(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】イオンビームシステムにおけるビームマッピングのための装置と技術
(51)【国際特許分類】
H01J 37/317 20060101AFI20220401BHJP
H01J 37/04 20060101ALI20220401BHJP
H01J 37/24 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
H01J37/317 C
H01J37/04 A
H01J37/24
(21)【出願番号】P 2020523310
(86)(22)【出願日】2018-10-23
(86)【国際出願番号】 US2018057068
(87)【国際公開番号】W WO2019089279
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2020-06-08
(32)【優先日】2017-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500239188
【氏名又は名称】ヴァリアン セミコンダクター イクイップメント アソシエイツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100134577
【氏名又は名称】石川 雅章
(72)【発明者】
【氏名】エリック ディー ウィルソン
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ エム ギャンメル
(72)【発明者】
【氏名】シュルティ チェンナディ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ティーガー
(72)【発明者】
【氏名】シェーン コンリー
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-004614(JP,A)
【文献】特開2001-229873(JP,A)
【文献】実開平02-091146(JP,U)
【文献】特表2019-532461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/317
H01J 37/22
H01J 37/244
H01J 37/24
H01J 37/04
H01L 21/265
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオンビームのモニタリングのための装置であって、該装置は、
プロセッサと、
該プロセッサに結合され、表示ルーチンを含む、メモリユニットと、を備え、
前記表示ルーチンは、前記プロセッサに作用して前記イオンビームのモニタリングを管理し、前記表示ルーチンは測定プロセッサを備え、該測定プロセッサは、
前記イオンビームの複数のスポットビームプロファイルを受け、該スポットビームプロファイルは、前記イオンビームの高速走査中と、該高速走査と同時に行われる検出器の低速の機械的走査中と、に
イオンビームから生成されて収集され、前記高速走査は、高速走査方向に沿って10 Hz以上の周波数を有する複数の走査サイクルを含み、前記低速の機械的走査は、前記高速走査方向に平行な方向に行われ、
複数のインスタンスで収集された複数の検出器の位置を含む位置情報を前記検出器から受け、前記複数のスポットビームプロファイルは前記複数の検出器の位置に対応し、
前記複数の検出器の位置におけるスポットビーム中心位置を決定し、
前記複数の検出器の位置における前記スポットビーム中心位置と理想的な中心位置との間の差を決定し、
検出器の位置の関数として前記差を表示するための信号を送信する、装置。
【請求項2】
前記測定プロセッサが、ユーザー入力に応答して、前記複数のスポットビームプロファイルの少なくとも一部を表示するために信号を送信する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記測定プロセッサが、前記複数のスポットビームプロファイルの前記少なくとも一部を重ね合わせて表示するための信号を送信する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記測定プロセッサは、
前記複数のスポットビームプロファイルについてのスポットビーム半値幅を決定し、
ユーザー入力に応答して、前記複数のスポットビームプロファイルの少なくとも幾つかのスポットビームプロファイルの前記スポットビーム半値幅と理想的なビーム半値幅との間の差を表示するための信号を送信する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記測定プロセッサは、
前記複数のスポットビームプロファイルから複数の平均スポットビームプロファイルを生成し、平均ビームスポットプロファイルが、連続して記録された少なくとも3つのスポットビームプロファイルの平均を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
イオンビームの制御のための装置であって、該装置は、
高速走査方向に沿って10 Hz以上の周波数を有する複数の走査サイクルにわたって前記イオンビームの高速走査を行うビームスキャナと、
前記イオンビームをインターセプトし
スポットビームプロファイルを生成し、前記高速走査と同時に低速走査を行うように配置された検出器であって、前記低速走査は、前記高速走査方向に平行な走査経路に沿って第1の位置から第2の位置に前記検出器を移動させることを含み、複数のスポットビームプロファイルは、前記低速走査中に前記検出器によって受けられる、検出器と、
前記検出器に結合された、ユーザインターフェースと、
前記ビームスキャナと、前記ユーザインターフェースと、前記検出器とに結合されたコントローラとを備え、該コントローラは、
プロセッサと、
該プロセッサに結合され、表示ルーチンを含むメモリユニットと、を備え、前記表示ルーチンは、前記複数のスポットビームプロファイルから導出された、少なくとも1組の情報を、前記ユーザインターフェース上に表示するために、表示信号を送るように前記プロセッサ上で動作
し、
前記ユーザインターフェースは、表示するための情報の複数の欄及び少なくとも1つのユーザ選択装置を含み、前記表示ルーチンは、前記少なくとも1つのユーザ選択装置から受けたユーザー入力に応答して、前記表示信号を送信するように動作する、装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つのユーザ選択装置は、ビーム線マップボタンを備え、前記プロセッサ上で作動して前記ビームスキャナ及び前記検出器に走査開始信号を送り、前記ビーム線マップボタンからの入力信号に応答し、前記ビームスキャナが前記高速走査を行い、前記検出器が同時に前記低速走査を行う、請求項
6に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つのユーザ選択装置は、スポットの絶対位置ボタンを備え、前記表示ルーチンは、前記スポットの絶対位置ボタンからの入力信号に応答して、前記複数の欄の選択欄内の前記複数のスポットビームプロファイルの少なくとも幾つかのスポットビームプロファイルを提示するための第1の表示信号を前記プロセッサ上で送信するように動作し、前記少なくとも幾つかのスポットビームプロファイルは
