(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】プラスチック部品を製造する方法、プラスチック部品、および靴
(51)【国際特許分類】
B29C 44/44 20060101AFI20220401BHJP
A43B 13/04 20060101ALI20220401BHJP
B29C 44/00 20060101ALI20220401BHJP
B29C 44/60 20060101ALI20220401BHJP
B29K 101/12 20060101ALN20220401BHJP
B29K 105/04 20060101ALN20220401BHJP
B29L 31/50 20060101ALN20220401BHJP
【FI】
B29C44/44
A43B13/04 A
B29C44/00 G
B29C44/60
B29K101:12
B29K105:04
B29L31:50
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021041311
(22)【出願日】2021-03-15
(62)【分割の表示】P 2017231377の分割
【原出願日】2017-12-01
【審査請求日】2021-03-17
(31)【優先権主張番号】10 2016 223 980.5
(32)【優先日】2016-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510204998
【氏名又は名称】アディダス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100114409
【氏名又は名称】古橋 伸茂
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】マクシミリアン カーツ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクター ロマノブ
(72)【発明者】
【氏名】ノーバート ルーバー
(72)【発明者】
【氏名】フー ミン チュー ラ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ヨハネ ゼーフリート
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ロバートソン
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー エドワード ホームズ
(72)【発明者】
【氏名】アミール ファティ
【審査官】河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-141153(JP,A)
【文献】特表2014-531352(JP,A)
【文献】特表2012-504024(JP,A)
【文献】特開平06-218830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 44/00- 44/60
A43B 1/00- 23/30
A43C 1/00- 19/00
A43D 1/00-999/00
B29D 35/00- 35/14
B29K101/12
B29K105/04
B29L 31/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック部品を製造する方法であって、
a.発泡材料の粒子を含む第1の材料を型に装填するステップと、
b.型の装填中に、エネルギーを供給することによって粒子を予加熱するステップと
を含み、
c.エネルギーは、少なくとも1つの電磁場の形態で供給され、
d.少なくとも1つの電磁場によって供給されるエネルギーを時間の経過とともに変える、方法。
【請求項2】
装填するステップは、少なくとも1つのフィードラインを介して容器から型へ粒子を輸送することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
粒子は、容器内および/またはフィードライン内の間に予加熱される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
粒子は、型を閉じる前に型内で予加熱される、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの電磁場によって供給されるエネルギーを時間の経過とともに
次第に増加させる、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
エネルギーを供給することによって、粒子の表面を溶融するステップをさらに含む、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
予加熱のために使用される電磁場のタイプは、粒子の表面を溶融するために使用される電磁場のタイプと異なる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
粒子は、以下の材料、すなわち、発泡熱可塑性ポリウレタン、eTPU;発泡ポリアミド、ePA;発泡ポリエーテルブロックアミド;ePEBA;ポリラクチド、PLA;ポリエーテルブロックアミド、PEBA;ポリエチレンテレフタレート、PET;ポリブチレンテレフタレート、PBT;熱可塑性ポリエステルエーテルエラストマー、TPEEのうち1つまたは複数を含む、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
粒子は、少なくとも1つの電磁場によって供給されるエネルギーを吸収するエネルギー吸収材をさらに含み、このエネルギー吸収材は、粒子の表面の溶融に貢献するようになっている、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
粒子は、型の装填前にエネルギー吸収材が与えられる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
エネルギー吸収材は水を含む、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
エネルギー吸収材は金属を含む、請求項9から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
エネルギーは、マイクロ波の範囲内、300MHz~300GHzの放射の形態で供給される、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
エネルギーは、電磁誘導によって供給される、請求項1から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
より多くのエネルギーは、型の第2の部分領域内よりも型の第1の部分領域内の粒子に供給される、請求項6から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
エネルギーは、第1の周波数(f
1)を有する電磁場を用いて型の第1の部分領域内の粒子へ供給されるとともに、第2の周波数(f
2)を有する電磁場を用いて型の第2の部分領域内の粒子へ供給され、第2の周波数(f
2)は、第1の周波数(f
1)とは異なる、請求項6から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
粒子当たりのエネルギー吸収材の平均量は、型内で変化する、請求項9から16のいずれか一つに記載の方法。
【請求項18】
型には、少なくとも1つの電磁場によって実質的に変わらないままである第2の材料がさらに装填される、請求項1から17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
第1の材料によって吸収されるエネルギーの量と第1の材料および型によって吸収されるエネルギーの総量の比は、1.0~0.2の範囲内にある、請求項6から18のいずれか一つに記載の方法。
【請求項20】
スポーツアパレル用の緩衝要素を製造する方法であって、
a.所定の量だけ装填位置に型を開くステップと、
b.型は少なくとも2つの型部分を備え、ステップa.で型が開かれる量が型の利用可能な装填容積に影響を与えるステップと、
c.ステップa.の型を開くステップによって作られた装填容積の中に発泡材料の粒子を含む第1の材料を装填するステップと、
d.型を閉鎖位置に閉じるステップと、
e.エネルギーを供給することによって前記粒子を予加熱するステップと、
f.少なくとも1つの電磁場の形態でエネルギーを少なくとも供給することによって粒子の表面を融合するステップと
を含み、
少なくとも1つの電磁場によって供給されるエネルギーを時間の経過とともに変える、方法。
【請求項21】
型の装填位置において、型部分は、型の異なるエリアにおいて、型の閉鎖位置と比較して、様々な距離で離間され、それによって型を閉じるステップd.の最中、型部分は、異なるエリアにおいて異なる距離にわたって共に移動させられる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
ステップa.において型が開かれる所定の量は、緩衝要素の機械的特性に影響を与える、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
緩衝要素は、靴のソールまたは靴のソールの一部である、請求項20から22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
請求項1から23のいずれかに記載の方法を用いて製造されるプラスチック部品の緩衝要素。
【請求項25】
請求項24に記載の緩衝要素を有する靴。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック部品、特にスポーツアパレル用の緩衝要素を製造する方法、そ
のような方法を用いて製造されるプラスチック部品、例えば、靴用のソールまたはソール
の一部、ならびにそのようなソールを有する靴に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、プラスチック部品は、多くの技術分野および日常生活の中で重要な役割を担って
いる。例として、航空機産業、および航空宇宙産業、ならびに自動車産業が挙げられる。
これらの分野では、例えば、プラスチック部品は、衝撃保護要素、例えばバンパーとして
働くことができ、またはプラスチック部品は、パネル要素、シートシェル、アームレスト
などを製造するために使用され得る。プラスチック部品は、包装産業において、例えば、
デリケートで損傷を受けやすい商品を配達のために梱包するために使用することもできる
。
【0003】
これらの例示的な適用分野の全部において、プラスチック部品ができる限り小さい重量
で構成されるが、同時に十分弾力がある場合、それは有利である。特に、プラスチック部
品が、衝撃保護、または商品を安全に包むことに使用されることに関しては、プラスチッ
ク部品は、打撃または衝突に関して良好な緩衝特性および吸収特性も有するはずである。
この文脈では、発泡プラスチック材が、例えば、例えば、Styropor(登録商標)
またはStyrodur(登録商標)の商標名の下でBASFから入手できる発泡ポリス
チレンのような従来技術により知られている。
【0004】
発泡プラスチック材料の使用は、スポーツアパレル向けの緩衝要素の製造に、例えばス
ポーツ靴用の靴のソールの製造にも及んでいる。詳細には、独国特許出願公開第1020
12206094号、および独国特許発明第102011108744号に記載されてい
るように蒸気の形態で熱を供給することによって互いに融合される、または成形剤材料の
使用によって接続される発泡熱可塑性ポリウレタン(eTPU)の粒子の使用が考えられ
ていた。eTPUからの粒子を使用することは、靴のソールまたはソールの一部に、少な
い重量、良好な温度安定性、およびランニング中にソールが変形するように及ぼされるエ
ネルギーに関する小さいヒステリシス損をもたらすために有利であることが分かっている
。
【0005】
加えて、独国特許出願公開第102013002519号は、例えば液体または蒸気の
流れによって型に粒子を装填することによってそのような粒子からスポーツアパレルのた
めの緩衝要素を製造する可能性を広げることを開示する。
【0006】
しかしながら、従来技術により知られている方法に共通するのは、高品質の寸法的に安
定な部品への基材の加工は、しばしばある厚さまたはある充填密度までしか可能でないこ
とであり、製造できる部品の可能な形状は制限され得ることを意味する。これは、従来技
術により知られている製造方法が、部品の内部へ成形剤材料または熱エネルギーもやはり
供給することを必要としていることに起因する。液体成形剤材料または熱エネルギーが蒸
気によって供給されるために、これは、成形剤または蒸気が型内の基材を均一に満たすこ
とを可能にするために「チャネル」または「入口開口」が部品に設けられているので、よ
り厚い部品についてのみある限度まで可能であり、および/または不完全をもたらし得る
。また、特に、蒸気をエネルギー担体として使用するとき、蒸気内に蓄えられたエネルギ
ーの大部分が、粒子/粒子表面に供給される代わりに、型内で失われる可能性があるとい
う不利があることが分かっている。一方で、これは、型が飽和温度まで加熱されるまで長
い予加熱段階を必要とし得るとともに、他方で、冷却を遅らせる大量の熱エネルギーを型
が蓄えてしまい得るので、融合された部品の安定化および冷却を遅らせ得る。したがって
、この方法は、長引くとともに、とてもエネルギー効率が悪いものであり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】独国特許出願公開第102012206094号
【文献】独国特許発明第102011108744号
【文献】独国特許出願公開第102013002519号
【文献】欧州特許出願公開第2862467号
【文献】欧州特許出願公開第2865289号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の根底にある目的は、完成部品の品質にあまり大きく妥協すること
なく、厚さおよび充填密度が潜在的により大きい複雑な形状のプラスチック部品の製造を
可能にするプラスチック部品、特にスポーツアパレル用の緩衝要素を製造するための改善
された方法を提供することである。さらに、製造の手間が低く抑えられるとともに冷却期
間が短いものであり、さらに、この方法は、有害な物質または環境的に危険な物質を用い
