(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-03-31
(45)【発行日】2022-04-08
(54)【発明の名称】燃料タンク
(51)【国際特許分類】
B60K 15/03 20060101AFI20220401BHJP
B29C 49/20 20060101ALI20220401BHJP
B29C 49/04 20060101ALI20220401BHJP
B65D 25/02 20060101ALI20220401BHJP
【FI】
B60K15/03 B
B29C49/20
B29C49/04
B65D25/02 B
(21)【出願番号】P 2021532776
(86)(22)【出願日】2020-07-01
(86)【国際出願番号】 JP2020025924
(87)【国際公開番号】W WO2021010172
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2021-10-15
(31)【優先権主張番号】P 2019132621
(32)【優先日】2019-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390023917
【氏名又は名称】八千代工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】諸岡 和義
【審査官】伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-148337(JP,A)
【文献】特開2014-046676(JP,A)
【文献】国際公開第2017/069029(WO,A1)
【文献】特開2015-102083(JP,A)
【文献】特開2013-060096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/03
B29C 49/04
B65D 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部、首部、肩部を有
しており、前記首部は、前記肩部及び前記頭部よりも小径になっている内蔵部品を有し、成型時に前記首部にパリソンを回り込ませることで前記内蔵部品をタンク本体に固定させた燃料タンクであって、
前記頭部の全体がパリソンで覆われており、
前記肩部の前記首部側の面に設けられ、前記タンク本体に作用する圧力によって前記首部に回り込ませたパリソン相当部分が変形するのを抑制する変形抑制構造を備え、
前記変形抑制構造は、段差形状部および凸形状部の少なくとも何れか一つを含んで構成されていることを特徴とする燃料タンク。
【請求項2】
前記首部は、前記肩部の表面から立設されており、円柱状を呈することを特徴とする請求項1に記載の燃料タンク。
【請求項3】
頭部、首部、肩部を有
しており、前記首部は、前記肩部及び前記頭部よりも小径になっている内蔵部品を有し、成型時に前記首部にパリソンを回り込ませることで前記内蔵部品をタンク本体に固定させた燃料タンクであって、
前記頭部の全体がパリソンで覆われており、
前記肩部の前記首部側の面に設けられ、前記タンク本体に作用する圧力によって前記首部に回り込ませたパリソン相当部分が変形するのを抑制する変形抑制構造を備え、
前記変形抑制構造は、前記頭部、前記首部および前記首部に回り込ませたパリソン相当部分を外側から覆うように一体成形される剛性部材を含んで構成されていることを特徴とする燃料タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の燃料タンク等のブロー成形品にバルブ等の構成部品を内蔵部品として取り付ける方法が知られている。例えば特許文献1には、頭部、首部および肩部を備えた内蔵部品を内蔵した燃料タンクが記載されている。この燃料タンクは、成型時に外側から空気を送り込むことによってパリソンを首部に沿って賦形させることで内蔵部品を固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
燃料タンクのタンク本体と内蔵部品との固定強度は高いことが望ましいが、気温等の外的要因によってタンク本体に正圧及び負圧が作用するため、固定強度のさらなる向上が望まれている。
【0005】
本発明は、このような観点から創案されたものであり、タンク本体と内蔵部品との固定強度を高めることができる燃料タンクを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、頭部、首部、肩部を有しており、前記首部は、前記肩部及び前記頭部よりも小径になっている内蔵部品を有し、成型時に前記首部にパリソンを回り込ませることで前記内蔵部品をタンク本体に固定させた燃料タンクであって、前記頭部の全体がパリソンで覆われており、前記肩部の前記首部側の面に設けられ、前記タンク本体に作用する圧力によって前記首部に回り込ませたパリソン相当部分が変形するのを抑制する変形抑制構造を備え、前記変形抑制構造は、段差形状部および凸形状部の少なくとも何れか一つを含んで構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、変形抑制構造によって、内蔵部品の首部に回り込ませたパリソン相当部分の変形を抑制することができるため、タンク本体と内蔵部品との固定強度を高めることができる。
