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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】メンテナンス支援システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/85 20060101AFI20220404BHJP
   B65B 57/10 20060101ALI20220404BHJP
   G06F 13/00 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
G01N21/85 A
B65B57/10 D
G06F13/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019080392
(22)【出願日】2019-04-19
(65)【公開番号】P2020176957
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2020-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】井野口 禎
(72)【発明者】
【氏名】山本 弘一
【審査官】村田 顕一郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第02/021364(WO,A1)
【文献】特開2008-117263(JP,A)
【文献】特開2019-039925(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0136774(US,A1)
【文献】特開2006-155584(JP,A)
【文献】特開2011-153993(JP,A)
【文献】特表2016-517050(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-21/958
B65B 57/00-57/20
G06F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像に基づき検査対象の良否を判定可能な画像処理装置、及び、少なくとも該画像処理装置から出力された情報を表示可能な表示手段を有してなる複数の検査装置に用いられ、該画像処理装置に対するメンテナンスを支援するためのメンテナンス支援システムであって、
前記画像処理装置は、前記検査装置の前記表示手段に表示された画像に係る画像データ、及び、該検査装置の前記画像処理装置を特定するための固有データを出力するデータ出力手段を有し、
前記画像処理装置とは別に設けられた、前記データ出力手段から前記画像データ及び前記固有データが入力されるメール作成通信装置を備え、
該メール作成通信装置は、
前記検査装置の所在に関する情報である検査装置所在情報、及び、所定の支援者側のメールアドレスを含む、電子メールの送信先に関する情報である送信先情報を記憶する記憶手段と、
前記データ出力手段から入力された前記画像データ及び前記固有データ、並びに、前記記憶手段に記憶された前記検査装置所在情報を含むとともに、前記記憶手段に記憶された前記送信先情報に基づき、少なくとも前記支援者側のメールアドレスを送信先として設定した電子メールを作成するメール作成手段と、
該メール作成手段により作成された電子メールを送信するメール送信手段とを有するとともに、
前記メール送信手段による電子メールの送信機能を具備する一方、電子メールの受信機能を具備しないように構成されていることを特徴とするメンテナンス支援システム。
【請求項2】
前記データ出力手段及び前記メール作成通信装置間における通信を切断する、又は、前記メール作成通信装置の電源を切断するためのスイッチ手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のメンテナンス支援システム。
【請求項3】
前記記憶手段に記憶された前記送信先情報には、前記検査装置のオペレータ側のメールアドレスが含まれ、
前記メール作成手段は、前記記憶手段に記憶された前記送信先情報に基づき、前記オペレータ側のメールアドレスを送信先として設定した電子メールを作成することを特徴とする請求項1又は2に記載のメンテナンス支援システム。
【請求項4】
前記検査装置は、容器フィルムに形成されたポケット部に錠剤が収容されるとともに、該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなるブリスタシートの製造過程において、前記ブリスタシート又は最終的に前記ブリスタシートとなる部位を検査対象として検査を行うものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のメンテナンス支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置の画像処理装置に対し行われる設定や調整等のメンテナンスを支援するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
製品の製造装置に対し、製品や製品の材料などを検査対象として検査を行う検査装置を設けることがある。
【0003】
例えば、製品が、錠剤の収容されるポケット部を有する容器フィルムと、その容器フィルムに対しポケット部の開口側を密封するように取着されるカバーフィルムとを備えてなるブリスタシートである場合、ブリスタシートを製造するための製造装置(ブリスタ包装機)において、容器フィルムの搬送経路に沿って複数の検査装置を設けることがある(例えば、特許文献1,2等参照)。これら検査装置は、例えば、照明装置、撮像装置、画像処理装置、表示装置及び入力装置などを備えている。照明装置は、検査対象へと光を照射する。撮像装置は、光の照射された検査対象を撮像する。画像処理装置は、検査条件や撮像装置により得られた撮像画像等の情報を記憶するとともに、この情報に基づき検査対象の良否判定を行う。表示装置は、例えば液晶ディスプレイ等からなり、画像処理装置から出力された検査結果データや検査条件、撮像画像等の各種情報を表示する。入力装置は、例えばキーボードやマウス等からなり、画像処理装置に対し情報を入力するために用いられる。そして、このような検査装置によって、例えば、ポケット部形成前の容器フィルムに対する検査、ポケット部に錠剤を充填する前後における容器フィルムのピンホール検査、錠剤自体の良否に関する検査、ポケット部に対する異物混入に関する検査、容器フィルムへの異物付着に関する検査、容器フィルムに対するカバーフィルムのシール状態に関する検査などが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-208065号公報
【文献】特開2009-36522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、検査装置の設置された現場におけるオペレータ(作業者)が、画像処理装置に対し設定の変更や調整などのメンテナンスを行うことがある。このとき、検査装置のメーカにおける担当者などの支援者から、メンテナンスの支援を受けたいといった要望が生じ得るが、支援者が現場に出向いて支援を行うと、時間的及び人的なロスが生じてしまう。
【0006】
