(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】気分障害の治療及び診断のための抗-配列類似性19を持つファミリー、メンバーA5抗体の用途
(51)【国際特許分類】
G01N 33/53 20060101AFI20220404BHJP
C12N 15/113 20100101ALI20220404BHJP
C12N 15/115 20100101ALI20220404BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20220404BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20220404BHJP
C07K 16/18 20060101ALI20220404BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20220404BHJP
C12Q 1/6813 20180101ALI20220404BHJP
C12Q 1/6851 20180101ALI20220404BHJP
C12Q 1/686 20180101ALI20220404BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220404BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20220404BHJP
A61K 31/7105 20060101ALI20220404BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20220404BHJP
A61K 38/02 20060101ALI20220404BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220404BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20220404BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20220404BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20220404BHJP
A61K 31/713 20060101ALI20220404BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20220404BHJP
G01N 33/68 20060101ALI20220404BHJP
C12P 21/08 20060101ALN20220404BHJP
【FI】
G01N33/53 D
C12N15/113 Z ZNA
C12N15/115 Z
C12N15/63 Z
C12N15/13
C07K16/18
C12Q1/02
C12Q1/6813 Z
C12Q1/6851 Z
C12Q1/686 Z
A61K45/00
A61K31/7088
A61K31/7105
A61K35/76
A61K38/02
A61K39/395 D
A61P25/24
A61P25/18
A61P25/22
A61K31/713
A61K48/00
A61K39/395 N
G01N33/53 M
G01N33/68
C12P21/08
(21)【出願番号】P 2020519029
(86)(22)【出願日】2018-10-02
(86)【国際出願番号】 IB2018057646
(87)【国際公開番号】W WO2019069229
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2020-06-01
(32)【優先日】2017-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518156428
【氏名又は名称】ニューラクル サイエンス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ジェ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ハム,ビョン ジュ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ミン-ヒョク
(72)【発明者】
【氏名】ハ,ヌイ
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0118230(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0221670(US,A1)
【文献】国際公開第2014/200030(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48 -33/98
C12N 15/113 -15/63
C07K 16/18
C12Q 1/02 - 1/686
A61P 25/18 -48/00
C12P 21/08
A61K 31/7088-48/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
FAM19A
5に対する拮抗剤(“FAM19A5拮抗剤”)を対象
のサンプルと接触させる段階、及びサンプルのFAM19A5タンパク質レベル又はFAM19A5
mRNAレベルを測定する段階を含む、診断が必要な対象の
主要うつ病性障害又は双極性障害を診断する
ための方法。
【請求項2】
対象は、FAM19A5の基準タンパク質レベル(
主要うつ病性障害又は双極性障害を持たない対象のサンプルのFAM19A5のタンパク質レベル)又はFAM19A5を暗号化する基準核酸レベル(
主要うつ病性障害又は双極性障害を持たない対象のサンプルのFAM19A5を暗号化する核酸レベル)に比べて、FAM19A5のより高いタンパク質レベル又はFAM19A5を暗号化するより高い核酸レベルを示すことを特徴とする、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
FAM19A5のタンパク質レベルは、免疫組織化学、ウェスタンブロット、放射性免疫分析、酵素結合免疫吸着分析(ELISA)、放射性免疫拡散、免疫沈殿分析、オクタロニー免疫拡散方法、ロケット免疫電気泳動、組織免疫染色方法、補体固定分析、FACS、タンパク質チップ、又はそれらの任意の組合せによって測定されることを特徴とする、請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
FAM19A5を暗号化する核酸レベルは、RT-PCT、実時間重合酵素連鎖反応、又はノーザンブロットによって測定されることを特徴とする、請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
サンプルは、組織、細胞、血液、血清、血漿、唾液、小便、脳脊髄液(CSF)、又はそれらの任意の組合せを含むことを特徴とする、請求項
1に記載の方法。
【請求項6】
FAM19A5拮抗剤は、
FAM19A5mRNAに相補性である配列、プライマー、又はFAM19A5mRNAに特異的に結合する核酸プローブを含むオリゴヌクレオチ
ドであることを特徴とする、請求項
1に記載の方
法。
【請求項7】
FAM19A5拮抗剤は、FAM19A5タンパク質に特異的に結合する抗体(“抗-FAM19A5抗体”)
、又はその抗原-結合断片であることを特徴とする、請求項
1に記載の方
法。
【請求項8】
抗-FAM19A5抗体は、キメラ抗体、ヒト化した抗体、又はヒト抗体であることを特徴とする、請求項
7に記載の方
法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
電子的に提出された配列目録の参照
本出願と共に提出されたASCIIテキストファイル(ファイル名:3763.007PC02_ST25.txt;サイズ:166,984バイト;及び生成日:2018年10月1日)形態の電子的に提出された配列目録の内容物はその全体が参考として本発明に含まれる。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は、配列類似性19を持つファミリー、メンバーA5(FAM19A5)に特異的に結合する拮抗剤(例えば、抗体又はその抗原-結合断片)又は該拮抗剤を含む組成物を用いて対象(例えば、ヒト)のうつ病性障害及び双極性障害のような気分障害を診断及び/又は治療する方法を提供する。本発明はまた、FAM19A5拮抗剤を用いて気分障害を持つ対象を確認する方法を提供する。
【0003】
〔背景技術〕
気分障害は個体の感情状態に主に影響を及ぼす精神的疾病の一範ちゅうである。基底症状に基づいて、気分障害は3つの基本的グループ、(i)高ぶった気分(躁病又は軽躁病);(ii)うつ病;及び(iii)躁状態とうつ状態が周期的に反復される気分に区別できる。気分障害は主要うつ病、気分低下症(少なくとも2年間持続した慢性的、低等級、憂うつな及び/又はいらいらした気分)、他の健康状態(例えば、癌、傷害、感染、及び慢性疾病)と関連した気分障害、及び物質誘導(例えば、薬物療法、薬物乱用、アルコール中毒、毒素露出)気分障害を含む。
【0004】
主要うつ病、臨床的うつ病、及び単極性うつ病という主要うつ病性障害(MDD)が最も知られた気分障害であり、全世界に200万名も超える人々に影響を及ぼしている(Vos T et al.,Lancet388:1545-1602(2016))。躁うつ病(manic-depressive illness)又は躁病性うつ病とも言われる双極性障害(BD)は、感情的高(躁病又は軽躁病)/低(うつ病)を含む極限的気分交代の再発性エピソードに関連する(Anderson I.M.et al.,BMJ 345:e8508(2012)。BDは全年齢の個体(発症年齢の中間値は25歳である)に影響を及ぼし、全世界的としては無気力原因の6位を占めている。
【0005】
気分障害の正確な原因はまだ不明であるが、一般に、神経伝達物質(例えば、ドパミン、ノルエピネフリン、又はセロトニン)レベルの不均衡が主な原因とされている(Manji H.K.et al.,World Psychiatry2:136-46(2003);Nutt D.J.,J Clin Psychiatry 69 Suppl E1:4-7(2008))。脳画像及び死体研究は、気分障害と脳の特定領域(例えば、膝下前頭帯状皮質、海馬、前頭葉、膝下前頭前皮質、線条体、及び白質)の細胞組成におけるかなりの異常性との関連性を示唆した(Harrison P.J.et al.,Brain125:1428-1449(2002);Banasr M et al.,Curr Opin Cell Biol.23:730-737(2011))。
【0006】
現在、気分障害を診断する正確な定量方法はない。現在用いられている方法はかなり定性的であり、個体の行動及び/又は個体や看病人によって提供された情報に対する医療専門家の主観的評価に基づく。このような接近法は、多数患者の不適切な診断をもたらした(Ruggero C.J.et al.,J Clin Psychiatry72:1207-13(2011))。したがって、気分障害に対するより効果的な治療及び診断オプションが望まれる。
【0007】
〔発明の概要〕
配列類似性19を持つファミリー、メンバーA5(FAM19A5)に対する拮抗剤(“FAM19A5拮抗剤”)を対象の生物学的サンプルと接触させる段階、及びサンプルのFAM19A5タンパク質レベル又はFAM19A5mRNAレベルを測定する段階を含む、診断が必要な対象の気分障害を診断する方法が提供される。一部の具体例において、接触及び測定は試験管内で行われる。
【0008】
一部の具体例において、対象は、FAM19A5の基準タンパク質レベル(気分障害を持たない対象のサンプルのFAM19A5のタンパク質レベル)又はFAM19A5を暗号化する基準核酸レベル(気分障害を持たない対象のサンプルのFAM19A5を暗号化する核酸レベル)と比較して、FAM19A5のより高いタンパク質レベル又はFAM19A5を暗号化するより高い核酸レベルを示す。
【0009】
一部の具体例において、FAM19A5のタンパク質レベルは、免疫組織化学、ウェスタンブロット、放射性免疫分析、酵素結合免疫吸着分析(ELISA)、放射性免疫拡散、免疫沈殿分析、オクタロニー免疫拡散、ロケット免疫電気泳動、組織免疫染色、補体固定分析、FACS、タンパク質チップ、又はそれらの任意の組合せによって測定される。一部の具体例において、FAM19A5を暗号化する核酸レベルは、RT-PCT、実時間重合酵素連鎖反応、又はノーザンブロットによって測定される。
【0010】
一部の具体例において、生物学的サンプルは、組織、細胞、血液、血清、血漿、唾液、小便、脳脊髄液(CSF)、又はそれらの任意の組合せを含む。
【0011】
また、治療が必要な対象の気分障害を治療するためのFAM19A5拮抗剤が開示される。
【0012】
本発明はまた、気分障害を持つ対象の大脳皮質回(cortical gyrus)の厚さを増加させるためのFAM19A5拮抗剤を提供する。一部の具体例において、大脳皮質回は、横前頭極回、背側後帯状回、弁蓋部、三角部、中前頭回、紡錘状回、舌状回、側頭平面、楔状部、眼窩部、前横側頭回、側頭平面、又はそれらの任意の組合せを含む。
【0013】
一部の具体例において、気分障害(例えば、本発明に開示された方法及び/又は使用のためのFAM19A5拮抗剤と関連して)は、主要うつ病性障害(MDD)、双極性障害(BD)、軽度うつ病性障害、持続性うつ病性障害(気分低下症)、季節性感情障害(SAD)、精神病的うつ病、産後うつ病、月経前不快気分障害(PMDD)、状況性うつ病、非定型うつ病、不安障害、又はそれらの任意の組合せを含む。
【0014】
一部の具体例において、FAM19A5拮抗剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA、miRNA、FAM19A5を標的化するdsRNA、アプタマー、PNA、それらを含むベクター、又はそれらの任意の組合せである。他の具体例において、FAM19A5拮抗剤はFAM19A5タンパク質に特異的に結合する抗体(“抗-FAM19A5抗体”)である。
【0015】
一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体は、重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3並びに軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3を含み、
(i)重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3はそれぞれSEQ ID NO:11、12、及び13に提示されたアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3はそれぞれSEQ ID NO:23、24、及び25に提示されたアミノ酸配列を含むか;
(ii)重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3はそれぞれSEQ ID NO:14、15、及び16に提示されたアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3はそれぞれSEQ ID NO:26、27、及び28に提示されたアミノ酸配列を含むか;
(iii)重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3はそれぞれSEQ ID NO:17、18、及び19に提示されたアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3はそれぞれSEQ ID NO:29、30、及び31に提示されたアミノ酸配列を含むか;又は
(iv)重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3はそれぞれSEQ ID NO:20、21、及び22に提示されたアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3はそれぞれSEQ ID NO:32、33、及び34に提示されたアミノ酸配列を含む。
【0016】
一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体は、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、
(i)VHはSEQ ID NO:35に提示されたアミノ酸配列を含み、VLはSEQ ID NO:39に提示されたアミノ酸配列を含むか;
(ii)VHはSEQ ID NO:36に提示されたアミノ酸配列を含み、VLはSEQ ID NO:40に提示されたアミノ酸配列を含むか;
(iii)VHはSEQ ID NO:37に提示されたアミノ酸配列を含み、VLはSEQ ID NO:41に提示されたアミノ酸配列を含むか;又は
(iv)VHはSEQ ID NO:38に提示されたアミノ酸配列を含み、VLはSEQ ID NO:42に提示されたアミノ酸配列を含む。
【0017】
一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体は、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、重鎖可変領域はSEQ ID NO:35、36、37、又は38に提示されたアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同じアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域はSEQ ID NO:39、40、41、又は42に提示されたアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同じアミノ酸配列を含む。
【0018】
一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体は、キメラ抗体、ヒト化した抗体、又はヒト抗体である。
【0019】
具体例
具体例1.対象のサンプルの配列類似性19を持つファミリーメンバーA5(FAM19A5)のタンパク質レベル又はFAM19A5を暗号化する核酸レベルを測定する段階を含む、診断が必要な対象の気分障害を診断する方法。
【0020】
具体例2.対象のサンプルのFAM19A5のタンパク質レベル又はFAM19A5を暗号化する核酸レベルを測定する段階を含む、気分障害を持つ対象を確認する方法。
【0021】
具体例3.具体例1又は2において、測定が抗-FAM19A5抗体又はその抗原-結合断片を対象のサンプルと接触させることを含む方法。
【0022】
具体例4.具体例1又は2において、FAM19A5を暗号化する核酸レベルが、前記核酸に相補性であるヌクレオチド配列によって測定される方法。
【0023】
具体例5.具体例1~3のいずれかにおいて、FAM19A5のタンパク質レベルが、免疫組織化学、ウェスタンブロット、放射性免疫分析、酵素結合免疫吸着分析(ELISA)、放射性免疫拡散、免疫沈殿分析、オクタロニー免疫拡散方法、ロケット免疫電気泳動、組織免疫染色方法、補体固定分析、FACS、タンパク質チップ、又はそれらの任意の組合せによって測定される方法。
【0024】
具体例6.具体例1、2、及び4のいずれかにおいて、FAM19A5を暗号化する核酸レベルがRT-PCT、実時間重合酵素連鎖反応、又はノーザンブロットによって測定される方法。
【0025】
具体例7.具体例1~6のいずれかにおいて、サンプルが組織、細胞、血液、血清、血漿、唾液、小便、脳脊髄液(CSF)、又はそれらの任意の組合せを含む方法。
【0026】
具体例8.具体例1~7のいずれかにおいて、対象が、FAM19A5の基準タンパク質レベル(気分障害を持たない対象のサンプルにおいてFAM19A5のタンパク質レベル)又はFAM19A5を暗号化する基準核酸レベル(気分障害を持たない対象のサンプルにおいてFAM19A5を暗号化する核酸レベル)に比べて、FAM19A5のより高いタンパク質レベル又はFAM19A5を暗号化するより高い核酸レベルを示す方法。
【0027】
具体例9.具体例8において、対象のFAM19A5のタンパク質レベル又はFAM19A5を暗号化する核酸レベルが、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも11倍、少なくとも12倍、少なくとも13倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、又は少なくとも30倍増加する方法。
【0028】
具体例10.具体例1、2、3、5、及び7~9のいずれかにおいて、FAM19A5のタンパク質レベルがELISAによって測定される方法。
【0029】
具体例11.具体例10において、FAM19A5の基準タンパク質レベルがELISAによって測定されたとき、約2.0ng/ml、約1.9ng/ml、約1.8ng/ml、約1.7ng/ml、約1.6ng/ml、約1.5ng/ml、約1.4ng/ml、約1.3ng/ml、約1.2ng/ml、約1.1ng/ml、約1ng/ml、約0.9ng/ml、約0.8ng/ml、約0.7ng/ml、約0.6ng/ml、約0.5ng/ml、約0.4ng/ml、約0.3ng/ml、約0.2ng/ml、約0.1ng/ml、又はより低い方法。
【0030】
具体例12.具体例11において、FAM19A5の基準タンパク質レベルが、ELISAによって測定されたとき、約2.0ng/ml以下である方法。
【0031】
具体例13.具体例9~12のいずれかにおいて、FAM19A5の増加したタンパク質レベル又はFAM19A5を暗号化する増加した核酸レベルが、対象の大脳皮質回の厚さの減少に関連する方法。
【0032】
具体例14.具体例1~13のいずれかにおいて、対象が診断又は確認後に抗うつ病剤又は抗精神病剤で治療される方法。
【0033】
具体例15.具体例14において、抗うつ病剤は、選択的セロトニン再取り込み抑制剤(SSRI)、セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み抑制剤(SNRI)、セロトニン調整剤及び刺激剤(SMS)、セロトニン拮抗剤及び再取り込み抑制剤(SARI)、ノルエピネフリン再取り込み抑制剤(NRI)、3環系抗うつ剤(TCA)、4環系抗うつ剤(TeCA)、モノアミン酸化酵素抑制剤(MAOI)、又はそれらの任意の組合せを含む方法。
【0034】
具体例16.具体例15において、SSRIが、シタロプラム(CELEXA(登録商標))、エスシタロプラム(LEXAPRO(登録商標)、CIPRALEX(登録商標))、パロキセチン(PAXIL(登録商標)、SEROXAT(登録商標))、フルオキセチン(PROZAC(登録商標))、フルボキサミン(LUVOX(登録商標))、セルトラリン(ZOLOFT(登録商標)、LUSTRAL(登録商標))、ジメリジン(NORMUD(登録商標)、ZELMID(登録商標))、インダルピン(UPSTENE(登録商標))、又はそれらの任意の組合せを含む方法。
【0035】
具体例17.具体例15において、SNRIがデスベンラファキシン(PRISTIQ(登録商標))、デュロキセチン(CYMBALTA(登録商標))、レボミルナシプラン(FETZIMA(登録商標))、ミルナシプラン(IXEL(登録商標)、SAVELLA(登録商標))、トフェナシン(ELAMOL(登録商標)、TOFACINE(登録商標))、ベンラファキシン(EFFEXOR(登録商標))、又はそれらの任意の組合せを含む方法。
【0036】
具体例18.具体例15において、SMSがビラゾドン(VIIBRYD(登録商標))、ボルチオキセチン(TRINTELLIX(登録商標))、又はそれらの任意の組合せを含む方法。
【0037】
具体例19.具体例15において、SARIがエトペリドン(AXIOMIN(登録商標)、ETONIN(登録商標))、ネファゾドン(NEFADAR(登録商標)、SERZONE(登録商標))、トラゾドン(DESYREL(登録商標))、又はそれらの任意の組合せを含む方法。
【0038】
具体例20.具体例15において、NRIがレボキセチン(EDRONAX(登録商標))、ビロキサジン(VIVALAN(登録商標))、アトモキセチン(STRATTERA(登録商標))、又はそれらの任意の組合せを含む方法。
【0039】
具体例21.具体例15において、TCAがアミトリプチリン(ELAVIL(登録商標)、ENDEP(登録商標))、アミトリプチリンオキシド(AMIOXID(登録商標)、AMBIVALON(登録商標)、EQUILIBRIN(登録商標))、クロミプラミン(ANAFRANIL(登録商標))、デシプラミン(NORPRAMIN(登録商標)、PERTOFRANE(登録商標))、ジベンゼピン(NOVERIL(登録商標)、VICTORIL(登録商標))、ジメタクリン(ISTONIL(登録商標))、ドスレピン(PROTHIADEN(登録商標))、ドキセピン(ADAPIN(登録商標)、SINEQUAN(登録商標))、イミプラミン(TOFRANIL(登録商標))、ロフェプラミン(LOMONT(登録商標)、GAMANIL(登録商標))、メリトラセン(DIXERAN(登録商標)、MELIXERAN(登録商標)、TRAUSABUN(登録商標))、ニトロキサゼピン(SINTAMIL(登録商標))、ノルトリプチリン(PAMELOR(登録商標)、AVENTYL(登録商標))、ノキシプチリン(AGEDAL(登録商標)、ELRONON(登録商標)、NOGEDAL(登録商標))、ピポフェジン(AZAFEN(登録商標)/AZAPHEN(登録商標))、プロトリプチリン(VIVACTIL(登録商標))、トリミプラミン(SURMONTIL(登録商標))、ブトリプチリン(EVADYNE(登録商標))、デメキシプチリン(DEPARON(登録商標)、TINORAN(登録商標))、イミプラミンオキシド(IMIPREX(登録商標)、ELEPSIN(登録商標))、イプリンドール(PRONDOL(登録商標)、GALATUR(登録商標)、TETRAN(登録商標))、メタプラミン(TIMAXEL(登録商標))、プロピゼピン(DEPRESSIN(登録商標)、VAGRAN(登録商標))、キヌプラミン(KINUPRIL(登録商標)、KEVOPRIL(登録商標))、オピプラモール(INSIDON(登録商標))、チアネプチン(STABLON(登録商標))、アミネプチン(SURVECTOR(登録商標)、MANEON(登録商標))、チアゼシム(ALTINIL(登録商標))、又はそれらの任意の組合せを含む方法。
【0040】
具体例22.具体例15において、TeCAがアモキサピン(ASENDIN(登録商標))、マプロチリン(LUDIOMIL(登録商標))、ミアンセリン(BOLVIDON(登録商標)、NORVAL(登録商標)、TOLVON(登録商標))、ミルタザピン(REMERON(登録商標))、セチプチリン(TECIPUL(登録商標))、又はそれらの組合せを含む方法。
【0041】
具体例23.具体例15において、MAOIがイソカルボキサジド(MARPLAN(登録商標))、フェネルジン(NARDIL(登録商標))、トラニルシプロミン(PARNATE(登録商標))、ベンモキシン(NEURALEX(登録商標))、イプロクロジド(SURSUM(登録商標))、イプロニアジド(MARSILID(登録商標))、メバナジン(ACTOMOL(登録商標))、ニアラマイド(NIAMID(登録商標))、オクタモキシン(XIMAOL(登録商標))、フェニプラジン(CATRON(登録商標))、フェノキシプロパジン(DRAZINE(登録商標))、ピブヒドラジン(TERSAVID(登録商標))、サフラジン(SAFRA(登録商標))、セレギリン(ELDEPRYL(登録商標)、ZELAPAR(登録商標)、EMSAM(登録商標))、カロキサゾン(SURODIL(登録商標)、TIMOSTENIL(登録商標))、メトラリンドール(INKAZAN(登録商標))、モクロベミド(AURORIX(登録商標)、MANERIX(登録商標))、ピルリンドール(PIRAZIDOL(登録商標))、トロキサトン(HUMORYL(登録商標))、エプロベミド(BEFOL(登録商標))、ミナプリン(BRANTUR(登録商標)、CANTOR(登録商標))、又はそれらの任意の組合せを含む方法。
【0042】
具体例24.具体例14において、抗精神病剤が典型的抗精神病剤又は非典型的抗精神病剤を含む方法。
【0043】
具体例25.具体例24において、典型的抗精神病剤がクロルプロマジン(THORAZINE(登録商標)、LARGACTIL(登録商標))、クロルプロチキセン(TARACTAN(登録商標))、レボメプロマジン(NOZINAN(登録商標)、LEVOPROME(登録商標))、メソリダジン(SERENTIL(登録商標))、ペリシアジン(NEULEPTIL(登録商標))、プロマジン(SPARINE(登録商標))、チオリダジン(MELLARIL(登録商標))、ロクサピン(LOXITANE(登録商標))、モリンドン(MOBAN(登録商標))、ペルフェナジン(TRILAFON(登録商標))、チオチキセン(NAVANE(登録商標))、ドロペリドール(INAPSINE(登録商標))、フルペンチキソール(DEPIXOL(登録商標)、FLUANXOL(登録商標))、フルフェナジン(PROLIXIN(登録商標))、ハロペリドール(HALDOL(登録商標))、ピモジド(ORAP(登録商標))、プロクロルペラジン(COMPAZINE(登録商標))、チオプロペラジン(MAJEPTIL(登録商標))、トリフルオペラジン(STELAZINE(登録商標))、ズクロペンチキソール(CLOPIXOL(登録商標))、又はそれらの任意の組合せを含む方法。
【0044】
具体例26.具体例24において、非典型的抗精神病剤がアミスルピリド(SOLIAN(登録商標))、ルラシドン(LATUDA(登録商標))、クエチアピン(SEROQUEL(登録商標))、リスペリドン(RISPERDAL(登録商標))、オランザピン(ZYPREXA(登録商標))、アリピプラゾール(ABILIFY(登録商標))、ジプラシドン(GEODON(登録商標))、ピマバンセリン(NUPLAZID(登録商標))、クロザピン(CLOZARIL(登録商標))、パリペリドン(INVEGA(登録商標))、アセナピン(SAPHRIS(登録商標))、ブレクスピプラゾール(REXULTI(登録商標))、カリプラジン(VRAYLAR(登録商標))、イロペリドン(FANAPT(登録商標))、又はそれらの任意の組合せを含む方法。
【0045】
具体例27.具体例14において、抗うつ病剤がFAM19A5拮抗剤である方法。
【0046】
具体例28.FAM19A5拮抗剤を対象に投与する段階を含む、治療が必要な対象の気分障害を治療する方法。
【0047】
具体例29.FAM19A5拮抗剤を対象に投与する段階を含む、治療が必要な対象の気分障害の一つ以上の症状を減少、抑制、又は緩和する方法。
【0048】
具体例30.具体例1~29のいずれかにおいて、気分障害が主要うつ病性障害(MDD)、双極性障害(BD)、軽度うつ病性障害、持続性うつ病性障害(気分低下症)、季節性感情障害(SAD)、精神病的うつ病、産後うつ病、月経前不快気分障害(PMDD)、状況性うつ病、非定型うつ病、不安障害、又はそれらの任意の組合せからなる群から選ばれる方法。
【0049】
具体例31.具体例28~30のいずれかにおいて、気分障害が対象の大脳皮質回の厚さの減少に関連するか又は減少によって引き起こされる方法。
【0050】
具体例32.FAM19A5拮抗剤を対象に投与する段階を含む、気分障害を持つ対象の大脳皮質回の厚さを増加させる方法。
【0051】
具体例33.具体例13~32のいずれかにおいて、大脳皮質回が横前頭極回、背側後帯状回、弁蓋部、三角部、中前頭回、紡錘状回、舌状回、側頭平面、楔状部、眼窩部、前横側頭回、側頭平面、及びそれらの任意の組合せからなる群から選ばれる方法。
【0052】
具体例34.具体例1~33のいずれかにおいて、気分障害が主要うつ病性障害(MDD)である方法。
【0053】
具体例35.具体例1~33のいずれかにおいて、気分障害が双極性障害(BD)である方法。
【0054】
具体例36.具体例28~35のいずれかにおいて、気分障害が対象におけるFAM19A5のタンパク質レベル又はFAM19A5タンパク質を暗号化する核酸レベルの増加に関連する方法。
【0055】
具体例37.具体例27~36のいずれかにおいて、FAM19A5拮抗剤がアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA、miRNA、FAM19A5を標的化するdsRNA、アプタマー、PNA、それらを含むベクター、又はそれらの任意の組合せである方法。
【0056】
具体例38.具体例27~36のいずれかにおいて、FAM19A5拮抗剤が、抗-FAM19A5抗体、抗-FAM19A5抗体を暗号化するポリヌクレオチド、そのポリヌクレオチドを含むベクター、そのポリヌクレオチドを含む細胞、又はそれらの任意の組合せである方法。
【0057】
具体例39.具体例38において、FAM19A5拮抗剤が抗-FAM19A5抗体である方法。
【0058】
具体例40.具体例39において、抗-FAM19A5抗体は、次から選ばれた特性を示す方法。
【0059】
(a)ELISAによって測定されたとき、10nM以下のKDで可溶性ヒトFAM19A5に結合するか;
(b)ELISAによって測定されたとき、10nM以下のKDで膜結合ヒトFAM19A5に結合するか;又は
(c)(a)と(b)の両方も可能である。
【0060】
具体例41.具体例39又は40において、抗-FAM19A5抗体は、ヒトFAM19A5エピトープに対する結合に対して重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3並びに軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3を含む基準抗体と交差競合し、
(i)重鎖CDR1はSEQ ID NO:11のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:12のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:13のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:23のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:24のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:25のアミノ酸配列を含むか;
(ii)重鎖CDR1はSEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:15のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:16のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:26のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:27のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:28のアミノ酸配列を含むか;
(iii)重鎖CDR1はSEQ ID NO:17のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:18のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:19のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:29のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:30のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:31のアミノ酸配列を含むか;又は
(iv)重鎖CDR1はSEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:34のアミノ酸配列を含む方法。
【0061】
具体例42.具体例39~41のいずれかにおいて、抗-FAM19A5抗体は、重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3並びに軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3を含む基準抗体と同じFAM19A5エピトープに結合し、