【0008】
また、前記首部は、前記肩部の表面から立設されており、円柱状を呈することが好ましい。
また、前記変形抑制構造は、前記頭部、前記首部および前記首部に回り込ませたパリソン相当部分を外側から覆うように一体成形される剛性部材であってもよい。
このようにすると、変形抑制構造を簡易に形成することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の燃料タンクによれば、タンク本体と内蔵部品との固定強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る燃料タンクの概略断面図である。
【
図7】第1の燃料タンク製造装置の概略縦断面図である。
【
図8】成形時において内蔵部品の端部周りにおけるパリソンの転写状況を説明するための図である。
【
図9】成形時において内蔵部品の端部周りにおけるパリソンの転写状況を説明するための図である。
【
図10】第1の燃料タンク製造装置における燃料タンクの製造方法を説明するための図であり、(a)はパリソンの射出工程を示し、(b)は内蔵部品の投入工程を示し、(c)は内蔵部品の仮セット工程を示す。
【
図11】第1の燃料タンク製造装置における燃料タンクの製造方法を説明するための図であり、(a)は成形型の閉鎖工程を示し、(b)はブロー成形工程を示し、(c)はパリソンの冷却工程を示し、(d)は成形型の開放工程を示す。
【
図12】第2の燃料タンク製造装置の概略縦断面図である。
【
図13】第2の燃料タンク製造装置における燃料タンクの製造方法を説明するための図であり、(a),(b)はパリソンの搬送工程を示し、(c)は一次成形工程を示す。
【
図14】第2の燃料タンク製造装置における燃料タンクの製造方法を説明するための図であり、(a)は成形型の開放工程を示し、(b),(c)は内蔵部品の投入工程を示す。
【
図15】第2の燃料タンク製造装置における燃料タンクの製造方法を説明するための図であり、(a)は成形型の閉鎖工程を示し、(b)は二次成形工程を示し、(c)はパリソンの冷却工程を示し、(d)は成形型の開放工程を示す。
【
図16A】本発明の第2実施形態に係る燃料タンクが備える内蔵部品の概観斜視図である。
【
図16B】本発明の第2実施形態に係る燃料タンクの拡大断面図である。
【
図17A】本発明の第3実施形態に係る燃料タンクが備える内蔵部品の概観斜視図である。
【
図17B】本発明の第3実施形態に係る燃料タンクの拡大断面図である。
【
図18A】本発明の第4実施形態に係る燃料タンクが備える内蔵部品の概観斜視図である。
【
図18B】本発明の第4実施形態に係る燃料タンクの拡大断面図である。
【
図19A】本発明の第5実施形態に係る燃料タンクが備える内蔵部品の概観斜視図である。
【
図19B】本発明の第5実施形態に係る燃料タンクの拡大断面図である。
【
図20A】本発明の第6実施形態に係る燃料タンクが備える内蔵部品の概観斜視図である。
【
図20B】本発明の第6実施形態に係る燃料タンクの拡大断面図である。
【
図21A】本発明の第7実施形態に係る燃料タンクが備える内蔵部品の概観斜視図である。頭部は一部破断させて示している。
【
図21B】本発明の第7実施形態に係る燃料タンクの拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
≪第1実施形態に係る燃料タンク≫
図1に示す燃料タンクTは、自動車やバイク並びに船舶等の移動手段に搭載されるものであり、タンク本体Taと、内蔵部品6とで主に構成されている。
図1に示すように、本実施形態では内蔵部品6として燃料タンクTの強度を保つための柱状の補強部材を例示するが、内蔵部品6はバルブや波消し板などであってもよい。以下の説明における「上下」、「左右」は
図1の矢印に従う。当該方向は、説明の便宜上定めるものであり、本発明を限定するものではない。なお、
図1の左右方向は、燃料タンクTを製造する一対の成形型の開閉方向に対応している。
【0012】
タンク本体Taは、ガソリン等の燃料を貯溜する樹脂製の中空容器であり、例えばバリア層を含んだ複数層構造になっている。タンク本体Taは、例えば、ポリエチレン、高密度ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を主な材料としている。タンク本体Taは、例えばブロー成形等によって成形される。
【0013】
図2ないし
