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特許7050903車載器、車載器の通信方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】車載器、車載器の通信方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20220401BHJP
【FI】
G08G1/09 H
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020511571
(86)(22)【出願日】2018-04-06
(86)【国際出願番号】 JP2018014714
(87)【国際公開番号】W WO2019193745
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2020-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】安達 哲也
【審査官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-133726(JP,A)
【文献】特開2012-089088(JP,A)
【文献】特開2008-027011(JP,A)
【文献】特開2012-037925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-60/00
G01C 21/00-21/36
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載器が搭載されている車両に関する車両情報をセンターに送信する車載器を決定する送信車載器決定領域に自車両が進入する前に進入する車両情報領域で前記自車両の前記車両情報を算出し、
前記送信車載器決定領域に前記自車両が進入しているか否かを判別し、進入したと判別した場合に、他の車両に搭載されている車載器に対してリクエスト要求を送信して通信を要求し、
前記送信車載器決定領域における代表車両条件を満たしたか否かを判別し、
前記送信車載器決定領域における代表車両条件を満たした後に前記自車両と前記他の車両との間で行う車車間通信が前記リクエスト要求に対する応答を受信することで確立された場合、前記車車間通信を行うことで前記代表車両条件を満たしていない前記他の車載器から前記他の車両の車両情報を受信し、
前記送信車載器決定領域における前記代表車両条件を満たす前に前記車車間通信が前記リクエスト要求に対する応答を受信することで確立された場合、前記車車間通信を行うことで前記代表車両条件を満たした前記他の車載器に前記自車両の車両情報を送信し、
前記代表車両条件を満たしたと判別した後に、前記自車両の車両情報と、前記他の車載器から受信した前記他の車両の車両情報とを、前記車両情報を取得する前記センターへ送信する、制御部、
を備え
前記代表車両条件は、
前記制御部が、前記送信車載器決定領域に設定される境界位置を超えるまでに、前記他の車載器へ前記自車両の車両情報を送信していないという条件である
車載器。
【請求項2】
前記制御部は、
前記送信車載器決定領域に前記自車両が進入した場合に、前記自車両の車両情報の送信を行う状態または前記他の車両の車両情報の受信を行う状態を示す送受信状態を、前記代表車両条件を満たさない第1状態に設定し、
前記代表車両条件を満たす前に前記代表車両条件を満たした前記他の車載器に前記自車両の車両情報を送信した場合に、前記送受信状態を前記代表車両条件を満たさない第2状態に設定し、
前記送信車載器決定領域において、前記送受信状態を変化させる前記境界位置を設定し、設定した前記境界位置を超えた場合に、前記送受信状態が第1状態であれば前記送受信状態を前記代表車両条件を満たす第3状態に設定し、
前記送受信状態を示す情報を前記自車両の車両情報に関連付けて、前記他の車載器に送信する、請求項1に記載の車載器。
【請求項3】
前記制御部は、
前記他の車載器と前記車車間通信を行う場合、前記他の車載器が送信した信号に含まれる送信車載器決定領域に関する情報に基づいて、前記自車両の車載器が搭載されている前記自車両が走行している送信車載器決定領域とは異なる領域からの情報を受け付けない、請求項1または請求項2に記載の車載器。
【請求項4】
前記制御部は、
前記自車両の車載器が搭載されている前記自車両が停止している場合、前記他の車両に搭載されている車載器に対して通信を要求しない、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の車載器。
【請求項5】
前記制御部は、
前記自車両の車両情報を算出した第1の車両情報領域を示す情報を前記自車両の車両情報に関連付けて前記他の車載器に送信し、
前記他の車載器との前記車車間通信を行う場合、前記第1の車両情報領域とは異なる車両情報領域からの前記車両情報を受け付けない、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の車載器。
【請求項6】
制御部が、車載器が搭載されている車両に関する車両情報をセンターに送信する車載器を決定する送信車載器決定領域に自車両が進入する前に進入する車両情報領域で、前記自車両の車両情報を算出するステップと、
前記制御部が、前記送信車載器決定領域に前記自車両が進入しているか否かを判別し、進入したと判別した場合に、他の車両に搭載されている車載器に対してリクエスト要求を送信して通信を要求するステップと、
前記制御部が、前記送信車載器決定領域における代表車両条件を満たしたか否かを判別するステップと、
前記制御部が、前記送信車載器決定領域における代表車両条件を満たした後に前記自車両と前記他の車両との間で行う車車間通信が前記リクエスト要求に対する応答を受信することで確立された場合、前記車車間通信を行うことで前記代表車両条件を満たしていない前記他の車載器から前記他の車両の車両情報を受信するステップと、
前記制御部が、前記送信車載器決定領域における前記代表車両条件を満たす前に前記車車間通信が前記リクエスト要求に対する応答を受信することで確立された場合、前記車車間通信を行うことで前記代表車両条件を満たした前記他の車載器に前記自車両の車両情報を送信するステップと、
前記制御部が、前記送信車載器決定領域における前記代表車両条件を満たしたと判別した後に、前記自車両の車両情報と、前記他の車載器から受信した前記他の車両の車両情報とを、前記車両情報を取得する前記センターへ送信するステップと、
を含み、
前記代表車両条件は、
前記制御部が、前記送信車載器決定領域に設定される境界位置を超えるまでに、前記他の車載器へ前記自車両の車両情報を送信していないという条件である
車載器の通信方法。
【請求項7】
車両に搭載される車載器のコンピュータに、
車載器が搭載されている車両に関する車両情報をセンターに送信する車載器を決定する送信車載器決定領域に自車両が進入する前に進入する車両情報領域で前記自車両の車両情報を算出するステップと、
前記送信車載器決定領域に前記自車両が進入しているか否かを判別し、進入したと判別した場合に、他の車両に搭載されている車載器に対してリクエスト要求を送信して通信を要求するステップと、
前記送信車載器決定領域における代表車両条件を満たしたか否かを判別するステップと、
前記送信車載器決定領域における代表車両条件を満たした後に前記自車両と前記他の車両との間で行う車車間通信が前記リクエスト要求に対する応答を受信することで確立された場合、前記車車間通信を行うことで前記代表車両条件を満たしていない前記他の車載器から前記他の車両の車両情報を受信するステップと、
前記送信車載器決定領域における前記代表車両条件を満たす前に前記車車間通信が前記リクエスト要求に対する応答を受信することで確立された場合、前記車車間通信を行うことで前記代表車両条件を満たした前記他の車載器に前記自車両の車両情報を送信するステップと、
前記送信車載器決定領域における前記代表車両条件を満たしたと判別した後に、前記自車両の車両情報と、前記他の車載器から受信した前記他の車両の車両情報とを、前記車両情報を取得する前記センターへ送信するステップと、
を実行させ
前記代表車両条件は、
前記コンピュータが、前記送信車載器決定領域に設定される境界位置を超えるまでに、前記他の車載器へ前記自車両の車両情報を送信していないという条件である
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載器、車載器の通信方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
道路の通行料金を徴収する料金収受システムが提案または実証実験あるいは実用化されている。例えば、シンガポールでは、道路上に設置されたゲートが、車に搭載する車載器と通信を行い、利用者から自動的に料金を徴収するERP(Electronic Road Pricing)が用いられている。このERPでは、さらに、ゲートが、各車両から得たデータを車両別に、情報を収集するセンターへ送信していた。通信には、例えば第三世代移動通信システムが用いられている。このようにゲートが各車両の情報を送信しているので、車両の通行量が増加すると通信量が増大する。
【0003】