(i)重鎖CDR1はSEQ ID NO:11のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:12のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:13のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:23のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:24のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:25のアミノ酸配列を含むか;
(ii)重鎖CDR1はSEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:15のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:16のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:26のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:27のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:28のアミノ酸配列を含むか;
(iii)重鎖CDR1はSEQ ID NO:17のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:18のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:19のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:29のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:30のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:31のアミノ酸配列を含むか;又は
(iv)重鎖CDR1はSEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:34のアミノ酸配列を含む方法。
【0062】
具体例43.具体例39~42のいずれかにおいて、抗-FAM19A5抗体が、SEQ ID NO:6又はSEQ ID NO:9である、少なくとも一つのFAM19A5エピトープに結合する方法。
【0063】
具体例44.具体例39~42のいずれかにおいて、抗-FAM19A5抗体がSEQ ID NO:6又はSEQ ID NO:9である、FAM19A5エピトープにのみ結合する方法。
【0064】
具体例45.具体例39~43のいずれかにおいて、抗-FAM19A5抗体が追加のFAM19A5エピトープにさらに結合する方法。
【0065】
具体例46.具体例45において、追加のFAM19A5エピトープが、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、及びそれらの任意の組合せからなる群から選ばれることである方法。
【0066】
具体例47.具体例39~46のいずれかにおいて、抗-FAM19A5抗体が重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3並びに軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3を含む方法。
【0067】
具体例48.具体例47において、抗-FAM19A5抗体の重鎖CDR3がSEQ ID NO:13、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:19、又はSEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含む方法。
【0068】
具体例49.具体例47又は48において、抗-FAM19A5抗体の重鎖CDR1がSEQ ID NO:11、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:17、又はSEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含む方法。
【0069】
具体例50.具体例47~49のいずれかにおいて、抗-FAM19A5抗体の重鎖CDR2がSEQ ID NO:12、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:18、又はSEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含む方法。
【0070】
具体例51.具体例47~50のいずれかにおいて、抗-FAM19A5抗体の軽鎖CDR1がSEQ ID NO:23、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:29、又はSEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含む方法。
【0071】
具体例52.具体例47~51のいずれかにおいて、抗-FAM19A5抗体の軽鎖CDR2がSEQ ID NO:24、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:30、又はSEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含む方法。
【0072】
具体例53.具体例47~52のいずれかにおいて、抗-FAM19A5抗体の軽鎖CDR3がSEQ ID NO:25、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:31、又はSEQ ID NO:34のアミノ酸配列を含む方法。
【0073】
具体例54.具体例47において、抗-FAM19A5抗体が重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、並びに軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3を含み、
(i)重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3はそれぞれSEQ ID NO:11、12、及び13を含み、軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3はそれぞれSEQ ID NO:23、24、及び25を含むか;
(ii)重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3はそれぞれSEQ ID NO:14、15、及び16を含み、軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3はそれぞれSEQ ID NO:26、27、及び28を含むか;
(iii)重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3はそれぞれSEQ ID NO:17、18、及び19を含み、軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3はそれぞれSEQ ID NO:29、30、及び31を含むか;又は
(iv)重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3はそれぞれSEQ ID NO:20、21、及び22を含み、軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3はそれぞれSEQ ID NO:32、33、及び34を含む方法。
【0074】
具体例55.具体例39~47のいずれかにおいて、抗-FAM19A5抗体が、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:37、又はSEQ ID NO:38を含む重鎖可変ドメイン及び/又はSEQ ID NO:39、SEQ ID NO:40、SEQ ID NO:41、又はSEQ ID NO:42を含む軽鎖可変ドメインを含む方法。
【0075】
具体例56.具体例55において、抗-FAM19A5抗体が、SEQ ID NO:35を含む重鎖可変ドメイン及びSEQ ID NO:39を含む軽鎖可変ドメインを含む方法。
【0076】
具体例57.具体例55において、抗-FAM19A5抗体が、SEQ ID NO:36を含む重鎖可変ドメイン及びSEQ ID NO:40を含む軽鎖可変ドメインを含む方法。
【0077】
具体例58.具体例55において、抗-FAM19A5抗体が、SEQ ID NO:37を含む重鎖可変ドメイン及びSEQ ID NO:41を含む軽鎖可変ドメインを含む方法。
【0078】
具体例59.具体例55において、抗-FAM19A5抗体が、SEQ ID NO:38を含む重鎖可変ドメイン及びSEQ ID NO:42を含む軽鎖可変ドメインを含む方法。
【0079】
具体例60.具体例39~47のいずれかにおいて、抗-FAM19A5抗体が重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域はSEQ ID NO:35、36、37、又は38として提示されたアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同じアミノ酸配列を含む方法。
【0080】
具体例61.具体例39~47のいずれかにおいて、抗-FAM19A5抗体が、SEQ ID NO:39、40、41、又は42として提示されたアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同じアミノ酸配列を含む方法。
【0081】
具体例62.具体例39~47のいずれかにおいて、抗-FAM19A5抗体は重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域はSEQ ID NO:35、36、37、又は38として提示されたアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同じアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域はSEQ ID NO:39、40、41、又は42として提示されたアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同じアミノ酸配列を含む方法。
【0082】
具体例63.具体例39~62のいずれかにおいて、抗-FAM19A5抗体がキメラ抗体、ヒト抗体、又はヒト化した抗体である方法。
【0083】
具体例64.具体例39~63のいずれかにおいて、抗-FAM19A5抗体が、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、又は単鎖Fv(scFv)を含む方法。
【0084】
具体例65.具体例39~64のいずれかにおいて、抗-FAM19A5抗体が、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、それらの変異体、及びそれらの任意の組合せからなる群から選ばれる方法。
【0085】
具体例66.具体例65において、抗-FAM19A5抗体がIgG2、IgG4、又はそれらの組合せである方法。
【0086】
具体例67.具体例65において、抗-FAM19A5抗体がIgG2/IgG4アイソタイプ抗体を含む方法。
【0087】
具体例68.具体例39~64のいずれかにおいて、抗-FAM19A5抗体がFc機能のない定常領域をさらに含む方法。
【0088】
具体例69.具体例39~68のいずれかにおいて、抗-FAM19A5抗体が製剤と結合して免疫コンジュゲートを形成する方法。
【0089】
具体例70.具体例27~69のいずれかにおいて、FAM19A5拮抗剤が製薬学的に許容される担体と共に製剤化される方法。
【0090】
具体例71.具体例70において、FAM19A5拮抗剤が静脈内、経口、非経口、髄腔内、脳室内、肺、筋肉内、皮下、硝子体内、又は心室内経路で投与される方法。
【0091】
具体例72.具体例1~71のいずれかにおいて、対象がヒトである方法。
【0092】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、(i)無薬物主要うつ病性障害(DN-MDD)(n=58)、(ii)薬物治療-主要うつ病性障害(M-MDD)(n=52)、(iii)双極性障害I(n=26)及びII(n=17)(併せて“BD”)、及び(iv)健康な対照群グループ(HC)(n=112)で血清FAM19A5濃度(ng/ml)を比較したものである。各円は個別患者を表す。黒色水平線は各グループの平均血清FAM19A5濃度を示す。全ての比較は共変量として年齢及び性別を含むANCOVAを用いて行われた。データポイント上の“*”は、健康な患者と比較して統計的に有意な差(p<0.001)を示す。
【0093】
図2A~
図2Dは、異なるグループに属した患者から観察された血清FAM19A5濃度(ng/ml)の分布を示した散点図を提供する。
図2Aは、健康な患者(HC)のFAM19A5タンパク質レベルを示す。
図2Bは、非-薬物治療主要うつ病性障害患者(DN-MDD)のFAM19A5タンパク質レベルを示す。
図2C及び
図2Dはそれぞれ、薬物治療主要うつ病性障害患者(M-MDD)及び非-薬物治療双極性I又はII障害患者(BD)のFAM19A5タンパク質レベルを示す。各円は個別患者(x-軸)を表す。点線は血清FAM19A5濃度の基準値(すなわち、2ng/ml)を示す。
【0094】
図3は、無薬物主要うつ病性障害(n=51)、薬物治療-主要うつ病性障害(n=51)、双極性障害(n=28)、及び健康な対照群グループ(n=92)で血清FAM19A5濃度と全脳の大脳皮質厚との相関関係を示す表を提供する。大脳皮質厚と血清FAM19A5濃度との有意な相関関係を示す皮質領域のみを示す。大脳皮質厚と血清FAM19A5濃度との相関関係を分析するために、共変量として年齢、性別、HDRS点数、及び薬物治療(MDDグループに対してのみ)に対して調整した両方向ピアソン部分相関が行われた。無薬物-MDD(DN-MDD)、薬物治療-MDD(M-MDD)又は双極性障害(BD)グループと健康な対照群(HC)グループとの相関係数の比較のためにフィッシャーのr-to-z変形が行われた。多重比較補正のための補正分析に偽発見比率(FDR)が適用された(q<0.05;両半球で76件比較)。偽発見比率(FDR)は多重比較補正のための係数の比較にも適用された(q<0.05;無薬物MDDグループで15件比較)。
【0095】
図4A~
図4Fは、健康な患者(HC、濃灰色)又は非-薬物治療主要うつ病性障害患者(DN-MDD、薄灰色)からの大脳皮質厚(y-軸)と血清FAM19A5タンパク質濃度(x-軸)との関係を示した散点図を提供する。6ケ所の異なる脳領域の皮質厚が示されている:L横前頭極回(
図4A)、L背側後帯状回(
図4B)、L弁蓋部(
図4C)、L三角部(
図4D)、L中前頭回(
図4E)、及びR弁蓋部(
図4F)。年齢、性別、及びHDRS点数(HCグループには不要)に対して調整したピアソン部分相関分析が行われた。MDDと健康な対照群グループ間に相関係数の比較のためにフィッシャーのr-to-z変形が用いられた。
図4A~
図4Fで、各円は個別患者を表し、水平線は最上のフィットラインを示す。
【0096】
図5A~
図5Eは、異なる比較グループからの血清FAM19A5タンパク質レベルに対する受信者動作特性曲線(ROC曲線)を提供する。異なる比較グループは次を含む:(i)健康な患者(HC)に対する無薬物主要うつ病性障害患者(DN-MDD)(
図5A);(ii)健康な患者(HC)に対する薬物治療主要うつ病性障害患者(M-MDD)(
図5B);(iii)健康な患者(HC)に対する非-薬物治療双極性I又はII障害患者(BD)(
図5C);及び(iv)薬物治療主要うつ病性障害患者(M-MDD)に対する非-薬物治療双極性I又はII障害患者(BD)(
図5D);及び(v)無薬物主要うつ病性障害患者(DN-MDD)に対する非-薬物治療双極性I又はII障害患者(BD)(
図5E)。AUC、敏感性、特異性及び正確性値は各曲線の右下象限に提供される。
【0097】
〔発明を実施するための形態〕
本発明は対象のサンプル(例えば、血清)でFAM19A5のタンパク質レベル又はFAM19A5を暗号化する核酸レベルを測定することによって、気分障害、例えば、主要うつ病性障害又は双極性障害が診断できる方法を提供する。また、本発明は、対象のサンプル(例えば、血清)でFAM19A5のタンパク質レベル又はFAM19A5を暗号化する核酸レベルを測定することによって気分障害を持つ対象が確認できる方法を提供する。さらに、本発明は、製剤、例えば抗-FAM19A5拮抗剤、例えば抗-FAM19A5抗体をそれを必要とする対象に投与する段階を含む、気分障害(例えば、主要うつ病性障害又は双極性障害)を治療、制御又は緩和する方法を提供する。
【0098】
本発明に開示された内容の理解を容易にするために多数の用語及び語句が定義される。追加の定義は詳細な説明全体を通じて提示される。
【0099】
I.定義
本発明全体において、用語“一つの”又は“ある”存在とは、その存在の一つ以上を指す;例えば“一つの抗体”は一つ以上の抗体を表すものと理解される。このように、用語“一つ”(又は“ある”)、“一つ以上の”及び“少なくとも一つの”は、本発明で同一の意味で使用できる。
【0100】
また、“及び/又は”は、本発明で使われた場合、2つの明示された特徴又は成分のそれぞれがもう一つと併せて又は単独で具体的に開示されるものと解釈すべきである。したがって、“A及び/又はB”のような語句で使われた用語“及び/又は”は、“A及びB”、“A又はB”、“A”(単独)、及び“B”(単独)を含むものと意図される。同様に、“A、B及び/又はC”のような語句で使われた用語“及び/又は”は、A、B及びC;A、B又はC;A又はC;A又はB;B又はC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);及びC(単独)の態様をそれぞれ含むものと意図される。
【0101】
ある態様が“含む”と共に本発明で説明されると、“構成される”及び/又は“本質的に構成される”と説明された他の類似の態様も提供されるということが理解される。
【0102】
特に定義されない限り、本発明で使われる全ての記述及び科学用語は、本発明の属する当業者に通常理解されるのと同じ意味を有する。例えば、the Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology(Juo,Pei-Show,2nd ed.,2002,CRC Press);the Dictionary of Cell and Molecular Biology(3rd ed.,1999,Academic Press);及びthe Oxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology(Revised,2000,Oxford University Press)が、本発明で使われる大部分の用語に対する一般的な辞典的意味を当業者に提供する。
【0103】
単位、接頭辞及び記号は、Systeme International de Unites(SI)で承認された形態で表示される。数値範囲は、その範囲を限定する数字を包括的に含む。特に記載されない限り、アミノ酸配列は、アミノからカルボキシ方向へと左側から右側に書かれる。本発明で提供された表題は、本発明の様々な態様の制限ではなく、それらの表題は全体的に明細書を参照したものであり得る。したがって、以下に定義される用語は、その全体が明細書を参照してより十分に定義される。
【0104】
用語“約”は、‘略’、‘おおよそ’、‘近傍’、又は‘~の領域内に’を意味するために本発明で使われる。用語“約”が数値範囲と共に使われるとき、それは、提示された数値の上と下に境界を拡張させることによって該当の範囲を変形する。一般に、用語“約”は、例えば上や下に(より高いかより低く)10パーセントの変動まで、言及された値の上と下に数値を変形できる。
【0105】
本発明で使われる用語“治療する(treat)”、“治療する(treating)”及び“治療(treatment)”は、疾患に関連した症状、合併症、状態又は生化学的指標の進行、発生、重症度又は再発の反転、緩和、改善、阻害、又は遅延又は予防の目的で対象に対して行われた、又は対象に活性剤を投与する調停や過程のいずれかの種類を指す。治療は疾患を持つ対象又は疾患を持たない対象(例えば、予防のために)のいずれにも行われ得る。
【0106】
本発明で使われた“投与する”は、当業者に公知の様々な方法及び送達システムのいずれかを用いて、治療剤又は治療剤を含む組成物を対象に物理的に導入することを指す。本発明で説明される抗体に対する異なる投与経路は、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、脊椎又は他の非経口投与経路、例えば注射又は注入による経路を含む。本発明で使われる語句“非経口投与”は、腸内投与及び局部的投与以外の投与方式を意味し、一般に、注射による方式を指し、これに制限されないが、静脈内、腹腔内、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ内、病巣内、嚢内、眼窩内、心臓内、血内、経気管、気管内、肺、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脳室内、硝子体内、硬膜外、及び胸骨下注射及び注入の他に、生体内電気穿孔も含む。または、本発明で説明される抗体は、非経口経路、例えば局部、上皮又は粘膜投与経路で、例えば鼻内、経口、膣、直腸、舌下又は局部的方式で投与され得る。また、投与は、例えば、1回、複数回、及び/又は1回以上の延長された期間にわたって行われ得る。
【0107】
本発明で使われる用語“治療的有効量”は、単独で又は他の治療剤と組み合わせて、対象の気分障害を“治療することに”効果的な又は疾患又は障害(例えば、主要うつ病性障害又は双極性障害のような気分障害)の危険、潜在性、可能性又は発生を減少させるのに効果的な、薬物の量を意味する。“治療的有効量”は、疾患又は障害を持っているか或いは持つ危険のある対象に一部の改善や利益を提供する薬物又は治療剤の量を含む。したがって、“治療的有効量”は、疾患又は障害の危険、潜在性、可能性又は発生を減少させたり又は一部緩和、軽減を提供し、及び/又は少なくとも一つの指標を減少させ、及び/又は疾患又は障害(例えば、本発明で説明される主要うつ病性障害又は双極性障害のような気分障害)の少なくとも一つの臨床症状を減少させる量である。
【0108】
本発明で使われる用語“診断”とは、患者が与えられた疾患又は状態で痛んでいるかどうか決定又は予測することによって治療に適した対象を確認するために利用可能な方法のことを指す。当業者は一つ以上の診断マーカー(例えば、FAM19A5)に基づいて診断を下ろすことができ、診断マーカーの存在、不在、量又は量の変化は、状態の存在、重症度又は不在を表示する。一部の具体例において、対象からの生物学的サンプルにおいてFAM19A5発現の増加は、気分障害(例えば、主要うつ病性障害又は双極性障害)の表示である。用語“診断”は、特定疾患や障害の存在又は不在を100%正確性で決定する能力を意味するものではなく、しかも、与えられた経過や成果が必ずしも起きるともいえない。代わりに、当業者には、用語“診断”が特定疾患や障害が対象に存在する増加した確率をいうものと理解できよう。一部の具体例において、用語“診断”は、気分障害を持つ対象を確認する一つ以上の診断方法を含む。
【0109】
気分障害(例えば、主要うつ病性障害又は双極性障害)を診断するための組成物は、診断が必要な対象(例えば、気分障害を持つと疑われる)のサンプルにおいてFAM19A5のタンパク質レベル又はFAM19A5を暗号化する核酸(例えば、mRNA)レベルを測定するための製剤を含む。このような製剤は、FAM19A5mRNAに相補性である配列、プライマー、又はFAM19A5mRNAに特異的に結合する核酸プローブを含むオリゴヌクレオチド、及びFAM19A5タンパク質に特異的に結合する抗体、又はその抗原-結合断片を含む。
【0110】
本発明で使われる用語“対象”は、任意のヒト又は非-ヒト動物を含む。用語“非-ヒト動物”は、全ての脊椎動物、例えば哺乳類及び非-哺乳類、例えば霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類などを含む。
【0111】
用語“気分障害”とは、個体の感情状態に影響を及ぼす精神的疾病の種類を指す。本発明で使われた気分障害は、過度な、長持ちする、無気力な誇張した気分を特徴とし、行動、生理、認知、神経化学及び精神運動的機能障害と関連して影響を及ぼすことがある。気分障害は、持続する高ぶった気分(躁病)、持続する憂うつな気分、又は躁状態とうつ状態が周期的に反復される気分と関連し得る。気分障害は事実上、遺伝及び/又は二次的要因(例えば、疾病、薬物、薬物療法)によって誘導され得る。気分障害の例は、これに制限されないが、主要うつ病性障害(MDD)、双極性障害(BD)、軽度うつ病性障害、持続性うつ病性障害(気分低下症)、季節性感情障害(SAD)、精神病的うつ病、産後うつ病、短期的再発性うつ病、月経前不快気分障害(PMDD)、状況性うつ病、非定型うつ病、不安障害、及び循環性障害を含む。
【0112】
本発明で使われる用語“主要うつ病性障害”又は“MDD”は、2つ以上の主要憂うつ性エピソードを特徴とする気分障害を指す。MDDの症状は、疲労、無価値さ又は罪責感の気持ち、損傷した集中力又は優柔不断さ、不眠症又は過剰睡眠症、ほぼ全ての活動で顕著に減少した関心又は喜び、落ち着きのなさ、死や自殺に関する考えの繰り返し、及びかなりの体重減少や増加(5%体重変化)を含み得る。他の気分障害と共に、MDDの診断基準は、例えば“精神障害の診断及び統計マニュアル”(第4版、DSM-VI(登録商標)-TR、米国精神医学会)(DSM IV)から見出すことができ、これは対象を評価することにおいて有用である。
【0113】
用語“双極性障害”とは、極限的気分の期間が交互に起きることを特徴とする気分障害を指す。双極性障害を持つ人は一般に、過度に有頂天になったり短気になる気分(躁状態)から悲しくて希望のない気分(うつ状態)になった後、中間に正常の気分を感じる期間を経てさらに元に戻る気分の循環を経験する。双極性障害の診断は、例えばDSM IVに説明される。双極性障害の範ちゅうは、これに制限されないが、双極性障害I(主要うつ病を同伴又は非同伴する躁病)及び双極性障害II(主要うつ病を同伴する軽躁病)を含む。
【0114】
本発明で使われる用語“気分”は、人の内部感情状態を指す。
【0115】
本発明で使われる用語“躁病”又は“躁病の”とは、極度に興奮した病的な精神状態を指す。用語“軽躁病”は、重症度の低いあまり極限的でない躁病エピソードを指す。
【0116】
用語“配列類似性19を持つファミリー、メンバーA5”又は“FAM19A5”とは、5個の高度に相同性であるタンパク質のTAFAファミリー(FAM19ファミリーともいう。)に属するタンパク質を指し、脳と脊髄で優勢発現する(Tang T.Y.et al.,Genomics83(4):727-34(2004))。これらのタンパク質は固定した位置に保存的システイン残基を含有し、CC-ケモカインファミリーの一員である大食細胞炎症性タンパク質1-アルファ(MIP-1-アルファ)と遠縁である。TAFAタンパク質は、脳及び脊髄の特定領域で優勢発現する。それらのタンパク質は神経形成過程で成体神経幹細胞によって生成及び分泌されるものと考えられる。FAM19A5は、TAFA5又はケモカイン様タンパク質TAFA-5とも知られている。
【0117】
FAM19A5は脊椎動物の脳で優勢発現し、FAM19A5は完全な中枢神経系の発生、分化、形成において重要であると考えられる。FAM19A5はまた、多くの中枢神経系損傷及び/又は退行性脳疾患(例えば、ハンチントン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、脳脊髄損傷、脳卒中、及び脳腫瘍)の発病学において有意な役割を担う。中枢神経系の損傷時、神経幹細胞がFAM19A5を生成し、これは正常星状細胞の反応性星状細胞への分化を誘導する。それらの反応性星状細胞は(小膠細胞とともに)広範囲なECM(例えば、プロテオグリカン)を発現でき、神経膠傷痕の形成を誘導でき、これは中枢神経系の損傷した領域を網のように取り囲んでニューロンの再生を妨害することがある。FAM19A5に対する抗体は、中枢神経系傷害及び/又は疾患の予防及び/又は治療に用いることができる(例えば、米国特許第9,579,398号参照)。
【0118】
ヒトにおいて、FAM19A5を暗号化する遺伝子は染色体22に位置する。3個のヒトFAM19A5(UniProt:Q7Z5A7)アイソフォームがあり、それらは次のように選択的スプライシングによって生成されると考えられる:アイソフォーム1(UniProt:Q7Z5A7-1)、これは132個のアミノ酸で構成される;アイソフォーム2(UniProt:Q7Z5A7-2)、これは125個のアミノ酸で構成される;及びアイソフォーム3(UniProt:Q7Z5A7-3)、これは53個のアミノ酸で構成される。ヒトFAM19A5タンパク質は膜結合形態にも可溶性(分泌された)形態にも存在すると見なされる。アイソフォーム1は一つの経膜領域を有する膜タンパク質であると考えられる。アイソフォーム2は分泌されたタンパク質(可溶性)としてTang T.Y.et al.,Genomics83(4):727-34(2004)に報告され、アミノ酸位置1~25に信号ペプチドを含有する。アイソフォーム3はESTデータに基づいて予想される。次は、3個の公知されたヒトFAM19A5アイソフォームのアミノ酸配列である。
【0119】
(I)アイソフォーム1(UniProt:Q7Z5A7-1、経膜タンパク質):このアイソフォームが標準配列として選択された。
【0120】
MAPSPRTGSRQDATALPSMSSTFWAFMILASLLIAYCSQLAAGTCEIVTLDRDSSQPRRTIARQTARCACRKGQIAGTTRARPACVDARIIKTKQWCDMLPCLEGEGCDLLINRSGWTCTQPGGRIKTTTVS(SEQ ID NO:1)
(II)アイソフォーム2(UniProt:Q7Z5A7-2、可溶性タンパク質):
MQLLKALWALAGAALCCFLVLVIHAQFLKEGQLAAGTCEIVTLDRDSSQPRRTIARQTARCACRKGQIAGTTRARPACVDARIIKTKQWCDMLPCLEGEGCDLLINRSGWTCTQPGGRIKTTTVS(SEQ ID NO:2)
(III)アイソフォーム3(UniProt:Q7Z5A7-3):
MYHHREWPARIIKTKQWCDMLPCLEGEGCDLLINRSGWTCTQPGGRIKTTTVS(SEQ ID NO:3)
用語“FAM19A5”は、細胞によって自然的に発現するFAM19A5の任意の変異体又はアイソフォームを含む。したがって、本発明で説明される抗体は、同一種の異なるアイソフォーム(例えば、ヒトFAM19A5の異なるアイソフォーム)と交差-反応し得るか、又はヒト以外の種のFAM19A5(例えば、マウスFAM19A5)と交差-反応し得る。或いは、抗体はヒトFAM19A5に特異的であり得、他の種とは交差-反応性を示さなくてもよい。FAM19A5、又はその任意の変異体及びアイソフォームは、それらを自然的に発現する細胞又は組織から分離されるか、又は組換え方式で生成され得る。ヒトFAM19A5を暗号化するポリヌクレオチドは、GenBank寄託番号第BC039396を有し、次の配列を有する:
【0121】
【表1】
用語“FAM19A5タンパク質に対する拮抗剤”又は“FAM19A5拮抗剤”は、FAM19A5タンパク質の発現を抑制する全ての拮抗剤を指す。このような拮抗剤は、ペプチド、核酸、又は化合物であり得る。より具体的に、拮抗剤はアンチセンス-オリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA、miRNA、dsRNA、アプタマー、FAM19A5を標的化するPNA(ペプチド核酸)、又はそれらを含むベクターであり得る。一部の具体例において、拮抗剤は、FAM19A5タンパク質に特異的に結合する抗体、又はその抗原-結合断片であり得る。
【0122】
用語“抗体(antibody)”及び“抗体(antibodies)”は当該分野の用語であり、本発明で同じ意味で使用でき、抗原に特異的に結合する抗原結合部位を有する分子を指す。本発明で使われる用語は全抗体及び任意の抗原結合断片(すなわち、“抗原-結合断片”)又はそれらの単鎖を含む。一具体例において、“抗体”とは、二硫化物結合によって相互-連結された少なくとも2個の重鎖(H)と2個の軽鎖(L)を含む糖タンパク質、又はその抗原-結合断片を指す。他の具体例において、“抗体”は、単一可変ドメイン、例えばVHHドメインを含む単鎖抗体を意味する。各重鎖は、重鎖可変領域(本発明ではVHと略記する)と重鎖定常領域からなる。特定の自然-発生抗体において、重鎖定常領域は3個のドメインCH1、CH2及びCH3からなる。特定の自然-発生抗体において、各軽鎖は、軽鎖可変領域(本発明ではVLと略記する)と軽鎖定常領域からなる。軽鎖定常領域は一つのドメインCLからなる。
【0123】
VH及びVL領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、より保存性である領域が散在している、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる、超可変性領域にさらに細分できる。それぞれのVH及びVLは3個のCDRと4個のFRからなり、それらはFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4の順にアミノ-末端からカルボキシ-末端に向けて配列される。重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は免疫システムの様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)及び正統補体システムの第1成分(C1q)を含む宿主組織又は因子と免疫グロブリンの結合を媒介し得る。
【0124】
用語“Kabatナンバリング”及び類似の用語は、当該分野で認められ、抗体、又はその抗原-結合断片の重鎖及び軽鎖可変領域でアミノ酸残基をナンバリングするシステムを指す。特定の態様において、抗体のCDRはKabatナンバリングシステムによって決定され得る(例えば、Kabat EA & Wu TT(1971)Ann NY Acad Sci190:382-391及びKabat EA et al.,(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242参照)。Kabatナンバリングシステムを使用すれば、抗体重鎖分子内でCDRは典型的に、アミノ酸位置31~35(これは、選択的に35以後に1個又は2個の追加のアミノ酸を含むことができる;Kabatナンバリング方式において35A及び35Bと言及される)(CDR1)、アミノ酸位置50~65(CDR2)、及びアミノ酸位置95~102(CDR3)に存在する。Kabatナンバリングシステムを使用すれば、抗体軽鎖分子内でCDRは典型的に、アミノ酸位置24~34(CDR1)、アミノ酸位置50~56(CDR2)、及びアミノ酸位置89~97(CDR3)に存在する。特定の具体例において、本発明で説明される抗体のCDRは、Kabatナンバリング方式によって決定された。
【0125】
語句“Kabatによるアミノ酸位置ナンバリング”、“Kabat位置”及びこれらの文法的変形は、Kabat et al,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)において抗体コンピレーションの重鎖可変ドメイン又は軽鎖可変ドメインに対して用いられたナンバリングシステムを意味する。このナンバリングシステムを使用すれば、実際の線形アミノ酸配列がより少ない又は追加のアミノ酸を含有できるが、これは可変ドメインのFW又はCDRの短縮又はそれへの挿入に該当する。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52以降の単一アミノ酸挿入(Kabatによれば残基52a)及び重鎖FW残基82以降に挿入された残基(例えば、Kabatによれば、残基82a、82b、及び82cなど)を含むことができる(表1B参照)。
