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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】自転車用子供座席
(51)【国際特許分類】
   B62J 1/16 20060101AFI20220404BHJP
   B62J 1/00 20060101ALI20220404BHJP
   B62J 1/28 20060101ALI20220404BHJP
   B62J 17/083 20200101ALI20220404BHJP
【FI】
B62J1/16 Z
B62J1/00 D
B62J1/28 A
B62J17/083
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019183949
(22)【出願日】2019-10-04
(65)【公開番号】P2021059192
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2021-04-01
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391003912
【氏名又は名称】コンビ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100208188
【弁理士】
【氏名又は名称】榎並 薫
(72)【発明者】
【氏名】菊地 昭博
【審査官】伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-193258(JP,A)
【文献】特開2017-144880(JP,A)
【文献】特開2010-179823(JP,A)
【文献】特開2017-088162(JP,A)
【文献】特開2017-196994(JP,A)
【文献】登録実用新案第3189949(JP,U)
【文献】特許第6823886(JP,B1)
【文献】特開2020-037374(JP,A)
【文献】特開2020-082932(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 1/00,1/14,1/28,17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座席本体と、
前記座席本体に対して上下に移動可能なヘッドレストと、
前記ヘッドレストに取り付けられた幌装置と、を備え、
前記幌装置は、前記ヘッドレストの側壁部に固定されるホルダーと、前記ホルダーに保持される幌と、を含み、
前記ホルダーは、後上方に向けて突出した突出部を有し、
前記幌は、前記突出部を受容する凹部を有し、
前記幌装置は、前記ヘッドレストの移動にともなって上下に移動可能である、自転車用子供座席。
【請求項2】
前記ヘッドレストの上端部が前記座席本体の上端部に最も近接する位置に前記ヘッドレストが配置されるとき、前記突出部は前記座席本体の側壁部の縁部に沿う、請求項に記載の自転車用子供座席。
【請求項3】
前記幌装置は、前記ヘッドレストに直接取り付けられている、請求項1又は2に記載の自転車用子供座席。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車用子供座席に関する。
【背景技術】
【0002】
自転車に取り付けて子供を載せるための自転車用子供座席が広く普及している。また、子供座席に着座した子供を上方から覆い、当該子供に日よけの環境を提供するための幌(あるいは日よけ)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-015920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された幌は、子供座席の座面に対して相対移動不能に固定されている。このようにして取り付けられた幌は、様々な身長の子供を覆うことができるよう、十分な寸法(とりわけ高さ)を有している。しかしながら、寸法の大きな幌は、駐輪場等の限られた空間に自転車を収容する際に周囲のものと干渉して、収容を阻害することがある。同様の問題が、子供座席用レインカバー等を支持する支持装置が取り付けられた自転車用子供座席についても生じている。
【0005】
