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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】回転機械のための熱音響保護構造体
(51)【国際特許分類】
   G10K 11/16 20060101AFI20220404BHJP
【FI】
G10K11/16 120
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2015199832
(22)【出願日】2015-10-08
(65)【公開番号】P2016081058
(43)【公開日】2016-05-16
【審査請求日】2018-09-13
【審判番号】
【審判請求日】2020-07-07
(31)【優先権主張番号】14/515,649
(32)【優先日】2014-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515140048
【氏名又は名称】ジーイー・エナジー・プロダクツ・フランス・エスエヌセー
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック・ビリー
【合議体】
【審判長】千葉 輝久
【審判官】五十嵐 努
【審判官】樫本 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-89961(JP,A)
【文献】特開昭52-46618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K11/00-13/00
E04B1/62-1/99
E01F3/00-8/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側壁(1)及びこれに平行な下側壁(2)と、
前記上側壁と前記下側壁との間にある少なくとも1つの音響吸収材料(3)と、
を備え、前記上側壁及び下側壁が、拡張形態の複数の接続要素(4)で接続されており、該複数の接続要素(4)、横断面において前記上側壁と前記下側壁に対して非垂直の複数の湾曲又は直線部分(4a,4b)と、前記少なくとも1つの音響吸収材料(3)の側面に向かって突出し、前記少なくとも1つの音響吸収材料(3)の前記側面に接触する第1及び第2の縁部とを有し、前記上側壁と前記下側壁との間の前記複数の接続要素(4)の各々の長さが、前記上側壁と前記下側壁との間の距離(D)よりも大きく、
前記下側壁に配された前記少なくとも1つの音響吸収材料(3)の厚みが、前記上側壁と前記下側壁との間の距離(D)よりも小さく、
前記少なくとも1つの音響吸収材料(3)が、前記第1及び第2の縁部の間に配置され、
前記複数の接続要素(4)の各々が、前記上側壁に接続するための上側接触区域(6a)と、前記下側壁に接続するための下側接触区域(6b)とを含み、
前記複数の湾曲又は直線部分(4a,4b)の各々が、互いに平行ではなく、前記第1及び第2の縁部が、前記複数の湾曲又は直線部分(4a,4b)の間に形成され、
前記複数の接続要素(4)の各々が、前記上側壁と前記複数の湾曲又は直線部分(4a,4b)の1つとの間の角度(α1)が、±4°の公差で前記下側壁と前記複数の湾曲又は直線部分(4a,4b)の他の1つとの間の角度(α2)に等しくなる前記複数の湾曲又は直線部分(4a,4b)を有し、
前記複数の接続要素(4)の各々が、前記第1及び第2の縁部の各縁部における外角(β1)が、±4°の公差で、前記上側壁と前記複数の湾曲又は直線部分(4a,4b)の前記1つとの間の角度(α1)と前記下側壁と前記複数の湾曲又は直線部分(4a,4b)の前記他の1つとの間の角度(α2)の合計に等しくなる前記複数の湾曲又は直線部分(4a,4b)を有している、構造体(10)。
【請求項2】
上側壁(1)及びこれに平行な下側壁(2)と、
前記上側壁と前記下側壁との間にある少なくとも1つの音響吸収材料(3)と、
