(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】情報処理システム、方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G07C 9/10 20200101AFI20220404BHJP
G05D 1/02 20200101ALI20220404BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
G07C9/10
G05D1/02 H
G08B25/04 F
(21)【出願番号】P 2021137910
(22)【出願日】2021-08-26
【審査請求日】2021-09-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514020389
【氏名又は名称】TIS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】古賀 勇多
(72)【発明者】
【氏名】林崎 貴昭
【審査官】毛利 太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0010750(US,A1)
【文献】特開2010-152563(JP,A)
【文献】特開2009-035994(JP,A)
【文献】特開2007-141045(JP,A)
【文献】特開2010-144485(JP,A)
【文献】特開2010-039551(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 9/00- 9/38
G06Q 10/00-99/00
G08B 25/04
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セキュリティドアに近づく自律走行車に関する情報を取得する情報受信部と、
前記自律走行車に関する情報に基づいて、前記セキュリティドアの開閉状態を制御可能な複数のリレーを含む制御盤に対して、前記複数のリレーのうち前記セキュリティドアを開状態にするドア開リレーを動作させるための信号である開指示信号を出力する信号出力部と、
前記ドア開リレーの動作に応じて前記制御盤から出力される、前記セキュリティドアの開状態を示す信号である開状態信号に基づいて、前記セキュリティドアが開状態であることを判定するドア状態判定部と、
前記ドア状態判定部において前記セキュリティドアが開状態であると判定された場合、前記自律走行車に対して、前記セキュリティドアが開いたことを示すドア開情報を送信する情報送信部と、
前記制御盤から出力される前記開状態信号を所定の時間内に取得したか否かを判定する開状態時間判定部と、
を備え
、
前記信号出力部は、前記開状態時間判定部において所定の時間内に開状態信号を取得しないと判定された場合、前記制御盤に対して、前記複数のリレーのうち前記セキュリティドアを閉状態にするドア閉リレーを動作させるための信号である閉指示信号を出力する、
情報処理システム。
【請求項2】
前記情報送信部は、前記開状態時間判定部において所定の時間内に開状態信号を取得しないと判定された場合、前記自律走行車に対して、前記セキュリティドアが閉じていることを示すドア閉情報を送信する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
セキュリティドアに近づく自律走行車に関する情報を取得する情報受信部と、
前記自律走行車に関する情報に基づいて、前記セキュリティドアの開閉状態を制御可能な複数のリレーを含む制御盤に対して、前記複数のリレーのうち前記セキュリティドアを開状態にするドア開リレーを動作させるための信号である開指示信号を出力する信号出力部と、
前記ドア開リレーの動作に応じて前記制御盤から出力される、前記セキュリティドアの開状態を示す信号である開状態信号に基づいて、前記セキュリティドアが開状態であることを判定するドア状態判定部と、
前記ドア状態判定部において前記セキュリティドアが開状態であると判定された場合、前記自律走行車に対して、前記セキュリティドアが開いたことを示すドア開情報を送信する情報送信部と、
前記ドア開情報に基づき前記自律走行車から送信される、前記自律走行車が前記セキュリティドアを通過可能であることを示すドア通過可能情報を、所定の時間内に前記情報受信部で取得したか否かを判定する通過可能時間判定部
と、
を備え、
前記信号出力部は、前記通過可能時間判定部において所定の時間内に前記情報受信部で前記ドア通過可能情報を取得しないと判定された場合、前記制御盤に対して前記開指示信号を出力する
、
情報処理システム。
【請求項4】
前記情報受信部で前記ドア通過可能情報を取得してから所定の時間内に前記自律走行車から前記セキュリティドアを通過したことを示すドア通過完了情報を前記情報受信部で取得したか否かを判定する通過完了時間判定部をさらに備え、
前記信号出力部は、前記通過完了時間判定部の判定結果に基づいて、前記制御盤に対して、前記複数のリレーのうち前記セキュリティドアを閉状態にするドア閉リレーを動作させるための信号である閉指示信号を出力する、
請求項
3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記通過完了時間判定部において所定の時間内に前記ドア通過完了情報を前記情報受信部で取得しないと判定された場合、前記自律走行車から送信される、前記自律走行車の位置情報に基づいて、前記セキュリティドアが閉状態になる場合に前記自律走行車が当該セキュリティドアと接触するか否かを判定する位置判定部をさらに備え、
前記信号出力部は、前記位置判定部において前記自律走行車が前記セキュリティドアと接触しないと判定された場合、前記制御盤に対して前記閉指示信号を出力する、
請求項
4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記ドア状態判定部において、前記閉指示信号が出力されてから所定の時間を経過しても前記セキュリティドアが閉状態であることを判定できない場合、管理者にセキュリティドアの状態を通知する通知部をさらに備える、
請求項
5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記自律走行車が前記セキュリティドアを通過中であるか否かを判定する通過判定処理部をさらに備え、
前記通過判定処理部は、
前記ドア状態判定部で前記セキュリティドアが開状態であると判定される状態で、前記自律走行車が前記セキュリティドアを通過したことを示すドア通過完了情報を前記情報受信部で取得するまで、前記自律走行車が前記セキュリティドアを通過中であると判定し、
前記自律走行車が前記セキュリティドアを通過中であると判定する状態で、前記自律走行車とは異なる他の自律走行車から前記セキュリティドアを通過したことを示すドア通過完了情報を前記情報受信部で取得した場合、前記セキュリティドアの開状態を保持するように処理を実行する、
請求項1から請求項
6のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記自律走行車に関する情報は、前記自律走行車から出力される前記セキュリティドアを開状態にするための要求である、
請求項1から請求項
7のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項9】
コンピュータが、
情報受信部で取得する情報であってセキュリティドアに近づく自律走行車に関する情報に基づいて、前記セキュリティドアの開閉状態を制御可能な複数のリレーを含む制御盤に対して、前記複数のリレーのうち前記セキュリティドアを開状態にするドア開リレーを動作させるための信号である開指示信号を出力することと、
