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特許7051251蒸着マスク、OLEDパネル及びシステム並びに蒸着監視方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】蒸着マスク、OLEDパネル及びシステム並びに蒸着監視方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/04 20060101AFI20220404BHJP
   C23C 14/52 20060101ALI20220404BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220404BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
C23C14/04 A
C23C14/52
H05B33/14 A
H05B33/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019562456
(86)(22)【出願日】2018-04-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-27
(86)【国際出願番号】 CN2018085015
(87)【国際公開番号】W WO2019062116
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2019-07-31
(31)【優先権主張番号】201710910812.3
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516189213
【氏名又は名称】クンシャン ゴー-ビシオノクス オプト-エレクトロニクス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Kunshan Go-Visionox Opto-Electronics Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Building 4, No. 1, Longteng Road, Development Zone, Kunshan, Jiangsu 215300, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リウ ミンジン
(72)【発明者】
【氏名】リ ジュンフェン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジュリャン
(72)【発明者】
【氏名】ガオ フェン
【審査官】山本 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-211139(JP,A)
【文献】特開2009-158328(JP,A)
【文献】特開2006-216475(JP,A)
【文献】特開2013-209700(JP,A)
【文献】米国特許第09224957(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/04
C23C 14/52
H01L 51/50
H05B 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
OLEDパネルの表示エリアを構成するために第1機能領域及びその第1機能領域の外側に位置し、上記OLEDパネルの非表示エリアを構成するために第1周辺領域を有し、第1機能領域により少なくとも1個の第1開口が画定され、第1周辺領域により少なくとも1個の第2開口が画定される蒸着マスクと、を備え、
上記OLEDパネルは、上記蒸着マスク上に配置されており、上記表示エリアのための第2機能領域及び第2機能領域の外側に位置し、上記非表示エリアのための第2周辺領域を有し、その第2周辺領域上に観測層が形成されており、
上記蒸着マスクの少なくとも1個の第1開口を通じた蒸着により上記OLEDパネルの第2機能領域上に機能層が形成され、同蒸着マスクの少なくとも1個の第2開口を通じた蒸着により同OLEDパネルの観測層上に少なくとも1個の監視構造が形成され、その監視構造を介し当該少なくとも1個の第1開口の蒸着効果が監視され、
上記観測層は上記第2周辺領域の全領域を覆い、上記監視構造の観測を行うために設けられており、
上記監視構造の観測を行うために、上記観測層の色は上記監視構造の色と異なるOLEDパネルシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のOLEDパネルシステムであって、
少なくとも1つの上記第2開口の形状は、少なくとも1つの上記第1開口の形状と実質的に同一であり、
複数の上記第2開口が上記第1周辺領域内に一様分布されているOLEDパネルシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のOLEDパネルシステムであって、
上記観測層は、反射材料から構成され、
上記観測層の厚さは、100nm以上200nm以下であるOLEDパネルシステム。
【請求項4】
請求項1又は3に記載のOLEDパネルシステムであって、
