(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】接着性可塑剤-ポリマーマトリックスに基づく経皮治療システム
(51)【国際特許分類】
A61K 9/70 20060101AFI20220401BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20220401BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20220401BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20220401BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20220401BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20220401BHJP
A61K 31/122 20060101ALI20220401BHJP
A61K 31/216 20060101ALI20220401BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20220401BHJP
A61K 31/381 20060101ALI20220401BHJP
A61K 31/437 20060101ALI20220401BHJP
A61K 31/13 20060101ALI20220401BHJP
A61K 31/663 20060101ALI20220401BHJP
A61K 31/4535 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
A61K9/70 401
A61K47/34
A61K47/44
A61K47/38
A61K47/32
A61K47/10
A61K31/122
A61K31/216
A61K31/506
A61K31/381
A61K31/437
A61K31/13
A61K31/663
A61K31/4535
(21)【出願番号】P 2020527938
(86)(22)【出願日】2018-11-21
(86)【国際出願番号】 EP2018082090
(87)【国際公開番号】W WO2019110306
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2020-07-16
(31)【優先権主張番号】102017127433.2
(32)【優先日】2017-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】300005035
【氏名又は名称】エルテーエス ローマン テラピー-ジステーメ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ミカエル・リン
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・ミュラー
(72)【発明者】
【氏名】マリウス・バウアー
【審査官】柴原 直司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第02/008351(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/108209(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/70
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性物質不透過性の裏張り層および活性物質不透過性の裏張り層の片側
のマトリックス層を含む経皮治療システムであって、
マトリックス
層は、少なくとも1種の薬学的に活性な物質
、ポリビニルカプロラクタム/ポリ酢酸ビニル/ポリエチレングリコールコポリマー、セラック、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび/またはポリビニルピロリドンから選ばれる少なくとも1種の本質的に非接着性のポリマー、および
グリセリンおよび/またはポリエチレングリコールから選択される少なくとも1種の可塑剤を含
み、該マトリックス
層は本質的に接着性のポリマーを含まないことを特徴とする、前記経皮治療システム。
【請求項2】
活性物質不透過性の裏張り層が所在していな
いマトリックス
層の片側に、追加の接着性層を含まないことを特徴とする、請求項1に記載の経皮治療システム。
【請求項3】
少なくとも1種の可塑剤は、ポリエチレングリコール200を含む、請求項1
または2に記載の経皮治療システム。
【請求項4】
