方向に複数に分割されているとともにプーリ軸44に対してそれぞれが独立して回転可能とする複数のベンドプーリ46を有しているため、各ベンドプーリ46が搬送ベルト11と線で接触することになって、搬送ベルト11のベルト幅方向での周速差に応じて各ベンドプーリ46が独立して回転することができるようになり、回動中心軸線50を中心としたベンドプーリ46の回動抵抗が小さく、ベルト蛇行側に対して反対側に搬送ベルト11を案内するようにプーリユニット40が回動しやすく、搬送ベルト11の蛇行を効果的に防止できる。
【0082】
また、蛇行防止装置16がエンドプーリ28(エンドプーリユニット26)の下方に配設され、プーリユニット40のテーパプーリ45およびベンドプーリ46が搬送ベルト11のリターン領域11bに接触され、回動中心軸線50がエンドプーリ28(エンドプーリユニット26)の幅方向に対して直交しかつ上下方向に対して傾斜されているため、搬送ベルト11の蛇行に応じて、プーリユニット40が搬送ベルト11のリターン領域11bの進行方向および上下方向の2方向に回動するようになり、このプーリユニット40によってベルト蛇行側に対して反対の反ベルト蛇行側に搬送ベルト11を案内する効果を向上させることができる。
【0083】
しかも、プーリユニット40は、搬送ベルト11のリターン領域11bを、プーリユニット40からエンドプーリ28側のリターン領域11bとプーリユニット40からエンドプーリ28とは反対側のリターン領域11bとのなす角度が所定角度αとなるように屈曲させ、そして、プーリユニット40の回動中心軸線50は、所定角度αの二等分の角度に傾斜されているため、搬送ベルト11の蛇行に応じてプーリユニット40が回動する際、搬送ベルト11のリターン領域11bの進行方向および上下方向の2方向への回動のバランスがよく、ベルト蛇行側に対して反対の反ベルト蛇行側に搬送ベルト11を案内する効果をより向上させることができる。
【0084】
また、プーリユニット40のテーパプーリ45およびベンドプーリ46は、エンドプーリ28よりも大径にすると、プーリユニット40によりベルト蛇行側に対して反対の反ベルト蛇行側に搬送ベルト11を案内する効果を向上させることができる。この場合、さらに、エンドプーリ28がプーリユニット40のテーパプーリ45およびベンドプーリ46よりも小径であるため、搬送装置10に連続する例えば他の搬送装置等とを接近して配置でき、この搬送装置10と他の搬送装置等との隙間を小さくし、搬送物の乗り移りをスムーズにできる。
【0085】
また、蛇行防止装置16は、搬送装置10の一対のエンドプーリ28(エンドプーリユニット26)の下方にそれぞれ配設されているため、搬送ベルト11の正転および逆転(第1および第2搬送方向F1,F2)のいずれの回転でも蛇行防止効果が得られる。
【0086】
また、支持ユニット41は、軸支部51よりも下側で支持体49に取り付けられ、軸支部51を中心とした支持体49の幅方向両側に均等の荷重を付与するカウンタウエイト53を有しているため、コンベヤフレーム13にねじれが生じているような場合でも、カウンタウエイト53の作用によってプーリユニット40が水平状態を保つように付勢し、搬送ベルト11の蛇行を防止できる。しかも、カウンタウエイト53の作用によってプーリユニット40が水平状態を保つように付勢しているため、回動中心軸線50を中心として回動可能とするプーリユニット40がふらつくのを抑制し、プーリユニット40の姿勢を安定させることができる。
【0087】
次に、図10および図11に、第2の実施の形態を示す。
【0088】
回動規制ユニット71の構成が、第1の実施の形態と異なっている。回動規制ユニット71は、支持体49の上面で幅方向中心(回動中心軸線50)から均等な位置から突出された一対のピン80を有している。
【0089】
そして、プーリユニット40とともに支持体49が回動中心軸線50を中心として回動した際に、その回動方向のピン80が取付体52に当接し、プーリユニット40の回動範囲が規制される。
【0090】
ピン80が当接する取付体52の位置つまり連結部66の縁部には、ピン80が進入する窪み部81を設けてもよい。この窪み部81の深さ(直径)を調整することにより、プーリユニット40の回動範囲を調整することができる。
【0091】
なお、本実施の形態のように、搬送ベルト11の正逆回転可能とする搬送装置10の場合、2つの蛇行防止装置16を用い、これら2つの蛇行防止装置16を搬送装置10の両端部側にそれぞれ配設することが好ましいが、搬送装置10の少なくとも一端側に1つの蛇行防止装置16が配設されていればよく、あるいは、搬送ベルト11のリターン領域11bに対応した位置に1つの蛇行防止装置16が配設されていればよい。
【0092】
また、搬送ベルト11が一方向のみに回転する搬送装置10にも、蛇行防止装置16を適用できる。この場合、搬送装置10の両端側に蛇行防止装置16を配設してもよいし、搬送装置10のいずれか一端側のみに蛇行防止装置16を配設してもよい。搬送装置10の一端側のみに蛇行防止装置16を配設する場合には、搬送装置10のテールT側に蛇行防止装置16を配設することにより、搬送ベルト11の搬送面領域11aでの蛇行を少なくできる。
【符号の説明】
【0093】
10 搬送装置
11 搬送ベルト
11a 搬送面領域
11b リターン領域
15 駆動部である駆動ユニット
16 蛇行防止装置
28 エンドプーリ
40 プーリユニット
41 支持ユニット
45 テーパプーリ
46 ベンドプーリ
71 回動規制ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11