IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 長島 彬の特許一覧

<>
  • 特許-太陽光発電システム 図1
  • 特許-太陽光発電システム 図2
  • 特許-太陽光発電システム 図3
  • 特許-太陽光発電システム 図4
  • 特許-太陽光発電システム 図5
  • 特許-太陽光発電システム 図6
  • 特許-太陽光発電システム 図7
  • 特許-太陽光発電システム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】太陽光発電システム
(51)【国際特許分類】
   H02S 20/10 20140101AFI20220404BHJP
   H02S 20/30 20140101ALI20220404BHJP
【FI】
H02S20/10 U
H02S20/10 C
H02S20/30 E
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020091808
(22)【出願日】2020-05-26
(65)【公開番号】P2020129963
(43)【公開日】2020-08-27
【審査請求日】2020-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】398036748
【氏名又は名称】長島 彬
(72)【発明者】
【氏名】長島 彬
【審査官】松本 隆彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-003244(JP,A)
【文献】特開2005-281995(JP,A)
【文献】特許第5663109(JP,B1)
【文献】特開平08-274364(JP,A)
【文献】特開2017-070043(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0016815(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0030984(KR,A)
【文献】特開2013-117097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 20/00-20/32
E04H 5/00
E04D 13/18
H02S 30/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項2】
架台に加わる風荷重のうち、水平方向の分力による架台の柱の曲げ応力を、材料の耐力以下に抑える手段として、柱を太くして断面性能を上げるのでなく、風の方向に柱と同じ断面性能を持つ補強部材6を柱に密着固定して60m/秒以上の暴風に耐える構造にしたことを特徴にする請求項1に記載した太陽光発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は太陽光発電を合理的に構成して耐風性能を向上するとともに、設置時のコスト削減と維持管理費の低減を目的とする。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電普及促進するためには、導入全経費が売電のkWh単価の1万倍が目安になる。例えば、平均買電単価より安い売電単価20円/kWhを実施するためには導入経費が約20万円/kW以下にすることが一つの目標となる。
太陽光発電は、IC等の材料である半導体級シリコン(純度99.999999999%(11N)以上)の切れ端利用から純度が6N(99.9999%)~7N(99.99999%)程度のソーラーグレードシリコンの量産によって、価格が大きく下がり、いよいよ全ての発電方式に比べて最も安い発電方法と評価されるに至り、「再生可能エネルギーのみからなる社会」の基幹になる発電方法として、今後の発展がますます期待されはじめている。
このような状況の中、今後約200年で尽きると言われる化石燃料の寿命問題はもとより、過酷な自然災害を防止するため、その炭酸ガス排出量ゼロを目指し、急速にその使用量を縮小することが最重要課題として浮上し、より太陽光発電を合理的に行う必要がある。
【0003】