マトリックス層中における少なくとも1種の本質的に非接着性のポリマーの量は、マトリックス層の合計重量に対し
て50~90wt%である、請求項1~
3のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項5】
マトリックス層中における少なくとも1種の可塑剤の量は、マトリックス層の合計重量に対し
て5~50wt%である、請求項1~
4のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項6】
少なくとも1種の薬学的に活性な物質は、イデベノン、オキシブチニン、リオシグアト、ロチゴチン、アピキサバン、ケタミン、アレンドロネートおよび/またはフェンタニルからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~
5のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項7】
少なくとも1種の薬学的に活性な物質の量は、マトリックス層の合計重量に対し
て1~20wt%であることを特徴とする、請求項1~
6のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項8】
染料、乳化剤、浸透向上剤、pH調節剤、湿潤剤、保存剤および/または抗酸化剤を含む群から選択される少なくとも1種の補助剤
を含むことを特徴とする、請求項1~
7のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか1項に記載の経皮治療システムを製造する方法であって:
a) 有機溶媒および/または水をベースとする溶媒、
ポリビニルカプロラクタム/ポリ酢酸ビニル/ポリエチレングリコールコポリマー、セラック、ビニルピロリドン/ 酢酸ビニルコポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび/またはポリビニルピロリドンから選ばれる少なくとも1種の本質的に非接着性のポリマー、および
グリセリンおよび/またはポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種の可塑剤を含む溶液または懸濁液中に、少なくとも1種の薬学的に活性な物質を溶解または懸濁する工程;
b) a)から得られた溶液または懸濁液を、活性物質不透過性の裏張り層に適用する工程;および
c) 溶媒を除去する工程
を含む、前記方法。
【請求項10】
請求項1~
8のいずれか1項に記載の経皮治療システムを含む医薬品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、接着性可塑剤-ポリマーマトリックスに基づく経皮治療システム、それらの製造方法、およびそれらの医薬品としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、経皮治療システム(TTS)は、多くの疾患の処置のための投与形態として広範な使用を享受してきたが、その理由は、それらが従来の投与形態と比較した利点と関連づけられるからである。これらの利点は、なかんずく、血漿中の活性物質の濃度を一定にするために必要な、精密で一定な活性物質の送達にある。それに加えて、初回通過効果を避けることができ、しかも、患者が規則的間隔で錠剤を飲む必要がないので、服薬遵守が向上する。軟膏剤またはクリーム剤のような他の局所適用システムと比較して、経皮治療システムの1つの利点は、これらのシステムは、特定の領域にわたって適用することができ、それ故、精密な投薬を提供すること;さらに、軟膏剤が偶発的に拭き取られるかまたは皮膚の他箇所が汚染されるリスクが排除されるということにもある。
【0003】
先行技術から知られる経皮治療システムは、活性物質不透過性の裏張り層および活性物質を含有する接着性マトリックス層を一般的に含む。既知の経皮治療システムにおける接着性マトリックス層は、経皮治療システムを患者の皮膚に貼り付けるために、少なくとも1種の接着性ポリマーを含む。先行技術から知られているようなこれらの接着性ポリマーは、一般的に(メタ)アクリレートをベースとするおよび/またはシリコーンをベースの接着性ポリマーを含む。
【0004】