前記ドア開リレーの動作に応じて前記制御盤から出力される、前記セキュリティドアの開状態を示す信号である開状態信号に基づいて、前記セキュリティドアが開状態であることを判定することと、
前記セキュリティドアが開状態であると判定された場合、前記自律走行車に対して、前記セキュリティドアが開いたことを示すドア開情報を送信することと、
前記制御盤から出力される前記開状態信号を所定の時間内に取得したか否かを判定することと、
前記所定の時間内に開状態信号を取得しないと判定された場合、前記制御盤に対して、前記複数のリレーのうち前記セキュリティドアを閉状態にするドア閉リレーを動作させるための信号である閉指示信号を出力することと、
を実行する方法。
【請求項10】
コンピュータに、
情報受信部で取得する情報であってセキュリティドアに近づく自律走行車に関する情報に基づいて、前記セキュリティドアの開閉状態を制御可能な複数のリレーを含む制御盤に対して、前記複数のリレーのうち前記セキュリティドアを開状態にするドア開リレーを動作させるための信号である開指示信号を出力することと、
前記ドア開リレーの動作に応じて前記制御盤から出力される、前記セキュリティドアの開状態を示す信号である開状態信号に基づいて、前記セキュリティドアが開状態であることを判定することと、
前記セキュリティドアが開状態であると判定された場合、前記自律走行車に対して、前記セキュリティドアが開いたことを示すドア開情報を送信することと、
前記制御盤から出力される前記開状態信号を所定の時間内に取得したか否かを判定することと、
前記所定の時間内に開状態信号を取得しないと判定された場合、前記制御盤に対して、前記複数のリレーのうち前記セキュリティドアを閉状態にするドア閉リレーを動作させるための信号である閉指示信号を出力することと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
認証サーバとロボットとの間で入館者の認証を実行し、その実行結果に基づきセキュリティドアの開閉制御を行う入退室管理システムが開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の入退室管理システムでは、移動可能なロボット、認証サーバ、及びセキュリティドアを制御するセキュリティドア制御装置を同一ネットワークに接続して構成されています。認証サーバは、ロボットで取得される生体認証データと、認証サーバに予め登録されている生体認証データとを照合する。セキュリティドア制御装置は、認証サーバで生体認証データが一致するか否かにつき判定された結果に基づいて、セキュリティドアの開閉を制御する。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の入退室管理システムでは、ロボットを利用してセキュリティドアを通過する人の認証手続きを実行することはできるものの、ロボットがセキュリティドアを安全に通過することはできない。
【0006】
また、特許文献1に記載の入退室管理システムでは、ロボット、認証サーバ、及びセキュリティドア制御装置が同一のネットワークに接続されているため、それぞれの構成要素の仕様に依存したシステム構築を要する。例えば、セキュリティドア制御装置に汎用的な技術であるリレー制御を利用する場合には、ロボット、認証サーバ、及びセキュリティドア制御装置を、それぞれが通信可能に改修する必要がある。すなわち、当該入室管理システムでは、システムとしての汎用性が低くコストが高くなる虞があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記の課題に鑑みて、自律走行車を通過させるセキュリティドアであって、汎用性の高いリレー制御で構成される当該セキュリティドアに対する制御を簡易な構成により実現するとともに、自律走行車がセキュリティドアを安全に通過可能にする制御を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る情報処理システムは、情報受信部で取得する情報であってセキュリティドアに近づく自律走行車に関する情報に基づいて、前記セキュリティドアの開閉状態を制御可能な複数のリレーを含む制御盤に対して、前記複数のリレーのうち前記セキュリティドアを開状態にするドア開リレーを動作させるための信号である開指示信号を出力する信号出力部と、前記ドア開リレーの動作に応じて前記制御盤から出力される、前記セキュリティドアの開状態を示す信号である開状態信号に基づいて、前記セキュリティドアが開状態であることを判定するドア状態判定部と、前記ドア状態判定部において前記セキュリティドアが開状態であると判定された場合、前記自律走行車に対して、前記セキュリティドアが開いたことを示すドア開情報を送信する情報送信部と、を備える。
【0009】
本発明の一態様に係る方法は、コンピュータが、情報受信部で取得する情報であってセキュリティドアに近づく自律走行車に関する情報に基づいて、前記セキュリティドアの開閉状態を制御可能な複数のリレーを含む制御盤に対して、前記複数のリレーのうち前記セキュリティドアを開状態にするドア開リレーを動作させるための信号である開指示信号を出力することと、前記ドア開リレーの動作に応じて前記制御盤から出力される、前記セキュリティドアの開状態を示す信号である開状態信号に基づいて、前記セキュリティドアが開状態であることを判定することと、前記セキュリティドアが開状態であると判定された場合、前記自律走行車に対して、前記セキュリティドアが開いたことを示すドア開情報を送信することと、を実行する。
【0010】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、情報受信部で取得する情報であってセキュリティドアに近づく自律走行車に関する情報に基づいて、前記セキュリティドアの開閉状態を制御可能な複数のリレーを含む制御盤に対して、前記複数のリレーのうち前記セキュリティドアを開状態にするドア開リレーを動作させるための信号である開指示信号を出力することと、前記ドア開リレーの動作に応じて前記制御盤から出力される、前記セキュリティドアの開状態を示す信号である開状態信号に基づいて、前記セキュリティドアが開状態であることを判定することと、前記セキュリティドアが開状態であると判定された場合、前記自律走行車に対して、前記セキュリティドアが開いたことを示すドア開情報を送信することと、を実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、自律走行車を通過させるセキュリティドアであって、汎用性の高いリレー制御で構成される当該セキュリティドアに対する制御を簡易な構成により実現できるとともに、自律走行車がセキュリティドアを安全に通過可能にする制御を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】統合管理システムの構成の一例を示す図である。
【
図3A】自律走行車がセキュリティドアを通過する際の処理手順を示すフロー図である。
【
図3B】時間判定部で所定の時間を経過したと判定された場合の処理手順を示すフロー図である。
【
図4】複数の自律走行車がセキュリティドアを通過する際の処理手順を示すフロー図である。
【
図5】コンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の一実施形態における統合管理システム10について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形し、または各実施例を組み合わせる等して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付して表している。