上記第2周辺領域の表面と上記第2機能領域の表面との間の高さ差は200nm以下であるOLEDパネルシステム。
【請求項5】
OLEDパネルの表示エリアを構成するために第1機能領域及びその第1機能領域の外側に位置し、上記OLEDパネルの非表示エリアを構成するために第1周辺領域を有し、第1機能領域により少なくとも1個の第1開口が画定され、第1周辺領域により少なくとも1個の第2開口が画定される蒸着マスクを、準備するステップと、
上記表示エリアのための第2機能領域及びその第2機能領域の外側に位置し、上記非表示エリアのための第2周辺領域を有し、その第2周辺領域上に観測層が形成されている上記OLEDパネルを、準備するステップと、
上記OLEDパネルの第2機能領域及び観測層上に、それぞれ上記蒸着マスクを用い、機能層及び少なくとも1個の監視構造を形成するステップと、
撮像機能及び計算機能を有する装置によって上記OLEDパネル上における上記少なくとも1個の監視構造の実中心を捉えるステップと、
上記監視構造の実中心をその監視構造の理論中心とそれぞれの座標において比べることで上記蒸着マスクの少なくとも1個の第1開口の蒸着効果を求めるステップと、
を有し、
上記観測層は上記第2周辺領域の全領域を覆い、上記監視構造の観測を行うために設けられており
上記監視構造の観測を行うために、上記観測層の色は上記監視構造の色と異なる蒸着監視方法。
【請求項6】
請求項の蒸着監視方法であって、上記監視構造の実中心とその監視構造の理論中心とが同じ位置にあるとき、上記少なくとも1個の第1開口を通じた蒸着にずれがないと見なされ、当該監視構造の実中心とその監視構造の理論中心とが異なる位置にあるとき、当該少なくとも1個の第1開口を通じた蒸着にずれがあると見なされる蒸着監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願はOLEDの技術分野、特に蒸着マスク、OLEDパネル及びシステム並びに蒸着監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード(OLED)表示テクノロジは新規な表示及び照明テクノロジである。近年では、OLEDデバイス向け投資が徐々に増えてOLEDデバイスが業界のホットスポットになってきている。
【0003】
OLEDデバイスの製造プロセスでは、規則正しく蒸着マスクを用いた真空蒸着により有機素材層が形成される。蒸着マスクは、通常、パターン付きのシートマスクを有している。真空蒸着時には、(加熱され昇華した)有機素材をそのパターンに通し基板に到達させることで、その基板上に有機素材層を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】中国実用新案出願第206015074号明細書
【文献】中国特許出願公開第106086786号明細書
【文献】中国特許出願公開第106129270号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
蒸着効果はOLEDデバイスの製造にとり非常に重要である。従来技術では蒸着効果(主として蒸着ずれを含むそれ)を経時監視できず、顕微鏡を用いたマニュアル検査を通じ個々の蒸着結果をスポットチェックするしかなく、こうした方法では時間も手間もとられてしまい蒸着プロセスを常時監視することができなかった。そのため、よりリアルタイムな蒸着監視方法提供することが、本件技術分野に習熟した者(いわゆる当業者)により解決されるべき課題となっている。
【0006】
本願の目的は、従来技術では蒸着プロセスを経時監視できないという問題を解決すべく蒸着マスク、OLEDパネル及びシステム並びに蒸着監視方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上掲の技術的問題を解決すべく本願にて提案される蒸着マスクは、第1機能領域及びその第1機能領域の外側に位置する第1周辺領域を有し、OLEDパネル上に蒸着により機能層を形成するための少なくとも1個の第1開口が第1機能領域により画定され、そのOLEDパネル上に蒸着により監視構造を形成するための少なくとも1個の第2開口が第1周辺領域により画定され、その監視構造を介し当該少なくとも1個の第1開口の蒸着効果が監視されるものである。
【0008】
或いは、その蒸着マスクにて、上記少なくとも1個の第2開口の形状を、上記少なくとも1個の第1開口のそれと実質的に同じものにする。
【0009】
或いは、その蒸着マスクにて、第1周辺領域が第1エッジ及びその第1エッジに対峙する第2エッジを有し、第1機能領域に対する第1エッジの近さが第1機能領域に対する第2エッジの近さに勝り、各第2開口が第2エッジよりも第1エッジの近くにあるようにする。
【0010】
或いは、その蒸着マスクにて、複数個の第2開口を設け第1周辺領域内に一様分布させる。
【0011】
或いは、その蒸着マスクにて、更にシートマスク及びそのシートマスクをサポートするサポートストリップが蒸着マスクに備わり、上記少なくとも1個の第1開口及び上記複数個の第2開口全てがシートマスク上にあり、サポートストリップが少なくとも1個の第3開口を有し、当該複数個の第2開口のうち当該少なくとも1個の第3開口に対応する少なくとも1個が露出されるようにする。
【0012】