このように車載器からの情報(プローブ情報)の増加による通信量の増大を抑えるため、センターが車載器から送信された情報に基づいて走行環境が類似する車両群をグループ化し、そのグループの代表の車載器からプローブ情報を収集することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかし、特許文献1に記載の技術では、各車載器がセンターと通信を行った後に、センターがグループ化と代表の選定を行っている。このため、特許文献1に記載の技術では、各車載器とセンターが行う通信量が通行量に応じて増大するという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-89088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、センターとの通信量を低減することができる車載器、車載器の通信方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る車載器(2)は、車載器が搭載されている車両に関する車両情報(例えば、速度情報)をセンターに送信する車載器を決定する送信車載器決定領域(送信車載器決定エリア)に自車両が進入する前に進入する車両情報領域(速度計算対象エリア)で前記自車両の前記車両情報を算出し、前記送信車載器決定領域に前記自車両が進入した場合に、他の車両に搭載されている車載器に対して通信を要求し、前記送信車載器決定領域における代表車両条件を満たした後に前記自車両と前記他の車両との間で行う車車間通信が確立された場合、前記車車間通信を行うことで前記代表車両条件を満たしていない前記他の車載器から前記他の車両の車両情報を受信し、前記送信車載器決定領域における前記代表車両条件を満たす前に前記車車間通信が確立された場合、前記車車間通信を行うことで前記代表車両条件を満たした前記他の車載器に前記自車両の車両情報を送信する、制御部(26)、を備える。
このような構成によれば、送信車載器決定領域に進入した車両に搭載されている車載器と、他の車両に搭載されている車載器との間で行われる車車間通信によって、代表車両条件を満たす車両に搭載された車載器は、代表車両ではない他の車両に搭載された車載器からの車両情報を受信する。代表車両条件を満たさない車両に搭載された車載器は、代表車両に自車両の車両情報を送信する。この結果、代表車両条件を満たす車両に搭載された車載器に、自車両と他の車両との車両情報が集約される。この車車間通信では、移動通信システムの通信網を使用しない。代表ではない車載器は、センターに車両情報を送信しないので、センターとの通信量が発生しない。
以上より、センターとの通信量を低減することができる。
【0008】
また、本発明の一態様に係る車載器において、前記制御部は、前記代表車両条件を満たし、前記自車両の車両情報と、前記他の車載器から受信した前記他の車両の車両情報とを、前記車両情報を取得する前記センターへ送信するようにしてもよい。
このような構成によれば、代表ではない車載器がセンターに車両情報を送信せず、代表の車載器が、自車の車両情報と代表ではない車両の車両情報をセンターに送信するので、センターとの通信回数を減らすことができる。これにより、通信のたびに発生するヘッダー等を削減することができるので、センターとの通信量を低減することができる。
【0009】
また、本発明の一態様に係る車載器において、前記制御部は、前記送信車載器決定領域に前記自車両が進入した場合に、前記自車両の車両情報の送信を行う状態または前記他の車両の車両情報の受信を行う状態を示す送受信状態を、前記代表車両条件を満たさない第1状態(iii)に設定し、前記代表車両条件を満たす前に前記代表車両条件を満たした前記他の車載器に前記自車両の車両情報を送信した場合に、前記送受信状態を前記代表車両条件を満たさない第2状態(ii)に設定し、前記送信車載器決定領域において、前記送受信状態を変化させる境界位置を設定し、設定した前記境界位置を超えた場合に、前記送受信状態が第1状態であれば前記送受信状態を前記代表車両条件を満たす第3状態(i)に設定し、前記送受信状態を示す情報を前記自車両の車両情報に関連付けて、前記他の車載器に送信するようにしてもよい。
このような構成によれば、代表の車載器は、他の車載器へ自車両の車両情報を送信できずに送受信状態が第1状態のままであっても、境界位置を超えたときにセンターに自車両の車両情報を送信可能な第3状態に変化させるため、センターへの車両情報が未送信になることを防ぐことができる。また、このような構成によれば、他の車載器が送信する他の車両の車両情報に含まれる送受信状態に基づいて、受信した他の車両の車両情報を取得するか否を判別することができる。これにより、代表の車載器は、1つの車載器から二度、車両情報を取得することを防ぐことができる。また、送受信状態が第1状態以外の車載器は、センターに車両情報を送信しないで済む。
【0010】
また、本発明の一態様に係る車載器において、前記制御部は、前記他の車載器との前記車車間通信を行う場合、前記他の車載器が送信した信号に含まれる送信車載器決定領域に関する情報(リンクIDを示す情報)に基づいて、前記自車両の車載器が搭載されている前記自車両が走行している送信車載器決定領域とは異なる領域からの情報を受け付けないようにしてもよい。
このような構成によれば、車載器は、送信車載器決定領域に関する情報に基づいて、車両情報を取得するか否かを判別することができる。これにより、このような構成によれば、例えば対向車線を走行する他の車両に搭載されている車載器から他の車両の車両情報を受信した場合、対向車線を走行する他の車両の車両情報を取得することを防ぐことができる。
【0011】
また、本発明の一態様に係る車載器において、前記制御部は、前記車載器が搭載されている前記自車両が停止している場合、前記他の車両に搭載されている車載器に対して通信を要求しないようにしてもよい。
このような構成によれば、停止している車両に搭載されている他の車載器が車両情報を代表の車載器に送信しないので、車車間通信の通信量を低減することができ、さらに停止している他の車両の車両情報を代表の車載器が取得することを防ぐことができる。このような構成によれば、センターに不要な車両情報を送信しないので、センターは送信車載器決定領域の複数の車両情報を適切に処理することができる。
【0012】
また、本発明の一態様に係る車載器において、前記制御部は、前記自車両の車両情報を算出した第1の車両情報領域を示す情報を前記自車両の車両情報に関連付けて前記他の車載器に送信し、前記他の車載器との前記車車間通信を行う場合、前記第1の車両情報領域とは異なる車両情報領域からの前記車両情報を受け付けないようにしてもよい。
このような構成によれば、車載器が搭載されている車両が車両情報を算出した第1の車両情報領域とは異なる車両情報領域からの車両情報を受け付けない。これにより、送信車載器決定領域に車両が進入する前に車両が進入する領域(送信車載器決定エリア)が複数あっても、車載器は、車両情報を算出した領域とは異なる領域からの車両情報を誤ってセンターに送信することを防ぐことができる。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る車載器の通信方法は、制御部が、車載器が搭載されている車両に関する車両情報をセンターに送信する車載器を決定する送信車載器決定領域に自車両が進入する前に進入する車両情報領域で、前記自車両の車両情報を算出するステップと、前記制御部が、前記送信車載器決定領域に前記車両が進入する場合に、他の車両に搭載されている車載器に対して通信を要求するステップと、前記制御部が、前記送信車載器決定領域における代表車両条件を満たしたか否かを判別するステップと、前記制御部が、前記送信車載器決定領域における代表車両条件を満たしたと判別した後に前記自車両と前記他の車両との間で行う車車間通信が確立された場合、前記車車間通信を行うことで前記代表車両条件を満たしていない前記他の車載器から前記他の車両の車両情報を受信するステップと、前記制御部が、前記送信車載器決定領域における前記代表車両条件を満たす前に前記車車間通信が確立された場合、前記車車間通信を行うことで前記代表車両条件を満たした前記他の車載器に前記自車両の車両情報を送信するステップと、前記制御部が、前記送信車載器決定領域における前記代表車両条件を満たしたと判別した後に、前記自車両の車両情報と、前記他の車載器から受信した前記他の車両の車両情報とを、前記車両情報を取得するセンターへ送信するステップと、を含む。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係るプログラムは、車両に搭載される車載器のコンピュータに、車載器が搭載されている車両に関する車両情報をセンターに送信する車載器を決定する送信車載器決定領域に自車両が進入する前に進入する車両情報領域で前記自車両の車両情報を算出するステップと、前記送信車載器決定領域に前記車両が進入した場合に、他の車両に搭載されている車載器に対して通信を要求するステップと、前記送信車載器決定領域における代表車両条件を満たしたか否かを判別するステップと、前記送信車載器決定領域における代表車両条件を満たしたと判別した後に前記自車両と前記他の車両との間で行う車車間通信が確立された場合、前記車車間通信を行うことで前記代表車両条件を満たしていない前記他の車載器から前記他の車両の車両情報を受信するステップと、前記送信車載器決定領域における前記代表車両条件を満たす前に前記車車間通信が確立された場合、前記車車間通信を行うことで前記代表車両条件を満たした前記他の車載器に前記自車両の車両情報を送信するステップと、前記送信車載器決定領域における前記代表車両条件を満たしたと判別した後に、前記自車両の車両情報と、前記他の車載器から受信した前記他の車両の車両情報とを、前記車両情報を取得するセンターへ送信するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の車載器は、センターとの通信量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態に係る料金収受システムの概略構成例を示す図である。