そこで、支援者が現場に出向くことなく上記の要望に応えるべく、例えば、図9に示すようなシステムを構築することが考えられる。このシステムでは、製造装置100に設けられた各検査装置101と支援者側に設けられた外部システム201とが通信装置110,210を利用してインターネット回線により接続された状態とされる。また、画像処理装置102に接続された入力装置103と外部システム201の入力装置203とによって、メンテナンス対象の画像処理装置102に対しオペレータ及び支援者の双方で情報を入力可能とされる。さらに、画像処理装置102に接続された表示装置104と外部システム201の表示装置204とによって、メンテナンス対象の画像処理装置102から出力された情報をオペレータ及び支援者の双方で確認可能とされる。このシステムによれば、オペレータ及び支援者の双方において、表示装置104,204で操作内容や入力内容を確認しつつ、入力装置103,104で画像処理装置102の設定変更などを行うことができる。
【0007】
しかしながら、上記のようなシステム構成では、外部システム201をメンテナンス対象ではない画像処理装置102へと接続してしまい、実際のメンテナンス対象(オペレータの把握しているメンテナンス対象)と、支援者の把握しているメンテナンス対象とが一致しないといった状況が生じ得る。また、この場合には、オペレータ側の表示装置104で表示されている画像が、支援者側の表示装置204では表示されない状態となり、メンテナンス支援に支障が生じてしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、オペレータ及び支援者の間でメンテナンス対象をより確実に一致させることができ、また、メンテナンス支援を正確かつ適切に行うことができるメンテナンス支援システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0010】
手段1.画像に基づき検査対象の良否を判定可能な画像処理装置、及び、少なくとも該画像処理装置から出力された情報を表示可能な表示手段を有してなる複数の検査装置に用いられ、該画像処理装置に対するメンテナンスを支援するためのメンテナンス支援システムであって、
前記画像処理装置は、前記検査装置の前記表示手段に表示された画像に係る画像データ、及び、該検査装置の前記画像処理装置を特定するための固有データを出力するデータ出力手段を有し、
前記画像処理装置とは別に設けられた、前記データ出力手段から前記画像データ及び前記固有データが入力されるメール作成通信装置を備え、
該メール作成通信装置は、
前記検査装置の所在に関する情報である検査装置所在情報、及び、所定の支援者側のメールアドレスを含む、電子メールの送信先に関する情報である送信先情報を記憶する記憶手段と、
前記データ出力手段から入力された前記画像データ及び前記固有データ、並びに、前記記憶手段に記憶された前記検査装置所在情報を含むとともに、前記記憶手段に記憶された前記送信先情報に基づき、少なくとも前記支援者側のメールアドレスを送信先として設定した電子メールを作成するメール作成手段と、
該メール作成手段により作成された電子メールを送信するメール送信手段とを有するとともに、
前記メール送信手段による電子メールの送信機能を具備する一方、電子メールの受信機能を具備しないように構成されていることを特徴とするメンテナンス支援システム。
【0011】
尚、「支援者側のメールアドレス」とは、支援者が所有していたり、貸与されていたりする支援者専用のメールアドレスのみならず、メンテナンス支援の点で支援者に関係する者(例えば支援者の属する組織や部署など)のメールアドレスを含む。
【0012】
上記手段1のメンテナンス支援システムは、例えば、次のようにして使用される。すなわち、オペレータによる判断や支援者からの指示などに基づき、オペレータは、メンテナンス支援を受ける上で必要な画像を検査装置の表示手段にて表示させる。その上で、例えばオペレータが所定の操作を行うことで、データ出力手段によって、該検査装置の表示手段に表示された画像に係る画像データと、該検査装置の有する画像処理装置を特定するための固有データ(例えば、型式やシリアル番号など)とがメール作成通信装置へと出力される。つまり、メンテナンスを行う上で必要な画像データと、メンテナンス対象となる画像処理装置の機種などを知るための固有データとがメール作成通信装置へと出力される。
【0013】
次に、これらデータが入力されたメール作成通信装置のメール作成手段によって、データ出力手段から入力された画像データ及び固有データと、検査装置の所在に関する情報である検査装置所在情報(例えば、社名、工場名、電話番号など)とを含み、かつ、送信先情報に基づき、少なくとも支援者側のメールアドレスを送信先として設定した電子メールが作成される。検査装置所在情報や送信先情報は、メール作成通信装置の記憶手段に予め記憶されている。そして、メール送信手段によって、作成された電子メールが送信されることで、支援者側へと、画像データ、固有データ及び検査装置所在情報が伝えられる。尚、実際のメンテナンスは、例えば電話などを使用して支援者からオペレータへと指示や提案などが行われ、その指示や提案に基づき、オペレータが画像処理措置の設定変更や調整を行うことでなされる。
【0014】
以上のように、上記手段1によれば、支援者側に対しメンテナンス対象となる画像処理装置を特定するための固有データが送られるため、オペレータ及び支援者の間でメンテナンス対象となる画像処理装置をより確実に一致させることができる。また、支援者側に対し、表示手段に表示された画像に係る画像データが送られるため、オペレータ及び支援者の双方で同一の画像を見ることができ、メンテナンス支援を正確かつ適切に行うことができる。
【0015】
さらに、上記手段1によれば、メール作成通信装置は、電子メールの送信機能を具備する一方、電子メールの受信機能を具備しないものとされている。従って、電子メールを利用したメール作成通信装置や画像処理装置に対する攻撃や、電子メールに起因するコンピュータウイルス等の感染などをより確実に防ぐことができる。また、外部からメール作成通信装置や画像処理装置に対しオペレータの意図しない操作(支援者側の誤操作や第三者からの攻撃など)が行われる危険性を減らすことができる。
【0016】
加えて、上記手段1によれば、検査装置所在情報及び送信先情報は、メール作成通信装置の記憶手段に記憶されているため、画像処理装置を交換した際にこれら情報を設定し直す必要がない。さらに、検査装置所在情報や送信先情報の修正や変更を行うときには、検査装置(画像処理装置)が複数存在する場合であっても、記憶手段に記憶されたこれら情報のみを修正・変更すればよい。そのため、情報の修正や変更に要する手間を著しく低減させることができ、また、修正や変更に伴い情報に誤りが生じることをより確実に防止できる。
【0017】
手段2.前記データ出力手段及び前記メール作成通信装置間における通信を切断する、又は、前記メール作成通信装置の電源を切断するためのスイッチ手段を備えることを特徴とする手段1に記載のメンテナンス支援システム。
【0018】
上記手段2によれば、オペレータ側で許可した場合など、スイッチ手段をオンにした場合にのみ、画像データや固有データを含む電子メールを支援者側へと送信することが可能となる。これにより、支援者側へと誤って画像データ等の情報が送信されることをより確実に防止でき、外部に対する情報の漏洩防止をより効果的に図ることができる。
【0019】
