(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】電動工具、および、電動工具のキックバック現象を認識するための方法
(51)【国際特許分類】
B23Q 17/00 20060101AFI20220401BHJP
B23Q 11/06 20060101ALI20220401BHJP
B23C 9/00 20060101ALI20220401BHJP
B23D 47/00 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
B23Q17/00 A
B23Q11/06
B23C9/00 Z
B23D47/00 Z
(21)【出願番号】P 2020503708
(86)(22)【出願日】2017-07-24
(86)【国際出願番号】 EP2017068648
(87)【国際公開番号】W WO2019020164
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2020-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】518407205
【氏名又は名称】フェストール・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】シュミット・マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ルッシュ・マルク
【審査官】中里 翔平
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-101920(JP,A)
【文献】特表2008-516789(JP,A)
【文献】特表2017-509493(JP,A)
【文献】特開2006-224208(JP,A)
【文献】特開平01-177911(JP,A)
【文献】特表2003-527255(JP,A)
【文献】特表2010-503096(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0065225(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0166323(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 17/00-17/24
B23Q 11/06
B23C 9/00
B23D 45/00-47/12
B25F 5/00
B27B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋸刃またはミーリングカッターとして形成された回転可能な工具(1)を有する、電動工具(10、20、30)であって、この電動工具が、
機械的
なベクトル量(3)の検出のためのセンサー装置(2)を備え、
その際、この機械的
なベクトル量(3)が、力、加速度、速度、偏位、変形、及び/または、機械的な応力を含み、および、この機械的
なベクトル量(3)が、前記工具(1)から発する力に依存し、
並びに、前記電動工具が、
前記センサー装置(2)と情報伝達的に連結された制御装置(4)を備え、
この制御装置が、検出された前記機械的
なベクトル量(3)に基づいて、
キックバック現象を認識するように形成されており、
この制御装置(4)が、機能特定情報に基づいて、選択的に、第1の認識機能、または、この第1の認識機能と異なる第2の認識機能を特定するように、および、測定された前記機械的
なベクトル量に基づいての、前記
キックバック現象の認識を、特定された前記認識機能の使用のもとで実施するように
形成されており、
前記センサー装置(2)が、前記機械的なベクトル量(3)を、少なくとも2次元的なベクトルとして検出するように形成されており、および、
この目的のために、このセンサー装置(2)が、前記機械的なベクトル量(3)の基礎である機械的な量を、異なる少なくとも2つの空間方向において測定するように形成されている、
ことを特徴とする電動工具(10;20;30)。
【請求項2】
両方の前記認識機能は、これら認識機能の感応性において相違していることを特徴とする請求項1に記載の電動工具(10;20;30)。
【請求項3】
前記第1の認識機能は、第1の閾値との、検出された前記機械的
なベクトル量(3)の比較を含んでおり、および、
前記第2の認識機能が、この第1の閾値と異なる第2の閾値との、検出された前記機械的
なベクトル量(3)の比較を含んでいる、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電動工具(10;20;30)。
【請求項4】
前記第1の認識機能が、第1の方向範囲(14)との、前記機械的なベクトル量
(3)の方向の比較を含んでおり、および、前記第2の認識機能が、前記第1の方向範囲(14)と異なる第2の方向範囲(15)との、前記機械的なベクトル量
(3)の方向の比較を含んでいる、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の電動工具(10;20;30)。
【請求項5】
前記第1の認識機能が、第1の
方向変化閾値との、
前記機械的なベクトル量
(3)の方向変化の、特に角速度及び/または変化角度の、比較を含んでおり、および、
前記第2の認識機能が、前記第1の
方向変化閾値と異なる第2の
方向変化閾値との、前記方向変化の比較を含んでいる、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の電動工具(10;20;30)。
【請求項6】
前記センサー装置(2)は、前記機械的なベクトル
量(3)の検出のための測定軸受(28)を備えていることを特徴とする請求項4または5に記載の電動工具(20)。
【請求項7】
前記電動工具(10、20、30)は、ユーザー入力装置(5)を備えており、このユーザー入力装置が、使用者による前記機能特定情報の入力のために形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の電動工具(10;20;30)。
【請求項8】