を備え、前記上側壁及び下側壁が、拡張形態の複数の接続要素(4)で接続されており、該複数の接続要素(4)、横断面において前記壁に対して非垂直の少なくとも1つの湾曲又は直線部分(4a,4b)と、前記少なくとも1つの音響吸収材料(3)の側面に向かって突出し、前記少なくとも1つの音響吸収材料(3)の前記側面に接触する第1及び第2の縁部とを有し、前記上側壁と前記下側壁との間の前記複数の接続要素(4)の各々の長さが、前記上側壁と前記下側壁との間の距離(D)よりも大きく、
前記少なくとも1つの音響吸収材料(3)が、前記第1及び第2の縁部の間に配置され、
前記下側壁に配置された前記少なくとも1つの音響吸収材料(3)の厚みが、前記上側壁と前記下側壁との間の距離(D)よりも小さい、構造体(10)。
【請求項3】
前記複数の接続要素(4)の各々が、前記上側壁に接続するための上側接触区域(6a)と、前記下側壁に接続するための下側接触区域(6b)と、複数の湾曲又は直線部とを含み、前記複数の湾曲又は直線部が互いに平行ではなく、前記少なくとも1つの音響吸収材料(3)の側面に接触する前記第1及び第2の縁部(5)が前記複数の湾曲又は直線部の間に形成される、請求項2に記載の構造体。
【請求項4】
前記上側接触区域と前記上側壁との間及び/又は前記下側接触区域と前記下側壁との間に配置される粘弾性材料のダンパー要素(7)を更に備える、請求項1または3に記載の構造体。
【請求項5】
前記上側接触区域が、前記上側壁表面の10~20%の表面に接触し、前記下側接触区域が、前記下側壁表面の10~20%の表面に接触し、
横断面において、前記下側接触区域の長さは、前記複数の接続要素(4)の各々の全長の10%よりも大きく、前記上側接触区域の長さは、前記複数の接続要素(4)の各々の全長の10%よりも大きい、請求項1または3または4に記載の構造体。
【請求項6】
前記上側壁(1)と前記下側壁(2)の間を延びる前記複数の接続要素(4)が、一対の接続要素(4)であり、
前記構造体が、さらに、
第1間隙だけ間隔をおいて前記下側壁(2)から隔てられ、前記下側壁(2)の隣に配置された、第2の下側壁(2)と、
第2の間隙だけ間隔をおいて前記上側壁(1)から隔てられ、前記上側壁(1)の隣に配置され、前記第2の下側壁(2)に平行な第2の上側壁(1)と、
前記第2の上側壁と前記第2の下側壁との間にある第2の音響吸収材料(3)と、
第3の間隙だけ間隔をおいて前記一対の接続要素(4)の1つから隔てられ、前記一対の接続要素(4)の1つの隣に配置され、前記第2の上側壁と前記第2の下側壁の端に配置された第2の接続要素(4)と、
を備える、請求項1乃至5のいずれかに記載の構造体。
【請求項7】
前記少なくとも1つの音響吸収材料が、メラミン、ロックウール、ガラス、発泡体、及び/又はボールを含む、請求項1乃至6のいずれかに記載の構造体。
【請求項8】
前記少なくとも1つの音響吸収材料の厚さが、前記下側壁と前記上側壁との間の距離の少なくとも50%に等しく、前記少なくとも1つの音響吸収材料と前記上側壁の間に空間が形成される、請求項1乃至7のいずれかに記載の構造体。
【請求項9】
前記構造体が、回転機械用の熱音響保護構造体(10)である、請求項1乃至8のいずれかに記載の構造体。
【請求項10】
前記下側壁及び/又は前記上側壁への前記複数の接続要素(4)の各々の固定が、溶接または脱着可能な締結具により実施される、請求項1乃至9のいずれかに記載の構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転機械のための熱音響保護構造体を提供し、より詳細には、吸音材料が内部に配置された構造体を提供する。具体的には、本発明は、ガスタービン又はオルタネータのような回転機械及びその装備機器に対する熱音響保護の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
回転機械及びその装備機器により発生するノイズは、130dB(A)(A特性重み付けデシベル)~160dB(A)に達する可能性のある高い音響パワーレベルを有する場合があり、隣接する機器に広がる可能性がある。例えば、ガスタービンの保護エンクロージャ、空気入口ダクト、又は空気出口ダクトは、音響波が拡散するには好都合な経路となる場合がある。