更に、本願にて提案されるOLEDパネルは、第2機能領域及びその第2機能領域の外側に位置する第2周辺領域を有し、第2周辺領域上に観測層が形成されており、蒸着マスクの少なくとも1個の第1開口を通じた蒸着により第2機能領域上に機能層が形成されており、同蒸着マスクの少なくとも1個の第2開口を通じた蒸着により本OLEDパネルの観測層上に少なくとも1個の監視構造が形成されており、当該少なくとも1個の第1開口の蒸着効果がその監視構造を介し監視されるものである。
【0013】
或いは、そのOLEDパネルにおける観測層を反射素材で作成する。
【0014】
或いは、そのOLEDパネルにおける観測層の厚みを100nm~200nmとする。
【0015】
或いは、そのOLEDパネルにて、第2周辺領域の表面と第2機能領域の表面との間の高さ差を200nm以下とする。
【0016】
更に、本願にて提案されるOLEDパネルシステムは、第1機能領域及びその第1機能領域の外側に位置する第1周辺領域を有する蒸着マスクであり、第1機能領域により少なくとも1個の第1開口が画定され、第1周辺領域により少なくとも1個の第2開口が画定される蒸着マスクと、その蒸着マスク上に配置されたOLEDパネルと、を有する。そのOLEDパネルは、第2機能領域及びその第2機能領域の外側に位置する第2周辺領域を有し、その第2周辺領域上に観測層が形成され、上記蒸着マスクの少なくとも1個の第1開口を通じた蒸着により自OLEDパネルの第2機能領域上に機能層が形成され、同蒸着マスクの少なくとも1個の第2開口を通じた蒸着により同OLEDパネルの観測層上に少なくとも1個の監視構造が形成され、その監視構造を介し当該少なくとも1個の第1開口の蒸着効果が監視されるものとする。
【0017】
更に、本願にて提案される蒸着監視方法は、
第1機能領域及びその第1機能領域の外側に位置する第1周辺領域を有し、第1機能領域により少なくとも1個の第1開口が画定され、第1周辺領域により少なくとも1個の第2開口が画定される蒸着マスクを、準備するステップと、
第2機能領域及びその第2機能領域の外側に位置する第2周辺領域を有し、その第2周辺領域上に観測層が形成されているOLEDパネルを、準備するステップと、
上記OLEDパネルの第2機能領域及び観測層上に、それぞれ上記蒸着マスクを用い、機能層及び少なくとも1個の監視構造を形成するステップと、
上記OLEDパネル上での上記少なくとも1個の監視構造の実中心を捉えるステップと、
上記監視構造の実中心をその監視構造の理論中心と比べることで上記蒸着マスクの少なくとも1個の第1開口の蒸着効果を求めるステップと、
を有する。
【0018】
或いは、その蒸着監視方法にて、監視構造の実中心とその監視構造の理論中心とが同じ位置にあるとき、上記少なくとも1個の第1開口を通じた蒸着にずれがないとされ、当該監視構造の実中心とその監視構造の理論中心とが異なる位置にあるとき、当該少なくとも1個の第1開口を通じた蒸着にずれがあるとされる。
【発明の効果】
【0019】
本願により提案される蒸着マスク、OLEDパネル及びシステム並びに蒸着監視方法によれば、蒸着マスクの第2開口を通じた蒸着によりOLEDパネルの観測層上に監視構造を形成でき、その上で蒸着マスクの第1開口の蒸着効果をその監視構造を通じて監視できるため、蒸着効果を経時監視しリアルタイムオンライン監視を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本願の実施形態1に係る蒸着マスクの模式的頂面図である。
図2a】本願の実施形態1に係るOLEDパネルの模式的頂面図である。
図2b】本願の実施形態1に係るOLEDパネルの模式的前面図である。
図3a】本願の実施形態2に係る蒸着マスクにおけるシートマスクの模式的頂面図である。
図3b】本願の実施形態2に係る蒸着マスクにおけるサポートストリップの模式的頂面図である。
図4】本願の実施形態2に係るOLEDパネルの模式的頂面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本願にて提案される蒸着マスク、OLEDパネル及びシステム並びに蒸着監視方法について、以下、諸図面及び具体的諸実施形態を参照してより詳細に記述することにする。本願の長所及び特徴は後掲の記述及び諸請求項からより明らかとなろう。注記すべきことに、それら図面は精密には均一縮尺でない極単純な形態にて提示されており、その専らな目的は、本願の諸実施形態を説明する際の至便性及び明瞭性を高めることにある。
【0022】
[実施形態1]
図1、即ち本願の実施形態1に係る蒸着マスクの構造図を参照されたい。図1に示すように、本願の本実施形態における蒸着マスク100は、第1機能領域110a及びその第1機能領域110aの外側に位置する第1周辺領域110bを有し、機能層を蒸着により形成するための第1開口111が第1機能領域110aにより画定され、またそれら第1開口111の蒸着効果を監視するための第2開口112が第1周辺領域110bにより画定されるものである。本願の本実施形態における機能層は、ある種の機能を有し蒸着プロセスにより形成される、いずれの素材層でもよい。例えば、その機能層が、ある程度の電子及び正孔輸送能を有する有機素材層、ある程度の導電性を有する金属層、ある程度の絶縁性を有する誘電体層等々であってもよい。本願の本実施形態によれば、第1機能領域110aを用いOLEDパネルの表示エリアを形成することができ、また第1周辺領域110bを用いそのOLEDパネルの非表示エリアを形成することができる。
