(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】加工物を固定するための真空チャック、加工物、特にウエハを検査するための測定装置および方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20220404BHJP
【FI】
H01L21/68 P
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017018403
(22)【出願日】2017-02-03
【審査請求日】2019-12-19
(31)【優先権主張番号】10 2016 101 842.2
(32)【優先日】2016-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】309007036
【氏名又は名称】ヘルムート・フィッシャー・ゲーエムベーハー・インスティテュート・フューア・エレクトロニク・ウント・メステクニク
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】フォルツ,ヴェルナー
(72)【発明者】
【氏名】ボース,パウル
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-062346(JP,A)
【文献】特開平04-164240(JP,A)
【文献】特開2007-042924(JP,A)
【文献】米国特許第07292427(US,B1)
【文献】特開2012-026797(JP,A)
【文献】実開昭64-026841(JP,U)
【文献】特開平09-174364(JP,A)
【文献】特開2000-074859(JP,A)
【文献】特開2004-245745(JP,A)
【文献】特開平01-219549(JP,A)
【文献】特開2004-093511(JP,A)
【文献】特開平07-058191(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0031747(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0013169(US,A1)
【文献】特開2005-114882(JP,A)
【文献】特開平05-084682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工物(19)を固定するための真空チャックであって、支持面(27)を有する固定プレート(21)と、基体(33)上に配置される少なくとも1つの真空接続とを有し、前記真空接続は、負圧装置に接続し、または前記加工物(19)を前記固定プレート(21)上に負圧によって固定し、前記固定プレート(21)は前記基体(33)によって受容され、前記固定プレート(21)に配置される複数の吸引溝(22、23、24、25、26)を有し、前記支持面(27)に向かって開口し、前記支持面(27)は複数の同心吸引溝(22から26)を有し、前記同心吸引溝(22から26)は、負圧線が接続する少なくとも1つの吸引口(35)を有し、または前記少なくとも1つの吸引口(35)は作業チャネル(37、38、39、40、41)に接続し、各吸引溝(22から26)は個別の負圧を有し、前記各吸引溝(22から26)は前記隣接する吸引溝(22から26)とは離間し、選択的に少なくとも1つの制御弁(91、92、93、94)によって制御部(96)によって制御され、前記それぞれの負圧を前記それぞれの吸引溝(22から26)に印加するよう構成され、
前記加工物(19)を対象とする一次X線放射線によって微散乱線が生成され、蛍光放射線のエネルギーがとても小さいため、前記加工物(19)の素材に吸収されるように、前記固定プレート(21)の素材は、原子番号が選択される素材から選択されること、
または
前記加工物(19)を対象とする一次X線放射線が蛍光放射線を生成し、前記蛍光放射線は前記加工物(19)の素材によって20%から80%まで吸収されるように、前記固定プレート(21)の素材は、原子番号が選択される素材から選択されること
を特徴とする、真空チャック。
【請求項2】