本件発明は、以上の点を考慮してなされたものであって、幌装置や支持装置を有する自転車用子供座席であって、容易に小型化可能な自転車用子供座席の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による自転車用子供座席は、
座席本体と、
前記座席本体に対して上下に移動可能なヘッドレストと、
前記ヘッドレストに取り付けられた幌装置と、を備える。
【0007】
本発明による自転車用子供座席において、
前記幌装置は、前記ヘッドレストの側壁部に固定されるホルダーと、前記ホルダーに保持される幌と、を含み、
前記ホルダーは、後上方に向けて突出した突出部を有し、
前記幌は、前記突出部を受容する凹部を有していてもよい。
【0008】
あるいは、本発明による自転車用子供座席は、
座席本体と、
前記座席本体に対して上下に移動可能なヘッドレストと、
前記ヘッドレストに取り付けられた支持装置と、を備える。
【0009】
本発明による自転車用子供座席において、
前記支持装置は、前記ヘッドレストの側壁部に固定されるホルダーと、前記ホルダーに保持される支持構造体と、を含み、
前記ホルダーは、後上方に向けて突出した突出部を有し、
前記支持構造体は、前記突出部を受容する凹部を有していてもよい。
【0010】
また、本発明による自転車用子供座席において、
前記ヘッドレストの上端部が前記座席本体の上端部に最も近接する位置に前記ヘッドレストが配置されるとき、前記突出部は前記座席本体の側壁部の縁部に沿っていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、幌装置や支持装置を有する自転車用子供座席であって、容易に小型化可能な自転車用子供座席を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態を説明するための図であって、子供座席付き自転車を示す側面図。
図2図1に示す自転車用子供座席を、椅子本体の後壁部の一部を取り外した状態で後方から見た部分背面図。
図3図2に対応する図であって、ヘッドレストを座席本体に対して移動可能とした状態を示す図。
図4図2に対応する図であって、ヘッドレストを座席本体に対して図2に示す位置から移動させた状態を示す図。
図5図2に示す位置にあるヘッドレストと幌装置とを示す部分側面図。
図6図4に示す位置にあるヘッドレストと幌装置とを示す部分側面図。
図7】ヘッドレストに取り付けられたホルダーの斜視図。
図8】幌基部材をホルダーに対面するようになる側から示す斜視図。
図9】幌材を支持する支持装置を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1図9は、本発明による自転車用子供座席の一実施の形態を説明するための図である。このうち図1には、子供座席付き自転車の全体構成が示されている。図1に示すように、本実施の形態による子供座席付き自転車1は、子供座席10と、子供座席10を後方部分に取り付けられた自転車2と、を含む。図1に示す例では、子供座席付き自転車1は、自転車2の前部分に取り付けられた第2子供座席100を更に含む。
【0014】
なお、本明細書中において、自転車2に対する「前」、「後」、「上」、「下」、「前後方向」、および「上下方向」の用語は、特に指示がない場合、自転車2を運転する運転者を基準とした「前」、「後」、「上」、「下」、「前後方向」、および「上下方向」を意味する。したがって、「前後方向」とは、図1における紙面の左右の方向に相当する。そして、特に指示がない限り、「前」とは、自転車2を運転する運転者が向く側であり、図1における紙面の右側が自転車2の前側となる。一方、「上下方向」とは前後方向に直交するとともに接地面に直交する方向である。したがって、接地面が水平面である場合、「上下方向」とは垂直方向をさす。また、「幅方向」とは、横方向であって、「前後方向」および「上下方向」のいずれにも直交する方向である。
【0015】