【0023】
好ましくは、第2開口112の形状を第1開口111のそれと実質的に同じにする。例えば、第1開口111を正方形にするなら第2開口112も正方形にする。また例えば、第1開口111を円形にするなら第2開口112も円形にする。更に、第2開口112のサイズを第1開口111のそれと実質的に同じにする。例えば、第1開口111及び第2開口112が共に正方形であるなら両者の辺長を等しくする。このようにすると、第2開口112を通じ第1開口111の蒸着効果を監視したときの監視結果がより正確になろう。
【0024】
やはり図1に示すように、更に、第1周辺領域110bは第1エッジL1及びその第1エッジL1に対峙する第2エッジL2を各側に有しており、第2エッジL2よりも第1エッジL1の方が第1機能領域110aに近く、また第2エッジL2よりも第1エッジL1の方に第2開口112が近くなっている。ここに、第1機能領域110aの極力近くにそれら第2開口112を配置することで、第2開口112の蒸着効果を第1開口111の蒸着効果と実質的に一致させ、ひいては監視結果の正確性を更に改善することができる。
【0025】
本願の本実施形態における蒸着マスク100は、第1機能領域110aと、その第1機能領域110aの外側に位置する第1周辺領域110bと、を有するシートマスク110を備え、そのシートマスク110上に第1開口111及び第2開口112が共に所在している。更に、蒸着マスク100はサポートストリップ(図示せず)をも備え、シートマスク110がそのサポートストリップ上に固定されている。本願の本実施形態では、そのサポートストリップが全ての第1開口111並びに全ての第2開口112を露出させる。
【0026】
本願の本実施形態におけるシートマスク110は長方形である。更に、第1機能領域110aもまた長方形であり、第1周辺領域110bは長方形環である。複数個の第2開口112が設けられ第1周辺領域110b内に一様分布している。例えば8個の第2開口112を設けるのであれば、第1周辺領域110bの各側のストリップ領域上に2個の第2開口112を均一配置することができる。複数個の第2開口112を通じそれら第1開口111の蒸着効果を監視することで、監視結果の正確性を更に改善することができる。
【0027】
本願の本実施形態では、第1開口111を用いモノクローム画素が蒸着され、それら第1開口111を通じ蒸着されたモノクローム画素と同じ色を有する画素の蒸着効果が、複数個の第2画素112を用い監視される。例えば、第1開口111を用い赤画素が蒸着され、複数個の第2画素112全てを用いそれら赤画素の蒸着効果が監視される。また例えば、第1開口111を用い青画素が蒸着され、複数個の第2画素112全てを用いそれら青画素の蒸着効果が監視される。
【0028】
本願の本実施形態では、色の異なる画素を蒸着するに当たりしばしば別の蒸着マスク100が用いられる。即ち、赤画素を蒸着させる際には赤画素蒸着効果監視用の第2開口112がその上にある蒸着マスク100が用いられ、青画素を蒸着させる際には青画素蒸着効果監視用の第2開口112がその上にある別の蒸着マスク100が用いられる。この場合、高めの監視正確性が確保されうるのと同時に蒸着マスク100の製造コストが高まる。
【0029】
対応するが如く、本実施形態では更にOLEDパネルが提供される。具体的には図2a及び図2b、即ち本願の実施形態1に係るOLEDパネルの模式的頂面図たる図2aと本願の実施形態1に係るOLEDパネルの模式的前面図たる図2bとを参照されたい。図2a及び図2bに示すOLEDパネル200は、第2機能領域200a及びその第2機能領域200aの外側に位置する第2周辺領域200bを有し、その第2周辺領域200b上に観測層210が形成されたものである。具体的には、第2機能領域及び第2周辺領域を有するガラス基板をOLEDパネル200に具備させ、第2周辺領域のガラス基板上に観測層210を形成すればよい。本願の本実施形態によれば、第2機能領域200を表示エリアとし第2周辺領域200bを非表示エリアとすることができる。
【0030】
図1図2a及び図2bに示すように、本実施形態では更に、蒸着マスク100及びOLEDパネル200を有するOLEDパネルシステムであり、その蒸着マスク100がOLEDパネル200より下方にあり、蒸着マスク100の第1開口111を用い蒸着によりOLEDパネル200の第2機能領域200a上に機能層230が形成され、蒸着マスク100の第2開口112を用い蒸着によりOLEDパネル200の観測層210上に監視構造220が形成され、それら監視構造220を用い第1開口111の蒸着効果が監視されるものが、提供される。
【0031】
本願の本実施形態によれば、観測層210を通じそれら監視構造220を容易に観測することができる。例えば、観測層210の素材を反射素材とすることで、監視構造220をハイライトしてそれら監視構造220を観測しやすくすること、とりわけ光学デバイスで捉えやすくすることができる。また例えば、観測層210の色を監視構造220のそれと大きく違えることで、それら監視構造220を光学デバイスで容易に捉えうるようにすることができる。
【0032】