図2】本実施形態に係る車載器の構成例を示す図である。
図3】本実施形態に係る速度計算対象エリアと送信車載器決定エリアの例を示す図である。
図4】本実施形態に係る速度計算対象エリアの各車載器の処理例を示す図である。
図5】本実施形態に係る送信車載器決定エリアの各車載器の処理例を示す図である。
図6】本実施形態に係る第1の送信信号の例を示す図である。
図7】本実施形態に係る第2の送信信号の例を示す図である。
図8】本実施形態に係る車載器がセンター装置に送信するセンター送信信号の例を示す図である。
図9】本実施形態に係る車載器の記憶部が記憶する情報例を示す図である。
図10】本実施形態に係る車載器の記憶部が記憶する各送受信状態のときに制御部が行う処理例を示す図である。
図11】本実施形態に係る車載器の間の通信タイミングの例を示す図である。
図12】本実施形態に係る速度計算対象エリアにおける車載器の処理手順例を示すフローチャートである。
図13】本実施形態に係る送信車載器決定エリアにおける車載器の処理手順例を示すフローチャートである。
図14】第3の変形例に係る速度計算対象エリア、送信車載器決定エリアの例を示す図である。
図15】路側に停車している車両が搭載する車載器が他の車両が搭載する車載器に速度情報を送信する例を示す図である。
図16】速度計算対象エリアの走行方向の先の道路が第1方向と第2方向に分岐している例を示す図である。
図17】送信車載器決定エリアに2つの速度計算対象エリアが合流する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0018】
<車両情報収集システムの全体構成>
図1は、本実施形態に係る車両情報収集システム1の概略構成例を示す図である。図1に示すように、車両情報収集システム1は、車載器2a、2b、2c、・・・、およびセンター装置3を含んで構成される。また、車載器2aは、車両20aに搭載されている。車載器2bは、車両20bに搭載されている。車載器2cは、車両20cに搭載されている。
なお、以下の説明において、車両20a、20b、20c、・・・のうちの1つを特定しない場合は、車両20という。また、以下の説明において、車載器2a、2b、2c、・・・のうちの1つを特定しない場合は、車載器2という。
【0019】
なお、以下の説明では、車両情報が、車両20の速度情報である例を説明する。車両情報は、速度情報に限らず、例えば、車両20が電気自動車の場合、車両20が搭載する電池(不図示)の残量等であってもよい。また、車両情報は、車種(自動車、トラック、バス、自動二輪車等)を示す情報であってもよい。
【0020】
車両20は、自動車、トラック、バス、自動二輪車等である。
センター装置3は、車載器2が送信する車両20の速度情報を収集する。センター装置3は、速度計算を行う速度計算対象エリア(車両情報領域ともいう)を走行している車両の平均速度を算出する。なお、センター装置3は、車載器2との通信を、例えば、移動通信システムによって行う。
【0021】
本実施形態では、車載器2は、速度計算を行う速度計算対象エリアで、後述する測位情報受信部29(図2)が受信した結果に基づいて、自車両20の速度情報を算出する。その後、車載器2は、車載器2を搭載した車両20が送信車載器決定エリア(送信車載器決定領域)に進入した場合、センター装置3に速度情報を送信する車載器2であるか否かを決定する。センター装置3に速度情報を送信する車載器2であると決定した車載器2は、他の車両20が搭載する車載器2から速度情報を受信し、受信した他の車両20の速度情報と自車両20の速度情報をセンター装置3に送信する。なお、センター装置3に速度情報を送信する車載器2であるか否かの決定方法は後述する。
【0022】
図1に示す例では、車載器2は、測位情報受信部29(図2)が受信した結果に基づいて、速度計算対象エリアに車載器2を搭載した車両20が進入したことを検出する。また、車載器2は、測位情報受信部29が受信した結果に基づいて、速度計算対象エリアを車両20が出たことを検出する。そして、車載器2は、測位情報受信部29が受信した結果に基づいて速度計算対象エリアにおける車両20の速度情報を算出する。
【0023】
図1に示す例は、速度計算対象エリアを出た後に後述する送信車載器決定エリアに進入した車載器2aが、センター装置3に速度情報を送信する車載器2であると決定した例である。
車載器2aと車載器2bとが通信を行い、車載器2aが車載器2bから車両20bの速度情報を取得する。また、車載器2aと車載器2cとが通信を行い、車載器2aが車両20cの車載器2cから速度情報を取得する。そして、図1に示す例では、車載器2aが、自車両20aの速度情報と、他の車両20bの速度情報と、車両20cの速度情報とを、センター装置3に送信する。なお、通信の順番と、センター装置3へ速度情報を送信する車載器2の決定手法については、後述する。
【0024】
<車車間通信>
ここで、2つの車載器2の間で行われる通信について説明する。
2つの車載器2の間では、速度情報の送受信を、基地局を介さずV2V(Vehicle-to-Vehicle)の車車間通信である無線通信によって行う。無線通信の規格は、例えば、Wi‐Fi通信規格または802.11規格に基づく通信規格である。これにより、2つの車載器2の間では通信キャリア等に対する通信料が発生しない。なお、車車間通信に用いる通信規格はこれに限らず、基地局を介さず通信料が発生しない通信であれば、例えば、RFID通信や赤外線通信等でもよい。
【0025】
<車載器の構成>
図2は、本実施形態に係る車載器2の構成例を示す図である。
図2に示すように、車載器2は、送信アンテナ21、送信部22、受信アンテナ23、受信部24、記憶部25、制御部26、アンテナ27、通信部28、および測位情報受信部29を備えている。なお、図1に示した車載器2aと2bと2c、・・・は、図2の構成を備えている。
【0026】
送信アンテナ21は、送信部22が出力する送信信号を送信電波に変換して、変換した送信電波を空間に伝搬する。
【0027】
送信部22は、制御部26が出力する送信情報を取得する。送信情報は、通信の確立をリクエストする要求を含む第1の送信信号と、車両20の速度情報を含む第2の送信信号がある。なお、送信情報については後述する。送信部22は、取得した送信情報に対して、通信規格に合わせた符号化や変調等を行って送信信号を生成し、生成した送信信号を送信アンテナ21に出力する。
【0028】
受信アンテナ23は、空間を伝搬してきた電波を受信する。受信アンテナ23は、受信した電波を信号に変換して、変換した信号を受信信号として受信部24に出力する。
【0029】
受信部24は、受信アンテナ23が出力する受信信号を取得する。受信部24は、取得した受信信号に対して、通信規格に合わせた復号化や復調等を行って受信情報を抽出し、抽出した受信情報を制御部26に出力する。なお、受信情報は、他の車載器2から受信した他の車両20の速度情報を含む。
【0030】
記憶部25は、道路の地図情報を記憶する。なお、地図情報には、交差点その他道路網表現上の結節点などを示すノードと、ノードとノードの間の道路区間を示すリンクが含まれている。また、各ノードには、固有の識別番号が設定されている。また、各リンクには、固有の識別番号が設定されている。記憶部25は、速度計算対象エリアであるノードIDとリンクの識別情報(以下、リンクIDという)を記憶する。なお、速度計算対象エリアについては後述する。記憶部25は、送信車載器決定エリアのノードIDとリンクIDを記憶する。なお、送信車載器決定エリアについては後述する。記憶部25は、車載器2の送受信状態を示す情報を記憶する。なお、車載器2の送受信状態については後述する。記憶部25は、自車両20の速度を計測したリンクIDを記憶する。記憶部25は、自車両20の速度情報を記憶する。記憶部25は、他の車載器2から他の車両20の速度情報を車載器2が受信した場合、他の車両20の速度情報を記憶する。制御部26が行う処理を記憶する。なお、送受信状態の説明と、送受信状態のときに行う処理については後述する。記憶部25は、後述する境界位置を設定する条件を記憶する。なお、境界位置を設定する条件は、例えば距離または時間である。なお、境界位置については後述する。
【0031】
制御部26は、速度計算対象エリアにおける例えば平均速度を算出し、算出した平均速度を示す情報を速度情報として記憶部25に記憶させる。制御部26は、例えば、リンクID1を走行している期間、測位情報受信部29が出力する位置情報と時刻情報を用いて自車両20の速度を計測する。なお、速度計算対象エリアにおける処理については後述する。