図6を参照して、内蔵部品6の構成について説明する。内蔵部品6は、タンク本体Taの前駆体であるパリソンS(
図7参照)と溶着可能な材料(例えばPE(ポリエチレン)等の熱可塑性樹脂)であることが好ましい。パリソンSは、HDPE(高密度ポリエチレン)、EVOH(エチレン-ビニルアルコール共重合体)及び接着層などにより多層断面構造になっている。
【0014】
図2に示すように、内蔵部品6は、円柱状の胴部6aと、胴部6aの両端に形成される肩部6b,6bと、肩部6b,6bの外側に形成される首部6c,6cと、頭部6d,6dとを備えて構成されている。内蔵部品6の構造は、左右(紙面上下)が鏡面対称になっている。そのため、ここでは、明示しない限り、片側だけ説明する。また、内蔵部品6の説明において、胴部6a側に臨む面を「裏面」と称し、「裏面」の反対側の面を「表面」と称する。
【0015】
図2に示す胴部6aは、内蔵部品6の本体になる部位であり、胴部6aの中心である軸心Oを含む前後方向軸に対して鏡面対称になっている。胴部6aには複数の肉抜き穴6eが形成されている。肉抜き穴6eは、軽量化を図ると共に燃料タンクT(
図1参照)の容量を大きくするために形成されている。
【0016】
図2に示す肩部6bは、
図7に示す第1成形型3の凹部3dまたは第2成形型4の凹部4dを覆う部位である。肩部6bの形状やサイズは、凹部3d,4dを覆うことができればよく、特に限定されるものではない。ここでの肩部6bは円板状を呈し、
図3に示すように肩部6bの外径rbは胴部6aの外径raよりも大きくなっている。
【0017】
図2に示す首部6cは、肩部6bと頭部6dとを連結する部位であって、肩部6b及び頭部6dよりも小径になっている。ここでの首部6cは、肩部6bの表面6fから立設され、円柱状を呈する。
【0018】
図2に示す頭部6dは、薄板の円板状を呈する。
図3に示すように、頭部6dの外径rdは、首部6cの外径rcよりも大きく、肩部6bの外径rbよりも小さくなっている。このような形状により、肩部6bと頭部6dとの間には、首部6cを底部とする隙間6jが形成される。隙間6jは、成形時においてパリソンSが入り込む部位である。
【0019】
頭部6dの形状やサイズは、頭部6d及び首部6cの周囲にパリソンSが入り込むことでタンク本体Ta(
図1参照)に内蔵部品6を固定することができればよく、特に限定されるものではない。首部6cに回り込ませたパリソンSに相当する部分を「パリソン相当部W」と言う(
図9参照)。なお、頭部6dの表面6mには、例えば、リング状に立設された複数のリブ(図示せず)が形成されていてもよい。頭部6dのリブは、例えば、軸心Oを中心とする円に沿って形成される。
【0020】
首部6cの周囲の肩部6bには、二つの空気抜き孔6i(
図5参照)が形成されている。
図6に示すように、空気抜き孔6iは、胴部6aに形成される肉抜き穴6eと連通している。これにより、
図4に示すように、隙間6j内の空気は、空気抜き孔6iを通じて肩部6bの裏面6g側に排出可能となる(
図4では、空気の流れを太い実線の矢印で示している)。
【0021】
図2に示すように、肩部6bの表面6fには、軸心Oを中心とし、環状を呈する段差形状部6hが形成されている。段差形状部6hは、成形時において隙間6jとともにパリソンSが入り込む部位である。段差形状部6hは、首部6c回りに入り込ませたパリソン相当部分(パリソン相当部W)がタンク本体Taに作用する正圧及び負圧によって変形するのを抑制することができればよく、形状や寸法などは特に限定されるものではない。
【0022】
本実施形態における段差形状部6hは、肩部6bの周縁部から連続して形成される上段面6haと、上段面6haに比べて低くなっている下段面6hbと、上段面6haと下段面6hbとの間に延在して形成される内壁6hcと、を主に有している。なお、段差形状部6hは、変形抑制構造の一例である。変形抑制構造は、後記するように
図2に示す段差形状部6h以外の構造(例えば、肩部6bの表面6fに形成される凸形状部や凹形状部など)であってもよい。凸形状部は、例えば縦壁や突起などであってよく、また、凹形状部(図示省略)は、例えば溝や穴などであってよい。また、変形抑制構造は、段差形状部6h、凸形状部および凹形状部の少なくとも何れ一つを含んで構成されてもよいし、これらの形状が併用されてもよい。また、段差形状部6hは、複数段に形成されてもよい。
【0023】
≪第1実施形態に係る燃料タンク製造方法≫
本実施形態では、二種類の製造方法を説明する。一つ目は、円筒状のパリソンSA(
図7参照)を成形して燃料タンクT(
図1参照)を製造する方法である。二つ目は、シート状のパリソンSB(
図12参照)を成形して燃料タンクTを製造する方法である。
【0024】
(円筒状のパリソンで成形する方法)
図7に示す第1の燃料タンク製造装置1Aは、円筒状のパリソンSAをブロー成形して内蔵部品6を有する燃料タンクT(
図1参照)を製造する装置である。