【0003】
従って、機器により放射されるノイズの低減は、適切な構造体のパネルを使用することによって可能である。一般に、パネルの構造は、1つが外部シートでもう1つが内部シートの少なくとも2つの壁を有することができ、2つのシートの間に遮音材料の少なくとも1つの層が配置され、また、パネル間に補強材又は結合要素を有し、弾性緩衝法により構造体を通過する振動の伝播を消散させることができる。
【0004】
パネル構造体における音響減少は、以下の3つのタイプに分類することができる。
・反射:音響波の一部が機器の内部部品に送られるもの
・吸収:壁及び壁間に配置された材料(又は空気)における波からのエネルギーの消散
・伝播:機器の外部に向けた構造体全体の振動によるエネルギーの放射
欧州特許EP第1657374号公報において記載されるように、音響パネルは金属製である。パネル設計は、「音響低減をもたらす主要因は質量である」という理論に基づいている。これは、「質量が大きくなるほど、より多くのノイズを低減することができる」という重要な要因に基づいている。従って、金属シートを含む音響パネルは、質量効果によるノイズ低減をもたらすことができる。多孔質材料もまた、粘性及び摩擦作用により低減を提供することができる。緩衝器は、これらの要素が通常、ゴムなどの弾性又は可撓性材料から構成されるので、外壁と内壁との間の振動及び音響エネルギーを消散させる。
【0005】
欧州特許第2 017826号公報及びフランス国特許第2356820号公報によるパネル構造体における音響波の吸収は、特にガスタービン圧縮機に近接した空気入口での用途としてヘルムホルツ共鳴器によって実施することができる。更に、米国特許第4,084,367号明細書において提案されているように、ヘルムホルツ共鳴器は、250~2000Hzの周波の音響吸収に用いることができる。フランス国特許第2356820号公報において、様々な容積又は長さの共鳴器チャンバにより、広範囲の周波数にわたるノイズ抑制が確保される。
【0006】
振動の減衰に関する限り、米国特許第5,907,932号明細書は、2つのシートパネル及び1つの減衰要素の間の2つの水平接続部が構造体を横断する振動を吸収することを提案している。米国特許第7,467,687号では、接続要素の両側で接続要素と各シートとの間の接合部に配置された2つの弾性要素を使用することを提案している。振動減衰要素は通常、ゴム又は弾性材料から作られる。従って、音響吸収は、吸収材料又は共鳴器の何れかにより実施される。構造体を通る音響伝播現象の低減は、通常は弾性材料の要素を備えた振動ダンパーにより実現される。
【0007】
遮音材料の通過を含む、構造壁を通過するノイズの伝播及び拡散により、固体振動による構造体の共鳴モードが励起され、従って、外部壁の表面によるノイズ放射が生じる可能性がある。この現象は、構造体とパネルを接続する要素全てにおいて振動ダンパー点を増加させることで低減することができる。この増加は、構造体の要素数が増大する傾向となり、パネルの組立時間が長くなる可能性がある。
【0008】
実際に、保守整備作業中に、場合によっては機器の周りの音響構造体の取り外し及び再組立を実施する必要があるが、結果として生じる音響性能が当初提供されていたものと同等となる保障はない。特に、振動が除去される弾性ダンパー要素は、回転機械の運転の際の高温及び振動レベル特性に起因して経年劣化する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】欧州特許第1657374号公報
【文献】欧州特許第2 017826号公報
【文献】フランス国特許第2356820号公報
【文献】米国特許第4,084,367号明細書
【文献】米国特許第5,907,932号明細書
【発明の概要】
【0010】