また、本明細書中において、子供座席10および子供座席10の各部に対する「前」、「後」、「上」、「下」、「前後方向」、「上下方向」および「幅方向」の用語は、特に指示がない場合、自転車2に取り付けられた子供座席10に着座する子供を基準とした「前」、「後」、「上」、「下」、「前後方向」、「上下方向」および「幅方向」を意味する。したがって、「前後方向」とは、図1における紙面の左右の方向に相当する。そして、特に指示がない限り、「前」とは、子供座席10に着座する子供が向く側であり、図1における紙面の右側が子供座席10および子供座席10の各部の前側となる。一方、「上下方向」とは前後方向に直交するとともに、自転車2の接地面に直交する方向である。したがって、上記接地面が水平面である場合、「上下方向」とは垂直方向をさす。また、「幅方向」とは、横方向であって、「前後方向」および「上下方向」のいずれにも直交する方向である。
【0016】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
【0017】
上述したように、子供用座席付き自転車1は、子供座席10と、子供座席10を取り付けられた自転車2と、を含む。
【0018】
まず、自転車2について説明する。自転車2は、概ね前後方向に延びる主フレーム部3と、主フレーム部3の前端に接続されたフロントフォーク4と、フロントフォーク4の下端部に回転可能に支持された前輪5aと、主フレーム部3の後端部に回転可能に支持された後輪5bと、を含む。フロントフォーク4は、概ね上下方向に沿って延びる軸線を中心として回動可能となっている。また、前輪5a及び後輪5bは、幅方向に沿った軸線を中心として回転可能となっている。さらに、自転車2は、フロントフォーク4の上端部に接続されたハンドル6と、主フレーム部3の長手方向の中央から上方に延び出すシートパイプ3aに支持されたサドル7と、サドル7の後方かつ後輪5bの上方に設けられた荷台8と、を含む。荷台8は、主フレーム部3の後端部から上方に延び出す荷台支持部材3bによって支持されている。
【0019】
ハンドル6は、運転者が前輪5aの向きを操作するために使用されるものである。ハンドル6は、フロントフォーク4の上端に固定され、フロントフォーク4と共に主フレーム部3に対して回転可能となっている。したがって、ハンドル6を回転させるとフロントフォーク4が保持する前輪5aの向きが変わる。なお、第2子供座席100は、フロントフォーク4の上端に、ハンドル6と共に固定されている。
【0020】
次に、図1乃至図9を参照して子供座席10について説明する。図2は、図1に示す自転車用子供座席10の座席本体20の後壁部22の一部22aを取り外して後方から見た図である。図3は、図2に対応する図であって、ヘッドレスト30を座席本体20に対して移動可能とした状態を示す図である。図4は、図2に対応する図であって、ヘッドレスト30を座席本体20に対して図2に示す位置から移動させた状態を示す図である。図5は、図2に示す位置にあるヘッドレスト30と幌装置50とを示す部分側面図である。図6は、図4に示す位置にあるヘッドレスト30と幌装置50とを示す部分側面図である。図7は、ヘッドレスト30に取り付けられたホルダー51の斜視図である。図8は、幌基部材61をホルダー51に対面するようになる側から示す斜視図である。図9は、幌材76を支持する支持装置80を示す側面図である。なお、子供座席10に含まれるいくつかの構成要素は、一部の図面では示されているものの、他の図面では図示を省略されている。例えば、図2乃至図4では、明確化のため、幌材76の図示を省略している。
【0021】
図1に示すように、子供座席10は、子供を収容する座席本体20と、座席本体20に取り付けられたヘッドレスト30と、幌装置50とを有する。子供座席10は荷台8に固定されている。
【0022】
まず、座席本体20について説明する。図示された例では、座席本体20は、座面部21と、座面部21に後方から接続した後壁部22と、を含む。座面部21は、子供座席10に着座する子供の臀部に対面するようになる部位である。後壁部22は、子供の背中に対面するようになる部位である。図2に示すように、後壁部22内には、ヘッドレスト30を係止するための係止用凹部23が形成されている。また、座席本体20は、座面部21及び後壁部22に側方から接続する一対の側壁部24,24を含む。
【0023】
次に、ヘッドレスト30について説明する。ヘッドレスト30は、図2に示す位置と図4に示す位置との間を、座席本体20に対して上下に移動可能である。図1乃至図4に示すように、ヘッドレスト30は、子供座席10に着座する子供の頭部に対面するようになるヘッドレスト本体31と、ヘッドレスト本体31から座席本体20の後壁部22内に延び入るヘッドレスト脚部35と、ヘッドレスト脚部35と後壁部22との係合を維持しまたは解除するヘッドレスト操作部40とを有する。