蒸着マスク100の第2開口112を通じた蒸着により監視構造220がOLEDパネル200の観測層210上に形成されている場合、それら監視構造220(の輪郭)を容易に捉えることができ、ひいてはそれら監視構造220に従い第1開口111の蒸着効果を容易に判定することができる。
【0033】
好ましくは、観測層210の厚みを100nm~200nmとする。例えば、観測層210の厚みを100nm、110nm、130nm、150nm、170nm、185nm、200nm等々にするとよい。この厚みであれば、監視構造220の形状をより容易に捉えることができる。更に、観測層210を銀(Ag)、酸化インジウムスズ(ITO)等々で作成するとよい。
【0034】
やはり図2a及び図2bに示すように、本願の本実施形態では観測層210により第2周辺領域200b全体が覆われている。本願の他の諸実施形態では、観測層210により第2周辺領域200bの一部分のみが覆われることもあろう。具体的には、観測層210により覆われる領域を、第2開口112を通じ蒸着される領域と対応させることで、監視構造220を観測層210上に形成することが可能となる。
【0035】
好ましくは、第2周辺領域200bの表面と第2機能領域200aの表面との間の高さ差を200nm以下とする。より好ましくは、第2周辺領域200bの表面と第2機能領域200aの表面との間の高さ差を100nm以下とする。こうすることで、蒸着マスク100の第2開口112を通じた蒸着によりOLEDパネル200の観測層210上に形成された監視構造220による、第1開口111の蒸着効果の監視を、更に改善することができる。
【0036】
具体的には、膜層例えば酸化シリコン層、窒化シリコン層、チタンアルミニウムチタン層、有機接着剤層又はそれに類するものを、第2機能領域200aのガラス基板上に形成し、その膜の厚みを5μm~10μmにするとよい。対応するが如く、酸化シリコン層、窒化シリコン層、チタンアルミニウムチタン層、有機接着剤層又はそれに類するものを、第2周辺領域200bのガラス基板上にも形成した上で、その上に観測層210を更に形成するとよい。第2周辺領域200bのガラス基板上の酸化シリコン層、窒化シリコン層、チタンアルミニウムチタン層、有機接着剤層又はそれに類するものを、第2機能領域200aのガラス基板上の酸化シリコン層、窒化シリコン層、チタンアルミニウムチタン層、有機接着剤層又はそれに類するものと、同時に形成するとよい。これにより、第2周辺領域200bの表面の高さと、第2機能領域200aの表面の高さとを、確と似通ったものにすることができ、しかも処理工程追加を回避することができる。
【0037】
本願の本実施形態によれば、蒸着マスク100の第2開口112を通じた蒸着により、OLEDパネル200の観測層210上に監視構造220を形成することができ、蒸着マスク100の第1開口111の蒸着効果を、それら監視構造220を通じ監視することができるので、その蒸着効果を経時監視してリアルタイムオンライン監視を実現することができる。
【0038】
対応するが如く、本実施形態にて提供される蒸着監視方法では、更に、
蒸着マスク100を用いOLEDパネル200上に機能層230及び監視構造220を形成し、
OLEDパネル200上における監視構造220の実中心を捉え、そして、
監視構造220の実中心をその監視構造220の理論中心と比べることで蒸着マスク100の第1開口111の蒸着効果を求める。
【0039】
OLEDパネル200上における監視構造220の実中心は、それら監視構造220(の輪郭又は境界)を撮像装置(例.カメラ、ビデオ等々)によって捉えた上で、捉えた監視構造220の中心を捉えた監視構造220に従い計算し、それによりそれら監視構造220の実中心を捉える、という要領で捉えることができる。直ちにわかる通り、監視構造220の輪郭又は境界が求まった後は、それらの中心が計算によって容易に求まる。例えば、監視構造220が正方形である場合は、2本の対角線の交点がその監視構造220の中心となる。また例えば、監視構造220が円形である場合は、その円の中心がその監視構造220の中心となる。
【0040】
本願の本実施形態では、監視構造220の実中心とそれら監視構造220の理論中心とが同じ位置にある場合、第2開口112を通じた蒸着にずれがないので、第1開口111を通じた蒸着にもずれがないと推論される;また、監視構造220の実中心とそれら監視構造220の理論中心とが異なる位置にある場合、第2開口112を通じた蒸着にずれがあるので、第1開口111を通じた蒸着にもずれがあると推論される。監視構造220の実中心及び理論中心の位置の比較は、それら二者の座標を比べることで果たすことができる。
【0041】
更に、上掲の蒸着監視方法は撮像機能及び計算機能を有する端末装置により実行できるため、蒸着監視全体が非常に至便、効率的且つ正確なものとなる。
【0042】
更に、本実施形態にて提供される蒸着調整方法ではまた、
OLEDパネル200上における蒸着マスク100の第1開口111の蒸着効果を、上掲の蒸着監視方法を用い求め、
その第1開口111を通じた蒸着がずれていたときに、OLEDパネル200の位置を基準として蒸着マスク100の位置を調整する。
【0043】
本願の本実施形態によれば、例えば、監視構造220の実中心とそれら監視構造220の理論中心とが比較され、監視構造220の実中心がそれら監視構造220の理論中心の第1側にあることが判明したときに、OLEDパネル200の位置を不変に保ちつつ、蒸着マスク100を理論中心の第2側即ち第1側とは逆の側へと動かすことで、蒸着マスク100の調整を果たし爾後の蒸着効果を改善することができる。