、走査パスに沿った位置の関数として提示される、請求項
6に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのユーザ選択装置は、スポットの相対位置ボタンを含み、前記表示ルーチンは、前記スポットの相対位置ボタンからの入力信号に応答して、前記複数のスポットビームプロファイルの少なくとも幾つかのスポットビームプロファイルを、前記複数の欄の選択欄に重ね合わされた態様で提示するための第2の表示信号を、前記プロセッサ上で送信するように動作する、請求項
6に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つのユーザ選択装置は、ビーム線ボタンを備え、前記表示ルーチンは、前記プロセッサ上で、前記ビーム線ボタンからの入力
信号に応答して、前記複数のスポットビームプロファイルの少なくとも幾つかのスポットビームプロファイルのスポットビーム中心位置を計算し、且つ、前記スポットビーム中心位置の比較を理想的な中心位置に前記ユーザインターフェース上に表示するためにフォーマット信号を送信するように動作する、請求項
9に記載の装置。
【請求項11】
前記表示ルーチンは、
複数のスポットビームプロファイルについてのスポットビーム半値幅を決定し、
ユーザー入力に応答して、前記複数のスポットビームプロファイルの少なくとも幾つかのスポットビームプロファイルの半値幅を表示するための信号を送信する、請求項
6に記載の装置。
【請求項12】
前記表示ルーチンは、前記複数のスポットビームプロファイルから複数の平均スポットビームプロファイルを生成し、平均スポットビームプロファイルが連続して記録された5つのスポットビームプロファイルの平均を含む、請求項
6に記載の装置。
【請求項13】
イオンビームを制御する方法であって、該方法は、
高速走査方向に沿った10 Hz以上の周波数を有する複数の走査サイクルにわたってイオンビームを走査するステップと、
前記イオンビームの前記複数の走査サイクルの間、第1の位置から前記高速走査方向に平行な走査経路に沿った第2の位置まで、低速走査の間、イオンビームを通して検出器を機械的に走査するステップと、を有し、
前記検出器は複数のスポットビームプロファイルを生成し、スポットビームプロファイルは、前記走査経路に沿った前記検出器の所与の位置における前記イオンビームのビームプロファイルに対応し、
複数のインスタンスで収集された複数の検出器の位置を含む位置情報を前記検出器からプロセッサにおいて受け、
前記複数の検出器の位置に対応する複数のスポットビームプロファイルを前記プロセッサにおいて受け、
前記複数の検出器の位置におけるスポットビーム中心位置を前記プロセッサにより決定し、
前記複数の検出器の位置における前記スポットビーム中心位置と理想的な中心位置との間の差を前記プロセッサにより決定する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、イオンビームシステムおよび方法に関し、より詳細には、イオンビームの制御を容易にする装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イオン注入装置は、イオンビームが末端ステーションの基板に向けられるときのイオンビームの均一性を測定し、調整するために、検出器を採用してもよい。しばしば、ファラデーカップのような電流モニタの形態の検出器が、基板が処理される末端ステーション内または末端ステーションの近くのビームラインに配置される。走査スポットビームを採用するイオン注入装置では、イオンビームを複数の方法で測定することができる。1つの測定モードでは、このモードは、静止したスロースポットビームプロファイルとみなすことができるが、ビームスキャナはオフにされ、そのため、偏向されていないイオンビームがビームスキャナを通過し、基板面(ウェハ面)上に投影され、しばしばウェハの中心を意味する0 mmの位置にある。ファラデー検出器のような検出器がウェハ面を横切って走査されて、静止イオンビームを測定し、スポットビームサイズ、ビーム形状などの測定値を、例えば300 mmのウェハに対して10秒を要する走査について生成する。走査された線形プロファイルとみなすことができる別のモードでは、ウェハ処理中に採用される走査されたスポットビームの走査速度に速度が一致し得る、1000 Hzのような一定速度でイオンビームが前後に走査されるときに、ウェハ面を横切るイオンビーム密度の正味の結果が測定される。イオンビームがこの高速度で走査されている間、ファラデー検出器のような検出器が、ウエハ面を横切って30 mm/秒で走査されて、静止スポットビーム形状、サイズ等を測定することができる。静止した高速スポットプロファイルとみなすことができる追加のモードでは、0 mm (ウエハ中心)のような静止位置に検出器が配置され、一方、5~16のような数サイクルにわたってイオンビームが検出器を横切って高速走査され、約10 msecで平均スポットビームプロファイルが生成される。スポットビームおよびイオン注入装置が理想的な方法で動作する場合には、ウェハ面を横切るスポットビームに変化はなく、この3つのアプローチは、操作者が上流のイオンビーム走査および集束の問題について視覚的に診断し、補正することができる。特に、スポットビームが走査されるにつれて、スポットビームの形状又は位置がウエハ面にわたって大きく変化する場合、これらの3つのアプローチは、操作者に、上流の走査及び集束の問題を適切に診断し、補正するための十分な視覚ツールを提供するものではない。
【0003】
注目すべきことに、ビームエネルギーが低くなるにつれて、スポットビームはウエハ面全体にわたってますます変化し、その変化はイオンビーム密度の不均一性を引き起こし、そこでは不均一性が補正しにくくなる。操作者が走査スポットビームにおける不均一性を視覚的に識別し、補正することができないことは、最終的には歩留まりを低下させ、半導体デバイスの性能を劣化させる可能性がある。
【0004】
これらおよび他の考慮に関して、本実施形態は提供される。
【発明の概要】
【0005】
本発明の概要は、詳細な説明の中で後述する簡略化された形で、概念の選択を導入するために提供される。本発明の概要は、特許請求の範囲の主題の主要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図しておらず、また、特許請求の範囲の主題の範囲を決定する際の補助として意図された発明の概要でもない。
【0006】
一実施形態では、イオンビームのモニタリングのための装置は、プロセッサと、該プロセッサに結合され、表示ルーチンを含む、メモリユニットと、を含んでもよく、前記表示ルーチンは、前記プロセッサに作用して前記イオンビームのモニタリングを管理する。前記表示ルーチンは測定プロセッサを含んでもよく、該測定プロセッサは、前記イオンビームの複数のスポットビームプロファイルを受け、該スポットビームプロファイルは、前記イオンビームの高速走査中と、該高速走査と同時に行われる検出器の低速の機械的走査中と、に収集される。前記高速走査は、高速走査方向に沿って10 Hz以上の周波数を有する複数の走査サイクルを含んでもよく、前記低速の機械的走査は、前記高速走査方向に平行な方向に行われる。前記測定プロセッサは、表示信号を送って、前記複数のスポットビームプロファイルから導出された少なくとも一組の情報を表示してもよい。