制御部26は、送信車載器決定エリアにおいて、他の車両20に搭載されている車載器2と車車間通信を行う。なお、制御部26は、送受信状態に基づいて、他の車載器2へ自車両20の速度情報を送信するか、他の車載器2から他の車載器2が搭載されている車両20の速度情報を受信する。制御部26は、自車両20の車載器2に対して速度情報を送信する車載器2に決定した場合、送信車載器決定エリアを出たとき、自車両20の速度情報と、取得した他の車両20の速度情報を、通信部28とアンテナ27を介して、センター装置3に送信する。以下の説明では、このように、自車両20の速度情報と他の車両20の速度情報をセンター装置3に送信する車載器2を代表の車載器2という。制御部26は、記憶部25が記憶する情報に基づいて後述する境界位置を設定し、設定した境界位置を超えるまでに他の車載器2へ車両情報を送信していない場合、代表の車載器2に自車両20の車載器2を決定する。すなわち境界位置とは、他の車載器2へ速度情報を送信していない車載器2を代表の車載器2に決定する位置である。また、制御部26は、送信車載器決定エリアに進入した場合、速度情報の送受信状態を初期状態に設定した後、速度情報の他の車両への送信に応じて、または他の車両からの速度情報の受信に応じて送受信状態を変化させる。なお、送信車載器決定エリアにおける処理については後述する。
【0032】
アンテナ27は、センター装置3から受信した電波を電気信号に変換し、変換した電気信号をセンター受信信号として通信部28に出力する。アンテナ27は、通信部28が出力するセンター送信信号を送信電波に変換して、変換した送信電波を空間に伝搬する。
【0033】
通信部28は、例えば基地局を介した通信をセンター装置3と行う。通信部28は、制御部26が出力する速度情報に対して、センター装置3との通信規格に合わせた符号化や変調等を行ってセンター送信信号を生成し、生成したセンター送信信号をアンテナ27に出力する。通信部28は、アンテナ27が出力するセンター受信信号を取得する。通信部28は、取得したセンター受信信号に対して、通信規格に合わせた復号化や復調等を行ってセンター受信情報を抽出し、抽出したセンター受信情報を制御部26に出力する。なお、センター受信情報には、例えば車載器2からセンター送信信号を受信したことを示すACK応答(ACKnowledgement)が含まれている。
【0034】
測位情報受信部29は、全球測位衛星システム(Global Navigation Satellite System;GNSS)の衛星(不図示)から測位情報を受信する受信部である。測位情報受信部29は、GNSSの衛星から受信した情報を用いて現在の位置を求め、求めた現在の位置を示す位置情報を制御部26に出力する。測位情報受信部29は、受信した情報から現在の時刻情報を抽出し、抽出した現在の時刻情報を制御部26に出力する。
【0035】
<速度計算対象エリア、送信車載器決定エリア>
図3は、本実施形態に係る速度計算対象エリアと送信車載器決定エリアの例を示す図である。図3において、車両20の走行方向(進行方向)をx軸方向とし、x軸に垂直な方向をy軸方向とする。図3に示す例では、y軸方向に車両が走行する車線が2つある例である。
【0036】
符号101~103はノードである。ノード101の識別情報がノードID1であるとする。ノード102の識別情報がノードID2であるとする。ノード103の識別情報がノードID3であるとする。
符号151、152はリンクである。リンク151は、ノードID1とノードID2との間の道路区間である。リンク152は、ノードID2とノードID3との間の道路区間である。リンク151の識別情報がリンクID1であるとする。リンク152の識別情報がリンクID2であるとする。
【0037】
符号111で囲んだ領域は、速度計算対象エリアである。速度計算対象エリアとは、このエリアに進入した車両20の車載器2が、このエリア内の例えば平均速度を算出するエリアである。
符号112で囲んだ領域は、送信車載器決定エリアである。送信車載器決定エリアとは、このエリアに進入した複数の車両20それぞれが搭載する車載器2のうち、どの車載器2が自車両20の速度情報と他の車両20の速度情報をセンター装置3へ送信するか決定するエリアである。
このように、実施形態において、速度計算対象エリアは、車両が送信車載器決定エリアに進入する前に進入する領域である。
【0038】
符号121は、車載器2の送受信状態が初期状態の場合に、送受信状態を変化させる境界位置を示している。図3に示す例は、境界位置121がノードID2からx方向にL1(m)の位置に設定されている例である。なお、ノードID2からの距離L1は、各車載器2の各制御部26が例えばランダムに決定する。このため、境界位置121は車載器2によって異なる。例えば車載器2aの距離L1は20mであり、車載器2bの距離L1は15mであり、車載器2cの距離L1は25mである。
【0039】
<速度計算対象エリアの車載器の処理>
図4は、本実施形態に係る速度計算対象エリア111の各車載器2の処理例を示す図である。なお、座標は図3と同じである。また、車両20の走行方向は、x軸方向の正方向である。図4(A)は、速度計算対象エリア111に車両20aが進入した例である。図4(B)は、速度計算対象エリア111に車両20aと車両20bが進入した例である。図4(C)は、速度計算対象エリア111に車両20aと車両20bと車両20cが進入した例である。
【0040】
まず、図4(A)に示すように、車両20aが速度計算対象エリア111であるリンクID1に進入する。車載器2aは、測位情報受信部29が出力する位置情報を記憶部25が記憶する情報を参照して、リンクID1に進入したこと、すなわち速度計算対象エリア111に進入したことをノードID1の位置を車両20aが超えたときに検出する。車載器2aは、リンクID1の期間、すなわちノードID1~2の期間、測位情報受信部29が出力する位置情報と時刻情報を用いて自車両20aの速度を計測する。なお、制御部26は、例えばノードID1を通過した時刻と、ノードID2を通過した時刻との時刻差、すなわちリンクID1を通過するのに要した時間を算出する。また、制御部26は、ノードID1の位置情報と、ノードID2の位置情報を用いてリンクID1の距離を算出する。制御部26は、算出したリンクID1の距離と、リンクID1の通過に要した時間を用いて、リンクID1の期間の平均速度を算出する。
【0041】
次に、図4(B)に示すように、車両20bが速度計算対象エリア111であるリンクID1に進入する。車載器2bは、測位情報受信部29が出力する位置情報を記憶部25が記憶する情報を参照して、リンクID1に進入したこと、すなわち速度計算対象エリア111に進入したことをノードID1の位置を車両20bが超えたときに検出する。車載器2bは、リンクID1の期間、すなわちノードID1~2の期間、測位情報受信部29が出力する位置情報と時刻情報を用いて自車両20bの速度を計測する。
【0042】
次に、図4(C)に示すように、車両20cが、速度計算対象エリア111であるリンクID1に進入する。車載器2cは、測位情報受信部29が出力する位置情報を記憶部25が記憶する情報を参照して、リンクID1に進入したこと、すなわち速度計算対象エリア111に進入したことをノードID1の位置を車両20cが超えたときに検出する。車載器2cは、リンクID1の期間、すなわちノードID1~2の期間、測位情報受信部29が出力する位置情報と時刻情報を用いて自車両20cの速度を計測する。
【0043】
なお、制御部26は、速度計算対象エリアにおいて、送受信状態を後述する送受信状態(i)~(iii)以外の状態、例えば送受信状態(0)等に設定する。これにより、送受信状態(i)の車載器2が、速度計算対象エリアを走行中の他の車載器2から第2の送信信号を受信した場合であっても、送受信状態に基づき他の車両20の速度情報を取得しない。なお、速度計算対象エリアにおいて、制御部26は、第2の送信信号を送信しないようにしてもよく、送信する場合、自車両20の速度情報を含めないようにしてもよい。
【0044】
なお、車載器2は、車両20または車載器2が車速センサを備える場合、車速センサが検出した検出値に基づいて速度情報を算出してもよい。または、車載器2は、車両20が加速度センサを備える場合、加速度センサの計測値を積分して速度情報を算出してもよい。または、車載器2は、車両20から速度情報を取得するようにしてもよい。
【0045】
<送信車載器決定エリアの車載器の処理>
図5は、本実施形態に係る送信車載器決定エリア112の各車載器2の処理例を示す図である。なお、座標は、図3と同じである。また、車両20の走行方向は、x軸方向の正方向である。図5(A)は、送信車載器決定エリア112に車両20aが進入した例である。図5(B)は、送信車載器決定エリア112に車両20aと車両20bが進入した例である。図5(C)は、送信車載器決定エリア112に車両20aと車両20bと車両20cが進入した例である。
【0046】
まず、図5(A)に示すように、車載器2aを搭載する車両20aが送信車載器決定エリア112であるリンクID2に進入する。車載器2aは、測位情報受信部29が出力する位置情報を記憶部25が記憶する情報を参照して、リンクID2に進入したこと、すなわち送信車載器決定エリア112に進入したことをノードID2の位置を車両20aが超えたときに検出する。これにより、車載器2aは、送受信状態を初期状態である送受信状態(iii)(第1状態)に設定する。なお、送受信状態(iii)は、速度情報を他の車載器2に送信していない状態であり、すなわち、速度情報の送信未決定の状態を表している。続けて、車載器2aは、x軸方向の正方向(前方)に向けて第1の送信信号の送信を開始する。第1の送信信号には、少なくとも、通信を確立するリクエスト要求と、送受信状態を示す情報が含まれている。図5(A)に示すように、車両20aのx軸方向の正方向には通信可能な他の車両20が走行していないため、車載器2aは他の車載器2との通信を確立できない。
【0047】