前記電動工具(10;30)は、外部の装置(38)との通信のための通信インターフェース(35)を備えており、
前記制御装置(4)が、前記機能特定情報を、この通信インターフェース(35)を介して受信するように形成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の電動工具(10;30)。
【請求項9】
前記電動工具(10;30)は、ユーザー認識装置(36)を備えており、
前記制御装置(4)が、前記機能特定情報を、このユーザー認識装置(36)を用いて行われた前記電動工具(10;30)の使用者の認識に基づいて提供するように形成されている、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一つに記載の電動工具(10;30)。
【請求項10】
前記センサー装置(2)は、
前記機械的なベクトル量(3)の検出のための第1のセンサーユニット(33)と、第2のセンサーユニット(34)とを備えており、
この第2のセンサーユニット(34)が、
作動情報及び/または周囲環境情報、特に前記工具(1)の特性、この工具(1)によって加工される加工材料(11)の特性、温度、及び/または、空気湿度を検出するように形成されており、
前記制御装置(4)が、前記機能特定情報を、この作動情報及び/または周囲環境情報に基づいて提供するように形成されている、
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか一つ
に記載の電動工具(10;30)。
【請求項11】
前記制御装置(4)は、少なくとも1つの認識機能の校正を実施するように形成されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか一つに記載の電動工具(10;20;30)。
【請求項12】
前記電動工具(10;20;30)は、前記工具(1)の駆動のための駆動装置(7)を備えており、および、
前記工具(1)の駆動を変化するため、特に前記工具(1)を制動するために、前記制御装置(4)が、認識された前記
キックバック現象に対する応答において、この駆動装置(7)を制御するように形成されている、
ことを特徴とする請求項1から11のいずれか一つに記載の電動工具(10;30)。
【請求項13】
前記電動工具(10;30)は、位置決め装置(29)を備えており、この位置決め装置が、
前記工具(1)を、選択的に作動位置または安全保護位置に位置決めするように形成されており、および、
前記制御装置(4)が、認識された前記
キックバック現象に対する応答において、この位置決め装置(29)を制御するように形成されており、従って、前記工具(1)が、安全保護位置に位置決めされる、
ことを特徴とする請求項1から12のいずれか一つに記載の電動工具(10;30)。
【請求項14】
請求項8による電動工具(10)、並びに、外部の装置(38)、特にサーバー、を備えるシステムであって、
前記センサー装置(2)が、前記機械的なベクトル量(3)の検出のための第1のセンサーユニット(33)を備えており、且つ、作動情報及び/または周囲環境情報の検出のための第2のセンサーユニット(34)を備えており、および、
前記電動工具(10)が、前記外部の装置(38)に
、前記作動情報及び/または周囲環境
情報を伝送するように形成されており、および、
前記外部の装置(38)が、この作動情報及び/または周囲環境
情報に基づいて、前記機能特定情報を提供するように、および、前記電動工具(10)に伝送するように形成されて
おり、
及び/または、
前記電動工具(10)が、ユーザー認識情報の検出のためのユーザー認識装置(36)を備えており、および、
前記電動工具(10)が、前記外部の装置(38)にユーザー認識情報を伝送するように形成されており、および、
前記外部の装置(38)が、このユーザー認識情報に基づいて、前記機能特定情報を提供するように、および、前記電動工具(10)に伝送するように形成されている、
ことを特徴とするシステム。
【請求項15】
鋸刃またはミーリングカッターとして形成された回転可能な工具(1)を有する
、請求項1から13のいずれか一つによる電動工具(10、20、30)の
キックバック現象の認識のための方法であって、
この方法が、以下のステップ:即ち、
機械的
なベクトル量(3)の検出のステップ(S1)であって、その際、この機械的
なベクトル量(3)が、力、加速度、速度、偏位、変形、及び/または、機械的な応力を含み、且つ、この機械的
なベクトル量(3)が工具(1)から発する力に依存するステップ(S1)と、
機能特定情報に基づいての、第1の認識機能とこの第1の認識機能と異なる第2の認識機能とからの、使用されるべき1つの認識機能の特定のステップ(S2)と、
特定された認識機能の使用のもとでの、検出された機械的
なベクトル量(3)に基づいての
キックバック現象の認識のステップ(S3)と、
を備えていることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋸刃またはミーリングカッターとして形成された回転可能な工具を有する、電動工具に関し、この電動工具が、
機械的なベクトル量の検出のためのセンサー装置を備え、
その際、この機械的なベクトル量が、力、加速度、速度、偏位、変形、及び/または、機械的な応力を含み、および、この機械的なベクトル量が、前記工具から発する力に依存し、
並びに、前記電動工具が、
前記センサー装置と情報伝達的に連結された制御装置を備え、
この制御装置が、検出された前記機械的なベクトル量に基づいて、キックバック現象を認識するように形成されている。
【背景技術】
【0002】
概念「キックバック」でもって、特に1つの現象が理解され、この現象において、電動工具による加工材料の加工の間じゅう、突然の、および、予期しない力がこの電動工具と加工材料との間で発生し、この力によって、この電動工具または加工材料が、その場合に加速され、且つ、移動の状態に陥らせられる。
テーブル丸鋸において、キックバックは、通常、使用者の方向への加工材料の予期しない加速を誘起する。ハンド丸鋸において、キックバックの際に、工具の予期され得ない移動という事態となる可能性がある。キックバックは、使用者の負傷を誘起する可能性があり、且つ、従って、作動信頼性の阻害を意味する。