したがって、先行技術から知られる経皮治療システムは、薬学的に活性な物質と通常得ることが可能な接着性ポリマーとの適合性を考慮に入れなければならないという欠点を有する。これは、活性物質と通常の接着性ポリマーとの間の潜在的不適合性が、さらなる補助剤、例えば、さらなる溶媒および/または乳化剤の添加によってのみ克服可能であるので、しばしば比較的複雑で手の込んだ製剤に結びつく。それに加えて、そのような複雑なおよび手の込んだ製剤を含む、経皮治療システムを製造する方法は、経済的に不利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それ故、本発明の目標は、マトリックス層が、患者の皮膚に接着するために十分粘着性であるが、通常の接着性ポリマーを含まない経皮治療システムを提供することである。それに加えて、通常の接着性ポリマーと一緒に通常使用される通常の溶媒に可溶でない活性物質も、経皮治療システムによる投与に適当であるべきである。それに加えて、経皮治療システムのマトリックス層は、広い範囲の異なった薬学的に活性な物質に対して特に広い適合性スペクトルを有するそのようなポリマーを好ましくは含むべきである。しかしながら、そのようにして得られた経皮治療システムは、活性物質の透過または活性物質の流束に関して、接着性ポリマーに基づいた従来の経皮治療システムと比較して同様な性質を有すべきである。さらに、この種の経皮治療システムのための経済的に実現性がある製造方法が提供されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
目標は、本発明に従って、活性物質不透過性の裏張り層および活性物質不透過性の裏張り層の片側のポリマーマトリックスを含む請求項1による経皮治療システムにより達成され、ここで、ポリマーマトリックスは、少なくとも1種の薬学的に活性な物質、少なくとも1種の本質的に非接着性のポリマー、および少なくとも1種の可塑剤を含み、該ポリマーマトリックスは本質的に接着性のポリマーを含まないことを特徴とする。
【0007】
ポリマーマトリックスは、上記の構成要素のみからなることもできる。
【0008】
特に、本質的に非接着性のポリマーと可塑剤とを組み合わせることにより、接着性を有し、したがって、経皮治療システムにおいて接着剤として作用し得るポリマーマトリックスが得られることが可能であることが見出された。多くの薬学的に活性な物質と適合性であるポリマーが使用可能であること、および通常の接着性ポリマーと一緒に通常使用される通常の溶媒を用いて投薬することが可能なことは、特に有利である。したがって、薬学的に活性な物質および多くの通常の本質的に接着性のポリマーの適合性の問題を回避することができる。
【0009】
本質的に接着性のポリマーとは、それ自体で、DIN EN 923:2016-03で規定されたように、接着剤として作用することができるポリマーを意味すると理解される。本質的に非接着性のポリマーは、それ故、それ自体で、上で規定されたような接着剤として作用することはできない。
【0010】
本発明による経皮治療システムのポリマーマトリックスは、本質的に接着性のポリマーを含まない。
【0011】
特に、(メタ)アクリレートまたはポリ(メタ)アクリレート、ポリイソブチレンを主成分とする非接着性ポリマー、および/またはシリコーンおよび/またはそれらのコポリマーを主成分とする接着性ポリマーが、本発明による経皮治療システムに含有される。
【0012】
可塑剤は、好ましくは蒸気圧の低い液体または固体の、中性の有機物質であり、それは、それらの溶解度および膨潤速度のために、化学的に反応しないが、情況によっては、そうでもなく、好ましくは高分子物質と物理的に相互作用して、それと均一系を形成することもできる。可塑剤は、それらを使用して製造された構造またはコーティングに、ある求められる物理的性質、例えば比較的低い凍結温度、増大した変形能力、増大した弾性、低下した硬度、および可能性として増大した接着性を付与する。
【0013】
活性物質不透過性の裏張り層は、好ましくは挿入物であり、経皮治療システムが皮膚の不均一な領域に適用可能であるように、できるだけ可撓性である。ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリウレタンおよび/またはポリエステルのような任意の適当な材料を裏張り層として使用することができる。活性物質不透過性の裏張り層は、好ましくは、ポリエチレンテレフタレートフィルムである。
【0014】
好ましい実施形態において本発明による経皮治療システムは、マトリックス層の活性物質不透過性の裏張り層が所在していない側に、除去可能な保護層を含む。除去可能な保護層は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンおよび/またはポリプロピレンのような種々の材料から製造することができて、活性物質を含有するポリマーマトリックスと接触している側で特に処理されて、そこから可能な限り容易に引き外すことができる。除去可能な保護層は、有利には、ポリエチレンテレフタレート層をベースとして形成される。
【0015】
本発明による経皮治療システムは、経皮治療システムが、ポリマーマトリックスの活性物質不透過性の裏張り層が所在しない側で、特に接着性ポリマーをベースとする追加の接着性層を含まないことも特徴とする。