本発明は、これらの欠点を解消することを目的としている。詳細には、本発明は、回転機械用の熱音響保護構造を提案する。熱音響保護構造は、音響波の除去又は低減を確保しながら音響伝播現象を低減するために、弾性振動減衰要素を不要にするか、又はこれに付加する形で提供することができる。本発明の別の目的は、装着が容易で製造が安価な構造体を提供することである。従って、本発明は、回転機械用の熱音響保護構造を目的とする。
【0011】
本発明による構造体は、上側壁とこれに平行な下側壁とを含み、これらの間に少なくとも1つの音響吸収材料が配置される。上側壁及び下側壁は、拡張形態の少なくとも1つの接続要素で接続されている。接続要素は、横断面において2つの壁に対して非垂直の少なくとも1つの湾曲又は直線部分を示す。上側壁と下側壁との間の接続要素の長さは、上側壁と下側壁との間の距離よりも大きい。接続要素は更に、横断面において少なくとも1つの縁部を示す。
【0012】
従って、壁間が通常のものと比べて1又は複数の偏位部を示す接続要素の幾何形状は、接続要素の横断長さが増大することを意味する。この増大により、パネルの妨害を低く維持しながら、接続要素の長さを増大させることによって適正モードの低い周波数での除去が可能となる。この幾何形状において、接続要素の音響波の低減は、部品の幅に沿っていることが好ましい。従って、250Hz~2000Hzの共鳴の大きさが低減され、これによりこれらの周波数での音響伝播が低減される。
【0013】
本発明における縁部とは、直線か曲線かに関わらず2つの非平行の隣接部分間の接合部を意味すると理解される。接続要素は、上側壁と接続要素を接続するための上側接触区域と、下側壁と接続要素を接続するための下側接触区域と、複数の直線部分又は湾曲部分とを含むことができ、隣接する部分が非平行で縁部にて互いに接合されている。従って、異なる部分の長さの合計は、上側壁と下側壁との間の距離(D)よりも大きい。接続要素は、上側接触区域及び/又は下側接触区域を含むことができ、すなわち、接続要素の端部にて接触域がない。直線部分は、同じ長さ又は異なる長さとすることができる。
【0014】
縁部は、有利には、特に単一部品の折り曲げにより得られ、これにより構造体の組立手順が簡素化され安価になる。構造体の組立方法を簡素化するために、接続要素は、有利には、複数の直線部分を含むことができる。上側壁と上側接触区域との間の角度は、±4°の公差で下側壁と下側接触区域との間の角度に等しく、各縁部における外角が、±4°の公差で、上側壁と上側接触区域との間の角度と下側壁と下側接触区域との間の角度の合計に等しい。
【0015】
構造体は、上側接触区域と上側壁との間及び/又は下側接触区域と下側壁との間に配置されるある種の粘弾性材料のダンパー要素を含むことができる。上側接触区域と上側壁の縁部との間の表面は、上側壁面積の10~20%とすることができ、下側接触区域と下側壁の縁部との間の表面は、下側壁面積の10~20%とすることができる。
【0016】
横断面において、下側接触区域の長さは、好ましくは接続要素の全長の10%よりも大きく、上側接触区域の長さは、好ましくは接続要素の全長の10%よりも大きい。音響吸収材料は、メラミン、ロックウール、ガラス、発泡体、及び/又はボールを含むことができる。音響吸収材料の厚さは、有利には、下側壁と上側壁との間の距離の少なくとも50%に等しい。下側壁及び/又は上側壁への接続要素の固定は、溶接により実施することができる。下側壁及び/又は上側壁への接続要素の固定は、脱着可能な締結具とすることができる。
【0017】
本発明の他の特徴及び利点は、添付図面を参照しながら例証及び非限定的な実施例として提供される以下の説明を読むことによって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1の実施モードに従った、本発明による回転機械用の熱音響保護構造体の横断面図。
図2図1の接続要素の斜視図。
図3】第2の実施モードに従った、本発明による回転機械用の熱音響保護構造体の横断面図。
図4】第3の実施モードに従った、本発明による回転機械用の熱音響保護構造体の横断面図。
図5】第4の実施モードに従った、本発明による回転機械用の熱音響保護構造体の横断面図。
図6図5の接続要素の斜視図。