図7に示すように、第1の燃料タンク製造装置1Aは、ダイ2と、一対をなす第1成形型3および第2成形型4と、第1成形型3および第2成形型4の間を昇降する昇降機5と、を主に備えている。
【0025】
ダイ2は、第1成形型3および第2成形型4の上部に配置され、第1成形型3および第2成形型4にパリソンSAを供給する供給手段である。パリソンSAは、HDPE(高密度ポリエチレン)、EVOH(エチレン-ビニルアルコール共重合体)及び接着層などにより多層断面構造になっており、燃料タンクT(
図1参照)を構成するタンク本体Taの前駆体である。
【0026】
図7に示す第1成形型3および第2成形型4は、燃料タンクT(
図1参照)を型締め成形する成形手段である。第1成形型3および第2成形型4は向かい合って配置されており、対向面には凹状の成形部3a,4aが形成されている。第1成形型3および第2成形型4は左右方向に移動することで開閉可能であり、第1成形型3および第2成形型4を開いた状態(
図7に示す状態)でパリソンSAが供給される。また、第1成形型3および第2成形型4は、第1成形型3および第2成形型4内に空気を送り込むための図示しないブローピンを備えており、図示しない第1正圧付与手段によって第1成形型3および第2成形型4内の空気圧(ブロー圧)は適切に調整される。第1正圧付与手段によって、成形部3a,4aにパリソンSAが転写される。
【0027】
第1成形型3は、分離するように構成されており、本体部3bと、本体部3bから分離可能な分離部3cとを備えている。同様に、第2成形型4は、分離するように構成されており、本体部4bと、本体部4bから分離可能な分離部4cとを備えている。分離部3c,4cには内蔵部品6の両端部分の形状に対応した凹部3d,4dが形成されており、凹部3d,4dは内蔵部品6の一部を収納する。ここでの凹部3d,4dは、円柱状を呈し、入口付近に突起部3e,4eが形成されている。突起部3e,4eの外側の角部は面取りされている。また、凹部3d,4dの底部3f,4fには、凹部3d,4d内に空気を送り込むための複数の空気孔3g,4gがそれぞれ形成されており、図示しない第2正圧付与手段によって凹部3d,4d内の空気圧(ブロー圧)は適正に調整される。なお、突起部3e,4eは省略してもよい。
【0028】
昇降機5は、内蔵部品6を取付け位置まで移動させる移動手段である。ここでの取付け位置は、円筒状のパリソンSAの内側であって、分離部3c,4cの間である。
【0029】
次に、第1の燃料タンク製造装置1Aの動作について説明する。第1の燃料タンク製造装置1Aによる燃料タンクT(
図1参照)の製造方法の全工程を説明する前に、内蔵部品6の端部周りの転写状況について説明する。
【0030】
<内蔵部品の端部周りの転写状況>
図8および
図9を参照しつつ(適宜、
図1ないし
図7参照)、成形時において内蔵部品6の端部周りにおけるパリソンSAの転写状況について説明する。なお、ここでは第1成形型3について説明するが、第2成形型4についても同様である。
燃料タンク製造工程において、
図8に示すように、第1成形型3を矢印方向に移動させて型締めすることにより、パリソンSAと共に内蔵部品6の首部6cおよび頭部6dが凹部3d内に押し込まれる。
【0031】
図9に示すように、肩部6bがパリソンSAに接触して凹部3dの開口部を覆い、凹部3dに首部6cおよび頭部6dが完全に押し込まれたら(収納されたら)、第1成形型3内に空気を送り込むことでパリソンSA内に正圧P1(第1の正圧)を発生させ、第1成形型3にパリソンSAを転写させる。また、凹部3dに形成される空気孔3gから凹部3d内に空気を送り込むことで凹部3d内に正圧P2(第2の正圧)を発生させ、肩部6bと頭部6dとの間の隙間6j及び段差形状部6hにパリソンSAを入り込ませて転写させる。隙間6j内の空気は、肩部6bに形成された空気抜き孔6iを通じて排出される。
【0032】
またこのとき、パリソンSAが肩部6bと突起部3eとの間で押し付けられて、パリソンSAと肩部6bとが溶着される。また、正圧P2によってパリソンSAが頭部6dに押し付けられて、パリソンSAと頭部6dとが溶着される。なお、内蔵部品6を凹部3dに向かって押し込むことにより、パリソンSAを頭部6dと底部3fとの間で挟持することによりパリソンSAと頭部6dとを溶着させてもよい。
【0033】
次に、第1の燃料タンク製造装置1Aの全体の工程について説明する。
<パリソンの射出工程>
図10(a)に示すように、ダイ2は、開いた状態の第1成形型3および第2成形型4の間に円筒状のパリソンSAを射出する。
【0034】
<内蔵部品の投入工程>
次に、
図10(b)に示すように、昇降機5は内蔵部品6を保持した状態で上昇し、内蔵部品6を取付け位置まで移動させる。ここで取付け位置は、パリソンSAの内側であって、分離部3c,4cの間である。
【0035】
<内蔵部品の仮セット工程>
次に、