【0126】
【表2】
残基のKabatナンバリングは、“標準”Kabatナンバリングされた配列と抗体配列の相同性の領域で整列によって、与えられた抗体に対して決定され得る。Chothiaとは、構造ループの位置を指す(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901-917(1987))。Chothia CDR-H1ループの端部は、Kabatナンバリング慣例を用いてナンバリングされたとき、ループの長さによってH32~H34の範囲で変わる(これは、Kabatナンバリング方式がH35AとH35Bに挿入を位置させるためである;35Aも35Bも存在しないと、ループは32で終わる;35Aだけ存在すると、ループは33で終わる;35Aと35Bが両方とも存在すると、ループは34で終わる)。AbM超可変領域はKabat CDRとChothia構造ループ間の折衝点を表示し、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアによって使用される。
【0127】
IMGT(ImMunoGeneTics)は、CDRを含む免疫グロブリン可変領域に対するナンバリングシステムを提供する。例えば、Lefranc,M.P.et al.,Dev.Comp.Immunol.27:55-77(2003)を参照し、これは本発明に参考として含まれる。IMGTナンバリングシステムは5,000個を超える配列の整列、構造データ及び超可変ループの特性化に基づいており、これは、全種に対して可変領域とCDR領域の容易な比較を可能にする。IMGTナンバリングスキマーによれば、VH-CDR1は位置26~35にあり、VH-CDR2は位置51~57に、VH-CDR3は位置93~102に、VL-CDR1は位置27~32に、VL-CDR2は位置50~52に、VL-CDR3は位置89~97にある。
【0128】
本発明で論議された全ての重鎖定常領域アミノ酸位置に対して、ナンバリングは、配列化された最初のヒトIgG1である骨髄腫タンパク質EUのアミノ酸配列を説明したEdelman et al.,1969,Proc.Natl.Acad.Sci.USA63(1):78-85に最初に説明されたEUインデックスに従う。Edelman et al.のEUインデックスはまた、Kabat et al.,1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest(5th Ed.,United States Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda)に提示される。したがって、語句“Kabatに提示されたEUインデックス”又は“KabatのEUインデックス”及び“Kabatに提示されたEUインデックスによる位置”及びそれらの文法的変形は、Kabat 1991に提示されたようなEdelman et al.のヒトIgG1EU抗体に基づく残基ナンバリングシステムを意味する。
【0129】
可変ドメイン(重鎖、軽鎖の両方)及び軽鎖定常領域アミノ酸配列に用いられたナンバリングシステムは、Kabat 1991に提示されたものである。
【0130】
抗体は、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA又はIgY)、任意の類型(例えば、IgD、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1又はIgA2)、又は任意の亜型(例えば、ヒトにおいてIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4;及びマウスにおいてIgG1、IgG2a、IgG2b及びIgG3)を有することができる。免疫グロブリン、例えばIgG1はいくつかのアロタイプとして存在し、それらは最大でいくつかのアミノ酸が互いに異なる。本発明に開示された抗体は周知のアイソタイプ、類型、亜型、又はアロタイプのうち任意のものから由来し得る。特定の具体例において、本発明に開示された抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4亜型又はそれらの任意のハイブリッドである。特定の具体例において、抗体はヒトIgG1亜型又はヒトIgG2又はヒトIgG4亜型のものである。
【0131】
“抗体”は、例えば、自然-発生及び非自然-発生抗体;モノクローナル及びポリクロナール抗体;キメラ及びヒト化抗体;ヒト及び非-ヒト抗体、全体合成抗体;単鎖抗体;単一特異的抗体;(二重特異的抗体を含む)多重特異的抗体;2個の重鎖と2個の軽鎖分子を含むテトラマー抗体;抗体軽鎖モノマー;抗体重鎖モノマー;抗体軽鎖ダイマー;抗体重鎖ダイマー;抗体軽鎖-抗体重鎖対;イントラボディー;ヘテロコンジュゲート抗体;1価抗体;ラクダ化抗体;アフィボディー;(例えば、抗-抗-Id抗体を含む)抗-イディオタイプ(抗-Id)抗体、及び十分に抗原結合可能な単一モノマー可変抗体ドメイン(例えば、VHドメイン又はVLドメイン)で構成された結合分子を含む単一-ドメイン抗体(sdAb)を含む(Harmen M.M.and Haard H.J.Appl Microbiol Biotechnol.77(1):13-22(2007)参照)。
【0132】
抗体の“抗原-結合部分”及び“抗原-結合断片”という用語は、同じ意味で使用され、抗原(例えば、ヒトFAM19A5)に特異的に結合する能力を有する抗体の一つ以上の断片を指す。このような“断片”は、例えば約8~約1500個のアミノ酸長、好適には約8~約745個のアミノ酸長、好適には約8~約300個、例えば約8~約200個のアミノ酸、又は約10個~約50又は100個のアミノ酸長である。抗体の抗原-結合機能は全長抗体の断片によって行われ得るということが明らかになった。抗体、例えば本発明で説明される抗-FAM19A5抗体の“抗原-結合部分”という用語に含まれる結合断片の例は、(i)VL、VH、CL、及びCH1ドメインで構成された1価断片であるFab断片;(ii)ヒンジ領域で二硫化物ブリッジによって連結された2個のFab断片を含む2価断片であるF(ab’)2断片;(iii)VH及びCH1ドメインで構成されたFd断片;(iv)抗体の単一腕のVL及びVHドメインで構成されたFv断片、及び二硫化物-連結されたFvs(sdFv);(v)VHドメインで構成されたdAb断片(Ward et al.,Nature341:544-546(1989));及び(vi)分離された相補性決定領域(CDR)又は(vii)合成リンカーによって選択的につながり得る2つ以上の分離されたCDRの組合せを含む。また、Fv断片の両ドメインであるVLとVHは別個の遺伝子によってコードされるが、それらは合成リンカーによって組換え方法を用いてつながり得、これによってVLとVH領域が対をなして1価分子を形成した単一タンパク質鎖になり得る(単鎖Fv(scFv)という。);(例えば、Bird et al.,Science 242:423-426(1988);及びHuston et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA85:5879-5883(1988)参照)。このような単鎖抗体も、抗体の“抗原-結合部分”という用語内に含まれる。それらの抗体断片は、当業者に公知の従来の技術によって得られ、それらの断片は無損傷抗体と同じ方式で有用性に対してスクリーニングされる。抗原-結合部分は組換えDNA技術によって、又は無損傷免疫グロブリンの酵素又は化学切断によって生成され得る。
【0133】
本発明で使われる用語“可変領域”及び“可変ドメイン”は、当該分野で通常同じ意味で使われる。可変領域は、典型的に抗体の一部分、一般的に軽鎖又は重鎖の一部分、典型的に成熟した重鎖において約アミノ末端110~120個のアミノ酸と成熟した軽鎖において約90~115個のアミノ酸を指し、それらは、抗体別に配列が広範囲に異なり、特定抗原に対する特定抗体の結合及び特異性の理由から使用される。配列変動性は相補性決定領域(CDR)と呼ばれる領域に集中し、可変ドメインにおいてより高度に保存された領域はフレームワーク領域(FR)と呼ばれる。
【0134】
軽鎖及び重鎖のCDRは、抗原と抗体の相互作用及び特異性を主に担当するものと見なされる。特定の具体例において、可変領域はヒト可変領域である。特定の具体例において、可変領域は、齧歯類又はミューリンCDRとヒトフレームワーク領域(FR)を含む。一部の具体例において、可変領域は霊長類(例えば、非-ヒト霊長類)可変領域である。他の具体例において、可変領域は齧歯類又はミューリンCDRと霊長類(例えば、非-ヒト霊長類)フレームワーク領域(FR)を含む。
【0135】
本発明で使われる用語“重鎖”(HC)は、抗体と関連して使われるとき、不変ドメインのアミノ酸配列に基づいて、任意の異なるタイプ、例えばアルファ(α)、デルタ(δ)、エプシロン(ε)、ガンマ(γ)及びミュー(μ)を指し、それらはそれぞれ、IgGの亜型、例えばIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4を含み、抗体のIgA、IgD、IgE、IgG及びIgM類型を発生させる。
【0136】
本発明で使われる用語“軽鎖”(LC)は、抗体と関連して使われるとき、不変ドメインのアミノ酸配列に基づいて任意の異なるタイプ、例えばカッパ(κ)及びラムダ(λ)を指す。軽鎖アミノ酸配列は当該分野によく公知されている。特定の具体例において、軽鎖はヒト軽鎖である。
【0137】
用語“VL”及び“VLドメイン”は同じ意味で使われ、抗体の軽鎖可変領域を指す。
【0138】
用語“VH”及び“VHドメイン”は同じ意味で使われ、抗体の重鎖可変領域を指す。
【0139】
本発明で使われる用語“定常領域”及び“不変ドメイン”は同じ意味で使われ、当該分野に公知されている。不変ドメインは抗体部分であり、例えば抗体と抗原の結合には直接関連しないが、Fc受容体との相互作用のような様々なエフェクター機能を示し得る軽鎖及び/又は重鎖のカルボキシ末端部分である。免疫グロブリン分子の定常領域は一般に、免疫グロブリン可変ドメインに比べてより保存性であるアミノ酸配列を有する。
【0140】
“Fc領域”(断片結晶化可能な領域)又は“Fcドメイン”又は“Fc”は、免疫システムの様々な細胞(例えばエフェクター細胞)上に位置したFc受容体又は正統補体システムの第1成分(C1q)との結合を含み、宿主組織又は因子と免疫グロブリンの結合を媒介する抗体の重鎖のC-末端領域を指す。したがって、Fc領域は、第1定常領域免疫グロブリンドメイン(例えば、CH1又はCL)を除く抗体の定常領域を含む。IgG、IgA及びIgD抗体アイソタイプにおいて、Fc領域は、抗体の両重鎖の第2(CH2)及び第3(CH3)不変ドメインから由来した2個の同一タンパク質断片を含む;IgM及びIgE Fc領域は、各ポリペプチド鎖に3個の重鎖不変ドメイン(CHドメイン2-4)を含む。IgGの場合、Fc領域は、免疫グロブリンドメインCγ2、Cγ3、及びCγ1とCγ2間のヒンジを含む。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は様々であるが、ヒトIgG重鎖Fc領域は一般に、位置C226又はP230にあるアミノ酸残基(又はそれら両アミノ酸間のアミノ酸)から重鎖のカルボキシ-末端まで伸びたものに限定され、ナンバリングはKabatのEUインデックスに従う。ヒトIgG Fc領域のCH2ドメインは約アミノ酸231から約アミノ酸340まで延長され、CH3ドメインはFc領域においてCmドメインのC-末端側に位置するが、それはIgGの約アミノ酸341から約アミノ酸447まで延長される。本発明で使われるFc領域は、任意のアロタイプ変異体を含む天然配列Fc、又は変異体Fc(例えば、非自然-発生Fc)であり得る。また、Fcは、分離された状態の領域を意味するか、又は“Fc融合タンパク質”(例えば、抗体又は免疫接着(immunoadhesion))ともいう、“Fc領域を含む結合タンパク質”のようなFc-含むタンパク質ポリペプチドに関係する領域を意味する。
【0141】
“天然配列Fc領域”又は“天然配列Fc”は、自然から発見されたFc領域のアミノ酸配列と同じアミノ酸配列を含む。天然配列ヒトFc領域は、天然配列ヒトIgG1Fc領域;天然配列ヒトIgG2Fc領域;天然配列ヒトIgG3Fc領域;及び天然配列ヒトIgG4Fc領域だけでなく、それらの自然-発生変異体を含む。天然配列FcはFeの様々なアロタイプを含む(例えば、Jefferis et al.,mAbs 1:1(2009);Vidarsson G.et al.,Front Immunol.5:520(2014年10月20日オンライン公開)参照)。
【0142】
“Fc受容体”又は“FcR”は、免疫グロブリンのFc領域に結合する受容体である。IgG抗体に結合するFcRはFcγファミリーの受容体を含み、それら受容体の対立形質変異体及び他の方式でスプライシングされた形態を含む。Fcγファミリーは3個の活性化受容体(マウスにおいてFcγRI、FcγRIII、及びFcγRIV;ヒトにおいてFcγRIA、FcγRIIA、及びFcγRIIIA)と一つの阻害受容体(FcγRIIB)で構成される。ヒトIgG1は大部分のヒトFc受容体と結合し、最強のFcエフェクター機能を導出する。それが結合する活性化Fc受容体の種類に対してはミューリンIgG2aと同等と見なされる。一方、ヒトIgG4は最小限のFcエフェクター機能を導出する(Vidarsson G.et al.,Front Immunol.5:520(2014年10月20日オンライン公開)参照)。
【0143】
定常領域は、一つ以上のエフェクター機能を除去するために、例えば組換え技術によって操作され得る。“エフェクター機能”は、抗体Fc領域とFc受容体又はリガンドの相互作用、又はそれから生じる生化学的イベントを指す。例示的な“エフェクター機能”は、C1q結合、補体依存性細胞毒性(CDC)、Fc受容体結合、FcγR-媒介エフェクター機能、例えばADCC及び抗体依存性細胞-媒介飽食作用(ADCP)、及び細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体;BCR)の下向き調節を含む。このようなエフェクター機能は一般に、Fc領域が結合ドメイン(例えば、抗体可変ドメイン)と組み合わせられることを必要とする。したがって、用語“Fc機能のない定常領域”は、Fc領域によって媒介された一つ以上のエフェクター機能がないか又は減少した定常領域を含む。
【0144】
抗体のエフェクター機能は、異なる接近法によって減少又は回避され得る。抗体のエフェクター機能は、Fc領域を欠いた抗体断片(例えば、Fab、F(ab’)2、単鎖Fv(scFv)、又はモノマーVH又はVLドメインで構成されたsdAb)を用いて減少又は回避され得る。或いは、Fc領域の他の価値ある属性(例えば、延長された半減期及びヘテロダイマー化)は保有しながら抗体のエフェクター機能を減少させるために、いわゆる無グリコシル化(aglycosylated)抗体がFc領域で特定残基に連結された糖を除去することによって生成され得る。無グリコシル化抗体は、例えば糖の付着された残基を欠失又は変更することによって、糖を酵素的に除去することによって、グリコシル化阻害剤の存在下に培養された細胞で抗体を生成することによって、又はタンパク質をグリコシル化できない細胞(例えば、バクテリア宿主細胞)で抗体を発現させることによって生成され得る(例えば、米国特許公開第20120100140号参照)。他の接近法としては、エフェクター機能の減少したIgG亜型からのFc領域を利用するが、例えばIgG2及びIgG4抗体はIgG1及びIgG3よりも低いレベルのFcエフェクター機能を有することを特徴とする。Fc部分のCH2ドメインでヒンジ領域に最も近接して残基が抗体のエフェクター機能を担当し、それは先天免疫システムのエフェクター細胞上でC1q(補体)及びIgG-Fc受容体(FcγR)に対してかなり重なった結合部位を含有する(Vidarsson G.et al.,Front Immunol.5:520(2014年10月20日オンライン公開参照)。したがって、Fcエフェクター機能がないか減少した抗体は、例えばIgG4アイソタイプのIgG抗体からCH2ドメインとIgG1アイソタイプのIgG抗体からCH3ドメインを含むキメラFc領域、又はIgG2からヒンジ領域とIgG4からCH2領域を含むキメラFc領域(例えば、Lau C.et al.,J.Immunol.191:4769-4777(2013)参照)、又は変更されたFcエフェクター機能、例えばFc機能がないか減少した突然変異を有するFc領域を生成することによって製造され得る。突然変異を有するこのようなFc領域は、当該分野に公知されている。例えば、米国特許公開第2012-0100140号とそこに引用された米国出願及びPCT出願並びにAn et al.,mAbs1:6,572-579(2009)を参照する。
【0145】
“ヒンジ”、“ヒンジドメイン”又は“ヒンジ領域”又は“抗体ヒンジ領域”とは、CH1ドメインをCH2ドメインと連結してヒンジの上部、中央、及び下部の部分を含む重鎖定常領域のドメインを指す(Roux et al.,J.Immunol.161:4083(1998)参照)。ヒンジは、抗体の結合領域とエフェクター領域間に可撓性のレベルを変化させ、また両重鎖定常領域間に分子間二硫化物結合のための部位を提供する。本発明で使われるヒンジは全てのIgGアイソタイプに対してGlu216から始まってGly237で終わる(Roux et al.,J.Immunol.161:4083(1998)参照)。野生型IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4ヒンジの配列が当該分野に公知されている。例えば、Kabat E.A.et al.,(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242;Vidarsson G.et al.,Front Immunol.5:520(2014年10月20日オンライン公開)を参照する。
【0146】
用語“CH1ドメイン”とは、重鎖不変ドメインにおいて可変ドメインとヒンジを連結する重鎖定常領域を指す。本発明で用いられるCH1ドメインはA118から始まってV215で終わる。用語“CH1ドメイン”とは、野生型CH1ドメインだけでなくその自然的に存在する変異体(例えばアロタイプ)も含む。(野生型及びアロタイプを含む)IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4のCH1ドメイン配列は当該分野に公知されている。例えば、Kabat E.A.et al.,(1991)(同上)及びVidarsson G.et al.,Front Immunol.5:520(2014年10月20日オンライン公開)を参照する。例示的なCH1ドメインは、抗体の生物学的活性、例えば半減期を変形する突然変異を有するCH1ドメインを含み、それらは、例えば米国特許公開第20120100140号及びそこに引用された米国特許及び出願とPCT出願に開示されている。
【0147】
用語“CH2ドメイン”とは、重鎖不変ドメインにおいてヒンジとCH3ドメインを連結する重鎖定常領域を指す。本発明で用いられるCH2ドメインはP238から始まってK340で終わる。用語“CH2ドメイン”とは、野生型CH2ドメインだけでなくその自然的に存在する変異体(例えばアロタイプ)を含む。(野生型及びアロタイプを含む)IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4のCH2ドメイン配列は当該分野に公知されている。例えば、Kabat E.A.et al.,(1991)(同上)及びVidarsson G.et al.,Front Immunol.5:520(2014年10月20日オンライン公開)を参照する。例示的なCH2ドメインは、抗体の生物学的活性、例えば半減期及び/又は減少したFcエフェクター機能を変形する突然変異を有するCH2ドメインを含み、それらは、例えば米国特許公開第20120100140号及びそこに引用された米国特許及び出願とPCT出願に開示されている。
【0148】
用語“CH3ドメイン”とは、重鎖不変ドメインにおいてCH2ドメインに対してC-末端である重鎖定常領域を指す。本発明で用いられるCH3ドメインはG341から始まってK447で終わる。用語“CH3ドメイン”とは、野生型CH3ドメインだけでなくその自然的に存在する変異体(例えばアロタイプ)を含む。(野生型及びアロタイプを含む)IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4のCH3ドメイン配列は当該分野に公知されている。例えば、Kabat E.A.et al.,(1991)(同上)及びVidarsson G.et al.,Front Immunol.5:520(2014年10月20日オンライン公開)を参照する。例示的なCH3ドメインは、抗体の生物学的活性、例えば半減期を修飾する突然変異を有するCH3ドメインを含み、それらは、例えば米国特許公開第20120100140号及びそこに引用された米国特許及び出願とPCT出願に開示されている。
【0149】
本発明で使われる“アイソタイプ”とは、重鎖定常領域遺伝子によって暗号化される抗体類型(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgD、及びIgE抗体)を指す。
【0150】
“アロタイプ”とは、いくつかのアミノ酸が異なっている特定のアイソタイプグループ内で自然-発生した変異体のことを指す(例えば、Jefferis et al.,(2009)mAbs1:1参照)。本発明で説明される抗体は任意のアロタイプを有することができる。IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4のアロタイプは、当該分野に公知されている。例えば、Kabat E.A.et al.,(1991)(同上);Vidarsson G.et al.,Front Immunol.5:520(2014年10月20日オンライン公開);及びLefranc M.P.,mAbs1:4,1-7(2009)を参照する。
【0151】
語句“抗原を認識する抗体”及び“抗原に特異的な抗体”とは、用語“抗原に特異的に結合する抗体”と共に本発明で同じ意味で使われる。
【0152】
本発明で使われる“分離された抗体”とは、異なる抗原特異性を有する他の抗体が実質的にない抗体を指す(例えば、FAM19A5に特異的に結合する分離された抗体は、FAM19A5以外の他の抗原に特異的に結合する抗体が実質的にない)。しかし、FAM19A5のエピトープに特異的に結合する分離された抗体は、異なる種からの他のFAM19A5タンパク質に対して交差-反応性を有することができる。
【0153】
“結合親和性”は一般に、分子(例えば、抗体)の単一結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)との相互作用の全合計強度のことを指す。特に記載されない限り、本発明で使われる“結合親和性”は、結合対の構成員(例えば、抗体と抗原)間の1:1相互作用を反映する固有な結合親和性を指す。パートナーYに対する分子Xの親和性は一般に解離定数(KD)によって表示され得る。親和性は、これに制限されないが、平衡解離定数(KD)、及び平衡結合定数(KA)を含む、当該分野に公知された多数の方式で測定及び/又は表示され得る。KDはoff/konから計算され、モル濃度(M)で表示され、KAはkon/koffから計算される。konは、例えば抗原に対する抗体の結合速度定数のことを指し、koffは、例えば抗原に対する抗体の解離速度定数のことを指す。kon及びkoffは免疫分析(例えば、酵素-結合免疫吸着分析(ELISA))、BIACORETM又は力学的排除分析(KINEXA(登録商標))のような、当業者に公知の技術によって決定され得る。
【0154】
本発明で使われる用語“特異的に結合する”、“特異的に認識する”、“特異的結合”、“選択的結合”及び“選択的に結合する”とは、抗体と関連して類似の用語であり、抗原(例えば、エピトープ又は免疫複合体)に結合する分子(例えば、抗体)のことを指し、このような結合は当業者に理解される通りである。例えば、抗原に特異的に結合する分子は、例えば免疫分析、BIACORETM、KINEXA(登録商標)3000機器(Sapidyne Instruments、Boise、インド)、又は当該分野に公知である他の分析によって決定されたとき、通常、より低い親和性で他のペプチド又はポリペプチドに結合し得る。特定の具体例において、抗原に特異的に結合する分子は、該分子が他の抗原に結合する時のKAに比べて少なくとも2logs、2.5logs、3logs、4logs又はそれ以上さらに大きいKAでその抗原に結合する。
【0155】
抗体は典型的に10-5~10-11M以下の解離定数によって反映される、高い親和性で同族抗原に特異的に結合する。約10-4Mを超えるKDは一般に非特異的結合を示すと見なされる。本発明で使われる、抗原と“特異的に結合する”抗体とは、高い親和性で抗原及び実質的に同じ抗原に結合する抗体のことを指し、これは、例えば、決められた抗原を用いて免疫分析(例えば、ELISA)又はBIACORETM2000機器で表面プラズモン共鳴(SPR)技術によって決定されたとき、10-7M以下、好ましくは10-8M以下、より好ましくは10-9M以下、及び最も好ましくは10-8M~10-10M以下のKDを有することを意味し、これは、関連のない抗原には高親和性で結合しない。
【0156】
本発明で使われる用語“抗原”とは、任意の天然又は合成免疫原性物質、例えばタンパク質、ペプチド又はハプテンを指す。抗原はFAM19A5又はその断片であり得る。
【0157】
本発明で使われる“エピトープ”とは、当該分野の用語であり、抗体が特異的に結合できる抗原の局所化された領域を指す。エピトープは、例えばポリペプチドの連続(contiguous)アミノ酸(線形又は連続エピトープ)であるか、又はエピトープは、例えばポリペプチド又はポリペプチドの2つ以上の非-連続領域(立体形態的、非-線形、不連続、又は非-連続エピトープ)が集まったものであり得る。連続アミノ酸から形成されたエピトープは、例外もあるが、典型的に変性溶媒に露出時に保有され、3次折り畳みによって形成されたエピトープは典型的に変性溶媒で処理時に失われる。エピトープは典型的に独特の空間的立体形態で少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、又は20個のアミノ酸を含む。エピトープが与えられた抗体によって結合されたことを決定する方法(すなわち、エピトープマッピング)が当該分野によく公知されており、それらは、例えば免疫ブロット及び免疫沈殿分析を含み、(例えば、FMAM19A5からの)重複又は連続ペプチドが与えられた抗体(例えば、抗-FAM19A5抗体)との反応性に対して試験される。エピトープの空間的立体形態を決定する方法は、当該分野の技術及び本発明で説明されるものを含み、例えば、X線結晶学、2-次元核磁気共鳴及びHDX-MSを含む(例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology,Vol.66,G.E.Morris,Ed.(1996)参照)。
【0158】
特定の具体例において、抗体の結合したエピトープは、例えばNMR分光法、X線回折結晶学研究、ELISA分析、質量分光法と結合した水素/重水素交換(例えば、液体クロマトグラフィー電子噴霧質量分光法)、アレイ-基盤オリゴ-ペプチドスキャニング分析、及び/又は突然変異誘発マッピング(例えば、部位-指定突然変異誘発マッピング)によって決定され得る。X線結晶学の場合、結晶化は当該分野に公知の方法のいずれかを用いて達成され得る(例えば、Giege R.et al.,(1994)Acta.Crystallogr.D.Biol.Crystallogr.50(Pt4):339-350;McPherson A.Eur.J.Biochem.189:1-23(1990);Chayen N.E.Structure 5:1269-1274(1997);McPherson A.J.Biol.Chem.251:6300-6303(1976)参照)。抗体:抗原結晶は、公知のX線回折技術を用いて研究でき、X-PLOR(Yale University,1992,Molecular Simulations,Inc.によって配布;例えばMeth.Enzymol.(1985)volumes.114 & 115,eds Wyckoff H.W.et al.,;米国特許公開第2004/0014194号参照)、BUSTER(Bricogne G.Acta.Crystallogr.D.Biol.Crystallogr.49(Pt1):37-60(1993);Bricogne G.Meth.Enzymol.276A:361-423,ed Carter C.W.(1997);Roversi P.et al.,Acta.Crystallogr.D.Biol.Crystallogr.56(Pt10):1316-1323(2000)参照)のようなコンピュータソフトウェアを用いて整理できる。突然変異誘発マッピング研究は、当業者に公知の任意の方法を用いて達成できる。アラニンスキャニング突然変異誘発技術を含む突然変異誘発技術の説明は、例えばChampe M.et al.,J.Biol.Chem.270:1388-1394(1995)及びCunningham B.C. & Wells J.A.Science 244:1081-1085(1989)を参照する。
【0159】
用語“エピトープマッピング”とは、抗体-抗原認識に対する分子決定要素の確認過程のことを指す。
【0160】
2つ以上の抗体と関連して用語“同一エピトープに結合する”とは、与えられた方法によって決定されたとき、抗体がアミノ酸残基の同一セグメントに結合するということを意味する。抗体が本発明で説明される抗体と“FAM19A5上の同一エピトープ”に結合するか否かを決定する技術は、例えばエピトープマッピング方法、例えばエピトープの原子分解能を提供する抗原:抗体複合体の結晶のX線分析及び水素/重水素交換質量分光法(HDX-MS)を含む。他の方法は、抗体と抗原断片又は抗原の突然変異された変異体の結合をモニタリングし、ここで抗原配列内でアミノ酸残基の修飾による結合の損失が主にエピトープ成分の表示として見なされる。また、エピトープマッピングのためのコンピュータ組合せ方法も用いられ得る。それらの方法は、組合せファージ展示ペプチドライブラリーから特定の短いペプチドを親和性分離できる関心抗体の能力に依存する。同一VH及びVL又は同一CDR1、2及び3配列を有する抗体は、同一エピトープに結合すると予想される。
【0161】
“標的との結合に対して他の抗体と競合する抗体”とは、残り抗体と標的との結合を(部分的に又は完全に)阻害する抗体のことを指す。2つの抗体が標的との結合に対して競合するか否か、すなわち一つの抗体が他の抗体と標的との結合を阻害するか否かとその阻害程度は、公知の競合実験から決定され得る。特定の具体例において、抗体は他の抗体と標的の結合において競合し、その結合を少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%まで阻害する。阻害又は競合のレベルは、抗体が“遮断抗体”(すなわち、標的とまずインキュベーションされた低温抗体)であるかどうかによって異なり得る。競合分析は、例えば、E.d.Harlow and David Lane,Cold Spring Harb Protoc;2006;doi:10.1101/pdb.prot 4277又はE.d.Harlow and David Laneによる“Using Antibodies”(Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,USA 1999)の第11章に説明された通りに行われ得る。競合抗体は(例えば、立体障害によって)同一エピトープ、重複エピトープ又は隣接エピトープに結合する。
【0162】
他の競合結合分析は、固体相直接又は間接放射性免疫分析(RIA)、固体相直接又は間接酵素免疫分析(EIA)、サンドイッチ競合分析(Stahli et al.,Methods in Enzymology9:242(1983)参照);固体相直接ビオチン-アビジンEIA(Kirkland et al.,J.Immunol.137:3614(1986)参照);固体相直接標識化分析、固体相直接標識化サンドイッチ分析(Harlow and Lane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press(1988)参照);1-125標識を使用した固体相直接標識RIA(Morel et al.,Mol.Immunol.25(1):7(1988)参照);固体相直接ビオチン-アビジンEIA(Cheung et al.,Virology 176:546(1990));及び直接標識化RIA(Moldenhauer et al.,Scand.J.Immunol.32:77(1990))を含む。
【0163】
“二重特異的”又は“二重機能性抗体”とは、2つの異なる重鎖/軽鎖対と2つの異なる結合部位を有する人工ハイブリッド抗体である。二重特異的抗体はハイブリドーマの融合又はFab’断片の連結を含む様々な方法によって生成され得る。例えば、Songsivilai & Lachmann,Clin.Exp.Immunol.79:315-321(1990);Kostelny et al.,J.Immunol.148,1547-1553(1992)を参照する。
【0164】
本発明で使われる用語“モノクローナル抗体”とは、特定エピトープに対して単一結合特異性及び親和性を示す抗体、又は全ての抗体が特定エピトープに対して単一結合特異性及び親和性を示す抗体の組成物を指す。したがって、用語“ヒトモノクローナル抗体”は、単一結合特異性を示し、ヒトジャームライン免疫グロブリン配列から由来した可変及び選択的定常領域を有する抗体又は抗体組成物のことを指す。一具体例において、ヒトモノクローナル抗体は、遺伝子導入(transgenic)非-ヒト動物、例えば不滅化細胞に融合されたヒト重鎖導入遺伝子(transgene)と軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有する、遺伝子導入マウスから得られたB細胞を含むハイブリドーマによって生成される。
【0165】
本発明で使われる用語“組換えヒト抗体”とは、(a)ヒト免疫グロブリン遺伝子に対して導入遺伝子であるかトランス染色体性(transchromosomal)である動物(例えば、マウス)から分離された抗体又はそれから製造されたハイブリドーマ、(b)抗体を発現するように形質転換された宿主細胞から、例えばトランスフェクトーマ(transfectoma)から分離された抗体、(c)組換え、組合せヒト抗体ライブラリーから分離された抗体、及び(d)他のDNA配列に対するヒト免疫グロブリン遺伝子配列がスプライシングを伴う任意の他の手段によって製造、発現、生成又は分離された抗体のような、組換え手段によって製造、発現、生成又は分離された全てのヒト抗体を含む。このような組換えヒト抗体はジャームライン遺伝子によって暗号化されるが、例えば抗体成熟化の間に発生する後続再配列及び突然変異を含む特定のヒトジャームライン免疫グロブリン配列を利用する可変及び定常領域を含む。当該分野に公知の通り(例えば、Lonberg,Nature Biotech.23(9):1117-1125(2005)参照)、可変領域は、外来抗原に対して特異的な抗体を形成するように再配列した様々な遺伝子によって暗号化された、抗原結合ドメインを含有する。再配列に加えて、可変領域は外来抗原に対する抗体の親和性を増加させるために多数の単一アミノ酸変化(体細胞突然変異又は超突然変異という)によってさらに修飾され得る。定常領域は、抗原に対する追加の反応で変わるだろう(すなわち、アイソタイプスイッチ)。したがって、抗原に反応して軽鎖及び重鎖免疫グロブリンポリペプチドを暗号化する、再配列され体細胞突然変異された核酸分子は、元の核酸分子と配列同一性を有することができないが、代わりに、実質的に同一又は類似するだろう(すなわち、少なくとも80%同一性を有する)。
【0166】