===統合管理システム10の概要===
【0014】
図1を参照しつつ、統合管理システム10の構成について説明する。
図1は、統合管理システム10の構成の一例を示す図である。統合管理システム10は、セキュリティドアの制御に汎用的に用いられるリレーを動作させる信号によって、自律走行車200独自の動作に対応するセキュリティドアの制御を実現するシステムである。すなわち、統合管理システム10は、汎用的なシステム構成によって、ロボットとセキュリティドアとを連携させることができる。
【0015】
図1を参照して、統合管理システム10の構成の概要について説明する。
図1は、統合管理システム10の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、統合管理システム10は、例えば、連携システム100と、自律走行車200と、セキュリティドアシステム300とを含んでいてもよい。
【0016】
連携システム100は、自律走行車200およびセキュリティドアシステム300を制御するシステムである。連携システム100は、自律走行車200との間で、例えばAPI(Application Programming Interface)連携によって各種情報を送受信する。なお、連携システム100と自律走行車200との間の通信方式についてはAPI連携に特に限定されず、種々の通信方式が適用されうるものとする。連携システム100は、セキュリティドアシステム300との間で、インターフェース101を通じて、後述する制御盤310の各種リレーの動作に関する信号(以下、「接点信号」という)を入出力する。なお、インターフェース101は、連携システム100に含まれないゲートウェイ装置であってもよい。ここで、接点信号とは、例えば、JSON(JavaScript Object Notation)形式のテキストデータであってもよいし、他のプロトコルであってもよく、特に限定されない。また、接点信号は、後述する制御盤の各種リレーを動作させるための電気信号であってもよい。以下、便宜上、接点信号というときには、制御盤の一つのリレーの動作に関する信号、又は、制御盤の複数のリレーの動作の組み合わせに関する信号をいう。連携システム100の各種機能については後述する。
【0017】
自律走行車200は、自律的に走行するロボットである。自律走行車200は、例えば、カメラ、各種センサー、及びGPSから取得する画像や位置情報に基づき、目的の地点まで移動する。自律走行車200は、例えば、室内清掃用のロボット、荷物を目的の地点まで搬送するロボット、建物内で不審者を発見するロボット、建物の設備を点検するロボットなどである。
【0018】
セキュリティドアシステム300は、接点信号によりセキュリティドアを制御するシステムである。セキュリティドアシステム300は、例えば、制御盤310、セキュリティドア320、及び変換器330を含んでいてもよい。制御盤310は、リレーを含み、当該リレーの動作に応じてセキュリティドア320を開閉動作させる。すなわち、制御盤310は、連携システム100から出力される当該リレーを動作させるための各種接点信号に基づき、セキュリティドア320を動作させる。セキュリティドア320は、例えば、建物内の空間と空間との境界に設けられるドアである。セキュリティドア320は、例えば、通常、人がセキュリティカードを用いること、セキュリティコードを入力すること、又は人の生体認証などによる、認証手続きを経て開閉されるドアである。変換器330は、例えば、連携システム100から出力される接点信号(例えば、JSON形式のテキストデータなど)を、制御盤310の各種リレーを動作させるための電気信号に変換する装置である。なお、変換器330は、例えば、セキュリティドアシステム300ではなく、連携システム100に含まれていてもよい。
===連携システム100===
【0019】
図1を参照して、連携システム100の機能構成について説明する。
図1に示すように、連携システム100は、例えば、記憶部110と、情報送受信部120と、信号入出力部130と、ドア状態判定部140と、時間判定部150と、通知部160と、位置判定部170との機能部を含んでいてもよい。機能部とは、例えば、プロセッサ1001がメモリ1002に格納されているプログラムを読み出して実現される機能である。
【0020】
記憶部110は、例えば、信号情報D111を記憶する。
図2を参照して、信号情報D111の一例について説明する。
図2は、信号情報D111の構成の一例を示す図である。
図2に示すように、信号情報D111は、例えば、[リレー番号]、[区分]、[名称]、[値]、[信号形式]の項目を含んでいてもよい。[リレー番号]は、制御盤310に含まれるリレーを一意に識別する識別符号である。[区分]は、連携システム100が制御盤310を制御する区分(連携システム100→制御盤310)であるか、制御盤310から連携システム100にセキュリティドアシステム300の状態を通知する区分(制御盤310→連携システム100)であるかを示す項目である。[名称]は、リレーの名称を示す項目である。具体的には、[名称]には、当該リレーに対応するセキュリティドア320を識別する符号が示される。[値]は、リレーの接点が接続されている「1」の状態、リレーの接点が開放されている「0」の状態の役割を示す項目である。[信号形式]は、[リレー番号]に対応するリレーへの信号が1回の入力(1ショット)であるか、連続的な入力(連続)であるかを示す項目である。
【0021】
本実施形態では、一例として、連携システム100が制御盤310のリレー番号01~リレー番号08それぞれのリレー(以下、「開閉動作リレー」という)の接点の状態を設定するための連続的な信号を、複数のセキュリティドア320それぞれを開または閉させるための接点信号とする。以下、便宜上、セキュリティドア320を開くための接点信号を「開指示信号」とし、セキュリティドア320を閉じるための接点信号を「閉指示信号」という。具体的には、連携システム100がインターフェース101を通じて制御盤310の「ドアA」を示すリレー番号01の開閉動作リレーに開指示信号を出力した場合、セキュリティドアシステム300は「ドアA」に対応するセキュリティドア320を開状態にするよう制御する。
【0022】
また、一例として、制御盤310においてリレー番号09~リレー番号16それぞれのリレー(以下、「開閉状態リレー」という)の接点の状態を設定する連続的な信号を、複数のセキュリティドア320それぞれの開閉状態を示す接点信号とする。以下、便宜上、セキュリティドア320が開いた状態を示す接点信号を「開状態信号」とし、閉じた状態を示す接点信号を「閉状態信号」という。具体的には、制御盤310において「ドアA」を示すリレー番号09の開閉状態リレーに連続的な信号が入力されている間、制御盤310から連携システム100に開状態信号が出力される。
【0023】
情報送受信部120は、例えば、自律走行車200との間でAPI連携によって各種情報を送受信する。具体的には、情報送受信部120は、自律走行車200から、自律走行車200がセキュリティドア320を開くための要求(以下、「ドア開要求」という)を取得する。例えば、ドア開要求には、自律走行車200が通過しようとしているセキュリティドア320を識別する情報(以下、「ドア識別情報」という)が含まれていてもよい。情報送受信部120は、セキュリティドア320が開いたことを示す情報(以下、「ドア開情報」という)を、自律走行車200に送信してもよい。また、情報送受信部120は、例えば、自律走行車200がセキュリティドア320を通過可能であることを示す情報(以下、「ドア通過可能情報」という)を、自律走行車200から取得してもよい。また、情報送受信部120は、例えば、自律走行車200がセキュリティドア320を通過完了したことを示す情報(以下、「ドア通過完了情報」という)を、自律走行車200から取得してもよい。