キックバック現象は、特に、加工材料内への突然の、過度に迅速な工具の進入の際、後進鋸切断の際、加工材料内における工具の締付けの際、所定の材料特性(例えば、不均質の木材、応力)の際、及び/または、先の丸くなった工具の際に発生する可能性がある。
【0003】
特許文献1は、キックバック検知システムを有するテーブル鋸を記載しており、このキックバック検知システムが、センサーを備えており、このセンサーが軸の偏位をスカラー量として検出するように形成されている。キックバックが存在するかどうかを確認するために、制御装置は、この検出された偏位をスカラー閾値と比較する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際出願公開第2014/105935号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、冒頭に記載された電動工具を、この電動工具の利用可能性が改善されるように修正することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1に従う電動工具によって解決される。
本発明に従い、制御装置は、機能特定情報に基づいて、選択的に、第1の認識機能、または、この第1の認識機能と異なる第2の認識機能を特定するように、および、測定された前記機械的なベクトル量に基づいての、前記キックバック現象の認識を、特定された前記認識機能の使用のもとで実施するように形成されており、
前記センサー装置が、前記機械的なベクトル量を、少なくとも2次元的なベクトルとして検出するように形成されており、および、
この目的のために、このセンサー装置が、前記機械的なベクトル量の基礎である機械的な量を、異なる少なくとも2つの空間方向において測定するように形成されている。
【発明の効果】
【0007】
制御装置は、それに応じて、キックバック現象を認識するために、異なる少なくとも2つの認識機能から1つの認識機能を特定することが可能な状態にある。この制御装置に、即ち異なる認識機能が提供され、これら認識機能をこの制御装置が使用可能である。
この制御装置は、これら認識機能の内の1つの認識機能を特定し、且つ、キックバック現象の認識を実施するために、この特定された認識機能を使用する。
【0008】
制御装置に、異なる認識機能が提供され、これら認識機能の内の1つの認識機能が、機能特定情報に基づいて特定されることによって、現在の作動状態及び/または周囲環境状態を考慮して、最適な認識機能が使用されることは、可能になり得る。
例えば、機能特定情報(および、これに伴って、使用されるべき認識機能)は、どの使用者がこの電動工具を利用するか、何が工具として使用されるか、及び/または、何が加工材料として加工されるべきかに基づいて提供され得る。
【0009】
現在の使用者が、例えば、特に未経験の使用者である場合、特に同様に弱いキックバックも制御装置によって認識されることを保証するために、特に敏感もしくは感応的な認識機能が特定され得る。特に熟練した使用者において、それとは反対に、特に不敏感的な認識機能を特定することは考慮に値し、従って、ただ特に強度なキックバックだけが認識され、且つ、加工の不必要な中断が回避される。
【0010】
互いに異なる少なくとも2つの認識機能からの、1つの認識機能の選択的な特定によって、従って、電動工具の利用可能性は改善され得る。
【0011】
合目的に、制御装置は、キックバック現象の認識のために、ただ1つの、-即ち、前もって特定された-認識機能だけを使用するように形成されている。このことは、この制御装置が、有利には、キックバック現象の認識のために、ただ第1の認識機能だけか、または、ただ第2の認識機能だけを使用するように形成されていることを意味する。
【0012】
有利な更なる構成は、従属請求項の対象である。
【0013】
本発明は、更に、1つのシステムに関し、このシステムが、前記で議論された電動工具、並びに、外部の装置、特にサーバー、を備えている。
電動工具は、外部の装置に、作動情報及び/または周囲環境情報、及び/または、ユーザー認識情報を伝送するように形成されている。外部の装置は、この作動情報及び/または周囲環境情報、及び/または、このユーザー認識情報に基づいて、機能特定情報を提供するように、および、この機能特定情報を電動工具に伝送するように形成されている。
【0014】
本発明は、更に、鋸刃またはミーリングカッターとして形成された回転可能な工具を有する電動工具の、キックバック現象の認識のための方法に関している。
この方法は、以下のステップ:即ち、
機械的な量の検出のステップであって、その際、この機械的な量が、力、加速度、速度、偏位、変形、及び/または、機械的な応力を含み、且つ、この機械的な量が工具から発する力に依存するステップと、
機能特定情報に基づいての、第1の認識機能とこの第1の認識機能と異なる第2の認識機能とからの、使用されるべき1つの認識機能の特定のステップと、
特定された認識機能の使用のもとでの、検出された機械的な量に基づいてのキックバック現象の認識のステップと、
を備えている。
【0015】
合目的に、この方法は、ここで説明された電動工具を用いて実施される。
【0016】
更に別の例示的な詳細、並びに、例示的な実施形態を、以下で、図との関連のもとで説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】機械的なベクトル量の方向に基づいての、
キックバック認識のイラストレーションのための図である。
【
図4】電動工具の、1つの駆動軸および2つの軸受の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、第1の実施形態に従う電気工具10を示している。
【0019】
この電動工具10は、例示的に鋸刃として形成された回転可能な工具1を備えている。選択的に、この工具1は、同様にミーリングカッターとして形成されていることも可能である。
この電動工具10は、機械的な量3の検出のためのセンサー装置2を備えている。この機械的な量3は、力、加速度、速度、偏位、変形、及び/または、機械的な応力を含んでいる。この機械的な量3は、工具1から発する力に依存する。