【0044】
総じて、本願の本実施形態により提供される蒸着マスク、OLEDパネル及びシステム並びに蒸着監視方法及び調整方法によれば、蒸着マスクの第2開口を通じた蒸着によりOLEDパネルの観測層上に監視構造を形成でき、蒸着マスクの第1開口の蒸着効果をそれら監視構造を通じ監視できるので、蒸着効果を経時監視してリアルタイムオンライン監視を実現することができる。
【0045】
[実施形態2]
図3a、即ち本願の実施形態2に係る蒸着マスクにおけるシートマスクの模式的頂面図を参照されたい。図3aに示すように、本願の本実施形態における蒸着マスク300は、第1機能領域310a及びその第1機能領域310aの外側に位置する第1周辺領域310bを有し、機能層を蒸着により形成するための第1開口311がその第1機能領域310aにより画定され、またそれら第1開口311の蒸着効果を監視するための第2開口312がその第1周辺領域310bにより画定されたものである。本願の本実施形態における機能層は、ある種の機能を有し蒸着プロセスにより形成されるものであればどのような素材で作成された層でもよい。例えば、その機能層が、ある程度の電子及び正孔輸送能を有する有機層、ある程度の導電性を有する金属層、ある程度の絶縁性を有する誘電体層等々であってもよい。本願の本実施形態によれば、第1機能領域310aを用いOLEDパネルの表示エリアを形成することができ、また第1周辺領域310bを用いそのOLEDパネルの非表示エリアを形成することができる。
【0046】
好ましくは、第2開口312の形状を第1開口311のそれと実質的に同じにする。例えば、第1開口311を正方形にするなら第2開口312も正方形にする。また例えば、第1開口311を円形にするなら第2開口312も円形にする。更に、第2開口312のサイズを第1開口311のそれと実質的に同じにする。例えば、第1開口311及び第2開口312が共に正方形であるならそれら二者の辺長を等しくし、第1開口311及び第2開口312が共に円形であるならそれら二者の直径をやはり等しくする。このようにすると、第2開口312を通じ第1開口311の蒸着効果を監視したときの監視結果がより正確になろう。
【0047】
やはり図3aに示すように、更に、第1周辺領域310bは第1エッジL3及びその第1エッジL3に対峙する第2エッジL4を各側に有している。第1機能領域310aに対する第1エッジL3の近さは第1機能領域310aに対する第2エッジL4の近さに勝っており、また第2エッジL4よりも第1エッジL3の方に第2開口312が近くなっている。ここに、第1機能領域310aの極力近くにそれら第2開口312を配置することで、第2開口312の蒸着効果を第1開口311の蒸着効果と実質的に一致させ、ひいては監視結果の正確性を更に改善することができる。
【0048】
本願の本実施形態における蒸着マスク300は、第1機能領域310aと、その第1機能領域310aの外側に位置する第1周辺領域310bと、を有するシートマスク310を備えており、そのシートマスク310上に第1開口311及び第2開口312が皆所在している。
【0049】
本願の本実施形態におけるシートマスク310は長方形である。更に、第1機能領域310aもまた長方形であり、第1周辺領域310bは長方形環である。複数個の第2開口312が設けられ第1周辺領域310b内に一様分布している。例えば12個の第2開口112を設けるのであれば、第1周辺領域310bの各側のストリップ領域上にそれら第2開口312のうち3個を均一配置することができる。複数個の第2開口312を通じそれら第1開口311の蒸着効果を監視することで、監視結果の正確性を更に改善することができる。
【0050】
本願の本実施形態では、第1開口311を用いモノクローム画素が蒸着され、複数個の第2開口312を用い諸色画素の蒸着効果が監視される。例えば、第1開口311を用い赤画素が蒸着され、第2開口312のうち幾つかを用いそれら赤画素の蒸着効果が監視される。また例えば、第1開口311を用い青画素が蒸着され、第2開口312のうち幾つかを用いそれら青画素の蒸着効果が監視される。
【0051】
本願の本実施形態では、色の違う画素を蒸着させる際に同じ蒸着マスク300を用いることができる。即ち、赤画素を蒸着させる際には、ある蒸着マスク300が用いられ且つその上にある第2開口312のうち幾つかが赤画素の蒸着効果を監視するのに用いられ、青画素を蒸着させる際には、やはりその蒸着マスク300が用いられ且つその上にある第2開口312のうち幾つかが青画素の蒸着効果を監視するのに用いられるのであり、第2開口312のうち青画素蒸着効果監視用のものと第2開口312のうち赤画素蒸着効果監視用のものとは別のものとされる(即ち第2開口が共用されない)。この場合、第1開口311の蒸着効果を監視できるだけでなく、蒸着マスク300の製造コストも嵩まない。
【0052】
本願の本実施形態では、色の違う画素の蒸着効果を監視すべく複数個の第2開口312が用いられる。例えば、第2開口312のうち幾つかを用い赤画素の蒸着効果を監視し、第2開口312のうち幾つかを用い青画素の蒸着効果を監視し、更に第2開口312のうち幾つかを用い緑画素の蒸着効果を監視することができる。従って、別の色の画素を蒸着させ第1開口311の蒸着効果を第2開口312を用い監視する際には、第2開口312のうちそれら第1開口311に対応する幾つかだけを用いればよく、残りの第2開口312即ち第1開口311に対応していないものは無視することができる。