次に、車載器2aの制御部26が、記憶部25が記憶している情報に基づいて車載器2aの境界位置121を設定する。そして、図5(B)に示すように、車両20aが設定した境界位置121を超える。車載器2aは、測位情報受信部29が出力する位置情報と車両20aが出力する走行距離を用いてノードID2からの走行距離を計測し、計測した結果に基づいて境界位置121を超えたことを検出する。なお、車載器2aは、ノード2の位置のときに走行距離の計測を開始し、以後、所定の時間毎に車両20aから走行距離の情報を取得して走行距離を計測する。そして、制御部26は、計測した距離がノード2から境界位置121までの距離になるまで走行距離の計測を継続する。
【0048】
このように、車載器2aは、境界位置121を超えるまでに他の車載器2との車車間通信を行えなかった場合に、送受信状態(iii)から送受信状態(i)に変更する。なお、送受信状態(i)(第3状態)は、速度情報をセンター装置3に送信することが決定した状態であり、すなわち、速度情報の送信対象である状態を表している。
【0049】
また、図5(B)に示すように、車載器2bを搭載した車両20bが送信車載器決定エリア112であるリンクID2に進入する。車載器2bは、送受信状態を初期状態である送受信状態(iii)に設定する。
次に、車載器2bを搭載した車両20bは、x軸方向の正方向に向けて第1の送信信号の送信を開始する。図5(B)に示すように、車両20bのx軸方向の正方向に通信可能な車載器2aを搭載した車両20aが走行している。
【0050】
続けて、車載器2aは、車載器2bが送信する第1の送信信号に含まれるリクエスト要求に基づいて車載器2bとの通信を確立する。通信が確立した後、車載器2bは、第2の送信信号を車載器2aに送信する。なお、第2の送信信号には、車両20bが現在走行しているリンクID2と、リンクID1の区間の速度情報が含まれている。車載器2aは、自車両20aの車載器2aの送受信状態が(i)であり、かつ車載器2bから受信した第1の送信情報に含まれる送受信状態が(iii)であるため、車載器2bが送信した速度情報を受け付ける。続けて、車載器2aは、受け付けたことを示す受信完了情報を車載器2bに送信する。
【0051】
続けて、車載器2aは、車載器2bから受信した第2の送信情報に含まれる車両20bの速度情報を記憶部25に記憶させる。これにより、車載器2aの記憶部25には、自車両20aの速度情報と、車両20bの速度情報が記憶される。
続けて、車載器2bは、車載器2aから受信完了情報を受信した場合、速度情報を他の車載器2へ送信完了したため、送受信状態(iii)から送受信状態(ii)に変更する。なお、送受信状態(ii)(第2状態)は、速度情報を他の車載器2に送信済みの状態であり、すなわち、速度情報をセンター装置3に送信しない非対象である状態を表している。なお、車載器2bを搭載した車両が境界位置121に達するまでに送受信状態(iii)のままの場合、車載器2bは送受信状態を(iii)から(i)に変更する。なお、前述したように、車載器2aの境界位置121と、車載器2bの境界位置121とは異なる。車載器2bの制御部26が車載器2bの境界位置121を設定する。
【0052】
次に、図5(C)に示すように、車載器2cを搭載した車両20cが送信車載器決定エリア112であるリンクID2に進入する。車載器2cは、送受信状態を初期状態である送受信状態(iii)に設定する。
【0053】
次に、図5(C)に示すように、車載器2cを搭載した車両20cは、x軸方向の正方向に向けて第1の送信信号の送信を開始する。図5(C)に示すように、車両20cのx軸方向の正方向に通信可能な車載器2aを搭載した車両20aと車載器2bを搭載した車両20bが走行している。
【0054】
車載器2bは、車載器2cが送信する第1の送信信号に含まれるリクエスト要求に基づいて車載器2cとの通信を確立する。通信が確立した後、車載器2cは、第2の送信信号を車載器2bに送信する。車載器2bは、車載器2bの送受信状態が(ii)であるため車載器2cが送信した速度情報を受け付けず、受け付けなかったこと示す受信未完了情報を車載器2cに送信する。なお、車載器2bは、車載器2cに応答信号を送信しないようにしてもよい。
【0055】
車載器2cは、車載器2bから受信未完了情報を受信した場合、または速度情報を送信後の所定時間内に応答を受信できなかった場合、送信失敗と判断する。
【0056】
続けて、車載器2aは、第1の送信信号に含まれるリクエスト要求に基づいて、車載器2cとの通信を確立する。通信が確立した後、車載器2cは、第2の送信信号を車載器2aに送信する。車載器2aは、車載器2aの送受信状態が(i)であり、かつ車載器2cから受信した第1の送信信号に含まれる送受信状態が(iii)であるため、車載器2cが送信した速度情報を受け付ける。そして、車載器2は、受け付けたこと示す受信完了情報を車載器2cに送信する。
【0057】
続けて、車載器2aは、車載器2cから受信した車両20cの速度情報を記憶部25に記憶させる。これにより、車載器2aの記憶部25には、車両20cの速度情報がさらに記憶される。
続けて、車載器2cは、車載器2aから受信完了情報を受信した場合、速度情報を他の車載器2に送信完了したため、送受信状態(iii)から送受信状態(ii)に変更する。なお、車載器2cを搭載した車両が、境界位置121に達するまでに送受信状態(iii)のままの場合、車載器2cは、送受信状態(iii)から送受信状態(i)に変更する。なお、前述したように、車載器2cの境界位置121は、車載器2aの境界位置121と異なり、さらに車載器2bの境界位置121と異なる。記憶部25が記憶する情報に基づいて車載器2cの制御部26が車載器2cの境界位置121を設定する。
【0058】
続けて、車載器2aは、リンクID2の送信車載器決定エリア112を出たとき、車載器2aの記憶部25が記憶する自車両20aの速度情報と、他の車両20bの速度情報と、車両20cの速度情報を、センター装置3に送信する。
【0059】
このように、本実施形態では、例えば車載器2cが車載器2aに車両20aの速度情報を送信後、車載器2cは、送受信状態(iii)から送受信状態(ii)に変更する。このため、仮に車載器2cが車載器2aと再び車車間通信を行った場合であっても、車載器2aは、車載器2cが送信した第1の送信信号に含まれる送受信状態(ii)に基づいて、再送された車載器2cからの第2の送信信号を受け付けない。
【0060】
<第1の送信信号>
図6は、本実施形態に係る第1の送信信号の例を示す図である。図6に示すように、第1の送信信号には、ヘッダーと、リクエスト要求と、送受信状態を示す情報が含まれている。なお、図6に示した第1の送信信号は一例であり、これに限らない。
【0061】
<第2の送信信号>
図7は、本実施形態に係る第2の送信信号の例を示す図である。図7に示すように、第2の送信信号には、ヘッダーと、リンクIDを示す情報と、車載器2が搭載されている車両の速度情報と、送受信状態を示す情報が含まれている。なお、図7に示した第2の送信信号は一例であり、これに限らない。
【0062】
<車載器2がセンター装置3に送信するセンター送信信号>
図8は、本実施形態に係る車載器2がセンター装置3に送信するセンター送信信号の例を示す図である。図8に示すように、センター送信信号には、ヘッダーと、速度を計測したリンクIDを示す情報と、第1の車両20aの速度情報と、第2の車両20bの速度情報と、・・・、第n(nは1以上の整数)の車両20の速度情報が含まれている。例えば、図5(C)に示す例では、車載器2aが送信するセンター情報には、ヘッダーと、リンクID1を示す情報と、車両20aの速度情報と、車両20bの速度情報と、車両20cの速度情報が含まれている。なお、図8に示したセンター送信信号は一例であり、これに限らない。センター送信信号は、各車両20の速度情報の代わりに、10台の車両それぞれの速度の平均値である速度情報と、10台の車両の平均速度であることを示す情報を含んでいてもよい。
【0063】
<2つの車載器2の記憶部25が記憶する情報>
図9は、本実施形態に係る車載器2の記憶部25が記憶する情報例を示す図である。図9に示す例は、車載器2の送受信状態が(i)であり、すでにn個の車載器2から速度情報を受信した例である。
図9に示すように、車載器2は、速度を計測したリンクIDを示す情報に、自車両20の速度情報と、受信した他の車両20の速度情報を関連付けて記憶する。
【0064】
制御部26は、記憶部25が記憶する各車両20の速度情報を第2の送信情報に含めて送信する。なお、制御部26は、例えば10台の車両の速度情報を、車両20別にセンター装置3に送信してもよい。または、制御部26は、10台の車両の速度の平均値である速度情報に、10台の車両の平均速度であることを示す情報を合わせてセンター装置3に送信するようにしてもよい。
【0065】
図10は、本実施形態に係る車載器2の記憶部25が記憶する各送受信状態のときに制御部26が行う処理例を示す図である。
図10に示すように、車載器2の送受信状態が(i)であり、通信相手の送受信状態が(i)または(ii)の場合、記憶部25は、制御部26が速度情報を取得しないことを記憶する。車載器2の送受信状態が(i)であり、通信相手の送受信状態が(iii)の場合、記憶部25は、制御部26が速度情報を取得することを記憶する。
【0066】
車載器2の送受信状態が(ii)であり、通信相手の送受信状態が(i)または(ii)あるいは(iii)の場合、記憶部25は、制御部26が速度情報を取得しないことを記憶する。
【0067】