【0024】
ヘッドレスト本体31は、子供座席10に着座する子供の後頭部に対面するようになる中央壁部32と、中央壁部32の両端部から前方に延び出して当該子供の側頭部に対面するようになる一対の側壁部33とを含む。中央壁部32の後面には、後述する幌材76を固定するためのヘッドレスト側固定具34が固定されている。
【0025】
図2乃至図4に示すように、ヘッドレスト脚部35は、中央壁部32の下端から下方に延び出す脚部本体36と、脚部本体36の下端部から下方に延び出す一対の脚部係合部37と、を含む。一対の脚部係合部37は、幅方向に互いから離間している。各脚部係合部37は、脚部本体36から下方に線状に延び出す脚部延出部38と、脚部延出部38の下端部において脚部延出部38から幅方向内側および外側に突出する脚部突出部39と、を含む。脚部延出部38は、可撓性を有しており、幅方向に撓むことができる。
【0026】
ヘッドレスト操作部40は、ヘッドレスト本体31の中央壁部32及びヘッドレスト脚部35の脚部本体36の後面に対面して配置され、一対の脚部係合部37の間を脚部係合部37に沿って上下に延びている。ヘッドレスト操作部40は、上記中央壁部32および上記脚部本体36に対して上下に移動可能に配置されているが、図示しない付勢手段によって、中央壁部32および脚部本体36に対して下方に付勢されている。ヘッドレスト操作部40の下端部には、ヘッドレスト脚部35の各脚部係合部37に向けて幅方向外側に突出する操作部突出部41が設けられている。操作部突出部41は、脚部係合部37の脚部突出部39に対応して設けられている。そして、ヘッドレスト操作部40が操作されないとき、操作部突出部41は脚部突出部39に幅方向内側から当接して、脚部延出部38が幅方向内側に撓むことを防止する。一方、ヘッドレスト操作部40が操作されて脚部係合部37に対して上方に移動されると、操作部突出部41は幅方向に見て脚部突出部39と対面しない位置に配置され、脚部延出部38が幅方向内側へ撓むことを許容する。
【0027】
ヘッドレスト脚部35の脚部突出部39が座席本体20の後壁部22に設けられた係止用凹部内23に嵌まり込んだ状態でヘッドレスト操作部40が操作されない場合、ヘッドレスト脚部35の脚部延出部38は幅方向内側に撓むことができないため、脚部突出部39は座席本体20の係止用凹部23から抜け出すことができない。このため、ヘッドレスト30は座席本体20に対して係止された状態に維持される。すなわち、ヘッドレスト30の座席本体20に対する移動が防止される。一方、ヘッドレスト操作部40が操作されて脚部延出部38が幅方向内側へ撓むことが許容されると、ヘッドレスト脚部35の脚部延出部38は幅方向内側に撓むことができ、脚部突出部39が座席本体20の係止用凹部23から抜け出ることができるようになる。したがって、ヘッドレスト操作部40が操作された状態でヘッドレスト本体31およびヘッドレスト脚部35に上方または下方に向かう力を加えると、係止用凹部23に対する脚部突出部39の移動にともなって脚部延出部38が幅方向の内側に撓み(図3参照)、脚部突出部39は当該係止用凹部23から抜け出す。そして、ヘッドレスト30は、座席本体20に対して上方または下方に移動する。
【0028】
なお、図2乃至図4から理解されるように、座席本体20の係止用凹部23は上下方向に沿って複数設けられている。このため、ヘッドレスト30を座席本体20に対して上下に移動させた際、ヘッドレスト30を座席本体20に対して任意の高さで固定することができる(図2及び図4参照)。
【0029】
次に、幌装置50について説明する。図5および図6に示すように、幌装置50は、ヘッドレスト30の移動にともなって上下に移動可能となっている。
【0030】
幌装置50は、ヘッドレスト30の一対の側壁部33の各々に固定される一対のホルダー51と、一対のホルダー51に保持される幌60と、を含む。
【0031】
まず、図7を参照して、ホルダー51について説明する。一対のホルダー51,51は、それぞれ、ヘッドレストの側壁部33,33に螺子留めされて固定されている。一側側壁部33に固定されるホルダー51と他側側壁部33に固定されるホルダー51とは、同様に構成されている。以下では、一側側壁部33に固定されるホルダー51を例に挙げて説明する。
