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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】基板を処理するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20220401BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20220401BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20220401BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
H01L21/205
H01L21/68 A
H01L21/302 101G
C23C16/44 B
【請求項の数】 37
(21)【出願番号】P 2020522064
(86)(22)【出願日】2018-09-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-24
(86)【国際出願番号】 EP2018074873
(87)【国際公開番号】W WO2019076553
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2020-06-10
(31)【優先権主張番号】01279/17
(32)【優先日】2017-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】518031387
【氏名又は名称】エヴァテック・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンネス・ヴァイヒャルト
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン・ヴァイヒャルト
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-059999(JP,A)
【文献】特開2009-283904(JP,A)
【文献】特表2017-514991(JP,A)
【文献】国際公開第2011/161912(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
H01L 21/677
H01L 21/3065
C23C 16/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第1の圧力の第1の雰囲気で基板に対して第1の処理を行い、結果として第1の温度を有する第1の処理された基板をもたらす段階と、
(b)続いて、第2の圧力の第2の雰囲気で前記第1の処理された基板に対して第2の処理を行い、前記第1の処理された基板の第2の温度で前記第2の処理を開始し、結果として前記処理された基板をもたらす段階であって、前記第2の温度が、前記第1の温度と異なり、前記第2の圧力が、前記第1の圧力よりも低い、段階と、
(c)段階(a)と段階(b)との間で、前記第1の処理された基板を前記第1の雰囲気から前記第2の雰囲気に閉じ込める段階と、
(d)前記閉じ込める段階のための圧力低下を開始した後、前記閉じ込める段階中、前記第1の処理された基板を前記第1の温度から前記第2の温度に向かって加熱又は冷却する段階と、
を含む、基板を処理する方法又は処理された基板を製造する方法。
【請求項2】
前記第1の温度が、前記第2の温度より高い、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の処理が脱ガスである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の圧力が、周囲大気圧である、請求項1から3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の処理を行う段階と前記閉じ込める段階との間で前記第1の処理された基板の輸送を行う段階を含む、請求項1から4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
周囲大気圧及び周囲雰囲気の少なくとも1つで前記輸送の少なくとも一部を行う段階を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の圧力が、準大気圧である、請求項1から6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
ある圧力低下率で前記閉じ込める段階中に圧力が低下し、前記閉じ込める段階中に熱交換時間を提供する段階を含み、前記熱交換時間中に、前記圧力低下率が、少なくとも前記第1の処理された基板の1つの拡張された表面側部に沿って、前記熱交換時間の前及び後の少なくとも1つにおける前記圧力低下率と比較して低減される、請求項1から7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記閉じ込める段階中に、前記基板と加熱又は冷却表面との少なくとも部分的な接触を確立する段階を含む、請求項1から8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも部分的な接触が、前記閉じ込める段階中の前記基板と加熱又は冷却表面との表面間接触である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記接触が、前記基板を前記加熱又は冷却表面上に付勢することによって確立される、