【0007】
さらなる実施形態では、イオンビームの制御のための装置は、高速走査方向に沿って10 Hz以上の周波数を有する複数の走査サイクルにわたってイオンビームの高速走査を行うビームスキャナと、前記イオンビームをインターセプトし、前記高速走査と同時に低速走査を行うように配置された検出器とを含んでもよい。前記低速走査は、前記高速走査方向に平行な走査経路に沿って第1の位置から第2の位置に前記検出器を移動させることを含んでもよく、複数のスポットビームプロファイルは、前記低速走査中に前記検出器によって受けられる。前記装置は、前記検出器に結合された、ユーザインターフェースと、前記スキャナと、前記ユーザインターフェースと、前記検出器とに結合されたコントローラとを含んでもよい。該コントローラは、プロセッサと、該プロセッサに結合され、表示ルーチンを含むメモリユニットと、を含んでもよく、前記表示ルーチンは、前記複数のスポットビームプロファイルから導出された、少なくとも1組の情報を、前記ユーザインターフェース上に表示するために、表示信号を送るように前記プロセッサ上で動作する。
【0008】
別の実施形態では、イオンビームを制御する方法は、高速走査方向に沿った10 Hz以上の周波数を有する複数の走査サイクルにわたってイオンビームを走査するステップを含んでもよい。前記イオンビームの前記複数の走査サイクルの間、第1の位置から前記高速走査方向に平行な走査経路に沿った第2の位置まで、低速走査の間、イオンビームを通して検出器を機械的に走査するステップを含んでもよく、前記検出器は複数のスポットビームプロファイルを生成する。スポットビームプロファイルは、前記走査経路に沿った前記検出器の所与の位置における前記イオンビームのビームプロファイルに対応してもよい。前記方法は、さらに、前記複数のスポットビームプロファイルから導出される少なくとも一組の情報を、ユーザインターフェース上に表示するステップを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1Aは、本発明の実施形態による、走査スポットイオンビームを生成および制御するためのイオン注入システムの概略上面図を示す。
図1Bは、
図1Aのイオン注入システムのコントローラのブロック図を示す。
【
図2】本発明の実施形態によるイオン注入システムの一実施形態の動作を示す。
【
図3】本発明の実施形態による、1つのシナリオの下でのユーザインターフェースの例示的な動作を示す。
【
図4】本発明の実施形態による、1つのシナリオの下でのユーザインターフェースの例示的な動作を示す。
【
図5】本発明の実施形態による、1つのシナリオの下でのユーザインターフェースの例示的な動作を示す。
【
図6】本発明のさらなる実施形態による、異なるシナリオの下でのユーザインターフェースの例示的な動作を示す。
【
図7】本発明のさらなる実施形態による、異なるシナリオの下でのユーザインターフェースの例示的な動作を示す。
【
図8】本発明のさらなる実施形態による、異なるシナリオの下でのユーザインターフェースの例示的な動作を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、いくつかの実施形態が示されている添付図面を参照して、本実施形態をさらに完全に説明する。本発明の主題は、多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書に記載される実施形態に限定されるものと解釈されるものではない。その代わりに、これらの実施形態は提供されるので、この開示は徹底的かつ完全なものとなり、主題の範囲を当業者に完全に伝えるであろう。図面では、同様の数字は、全体を通して同様の要素を指す。
【0011】
本明細書に記載される実施形態は、イオン注入装置、特に走査スポットビームにおいて生成されるイオンビームの改善されたモニタリングおよび制御を提供するシステム、装置および技術に関する。様々な実施形態は、走査スポットビームを測定し、走査スポットビームから収集されたイオンビーム情報を新規な方法で提示することに関連する。以下に詳述するように、1つの動作モードにおいて、本実施形態と一致する、いわゆる移動高速スポットプロファイルモード(またはビーム線マップモード)では、イオン注入装置は、一連の動作を行ってもよい。最初に、基準スポットビーム形状を確立するために、0 mmに位置するスポットビームで、静止高速スポットを実行してもよい。第2に、ファラデー検出器のような検出器が、~300 mmの距離を横断しながら、3分間のように、ウエハ面を横切ってゆっくりと走査される間に、スポットビームを迅速に走査することができる。一連のスポットビームプロファイルは、これらの「移動高速スポットプロファイル」の各々が、0 mmで実行される基準高速スポットプロファイルと比較される所与の間隔で取得される。開示の様々な実施形態と一致して、この比較は、スポットビームの主要パラメータ(サイズ、形状、検出器に対する中心オフセット、対称性、ビーム密度など)が、ウエハ面にわたってどのように変化するかの「マップ」を作成することによって、ビーム線マップモードで実行され得る。いくつかの実施形態によれば、イオンビームがウエハ面を横断するときに、イオンビームにおけるこれらの変化を強調するために、ビーム線マップユーザインターフェースが提供されてもよい。また、ビーム線マップモードで生成された情報は、改善された装置の歩留まりおよび性能のために、これらのイオンビーム変化をより良好に補正するために、ソフトウェアによプロファイルって使用されてもよい。
【0012】
次に、
図1Aを参照すると、本発明の実施形態による、走査スポットイオンビームを生成および制御するためのイオン注入システムの概略上面図が描かれている。イオン注入システムは、イオン注入装置100と呼ばれ、とりわけ、イオンビーム108を生成するためのイオン源104と、イオン注入装置と、一連のビームライン成分とを含むプロセスチャンバを表す。イオン源104は、ガスの流れを受け、イオンを生成するためのチャンバを含んでもよい。また、イオン源104は、チャンバーの近くに配置された電源および抽出電極アセンブリ(図示せず)を備えてもよい。ビームライン構成要素は、例えば、分析電磁石120、質量分解スリット(MRS)124、ステアリング/集束構成要素126、及び基板ホルダ131を含む末端ステーション130を含むことができる。
【0013】
イオン注入装置100は、さらに、MRS 124と末端ステーション130との間のビームライン138に沿って配置されたビームスキャナ136を含む。ビームスキャナ136は、イオンビーム108をスポットビームとして受け取り、図示のデカルト座標系においてX軸に平行なような高速走査方向に沿ってイオンビーム108を走査するように配置されてもよい。特に、基板132は、Y軸に沿って走査されてもよく、そのため、イオンビーム108が横軸に沿って前後に同時に走査されるときに、基板132の全体に所与のイオン処理が行われる。所与の例えば、静止していて走査されていないとき、スポットビームは、当技術分野で知られているように、基板面に沿ったX軸の位置の機能としてビーム電流強度がY軸に沿って測定されるガウスビーム密度断面を呈することができる。イオンビーム108を走査することによって、走査イオンビームが、細長い断面を有する基板132を横切って生成され、走査イオンビーム108の有効幅は、基板ホルダ131の全幅を横切るのに十分である。イオン注入装置100は、