ない一方で、できる限りエネルギー効率が良いものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、本発明の態様によって少なくとも一部解決される。
【0010】
本発明の一態様によれば、プラスチック部品、特には、発泡材料の粒子を含む第1の材
料を型に装填するステップと、型の装填中に、エネルギーを供給することによって粒子を
予加熱するステップとを含むスポーツアパレル用の緩衝要素を製造する方法が提供される
。エネルギーは、少なくとも1つの電磁場の形態で供給される。
【0011】
発泡材料の粒子は、本文献において「フォーム粒子(foam particle)」と呼ばれるこ
ともあり、したがって、製造されたプラスチック部品は、「粒子フォーム部品(particle
foam component)」と呼ばれることもある。そのような発泡材料の粒子を指し得る他の
用語は、例えば、「ビーズ」または「ペレット」を含む。
【0012】
型の装填中にすでに粒子を予加熱するステップによって、型内の粒子に供給されなけれ
ばならないエネルギーの量を減少させることができる。これによって、成形時間を減少さ
せるのを助け、例えば型による過剰なエネルギー吸収を防ぐことによってエネルギーを節
約し、成形部品の冷却および安定化も容易にすることができる。これらの効果は、エネル
ギーが少なくとも1つの電磁場によって供給されるという事実によってさらに促進され得
る。すなわちエネルギーの供給は、例えば、エネルギーに満ちた蒸気の注入のような任意
の種類の材料輸送にしばられない。型の装填中にすでに粒子を予加熱するステップは、例
えば、所与の部品の製造に使用される異なるサブセットの粒子が異なる温度まで予加熱さ
れ得るときに、概して、製造方法のより微調節された制御を可能にするのに貢献すること
もできる。
【0013】
装填するステップは、少なくとも1つのフィードラインを介して容器から型へ粒子を輸
送することを含むことができる。
【0014】
これは、例えば自動生産ラインにおける、製造方法の自動化を助けることができる。
【0015】
粒子は、容器内および/またはフィードライン内の間に予加熱することができる。
【0016】
容器内の粒子の予加熱は、それがわずかな手間しか必要としないものであり得るので有
利であり得る。他方、フィードライン内の粒子の予加熱は、例えば、それが粒子が型に到
達する時間までに予加熱がすでにひいてしまっていることを防ぐのを助け得るので、容器
内の粒子の予加熱と比較して有利であり得る。もちろん、両方のオプションの組み合わせ
も可能である。例えば、容器内で、粒子は、ある量の「基本」予加熱を受け得る一方、フ
ィードライン内で、正確な所望の量の予加熱が、粒子に与えられ得る。
【0017】
粒子は、型を閉じる前に型内で予加熱することもできる。
【0018】
型を閉じる前に型内で直接粒子を予加熱するステップは、例えば、予加熱の量の非常に
精密な制御が望ましい場合、予加熱の付与と実際の部品の成形との間の時間を最小にする
ことができるので、有利であり得る。
【0019】
少なくとも1つの電磁場によって供給されるエネルギーを時間の経過とともに変えるこ
とも可能である。
【0020】
少なくとも1つの電磁場によって供給されるエネルギーを時間の経過とともに次第に増
加させることもできる。
【0021】
これらのオプションの利点は、以下、詳細な説明においてさらに説明される。
【0022】
上記方法は、エネルギーを供給することによって粒子の表面を溶融するステップをさら
に含むことができ、このエネルギーは、少なくとも1つの電磁場の形態でやはり供給する
ことができる。
【0023】
予加熱のために使用される電磁場のタイプ/性質は、粒子の表面を溶融するために使用
される電磁場のタイプ/性質と異なることができる。
【0024】
しかしながら、予加熱のために使用される電磁場のタイプ/性質は、粒子の表面を溶融
するために使用される電磁場のタイプ/性質と同じであることも可能である。
【0025】
これは、例えば、必要とされるのが1つの電磁場源のみであることから、製造に使用す
るための組立て構成を単純化することができる。
【0026】
粒子の表面を溶融するために粒子にエネルギーを供給する1つまたは複数の電磁場を使
用することによって、例えば成形剤または蒸気の導入のようなエネルギーの供給が何らか
の種類の材料輸送にしばられないので、様々な厚さとともに複雑な幾何学的形状も有する
プラスチック部品の製造を可能にすることができる。少なくとも1つの電磁場は、それが
実質的に均一に粒子が装填された型を透過し、全ての粒子にほとんど一定の量のエネルギ
ーを供給するように選ぶことができ、それによって均一かつ一定の粒子表面の溶融が、プ
ラスチック部品全体にわたっておよび部品のあらゆる深さにおいて実現される。または、
少なくとも1つの電磁場は、以下のより詳細に説明されるように、型内に配置された粒子
へのエネルギーの供給が局所的に変化するように選ばれる。このようにして、粒子表面の
溶融の性質および程度は、局所的に影響を受けることができる。特に、プラスチック部品
の内部内の粒子表面の溶融は、プラスチック部品の表面における粒子表面の溶融から独立
して制御することができる。
【0027】
本明細書中に説明されるような粒子の予加熱と共に、製造された部品の特性および特徴
をとても正確に調整および調節することができるように製造方法についてとても精密に制
御することが可能であり得る。
【0028】
以下には、製造プロセスを制御するいくつかの例示的なやり方が示されており、製造さ
れた部品の特性および/または製造方法自体に様々な製造パラメータ、例えばその継続時
間またはエネルギー消費がどのように影響を及ぼし得るのか説明される。当業者が理解す
るように、これらのオプションは、互いに組み合わせることもできる。
【0029】
例えば、成形用空洞内の粒子の密度は、粒子のエネルギー吸収、およびしたがって部分
のエネルギー吸収に影響を与え得る。粒子の密度の増加は、加熱の改善をもたらすことが
できる。加熱の改善は、低い誘電損率を有する空気によるものである。したがって、溶融
プロセスに伴われる空気を最小にすることにより電磁場によって供給されるエネルギーの
吸収増加させ、したがって粒子の融合を改善する。
【0030】
同じ理由から、より高い粒子の圧縮比またはより大きい割れ目の隙間を有する型による
と、粒子の充填密度が増加することによりエネルギー吸収がより良くなるという結果にも
なる。これは、充填密度の増加によって粒子表面の加熱の困難性が増すことになりサイク
ル時間が増加することが知られている従来技術により知られている蒸気箱成形を上回って
特に有利であることが指し示されている。
【0031】
明確の理由のために、各種のエネルギー供給は、応用内のそれ自体の電磁場と言語的に
関連していることがこの点において明確に述べられている。「少なくとも1つの電磁場」
について話すとき、したがって、これは、少なくとも1つのエネルギー源は、予加熱およ
び/または融合のためにエネルギーを「その電磁場」の形態で供給する存在であることを
意味し得る。しかしながら、複数のエネルギー源が使用されることも可能であり、または
1つのエネルギー源が異なる周波数などを有する放射を発してもよく、それによってこれ
らの場合には、複数の電磁場が(言語的に)言及される。これらの場は、空間内の所与の
点で重なって、それによって空間内のこの点で物理的な電磁場を形成する。
【0032】
粒子は、ランダムに配置することができる。しかしながら、粒子もしくは粒子の少なく
とも一部は、互いに対して配列することもでき、またはさもなければ型内に意図して配置
することもできる。
【0033】
例えば、粒子は、以下の材料、すなわち、発泡熱可塑性ポリウレタン(eTPU)、発
泡ポリアミド(ePA)、発泡ポリエーテルブロックアミド(ePEBA)、ポリラクチ
ド(PLA)、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)、ポリエチレンテレフタレート
(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、および熱可塑性ポリエステルエー
テルエラストマー(TPEE)のうち1つまたは複数を含み得る。
【0034】
発泡粒子を作製するために使用される他の考えられるポリマーは、ポリアミド、ポリエ
ステル、ポリエーテルケトン、およびポリオレフィンのうち少なくとも1つから選択する
ことができる。ポリアミドは、ホモポリアミド、コポリアミド、ポリエーテルブロックア
ミド、およびポリフタルアミドのうち少なくとも1つであり得る。ポリエーテルケトンは
、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびポ
リエーテルケトンケトン(PEKK)のうち少なくとも1つであり得る。ポリオレフィン
は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、オレフィンコブロックポリマー(
OBC)、ポリオレフィンエラストマー(POE)、ポリエチレンコビニルアセテート(
EVA)、ポリブテン(PB)、およびポリイソブチレン(PIB)のうち少なくとも1
つであり得る。発泡ポリマー材料は、適切な鎖延長剤を含み得る。
【0035】
また、ポリマーは、ポリオキシメチレン(POM)、ポリ塩化ビニリデン(PVCD)
、ポリビニルアルコール(PVAL)、ポリラクチド(PLA)、ポリテトラフルオロエ
チレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン(F
EP)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)、
ペルフルオロアルコキシ(PFA)、および熱可塑性ポリウレタン(TPU)のうち少な
くとも1つから選択することができる。一例では、ポリマーはポリブチレンテレフタレー
ト(PET)を含み、鎖延長剤は、エポキシ基含有ポリマー材料、ピロメリト酸二無水物
、スチレン無水マレイン酸、またはこれらの1つまたは複数の組み合わせ、特に反応可能
なエポキシ基を含有するスチレンアクリル酸塩コポリマーから選択される少なくとも1つ
を含む。
【0036】
さらに、ポリマーは、ポリアミド(PA)またはポリエーテルブロックアミド(PEB
A)を含むことができ、そして、鎖延長剤は、エポキシ基含有ポリマー材料、ピロメリト
酸二無水物、スチレン無水マレイン酸、またはこれらの1つまたは複数の組み合わせ、特
に反応可能なエポキシ基を含有するスチレンアクリル酸塩コポリマーから選択される少な
くとも1つを含むことができる。また、ポリマーは、熱可塑性ポリエステルエーテルエラ
ストマー(TPEE)を含むことができ、そして、鎖延長剤は、エポキシ基含有ポリマー
材料、ピロメリト酸二無水物、スチレン無水マレイン酸、またはこれらの1つまたは複数
の組み合わせ、特に反応可能なエポキシ基を含有するスチレンアクリル酸塩コポリマーか
ら選択される少なくとも1つを含むことができる。
【0037】
一般に、電磁(RF)放射を十分な程度まで吸収し、すなわち比較的高い誘電損率を有
する任意のポリマー材料、例えば、半結晶性ポリマーが使用することができ、それによっ
てさらなる熱伝達媒体は必要とされないようになっている。なお、ePP(発泡ポリプロ
ピレン)またはePS(発泡ポリスチレン)などの一部の材料については、さらなる熱伝
達媒体が必要であり得る。また、一般に、誘電損率を増大させるために1つまたは複数の
添加剤をポリマー材料に組み込むことも可能である。
【0038】
上述した材料のうち1つまたは複数からの粒子を含むプラスチック部品は、とても良好
な緩衝特性および良好な弾力性ならびにエネルギー利得によってずば抜けており、同時に
それらは、とても軽量で提供することができる。それらの特性は、大体において温度に依
存しないものでもあり得る。したがって、型内で異なる発泡粒子の混合物(または領域)
を用いて、次いでこれは本明細書中に説明される方法を用いて部品に形成することができ
ることが有利であり得る。
【0039】
粒子は、少なくとも1つの電磁場によって供給されるエネルギーを吸収するエネルギー
吸収材を含み、このエネルギー吸収材は、粒子の予加熱および/または粒子の表面の溶融
に貢献するようになっていることがさらに可能である。
【0040】
エネルギー吸収材は、単位時間当たり粒子が電磁場から吸収するエネルギーの量を増大
させるという目的に役立ち得る。
【0041】
これによって、プラスチック部品の製造を加速させ、それをよりエネルギー効率が良い
ものにさせることができる。以下にさらに詳細に説明されるように、エネルギー吸収材は
、吸収されたエネルギーの量、したがって粒子が予加熱されおよび/または粒子表面が互
いに融合される程度に局所的に影響を与えるように使用することもできる。
【0042】
それが粒子の表面に単に分配される場合、エネルギー吸収材を使用することにより、粒
子がそれらの表面だけで予加熱されるおよび/または互いに融合される一方、電磁場はそ
こにエネルギーを顕著にもたらすことなく粒子の内部を透過し、それによってセル構造、
およびしたがって粒子の弾性特性は、それらの内部において実質的に変わらないままであ
り得るという利点をさらに有することができる。
【0043】
この点において、「実質的に変わらない」は、例えば、エネルギーを供給する前後で部
品の用途に関連した物理的な特性に顕著な違いがないことを意味し得る。
【0044】
粒子は、型の装填前にエネルギー吸収材が与えられてもよい。
【0045】
型の中に装填される前に、粒子は、例えば、保管容器内のエネルギー吸収材の中に蓄え
ることができ、および/またはエネルギー吸収材などで混合され、被覆され、浸漬され、
または含浸され得る。エネルギー吸収材は、例えば、型に粒子を装填するために使用され
るフィードライン内の粒子に加えることができる。これは、型の装填中に粒子当たりのエ
ネルギー吸収材の量を調整および変更することができるようにエネルギー吸収材の投与追
加を可能にすることができる。
【0046】
エネルギー吸収材は、例えば、水を含むことができる。
【0047】
特に水は、安価であり、環境にやさしく、取扱い容易であるとともに、水が例えば粒子
の表面またはセル構造または外観に望まれない形で影響を与え得る粒子との望ましくない
化学反応に入らない、というさらなる利点を有する。
【0048】
エネルギー吸収材は、金属を含むことも可能である。
【0049】
金属は、例えば金属粉末の形態において、金属が少なくとも1つの電磁場から特に大量
のエネルギーを吸収することができるとともに、同時に取扱いおよび投与が容易であるの
で有利であり得る。また、金属は、必要であれば、例えばプラスチック部品に金属性光沢