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記付勢が、機械的及び静電的のうちの少なくとも1つによって行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記付勢が、押さえ付け装置によって機械的に行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記付勢が、前記基板の表面の残りの部分が晒される支配的な圧力(p)と比較して接触領域により低い圧力(p)を加えることにより、前記加熱又は冷却表面に面する前記基板の表面と前記基板の表面の残りの部分との間に圧力差(Δpab)を確立する段階を含む、請求項11から13の何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記圧力差Δpabが、少なくとも300Pa、又は、300Pa≦Δpab≦100000Paの範囲、又は、500Pa≦Δpab≦10000Paの範囲であるように選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記支配的な圧力pが、少なくとも400Pa、又は、400Pa≦p≦100000Paの範囲、又は、1000Pa≦p≦20000Paの範囲であるように選択される、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
ロードロックチャンバーの基板と加熱及び/又は冷却表面との間に第1の圧力を確立する段階と、前記ロードロックチャンバーの残りの容積内に第2の圧力を確立する段階と、予め設定された差の値又は予め設定された差の時間的経過に対する前記第1及び第2の圧力の差を負のフィードバック制御する段階と、を含む、請求項1から16の何れか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記閉じ込める段階を行うのと同じ場所での締め出す段階を介して、前記第2の処理された基板を前記第2の処理から取り除く段階を含む、請求項1から17の何れか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記締め出す段階中に、前記第2の処理された基板の更なる加熱又は冷却を行う段階を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記更なる加熱又は冷却が、前記閉じ込める段階中に行われる前記冷却又は加熱と同じ手段によって行われる冷却又は加熱である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
(a)少なくとも1つの基板用の第1の処理ステーションであって、第1の圧力で第1の雰囲気において前記少なくとも1つの基板を処理するように構成され、第1の処理された基板用の第1のステーションの出口を備える、第1の処理ステーションと、
(b)少なくとも1つの基板用の第2の処理ステーションであって、前記第1の圧力よりも低い第2の圧力で第2の雰囲気において前記少なくとも1つの第1の処理された基板を処理するように構成され、第1の処理された基板用の第2のステーションの入口を備える、第2の処理ステーションと、
(c)前記第1のステーションの出口と前記第2のステーションの入口との間に相互接続されたロードロックチャンバーと、
(d)前記ロードロックチャンバーの第1の処理された基板と熱交換するように適合され、前記第1の処理された基板が前記ロードロックチャンバーを通して前記第1の処理ステーションから前記第2の処理ステーションにロードロックされると制御が可能になる、前記ロードロックチャンバーの制御された熱交換デバイスであって、加熱及び/又は冷却表面を備える熱交換デバイスと、
(e)前記加熱及び/又は冷却表面上に基板を付勢するように構成された付勢構成であって、前記付勢構成が、基板を載せた前記加熱及び/又は冷却表面に沿った圧力と、前記加熱及び/又は冷却表面から離れた前記ロードロックチャンバーの支配的な圧力との間の圧力差を制御するように適合された圧力制御部材を備える付勢構成と、
を備え、
前記圧力制御部材は、前記加熱及び/又は冷却表面に沿った圧力及び前記ロードロックチャンバーの支配的な圧力の低下の開始後に前記熱交換デバイスを動作させるように構成される、基板処理装置。
【請求項22】
前記制御された熱交換デバイスが、加熱又は冷却ユニットを備える、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記制御された熱交換デバイスが、加熱冷却ユニットを備える、請求項21に記載の装置。
【請求項24】
前記第1の処理ステーションが、脱ガスステーションである、請求項21から23の何れか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記第1の圧力が、周囲大気圧である、請求項21から24の何れか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記第1のステーションの出口と前記ロードロックチャンバーとの間に相互接続された輸送構成をさらに備える、請求項21から25の何れか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記輸送構成が、周囲大気圧及び周囲雰囲気のうちの少なくとも1つで前記基板を輸送するように設計されている、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記第2の処理ステーションが、準大気圧処理ステーションである、請求項21から27の何れか一項に記載の装置。