この電動工具10は、更に、センサー装置2と情報伝達的に連結された制御装置4を備えている。この制御装置4は、検出された機械的な量3に基づいて、キックバック現象を認識するように形成されている。
【0020】
制御装置4は、機能特定情報に基づいて、選択的に、第1の認識機能、または、この第1の認識機能と異なる第2の認識機能を特定するように形成されている。この制御装置4は、更に、測定された機械的な量に基づいての、キックバック現象の認識を、特定された認識機能の使用のもとで実施するように形成されている。
【0021】
制御装置4が、使用可能な複数の認識機能から、1つの認識機能を特定すること、および、この認識機能を、キックバック現象の認識のために使用することが可能な状態にあることによって、基本的に、現在の状態に関して、可能な限り適合された認識機能を使用すること、および、このようにして、電動工具10の利用可能性を改善することは可能になる。
【0022】
以下で、電動工具10の例示的な詳細、並びに、更に別の例示的な実施形態が説明される。
【0023】
電動工具10は、有利には、鋸、特にハンド丸鋸またはプランジソー(Tauchsaege)である。この電動工具10が、更に、同様にフラットダボフライス加工機(Flachduebelfraese)として形成されていることも可能である。工具1は、特に円形であり、且つ、作動状態において例示的に時計方向において回転する。
【0024】
例示的に、電動工具10は、ハウジング6を備えており、このハウジング内において、センサー装置2および制御装置4が配設されている。この制御装置4は、例えば、マイクロコントローラーとして形成されている。このハウジング6に、載置面9が設けられており、この載置面によって、電動工具10は、加工されるべき加工材料11の上に載置され得る。
【0025】
電動工具10は、駆動装置7を備えている。この駆動装置7は、例えば、電気モーターと伝動機構とを備えている。この駆動装置7は、有利には、制御装置4によって制御される。
電動工具10は、更に、駆動軸8を備えており、この駆動軸が、駆動装置7によって駆動され得る。工具1は、機械的に駆動軸8と連結されている。合目的に、この工具1は、駆動軸8に固定されている。
【0026】
図1内において示されているように、電動工具10は、加工材料11の加工の際に、典型的に、載置面9によってこの加工材料11の上で載置し、且つ、送り方向12において、加工材料11に対して相対的に移動される。例示的に、鋸刃として形成されている工具1の鋸の歯は、その際、下から上に加工材料11内へと鋸で切断する。
この位置関係において、工具1は、残りの電動工具10に対して相対的に、例示的に図示された機械的な量3の方向に、即ち傾斜して下方へと突き進む。鋸刃1から発する力は、特に、機械的な量3の方向に指向する。
【0027】
電動工具10は、更に担持構造21を備えており、この担持構造が、合目的にハウジング6内において配設されている。この担持構造21に、例えば、駆動軸8が軸受けされている。更に、この担持構造21が、駆動装置7のためのハウジングとして形成されていることは可能である。この担持構造21が、例えば、駆動装置ハウジング、特に伝動機構ハウジングを具現するか、または備えていることは可能である。
【0028】
例示的に、電動工具10は、更に、ユーザー入力装置5を備えている。例えば、電動工具10をスイッチオンおよびスイッチオフ、及び/または、構成、及び/または、校正するために、このユーザー入力装置5を用いて、使用者は、ユーザー入力を行うことが可能である。
【0029】
更に、電動工具10は、例示的に、通信インターフェース35を備えている。この通信インターフェース35は、外部の装置38、特に外部のサーバー及び/またはモバイル機器との通信のために利用される。この通信インターフェース35は、特に、無線式の及び/または有線式の通信のために形成されている。例えば、この通信インターフェース35は、イーサネット、WLAN、ブルートゥース、及び/または、NFCを介して通信するように形成されている。
【0030】
更に、電動工具10は、例示的に、ユーザー認識装置36を備えている。例えば制御装置4による使用者の認識を可能とするために、このユーザー認識装置36は、ユーザー認識情報、合目的に、使用者の特性、特に生体的な特性を検出するように形成されている。ユーザー認識装置36は、例えば、指紋スキャナー及び/または画像センサーを備えている。
【0031】
センサー装置2は、例示的に、2つのセンサーユニット33、34を備えている。既に説明された、機械的な量3の検出は、例示的に、第1のセンサーユニット33によって行われる。
図1内において、このセンサー装置2、もしくは、この第1のセンサーユニット33は、例示的に、駆動軸8と連結されており、且つ、駆動軸8の機械的な量3、-即ち、力、加速度、速度、偏位、変形、及び/または、機械的な応力-を検出するように形成されている。
合目的に、検出された機械的な量3は、ベクトル量である。有利には、センサー装置2は、機械的な量3を連続的に検出するように形成されており、従って、変化、特に機械的な量3の方向変化が検出され得る。
【0032】
センサー装置2は、有利には、それに加えて、作動情報及び/または周囲環境情報を検出するように形成されている。この目的のために、このセンサー装置2は、
図1内において、選択的に第2のセンサーユニット34を備えている。これに対して選択的または付加的に、同様に、作動情報及び/または周囲環境情報の検出のために、第1のセンサーユニット33を使用することも可能である。
【0033】
作動情報及び/または周囲環境情報は、例えば、工具1の特性、例えばこの工具1のタイプ及び/または摩耗状態である。
【0034】
例えば、センサー装置2は、第2のセンサーユニット34として、画像センサーを備えていることは可能であり、この画像センサーでもって、工具1の、特にこの工具1に附設されたマーキング、例えばタイプ記号の画像が撮影され得る。撮影された画像に基づいて、その場合に、制御装置4は、この工具1のタイプを確認可能である。
【0035】
