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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】ドレーン取付装置
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/04 20060101AFI20220404BHJP
【FI】
E04D13/04 B
E04D13/04 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018095130
(22)【出願日】2018-05-17
(65)【公開番号】P2019199755
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000217365
【氏名又は名称】田島ルーフィング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000208651
【氏名又は名称】第一機材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木下 武文
(72)【発明者】
【氏名】金丸 和樹
(72)【発明者】
【氏名】原田 龍裕
(72)【発明者】
【氏名】野林 純平
【審査官】荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-074158(JP,A)
【文献】実開昭55-110629(JP,U)
【文献】特開2011-063937(JP,A)
【文献】特開2007-211539(JP,A)
【文献】特開2001-49805(JP,A)
【文献】特開2002-285684(JP,A)
【文献】特開平3-110244(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/00-15/07
E04D 1/00- 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水管に接続される筒部とフランジ部とを備えたドレーン本体を取り付けるドレーン取付装置であって、
前記筒部を挿通させる開口を備え、デッキプレート上に設置される板状のベースと、
前記ベース上に取り付けられ、前記ドレーン本体が前記ベースから所定の高さに位置するように、前記フランジ部を支持する支持部と、を有し、
前記ベースは、前記開口の周囲に複数の凹部を有し、各凹部は切欠又は穴を有し、
前記切欠又は穴に挿通されたボルトの締結により、前記ドレーン本体が前記ベースに固定され、
前記デッキプレートから前記支持部にわたって、断熱材が敷設される、
ことを特徴とするドレーン取付装置。
【請求項2】
前記ドレーン本体の筒部が前記排水管に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載のドレーン取付装置。
【請求項3】
前記支持部は金属製のリングである、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のドレーン取付装置。
【請求項4】
前記支持部の高さは、前記支持部の周囲に配置される前記断熱材の厚みに応じて決められている、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のドレーン取付装置。
【請求項5】
前記凹部は前記ベースと一体で形成されている、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のドレーン取付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドレーン取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デッキプレート上に断熱材を敷設し、さらに該断熱材上にシート状の防水層を施すことにより屋根を構成するデッキプレート下地断熱屋根工法が知られている。この工法で形成される屋根には、通常、雨水排水用のルーフドレーンが設置される。
【0003】
このようなルーフドレーンとしては、例えば特許文献1に示すものがある。かかる従来例のルーフドレーンにおいて、排水管に接続される管部の開口端の外周にフランジ部を有するドレーン本体と、このドレーン本体の上部に被着されるドレーンカバーと、ドレーン本体の取り付け装置とを具え、前記取り付け装置はフランジ部端縁に当接してこれを囲繞するとともにフランジ部の表面と連続面を形成する受け皿で構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-211539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のルーフドレーンによれば、ドレーン周縁において、防水層表面を平滑に維持するとともに防水層を必要かつ充分なだけ下地に密接できるようにし、円滑適正な排水を実現して、ドレーン周りの防水性能の維持強化ならびに施工性の向上を図ることができる。
【0006】
ところで、例えば内部の温度環境を厳密に管理したい冷凍・冷蔵倉庫などでは、倉庫内空調の効率を向上させるために、屋根の断熱性能をなるべく高めたいという要請がある。かかる要請に対し、ルーフドレーン自体を断熱材で覆うことは困難であるが、その周囲に断熱材を極力隙間なく敷き詰めることで、屋根の断熱性能を高めることができる。しかしながら、従来の構成では円滑適正な排水を優先するために、ルーフドレーンの周囲に断熱材を敷設することが困難であった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みて、排水性能を確保しながらも、例えば断熱材の敷設を妨げないドレーン取付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のドレーン取付装置は、排水管に接続される筒部とフランジ部とを備えたドレーン本体を取り付けるドレーン取付装置であって、