【請求項29】
前記圧力制御部材が、前記加熱及び/又は冷却表面の少なくとも1つの開口部に導管によって接続された第1のポンプライン構成と、前記加熱及び/又は冷却表面から離れた前記ロードロックチャンバーへの少なくとも1つのさらなる開口部に別の導管によって接続された第2のポンプライン構成と、を備える、請求項21から28の何れか一項に記載の装置。
【請求項30】
前記加熱及び/又は冷却表面の少なくとも1つの開口部が、前記加熱及び/又は冷却表面の溝のパターンで分岐する、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記第1及び前記第2のポンプライン構成が、共通のポンプ吸引口からの分岐である、請求項29又は30に記載の装置。
【請求項32】
前記第1及び第2のポンプライン構成のうちの少なくとも1つが、圧力制御弁又は流量制御弁を備える、請求項29から31の何れか一項に記載の装置。
【請求項33】
基板を載せた前記加熱及び/又は冷却表面に沿った圧力と、前記加熱及び/又は冷却表面から離れた前記ロードロックチャンバーの支配的な圧力との間の圧力差(Δpab)を、所定の値に、又は、所望の時間的経過に従うように、少なくとも所定の時間、制御するように負のフィードバック制御システムが提供される、請求項21から32の何れか一項に記載の装置。
【請求項34】
前記熱交換デバイスが、基板支持体表面を有する基板支持体と、前記基板支持体表面の周囲に沿った周縁又はクランプリングとを備える、請求項21から33の何れか一項に記載の装置。
【請求項35】
前記熱交換デバイスが、加熱流体及び/又は冷却流体のための導管を備える、請求項21から34の何れか一項に記載の装置。
【請求項36】
前記第2のステーションの入口が、第2のステーションの出口でもあり、前記ロードロックチャンバーが、双方向基板操作用に構成されている、請求項21から35の何れか一項に記載の装置。
【請求項37】
前記ロードロックチャンバーに、
-加熱及び/又は冷却表面と、
-基板用の基板支持体であって、前記支持体上の基板が、前記加熱及び/又は冷却表面と共に空間を画定する、基板支持体と、
-前記空間に動作可能に接続された第1の圧力センサーと、
-前記ロードロックチャンバーの残りの部分に動作可能に接続された第2の圧力センサーと、
-前記第1及び第2の圧力センサーによって測定された圧力の差を、予め設定された圧力差の値に等しくなるように、又は、予め設定された圧力差の時間的経過に従うように制御するために適合されたコントローラーを備える負のフィードバック制御ループと、
を備える、請求項21から36の何れか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、以下の技術から生まれた。
【背景技術】
【0002】
加工対象物又は基板の表面を真空処理する状況において、それらの表面が真空処理プロセス、例えば、薄層堆積プロセス、真空エッチングプロセス等を受ける前に、基板を脱ガスすることがしばしば必要である。脱ガスは、後続の真空処理プロセスに適用される処理雰囲気の圧力より大幅に高い圧力のガス状処理雰囲気で行われる。脱ガスは、大気圧で行われることがよくある。さらに、基板は、脱ガスプロセスによって、後続の真空処理プロセスには高過ぎる温度に加熱されることがよくある。従って、基板は、脱ガスプロセスと真空処理プロセスの開始との間で冷却する必要がある。脱ガスプロセス後の基板の冷却は、脱ガスから真空処理への輸送中に起こることがよくある。それにより、一方では、処理プラント全体の設置面積が増加し、他方では、そのような冷却段階中にそれぞれの表面を損なわないように対策を講じなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
基板の移送及び冷却方法は、米国特許出願公開第2017/0117169号明細書に記載されている。特定の圧力条件を制御するためのロードロック機構には、冷却部材が設けられているが、それは、真空処理された高温ウエハにのみ使用される。より一般化された観点から、基板の表面を脱ガスし、続いて真空処理するという指定された技術から開始して、本発明の目的は、以下の境界条件の下で、基板を処理する、表面処理された基板を製造する、及び、それぞれの基板処理装置の代替方法を確立することである:
-基板は、第1の圧力の第1の雰囲気で第1の処理が行われ、結果として第1の温度を有する第1の処理された基板をもたらす。
-続いて、第1の処理された基板は、第2の圧力の第2の雰囲気で第2の処理が行われ、それによって、第2の処理は、第1の処理された基板の第2の温度で開始される。第2の処理は、処理された基板をもたらす。第2の温度は、第1の温度とは異なり、さらに、第2の圧力は、第1の圧力よりも低い。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、基板を処理する方法又は処理された基板を製造する方法によって達成され、以下の段階を含む:
(a)第1の圧力の第1の雰囲気で基板に対して第1の処理を行い、結果として第1の温度を有する第1の処理された基板をもたらす段階。
(b)続いて、第2の圧力の第2の雰囲気で前記第1の処理された基板に対して第2の処理を行い、前記第1の処理された基板の第2の温度で前記第2の処理を開始し、結果として前記処理された基板をもたらす段階。ここで、前記第2の温度は、前記第1の温度と異なり、前記第2の圧力は、前記第1の圧力よりも低い。
(c)段階(a)と段階(b)との間で、前記第1の処理された基板を前記第1の雰囲気から前記第2の雰囲気に閉じ込める(ロックイン)段階。