図7】第5の実施モードに従った、本発明による回転機械用の熱音響保護構造体の横断面図。
図8】熱音響保護構造体の異なる実施可能な幾何形状の上面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に示すように、本発明による回転機械のための熱音響構造は、少なくとも1つのパネル10を含むことができる。各パネル10は、上側壁1(外部構造又は柵材料のシートとも呼ばれる)及び下側壁2(内部シートとも呼ばれる)を含むことができ、下側壁2は一般に有孔シートである。外部シート1と内部シート2との間には、音響吸収材料3の1又は複数の層が配置され、通常は上側壁1と下側壁2との間に少なくとも50%の空間が介在する。各パネル10では、少なくとも1つの接続要素4が外部シート1と内部シート2とを接続している。例証として、図1では、各パネル10に対して2つの接続要素4が使用されている。
【0020】
本発明による構造において、接続要素4は、横断面において、壁1,2に完全に垂直には固定されず(すなわち、接続要素4は、壁1,2に垂直でない少なくとも1つの部分4a,4bを含むことができる)、その結果、横断面において、上側壁1と下側壁2との間の接続要素4の長さは、上側壁1と下側壁2との間の距離Dよりも大きくなる場合がある。図1の第1の実施モードによれば、接続要素4は、整列していない2つの直線部分4a,4bを示す単一の縁部(すなわち、折り畳み又は折り畳み構造)を有している。縁部5は、必須ではないが、接続要素4の長手方向に対称のレベルで配置することができる。すなわち、2つの直線部分4a,4bは等しい長さとすることができる。
【0021】
非垂直部分4a,4bの結果、上側壁1と下側壁2との間の接続要素4の長さは、上側壁1と下側壁2との間の距離Dよりも大きいとすることができ、これにより妨害を制限しながら、特定の周波数レンジにおける音響伝播現象を低減することができる。
【0022】
接続要素4はまた、その端部において上側壁1と接続要素4を接続するための上側接触区域6aと、ひいては下側壁2と接続要素4を接続するための下側接触区域6bとを含むことができる。ある種の粘弾性材料又はその他のダンパー要素7を上側接触区域6aと上側壁1の間及び/又は下側接触区域6bと下側壁2との間に挿入してもよい(図3)。
【0023】
上側部分4aと上側壁1との間の鋭角はα1である。下側部分4bと下側壁2との間の鋭角はα2である。α1はα2と等しい(図1)とことができ、公差は4度である。また、α1はα2±4°と異なる(図3)ことができる。2つの部分4a及び4b間の外周角はβ1であり、α1とα2の合計に等しいとすることができ、公差は同様に4°である。従って、少なくとも2つの接続要素4は、2つの平行壁1,2と構造体の組立を可能にする。更に、各接触域6a,6bは、接続要素4の全表面の少なくとも10%を占める。各接触域6a,6bは、場合によってはダンパー要素7と共に溶接又は脱着可能締結具により壁1,2に固定することができる。
【0024】
図2は、図1の接続要素4を斜視図で示している。図4は、図1~3の一般的実施モードを示す。接続要素4は、各折り部5にて曲線半径部と、折り曲げ部5間の直線部分とを有して折り曲げることができることを示している。
【0025】
直線状セグメントの長さ「h」が0に向かっている場合、曲線輪郭が見られるようになり(円の円弧、正弦波輪郭、又は別のタイプの形態から構成される)、この場合、同じ角度定義により、パネル10の上側壁1と下側壁2との間に平行関係をもたらすことができる。
【0026】
第4の実施モードによれば、図5に示すように、各接続要素4は、3つの直線部分4a,4b,4cを示す2つの縁部5a,5bを含むことができる。縁部5a,5bは、好ましくは、それぞれの接触域6a,6bから等距離にある。従って、3つの部分4a,4b,4cは、横断面で実質的に等しい長さのものである。
【0027】
第1の実施モードと同様に、接続要素4はまた、その端部において上側壁1と接続要素4を接続するための上側接触区域6aと、ひいては下側壁2と接続要素4を接続するための下側接触区域6bとを含むことができる。