請求項1に記載の真空チャックであって、少なくとも3つのリフトピン(29)は前記基体(33)に提供され、前記少なくとも3つのリフトピン(29)は前記固定プレート(21)の前記支持面(27)内、またはその下の格納位置から、前記支持面(27)に対して延伸位置に移動可能であり、前記リフトピン(29)は吸引カップに類似する受容要素(81)を有し、前記受容要素(81)は吸引チャネル(84)に接続する中心穴(82)を備え、負圧による保持力を生成することを特徴とする、真空チャック。
【請求項3】
請求項2に記載の真空チャックであって、移動可能な摺動キャリッジ(65)は前記基体(33)内に提供され、前記リフトピン(29)の前記格納可能な位置または前記延伸可能な位置を制御すると同時に、前記リフトピン(29)を前記格納位置および前記延伸位置に移動し、前記移動可能な摺動キャリッジ(65)は傾斜した制御面(76)を有し、前記傾斜した制御面(76)に沿って、少なくとも1つの制御要素(75)は移動可能であるように誘導され、前記制御要素は前記リフトピン(29)に接続される、真空チャック。
【請求項4】
請求項2に記載の真空チャックであって、前記リフトピン(29)は誘導スリーブ(78)によって移動可能なように誘導され、前記誘導スリーブは前記基体(33)の前記吸引チャネル(84)に接続され、負圧を生成することを特徴とする、真空チャック。
【請求項5】
請求項2に記載の真空チャックであって、前記移動可能な摺動キャリッジ(65)は前記基体(33)内に前記基体(33)上にある前記固定プレート(21)とアンダープレート(36)との間に配置され、前記アンダープレート(36)は前記基体(33)の底面に配置されることを特徴とする、真空チャック。
【請求項6】
請求項2に記載の真空チャックであって、前記移動可能な摺動キャリッジ(65)は前記基体(33)の受容空間(64)に配置され、2つの対向するセンサ要素(67)は前記受容空間(64)に割り当てられ、それによって、前記リフトピン(29)の前記格納または延伸位置の適応は、前記受容空間(64)の前記摺動キャリッジ(65)の位置によって検出可能であることを特徴とする、真空チャック。
【請求項7】
請求項1に記載の真空チャックであって、複数の停止ピン(31)は前記基体(33)に提供され、前記基体(33)は前記支持面(27)内、またはその下の格納位置から、前記固定プレート(21)の前記支持面(27)上部の延伸位置まで移動可能であることを特徴とする、真空チャック。
【請求項8】
請求項7に記載の真空チャックであって、延伸した停止位置に移動するための1以上の停止ピン(31)は少なくとも1つの供給チャネル(48、49、50、51)に接続され、前記少なくとも1つの供給チャネル(48、49、50、51)は正圧を印加され、前記停止ピン(31)は、前記少なくとも1つの停止ピン(31)に接続される前記それぞれの供給チャネル(48から51)を排気することによって、前記停止ピン(31)に接する伸縮ばね(55)によって、独立して前記格納位置を採用することを特徴とする、真空チャック。
【請求項9】
請求項7に記載の真空チャックであって、少なくとも2つの停止ピン(31)は各吸引溝(22から26)に割り当てられ、前記停止ピンは、1つの共通の供給チャネル(48から51)による正圧によって制御可能であり、または一定の大きさの前記加工物(19)に提供される制御ピン(31)は、前記吸引溝(22から26)外側に半径方向に配置され、前記吸引溝(22から26)は前記加工物(19)と同じ大きさで提供されることを特徴とする、真空チャック。
【請求項10】
請求項2に記載の真空チャックであって、少なくとも3つのリフトピン(29)は
前記複数の吸引溝(22、23、24、25、26)の内最小のまたは第1の吸引溝(22)の外側に提供され、少なくとも2つの停止ピン(31)は前記
最小のまたは第1の吸引溝(22)
とその外側の第2の吸引溝(23)の間に提供されることを特徴とする、真空チャック。
【請求項11】
請求項7に記載の真空チャックであって、少なくとも2つの停止ピン(31)は、それぞれ互いに隣接して配置される2つの吸引溝(22から26)の間に提供されることを特徴とする、真空チャック。
【請求項12】
請求項1に記載の真空チャックであって、前記吸引溝(22から26)まで補間的に伸びる作業チャネル(37から41)は、前記固定プレート(21)に向かう前記基体(33)側に提供され、前記作業チャネル(37から41)は少なくとも1つの吸引口(35)に接続され、前記少なくとも1つの吸引口(35)は前記固定プレート(21)の前記支持面(27)に前記吸引溝(22から26)を備え、各作業チャネル(37から41)は制御弁(91から94)による真空によって個別に制御されることを特徴とする、真空チャック。