車載器2の送受信状態が(iii)であり、通信相手の送受信状態が(i)または(ii)あるいは(iii)の場合、記憶部25は、制御部26が速度情報を取得しないことを記憶する。
【0068】
すなわち、車載器2の制御部26は、車載器2の送受信状態が(i)のときに、通信相手の車載器2の送受信状態が(iii)の場合に、相手の速度情報を取得する。
【0069】
<車載器2の間の通信タイミング>
図11は、本実施形態に係る車載器2の間の通信タイミングの例を示す図である。
図11に示す例では、車載器2aが、他の車載器2との通信を周期T1で行う。なお、車載器2aの制御部26は、この周期T1を例えば車載器2aの電源がオン状態にされたとき、または初めて電源がオン状態にされたとき、もしくは初期化後の少なくとも1つのときに設定する。
【0070】
車載器2bは、周期T1より短い周期T2で、他の車載器2との通信を行う。なお、車載器2bの制御部26は、この周期T2を、例えば車載器2bの電源がオン状態にされたとき、または初めて電源がオン状態にされたとき、もしくは初期化後の少なくとも1つのときに設定する。
【0071】
車載器2cは、周期T1より長い周期T3で、他の車載器2との通信を行う。なお、車載器2cの制御部26は、この周期T3を、例えば車載器2cの電源がオン状態にされたとき、または初めて電源がオン状態にされたとき、もしくは初期化後の少なくとも1つのときに設定する。
なお、図11に示した周期T1~T3の長短の順は一例であり、これに限らない。
【0072】
本実施形態では、このように各車載器2の通信タイミングを異なるようにしているので、お互いの通信タイミングが重ならないタイミングが存在する。これにより、2つの車載器2は、通信タイミングが重ならないとき、一方からのリクエスト要求を受信して、通信を確立する。
【0073】
<車載器2の処理手順>
まず、速度計算対象エリアにおける処理手順例を説明する。
図12は、本実施形態に係る速度計算対象エリアにおける車載器2の処理手順例を示すフローチャートである。
【0074】
(ステップS1)制御部26は、測位情報受信部29が出力する位置情報と記憶部25が記憶する情報に基づいて、車載器2を搭載する車両20が、速度計算対象エリアに進入したか否かを判別する。制御部26は、車載器2を搭載する車両20が、速度計算対象エリアに進入していないと判別した場合(ステップS1;NO)、ステップS1の処理を繰り返す。制御部26は、車載器2を搭載する車両20が、速度計算対象エリアに進入したと判別した場合(ステップS1;YES)、ステップS2の処理に進める。
【0075】
(ステップS2)制御部26は、送受信状態を(iii)に設定する。
【0076】
(ステップS3)制御部26は、測位情報受信部29が出力する位置情報と記憶部25が記憶する情報に基づいて、車載器2を搭載する車両20が、速度計算対象エリアを出たか否かを判別する。制御部26は、車載器2を搭載する車両20が、速度計算対象エリアを出ていないと判別した場合(ステップS2;NO)、ステップS2の処理を繰り返す。制御部26は、車載器2を搭載する車両20が、速度計算対象エリアを出たと判別した場合(ステップS2;YES)、ステップS3の処理に進める。
【0077】
(ステップS4)制御部26は、測位情報受信部29が出力する位置情報と時刻情報を用いて、速度計算対象エリアにおける平均速度を算出する。続けて、制御部26は、算出した平均速度を示す情報を自車両20の速度情報として、記憶部25に記憶させる。
【0078】
次に、送信車載器決定エリアにおける処理手順例を説明する。
図13は、本実施形態に係る送信車載器決定エリアにおける車載器2の処理手順例を示すフローチャートである。
【0079】
(ステップS11)制御部26は、測位情報受信部29が出力する位置情報と記憶部25が記憶する情報に基づいて、車載器2を搭載する車両20が、送信車載器決定エリアに進入したか否かを判別する。制御部26は、車載器2を搭載する車両20が、送信車載器決定エリアに進入していないと判別した場合(ステップS11;NO)、ステップS11の処理を繰り返す。制御部26は、車載器2を搭載する車両20が、送信車載器決定エリアに進入したと判別した場合(ステップS11;YES)、ステップS12の処理に進める。
【0080】
(ステップS12)制御部26は、測位情報受信部29が出力する位置情報と記憶部25が記憶する情報に基づいて、車載器2を搭載する車両20が境界位置を超えたか否かを判別する。制御部26は、車載器2を搭載する車両20が境界位置を超えたと判別した場合(ステップS12;YES)、ステップS13に処理を進める。制御部26は、車載器2を搭載する車両20が境界位置を超えていないと判別した場合(ステップS12;NO)、ステップS14に処理を進める。
【0081】
(ステップS14)制御部26は、通信タイミングであるか否かを判別する。制御部26は、通信タイミングではないと判別した場合(ステップS4;NO)、ステップS12に処理を戻す。制御部26は、通信タイミングであると判別した場合(ステップS14;YES)、ステップS15の処理に進める。
【0082】
(ステップS15)制御部26は、リクエスト要求を含む第1の送信信号を、送信部22と送信アンテナ21を介して他の車載器2へ送信し、他の車載器2から第1の送信信号に対する応答を受信する。または、制御部26は、他の車載器2から第1の送信信号を受信した場合に、他の車載器2に対して応答信号を送信する。
【0083】
(ステップS16)制御部26は、他の車載器2と通信が確立できたか否かを判別する。制御部26は、他の車載器2と通信が確立できていないと判別した場合(ステップS16;NO)、ステップS12の処理に戻す。制御部26は、他の車載器2と通信が確立できたと判別した場合(ステップS16;YES)、ステップS17の処理に進める。
【0084】
(ステップS17)制御部26は、自車両20の車載器2の送受信状態を記憶部25から読み出す。続けて、制御部26は、自車両20の車載器2の送受信状態が(i)であるか(ii)であるか(iii)であるかを判別する。制御部26は、自車両20の車載器2の送受信状態が(i)であると判別した場合(ステップS17;(i))、ステップS18に進める。制御部26は、自車両20の車載器2の送受信状態が(ii)であると判別した場合(ステップS17;(ii))、ステップS24に進める。制御部26は、自車両20の車載器2の送受信状態が(iii)であると判別した場合(ステップS17;(iii))、ステップS27に進める。
【0085】
(ステップS18)制御部26は、他の車両20が搭載する車載器2から第2の送信信号を受信したか否かを判別する。制御部26は、他の車両20が搭載する車載器2から第2の送信信号を受信していないと判別した場合(ステップS18;NO)、ステップS18の処理を繰り返す。制御部26は、他の車両20が搭載する車載器2から第2の送信信号を受信したと判別した場合(ステップS18;YES)、ステップS19に処理を進める。
【0086】
(ステップS19)制御部26は、受信した第2の送信信号に含まれるリンクIDを抽出する。続けて、制御部26は、抽出したリンクIDが、現在走行中のリンクIDと一致するか否かを判別する。制御部26は、抽出したリンクIDが現在走行中のリンクIDと一致しないと判別した場合(ステップS19;NO)、ステップS14の処理に戻す。制御部26は、抽出したリンクIDが現在走行中のリンクIDと一致すると判別した場合(ステップS19;YES)、ステップS20の処理に進める。
【0087】
(ステップS20)制御部26は、受信した1の送信信号から送受信状態を示す情報を抽出する。続けて、制御部26は、他の車載器2の送受信状態が(i)であるか(ii)であるか(iii)であるかを判別する。制御部26は、他の車載器2の送受信状態が(i)または(ii)であると判別した場合(ステップS20;(i)、(ii))、ステップS26に進める。制御部26は、他の車載器2の送受信状態が(iii)であると判別した場合(ステップS20;(iii))、ステップS21に進める。
【0088】
(ステップS21)制御部26は、受信した第2の送信信号から速度情報を取得して記憶部25に記憶させる。続けて、制御部26は、受信完了情報を、送信部22と送信アンテナ21を介して他の車載器2へ送信する。処理後、制御部26は、ステップS22に処理に進める。
【0089】
(ステップS22)制御部26は、測位情報受信部29が出力する位置情報と記憶部25が記憶する情報に基づいて、車載器2を搭載する車両20が送信車載器決定エリアを出たか否かを判別する。制御部26は、車載器2を搭載する車両20が送信車載器決定エリアを出ていないと判別した場合(ステップS22;NO)、ステップS14に処理を戻す。制御部26は、車載器2を搭載する車両20が送信車載器決定エリアを出たと判別した場合(ステップS22;YES)、ステップS23の処理に進める。
【0090】
(ステップS23)制御部26は、記憶部25が記憶する自車両20の速度情報と他の車両20の速度情報を、通信部28とアンテナ27を介してセンター装置3へ送信する。処理後、制御部26は、処理を終了する。
【0091】
(ステップS24)制御部26は、他の車両20が搭載する車載器2から第2の送信信号を受信したか否かを判別する。制御部26は、他の車両20が搭載する車載器2から第2の送信信号を受信していないと判別した場合(ステップS24;NO)、ステップS24の処理を繰り返す。制御部26は、他の車両20が搭載する車載器2から第2の送信信号を受信したと判別した場合(ステップS24;YES)、ステップS25に処理を進める。