【0053】
次に図3b、即ち本願の実施形態2に係る蒸着マスクにおけるサポートストリップの模式的頂面図を参照されたい。図3bに示す蒸着マスク300は、更に、シートマスク310をサポートするサポートストリップ320を有し、そのサポートストリップ320が第3開口321を有し、それにより第2開口312のうち幾つかだけが露出され、そうして露出された第2開口312が、第1開口311を通じ蒸着されるモノクローム画素と同じ色の画素の蒸着効果を監視するのに用いられるものである。即ち、本願の本実施形態のある実現形態では、暫時使用されない第2開口312がサポートストリップ320により隠蔽される。例えば第1開口311を用い赤画素を蒸着させる際には、サポートストリップ320の第3開口321により、第2開口312のうち赤画素蒸着効果監視用のものだけを露出させ、第2開口312のうち青画素蒸着効果監視用のものと第2開口312のうち緑画素蒸着効果監視用のものとを、そのサポートストリップ320で隠蔽する。この場合、別の色の画素を蒸着させる際には、サポートストリップ320が適時に置換又は交換され、それによりそのサポートストリップ320上の第3開口321にて別の第2開口312が露出される。このサポートストリップは比較的低コストであるため、本方法によれば、高い監視正確性及び比較的低いコストを確保することができる。
【0054】
対応するが如く、本実施形態では更にOLEDパネルが提供される。具体的には図4、即ち本願の実施形態2に係るOLEDパネルの模式的頂面図を参照されたい。図4に示すOLEDパネル400は、第2機能領域400a及びその第2機能領域400aの外側に位置する第2周辺領域400bを有し、その第2周辺領域400b上に観測層410が形成されたものである。具体的には、第2機能領域及び第2周辺領域を有するガラス基板をOLEDパネル400に具備させ、第2周辺領域のガラス基板上に観測層410を形成すればよい。本願の本実施形態によれば、第2機能領域400aを表示エリアとし第2周辺領域400bを非表示エリアとすることができる。
【0055】
図3a、図3b及び図4に示すように、本実施形態では更に、蒸着マスク300及びOLEDパネル400を有するOLEDパネルシステムであり、その蒸着マスク300がOLEDパネル200より下方にあり、蒸着マスク300の第1開口311を用い蒸着によりOLEDパネル400の第2機能領域400a上に機能層430が形成され、蒸着マスク300の第2開口312を用い蒸着によりOLEDパネル400の観測層410上に監視構造420が形成され、それら監視構造420を用い第1開口311の蒸着効果が監視されるものが、提供される。
【0056】
本願の本実施形態によれば、観測層410を通じそれら監視構造420を容易に観測することができる。例えば、観測層410の作成素材を反射性とすることで、監視構造420をハイライトしてそれら監視構造420を観測しやすくすること、とりわけ光学デバイスで捉えやすくすることができる。また例えば、観測層410の色を監視構造420のそれと大きく違えることで、それら監視構造420を光学デバイスで容易に捉えうるようにすることができる。
【0057】
蒸着マスク300の第2開口312を通じた蒸着により監視構造420がOLEDパネル400の観測層410上に形成されている場合、それら監視構造420(の輪郭)を容易に捉えることができ、ひいてはそれら監視構造420に従い第1開口311の蒸着効果を容易に判定することができる。
【0058】
好ましくは、観測層410の厚みを100nm~200nmとする。例えば、観測層410の厚みを100nm、110nm、130nm、150nm、170nm、185nm、200nm等々にするとよい。この厚みであれば、監視構造420の形状をより容易に捉えることができる。更に、観測層410を銀(Ag)、酸化インジウムスズ(ITO)等々で作成するとよい。
【0059】
やはり図4に示すように、本願の本実施形態では、観測層410により第2周辺領域200bの一部分のみが覆われている。具体的には、観測層410により覆われる領域が第2開口312を通じ蒸着される領域と対応しており、また好ましくも観測層410により覆われる領域が第2開口312を通じ蒸着される領域以上の大きさとされているので、その観測層410上にそれら監視構造420を形成することができる。本願の他の諸実施形態では、観測層410により第2周辺領域400b全体が覆われることもあろう。
【0060】
好ましくは、第2周辺領域400bの表面と第2機能領域400aの表面との間の高さ差を200nm以下とする。より好ましくは、第2周辺領域400bの表面と第2機能領域400aの表面との間の高さ差を100nm以下とする。こうすることで、蒸着マスク300の第2開口312を通じた蒸着によりOLEDパネル400の観測層410上に形成された監視構造420による、第1開口311の蒸着効果の監視を、更に改善することができる。
【0061】