工具1の摩耗状態の特定のために、制御装置4が、例えば機械的な量3を機械的なベクトル量として検出するように、および、この機械的なベクトル量の所定の方向及び/または方向変化の際にこの摩耗状態を推定するように形成されていることは可能である。
これに対して選択的または付加的に、制御装置4が、検出された機械的な量3を、より大きな時間間隔にわたって、もしくは、電動工具10の複数の使用にわたって繰り返し検出するように、および、これら検出の統計的な評価を行うように形成されていることは可能であり、この統計的な評価から、その場合に、例えば平均値の傾向もしくは進展または偏差に基づいて、摩耗状態が推定され得る。
【0036】
更に、作動情報及び/または周囲環境情報として、工具1によって加工されるべき加工材料11の特性が検出され得る。例えば、この加工材料11、特にこの加工材料11の上に附設されたマーキング37、例えばタイプ記号の画像が撮影され得る。この撮影された画像に基づいて、その場合に、制御装置4は、加工材料11のタイプを確認可能である。
【0037】
更に、検出された作動情報及び/または周囲環境情報が、温度及び/または空気湿度を含むことは可能である。センサー装置2が、例えば、第2のセンサーユニット34として温度センサー及び/または空気湿度センサーを備えることは可能である。
【0038】
示された例において、第2のセンサーユニット34とユーザー認識装置36とは、異なる2つのユニットである。これに対して選択的に、-特に、このセンサーユニット34と同様にユーザー認識装置36も、画像の撮影のために利用される場合-、このセンサーユニット34とユーザー認識装置36とが、同様に1つのおよび同じユニットであることも可能である。
【0039】
以下で、両方の認識機能、および、特にこれら認識機能の間の相違を詳細に説明する。
【0040】
最も簡単な場合には、これら認識機能は、それぞれに、それぞれの閾値との、制御装置4によって実施される機械的な量3の比較である。例えば、機械的な量3は、スカラーとして検出され、且つ、それぞれのスカラー閾値と比較される。
これに対して選択的または付加的に、機械的な量3は、同様にベクトル量としても検出され得、且つ、このベクトル量の分量が、それぞれの閾値と比較され得る。この閾値が超過された場合、制御装置4は、キックバック現象を推定する。
【0041】
それぞれの認識機能に、その際、合目的に、異なる閾値が対応する。例えば、第1の認識機能の閾値は、第2の認識機能の閾値よりも大きい。
【0042】
有利には、第2の認識機能は、第1の認識機能よりも感応的もしくは敏感である。このことは、第2の認識機能の使用の際に、第1の認識機能においてよりも、検出された機械的な量3のより大きな数値範囲が、キックバック現象の認識を誘起することを意味する。
【0043】
第2の認識機能は、従って、例えば、少ししか熟達していない、電動工具の使用者のために良好に適合されている。何故ならば、この第2の認識機能が、キックバック-特に、同様により弱いキックバック-におけるより大きなレンジ幅を認識するからである。
第1の認識機能は、それとは反対に、例えば、熟達したもしくは極めて熟練した、電動工具10の使用者のために良好に適合されており、これら使用者が、より弱いキックバックを、同様に電動工具10による支援無しでも扱い可能である。第1の認識機能がより弱いキックバックを認識しない、もしくは、看過するので、この第1の認識機能の使用によって、熟達したもしくは極めて熟練した使用者のために、キックバック認識によって、不必要な、且つ、妨害する加工工程の中断の状態になることは、防止され得る。
【0044】
前記で既に説明されているように、機械的な量3は、有利には、ベクトル量として検出される。キックバック現象は、このようにして、特に、このベクトル量の方向及び/または方向変化に基づいて認識され得る。
例えば、制御装置4は、ベクトル量として検出された機械的な量3の方向が、所定の方向範囲の内側に位置するのかまたは外側に位置するのかどうかを確認するように、および、この確認に基づいて、キックバック現象が存在するのかまたは存在しないのかどうかを判定するように形成されている。
【0045】
図2との関連のもとで、以下で、ベクトル量に基づいての、
キックバック現象の認識を、詳細に説明する。
【0046】
図2は、異なる方向範囲14、15と、検出された機械的な量3とに関する、1つのダイヤグラムを示している。
【0047】
このダイヤグラムは、4つの四分円に分割されている。それぞれの四分円は、90°を備えている。参照符号19は、0°線を表示している。
以下で説明される角度座標、もしくは、角度数は、数学的に正の回転方向(反時計方向)において理解されるべきである。合目的に、この0°線は、載置面9及び/または送り方向12に対して平行に延びている。
【0048】
方向範囲14、15は、例示的に、2次元的な方向範囲である。これら方向範囲14、15は、同様に角度範囲とも称され得る。合目的に、方向範囲14、15は、1つの平面内において位置する。この平面は、合目的に、工具1の平面に対して平行に、もしくは、駆動軸8の軸線方向に対して垂直に整向されている。
【0049】
両方の方向範囲14、15は、互いに相違している。例示的に、第1の方向範囲14は、第2の方向範囲15の内側に位置している。この第1の方向範囲14は、合目的に、この第2の方向範囲15よりも小さい。
【0050】
合目的に、第1の方向範囲14は、第1の認識機能に対応している。この第1の認識機能は、特に、第1の方向範囲14との、機械的なベクトル量の方向の比較を含んでいる。更に、第2の方向範囲15は、合目的に、第2の認識機能に対応している。この第2の認識機能は、特に、第2の方向範囲15との、機械的なベクトル量の方向の比較を含んでいる。
【0051】
制御装置4は、合目的に、第1の方向範囲14と第2の方向範囲15とを提供するように形成されている。例えば、両方の方向範囲は、この制御装置4内におけるメモリー内において記憶されている。これに対して選択的または付加的に、この制御装置4が、同様にこれら方向範囲14、15自体を生成するように形成されていることも可能である。
【0052】
