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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】ギアシフトアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/28 20060101AFI20220401BHJP
   F16H 25/20 20060101ALI20220401BHJP
   F16H 37/12 20060101ALI20220401BHJP
   F16D 11/10 20060101ALI20220401BHJP
   H02K 7/06 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
F16H61/28
F16H25/20 Z
F16H37/12 Z
F16D11/10 A
H02K7/06 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020555815
(86)(22)【出願日】2019-03-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-29
(86)【国際出願番号】 EP2019057388
(87)【国際公開番号】W WO2019197143
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2020-11-11
(31)【優先権主張番号】18167298.1
(32)【優先日】2018-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】597007363
【氏名又は名称】クノル-ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr-Bremse Systeme fuer Nutzfahrzeuge GmbH
【住所又は居所原語表記】Moosacher Strasse 80, D-80809 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フーバ ネーメト
(72)【発明者】
【氏名】チャバ ムリナールチェク
(72)【発明者】
【氏名】ペーテル コヴァーチク
(72)【発明者】
【氏名】タマーシュ ラップ
(72)【発明者】
【氏名】ヤーノシュ トート
(72)【発明者】
【氏名】チャバ コクレヘル
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05205179(US,A)
【文献】特開2004-138131(JP,A)
【文献】国際公開第2016/055359(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 61/28
F16H 25/20
F16H 37/12
F16D 11/10
H02K 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏心した電動モータ(50)により駆動されるように構成されているギアシフトアクチュエータであって、
-前記電動モータ(50)により駆動されるように構成されている回転ナット(110)と、
-作動部材(120)と、
-前記回転ナット(110)のトルク(M)を並進力(F)に変換し、該並進力(F)をギアシフトのための作動力として提供するように構成されている変換器(125)と
が設けられており、
前記ギアシフトは、回転軸(230)に連結されているか又は前記回転軸(230)上で自由に回転可能であるギアホイール(210,220)の変更を含み、
前記回転ナット(110)は、前記回転軸(230)の回転軸と同じ回転軸の周りを回転可能である、ことを特徴とする、ギアシフトアクチュエータ。
【請求項2】
前記電動モータから前記回転ナット(110)に前記トルク(M)を伝達するための伝動エレメント(140)が設けられている、請求項1記載のギアシフトアクチュエータ。
【請求項3】
前記伝動エレメント(140)が、以下の構成要素、すなわちギアホイール、ウォームギア伝動装置、ベルト伝動装置、チェーン伝動装置のうちの1つの構成要素を有している、請求項2記載のギアシフトアクチュエータ。
【請求項4】
進運動に基づいて異なるギアホイール(210,220)を前記回転軸(230)に連結するように構成されている摺動スリーブ(150)が設けられていて、該摺動スリーブ(150)は、前記作動部材(120)に対して相対的に回転可能であるが、前記作動部材(120)に対して軸方向では位置固定されていて、これにより、前記ギアシフトが前記電動モータ(50)により可能になっている、請求項1から3までのいずれか1項記載のギアシフトアクチュエータ。