【請求項13】
請求項8に記載の真空チャックであって、供給チャネル(48、49、50、51)はアンダープレート(36)に提供され、前記供給チャネル(48、49、50、51)はそれぞれ給気チャネル(44、45、46、47)に接続され、前記給気チャネル(44、45、46、47)を通じて、前記加工物(19)の大きさに割り当てられる前記少なくとも2つの停止ピン(31)は同時に正圧を印加されることを特徴とする、真空チャック。
【請求項14】
請求項1に記載の真空チャックであって、ウエハを固定するために提供されることを特徴とする、真空チャック。
【請求項15】
加工物(19)を蛍光X線照射で検査するための測定装置であって、前記少なくとも1つの加工物(19)を受容するための移動可能な測定台(12)を有し、線源から生成される一次X線放射線は前記測定台(12)を照射し、放出された二次放射線は検出器によって検出され、前記検出器によって検出される測定信号は制御装置によって評価され、請求項1に記載の真空チャック(18)は前記移動可能測定台(12)上に提供されることを特徴とする、真空チャック。
【請求項16】
加工物(19)を検査するための方法であって、請求項15に記載の測定装置(11)を備え、
-前記真空チャック(18)に前記加工物(10)を装着する前に、前記固定プレート(21)の前記支持面(27)に対向するリフトピン(29)は延伸位置に移動され、
-検査対象の前記加工物(19)は前記リフトピン(29)上に取扱装置(89)によって配置され、
-前記リフトピン(29)には負圧が印加され、検査対象の前記加工物(19)は前記リフトピン(29)に固定され、
-前記リフトピン(29)は格納位置に移動され、前記加工物(19)は前記支持面(27)上に配置され、
-前記加工物(19)の大きさの少なくとも1つは、前記対応する吸引溝(22から26)に負圧を印加し、前記加工物(19)は前記支持面(27)上に固定され、
-前記加工物(19)の検査は蛍光X線照射によって実行され、
-前記負圧は前記少なくとも1つの吸引溝(22から26)で解除され、
-前記リフトピン(29)は前記延伸位置に移動され、
-前記加工物(19)は前記取扱装置(89)によって保持され
-前記リフトピン(29)に印加される前記負圧は解除され、前記加工物(19)は前記測定装置(11)の外で前記取扱装置(89)によって誘導される、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、前記加工物(19)が前記固定プレート(21)の前記支持面(27)上に固定されている間、前記リフトピン(29)に印加される前記負圧は維持されることを特徴とする、方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法であって、前記リフトピン(29)に印加される前記負圧は、前記リフトピン(29)が格納位置に移動され、前記加工物(19)を負圧が印加された前記少なくとも1つの吸引溝(22から26)によって固定した後に解除され、負圧は前記リフトピン(29)に印加され、前記加工物(19)を持ちあげ、その後前記加工物(19)を持ちあげるために、前記少なくとも1つの吸引溝(22から26)の前記負圧は解除されることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工物、特にウエハを固定するための真空チャック、前述の真空チャックによって固定される加工物を検査するための測定装置、および真空チャック上に固定される加工物を検査する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
真空チャックは特許文献1から既知である。同文献は、加工物を負圧によって装着および固定するための支持面または固定面を備える。支持面および固定面を有する固定プレートは基体によって受容される。基体は負圧装置に接続するための真空接続を備え、負圧装置は負圧を吸引口に印加する。前述の真空チャックは以下の不利点を有する。つまり、互いに平行に整列する複数の吸引口が負圧線によって相互に負圧を印加されるため、小型の加工物を受容し固定した後に、負荷装置にはさらに高い性能が求められるという不利点を有する。