極めて高い確率でもって、キックバックが存在し、もしくは、目前に迫っている場合に、第1の方向範囲14は、1つの方向範囲を具現し、この方向範囲内において機械的なベクトル量が位置する。例示的に、この第1の方向範囲14は、両方の上側の四分円内において、即ち0°と180°との間の範囲の内側に位置する。示された例において、この第1の方向範囲14は、5°から100°に至るまでに延在する。
制御装置4が第1の認識機能を使用する場合、機械的なベクトル量3が第1の方向範囲14内において位置する際に、キックバック現象は認識される。
【0053】
第2の方向範囲15は、第1の方向範囲14に比べて拡大されている。例示的に、この第2の方向範囲15は、第1、第2および第4の四分円内において、即ち270°(もしくは、-90°)と180°との間の範囲の内側に位置する。示された例において、この第2の方向範囲15は、340°(もしくは、-20°)から120°に至るまでに延在する。
この第2の方向範囲15は、極めて高い確率でもって、キックバックの結果になる方向だけでなく、更に、同様にキックバックが依然として可能であるが、しかしながら第1の方向範囲14内においてよりも少なく推定される方向も備えている。特に、この第2の方向範囲15は、キックバックに関する原因もしくは第1の指標が既に与えられており、電動工具10または加工材料11が、しかしながら未だに著しく加速されていない、もしくは、未だに如何なる反動または跳ね返りも作用しない方向を備えている。
合目的に、制御装置は、キックバック現象を、第2の第2の方向範囲15の使用の際に、加工材料11に対する電動工具10の(キックバックに対する認識および応動無しに)生じる加速の50msから100msまで以前に認識するように形成されている。この加速は、例えば、上方への成分、もしくは、示されたダイヤグラム内において90°方向における成分を有する加速である。
【0054】
合目的に、制御装置は、機械的なベクトル量3が、第1の方向範囲14または第2の方向範囲15の外側に位置する場合、如何なるキックバック現象も存在しないことを認識するように形成されている。
【0055】
検出された機械的なベクトル量の方向に基づいての、前記で説明されたキックバック現象の認識に対して選択的または付加的に、同様にキックバック現象を機械的なベクトル量の方向変化に基づいて実施することも可能である。
【0056】
これら第1および第2の認識機能が、それに応じて、それぞれの方向変化閾値との、機械的なベクトル量の方向変化の、特に角速度及び/または変化角度の、比較を含んでいることは可能である。
【0057】
キックバックが目前に迫っている場合、機械的なベクトル量は、第1の方向範囲14への方向に回転する。認識機能が、それに応じて、機械的なベクトル量の検出された回転を、キックバック現象の認識の際に考慮することは可能である。
例えば、制御装置4は、機械的なベクトル量の角速度を速度閾値と比較するように、および、この速度閾値の超過の際に、キックバック現象を認識するように形成されている。第1の認識機能において、その際、特に、第2の認識機能においてよりも大きな、異なる速度閾値が使用され得る。
【0058】
更に、制御装置4が、どのような変化角度だけ、機械的なベクトル量3が特に所定の時間範囲内で変化したかを特定するように、および、キックバック現象を認識するためにこの変化角度を角度閾値と比較するように、形成されていることは可能である。
第1の認識機能において、その際、特に、第2の認識機能においてよりも大きな、異なる角度閾値が使用され得る。
【0059】
それに加えて、これら認識機能は、機械的なベクトル量3が所定の方向範囲14、15の内側で位置する時間の長さを考慮可能である。例えば、制御装置4が、キックバック現象を、ただ機械的なベクトル量3が所定の時間閾値よりも長く所定の方向範囲14、15内において位置する際にだけ、認識するように形成されていることは可能である。
第1の認識機能において、その際、特に、第2の認識機能においてよりも大きな、異なる時間閾値が使用され得る。
【0060】
前記で説明された具体的な方向範囲14、15の角度指示は、全く例示的に理解されるべきである。それぞれの電動工具10のタイプおよび構造に応じて、実際上の角度は変化可能である。これら方向範囲14、15の実際上の角度は、校正を用いて確定され得る。この校正は、例えば、電動工具の開発または製造の際に、及び/または、使用者によって行われ得る。
【0061】
合目的に、制御装置4は、1つまたは複数の方向範囲14、15の校正を行うように形成されている。例えば、ユーザインターフェース5を用いて、この校正は着手され得る。制御装置4は、それに基づいて、駆動装置7を介して工具1を駆動し、且つ、その際、センサー装置2を介して、機械的なベクトル量3を検出する。
検出された機械的なベクトル量3に基づいて、制御装置4は、次いで、1つの方向範囲、及び/または、1つまたは複数の閾値を作成可能であり、且つ、制御装置4のメモリー内において保管可能である。
【0062】
以下で、例示的に、どのように、使用されるべき認識機能が特定され得るのかを説明する。
【0063】
基本的に、制御装置4は、使用されるべき認識機能を、機能特定情報に基づいて特定する。この機能特定情報は、制御装置4に外部から提供されるか、または、この制御装置4内において作成される。
【0064】
例えば、機能特定情報は、ユーザー入力装置5を介して入力され得る。
例示的に、使用者は、ユーザー入力装置5を介して、異なる2つの安全保護プロフィルの間、-例えば、初心者-プロフィルとプロ-プロセスとの間-で選択可能である。
この使用者の入力もしくは選択に従い、その場合に、制御装置4は、第1の認識機能か、または、第2の認識機能を使用する。
【0065】
更に、制御装置4は、機能特定情報を、通信インターフェース35を介して受信可能である。例えば、制御装置4は、この通信インターフェースを介して、外部の装置38、例えばサーバーまたはモバイル機器と通信可能であり、且つ、この外部の装置38から、機能特定情報が提供される。受信された機能特定情報に従い、制御装置は、その場合に、第1の認識機能か、または、第2の認識機能を使用する。
【0066】