手段3.前記記憶手段に記憶された前記送信先情報には、前記検査装置のオペレータ側のメールアドレスが含まれ、
前記メール作成手段は、前記記憶手段に記憶された前記送信先情報に基づき、前記オペレータ側のメールアドレスを送信先として設定した電子メールを作成することを特徴とする手段1又は2に記載のメンテナンス支援システム。
【0020】
尚、「オペレータ側のメールアドレス」とは、オペレータが所有していたり、貸与されていたりするオペレータ専用のメールアドレスのみならず、メンテナンスの点でオペレータに関係する者(例えばオペレータの属する組織や部署など)のメールアドレスを含む。
【0021】
上記手段3によれば、オペレータ及び支援者に対し共通内容の電子メールが送信されるため、オペレータ及び支援者の双方が同一内容の画像データを共有することができる。そのため、オペレータと支援者との間で画像データから把握される情報に差異が生じることをより確実に防止でき、メンテナンス支援をより正確かつより適切に行うことができる。また、電子メールを送信してからある程度の期間が経過した後などであっても、画像データを利用したメンテナンス支援が可能となり、オペレータ及び支援者の双方における利便性を高めることができる。
【0022】
手段4.前記検査装置は、容器フィルムに形成されたポケット部に錠剤が収容されるとともに、該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなるブリスタシートの製造過程において、前記ブリスタシート又は最終的に前記ブリスタシートとなる部位を検査対象として検査を行うものであることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載のメンテナンス支援システム。
【0023】
上記手段4のように、検査装置がブリスタシートの製造過程において用いられるものである場合、上記手段1等は特に有用である。医薬品等の錠剤を収容してなるブリスタシートや最終的にブリスタシートとなる部位(例えば、錠剤自体など)を検査する検査装置においては、高い安全性を担保すべく、厳格な管理の元で運用され、画像処理装置における意図しない設定変更等や情報漏洩の危険性を極力減らす必要があるところ、上記手段1等によれば、このような危険性を効果的に減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】PTPシートを示す斜視図である。
図2】PTPシートの部分拡大断面図である。
図3】PTPフィルムを示す斜視図である。
図4】PTP包装機の概略構成を示す模式図である。
図5】検査装置の電気的構成を示すブロック図である。
図6】メンテナンス支援システム等を示すブロック図である。
図7】メンテナンス支援を受ける場合における、メンテナンス支援システムの動作について説明するためのフローチャートである。
図8】オペレータ側の表示装置及び支援者側の表示装置において同一の情報が表示されることを示す模式図である。
図9】支援者からのメンテナンス支援を受けたいといった要望を実現するために考えられるシステムの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まず、各種検査装置を備えたブリスタ包装機としてのPTP包装機により製造される、ブリスタシートとしてのPTPシートの構成について詳しく説明する。
【0026】
図1,2に示すように、PTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。
【0027】
本実施形態における容器フィルム3は、例えばPP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等の透明の熱可塑性樹脂材料により形成され、透光性を有している。一方、カバーフィルム4は、例えばポリプロピレン樹脂等からなるシーラントが表面に設けられた不透明材料(例えばアルミニウム箔等)により構成されている。勿論、各フィルム3,4の材料は、これらに限定されるものではなく、他の材質のものを採用してもよい。
【0028】
PTPシート1は、帯状の容器フィルム3及び帯状のカバーフィルム4から形成された帯状のPTPフィルム6(図3参照)がシート状に打抜かれることによって製造されるものであり、平面視略矩形状に形成されている。PTPシート1には、その長手方向に沿って配列された5個のポケット部2からなるポケット列が、その短手方向に2列形成されている。つまり、計10個のポケット部2が形成されている。各ポケット部2には、錠剤5が1つずつ収容されている。本実施形態における錠剤5は、医薬品である。
【0029】
次に、上記PTPシート1を製造するPTP包装機10の概略構成について図4を参照して説明する。
【0030】
図4に示すように、PTP包装機10の最上流側では、帯状の容器フィルム3の原反がロール状に巻回されている。ロール状に巻回された容器フィルム3の引出し端側は、ガイドロール13に案内されている。容器フィルム3は、ガイドロール13の下流側において間欠送りロール14に掛装されている。間欠送りロール14は、間欠的に回転するモータに連結されており、容器フィルム3を間欠的に搬送する。
【0031】
ガイドロール13と間欠送りロール14との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、加熱装置15及びポケット部形成装置16が順に配設されている。そして、加熱装置15によって容器フィルム3が加熱されて該容器フィルム3が比較的柔軟になった状態において、ポケット部形成装置16によって容器フィルム3の所定位置に複数のポケット部2が形成される。ポケット部2の形成は、間欠送りロール14による容器フィルム3の搬送動作間のインターバルの際に行われる。
【0032】
間欠送りロール14から送り出された容器フィルム3は、テンションロール18、ガイドロール19及びフィルム受けロール20の順に掛装されている。フィルム受けロール20は、一定回転するモータに連結されているため、容器フィルム3を連続的に且つ一定速度で搬送する。テンションロール18は、容器フィルム3を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、間欠送りロール14とフィルム受けロール20との搬送動作の相違による容器フィルム3の弛みを防止して容器フィルム3を常時緊張状態に保持する。
【0033】
ガイドロール19とフィルム受けロール20との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、錠剤充填装置21、第一検査装置22及び第二検査装置23が順に配設されている。
【0034】
錠剤充填装置21は、ポケット部2に錠剤5を自動的に充填する充填手段としての機能を有する。錠剤充填装置21は、フィルム受けロール20による容器フィルム3の搬送動作と同期して、所定間隔毎にシャッタを開くことで錠剤5を落下させるものであり、このシャッタ開放動作に伴って各ポケット部2に錠剤5が充填される。
【0035】
第一検査装置22及び第二検査装置23は、錠剤5や容器フィルム3(シート部分)など、最終的にPTPシート1となる部位を検査対象としてこの検査対象における異常の有無を判定する。検査装置22,23のより詳細な構成に関しては後述する。
【0036】