前記筒部を挿通させる開口を備え、デッキプレート上に設置される板状のベースと、
前記ベース上に取り付けられ、前記ドレーン本体が前記ベースから所定の高さに位置するように、前記フランジ部を支持する支持部と、を有し、
前記ベースは、前記開口の周囲に複数の凹部を有し、各凹部は切欠又は穴を有し、
前記切欠又は穴に挿通されたボルトの締結により、前記ドレーン本体が前記ベースに固定され、
前記デッキプレートから前記支持部にわたって、断熱材が敷設される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、排水性能を確保しながらも、例えば断熱材の敷設を妨げないドレーン取付装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態のドレーン取付装置を屋根に取り付けた状態で示す断面図である。
図2】本実施形態のドレーン取付装置にカバーを被せた状態で見た断面図である。
図3】本実施形態のドレーン取付装置にカバーを被せた状態で見た上面図である。
図4】カバーを取り外した状態で見た本実施形態のドレーン取付装置の上面図である。
図5】ドレーン本体と本実施形態のドレーン取付装置とを分解した状態で示す斜視図である。
図6】凹部21bを拡大して示す斜視図である。
図7】別の実施形態にかかる図1と同様な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本実施形態のドレーン取付装置を屋根に取り付けた状態で示す断面図である。図2は、本実施形態のドレーン取付装置にカバーを被せた状態で見た断面図である。図3は、本実施形態のドレーン取付装置にカバーを被せた状態で見た上面図である。図4は、カバーを取り外した状態で見た本実施形態のドレーン取付装置の上面図である。図5は、ドレーン本体と本実施形態のドレーン取付装置とを分解した状態で示す斜視図である。
【0012】
図1に示すように、屋根材を構成するデッキプレート1に設けられた開口1aに、ドレーン装置2が配置される。ドレーン装置2は、ドレーン本体10と、ドレーン取付装置20と、カバー30とから構成される。
【0013】
各図を参照して、まずドレーン取付装置20について説明する。図4,5に示すように、ドレーン取付装置20は、矩形板状のベース21と、リング22とを有する。たとえば亜鉛メッキ鋼又はSUS製のベース21は、プレスまたはレーザ加工により形成できる。本実施形態では、ベース21の外縁をプレスで打ち抜いた後、中心の円形開口21aをプレスで打ち抜く。その後に、円形開口21aの周囲に、120度間隔で3つの凹部21bをプレス加工で形成する。さらに、ドリル等によりベース21の周囲に沿って、ベースボルト穴21gを形成する。
【0014】
なお、本実施形態では、ベース21をプレス成形することで、凹部21bをベース21と一体で形成しているが、凹部21bを別部品として形成し、ボルトやリベットなどを用いてベース21に取り付けてもよい。
【0015】
図6は、凹部21bを拡大して示す斜視図である。図6において、凹部21bは、周方向に対向する側壁21c、21cと、底壁21dとを有する。側壁21c、21cの上端はベース21に連結され、側壁21c、21cの下端は底壁21dに連結されている。本実施形態では、図6で奥側に、側壁21c、21c及び底壁21dの端部とベース21により囲まれた開口(壁なし部位)OPが形成されているが、ここを遮蔽するように奥壁を設けてもよい。さらに各側壁21cは、複数段形状としてもよいし、あるいは上方に向かって開いた斜面としてもよく、それによりプレス加工の難易度を下げることができる。
【0016】
底壁21dは、円形開口21aの内縁から径方向外側に向かう切欠21fを有している。切欠21fの幅は、ボルトBT(図5)のねじ径よりわずかに大きく形成されている。凹部21bは、対応する金型(不図示)を用いてプレスにより一度に形成してもよいし、まず凹部21bをプレス成形した後、切欠21fをプレスで打ち抜いてもよい。更に、切欠21fの代わりに穴(長穴を含む)を設けてもよい。
【0017】
図4,5において、リング22は、切り出し後の後処理が不要なSUS製の細長い板を丸めて端部同士を溶接することで短円筒状に形成されると好ましく、これによりリング22の高さ(軸線方向長)を精度よく得ることができる。ただし、ドレーン本体10を支持する支持部材としては、リングに限らず他の部材を用いてもよいし、また金属であればSUS以外の素材を用いてもよい。リング22の高さは、後述する断熱材4の厚みに応じて適宜決定される。
【0018】
このようにして形成されたベース21に対してリング22を、円形開口21aの周囲に溶接することにより、ドレーン取付装置20が形成されることとなる。
【0019】
図2、5を参照して、ドレーン本体10について説明する。ドレーン本体10は鋳造により製造され、更にその表面に樹脂塗装、水溶性合成樹脂焼付塗装、又は塩化ビニル被覆がなされる。ドレーン本体10は、円管状の筒部11と、筒部の上端から外方に延在する環状のフランジ部12とを有する。フランジ部12の下面に設けたボス部に、ボルト穴12a(図2)が120度間隔で形成され、またフランジ部12の上面に設けたボス部に、ボルト穴12b(図5)が120度間隔で形成されている。ドレーン本体10は既存の製品を用いることができる。