【0032】
ホルダー51は、ヘッドレスト30の側壁部33に対面する基部52と、基部52の前端から座席本体20の幅方向外側に延び出す前壁部53と、前壁部53から後上方に向けて突出した突出部54と、を有する。突出部54と基部52とは、幅方向に延びる接続部55によって接続されている。突出部54と基部52との間には、接続部55の上面を底部とする上側溝部56aと、接続部55の下面を底面とする下側溝部56bとが形成されている。これらの溝部56a,56bには、ホルダー51に幌60が保持された状態で、後述する幌基部材61の一部が収容される。
【0033】
突出部54は、ヘッドレスト30が図2に示す位置にあるとき、言い換えると、ヘッドレスト30の上端部30aが座席本体20の上端部20aに最も近接する位置にヘッドレスト30が配置されるとき、突出部54は座席本体20の側壁部24の縁部24aに沿う。これにより、子供座席10の後方から幌60をホルダー51に着脱することが容易である。
【0034】
次に、幌60について説明する。図2乃至図6によく示されているように、幌60は、ホルダー51と接続する一対の幌基部材61と、両端部が対応する側の幌基部材61に接続された略U字状の幌骨75と、幌骨75に装着される幌材76と、を含んでいる。
【0035】
図8を参照して、幌基部材61について説明する。ヘッドレスト30の一側側壁部33に固定されるホルダー51に接続される幌基部材61と、ヘッドレスト30の他側側壁部33に固定されるホルダー51に接続される幌基部材61とは、同様に構成されている。以下では、一側側壁部33に固定されるホルダー51に接続される幌基部材61を例に挙げて説明する。
【0036】
幌基部材61は、ホルダー51に接続される第1基部62と、第1基部62に枢着された第2基部63と、を有する。
【0037】
第1基部62は、ホルダー51との接続箇所をなす接続部64と、第2基部63が枢着される第1枢着部65とを有する。接続部64のホルダー51に対面するようになる側には、ホルダー51の突出部54を受容する凹部65が形成されている。凹部65は前下方から後上方に延びている。凹部65は、ホルダー51の基部52に対面するようになる内側側壁部66と、内側側壁部66に幅方向に対向する外側側壁部67と、内側側壁部66および外側側壁部67の上縁部を接続する上壁部68aと、内側側壁部66および外側側壁部67の下縁部を接続する下壁部68bと、これらの壁部66,67,68a,68bの後端部に接続する後壁部69によって、画成されている。凹部65の前端部が開放されていることにより、ホルダー51の突出部54を第1基部62の前方から受容可能である。また、凹部65に受容された突出部54を、第1基部62の前方から引き抜くことができる。これにより、幌60をホルダー51の(したがって自転車2の)後方から容易に着脱することができる。なお、凹部65の後端部が後壁部69によって閉鎖されていることにより、ホルダー51に接続された第1基部62が前方へ移動してホルダー51から脱落する、ということを防止することができる。内側側壁部66は、上壁部68aから下方に延び出す上側部分66aと、下壁部68bから上方に延び出す下側部分66bとを有する。第1基部62がホルダー51に接続された状態で、内側側壁部66の上側部分66aおよび下側部分66bは、それぞれ、ホルダー51の上側溝部56aおよび下側溝部56bに収容される。これにより、ホルダー51に接続された第1基部62が幅方向に移動してホルダー51から脱落する、ということを防止することができる。
【0038】
第1基部62は、さらに、ホルダー51と係合する爪部70を有する。爪部70は、第1基部62の下壁部68bの後方部分から前下方へ延び出す延出部71と、延出部71の前端から上方に突出してホルダー51の前壁部53の前面に当接する当接部72と、を有する。このような爪部70により、ホルダー51に接続された第1基部62が後上方へ移動してホルダー51から脱落する、ということを防止することができる。なお、延出部71は可撓性を有しており、延出部71の前端(当接部72)を下方に押すことで、延出部71を撓ませて爪部70とホルダー51との係合を解除することができる。
【0039】