一方、帯状に形成されたカバーフィルム4の原反は、最上流側においてロール状に巻回されている。ロール状に巻回されたカバーフィルム4の引出し端は、ガイドロール24によって加熱ロール25の方へと案内されている。
【0037】
加熱ロール25は、前記フィルム受けロール20に圧接可能となっており、両ロール20,25間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっている。そして、容器フィルム3及びカバーフィルム4が、両ロール20,25間を加熱圧接状態で通過することにより、容器フィルム3にカバーフィルム4が取着され、ポケット部2がカバーフィルム4で塞がれる。これにより、錠剤5が各ポケット部2に収容された帯状のPTPフィルム6が製造される。
【0038】
フィルム受けロール20から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール27及び間欠送りロール28の順に掛装されている。間欠送りロール28は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール27は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記フィルム受けロール20と間欠送りロール28との搬送動作の相違によるPTPフィルム6の弛みを防止してPTPフィルム6を常時緊張状態に保持する。
【0039】
フィルム受けロール20とテンションロール27との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、第三検査装置26が設けられている。第三検査装置26は、錠剤5やPTPフィルム6(シート部分)など、最終的にPTPシート1となる部位を検査対象としてこの検査対象における異常の有無を判定する。本実施形態では、第一検査装置22、第二検査装置23及び第三検査装置26がそれぞれ検査装置に相当する。尚、第三検査装置26のより詳細な構成に関しては後述する。
【0040】
間欠送りロール28から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール31及び間欠送りロール32の順に掛装されている。間欠送りロール32は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール31は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール28,32間でのPTPフィルム6の弛みを防止する。
【0041】
間欠送りロール28とテンションロール31との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、スリット形成装置33及び刻印装置34が順に配設されている。スリット形成装置33は、PTPフィルム6の所定位置に切離用スリットを形成する機能を有する。また、刻印装置34は、PTPフィルム6の所定位置(例えばタグ部)に刻印を付す機能を有する。尚、図1等では、切離用スリットや刻印の図示を省略している。
【0042】
間欠送りロール32から送り出されたPTPフィルム6は、その下流側においてテンションロール35及び連続送りロール36の順に掛装されている。間欠送りロール32とテンションロール35との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、シート打抜装置37が配設されている。シート打抜装置37は、PTPフィルム6をPTPシート1単位にその外縁を打抜く機能を有する。
【0043】
シート打抜装置37によってPTPフィルム6を打抜いて得られたPTPシート1は、コンベア39によって搬送され、完成品用ホッパ40に一旦貯留される。但し、上記検査装置22,23,26によって不良品と判定されたPTPシート1は、完成品用ホッパ40へ送られることなく、図示しない不良シート排出機構によって別途排出される。
【0044】
前記連続送りロール36の下流側には、裁断装置41が配設されている。そして、シート打抜装置37による打抜き後に帯状に残った残材部(スクラップ部)を構成する不要フィルム部42は、テンションロール35及び連続送りロール36に案内された後、裁断装置41に導かれる。尚、連続送りロール36は従動ロールが圧接されており、不要フィルム部42を挟持しながら搬送動作を行う。裁断装置41は、不要フィルム部42を所定寸法に裁断する。裁断された不要フィルム部42(スクラップ)はスクラップ用ホッパ43に貯留された後、別途廃棄処理される。
【0045】
尚、上記各ロール14,20,28,31,32などは、そのロール表面とポケット部2とが対向する位置関係となっているが、間欠送りロール14等の表面には、ポケット部2が収容される凹部が形成されているため、ポケット部2が潰れてしまうことがない。また、ポケット部2が間欠送りロール14等の各凹部に収容されながら送り動作が行われることで、間欠送り動作や連続送り動作が確実に行われる。
【0046】
次に、上記検査装置22,23,26のより具体的な構成について図5を参照しつつ説明する。各検査装置22,23,26は、それぞれ照明装置50、カメラ51及び画像処理装置52を備えている。
【0047】
照明装置50は、ポケット部2の開口部側又は突出部側から、容器フィルム3やPTPフィルム6等、最終的にPTPシート1となる部位(検査対象)に対し所定の光(例えば近赤外光や可視光)を照射する。
【0048】
カメラ51は、照明装置50から検査対象に照射された光を撮像する。本実施形態では、カメラ51として、照明装置50から照射される光の波長領域に感度を有するCCDカメラが採用されている。これに限らず、CMOSカメラを採用してもよい。尚、第二検査装置23のカメラ51には、色識別可能なようにカラーCCDカメラが用いられる。
【0049】
そして、カメラ51によって撮像された画像(輝度画像データ又はカラー画像データ)は、カメラ51内部においてデジタル信号に変換された上で、デジタル信号の形で画像処理装置52に入力される。
【0050】
画像処理装置52は、演算手段としてのCPUや、各種プログラムを記憶するROM、演算データや入出力データなどの各種データを記憶するRAMやハードディスクなどを備えた、いわゆるコンピュータシステムとして構成されている。画像処理装置52は、画像メモリ53、検査結果記憶装置54、判定用メモリ55、画像・検査条件記憶装置56、汎用記憶装置57、カメラタイミング制御装置58並びにCPU及び入出力インターフェース59を備えている。
【0051】
画像メモリ53は、カメラ51により得られた画像データを記憶する。この画像メモリ53に記憶された画像データに基づいて検査が実行される。勿論、検査の実行に際し、画像データに対し加工処理を施してもよい。例えばマスキング処理や、シェーディング補正などの処理を施すことが考えられる。シェーディング補正は、容器フィルム3等の撮像範囲全体を照明装置50の光で均一に照らすことは技術的に限界があることから、位置の相違により生じる光の明度のばらつきを補正するためのものである。尚、画像データに対し二値化処理を行うことで得た二値化画像データや、マスキング処理を行うことで得たマスキング画像データなども画像メモリ53に記憶される。
【0052】
検査結果記憶装置54は、良否判定結果のデータや該データを確率統計的に処理した統計データなどを記憶するものである。
【0053】