【請求項5】
前記変換器(125)が、前記回転ナット(110)と前記作動部材(120)との間で以下の連結エレメント、すなわち、ねじ連結部、ピン-カム連結部、ピン溝連結部、転動体エレメントを有する2つの溝、前記回転ナット(110)と前記作動部材(120)との間の相対的な回転により相対的な直線運動を生ぜしめるその他の構成要素、のうちの少なくとも1つの連結エレメントを有している、請求項1から4までのいずれか1項記載のギアシフトアクチュエータ。
【請求項6】
前記変換器(125)が、非線形の変換特性を提供するように構成されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のギアシフトアクチュエータ。
【請求項7】
前記変換器(125)が、前記並進力(F)が前記トルク(M)の正負の符号にのみ依存するような変換特性を提供するように構成されている、請求項5または6記載のギアシフトアクチュエータ。
【請求項8】
前記変換器(125)が、前記トルク(M)がその符号を維持している間に、前記並進力(F)が変化するような変換特性を提供するように構成されている、請求項5から7までのいずれか1項記載のギアシフトアクチュエータ。
【請求項9】
前記変換器(125)が、セルフロック機構を提供するように構成されている、請求項1から8までのいずれか1項記載のギアシフトアクチュエータ。
【請求項10】
偏心した電動モータ(50)と、少なくとも1つのギアホイール(210,220)と、回転軸(230)とを備えた変速装置であって、
前記電動モータ(50)の駆動に応答して、前記少なくとも1つのギアホイール(210,220)を前記回転軸(230)に連結するか、または連結解除するように構成されている請求項1から9までのいずれか1項記載の電気機械式のアクチュエータが設けられていることを特徴とする、変速装置。
【請求項11】
請求項10記載の変速装置を有する車両。
【請求項12】
前記ギアシフトアクチュエータは、
第1のギアホイール(210)と、
第2のギアホイール(220)と、
前記回転軸(230)と、を備え、
前記摺動スリーブ(150)は、歯付き内面を有し、並進運動時に、前記第1のギアホイール(210)または第2のギアホイール(220)と前記回転軸(230)とを結合するように構成されており、ここで、前記結合は、前記回転軸(230)に面する前記摺動スリーブ(150)の歯付き内面と、前記回転軸(230)と前記第1のギアホイール(210)と前記第2のギアホイール(220)とに設けられた歯付き外面(235)とが噛み合った係合状態にあることによって提供され、前記回転軸(230)は、第1のギアホイール(210)に結合されるか、前記第2のギアホイール(220)に結合される、請求項4記載のギアシフトアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ギアシフトアクチュエータに関し、特に偏心した電気機械式のギアシフトアクチュエータに関する。
【0002】
従来の電空アクチュエータは、商用車において使用されていて、これらのアクチュエータは、クラッチ、ギアシフト装置、カウンターシャフトブレーキ、ホイールブレーキアクチュエータなどの種々異なる装置のための作動を提供するために、ニューマチック式シリンダを介してニューマチックエネルギ源を利用する。大抵の場合、作動は、所望の結果を達成するための作動力を伝達する作動部材の軸方向(直線方向)の移動を伴う。
【0003】
ハイブリッド車両および純粋に電気的な車両がますます普及し、圧縮空気があまり一般的に利用できなくなるにつれて、純粋に電気機械式のアクチュエータに対する需要が増加している。従来のアクチュエータは、米国特許第8344565号明細書において開示されている。上掲の明細書では、作動装置は、回転軸上で軸方向に移動可能に組み付けられた電気機械によって駆動される作動部材を有している。ロータと作動部材との間の相対的な回転は、所望の軸方向の運動をもたらす。
【0004】
しかし、従来の電気機械式のアクチュエータは、変速装置において必ずしも使用可能ではない著しい組込みスペースを必要とする。したがって、小型かつコンパクトであり、かつ公知のシステムに容易に組み込むことができる電気機械式のアクチュエータに対するニーズが存在している。特に、電動車両用の代替的なギアシフトアクチュエータに対するニーズが存在している。
【0005】
上述の問題のうちの少なくとも幾つかの問題は、請求項1に記載のギアシフトアクチュエータにより、または請求項10に記載の変速装置により、または請求項11に記載の車両により克服される。従属請求項は、請求項1に記載された対象の別の有利な実施形態に関する。