【0024】
信号入出力部130は、例えば、セキュリティドアシステム300との間で、インターフェース101を通じて各種接点信号を入出力させる。なお、信号入出力部130は、インターフェース101の機能であってもよいし、そうでなくてもよい。具体的には、信号入出力部130は、セキュリティドア320を開くための開指示信号を出力させる。開指示信号は、信号情報D111におけるリレー番号01~リレー番号08の接点を接続させるための信号である。例えば、信号入出力部130は、「ドアA」を開く場合、リレー番号01に「1」(ON)の連続的な接点信号を出力してもよい。また、信号入出力部130は、例えば、セキュリティドア320を閉じるための閉指示信号を出力させる。閉指示信号は、信号情報D111におけるリレー番号01~リレー番号08の接点を開放するための信号である。例えば、信号入出力部130は、「ドアA」を閉じる場合、リレー番号01に「0」(OFF)の連続的な接点信号を出力してもよい。
【0025】
ドア状態判定部140は、セキュリティドアシステム300から入力される開状態信号または閉状態信号に基づき、セキュリティドア320の開閉状態を判定する。これにより、連携システム100は、セキュリティドア320が開いた状態で自律走行車200を移動させることができるため、安全な自律走行車200の移動を実現できる。また、連携システム100は、自律走行車200がセキュリティドア320を通過した後に、セキュリティドア320が閉じたことを確認できるため、セキュリティを確保できる。さらに言うと、連携システム100は、接点信号により簡易な方法でセキュリティドア320の開閉状態を確認できるため、汎用性の高いシステムを構築できる。
【0026】
時間判定部150は、自律走行車200およびセキュリティドアシステム300から所定の時間内に所定の情報および信号を取得したか否かを判定する。具体的には、時間判定部150(開状態時間判定部)は、セキュリティドアシステム300から出力される開状態信号を、開指示信号を出力してから所定の時間内に取得したか否かを判定する。これにより、連携システム100は、セキュリティドアシステム300の不具合の有無を判定できるため、自律走行車200の安全な移動を実現できる。
【0027】
また、時間判定部150(通過可能時間判定部)は、自律走行車200から送信されるドア通過可能情報を、ドア開要求を取得してから所定の時間内に取得したか否かを判定する。これにより、連携システム100は、自律走行車200が安全にセキュリティドア320を通過できる状況であるか否かを判定できるため、自律走行車200の安全な移動を実現できる。
【0028】
また、時間判定部150(通過完了時間判定部)は、例えば、自律走行車200からドア通過可能情報を取得してから所定の時間内にドア通過完了情報を取得したか否かを判定する。これにより、自律走行車200が安全にセキュリティドア320を通過できたことを確認できる。
【0029】
また、時間判定部150は、例えば、自律走行車200がセキュリティドア320を通過した後に、セキュリティドアシステム300から所定の時間内に閉状態信号を取得したか否かを判定する。これにより、セキュリティドア320の不具合を迅速に検知できる。
【0030】
通知部160は、管理者にセキュリティドア320の状態を通知する。具体的には、通知部は、時間判定部150において所定の時間内に閉状態信号を取得できないなど、セキュリティドア320に不具合が生じているような場合に、管理者の携帯電話に不具合状況を通知する。これにより、セキュリティドア320の不具合を迅速に解消できる。
【0031】
位置判定部170は、自律走行車200から送信される、自律走行車200の現在の位置を示す情報(以下、「位置情報」という)に基づき、自律走行車200が所在する位置が安全か否かを判定する。具体的には、位置判定部170は、自律走行車200の位置情報に基づき、セキュリティドア320が閉まる際に自律走行車200がセキュリティドア320と接触するか否かを判定する。位置判定部170は、時間判定部150において所定の時間内にドア通過完了情報が所得されないと判定されたことを契機に、判定を開始してもよい。これにより、連携システム100は、自律走行車200による事故を防止できる。なお、位置判定部170は、例えば、ビーコンやGPSによって、自律走行車200の位置情報を取得することで、位置を特定してもよい。
【0032】
通過判定処理部180は、自律走行車200がセキュリティドア320を通過中であるか否かを判定する。具体的には、通過判定処理部180は、ドア状態判定部140でセキュリティドア320が開状態であると判定される状態(言い換えると、制御盤310から開状態信号を取得した状態)で、自律走行車200からドア通過完了情報を取得するまで、自律走行車200がセキュリティドア320を通過中であると判定する。また、通過判定処理部180は、自律走行車200がセキュリティドア320を通過中であると判定する状態で、自律走行車200とは異なる他の自律走行車200からドア通過完了情報を取得した場合、セキュリティドア320の開状態を保持するように処理を実行する。セキュリティドア320の開状態を保持するとは、例えば、信号入出力部130を通じて閉指示信号を出力しないことである。これにより、複数台の自律走行車200それぞれが円滑にセキュリティドア320を通過できる。
===自律走行車200===
【0033】
図1を参照して、自律走行車200の機能構成について説明する。
図1に示すように、自律走行車200は、例えば、記憶部210と、情報送受信部220と、認識部230と、位置特定部240と、時間判定部250との機能部を含んでいてもよい。機能部とは、例えば、プロセッサ1001がメモリ1002に格納されているプログラムを読み出して実現される機能である。記憶部210は、各種情報を記憶する。情報送受信部220は、連携システム100との間で各種情報(例えば、ドア開要求、位置情報など)の送受信を行う。認識部230は、各種センサーなどによって周囲の状況を認識する。位置特定部240は、例えば、記憶部210に格納されているマップの情報を参照して、各種センサーやLidar(Light Detection and Ranging)などによって自己の位置を特定する。時間判定部250は、ドア開要求を送信してから所定の時間内にセキュリティドア320を通過できる状態であることを確認できるか否かを判定する。時間判定部250において、所定の時間内にセキュリティドア320を通過できる状態でないと判定された場合、情報送受信部220からドア開要求を連携システム100に送信してもよい。これにより、自律走行車200は、安全にセキュリティドア320を通過できる状況であるか否かを判定するため、安全な移動を実現できる。
===統合管理システム10の処理手順===
<<第1の処理手順>>
【0034】
図3A,
図3Bを参照しつつ、統合管理システム10の第1の処理手順について説明する。
図3Aは、自律走行車200がセキュリティドア320を通過する際の処理手順を示すフロー図である。
図3Bは、時間判定部150で所定の時間を経過したと判定された場合の処理手順を示すフロー図である。
【0035】
まず、ステップS100において、自律走行車200は、例えばセキュリティドア320の前で停止する。自律走行車200は、セキュリティドア320を開くためのドア開要求を連携システム100に送信する。
【0036】