判定用メモリ55は、検査に用いられる各種情報を記憶するためのものである。各種情報には、良否を判定するための判定基準(例えば閾値等)や二値化処理を行うための二値化用閾値、検査対象範囲を画定するためのデータ(例えば、画像データ中における錠剤5部分を特定するための情報や、PTPシート1の外縁とポケット部2との相対位置関係に関する設計データなど)などが含まれる。
【0054】
画像・検査条件記憶装置56は、例えば不良判定の日時や検査に用いられた検査条件などを記憶する。
【0055】
汎用記憶装置57は、画像処理装置52において実行される各種処理のために必要なソフトウエアを記憶する。また、汎用記憶装置57には、自身の属する(自身を備えた)画像処理装置52を特定するための固有データが記憶されている。固有データとしては、例えば画像処理装置52の型式やシリアル番号などを挙げることができる。
【0056】
さらに、汎用記憶装置57に記憶されるソフトウエアには、データ出力用ソフトウエア57aが含まれる。データ出力用ソフトウエア57aは、検査装置22,23,26の後述する表示装置62に表示された画像を取り込んで画像データとして保存するためのプログラム、汎用記憶装置57に記憶された、該検査装置22,23,26の画像処理装置52を特定するための前記固有データを読み込むプログラム、並びに、両プログラムにより取得された画像データ及び固有データを後述するメール作成通信装置73へと出力するためのプログラムを含む。
【0057】
データ出力用ソフトウエア57aは、後述する入力装置61に対する操作に伴いCPU及び入出力インターフェース59へと所定のデータ出力実行命令が入力されたときに、画像処理装置52を構成するCPUやメモリ等を利用して実行される。データ出力用ソフトウエア57aを実行することで、検査装置22,23,26の後述する表示装置62に表示された画像に係る画像データと、該検査装置22,23,26の画像処理装置52を特定するための固有データとがメール作成通信装置73へと出力される。但し、後述するスイッチ装置72によって、画像処理装置52及びメール作成通信装置73間における通信が切断されている(通信が不許可の状態とされている)場合には、両データはメール作成通信装置73へと出力されないことになる。
【0058】
本実施形態では、画像処理装置52の構成要素のうち、CPU及び入出力インターフェース59やデータ出力用ソフトウエア57aなどを含む、画像データ及び固有データの出力に利用される構成要素によって、データ出力手段としてのデータ出力部71が構成される。データ出力部71は、後述するメンテナンス支援システム70の一部を構成する。
【0059】
カメラタイミング制御装置58は、カメラ51の撮像タイミングを制御する。かかる撮像タイミングはPTP包装機10に設けられた図示しないエンコーダからの信号に基づいて制御され、容器フィルム3等を所定量送るごとにカメラ51による撮像が行われる。
【0060】
CPU及び入出力インターフェース59は、検査装置22,23,26における各種制御を司る。CPU及び入出力インターフェース59は、PTP包装機10の構成装置との間で信号を送受信可能とされている。これにより、上述した不良シート排出機構などを制御すること等が可能となる。また、CPU及び入出力インターフェース59は、スイッチングハブ等からなるハブ91を介してメール作成通信装置73との間でデータの送受信を行うことが可能である。
【0061】
さらに、画像処理装置52には、入力装置61及び表示手段としての表示装置62が接続されている。
【0062】
入力装置61は、例えばキーボードやマウス等の入力機器であり、画像処理装置52に対しデータを入力したり、画像処理装置52に記憶されたデータを変更したりするために用いられる。また、入力装置61を操作することで、CPU及び入出力インターフェース59に対し、上述したデータ出力実行命令を含む各種命令(コマンド)を入力可能である。
【0063】
表示装置62は、情報を表示するための表示機器(例えば液晶ディスプレイ等)により構成されており、画像処理装置52からの出力に基づく画像を表示する。これにより、表示装置62では、画像メモリ53、検査結果記憶装置54、判定用メモリ55、画像・検査条件記憶装置56及び汎用記憶装置57に記憶された各種データ(例えば、各種画像データや良否判定結果のデータなど)に基づく画像を表示可能である。
【0064】
さらに、画像処理装置52は、カメラ51により得られた画像データに基づく検査対象の良否判定を実行する。画像処理装置52では、例えば、画像データに対する二値化処理や二値化画像データに対する塊処理などを行うとともに、判定用メモリ55に記憶された各種情報に基づき検査対象の良否を判定する。
【0065】
次に、各検査装置22,23,26の構成についてより詳しく説明する。
【0066】
第一検査装置22は、シール前に容器フィルム3のポケット部2突出部側(錠剤5の表面側)から検査を行う透過光式の検査装置である。第一検査装置22では、照明装置50が容器フィルム3のポケット部2開口部側に配置され、カメラ51が容器フィルム3のポケット部2突出部側に設けられている。そして、照明装置50から照射される光(近赤外光)のうち、容器フィルム3を透過した光を二次元撮像する構成となっている。
【0067】
第一検査装置22では、「錠剤割れ」、「錠剤破片混入」、「欠錠」、「錠剤形状・大きさ違い」、「錠剤欠け」及び「錠剤表面剥離」といった検査項目についての検査が行われる。「錠剤割れ」に関する検査では、錠剤5に割れが発生しているか否かが判定される。「錠剤破片混入」に関する検査では、ポケット部2内に、錠剤5の破片など、錠剤5以外の異物が存在するか否かが判定される。「欠錠」に関する検査では、ポケット部2内に錠剤5が充填されているか否かが判定される。「錠剤形状・大きさ違い」に関する検査では、錠剤5の形状や大きさが、製造品種と適合しているか否かが判定される。「錠剤欠け」に関する検査では、錠剤5に欠けが発生しているか否かが判定される。「錠剤表面剥離」に関する検査では、錠剤5の表面層が剥離しているか否かが判定される。
【0068】
第二検査装置23は、シール前に容器フィルム3のポケット部2突出部側及び開口部側(錠剤5の表裏面側)から検査を行う透過光式及び反射光式の両機能を備えた検査装置である。第二検査装置23では、照明装置50が容器フィルム3のポケット部2突出部側及び開口部側の両側に1つずつ配置され、2つのカメラ51が容器フィルム3のポケット部2開口部側に設けられている。そして、ポケット部2突出部側の照明装置50から照射される光(可視光)のうち、容器フィルム3を透過した光が一方のカメラ51により二次元撮像され、ポケット部2開口部側の照明装置50から照射される光(可視光)のうち、錠剤5等に反射した光が他方のカメラ51(カラーCCDカメラ)により二次元撮像される構成となっている。
【0069】
第二検査装置23では、上述した「錠剤割れ」、「錠剤破片混入」、「欠錠」、「錠剤形状・大きさ違い」及び「錠剤欠け」といった検査項目に加えて、「シート上錠剤粉」、「シート上毛髪」、「シート上異物」及び「錠剤色」といった検査項目に関する検査が行われる。「シート上錠剤粉」に関する検査では、容器フィルム3等のシート上に、錠剤粉など大きさが数mm(例えば5mm)未満の小さな異物が存在するか否かが判定される。「シート上毛髪」に関する検査では、容器フィルム3等のシート上に、毛髪などの線状異物が存在するか否かが判定される。「シート上異物」に関する検査では、容器フィルム3等のシート上に、大きさが数mm(例えば5mm)以上という大きな異物が存在するか否かが判定される。「錠剤色」に関する検査では、錠剤5の色が製造品種と適合しているか否かが判定される。