図10(c)に示すように、第1成形型3および第2成形型4の分離部3c,4cは、互いに対向する方向に移動し、内蔵部品6を両端側から挟み込むように保持する。そして、昇降機5は内蔵部品6を離した状態で降下し、初期位置まで退避する。昇降機5の初期位置は、第1成形型3および第2成形型4の本体部3b,4bを閉じた場合に干渉しない位置であればよい。
【0036】
<成形型の閉鎖工程>
次に、
図11(a)に示すように、第1成形型3および第2成形型4の本体部3b,4bは、互いに対向する方向に移動し、第1成形型3および第2成形型4が型締めされる。
【0037】
<ブロー成形工程>
次に、
図11(b)に示すように、図示しない第1正圧付与手段は、第1成形型3および第2成形型4内のパリソンSAの内側から正圧P1(第1の正圧)を付与する。これにより、パリソンSAは、第1成形型3および第2成形型4の成形部3a,4aに押し付けられて転写される。また、図示しない第2正圧付与手段は、第1成形型3および第2成形型4の凹部3d,4d(
図7参照)内のパリソンSAの外側から正圧P2(第2の正圧)を付与する。これにより、パリソンSAは、内蔵部品6の首部6cに沿って賦形される(
図9参照)。なお、正圧P1、正圧P2を付与する方法や順番は特に限定されるものではない。正圧P2は正圧P1よりも高く設定されているのが好ましい。
【0038】
<パリソンの冷却工程>
次に、
図11(c)に示すように、図示しない冷却手段を用いて第1成形型3および第2成形型4内で冷却空気Cを循環させる。これにより、パリソンSAは冷やされて硬化する。
【0039】
<成形型の開放工程>
次に、
図11(d)に示すように、第1成形型3および第2成形型4を開いて成形品Uを取り出す。そして、両端に形成される不要なバリを切断することで燃料タンクT(
図1参照)が完成する。
【0040】
(シート状のパリソンで成形する方法)
図12に示す第2の燃料タンク製造装置1Bは、シート状のパリソンSBをブロー成形して内蔵部品6(
図2参照)を有する燃料タンクT(
図1参照)を製造する装置である。
第2の燃料タンク製造装置1Bは、二回に分けてパリソンSBのブロー成形を行い、一回目のブロー成形でタンク本体Ta(
図1参照)を成形し、二回目のブロー成形で内蔵部品6へパリソンSBを賦形させる。
【0041】
図12に示すように、第2の燃料タンク製造装置1Bは、チャック12,12と、一対をなす第1成形型13および第2成形型14と、中間型15と、ロボットアーム16(
図14参照)と、を主に備えている。
【0042】
チャック12,12は、パリソンSB,SBの上端側を外側から押して、パリソンSB,SBを中間型15側に移動させる装置である。パリソンSBは、HDPE(高密度ポリエチレン)、EVOH(エチレン-ビニルアルコール共重合体)及び接着層などにより多層断面構造になっており、燃料タンクT(
図1参照)を構成するタンク本体Taの前駆体である。
【0043】
図12に示す第1成形型13、第2成形型14および中間型15は、燃料タンクT(
図1参照)を型締め成形する成形手段である。第1成形型13および第2成形型14は向かい合って配置されており、対向面には凹状の成形部13a,14aが形成されている。中間型15は、上下方向又は前後方向(
図12の紙面表裏方向)に移動可能になっている。中間型15は、一次成形時では
図12に示す第1成形型13および第2成形型14の間に位置し、二次成形時では中間型15は取り除かれる。
【0044】
第1成形型13および第2成形型14は左右方向に移動することで開閉可能であり、第1成形型13および第2成形型14を開いた状態(
図12に示す状態)でパリソンSB,SBが供給される。また、第1成形型13および第2成形型14は、第1成形型13および第2成形型14内に空気を送り込むため、および空気を抜き取るための図示しないブローピンを備えており、図示しない第1正圧付与手段や第1負圧付与手段によって第1成形型13および第2成形型14内の空気圧(ブロー圧)は適切に調整される。第1正圧付与手段や第1負圧付与手段によって、成形部13a,14aにはパリソンSBが押し当てられる。
【0045】
第1成形型13は、分離するように構成されており、本体部13bと、本体部13bから分離可能な分離部13cとを備えている。同様に、第2成形型14は、分離するように構成されており、本体部14bと、本体部14bから分離可能な分離部14cとを備えている。分離部13c,14cは、本体部13b,14bに対して後退可能であり、分離部13c,14cが後退することによって凹部13d,14dが形成される。凹部13d,14dは、内蔵部品6の両端部分の形状に対応しており、内蔵部品6の一部を収納する。ここでの凹部13d,14dは、円柱状を呈し、入口付近に突起部13e,14eが形成されている。突起部13e,14eの外側の角部は面取りされている。また、本体部13b,14bと分離部13c,14cとの間には、凹部13d,14d内に空気を送り込むための複数の空気孔13g,14gがそれぞれ形成されており、図示しない第2正圧付与手段によって凹部13d,14d内の空気圧(ブロー圧)は適正に調整される。