ステップS101において、連携システム100は、ドア識別情報を含むドア開要求を取得した場合、信号情報D111を参照して、セキュリティドアシステム300(制御盤310)に、ドア識別情報に対応するセキュリティドア320を開くための開指示信号を出力する。例えば、連携システム100は、自律走行車200が通過ドアAに対応するリレー番号01の開閉動作リレーを接続するための開指示信号を出力する。
【0037】
なお、ステップS100,101において、連携システム100は、例えば、位置情報に基づき自律走行車200がセキュリティドア320と所定の条件関係にあると特定した場合、セキュリティドアシステム300にドア開要求を出力してもよい。例えば、所定の条件関係とは、所定のセキュリティドア320(例えば、ドアA)の近傍(例えば、2m)に所定の時間(例えば、2分間)自律走行車200が位置するという関係である。
【0038】
ステップS102において、セキュリティドアシステム300は、セキュリティドア320を開く。そして、セキュリティドアシステム300は、制御盤310を通じて、セキュリティドア320が開いたことを示す開状態信号を連携システム100に出力する。
【0039】
ステップS103において、連携システム100(ドア状態判定部140)は、信号情報D111を参照して、開状態信号を取得したか否かを判定する。
【0040】
開状態信号を取得していないと判定された場合(ステップS103:NO)、連携システム100は、自律走行車200がセキュリティドア320を通過できる状態でないと判定する。この場合、ステップS104において、連携システム100は、例えば開指示信号を出力してから所定の時間(例えば、2分)が経過したか否かを判定する。
【0041】
所定の時間が経過していないと判定された場合(ステップS104:NO)、処理をステップS103から処理を繰り返す。
【0042】
所定の時間が経過したと判定された場合(ステップS104:YES)、セキュリティドアシステム300に何らかの不具合が生じたと判断して、処理をステップS200に移行させる。
【0043】
開状態信号を取得したと判定された場合(ステップS103:YES)、連携システム100は、自律走行車200がセキュリティドアシステム300を利用できる状態であると判定する。この場合、連携システム100は、セキュリティドア320が開状態になったと判断して、自律走行車200にセキュリティドア320が開状態であることを示すドア開情報を自律走行車200に送信する。
【0044】
ステップS105において、自律走行車200は、ドア開情報を取得すると、セキュリティドア320を通過可能であるか否かを確認する。自律走行車200は、セキュリティドア320を通過可能であることを示すドア通過可能情報を連携システム100に送信する。
【0045】
ステップS106において、連携システム100(時間判定部150)は、自律走行車200からドア開要求を取得してから、所定の時間内(例えば、2分以内)にドア通過可能情報を取得したか否かを判定する。
【0046】
所定の時間内にドア通過可能情報を取得していないと判定された場合(S106:NO)、連携システム100は、自律走行車200がセキュリティドア320を通過できない状態であると判断する。この場合、連携システム100は、セキュリティドアシステム300にセキュリティドア320を開動作させるための開指示信号を出力する。これにより、何らかの原因で自律走行車200がセキュリティドア320を通過できない状況が生じても、再度、セキュリティドア320の開状態を確保するための処理を実行するため、自律走行車200を安全に通過させることができる。
【0047】
なお、ステップS106は、自律走行車200で実行される処理であってもよい。この場合、自律走行車200(時間判定部250)は、ドア開要求を送信してから、所定の時間内にセキュリティドア320を通過できる状態であることを確認できるか否かを判定する。これにより、自律走行車200は、何らかの原因でセキュリティドア320を通過できない状況が生じても、再度、セキュリティドア320の開状態を確保するための処理を実行するため、安全を確保しつつ通過することができる。
【0048】
ステップS107において、自律走行車200は、セキュリティドア320を通過した場合、ドア通過完了情報を連携システム100に送信する。
【0049】
ステップS108において、所定の時間内にドア通過可能情報を取得したと判定された状況で(S106:YES)、連携システム100は、自律走行車200から通過完了情報を取得したか否かを判定する。
【0050】
ドア通過完了情報を取得していないと判定された場合(S108:NO)、連携システム100は、自律走行車200がセキュリティドア320を通過できていない状態であると判定する。
【0051】
この場合、ステップS109において、連携システム100(時間判定部150)は、ドア通過可能情報を取得してから所定の時間(例えば、2分)が経過したか否かを判定する。
【0052】
ドア通過可能情報を取得してから所定の時間が経過していないと判定された場合(ステップS109:NO)、処理をステップS108から処理を繰り返す。
【0053】
ドア通過可能情報を取得してから所定の時間が経過したと判定された場合(ステップS109:YES)、連携システム100は、自律走行車200がセキュリティドア320を通過できる状態であるにもかかわらず、セキュリティドア320を通過できていない異常な状態であると判断して、処理をステップS301に移行させる。
【0054】
ドア通過完了情報を取得したと判定された場合(ステップS108:YES)、連携システム100は、自律走行車200がセキュリティドア320を通過できた状態であると判定する。
【0055】
この場合、ステップS110において、連携システム100は、信号情報D111を参照して、セキュリティドア320の開状態をリセットするための閉指示信号を出力する。
【0056】
ステップS111において、セキュリティドアシステム300は、セキュリティドア320を閉じる。セキュリティドアシステム300は、セキュリティドア320が閉じられたことを示す閉状態信号を連携システム100に出力する。
【0057】
ステップS112において、連携システム100は、セキュリティドアシステム300から閉状態信号を取得したか否かを判定する。
【0058】
閉状態信号を取得していないと判定された場合(ステップS112:NO)、連携システム100は、自律走行車200がセキュリティドア320を通過にもかかわらず、セキュリティドア320が閉じられていないと判定する。
【0059】
この場合、ステップS113において、連携システム100(時間判定部150)は、例えばステップS110で開指示信号を出力してから所定の時間(例えば、2分)が経過したか否かを判定する。
【0060】
開指示信号を出力してから所定の時間が経過していないと判定された場合(ステップS113:NO)、ステップS112から処理を繰り返す。
【0061】
開指示信号を出力してから所定の時間が経過したと判定された場合(ステップS113:YES)、ステップS114において、連携システム100は、管理者にセキュリティドアシステム300に不具合が生じていることを電話やメールなどで通知する。
【0062】
閉状態信号を取得したと判定された場合(ステップS112:YES)、連携システム100は、正常にセキュリティドアシステム300が動作したと判定する。
【0063】
この場合、ステップS115において、連携システム100は、自律走行車200の一連の動作と、セキュリティドアシステム300の一連の動作とを記憶部110に記憶する。
【0064】
次に、