【0003】
ウエハを検査するための真空チャックは、21354ブレッケーデに所在するHorst WitteGeratebau Barskamp KGの2011年の報道発表から既知である。この真空チャックは微孔性素材からなる固定面を有する。非常に薄い加工物はこの微細構造によって、独立し、損傷を受けない方法で固定される。固定面は3つの切り替え可能な固定領域に分割され、様々な大きさのウエハに対応する。この固定プレートは真空チャック用の微孔性素材からなるが、ただし、取り扱いが非常に繊細であり、表面に追加、または表面を交換するときに固定機能が損なわれるという不利点を有する。さらに、この真空チャックは限定的な範囲までしか使用できない。さらに、固定面の微孔性表面は、加工物が選択された部分を完全に覆わない場合は、加工物を固定面に固定するために高い負圧性能も必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、加工物、特にウエハを固定するための真空チャックを提案することである。本真空チャックによって、加工物を固定プレートの支持面上に、簡潔かつ均一に固定することが可能となる。さらに、本発明の目的は、加工物を検査する測定装置のための真空チャック、およびこれらの加工物を蛍光X線照射によって検査する方法を提案することである。
【0006】
本目的は真空チャックによって達成される。真空チャックにおいて、固定プレートの支持層の各吸引溝は、隣接する吸引溝とは別の少なくとも1つの個別の負圧を有し、選択的に少なくとも1つの制御弁によって、それぞれの吸引溝の負圧の印加を制御することによって制御される。そうすることによって、加工物によって覆われる吸引溝それぞれまたは覆われた吸引溝に対応する制御は、固定される加工物の大きさによって行われる。それによって、加工物をしっかりと固定できるように、負圧装置の高い効率性または低減した性能が必要となる。
【0007】
好ましくは、支持面は複数の同心吸引溝を有し、同心吸引溝は、負圧線が接続する少なくとも1つの吸引口を有し、または少なくとも1つの吸引口は作業チャネルに接続する。特にウエハの場合は円形であるため、大きさに対応して調整される吸引溝が、円形に形成される吸引溝によって、ウエハの外縁領域近くに提供される。これによって、しっかりと固定することが可能になる。このように、直径が大きい別の吸引溝に負圧を印加する必要はない。したがって、エネルギーをうまく節約することができる。
【0008】
本真空チャックは、好ましくは底面プレートを有する。底面プレートは、加工物、特にウエハを蛍光X線照射によって検査するための素材からなる。加工物に向けられる一次X線放射線測定装置によって微散乱線が生成されるように、蛍光放射線のエネルギーがとても小さいため、検査対象の素材に吸収されるように、底面プレートの原子番号は選択される。このように、完全またはほぼ完全な吸収が有利に提供される。
【0009】
代替的に、底面プレートは、加工物に向けられる一次X線放射線が蛍光放射線を生成し、蛍光放射線は検査対象の加工物の素材によって20%から80%まで吸収されるように原子番号が選択される素材から選択される。このように、吸収されない蛍光放射線は、検出器を用いる測定信号を検出する場合に、評価に利用することができる。
【0010】
真空チャックのさらに好ましい実施形態では、少なくとも3つのリフトピンが底面プレートに提供される。リフトピンは固定プレートの支持面内、またはその下の格納位置から、延伸位置に移動可能である。これによって、たとえば、加工物を検査プロセスの開始時に、特に取扱装置によって、リフトピン上に装着することが可能になる。その後、加工物は、取扱装置のリフトピン領域から取り外された後に、固定プレートの支持面上にリフトピンによって、静かに位置決めされ、配置され、その後この加工物は引っ張られる。同様に、検査後に加工物は支持面からリフトピンによって静かに持ち上げられ、その後手動取り外し、または自動取り外しが可能になる。
【0011】
リフトピンは、好ましくは、吸引カップまたは中心穴を有する受容要素に類似する支持面を有する。支持面は保持力を生成するための負圧によって、負圧線または吸引チャネルに接続される。この受容要素は、好ましくはエラストマから形成され、一方では、加工物が損傷しないようにし、他方では、加工物をリフトピン上に固定するために、負圧を印加するときに迅速に真空を形成可能とする。