【0046】
ロボットアーム16(
図14参照)は、内蔵部品6を取付け位置まで移動させる移動手段である。ここでの取付け位置は、シート状のパリソンSB,SBの内側であって、分離部13c,14cの間である。
【0047】
次に、第2の燃料タンク製造装置1Bの動作について説明する。第2の燃料タンク製造装置1Bによる燃料タンクT(
図1参照)の製造方法の全工程を説明する前に、内蔵部品6の端部周りの転写状況について説明する。
【0048】
<内蔵部品の端部周りの転写状況>
第2の燃料タンク製造装置1Bによる内蔵部品6の端部周りの転写方法は、第1の燃料タンク製造装置1Aの転写方法と同様である。
つまり、第2の燃料タンク製造装置1Bでは、第1成形型13および第2成形型14に形成された凹部13d,14d内に正圧P2(第2の正圧)を発生させ、肩部6bと頭部6dとの間の隙間6j及び段差形状部6hにパリソンSBを入り込ませて転写させる(
図8,9参照)。
【0049】
次に、第2の燃料タンク製造装置1Bの全体の工程について説明する。
<パリソンの搬送工程>
図13(a)に示すように、搬送手段11は、シート状のパリソンSB,SBを中間型15の両側に搬送する。次に、
図13(b)に示すように、チャック12,12は、パリソンSB,SBの上端側を保持し、パリソンSB,SBを中間型15方向へ誘導する。
【0050】
<一次成形工程(ブロー成形工程)>
次に、
図13(c)に示すように、第1成形型13および第2成形型14は、互いに対向する方向に移動し、中間型15の両側に組み合わさるようにして第1成形型13および第2成形型14が型締めされる。そして、図示しない第1負圧付与手段は、第1成形型13および第2成形型14内に負圧N1を発生させる。また、図示しない第3正圧付与手段は、第1成形型13および第2成形型14内のパリソンSB,SBの内側から正圧P3を付与する。これにより、パリソンSB,SBは、第1成形型13および第2成形型14の成形部13a,14aに押し付けられて転写される。ここで、第1成形型13の本体部13bと分離部13cとの間には隙間がなく、本体部13bと分離部13cとの間からパリソンSBが漏れないようになっている。また同様に、第2成形型14の本体部14bと分離部14cとの間には隙間がなく、本体部14bと分離部14cとの間からパリソンSBが漏れないようになっている。
【0051】
<成形型の開放工程>
次に、
図14(a)に示すように、第1成形型13および第2成形型14を開いて中間型15を取り除く。これにより、第1成形型13および第2成形型14の間には空間が形成される。なお、開いた第1成形型13および第2成形型14にはパリソンSB,SBが転写されたままの状態となる。
【0052】
<内蔵部品の投入工程>
次に、
図14(b)に示すように、第1成形型13および第2成形型14の分離部13c,14cが本体部13b,14bに対して後退し、第1成形型13および第2成形型14に凹部13d,14dを形成する。また、ロボットアーム16は内蔵部品6を保持した状態で上昇し、さらに、
図14(c)に示すように、内蔵部品6を第1成形型13の方向に移動させて凹部13dに内蔵部品6を設置する。そして、ロボットアーム16は内蔵部品6を離した状態で降下し、初期位置まで退避する。ロボットアーム16の初期位置は、第1成形型13および第2成形型14を閉じた場合に干渉しない位置であればよい。
【0053】
<成形型の閉鎖工程>
次に、
図15(a)に示すように、第1成形型13および第2成形型14は、互いに対向する方向に移動し、第1成形型13および第2成形型14が型締めされる。
【0054】
<二次成形工程(ブロー成形工程)>
次に、
図15(b)に示すように、図示しない第1正圧付与手段は、第1成形型13および第2成形型14内のパリソンSBの内側から正圧P1(第1の正圧)を付与する。これにより、パリソンSBは、第1成形型13および第2成形型14の成形部13a,14aに押し付けられて転写される。また、図示しない第2正圧付与手段は、第1成形型13および第2成形型14の凹部13d,14d(
図12参照)内のパリソンSBの外側から正圧P2(第2の正圧)を付与する。これにより、パリソンSBは、内蔵部品6の首部6cに沿って賦形される。なお、正圧P1、正圧P2を付与する方法や順番は特に限定されるものではない。正圧P2は正圧P1よりも高く設定されているのが好ましい。
【0055】
<パリソンの冷却工程>
次に、
図15(c)に示すように、図示しない冷却手段を用いて第1成形型13および第2成形型14内で冷却空気Cを循環させる。これにより、パリソンSBは冷やされて硬化する。
【0056】
<成形型の開放工程>
次に、
図15(d)に示すように、第1成形型13および第2成形型14を開いて成形品Uを取り出す。そして、両端に形成される不要なバリを切断することで燃料タンクT(