【0016】
これは、少なくとも1種の薬学的に活性な物質と追加の接着性層の接着性ポリマーとの適合性の潜在的問題も排除することができるという利点を有する。
【0017】
本発明による経皮治療システムは、本質的に接着性のポリマーが水溶性ポリマーを含むことも特徴とする。
【0018】
水溶性ポリマーは、化学的に非常に異なる、天然または合成ポリマーを含み、それらの共通の特徴は、水または水性媒体へのそれらの溶解性である。このための前提条件は、これらのポリマーが、水に溶解性のために十分な数の親水性基を有し、架橋されていないことである。親水性基は、非イオン性、アニオン性、カチオン性および/または双性イオン性であってもよい。
【0019】
本発明による経皮治療システムは、好ましくは、本質的に非接着性のポリマーは、ポリビニルカプロラクタム/ポリ酢酸ビニル/ポリエチレングリコールコポリマーを含むことを特徴とする。さらなる可能なポリマーは、ポリビニルアルコール、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなセルロース誘導体、デンプンまたはデンプン誘導体、セラック、アルギン酸、ガラクトマンナン、カラギナンおよび他の植物ゴム、プルラン、キサンタン、ペクチンおよび他のグルカン、デキストラン、ポリアルキレングリコール、カルボキシビニルポリマーおよび/またはそれらのコポリマーを含む。
【0020】
適当なポリビニルカプロラクタム/ポリ酢酸ビニル/ポリエチレングリコールコポリマーは、例えば、商品名「Soluplus」でBASFから入手できる。適当なポリビニルピロリドンは、例えば、商品名「Kollidon VA64」でBASFから入手できる。これらのポリマーは、多くの薬学的に活性な物質と困難なしに適合性であり、それに加えて患者のために大いに無害であるという利点を有する。
【0021】
本発明による経皮治療システムは、少なくとも1種の可塑剤が、グリセリン、ポリエチレングリコール、特にポリエチレングリコール200、ソルビトールおよび/またはクエン酸トリブチルを含むことを、好ましくは特徴とする。
【0022】
少なくとも1種の可塑剤は、特に好ましくは、グリセリンおよび/またはポリエチレングリコール200を含む。
【0023】
少なくとも1種の本質的に非接着性のポリマーおよび少なくとも1種の可塑剤を含むポリマーマトリックスの使用に基づいて、好ましくは乾燥後に、本発明による経皮治療システム中で接着性層として使用できる接着性ポリマーマトリックスを供給することができる。
【0024】
本発明による経皮治療システムは、マトリックス層中における少なくとも1種の本質的に非接着性のポリマーの量が、マトリックス層の合計重量に対して約50~90wt%、好ましくは約55~85wt%、特に好ましくは約60~80wt%であることを好ましくは特徴とする。
【0025】
それに加えて、本発明による経皮治療システムは、マトリックス層中における少なくとも1種の可塑剤の量が、マトリックス層の合計重量に対して約5~50wt%、好ましくは約10~30wt%であることを好ましくは特徴とする。
【0026】
少なくとも1種のポリマーの少なくとも1種の可塑剤に対する重量部における重量比は、特に約90~50対約10~50重量部、好ましくは約85~65対約15~35重量部、特に好ましくは約80~60対約20~40重量部である。
【0027】
少なすぎるかまたは多すぎる可塑剤が使用されれば、混合物は、粘着性でないか、または役に立つ材料バッチが全然得られないかのいずれかである。
【0028】
少なくとも1種の薬学的に活性な物質の選択は、原則として限定されず、経皮適用のために適当な任意の薬学的に活性な物質が使用可能である。
【0029】
本発明による経皮治療システムは、少なくとも1種の薬学的に活性な物質が、イデベノン、オキシブチニン、リオシグアト、ロチゴチン、アピキサバン、ケタミン、アレンドロネートおよび/またはフェンタニルからなる群から選択されることを好ましくは特徴とする。
【0030】
少なくとも1種の薬学的に活性な物質の量は、マトリックス層の合計重量に対して、好ましくは約1~20wt%、好ましくは約5~15wt%である。
【0031】
経皮治療システムが意図される適用時間は、好ましくは少なくとも約12時間、より好ましくは少なくとも約24時間、およびさらにより好ましくは少なくとも約48時間である。活性物質の量は、所望の適用時間に合致するであろう。
【0032】
本発明による経皮治療システムは、経皮治療システムが、染料、乳化剤、浸透向上剤、pH調節剤、湿潤剤、保存剤および/または抗酸化剤を含む群から選択される少なくとも1種の補助剤を、好ましくは、各場合に、マトリックス層の合計重量に対して0.01~20wt%の量で含むことを好ましくは特徴とする。
【0033】