【0012】
リフトピンは、好ましくは、格納および延伸位置に移動可能な摺動キャリッジによって移動可能である。摺動キャリッジは基体に配置される。作業シリンダ、特に空気圧シリンダは、摺動キャリッジの移動運動を制御する。このように、摺動キャリッジの移動運動はXY面で発生するため、このような平らな構造の真空チャックを生成することができる。リフトピンの延伸運動は垂直軸、特にZ軸で行われる。さらに、負圧装置は同時に、作業シリンダを制御するようにも機能する。
【0013】
移動可能な摺動キャリッジは、有利には、傾斜制御面を有する。傾斜制御面に沿って、少なくとも1つの制御要素、特にカムまたは摩擦または減摩軸受要素が誘導され、リフトピン上に固定され、リフトピンを移動させる。このように、摺動キャリッジの移動運動はリフトピンの持ち上げ運動に直接転換される。
【0014】
さらに、リフトピンは、好ましくは、誘導スリーブによって誘導される。それによって、リフトピンは移動可能であり、誘導スリーブは基体の負圧線または吸引チャネルに接続される。このように、リフトピンの入れ子状の構造が提供され、それによって真空チャックの平面構造がさらに達成される。誘導スリーブは、好ましくは、しっかりと基体に固定され、その内側の穴は吸引チャネルで終端する。
【0015】
移動可能な摺動キャリッジは、好ましくは、基体上の固定プレートと、基体の底面上に提供されるアンダープレートとの間の基体に配置される。この摺動キャリッジは固定プレートとアンダープレートとの間で滑るように誘導され、またはローラもしくはボールによって誘導される。代替的には、摺動キャリッジを基体に固定される誘導要素に沿って移動可能に保持してもよい。
【0016】
移動可能な摺動キャリッジは、好ましくは、受容空間の基体に提供される。受容空間の上にはセンサ要素が、互いに対向する2つの端部領域上に提供される。このセンサ要素は、受容空間内の摺動キャリッジの位置にしたがって、リフトピンの格納または延伸位置を検出する。このように、このような真空チャックの自動制御の監視が可能になる。
【0017】
さらに、複数の停止ピンは、好ましくは、基体に提供される。この停止ピンは固定プレートの支持面内、またはその下の格納位置から延伸位置に移動可能である。特に手動で真空チャックを加工物、特にウエハに装着する場合に、これらの停止ピンが用いられる。停止ピンが必要ではない場合、特に自動装着の事例では、停止ピンは固定プレートの支持面内、またはその下に配置されてもよい。
【0018】
1以上の停止ピンは、好ましくは、延伸停止位置に移動するために正圧が印加される。そうするためには、供給チャネルは、有利には、各事例で1以上の停止ピンに提供され、正圧が供給チャネルに印加される。このように、2以上の停止ピンは加工物の固定度にしたがって供給され、同時に制御されてもよい。
【0019】
さらに、停止ピンは、供給チャネルを、停止ピンに接触する伸縮ばねによって通気することによって、独立して格納位置を採用してもよい。このように、圧力供給の中断が発生した場合であっても、停止ピンが固定プレートの固定面から突出しないことが確実となるため、真空チャックをさらに用いることができる。
【0020】
好ましくは、少なくとも2つの停止ピンが各吸引溝に割り当てられる。この停止ピンは、共通の供給チャネルによる正圧によって制御可能である。少なくとも2つの停止ピンは各事例において、それぞれの吸引溝外側に半径方向に配置される。吸引溝は受容する加工物に対応する大きさに制御される。このように、対応する停止ピンは、吸引溝のそれぞれの大きさに割り当てられ、それによって本真空チャックを複数の大きさの加工物に用いることができる。たとえば、4インチ、6インチ、8インチ、10インチおよび/または12インチの直径を有するウエハを固定し、検査してもよい。
【0021】
本真空チャックのさらに有利な実施形態では、少なくとも3つのリフトピンは最小のまたは第1の吸引溝の外側に提供され、垂直方法から見て、これらのリフトピンに対して相殺される少なくとも2つの停止ピンは最小または第1の吸引溝に割り当てられる。このように、真空チャックのためのすべての大きさの受容対象の加工物を、均一にリフトピンで受容し、支持面まで下げ、および/または再度上にあげる。同様に、加工物をそれぞれの停止ピン上に位置決めするため、手動装着が可能である。
【0022】