図1参照)が完成する。
【0057】
ここで、従来の燃料タンクであると、タンク本体に正圧及び負圧が作用すると、首部周りの樹脂が首部から径外方向に離間するように変形(変位)するため、内蔵部品とタンク本体との固定強度が低下するおそれがある。
しかし、以上説明した第1実施形態によれば、パリソンSが隙間6j及び段差形状部6hに入り込んでいるため、内蔵部品6の首部6c周りの樹脂(パリソン相当部W)の変形を抑制することができる。より詳しくは、本実施形態では、首部6c周りの樹脂(パリソン相当部W)を段差形状部6hの内壁6hc(
図8参照)で受け止めることにより、首部6c周りの樹脂が首部6cから径外方向に変形(変位)するのを防ぐことができる。これにより、内蔵部品6とタンク本体Taとの固定強度を高めることができる。また、段差形状部6hを設けるだけでよいため、変形抑制構造を簡易に形成することができる。
【0058】
[第2実施形態]
第2実施形態では、
図16Aおよび
図16Bに示すように、変形抑制構造として、第1凸形状部26hが肩部6bの表面6fに形成されている。第1凸形状部26hは、軸心Oを中心とした環状を呈し、首部6cの全周を囲むように形成されている。第1凸形状部26hの断面形状は、矩形状である。
【0059】
以上説明した第2実施形態によれば、第1実施形態と略同等の効果を得ることができる。つまり、パリソンSが隙間6jと第1凸形状部26hとで構成された空間に入り込んでいるため、内蔵部品26の首部6c周りの樹脂(パリソン相当部W)の変形を抑制することができる。より詳しくは、本実施形態では、首部6c周りの樹脂(パリソン相当部W)を第1凸形状部26hで受け止めることにより、首部6c周りの樹脂が首部6cから径外方向に変形(変位)するのを防ぐことができる。これにより、内蔵部品26とタンク本体Taとの固定強度を高めることができる。また、第1凸形状部26hを設けるだけでよいため、変形抑制構造を簡易に形成することができる。
【0060】
[第3実施形態]
第3実施形態では、
図17Aおよび
図17Bに示すように、変形抑制構造として、複数(ここでは、四つ)の第2凸形状部36hが肩部6bの表面6fに形成されている。第2凸形状部36hは、軸心Oを中心とし、周方向に等間隔に並んで形成されている。第2凸形状部36hは湾曲しており、第2凸形状部36hの断面形状は、矩形状である。
【0061】
以上説明した第3実施形態によれば、第1実施形態と略同等の効果を得ることができる。つまり、パリソンSが隙間6jと第2凸形状部36hとで構成された空間に入り込んでいるため、内蔵部品36の首部6c周りの樹脂(パリソン相当部W)の変形を抑制することができる。より詳しくは、本実施形態では、首部6c周りの樹脂(パリソン相当部W)を第2凸形状部36hで受け止めることにより、首部6c周りの樹脂が首部6cから径外方向に変形(変位)するのを防ぐことができる。これにより、内蔵部品36とタンク本体Taとの固定強度を高めることができる。また、第2凸形状部36hを設けるだけでよいため、変形抑制構造を簡易に形成することができる。
【0062】
[第4実施形態]
第4実施形態では、
図18Aおよび
図18Bに示すように、変形抑制構造として、第3凸形状部46hが肩部6bの表面6fに形成されている。第3凸形状部46hは、軸心Oを中心とした環状を呈し、首部6cの全周を囲むように形成されている。第3凸形状部46hの断面形状は、矩形状である。第3凸形状部46hには、周方向に等間隔に並んで四つの貫通孔46heが形成されている。貫通孔46heは、成形時において、パリソンSが入り込む部位である。貫通孔46heは、第3凸形状部46hの内壁側と外壁側とを連通するように、内蔵部品46の径方向に形成されている。
【0063】
以上説明した第4実施形態によれば、第2実施形態と略同等の効果を得ることができる。また、第4実施形態では、パリソンSは成形時に貫通孔46heにも入り込むため、固定強度をより高めることができる。
【0064】
[第5実施形態]
第5実施形態では、
図19Aおよび
図19Bに示すように、変形抑制構造として、複数(ここでは、四つ)の第4凸形状部56hが肩部6bの表面6fに形成されている。第4凸形状部56hは、軸心Oを中心とし、周方向に等間隔に並んで形成されている。第4凸形状部56hは湾曲しており、第4凸形状部56hの断面形状は、矩形状である。各々の第4凸形状部56hには、貫通孔56heが形成されている。貫通孔56heは、成形時において、パリソンSが入り込む部位である。貫通孔56heは、第4凸形状部56hの内壁側と外壁側とを連通するように、内蔵部品56の径方向に形成されている。
【0065】
以上説明した第5実施形態によれば、第3実施形態と略同等の効果を得ることができる。また、第5実施形態では、パリソンSは成形時に貫通孔56heにも入り込むため、固定強度をより高めることができる。
【0066】
[第6実施形態]
第6実施形態では、
図20Aおよび