【0006】
本発明は、偏心した電動モータにより駆動されるように構成されているギアシフトアクチュエータに関する。ギアシフトアクチュエータは、電動モータによって駆動されるように構成された回転ナットと、作動部材と、回転ナットのトルクを並進力に変換し、並進力をギアシフトのための作動力として提供するように構成されている変換器とを含む。偏心した電動モータは、ギアシフトアクチュエータの一部であってもよい。
【0007】
本発明の実施形態によれば、電動モータは、電動モータ(ステータは車両フレームに位置固定されていてよい)のロータの回転軸線が回転ナットの回転軸線と一致しないように、回転ナットに対して偏心して配置される。回転ナットの回転軸線と電動モータの回転軸線とは異なるが、これらの回転軸線は、互いに平行であってもよく、または平行でなくてもよい(たとえば、相対的なずれを有していてよい)。さらに、回転ナットの回転軸線は、ギアシフトの前後で異なるギアホイールに連結する回転軸の回転軸線と同一であってもよい。偏心した位置により、ギアシフトアクチュエータをより小さく形成することができ、したがって、アクチュエータは、限られた軸方向の設置スペースしか使用することができないシステムにおいてさえ使用することができる。特に、幾つかの実施形態による電気機械式のギアシフトアクチュエータは、半径方向でもより小さく、回転方向-並進方向変換器の機構の外側に配置することができる。
【0008】
任意には、変速アクチュエータは、電動モータからのトルクを回転ナットに伝達するように構成された伝達エレメントを有している。任意には、伝達エレメントは、以下の構成要素、すなわちギアホイール、ウォームギア駆動装置、ベルト駆動装置、チェーン駆動装置のうちの1つの構成要素を有している。
【0009】
ギアシフトは、回転軸に連結するギアホイールの変更を含んでいてよく、ギアシフトアクチュエータは、(たとえば、ハウジングまたは回転軸に対して相対的な)並進運動により、異なるギアホイールを回転軸に連結するように構成されている摺動スリーブをさらに含んでいてよい。摺動スリーブは、作動部材に対して相対的に回転可能であってもよいが、電動モータにより駆動されるギアシフトを可能にするために、作動部材に対して軸方向に位置固定されていてよい。
【0010】
任意には、変換器は、回転ナットと作動部材との間で以下の連結エレメント、すなわち、ねじ伝動連結部、ピン-カム連結部、溝ピン連結部、その溝の間に転動体を有する2つの溝、回転ナットと作動部材との間の相対的な回転により相対的な直線運動を生ぜしめるその他の構成要素のうち、少なくとも1つの構成要素を有している。したがって、変換器は、回転ナットおよび作動部材の一部であってよい。
【0011】
任意には、変換器は、非線形の変換特性を提供するように構成されている。
【0012】
任意には、変換器は、並進力がトルクの正負の符号のみに依存するような変換特性を提供するように構成されている。たとえば、変換器は、逆回転が逆方向の並進をもたらすように、回転ナットおよび作動部材上のねじ伝動連結部分によって実現されてもよい。
【0013】
任意には、変換器は、トルクの符号が維持されている間に並進力が変化するような変換特性を提供するように構成されている。
【0014】
任意には、変換器は、セルフロック機構を提供するように構成されている。このセルフロックは、電動モータが故障した場合でさえ、作動部材を所望の位置に維持するための別の手段が必要ないように、適切なピッチを有するねじ伝動連結部または溝を形成することによって達成することができる。このことが不可能な場合には、作動部材の所望の位置を維持するための(たとえばラッチによる)付加的なロック機構を提供することができる。
【0015】
本発明はさらに、偏心した電動モータと、少なくとも1つのギアホイールと、回転軸と、電気モータの駆動に応答して、少なくとも1つのギアホイールを回転軸に連結するか、または連結解除するように構成された、上記で定義された電気機械式のギアシフトアクチュエータのうちの1つの電気機械式のギアシフトアクチュエータとを有する変速装置に関する。
【0016】
本発明はさらに、定義された変速装置を備えた車両、特に商用車に関する。
【0017】
ギアシフトアクチュエータの幾つかの態様を単に例として添付の図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る実施形態による変速装置内のギアシフトアクチュエータを示す図である。
図2図1に示した変速装置を正面から示す図であり、電動モータは見えない。
図3】1つの実施形態による回転ナットと作動部材との間の連結部を示す別の詳細図である。
図4】AおよびBは、回転軸が種々異なるギアホイールに連結されるように作動される電気機械式のアクチュエータを示す図である。