“ヒト”抗体(HuMAb)は、フレームワーク、CDR領域ともヒトジャームライン免疫グロブリン配列から由来した可変領域を有する抗体のことを指す。また、この抗体が定常領域を含有すれば、定常領域もヒトジャームライン免疫グロブリン配列から由来する。本発明で説明される抗体は、ヒトジャームライン免疫グロブリン配列によって暗号化されないアミノ酸残基を含むことができる(例えば、試験管内無作為又は部位-特定突然変異誘発によって又は生体内体細胞突然変異によって導入された突然変異)。しかし、本発明で使われる用語“ヒト抗体”は、マウスのような他の哺乳類種のジャームラインから由来したCDR配列がヒトフレームワーク配列に移植された抗体は含まない。用語“ヒト”抗体と“完全なヒト”抗体は同じ意味で使われる。
【0167】
“ヒト化”抗体は、非-ヒト抗体のCDRドメイン外のアミノ酸の一部、大部分又は全部がヒト免疫グロブリンから由来した相応するアミノ酸に置換された抗体のことを指す。抗体のヒト化形態の一具体例において、CDRドメイン外のアミノ酸の一部、大部分又は全部がヒト免疫グロブリンからのアミノ酸に置換され、一つ以上のCDR領域内のアミノ酸の一部、大部分又は全部はそのまま残る。アミノ酸の添加、欠失、挿入、置換又は修飾は、これらが抗体が特定抗原に結合する能力をなくさない限り許容される。“ヒト化抗体”は元の抗体のものと類似の抗原特異性を保有する。
【0168】
“キメラ抗体”は一つの種から可変領域が由来し、他の種から定常領域が由来した抗体、例えば、マウス抗体から可変領域が由来し、ヒト抗体から定常領域が由来した抗体のことを指す。
【0169】
本発明で使われる用語“交差-反応する”とは、異なる種からのFAM19A5に結合する、本発明で説明される抗体の能力を指す。例えば、ヒトFAM19A5に結合する本発明に説明される抗体は、他の種のFAM19A5(例えば、マウスFAM19A5)にも結合し得る。本発明で使われる交差-反応性は、結合分析(例えば、SPR、ELISA)で精製された抗原との特異的反応性を検出することによって又はFAM19A5を生理学的に発現する細胞との結合、又は機能的相互作用を検出することによって測定され得る。交差-反応性を決定するための方法は、本発明で説明される標準結合分析、例えば、BIACORETM2000SPR機器(Biacore AB,Uppsala、スウェーデン)を用いたBIACORETM表面プラズモン共鳴(SPR)分析、又は流細胞計数技術を含む。
【0170】
本発明においてある物体に適用される用語“自然-発生”は、その物体が自然から発見され得るという事実を指す。例えば、自然の出処から分離可能であり、実験室でヒトによって意図的に変形されない有機体に存在するポリペプチド又はポリヌクレオチド配列は自然-発生的である。
【0171】
“ポリペプチド”とは、少なくとも2つの連続連結されたアミノ酸残基を含む鎖のことを指し、鎖の長さに上限はない。タンパク質の一つ以上のアミノ酸残基は、これに制限されないが、グリコシル化、ホスホリル化又は二硫化物結合形成のような修飾を有することができる。“タンパク質”は一つ以上のポリペプチドを含むことができる。
【0172】
本発明で使われる用語“核酸分子”は、DNA分子及びRNA分子を含む。核酸分子は一本鎖又は二本鎖であり、cDNAであり得る。
【0173】
本発明で使われる用語“治療的有効量”は、単独で又は他の治療剤と併せて、対象の気分障害を“治療することに”効果的な又は気分障害(例えば、主要うつ病性障害又は双極性障害)の危険、潜在性、可能性又は発生を減少させることに効果的な、薬物の量を意味する。“治療的有効量”は、気分障害を持っているか持つ危険性のある対象に一部の改善や利益を提供する薬物又は治療剤の量を含む。したがって、“治療的有効量”は、気分障害の危険、潜在性、可能性又は発生を減少させたり又は緩和、軽減を提供し、及び/又は少なくとも一つの指標を減少させ、及び/又は気分障害(例えば、主要うつ病性障害又は双極性障害)の少なくとも一つの臨床症状を減少させる量である。
【0174】
II.気分障害の診断方法
FAM19A5拮抗剤(例えば、抗-FAM19A5抗体、又はその抗原-結合断片)を対象の生物学的サンプルと接触させる段階及びサンプルのFAM19A5のタンパク質レベル又はFAM19A5を暗号化する核酸(例えば、mRNA)レベルを測定する段階を含む診断が必要な対象の気分障害(例えば、主要うつ病性障害又は双極性障害)を診断する方法が本発明に開示される。一部の具体例において、気分障害は、主要うつ病性障害(MDD)、双極性障害(BD)、持続性うつ病性障害、季節性感情障害(SAD)、精神病的うつ病、産後うつ病、月経前不快気分障害(PMDD)、状況性うつ病、非定型うつ病、及びそれらの任意の組合せからなる群から選ばれる。特定の具体例において、気分障害は主要うつ病性障害である。他の具体例において、気分障害は双極性障害である。
【0175】
一具体例において、生物学的サンプルは、基準サンプル(例えば、気分障害を持たない対象のサンプル)のFAM19A5のタンパク質レベル又はFAM19A5を暗号化する核酸レベルと比較してFAM19A5のタンパク質レベル又はFAM19A5を暗号化する核酸レベルの少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも11倍、少なくとも12倍、少なくとも13倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、又は少なくとも30倍増加を有する。FAM19A5の増加したタンパク質レベル又はFAM19A5を暗号化する増加した核酸レベルを示す対象は、気分障害が疑われる対象として確認され得る。
【0176】
一具体例において、基準サンプルは、気分障害の開始前に基準サンプルが得られた対象と同じ対象から得られる。他の具体例において、基準サンプルは、気分障害を持たない対照群対象又は対照群対象の集団、例えば健康な対照群対象から得られる。
【0177】
特定の具体例において、FAM19A5の基準タンパク質レベルはELISAによって測定されたとき、約2.0ng/ml、約1.9ng/ml、約1.8ng/ml、約1.7ng/ml、約1.6ng/ml、約1.5ng/ml、約1.4ng/ml、約1.3ng/ml、約1.2ng/ml、約1.1ng/ml、約1ng/ml、約0.9ng/ml、約0.8ng/ml、約0.7ng/ml、約0.6ng/ml、約0.5ng/ml、約0.4ng/ml、約0.3ng/ml、約0.2ng/ml、約0.1ng/ml、又はより低い値である。
【0178】
一部の具体例において、気分障害を持つと疑われる対象は、少なくとも2.1ng/ml、少なくとも2.2ng/ml、少なくとも2.3ng/ml、少なくとも2.4ng/ml、少なくとも2.5ng/ml、少なくとも2.6ng/ml、少なくとも2.7ng/ml、少なくとも2.8ng/ml、少なくとも2.9ng/ml、少なくとも3.0ng/ml、少なくとも3.5ng/ml、少なくとも4.0ng/ml、少なくとも4.5ng/ml、少なくとも5.0ng/ml、少なくとも6.0ng/ml、少なくとも7ng/ml、少なくとも9ng/ml、少なくとも10ng/ml、少なくとも11ng/ml、少なくとも12ng/ml、少なくとも13ng/ml、少なくとも14ng/ml、少なくとも15ng/ml、少なくとも16ng/ml、少なくとも17ng/ml、少なくとも18ng/ml、少なくとも19ng/ml、少なくとも20ng/ml、又は少なくとも25ng/mlのFAM19A5タンパク質レベルを示す。他の具体例において、気分障害を持つと疑われる対象は、約2.0ng/ml~約1ug/ml、10ng/ml~約1ug/ml、2ng/ml~約500ng/ml(又は約400ng/ml、300ng/ml、200ng/ml、又は100ng/ml)、3ng/ml~約400ng/mlのFAM19A5タンパク質レベルを示す。
【0179】
本発明に関連して、気分障害を持つ対象が末梢血液でFAM19A5をより高いレベルで発現することが分かった(実施例1参照)。したがって、本発明に開示された方法は、対象の血清中のFAM19A5のタンパク質レベル又はFAM19A5を暗号化する核酸レベルを測定することによって対象の気分障害(例えば、主要うつ病性障害又は双極性障害)を診断するために用いることができ、基準レベル(例えば、気分障害を持たない対象におけるFAM19A5レベル)と比較して増加したレベルは、前記対象が気分障害を持つということを示唆するだろう。一部の具体例において、本発明は、気分障害を持つと疑われる対象のFAM19A5タンパク質レベルを測定することによって気分障害の存在を確認するために用いることができる。他の具体例において、本発明は、気分障害を持つ対象を確認するために用いることができる。このような方法は、現在利用可能な診断方法(例えば、患者の行動を医療専門家が主観的に評価すること)に比べてより正確で定量的であり得る。
【0180】
他の具体例において、本発明は、FAM19A5のタンパク質又は核酸レベルを測定する段階を含む気分障害の治療を必要とする対象を確認する方法を含み、対照群レベルと比較してFAM19A5タンパク質又はFAM19A5を暗号化する核酸の増加したレベルは、前記対象が気分障害を持つということを示す。一部の具体例において、本発明は、気分障害を持つと確認された対象を治療するように医療提供者に指示する段階をさらに含む。他の具体例において、本発明は、診断、例えば気分障害の存在を医療提供者に知らせる段階をさらに含む。一部の具体例において、本発明は、気分障害を治療するために一つ以上の製剤を投与する段階をさらに含む。
【0181】
一部の具体例において、本発明の方法は、気分障害を持つと疑われる対象の大脳皮質厚を測定する方法を含む。本発明に示す通り、本出願は、大脳皮質厚がFAM19A5タンパク質のレベルと逆関係を有するということを示す。したがって、一具体例において、本発明は、気分障害を持つ対象を確認するために、FAM19A5タンパク質又は核酸のレベルに加えて、大脳皮質厚を測定する方法を含み、減少した大脳皮質厚は、対象が気分障害を持つということを示す。
【0182】
特定の具体例において、潜在的対象の大脳皮質厚は、対照群対象、例えば健康な対象の大脳皮質厚と比較して少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約11%、少なくとも約12%、少なくとも約13%、少なくとも約14%、少なくとも約15%、少なくとも約16%、少なくとも約17%、少なくとも約18%、少なくとも約19%、又は少なくとも約20%減少される。
【0183】
一部の具体例において、この方法のために測定され得る大脳皮質領域は、弁蓋部、左側横前頭極回及び背側後帯状回、三角部、中前頭回、及び右側舌状回及び/又は前横側頭回を含む。一部の具体例において、大脳皮質厚は、MRI、例えば選択的に当業界に公知された強力な画像処理技術を有する高解像度MRIによって測定される。他の具体例において、大脳皮質厚は3.0 T Siemens Trio全身画像システム(Siemens Medical Systems,Iselin、米国ニュージャージー)によって測定される。
【0184】
一具体例において、FAM19A5のタンパク質レベルは、免疫組織化学、ウェスタンブロット、放射性免疫分析、酵素結合免疫吸着分析(ELISA)、放射性免疫拡散、免疫沈殿分析、オクタロニー免疫拡散方法、ロケット免疫電気泳動、組織免疫染色方法、補体固定分析、FACS、又はタンパク質チップによって測定される。一具体例において、FAM19A5タンパク質を暗号化する核酸レベルは、RT-PCR、実時間重合酵素連鎖反応、又はノーザンブロットによって測定される。一部の具体例において、生物学的サンプルは、組織、細胞、血液、血清、血漿、唾液、脳脊髄液、硝子体内液、又は小便を含む。
【0185】
一部の具体例において、FAM19A5のタンパク質レベルは、抗-FAM19A5抗体を用いた分析によって測定される。他の具体例において、抗-FAM19A5抗体は、本発明に開示された抗体、例えば2-13、3-2、1-65、1-28、又はそれらの任意の組合せである。
【0186】
他の具体例において、本発明の診断は、気分障害に対する一つ以上の公知された診断方法と組み合わせられ得る。一具体例において、気分障害と類似な症状を招き得る他の重症の医学的状態、例えば甲状腺疾患、ビタミンD欠乏、中枢神経系腫瘍、頭部外傷、多発性硬化症、脳卒中、梅毒、各種癌(膵癌、前立腺癌、乳癌)、及び/又は他の医学的問題を排除するために一つ以上の診断試験が用いられ得る。対象が他の重症の医学的状態を有する状況で、前記対象は、気分障害の治療無しで他の重症の医学的状態に対してのみ治療され得る。他の具体例において、対象は、気分障害と共に他の重症の医学的状態に対して治療されてもよい。
【0187】
他の具体例において、一つ以上の診断試験は身体検査を含む。身体検査は、うつ病に対する身体的原因、例えば甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、クッシング病を排除するために用いることができる。
【0188】
FAM19A5タンパク質又は核酸レベルに加えて、一部の具体例において、本発明の方法はまた、貧血及び甲状腺、他のホルモン、カルシウム及び/又はビタミンDレベル、電解質、肝機能、毒性スクリーニング、及び/又は腎臓機能を点検するための血液試験を含む。他の具体例において、前記試験はまた、脳腫瘍のような重症疾病を確認するための脳のCTスキャン又はMRI、一部の心臓問題を診断するための心電図(ECG)、及び/又は脳の電気的活性を記録するための脳波図(EEG)を含むことができる。
【0189】
他の具体例において、FAM19A5タンパク質及び/又は核酸レベルと組み合わせて利用可能な一つ以上の診断試験は、問診表である。例示的な問診表は、(i)患者健康問診表-9(PHQ-9)(すなわち、主要うつ病に対する現在診断基準に基づく9-項目自己-管理診断スクリーニング及び重症度ツール);(ii)ベックうつ病尺度(BDI)(すなわち、うつ症状及び感情の重症度を測定する21-質問多重-選択自己-報告書);(iii)ツァン自己-評価うつ病尺度(すなわち、正常から深刻なうつ状態までのうつレベルを測定する簡単な調査);(iv)疫学研究センター-うつ病尺度(CES-D)(すなわち、患者が自身の気分、行動及び先週の省察を評価できる機関);(v)ハミルトンうつ病評価尺度(HDRS)と呼ばれたり、HAM-Dとも略記されるうつ病用ハミルトン評価尺度(HRSD)(すなわち、患者の抑うつ感の重症度を評価するために医師が使用できる多重選択問診表)、又は(i)~(v)の任意の組合せを含む。
【0190】
III.気分障害の治療方法
また、本発明に開示された診断に基づいて治療が必要な対象の気分障害(例えば、主要うつ病性障害又は双極性障害)を治療、制御、緩和又は減少させる方法が本発明に開示される。一部の具体例において、気分障害の治療は、FAM19A5に対する拮抗剤を対象に投与する段階を含む。一具体例において、拮抗剤は、FAM19A5タンパク質に特異的に結合する抗体、又はその抗原-結合断片、抗-FAM19A5抗体又はその抗原-結合部分を暗号化するポリヌクレオチド、又はそのポリヌクレオチドを含むベクターである。一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体、又はその抗原-結合断片はFAM19A5タンパク質に結合してFAM19A5活性を減少させる。特定の具体例において、減少したFAM19A5活性は大脳皮質回の厚さを正常レベル(例えば、健康な対象の相応する大脳皮質回の厚さ)まで増加させる。
【0191】
他の具体例において、気分障害を持つと診断された対象は、一つ以上の抗うつ剤で治療される。本発明で使われる用語“抗うつ剤”又は“抗うつ剤治療”は、臨床的抑うつ感を治療又は緩和するために典型的に使用される精神学的治療又は精神療法の任意の製剤又は任意の形態を指す。抗うつ病剤は、例えば、選択的セロトニン再取り込み抑制剤(例えば、セルトラリン又はエスシタロプラム)、3環系抗うつ剤(例えば、デシプラミン)、及びドパミン再取り込み抑制剤(例えば、ブプロピオン)を含む異なる部類の化合物を含む。典型的に、異なる部類の抗うつ剤は異なる生化学的経路を通じて治療効果を発揮する。
【0192】
抗うつ剤の例は、これに制限されないが、選択的セロトニン再取り込み抑制剤(SSRI)、セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み抑制剤(SNRI)、セロトニン調整剤及び刺激剤(SMS)、セロトニン拮抗剤及び再取り込み抑制剤(SARI)、ノルエピネフリン再取り込み抑制剤(NRI)、3環系抗うつ剤(TCA)、4環系抗うつ剤(TeCA)、及びモノアミン酸化酵素抑制剤(MAOI)を含む。
【0193】
SSRIの例は、シタロプラム(Celexa(登録商標))、エスシタロプラム(Lexapro(登録商標)、Cipralex(登録商標))、パロキセチン(Paxil(登録商標)、Seroxat(登録商標))、フルオキセチン(Prozac(登録商標))、フルボキサミン(Luvox(登録商標))、セルトラリン(Zoloft(登録商標)、Lustral(登録商標))、ジメリジン(Normud(登録商標)、Zelmid(登録商標))及びインダルピン(Upstene(登録商標))を含む。SNRIの例は、デスベンラファキシン(PRISTIQ(登録商標))、デュロキセチン(CYMBALTA(登録商標))、レボミルナシプラン(FETZIMA(登録商標))、ミルナシプラン(IXEL(登録商標)、SAVELLA(登録商標))、トフェナシン(ELAMOL(登録商標)、TOFACINE(登録商標))及びベンラファキシン(EFFEXOR(登録商標))を含む。SMSの例は、ビラゾドン(VIIBRYD(登録商標))及びボルチオキセチン(TRINTELLIX(登録商標))を含む。SARIの例は、エトペリドン(AXIOMIN(登録商標)、ETONIN(登録商標))、ネファゾドン(NEFADAR(登録商標)、SERZONE(登録商標))及びトラゾドン(DESYREL(登録商標))を含む。NRIの例は、レボキセチン(EDRONAX(登録商標))、ビロキサジン(VIVALAN(登録商標))及びアトモキセチン(STRATTERA(登録商標))を含む。TCAの例は、アミトリプチリン(ELAVIL(登録商標)、ENDEP(登録商標))、アミトリプチリンオキシド(AMIOXID(登録商標)、AMBIVALON(登録商標)、EQUILIBRIN(登録商標))、クロミプラミン(ANAFRANIL(登録商標))、デシプラミン(NORPRAMIN(登録商標)、PERTOFRANE(登録商標))、ジベンゼピン(NOVERIL(登録商標)、VICTORIL(登録商標))、ジメタクリン(ISTONIL(登録商標))、ドスレピン(PROTHIADEN(登録商標))、ドキセピン(ADAPIN(登録商標)、SINEQUAN(登録商標))、イミプラミン(TOFRANIL(登録商標))、ロフェプラミン(LOMONT(登録商標)、GAMANIL(登録商標))、メリトラセン(DIXERAN(登録商標)、MELIXERAN(登録商標)、TRAUSABUN(登録商標))、ニトロキサゼピン(SINTAMIL(登録商標))、ノルトリプチリン(PAMELOR(登録商標)、AVENTYL(登録商標))、ノキシプチリン(AGEDAL(登録商標)、ELRONON(登録商標)、NOGEDAL(登録商標))、ピポフェジン(AZAFEN /AZAPHEN(登録商標))、プロトリプチリン(VIVACTIL(登録商標))、トリミプラミン(SURMONTIL(登録商標))、ブトリプチリン(EVADYNE(登録商標))、デメキシプチリン(DEPARON(登録商標)、TINORAN(登録商標))、イミプラミンオキシド(IMIPREX(登録商標)、ELEPSIN(登録商標))、イプリンドール(PRONDOL(登録商標)、GALATUR(登録商標)、TETRAN(登録商標))、メタプラミン(TIMAXEL(登録商標))、プロピゼピン(DEPRESSIN(登録商標)、VAGRAN(登録商標))、キヌプラミン(KINUPRIL(登録商標)、KEVOPRIL(登録商標))、オピプラモール(INSIDON(登録商標))、チアネプチン(STABLON(登録商標))、アミネプチン(SURVECTOR(登録商標)、MANEON(登録商標))、及びチアゼシム(ALTINIL(登録商標))を含む。TeCAの例は、アモキサピン(ASENDIN(登録商標))、マプロチリン(LUDIOMIL(登録商標))、ミアンセリン(BOLVIDON(登録商標)、NORVAL(登録商標)、TOLVON(登録商標))、ミルタザピン(REMERON(登録商標))、及びセチプチリン(TECIPUL(登録商標))を含む。MAOIの例は、イソカルボキサジド(MARPLAN(登録商標))、フェネルジン(NARDIL(登録商標))、トラニルシプロミン(PARNATE(登録商標))、ベンモキシン(NEURALEX(登録商標))、イプロクロジド(SURSUM(登録商標))、イプロニアジド(MARSILID(登録商標))、メバナジン(ACTOMOL(登録商標))、ニアラマイド(NIAMID(登録商標))、オクタモキシン(XIMAOL(登録商標))、フェニプラジン(CATRON(登録商標))、フェノキシプロパジン(DRAZINE(登録商標))、ピブヒドラジン(TERSAVID(登録商標))、サフラジン(SAFRA(登録商標))、セレギリン(ELDEPRYL(登録商標)、ZELAPAR(登録商標)、EMSAM(登録商標))、カロキサゾン(SURODIL(登録商標)、TIMOSTENIL(登録商標))、メトラリンドール(INKAZAN(登録商標))、モクロベミド(AURORIX(登録商標)、MANERIX(登録商標))、ピルリンドール(PIRAZIDOL(登録商標))、トロキサトン(HUMORYL(登録商標))、エプロベミド(BEFOL(登録商標))、及びミナプリン(BRANTUR(登録商標)、CANTOR(登録商標))を含む。
【0194】
一部の具体例において、気分障害を持つと診断された対象は一つ以上の抗精神病剤で治療される。本発明で使われる用語“抗精神病剤”又は“抗精神病剤”(神経弛緩剤又は主要鎮静剤とも呼ばれる。)は、精神病(例えば、妄想、幻覚、偏執症又は無秩序な思考)を管理するために用いられる医薬の部類のことを指す。抗精神病剤は、典型的なもの(第1世代又は従来の)と非典型的なもの(第2世代)とに分類できる。
【0195】
典型的抗精神病剤の例は、クロルプロマジン(THORAZINE(登録商標)、LARGACTIL(登録商標))、クロルプロチキセン(TARACTAN(登録商標))、レボメプロマジン(NOZINAN(登録商標)、LEVOPROME(登録商標))、メソリダジン(SERENTIL(登録商標))、ペリシアジン(NEULEPTIL(登録商標))、プロマジン(SPARINE(登録商標))、チオリダジン(MELLARIL(登録商標))、ロクサピン(LOXITANE(登録商標))、モリンドン(MOBAN(登録商標))、ペルフェナジン(TRILAFON(登録商標))、チオチキセン(NAVANE(登録商標))、ドロペリドール(INAPSINE(登録商標))、フルペンチキソール(DEPIXOL(登録商標)、FLUANXOL(登録商標))、フルフェナジン(PROLIXIN(登録商標))、ハロペリドール(HALDOL(登録商標))、ピモジド(ORAP(登録商標))、プロクロルペラジン(COMPAZINE(登録商標))、チオプロペラジン(MAJEPTIL(登録商標))、トリフルオペラジン(STELAZINE(登録商標))、及びズクロペンチキソール(CLOPIXOL(登録商標))を含む。
【0196】
非典型的抗精神病剤の例は、アミスルピリド(SOLIAN(登録商標))、ルラシドン(LATUDA(登録商標))、クエチアピン(SEROQUEL(登録商標))、リスペリドン(RISPERDAL(登録商標))、オランザピン(ZYPREXA(登録商標))、アリピプラゾール(ABILIFY(登録商標))、ジプラシドン(GEODON(登録商標))、ピマバンセリン(NUPLAZID(登録商標))、クロザピン(CLOZARIL(登録商標))、パリペリドン(INVEGA(登録商標))、アセナピン(SAPHRIS(登録商標))、ブレクスピプラゾール(REXULTI(登録商標))、カリプラジン(VRAYLAR(登録商標))、及びイロペリドン(FANAPT(登録商標))を含む。
【0197】
他の具体例において、本発明によって気分障害を持つと診断された対象は、精神療法で治療される。用語“精神療法”とは、患者と治療者間の疎通を伴う様々な手段のいずれかを含む。抗うつ剤治療はまた、抗うつ病剤と精神療法の組合せを含むことができる。
【0198】
一具体例において、この方法で治療される対象は、ラット又はマウスのような非-ヒト動物である。一具体例において、この方法で治療される対象はヒトである。
【0199】
一部の具体例において、FAM19A5拮抗剤は、静脈内、経口、非経口、髄腔内、脳室内、肺、筋肉内、皮下、硝子体内、又は心室内経路で対象に投与される。例えば、本発明で説明される、抗-FAM19A5抗体又はその抗原-結合部分の投与のための、投薬量は約0.0001~100mg/kgの範囲である。
【0200】
一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体又はその抗原-結合部分、又はその組成物は、気分障害を治療するために一つ以上の追加製剤と組み合わせて投与され得る。一部の具体例において、追加製剤は選択的セロトニン再取り込み抑制剤(SSRI)、セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み抑制剤(SNRI)、セロトニン調整剤及び刺激剤(SMS)、セロトニン拮抗剤及び再取り込み抑制剤(SARI)、ノルエピネフリン再取り込み抑制剤(NRI)、3環系抗うつ剤(TCA)、4環系抗うつ剤(TeCA)、モノアミン酸化酵素抑制剤(MAOI)、又はそれらの任意の組合せを含む抗うつ病剤である。一部の具体例において、追加製剤は、抗精神病剤(例えば、典型的又は非典型的)である。抗うつ病剤及び抗精神病剤の例は、本発明に開示され、当業界にも公知されている。一つ以上の追加治療薬物の容量及び投与は、当業界に公知であり、例えば各薬物の製品ラベルに指示される。
【0201】
IV.FAM19A5拮抗剤
一つ以上のFAM19A5拮抗剤が気分障害を持つ対象を診断したり、又は前記対象を治療するために用いられ得る。一具体例において、FAM19A5拮抗剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA、miRNA、dsRNA、アプタマー、FAM19A5を特異的に標的化するPNA(ペプチド核酸)、又はそれらを含むベクターである。他の具体例において、FAM19A5拮抗剤は、FAM19A5タンパク質に特異的に結合する抗体、又はその抗原-結合断片、抗-FAM19A5抗体、又はその抗原-結合断片を暗号化するポリヌクレオチド、又はそのポリヌクレオチドを含むベクターである。
【0202】
本発明に開示された方法において有用な抗体は、特定の機能的特徴又は特性を特徴とするモノクローナル抗体を含む。例えば、抗体は、可溶性FAM19A5及び膜結合FAM19A5を含むヒトFAM19A5に特異的に結合する。可溶性及び/又は膜結合ヒトFAM19A5に特異的に結合するだけでなく、本発明で説明される抗体は、(a)10nM以下のKDで可溶性ヒトFAM19A5に結合するか;(b)10nM以下のKDで膜結合ヒトFAM19A5に結合するか;又は(a)と(b)の両方も可能である。
【0203】
一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、例えば10-7M以下、10-8M以下、10-9M(1nM)以下、10-10M(0.1nM)以下、10-11M以下、又は10-12M(1pM)以下、例えば10-12M~10-7M、10-11M~10-7M、10-10M~10-7M、又は10-9M~10-7M、例えば10-12M、5X10-12M、10-11M、5X10-11M、10-10M、5X10-10M、10-9M、5X10-9M、10-8M、5X10-8M、10-7M、又は5X10-7MのKDの高い親和性で可溶性ヒトFAM19A5又は膜結合ヒトFAM19A5に特異的に結合する。様々な種のヒトFAM19A5に対する抗体の結合能力を評価する標準分析は当該分野に公知であり、例えば、ELISA、ウェスタンブロット及びRIAを含む。適切な分析が実施例に詳細に説明される。抗体の結合動力学(例えば、結合親和性)もまた、ELISA、BIACORETM分析又はKINEXA(登録商標)のような当該分野に公知の標準分析によって評価され得る。FAM19A5の機能的特性(例えば、リガンド結合)に対する抗体の効果を評価する分析が、下記及び実施例にさらに詳しく説明される。
【0204】
一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体又はその抗原結合断片は、例えばELISAによって決定されたとき、10-7M以下、10-8M(10nM)以下、10-9M(1nM)以下、10-10M以下、10-12M~10-7M、10-11M~10-7M、10-10M~10-7M、10-9M~10-7M、又は10-8M~10-7MのKDで可溶性ヒトFAM19A5と結合する。一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体又はその抗原結合断片は10nM以下、例えば0.1~10nM、0.1~5nM、0.1~1nM、0.5~10nM、0.5~5nM、0.5~1nM、1~10nM、1~5nM、又は5~10nMのKDで可溶性FAM19A5と結合する。一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体又はその抗原結合部分はELISAによって決定されたとき、約1pM、2pM、3pM、4pM、5pM、6pM、7pM、8pM、9pM、10pM、20pM、30pM、40pM、50pM、60pM、70pM、80pM、90pM、100pM、200pM、300pM、400pM、500pM、600pM、700pM、800pM、又は900pM、又は約1nM、2nM、3nM、4nM、5nM、6nM、7nM、8nM、又は9nM、又は約10nM、20nM、30nM、40nM、50nM、60nM、70nM、80nM、又は90nMのKDで可溶性ヒトFAM19A5と特異的に結合する。
【0205】
一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、例えばELISAによって決定されたとき、10-7M以下、10-8M(10nM)以下、10-9M(1nM)以下、10-10M以下、10-12M~10-7M、10-11M~10-7M、10-10M~10-7M、10-9M~10-7M、又は10-8M~10-7MのKDで膜結合ヒトFAM19A5と結合する。特定の具体例において、抗-FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、ELISAによって決定されたとき、10nM以下、例えば0.1~10nM、0.1~5nM、0.1~1nM、0.5~10nM、0.5~5nM、0.5~1nM、1~10nM、1~5nM、又は5~10nMのKDで膜結合ヒトFAM19A5と特異的に結合する。一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体又はその抗原結合断片はELISAによって決定されたとき、約1pM、2pM、3pM、4pM、5pM、6pM、7pM、8pM、9pM、10pM、20pM、30pM、40pM、50pM、60pM、70pM、80pM、90pM、100pM、200pM、300pM、400pM、500pM、600pM、700pM、800pM、又は900pM、又は約1nM、2nM、3nM、4nM、5nM、6nM、7nM、8nM、又は9nM、又は約10nM、20nM、30nM、40nM、50nM、60nM、70nM、80nM、又は90nMのKDで膜結合ヒトFAM19A5と結合する。
【0206】
特定の具体例において、本発明に開示された方法に適する抗-FAM19A5抗体、又はその抗原-結合断片は、ヒトFAM19A5エピトープに対する結合に対して本発明に開示されたCDR又は可変領域を含む抗-FAM19A5抗体、又はその抗原-結合断片と交差競合する(或いは、結合を抑制する)。
【0207】