第2基部63は、第1基部62の第1枢着部65に枢着された第2枢着部63aと、幌骨75の対応する端部を保持する幌骨保持部63bと、を有する。第2枢着部63aは、第1基部62に対し、幅方向に延びる回転軸線Axを中心として回転可能である。幌骨保持部63bは、第2基部63の外周面から、回転軸線Axを中心とする円の径方向外側に延び出している。幌骨保持部63bは、当該径方向に延びる凹部(不図示)を有している。当該凹部内に幌骨75の端部が収容されることにより、幌骨75は第2基部63に保持される。
【0040】
図9に示すように、第2基部63を第1基部62に対して回転させることにより、幌骨75をヘッドレスト30に対して揺動させることができる。
【0041】
幌骨75は、略細板形状や線形状の金属や樹脂等から形成される。幌骨75には、幌材76が装着されている。
【0042】
幌材76は、日差しを遮ることができる柔軟な材料を用いて形成され得る。図示された例では、通気性を確保するため、メッシュ材で形成されている。もちろん、幌材76を形成する材料としてはメッシュ材に限られない。幌材76には、種々の公知の材料を用いることができる。例えば、幌材76は、風雨や埃を効果的に遮ることができるよう、樹脂製シート材で形成されていてもよい。また、撥水性や防水性を有する布材で形成されていてもよい。
【0043】
図4および図5に示す例では、幌材76は、その前端縁76aにおいて幌骨75に装着されている。また、幌材76の後端縁76bには、幌側固定具77が設けられており、ヘッドレスト30に設けられたヘッドレスト側固定具34に、着脱可能に固定されている。幌材76の後端縁76bがヘッドレスト30の後面に固定され、幌材76の前端縁76aが幌骨75に装着されていることにより、幌骨75のヘッドレスト30に対する揺動に伴って幌材76が広げられ且つ畳まれる。なお、幌側固定具77およびヘッドレスト側固定具34としては、種々の固定具を採用可能であり、例えば一組のスナップボタンや、面ファスナー、線ファスナーなどを採用可能である。
【0044】
幌材76が広げられた状態において幌材76が潰れてしまうことを防止するため、幌材76には柔軟性に富んだ補助芯材78に内蔵されている。補助芯材78は、幌基部材61と接続されていない点において、幌骨75と区別される。
【0045】
座席本体20の座面部21および一対の側壁部24,24と、ヘッドレスト30に取り付けられた幌装置50とによって、子供座席10の居住空間が画成される。この居住空間は、幌装置50が座席本体20に対して上下に移動可能なヘッドレスト30に固定されていることにより、ヘッドレスト30の座席本体20に対する移動に伴って、拡大され或いは縮小される。すなわち、ヘッドレスト30を座席本体20に対して上方に移動させれば上記居住空間を拡大することができる。その一方で、ヘッドレスト30を座席本体20に対して下方に移動させれば上記居住空間を縮小することができる。したがって、寸法の大きな幌を用いなくても様々な身長の子供を適切に覆うことができる。すなわち、幌60を小型化することができる。また、ヘッドレスト30を座席本体20に対して下方に移動させることにより、居住空間が拡大された子供座席10の上下方向の寸法を、縮小することができる。
【0046】
さらに、幌60をホルダー51及びヘッドレスト側固定具34から取り外すことにより、子供座席10の上下方向の寸法をさらに縮小することができる。とりわけ図示された例では、ホルダー51の後上方に延びる突出部54が幌基部材61の凹部65に収容されて幌60がホルダー51に保持されている。このため、自転車2の後方からの幌60の着脱が容易である。このことは、とりわけ子供座席10が自転車2の後方部分に固定される後側子供座席である場合に、有利である。
【0047】
なお、上述した例では、幌装置50が取り付けられる子供座席は、自転車2の後方部分に取り付けられる後側子供座席10であるが、これに限られない。幌装置50が取り付けられる子供座席は、自転車2の前方部分に取り付けられる前側子供座席100であってもよい。すなわち、幌装置50は、前側子供座席100のヘッドレスト130に取り付けられてもよい。この場合も、ヘッドレスト130を前側子供座席100の座席本体120に対して上下に移動させるだけで、前側子供座席100の居住空間を拡大し縮小することができる。そして、ヘッドレスト130を座席本体120に対して下方に移動させることにより、居住空間が拡大された子供座席の上下方向の寸法を、縮小することができる。