図1Aに示唆されるように、一連の相互に平行な軌道に沿って走査した後にイオンビーム108のイオンを基板132に向けるために、当技術分野で公知のコリメータ(明瞭化のために図示せず)のようなさらなる成分を有してもよい。様々な実施形態では、イオンビームは、数Hz、10 Hz、100 Hz、最大数千Hz、又はそれ以上の周波数で走査され得る。例えば、ビームスキャナ136は、当技術分野で公知のように、磁気又は静電走査要素を用いてイオンビーム108を走査することができる。
【0014】
X軸に沿って前後に等しい高速走査方向にわたってイオンビーム108を迅速に走査することによって、スポットビームとして構成されたイオンビーム108は、基板132を横切って均一な密度の標的イオン照射量を送達することができる。例えば、スポットビームとして構成されるイオンビーム108は、位置(x)の関数としてのイオン電流密度(y(x))の変動を意味するビームプロファイルを示し、このビームプロファイルは、高速走査方向(X軸に平行である)に沿ったような1次元で測定されてもよい。イオンビーム108のビームプロファイルの知識を用いて、基板132を横切るイオンビーム108を正確に走査して、基板132を横切る均一なイオン電流密度を生成してもよい。特に、この均一性を達成するために、イオンビーム108のサイズ、密度、および期待される位置の測定が、最初に実行されてもよい。
【0015】
イオン注入装置100は、イオンビーム108をインターセプトするように配置された検出器134をさらに含んでもよい。検出器134は、ファラデープローブなどの既知の種類の電流検出器、または他の電流検出器であってもよい。検出器134は、高速走査方向(
図1のX軸)に平行な方向に沿った走査を実行するように構成されてもよい。一実施形態では、イオン注入装置は、上で詳述したように、「静止スロースポットプロファイル」モードで動作させることができ、ここで、5秒、10秒、20秒、または他の適当な時間、基板132を横切って検出器134を走査することによって、静止イオンビームをプロファイリングする。
【0016】
一般に、異なる動作モードでは、検出器134は、ウエハ面を横切る直線に沿って、近い位置P1から遠い位置P2まで、数秒から数分間の範囲の持続時間にわたって走査するように構成されてもよい。P1とP2との間の距離は、200 mm、300 mm、または400 mmなど、基板132の全幅を横断するのに適切であり得る。実施形態は、この文脈において制限されない。検出器134は、高速走査方向に沿って数ミリメートルから数センチメートル延びるセンサを含んでもよく、イオンビーム108の一部は、所与のインスタンスでインターセプトされる。
【0017】
イオン注入装置100は、さらに、ビームスキャナ136および検出器134に結合され、ビームスキャナ136および検出器134の動作を調整するコントローラ140を含んでもよい。
【0018】
図1Aにさらに示されるように、イオン注入装置100は、同じく検出器134に結合されたユーザインターフェース142を含んでもよい。ビーム線マッパとも呼ばれるユーザインターフェース142は、ディスプレイとして具現化されてもよく、タッチスクリーン、表示されたメニュー、ボタン、ノブ、および当技術分野で公知の他の装置を含むユーザ選択装置を含んでもよい。様々な実施形態によると、ユーザインターフェース142は、ビームスキャナ136と同様に、検出器134によって実行される走査から導出される少なくとも1組の情報を表示するために、イオン注入装置100の他の構成要素に結合されてもよい。以下に詳述するように、イオン注入装置100は、イオンビーム108のより良い制御を容易にするために、新規なビーム測定値およびビーム測定に関連する情報の新規な視覚ディスプレイを生成するように配置されることが有利である。
【0019】
図1Bにさらに示されるように、コントローラ140は、公知のタイプのマイクロプロセッサ、専用プロセッサチップ、汎用プロセッサチップ、または同様の装置などのプロセッサ152を含んでもよい。コントローラ140はさらに、プロセッサ152に結合されたメモリまたはメモリユニット154を含み、メモリユニット154は表示ルーチン156を含む。表示ルーチン156は、以下に説明するように、イオンビームの監視を管理するために、プロセッサ152上で作動することができる。メモリユニット154は、製造物品を含んでもよい。一実施形態では、メモリユニット154は、光学記憶装置、磁気記憶装置または半導体記憶装置のような、任意の非遷移型コンピュータ可読媒体または機械読み取り可能媒体を含んでもよい。記憶媒体は、本明細書に記載する1つ以上の論理フローを実施するために、様々なタイプのコンピュータ実行可能命令を記憶することができる。コンピュータ可読又は機械可読記憶媒体の例は、揮発性メモリ又は不揮発性メモリ、取り外し可能又は取り外し不能メモリ、消去可能又は消去不能メモリ、書き込み可能又は再書き込み可能メモリ等を含む、電子データを記憶することができる任意の有形の媒体を含むことができる。コンピュータ実行可能命令の例は、ソースコード、コンパイルされたコード、解釈されたコード、実行可能コード、静的コード、動的コード、オブジェクト指向コード、視覚コードなどの任意の適切なタイプのコードを含み得る。実施形態は、この文脈において制限されない。
【0020】
特定の実施形態では、ディスプレイルーチン156は、測定プロセッサ158および制御プロセッサ160を含んでもよい。以下に詳述するように、測定プロセッサ158は、イオンビーム108の複数のスポットビームプロファイルを受けることができ、ここで、スポットビームプロファイルは、プロファイル検出器の走査、すなわち検出器134の低速の機械的走査の間に収集される。メモリユニット154は、さらに、検出されたスポットビームプロファイルを記憶するためのスポットビーム記憶装置162を含んでもよく、これは、例えば、分析のために、また、スポットビーム均一性を改善するために使用される。測定プロセッサ158は、さらに、複数のスポットビームプロファイルから導出された、少なくとも1組の情報を表示するために、表示信号を送ることができる。例えば、表示信号は、スポットビームプロファイルを検索してユーザインターフェース142へ転送するために、送ることができる。測定プロセッサ158は、さらに、計算を実行して、スポットビームプロファイルから導出された様々なパラメータを決定し、表示することができる。いくつかの例では、ユーザインターフェース142は、ユーザー入力に応答して、表示メニュー又は同様の構造を含む選択装置を提供することができ、ここで、測定プロセッサ158は、ユーザー入力に応答して、スポットビームプロファイルからの情報を検索し、フォーマットし、ユーザインターフェース142に送信することができる。
【0021】
次に、