浸透向上剤は、好ましくは、ペンタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、イソ吉草酸、ネオヘプタン酸、ネオノナン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、パルミトレイン酸、リノレン酸、バクセン酸、ペトロセリン酸、エライジン酸、オレイン酸、アラキドン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、酢酸ブチル、吉草酸メチル、セバシン酸ジエチル、ラウリン酸メチル、オレイン酸エチル、デカン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル(ミリスチン酸イソプロピルエステル)、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピル(オレイン酸イソプロピルエステル)、好ましくはオレイン酸、ラウリン酸および/またはミリスチン酸、特に好ましくはオレイン酸、および/または脂肪酸エステル、好ましくはオレイン酸イソプロピルエステルおよび/またはミリスチン酸イソプロピルエステルのような脂肪酸および/または脂肪酸エステルから選択される。
【0034】
少なくとも1種の酸化防止剤は、好ましくは、α-トコフェロール、パルミチン酸アスコルビルおよびブチルヒドロキシトルエンから選択される。
【0035】
本発明は、
a) 有機溶媒および/または水に基づく溶媒、少なくとも1種の本質的に非接着性のポリマー、および少なくとも1種の可塑剤を含む懸濁液中に、少なくとも1種の薬学的に活性な物質を懸濁する工程;
b) a)から得られた懸濁液を、活性物質不透過性の裏張り層に適用する工程;および
c) 溶媒を除去する工程
を含む上で規定された経皮治療システムを製造する方法にも関する。
【0036】
工程a)で使用される溶媒は、好ましくは水である。
【0037】
本発明は、上記の方法により得られる経皮治療システムにも関する。
【0038】
本発明は、医薬品として使用するための、上で記載された、または上で提示された方法により得ることが可能な経皮治療システムにも関する。
【0039】
本発明による経皮治療システムに関連して記載された好ましい実施形態は、本発明による方法のために、および本発明による使用のためにも適用される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】表1の製剤によるイデベノンを投与するための本発明による経皮治療システムのグラフである。左手のグラフは、累積活性物質透過を示し、右手のグラフは、活性物質の流束を示す。
【
図2】先行技術によるアクリレート/シリコーンに基づいた接着剤を含む経皮治療システムのグラフである。左のグラフは、累積活性物質透過を示し、右手のグラフは活性物質の流束を示す。
【
図3】表1の製剤によるオキシブチニンを投与するための本発明による経皮治療システムのグラフである。左手のグラフは累積活性物質透過を示し、右手のグラフは活性物質の流束を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明を、限定するものではない実施例に基づいて、この後で説明することにする。
【実施例1】
【0042】
以下の製剤を作ってポリエチレンテレフタレートフィルムに適用した。全ての製剤は接着性を有した。
【0043】
【0044】
【0045】
実施例1で特定された幾つかのシステムのインビトロにおけるヒト皮膚透過を、Franzセルを使用して測定した。物質または製剤(例えばゲル剤、軟膏剤、溶液剤、パッチ剤)を、供与体区画に置いた。受容体区画を緩衝液または他の溶液で満たした。試料を規則的に受容体区画から取ることにより、選択された時間にわたり、皮膚を通る物質の透過を追跡することができた。拡散モデルとしてのFranzセルの使用は、ヒト皮膚を通る薬剤の輸送(=透過)を予測するために特に適当であり、それは、システムの利用可能性に対応する。ここで、インビトロとインビボに相関性がないことに注目することは重要である。この場合、Franzセルに手術から得られたヒト腹腔の皮膚を載置した。1.165cm
2の拡散領域を有する500μmの採取された皮膚を、経皮治療システムとインキュベートした。0.1%ナトリウムアジドを添加したpH=7.4の等張のリン酸緩衝水溶液を10mLの体積で満たして受容体培地として使用した。透過の測定は、32℃の温度で実施し、3、6、8および24時間後に測定を行った(n=3)。測定結果は
図1~3で見ることができる。
【0046】
従来の接着剤に先んずる本発明による剤形は、活性物質の透過および活性物質の流束に関して、既知の製剤に匹敵する結果を達成することができることを図面から見ることができる。