(d)前記閉じ込める段階中、前記第1の処理された基板を前記第1の温度から前記第2の温度に向かって加熱又は冷却する段階。
【0005】
従って、より高い処理の第1の圧力からより低い処理の第2の圧力への基板の閉じ込める段階は、第1の処理段階後の基板の支配的な温度を、第2の処理を行うために必要なその基板温度に合わせるためにさらに活用される。第1と第2の処理を相互に直接実行するために提供される装置に追加の装置を必要とせず、閉じ込める段階の条件を活用することが、基板表面の損傷が発生しないことを保証することにおいて、装置全体の設置面積は、減少する。
【0006】
本発明による方法の一変形例では、第1の温度は、第2の温度より高い。
【0007】
本発明による方法の一変形例では、第1の処理は、脱ガスである。一変形例では、脱ガスは、加熱された窒素によって促進することができ、又は、別のガスは、熱を伝達し、脱ガス物質を洗い流すために使用してもよい。
【0008】
本発明による方法の一変形例では、第1の圧力は、例えば脱ガスの第1の処理に使用されるような、周囲大気圧である。
【0009】
基板温度の第1の温度から第2の温度への適応は、場合によっては、本発明による方法の一変形例に従って、基板を低圧の第2の処理に閉じ込める段階中に行われるという事実にもかかわらず、基板輸送は、第1の処理と閉じ込める段階との間の専用の輸送構成によって行われる。それにもかかわらず、この輸送は、温度の適応のニーズではなく、主に機械的な移送のニーズに従って考えられる必要があるため、この輸送は、このような輸送中にのみ基板温度の適応が行われた場合と比較して、大幅に短くなる可能性がある。
【0010】
一変形例では、輸送又は少なくともその一部は、今述べたように、周囲大気圧で、又は、周囲雰囲気でさえ行われる。
【0011】
本発明による方法の一変形例では、第2の圧力は、準大気圧である。準大気圧は、周囲大気圧より低い圧力であると見なされる。準大気圧の同義語は、真空である。真空は、低真空から中真空、高真空、超高真空まで、いくつかの圧力範囲に分類される。それにより、第2の圧力は、対流による又は気相での伝導による熱伝達が無視できる真空レベルであってもよい。
【0012】
本発明による方法の一変形例では、ある圧力低下率で閉じ込める段階中に第1の圧力から第2の圧力に圧力が低下すると、閉じ込める段階中に熱交換時間が提供され、この熱交換時間中に、少なくとも第1の処理された基板の1つの拡張された表面側部に沿って、指定された熱交換時間の前及び/又は後の圧力減少率と比較して圧力減少率が低下する。
【0013】
第1の圧力から第2の圧力への圧力低下の別の変形例では、熱交換が十分に速く、延長された熱交換時間が必要ない場合、圧力低下率を暫定的に低下させる必要がないかもしれない。
【0014】
本発明による方法の一実施形態では、閉じ込める段階中に、基板と加熱又は冷却表面との少なくとも部分的な接触が確立される。部分的な接触は、基板の裏面が点状の接触のみを行う必要がある場合に、例えばピン又はウェブなどの加熱又は冷却表面から突出する高さに基板を接触させることからなることができる。部分的な接触はまた、加熱又は冷却表面の凹部によって実現することができる。
【0015】
本発明による方法の一実施形態では、少なくとも部分的な接触は、基板と加熱又は冷却表面との表面対表面の接触であり、それは、閉じ込める段階中に確立される。
【0016】
本発明による方法の一実施形態では、基板は、接触を確立するために、加熱又は冷却表面に向かって、加熱/冷却表面に付勢される。付勢手段とは、特に、基板を加熱又は冷却表面にクランプ又は押し付けることを意味する。
【0017】
基板がウエハ、ディスク、プリント回路基板、又は硬質パネルなどの硬質である場合、指定された通りの面間接触及びそれぞれの付勢が必要ない場合がある。そのような硬質基板と冷却又は加熱表面との間に明確な空間を確立し、この空間で、ガス相での熱対流又は熱伝導が無視できないガス圧を閉じ込める段階中の時間に維持することは、閉じ込める段階中の第1の温度から第2の温度に順応するのを固定する。
【0018】
そのような基板が平坦である場合、冷却又は加熱表面も通常は平坦である。そのような硬質基板が非平坦である場合、例えば、光学レンズのように屈曲したり湾曲したりすると、冷却又は加熱表面の形状がそれに応じて適合され、例えば、凹面又は凸面となる。
【0019】
硬質基板と冷却又は加熱表面との間の表面間接触を確立すると、追加の直接熱伝導によって常に熱交換が改善されるという事実にもかかわらず、それぞれの基板領域でそのような機械的接触が許容される場合にのみ、それは、確立される可能性がある。
【0020】
それにもかかわらず、基板が硬質ではなく、大きくて薄い基板で遭遇するように軟質である場合、指定された表面と表面の接触は、ほとんど避けられないが、制御されず、指定された付勢によって改善及び制御されるべきである。
【0021】
本発明による方法の一変形例では、加熱又は冷却表面への付勢は、機械的及び静電的のうちの少なくとも1つによって行われる。「機械的に」の一変形例は、例えばダウンホルダーリング又はクランプリングによる、押さえ装置によるものである。「機械的に」には、ガス圧力差による付勢も含まれる。
【0022】
本発明による方法の1つの変形において、指定された付勢は、基板の表面の残りの部分が晒される支配的な圧力pと比較して接触領域により低い圧力pを加えることにより、加熱又は冷却表面に面する基板の表面と基板の表面の残りの部分との間に圧力差Δpabを確立する段階を含む。これにより、基板は、正の圧力差Δpabを(=p-p)によって冷却又は加熱表面に圧力付勢される。一変形例では、押さえ付け装置がさらに使用されてもよい。
