(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】両面鏡を含む接合ガラスの製造方法
(51)【国際特許分類】
C03C 27/12 20060101AFI20220404BHJP
A47G 1/04 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
C03C27/12 N
C03C27/12 D
C03C27/12 F
A47G1/04 A
(21)【出願番号】P 2020091670
(22)【出願日】2020-05-26
【審査請求日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】10-2019-0077398
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522074590
【氏名又は名称】ナイント カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】リ,エ ギョン
(72)【発明者】
【氏名】ユン,テ サン
【審査官】大塚 晴彦
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-017192(JP,U)
【文献】特開2004-182487(JP,A)
【文献】米国特許第05959793(US,A)
【文献】特開平06-030832(JP,A)
【文献】特開2006-149555(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1273602(KR,B1)
【文献】特開昭61-134249(JP,A)
【文献】特表2016-518298(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0957844(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0086643(KR,A)
【文献】特開平06-296537(JP,A)
【文献】特開平09-241046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 27/00 -29/00
A47G 1/00 - 1/04
B32B 15/08 、17/06
G02B 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2~8mmの厚さを有する一対のガラスを洗浄するステップと、
洗浄された1つの前記ガラスの表面に形成しようとする鏡デザイン部分を除外したフィルム層を形成するステップと、
前記鏡デザイン部分を含んで前記フィルム層の全体面にアルミニウム真空蒸着するステップと、
前記鏡デザイン部分にアルミニウム真空蒸着された両面鏡層を除外したアルミニウム真空蒸着された前記フィルム層を除去するステップと、
前記フィルム層が除去されてアルミニウム真空蒸着された前記両面鏡層側に接着シートを載置した後、洗浄された他の1つの前記ガラスを載置して1次熱乾燥加圧と2次真空加圧を経て接合するステップとを含み、かつ
前記フィルム層は30~100μmの厚さを有するPETシートを付着すること、または印刷技法によりシリコンインキを印刷することのうち、いずれか1つであり、
前記PETシートに形成される前記鏡デザイン部分は前記PETシートに鏡デザインをマーキング(marking)した後、マーキングされた部分を除去すること、または前記印刷技法により前記シリコンインキを印刷時、前記鏡デザイン部分を除外した部分を印刷することのうち、いずれか1つであり、
前記接着シートはPVB、EVA、またはUV resinのうち、いずれか1つであり、0.38~1.2mmの厚さを有する両面鏡を含む接合ガラス製造方法
であって、
前記1次熱乾燥加圧は180~200℃で30~300秒の熱乾燥の加圧によりなされて、前記2次真空加圧は100~300℃の真空状態で3~5時間オートクレーブ(autoclave)内で加圧によりなされる、両面鏡を含む接合ガラス製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は両面鏡を含む接合ガラスに関し、より詳しくは、最小限の簡単な接着または接合素材が要求されることは勿論、それによる製造工程が簡単になされると共に、必要とする多様な形状の両面鏡が形成されるようにした両面鏡を含む接合ガラス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、接合ガラスということは、2枚以上の板ガラスの間に透明で、かつ接着力の強いポリビニルブチラール(PVB)素材の接合フィルムを融着させて接合したガラスをいう。
【0003】
このような接合ガラスは衝撃に対する吸収力が優れて簡単に破損されず、仮に板ガラスが破損されても接合フィルムにより破損された板ガラスの割れが飛散することを防止する役割をする。
【0004】
また、物体の貫通が容易でないので、盗難が防止できる条件によって、既存の一般強化ガラスに代えて建築材料、産業用及びその他の多様な用途に使われている。
【0005】
しかしながら、接合ガラスは安全性を確保することができたが、その以外の機能が期待できないという短所を有する。
【0006】
前記の問題点を解決するために従来にも接合ガラスに鏡のような機能を有するようにする技術が提案されたことがある。
【0007】