図3Bを参照しつつ、ステップS200~ステップS202において、セキュリティドアシステム300に不具合が生じていると判定された場合(例えば、ステップS104:YESなど)の処理の手順について説明する。
【0065】
ステップS200において、連携システム100は、信号情報D111を参照して、セキュリティドアシステム300に対して出力している開指示信号をリセットする。言い換えると、連携システム100は、セキュリティドアシステム300に閉指示信号を出力する。なお、ステップS200に代えて、連携システム100は、自律走行車200に対して、セキュリティドア320が閉じていることを示す情報(以下、「ドア閉情報」という)を送信してもよい。この場合、自律走行車200は、ドア閉情報に基づき待機状態に移行してもよい。これにより、自律走行車200の安全を確保できる。また、自律走行車200は、再度、ドア開要求を連携システム100に送信してもよい。これにより、自律走行車200がセキュリティドア320を迅速に通過できる。
【0066】
ステップS201において、セキュリティドアシステム300は、閉指示信号に基づきセキュリティドア320を閉動作させる。これにより、連携システム100は、セキュリティドアシステム300に不具合が生じている可能性のある状態で、自律走行車200がセキュリティドア320を通過できないように設定できるため、安全性を高めることができる。
【0067】
ステップS202において、連携システム100は、セキュリティドアシステム300に不具合が生じていると判断して、管理者に通知する。これにより、連携システム100は、セキュリティドアシステム300の不具合に対して迅速に対応することができる。
【0068】
次に、ステップS300~ステップS304において、自律走行車200が、セキュリティドア320を通過できない場合(例えば、ステップS109:YESなど)の処理の手順について説明する。
【0069】
ステップS300において、自律走行車200は、例えば、常時、位置情報を連携システム100に送信している。
【0070】
ステップS301において、連携システム100は、自律走行車200がセキュリティドア320を通過できない場合に、位置情報に基づき自律走行車200の位置を特定する。
【0071】
ステップS302において、連携システム100は、位置情報に基づき自律走行車200がセキュリティドア320と接触しないか否かを判定する。
【0072】
セキュリティドア320と接触すると判定された場合(ステップS302:NO)、ステップS303において、連携システム100は、セキュリティドア320を閉じられない状態であると判断して、管理者に通知する。これにより、連携システム100は、セキュリティドアシステム300の不具合に対して迅速に対応することができる。
【0073】
セキュリティドア320と接触しないと判定された場合(ステップS302:YES)、連携システム100は、信号情報D111を参照して、セキュリティドア320に対して出力している開指示信号をリセットする。言い換えると、連携システム100は、セキュリティドアシステム300に閉指示信号を出力する。
【0074】
ステップS304において、セキュリティドアシステム300は、閉指示信号に基づきセキュリティドア320を閉動作させる。これにより、連携システム100は、セキュリティドアシステム300に不具合が生じている可能性のある状態で、自律走行車200がセキュリティドア320を通過できないように設定できるため、安全性を高めることができる。
<<第2の処理手順>>
【0075】
図4を参照しつつ、統合管理システム10の第2の処理手順について説明する。
図4は、複数の自律走行車200A,200Bがセキュリティドア320を通過する際の処理手順を示すフロー図である。第2の処理手順は、複数の自律走行車200を、効率的にセキュリティドア320を通過させるための処理手順である。
【0076】
図4は、第2の処理手順の一例として、自律走行車200Aがセキュリティドア320内で掃除を完了させてセキュリティドア320の前で待機している状態において、自律走行車200Bがセキュリティドア320外に到着してセキュリティドア320内に移動するときの処理フローを示す。なお、以下、第1の処理手順と同じ処理については適宜省略して説明することとする。
【0077】
まず、ステップS400において、部屋の掃除を終えた自律走行車200Aは、セキュリティドア320の前で停止する。自律走行車200Aは、セキュリティドア320の前で待機状態となる。
【0078】
次に、ステップS401において、部屋を掃除するためにセキュリティドア320の前に到着した自律走行車200Bは、セキュリティドア320の前で停止する。すなわち、セキュリティドア320を挟んで、自律走行車200Aと自律走行車200Bとが配置されている。そして、自律走行車200Bは、ドア開要求を連携システム100に送信する。
【0079】
その後、ステップS402~ステップS405の処理を経て自律走行車200Bはセキュリティドア320内に移動する。ステップS402~ステップS405の処理(一部記載を省略)は、第1の処理手順におけるステップS101~ステップS107の処理と同じであるため、その説明を省略する。
【0080】
次に、ステップS406において、自律走行車200Aは、自律走行車200Bがセキュリティドア320を通過するときに待機状態を終了する。例えば、自律走行車200Aは、自律走行車200Bとの間で通信をすることで、自律走行車200Bがセキュリティドア320を通過したことを認識してもよい。自律走行車200Aは、ドア開要求を連携システム100に送信する。
【0081】
ステップS406において、連携システム100は、ドア識別情報を含むドア開要求を取得した場合、信号情報D111を参照して、セキュリティドアシステム300(制御盤310)に開指示信号を出力する。
【0082】
ステップS407において、セキュリティドアシステム300は、開指示信号が示すセキュリティドア320(例えば、ドアA)が開状態であること、換言するとセキュリティドア320がドア開動作をしたことを特定する。セキュリティドアシステム300は、セキュリティドア320が開状態であること示す開状態信号を連携システム100に出力する。
【0083】
ステップS408において、連携システム100は、セキュリティドア320が開状態であると判断して、自律走行車200にセキュリティドア320が開状態であることを示すドア開情報を自律走行車200Aに送信する。
【0084】
ステップS409において、自律走行車200Bは、セキュリティドア320を通過したことを契機に、連携システム100にドア通過完了情報を送信する。
【0085】
ステップS410において、連携システム100(通過判定処理部180)は、例えば、自律走行車200Bからドア通過完了情報を取得すると、自律走行車200Aから取得されたドア開要求、又はセキュリティドアシステム300から取得された開状態信号に基づき、自律走行車200Aが移動中であるか否かを判定する。
【0086】
自律走行車200Aが移動中であると判定された場合(ステップS410:YES)、ステップS411において、連携システム100は、セキュリティドア320の開状態を保持する。すなわち、この場合、連携システム100(通過判定処理部180)は、自律走行車200Bがセキュリティドア320を通過したとしても、閉指示信号をセキュリティドアシステム300に出力しない。これにより、移動中の自律走行車200Aの安全を確保できる。
【0087】
自律走行車200Aが移動中でないと判定された場合(ステップS410:NO)、連携システム100は、セキュリティドアシステム300に閉指示信号を出力する。
【0088】