真空チャックのさらに好ましい実施形態では、少なくとも2つの停止ピンが、各事例において2つの隣接する別の吸引溝の間に配置される。停止ピンは、それぞれの吸引溝に、好ましくは、直線に沿って半径方向に整列される。そのため、同じ取扱要件を、真空チャックの固定プレート上に受容される様々な大きさの加工物に適用可能である。
【0023】
真空チャックの基体は、好ましくは、吸引溝に対して補完的に伸びる作業チャネルを、固定プレートに向かう側に有する。この作業チャネルは、固定プレートに対する支持面のそれぞれの吸引溝の少なくとも1つの吸引口に接続され、好ましくは、各作業チャネルは制御弁による真空によって個別に制御される。このように、このような平面構造による構成およびそれぞれの吸引溝の選択的制御が実現される。
【0024】
各事例において、供給チャネルは、好ましくは、真空チャックのアンダープレートに提供される。この供給チャネルは底面プレートのそれぞれの給気チャネルに接続される。供給チャネルは少なくとも2つのリフトピンに同時に正圧を印加する。この類似性によって、真空チャックの小型の構成と構造的な高さを低くすることが可能となる。
【0025】
さらに本発明の目的は、加工物、特にウエハを蛍光X線照射で検査するための測定装置によって実現される。前述の実施形態の1つの真空チャックは測定装置の移動可能な測定台上に提供される。構造的な高さが低いため、このような真空チャックを既存の蛍光X線測定装置で用いることができる。さらに、様々な測定対象および検査対象の加工物の素材に対し、底面プレートの素材の選択によって、簡潔な調整が可能となる。このように、対応する真空チャックを交換することもでき、または固定プレートを様々な素材で交換し、真空チャックの基体に固定することもできる。
【0026】
さらに本発明の目的は、加工物、特にウエハを蛍光X線照射で検査するための方法によって、実現される。本方法において、以下のステップが具体的に行われる。
【0027】
真空チャックは加工物によって、装着前に起動される。そのため、リフトピンは、固定プレートの支持面に対して延伸位置に移動する。その後、検査対象の加工物はリフトピン上に取扱装置によって配置され、負圧がリフトピンに印加され、検査対象の加工物をリフトピンに固定する。その後、取扱装置は測定装置外部に誘導されてもよい。リフトピンは移動運動によって制御され、それによって格納位置に移動し、加工物は支持面に配置される。次に、少なくとも最も外側の吸引溝は、加工物の大きさに対応する負圧を印加され、加工物は支持面に固定される。加工物が蛍光X線照射によって検査されると、負圧が印加された少なくとも1つの吸引溝によって負圧は解除され、リフトピンは延伸位置に移動する。その後、加工物は取扱装置によって保持され、リフトピンの負圧は解除される。加工物はその後、測定装置から取扱装置によって取り外されてもよい。
【0028】
好ましくは、リフトピンに印加される負圧も、加工物の固定中に固定プレートの支持面に維持される。代替的に、リフトピンに印加される負圧は加工物を支持面に固定する時点で解除されてもよい。
【0029】
本発明および本発明のさらに有利な実施形態および発展は以下に図面に記載する例によって詳細に記載され、説明される。説明および図面から解明できる特徴は、本発明による任意の組み合わせにおいて個別にまたは合わせて適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】真空チャックを有する蛍光X線測定装置の斜視図である。
【
図2】
図1による真空チャックの上面概略図である。
【
図3】
図2の線II-IIに沿った真空チャックの概略断面図である。
【
図6】隆起した固定プレートを有する真空チャックの斜視図である。
【
図8】隆起したアンダープレートを有する真空チャックの基体の下面概略図である。
【
図10】
図3の詳細Dによるリフトピンの概略拡大図である。
【
図11】
図9の線XI-XIに沿った概略断面図である。
【
図12】隆起したカバープレートを備える真空チャックの基体のアンダープレートの下面概略図である。
【
図13】
図12の線XII-XIIに沿った概略断面図である。
【
図14】加工物を自動で装着中の動作位置にある真空チャックの斜視図である。
【
図15】受容した加工物を備えた真空チャックの斜視図である。
【
図16】加工物を手動で装着中の動作位置にある真空チャックの斜視図である。
【