【0092】
(ステップS25)制御部26は、受信した第2の送信信号に含まれるリンクIDを抽出する。続けて、制御部26は、抽出したリンクIDが現在走行中のリンクIDと一致するか否かを判別する。制御部26は、抽出したリンクIDが現在走行中のリンクIDと一致しないと判別した場合(ステップS25;NO)、ステップS14の処理に戻す。制御部26は、抽出したリンクIDが現在走行中のリンクIDと一致すると判別した場合(ステップS25;YES)、ステップS26の処理に進める。
【0093】
(ステップS26)制御部26は、受信した第2の送信信号から速度情報を取得せず、受信未完了情報を送信部22と送信アンテナ21を介して他の車載器2へ送信する。処理後、制御部26は、ステップS14に処理を戻す。
【0094】
(ステップS27)制御部26は、速度情報を含む第2の送信信号を、送信部22と送信アンテナ21を介して他の車載器2へ送信する。処理後、制御部26は、ステップS28に処理に進める。
【0095】
(ステップS28)制御部26は、受信完了情報を受信したか受信未完了情報を受信したかを判別する。制御部26は、受信未完了情報を受信したと判別した場合(ステップS28;受信未完了情報)、ステップS12の処理に戻す。制御部26は、受信完了情報を受信したと判別した場合(ステップS28;受信完了情報)、ステップS29の処理に進める。
【0096】
(ステップS29)制御部26は、送受信状態を(ii)に設定し、ステップS14に処理を戻す。
【0097】
なお、図13に示した処理手順は一例であり、これに限らない。例えば、制御部26は、処理手順の一部を並列に行ってもよい。
また、図13に示した例では、2つの車載器2の送受信状態がともに(iii)の場合に、速度情報を取得しない例を説明したが、これに限らない。送受信状態が(iii)の車載器2は、送受信状態が(iii)の他の車載器2から速度情報を含む第2の送信情報を受信した場合に、速度情報を取得し、送受信状態を(i)に変更するようにしてもよい。
【0098】
なお、上述した例では、第2の送信情報に含めるリンクIDを走行中のリンクIDとする例を説明したが、これに限らない。第2の送信情報に含めるリンクIDは、速度情報を算出した速度計算対象エリアのリンクIDであってもよい。この場合、ステップS19とS25において、制御部26は、抽出したリンクIDと、速度情報を算出したリンクIDとを比較するようにしてもよい。
【0099】
<第1の変形例>
なお、上述した例では、送受信状態が(i)であっても(ii)であっても(iii)であっても、他の車両20が搭載する車載器2と通信する例を説明したが、これに限らない。制御部26は、送受信状態に基づいて、他の車両20が搭載する車載器2との車車間通信を行うか否かを変更するようにしてもよい。
【0100】
例えば、自車両20の車載器2の制御部26は、自車両20の速度情報を他の車載器2に送信完了して送受信状態を(ii)に変化させた後に通信タイミングになっても、第1の送信信号の送信を行わないようにしてもよい。
また、制御部26は、送受信状態を(ii)に変化させた後に通信タイミングになって他の車載器2から第1の送信信号を受信した場合、第1の送信信号に対する応答信号を他の車載器2に送信しないようにしてもよい。
【0101】
また、制御部26は、送受信状態を(i)に変化させた後に通信タイミングになっても、第1の送信信号の送信を行わないようにしてもよい。
また、制御部26は、送受信状態が(iii)であり通信タイミングになって他の車載器2から第1の送信信号を受信した場合、第1の送信信号に対する応答信号を他の車載器2に送信しないようにしてもよい。
【0102】
また、制御部26は、送信車載器決定エリア以外で通信を行わないようにしてもよい。
【0103】
<第2の変形例>
上述した例では、制御部26が、送信車載器決定エリアのノードの始点からL1[m]に境界位置を設定する例を説明したがこれに限らない。制御部26は、送信車載器決定エリアのノードの終点からL1[m]に境界位置を設定するようにしてもよい。
また、制御部26は、このL1[m]を送信車載器決定エリアの距離に基づいて設定するようにしてもよい。制御部26は、例えば、送信車載器決定エリアの距離が所定値より長い場合に、1以上の所定の係数をL1に乗じてL1を長くするようにしてもよい。また、制御部26は、例えば、送信車載器決定エリアの距離が所定値より短い場合に、1以下の所定の係数をL1に乗じてL1を短くするようにしてもよい。
【0104】
<第3の変形例>
図3図5に示した例では、説明を簡略化するため車線が一行通行の例を示したが、車線は対向車線があってもよい。
図14は、第3の変形例に係る速度計算対象エリア、送信車載器決定エリアの例を示す図である。図3において、上段の車線の走行方向をx軸方向とし、x軸に垂直な方向をy軸方向とする。なお、図3と同じノードとリンク等については同じ符号を用いて、説明を省略する。
【0105】
符号201~203はノードである。ノード201の識別情報がノードID201であるとする。ノード202の識別情報がノードID202であるとする。ノード203の識別情報がノードID203であるとする。
符号251、252はリンクである。リンク251は、ノードID201とノードID202との間の道路区間である。リンク252は、ノードID202とノードID203との間の道路区間である。リンク251の識別情報がリンクID201であるとする。リンク252の識別情報がリンクID202であるとする。
【0106】
符号211で囲んだ領域は、速度計算対象エリアである。
符号212で囲んだ領域は、送信車載器決定エリアである。
符号221は、車載器2の送受信状態が初期状態の場合に、送受信状態を変化させる境界位置を示している。
【0107】
図14に示す例では、速度計算対象エリア111と送信車載器決定エリア112を備える車線をx軸方向の正方向に車両20aが走行し、速度計算対象エリア211と送信車載器決定エリア212を備える車線をx軸方向の負方向に車両20bが走行している。車両20aの車載器2aは、速度計算対象エリア111で自車両20aの速度情報を算出済みであり、送信車載器決定エリア112で境界位置121を超えたため送受信状態を(i)に変化させた後の例である。車両20bは、速度計算対象エリア211で自車両20bの情報を算出済みであり、送信車載器決定エリア212に進入した後に送受信状態を(iii)にさせた例である。
【0108】
ここで、車両20bに搭載されている車載器2bが、車両20aに搭載されている車載器2aにリクエスト要求を送信した場合を説明する。
この場合、車載器2bからのリクエスト要求に基づき、車載器2aが車載器2bとの通信を確立する。続けて、車載器2bは、第2の送信信号を車載器2aに送信する。車載器2aは、受信した第2の送信信号に含まれるリンクIDを抽出する。図14に示す例では、車載器2aが走行しているリンクIDが2であり、自車両20aの速度情報を算出したリンクIDが1である。一方、車載器2bが走行しているリンクIDが202であり、自車両20bの速度情報を算出したリンクIDが201である。このため、車載器2aの制御部26は、車載器2bから受信した第2の送信信号から抽出したリンクIDが、現在走行中のリンクIDと一致しないと判別する。このようにリンクIDを確認することで、送受信状態が(i)の車載器2aの制御部26は、対向車線を走行している車両20からの速度情報を取得することを防ぐことができる。
【0109】
<第4の変形例>
図15に示すように、車両20が路側に停車している場合を説明する。図15は、路側に停車している車両20bが搭載する車載器2bが他の車両20aが搭載する車載器2aに速度情報を送信する例を示す図である。
この場合、車両20bが停車している位置や停車し続けている期間によっては、車両20bの速度情報が略0[km/s]の場合もあり得る。しかしながら、送信車載器決定エリアを走行中の車両20aの車載器2aのリンクIDと、送信車載器決定エリアの路側に停車中の車両20bの車載器2bのリンクIDとが一致する。このため、図14のステップS19とS25では、このような停車状態である車両20bが搭載する車載器2bからの速度情報を取得することを防げない場合があり得る。
【0110】
このため、車両20bのイグニッションキーがオフ状態の場合、制御部26は、他の車載器2と送信しないように制御する。
また、車両20bのイグニッションキーがオン状態の場合、制御部26は、車両20から速度情報を取得し、取得した速度情報が所定値以下の場合に停止していると判別し、他の車載器2に自車両20bの速度情報を送信しないように制御するようにしてもよい。
または、センター装置3が、車載器2から受信した速度情報のうち、所定値以下の速度情報を除外して、速度計算対象エリアの平均速度を算出するようにしてもよい。
【0111】
また、車両20が、速度計算対象エリアで停止していた場合について説明する。例えば、車両20が、速度計算対象エリアの路側で5分停車していた場合、実際の速度計算対象エリアにおける速度とは異なる速度情報が算出されることになる。