【0019】
図1は、偏心した電動モータ50により駆動するために適しているギアシフト(若しくはチェンジ)アクチュエータの実施形態を示している。ギアシフトアクチュエータは、電動モータ50により駆動されるように構成された回転ナット110と、作動部材120と、回転ナット110のトルクM(または回転)を並進力F(線形または並進運動)に変換するために構成されている変換器125とを有している。別の実施形態によれば、偏心した電動モータ50は、ギアシフトアクチュエータの一体部分であってよい。
【0020】
並進力Fは、ステータおよびロータ(図1には図示せず)を有する電動モータ50によって生成された、ギアシフトのための作動力として提供される。電動モータ50は、ギアホイール210,220および回転軸230(たとえば、伝動軸)の軸線に対して偏心した回転装置として配置されている。したがって、電動モータ50の回転軸線は、ギアシフトユニットにおいて使用される回転軸230の回転軸線とは異なっている。電動モータ50は、支持構造体40によって伝動ユニットのフレームまたはハウジングに固定されていてよい。
【0021】
電動モータ50の回転は、伝動エレメント140による直接的な接続により、アクチュエータに伝達することができる。図1は、たとえば、電動モータ50と回転ナット110との間の1つの想定される伝動エレメントとしてギアホイール140を示している。しかし、本発明は、図示されたギアホイールに限定されるものではない。他の伝動エレメント140は、ウォームギア駆動装置、ベルト駆動装置またはチェーン駆動装置、または任意の他の牽引エレメントも含んでいる。
【0022】
偏心して配置された電動モータ50は、伝動エレメント140を介して、回転ナット110を駆動する。この回転ナット110は、回転可能であるが軸方向(すなわち、回転軸線に対して平行)に運動しないように軸受内に配置されている。回転ナット110の軸受は、転動エレメントまたは任意の種類の玉軸受または摩擦軸受を含んでいてよい。回転ナット110は、作動部材120に連結していて、この連結部は、回転/並進変換器125を含んでいる。この変換器125は、所望の軸方向力Fを提供するために回転ナット110の回転を作動部材120の並進運動に変換することができる、ねじ山、ボールねじ結合部、溝付きガイド、または任意の別の種類の変換器により実現されていてよい。作動部材120は、回転ナット110の回転方向への作動部材120の接線方向運動を阻止する1つ以上のピン124によって回転を阻止されているので、回転ナット110の回転運動に基づいて軸方向に運動することになる。作動部材120自体は、並進力Fを伝達し、回転軸230を第1のギアホイール210か、または第2のギアホイール220に連結するために、摺動スリーブ150に連結されている。この連結は、噛み合った係合状態にある摺動スリーブ150の(回転軸230に面した)歯付き内面と、回転軸230の歯付き外面235および第1のギアホイール210および第2のギアホイール220の歯付き外面によって提供されてもよい。回転軸230は、第1のギアホイール210かまたは第2のギアホイール220に結合されている。第1のギアホイール210と第2のギアホイール220との間の切り換えは、典型的なギアシフトである。
【0023】
図2は、図1に示したギアユニットを正面から示しており、電動モータ50は見ることできないが、摺動スリーブ150の歯付き内面と噛み合う外歯235を備えた回転軸230が示されている。図2は、摺動スリーブ150が第1のギアホイール210または第2のギアホイール220と係合せず、回転軸230の外歯235のみと係合するニュートラル位置を示している。
【0024】
図3は、変換器125が回転ナット110と作動部材120との間に配置された状態で、作動部材120に連結された回転ナット110の別の詳細を示す。変換器125は、たとえば、回転ナット110の回転運動(回転軸線は、図3の図平面内で水平方向に延びている)が、作動部材120の並進的な水平方向の運動をもたらすように、ねじ伝動連結部を成している。作動部材120は、摺動スリーブ150に軸方向で固定されていて、両エレメントが互いに対して軸方向に運動することができないようになっている。たとえば、ストッパエレメント122によって、作動部材120と摺動スリーブ150との間の相対的な軸方向の移動を阻止することができる。図3においても、図3の図平面内で水平方向の回転軸線を中心とした作動部材120の回転運動を阻止するピン124が示されている。さらに、図3は、電動モータ50も保持することができる支持構造体105に対して相対的な回転ナット110の回転を可能にするための玉軸受115を示している。
【0025】