【0048】
さらに、上述した幌基部材61と幌骨75とホルダー51とは、幌材76を支持する支持装置80を構成している。図示された例では、支持装置80は、ヘッドレスト30の側壁部33に固定されるホルダー51と、ホルダー51に保持される支持構造体81と、を含む。支持構造体81は、幌基部材61と幌骨75とを含む。図示された例では、支持装置80は幌材76を支持するが、これに限られない。例えば、支持装置80は、座席本体20を覆うレインカバーを支持するものであってもよい。この場合、座席本体20に対してヘッドレスト30を上下に移動させるだけで、座席本体20とレインカバーとによって画成される居住空間を、拡大および縮小することができる。そして、ヘッドレスト30を座席本体20に対して下方に移動させることにより、居住空間が拡大された子供座席10の上下方向の寸法を、縮小することができる。
【0049】
以上のように、本実施の形態によれば、自転車用子供座席10は、座席本体20と、座席本体20に対して上下に移動可能なヘッドレスト30と、ヘッドレスト30に取り付けられた幌装置50と、を備えている。このような幌装置50付き自転車用子供座席10によれば、ヘッドレスト30を上下に移動させるだけで、幌装置50と座席本体20とによって画成される子供座席10の居住空間を、拡大し縮小することができる。したがって、幌60を小型化することができる。また、ヘッドレスト30を座席本体20に対して下方に移動させるだけで、居住空間が拡大された自転車用子供座席10の寸法を、縮小することができる。
【0050】
また、本実施の形態によれば、幌装置50は、ヘッドレスト30の側壁部33に固定されるホルダー51と、ホルダー51に保持される幌60と、を含み、ホルダー51は、後上方に向けて突出した突出部54を有し、幌60は、突出部54を受容する凹部65を有する。このような自転車用子供座席10は、自転車用子供座席10の後方からの幌60の着脱が容易である。このことは、とりわけ子供座席10が自転車2の後方部分に固定される後側子供座席である場合に、有利である。
【0051】
あるいは、本実施の形態によれば、自転車用子供座席10は座席本体20と、座席本体20に対して上下に移動可能なヘッドレスト30と、ヘッドレスト30に取り付けられた支持装置80と、を備えている。このような支持装置80付き自転車用子供座席10によれば、ヘッドレスト30を上下に移動させるだけで、支持装置80と座席本体20とによって画成される子供座席10の居住空間を、拡大し縮小することができる。したがって、支持装置80を小型化することができる。また、ヘッドレスト30を座席本体20に対して下方に移動させるだけで、居住空間が拡大された自転車用子供座席10の寸法を、縮小することができる。
【0052】
また、本実施の形態によれば、支持装置80は、ヘッドレスト30の側壁部33に固定されるホルダー51と、ホルダー51に保持される支持構造体81と、を含み、ホルダー51は、後上方に向けて突出した突出部54を有し、支持構造体80は、突出部54を受容する凹部65を有する。このような自転車用子供座席10は、自転車用子供座席10の後方からの支持構造体81の着脱が容易である。このことは、とりわけ子供座席10が自転車2の後方部分に固定される後側子供座席である場合に、有利である。
【0053】
また、本実施の形態によれば、ヘッドレスト30の上端部30aが座席本体20の上端部20aに最も近接する位置にヘッドレスト30が配置されるとき、突出部54は座席本体20の側壁部24の縁部24aに沿う。このような自転車用子供座席10によれば、幌60または支持構造体81を子供座席10の後方からホルダー51に着脱することが容易である。
【0054】
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 子供用座席付き自転車
2 自転車
10 自転車用子供座席
20 座席本体
21 座面部
22 後壁部
24 側壁部
50 幌装置
51 ホルダー
60 幌
61 幌基部材
75 幌骨
76 幌材
80 支持装置
81 支持構造体
図1
図2
図3
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図5
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図9