太陽光発電用を行うには大面積の土地が必要で、その用地として、当初は家屋の屋根から始まり、つぎに工業や一次産業の遊休地を利用したメガソーラが各地に出来、その後は日本の買い取り価格が世界の常識からかなり高いことから、安く調達できる外国の資本等によって、里山を伐採し山を崩し造成し、休耕地を砂利で埋め立てその用地としてきた。ここに至って、太陽光発電は「自然を破壊する自然エネルギー」となり、多くの自治体も環境アセスメントに必要性を感じ規制条例などを検討しているのが実情である。メガソーラを平地に作れば、雑草や蔓草の繁茂によってパネルが埋もれることを防止するために敷地を全面舗装したり、防草シートを張ったり、除草剤を高頻度に散布せざるを得ず、山林を太陽光発電敷地として利用するには、森林を伐採して山を崩し造成し、自然破壊を行い、設置後は雑草対策をせざるを得ず、その結果は、雨による土砂災害の危険が増した不毛の大地が出現することになった。
【0004】
太陽光発電は全ての発電方法に比べ安価になった今、原子力や化石燃料による発電の代替として人類永遠のエネルギー取得手段になったが、それを実現するためには「自然を破壊せずに共存する形」で発電用の広大な土地を確保しなければならない。
その中でその欠点を克服する方法として、支柱を立てて太陽光発電モジュールを空中に設置して空中で太陽光発電を行い、下部の土地を本来の用途に供する方法として「ソーラーシェアリング」の考え方が広く社会の支持を得て、いよいよ普及の段階に入ってきた。ソーラーシェアリング方式の応用は自然と共生出来てまた洪水によって冠水する被害も防止出来ることから推奨される方式になった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-277038
【文献】特開2015-216766
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
地上数m上に太陽光発電のモジュール(パネル)を設置するソーラーシェアリングの太陽光発電システムにおいて、近年の地球温暖化による巨大台風等の襲来時の瞬間最大風速80m/秒以上の暴風に対し、架台に重量鉄骨やコンクリートの頑丈な基礎を用いたり、モジュールを単純に水平に固定したりして対策とするのでなく、受光面の自己清浄機能を維持するため傾斜を維持するとともに発電量の減少を避け、積雪時の強度を保持することを考慮して対策する課題がある。
【0007】
特許文献1では風圧荷重を低減するために、モジュールをスプリングで所定の傾斜に保持して強風時にはそのスプリングの力に抗して、風の力で水平になるような構造にしているが、構造的に風の流線に対してスプリングが伸びて復帰する分力によって完全に水平に維持すること出来ないこと、また風速の強弱の変動によって振動して風圧荷重を最低に維持することに関して構造的に不十分であった。
特許文献2ではアクチュエータが架台に固定されているので積雪等でモジュール角度を変更するときに、変更するための反力が架台を分解する方向に働き、摩擦接合によって組み立てられた仮設パイプ等の架台は接合部材が外れたり、位置が変わったりして架台が変形する構造上の弱点があることや、多くのモジュールを一度に回動するので、何らかの不具合によってアクチュエータの作動負荷が設定値を超えたとき、その原因になる箇所の発見に手数がかかり、保守点検費用がかさむ問題がある。また多数のモジュールを一度に動かすには連動ロッドや回動部材を組立する工数が増えて設置費用がかさむことやリンク機構の総合的な遊隙によって強風でモジュールの一部が振動する問題もある。加えて機構上連動リンクを用いているためモジュールの回動角がおおむね90度を超えると著しく回動に要する力が大きくなり、機構的な効率が落ちることを問題として残している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
耐風性能を向上するため単にモジュールを水平にするので無く、モジュール設置する架台とモジュールの風圧荷重の合計を少なくするため、架台上面の梁材の太さ(上下高さ)の中に、モジュールに風が直接当たらないように、架台梁上面からの突出する量を少なくして、南風による水平荷重を減じ、またモジュールのフレームの北側下面を架台梁上面以下になるよう設定し、北風によるモジュールを引き剥がす揚力と架台を倒す水平力を減じて耐風性能の向上を図る。
【発明の効果】
【0009】
モジュールを数度の緩い傾斜に設定することによって、降雨による受光面の自己清浄機能と耐風性能を向上し、また積雪荷重性能を維持して、実用的な欠点の少ない安価に瞬間最大風速80m/秒に耐える装置が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は本案実施例1の東方からの要部側面図である。
図2図2は本案実施例1のモジュール取り付け前の位置関係を示す斜図である。
図3図3は本案実施例1に使用するモジュール固定部材の斜図である。