【0023】
一変形形態では、圧力差Δpabは、少なくとも300Pa、又は、300Pa≦Δpab≦100000Paの範囲、又は、500Pa≦Δpab≦10000Paの範囲であるように選択される。
【0024】
一変形例では、支配的な圧力pは、少なくとも400Pa、又は、400Pa≦p≦100000Paの範囲、又は、1000Pa≦p≦20000Paの範囲であるように選択される。
【0025】
本発明による方法の一変形例では、所望の正又は負の圧力差Δpabは、負のフィードバック制御ループによって設定される。これは、ロードロックチャンバーの基板と加熱及び/又は冷却表面との間に第1の圧力を確立する段階と、ロードロックチャンバーの残りの容積内に第2の圧力を確立する段階と、少なくとも閉じ込める段階中の所定の時間中に予め設定された差の値又は予め設定された差の時間的経過に対する第1及び第2の圧力の差を負のフィードバック制御する段階と、を含む。それにより、そのような負のフィードバック制御ループ又はシステムは、それぞれの値の第1及び第2の圧力の両方を制御し、又は、それぞれの時間的経過に従うように制御し、間接的に、指定された差の制御をもたらす。あるいは、指定された差は、所望の値に基づいて制御され、又は、所望の時間的経過に従うように制御される負のフィードバックであり得る。後者の場合、指定された圧力の1つ、ほとんどの場合、第2の圧力は、さらに、所望の値に制御され、又は所望の時間的経過に従うように制御される負のフィードバックである。
【0026】
正の圧力差Δpabの代わりに、本発明による方法の別の変形例では、前記第1の処理された基板の反対側の表面側部の支配的な圧力pと比較して、接触領域での圧力pが高い逆圧力の差が負のフィードバック制御ループによって制御される。しかしながら、この変形例は、負の圧力差の力に対して基板を押さえ付けるための押さえ装置を必要とする。このような変形例は、硬質基板と冷却または加熱表面との間の空間と、気相内の熱対流又は熱伝導が熱交換を改善することができるガス圧を閉じ込める段階中の所定時間にこの空間を維持することと組み合わせて適切であり得る。熱交換中に、より高い熱伝導率を持つガス、例えばヘリウム又はアルゴンをこの空間に導入することも可能である。
【0027】
本発明による方法は、さらなる変形例において、閉じ込める段階を行うのと同じ場所での締め出す段階(ロックアウト)を介して、第2の処理された基板を第2の処理から取り除く段階を含む。
【0028】
一変形例では、締め出す段階中に、第2の処理された基板のさらなる加熱又は冷却が行われる。一変形例では、さらなる加熱又は冷却は、閉じ込める段階中に行われる冷却又は加熱と同じ手段によって行われる冷却又は加熱である。
【0029】
本発明による方法の一変形例では、冷却又は加熱、特に冷却を開始する段階は、閉じ込める段階プロセスのための圧力の低下の開始よりも所定の時間後に行われる。
【0030】
柔軟な基板を真空中で加熱又は冷却する方法は、加熱又は冷却表面に向けられた前記基板にわたる圧力の低下を生成することによって前記基板を加熱又は冷却表面に向けて押し付ける段階を含む。
【0031】
本発明による方法の2つ以上の変形例は、矛盾しない限り、組み合わせることができる。
【0032】
本発明の目的はさらに、基板処理装置によって達成され、この装置は、
(a)少なくとも1つの基板用の第1の処理ステーションであって、第1の圧力で第1の雰囲気において少なくとも1つの基板を処理するように構成され、第1の処理された基板用の第1のステーションの出口を備える、第1の処理ステーションと、
(b)少なくとも1つの基板用の第2の処理ステーションであって、前記第1の圧力より低い第2の圧力で第2の雰囲気において前記少なくとも1つの第1の処理された基板を処理するように構成され、第1の処理された基板用の第2のステーションの入口を備える、第2の処理ステーションと、
(c)前記第1のステーションの出口と前記第2のステーションの入口との間に相互接続されたロードロックチャンバーと、
(d)前記ロードロックチャンバーの第1の処理された基板と熱交換するように適合され、前記第1の処理された基板が前記ロードロックチャンバーを通して前記第1の処理ステーションから前記第2の処理ステーションにロードロックされると制御が可能になる、
前記ロードロックチャンバーの制御された熱交換デバイスと、
を備える。
【0033】
制御された熱交換デバイスは、例えば、温度調整可能な少なくとも1つのアクティブな加熱又は冷却要素によって制御される。この温度は、流れ温度によって、又は、それぞれ加熱若しくは冷却流体の供給温度によって、又は、調整可能な電気要素によって調整可能であり得る。
【0034】
本発明による装置の一実施形態では、制御された熱交換デバイスは、加熱又は冷却ユニットを備える。一実施形態では、制御された熱交換デバイスは、加熱冷却ユニットを備える。
【0035】
本発明による装置の一実施形態では、第1の処理ステーションは、脱ガスステーションである。基板を脱ガスするための脱ガスステーションの例は、本願と同じ出願人の米国特許出願公開第2016/0336204号明細書に記載されている。脱ガスは、そのような基板が、例えば1回以上のスパッタ堆積プロセスによって準大気圧で処理される前のポリマーマトリクス基板にとって重要な処理プロセス段階である。
【0036】
本発明による装置の一実施形態では、第1の圧力は、周囲大気圧である。
【0037】
本発明による装置の一実施形態では、第1のステーションの出口とロードロックチャンバーとの間に相互接続された輸送構成が提供される。
【0038】
本発明による装置の一実施形態では、輸送構成は、周囲大気圧及び周囲雰囲気のうちの少なくとも1つで基板を輸送するように設計されている。