図3に描かれているような電気機械式のアクチュエータは、2つのギアホイール210,220が回転軸230上で自由に回転することができるニュートラル位置にある。
【0026】
図4Aおよび4Bは、回転軸230が第1のギアホイール210と連結するように作動した電気機械式アクチュエータ(図4Aを参照)または回転軸230が第2のギアホイール220と連結された場合の電気機械式アクチュエータ(図4Bを参照)を示しており、この連結は、(図1により説明したように)ギアホイール210,220上の外歯、回転軸230上の外歯、および摺動スリーブ150上の内歯により提供されている。
【0027】
図4Aにおいて、摺動スリーブ150が回転運動を回転軸230から第1のギアホイール210に伝達するように、作動部材120は、摺動スリーブ150の軸方向の移動をもたらす左向きの軸方向力Fにより移動させられている。この位置では、第2のギアホイール220は、回転軸230から切り離されている。
【0028】
図4Bは、摺動スリーブ150の軸方向の移動をもたらす、右向きの反対方向の軸方向力Fにより作動部材120が移動させられた状態を示している。結果として、摺動スリーブ150は、回転軸230を第2のギアホイール220に連結する。
【0029】
変換器125がセルフロック機能を有していると特に有利であり、セルフロック機能は、たとえば、特定のねじ伝動連結部を使用することによって実現することができる。ねじ伝動連結部を使用していない場合、作動部材120を所望の(係合またはニュートラル)位置に維持するための別の手段が実施されていてよく、これにより電動モータ50は、作動部材120の軸方向位置を維持するために常に作動していなくてもよい。
【0030】
回転ナット110と作動部材120との間にねじ伝動連結部が存在しておらず、むしろピン/溝接続部またはピン/カム接続部が存在している場合、溝またはカムの形状は、電動モータ50の作動により作動部材120が軸方向でどちらの方向に、かつどれくらい強力に移動するかを決定する。
【0031】
ピン/溝接続部は、非線形の変換特性を実現するために使用することができる。これは、たとえば、溝のピッチを対応して調整することによって達成することができる。結果として、作動部材120は、まず軸方向で極めて速く運動してよく、その後に最終的に緩慢に軸方向で運動してよい(またはその逆)。さらに、溝は、終端部(たとえば係合位置)においてほぼゼロのピッチを有していてよく、それによってセルフロック機構を実現する。ねじ山ピッチが極めて小さいかまたは(ほぼ)ゼロである場合、作動部材120はそれ自体では後退することができず、図1図3に示されたニュートラル位置に作動部材120を戻すためには、電動モータ50によって及ぼされる回転またはトルクが必要となる。
【0032】
ピン/カム接続部(又は連結部)は、電動モータ50が1つの方向にのみ回転すればよいという利点を提供する。たとえば、ニュートラル位置から開始して、回転ナット110を所定の角度(たとえば90°)だけ回転させた後に、作動部材120は、第1の係合位置に到達することができ(図4A参照)、第2の角度(たとえば180°)回転させた後に、作動部材120は再びニュートラル位置に到達し、第3の角度(たとえば270°)回転させた後に、第2の係合位置に到達することができる(図4B参照)。この連結構造においては、カムの最大値および最小値(たとえば、90°および270°の回転時)は、固有のセルフロック機能を生ぜしめるための安定した位置を提供する。
【0033】
なお、種々異なる連結構造を組み合わせるか、または適合させることができ、図示されたねじ伝動連結部は、単に1つの例でしかない。当業者であれば、同一の機能を提供する別の連結構造に容易に想到するであろう。
【0034】
説明および図面は、単に本開示の原理を説明するものである。したがって、当業者であれば、本明細書に明示的に記載または図示されていないが、本開示の原理を具現化し、本開示の枠内に含まれる種々異なる装置を考案することができる。
【0035】
さらに、各実施形態は、別個の例として独立することができるが、別の実施形態では、定義された特徴を異なって組み合わせることができる、すなわち、1つの実施形態で説明された特定の特徴を、他の実施形態においても実現することができることに留意されたい。このような組み合わせは、特定の組合せが意図されていないことが記載されていない限り、本明細書の開示に含まれる。
【符号の説明】
【0036】
50 電動モータ
105 支持構造体
110 回転ナット
115 軸受
120 作動部材
122 ストッパエレメント
124 ピン
125 変換器
140 伝動エレメント
150 摺動スリーブ
210,220 ギアホイール
230 回転軸
235 外歯
F 並進力
M トルク
図1
図2
図3
図4A
図4B