例示的に、機能特定情報は、同様に制御装置4内において提供され得る。例えば、制御装置4は、ユーザー認識装置36を用いて使用者を認識するように、および、この機能特定情報を、この認識に従い提供するように形成されている。例えば、この制御装置4内において、異なる使用者と認識機能との間の対応関係が貯蔵されていることは可能であり、従って、使用者の行われる認識の際に、対応する認識機能が、選択および使用され得る。
【0067】
例示的に、制御装置は、更に機能特定情報を、センサー装置2、特に第2のセンサーユニット34によって検出された作動情報及び/または周囲環境情報に基づいて提供するように形成されている。例えば、制御装置4は、センサー装置2を用いて、工具、加工材料及び/または周囲環境の状態を確認可能であり、且つ、これらに基づいて、使用されるべき認識機能を特定可能である。
【0068】
更に、同様に、制御装置4が、使用者の認識のため、及び/または、機能特定情報の提供のために、通信インターフェース35を介して、外部の装置38、特にサーバーまたはモバイル機器と協働することも可能である。電動工具10と外部の装置38とは、この場合に、共に1つのシステムを形成可能である。
電動工具10は、例えば、外部の装置38に、作動情報及び/または周囲環境情報、及び/または、ユーザー認識情報を伝送するように形成されている。合目的に、この外部の装置38は、作動情報及び/または周囲環境情報、及び/または、ユーザー認識情報に基づいて、機能特定情報を提供するように、および、電動工具に伝送するように形成されている。
【0069】
例えば、ユーザー認識情報として、ユーザー認識装置によって取り入れられた情報、例えば生体的な情報が、外部の装置38に伝送され得る。
この外部の装置38内において、その場合に、例えば、そこで保管されたデータベースの助力のもとで、使用者同一性、及び/または、機能特定情報が特定され得る。この使用者同一性、及び/または、機能特定情報は、その場合に、通信インターフェース35を介して、制御装置4に、更なる使用のために伝送され得る。
【0070】
前記の議論内において、常に2つの認識機能が言及されている。もちろん、制御装置4に、しかしながら同様に、2つよりも多い異なる認識機能が、キックバック現象の認識のために提供されることも可能である。
【0071】
制御装置4に提供される認識機能が、例えば、制御装置4のメモリー内において記憶されていることは可能である。機能特定情報に従い、制御装置4は、その場合に、認識機能を選択し、且つ、キックバック現象を認識するために、この認識機能を使用する。
この機能特定情報が、この場合に、例えば、どの認識機能が使用されるべきかの情報を含んでいることは可能である。
【0072】
これに対して選択的または付加的に、制御装置4が、合目的に機能特定情報に基づいて、使用されるべき1つの認識機能を、同様に自体で作成することも可能である。この機能特定情報は、例えば、認識機能のために使用されるべきパラメータ、例えば、閾値、及び/または、使用されるべき数学的な演算子を規定可能である。
【0073】
以下で、例示的に、どのように、機械的な量3が、ベクトル量として検出され得るのかを説明する。
【0074】
センサー装置2は、合目的に、機械的なベクトル量3を少なくとも2次元的なベクトルとして検出するように形成されている。
この目的のために、このセンサー装置2は、機械的なベクトル量3の基礎である機械的な量を、異なる少なくとも2つの空間方向において測定するように形成されている。これら両方の空間方向は、例えば、送り方向12に対して平行に延びる1つの空間方向と、この送り方向12に対して垂直方向に延びる1つの空間方向とである。
合目的に、両方の空間方向は、駆動軸8の軸線方向に対して垂直方向である。例えば、センサー装置2は、少なくとも2つのセンサー要素25、26を備えている。合目的に、これらセンサー要素25、26のそれぞれのセンサー要素は、基礎である機械的な量、-即ち、力、加速度、速度、偏位、変形、及び/または、機械的な応力-を、異なる空間方向において測定することのために利用される。
【0075】
機械的なベクトル量3は、特に、力ベクトル、加速度ベクトル、速度ベクトル、偏位ベクトル、変形ベクトル、及び/または、機械的な応力ベクトルまたは応力テンソルである。
それに応じて、センサー装置2が、少なくとも2つの空間方向において、力、加速度、速度、偏位、変形、及び/または、機械的な応力を測定するように形成されていることは可能である。
【0076】
センサー装置2が、特に半径方向の測定軸受28を備えていることは可能であり、この測定軸受によって、例えば、駆動軸8が軸受けされている。この半径方向の測定軸受28が、力センサーまたは応力センサー、例えばピエゾ感応型のセンサーを用いて、駆動軸8と測定軸受28との間の力を機械的なベクトル量3として検出するように形成されていることは可能である。
【0077】
選択的または付加的に、この目的のために、センサー装置2が、駆動軸8から離間された間隔センサーを備えることは可能であり、これら間隔センサーが、駆動軸8の偏位を、機械的なベクトル量3として検出するように形成されている。
【0078】
更に、センサー装置2が、特に担持構造21に固定された応力センサー、特にストレインゲージ(DMS)を備えていることは可能である。
【0079】
基本的に、センサー装置2が、機械的なベクトル量3を、工具1から発する力の伝達経路の内側の、適宜の部分において測定するように設備されていることは可能である。
この力の伝達経路は、例示的に、工具1から、駆動軸8と、軸受装置27と、担持構造21と、ハウジング6と、載置面9とを介して、加工材料11へと延びる。特に、センサー装置2は、力の伝達経路内において相前後して位置する2つの部材の間の、機械的なベクトル量3を測定するように形成されている。
【0080】
図3は、電動工具20の断面図を示している。前記の、電動工具10に関連付けられた説明は、同様に、この電動工具20に関しても適用される。
【0081】
図3内において示されているように、電動工具20は軸受装置27を備えており、この軸受装置が、担持構造21に設けられており、且つ、駆動軸8をこの担持構造21に対して軸受けしている。この軸受装置27は、合目的に、1つまたは複数の軸受31、32、特にラジアル軸受及び/またはラジアックス軸受(Radiaxlager)、有利には玉軸受を備えている。