ステップS411~ステップS414の処理を経て自律走行車200Aはセキュリティドア320外に移動する。ステップS411~ステップS414の処理(一部記載を省略)は、第1の処理手順におけるステップS107~ステップS111の処理と同じであるため、その説明を省略する。
【0089】
なお、ステップ413において、自律走行車200Aは、セキュリティドア320を通過したことを契機にドア通過完了情報を連携システム100に送信する。連携システム100(通過判定処理部180)は、ドア通過完了情報に基づき自律走行車200Aがセキュリティドア320を通過したと判定して、閉指示信号をセキュリティドアシステム300に出力する(ステップS414)。これにより、複数の自律走行車200につき安全にセキュリティドア320を通過させることができる。
===変形例===
【0090】
また、連携システム100は、上記のステップS109において、所定の時間が経過したか否かを判定しているが、当該所定の時間につき、セキュリティドアシステム300において異常状態を示す設定時間を考慮した時間に設定されていてもよい。具体的には、セキュリティドアシステム300は、セキュリティドア320が例えば「3分」開状態が継続している場合、監視盤(不図示)にセキュリティドア320が異常であることを示す信号を出力する。この場合、連携システム100は、セキュリティドアシステム300から監視盤(不図示)に当該信号が出力される「3分」を超える前の例えば「2分」に設定されてもよい。なお、連携システム100は、セキュリティドアシステム300から監視盤(不図示)に対して信号を出力する設定時間に関する信号を取得して、当該信号に基づき所定の時間を設定してもよい。これにより、セキュリティドアシステム300の既存の設定を変更することなく、自律走行車200を移動させることができるため、汎用的なシステムを構築できる。
【0091】
また、統合管理システム10は、リレーによりセキュリティドア320を制御する制御盤310を含んでいなくてもよい。セキュリティドアシステム300は、例えば、ソフトウェアでセキュリティドア320を制御する制御盤310を含んでいてもよい。この場合、統合管理システム10は、自律走行車200から取得する、セキュリティドア320を開くためのドア開要求に基づいて、セキュリティドア320を制御するための制御盤310に対して、セキュリティドア320を開くための信号を出力する連携システム100の信号入出力部130を有する。また、統合管理システム10は、制御盤310から出力される、セキュリティドア320が開かれた状態を示す信号に基づいて、セキュリティドア320が開かれたことを判定する連携システム100のドア状態判定部140を備える。これにより、連携システム100は、セキュリティドア320を自律走行車200が通過する際の自律走行車200の移動の安全を担保しつつ、自律走行車200が通過するセキュリティドア320につき汎用性のある制御を実現する。
===ハードウェア構成===
【0092】
連携システム100は、上記で記載する機能を実現できる情報処理装置であればどのような装置であってもよい。連携システム100は、限定でなく例として、クラウドコンピュータ、サーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ(限定でなく例として、デスクトップ、ラップトップ、タブレットなど)、あるいは他種のコンピュータなどで構成されていてもよい。なお、連携システム100における処理の少なくとも一部は、1以上のコンピュータ(限定ではなく例として、1以上のコンピュータにより構成されるクラウドコンピューティング)により実現されていてもよいし、そうでなくてもよい。ここで、
図4を参照して、連携システム100をコンピュータで実現する場合のハードウェア構成の一例を説明する。なお、それぞれの装置の機能は、複数台の装置に分けて実現することもできる。
【0093】
図5に示すように、コンピュータ1000は、プロセッサ1001と、メモリ1002と、記憶装置1003と、入力I/F部1004と、データI/F部1005と、通信I/F部1006、及び表示装置1007を含む。
【0094】
プロセッサ1001は、メモリ1002に記憶されているプログラムを実行することによりコンピュータ1000における各種の処理を制御する制御部である。
【0095】
メモリ1002は、例えばRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体である。メモリ1002は、プロセッサ1001によって実行されるプログラムのプログラムコードや、プログラムの実行時に必要となるデータを一時的に記憶する。
【0096】
記憶装置1003は、例えばハードディスクドライブ(HDD)やフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体である。記憶装置1003は、オペレーティングシステムや、上記各構成を実現するための各種プログラムを記憶する。
【0097】
入力I/F部1004は、ユーザからの入力を受け付けるためのデバイスである。入力I/F部1004の具体例としては、キーボードやマウス、タッチパネル、各種センサー、ウェアラブル・デバイス等が挙げられる。入力I/F部1004は、例えばUSB(Universal Serial Bus)等のインターフェースを介してコンピュータ1000に接続されても良い。
【0098】
データI/F部1005は、コンピュータ1000の外部からデータを入力するためのデバイスである。データI/F部1005の具体例としては、各種記憶媒体に記憶されているデータを読み取るためのドライブ装置等がある。データI/F部1005は、コンピュータ1000の外部に設けられることも考えられる。その場合、データI/F部1005は、例えばUSB等のインターフェースを介してコンピュータ1000へと接続される。
【0099】
通信I/F部1006は、コンピュータ1000の外部の装置と有線又は無線により、インターネットNを介したデータ通信を行うためのデバイスである。通信I/F部1006は、コンピュータ1000の外部に設けられることも考えられる。その場合、通信I/F部1006は、例えばUSB等のインターフェースを介してコンピュータ1000に接続される。
【0100】
表示装置1007は、各種情報を表示するためのデバイスである。表示装置1007の具体例としては、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、ウェアラブル・デバイスのディスプレイ等が挙げられる。表示装置1007は、コンピュータ1000の外部に設けられても良い。その場合、表示装置1007は、例えばディスプレイケーブル等を介してコンピュータ1000に接続される。また、入力I/F部1004としてタッチパネルが採用される場合には、表示装置1007は、入力I/F部1004と一体化して構成することが可能である。
===まとめ===
【0101】
本実施形態に係る統合管理システム10は、情報送受信部120(情報受信部)で取得する情報であってセキュリティドア320に近づく自律走行車200に関する情報に基づいて、セキュリティドア320の開閉状態を制御可能な複数のリレーを含む制御盤310に対して、複数のリレーのうちセキュリティドア320を開状態にするドア開リレーを動作させるための信号である開指示信号を出力する信号入出力部130(信号出力部)と、ドア開リレーの動作に応じて制御盤310から出力される、セキュリティドア320の開状態を示す信号である開状態信号に基づいて、セキュリティドア320が開状態であることを判定するドア状態判定部140と、ドア状態判定部140においてセキュリティドア320が開状態であると判定された場合、自律走行車200に対して、セキュリティドア320が開いたことを示すドア開情報を送信する情報送受信部120(情報送信部)と、を備える。これにより、自律走行車200を通過させるセキュリティドア320であって、汎用性の高いリレー制御で構成される当該セキュリティドア320に対する制御を簡易な構成により実現できるとともに、自律走行車200がセキュリティドア320を安全に通過可能にする制御を実現できる。