まず、韓国登録特許第10-1273602号公報(以下、‘先行技術文献1’という)に掲示されたように、シャワーブース用ガラス壁体に鏡が設置されるように、2枚の板ガラス、2枚のPVB系接着シート、1枚の鏡手段を含んで安定性が向上した浴室シャワーブース用ガラス壁体及びその製作方法のような技術が提案されたことがある。
【0008】
また、韓国公開特許第10-2018-0056643号公報(以下、‘先行技術文献2’という)に掲示されたように、接合ガラスが両面鏡機能を有するようにアルミニウム真空蒸着により鏡層が形成されたシート紙をカッティングした両面鏡部材と、第1及び第2ガラス板を予熱後、第1ガラス板に第1接着シートを、前記第1接着シートに両面鏡部材を積層した後、その両面鏡部材に第2接着シートをまた積層し、第2ガラス板を積層して加熱と加圧して接合させて両面鏡を有する安全接合ガラス及びその製造方法のような技術も提案されたことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】韓国登録特許第10-1273602号公報
【文献】韓国公開特許第10-2018-0056643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、先行技術文献1乃至2は、接合ガラスに鏡機能を有するようにするために、幾重の素材が積層または具備されるようにする形態で、製造が相当に面倒で、多様な素材が要求される短所を有する。
【0011】
前記のような従来の諸問題点を解決するための本発明の具体的な技術的課題は、最小限の簡単な接着または接合素材が要求されることは勿論、それによる製造工程が簡単になされると共に、必要とする多様な形状の両面鏡が形成されるようにした両面鏡を含む接合ガラス及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記のような具体的な技術的解決課題を解決するための具体的な技術的解決手段は、2~8mmの厚さを有する一対のガラスを洗浄するステップ;前記洗浄された1つのガラス表面に形成しようとする鏡デザイン部分を除外したフィルム層を形成するステップ;前記鏡デザイン部分を含んでフィルム層の全体面にアルミニウム真空蒸着するステップ;前記鏡デザイン部分にアルミニウム真空蒸着された両面鏡層を除外したアルミニウム真空蒸着されたフィルム層を除去するステップ;及び前記フィルム層が除去されてアルミニウム真空蒸着された両面鏡層側に接着シートを載置した後、洗浄された他の1つのガラスを載置して1次と2次に経て接合するステップ;を含む。
【0013】
前記フィルム層は、30~100μmの厚さを有するPETシートを付着すること、または印刷技法によりシリコンインキを印刷することのうち、いずれか1つである。
【0014】
前記PETシートに形成される鏡デザイン部分は、そのPETシートに鏡デザインをマーキング(marking)した後、そのマーキングされた部分を除去すること、または印刷技法によりシリコンインキを印刷時、鏡デザイン部分を除外した部分を印刷することのうち、いずれか1つである。
【0015】
前記接着シートは、PVB、EVA、またはUV resinのうち、いずれか1つであり、0.38~1.2mmの厚さを有する。
【0016】
前記1次接合は180~200℃で30~300秒の熱乾燥の加圧によりなされて、前記2次接合は100~300℃の真空状態で3~5時間オートクレーブ(autoclave)内で加圧によりなされる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は最小限の簡単な接着または接合素材が要求されることは勿論、それによる製造工程が簡単になされると共に、必要とする多様な形状の両面鏡が形成されるようにすることによって、接合ガラスの長所を含み、かつ両面鏡機能を含むことは勿論、短時間内に製造されることによって生産性が高いという効果と共に、優れる品質を有する製品が提供できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の製造ステップを説明するためのブロック図である。
【
図2】本発明の製造過程を説明するための順序図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付の図面を参考してより詳細に説明すると、次の通りであり、本発明が実施形態により制限または限定されるのではない。
【0020】
図1は本発明の製造ステップを説明するためのブロック図であり、
図2は本発明の製造過程を説明するための順序図である。
【0021】
図示したように、通常的な接合ガラスは衝撃に対する吸収力が優れて容易に破損されず、仮に板ガラスが破損されても接合フィルムにより破損された板ガラスの割れが飛散することを防止する機能を有する。
【0022】
また、物体の貫通が容易でないので、盗難が防止できる条件によって、既存の一般強化ガラスに代えて建築材料、産業用及びその他の多様な用途に使われている。
【0023】
しかしながら、接合ガラスは安全性を確保することができたが、その以外の機能が期待できないという短所を有する。
【0024】
前記の問題点を解決するために従来にも接合ガラスに鏡のような機能を有するようにする技術が提案されたことがあるが、その多様な素材が要求されるだけでなく、それによって製造過程が相当に面倒で、不便であるという短所を有する。
【0025】
本発明は、最小限の簡単な接着または接合素材が要求されることは勿論、それによる製造工程が簡単になされると共に、必要とする多様な形状の両面鏡が形成されるようにすることにある。
【0026】
本発明に従う接合ガラスの製造過程は、次の通りである。