特定の具体例において、抗-FAM19A5抗体、又はその抗原-結合断片は、重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、並びに軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3を含む基準抗体の結合を抑制し、(i)基準抗体の重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3はそれぞれSEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、及びSQ ID NO:13のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3はそれぞれSEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、及びSEQ ID NO:25のアミノ酸配列を含むか;(ii)重鎖CDR1はSEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:15のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:16のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:26のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:27のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:28のアミノ酸配列を含むか;(iii)重鎖CDR1はSEQ ID NO:17のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:18のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:19のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:29のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:30のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:31のアミノ酸配列を含むか;(iv)重鎖CDR1はSEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:34のアミノ酸配列を含むか;(v)重鎖CDR1はSEQ ID NO:89のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:90のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:91のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:92のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:93のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:94のアミノ酸配列を含むか;(vi)重鎖CDR1はSEQ ID NO:95のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:96のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:97のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:98のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:99のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:100のアミノ酸配列を含むか;(vii)重鎖CDR1はSEQ ID NO:101のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:102のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:103のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:104のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:105のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:106のアミノ酸配列を含むか;(viii)重鎖CDR1はSEQ ID NO:107のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:108のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:109のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:110のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:111のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:112のアミノ酸配列を含むか;(ix)重鎖CDR1はSEQ ID NO:113のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:114のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:115のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:116のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:117のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:118のアミノ酸配列を含むか;(x)重鎖CDR1はSEQ ID NO:119のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:120のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:121のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:122のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:123のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:124のアミノ酸配列を含むか;(xi)重鎖CDR1はSEQ ID NO:125のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:126のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:127のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:128のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:129のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:130のアミノ酸配列を含むか;(xii)重鎖CDR1はSEQ ID NO:131のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:132のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:133のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:134のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:135のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:136のアミノ酸配列を含むか;(xiii)重鎖CDR1はSEQ ID NO:137のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:138のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:139のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:140のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:141のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:142のアミノ酸配列を含むか;(xiv)重鎖CDR1はSEQ ID NO:143のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:144のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:145のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:146のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:147のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:148のアミノ酸配列を含むか;又は(xv)重鎖CDR1はSEQ ID NO:149のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:150のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:151のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:152のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:153のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:154のアミノ酸配列を含む。
【0208】
一部の具体例において、基準抗体は、(a)それぞれSEQ ID NO:35及び39を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(b)それぞれSEQ ID NO:36及び40を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(c)それぞれSEQ ID NO:37及び41を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(d)それぞれSEQ ID NO:38及び42を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(e)それぞれSEQ ID NO:155及び166を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(f)それぞれSEQ ID NO:156及び167を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(g)それぞれSEQ ID NO:157及び168を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(h)それぞれSEQ ID NO:158及び169を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(i)それぞれSEQ ID NO:159及び170を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(j)それぞれSEQ ID NO:160及び171を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(k)それぞれSEQ ID NO:161及び172を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(l)それぞれSEQ ID NO:162及び173を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(m)それぞれSEQ ID NO:163及び174を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(n)それぞれSEQ ID NO:164及び175を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;又は(o)それぞれSEQ ID NO:165及び176を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列を含む。
【0209】
一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体、又はその抗原-結合断片は、かかる基準抗体のヒトFAM19A5に対する結合を少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%まで又は100%まで抑制する。競合抗体は、同一エピトープ、重複エピトープ又は隣接エピトープ(例えば、立体障害によって証明されたとおり)に結合する。標的に対する結合に対して2個の抗体が競合するかどうかは、RIA及びEIAのような当業界に公知の競合実験を用いて決定され得る。
【0210】
特定の具体例において、抗-FAM19A5抗体、又はその抗原-結合断片は、重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、並びに軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3を含む本発明に開示された基準抗体と同じFAM19A5エピトープに結合し、(i)重鎖CDR1はSEQ ID NO:11のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:12のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:13のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:23のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:24のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:25のアミノ酸配列を含むか;(ii)重鎖CDR1はSEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:15のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:16のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:26のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:27のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:28のアミノ酸配列を含むか;(iii)重鎖CDR1はSEQ ID NO:17のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:18のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:19のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:29のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:30のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:31のアミノ酸配列を含むか;(iv)重鎖CDR1はSEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:34のアミノ酸配列を含むか;(v)重鎖CDR1はSEQ ID NO:89のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:90のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:91のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:92のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:93のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:94のアミノ酸配列を含むか;(vi)重鎖CDR1はSEQ ID NO:95のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:96のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:97のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:98のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:99のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:100のアミノ酸配列を含むか;(vii)重鎖CDR1はSEQ ID NO:101のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:102のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:103のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:104のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:105のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:106のアミノ酸配列を含むか;(viii)重鎖CDR1はSEQ ID NO:107のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:108のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:109のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:110のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:111のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:112のアミノ酸配列を含むか;(ix)重鎖CDR1はSEQ ID NO:113のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:114のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:115のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:116のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:117のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:118のアミノ酸配列を含むか;(x)重鎖CDR1はSEQ ID NO:119のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:120のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:121のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:122のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:123のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:124のアミノ酸配列を含むか;(xi)重鎖CDR1はSEQ ID NO:125のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:126のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:127のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:128のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:129のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:130のアミノ酸配列を含むか;(xii)重鎖CDR1はSEQ ID NO:131のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:132のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:133のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:134のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:135のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:136のアミノ酸配列を含むか;(xiii)重鎖CDR1はSEQ ID NO:137のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:138のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:139のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:140のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:141のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:142のアミノ酸配列を含むか;(xiv)重鎖CDR1はSEQ ID NO:143のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:144のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:145のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:146のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:147のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:148のアミノ酸配列を含むか;又は(xv)重鎖CDR1はSEQ ID NO:149のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2はSEQ ID NO:150のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3はSEQ ID NO:151のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1はSEQ ID NO:152のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:153のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:154のアミノ酸配列を含む。
【0211】
一部の具体例において、基準抗体は(a)それぞれSEQ ID NO:35及び39を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(b)それぞれSEQ ID NO:36及び40を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(c)それぞれSEQ ID NO:37及び41を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(d)それぞれSEQ ID NO:38及び42を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(e)それぞれSEQ ID NO:155及び166を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(f)それぞれSEQ ID NO:156及び167を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(g)それぞれSEQ ID NO:157及び168を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(h)それぞれSEQ ID NO:158及び169を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(i)それぞれSEQ ID NO:159及び170を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(j)それぞれSEQ ID NO:160及び171を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(k)それぞれSEQ ID NO:161及び172を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(l)それぞれSEQ ID NO:162及び173を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(m)それぞれSEQ ID NO:163及び174を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(n)それぞれSEQ ID NO:164及び175を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;又は(o)それぞれSEQ ID NO:165及び176を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列を含む。
【0212】
2個の抗体が同一のエピトープに結合するか否か決定する技術は、例えばエピトープマッピング方法、例えばエピトープの原子分解能を提供する抗原:抗体複合体結晶のX線分析及び水素/重水素交換質量分光法(HDX-MS)、抗原断片又は抗原の突然変異された変形に対する抗体の結合をモニタリングする方法(この場合、抗原配列内でアミノ酸残基の修飾による結合の損失がエピトープ成分のしるし(indication)として主に見なされる。)、エピトープマッピングのためのコンピュータ組合せ方法を含む。
【0213】
本発明に開示された方法に有用である抗-FAM19A5抗体、又はその抗原-結合断片は、例えばヒトFAM19A5の断片に対する抗体の結合によって決定されるように、成熟したヒトFAM19A5の少なくとも一つのエピトープに結合し得る。一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体、又はその抗原-結合断片は、TLDRDSSQPRRTIARQTARC(SEQ ID NO:6又はSEQ ID NO:2のアミノ酸残基42~61)のアミノ酸配列内に位置している断片、例えばSEQ ID NO:6の少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、又は20個のアミノ酸を有するエピトープに結合する。一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、SEQ ID NO:2のアミノ酸残基46~51(すなわち、DSSQPR)に相応する一つ以上のアミノ酸において、例えばアミノ酸残基46、50及び52(すなわち、D---P-R)、例えばアミノ酸残基46、47、48及び50(すなわち、DSS-P)でSEQ ID NO:6に結合する。一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体、又はその抗原-結合断片は、CDMLPCLEGEGCDLLINRSG(SEQ ID NO:9又はSEQ ID NO:2のアミノ酸90~109)のアミノ酸配列内に位置している断片、例えばSEQ ID NO:9の少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、又は20個のアミノ酸を有するエピトープに結合する。特定の具体例において、抗-FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、SEQ ID NO:4の一つ以上のアミノ酸残基99~107(すなわち、EGCDLLINR)において、例えばアミノ酸残基102、103、105、及び107(すなわち、DL-I-R)、例えばアミノ酸残基99、100、102、103、105、及び107(すなわち、EG-DL-I-R)、例えばアミノ酸残基99、100、及び107(すなわち、EG------R)でSEQ ID NO:9に結合する。
【0214】
一部の具体例において、少なくとも一つのエピトープは、SEQ ID NO:6と少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同じアミノ酸配列を有する。一部の具体例において、少なくとも一つのエピトープは、SEQ ID NO:9と少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同じアミノ酸配列を有する。
【0215】
一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体又はその抗原結合断片は、SEQ ID NO:5、6、7、8、9、又は10であるヒトFAM19A5エピトープにのみ、又はSEQ ID NO:5、6、7、8、9、又は10のアミノ酸配列内に位置している断片、例えばSEQ ID NO:5、6、7、8、9、又は10の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、又は20個のアミノ酸を有するエピトープに結合する。
【0216】
一部の具体例において、本発明の抗-FAM19A5抗体又はその抗原結合断片は、SEQ ID NO:6又はその断片と天然立体形態(すなわち、未変性)状態で結合する。一部の具体例において、本発明の抗-FAM19A5抗体又はその抗原結合断片は、SEQ ID NO:9又はその断片と天然立体形態(すなわち、未変性)状態で結合する。一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体又はその抗原結合断片は、グリコシル化及び非グリコシル化ヒトFAM19A5の両方に結合する。
【0217】
一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体又はその抗原結合断片は、一つ以上の追加のFAM19A5エピトープにさらに結合する。したがって、特定の抗-FAM19A5抗体又はその抗原結合断片は、SEQ ID NO:6のエピトープと追加のエピトープ、又はSEQ ID NO:9のエピトープと追加のエピトープに結合する。他の抗-FAM19A5抗体又はその抗原結合断片は、SEQ ID NO:5のエピトープ、SEQ ID NO:9のエピトープ、及び追加のエピトープに結合してもよい。一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体又はその抗原結合断片は、SEQ ID NO:6のエピトープ、SEQ ID NO:10のエピトープ、及び追加のエピトープに結合する。一部の具体例において、一つ以上の追加のFAM19A5エピトープは、QLAAGTCEIVTLDR(SEQ ID NO:5、エピトープF1)、TLDRDSSQPRRTIARQTARC(SEQ ID NO:6、エピトープF2)、TARCACRKGQIAGTTRARPA(SEQ ID NO:7、エピトープF3)、ARPACVDARIIKTKQWCDML(SEQ ID NO:8、エピトープF4)、CDMLPCLEGEGCDLLINRSG(SEQ ID NO:9、エピトープF5)、又はNRSGWTCTQPGGRIKTTTVS(SEQ ID NO:10、エピトープF6)、又はSEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、又はそれらの任意の組合せのアミノ酸配列内に位置した断片から選択される。SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、及びSEQ ID NO:7、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、又はSEQ ID NO:10のアミノ酸配列内に位置した断片は、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、又はSEQ ID NO:10のいずれかの1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、又は20個のアミノ酸を有する断片を含む。一部の具体例において、一つ以上の追加のFAM19A5エピトープは、SEQ ID NO:5、6、7、8、9、又は10、又はSEQ ID NO:5、6、7、8、9、又は10のアミノ酸配列内に位置した断片、例えばSEQ ID NO:5、6、7、8、9、又は10の1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、又は20個のアミノ酸を有する断片、又はそれらの任意の組合せから選択される。一部の具体例において、本発明の抗-FAM19A5抗体又はその抗原結合断片は、一つ以上の追加のエピトープに天然立体形態(すなわち、未変性)状態で結合する。一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体又はその抗原結合断片は、一つ以上の追加のFAM19A5エピトープのグリコシル化及び非グリコシル化形態の両方に結合する。
【0218】
一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、EP2、EP4、及び/又はEP8として確認された少なくとも一つのFAM19A5エピトープに結合し、EP2は、アミノ酸DSSQP(SEQ ID NO:66)、を含んだり、で本質的に構成されたり、又はで構成され、EP4は、アミノ酸ARCACRK(SEQ ID NO:68)、を含んだり、で本質的に構成されたり、又はで構成され、EP8は、アミノ酸TCTQPGGR(SEQ ID NO:72)、を含んだり、で本質的に構成されたり、又はで構成される。一部の具体例において、少なくとも一つのエピトープは、EP2、EP4、又はEP8と少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同じアミノ酸配列を有する。一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は単にEP2にのみ結合する。一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体又はその抗原結合部分はEP4及びEP8に結合する。
【0219】
一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、EP6、EP7又はEP8として確認された少なくとも一つのFAM19A5エピトープに結合し、EP6はアミノ酸KTKQWCDML(SEQ ID NO:70)を含み、EP7はアミノ酸GCDLLINR(SEQ ID NO:71)を含み、EP8はアミノ酸TCTQPGGR(SEQ ID NO:72)を含む。一部の具体例において、少なくとも一つのエピトープは、EP6、EP7又はEP8と少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同じアミノ酸配列を有する。一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体、又はその抗原結合部分は単にEP6、EP7、又はEP8にのみ結合する。一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体、又はその抗原結合部分はEP6、EP7、及びEP8に結合する。一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体、又はその抗原結合部分はEP7及びEP8に結合する。一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体又はその抗原結合部分はEP7に結合する。
【0220】
一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、SEQ ID NO:65、SEQ ID NO:66、SEQ ID NO:67、SEQ ID NO:68、SEQ ID NO:69、SEQ ID NO:70、SEQ ID NO:71、SEQ ID NO:72、及びそれらの任意の組合せからなる群から選ばれる一つ以上のFAM19A5エピトープに結合する。
【0221】
一部の具体例において、例えば免疫分析(例えば、ELISA)、表面プラズモン共鳴、又は力学的排除分析によって測定されたとき、、FAM19Aファミリーの他のタンパク質よりも20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又はさらに高い親和性でFAM19A5(例えば、ヒトFAM19A5)と結合する抗体又はその抗原結合断片が本発明で提供される。特定の具体例において、抗-FAM-19A5抗体又はその抗原結合断片は、例えば免疫分析によって測定されたとき、、FAM19Aファミリーの他のタンパク質と交差反応性無しでFAM19A5(例えば、ヒトFAM19A5)に結合する。
【0222】
一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体は天然抗体でないか、又は自然発生抗体でない。例えば、抗-FAM19A5抗体は、より多い、より少ない、又は異なるタイプの翻訳後修飾を有することにより、自然発生の抗体のそれとは異なる翻訳後修飾を有する。
【0223】
V.典型的な抗-FAM19A5抗体
本発明に開示された方法で使用可能な特定抗体は、本発明に開示されたCDR及び/又は可変領域配列を有する抗体、例えばモノクローナル抗体、及びそれらの可変領域又はCDR配列と少なくとも80%同一性(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%同一性)を有する抗体である。本発明の異なる抗-FAM19A5抗体のVH及びVLアミノ酸配列が表4及び表5にそれぞれ提供される。
【0224】
【0225】
【0226】
【0227】
【表6】
一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体、又はその抗原-結合断片は、重鎖及び軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域はSEQ ID NO:35-38又は155-165のアミノ酸配列を含む。他の具体例において、分離された抗-FAM19A5抗体、又はその抗原結合部分は、SEQ ID NO:35-38又は155-165からなる群から選ばれる重鎖可変領域のCDRを含む。
【0228】
一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体、又はその抗原-結合断片は、重鎖及び軽鎖可変領域を含み、軽鎖可変領域はSEQ ID NO:39-42又は166-176のアミノ酸配列を含む。他の具体例において、分離された抗-FAM19A5抗体、又はその抗原結合部分は、SEQ ID NO:39-42又は166-176からなる群から選ばれる軽鎖可変領域のCDRを含む。
【0229】