【0070】
第三検査装置26は、シール後に容器フィルム3(PTPフィルム6)のポケット部2突出部側(錠剤5の表面側)から検査を行う反射光式の検査装置である。第三検査装置26では、それぞれ照明装置50及びカメラ51が容器フィルム3(PTPフィルム6)のポケット部2突出部側に配置されている。そして、第三検査装置26では、照明装置50から照射される光(近赤外線)のうち、検査対象を反射した光を二次元撮像する構成となっている。
【0071】
第三検査装置26では、上述した「シート上錠剤粉」、「錠剤割れ」、「欠錠」、「錠剤形状・大きさ違い」、「錠剤欠け」、「錠剤破片混入」、「シート上毛髪」及び「シート上異物」といった検査項目に加えて、「錠剤上異物」、「錠剤上毛髪」及び「ノンシール・しわ」といった検査項目に関する検査が行われる。「錠剤上異物」に関する検査では、錠剤5上に、大きさが数mm(例えば5mm)以上という大きな異物が存在するか否かが判定される。「錠剤上毛髪」に関する検査では、錠剤5上に、毛髪などの線状異物が存在するか否かが判定される。「ノンシール・しわ」に関する検査では、シール不良部分の有無やカバーフィルム4におけるしわの有無などが判定される。
【0072】
次に、図6を参照して、メンテナンス支援システム70について説明する。メンテナンス支援システム70は、各検査装置22,23,26が具備する複数の画像処理装置52に対し、現地(例えばPTP包装機10の設置された工場など)のオペレータが設定の変更や調節等のメンテナンスを行うときにおいて、外部(例えば前記工場から離れた遠隔地)の支援者からメンテナンスの支援を受ける場合に使用される。メンテナンス支援システム70は、上述したデータ出力部71に加えて、スイッチ手段としてのスイッチ装置72、メール作成通信装置73、現地側メールサーバ74、現地側通信装置75、現地側コンピュータ76及び現地側表示装置77を備えている。
【0073】
尚、現地側メールサーバ74、現地側通信装置75、現地側コンピュータ76及び現地側表示装置77は、メール作成通信装置73からオペレータ側のメールアドレス宛に送信された電子メールに含まれる情報を確認するために利用される。本実施形態において、現地側メールサーバ74、現地側通信装置75、現地側コンピュータ76及び現地側表示装置77はそれぞれ現地に設けられているが、これらの設置場所については現地に限られず、適宜変更可能である。また、現地側通信装置75、現地側コンピュータ76及び現地側表示装置77を持ち運び可能な装置としてもよい。
【0074】
スイッチ装置72は、各データ出力部71(各画像処理装置52)とメール作成通信装置73との間に設けられており、データ出力部71及びメール作成通信装置73間における信号の送受信を許可したり遮断したりするためのものである。スイッチ装置72は、データ出力部71(画像処理装置52)及びメール作成通信装置73間の通信を許可又は不許可とする際にオペレータ等により操作される図示しない入力部(例えば押しボタン)などを備えている。前記入力部への操作によってスイッチ装置72をオンとし、データ出力部71及びメール作成通信装置73間を通信可能状態とすることで、データ出力部71からメール作成通信装置73に対する画像データ及び固有データの送信が許可された状態となる。一方、前記入力部への操作によってスイッチ装置72をオフとし、データ出力部71及びメール作成通信装置73間における通信を切断した状態とすることで、データ出力部71からメール作成通信装置73に対する画像データ及び固有データの送信が不許可の状態となる。
【0075】
メール作成通信装置73は、演算手段としてのCPUや、各種プログラムを記憶するROMやRAM、各種データを記憶する情報保存装置(例えばハードディスクなど)等を備えた、いわゆるコンピュータシステムとして構成されている。メール作成通信装置73は、電子メールを作成する機能や、作成した電子メールを送信する機能などを備えている。メール作成通信装置73は、記憶手段としての記憶装置73a、メール作成手段としてのメール作成部73b及びメール送信手段としてのメール送信部73cを備えている。
【0076】
記憶装置73aは、前記情報保存装置によって構成されている。記憶装置73aには、検査装置22,23,26の所在に関する情報である検査装置所在情報と、所定の支援者(例えば、検査装置22,23,26のメーカにおける担当者など)側のメールアドレスを含む、電子メールの送信先に関する情報である送信先情報とが少なくとも記憶されている。検査装置所在情報及び送信先情報は、例えばオペレータ等により記憶装置73aに対し予め入力されている。
【0077】
検査装置所在情報としては、例えば、PTP包装機10を用いてPTPシート1の製造を行う製造者の社名、該PTP包装機10の設置された工場の名称、該工場の電話番号、該工場や該製造者を特定可能な番号などを挙げることができる。
【0078】
また、支援者側のメールアドレスとは、基本的には、支援者が所有していたり、貸与されていたりする支援者専用のメールアドレスをいうが、必ずしもこれに限られず、メンテナンス支援の点で支援者に関係する者(例えば支援者の属する組織や部署など)のメールアドレスなどであってもよい。
【0079】
さらに、記憶装置73aに記憶された送信先情報には、検査装置22,23,26のオペレータ側のメールアドレスが含まれている。オペレータ側のメールアドレスとは、基本的には、オペレータが所有していたり、貸与されていたりするオペレータ専用のメールアドレスをいうが、必ずしもこれに限られず、例えば、メンテナンスの点でオペレータに関係する者(例えばオペレータの属する組織や部署など)のメールアドレスなどであってもよい。
【0080】
メール作成部73bは、前記情報保存装置に予め記憶された、次述する電子メールを作成するためのプログラムと、該プログラムを実行するための、メール作成通信装置73を構成するCPU等のハードウエア資源とによって構成されている。メール作成部73bは、データ出力部71から画像データ及び固有データが入力されると、入力された画像データ及び固有データ、並びに、記憶装置73aに記憶された検査装置所在情報を含むとともに、少なくとも支援者側のメールアドレスを送信先として設定した電子メールを作成する。特に本実施形態におけるメール作成部73bは、電子メールの送信先として、記憶装置73aに記憶された送信先情報に基づき、オペレータ側のメールアドレスも設定する。つまり、メール作成部73bは、支援者側のメールアドレスとオペレータ側のメールアドレスとを送信先として設定した電子メールを作成する。メール作成部73bにより作成された電子メールは、前記情報保存装置に記憶される。
【0081】
尚、本実施形態において作成される電子メールは、例えば、支援者側及びオペレータ側の各メールアドレスが送信先として設定されるとともに、メール本文に固有データ及び検査装置所在情報が記され、さらに、画像データを添付したものとされる。但し、作成される電子メールの形式はこれに限られず、メール本文に、画像データ又はこれを変換したデータが含まれるように構成してもよい。また、固有データや検査装置所在情報が電子メールに添付されるように構成してもよい。
【0082】