を与えるために、プラスチック部品の外観に影響を与えるという目的にも役立ち得る。
【0050】
エネルギーは、例えば、マイクロ波の範囲内の放射、すなわち300MHz~300G
Hzの範囲内の周波数を有する放射の形態で供給することができる。
【0051】
マイクロ波発生器は、市販であり、わりあいに少ない手間で発明の方法を実施する製造
デバイスに実装することができる。さらに、適切なデバイスによって、方法のエネルギー
効率が増加するように、発泡材料の粒子が装填される型の空洞にまたはフィードラインま
たは保管容器にマイクロ波放射を実質的に集中させることも可能であり得る。さらに、マ
イクロ波放射の強度および周波数は、それぞれの要求に容易に変更および適合することが
できる。
【0052】
エネルギーは、高周波範囲内の放射、すなわち30kHz~300MHzの範囲内の周
波数を有する放射の形態で供給することもできる。
【0053】
高周波発生器も市販のものであり、製造デバイス内に容易に実装することができる。ま
た、高周波放射も、製造デバイスのそれぞれの部分に集中させることができ、その強度お
よび周波数は、要求に適合することができる。
【0054】
エネルギーは、上述した周波数範囲とは異なる周波数範囲内の放射の形態で供給される
ことがさらに可能である。
【0055】
特定の一例として、エネルギーは、赤外線(IR)放射の形態で供給することができる
。紫外線(UV)放射の使用も考えられ得る。
【0056】
エネルギーが電磁誘導によって供給されることがさらに可能である。
【0057】
電磁誘導は、磁束の時間的変化による電場の生成を説明する。したがって、電磁誘導の
場合も、エネルギーは、時間的に変化する電磁場の形態で供給される。電磁誘導は、粒子
またはそれらの表面が一定の導電性を有する材料を含む、または一定の導電性を有する材
料で被覆される場合、特に、粒子を予加熱するおよび/または粒子表面を融合するために
使用することができる。そして、電磁誘導によって生成される電場は、粒子または粒子表
面を加熱する本材料内の電流を生成することができる。これは、選択的で局所的に集中さ
れるエネルギーの供給を可能にすることができる。したがって、粒子の表面における粒子
の予加熱および/または粒子の融合の程度は、プラスチック部品の内部内に配置される粒
子についてやはり影響を受けるとともにとても正確に制御され得る。
【0058】
マイクロ波の範囲内の放射、高周波範囲内の放射、または電磁誘導の使用がより有利で
あるかは、例えば、どの材料から型が作製されるかという問題に依存し得る。例えば、そ
れは、型が考えられる最小量のエネルギーを使用された電磁場から吸収するオプションを
選ぶ場合に好ましいものとなり得る。もちろん、上述したオプションの組み合わせが使用
されることも可能である。
【0059】
上記の場合、すなわち、放射によってエネルギーを供給する場合または電磁誘導によっ
てエネルギーを供給する場合のいずれでも、部品は、蒸気箱成形と比べて、さらなる水を
実質的に含まない。これは、製造された部品がさらなる処理ステップに直ちに渡されるこ
とを可能にする。例えば、(例えば、一般にソールまたはスポーツアパレルの)組立てに
関するさらなる製造ステップ、および/または甲革への取り付けステップは、部品の製造
のすぐ後にくることができる(例えば、さらなる製造ステップは、赤外線溶結および/ま
たはRFフュージングを伴うことができる)。
【0060】
したがって、本明細書中に説明されるように製造のプロセスは、カスタマイズされた靴
などのスポーツアパレルを製造することに有利である。詳細には、本明細書中に説明され
るように、スポーツアパレルは、適切な製造する方法を用いて店内で製造することができ
る。スポーツアパレルのカスタマイズされた製造のプロセスは、出願人の欧州特許出願公
開第2862467号明細書および欧州特許出願公開第2865289号明細書にさらに
詳細に説明されている。
【0061】
より多くのエネルギーが型の第2の部分領域内よりも型の第1の部分領域内の粒子に供
給されることがさらに可能である。これは、型を閉じる前の型内の粒子の予加熱と粒子表
面の溶融との両方に提供することができる。
【0062】
このようにして、異なる部分領域が、プラスチック部品内に生成され得、これは、それ
らのそれぞれの厚さ、剛性、通気性、可撓性、弾力性、感触、外観が異なる、または他の
特徴に関して異なっており、潜在的に同じ基材が使用され得、これは製造を助ける可能性
がある。
【0063】
この文献では、粒子に供給されるエネルギーの量は、電磁場から粒子によって実際に吸
収されるエネルギーの量を示すことが好ましい。
【0064】
例えば、エネルギーは、第1の周波数を有する電磁場を用いて型の第1の部分領域内の
粒子へ供給されるとともに、第2の周波数を有する電磁場を用いて型の第2の部分領域内
の粒子へ供給され、第2の周波数は、第1の周波数とは異なる、ことが可能である。
【0065】
エネルギーは、例えば、型の第2の部分領域内よりも高い周波数を用いる電磁放射を用
いて型の第1の部分領域内の粒子に供給することができる。本明細書では、異なっている
周波数を用いる両方の種類の放射は、例えば、単一の放射源から生じることができ、また
は2つの周波数のうち1つを有する放射をそれぞれ発する別々の放射源が使用されてもよ
い。3つ以上の異なる周波数を有する複数種類の放射への一般化も可能である。
【0066】
放射(または異なる種類の放射)の強度は、型の異なる領域内で局所的に変化し、この
ようにして、粒子表面の予加熱および/または融合の程度は、影響を受け得ることもさら
に可能である。
【0067】
他方、様々な部品厚さ(中底の靴製造において、様々な部品厚さは、壁厚と呼ばれるこ
とがある)を有する部分へ一貫したエネルギーの適用を可能にするために、ツール厚さ(
tool thickness)は、変えられることが可能である。例えば、より高い密度の材料は、よ
り早く加熱することができ、したがってツールは、低い密度のエリアのエネルギー吸収と
のバランスをとるために、より多くのエネルギーを吸収するように局所的に調整すること
ができる。これは、変化する電磁場を印加するよりも一定の電磁場を印加する方が容易で
あるので、有利であり得る。したがって、材料の密度を変えることによって、部品の特性
は、電磁場を変化させること(例えば、周波数における変化)によるよりも単純な形で影
響を受け得る。
【0068】
粒子当たりのエネルギー吸収材の平均量は、型内で変化することがさらに可能である。
【0069】
これは、粒子に供給されるエネルギーの量(すなわち粒子によって実際に吸収されるエ
ネルギーの量)に局所的に影響を与えるように電磁場の特性を変化させるという上述した
オプションに対して相補的である可能性をもたらす。例えば、型を装填する前に、ある量
の粒子が、異なる量のエネルギー吸収材と事前に混合され、次いで所望の程度の予加熱お
よび/または溶融に従って様々な混合物が型の異なる部分領域内に配置されることも可能
である。または、エネルギー吸収材は、型に装填される粒子のエネルギー吸収材の内容が
変更され得るように、型の装填中に例えばフィードライン内で投与のやり方で粒子に加え
られてもよい。
【0070】
型には、少なくとも1つの電磁場によって実質的に変わらないままである第2の材料が
さらに装填され得る。
【0071】
例えば、これは、電磁場が顕著な程度まで材料によって吸収されることなく透過する材
料とすることができる。詳細には、第2の材料は、エネルギー吸収材がないものであり得
る。「実質的に変わらない」は、第2の材料が溶けないまたは溶け始めないまたはより柔
らかくまたはより固くなることを意味し得る。用語「実質的に変わらない」の意味に関す
るさらなる説明は、すでに上に記載されており、これらの説明もここで当てはまる。
【0072】
第2の材料は、例えば、発泡材料の粒子、特にeTPU、ePA、ePEBA、PLA
、PEBA、PET、PBTおよび/またはTPEEの粒子を含むこともできる。他の例
は上述されている。
【0073】
したがって、発明の製造方法は、プラスチック部品がこれらの領域などにおいてより低
い剛性を備えるがより高い通気性を備えることができるように、例えば、強く融合されて
いるおよび/またはより堅いおよび/または空気を通さない部分領域、ならびに粒子の緩
い集合体を含む部分領域を備える単一の基材からプラスチック部品を製造することを可能
にすることができる。
【0074】
製造方法は、溶融後に粒子フォーム部品を安定化させるステップを伴うこともできる。
これは、部品が所望の部分形状を維持するように、溶融後にツール内で部品を維持するこ
とによってなされ得る。型内の材料の体積が大きくなるにつれて、部品を安定化させるこ
とがより有益になる。安定化ステップは、部品が冷える速度、したがって安定化される速
度の制御を可能にする手段(例えば、冷却チャネルまたは冷却リブ)を含むこともできる
。
【0075】
製造方法は、粒子フォーム上に表皮を形成するようにフォイルを用いるさらなるステッ
プを含むこともできる。フォイルは、外部のフォーム粒子と融合され得る。一例では、こ
れは、TPUとすることができるが、極性の観点で最も敏感であるPVCなどのボンディ
ングのための高度の極性を示す他の材料が使用されてもよい。
【0076】
第2の材料の粒子は、ランダムに配置することができる。あるいは、粒子もしくは第2
の材料の粒子の少なくとも一部は、互いに対して配列することができ、さもなければ型内
に意図して配置することができる。
【0077】
第1の材料によって吸収されるエネルギーの量と第1の材料および型によって吸収され
るエネルギーの総量の比は、1.0~0.2の範囲内にあることができ、またはそれは1
.0~0.5の範囲内にあることができ、あるいはそれは1.0~0.8の範囲内にもあ
ることができる。
【0078】
第2の材料(および潜在的にさらなる材料も)が型に装填される場合、上記の範囲は、
第1の材料によって吸収されるエネルギーの量と型内の全材料によって吸収されるエネル
ギーと型によって吸収されるエネルギーの総量との比に当てはまり得る。
【0079】
すでに何度も述べたように、本発明の製造方法は、粒子の予加熱および/または粒子表
面の溶融のためにエネルギーが必要とされる領域にエネルギーを選択的に供給することを
可能にすることができる。特に閉じられた型内の粒子表面の溶融に関しては、電磁場から
取るに足らない量のエネルギーしか型に吸収させないように型に使用される材料の適切な
選択によって可能であり得る。1つには、これによって、製造方法をよりエネルギー効率
の良いものにさせる。それは、型が顕著に加熱するのを防ぐのを助けることもでき、これ
は、冷却プロセスをかなり短くさせることができる。型の予加熱は、回避することもでき
る。粒子を用いた第1の材料によって吸収されるエネルギーの量と型内の全材料と型自体
によって吸収されるエネルギーの総量との上述した比は、現実的であることが分かってい
る。
【0080】
しかしながら、スポーツ用品を製造する方法は、型の壁の少なくとも一部で加熱または
予加熱するステップを含むこともできる。これは、粒子の予加熱自体に貢献することもで
きる。このようにして、表面の品質を改善することができるとともに、型表面まで粒子の
より良い充填を実現することができる。これを実現する考えられるやり方の1つは、型表
面の材料よりも高い誘電損を有する型表面に材料を施すことによって実現することができ
、そして一部の放射を吸収し、したがって材料を溶かすことなく加熱する。この製造ステ
ップを実現する別の方法は、ツールの周りに/ツールを通じて流体を通すことによって型
の加熱を可能にするために、ツール(例えば、より複雑なチャネルを可能にするとともに
型表面に近いチャネルも可能にするレーザ焼結式ツール)を使用することでもあり得る。
流体は、低い誘電損率を有するべきである。一般に、部品の溶融温度を上回る加熱は、部
品の壁の溶融をもたらし、これは望ましいものではない。材料のガラス転移温度の近く、
その温度、またはそれを超える温度に型を加熱するときには、この値を超えるとポリマー
において材料の誘電吸収が激変するので、注意が払われるべきであることに留意されたい
とともに、すなわち吸収の増加は、加熱はこの温度を超えると急速に増加することを意味
する。したがって、場合によっては、材料のガラス転移温度の近く、その温度、またはそ
れを超える温度に型を加熱することは、避けられるべきである。
【0081】
複雑なチャネルおよび/または型表面に近いチャネルに関するレーザ焼結式ツールは、
チャネルは、チャネルに冷却用流体を通過させることによってツールの急速な冷却を可能
にすることができるという点でやはり有益であり得ることも言及される。ツールは、冷却
を助けるために、冷却リブを備えることもできる。
【0082】
当業界で知られている任意の型の製造方法は、本明細書中に記載された方法に使用する
ための型を構成するために使用することができる。
【0083】
例えば、型は、全体または一部にエポキシ樹脂を含むことができる。他の型材料が、上
記製造方法を共に使用されることもできる。例えば、この製造方法は、PTFE、PE、
PEEK、UHMWPE(超高分子量ポリエチレン)、または電磁場印加中に構造的に安
定である他の材料の型を用意することを伴うことができる。そのような構造的に安定な材
料を用意することは、粒子の表面を融合するステップを伴うことができる。
【0084】
エポキシ樹脂を使用することによって、複雑な三次元幾何学的形状を有する型の製造を
助けることもできる。さらに、エポキシ樹脂は、例えば、型または型の一部の加熱を回避
または減少させることができるように非電導性で与えられ得る。エポキシ樹脂から作製さ
れた型または型の一部は、電磁放射に対しても基本的に非吸収で与えられ得る。しかしな
がら、上述したように、いくつかの状況では、型の少なくとも一部を加熱するさらなるス
テップは、有利であり得る。
【0085】
本発明のさらなる態様は、スポーツアパレル用の緩衝要素を製造する方法であって、(
a)所定の量だけ装填位置に型を開くステップと、(b)型は少なくとも2つの型部分を
備え、ステップ(a)で型が開かれる量が利用可能な型の装填容積に影響を与えるステッ
プと、(c)ステップ(a)の型を開くステップによって作られた装填容積の中に発泡材
料の粒子を含む第1の材料を装填するステップと、(d)型を閉鎖位置に閉じるステップ
と、(e)少なくとも1つの電磁場の形態でエネルギーを少なくとも供給することによっ
て粒子の表面を融合するステップとを含む、方法によって与えられる。
【0086】
型は、2つの部分を備えることができるが、型は、3つ以上の部分を備えることもでき
る。例えば、3つ以上の部分を有することは、型に装填すること、または完成部品を型か