図20Bに示すように、変形抑制構造として、剛性部材67が肩部6bの表面6fに一体成形される。剛性部材67は、成形時において、内蔵部品66に賦形したパリソンSの外側からインサートして取り付けられる。剛性部材67は、樹脂製又は金属製である。
【0067】
剛性部材67の内部は、頭部6dおよび首部6cに対応した形状を呈しており、剛性部材67は頭部6dおよび首部6cを収納する。ここでの剛性部材67は、円筒の一方を塞いだ有底円筒状を呈しており、円筒状の周壁部67aと、円板状の底部67bと、を主に備える。肩部6bの表面6fには、周壁部67aの端部に対応した環状の溝66hが形成されている。
【0068】
周壁部67aには、周方向に等間隔に並んで四つの貫通孔67cが形成されている。貫通孔67cは、成形時において、パリソンSが入り込む部位である。貫通孔67cは、パリソンSが入り込むことによって、剛性部材67をタンク本体Taに固定できるものであればよく、貫通孔67cの形状、位置、数などは特に限定されない。
【0069】
底部67bには、剛性部材67内に空気を送り込むための複数(ここでは、二つ)の空気孔67dが形成されている。これにより、例えば、凹部3d(
図7参照)に形成される空気孔3gから空気を送り込むことで剛性部材67内に正圧P2(第2の正圧)を発生させ、肩部6bと頭部6dとの間の隙間6jにパリソンSを送り込ませて転写させることができる。剛性部材67とタンク本体Taとの間には隙間が形成されていてもよい。自動車やバイク並びに船舶等の移動手段に燃料タンクT6を搭載した後で、空気孔67dから剛性部材67内に侵入した水などを排水できるように、貫通孔67cとタンク本体Taとの間に隙間が形成されていることが好ましい。
【0070】
以上説明した第6実施形態によれば、第1実施形態と略同等の効果を得ることができる。つまり、パリソンSが隙間6j及び剛性部材67内に入り込んでいるため、内蔵部品66の首部6c周りの樹脂(パリソン相当部W)の変形を抑制することができる。より詳しくは、本実施形態では、首部6c周りの樹脂(パリソン相当部W)を剛性部材67で受け止めることにより、首部6c周りの樹脂が首部6cから径外方向に変形(変位)するのを防ぐことができる。これにより、内蔵部品66とタンク本体Taとの固定強度を高めることができる。また、剛性部材67を取り付けるだけでよいため、変形抑制構造を簡易に形成することができる。
【0071】
[第7実施形態]
第7実施形態では、
図21Aおよび
図21Bに示すように、変形抑制構造としては第1実施形態と同様の段差形状部6hであるが、頭部76dや首部76cの構成が第1実施形態と異なる。
図21Aに示すように、内蔵部品76は、円柱状の胴部6aと、胴部6aの両端に形成される肩部6bと、肩部6bの外側に形成される首部76cと、頭部76dとを備えて構成されている。
【0072】
ここでの首部76cは、肩部6bの表面6fから立設された円筒状を呈し、周方向に等間隔に並んで四つの貫通孔76hが形成されている。貫通孔76hは、成形時において、パリソンSが入り込む部位である。また、首部76cで囲まれた肩部6bには、四つの空気抜き孔76iが形成されている。空気抜き孔76iの片側は、胴部6aに形成される肉抜き穴6eと連通している。これにより、凹部3d,4d内の空気は、空気抜き孔76iを通じて凹部3d,4d外に排出可能となる。
【0073】
頭部76dは、薄板のリング状を呈する。頭部76dの表面76mには、リング状に立設された複数のリブ76kが形成されている。リブ76kは、軸心Oを中心とする円に沿って形成されている。なお、リブ76kは省略してもよい。
【0074】
以上説明した第7実施形態によれば、第1実施形態と略同等の効果を得ることができる。つまり、パリソンSが隙間6j及び段差形状部6hに入り込んでいるため、内蔵部品76の首部76c周りの樹脂(パリソン相当部W)の変形を抑制することができる。より詳しくは、本実施形態では、首部76c周りの樹脂(パリソン相当部W)を段差形状部6hで受け止めることにより、首部76c周りの樹脂が首部76cから径外方向に変形(変位)するのを防ぐことができる。これにより、内蔵部品76とタンク本体Taとの固定強度を高めることができる。また、本実施形態では、パリソンSは成形時に貫通孔76hにも入り込むため、固定強度をより高めることができる。また、段差形状部6hを設けるだけでよいため、変形抑制構造を簡易に形成することができる。
【符号の説明】
【0075】
6,26,36,46,56,66,76 内蔵部品
6a 胴部
6b 肩部
6c,76c 首部
6d,76d 頭部
6h 段差形状部(変形抑制構造)
26h 第1凸形状部(変形抑制構造)
36h 第2凸形状部(変形抑制構造)
46h 第3凸形状部(変形抑制構造)
56h 第4凸形状部(変形抑制構造)
67 剛性部材(変形抑制構造)
S,SA,SB パリソン
T,T2~T7, 燃料タンク
Ta タンク本体
W パリソン相当部