図2を参照すると、本発明の実施形態による、イオン注入装置100の動作のための1つのシナリオが示されている。図は、上述の、ビーム線マッパー動作モードの概観を描写する。このシナリオでは、イオンビーム108は、電流検出器ファラデーカップのような検出器134を横切って静電的に走査されるが、検出器134は、X軸に平行な基板面を横切って機械的に走査される。イオンビームの高速走査と検出器134の低速プロファイル走査を行うこの同時動作により、イオン注入装置100は、イオンビーム108がウエハ面を横切って走査されるときに、理想的な基準スポットビーム(イオンビーム108)がどれだけ変化するかを、それによって決定することができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、検出器134は、P1からP2までの340 mmの距離にわたって低速走査を行ってもよい。この距離は、基板132によってインターセプトされる走査スポットビームの領域をカバーすることができる。低速走査は、検出器134がモータまたは他の駆動機構によって機械的に走査されて、ゆっくりと直線的に移動する機械的走査であってもよい。一例では、検出器134は、約100 mm/分の速度で移動することができ、3.5分でP1からP2までの距離を横断することができる。検出器134の低速走査(機械的プロファイル)の間、スポットビームの形状を有するイオンビーム108は、イオンビーム108が10 Hz、100 Hz、1000 Hz、または他の適切な周波数でX軸にほぼ平行な方向に沿って前後に走査される移動検出器上で高速プロファイル動作を実行することができる。いくつかの実施形態によれば、イオンビーム108の5回の連続した高速プロファイル走査のような選択走査のグループの間、制御装置140は、P1とP2との間の検出器134の所与の位置で検出器134によって記録されたイオンビーム108の5回の走査の平均スポットビームプロファイルを表す、イオンビーム108の平均スポットビームプロファイルを生成することができる。一例において、イオンビーム108の単一の高速走査は、5つの連続プロファイルが50 msecを消費する10 msec持続することができる。従って、検出器134が1 mm/秒の一定速度で進行している場合、平均スポットビームプロファイルを計算するために使用される5回の連続走査は、約0.05 mmの移動距離に対応し得る。ビーム情報の迅速かつリアルタイムな分析および表示を容易にするために、これらの5つの連続したプロファイルの平均ビームスポットプロファイルを格納し、分析のためにコントローラ140にアップロードすることができる。したがって、1000 Hzの走査速度、最大20の平均スポットビームプロファイルにおいて、5回の高速走査を一緒に平均化する各々が、検出器134が1 mm走行時間に記録され得る。いくつかの実施形態では、平均スポットビームプロファイルは、検出器134の低速走査の間、断続的に、または連続的にサンプリングされてもよい。例えば、5回の連続する走査の平均プロファイルをアップロードするためには、0.5秒を消費することがあり、したがって、新しい平均スポットビームプロファイルは、毎秒1回のオーダーで便宜的に記録され、処理され得る。平均スポットビームプロファイルは、イオンビーム108が0.05 mmの距離を横断する間に決定され得るので、所与の平均スポットビームプロファイルは、~0.05 mmの分解能内で、Y軸に沿った任意の所与の位置における準定常スポットビームプロファイルを表す。1つの具体的な実施形態では、300 mmの距離にわたる検出器134の3分間の低速走査の間に、420の平均スポットビームプロファイルをアップロードすることができ、1ミリメートルあたり11の平均スポットビームプロファイルの分解能を生成する。そのように、平均スポットビームプロファイル202の集合は、基板132を横切る位置の関数として、イオンビーム108の詳細な多次元マップを提供する。上記の例では、平均スポットビームプロファイル202を3分間で都合良く収集することができ、一方、データの取り扱いの向上により、収集率を例えば5倍に向上することができる。なお更なる実施形態では、平均スポットビームプロファイルは、わずか1つのスポットビームプロファイル、3つのスポットビームプロファイルから20ものスポットビームプロファイルまでの平均から計算することができる。実施形態は、この文脈において制限されない。様々な実施形態では、平均スポットビームプロファイル202を生成するために収集されるスポットビームプロファイルの数は、ユーザインターフェース142において調整可能であってもよい。より高いノイズスポットビームの場合、平均スポットビームプロファイル202を生成するために使用されるスポットビームプロファイルの数を増加させることができ、より低いノイズスポットビームの場合、平均スポットビームプロファイル202を生成するためにスポットビームプロファイルの数を減少させることができる。このような平均スポットビームプロファイルからの情報の収集および表示は、イオンビーム108の制御を助けることができ、また、イオン注入装置100における上流のイオンビームステアリングまたは集束の問題を特定し、解決することを操作者に助けることができる。
【0023】
例えば、走査スポットビームは、基板上のスポットビームの正確な位置に応じて、形状がずれることがある。この形状のずれは、スポットビームの大きさ、スポットビームの中心位置、スポットビームの半値幅、及びスポットビームのピーク位置を変化させ、スポットビームが走査されるときに基板に向けられるイオンの照射量の制御に誤差をもたらす。特に、スポットビームの(中心の)実際の位置は、理想的な期待位置からずれることがある。本発明の実施形態によれば、
図2に関して上述したように収集されたスポットビームプロファイルに基づいて、検出器134の位置に対するスポットビームの中心の位置を、P1とP2との間の中央位置に位置する場合に、基準スポットビームの中心と比較することができる。例えば、P1は-170mmとして表すことができ、P2は+170mmとして表すことができる。検出器134に関する任意の所与のインスタンスにおけるスポットビームの中心は、0mmにおける基準スポットビームの中心と比較され得る。背景技術として、任意の所与のインスタンスにおけるビームプロファイルは、時間の関数としてイオンの照射量を記録し、P1とP2との間のセグメントに沿った位置に時間をマッピングすることによって、検出器から生成されてもよい。ビーム中心基準に対する検出器134の相対位置は、検出器がゆっくりと走査されるにつれて変化するが、任意の所与のインスタンスにおける検出器134に対する0mmおけるビーム中心の理想的な差を容易に計算し、基準として使用することができる。したがって、理想的な状況では、検出器134の位置とスポットビームの中心との間の差は、スポットビームの照射量の中心とビーム形状の対称性が変化しないように見えるはずである。上記とは異なり、理想的な状況では、走査されたスポットビームは、形状を変えず、スポットビームがウエハ面を横切って走査されるときに、期待される位置に位置する。注目すべきことに、スポットビームが形状を変化させる場合、または実際の位置対期待される走査位置が変化する場合、それらの異常は、ビーム線マッピングモードで動作しているときに、イオン注入装置100の情報の収集および表示によって強調されるであろう。
【0024】
続く