【0082】
合目的に、軸受装置27の少なくとも1つの軸受31、32は、測定軸受28、特に半径方向の測定軸受28として形成されており、且つ、従って、センサー装置2として利用される。
有利には、測定軸受28は、駆動軸8と担持構造21との間に存在する力を、異なる少なくとも2つの空間方向において測定するように形成されている。例えば、測定軸受28は、複数のセンサー要素、例えばピエゾ感応型のセンサー要素、特にピエゾ感応型の薄膜センサー要素を備えており、これらセンサー要素が、合目的に、周囲方向において、駆動軸8の周囲に配設されている。
特にこれらセンサー要素は、例えば外側リングのような、測定軸受28の外側の軸受構成要素、-即ち担持構造21に対して相対的に不動の軸受構成要素、もしくは、駆動軸8と共に回転しない軸受構成要素-に配設されている。例示的に、8つのセンサー要素が設けられており、これらセンサー要素は、それぞれに、45°だけ互いに位置ずれされて配設されている。
【0083】
図4は、駆動軸8を、軸受装置27の2つの軸受31、32と共に示している。例示的に、第1の軸受31は、工具1に割り当てられた、駆動軸8の遠位の端部の領域内において配設されており、および、第2の軸受32が、工具1と反対側の、この駆動軸8の遠位の端部の領域内において配設されている。
【0084】
合目的に、1つまたは両方の軸受31、32は、前記で説明された測定軸受28として形成されている。
【0085】
センサー装置2が内側で1つまたは複数の軸受31、32内において統合されている、前記で説明された構成に対して選択的または付加的に、センサー装置2が、同様に1つまたは複数の軸受31、32と、担持構造21との間に配設されていることも可能である。
【0086】
図5は、第3の実施形態に従う、電動工具30を示している。電動工具30は、ここで、例示的に、不動の鋸、特にテーブル丸鋸として形成されている。この電動工具30は、合目的に、前記で既に電動工具10及び/または電動工具20との関連において述べられた特徴を備えている。
【0087】
例示的に、工具1は、ここで反時計方向に回転する。合目的に、加工材料11は、加工の際に、鋸の歯が上方から下方へとこの加工材料11内へと鋸で切断するように、鋸刃として形成された工具1内へと押し込まれる。
図5内において、相応する送り方向12が図示されている。方向範囲14、15は、電動工具60において相応して適合されている。例えば、
図2内において示された方向範囲14、15が、ダイヤグラムの中心点を中心に点対称(punktgespiegelt)されていることは可能である。
【0088】
以下で、どのように、認識されたキックバック現象に対して応答され得るのかの、種々の可能性が述べられる。合目的に、それぞれの可能性が前記で述べられた電動工具のそれぞれの電動工具において行われていることは可能である。
【0089】
例えば、工具1がもはや駆動されず、及び/または、制動、特に完全に制動されることを生起するために、有利には、制御装置4が、認識されたキックバック現象に対する応答において、駆動装置7の所定の制御を行うように形成されていることは可能である。この制動は、その際、特に、その電気モーターによってさもなければ工具1が駆動される同じ該電気モーターによって行われ得る。
これに対して選択的または付加的に、駆動装置7が制動手段を備えることは可能であり、且つ、制御装置4が、認識されたキックバック現象に対する応答において、この制動手段を、工具1が制動される程に制御するように形成されていることは可能である。
【0090】
更に、電動工具10、30が、位置決め装置29を備えていることは可能であり、この位置決め装置が、工具1を選択的に作動位置または安全保護位置に位置決めするように形成されている。制御装置4が、認識されたキックバック現象に対する応答において、この位置決め装置29を制御するように形成されていることは可能であり、従って、工具1が、安全保護位置に位置決めされる。
位置決め装置29は、例えば、工具1を作動位置と安全保護位置との間で移動する及び/または旋回するように形成されている。合目的に、工具1は、安全保護位置において、作動位置においてよりも十分に、ハウジング6内へと位置決めされている。
【0091】
図6は、鋸刃またはミーリングカッターとして形成された回転可能な工具を有する電動工具の、
キックバック現象の認識のための方法のフローチャートを示している。
この方法は、
機械的な量3の検出のステップS1であって、その際、この機械的な量3が、力、加速度、速度、偏位、変形、及び/または、機械的な応力を含み、且つ、この機械的な量3が工具1から発する力に依存するステップS1と、
機能特定情報に基づいての、第1の認識機能とこの第1の認識機能と異なる第2の認識機能とからの、使用されるべき1つの認識機能の特定のステップS2と、
特定された認識機能の使用のもとでの、検出された機械的な量3に基づいての
キックバック現象の認識のステップS3と、
を備えている。
【0092】
合目的に、この方法は、前記で説明された電動工具10、20、30の内の1つの電動工具を用いて実施される。
【0093】
有利には、この方法は、更に別のステップを備えており、このステップにおいて、認識されたキックバック現象に対する、前記で述べられた応動の内の1つの応動が実施される。
【符号の説明】
【0094】
1 工具、鋸刃
2 センサー装置
3 機械的なベクトル量、機械的な量
4 制御装置
5 ユーザー入力装置
6 ハウジング
7 駆動装置
8 駆動軸
9 載置面9
10 電動工具
11 加工材料
12 送り方向
14 方向範囲、第1の方向範囲
15 方向範囲、第2の方向範囲
19 0°線
20 電動工具
21 担持構造
27 軸受装置
28 測定軸受
29 位置決め装置
30 電動工具
31 軸受
32 軸受
33 センサーユニット、第1のセンサーユニット
34 センサーユニット、第2のセンサーユニット
35 通信インターフェース
36 ユーザー認識装置
37 マーキング
38 外部の装置
S1 ステップ
S2 ステップ
S3 ステップ