具体的には、膜例えば酸化シリコン層、窒化シリコン層、チタンアルミニウムチタン層、有機接着剤層又はそれに類するものを、第2機能領域400aのガラス基板上に形成し、その膜の厚みを5μm~10μmにするとよい。対応するが如く、酸化シリコン層、窒化シリコン層、チタンアルミニウムチタン層、有機接着剤層又はそれに類するものを、第2周辺領域400bのガラス基板上にも形成した上で、その上に更に観測層410を形成するとよい。第2周辺領域400bのガラス基板上の酸化シリコン層、窒化シリコン層、チタンアルミニウムチタン層、有機接着剤層又はそれに類するものを、第2機能領域400aのガラス基板上の酸化シリコン層、窒化シリコン層、チタンアルミニウムチタン層、有機接着剤層又はそれに類するものと、同時に形成するとよい。これにより、第2周辺領域400bの表面の高さと、第2機能領域400aの表面のそれとを、似たものにすることができ、しかも処理工程追加を回避することができる。
【0062】
本願の本実施形態によれば、蒸着マスク300の第2開口312を通じた蒸着により、OLEDパネル400の観測層410上に監視構造420を形成することができ、蒸着マスク300の第1開口311の蒸着効果を、それら監視構造420を通じ監視することができるので、その蒸着効果を経時監視しリアルタイムオンライン監視を実現することができる。
【0063】
対応するが如く、本実施形態にて更に提供される蒸着監視方法では、
蒸着マスク300を用いOLEDパネル400上に機能層430及び監視構造420を形成し、
OLEDパネル400上における監視構造420の実中心を捉え、更に、
監視構造420の実中心をその監視構造420の理論中心と比べることで、蒸着マスク300の第1開口311の蒸着効果を求める。
【0064】
OLEDパネル400上における監視構造420の実中心は、それら監視構造420(の輪郭又は境界)を撮像装置(例.カメラ、ビデオ等々)によって捉えた上で、捉えた監視構造420の中心を捉えた監視構造420に従い計算してそれら監視構造420の実中心を捉える、なる要領で捉えることができる。直ちにわかる通り、監視構造420の輪郭又は境界が求まった後は、それらの中心が計算によって容易に求まる。例えば、監視構造420が正方形である場合は、2本の対角線の交点がその監視構造420の中心となる。また例えば、監視構造420が円形である場合は、その円の中心がその監視構造420の中心となる。
【0065】
本願の本実施形態では、監視構造420の実中心とそれら監視構造420の理論中心とが同じ位置にある場合、第2開口312を通じた蒸着にずれがないので、第1開口311を通じた蒸着にもずれがないと推論される;また、監視構造420の実中心とそれら監視構造420の理論中心とが異なる位置にある場合、第2開口312を通じた蒸着にずれがあるので、第1開口311を通じた蒸着にもずれがあると推論される。監視構造420の実中心及び理論中心の位置の比較は、それら二者の座標を比べることで果たすことができる。
【0066】
更に、上掲の蒸着監視方法は撮像機能及び計算機能を有する端末装置により実行できるため、蒸着監視全体が非常に至便、効率的且つ正確なものとなる。
【0067】
更に、本実施形態で提供される蒸着調整方法ではまた、
OLEDパネル400上における蒸着マスク300の第1開口311の蒸着効果を、上掲の蒸着監視方法を用い求め、更に、
その第1開口311を通じた蒸着がずれていたときに、OLEDパネル400の位置を基準として蒸着マスク300の位置を調整する。
【0068】
本願の本実施形態によれば、例えば、監視構造420の実中心とそれら監視構造420の理論中心とが比較され、監視構造420の実中心がそれら監視構造420の理論中心の第1側にあることが判明したときに、OLEDパネル400の位置を不変に保ちつつ、蒸着マスク300を理論中心の第2側即ち第1側とは逆の側へと動かすことで、蒸着マスク300の調整を果たし爾後の蒸着効果を改善することができる。
【0069】
総じて、本願の本実施形態により提供される蒸着マスク、OLEDパネル及びシステム並びに蒸着監視方法及び調整方法によれば、蒸着マスクの第2開口を通じた蒸着によりOLEDパネルの観測層上に監視構造を形成でき、蒸着マスクの第1開口の蒸着効果をそれら監視構造を通じ監視できるので、蒸着効果を経時監視しリアルタイムオンライン監視を実現することができる。
【0070】
上述されたものは本願の好適実施形態にすぎず、本願の技術的範囲は如何様にであれ限定されない。いわゆる当業者が上掲の開示との関連でなすどのような改変又は修正も、別項の諸請求項の技術的範囲内に収まる。
【符号の説明】
【0071】
100 蒸着マスク、110 シートマスク、110a 第1機能領域、110b 第1周辺領域、111 第1開口、112 第2開口、L1 第1エッジ、L2 第2エッジ、200 OLEDパネル、200a 第2機能領域、200b 第2周辺領域、210 観測層、220 監視構造、230 機能層、300 蒸着マスク、310 シートマスク、310a 第1機能領域、310b 第1周辺領域、311 第1開口、312 第2開口、320 サポートストリップ、321 第3開口、L3 第1エッジ、L4 第2エッジ、400 OLEDパネル、400a 第2機能領域、400b 第2周辺領域、410 観測層、420 監視構造、430 機能層。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4