図3~5において、ユーザインタフェース142の例示的な動作が、上述した実施形態に従って処理された、高エネルギー走査スポットビームにおけるビームの非理想性を診断し、制御するように図示されている。初期事項として、基準動作モードでは、100 kVのアルゴンビームのような基準イオンビームを静止ビームとして導き、ウエハの中心の0 mmに対応する位置で既知の手順に従って測定することができる。1つの例では、既知の測定手順から3つのパラメータを得ることができる。1)推定された均一電流(EUC)、2)スポットビーム中心、および、3)ビーム半値幅。
【0025】
図3は、非理想的な状況における検出器位置の機能としてスポットビーム位置の変動を示すために、ユーザインタフェース構成300を示す。この場合、走査された100 kVのアルゴンイオンビームが、標的位置からのビームシフトを引き起こす方法で基板(ウェハ)に向けられる。本発明の実施形態に従って、検出器134は、スポットイオンビームが上述のように前後に急速に走査される間、ゆっくり走査されてもよい。
図3に示される情報は、約3.5分持続時間の検出器134のための低速走査中に収集されたイオン電流データを表すことができ、ユーザインターフェースに瞬時にアップロードされ、一時的に保存され、またはその後の表示のために永久的に保存されてもよい。
【0026】
様々な実施形態では、自動的に、又はユーザー入力に応答して、このような低速走査中に収集された情報は、計算され、操作され、検索され、フォーマット化され、又はディスプレイ上に提示され、又はこれらの動作の任意の組合せが可能である。いくつかの実施形態に従って、ユーザインターフェースは、ボタン、ダイヤル、またはディスプレイ上のメニューやソフトキーなどのソフト選択メカニズムなどのハードウェアを含むことができる。いくつかの実施形態に従って、ユーザインタフェース構成300は、ユーザが表示のための様々な種類の情報を選択できるようにするメニュー330を含んでもよく、情報は、検出器134の所与の低速走査のスポットビームプロファイルから導出される。いくつかの実施形態では、情報は、位置情報、スポットビーム形状に関連する形状情報などを含んでもよい。位置情報の例は、複数の検出器位置を含む低速走査中の検出器の受信位置情報を含む。形状情報の例は、スポットビーム半値幅と同様に、スポットビームプロファイルを含んでもよい。実施形態は、この文脈において制限されない。
図3の例では、メニュー330は、ユーザが欄302、欄312および欄322を含む複数の欄内の情報を検索および表示できるようすることができる。
【0027】
様々な実施形態において、メニュー330は、ユーザー入力に応答してイオン注入装置に走査動作を実行させてもよく、または以前に実行された走査から情報を検索して提示してもよい。例えば、ある実施形態では、メニュー330は、ハードウェアボタンのような選択装置、または特定の動作セットを実行するためのソフトボタンを含むことができる。一実施形態では、メニュー330は、ビーム線マップボタン331を含んでもよく、ここで、押されると、イオン注入装置がビーム線マップモードに入るように指示され、検出器の低速走査と同時にビームスキャナの高速走査を行うことと、検索され提示されるデータとを含む。幾つかの実装形態では、ビーム線マップボタン331の係合は、上述したビーム線マップモードに従って指定された走査が実施された、既に実施された指定された走査からのデータのアップロード及び分析を単に引き起こすことができる。様々な実施形態では、例えば、340 mmの距離にわたって検出器が走査されるときに、420個までの別個の平均スポットビームプロファイルを、3分、1分、又は20秒という少ない時間で収集することができる。1つの手順において、少なくとも1 mmあたりのスポットビームプロファイルを収集する低速走査に基づいて、スポット位置絶対ボタン332を係合させて、検出器134の異なる位置の機能として一連のスポットビームプロファイルを表示することができる。この情報は、分野322に示されており、ここでは、一連のスポットビームプロファイル324が示されており、中間のスポットビームプロファイルは、互いに50 mmの距離だけ離れている。表示されるべきスポットビームプロファイルの中のプロファイルの数および間隔は、いくつかの実施形態においてメニュー330において調整可能であり得る。例えば、操作者は、特定のビーム線マップに対して、ある量のプロファイル及びそれらの間隔が、ウェハ面にわたるスポットビーム位置変化における特定の傾向を強調するのに理想的であることを見出すことができる。図示するように、スポットビームプロファイルの形状は、左から右に変化する。
【0028】
いくつかの手順では、欄302の曲線304によって例示されるように、スポットビームのEUCの変化も表示され得る。例えば、検出器134のプロファイル位置の~1 mm刻みでのスポットビームのEUCは、0 mmでの基準スポットビームのEUCと比較され得る。一例では、この情報は、示されるように、欄302においてフォーマット化され、提示されてもよく、ここで、EUCの差(%)は、曲線304に示される。このEUC測定の上昇は、-170 mmと-50 mmの間のスポットサイズの顕著な増加を示している。
【0029】
追加の手順では、~1 mmの増分で、検出器134に対するスポットビームの中心を、0 mmでの基準スポットビームの中心と比較することができる。これら2つの値の差は、曲線306によって示されるように、欄312内に視覚的に表示され得る。図示するように、スポットビームの期待位置に対する実際の位置の差は、左辺で最大10 mmシフトし、一方、右側では一般的に整列される。従って、このような知識を持ったた操作者は、スポットビームの水平シフトを低減又は排除するために、ビームラインパラメータの適切な調整を行うことができる。
【0030】
追加の手順では、検出器134の位置の1 mm刻みで、スポットビームの半値幅を、0 mmで測定された基準半値幅と比較してもよい。
図3において、欄312はまた、0 mmに対応する位置で測定された半値幅と比較して、位置の関数としてスポットビームの半値幅をプロットした曲線308を含む。この情報は、基板132の左側において、スポットビームの半値幅が-150 mm (300 mmウエハの左端を表す)でそのように狭くなる状況を示し、半値幅は5 mmだけ圧縮される。ユーザ・インタフェース構成300に示される異なるフィールドは、単に例示的なものであり、ユーザ・インタフェース142上で自動的に生成されてもよく、または、注記されるように、ユーザー入力に従って生成されてもよい。
【0031】
図4は、ユーザインタフェース構成350の別の例を提示し、スポットビーム形状がウェハ面にわたってどのように変化するかをより良く示すために、
図3に提示されたものと同じ情報がどのように表示されるかを図示する。スポットの相対位置ボタンを押すことにより、
図4の「絶対」表示において50 mm間隔で示されるスポットビーム波形は、0 mmのような所与の位置で集合325として互いの上に全て重ね合わせることができる。この表示は、スポットビームがウェハ面を横切って走査されるときに、スポットビームのサイズ又は形状のトレンドをハイライトすることによって、オペレータを助けることができる。一実施形態では、スポットビームの位置は、測定時に実行される検出器の低速走査中に、検出器の位置に対して表示される。
【0032】