ら取り出すことを容易にすることができる。
【0087】
例えば、2つの型部分を有する型の場合には、2つの型部分は、型の装填位置で2つの
型部分の間に隙間または割れ目を与えることができる。したがって、型の装填位置は、(
型部分の個数に関わりなく)型の「割れ目の隙間の位置」とも呼ばれ得る。割れ目を通じ
て、第1の材料は、型を開くことによって型部分間に作られた装填容積に装填することが
できる。
【0088】
利用可能な装填容積は、第1の材料で完全に満たすことができる。しかしながら、利用
可能な装填容積が、次いでさらなる材料によっていっぱいに満たすために、または単に空
隙を部分的に残すために、第1の材料で完全に満たされないことも可能である。装填は、
さらなる圧力なしで(例えば、大気圧下で)実行することができ、または第1の材料は、
(例えば、大気圧より上の)圧力下で型に装填することができる。装填は、例えば、空気
または液体の流れを使用することによって容易にすることができる。
【0089】
個々の型部分間の隙間または割れ目を通じた型の装填は、「割れ目の隙間の装填」と呼
ばれ得る。したがって、本発明の本態様は、「割れ目の隙間方法」とも呼ばれ得る。
【0090】
述べられたように、ステップ(a)において装填位置で型が開かれる所定の量、および
したがって割れ目の高さは、ステップ(c)において第1の材料(および潜在的にさらな
る材料)が装填され得る利用可能な装填容積に影響を与える。もちろん、利用可能な装填
容積に影響を与えるさらなる要因は、型の全般的なサイズ、すなわち製造される部品のサ
イズ(例えば、この方法が靴のソールまたは靴のソールの一部を製造するのに使用される
場合、靴のサイズ)である。利用可能な装填容積は、ステップ(d)中に型が閉鎖すると
第1の材料、および詳細には発泡材料の粒子が受ける圧縮量に影響を及ぼし得る(例えば
、利用可能な装填容積が第1の材料で完全に満たされるとともに、型の閉鎖位置が常に同
じであると仮定すると、そうでなければ、閉鎖位置の充填の高さおよび特定の構成は、や
はり圧縮量に影響を与え得る)。
【0091】
粒子の表面を溶融するためのエネルギーは、少なくとも1つの電磁場の形態で供給する
ことができる。しかしながら、例えば(加圧された)蒸気を用いてエネルギーを供給する
他の形態は、粒子の表面の融合に貢献することもできる。本明細書全体にわたって説明さ
れるエネルギーを供給するのに使用される電磁場の詳細および特徴は、これらの詳細およ
び特徴が異なる態様の文脈で説明される場合も、本発明の本態様にも当てはまり得ること
が述べられている。したがって、それらは、簡潔にするためにここでは繰り返されない。
【0092】
型の装填(または割れ目(隙間))位置において、型部分は、型の異なるエリアにおい
て、型の閉鎖位置と比較して、様々な距離で離間され得、それによって型を閉じるステッ
プ(d)の最中、型部分は、異なるエリアにおいて異なる距離にわたって共に移動させら
れる。
【0093】
例えば、型部分のうち少なくとも1つは、いくつかの個々の小部分を含むことができ、
型の装填位置における型部分間の距離は、型の異なるエリアにおいて型部分間で様々な距
離を得るために、小部分ごとに個々に調整することができる。
【0094】
型を閉じるステップ(d)の最中、型部分のうち少なくとも1つは、偏心で配置された
旋回軸周りに枢動させられることも可能である。
【0095】
型を閉じるステップ(d)の最中、粒子は、型の異なるエリアにおいて異なったように
圧縮され得る。例えば、個々の小部分を有する型部分、または偏心で配置された旋回軸周
りに枢動させられる型部分は、型を閉じると、型の異なるエリアにおいて異なる程度の圧
縮をもたらし得る。
【0096】
ステップ(a)において型が開かれる所定の量は、緩衝要素の機械的特性に影響を与え
得る。そのような機械的特性には、例えば、緩衝要素の剛性、密度、および/または弾力
性が含まれ得る。例えば、より大きい割れ目の高さは、より大きい利用可能な装填容積を
もたらすことができ、より多くの材料が型の中に装填されることをもたらすことができ、
したがって型を閉じると装填された材料の圧縮がより大きくなる。これは、例えば、製造
された緩衝要素のより高い密度およびより高い剛性をもたらし得る。
【0097】
機械的特性に影響を与え得る他の要因には、例えば、型の中に装填される第1の材料の
材料組成、(例えば、大気以上の)装填圧力、粒子表面の融合のために供給されるエネル
ギーの量および種類、融合の継続期間などが含まれる。
【0098】
このように製造された緩衝要素は、例えば、靴のソールまたは靴のソールの一部、例え
ば中底であり得る。
【0099】
この「割れ目の隙間方法」のさらなる詳細、オプション、および利点は、以下詳細な説
明にさらに説明される。
【0100】
緩衝要素を製造する「割れ目の隙間方法」は、上述されるおよびさらに後述される本発
明の他の態様と組み合わせることもできるが、本発明の様々な態様が個々に実施されるこ
とも可能であることについても強調する。
【0101】
本発明のさらなる態様は、発明の方法の一実施形態を用いて製造されるプラスチック部
品、特にスポーツアパレル用の緩衝要素(例えば、靴のソールまたは靴のソールの一部)
によって与えられる。
【0102】
本発明のさらなる態様は、そのような緩衝要素を有する靴、特にスポーツ靴に関する。
この靴は、例えば、ランニングシューズであり得る。
【0103】
そのようなプラスチック部品を製造する発明の製造方法を使用することによって、製造
されたプラスチック部品の特性は、製造デバイスの複雑な構成を必要とすることなく、選
択的および局所的に影響を与えることができる。また、この製造は、エネルギー効率がよ
く、環境にやさしいものであり得るとともに、わりあいに少ない時間で完了することがで
きる。したがって、発明の製造方法は、大量生産、例えば発明の方法を使用して製造され
るソールまたはソールの一部を有する靴の製造に用いるのに適切であり得る。また、この
方法は、かなりの程度まで自動化することができ、様々な種類のプラスチック部品が、例
えば周波数、強度、放射の継続時間、焦点合わせ、および他の電磁場の特性をプラスチッ
ク部品ごとのそれぞれの要求に適合させることによって単一の製造デバイスを用いて製造
することができる。
【0104】
本発明は、以下の実施形態を含む。
【0105】
[1] プラスチック部品、特にスポーツアパレル用の緩衝要素を製造する方法(100
)であって、
a.発泡材料の粒子(120)を含む第1の材料を型(110)に装填するステップと
、
b.型の装填中に、エネルギーを供給することによって粒子(120)を予加熱するス
テップと
を含み、
c.エネルギーは、少なくとも1つの電磁場(130;135;140)の形態で供給
される、方法(100)。
【0106】
[2] 装填するステップは、少なくとも1つのフィードライン(118)を介して容器
から型へ粒子(120)を輸送することを含む、[1]に記載の方法(100)。
【0107】
[3] 粒子(120)は、容器内および/またはフィードライン(118)内の間に予
加熱される、[1]または[2]に記載の方法(100)。
【0108】
[4] 粒子(120)は、型(110)を閉じる前に型(110)内で予加熱される、
[1]から[3]のいずれかに記載の方法(100)。
【0109】
[5] 少なくとも1つの電磁場(130;135;140)によって供給されるエネル
ギーを時間の経過とともに変える、[1]から[4]のいずれかに記載の方法(100)
。
【0110】
[6] 少なくとも1つの電磁場(130;135;140)によって供給されるエネル
ギーを時間の経過とともに次第に増加させる、[1]から[5]のいずれかに記載の方法
(100)。
【0111】
[7] エネルギーを供給することによって、特に少なくとも1つの電磁場(130;1
35;140)の形態でエネルギーを供給することによって、粒子(120)の表面を溶
融するステップをさらに含む、[1]から[6]のいずれかに記載の方法(100)。
【0112】
[8] 予加熱のために使用される電磁場のタイプは、粒子(120)の表面を溶融する
ために使用される電磁場のタイプと異なる、[7]に記載の方法(100)。
【0113】
[9] 粒子(120)は、以下の材料、すなわち、発泡熱可塑性ポリウレタン、eTP
U;発泡ポリアミド、ePA;発泡ポリエーテルブロックアミド;ePEBA;ポリラク
チド、PLA;ポリエーテルブロックアミド、PEBA;ポリエチレンテレフタレート、
PET;ポリブチレンテレフタレート、PBT;熱可塑性ポリエステルエーテルエラスト
マー、TPEEのうち1つまたは複数を含む、[1]から[8]のいずれかに記載の方法
(100)。
【0114】
[10] 粒子(120)は、少なくとも1つの電磁場(130;135;140)によ
って供給されるエネルギーを吸収するエネルギー吸収材をさらに含み、このエネルギー吸
収材は、粒子(120)の表面の溶融に貢献するようになっている、[1]から[9]の
いずれかに記載の方法(100)。
【0115】
[11] 粒子(120)は、型(110)の装填前にエネルギー吸収材が与えられる、
[10]に記載の方法(100)。
【0116】
[12] エネルギー吸収材は水を含む、[10]または[11]に記載の方法(100
)。
【0117】
[13] エネルギー吸収材は金属を含む、[10]から[12]のいずれかに記載の方
法(100)。
【0118】
[14] エネルギーは、マイクロ波の範囲内、300MHz~300GHzの放射(1
30;135)の形態で供給される、[1]から[13]のいずれかに記載の方法(10
0)。
【0119】
[15] エネルギーは、電磁誘導(140)によって供給される、[1]から[14]
のいずれかに記載の方法(100)。
【0120】
[16] より多くのエネルギーは、型(110)の第2の部分領域(155)内よりも
型(110)の第1の部分領域(150)内の粒子(120)に供給される、[7]から
[15]のいずれかに記載の方法(100)。
【0121】
[17] エネルギーは、第1の周波数(f1)を有する電磁場(130)を用いて型(
110)の第1の部分領域(150)内の粒子(120)へ供給されるとともに、第2の
周波数(f2)を有する電磁場(135)を用いて型(110)の第2の部分領域(15
5)内の粒子へ供給され、第2の周波数(f2)は、第1の周波数(f1)とは異なる、
[7]から[16]のいずれかに記載の方法(100)。
【0122】
[18] 粒子(120)当たりのエネルギー吸収材の平均量は、型(110)内で変化
する、[10]から[17]のいずれか一つに記載の方法(100)。
【0123】
[19] 型(110)には、少なくとも1つの電磁場(130;135;140)によ
って実質的に変わらないままである第2の材料(160;165)がさらに装填される、
[1]から[18]のいずれかに記載の方法(100)。
【0124】
[20] 第1の材料によって吸収されるエネルギーの量と第1の材料および型(110
)によって吸収されるエネルギーの総量の比は、1.0~0.2の範囲内にあり、好まし
くは1.0~0.5の範囲内にあり、特に好ましくは1.0~0.8の範囲内にある、[
7]から[19]のいずれか一つに記載の方法(100)。
【0125】
[21] スポーツアパレル用の緩衝要素を製造する方法であって、
a.所定の量だけ装填位置に型(110)を開くステップと、
b.型(110)は少なくとも2つの型部分(112;113)を備え、ステップa.
で型が開かれる量が型(110)の利用可能な装填容積に影響を与えるステップと、
c.ステップa.の型(110)を開くステップによって作られた装填容積の中に発泡
材料の粒子(120)を含む第1の材料を装填するステップと、
d.型(110)を閉鎖位置に閉じるステップと、
e.少なくとも1つの電磁場(130;135;140)の形態でエネルギーを少なく
とも供給することによって粒子(120)の表面を融合するステップと
を含む、方法。
【0126】
[22] 型(110)の装填位置において、型部分(112;113)は、型(110
)の異なるエリアにおいて、型(110)の閉鎖位置と比較して、様々な距離で離間され
、それによって型(110)を閉じるステップd.の最中、型部分(112;113)は
、異なるエリアにおいて異なる距離にわたって共に移動させられる、[21]に記載の方
法。
【0127】
[23] 型部分(112;113)のうち少なくとも1つは、いくつかの個々の小部分
を含み、型(110)の装填位置における型部分(112;113)間の距離は、異なる
エリアにおいて様々な距離を得るために、小部分ごとに個々に調整することができる、[
22]に記載の方法。
【0128】
[24] 型(110)を閉じるステップd.の最中、型部分(112;113)のうち
少なくとも1つは、偏心で配置された旋回軸周りに枢動させられる、[21]から[23
]のいずれかに記載の方法。
【0129】
[25] 型(110)を閉じるステップd.の最中、粒子(120)は、型(110)
の異なるエリアにおいて異なったように圧縮される、[21]から[24]のいずれかに
記載の方法。
【0130】
[26] ステップa.において型(110)が開かれる所定の量は、緩衝要素の機械的
特性に影響を与える、[21]から[25]のいずれかに記載の方法。
【0131】
[27] 緩衝要素は、靴のソールまたは靴のソールの一部である、[21]から[26
]のいずれかに記載の方法。
【0132】
[28] [1]から[20]のいずれか一つに記載の方法と組み合わされる、[21]
から[27]のいずれかに記載の方法。
【0133】
[29] [1]から[28]のいずれかに記載の方法(100)を用いて製造されるプ
ラスチック部品、特にスポーツアパレル用の緩衝要素。
【0134】
[30] [29]に記載の緩衝要素を有する靴、特にスポーツ靴。
【0135】
本発明の考えられる実施形態は、以下の図面を参照して以下の説明の中でさらに説明さ
れる。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【
図1a】発明の製造方法の実施形態の概略図である。
【
図1b】発明の製造方法の実施形態の概略図である。
【
図1c】発明の製造方法の実施形態の概略図である。
【
図1d】発明の製造方法の実施形態の概略図である。
【
図1e】発明の製造方法の実施形態の概略図である。
【
図1f】発明の製造方法の実施形態の概略図である。
【
図1g】発明の製造方法の実施形態の概略図である。
【
図1h】発明の製造方法の実施形態の概略図である。
【
図1i】発明の製造方法の実施形態の概略図である。
【