メール送信部73cは、前記情報保存装置に予め記憶された、電子メールを送信するためのプログラムと、該プログラムを実行するための、メール作成通信装置73を構成するCPU等のハードウエア資源とによって構成されている。メール送信部73cは、メール作成部73bにより作成された、画像データ、固有データ及び検査装置所在情報を含む電子メールを、該電子メールに設定された送信先のメールアドレス宛に送信する。
【0083】
また、本実施形態において、メール作成通信装置73は、メール送信部73cによる電子メールの送信機能を具備する一方で、電子メールを受信する機能を具備しないものとされている。従って、メール送信部73cから送信される電子メールには、形式的な差出人のメールアドレスが含まれるが、このメールアドレス宛に電子メールを送信したとしても、メール作成通信装置73がこの電子メールを受信することはない。
【0084】
現地側メールサーバ74は、オペレータ側のメールアドレス宛に送信された電子メールを受信して保存するとともに、保存された電子メールを現地側コンピュータ76へと送信する機能を有する。メール送信部73cからオペレータ側のメールアドレス宛に送信された電子メールは、現地側メールサーバ74にて一旦保存され、その後、現地側通信装置75を介した現地側コンピュータ76からの要求に応じて、現地側通信装置75を介して現地側コンピュータ76へと送られる。
【0085】
現地側通信装置75は、所定回線(例えばインターネット回線やLAN回線等)を介して現地側メールサーバ74との間で信号の送受信を行うものである。
【0086】
現地側コンピュータ76は、現地側通信装置75と現地側表示装置77との間に介在されており、各装置75,77との間で各種信号の送受信を行う。また、現地側コンピュータ76は、現地側メールサーバ74から送信された電子メールを保存する。
【0087】
現地側表示装置77は、情報を表示するための表示機器(例えば、液晶ディスプレイ等)によって構成されており、現地側コンピュータ76と接続されている。現地側表示装置77は、現地側コンピュータ76から出力される情報を表示する。従って、現地側表示装置77では、現地側コンピュータ76に保存された電子メールに含まれる情報(画像データや固有データ、検査装置所在情報など)を表示させることが可能であり、オペレータはこれら情報を確認することができるようになっている。
【0088】
次いで、外部システム80について説明する。外部システム80は、メール作成通信装置73から支援者側のメールアドレス宛に送信された電子メールに含まれる情報を支援者が確認するために利用される。外部システム80は、外部メールサーバ81、外部通信装置82、外部コンピュータ83及び外部表示装置84を備えている。
【0089】
外部メールサーバ81は、支援者側のメールアドレス宛に送信された電子メールを受信して保存するとともに、保存された電子メールを外部コンピュータ83へと送信する機能を有する。メール送信部73cから支援者側のメールアドレス宛に送信された電子メールは、外部メールサーバ81にて一旦保存され、その後、外部通信装置82を介した外部コンピュータ83からの要求に応じて、外部通信装置82を介して外部コンピュータ83へと送られる。
【0090】
外部通信装置82は、所定回線(例えばインターネット回線やLAN回線等)を介して外部メールサーバ81との間で信号の送受信を行うものである。
【0091】
外部コンピュータ83は、外部通信装置82と外部表示装置84との間に介在されており、各装置82,84との間で各種信号の送受信を行う。また、外部コンピュータ83は、外部メールサーバ81から送信された電子メールを保存する。
【0092】
外部表示装置84は、情報を表示するための表示機器(例えば、液晶ディスプレイ等)によって構成されており、外部コンピュータ83と接続されている。外部表示装置84は、外部コンピュータ83から出力される情報を表示する。従って、外部表示装置84では、外部コンピュータ83に保存された電子メールに含まれる情報(画像データや固有データ、検査装置所在情報など)を表示させることが可能であり、支援者はこれら情報を確認することができるようになっている。
【0093】
次いで、図7を参照して、メンテナンス支援を受ける場合における、メンテナンス支援システム70の動作について説明する。まず、ステップS1において、スイッチ装置72に対する操作によりスイッチ装置72がオンとされることで、データ出力部71(画像処理装置52)及びメール作成通信装置73間における通信が許可された状態となる。つまり、データ出力部71(画像処理装置52)からメール作成通信装置73に対する画像データ及び固有データの送信が可能な状態となる。
【0094】
次いで、ステップS2において、メンテナンス対象の画像処理装置52に接続された入力装置61に所定の操作が行われることで、該画像処理装置52から表示装置62へと所定の信号が出力され、表示装置62にて、メンテナンス支援を受ける上で必要な画像が表示される。表示される画像は、例えば画像処理装置52に記憶された各種画像データや良否判定結果のデータなどに基づくものである。
【0095】
そして、ステップS3にて、画像処理装置52に接続された入力装置61に対し所定の操作が行われることで、データ出力部71により、表示装置62に表示された画像に係る画像データと、画像処理装置52を特定するための固有データとがメール作成通信装置73へと出力される。つまり、メンテナンスを行う上で必要な画像データと、メンテナンス対象となる画像処理装置52の機種などを知るための固有データとがメール作成通信装置73へと出力される。
【0096】
続くステップS4では、画像データ及び固有データが入力されたメール作成通信装置73のメール作成部73bにより、これら画像データ及び固有データ並びに検査装置所在情報を含み、かつ、支援者側及びオペレータ側の各メールアドレスを送信先として設定した電子メールが作成される。また、作成された電子メールは、メール作成通信装置73の前記情報保存装置に記憶される。
【0097】
そして最後に、ステップS5において、メール送信部73cによって、作成された電子メールが支援者側(外部メールサーバ81)及びオペレータ側(現地側メールサーバ74)へと送信される。これにより、支援者に対し、画像データ、固有データ及び検査装置所在情報が伝えられる。また、オペレータは、自身側に送信された電子メールによって、画像データ、固有データ及び検査装置所在情報を確認可能となる。
【0098】
尚、実際のメンテナンスは、例えば電話などを使用して支援者からオペレータへと指示や提案などが行われ、その指示や提案に基づき、オペレータが画像処理措置の設定変更や調整を行うことでなされる。ここで、電子メールの送信後、直ちにメンテナンス支援を行う場合には、オペレータが表示装置62に表示された画像(電子メールに含まれる画像データの元となるもの)を見るとともに、支援者が、外部表示装置84によって、支援者側に送信された電子メールに含まれる画像データに係る画像を見る状態で、オペレータ及び支援者間でメンテナンスに係るやり取りを行うことができる。また、電子メールを送信してからある程度の期間が経過したとき(表示装置62に、画像データの元となった画像が既に表示されていないとき)にメンテナンス支援を行う場合には、オペレータが、現地側表示装置77によって、オペレータ側に送信された電子メールの画像データに係る画像を見るとともに、支援者が、外部表示装置84によって、支援者側に送信された電子メールの画像データに係る画像を見る状態で、オペレータ及び支援者間においてメンテナンスに係るやり取りを行うことができる。どちらの場合であっても、図8に示すように、オペレータA及び支援者Bは、同一の画像を見ながらやり取りを行うことができる。勿論、オペレータ及び支援者間におけるやり取りの最中に、新たな電子メールを支援者側へと送信して、オペレータ及び支援者の共有する画像に関する情報を適宜更新してもよい。また、支援者は、電子メールに含まれる固有データから、メンテナンス対象の画像処理装置52を正確に特定することができる。