各波形は、所定の位置に色分けされ得るので、操作者は、波形の絶対位置を容易に決定することができる。スポットビームプロファイル324を互いに0 mmで重ね合わせることにより、操作者は、スポットビームがウエハ面を横切って走査されるときのスポットビーム形状の微妙な変化を迅速に決定することができる。従って、ユーザインタフェース142は、ユーザインタフェース構成300及びユーザインタフェース構成350にそれぞれ例示されているように、操作者がスポットの絶対位置とスポットの相対位置との間を素早く前後にジャンプすることを可能にする。たとえば、操作者は、相対表示の特定の色を持つ異常なスポット形状が実際に絶対表示のどこに配置されているかを簡単に確認できる。ウェハ面上の特定の位置におけるスポットビームのサイズ又は位置の異常に関するこの知識を有することにより、操作者は、スポットビームがウェハ面を横切って走査されているときに、これらの異常を取り除く方法で、スポットビームの上流の集束又はステアリングを改善するための調整を行うことができる。
【0033】
図5は、スポットビーム内の非理想性を強調するために、
図4のために取得された同じ情報が、ユーザインタフェース構成360においてどのように表示され得るかの別の例を示す。一例では、ビーム線ボタン336を押すことによって、表示ルーチン156はフォーマット信号を生成することができ、ここに、一連のビーム線マップの収束/発散線326が表示される。これらの線は、欄322に示されるように、理想的な中心位置(破
線)と比較して、検出器134の遅い走査経路に沿った50 mm刻みのような、所与の刻みでのスポットビーム中心位置を示す。ここでも、実際のビーム中心(実線)の位置のシフトは、ユーザに、ウェハの左半分上のスポットビームのインボードシフトの明確な視覚的表現を提供する。
図3~5に提供される情報は、操作者により用いることができ、イオン注入装置の少なくとも1つの成分についての制御パラメータを迅速に調整して、これらのスポットビーム変化を減少させることができ、その減少は、例えば、全体的な走査ビーム均一性の改善をもたらすことができる。
【0034】
特定の実施形態では、スポットビームプロファイルを収集し、分析して、スポットビームのビームスキャナの動作に関する情報を提供することができる。背景技術として、既知のビームスキャナでは、スカラー較正定数(SCC)を適用して、ビームスキャナの静電電極に印加される電圧及びウェハ面に沿ったスポットビームの期待位置(ウェハ面に平行な走査を表す、
図1のP1とP2との間の方向を参照)をマッピングすることができる。20 kV未満に加速された低エネルギーイオンビームの場合、このSCCマップの精度は、低エネルギー均一性調整時間と成功率を生成するために特に有用である。固定検出器上の走査スポットビームを使用する公知のプロファイリング技術は、SCCが正しくない場合にスポットビームがどのように誤ってステアリングされるかについての情報を生成することができない。同様に、0 mmにおける既知の非偏向スポットビーム波形の線形測定は、不正確なSCCに関する情報を含まない。顕著には、本発明の実施形態によるビーム線マップ可視化を使用すると、不正確なSCCは、ビームがウエハ面を横切って走査されるときに、(0 mmでの基準に関して)スポットビーム位置差の下向きまたは上向きの傾向を示すことができる。
【0035】
上述したように、本発明の種々の実施形態と一貫して、ユーザが、ビーム線ボタン336(
図3~5に示される)のようなユーザインタフェース142上の装置、欄、またはボタンに関与すると、入力信号を生成し、ユーザインタフェース142は、走査されたスポットビームの形状に関連する種々の情報を表示することができる。次に
図6を参照すると、ユーザインターフェース構成370が示されており、そこでは、表示される情報は、走査された5 kVホウ素スポットビームから導出される。スポットビームは、検出器の走査中にスポットビームが前後に迅速に走査される間に検出器134の低速走査が行われる上述の方法で走査される。ユーザインタフェース配置370に示される情報の少なくとも一部は、ビーム線ボタン336の選択に応答して表示される。この例では、ユーザインタフェースは、上述した欄302、欄312、および欄322を含む。曲線374は、上述のように、EUC差分曲線を示す。曲線374は、0 mmの位置に関して一般に対称であり、-100 mmと+100 mmとの間の大きな変動を示さない。曲線374は、0 mmでの基準スポットビームサイズと比較した場合、+/-150 mmでスポットビームサイズがおよそ-10%まで低下する様子を示している。しばしば、均一性調整ルーチンは、EUC降下に従って走査ビーム速度を遅くすることによって、ウェハの側面上でこのより低いビーム密度の降下を補償することができる。注目すべきことに、実際のスポットビーム位置が期待される位置からシフトされる場合、EUC降下を補償するためのこれらの速度調整は、ウエハ面上の間違った場所にあり、チューニングルーチンは、所望の走査ビーム均一性を達成するのが困難である可能性がある。曲線376の傾きは、+/-100mmの間の期待されるスポットビーム位置、対、実際のスポットビーム位置のシフトを強調する。このシフトは、SCCが高すぎることを示している。
【0036】
この配置において際立っている主な特徴は、欄312における曲線376の形状である。曲線376は、検出器134の低速走査中の位置の関数として示される、実際のスポットビーム中心と理想的なビーム中心との間のビーム中心の差を表す。曲線376は、検出器134の低速走査中に検出器134によって測定されるスポットビーム中心と1 mmでのスポットビーム中心との間で、ビーム中心差の有意な負の傾きを示す。この負の傾きは、ウェハの右側に位置するスポットビームのビーム線が、予想されるよりも「内側」(0 mmに向かって)であることを意味する。
【0037】
欄312は、また、検出器位置の機能として走査スポットビームの半値幅をプロットする曲線378を含む。この例では、半値幅は、ウェハ(基板132)の左辺から右側に向かって単調に増加する。
【0038】
ユーザインターフェース構成370は、また、欄322を含み、基板132を横切る一連の公称位置について垂直破線で示されている、目標位置からの検出器134の走査中の測定されたスポットビーム位置のシフトを図示する。図示の例では、偏向されていないビーム線は、40 mmのビーム中心位置を有する。スポットビームが+150 mmでウエハの右端にわたって走査されるとき、実際のスポットビーム位置は、190 mm (偏向されていないビーム中心が40 mmだけオフセットされている)にターゲットされる。スキャナに適用されるSCCが、高すぎるなどの誤差がある場合、欄322に示されるように、実際のスポットビームは180 mmに位置決めされ得る。この位置がウェハから外れている間に、位置ずれは、スポットビームの幅のために、ウェハ上のビーム電流の均一性に影響を及ぼす可能性がある。スポットビームが-150 mmでウエハの左端に走査されるとき、目標とするスポットビーム位置は110 mmであるべきである。収束のため、実際のスポットビーム位置は-105 mmであることが示されている。
【0039】