特定の具体例において、分離された抗-FAM19A5抗体、又はその抗原結合部分は、SEQ ID NO:35-38又は155-165からなる群から選ばれる重鎖可変領域のCDR及びSEQ ID NO:39-42又は166-176からなる群から選ばれる軽鎖可変領域のCDRを含む。
【0230】
一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体、又はその抗原-結合断片は、重鎖及び軽鎖可変領域を含み、(i)重鎖可変領域はSEQ ID NO:35のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域はSEQ ID NO:39のアミノ酸配列を含み;(ii)重鎖可変領域はSEQ ID NO:36のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域はSEQ ID NO:40のアミノ酸配列を含み;(iii)重鎖可変領域はSEQ ID NO:37のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域はSEQ ID NO:41のアミノ酸配列を含み;(iv)重鎖可変領域はSEQ ID NO:38のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域はSEQ ID NO:42のアミノ酸配列を含み;(v)重鎖可変領域はSEQ ID NO:155のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域はSEQ ID NO:166のアミノ酸配列を含み;(vi)重鎖可変領域はSEQ ID NO:156のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域はSEQ ID NO:167のアミノ酸配列を含み;(vii)重鎖可変領域はSEQ ID NO:157のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域はSEQ ID NO:168のアミノ酸配列を含み;(viii)重鎖可変領域はSEQ ID NO:158のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域はSEQ ID NO:169のアミノ酸配列を含み;(ix)重鎖可変領域はSEQ ID NO:159のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域はSEQ ID NO:170のアミノ酸配列を含み;(x)重鎖可変領域はSEQ ID NO:160のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域はSEQ ID NO:171のアミノ酸配列を含み;(xi)重鎖可変領域はSEQ ID NO:161のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域はSEQ ID NO:172のアミノ酸配列を含み;(xii)重鎖可変領域はSEQ ID NO:162のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域はSEQ ID NO:173のアミノ酸配列を含み;(xiii)重鎖可変領域はSEQ ID NO:163のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域はSEQ ID NO:174のアミノ酸配列を含み;(xiv)重鎖可変領域はSEQ ID NO:164のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域はSEQ ID NO:175のアミノ酸配列を含み;及び(xv)重鎖可変領域はSEQ ID NO:165のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域はSEQ ID NO:176のアミノ酸配列を含む。
【0231】
一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体、又はその抗原-結合断片は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域はSEQ ID NO:35-38又は155-165として提示されたアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同じアミノ酸配列を含む。
【0232】
一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体、又はその抗原-結合断片は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、軽鎖可変領域はSEQ ID NO:39-42又は166-176として提示されたアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同じアミノ酸配列を含む。
【0233】
一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体、又はその抗原-結合断片は、重鎖及び軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域はSEQ ID NO:35-38又は155-165として提示されたアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同じアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域はSEQ ID NO:39-42又は166-176として提示されたアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%同じアミノ酸配列を含む。
【0234】
一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体、又はその抗原-結合断片は:
(a)それぞれSEQ ID NO:35及び39を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(b)それぞれSEQ ID NO:36及び40を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(c)それぞれSEQ ID NO:37及び41を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(d)それぞれSEQ ID NO:38及び42を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(e)それぞれSEQ ID NO:155及び166を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(f)それぞれSEQ ID NO:156及び167を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(g)それぞれSEQ ID NO:157及び168を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(h)それぞれSEQ ID NO:158及び169を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(i)それぞれSEQ ID NO:159及び170を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(j)それぞれSEQ ID NO:160及び171を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(k)それぞれSEQ ID NO:161及び172を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(l)それぞれSEQ ID NO:162及び173を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(m)それぞれSEQ ID NO:163及び174を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(n)それぞれSEQ ID NO:164及び175を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;又は
(o)それぞれSEQ ID NO:165及び176を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列
を含む。
【0235】
一部の具体例において、本発明の抗-FAM19A5抗体、又はその抗原-結合断片は、(i)2-13の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、又はそれらの組合せ、及び/又は2-13の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はそれらの任意の組合せ;(ii)3-2の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、又はそれらの組合せ、及び/又は3-2の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はそれらの任意の組合せ;(iii)1-65の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、又はそれらの組合せ、及び/又は1-65の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はそれらの任意の組合せ;(iv)1-28の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、又はそれらの組合せ、及び/又は1-28の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はそれらの任意の組合せ;(v)P2-C12の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、又はそれらの組合せ、及び/又はP2-C12の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はそれらの任意の組合せ;(vi)13B4の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、又はそれらの組合せ、及び/又は13B4の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はそれらの任意の組合せ;(vii)13F7の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、又はそれらの組合せ、及び/又は13F7の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はそれらの任意の組合せ;(viii)15A9の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、又はそれらの組合せ、及び/又は15A9の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はそれらの任意の組合せ;(ix)P1-A03の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、又はそれらの組合せ、及び/又はP1-A03の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はそれらの任意の組合せ;(x)P1-A08の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、又はそれらの組合せ、及び/又はP1-A08の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はそれらの任意の組合せ;(xi)P1-F02の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、又はそれらの組合せ、及び/又はP1-F02の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はそれらの任意の組合せ;(xii)P2-A01の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、又はそれらの組合せ、及び/又はP2-A01の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はそれらの任意の組合せ;(xiii)P2-A03の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、又はそれらの組合せ、及び/又はP2-A03の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はそれらの任意の組合せ;(xiv)P2-F07の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、又はそれらの組合せ、及び/又はP2-F07の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はそれらの任意の組合せ;又は(xv)P2-F11の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、又はそれらの組合せ、及び/又はP2-F11の軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3、又はそれらの任意の組合せを含む。本発明に開示された異なる抗-FAM19A5抗体に対するVH CDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列は表2に提供される。本発明に開示された異なる抗-FAM19A5抗体に対するVL CDR1、CDR2、及びCDR3のアミノ酸配列は表3に提供される。
【0236】
一部の具体例において、ヒトFAM19A5に特異的に結合する抗-FAM19A5抗体、又はその抗原-結合断片は:
(a)SEQ ID NO:11のアミノ酸配列を含むVH CDR1;
(b)SEQ ID NO:12のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び/又は
(c)SEQ ID NO:13のアミノ酸配列を含むVH CDR3
を含む。
【0237】
一部の具体例において、抗体、又はその抗原-結合断片は、前記VH CDRのうち、1個、2個、又は3個全部を含む。
【0238】
一部の具体例において、ヒトFAM19A5に特異的に結合する抗-FAM19A5抗体、又はその抗原-結合断片は:
(a)SEQ ID NO:23のアミノ酸配列を含むVL CDR1;
(b)SEQ ID NO:24のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は
(c)SEQ ID NO:25のアミノ酸配列を含むVL CDR3
を含む。
【0239】
一部の具体例において、抗体、又はその抗原-結合断片は、前記VL CDRのうち、1個、2個、又は3個全部を含む。
【0240】
一部の具体例において、ヒトFAM19A5に特異的に結合する抗-FAM19A5抗体、又はその抗原-結合断片は:
(a)SEQ ID NO:11のアミノ酸配列を含むVH CDR1;
(b)SEQ ID NO:12のアミノ酸配列を含むVH CDR2;
(c)SEQ ID NO:13のアミノ酸配列を含むVH CDR3;
(d)SEQ ID NO:23のアミノ酸配列を含むVL CDR1;
(e)SEQ ID NO:24のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は
(f)SEQ ID NO:25のアミノ酸配列を含むVL CDR3
を含む。
【0241】
一部の具体例において、ヒトFAM19A5に特異的に結合する本発明の抗-FAM19A5抗体、又はその抗原-結合断片は:
(a)SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含むVH CDR1;
(b)SEQ ID NO:15のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び/又は
(c)SEQ ID NO:16のアミノ酸配列を含むVH CDR3
を含む。
【0242】
一部の具体例において、抗体、又はその抗原-結合断片は前記VH CDRのうち、1個、2個、又は3個全部を含む。
【0243】
一部の具体例において、ヒトFAM19A5に特異的に結合する抗-FAM19A5抗体、又はその抗原-結合断片は:
(a)SEQ ID NO:26のアミノ酸配列を含むVL CDR1;
(b)SEQ ID NO:27のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は
(c)SEQ ID NO:28のアミノ酸配列を含むVL CDR3
を含む。
【0244】
一部の具体例において、抗体、又はその抗原-結合断片は、前記VL CDRのうち、1個、2個、又は3個全部を含む。
【0245】
一部の具体例において、ヒトFAM19A5に特異的に結合する抗-FAM19A5抗体、又はその抗原-結合断片は:
(a)SEQ ID NO:14のアミノ酸配列を含むVH CDR1;
(b)SEQ ID NO:15のアミノ酸配列を含むVH CDR2;
(c)SEQ ID NO:16のアミノ酸配列を含むVH CDR3;
(d)SEQ ID NO:26のアミノ酸配列を含むVL CDR1;
(e)SEQ ID NO:27のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は
(f)SEQ ID NO:28のアミノ酸配列を含むVL CDR3
を含む。
【0246】
一部の具体例において、ヒトFAM19A5に特異的に結合する本発明の抗-FAM19A5抗体、又はその抗原-結合断片は:
(a)SEQ ID NO:17のアミノ酸配列を含むVH CDR1;
(b)SEQ ID NO:18のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び/又は
(c)SEQ ID NO:19のアミノ酸配列を含むVH CDR3
を含む。
【0247】
一部の具体例において、抗体、又はその抗原-結合断片は、前記VH CDRのうち、1個、2個、又は3個全部を含む。
【0248】
一部の具体例において、ヒトFAM19A5に特異的に結合する抗-FAM19A5抗体、又はその抗原-結合断片は:
(a)SEQ ID NO:29のアミノ酸配列を含むVL CDR1;
(b)SEQ ID NO:30のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は
(c)SEQ ID NO:31のアミノ酸配列を含むVL CDR3
を含む。
【0249】
一部の具体例において、抗体、又はその抗原-結合断片は、前記VL CDRのうち、1個、2個、又は3個全部を含む。
【0250】
一部の具体例において、ヒトFAM19A5に特異的に結合する抗-FAM19A5抗体、又はその抗原-結合断片は:
(a)SEQ ID NO:17のアミノ酸配列を含むVH CDR1;
(b)SEQ ID NO:18のアミノ酸配列を含むVH CDR2;
(c)SEQ ID NO:19のアミノ酸配列を含むVH CDR3;
(d)SEQ ID NO:29のアミノ酸配列を含むVL CDR1;
(e)SEQ ID NO:30アミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は
(f)SEQ ID NO:31のアミノ酸配列を含むVL CDR3
を含む。
【0251】
一部の具体例において、ヒトFAM19A5に特異的に結合する本発明の抗-FAM19A5抗体、又はその抗原-結合断片は:
(a)SEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含むVH CDR1;
(b)SEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び/又は
(c)SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含むVH CDR3
を含む。
【0252】
一部の具体例において、抗体、又はその抗原-結合断片は、前記VH CDRのうち、1個、2個、又は3個全部を含む。
【0253】
一部の具体例において、ヒトFAM19A5に特異的に結合する抗-FAM19A5抗体、又はその抗原-結合断片は:
(a)SEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含むVL CDR1;
(b)SEQ ID NO:33のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は
(c)SEQ ID NO:34のアミノ酸配列を含むVL CDR3
を含む。
【0254】
一部の具体例において、抗体、又はその抗原-結合断片は、前記VL CDRのうち、1個、2個、又は3個全部を含む。
【0255】
一部の具体例において、ヒトFAM19A5に特異的に結合する抗-FAM19A5抗体、又はその抗原-結合断片は:
(a)SEQ ID NO:20のアミノ酸配列を含むVH CDR1;
(b)SEQ ID NO:21のアミノ酸配列を含むVH CDR2;
(c)SEQ ID NO:22のアミノ酸配列を含むVH CDR3;
(d)SEQ ID NO:32のアミノ酸配列を含むVL CDR1;
(e)SEQ ID NO:33アミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は
(f)SEQ ID NO:34のアミノ酸配列を含むVL CDR3
を含む。
【0256】
一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体、又はその抗原-結合断片は、前記CDRのうち、1個、2個、3個、4個、5個、又は6個を含む。
【0257】
本発明で説明されるVHドメイン又はその一つ以上のCDRは、重鎖、例えば全長重鎖を形成するために不変ドメインに連結され得る。類似に、本発明で説明されるVLドメイン又はその一つ以上のCDRは、軽鎖、例えば全長軽鎖を形成するために不変ドメインに連結され得る。全長重鎖と全長軽鎖は組み合わせられて全長抗体を形成することができる。
【0258】
したがって、一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体は、抗体軽鎖及び重鎖、例えば分離された軽鎖及び重鎖を含む。軽鎖に関連して、特定の具体例において、本発明で説明される抗体の軽鎖はカッパ軽鎖である。一部の具体例において、本発明で説明される抗体の軽鎖はラムダ軽鎖である。一部の具体例において、本発明で説明される抗体の軽鎖はヒトカッパ軽鎖又はヒトラムダ軽鎖である。特定の具体例において、FAM19A5ポリペプチド(例えば、ヒトFAM19A5)に特異的に結合する、本発明で説明される抗体は、本発明に説明された任意のVL又はVL CDRアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、軽鎖の定常領域は、ヒトカッパ軽鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。一部の具体例において、FAM19A5ポリペプチド(例えば、ヒトFAM19A5)に特異的に結合する、本発明で説明される抗体は、本発明に説明されたVL又はVL CDRアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、軽鎖の定常領域は、ヒトラムダ軽鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。ヒト定常領域配列の非制限的な例は当該分野で説明されており、例えば米国特許第5,693,780号及びKabat E.A.et al.,(1991)(同上)を参照する。
【0259】
重鎖に関連して、一部の具体例において、本発明で説明される抗体の重鎖は、アルファ(α)、デルタ(δ)、エプシロン(ε)、ガンマ(γ)又はミュー(μ)重鎖であり得る。他の特定の具体例において、本発明で説明される抗体の重鎖は、ヒトアルファ(α)、デルタ(δ)、エプシロン(ε)、ガンマ(γ)又はミュー(μ)重鎖を含むことができる。一具体例において、FAM19A5(例えば、ヒトFAM19A5)に特異的に結合する、本発明で説明される抗体は、本発明に説明されるVH又はVH CDRアミノ酸配列を含む重鎖を含み、重鎖の定常領域は、ヒトガンマ(γ)重鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。一部の具体例において、FAM19A5(例えば、ヒトFAM19A5)に特異的に結合する、本発明で説明される抗体は、本発明に開示されたVH又はVH CDRアミノ酸配列を含む重鎖を含み、重鎖の定常領域は、本発明で説明されたり或いは当該分野に公知されたヒト重鎖のアミノ酸配列を含む。ヒト定常領域配列の非制限的な例は当該分野に説明されており、例えば米国特許第5,693,780号及びKabat E.A.et al.,(1991)(同上)を参照する。
【0260】
一部の具体例において、FAM19A5(例えば、ヒトFAM19A5)に特異的に結合する、本発明で説明される抗体は、本発明に説明されたVH又はVH CDR及びVL又はVL CDRを含むVLドメイン及びVHドメインを含み、定常領域は、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA又はIgY免疫グロブリン分子、又はヒトIgG、IgE、IgM、IgD、IgA又はIgY免疫グロブリン分子の定常領域のアミノ酸配列を含む。特定の具体例において、FAM19A5(例えば、ヒトFAM19A5)に特異的に結合する、本発明で説明される抗体は、本発明に説明された任意のアミノ酸配列を含むVLドメイン及びVHドメインを含み、定常領域は、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA又はIgY免疫グロブリン分子、免疫グロブリン分子の任意の亜型(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)の定常領域のアミノ酸配列を含む。一部の具体例において、定常領域は、亜型(例えば、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4)及びアロタイプ(例えば、G1m、G2m、G3m及びnG4m)及びそれらの変異体を含む、自然-発生である、ヒトIgGの定常領域のアミノ酸配列を含む。例えば、Vidarsson G.et al.,Front Immunol.5:520(2014年10月20日オンライン公開)及びJefferis R.and Lefranc M.P.,mAbs1:4,1-7(2009)を参照する。一部の具体例において、定常領域は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4、又はそれらの変異体の定常領域のアミノ酸配列を含む。
【0261】
特定の具体例において、本発明に開示された抗-FAM19A5抗体又はその抗原-結合断片は、Fcエフェクター機能、例えば補体-依存性細胞毒性(CDC)及び/又は抗体-依存性細胞飽食作用(ADCP)を有しない。エフェクター機能はFc領域によって媒介され、Fc領域のCH2ドメインでヒンジ領域に最も近接している残基が抗体のエフェクター機能を担当し、それは先天免疫システムのエフェクター細胞上でC1q(補体)及びIgG-Fc受容体(FcγR)に対してかなり重なった結合部位を含有する。また、IgG2及びIgG4抗体は、IgG1及びIgG3抗体よりも低いレベルのFcエフェクター機能を有する。抗体のエフェクター機能は、次のような当該分野に公知の個別の接近法によって減少又は回避され得る:(1)Fc領域を欠いた抗体断片(例えば、Fab、F(ab’)2、単鎖Fv(scFv)、又はモノマーVH又はVLドメインで構成されたsdAb)の使用;(2)例えば糖の付着した残基の欠失又は変更、酵素的に糖の除去、グリコシル化阻害剤の存在下に培養された細胞で抗体の生成、又はタンパク質をグリコシル化できない細胞(例えば、バクテリア宿主細胞、米国特許公開第20120100140号参照)において抗体の発現によって生成され得る、無グリコシル化抗体の生成;(3)エフェクター機能が減少したIgG亜型からFc領域(例えば、IgG2又はIgG4抗体からのFc領域又はIgG2又はIgG4抗体からのCH2ドメインを含むキメラFc領域)の利用(例えば、米国特許公開第20120100140号及びLau C.et al.,J.Immunol.191:4769-4777(2013)参照);及び(4)Fe機能がないか減少した状態をもたらす突然変異を有するFc領域の生成(例えば、米国特許公開第2012-0100140号及びそこに引用された米国出願及びPCT出願とAn et al.,mAbs1:6,572-579(2009)参照)。
【0262】
したがって、一部の具体例において、本発明に開示された抗体又はその抗原-結合断片は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、単鎖Fv(scFv)、又はモノマーVH又はVLドメインで構成されたsdAbである。このような抗体断片は当該分野に公知であり、上述されている。
【0263】
一部の具体例において、本発明に開示された抗-FAM19A5抗体又はその抗原-結合断片は、Fcエフェクター機能がないか減少したFc領域を含む。一部の具体例において、定常領域はヒトIgG2又はIgG4のFc領域のアミノ酸配列を含む。一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体はIgG2/IgG4アイソタイプである。一部の具体例において、抗-FAM19A5抗体はIgG4アイソタイプのIgG抗体からCH2ドメインとIgG1アイソタイプのIgG抗体からCH3ドメインを含むキメラFc領域、又はIgG2からヒンジ領域とIgG4からCH2領域を含むキメラFc領域、又はFc機能がないか減少した突然変異を有するFc領域を含む。Fcエフェクター機能がないか減少したFc領域は当該分野に公知のものを含む。例えば、Lau C.et al.,J.Immunol.191:4769-4777(2013);An et al.,mAbs1:6,572-579(2009);及び米国特許公開第20120100140号及びそこに引用された米国特許と特許公開及びPCT公開を参照する。また、Fcエフェクター機能がないか減少したFc領域は、当業者にとって容易に製造可能である。
【0264】
VI.核酸分子
本発明で説明される他の態様は、本発明で説明される抗体又はその抗原-結合断片のいずれか一つを暗号化する一つ以上の核酸分子に関する。核酸は、全細胞に、細胞溶解物に、又は部分的に精製された形態や実質的に純粋な形態で存在できる。核酸はアルカリ性/SDS処理、CsClバンディング、カラムクロマトグラフィー、制限酵素、アガロースゲル電気泳動及び当該分野に公知の他の技術を含む標準技術によって、他の細胞成分又は他の汚染物、例えば他の細胞核酸(例えば、他の染色体DNA、例えば自然から分離されたDNAに連結された染色体DNA)又はタンパク質から精製されたとき、“分離”されたり、又は“実質的に純粋”である(F.Ausubel,et al.,ed.Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing and Wiley Interscience,New York(1987)参照)。本発明に説明された核酸は、例えばDNA又はRNAでよく、イントロン配列を含有しても含有しなくてもよい。特定の具体例において、核酸はcDNA分子である。
【0265】
本発明に説明された核酸は、標準分子生物学技術を用いて得ることができる。ハイブリドーマ(例えば、より詳細に後述されるように、ヒト免疫グロブリン遺伝子を持つ遺伝子導入マウスから製造されたハイブリドーマ)によって発現した抗体の場合、このハイブリドーマによって製造された抗体の軽鎖及び重鎖を暗号化するcDNAは、標準PCR増幅又はcDNAクローニング技術によって取得され得る。免疫グロブリン遺伝子ライブラリー(例えば、ファージ展示技術を用いる。)から得られた抗体の場合、この抗体を暗号化する核酸がライブラリーから回収され得る。
【0266】
本発明で説明される特定核酸分子は、本発明の様々な抗-FAM19A5抗体のVH及びVL配列を暗号化するものである。このような抗体のVH配列を暗号化する例示的なDNA配列は、SEQ ID NO:43-46及び177に提示される。このような抗体のVL配列を暗号化する例示的なDNA配列はSEQ ID NO:47-50及び178に提示される。
【0267】
【0268】
【表8】
本発明に開示された抗-FAM19A5抗体又はその抗原-結合断片の製造方法は、信号ペプチドと共に重鎖及び軽鎖を暗号化するヌクレオチド配列、例えばそれぞれSEQ ID NO:43及び47、SEQ ID NO:44及び48、SEQ ID NO:45及び49、SEQ ID NO:46及び50、SEQ ID NO:177及び178を含むセルラインにおいて抗体の関連した重鎖及び軽鎖を発現させることを含むことができる。それらのヌクレオチド配列を含む宿主細胞が本発明に含まれる。
【0269】
VH及びVLセグメントを暗号化するDNA断片が得られた後、それらのDNA断片は、例えば可変領域遺伝子を全長抗体鎖遺伝子、Fab断片遺伝子又はscFv遺伝子に転換するために、標準組換えDNA技術によってさらに操作され得る。それらの操作において、VL-又はVH-暗号化DNA断片は、抗体定常領域又は可撓性リンカーのような他のタンパク質を暗号化する他のDNA断片に作動可能に連結される。それと関連して使われた用語“作動可能に連結された”とは、2個のDNA断片によって暗号化されたアミノ酸配列がイン-フレーム(in-frame)を維持するように2個のDNA断片がつながることを意味する。
【0270】
VH領域を暗号化する分離されたDNAは、VH-暗号化DNAを重鎖定常領域(ヒンジ、CH1、CH2及び/又はCH3)を暗号化する他のDNA分子に作動可能に連結することによって全長重鎖遺伝子に転換され得る。ヒト重鎖定常領域遺伝子の配列は当該分野に公知であり(例えば、Kabat,E.A.,et al.,(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242参照)、それらの領域を含むDNA断片が標準PCR増幅によって得られる。重鎖定常領域はIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgM又はIgD定常領域、例えばIgG2及び/又はIgG4定常領域であり得る。Fab断片重鎖遺伝子の場合、VH-暗号化DNAは単に重鎖CH1定常領域のみを暗号化する他のDNA分子に作動可能に連結され得る。
【0271】
VL領域を暗号化する分離されたDNAはVL-暗号化DNAを軽鎖定常領域CLを暗号化する他のDNA分子に作動可能に連結することによって全長軽鎖遺伝子に転換され得る。ヒト軽鎖定常領域遺伝子の配列は当該分野に公知であり(例えば、Kabat,E.A.,et al.,(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242参照)、それらの領域を含むDNA断片が標準PCR増幅によって得られる。軽鎖定常領域はカッパ又はラムダ定常領域であり得る。
【0272】
scFv遺伝子を生成するために、VH-及びVL-暗号化DNA断片が、可撓性リンカーを暗号化する、例えばアミノ酸配列(Gly4-Ser)3を暗号化する他の断片に作動可能に連結され、これでVLとVH領域が可撓性リンカーによってつながった状態でVH及びVL配列が連続単鎖タンパク質として発現し得る(例えば、Bird et al.,Science 242:423-426(1988);Huston et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA85:5879-5883(1988);McCafferty et al.,Nature348:552-554(1990)参照)。
【0273】