【0099】
以上詳述したように、本実施形態によれば、支援者側に対しメンテナンス対象となる画像処理装置52を特定するための固有データが送られるため、オペレータ及び支援者の間でメンテナンス対象となる画像処理装置52をより確実に一致させることができる。また、支援者側に対し、表示装置62に表示された画像に係る画像データが送られるため、オペレータ及び支援者の双方で同一の画像を見ることができ、メンテナンス支援を正確かつ適切に行うことができる。
【0100】
さらに、メール作成通信装置73は、電子メールの送信機能を具備する一方、電子メールの受信機能を具備しないものとされている。従って、電子メールを利用したメール作成通信装置73や画像処理装置52に対する攻撃や、電子メールに起因するコンピュータウイルス等の感染などをより確実に防ぐことができる。また、外部からメール作成通信装置73や画像処理装置52に対しオペレータの意図しない操作(支援者側の誤操作や第三者からの攻撃など)が行われる危険性を減らすことができる。
【0101】
加えて、検査装置所在情報及び送信先情報は、メール作成通信装置73の記憶装置73aに記憶されているため、画像処理装置52を交換した際にこれら情報を設定し直す必要がない。さらに、検査装置所在情報や送信先情報の修正や変更を行うときには、本実施形態のように検査装置22,23,26(画像処理装置52)が複数存在する場合であっても、記憶装置73aに記憶されたこれら情報のみを修正・変更すればよい。そのため、情報の修正や変更に要する手間を著しく低減させることができ、また、修正や変更に伴い情報に誤りが生じることをより確実に防止できる。
【0102】
さらに、スイッチ装置72を設けることによって、オペレータ側で許可した場合など、スイッチ装置72をオンにした場合にのみ、支援者側へと画像データ等を含む電子メールを送信することが可能となる。これにより、支援者側へと誤って画像データ等の情報が送信されることをより確実に防止でき、外部に対する情報の漏洩防止をより効果的に図ることができる。
【0103】
加えて、支援者側及びオペレータ側の各メールアドレスを送信先として設定した電子メールが作成され、オペレータ側及び支援者側に対し共通内容の電子メールが送信されるため、オペレータ及び支援者の双方が同一内容の画像データを共有することができる。そのため、オペレータと支援者との間で画像データから把握される情報に差異が生じることをより確実に防止でき、メンテナンス支援をより正確かつより適切に行うことができる。また、電子メールを送信してからある程度の期間が経過した後などであっても、画像データを利用したメンテナンス支援が可能となり、オペレータ及び支援者の双方における利便性を高めることができる。
【0104】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0105】
(a)メール作成通信装置73を、電力供給のためのバッテリや外部との無線通信機能などを備えた、持ち運び可能なものとしてもよい。この場合には、メール作成通信装置73を、現地における通信状況のよい場所や通信が許可されている場所などへと移動させた上で使用するといったことが可能となり、利便性を高めることができる。
【0106】
(b)上記実施形態では、スイッチ装置72によって、データ出力部71及びメール作成通信装置73間における通信を切断可能に構成されているが、スイッチ装置によって、メール作成通信装置73の電源を切断可能に構成してもよい。この場合におけるスイッチ装置は、メール作成通信装置73に内蔵されていてもよいし、電源からメール作成通信装置73に給電するための給電ケーブルに介在設置されていてもよい。
【0108】
)上記実施形態では、検査装置として、錠剤5自体の良否に関する検査、ポケット部2に対する異物混入に関する検査、容器フィルム3への異物付着に関する検査、容器フィルム3に対するカバーフィルム4のシール状態に関する検査を行う検査装置22,23,26を挙げているが、これら検査装置22,23,26はあくまで一例である。従って、例えば、ポケット部2形成前の容器フィルム3に対し検査を行う検査装置や、ポケット部2に錠剤5を充填する前後における容器フィルム3のピンホール検査を行う検査装置などを設けることとしてもよい。また、完成品のPTPシート1に検査を行う検査装置を設けることとしてもよい。
【0109】
加えて、検査装置において行われる検査項目についても上記実施形態に限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0110】
さらに、上記実施形態において、PTP包装機10は、3台の検査装置22,23,26を備えているが、2台又は4台以上の検査装置を備えていてもよい。また、工場内に複数のPTP包装機10が設けられていてもよい。
【0111】
)上記実施形態では、PTPシート1の製造過程にて最終的にPTPシート1となる部位を検査する検査装置22,23,26に対し本発明の技術思想が適用されているが、PTPシート1以外の製品や製品の材料などを検査する検査装置に対し、本発明の技術思想を適用してもよい。例えば、二次電池等に内蔵される巻回素子を得るための巻回装置に設けられ、巻回素子の材料となる電極シートやセパレータシートの状態を検査するための検査装置、基板に部品を実装するための半田を印刷する半田印刷装置に設けられ、半田の印刷状態を検査するための検査装置、冷陰極蛍光灯などのランプを製造するランプ製造装置に設けられ、ランプやその構成材料の状態を検査するための検査装置などに、本発明の技術思想を適用してもよい。
【0112】
)スイッチ装置72に対し、タイマによる計測時間に基づいて自動的にデータ出力部71及びメール作成通信装置73間における通信を切断する機能を設けてもよい。前記タイマは、例えばスイッチ装置72がオンとされてからの経過時間を計測する。また、時刻や検査装置の動作状況などを利用して、自動的にデータ出力部71及びメール作成通信装置73間における通信を切断するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0113】
1…PTPシート(ブリスタシート)、2…ポケット部、3…容器フィルム、4…カバーフィルム、5…錠剤、22…第一検査装置(検査装置)、23…第二検査装置(検査装置)、26…第三検査装置(検査装置)、52…画像処理装置、62…表示装置(表示手段)、70…メンテナンス支援システム、71…データ出力部(データ出力手段)、72…スイッチ装置(スイッチ手段)、73…メール作成通信装置、73a…記憶装置(記憶手段)、73b…メール作成部(メール作成手段)、73c…メール送信部(メール送信手段)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9