図2a】例示的な製造方法により製造されるプラスチック部品の例を示す図である。
【
図2b】例示的な製造方法により製造されるプラスチック部品の例を示す図である。
【
図2c】例示的な製造方法により製造されるプラスチック部品の例を示す図である。
【
図3】粒子フォーム部品を製造するための機器の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0137】
発明の方法の考えられる実施形態は、スポーツアパレル用の緩衝要素、特に靴用のソー
ルに主に関連して以下の詳細な説明に記載されている。しかしながら、本発明はこれらの
実施形態に限定されないことを強調する。それとは反対に、それは、自動車産業用のプラ
スチック部品、例えば、バンパー、泥よけ、パネル要素、シートシェル、またはアームレ
ストの製造、航空機産業および航空宇宙産業向けのプラスチック部品、包装産業向けのプ
ラスチック部品、スポーツ用具向けのプラスチック部品などに使用することもできる。
【0138】
以下において、本発明の実施形態のみが、より詳細に説明され得ることについての言及
がさらになされる。しかしながら、これらの特定の実施形態を参照して説明されるオプシ
ョンの方法ステップおよび考えられる修正形態は、本発明の範囲内で異なるやり方で修正
または互いに組み合わされることも可能であり、この方法の個々のステップまたはオプシ
ョンの特徴は、これらが必ずしも必要でないと思われる場合には省略することもできると
いうことを当業者は理解されよう。したがって、冗長を避けるために、以下の詳細な説明
にも当てはまる前述の部分中の説明の参照がなされる。
【0139】
図1a~
図1iは、プラスチック部品を製造するための発明の方法100の各実施形態
を示す。これらは、概略図であり、
図1a~
図1iに示された比率は、方法100の現実
の応用における実際の比率に必ずしも適合する必要はないようになっている。むしろ、図
1a~
図1iは、方法100の潜在的な設計オプションおよび修正例、ならびに所与の一
組の要求に従って方法100を適合させる様々な可能性を含む本発明の範囲を当業者に示
すという目的に役立つ。
【0140】
方法100は、
図1aに示されるように本明細書中で「フォーム粒子」とも呼ばれる発
泡材料の粒子120を含む第1の材料を型110に装填するステップを含む。
【0141】
型110の装填の最中、方法100は、エネルギーを供給することによって粒子120
を予加熱するステップを含むこともでき、エネルギーは、少なくとも1つの電磁場130
、135、140の形態で供給される(以下これらの場sをより詳述する)。
【0142】
予加熱するステップに関係するオプションおよび特徴は、すでに詳細に上述されており
、したがって、簡潔のためにここで全ては繰り返されない。いくつかのさらなる詳細およ
び利点を以下さらに説明する。粒子120のエネルギー吸収特性が粒子表面の融合の文脈
において以下に説明されるときはいつでも、物理的に可能である場合、同じ考えが、粒子
120の予加熱にも当てはまり得ることも言及される。
【0143】
しかしながら、重要なことには、以下に説明されるような部品の製造は、原理では、予
加熱するステップなしで実行することもできることを強調する。すなわち、ある種の共同
の利点(例えば、1つ例を挙げるとすると、サイクル時間の減少)は、粒子120の予加
熱を伴うこれらの態様を組み合わせることによって実現することができるが、型110ま
たは粒子表面の融合に関連して以下に説明される特徴および詳細は、例えば、粒子120
を予加熱することなしで実施することもできるという独立した態様とみなされるべきであ
る。
【0144】
型110は、例えば、互いに対して移動可能であり得る2つ以上の型部分112、11
3を備えることができる。型110は、製造されることになるプラスチック部品に対応す
る形状を有する空洞115を含む。
【0145】
型110または型部分112、113は、例えば、エポキシ樹脂を含むことができる。
型110または型部分112、113を製造するためにエポキシ樹脂を使用することは、
とても複雑な三次元の幾何学的形状を有する空洞115を備えた型110を用意すること
を可能にすることができる。したがって、複雑な形状のプラスチック部品も、本発明の製
造方法100を用いて製造することができる。しかしながら、また他の型材料も、方法1
00と共に使用することもできる。例えば、方法100は、電磁場の印加中に構造的に安
定であるPTFE、PE、PEEK、または他の材料の型110を用意するステップを含
むことができる。
【0146】
型110または型部分112、113の表面材料は、それがフォーム粒子120(すな
わち発泡材料の粒子120)の損率と同様の損率を有するように選択することができる。
そのような適切な材料の一例は、エポキシ樹脂である。粒子120の損率と同様の損率を
有する材料を有する型110または型部分112、113の表面を用意することによって
、粒子120と成形用空洞115を囲む型110の壁との両方をほぼ均一に加熱すること
をもたらすことができ、それによってより良い部品の表面融合を得ることができる。型1
10の表面は、例えば、被覆プロセスによりまたは当業界で知られている別のやり方で適
切な表面材料の適用により変えることができる。
【0147】
また、型部分112、113は、コンデンサの板(図示せず)を備えることができる。
コンデンサの板は、型部分112、113の内壁に(すなわち成形用空洞115に面する
部分112、113の側面に)配置することができる。別の例では、型部分112、11
3の少なくとも一部は、コンデンサの板で作製することができる。
【0148】
より一般的には、型部分112、113は、層状構造を含むことができる。型部分11
2、113は、例えば、ベース板、成形用空洞115の少なくとも一部を画定する成形板
、および成形板の内側にある絶縁層(すなわち空洞115に面する側)を含む層状構造を
それぞれ備えることができる。コンデンサの板は、そのような層状構造に含まれることも
できる。
【0149】
成形板および/またはコンデンサの板の厚さは、変化し得る。例えば、成形板および/
またはコンデンサの板の厚さを変えることによって、型部分112、113は曲線状であ
り得る。これは、型110内の粒子120に供給されることになるエネルギーの微調節を
可能にする。成形板自体を調整するよりもより経済的であり得る同じ成形板を維持するこ
とをそれが可能にするとき、コンデンサの板を調整することは、好ましいものであり得る
。
【0150】
さらに、電圧計は、コンデンサの電圧を測定するために使用することができる。これは
、パワーが電圧の平方に比例するので、粒子120に導入される熱出力を決定するために
役立ち得る。
【0151】
型部分112、113のうち少なくとも1つは、複合材料で形成または構成することも
できる。複合材料は、プラスチック材料とその内部に埋め込まれた本体とを備えるマトリ
ックス材料を含むことができ、この本体は、埋め込まれているプラスチック材料よりも良
い熱伝導性を有する材料を含む、またはそれで作製される。
【0152】
埋め込まれた本体は、例えば、粒子またはファイバとすることができる。本体は、マト
リックス材料内に完全に埋め込むことができる。本体が粒子、例えば球状粒子である場合
、本体は、3mm、2mm、またはいっそうのこと1mmの最大サイズを有することがで
きる。本体がファイバである場合、本体は、20mm、10mm、またはいっそうのこと
5mmの最大長さを有することができる。
【0153】
マトリックス材料は、電導性でないプラスチック材料、例えば、エポキシ樹脂で作製す
ることができる。本体は、それらの少なくとも大部分が互いに接触しないようにマトリッ
クス材料内に分散することができる。そのような状況では、本体は、電導性材料で作製す
ることができる。特定の一例として、型部分112、113は共に、上述したようなコン
デンサの板を備えることができ、型部分は、それらの少なくとも大部分が互いに電気的に
接続しないように電導性ファイバを内部に埋め込んだ非電導性プラスチックマトリックス
材料で作製された複合材料をさらに備えることができる。この場合には、ファイバは、コ
ンデンサの板に平行に隣接して配置されることが有利であり得る。
【0154】
例えば、埋め込まれた本体は、ケイ砂、セラミック材料、酸化アルミニウム、窒化アル
ミニウム、ガラス顆粒、フリット、炭化ケイ素、および/または酸化マグネシウムなどの
鉱物物質を含む、またはそれで作製することができる。埋め込まれた本体は、ガラス繊維
または炭素繊維とすることもできる。
【0155】
炭素繊維は、概して電導性であり、そのため、炭素繊維は、そのようなコンデンサの板
が備えられる場合、型部分112、113のコンデンサの板に平行に隣接して配置される
ことが好ましい。
【0156】
酸化マグネシウムは、高い熱容量を有し、型部分112、113を有する型110は、
溶結中に粒子120に導入される熱を迅速に吸収することができ、結果として生じる粒子
フォーム部品は素早く冷却するようになっている。
【0157】
別のオプションは、RF放射を吸収しないまたはRF放射をほんの限られた程度まで吸
収する材料を含む複合材料である。そのような複合材料は、RF放射に影響を与えず/吸
収せず、またはほんの最小の程度までRF放射に影響を与えず/吸収しない。しかしなが
ら、良好な熱伝導性を有する埋め込まれた本体のために、複合材料は、成形用空洞115
内に存在する熱を迅速に放散させることができ、融合後に部品はより速く冷まされる。
【0158】
そのような複合材料を含む型部分112、113は、その内側に、すなわち成形用空洞
115に面する側に、複合材料よりも強くRF放射を吸収する被覆をさらに備えることが
できる。このため、成形用空洞115に隣接しているエリア内に電磁放射を印加すると、
型部分112、113は加熱され、それによって成形用空洞115内のフォーム粒子12
0は、均一に加熱することができる。詳細には、この被覆は、型110内でフォーム粒子
120が溶結されるのと同様の電気損率を有することができる。被覆は、プラスチック被
覆とすることができ、このプラスチック被覆は、PET(ポリエチレンテレフタレート)
、PEEK(ポリエーテルケトン)、POM(ポリオキシメチレン)、ポリイミド、また
はPMMA(ポリメチルメタクリレート)で作製または構成することができる。
【0159】
絶縁層は、(すなわち成形用空洞115に向かって面する)型110の内側に配置する
こともできる。絶縁層は、絶縁層が電磁放射によって加熱されないように絶縁層の材料が
選ばれる場合、型の壁の加熱を防ぐのを助けることができる。一例では、電気的に絶縁さ
れた被覆は、電磁放射、特にRF放射に対して実質的に透過性である材料から作製するこ
とができ、この材料は、例えば、PTFE、PE、PEEKである。
【0160】
例えば、被覆または絶縁層は、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PE
EK(ポリエーテルケトン)、POM(ポリオキシメチレン)、ポリイミド、およびPM
MA(ポリメチルメタクリレート)などの適度な損率を有する材料から作製することがで
きる。RF放射に対して、ポリオキシメチレンは誘電損率Dが約0.008であり、ポリ
メチルメタクリレートは誘電損率Dが約0.02であるが、これは、それらが電磁放射の
わずか一部しか吸収せず、比較的低い損率により、例えば、少なくとも2mm、特に少な
くとも2.5mm、または少なくとも5mmのある厚さで形成することができるからであ
る。したがって、これらの被覆は、RF放射に対して実質的に透過性である。好ましくは
、被覆は、20mm以下、特に15mm以下、好ましくは10mm以下であり、そのため
被覆により吸収される電磁放射のエネルギーの一部は小さい。
【0161】
他方、すでに述べたように、型110の内側は、電磁放射が印加された場合に、成形用
空洞115内で加工されるプラスチック材料と同様の誘電損率(例えば、粒子120の材
料と同じ損率)を有するプラスチック材料で覆うこともでき、成形用空洞115全体にわ
たって、および電磁放射を印加したときにはその縁部において、均一な加熱を実現するよ
うになっている。
【0162】
粒子120と同様の損率を有する絶縁層またはプラスチック材料の適用は、上述したよ
うな複合材料を含まない型110および型部分112、113についても利用可能である
ことを強調する。
【0163】
別の例として、成形用空洞115を囲む型表面を加熱することが役立つと思われる場合
、加熱用電線が、成形用空洞115を囲む型の表面に隣接して配置することができる。加
熱用電線は、加熱用電流を加熱用電線に供給することができる電源に接続されている。や
はり、成形用空洞115に隣接した壁/型表面の加熱は、粒子120、特に型110の壁
に当接する粒子のより良い表面融合を実現するのを助けることができる。
【0164】
発泡材料の粒子120を含む第1の材料に関しての型110の装填は、例えば、型11
0の空洞115と入口を介して接続されているフィードライン118を介して行われ得る
。装填は複数のフィードラインおよび入口によって行われることも可能である。
【0165】
代替としてまたは追加として、装填は、最初に型110の移動可能な型部分112、1
13が互いから離れるように移動させられ、それによって1つまたは複数の開口が型部分
112と型部分113の間に作られ、この開口を通じて装填が行われることによっても行
うことができる(このオプションは、図には明確に示されていない)。型110の装填が
完了した後、移動可能な型部分112、113は互いに移動させることができ、および/
または入口は閉じることができ、それによって空洞115は閉じられた成形室を形成する
。粒子120を有する第1の材料を装填するために型部分112、113が離れるように
移動させられる状態は、装填状態または「割れ目の隙間の状態」と呼ばれ得るとともに、
そのような装填を用いる型は、「割れ目の隙間の成形ツール」と呼ばれ得る。
【0166】
型110を装填状態に開く量は、型110の利用可能な装填容積に影響を与え得る。利
用可能な装填容積は、緩衝要素「に入り込む」材料の量、したがって緩衝要素の機械的特
性など、例えば、密度、剛性、および/または弾力性に影響し得る。
【0167】
装填中の割れ目の隙間の使用は、例えば、製造される粒子フォーム部品の領域内の密度
の増加を助けることができ、さもなければ、密度がとても低いと分かる。例えば、そのよ
うな領域では、型は、より大きい量へ開くことができ、したがって粒子で「いっぱいしす
ぎ」となり、型を閉じるとより強い粒子圧縮、したがって成形部品の密度増加となる。
【0168】