このような停車期間を含む誤った速度情報を防ぐため、車載器2は、速度計算対象エリアで停車していた位置を示す停車位置情報を第2の送信信号に含めて送信するようにしてもよい。この場合、制御部26は、車速が所定値以下であった位置を測位情報受信部29が出力する位置情報に基づいて停車位置に決定する。第2の送信信号を受信した車載器2の制御部26が、第2の送信信号から停車位置情報を抽出できた場合、この速度情報を記憶部25に記憶させずに且つセンター装置3へ送信しないようにしてもよい。なお、この場合、受信した車載器2の制御部26は、受信完了情報を、他の車載器2へ送信する。これにより、この受信完了情報を受信した車載器2は、送受信状態を(iii)から(ii)に変更することができる。なお、停車していた位置が複数の場合、停車していた位置を示す情報は複数であってもよい。なお、制御部26は、速度計算対象エリアで停車していた時間を示す停車時間情報を測位情報受信部29が出力する時刻情報に基づいて算出し、取得した停車時間情報を第2の送信信号に含めて送信するようにしてもよい。
【0112】
<送信車載器決定エリアが分岐している場合>
また、図3図14に示した例では、速度計算対象エリアと送信車載器決定エリアが1つずつの例を説明したが、これに限らない。例えば、図16に示すように、速度計算対象エリア111の走行方向の先の道路が第1方向と第2方向に分岐している場合は、第1方向の道路に第1の送信車載器決定エリア112を設け、第2方向の道路に第2の送信車載器決定エリア113を設けるようにしてもよい。図16は、速度計算対象エリア111の走行方向の先の道路が第1方向と第2方向に分岐している例を示す図である。
【0113】
ここで、図16に示した例において、車載器2aを搭載した車両20aと車載器2bを搭載した車両20bが速度計算対象エリア111を走行していたとする。
その後、車両20aが第1の送信車載器決定エリア112に進入し、車両20bが第2の送信車載器決定エリア113に進入したとする。また、第1の送信車載器決定エリア112には、車載器2cを搭載する車両20cが走行していて、車載器2cの送受信状態が(i)であるとする。また、第2の送信車載器決定エリア113には、車載器2dを搭載する車両20dが走行していて、車載器2dの送受信状態が(i)であるとする。
【0114】
車載器2aの制御部26は、速度計算対象エリア111に進入していた期間の自車両20aの平均速度を測位情報受信部29が出力する位置情報と時刻情報を用いて算出し、第1の送信車載器決定エリア112に進入した場合に送受信状態を(iii)にする。車載器2aの制御部26は、第1の送信車載器決定エリア112に進入した後に、第1の送信車載器決定エリア112において送受信状態(i)の車載器2cに自車両20aの速度情報を送信する。この場合、車載器2cは、自車両20cの速度情報と車両20aの速度情報をセンター装置3に送信する。
【0115】
車載器2bの制御部26は、速度計算対象エリア111に進入していた期間の自車両20bの平均速度を測位情報受信部29が出力する位置情報と時刻情報を用いて算出し、第2の送信車載器決定エリア113に進入した場合に送受信状態を(iii)にする。車載器2bの制御部26は、第2の送信車載器決定エリア113に進入した後に、第2の送信車載器決定エリア113において送受信状態(i)の車載器2dに自車両20bの速度情報を送信する。この場合、車載器2dは、自車両20dの速度情報と車両20bの速度情報をセンター装置3に送信する。
【0116】
<送信車載器決定エリアに2つの速度計算対象エリアが合流する場合>
図17は、送信車載器決定エリア112に2つの速度計算対象エリアが合流する例を示す図である。すなわち、図17は、第1の速度計算対象エリア111と第2の速度計算対象エリア114が、1つの送信車載器決定エリア112に合流した例である。換言すると、図17に示す例は、送信車載器決定エリア112に車両20が進入する前に進入する領域である速度計算対象エリアが、送信車載器決定エリア112の進入するノード102を起点として複数に枝分かれしている例である。
【0117】
ここで、図17に示した例において、車載器2aを搭載した車両20aと車載器2cを搭載した車両20cが、第1の速度計算対象エリア111を走行していたとする。また、車載器2bを搭載した車両20bが、第2の速度計算対象エリア114を走行していたとする。その後、車両20aと車両20bが送信車載器決定エリア112に進入したとする。また、送信車載器決定エリア112には、車載器2cを搭載する車両20cが走行していて、車載器2cの送受信状態が(i)であるとする。
【0118】
図17に示す例では、車両20aが搭載する車載器2aが、第1の速度計算対象エリア111に進入していた期間の自車両20aの速度情報を測位情報受信部29が出力する位置情報と時刻情報を用いて算出し、送信車載器決定エリア112に進入した場合に送受信状態を(iii)にする。また、車両20bが搭載する車載器2bが、第2の速度計算対象エリア114に進入していた期間の自車両20bの速度情報を測位情報受信部29が出力する位置情報と時刻情報を用いて算出し、送信車載器決定エリア112に進入した場合に送受信状態を(iii)にする。
【0119】
この場合、第1の速度計算対象エリア111を走行していた車載器2cが、第2の速度計算対象エリア114を走行していた車載器2bからも速度情報を受信して、自車両20cの速度情報と車両20bの速度情報をセンター装置3へ送信してしまうと、第1の速度計算対象エリア111の正しい平均速度をセンター装置3が算出することができない。このため、車載器2aは、第2の送信信号に含めるリンクIDを、速度情報を算出した第1の速度計算対象エリア111のリンクIDとする。また、車載器2bは、第2の送信信号に含めるリンクIDを、速度情報を算出した第2の速度計算対象エリア114のリンクIDとする。
【0120】
そして、車載器2cは、他の車載器2との車車間通信を行うとき、他の車載器2から受信した第2の送信情報に含まれるリンクIDを示す情報を抽出し、車載器2cが車両20cの速度情報を算出したリンクIDと抽出したリンクIDが一致する場合に速度情報を取得する。この結果、車載器2cは、車両20cと同じ第1の速度計算対象エリア111を走行していた車載器2aから速度情報を取得し、車両20cと異なる第2の速度計算対象エリア114を走行していた車載器2bから速度情報を取得しない。そして、車載器2cが、車両20cの速度情報と、車両20aの速度情報を、センター装置3へ送信することで、第1の速度計算対象エリア111における自車両20cと他の車両20aの速度情報をセンター装置3へ送信することができる。この場合、車載器2bは、車載器2aに速度情報の送信に失敗するため、境界位置を超えたとき送受信状態を(iii)から(i)に変更され、自車両20bの速度情報をセンター装置3へ送信する。
【0121】
また、上述した例では、第1の送信信号に基づいて、2つの車載器2が通信を確立した後に、一方の車載器2が他の車載器2に第2の送信情報を送信する例を説明したがこれに限らない。第1の送信情報に、ヘッダーと、リクエスト要求と、送受信状態を示す情報と、リンクIDを示す情報と、速度情報を含めて送信するようにしてもよい。これにより、第1の送信信号を受信した車載器2は、第1の送信情報に含まれる送受信状態を示す情報とリンクIDを示す情報に基づいて、通信対象ではない車載器2との通信を確立しないようにしてもよい。
【0122】
なお、図3図14に示した例では、速度計算対象エリアと送信車載器決定エリアとが近接している例を説明したがこれに限らない。車両20の走行方向に対して速度計算対象エリアが送信車載器決定エリアの前に存在していればよく、速度計算対象エリアと送信車載器決定エリアとは離れていてもよい。
また、上述した例では、制御部26が、測位情報受信部29が受信した位置情報と記憶部25が記憶する情報に基づいて、速度計算対象エリアと送信車載器決定エリアそれぞれのノードIDを検出する例を説明したがこれに限らない。例えば道路に路側機が設置されていて、路側機が、ノードIDを車両に対して送信するようにしてもよい。そして、車載器2は、路側機が送信した送信信号からノードIDを抽出して、速度計算対象エリアと送信車載器決定エリアを検出するようにしてもよい。
【0123】
なお、上述の各実施形態においては、上述した車載器2の各種処理の過程の全てまたは一部は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって上記各種処理が行われる。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0124】
上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。更に、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0125】
以上のとおり、本発明に係るいくつかの実施形態を説明したが、これら全ての実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0126】
1…車両情報収集システム
2,2a,2b,2c,2d…車載器
3…センター装置
20,20a,20b,20c,20d…車両
21…送信アンテナ
22…送信部
23…受信アンテナ
24…受信部
25…記憶部
26…制御部
27…アンテナ
28…通信部
29…測位情報受信部
101,102,103,201,202,203…ノード
111,114,211…速度計算対象エリア
112,113,212…送信車載器決定エリア
121,221…境界位置
151,152,251,252…リンク
L1…距離
(i),(ii),(iii)…状態
T1,T2,T3…周期
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図17