図4図4は本案実施例2の東方からの要部側面図である。
図5図5は本案実施例2に使用するモジュール固定部材の斜図である。
図6図6は本案実施例2の東方からの要部の斜図である。
図7図7は柱の補強方法を示す側面図である。
図8図8は従来のソーラーシェアリングのモジュール取り付け状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
積雪荷重や風圧荷重に耐えるように設計されたモジュールのアルミフレームが架台の梁の上面とおおむね同一になるよう設置、モジュール北側のアルミフレームが北側の架台の梁の上面からアルミフレームの大部分が出ないように固定する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の実施例1の東側からの側面図であり、モジュール3の上面の南側端上部3aを架台の梁1の上面におおむね等しくし、モジュールの北側のアルミフレームの下部3bが前記梁1の上面と概ね一致するような傾斜を選び、L形のモジュール固定部材2でモジュールを固定することによって、南風ではモジュールを過大の風荷重の水平方向の分力による架台の倒壊を防ぎ、モジュール3の下側に北風が吹きこみモジュール3に吹き飛ばす揚力が生じさせないともに水平分力を押さえて倒壊を防止する。また柱部材を梁材と別にして断面性能を上げて強化対応するのでなく、許容応力を越える危険のある場所を柱と同素材を適宜な長さに切断した補強部材6を柱4と2重に束ねて、過大な風荷重の水平力による柱4の応力を下げて倒壊を防止する。
【実施例2】
【0013】
図4に示すように、梁側面中央の2個の穴のピッチを広げてモジュールと梁の相対位置を任意に設定出来るモジュール固定部材2cを用いて、南風ではモジュールを過大の風荷重の水平方向の分力による架台の倒壊を防ぎ、モジュール3の下側に北風が吹きこみモジュール3に吹き飛ばす揚力が生じさせないようにするとともに、水平分力をも押さえて倒壊を防止する
【実施例3】
【0014】
図6において、モジュールの取り付け方を前記のようなL形の金具を用いずに、梁の両側に取り付けるモジュールを一体のモジュール固定部材2aを用いて梁の上側でモジュールを所定の位置に固定する構造にして、梁の側面中部に固定用ネジ部材を設置する制約を避けてモジュールと梁の上下の相対位置を自由に設定出来る構造にする。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本装置は営農形の太陽光発電にとどまらず、あらゆる土地を立体的に太陽光発電用地として利用することに有効で、自然を破壊せず、自然と共生出来る人類永遠の再生可能エネルギー取得手段として必要不可欠な手段となる。この意味で「ソーラーシェアリング」という言葉は「営農形農業」以上に広い意味の用語として必然的に生み出され、世界的に土地を立体的発電用地として利用する案として普及が始まっている。
【0016】
一方、低緯度の熱帯地方は強すぎる太陽光によって、作物の生育が阻害されて、飢餓と貧困、略奪などが生じやすいが、本装置の普及によって適度の遮光により、潤沢な温帯の作物が得られる可能性が高く、新しい農作が発展できれば多くの問題を解決できる可能性が高い。
【0017】
安価で自然災害に強い本システムの利用普及によって、太陽光発電による自然エネルギー社会の実現が期待できる。
【0018】
日本の年間電力使用量は大略10000億kWh/年であるがソーラーシェアリングの面積当たりの発電量40kW/反として計算すればその必要面積は250万ヘクタールに過ぎず、農地の全面積460万ヘクタールに比し十分小さく、農地から無限の電力を得る社会になれば、農業が本来の魅力ある産業として若者の魅力ある職種となり、若者の定着によって農村を蘇らせることが出来る。
【0019】
地球温暖化を防止するため、一日も早く脱炭素社会を築くため、ソーラーシェアリングはさらに自然と共生し、自然災害に強い特徴を生かし、本案によって瞬間最大風速80m/sにも対応出来る安価なシステムの構築が可能になる。
【符号の説明】
【0020】
1 架台の水平梁
2a モジュール固定金具と梁を固定するボルト穴
2b モジュール固定金具とモジュールを連結するボルト穴
2c モジュールを固定する面
3 太陽光発電モジュール
3a モジュールの日射方向側フレーム上面のライン
3b モジュールの日射方向の反対側フレームの下側のライン
3d モジュールのフレーム
4 柱
5 ほお杖
6 柱の同じ断面形状を持つ補強部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8