より一般的には、割れ目の隙間の位置における型部分間の距離は、利用可能な装填容積
、したがって装填状態に型110に満たされ得る粒子の量に、および型110を閉じると
粒子が受ける圧縮の量にも影響を与える(例えば、利用可能な装填容積は完全に使用され
、型110は常に同じ最終位置に閉じられると仮定しており、さもなければ充填の高さお
よび型110の閉鎖位置の特定の構成は、圧縮の量にやはり影響を与え得る)。割れ目の
隙間の位置における型部分112および113の間のより大きい距離、すなわちより大き
い割れ目の高さは、より小さい割れ目の高さと比較して、型110が閉じられるときに、
より多くの粒子が型110に満たされ、したがってこれによってより強い圧縮を受けるこ
とを可能にする(例えば、利用可能な装填容積は完全に使用され、型の閉鎖位置は割れ目
の高さに関わりなく同じであるとやはり仮定しており、そうでない場合は、すでに述べた
ように、充填の高さおよび型の閉鎖位置の詳細は、圧縮にやはり影響を与え得る)。
【0169】
要約すると、型110は、2つの型部分112および113(3つ以上の型部分も考え
られるが、簡潔にするため、ここでは明確には説明しない)を有することができ、割れ目
の隙間の成形時、2つの半体112、113は、型110の装填のために2つの半体11
2、113が閉鎖位置に対してある距離で互いに離間している割れ目の隙間の位置に配置
され、続いて2つの半体112、113は、粒子120の表面の融合前に押し合わされ、
それによって成形用空洞115内で粒子を圧縮する。装填中の型部分112と型部分11
3の間の距離、すなわち装填のために型110が開いている量は、2つの部分112と1
13の間の利用可能な装填容積に影響を与え、したがってそれは、型110の中に装填で
きる粒子120の量に影響を与えることができるまたはそれを決定することができる。こ
れは、型110を閉じると粒子120によって受ける圧縮の量に影響を与えることができ
るまたはそれを決定することができる。
【0170】
型110の充填中、型部分112および113は、型110の異なるエリアにおいて、
様々な距離で離間され得、それによって型110を閉じる最中、型部分112および11
3は、異なるエリアにおいて異なる距離にわたって共に移動させられる。例えば、型部分
112および113は、いくつかの個々の小部分を備えることができ、第1の型部分11
2にある小部分と第2の型部分113にある対応する小部分との間の割れ目の高さは、小
部分ごとに個々に制御および変更することができる。2つ(以上)の型部分112または
113のうち一方だけがそのような個々の小部分を備える一方、他方の型部分はそのよう
な個々の小部分を備えないことも可能であり、これによってより単純な型の構成を可能に
することができる。少なくとも1つの型部分112または113が個々に制御可能な小部
分を備える場合、割れ目の高さ、したがって型110の装填、および粒子120を有する
第1の材料の圧縮は、やはり局所的に制御することができる。
【0171】
したがって、第1の材料、および詳細にはフォーム粒子120は、型110の異なるエ
リアにおいて異なる強度で圧縮され得る。これにより、例えば、型110が閉じた状態に
おいて異なる密度を得ることが可能になる。成形用空洞115内の異なる厚さによる密度
の変化を平らにするまたは補償することも可能であり得る。
【0172】
例えば、履物用のソールが型110で生産される場合、結果として得られる粒子フォー
ム部品は、概して後部よりも前部がずっと薄い。断面において、そのようなソールは、お
およそくさび状の形態を有する。例えば、型部分112または113の一方が、割れ目の
隙間の位置をもたらすために、型110のより薄い端で型110の縦軸を横切るように配
置されている(言い換えれば、偏心で配置されている)旋回軸周りに枢動する場合、型の
閉鎖位置110に旋回して戻ると、ほぼ一定の密度の内部収容されたフォーム粒子120
が得られる。したがって、このオプションは、例えば、断面がくさび状である商品を製造
するために適用できるので有利であり得る。繰り返すために、型110の閉鎖中、型部分
112および/または113は、例えば、偏心で配置された旋回軸周りに枢動させること
ができる。
【0173】
また、型部分112および/または113の個々に制御可能な小部分、または偏心で配
置された1つまたは複数の旋回軸は、粒子フォーム部品全体において最も等しい加熱およ
び融合品質を得るために、できる限り均一に異なる厚さを有する成形用空洞115のエリ
アを圧縮するように使用することもできる。しかしながら、いくつかのエリアがより強く
加熱されることになる場合、これらのエリアにおいてより大きい圧縮が行われ、その結果
、密度がより大きくなるので、内部に位置するフォーム粒子120は、電磁放射をよりし
っかり吸収することがやはり好都合であり得る。したがって、粒子フォーム部品の生産中
、予め定められた一定でない温度分布を設定することが可能である。
【0174】
本発明の範囲内で、たった今説明した型110の割れ目の隙間の装填に関しての態様は
、粒子120を予加熱することなく個々に実施することができるが、上述および後述の本
発明のさらなる態様および特徴と組み合わせて実施することもできることが言及されてい
る。
【0175】
図1bは、発泡材料の粒子120を含む第1の材料が装填される閉じられた型110を
示す。1つまたは複数のフィードライン118および/または入口は、型110または型
部分112、113に接続することができる。加工のために、一例では、1つまたは複数
の空気チャネルを加えることができる。このようにして、冷却および/または安定化のた
めに空気を注入することが可能になる。また、余剰ガスを分流させるまたは型の圧力を減
少させることが可能になる。
【0176】
一例では、粒子120は、粒子120が型110の中に装填されるときに旋回させられ
得る。これは、空気流または別のガス流によって実現することができる。空気流は、フィ
ードライン118によってまたは粒子120を装填するためにも使用される入口において
型110に加えられることができ、あるいは特定のラインが、型110に空気流を注入す
るために使用され得る。旋回は、粒子のクラスタ化を防ぐとともに粒子の分散を可能にす
るように型に粒子を装填するときに粒子を分離させるのに有利であり得る。
【0177】
上述したように、型110の中に装填される前に、粒子120は、例えば、保管容器内
に蓄えられ、および/またはエネルギー吸収材で混合、被覆、浸漬、または含浸等され得
る。上述したように、エネルギー吸収材は、例えば、型110に粒子120を装填するた
めに使用されるフィードライン118内で粒子120に加えられ得る。これは、粒子12
0当たりのエネルギー吸収材の量が型110の装填中に調整および変更できるようにエネ
ルギー吸収材の投与追加を可能にし得る。エネルギー吸収材の使用は、例えば、材料がR
Fエネルギーを吸収できる、すなわち粒子をRF活性(またはいくつかの他の種類の電磁
放射および/または誘導に関する活性)にさせることができることを可能にするのに有利
であり得る。エネルギー吸収材の使用は、RF融合ではなく予加熱によって必要なエネル
ギーを減少させるのに用いることもできる。また、一部品における複数の材料のRF吸収
のバランスをとろうとするとき、エネルギー吸収材の使用が役立ち得る。その使用は、例
えば、理想的な加工範囲内の動作を実現するのに役立つことができ、それによって1つの
材料が最適なウィンドウを見つけることができるように調整されたその処理ウィンドウ(
または両方)を有する。
【0178】
粒子120の装填は、一例では、材料容器を繰り返し開閉することによって実現するこ
とができる。例えば、開閉時間は、500ミリ秒から1秒程度とすることができる。この
ようにして、容器からフィードライン118へそして最終的に型110まで粒子を断続的
に運ぶことが可能になる。これは、粒子120が少なくとも部分的に切り離されるように
フォーム粒子120の粉砕をもたらし得る。これは、例えば、eTPUフォーム粒子12
0などのフォーム粒子120が接着面を有する場合に有利であり得る。
【0179】
型110内に十分な量の粒子120があると、型110は閉じられ、ならびに/あるい
はフィードライン118および/または入口は閉じられる。十分な量の粒子120が装填
されているか判定するために、型110は、例えば、容積分だけ満たすことができ、フィ
ードバック圧が十分高いとき、型110が十分に満たされていると考えられる。または、
型110は、重量に基づいて満たされる。
【0180】
一例では、成形用空洞115に可変の圧力を加えることが可能である。成形用空洞11
5への圧力の追加は、粒子120の処理を強化することができる。例えば、装填中に成形
用空洞115に圧力を加えるとき、これは、粒子120がより小さくされる、すなわち圧
縮を受けているときに、型110に装填する能力を改善もする。さらに、負圧(すなわち
真空)を加えることが可能である。これは、フォーム粒子120および/または供給され
た圧縮空気がいくらかの湿気を有する場合に有利である。
【0181】
粒子120は、ランダムに配置することもできる。しかしながら、粒子120もしくは
粒子120の少なくとも一部は、互いに対して配列することもでき、またはさもなければ
型110内に意図して配置することもできる。
【0182】
粒子120は、例えば、以下の材料、すなわち、発泡熱可塑性ポリウレタン(eTPU
)、例えば周波数1MHzの電磁放射で0.2の誘電損率Dを有するeTPU、発泡ポリ
アミド(ePA)、および/または発泡ポリエーテルブロックアミド(ePEBA)のう
ち1つまたは複数を含むことができる。使用可能である他の材料には、PLA、PEBA
、PET、PBT、およびTPEEが含まれる。第1の材料は、1種類の粒子120だけ
を含み得る。しかしながら、型110に装填される第1の材料は、異なる種類の粒子12
0の混合物を含むことも考えられる。例えば、粒子120は、その材料、形状、サイズ、
色、密度、および/またはそれらの組み合わせ、ならびにそのそれぞれの発泡材料におい
て異なり得る。例えば、プラスチック部品が形成される目的に応じて、粒子120の直径
は、3mmから5mmの範囲内であり得ることが好ましい。
【0183】
すでに述べたようにおよび以下にさらに説明されるように、粒子120は、少なくとも
1つの電磁場によって供給されるエネルギーを吸収するエネルギー吸収材を含み、したが
って粒子120の表面の融合(または予加熱)に貢献することも可能である。このエネル
ギー吸収材は、例えば、型110の装填前に粒子120に加えることができる。例えば、
粒子120は、型110の装填前に、材料内にエネルギー吸収材を蓄えることによって、
またはエネルギー吸収材を材料と混合させることによって、エネルギー吸収材を備えるこ
とができる。エネルギー吸収材は、
図1aに示されるように、例えばフィードライン11
8内でホッパ119によって、型110の装填中に粒子120に加えられることも可能で
ある。
【0184】
最も単純な場合には、粒子120は、一定量のエネルギー吸収材を備える。すなわち、
エネルギー吸収材の量は、全ての粒子120について実質的に同じである。本明細書中、
「実質的に同じ」は、方法がエネルギー吸収材の追加に使用される限り、粒子120のサ
イズの変化が可能であることを意味し得る。したがって、この場合には、粒子120を含
む第1の材料内のエネルギー吸収材の実質的に均一な分布が存在し得る。
【0185】
しかしながら、粒子120当たりのエネルギー吸収材の追加量は、型110内で変化す
る可能性もある。例えば、これは、型110の装填前に、粒子120とエネルギー吸収材
の混合物が調製されることで達成することができ、それぞれは異なる含有量のエネルギー
吸収材を備え、続いて型110内のエネルギー吸収材の所望の分布に従って型110にそ
れが装填される。またはホッパ119を通じて加えられるエネルギー吸収材の量は、型1
10の装填中にそれに応じて変えられる。
【0186】
様々な量のエネルギー吸収材によって、電磁場によって粒子120に供給されるエネル
ギーの量(少なくとも1つの電磁場の形態でエネルギーを供給するステップは、さらに後
述される)、すなわち粒子によって実際に吸収される量は、局所的に影響を受け得る。例
えば、粒子によって電磁場から吸収されるエネルギーの量は、所与の粒子120が備える
エネルギー吸収材の量に比例し得る。粒子120が吸収するエネルギーの量は、粒子12
0の表面がその隣接した粒子の表面とどのくらい強く融合されるかに影響を及ぼすことが
できる。例えば、粒子120の表面は、その隣接した粒子の表面と互いにより強く融合す
ることができ、より多くのエネルギーが粒子120へ供給され、エネルギーが粒子120
によって吸収される。
【0187】
例えば、
図1cは、型120に粒子120の3つの層122、123、および124が
装填される場合を示しており、3つの層122、123、および124は、粒子120ご
とに異なる量のエネルギー吸収材をそれぞれ備える。ここで知られた場合では、下層12
2は粒子120当たり最大量のエネルギー吸収材を備え、上層124は最小量を備える。
すでに述べたように、粒子120ごとのエネルギー吸収材の量は、それぞれの粒子120
の表面について所望の融合の程度を局所的に調整するために、型110内で異なるように
変更することもできる。
【0188】
エネルギー吸収材は、例えば、水を含有するまたは水で構成することができ、あるいは
エネルギー吸収材は、金属、例えば鉄粉などの金属粉末を含む材料で構成することができ
る。エネルギー吸収材の選択は、粒子120の表面の融合をもたらすエネルギーが供給さ
れるやり方に依存し得る。
【0189】
それについて言えば、方法100は、エネルギーを供給することによる粒子120の表
面の融合をさらに含むことができ、ここで、このエネルギーは、少なくとも1つの電磁場
130、140の形態で供給される。融合ステップのためのサイクル時間は、様々なパラ
メータ(例えば、粒子120の密度)に依存するとともに、所望の範囲内で最適化するこ
とができる。このプロセスの利点は、融合ステップをとても短くさせることを可能にする
ことであり、例えば、融合ステップのためのサイクル時間は、5秒から2分の範囲内であ
り得る。これは、例えばスポーツ用品のためのeTPU/粒子フォームの従来の蒸気成形
と比べて、サイクル時間がかなり短くできることを意味する。
【0190】
製造方法は、様々な部品と同様に型110の状態を測定するステップも含むことができ
ることに留意されたい。詳細には、型110内の1つまたはいくつかの場所における粒子
120の温度が測定され得る。これは、粒子120の信頼できる融合を得るために、サイ