【0027】
まず、公知の方式により必要な用途に合うサイズに切断された2~8mmの厚さを有する一対のガラス10を通常的な方式により表面に汚染された部分を除去するように洗浄するステップ(S1)を遂行する。前記洗浄が完了した後には表面に水などを含む洗浄剤が残っていないように通常的な乾燥過程を通じて洗浄剤が残っていないようにする。
【0028】
次に、前記洗浄された1つのガラス10の表面に形成しようとする鏡デザイン12部分を除外したフィルム層20を形成するステップ(S2)を行う。
【0029】
前記において、鏡デザイン部分は適用される対象によって適正なデザインを選択して適用できるので、適用される対象に最も理想的なデザインが適用できるものである。
【0030】
ここで、前記フィルム層20は約30~100μmの厚さを有する通常的なPETシートを付着すること、または公知の印刷技法によりシリコンインキを印刷することのうち、いずれか1つである。前記PETシートは前記の範囲内の厚さのうち、生産性に優れるリムーブ(remove)粘着50μmフィルムが最も理想的なものであるが、一般的なシートを使用しても関係ない。しかしながら、一般的な粘着フィルムを使用時には接着剤による不良率が高いことがあるので、リムーブ(remove)粘着50μmフィルムを使用することが好ましい。
【0031】
合わせて、前記PETシートに形成される鏡デザイン12部分はそのPETシートに通常的な方式により鏡デザイン12をマーキング(marking)した後、そのマーキングされた部分を通常的なカッティングナイフを用いて除去すること、または通常的な印刷技法によりシリコンインキを印刷時、鏡デザイン12部分を除外した部分を印刷することのうち、いずれか1つである。
【0032】
次に、前記鏡デザイン12部分を含んでフィルム層20の全体面に公知のアルミニウム真空蒸着30するステップ(S3)を行う。
【0033】
前記において、アルミニウム真空蒸着30は通常的な真空チャンバー内での真空蒸着する方式よりは不良率が格段に少ないコンベヤー型真空蒸着方式を適用して真空蒸着することが好ましい。特に、アルミニウム真空蒸着での主要不良は、気泡、蒸着不良、鏡とガラスライン不良などが発生するところ、これを最小化できるようにコンベヤー型真空蒸着方式を適用することが好ましい。
【0034】
また、アルミニウム真空蒸着は通常的な0.05~0.1μmの厚さを有する。
【0035】
その後、前記鏡デザイン12部分にアルミニウム真空蒸着30された両面鏡層40を除外したアルミニウム真空蒸着されたフィルム層20を通常的な方式により除去するステップ(S4)を行う。
【0036】
言い換えると、前記アルミニウム真空蒸着された部分は両面鏡に使用することができる部分である。
【0037】
最後に、前記フィルム層が除去されてアルミニウム真空蒸着された両面鏡層40側に通常的な接着シート50を載置した後、洗浄された他の1つのガラスを載置して1次と2次に経て接合するステップ(S5)を遂行することによって接合ガラス1の全ての製造過程が完了する。
【0038】
前記において、接着シート50は通常的なPVB、EVA、またはUV resinのうちのいずれか1つであり、0.38~1.2mmの厚さを有することが好ましく、その中でもPVBを適用することが好ましい。前記PVBはポリビニルアルコールに酸触媒下でブチルアルデヒドを反応させて合成される樹脂で、ガラス、金属、プラスチック、木材、皮革などの接着用に使われるものであるので、最も適正であるということができる。
【0039】
前記接着シートが0.38mm以下の場合には、気泡発生確率が高く、接着シートのレベリング問題によって揃う接着がなされず不良率が高いという短所を有し、接着シートが1.2mm以上の場合には、接着フィルムの価格が高いので経済性が落ちて、製造時間が相対的に長くなって生産効率性が落ちるので、前記の範囲内の接着シートを適用することが好ましい。
【0040】
前記において、1次と2次に経て接合する方式を従来の通常的な接合ガラスを製造時に接合する方式と対応所有したものであって、前記1次接合は180~200℃で30~300秒の熱乾燥によりなされて、前記2次接合は100~300℃の真空状態で3~5時間、通常的なオートクレーブ(autoclave)内で加圧によりなされる。
【0041】
前記の1次接合での前記温度と時間以下または以上の時には、PVB接着シートの融点に到達できないので、接着力が落ちるか、または気泡発生及びレベリングが出られず不良率が高まり、物理及び化学的な信頼性を備えた製品が製造できないものであるので、前記の条件が適正である。
【0042】
また、前記2次接合やはり前記温度と時間以下の時、電力消費は勿論、製造時間が長くなるので、生産効率が非常に低くなり、生産コストも高まり、温度と時間が以上の時にも接着シートの化学的物性が変化して接着力及び耐久性が落ちるので、前記の範囲内の条件が適正であるということができる。
【0043】
上記のように、本発明は接合ガラス1を製造する過程でその接合ガラスが有する安全性を確保する機能の以外に、両面鏡1Aを形成する技術的構成も複雑または面倒でなく、簡単で、かつ速かになされることができるだけでなく、特に最小限の素材で所望の形態の両面鏡が形成できるものである。
【0044】
それによって生産性を高めることができるだけでなく、特に優れる品質を有する製品が提供できるものである。
【符号の説明】
【0045】
1 接合ガラス
1A 両面鏡
10 ガラス
12 鏡デザイン
20 フィルム層
30 アルミニウム真空蒸着
40 両面鏡層
50 接着シート