【0039】
本発明による装置の一実施形態では、第2の処理ステーションは、準大気圧処理ステーションである。このような第2の処理ステーションは、欧州特許第2409317号明細書に開示されているような、例えば中央の真空搬送チャンバーの周りに配置された1つ以上の真空プロセスチャンバーを備えた真空設備であり得る。
【0040】
本発明による装置の一実施形態では、ロードロックチャンバー内の熱交換デバイスは、例えば加工対象物支持体上に加熱及び/又は冷却表面を備える。
【0041】
本発明による装置のさらなる実施形態は、加熱及び/又は冷却表面上に基板を付勢するように構成された付勢装置をさらに備える。
【0042】
本発明による装置の一実施形態では、付勢装置は、基板を載せた加熱及び/又は冷却表面に沿った圧力と、加熱及び/又は冷却表面から離れたロードロックチャンバーの支配的な圧力との間の圧力差を制御するように適合された圧力制御部材を備える。
【0043】
本発明による装置の一実施形態では、圧力制御部材は、導管によって加熱及び/又は冷却表面の少なくとも1つの開口部に接続された第1のポンプライン構成と、加熱及び/又は冷却表面から離れたロードロックチャンバーへの少なくとも1つのさらなる開口部に別の導管によって接続された第2のポンプライン構成と、を備える。
【0044】
本発明による装置の一実施形態では、加熱及び/又は冷却表面の少なくとも1つの開口部は、加熱及び/又は冷却表面の溝のパターンで分岐する。
【0045】
本発明による装置の一実施形態では、第1及び第2のポンプライン構成は、共通のポンプ吸引口からの分岐である。
【0046】
本発明による装置の一実施形態では、第1及び第2のポンプライン構成のうちの少なくとも1つは、圧力制御弁又は流量制御弁を備える。
【0047】
本発明による装置の一実施形態では、基板を載せた前記加熱及び/又は冷却表面に沿った圧力と、前記加熱及び/又は冷却表面から離れた前記ロードロックチャンバーの支配的な圧力との間の圧力差Δpabを、所定の値に、又は、所望の時間的経過に従うように制御するように負のフィードバック制御システムが提供される。
【0048】
本発明による装置の一実施形態では、熱交換デバイスは、基板支持体表面と、基板支持体表面の周囲に沿った周縁又はクランプリングとを有する基板支持体を備える。指定された外周に沿った縁部(リム)又はクランプリングにより、取り付けられた基板の端部でのガスの流れ抵抗が増加し、基板の反対側の接触領域とロードロックチャンバーの残りの容積との間で流れるガスが少なくなる。言い換えれば、圧力の均等化は、基板の周囲に沿ったそのような縁部又はクランプリングによって提供される圧力段階又は流れ抵抗によって遅くなる。クランプリングの同義語は、ダウンホルダーリングである。
【0049】
本発明による装置の一実施形態では、熱交換デバイスは、加熱流体及び/又は冷却流体のための導管を備える。
【0050】
本発明による装置の一実施形態では、第2のステーションの入口は、第2のステーションの出口でもあり、ロードロックチャンバーは、双方向基板操作用に構成されている。明らかに、第2のステーションは、別個の出力ロードロックチャンバーを有することができ、その結果、入力ロードロックチャンバー及び出力ロードロックチャンバーは、それぞれ一方向で操作されることになる。
【0051】
一実施形態では、本発明の装置は、ロードロックチャンバーに、
-加熱及び/又は冷却表面と、
-基板用の基板支持体であって、前記支持体上の基板が、前記加熱及び/又は冷却表面と共に空間を画定する、基板支持体と、
-前記空間に動作可能に接続された第1の圧力センサーと、
-前記ロードロックチャンバーの残りの部分に動作可能に接続された第2の圧力センサーと、
-前記第1及び第2の圧力センサーによって測定された圧力の差を、予め設定された圧力差の値に等しくなるように、又は、予め設定された圧力差の時間経過に従うように制御するように適合されたコントローラーを備える負のフィードバック制御ループと、
を備える。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図面は、本発明の原理及び特定の実施形態を概略図によって示しているが、本発明の範囲を限定するものではない。
【0053】
図1図1は、本発明による基板処理装置の実施形態を簡略化して概略的に示す。
図2図2は、本発明による装置の一実施形態に適用される第1の処理ステーションを簡略化して概略的に示す。
図3図3は、本発明の装置の実施形態による、制御された熱交換デバイス及び圧力制御部材を備えたロードロックチャンバーを概略的かつ簡略化して示している。
図4図4は、Δpab>0である本発明による装置の一実施形態において制御可能に確立されたロードロックチャンバーの制御された圧力経過を示す。
図5図5は、Δpab<0である本発明による装置の一実施形態において制御可能に確立されたロードロックチャンバーの制御された圧力経過を示す。
図6図6は、本発明の装置の一実施形態による圧力差制御のための負のフィードバック制御システムを備えたロードロックチャンバーを概略的かつ簡略化して示している。
図7A図7Aは、本発明の装置の実施形態による、基板支持体表面の周囲に沿った縁部を簡略化して概略的に示す。
図7B図7Bは、本発明の装置の実施形態による、基板支持体表面の周囲に沿った縁部を簡略化して概略的に示す。
図8A図8Aは、本発明の方法の変形例及び装置の実施形態による、基板を機械的に付勢するために使用される押さえ付け装置を簡略化して概略的に示す。