クル時間を最適化し(電磁放射などの)パラメータを調整するのに有利である。
【0191】
例えば、
図1dに示されるように、エネルギーは、例えば、電磁放射130の形態で供
給することができる。本明細書中、放射130は、放射源131から発せられ得る。
【0192】
放射130は、例えば、マイクロ波の範囲内の放射130、すなわち300MHzから
300GHzの範囲内の周波数を有する放射とすることができる。放射130は、高周波
範囲内、すなわち30kHzから300MHzの範囲内の周波数を有する放射とすること
もできる。
【0193】
エネルギーは、ちょうど述べた周波数範囲とは異なる周波数範囲内の放射130の形態
で供給される、こともさらに可能である。特定の一例として、エネルギーは、赤外線(I
R)放射130の形態で供給することができる。紫外線(UV)放射130の使用も、考
えられ得る。
【0194】
放射130がマイクロ波の範囲内の放射である場合、水にマイクロ波放射を照射するこ
とによって水の加熱がもたらされるので、水はエネルギー吸収材としてよく適し得る。ま
た、高周波範囲内または赤外線範囲内の放射130については、水は、エネルギー吸収材
とみなすことができる。
【0195】
例えば、
図1eに示されるように、エネルギーは、電磁誘導によってさらに供給するこ
とができる。このため、例えば、誘導発生器141(複数の誘導発生器も可能である)は
、時間の経過とともに変化する磁束φを含む電磁場140を発生させる。電磁誘導を使用
するとき、好ましくは、粒子120は、いくらかの導電性を有するエネルギー吸収材、例
えば鉄粉などの金属粉末を含む。そして、時間変化する磁束φは、材料を加熱するこの導
電性材料に渦電流を発生させ、したがって粒子120の表面の融合に貢献することができ
る。
【0196】
図1dおよび
図1eに示した実施形態では、型110の全ての部分領域に、電磁場13
0、140の形態でほぼ同じ量のエネルギーが供給される。しかしながら、表面の融合の
ために粒子120に供給されるエネルギーの量、すなわち表面によって実際に吸収される
エネルギーの量は、第1の場所内の電磁場130、140によって利用可能になされてい
るエネルギーの量だけに依存するのでなく、粒子120が電磁場130、140から実際
に取り出す利用可能なエネルギーの割合にも依存することに留意しなければならない。す
でに上述されたように、これは例えば、粒子120にエネルギー吸収材を与えることによ
って、または型110の異なる部分領域内のその投与を変えることによって制御すること
ができる。
【0197】
さらなるオプションとして、型110または型部分112、113は、EM放射が印加
されるときに、放射をより強く吸収するエリアがこのエリア内で粒子120およびしたが
って粒子フォーム部品の表面が残りのエリアよりもしっかり溶融されるように加熱するよ
うに、それらの内側(すなわち成形用空洞115に面する側)にEM放射をより強く吸収
するエリアを選択的に備えることができる。電磁放射をより強く吸収するこれらのエリア
は、特定のマーク、ロゴなどの形状を備えることができ、それによってこの形状は、粒子
フォーム部品の表面を溶融することによって完成粒子フォーム部品内で刻印される。この
ように、マークは、別個の加工ステップを必要とすることなく粒子フォーム部品上に設け
ることができる。
【0198】
代替としてまたは追加として、粒子120に供給されるエネルギーの量は、第1の場所
内の型の異なる部分領域に対して電磁場によって利用可能になされるエネルギーの量を変
えることによって影響を受けることも可能である。
【0199】
例えば、
図1fおよび
図1gは、型110の第2の部分領域155内よりも第1の部分
領域150内でより多くのエネルギーが利用可能になされている実施形態を示す。これは
、第1の部分領域150が周波数f
1を有する電磁放射130で照射され、第2の部分領
域155が周波数f
2を有する電磁放射135で照射されることが実現され、周波数f
1
は、周波数f
2よりも高い。周波数f
1とf
2の両方は、例えば、上述した周波数範囲(
マイクロ波、電波、赤外線、UV)から、または1つまたは複数の異なる周波数範囲から
選択することができる。結果として、放射130は、放射135が型110の第2の部分
領域155に輸送するよりも多くのエネルギーを型110の第1の部分領域150に「輸
送」する。
図1fに示されるように、両種類の放射130および135が単一の放射源1
31から発せられることも可能である。このため、放射源131は、例えば、周波数を2
倍にするデバイスを備えてもよい。しかしながら、
図1gに示されるように、2種類の放
射130および135の各々がそれぞれ別々の放射源131および136から発せられる
ことも可能である。放射は、電磁波を案内する回路を備えた適切な放射源によって生成す
ることができる。共鳴周波数が使用される場合、最大出力が輸送され得る。
【0200】
しかしながら、利用可能なエネルギーの量に与える影響は、周波数の変化によってのみ
可能であるのではない。例えば、
図1hは、型110の部分領域150および155に利
用可能になされるエネルギーの量がこれらの領域に入射する放射130および135の強
度によって制御される実施形態を示す。ここで、強度は、電磁放射の単位面積および単位
時間当たりのエネルギーの入射量を示す。一般に、それは、入射放射の振幅の平方に比例
する。
【0201】
前述したように、粒子120の実際の融合の前に、粒子120を予加熱することが考え
られる。このようにして、粒子120は、まず特定の温度へ加熱することができ、それに
よって粒子120は、続いて融合のために印加される電磁放射に対して好ましい吸収範囲
内にある。この予加熱は、型110内で、または型110の中に粒子が装填される前もし
くは装填中に行うことができる。
【0202】
上述したエネルギー吸収材の使用と同様に、粒子を予加熱するステップは、例えば、理
想的なプロセス範囲内の動作を実現することに役立ち得るので、一部品における複数の材
料のRF吸収のバランスをとろうとするときに使用することができ、それによって1つま
たは複数の材料は、プロセス全体にとっての最適な加工ウィンドウを見つけることができ
るように調整されたその加工ウィンドウを有する。
【0203】
粒子120の予加熱は、装填ステップ中に予加熱がすでになされる場合に有利であり得
るが、型110が閉じられている間も有利であり得る。そのような予加熱は、実際の融合
ステップに必要とされる時間、およびしたがって型110内で粒子120を維持するのに
必要な時間を減少させることができるので、システムのスループットを増大させることが
できる。
【0204】
加えてまたは代替として、一例では、特定の温度まで材料を予加熱するために、(例え
ば、装填中および/または粒子120が型110内にあるときに)第1の低い電力または
電圧でRF放射を印加することが可能である。そのあと、電力または電圧は、徐々にまた
は突然に増加させることができる。電力または電圧は、電力または電圧が型110の異な
る部分領域(例えば、領域150、155)でやはり増加する前に低い値で印加すること
ができる。したがって、粒子120の部分的な予加熱だけを得ることも可能になる。これ
は、異なる特性(例えば、サイズまたは吸収材料)を有する粒子120を用いるときに役
立ち得る。
【0205】
電磁放射130、135、140の電力または電圧は、次第に増加させることもできる
。例えば、放射電力の増加は、単一の部品の生産のための完全なサイクル時間が生産のた
めに所望の範囲内にあるように選ぶことができる。例えば、5秒~2分の範囲内である。
スポーツ用品を製造するための従来の方法と比較して、したがって、本発明の方法は、か
なりより高速であり得る。一般に、放射電力の増加時間は全く自由に選ぶことができ、そ
れは、粒子120の表面の融合プロセス、およびしたがって部品の融合全体を制御するた
めに調整することができる。例えば、粒子120の材料次第では、あまりに速い増加は、
粒子のセル構造に損傷を及ぼし得る。一方、あまりに遅い増加は、非効率であり得、また
は標準以下の融合結果をもたらし得る。
【0206】
予加熱後、電磁放射130、135、140は、最適な電力伝達を実現するために印加
することができる。この手法は、温度に依存する誘電損率を有する材料が使用される場合
に役立ち得る。
【0207】
図1hに示された実施形態では、両種類の放射130および135は、同じ周波数f
1
を有し、放射130は、放射135の強度I
2よりも高い強度I
1を有するが、他の実施
形態では、強度の変化は、周波数の変化と組み合わされてもよいことは当業者には明らか
であり、3つ以上の異なる種類の放射を使用することも一般に可能である。
【0208】
異なる強度を有する2つ以上の放射130、135を生成するためにも単一の放射源が
使用され得ることについてさらに言及する。しかしながら、
図1hにおいて、より高い強
度I
1を有する放射130は放射源131によって発せられ、放射135はより低い強度
I
2で別個の放射源136から発せられる。
【0209】
加えて、
図1f~
図1hに示された実施形態では、第1の放射130は第1の部分領域
150だけを照射し、第2の放射135は第2の部分領域155だけを照射する。しかし
ながら、異なる実施形態(図示せず)では、第1の電磁場、例えば源136からの場13
5が型110全体に基本的な量のエネルギーを基本場として与えるとともに、型110の
一部分領域内の利用可能になされるエネルギーの増加、例えば、部分領域150内の利用
可能になされるエネルギーの増加を、さらなる放射源からの放射、例えば源131からの
放射130をこの部分領域に照射することによって実現することも可能である。言い換え
ると、型110の個々の部分領域は、例えば、放射または電磁誘導の形態で、さらなる電
磁場によるさらなるエネルギーが与えられ得る。
【0210】
実際に粒子120に供給され粒子120によって吸収されるエネルギーの量は、一般に
、さらなる要因、詳細には潜在的に追加されるエネルギー吸収材の量および粒子120自
体の発泡材料の電力吸収にも依存することについても言及する。
【0211】
本方法100の利点は、粒子120を含む第1の材料と比較して、型110は限られた
量のエネルギーを吸収するにすぎないことであり得ることを再び強調する。例えば、型1
10を製造するためにエポキシ樹脂を使用することは、有利であると分かっている。エポ
キシ樹脂は、複雑な形状の空洞115を有する型110に対して処理することができ、そ
れは、電磁場に対して低い吸収力を有することができる。低い吸収能力を有する型を製造
するための当業界で知られている他の方法を使用することもできる。
【0212】
粒子120を含む第1の材料によって吸収されるエネルギーの量を第1の材料および型
110によって吸収されるエネルギーの総量で除算した比は、1.0~0.2の範囲内、
または1.0~0.5の範囲内、または、さらにより良くは1.0~0.8の範囲内にあ
り得る。この比の正確な値は、一般に、複数の要因等、例えば、型110を製造するため
に使用される材料、材料の質量、および使用される電磁場の種類に依存する。この比が高
くなるほど、粒子120を融合するのに利用されるエネルギーの量は高くなり、型110
内で「失われる」エネルギーの量は低くなる。
【0213】
さらなる実施形態は、
図1iに示されており、型110には、使用された電磁場140
によって実質的に変わらないままである第2の材料160がさらに装填されている。「実
質的に変わらない」は、第2の材料160によって吸収されるエネルギーの量が第2の材
料160を溶融するもしくはその溶融を始める、またはそれを軟化もしくは硬化させるの
に十分でないことを意味し得る。
【0214】
図1iに示された実施形態では、エネルギーが電磁誘導140を介して供給されるが、
以下の説明は、異なる電磁場によって、例えば放射130または135のような電磁放射
を介してエネルギーを供給するときにやはり当てはまることについて言及する。簡潔にす
るため、以下において場140の言及がなされる。
【0215】
例えば、第2の材料160は、それ自体、使用された電磁場140に対して低い吸収力
を備え得る。詳細には、第2の材料160は、エネルギー吸収材がないものであってもよ
く、または粒子120を含む第1の材料よりもエネルギー吸収量の少ない材料を含んでも
よい。第2の材料160は、例えば、eTPU、ePAおよび/またはePEBAのよう
な発泡材料の粒子を含むこともできるが、少ないエネルギー吸収材があってもなくてもよ
い。
【0216】
第2の材料の粒子は、ランダムに配置することができる。あるいは、粒子もしくは第2
の材料の粒子の少なくとも一部は、互いに対して配列することができ、またはさもなけれ
ば型110内に意図して配置することができる。
【0217】
第2の材料160は、異なる発泡プラスチック材料または非発泡プラスチック材料含む
こともできる。例えば、第2の材料160は、発泡エチレン酢酸ビニル(EVA)を含む
ことができる。
【0218】
適宜、型は、さらなる材料、特に電磁場140によってやはり実質的に変わらないまま
であるさらなる材料を装填することもできる。例えば、
図1iに示された実施形態では、
型110は、電磁場140によって実質的に変わらないままである第3の材料165が装
填された。例えば、第3の材料165は、ゴムとすることができる。そのようなさらなる
材料に関しては、第2の材料160に関してなされる検討が類似的に当てはまる。
【0219】
図1iに示された実施形態では、粒子120を含む第1の材料、第2の材料160、お
よび第3の材料165は、層状に配置される。しかしながら、第1の材料、第2の材料1
60、および潜在的なさらなる材料が、型110内で多数の異なる構成で配置することも
できることを当業者は理解されよう。したがって、本発明の方法100は、多くの異なっ
たように成形されたプラスチック部品の製造を可能にする。
【0220】
図1iに示されるように、型110の形状、および第2の材料160(例えば発泡EV
A)で構成されたトッププレイヤーと第3の材料165(例えばゴム)で構成された下層
との間の中間層として粒子120で構成された第1の材料の位置は、スポーツアパレル用
の緩衝要素、例えば靴のソールまたはその一部を製造するのによく適し得る。そして、こ
のように製造された靴のソールは、靴、例えばスポーツ靴へさらに加工することができる
。
【0221】
さらに、製造方法100は、融合後に粒子フォーム部品を安定化するステップを含むこ
ともできる。これは、融合後に型110/ツール内に部品を維持することによってなすこ
とができ、それによって部品は、所望の部分形状を維持する。一例では、部品は、部品の