【0020】
ドレーン本体10とドレーン取付装置20との組み付けは、図5に示すように、ドレーン取付装置20の上方から、ドレーン本体10を接近させ、円形開口21a内に筒部11を挿通する。すると、図2に示すように、フランジ部12の外縁下面がリング22の上端に当接する。かかる状態で、図5に示すように、下方から3本のボルトBTを接近させ、そのねじ部を凹部21bの切欠21fに挿通して、ボルト穴12aに螺合させて締結する。これによりドレーン本体10とドレーン取付装置20との組み付けがなされる。ボルトBTを締結した後、ボルトBTの頭部を底壁21dに溶接して緩み止めを行ってもよい。
【0021】
本実施の形態によれば、凹部21bを、金型を用いてプレス成形により精度よく形成しているので、図2における底壁21dの上面から、ベース21の下面までの深さdを精度よく形成できる。また、上述したようにリング22の高さhを精度よく形成している。したがって、ベース21の板厚をt(たとえば2mm以下)とすると、底壁21dの上面からリング22の上端までの長さΔを、(d+t+h)として精度よく管理することができるから、ドレーン本体10の組み付けを精度よく行うことができるとともに、敷設ばらつきを抑制できる。
【0022】
次に、ドレーン装置2の組み付けについて説明する。以上のようにして組み付けられたドレーン本体10とドレーン取付装置20との組立体を、図1に示すように、ドレーン本体10の筒部11が開口1a内に挿入されるようにして設置する。すると、ベース21が開口1a周囲のデッキプレート1の上面に当接するので、ベースボルト穴21g(図3)に不図示のボルトを挿通して、ドレーン取付装置20をデッキプレート1に固定することができる。
【0023】
その後、デッキプレート1の上面及びベース21の上面にかけて、例えば硬質ウレタンフォームなどの断熱材4を敷設する。リング22の高さh(図2)を、断熱材4の厚さに対しフランジ部12の外縁厚み以上、低くすることによって、リング22の外周に隣接して開口1aの周囲近傍まで断熱材4を敷設した場合に、雨水が断熱材4側からドレーン本体10に向かって円滑に流れるようにすることができる。同時に、開口1aの周囲近傍まで断熱材4を敷設することで、断熱性能を高めることができる。
【0024】
さらに、断熱材4の上面からドレーン本体10のフランジ部12の上面にかけて、厚さ1mm~15mmの防水層5を敷設する。防水層5としては、塩化ビニル製の防水層、アスファルト防水層、ウレタン防水層などがあるが、これに限られない。ここでデッキプレート1の上面とベース21の上面との高さの差は、ベース21の板厚tが1.2mm程度と比較的薄いので、両者に跨って断熱材4を設けても、断熱材4の上面はほぼフラットとなり、これに積層される防水層5の上面もフラットとなるから、排水が円滑に行われる。更に、ドレーン本体10の筒部11に、一点鎖線で示す排水管3を嵌合固定する。
【0025】
本実施形態のドレーン取付装置20においては、断熱材4の厚みに対応が可能であり、ドレーン本体10と隣接する断熱材4の断面を擂鉢状に加工したり、ドレーン本体10に隣接する断熱材4の厚みを屋根全体の断熱材の厚みと変えるなどの必要がなく、均一な厚さの断熱材4を容易に施工できる。
【0026】
排水管3の高さ方向の位置は、デッキプレート1に対してあらかじめ決められているので、ドレーン本体10の高さ方向の位置決めが重要になる。これに対し、本実施形態によれば、リング22により、ドレーン本体10のフランジ部12がデッキプレート1の上面から適切な位置に支持され、更に適切な高さ位置に形成されたベース21の凹部21bを用いて、ドレーン本体10を精度よく固定できる。したがって、ドレーン本体10と排水管3との接続を容易に行うことができる。
【0027】
最後に、ドレーン本体10のフランジ部12のボルト穴12b(図5)に、スタッドボルトSBを螺合させ、上方からカバー30を被せた上で、スタッドボルトSBにナットNTを螺合させて締結することで、ドレーン装置2が完成する。
【0028】
本実施形態によれば、防水層5のフラットな上面に落滴した雨水は、スムーズにドレーン本体10のフランジ部12へと流れるから、防水層5の上面に雨水がたまるなどの不具合を抑制できる。また、ドレーン本体10の表面には塩化ビニル被覆がなされているので、フランジ部12と防水層5とを融着させることができ、防水性能を高めることができる。ドレーン本体10で収集された雨水は、排水管3を介して排水される。
【0029】
図7は、別の実施形態にかかる図1と同様な断面図である。本実施形態では、ドレーン装置2自体は上述した実施形態と同様であるが、その敷設方法が異なる。より具体的には、屋根材の支持部材としての断面コ字状またはアングル状の鋼鉄梁6上に、ドレーン取付装置20のベース21を設置している。本実施形態では、断熱材4は硬質ウレタンフォームを鋼板でサンドイッチしたものであり、それ自体が剛性を有するため屋根材として用いることができる。断熱材4上に防水層5を敷設している。それ以外の構成は上述した実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0030】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の改変を施すことができる。
【符号の説明】
【0031】
1 デッキプレート
2 ドレーン装置
3 排水管
4 断熱材
5 防水層
6 鋼鉄梁
10 ドレーン本体
11 筒部
12 フランジ部
20 ドレーン取付装置
21 ベース
21b 凹部
21f 切欠
22 リング
BT ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7