図8B図8Bは、本発明の方法の変形例及び装置の実施形態による、基板を機械的に付勢するために使用される押さえ付け装置を簡略化して概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図1は、本発明の一実施形態による基板処理装置の概略図である。この基板処理装置は、本発明の教示に従って基板を処理する方法又は処理された基板を製造する方法を実行するのに適している。図示の基板処理装置は、第1の圧力pで第1の雰囲気で少なくとも1つの基板7を処理し、結果として第1の処理された基板7の温度Tをもたらすように構成された第1の処理ステーション1を備える。その後、基板7は、第2の圧力pの第2の雰囲気で第2の基板温度Tで開始する第2の処理ステーション2で第2の処理を受ける。第2の圧力pは、第1の圧力pより低い。より低い圧力pは、第2の処理ステーション2に接続された真空ポンプ6によって確立される。第1の処理ステーション1の基板出口と第2の処理ステーション2の基板入口との間には、ロードロックチャンバー3が相互接続されている。ロードロックチャンバー3は、ロードロック弁4を備える。ロードロックチャンバー3は、第1の処理された基板7を第1の温度Tから少なくとも第2の温度Tに向けて加熱又は冷却するために基板7と熱交換するように適合された制御された熱交換デバイス5をさらに備える。図1では、熱交換が冷却であるため、Tは、Tよりも高い。この装置は、第1の処理された基板7を輸送及び操作するための輸送構成8を任意選択で含むことができる。
【0055】
図2は、本発明の第1の処理ステーション1の一実施形態としての脱ガスステーション9を概略的に示す。脱ガスは、例えば1つ又は複数のスパッタ堆積プロセスなどによる第2の処理において、そのような基板が準大気圧堆積技術によって処理される前のポリマーマトリクス基板にとって重要な処理プロセス段階である。脱ガステーション9では、基板7は、例えば、加熱された窒素の流れ(波状の矢印で示されている)の中で脱ガスされる。窒素は、熱を基板に伝達し、蒸発した脱ガス生成物を基板7から脱ガスステーション9の排出口10に洗い流す。輸送構成8が提供される場合、輸送構成8の少なくとも一部に沿う脱ガスステーションの圧力pは、周囲大気圧patm程度である。
【0056】
図3は、本発明の一実施形態による、制御された熱交換デバイス5及び圧力制御部材11を備えたロードロックチャンバー3の概略的かつ簡略化された図を示す。ロードロックチャンバー3は、ロードロック弁4を備えている。熱交換デバイス5は、加熱又は冷却表面を有するテーブルの形状を有する。制御された動作に応じて、冷却及び加熱に同じ表面が使用される可能性がある。基板7は、熱交換のために加熱又は冷却表面上に置かれる。圧力差によって基板7を加熱及び/又は冷却表面に付勢するために、圧力制御部材11は、ロードロックチャンバー3に関連付けられている。図示の実施形態では、圧力制御部材11は、加熱及び/又は冷却表面の開口部13に導管によって接続される第1のポンプライン構成を備える。開口部13に通じているこの導管では、必要に応じて、装着された基板7と熱交換デバイス5の加熱及び/又は冷却表面との間の接触領域で有効な圧力pを測定することができる(図6に示すように)。開口部13は、図に示されるように、加熱及び/又は冷却表面の溝のパターンで分岐することができる。圧力制御部材11はさらに、加熱及び/又は冷却表面から離れたロードロックチャンバー3に別の導管によって接続された第2のポンプライン構成を備える。チャンバー内のそれぞれチャンバーに近いこの別の導管では、ロードロックチャンバー3の支配的な圧力に対応する圧力pを、必要に応じて(図6に示すように)測定することができる。示される実施形態では、第1及び第2のポンプライン構成は、図3に示すように、圧力制御部材11の共通の真空ポンプ12の吸引口から分岐している。基板7の裏側の領域に沿った圧力p、ロードロックチャンバーの残りの容積内の圧力p、従って圧力差Δpab(=p-p)は、ポンプライン構成の制御弁CV及びSVによって調整される。基板7を熱交換デバイス5の加熱及び/又は冷却表面に向けて及びその上に付勢するための圧力を提供するために、pは、pよりも低くなるように制御される。遮断弁SVは、調節可能な制御弁CVであってもよい。圧力差Δpabの設定と制御には、単一の制御弁CV又はSVで十分である。
【0057】
図4は、本発明の教示によるロードロックチャンバー3の制御された圧力経過の変形例を示している。基板7をロードロックチャンバー3に閉じ込め、制御された熱交換デバイス5の加熱及び/又は冷却表面上に置いた後、圧力制御部材11の真空ポンプ12は、弁CV及びSVを開いた状態で始動される。図4は、2つの例示的な圧力曲線の例で、pとpがどのように減少するように制御されるかを示し、その結果、基板の圧力差の付勢における正の圧力差Δpab(=p-p)>0が得られる。図4による圧力経過は、熱交換デバイス5と基板7との間の表面間の接触熱交換を提供する。表面間の熱交換接触により、最高の熱伝達が実現する。そのような圧力制御によれば、基板は、特に、熱交換時間Δtの間、制御可能に低減された圧力低下率で、熱交換デバイス5の加熱及び/又は冷却表面と表面接触する。より低い圧力レベルに達するとき、熱交換デバイス5は、ロックインの最初からアクティブにすることも、時間Δtの最初にアクティブにすることもできる(図6に示すように、熱交換デバイス5に対する制御18によって)。後者の一連の経過は、第1に処理された基材上の湿気の凝縮を回避するために、冷却の場合に有利である。時間Δtの後、弁CV及びSVが再び完全に開かれ、ロードロックチャンバー3が、第2の処理ステーション2の圧力pとほぼ同じ低圧にポンプダウンされ、第2の処理ステーション2への後続の基板7の移送が可能になる。