安定性を促進するために能動的に冷却することもできる。能動的冷却は、周囲空気または
いくつかの気体もしくは液体の冷媒を供給するステップを含むことができる。型110は
、この目的のために冷却チャネルまたは冷却リブを備えることもできる。
【0222】
方法100は、部品を型取り出しするステップを含むこともでき、このステップは、別
個の型取り出しステーションにおいて実行することができる。一例では、型取り出しは、
成形用の半体112、113を互いから離すようにもたらすことによって実行することが
できる。また、型取り出しタペットは、型取り出しのために用意することができ、これに
よって部品は、2つの成形用の半体112および113のうち一方から押し出される。
【0223】
最後に、方法100を実行するときに、本明細書中に述べられるオプションおよび設計
可能性を任意で互いに組み合わせることができること、ならびに本明細書中に明確に述べ
られた実施形態は本発明の理解を容易にするためにいくつかの特定の例を与えているもの
にすぎないことについて再び言及する。しかしながら、本発明の方法100は、本明細書
中に明確に説明された実施形態に限定されないものであり得る。
【0224】
図2a~
図2cは、本明細書中に記載された方法により製造することができる例示的な
プラスチック部品201~203を示す。その中で、プラスチック部品201は、ePE
BAの粒子を含むのに対して、プラスチック部品202~203はそれぞれeTPUの粒
子を含む。
【0225】
図2a~
図2cに示されるようなプラスチック部品201~203のいくつかの縁部は
、全ての縁部が型内のプラスチック部品を融合することによって生成されるような表面構
造を有するのではないように切断されていることに留意されたい。
【0226】
次に、粒子フォーム部品を製造するための機器1の実施形態が、
図3の助けを借りて以
下に説明される。この機器1は、互いに空間的に分離しているとともに搬送機ユニット6
0によって互いに接続されているいくつかの作業ステーションを有する。搬送機ユニット
60に関しては、いくつかの成形ツール3は、それぞれが成形用空洞を画定し、個々の作
業ステーション間を移動することができる。搬送機ユニット60は、上側搬送機セクショ
ン61と、下側搬送機セクション62とを有し、それらの上で成形ツール3が異なる方向
に搬送される。2つの搬送機セクション61、62は、互いに平行に配置され、2つの搬
送機セクションの端部には、いずれの場合にも、リフト装置63、64があり、成形ツー
ル3は、搬送機レベルの間で、リフト装置63、64によって下方(リフト装置63)ま
たは上方に(リフト装置64)に移動することができる。2つの搬送機セクション61、
62は、互いに平行に配置されるとともに上に成形ツール3を配置できる2つの狭い搬送
機ベルトをそれぞれ有する。
【0227】
上側搬送機セクション61上には、搬送方向に、型取り出しステーション66と、挿入
ステーション67と、充填ステーション68と、溶結セクション69とが設けられる。溶
結セクション69は、上側搬送機セクション61の高さにある固定底部プレートと、移動
可能な上部プレートとを備えたプレス部を備える。2つのプレート(図示せず)の間には
、いずれの場合でも、成形ツール3を配置することができ、プレス部によって、2つのプ
レートは駆動、すなわち押し付け合わされる。2つのプレートは、電導性材料で作製され
ている。底部の固定プレートは、グラウンドに接続されている。上部の移動可能なプレー
トは、RF発生器18に接続されている。このようにして、2つのプレートは、コンデン
サの板15、16を形成し、これらはそれらの間に成形ツール3を収納する。
【0228】
下側搬送機セクション62上には、冷却セクション70が設けられ、その上で溶結セク
ション69で加熱され、内部に粒子フォーム部品が位置する成形ツール3を冷ますことが
できる。冷却セクション70は、周囲空気だけで成形ツール3を冷却することができるが
、成形ツール3を冷却用気流にさらすためにファンを備えてもよく、および/または成形
ツール3からの熱伝達を促進するために冷却媒体によって室温未満に冷却される冷却室を
備えてもよい。冷却セクション70は、成形ツール3内の粒子フォーム部品の冷却および
/または安定化が最も長期間の作業ステップであるので、いくつかの成形ツール3を同時
に保持することができる。
【0229】
下側搬送機セクション62上には、成形ツール保管システム71が設けられ、この成形
ツール保管システム71は、いくつかの成形ツール3の保管のために自動保管部に接続さ
れており、それによって様々な成形ツール3が自動的に、搬送機ユニット60の中に供給
されるとともに搬送機ユニット60から取り出され得る。
【0230】
粒子フォーム部品の製造は、2つの半体を含む成形ツール3が開かれて内部で生産され
た粒子フォーム部品が取り除かれ排出される型取り出しステーション66において完了す
る。
【0231】
成形ツール3は、搬送機ユニット60に沿って搬送されるときにそれぞれの成形ツール
3の2つの半体がしっかり閉じ合わされる閉鎖機構72を有する。この閉鎖機構72は、
粒子フォーム部品を型取り出しのために型取り出しステーション66において自動的に開
かれ、その後、2つの型の半体は、閉鎖機構72によって再び合わされ、互いに接合され
る。閉鎖機構は、2つの型の半体をとてもしっかり接合するので、2つの型の半体は搬送
中に離れるように動かない。閉鎖機構は、ある程度の遊びを有してもよく、それによって
2つの型の半体は、割れ目の隙間を形成するために、充填中にわずかに引き離され得る。
閉鎖機構は、溶結中に成形用空洞内で生じる圧力を吸収するために使用されてはならない
。この圧力は、溶結セクション69中のプレス部を介して抜かれる。
【0232】
この機器1の利点は、粒子フォーム部品の溶結が概して30秒から2分より長くは続か
ないので、とても高いスループットが単一の溶結セクション69を用いて可能であること
である。最も長期間の作業ステップは、成形ツール3およびその内に収容された粒子フォ
ーム部品の安定化または冷却である。冷却セクション70は、いくつかの成形ツール3を
同時に保持することができるので、いくつかの成形ツール3は、同時に安定化または冷却
を受けることができる。これは、溶結セクション69の中への成形ツール3の処理が遅延
しないことを意味する。
【0233】
この機器1のさらなる利点は、(詳細には異なる成形用空洞を有する)異なるツール3
は、同時に循環することができることにある。好ましくは、各成形ツール3は、特有の機
械可読識別デバイスを備える。そのような識別デバイスは、例えばバーコードまたはRF
IDチップであり得る。識別デバイスを読み取る1つまたは複数の適切な読取り機が、搬
送機ユニット60に沿って機器1に設けられており、それによって制御ユニット(図示せ
ず)は、どのツール3がどの作業ステーションに存在しているのかを知る。この手段によ
って、個々のツール3は、個々に取り扱うことができる。詳細には、溶結セクション69
において、それらは、異なる電圧および/または継続期間の電磁波を受けることができる
。冷却セクションにおける休止時間、および例えばファンを用いた能動的冷却による冷却
効果の個々の制御も可能である。フォーム粒子が高温蒸気単独で溶結される粒子フォーム
部品を製造するための従来の機器と比較して、本機器1は、本機器1がいくつかの異なる
成形ツール3を同時に処理することができるので、よりずっと小型であるとともに、より
ずっと柔軟である。また、エネルギーを、電磁放射によってずっと大きい効率で成形用空
洞に導入することができる。
【0234】
水および/または蒸気を成形ツール3に供給できる水または蒸気供給ラインを溶結セク
ション69において設けることもやはり好都合であり得る。これは、溶結されるフォーム
粒子が、低い温度でまたは一般的に、低い誘電損率のみを有するときに特に有利である。
そのような場合には、限られた量の水または蒸気が供給される。電磁放射によって、水は
蒸気へ加熱され、または蒸気はさらに加熱される。このようにして、フォーム粒子は、誘
電損率がより大きいより高い温度へ加熱され、それによって電磁放射は吸収され、それら
はさらに加熱される。50リットルの容積を有する成形用空洞には数100gの水のみで
十分であることが分かっている。例えば、フォーム粒子の材料がePS(発泡ポリスチロ
ール)である場合、50リットルの容積を有する成形用空洞内でフォーム粒子を加熱およ
び溶結するには300g以下の水で十分である。フォーム粒子が高温蒸気単独によって加
熱される従来の溶結では、50リットルの容積を有する成形用空洞には、数キロの水を含
む蒸気の量が必要とされる。
【0235】
したがって、ほんの限られた範囲内で電磁放射を吸収するフォーム粒子が溶結される場
合、50リットルの容積を有する成形用空洞にとっては300gに相当する1回のみの水
の追加で十分であることが原理において当てはまる。ほんのわずかに電磁放射を吸収する
多くの材料については、等しい少量の水で十分であり得る。異なる容積を有する成形用空
洞については、必要とされる最大量の水が、同じ割合で容積に適合され得る。
【0236】
電磁放射を用いて水が成形用空洞内で加熱される場合、成形用空洞内に広がっている圧
力を測定できる圧力センサを有する成形ツール3を使用することが好都合である。この圧
力は、温度に比例する。そして、電磁放射の照射は、測定された圧力値に従って制御され
ることが好ましく、すなわち特定の圧力値に設定されるのが好ましい。
【0237】
搬送機ユニット60を有するこの機器1については、上記の本発明の様々な態様、およ
び詳細には様々な成形ツール、および方法100の実施形態を、個々にまたは組み合わせ
て使用することができる。
【0238】
以下には、さらなる実施形態は、本発明の理解を助けるために提供される。
【0239】
1. プラスチック部品、特にスポーツアパレル用の緩衝要素を製造する方法であって、
a.発泡材料の粒子を含む第1の材料を型に装填するステップと、
b.エネルギーを供給することによって粒子の表面を融合するステップと
を含み、
c.エネルギーは、少なくとも1つの電磁場の形態で供給される、方法。
【0240】
2. 粒子は、以下の材料、すなわち、発泡熱可塑性ポリウレタン、eTPU;発泡ポリ
アミド、ePA;発泡ポリエーテルブロックアミド;ePEBAのうち1つまたは複数を
含む、前述の実施形態1に記載の方法。
【0241】
3. 粒子は、少なくとも1つの電磁場によって供給されるエネルギーを吸収するエネル
ギー吸収材をさらに含み、エネルギー吸収材は、粒子の表面の融合に貢献するようになっ
ている、前述の実施形態1または2に記載の方法。
【0242】
4. 粒子は、型の装填前に、エネルギー吸収材が与えられる、前述の実施形態3に記載
の方法。
【0243】
5. エネルギー吸収材は水を含む、前述の実施形態3または4に記載の方法。
【0244】
6. エネルギー吸収材は金属を含む、前述の実施形態3から5のいずれか一つに記載の
方法。
【0245】
7. エネルギーは、マイクロ波の範囲内、300MHz~300GHzの放射の形態で
供給される、前述の実施形態1から6のいずれか一つに記載の方法。
【0246】
8. エネルギーは、高周波の範囲内で、30kHz~300MHzの放射の形態で供給
される、前述の実施形態1から7のいずれか一つに記載の方法。
【0247】
9. エネルギーは、電磁誘導によって供給される、前述の実施形態1から8のいずれか
一つに記載の方法。
【0248】
10. より多くのエネルギーは、型の第2の部分領域内よりも型の第1の部分領域内の
粒子に供給される、前述の実施形態1から9のいずれか一つに記載の方法。
【0249】
11. エネルギーは、第1の周波数(f1)を有する電磁場を用いて型の第1の部分領
域内の粒子に供給されるとともに、第2の周波数(f2)を有する電磁場を用いて型の第
2の部分領域内の粒子に供給され、第2の周波数(f2)は、第1の周波数(f1)とは
異なる、前述の実施形態1から10のいずれか一つに記載の方法。
【0250】
12. 粒子当たりのエネルギー吸収材の平均量は、型内で変化する、前述の実施形態3
から11のいずれか一つに記載の方法。
【0251】
13. 型には、少なくとも1つの電磁場によって実質的に変わらないままである第2の
材料がさらに装填される、前述の実施形態1から12のいずれか一つに記載の方法。
【0252】
14. 第2の材料も、発泡材料の粒子、特にeTPU、ePA、および/またはePE
BAの粒子を含む、前述の実施形態13に記載の方法。
【0253】
15. 第1の材料によって吸収されるエネルギーの量と第1の材料および型によって吸
収されるエネルギーの総量との比は、1.0~0.2の範囲内にあり、好ましくは1.0
~0.5の範囲内にあり、特に好ましくは1.0~0.8の範囲内にある、前述の実施形
態1から14のいずれか一つに記載の方法。
【0254】
16. 型はエポキシ樹脂を含む、前述の実施形態1から15のいずれか一つに記載の方
法。
【0255】
17. 前述の実施形態1から16のいずれか一つに記載の方法を用いて製造されるプラ
スチック部品、特にスポーツアパレル用の緩衝要素。
【0256】
18. 実施形態17に記載の緩衝要素を有する靴、特にスポーツ靴。
【0257】
19. 靴がランニングシューズである、実施形態18に記載の靴。
【符号の説明】
【0258】
1 機器
3 成形ツール
15 コンデンサの板
16 コンデンサの板
18 RF発生器
60 搬送機ユニット
61 上側搬送機セクション、搬送機セクション
62 下側搬送機セクション、搬送機セクション
63 リフト装置
64 リフト装置
66 型取り出しステーション
67 挿入ステーション
68 充填ステーション
69 溶結セクション
70 冷却セクション
71 成形ツール保管システム
72 閉鎖機構
100 方法
110 型
112 型部分、部分、2つの半体、第1の型部分、成形用の半体
113 型部分、部分、2つの半体、第2の型部分、成形用の半体
115 空洞、複雑な形状の空洞
118 フィードライン
119 ホッパ
120 粒子を含む第1の材料、粒子、型
122 層、下層
123 層
124 層、上層
130 電磁場、放射、赤外線(IR)放射、紫外線(UV)放射、電磁放射
131 放射源、源
135 電磁場、電磁放射、放射、場
136 放射源、源
140 電磁場、電磁放射、電磁誘導、場
141 誘導発生器
150 第1の部分領域、部分領域、領域
155 第2の部分領域、部分領域、領域
160 第2の材料
165 第3の材料
201 プラスチック部品
202 プラスチック部品
203 プラスチック部品