【0028】
図6は、図5の接続要素4を斜視図で示している。本発明のパネル10の構造体は、N個の長手方向縁部とN+1個の直線部分とを有する接続要素4の一般形態とすることができる。2つの隣接する縁部間の距離は、接続要素4全体接続要素4全体で同じであるのが好ましい。
【0029】
折り曲げ後、角度α1,α2は90°より小さく、以下の比を示すのが有利である。
N=1の場合、βN=α1+α2(±4°)
N>1の場合、β1=...=βN=α1+α2(±4°)
これらの角度は、異なっていてもよいが、上記の比によって、より優れた製造の簡素化が確保される。
【0030】
図7は、パネル10の角度が異なっている実施モードを示している。
【0031】
図7の配向角は、次式で定義される。
【0032】
【数1】
【0033】
ここで、Nは折り曲げ数、α2=γNである。
【0034】
従って、角度α2は、次式で定義される。
【0035】
【数2】
【0036】
上記の式1は、次式の通り、式2が妥当であることを証明している。
【0037】
【数3】
【0038】
接続要素の折り曲げは標準的な工具を用いて行うことができるので、本発明の利点として、実施構成が簡単であることが挙げられる。更に、ダンパーが存在しないことにより、各動作に必要な部品数が低減されると共に、組立及び取り外しが容易になる。更に、接続要素の固定は、標準的な方法、すなわち、溶接、脱着可能ファスナー(例えば、スクリュー及びナットを用いた)又はリベットもしくはクランプにより実施することができる。接続要素4と上側壁1との間の接続は、好ましくは、脱着可能組立体によって確立され、脱着可能な固定は、音響吸収材料3と上側壁1との間に残されたスペースにより実施可能である。
【0039】
本発明による構造体の組立方法は、以下のステップを含むことができる。
-少なくとも1つの接続要素4を第1の壁(例えば、下側壁2)の表面に配置する。
-2つの壁1,2間のスペースの全部又は一部を接続要素4及び/又はシート2の縁部間で吸収材料(例えば、ロックウール又はガラスもしくはその他)の1又は複数の層で充填する。
-上側壁1を配置して、上側壁1の表面に接続部品4を脱着可能な組立により固定する(変形の実施形態では、上側壁1の配置は、2つの壁1,2間での音響吸収材料3による充填前に実施することができる)。
-構造体パネル10の組立により、タービン又はオルタネータなどの回転機械の周りに熱音響保護を提供する。
【0040】
更に、上側壁及び下側壁は、図示していない接続手段を含むことができる。更に、回転機械の周りに熱音響保護構造の組立を容易にするために、壁は、機械の幾何形状に良好に適合することができる様々な形態を有することができる。例えば、一部の構造体は、図8に示すような3つの縁部又はそれ以上の縁部を含むことができる。従って、構造体は、三角形(実施モードa)、矩形(実施モードb)、五角形(実施モードc)、又は六角形(実施モードd)とすることができる。構造共鳴現象を制限するために、接続要素4は、好ましくは、接触面6a及び6bのうちの少なくとも1つで壁の縁部に近接した少なくとも1つの表面上に固定される。
【0041】
折り曲げ角を修正することにより、妨害を調整することができる。使用される材料は、ガスタービンの分野において標準的なものである。最後に、接続要素4の厚さは、好ましくは、1mm(又は0.5mmでも)~6mmである。
【0042】
上記のことは、本出願及びその結果として得られる特許の特定の実施形態にのみに関連している点を理解されたい。添付の請求項及びその均等物によって定義される本発明の全体的な技術的思想及び範囲から逸脱することなく、当業者であれば多くの変更及び修正を本明細書において行うことができる。
【符号の説明】
【0043】
1 上側壁(外部シート)
2 下側壁(内部シート)
3 音響吸収材料
4 接続要素
5 縁部
6a 上側接触区域
6b 下側接触区域
10 パネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8