【0058】
図5:基板7が裏面で機械的接触を許可しない場合、一変形例では、図5に示すように、図4に示されるものとは逆の圧力経過を制御可能に確立することができる。このような場合、基板7の裏面と熱交換デバイス5の加熱及び/又は冷却表面との間の空間を維持する必要があり、ガス圧力pは、指定された空間内のガスにわたる熱伝導を改善するために、可能な限り比較的高く維持してもよい。従って、基板7の裏側と熱交換デバイス5の加熱及び/又は冷却表面との間の空間における排気速度が、ロードロックチャンバー3の残りの容積の排気速度より低く維持され、図4のΔtと同様に、少なくとも加熱及び冷却時間中に減少するという点で、pは、pより高く維持される。また、このp及びpの制御は、図3に示すように、制御弁CV及び/又はSVによって行われてもよい。この場合の負圧差Δpab(Δpab=p-p<0)のため、この変形例では、負圧差力に対して基板を押さえ付けるための押さえ装置が必要である。そのような実施形態は、図8Bに示されている。
【0059】
図6は、本発明の一実施形態による、圧力制御部材(図3について説明した)及び圧力差制御のための負のフィードバック制御システムを備えたロードロックチャンバーを概略的かつ簡略化して示す。図3の図示された装置に加えて、p及びp用の圧力センサー14及び15、圧力測定入力を備えたコントローラー16、並びに、負のフィードバック制御ループの調整部材としての弁CV及び/又はCVの少なくとも1つに対する1つの出口を備えるフィードバック制御システムが取り付けられる。ユニット17により、圧力レベル及び圧力差Δpabの所望の値、又は、圧力差Δpabの所望の時間的経過が事前設定される。瞬間的に測定された差を、プリセットとしての瞬間的に望まれる差と等しくなるように確立するように、コントローラー16は、制御偏差、すなわち、ユニット17で予め設定された瞬間的に望まれる圧力差の差、及び、測定された瞬間的に支配的な圧力差に依存して、弁CV、CVの少なくとも1つに作用する。弁CVは、手動で、又は、別個の制御によって操作することができ、又は、それはまた、コントローラー16の第2の出力と操作可能に接続することができる。さらに、図6は、熱交換デバイス5のための概略的かつ単純化された制御18を示し、それによって、例えば、アクティブな熱交換は、所望の時点で開始することができる。
【0060】
図7A及び図7B:基板7の周囲に沿って、ロードロックチャンバーの全体の容積から基板7の下の容積へ、又は、その逆の容積へのガス流の抵抗を増加させることによって、十分に高い圧力差Δpabを維持することが容易になる。これは、基板支持体表面の周囲に沿って、又は、それぞれ熱交換デバイス5の加熱及び/又は冷却表面に沿って、対応して構成された縁部19によって達成され得る。基板7の周囲は、適合する縁部19内にある。図7A及び図7Bに示される実施形態は、両方とも、pがp未満であるように設計されている。図7A及び図7Bでは、便宜上、熱交換デバイス5の開口部13は、図7A及び図7Bには示されない。図7Aでは、基板7は、熱交換デバイス5の加熱又は冷却表面と表面間接触している。図7Bでは、加熱又は冷却表面から突き出ている、高さ又は突起20、例えばピン20との部分的な接触のみが存在し、基板の裏面が点接触するだけの場合を示している。
【0061】
図8A及び図8Bは、基板7の外周に沿ってその上でその外周を把持する押さえ装置21、例えばダウンホルダーリング又はクランプリング21で基板7を付勢する変形例及び実施形態を示す。図8Aによる実施形態は、例えば、それぞれの圧力差を確立することなく、押さえ装置によってのみ基板を付勢するために適用可能である。図8Bは、図7Bに類似しているが、逆の圧力差(pはpよりも大きい)、及び、突起20、例えば加熱又は冷却表面から突出するピン20との部分的な接触に対して設計されている。この実施形態では、負圧差の力に抗して基板7を押さえ付けるために押さえ装置が必要である。基板7の下の空間から全体のロードロックチャンバーの容積へのガス流の漏れを低減するために、図8Bに示されるように、押さえ装置21の下方端部が延長される。
【0062】
上記の縁部又はダウンホルダーリングは、圧力pをpから分離するのに役立つ。ダウンホルダーリングにより、p>pを確立することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 第1の処理ステーション
2 第2の処理ステーション
3 ロードロックチャンバー
4 ロードロック弁
5 制御された熱交換デバイス
6 第2の処理ステーションの真空ポンプ
7 基板
8 輸送構成(輸送及び取り扱い用)
9 脱ガスステーション(第1の処理ステーション1としての)
10 脱ガスステーションの排出口
11 ロードロックチャンバーの圧力制御部材
12 圧力制御部材の真空ポンプ
13 加熱及び/又は冷却表面の開口部
14 pの圧力センサー
15 pの圧力センサー
16 フィードバック制御システムのコントローラー
17 所望の値を設定するユニット
18 熱交換デバイス5の制御
19 縁部
20 高さ、突起、ピン
21 押さえ装置、ダウンホルダーリング、クランプリング
第1の処理ステーションの圧力
第2の処理ステーションの圧力
第1の処理ステーションの基板の温度
第2の処理ステーションの基板の温度
atm 大気圧
ロードロックチャンバーの支配的な圧力
接触領域の圧力
Δpab 圧力差(p-p
Δt 熱交換の時間
CV 制御弁(CV1及びCV2も同様)
SV 遮断弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B