一部の具体例において、本発明に開示されたベクターは、抗体又はその抗原-結合断片を暗号化するヌクレオチド配列を含む分離された核酸分子を含む。特定の具体例において、ベクターは遺伝子療法に用いられ得る。
【0274】
本発明に適したベクターは、発現ベクター、ウイルスベクター、及びプラスミドベクターを含む。一具体例において、ベクターはウイルスベクターである。
【0275】
本発明で使われるとおり、“発現ベクター”とは、適切な宿主細胞に導入されたとき、挿入されたコード配列の転写及び翻訳のための必須要素、又はRNAウイルスベクターの場合、複製及び翻訳のための必須要素を含有する任意の核酸構成物を指す。発現ベクターはプラスミド、ファージミド、ウイルス、及びそれらの誘導体を含むことができる。
【0276】
VII.抗体生成
本発明に開示された抗-FAM19A5抗体又はその抗原-結合断片は、抗体の合成のための当該分野に公知の任意の方法によって、例えば化学的合成又は組換え発現技術によって生成され得る。本発明で説明される方法は、特に記載がない限り、分子生物学、微生物学、遺伝子分析、組換えDNA、有機化学、生化学、PCR、オリゴヌクレオチド合成及び修飾、核酸混成化、及び当該分野の技術範囲における関連分野の従来技術を用いる。それらの技術は、引用された参考資料に記述され、文献に十分に説明されている。例えば、Maniatis T.et al.,( 1982)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press;Sambrook J.et al.,(1989)、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press;Sambrook J.et al.,(2001)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY;Ausubel F.M.et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons(1987 and annual updates);Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons(1987 and annual updates)Gait(ed.)(1984)Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,IRL Press;Eckstein(ed.)(1991)Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach,IRL Press;Birren B.et al.,(eds.)(1999)Genome Analysis:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照する。
【0277】
一部の具体例において、本発明で説明される抗体は、例えば合成、DNA配列の遺伝子操作による生成を伴う任意の手段によって製造、発現、生成又は分離された抗体(例えば、組換え抗体)である。特定の具体例において、このような抗体は、生体内動物又は哺乳類(例えば、ヒト)の抗体ジャームラインレパートリー内に自然的に存在しない配列(例えば、DNA配列又はアミノ酸配列)を含む。
【0278】
VIII.製薬学的組成物
生理学的に許容される担体、賦形剤又は安定化剤(Remington’s Pharmaceu-tical Sciences(1990)Mack Publishing Co.,Easton、ペンシルバニア)中の所望する程度の純度を持つ本発明で説明される抗体又はその抗原-結合断片を含む組成物が本発明で提供される。許容される担体、賦形剤又は安定化剤は、利用された投薬量及び濃度において受容者に非毒性であり、バッファ、例えばホスフェート、シトレート及び他の有機酸;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;保存剤(例えば塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメソニウム;塩化ベンザルコニウム;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えばメチル又はプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール);低分子量(約10個残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン;親水性重合体、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリシン;単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、又はデキストリンを含む他の炭水化物;キレート化剤、例えばEDTA;糖、例えばスクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトール;塩-形成反対-イオン、例えばナトリウム;金属複合体(例えば、Zn-タンパク質複合体);及び/又は非-イオン界面活性剤、例えばTWEEN(登録商標)、PLURONICS(登録商標)又はポリエチレングリコール(PEG)を含む。
【0279】
特定の具体例において、製薬学的組成物は、本発明で説明される抗体又はその抗原-結合断片、二重特異的分子、又は免疫コンジュゲート、及び選択的に一つ以上の追加の予防又は治療剤を、製薬学的に許容される担体中に含む。特定の具体例において、製薬学的組成物は、本発明で説明される抗体又はその抗原-結合断片の有効量、及び選択的に一つ以上の追加の予防又は治療剤を、製薬学的に許容される担体中に含む。一部の具体例において、抗体は、製薬学的組成物に含まれた唯一の活性成分である。本発明で説明される製薬学的組成物はFAM19A5活性を減少させることにおいて有用であり、したがって、主要うつ病性障害又は双極性障害のような気分障害を治療することができる。
【0280】
非経口製造物において使用された製薬学的に許容される担体は、水性ビークル、非水性ビークル、抗菌剤、等張剤、バッファ、抗酸化剤、局所痲酔剤、懸濁及び分散剤、乳化剤、封鎖又はキレート化剤及び他の製薬学的に許容される物質を含む。水性ビークルの例は、塩化ナトリウム注射液、点滴注射液、等張デキストロース注射液、滅菌水注射液、デキストロース及びラクテート点滴注射液を含む。非水性非経口ビークルは、植物起源の固定油、綿実油、トウモロコシ油、ゴマ油及び落花生油を含む。靜菌又は靜真菌濃度の抗菌剤が多数-容量容器にパッケージされた非経口製造物に添加されてもよく、それらはフェノール又はクレゾール、水銀含有物質、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチル及びプロピルp-ヒドロキシベンゾ酸エステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウム及び塩化ベンゼトニウムを含む。等張剤は、塩化ナトリウム及びデキストロースを含む。バッファは、ホスフェート及びシトレートを含む。抗酸化剤は重硫酸ナトリウムを含む。局所痲酔剤はプロカイン塩酸塩を含む。懸濁及び分散剤は、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルピロリドンを含む。乳化剤は、ポリソルベート80(TWEEN(登録商標)80)を含む。金属イオンの封鎖又はキレート化剤はEDTAを含む。製薬学的担体はまた、水混和性ビークルのためにエチルアルコール、ポリエチレングリコール及びプロピレングリコールを含み、pH調整のために水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸又は乳酸を含む。
【0281】
製薬学的組成物は、対象に対する任意の投与経路に合わせて製剤化できる。投与経路の具体的な例は、鼻内、経口、非経口、髄腔内、脳室内、肺、皮下、又は心室内経路を含む。皮下、筋肉内又は静脈内注射を特徴とする非経口投与もさらに本発明で考慮される。注射可能物質が従来の形態で、液体溶液又は懸濁液、注射前に液体中で溶液又は懸濁液になるに適した固体形態、又はエマルジョンとして製造され得る。注射可能物質、溶液及びエマルジョンはさらに一つ以上の賦形剤を含有する。適切な賦形剤は、例えば、水、食塩水、デキストロース、グリセロール又はエタノールである。これに加えて、必要によって、投与される製薬学的組成物はさらに、少量の非-毒性補助物質、例えば湿潤又は乳化剤、pH緩衝剤、安定化剤、溶解性増進剤、及び他のかかる製剤、例えばナトリウムアセテート、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレート及びシクロデキストリンを含有し得る。
【0282】
抗体の非経口投与のための製造物は、直に注射可能な滅菌溶液、皮下注射用錠剤を含む使用直前に溶媒と直に組み合わせ可能な滅菌乾燥可溶性製品、例えば凍結乾燥した粉末、直に注射可能な滅菌懸濁液、使用直前にビークルと直に組み合わせ可能な滅菌乾燥不溶性製品及び滅菌エマルジョンを含む。溶液は水性又は非水性であり得る。
【0283】
静脈内投与される場合、適切な担体は、生理学的食塩水又はリン酸緩衝食塩水(PBS)、及び増粘及び溶解剤を含有する溶液、例えばグルコース、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール及びそれらの混合物を含む。
【0284】
抗体を含む局部用混合物は、局所及び全身投与に対して説明された通りに製造される。得られた混合物は、溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり得、クリーム、ゲル、軟膏、エマルジョン、溶液、エリキシル、ローション、懸濁液、チンキ、ペースト、フォーム、エアロゾル、灌注剤、スプレー、坐薬、包帯、皮膚パッチ又は局部的投与に適した任意の他の製剤として製剤化できる。
【0285】
本発明で説明される抗体又はその抗原-結合断片は、例えば吸入による、局部的投与のためのエアロゾルとして製剤化できる(例えば、米国特許第4,044,126号、第4,414,209号及び第4,364,923号参照、それらは炎症性疾患、特に喘息の治療に有用なステロイドの送達のためのエアロゾルを説明する)。気道に投与するためのそれらの製剤は、噴霧器用のエアロゾル又は溶液の形態であるか、又は吸入剤用の超微粒粉末であり得、単独で使用されるか又はラクトースのような不活性担体と組み合わせられる。この場合、製剤の粒子は、一具体例において50ミクロン未満、一具体例において10ミクロン未満の直径を有するだろう。
【0286】
本発明で説明される抗体、又はその抗原-結合断片は、局所又は局部的適用、例えば皮膚及び粘膜に局部的適用、例えば目への局所適用のために、ゲル、クリーム及びローションとして製剤化でき、目への適用又は脳槽内(intracisternal)又は脊椎内適用のために製剤化できる。局部的投与は、経皮送達のために考慮され、また目や粘膜投与、又は吸入療法のために考慮される。他の製薬学的に許容される賦形剤と組み合わせて又は単独で抗体の鼻溶液が投与されてもよい。
【0287】
イオン泳動及び電気泳動装置を含む経皮パッチが当業者には公知であり、抗体を投与するために用いられ得る。例えば、かかるパッチは、米国特許第6,267,983号、第6,261,595号、第6,256,533号、第6,167,301号、第6,024,975号、第6,010,715号、第5,985,317号、第5,983,134号、第5,948,433号、及び第5,860,957号に説明される。
【0288】
特定の具体例において、本発明で説明される抗体又はその抗原-結合断片を含む製薬学的組成物は、凍結乾燥した粉末であり、これは溶液、エマルジョン及び他の混合物として投与のために復元され得る。凍結乾燥した粉末はまた、固体又はゲルとして復元及び製剤化されてもよい。凍結乾燥した粉末は、本発明で説明される抗体又はその抗原-結合断片、又はその製薬学的に許容される誘導体を適切な溶媒に溶解することによって製造される。一部の具体例において、凍結乾燥した粉末は滅菌状態である。溶媒は、粉末又は粉末から製造された復元された溶液の安定性又は他の薬物学的成分を改善する賦形剤を含有し得る。使用可能な賦形剤は、これに制限されないが、デキストロース、ソルビトール、フルクトース、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロース又は他の適切な製剤を含む。また、溶媒は、一具体例において、およそ中性pHの、バッファ、例えばシトレート、ナトリウム又はカリウムホスフェート又は当業者に公知の他のバッファを含有し得る。溶液の後続滅菌ろ過後に、当業者に公知の標準条件下での凍結乾燥は所望の製剤を提供する。一具体例において、得られた溶液は凍結乾燥用バイアルに配分され得る。各バイアルは化合物の単一投薬量又は多数投薬量を含有するだろう。凍結乾燥した粉末は適切な条件下に、例えば約4℃~室温で保管され得る。
【0289】
注射用水によるこの凍結乾燥した粉末の復元は、非経口投与に使用するための製剤を提供する。復元のために凍結乾燥した粉末が滅菌水又は他の適切な担体に添加される。正確な量は、選ばれた化合物による。このような量は経験的に決定され得る。
【0290】
本発明で説明される抗体又はその抗原-結合断片、二重特異的分子、又は免疫コンジュゲート及び本発明で提供された他の組成物はまた、治療される対象の特定組織、受容体、又は他の身体領域に標的化されるように製剤化できる。かかる多くの標的化方法が当業者に公知されている。このようないかなる標的化方法も本組成物に使用することが本発明で考慮される。標的化方法の非制限的な例は、例えば米国特許第6,316,652号、第6,274,552号、第6,271,359号、第6,253,872号、第6,139,865号、第6,131,570号、第6,120,751号、第6,071,495号、第6,060,082号、第6,048,736号、第6,039,975号、第6,004,534号、第5,985,307号、第5,972,366号、第5,900,252号、第5,840,674号、第5,759,542号及び第5,709,874号を参照する。特定の具体例において、本発明で説明される抗-FAM19A5抗体又はその抗原-結合断片は、主要うつ病性障害又は双極性障害のような気分障害を治療するために用いられ得る。
【0291】
生体内投与に用いられる組成物は滅菌され得る。例えば、滅菌ろ過膜を通したろ過によって容易に滅菌される。
【0292】
IX.キット
本発明で説明される一つ以上の抗体又はその抗原-結合断片を含むキットが本発明で提供され、前記キットは診断又は治療のためのものである。特定の具体例において、本発明で提供された一つ以上の抗体又はその抗原-結合断片のような、本発明に説明された組成物の成分のうち一つ以上で満たされた一つ以上の容器、選択的な使用説明書を含むパック又はキットが本発明で提供される。一部の具体例において、キットは、本発明で説明される組成物及び本発明に説明されたような任意の診断、予防又は治療剤を含有する。
【0293】
実施例
以下の実施例において次の実験方法及び詳細な内容が参照される。
【0294】
実施例1
ヒトFAM19A5タンパク質の発現及び精製
組換えヒトFAM19A5タンパク質を製造して精製し、精製されたタンパク質を結合親和性分析に基づく抗体スクリーニング分析に使用した。まず、FAM19A5遺伝子を含有するLPS-hTプラスミドをバクテリアに形質転換させてタンパク質過発現を誘導した。製造後、FAM19A5タンパク質をNi-NTA親和性クロマトグラフィー(Qiagen、Valencia、米国カリフォルニア)を用いて精製した。イミダゾールを徐々に高い濃度で使用してNi-カラムからHig-タグされたFAM19A5タンパク質を除去した。溶液中のタンパク質発現はクマシーブリリアントブルーR-250染料を用いて測定される。FAM19A5イミダゾール含有溶液のみに対してPBSを用いてFAM19A5タンパク質を濃縮した。濃縮が完了したとき、FAM19A5タンパク質の純度及び濃度をウェスタンブロット分析を用いて測定した。次に、濃縮されたタンパク質を用いてFAM19A5-特異的抗体をスクリーニングした。
【0295】
実施例2
FAM19A5抗体ライブラリーの生成
FAM19A5ペプチドを合成し、KLH(Anygen Co.,Ltd.)にC-末端でコンジュゲートしてニワトリの免疫化のための抗原として使用した。合成ペプチドKLHコンジュゲート50μgを750μLリン酸緩衝食塩水(PBS)に混合し、30分間37℃でインキュベーションした。その後、毒素を2%スクアレンエンドトキシンMPL(モノホスホリル化脂質A種)から除去し、油中水型乳剤アジュバント(RIBI+MPL+TDM+CWSアジュバント、Sigma,St.Louis、米国ミズーリ)を含有するTDW及びCWSの細胞壁成分のマイコバクテリアをエマルジョン化した後、これを3匹のニワトリに皮下注射した。ニワトリは、略2~3週の間隔で総3回免疫化した。免疫化されたニワトリから得られた抗体の力価を、FAM-19A5タンパク質を過発現したHEK293T細胞の細胞溶解物を用いて免疫ブロットで測定した。3回免疫化されたニワトリからの血清を1次抗体として使用した。使用された2次抗体は、HRP(セイヨウワサビペルオキシダーゼ)にコンジュゲートされた抗-ニワトリIgG(Y)ポリクロナール抗体(ウサギ抗-ニワトリIgG(Y)-HRP、Millipore corporation、Billeria、米国マサチューセッツ)だった。
【0296】
TRI試薬(Invitrogen、Carlsbad、米国カリフォルニア)を用いて免疫化されたニワトリから単鎖可変断片(scFv)ライブラリーを製造し、前記説明された免疫化されたニワトリの脾臓、骨髄、及び滑膜嚢からRNAを抽出した。オリゴ-dTプライマーとSUPER-SCRIPTTMIII第1-鎖合成システム(Invitrogen)を用いて第1鎖cDNAを合成した。ニワトリの免疫システムから得られたcDNAに対して、拡張型高忠実度PCRシステム(Roche Molecular Systems、米国インディアナポリス)を用いて単鎖可変領域ライブラリーを生成した。各反応において、1μL cDNA、各プライマー60pmol、10x反応バッファ溶液10μL、2.5mM dNTP(Promega、Madison、米国ウィスコンシン)8μL、及びTaq DNA重合酵素0.5μLを水と混合した。最終体積は100μLだった。PCR反応を次の条件を用いて行った:(i)94℃で15秒、(ii)56℃で30秒、及び(iii)72℃で90秒の30サイクル、次に72℃で10分間最終拡張。約350bpの長さを有する断片を含むPCR産物を1.5%アガロースゲル上にローディングして電気泳動後、QIAGEN Gel II抽出キット(QIAGEN、Valencia、米国カリフォルニア)を用いて前記ヌクレオチド断片を精製した。精製されたPCR産物をOD260nmで読み取って定量した(1ユニットOD=50μg/ml)。
【0297】
2番目のPCRから2個のVH及びVL1次産物を重複拡張PCRによって無作為に連結した。各PCR反応物を精製されたVL及びVH産物100ng、各プライマー60pmol、10x反応バッファ10μL、2.5mM dNTP 8μL、Taq DNA重合酵素0.5μL、及び最終体積100μLになる量の水と混合した。PCRを次の条件で行った:(i)94℃で15秒、(ii)56℃で30秒、及び(iii)72℃で2分の25サイクル、次に72℃で10分間最終拡張。約700bpの長さを有する単鎖可変領域断片を含むPCR産物を1.5%アガロースゲル上にローディングして電気泳動後、QIAGEN Gel II抽出キット(QIAGEN)を用いて前記ヌクレオチド断片を精製した。精製されたPCR産物をOD260nmで判読み取って定量した(1ユニットOD=50μg/ml)。
【0298】
PCR産物のscFv断片とベクターpComb3X-SS(The Scripps Research Institute、米国カリフォルニア)をSfi I生成制限酵素で酵素切断した。精製された重複PCR産物10μgをSif I360ユニット(16ユニット当たり1μg DNA、Roche Molecular Systems、Pleasanton、米国カリフォルニア)、10x反応バッファ20μL及び最終体積200μLになる量の水と混合した。pComb3X-SSベクター20μgをSfi I120ユニット(6ユニット当たり1μg DNA)、10x反応バッファ溶液20μL及び最終体積が200μLになる量の水と混合した。混合物を8時間50℃で酵素切断した。その後、scFv断片(約700bp)とベクター(約3400bp)を含む酵素切断された生成物を1%アガロース上にローディングし、ゲル抽出キットII QIAGEN(QIAGEN、Valencia、米国カリフォルニア)を用いて精製した。Sfi I-制限されたpComb3Xベクター1400ngと酵素切断されたscFv断片700ngを5xリガーゼバッファ、T4 DNAリガーゼ10μL(Invitrogen、Carlsbad、米国カリフォルニア)及び最終体積が200μLになる量の水と混合した。混合物を16時間16℃でインキュベーションしてリゲーションを行った。
【0299】
エタノール沈殿後、DNAペレットを水15μLに溶解した。ライブラリーを生成するために、リゲーションサンプルをバイブレーター遺伝子(Gene pulser:Bio-Rad Laboratories、Hercules、米国カリフォルニア)を用いて電気穿孔によりE.コリ菌株ER2738(New England Biolabs Inc、Hitchin、Hertfordshine、SG4OTY、英国イングランド)に形質転換させた。細胞を5mLスーパーブロス(SB)培地と混合して37℃で1時間250rpmで撹拌しながらインキュベーションした。次に、100mg/mLカナマイシン3μLをSB培地10mLに添加した。ライブラリーサイズを決定するために、0.1μL、1μL及び10μLの培養物サンプルを、50μg/mLカナマイシンを含有するルリアブロス(LB)寒天平板上に塗り付けた。1時間撹拌後、100mg/mLカナマイシン4.5μLをLB培養物に添加し、1時間さらに撹拌した。次に、水に入れたVCM13ヘルパーファージ2mL(>1011cfu/ml)を、100mg/mLカナマイシン92.5μLを含有する予熱されたLB(183mL)と共にLB培地に添加した。この混合物を2時間さらに37℃で250rpmで撹拌した。次に、カナマイシン280μL(50mg/mL)を培養物に添加し、37℃で一晩撹拌した。翌日、バクテリアペレットを高速遠心分離器(Beckman、JA-10ローター)を用いて4℃で3,000gで遠心分離した。その後、バクテリアペレットを用いてプラスミドDNAを抽出する一方で、上澄液を滅菌遠心分離瓶に移し入れた。次に、ポリエチレングリコール-8000(PEG-8000、Sigma)8gと塩化ナトリウム(NaCl)6gを上澄液に添加した後、氷に30分間入れておいた。その後、上澄液を4℃で15,000gで15分間遠心分離した。次に、上澄液を捨て、ファージペレットを緩衝食塩水(TBS)に懸濁した。
【0300】
実施例3
固定された抗原上でのライブラリーパンニング(バイオ-パンニング)
マグネチックビーズ(Dynabeads M-270エポキシ、Invitrogen)を用いてバイオ-パンニングを行った。室温で20時間ビーズとタンパク質を共に回転撹拌させ、室温で略1×107ビーズを組換えFAM19A5タンパク質5μgでコーティングした。コーティングが完了した後、リン酸緩衝食塩水(PBS)で4回洗浄し、室温で3% BSAを含有するPBS中で1時間遮断させた。次に、コーティングされたビーズを前記説明されたファージ-展示されたscFvと共に室温で2時間培養した。抗原コーティングされたビーズに結合しなかったファージを除去するためにビーズを0.05% Tween 20/PBSで洗浄した。次に、結合したファージを0.1Mグリシン/塩化水素(0.1Mグリシン-HCl、pH 2.2)50μLで溶出させ、塩化水素と共に2Mトリス(トリス-HCl、pH9.1)3μLで中和させた。このファージ-含有上澄液を用いてE.コリ菌株ER2738細胞を感染させ、VCSM13ヘルパーファージを用いて一夜増幅させて救済した。また、50μg/mLカナマイシンを含有するLB寒天平板上にファージ-感染された培養物をブロットし、ファージ-感染された培養物からファージ力価によって投入量(インプット)及び生成量(アウトプット)を決定した。翌日、PEG-8000とNaClを用いてファージを沈殿させ、次いでバイオ-パンニングに使用した。前記過程を反復することによって最大総5回のバイオ-パンニングを行った。各増幅ごとにFAM19A5タンパク質に対する高い親和性のためにファージをスクリーニングして選択した。
【0301】
実施例4
ファージELISAによるクローンの選択
バイオ-パンニングから選択されたクローンを分析するために、ファージ-展示されたscFvから個別クローンを無作為で選択し、ELISAを用いて、選択されたクローンがFAM19A5組換えタンパク質に結合するか否か確認した。FAM19A5組換えタンパク質を0.1M NaHCO3バッファで希釈し、ウェル当たり100ngのタンパク質を用いて16時間4℃で96-ウェルマイクロタイタープレートをコーティングした。翌日、プレートを1時間37℃で3% BSA/PBSで遮断させた。次に、ファージ上澄液を6% BSA/PBSと混合し、37℃で2時間培養した。次に、上澄液を含有したプレートを0.05% Tween20/PBSで洗浄した。HRP-コンジュゲートされたM13抗体(a-M13-HRP、Pierce Chemical Co、Rockford、米国イリノイ)を1/5000に希釈した。希釈された抗体50μLをプレートに添加し、37℃で1時間インキュベーションした。インキュベーション及び洗浄後、色展開のためにプレートに0.05Mクエン酸緩衝溶液、1μg/mLの2,2’-アジノー-ビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸)(ABTS、Amresco、Solon、米国オハイオ)及び0.1% H2O2を添加した。405nmで各ウェルの吸光度を測定した。
【0302】
FAM19A5組換えタンパク質に結合し、高い吸光度を示したクローン(n=24)を分析した。それらのクローンから独特の配列を有する13個のscFvクローンを得た。追加選択後、クローン2-13、3-2、1-65、及び1-28を得た。
【0303】
実施例5
抗-FAM19A5-IgG2/4抗体の生成
抗-FAM19A5scFvを哺乳類発現ベクターにサブクローニングした。FAM19A5scFv遺伝子配列において、ヒトCκ遺伝子を軽鎖可変ドメインに連結し、CH1、CH2、及びCH3遺伝子のヒト免疫グロブリンアイソタイプIgG2/4を重鎖可変領域に連結した。制限部位(Genscript、米国)を付加して各軽鎖及び各重鎖を有する抗体を合成した。クローニングを容易にするために、合成された遺伝子を、変形された制限部位を有する哺乳類細胞発現ベクターに挿入した。まず、軽鎖遺伝子をHind III及びXba I(New England Biolabs、英国)制限酵素を用いてベクターに挿入し、次いでNheI及びBamHI(New England Biolabs、英国)制限酵素を用いてベクターに重鎖遺伝子を付加した。
【0304】
抗-FAM19A5-IgG2/4抗体を発現し精製するために、哺乳類細胞形質導入及び過発現注射システムを使用した。細胞培養体積の1/10に相応する150mM塩化ナトリウム(NaCl、Merck)中にポリエチレンイミン(PEI,Polysciences、Warrington、米国ペンシルバニア)4μgと哺乳類発現ベクター2μg/mLを混合した。混合物を室温で15分間そのまま置いた。混合物をHEK293F細胞(2×106細胞/mL、Invitrogen)に添加した後、6日間135rpmの撹拌条件で7% CO2及び37℃で100U/mLペニシリン及びストレプトマイシン(Invitrogen)を含有するFREESTYLETM293発現培養培地中でインキュベーションした。細胞培養上澄液から発現した抗-FAM19A5 IgG2/4抗体を精製するために、タンパク質Aビーズ(RepliGen、Waltham、米国マサチューセッツ)親和性ゲルクロマトグラフィーを使用した。タンパク質Aクロマトグラフィーは4~12% Bis-Tris勾配ゲル電気泳動上で進行された。タンパク質のサイズ及び収率をクマシーブリリアントブルー染色によって確認した。
【0305】
実施例6
人口統計的特性及び臨床特性と血清FAM19A5タンパク質濃度の比較
参加者:
気分障害を持つ患者のFAM19A5タンパク質のレベルを評価するために、主要うつ病性障害(MDD)と診断された総110名の患者と双極性I(n=26)又はII(n=17)障害(BD)と診断された総43名の患者を高麗大学校アンアム病院(大韓民国ソウル)精神科外来から募集した。患者の平均年齢は20~65歳で、2人の精神科医師によってMDD又はBDと診断された。対照群として、総112名の健康な志願者(20~65歳の精神疾患病歴のない者)を地域共同体から募集した。
【0306】
MDD及びBDの初期診断は、精神疾患の診断及び統計マニュアル(DSM)-IV基準に基づいた。この診断は、DSV-IV Axis I障害に対する構造化臨床インタビューを用いて精神科医師によって確認された。生涯グラフ方法を用いたインタビューから、主要うつ病、躁病、又は軽躁病エピソードを含む疾病期間が評価された。MRIスキャン当日17項目ハミルトンうつ病評価尺度(HDRS)を用いて全参加者に対してうつ症状が評価された(Hamilton M.,J Neurol Neurosurg Psychiatry23:56-62(1960))。
【0307】
MDDグループの排除基準は次の通りである:(1)ここ6ケ月以内に任意の他の主要Axis I又はAxis II精神的疾病の一次的併発診断;(2)精神病的特徴を伴うMDD;(3)入院治療が必要な急性自殺又は殺人衝動患者;(4)深刻な又は不安定な医学的病歴;(5)一次的神経学的疾病;及び(6)磁気共鳴画像(MRI)の禁止。BDグループの排除基準は、精神病的特徴の使用以外は、MDDグループで用いれたのと同一だった。
【0308】
研究に参加した58名のMDD患者は薬物治療を受けたことがなく(無薬物MDDグループと決定される)、52名のMDD患者は抗うつ剤で治療中だった(薬物治療-MDDグループと決定される)。全BD患者は精神科薬を服用中だった。全参加者はエディンバラ利き手試験で右利きだった(Oldfield R.C.,Neuropsychologia9:97-113(1971))。
【0309】
研究プロトコルはヘルシンキ宣言(2008年改正)にしたがって高麗大学校アンアム病院臨床研究審議委員会で承認され、全参加者は参加前に書面同意書を作成した。
【0310】
統計分析:
下位グループ間血清FAM19A5濃度比較と関連して、個別大脳皮質厚を従属変数に、下位グループを独立変数に、年齢及び性別を共変量にして共分散分析(ANCOVA)を行った。大脳皮質厚分析と関連して、MDDを持つ51名の無薬物患者と51名の薬物治療患者、28名のBD患者、及び92名の健康な対照群のデータが含まれた。大脳皮質の厚さと血清FAM19A5濃度との相関関係を両方向ピアソン部分相関を用いて分析したが、診断及び薬物治療状態によって決定された次の各グループに対して個別的に分析した:MDDグループ、BDグループ(BD患者には無薬物患者がなかった。)、HCグループ、無薬物MDDグループ、及び薬物治療-MDDグループ。血清FAM19A5濃度と大脳皮質厚間のピアソン部分相関分析において、年齢、性別、HDRS点数、及び薬物治療状態(MDDグループに限る)を共変量として調整した。また、フィッシャーのr-to-z変形を適用して次のグループで有意な相関関係(P<0.05)が得られた相関係数を比較した:無薬物MDDグループ対HCグループ;薬物治療-MDDグループ対HCグループ;BDグループ対HCグループ。また、雑音的共変量として年齢、性別、及び薬物治療(MDDグループ対HCグループに限る)に対して調整されたANCOVAを用いてグループ間大脳皮質厚を比較した。多重比較補正のために、多重比較補正のための補正分析に偽発見比率(FDR)を適用した(q<0.05;両半球において76件比較)(Benjamini and Hochberg,1995)。また、血清FAM19A5濃度がスクリーニングツールとして健康な対照群とMDD又はBDを持つ患者を正確に区別し、MDD患者とBD患者を正確に区別できるかどうか試験するために、受信者動作特性(ROC)曲線分析を行った。曲線下面積(AUC)をこの試験の二分法的スクリーニング能力の尺度として使用した。無薬物MDDグループ対HCグループ、薬物治療-MDDグループ対HCグループ、BDグループ対HCグループ、無薬物MDDグループ対BDグループ、及び薬物治療-MDDグループ対BDグループに対してスクリーニング能力をコンピュータで算出した。次いで、相応する敏感性、特異性、正確性及びAUCを計算した。人口統計的特徴及び臨床特徴によるグループ差を分析するために、分散分析(ANOVA)を用いて年齢、HDRS点数、及び疾病期間を分析し、カイ二乗検定を用いて性別分布を分析した。全ての統計分析は、SPSSバージョン18.0(SPSS Inc.,Chicago、米国イリノイ)を用いて行った。
【0311】
結果:
表8(下)は、各グループ、すなわち健康な個体(HC)、非-薬物治療MDD患者(DN-MDD)、薬物治療MDD患者(M-MDD)、及び非-薬物治療双極性I又はII障害患者(BD)に属した参加者の年齢、性別、HDRS-17点数、疾病期間(月単位)、無薬物又は薬物治療患者の数、及び血清FAM19A5タンパク質濃度(ng/mL)の比較を提供する。年齢(F(1,264)=7.391、P<0.001)、性別(c2=22.060、P=0.004)、HDRS点数(F(1,264)=118.075、P<0.001)、及び疾病期間(F(1,264)=7.391、P=0.004)に対して有意な差が観察された。
【0312】
【表9】
年齢、HDRS-17点数、疾病期間、及び血清FAM19A5濃度に対するデータは、平均±標準誤差を示す。
【0313】
性別分布に対するp値はカイ二乗検定によって得られた。
【0314】
年齢、HDRS-17点数、及び疾病期間の比較に対するp値は分散分析(ANOVA)によって得られた。
【0315】
血清FAM19A5の比較に対するp値は、年齢及び性別に対して調整した共分散分析(ANCOVA)によって得られた。
【0316】
MDD、主要うつ病性障害;HC、健康な対照群;BD、双極性障害患者;HDRS-17、ハミルトンうつ病評価尺度。
【0317】
また、4個のグループにおいて血清FAM19A5タンパク質濃度にも有意な差が観察された(表8及び
図1を参照)。HCグループに比して、無薬物MDDグループ(F
(1,169)=76.620、P<0.001)及びBDグループ(F
(1,154)=302.718、P<0.001)はいずれも、血清において有意により高いFAM19A5タンパク質濃度を示した。無薬物MDDグループ(F
(1,109)=36.912、P<0.001)及びBDグループ(F
(1,94)=139.808、P<0.001)はまた、薬物治療-MDDグループに比べて有意に高い血清FAM19A5タンパク質レベルを有する。無薬物MDDグループとBDグループを比較すると、BDグループが、血清FAM19A5タンパク質濃度がより高かった。
【0318】
薬物治療-MDDグループとHCグループ(F
(1,163)=2.936、P=0.089)間では血清FAM19A5タンパク質濃度に有意な差が観察されなかった。異なる各グループの血清FMA19A5濃度の分布を示した散点図が
図2A~
図2Dに提供される。
【0319】
実施例7
大脳皮質厚と血清FAM19A5タンパク質濃度の比較
MRIデータ取得:
前記説明された(実施例6)異なる診断グループにおいて大脳皮質厚と血清FAM19A5タンパク質濃度間の関連性を評価するために、3.0 T Siemens Trio全身画像システム(Siemens Medical Systems,Iselin、米国ニュージャージー)を用いて参加者の脳のT1-強調画像を得た。T1-強調画像は、3D T1-強調磁化-準備高速勾配-エコー(MP-RAGE)シーケンスを用いて前交連-後交連ラインに平行に取得され、次の変数が用いられた:反復時間(TR)、1900ms;エコー時間(TE)、2.6ms;観測視野、220mm;マトリックスサイズ、256×256;スライス厚、1mm;冠状スライスの数、176(ギャップ無し);ボクセルサイズ、0.86×0.86×1mm3;フリップ角度、16゜;及び励起数、1.