【0102】
また、本実施形態に係る統合管理システム10は、制御盤310から出力される開状態信号を所定の時間内に取得したか否かを判定する時間判定部150(開状態時間判定部)をさらに備え、信号入出力部130(信号出力部)は、時間判定部150(開状態時間判定部)において所定の時間内に開状態信号を取得しないと判定された場合、制御盤310に対して、複数のリレーのうちセキュリティドア320を閉状態にするドア閉リレーを動作させるための信号である閉指示信号を出力する。これにより、連携システム100は、セキュリティドアシステム300の不具合の有無を判定できるため、自律走行車200の安全な移動を実現できる。また、連携システム100は、セキュリティドアシステム300に不具合が生じている可能性がある場合に、セキュリティドア320を閉状態にすることでセキュリティを高めることができる。
【0103】
また、本実施形態に係る統合管理システム10は、制御盤310から出力される開状態信号を所定の時間内に取得したか否かを判定する時間判定部150(開状態時間判定部)をさらに備え、情報送受信部120(情報送信部)は、時間判定部150(開状態時間判定部)において所定の時間内に開状態信号を取得しないと判定された場合、自律走行車200に対して、セキュリティドア320が閉じていることを示すドア閉情報を送信する。これにより、連携システム100は、セキュリティドアシステム300の不具合の有無を判定できるため、自律走行車200の安全な移動を実現できる。また、連携システム100は、セキュリティドア320が開かない状態を自律走行車200に通知できるため、自律走行車200において移動を制限する処理などを実現できるため、自律走行車200の安全を確保できる。
【0104】
また、本実施形態に係る統合管理システム10は、ドア開情報に基づき自律走行車200から送信される、自律走行車200がセキュリティドア320を通過可能であることを示すドア通過可能情報を、所定の時間内に情報送受信部120(情報受信部)で取得したか否かを判定する時間判定部150(通過可能時間判定部)をさらに備え、信号入出力部130(信号出力部)は、時間判定部150(通過可能時間判定部)において所定の時間内に情報送受信部120(情報受信部)でドア通過可能情報を取得しないと判定された場合、制御盤310に対して開指示信号を出力する。これにより、連携システム100は、自律走行車200が安全にセキュリティドア320を通過できる状況であるか否かを判定できるため、自律走行車200の安全な移動を実現できる。
【0105】
また、本実施形態に係る統合管理システム10は、情報送受信部120(情報受信部)でドア通過可能情報を取得してから所定の時間内に自律走行車200からセキュリティドア320を通過したことを示すドア通過完了情報を情報送受信部120(情報受信部)で取得したか否かを判定する時間判定部150(通過完了時間判定部)をさらに備え、信号入出力部130(信号出力部)は、時間判定部150(通過完了時間判定部)の判定結果に基づいて、制御盤310に対して、複数のリレーのうちセキュリティドア320を閉状態にするドア閉リレーを動作させるための信号である閉指示信号を出力する。これにより、自律走行車200が安全にセキュリティドア320を通過できたことを確認できる。
【0106】
また、本実施形態に係る統合管理システム10は、時間判定部150(通過完了時間判定部)において所定の時間内にドア通過完了情報を情報送受信部120(情報受信部)で取得しないと判定された場合、自律走行車200から送信される、自律走行車200の位置情報に基づいて、セキュリティドア320が閉状態になる場合に自律走行車200が当該セキュリティドア320と接触するか否かを判定する位置判定部170をさらに備え、信号入出力部130(信号出力部)は、位置判定部170において自律走行車200がセキュリティドア320と接触しないと判定された場合、制御盤310に対して閉指示信号を出力する。連携システム100は、自律走行車200が何らかの原因によりセキュリティドア320を通過できない場合、セキュリティドア320に自律走行車200が接触しないようセキュリティドア320を閉じることによって事故を防止できる。
【0107】
また、本実施形態に係る統合管理システム10は、ドア状態判定部140において、閉指示信号が出力されてから所定の時間を経過してもセキュリティドア320が閉状態であることを判定できない場合、管理者にセキュリティドア320の状態を通知する通知部160をさらに備える。これにより、セキュリティドア320の不具合を迅速に解消できる。
【0108】
また、本実施形態に係る統合管理システム10は、自律走行車200がセキュリティドア320を通過中であるか否かを判定する通過判定処理部180をさらに備え、通過判定処理部180は、ドア状態判定部140でセキュリティドア320が開状態であると判定される状態で、自律走行車200がセキュリティドア320を通過したことを示すドア通過完了情報を情報送受信部120(情報受信部)で取得するまで、自律走行車200がセキュリティドア320を通過中であると判定し、自律走行車200がセキュリティドア320を通過中であると判定する状態で、自律走行車200とは異なる他の自律走行車200からセキュリティドア320を通過したことを示すドア通過完了情報を情報送受信部120(情報受信部)で取得した場合、セキュリティドア320の開状態を保持するように処理を実行する。これにより、複数台の自律走行車200それぞれが円滑にセキュリティドア320を通過できる。
【0109】
また、本実施形態に係る統合管理システム10において自律走行車200に関する情報は、自律走行車200から出力されるセキュリティドア320を開状態にするための要求である。これにより、自律走行車200が通過したいセキュリティドア320を容易に特定できる。
【符号の説明】
【0110】
10…統合管理システム、100…連携システム、110…記憶部、120…情報送受信部、130…信号入出力部、140…ドア状態判定部、150…時間判定部、160…通知部、170…位置判定部、180…通過判定処理部、200…自律走行車、300…セキュリティドアシステム、310…制御盤、320…セキュリティドア。
【要約】 (修正有)
【課題】汎用性の高いリレー制御で構成される自律走行車を通過させるセキュリティドアに対する制御を簡易な構成で実現し、セキュリティドアを自律走行車が安全に通過する制御を実現する情報処理システム、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】統合管理システム10において、連携システムは、セキュリティドアに近づく自律走行車に関する情報に基づいて、セキュリティドアの開閉状態を制御可能な複数のリレーを含む制御盤に対して、複数のリレーのうちセキュリティドアを開状態にするドア開リレーを動作させるための開指示信号を出力する信号入出力部と、ドア開リレーの動作に応じて制御盤から出力される開状態信号に基づいて、セキュリティドアが開状態であることを判定するドア状態判定部と、セキュリティドアが開状態であると判定した場合、自律走行車に対して、セキュリティドアが開いたことを示すドア開情報を送信する情報送受信部と、を備える。
【選択図】
図1