ウェハ面に沿った位置(P1とP2の間)の機能としてのこれらの不一致の視覚ディスプレイは、操作者が低エネルギーイオンビームを適切にステアリングし、集束するのを補助するのに有用である。上述したように、スポットビームのこの配置ミスは、6%の高すぎるSCCによって生じ得る。この高い値のSCCは、ビーム線をますます収束させ、さらに、ビーム線がウェハの中心から偏向される。最終的には、この偏差によって、均一性調整ルーチンが失敗するか、または異常に高くなる可能性がある(この状況は、装置の歩留まりに影響を与える可能性がある)。従って、SCC誤差をユーザに視覚的に警告することができる情報をタイムリーに収集することにより、スポットビームによって注入される又は別の方法で処理される実際のウェハを処理する前に、ビームスキャナを調整してSCC誤差を低減又は排除することができる。
【0040】
さらなる実施形態と一貫して、ユーザインタフェース142は、同一シリーズのスポットビームプロファイルに関連する情報を表示するために、複数の異なる方法を提供することができる。
図7は、ユーザが、上述したスポットの相対位置ボタン334などの欄またはボタンに関与すると呼び出される、ユーザインタフェース構成380を示す。示されるように、欄322が表示され、この欄は、SCCがビームスキャナに対して高すぎる場合のSCCの悪影響を更に示すために有用であり得る。
図6の例に続いて、SCCが6%高すぎる場合、検出器134の走査中に異なる場所でサンプリングされたスポットビームのビーム形状は、異なる場所で収集されたビームプロファイルが互いに重ね合わされる方法で示され得る。
図7において、欄322では、比較のために、多数のスポットビームプロファイルを偏向されていないスポットビームプロファイルに重ね合わせることができる。偏向されていないビーム曲線は曲線382として示され、一方、曲線384は+150 mmだけ偏向されたスポットビームを表し、曲線386は-150 mmだけ偏向されたスポットビームを表す。曲線384は、+150 mmにおけるスポットビームが、10 mmの内側シフトと10%のビーム高さの減少を有することを示し、一方、曲線386は、-150 mmにおけるスポットビームが、5 mmの内側シフトを有し、ビーム高さも10%減少することを示す。
【0041】
実用上の問題として、
図6及び7に示すユーザインタフェース構成は、一連のスポットビームプロファイルを収集するために検出器134の低速走査が実行された後にユーザに提示されてもよい。例えば、操作者が最初にスポットビームプロファイルセットを得るとき、まず、曲線376を喚問して、ビーム中心の差を示す曲線の傾きが、ウェハ中心に対して+/-100 mmのようなターゲット領域にわたって平坦であることを検証することができる。図示のように、曲線376が平坦でない場合には、曲線378又は
図6及び
図7の欄322に示される情報のようなさらなる情報を採用して、ビームスキャナのようなビームライン構成要素における修正をガイドすることができる。
【0042】
図6及び
図7の例にき続き、
図8は、ユーザインタフェース構成390を示し、SCCの値の修正後の走査5 kVホウ素スポットビームの測定結果を示す。この例では、EUC曲線394は、上述した曲線374に類似していてもよい。同様に、ビーム半値幅を示す曲線398は、上述の曲線376に類似してもよい。注目すべきことに、ビーム中心 差を表す曲線である曲線396の傾きは、ほぼゼロに減少されており、これは、走査されたスポットビームのビーム線が、ビームスキャナによって、期待される位置又はそれに近い位置でウエハ面上に偏向されることを意味する。異なるように、調整されたSCCは、ビームスキャナに適用されると、走査されたスポットビームのビーム線を真っ直ぐにし、
図6に示される収束を除去する。欄322では、走査スポットビームのビーム中心の位置も、目標とする理想的なビーム位置に密接に一致するように示されている。
【0043】
次に、
図9を参照すると、本発明のいくつかの実施形態による、プロセスフロー900が示される。ブロック902では、動作は、高速走査方向に沿った複数の走査サイクルにわたってイオンビームを走査することによって実行される。
【0044】
ブロック904では、動作は、高速走査方向に平行な、第1の位置から走査経路に沿った第2の位置まで、イオンビームの複数の走査サイクルの間、低速走査でイオンビームを通して検出器を走査することによって実行される。検出器の走査の結果として、一連のスポットビームプロファイルが生成され、ここで、スポットビームプロファイルは、走査経路に沿った検出器の所与の位置におけるイオンビームのビームプロファイルに対応する。
【0045】
ブロック906において、操作は、複数のスポットビームプロファイルから導出された、少なくとも一組の情報をユーザインターフェース上に表示することで実行される。様々な実施形態では、一組の情報は、イオンビームの複数の走査サイクルから収集された標的とされた複数の走査サイクルのディスプレイを含んでもよい。
【0046】
要するに、本実施形態の装置及び技術は、スポットビームがウエハ面を横切って走査されるときに、走査されたスポットビーム特性がどのように変化するかの新規な可視化を提供する。この情報は、より低いエネルギースポットビームの場合に次第に有用になり、低エネルギースポットビームは、ビーム形状の著しい変化及び低エネルギースポットビームの走査中のウエハ平面位置における期待位置からの偏差を示すことができる。走査されたスポットビームの形状および位置の変化を可視化することができることによって、操作者は、検出器の上流の集束およびステアリング要素に対する調整を容易に行うことができ、これらの変化を最小限に抑え、全体的な均一性、反復性および調整時間を改善することができる。
【0047】
本実施形態によって提供される利点は、多種多様である。第1の利点として、本実施形態は、ビームスキャナのスカラー較正定数が不正確である場合に迅速な決定を行い、ソフトウェアまたは他の機器が走査ビームに対してより正確な調整を行うことを可能にする。特に、基板のエッジにおけるような、SCCにおける任意の非線形収束または発散は、強調され得る。もう1つの利点は、ビームライン内の構成要素がイオンビームに局所的にどのように影響を及ぼすかを明らかにする機能である。例えば、フラッドガンまたは同様の構成要素は、走査イオンビーム内に局部摂動を生じさせ得、そこでは、局部摂動は、本明細書に開示されるようなユーザインタフェース内で可視化され、そこでは、そのような摂動は、既知のビームプロファイル測定アプローチによって測定できない。さらなる利点は、所与のパラメータを変化させる走査スポットビーム特性への影響が、数分間以下の域内で迅速に評価され得るので、ビーム方式開発の容易性が増大することである。
【0048】
本発明の範囲は、本明細書に記載した具体的な実施形態に限定されるものではない。事実、本発明に対する他の様々な実施形態および修正は、本明細書に記載されるものに加えて、前記の説明および添付図面から当業者には明らかであろう。このため、そのような上記以外の実施形態および変形例は、本発明の範囲に含まれるものである。さらに、本発明は、本明細書において、特定の目的のための特定の環境における特定の実施の文脈で説明されたが、当業者であれば、その有用性はこれに限定されるものではなく、本発明は、任意の数の目的のために、任意の数の環境において有益に実施され得ることを認識するであろう。したがって、以下に記載される特許請求の範囲は、本明細書に記載される本発明の全幅および精神に鑑みて解釈される。