画像処理:
次に、FreeSurfer 5.3開発バージョン(Massachusetts General Hospital、米国ボストン、surfer.nmr.mgh.harvard.edu)で実施される自動化過程を用いてT1-強調画像から大脳皮質厚を計算した。そのために、大脳皮質表面再構成3次元モデルをFreeSurferプログラムでT1-強調画像を用いて作った。この過程の技術的側面に対する詳細な内容は、先行刊行物に説明された(Dale A.M.et al.,Neuroimage 9:179-94(1999);Fischl B.et al.,IEEE Trans Med Imaging 20:70-80(2001);Fischl B.et al.,Neuron 33:341-55(2002);Fischl B.et al.,Neuroimage 9:195-207(1999);Fischl B.et al.,Cereb Cortex 14:11-22(2004);及びSegonne F.et al.,IEEE Trans Med Imaging 26:518-29(2007)参照)。
【0320】
非-脳組織の除去、各対象の天然脳の自動化Talairach変形、体積構造の断片化、大脳皮質表面を平均球体表面に拡張、強度正規化、及び自動化位相補正の段階を行った(Han K.M.et al.,Sci Rep.7:42621(2017))。表面変形を用いて強度の最大シフトを検出することによって、灰色/白色物質と軟膜境界間の遷移を決定した。次に、各対象の全皮質を肉眼検査し、断片化が不正確である対象からのデータは捨てた。次に、前に説明された方法(Han et al.,2017)によって各半球を脳回と裂溝で構成された74個の分離された皮質領域に自動で区画化し、それらの皮質領域の厚さを自動で計算した。各半球で38個の皮質回から求めた皮質厚を分析に含めた。
【0321】
結果:
図3に示すとおり、無薬物MDDグループにおいて、15個皮質回(両側前頭前皮質、後帯状皮質、上側頭領域、後頭領域、両側弁蓋部及び側頭平面、左側横前頭極回及び背側後帯状回、三角部、中前頭回、右側舌状回、及び前横側頭回)の厚さと血清FAM19A5タンパク質濃度間に統計的に有意な逆関係があった(全部、FDR-補正P[PFDR]<0.05)。HCグループでは皮質回からこのような関係が観察されなかった(全部、PFDR>0.05)。薬物治療-MDDグループ又はBDグループに属した参加者においても、皮質厚と血清FAM19A5濃度間に有意な関係がなかった(全部、PFDR>0.05)。
【0322】
さらに、HCグループにおいて相応する皮質領域と比較したとき、血清FAM19A5タンパク質濃度と特定脳領域(すなわち、両側弁蓋部及び側頭平面、左側横前頭極回及び背側後帯状回、三角部、中前頭回、及び右側舌状回及び前横側頭回)の皮質厚間の相関係数は、かなりの差があった。
図4A~
図4Eは、一部の皮質領域において皮質厚と血清FAM19A5濃度間の関係を示した散点図を提供する。
【0323】
実施例8
気分障害の診断のための血清FAM19A5タンパク質濃度のROC曲線分析
血清中FMA19A5タンパク質レベルを測定することによって気分障害(例えば、主要うつ病性障害又は双極性障害)を診断できる能力をさらに評価するために、異なる比較グループに対して受信者動作特性曲線(ROC曲線)分析を行った。比較グループは、(i)無薬物MDD対HC;(ii)薬物治療-MDD対HC;(iii)BD対HC;(iv)BD対無薬物MDD;及び(v)BD対薬物治療-MDDを含む。
【0324】
図5C及び
図5Dに示すように、BD対HCとBD対M-MDD間の分析は、血清FAM19A5タンパク質濃度が双極性I又はII障害の診断のための立派な指標であることを示唆する。BD対HC分析のための関連値は、AUC:0.998、敏感性:0.977、特異性:0.973、正確性:0.974を含む。BD対M-MDDの関連値は、AUC:1.000、敏感性:1.000、特異性:1.000、正確性:1.000を含む。また、
図5Aに示すように、血清FAM19A5タンパク質濃度は主要うつ病性障害を診断することにおいても有効であり得る(AUC:0.752、敏感性:0.655、特異性:0.652、正確性:0.653)。
図5B及び
図5Eに示すように、血清FAM19A5タンパク質濃度はM-MDD対HC(AUC:0.571、敏感性:0.654、特異性:0.652、正確性:0.652)とBD対DN-MDD(AUC:0.598、敏感性:0.535、特異性:0.534、正確性:0.535)を区別することにおいては有効でないことが確認された。
【0325】
要するに、前記結果は、患者の血清FAM19A5タンパク質濃度を測定し、健康な個体からの濃度と比較することが気分障害(例えば、主要うつ病性障害又は双極性障害)を診断する効果的な手段であることを証明する。
【0326】
実施例9
抗-FAM19A5抗体の生体内投与後の急性ストレスに対する反応の評価
気分障害、特に主要うつ病性障害を治療する上で抗-FAM19A5抗体の効能を評価するために、うつ病ラットモデルが使用され、このラットにFAM19A5抗体が投与され、Porsolt R.D.et al.,Nature 266:730-732(1977)に説明されたとおりに強制水泳試験(FST)を用いて急性ストレスに対する反応を評価した。
【0327】
ラットを3個の異なるグループに分け、各グループは略1週間(i)非治療(すなわち、陰性対照群)、(ii)抗-FAM19A5抗体(すなわち、実験グループ)又は(iii)公知の抗うつ剤(すなわち、陽性対照群)が投与された。その後、各グループに属したラットを、水の入っている脱出できないシリンダーに配置した。ラットは初期にはもがく、泳ぐ及び/又は這い上がる様相を見せたが、ついには鼻だけを水上に出して浮いていたり、固定した姿勢を取った。“非固定”(鼻を水上に維持するために必要な動き以外はない)、“もがく/這い上がる”(前足が水面を打つことが観察される前足の速い動き)、及び“泳ぐ”(前足や後足の漕ぐ動き)の様相を見せた時間をグループ間で比較した。強制水泳試験の完了時、動物から末梢血液を収集して血清FAM19A5タンパク質レベルを測定した。公知の抗うつ剤又は抗-FAM19A5抗体で治療されたラットは、非治療ラットと比較してより長時間“もがく/這い上がる”又は“泳く”様相を示した。また、血清FAM19A5タンパク質レベルは非治療動物と比較して、公知の抗うつ剤又は抗-FAM19A5抗体で治療されたラットにおいてより低かった。
【0328】
発明の内容及び要約書部分を含む詳細な説明部分を請求項を解釈するために使用可能であることが認定されるべきである。発明の内容及び要約書部分は、本発明者らによって考察された本発明の例示的な具体例を、全部とはいえなくとも、一つ以上提示でき、したがって、本発明及び添付する請求項を何ら制限しない。
【0329】
本発明は、明示された機能及びそれらの関係の具現を例示する機能的構成要素の助けを受けて前記説明された。それらの機能的構成要素の区分は、説明の便宜のために任意に規定された。明示された機能及びそれらの関係が適切に行われる限り、他の方式で区別されてもよい。
【0330】
特定の具体例に関する前述した説明は、本発明の一般的な性格を十分に示すはずであり、第三者は当業界の知識を適用することによって本発明の一般的な概念から逸脱することなく、過度の実験無しに、それらの特定の具体例を様々な用途に合わせて容易に変形及び/又は改造可能であろう。したがって、このような改造及び変形は、本発明で提示された教示及び指針に基づいて開示された具体例の等価物の意味と範囲に属する必要がある。本発明で使われた語句又は用語は、制限の目的ではなく説明の目的のためのものと理解すべきであり、本明細書の用語又は語句は前記教示及び指針に照らして当業者によって解釈されるべきである。
【0331】
本発明の範囲は、前記説明された例示的な具体例のいずれによっても制限されてはならず、添付する請求項及びその等価物によってのみ限定されるべきである。
【0332】
本発明で引用された全ての刊行物、特許、特許出願、インターネットサイト、及び寄託番号/データベース配列(ポリヌクレオチド及びポリペプチド配列を含む)は、各個別刊行物、特許、特許出願、インターネットサイト、又は寄託番号/データベース配列が参考として含まれるように具体的にそして個別的に摘示されたのと同じ範囲まで、全ての目的のためにその全体が参考として本発明に含まれる。
【0333】
このPCT出願は2017年10月2日付に提出された米国仮出願第62/566,877号及び2017年11月7日付に提出された第62/582,888号の優先権の利益を主張し、それらはいずれもその全体が本発明に参考として含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0334】
【
図1】
図1は、(i)無薬物主要うつ病性障害(DN-MDD)(n=58)、(ii)薬物治療-主要うつ病性障害(M-MDD)(n=52)、(iii)双極性障害I(n=26)及びII(n=17)(併せて“BD”)、及び(iv)健康な対照群グループ(HC)(n=112)で血清FAM19A5濃度(ng/ml)を比較したものである。各円は個別患者を表す。黒色水平線は各グループの平均血清FAM19A5濃度を示す。全ての比較は共変量として年齢及び性別を含むANCOVAを用いて行われた。データポイント上の“*”は、健康な患者と比較して統計的に有意な差(p<0.001)を示す。
【
図2A】
図2A~
図2Dは、異なるグループに属した患者から観察された血清FAM19A5濃度(ng/ml)の分布を示した散点図を提供する。
図2Aは、健康な患者(HC)のFAM19A5タンパク質レベルを示す。
図2Bは、非-薬物治療主要うつ病性障害患者(DN-MDD)のFAM19A5タンパク質レベルを示す。
図2C及び
図2Dはそれぞれ、薬物治療主要うつ病性障害患者(M-MDD)及び非-薬物治療双極性I又はII障害患者(BD)のFAM19A5タンパク質レベルを示す。各円は個別患者(x-軸)を表す。点線は血清FAM19A5濃度の基準値(すなわち、2ng/ml)を示す。
【
図2B】
図2A~
図2Dは、異なるグループに属した患者から観察された血清FAM19A5濃度(ng/ml)の分布を示した散点図を提供する。
図2Aは、健康な患者(HC)のFAM19A5タンパク質レベルを示す。
図2Bは、非-薬物治療主要うつ病性障害患者(DN-MDD)のFAM19A5タンパク質レベルを示す。
図2C及び
図2Dはそれぞれ、薬物治療主要うつ病性障害患者(M-MDD)及び非-薬物治療双極性I又はII障害患者(BD)のFAM19A5タンパク質レベルを示す。各円は個別患者(x-軸)を表す。点線は血清FAM19A5濃度の基準値(すなわち、2ng/ml)を示す。
【
図2C】
図2A~
図2Dは、異なるグループに属した患者から観察された血清FAM19A5濃度(ng/ml)の分布を示した散点図を提供する。
図2Aは、健康な患者(HC)のFAM19A5タンパク質レベルを示す。
図2Bは、非-薬物治療主要うつ病性障害患者(DN-MDD)のFAM19A5タンパク質レベルを示す。
図2C及び
図2Dはそれぞれ、薬物治療主要うつ病性障害患者(M-MDD)及び非-薬物治療双極性I又はII障害患者(BD)のFAM19A5タンパク質レベルを示す。各円は個別患者(x-軸)を表す。点線は血清FAM19A5濃度の基準値(すなわち、2ng/ml)を示す。
【
図2D】
図2A~
図2Dは、異なるグループに属した患者から観察された血清FAM19A5濃度(ng/ml)の分布を示した散点図を提供する。
図2Aは、健康な患者(HC)のFAM19A5タンパク質レベルを示す。
図2Bは、非-薬物治療主要うつ病性障害患者(DN-MDD)のFAM19A5タンパク質レベルを示す。
図2C及び
図2Dはそれぞれ、薬物治療主要うつ病性障害患者(M-MDD)及び非-薬物治療双極性I又はII障害患者(BD)のFAM19A5タンパク質レベルを示す。各円は個別患者(x-軸)を表す。点線は血清FAM19A5濃度の基準値(すなわち、2ng/ml)を示す。
【
図3】
図3は、無薬物主要うつ病性障害(n=51)、薬物治療-主要うつ病性障害(n=51)、双極性障害(n=28)、及び健康な対照群グループ(n=92)で血清FAM19A5濃度と全脳の大脳皮質厚との相関関係を示す表を提供する。大脳皮質厚と血清FAM19A5濃度との有意な相関関係を示す皮質領域のみを示す。大脳皮質厚と血清FAM19A5濃度との相関関係を分析するために、共変量として年齢、性別、HDRS点数、及び薬物治療(MDDグループに対してのみ)に対して調整した両方向ピアソン部分相関が行われた。無薬物-MDD(DN-MDD)、薬物治療-MDD(M-MDD)又は双極性障害(BD)グループと健康な対照群(HC)グループとの相関係数の比較のためにフィッシャーのr-to-z変形が行われた。多重比較補正のための補正分析に偽発見比率(FDR)が適用された(q<0.05;両半球で76件比較)。偽発見比率(FDR)は多重比較補正のための係数の比較にも適用された(q<0.05;無薬物MDDグループで15件比較)。
【
図4A】
図4A~
図4Fは、健康な患者(HC、濃灰色)又は非-薬物治療主要うつ病性障害患者(DN-MDD、薄灰色)からの大脳皮質厚(y-軸)と血清FAM19A5タンパク質濃度(x-軸)との関係を示した散点図を提供する。6ケ所の異なる脳領域の皮質厚が示されている:L横前頭極回(
図4A)、L背側後帯状回(
図4B)、L弁蓋部(
図4C)、L三角部(
図4D)、L中前頭回(
図4E)、及びR弁蓋部(
図4F)。年齢、性別、及びHDRS点数(HCグループには不要)に対して調整したピアソン部分相関分析が行われた。MDDと健康な対照群グループ間に相関係数の比較のためにフィッシャーのr-to-z変形が用いられた。
図4A~
図4Fで、各円は個別患者を表し、水平線は最上のフィットラインを示す。
【
図4B】
図4A~
図4Fは、健康な患者(HC、濃灰色)又は非-薬物治療主要うつ病性障害患者(DN-MDD、薄灰色)からの大脳皮質厚(y-軸)と血清FAM19A5タンパク質濃度(x-軸)との関係を示した散点図を提供する。6ケ所の異なる脳領域の皮質厚が示されている:L横前頭極回(
図4A)、L背側後帯状回(
図4B)、L弁蓋部(
図4C)、L三角部(
図4D)、L中前頭回(
図4E)、及びR弁蓋部(
図4F)。年齢、性別、及びHDRS点数(HCグループには不要)に対して調整したピアソン部分相関分析が行われた。MDDと健康な対照群グループ間に相関係数の比較のためにフィッシャーのr-to-z変形が用いられた。
図4A~
図4Fで、各円は個別患者を表し、水平線は最上のフィットラインを示す。
【
図4C】
図4A~
図4Fは、健康な患者(HC、濃灰色)又は非-薬物治療主要うつ病性障害患者(DN-MDD、薄灰色)からの大脳皮質厚(y-軸)と血清FAM19A5タンパク質濃度(x-軸)との関係を示した散点図を提供する。6ケ所の異なる脳領域の皮質厚が示されている:L横前頭極回(
図4A)、L背側後帯状回(
図4B)、L弁蓋部(
図4C)、L三角部(
図4D)、L中前頭回(
図4E)、及びR弁蓋部(
図4F)。年齢、性別、及びHDRS点数(HCグループには不要)に対して調整したピアソン部分相関分析が行われた。MDDと健康な対照群グループ間に相関係数の比較のためにフィッシャーのr-to-z変形が用いられた。
図4A~
図4Fで、各円は個別患者を表し、水平線は最上のフィットラインを示す。
【
図4D】
図4A~
図4Fは、健康な患者(HC、濃灰色)又は非-薬物治療主要うつ病性障害患者(DN-MDD、薄灰色)からの大脳皮質厚(y-軸)と血清FAM19A5タンパク質濃度(x-軸)との関係を示した散点図を提供する。6ケ所の異なる脳領域の皮質厚が示されている:L横前頭極回(
図4A)、L背側後帯状回(
図4B)、L弁蓋部(
図4C)、L三角部(
図4D)、L中前頭回(
図4E)、及びR弁蓋部(
図4F)。年齢、性別、及びHDRS点数(HCグループには不要)に対して調整したピアソン部分相関分析が行われた。MDDと健康な対照群グループ間に相関係数の比較のためにフィッシャーのr-to-z変形が用いられた。
図4A~
図4Fで、各円は個別患者を表し、水平線は最上のフィットラインを示す。
【
図4E】
図4A~
図4Fは、健康な患者(HC、濃灰色)又は非-薬物治療主要うつ病性障害患者(DN-MDD、薄灰色)からの大脳皮質厚(y-軸)と血清FAM19A5タンパク質濃度(x-軸)との関係を示した散点図を提供する。6ケ所の異なる脳領域の皮質厚が示されている:L横前頭極回(
図4A)、L背側後帯状回(
図4B)、L弁蓋部(
図4C)、L三角部(
図4D)、L中前頭回(
図4E)、及びR弁蓋部(
図4F)。年齢、性別、及びHDRS点数(HCグループには不要)に対して調整したピアソン部分相関分析が行われた。MDDと健康な対照群グループ間に相関係数の比較のためにフィッシャーのr-to-z変形が用いられた。
図4A~
図4Fで、各円は個別患者を表し、水平線は最上のフィットラインを示す。
【
図4F】
図4A~
図4Fは、健康な患者(HC、濃灰色)又は非-薬物治療主要うつ病性障害患者(DN-MDD、薄灰色)からの大脳皮質厚(y-軸)と血清FAM19A5タンパク質濃度(x-軸)との関係を示した散点図を提供する。6ケ所の異なる脳領域の皮質厚が示されている:L横前頭極回(
図4A)、L背側後帯状回(
図4B)、L弁蓋部(
図4C)、L三角部(
図4D)、L中前頭回(
図4E)、及びR弁蓋部(
図4F)。年齢、性別、及びHDRS点数(HCグループには不要)に対して調整したピアソン部分相関分析が行われた。MDDと健康な対照群グループ間に相関係数の比較のためにフィッシャーのr-to-z変形が用いられた。
図4A~
図4Fで、各円は個別患者を表し、水平線は最上のフィットラインを示す。
【
図5A】
図5A~
図5Eは、異なる比較グループからの血清FAM19A5タンパク質レベルに対する受信者動作特性曲線(ROC曲線)を提供する。異なる比較グループは次を含む:(i)健康な患者(HC)に対する無薬物主要うつ病性障害患者(DN-MDD)(
図5A);(ii)健康な患者(HC)に対する薬物治療主要うつ病性障害患者(M-MDD)(
図5B);(iii)健康な患者(HC)に対する非-薬物治療双極性I又はII障害患者(BD)(
図5C);及び(iv)薬物治療主要うつ病性障害患者(M-MDD)に対する非-薬物治療双極性I又はII障害患者(BD)(
図5D);及び(v)無薬物主要うつ病性障害患者(DN-MDD)に対する非-薬物治療双極性I又はII障害患者(BD)(
図5E)。AUC、敏感性、特異性及び正確性値は各曲線の右下象限に提供される。
【
図5B】
図5A~
図5Eは、異なる比較グループからの血清FAM19A5タンパク質レベルに対する受信者動作特性曲線(ROC曲線)を提供する。異なる比較グループは次を含む:(i)健康な患者(HC)に対する無薬物主要うつ病性障害患者(DN-MDD)(
図5A);(ii)健康な患者(HC)に対する薬物治療主要うつ病性障害患者(M-MDD)(
図5B);(iii)健康な患者(HC)に対する非-薬物治療双極性I又はII障害患者(BD)(
図5C);及び(iv)薬物治療主要うつ病性障害患者(M-MDD)に対する非-薬物治療双極性I又はII障害患者(BD)(
図5D);及び(v)無薬物主要うつ病性障害患者(DN-MDD)に対する非-薬物治療双極性I又はII障害患者(BD)(
図5E)。AUC、敏感性、特異性及び正確性値は各曲線の右下象限に提供される。
【
図5C】
図5A~
図5Eは、異なる比較グループからの血清FAM19A5タンパク質レベルに対する受信者動作特性曲線(ROC曲線)を提供する。異なる比較グループは次を含む:(i)健康な患者(HC)に対する無薬物主要うつ病性障害患者(DN-MDD)(
図5A);(ii)健康な患者(HC)に対する薬物治療主要うつ病性障害患者(M-MDD)(
図5B);(iii)健康な患者(HC)に対する非-薬物治療双極性I又はII障害患者(BD)(
図5C);及び(iv)薬物治療主要うつ病性障害患者(M-MDD)に対する非-薬物治療双極性I又はII障害患者(BD)(
図5D);及び(v)無薬物主要うつ病性障害患者(DN-MDD)に対する非-薬物治療双極性I又はII障害患者(BD)(
図5E)。AUC、敏感性、特異性及び正確性値は各曲線の右下象限に提供される。
【
図5D】
図5A~
図5Eは、異なる比較グループからの血清FAM19A5タンパク質レベルに対する受信者動作特性曲線(ROC曲線)を提供する。異なる比較グループは次を含む:(i)健康な患者(HC)に対する無薬物主要うつ病性障害患者(DN-MDD)(
図5A);(ii)健康な患者(HC)に対する薬物治療主要うつ病性障害患者(M-MDD)(
図5B);(iii)健康な患者(HC)に対する非-薬物治療双極性I又はII障害患者(BD)(
図5C);及び(iv)薬物治療主要うつ病性障害患者(M-MDD)に対する非-薬物治療双極性I又はII障害患者(BD)(
図5D);及び(v)無薬物主要うつ病性障害患者(DN-MDD)に対する非-薬物治療双極性I又はII障害患者(BD)(
図5E)。AUC、敏感性、特異性及び正確性値は各曲線の右下象限に提供される。
【
図5E】
図5A~
図5Eは、異なる比較グループからの血清FAM19A5タンパク質レベルに対する受信者動作特性曲線(ROC曲線)を提供する。異なる比較グループは次を含む:(i)健康な患者(HC)に対する無薬物主要うつ病性障害患者(DN-MDD)(
図5A);(ii)健康な患者(HC)に対する薬物治療主要うつ病性障害患者(M-MDD)(
図5B);(iii)健康な患者(HC)に対する非-薬物治療双極性I又はII障害患者(BD)(
図5C);及び(iv)薬物治療主要うつ病性障害患者(M-MDD)に対する非-薬物治療双極性I又はII障害患者(BD)(
図5D);及び(v)無薬物主要うつ病性障害患者(DN-MDD)に対する非-薬物治療双極性I又はII障害患者(BD)(
図5E)。AUC、敏感性、特異性及び正確性値は各曲線の右下象限に提供される。
【配列表】