図17】真空チャック上に加工物を手動で装着した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
蛍光X線照射によって測定を実行するための測定装置11を
図1に斜視図で示す。測定装置11は測定台12を備える。測定台12は、たとえば線軸システム14によってXY面において移動可能である。測定装置11の筐体16内には、一次放射線を生成するための線源と、測定台12に載った加工物19に一次X線を照射するように誘導する1以上の転換要素とがあるが、詳細には図示しない。さらに、測定装置11は筐体16内に検出器を備える。検出器によって、加工物19によって限定される二次放射線が検出される。検出器は制御装置17に接続され、検出される測定信号を評価し、有利には測定信号をディスプレイに表示する。
【0032】
本発明による真空チャック18は、図に詳細に説明するように、加工物19、特にウエハを受容し、固定するように機能する。本真空チャック18は、たとえば蛍光X線照射によって検査するために、加工物19、特にウエハを測定装置11の測定台12上に取り付け、または固定可能である。加工物19は真空チャック18上に、たとえば取扱装置89によって配置することができる。
【0033】
図2において、真空チャック18の上面概略図を示す。真空チャック18は固定プレート21を備える。固定プレート21は支持面27を有し、複数の吸引溝22、23、24、25、26を備える。これらの吸引溝22から26は、固定プレート21の支持面27に刻まれる円形のくぼみによって、形成される。好ましくは、吸引溝22から26は互いに同心円状に配置される。吸引溝22から26の数は、固定プレート21および/または受容する加工物19の大きさに応じて、測定対象に対して調整可能である。
【0034】
さらに、真空チャック18は、リフトピン29、たとえば3つのリフトピン29を備える。これらのリフトピン29は好ましくは第1の吸引溝22と第2の吸引溝23との間に配置される。具体的には、リフトピン29は均一に配分されるように周辺部に配置される。リフトピン29は好ましくは貴金属からなる。
【0035】
本真空チャック18はさらに停止ピン31を有していてもよい。少なくとも2つの停止ピン31を、加工物19の位置決めと位置合わせを実施するために、吸引溝22から26それぞれに割り当てて配置してもよい。停止ピン31は互いに相殺するように配置され、たとえば、特に90度の角度で互いに相殺するように配置される。2つの小型加工物19を受容するためには、3つの停止ピン31が、たとえばそれぞれ第1の吸引溝22および第2の吸引溝22に割り当てられ、2つの停止ピン31は共通の直線上に位置する。これによって、加工物19の停止面上にさらに位置合わせが得られる。
【0036】
本真空チャック18は、固定プレート21を受容する基体33を備える。固定面21は、たとえば接着、ねじ止めまたはリベット止めによって基体に固定するように提供されてもよい。代替的には、固定プレート21を交換可能に基体33上に設けてもよい。そのためには、取り外し可能な固定要素を好ましくは設ける。固定プレート21は様々な素材からなっていてもよく、測定対象にしたがって選択されてもよい。
【0037】
アクチュエータ34は真空チャック18の正面に提供される。アクチュエータは図には詳述しない多位置弁を制御し、固定される加工物19の大きさにしたがって、対応して個々の停止ピン31を起動する。これは以下に詳細に説明する。複数の接続43がカバー32の下に提供される。この接続については
図7および8を用いて以下で説明する。
【0038】
図3において、
図2の線II-IIに沿った概略断面図を示す。真空チャック18の構造は基本的にここから始まる。固定プレート21は基体33の上側にある。アンダープレート36は基体33の底面に固定される。作業チャネル37、38、39、40、41(
図6)は吸引溝22から26を制御し、固定プレート21と基体33との間に配置される。これらの作業チャネル37から41を、
図4では拡大断面図で一例として示す。
図6では固定プレート21を取り外した事例として基体33を上面斜視図で示す。作業チャネル37から41は好ましくは、基体33の表面に導入される。代替的には、作業チャネル37から41はまた、固定プレート21の底面に導入されてもよい。吸引溝22から26は固定プレート21の上側に提供される。これらはたとえば長方形に形成され、基体33の方向に支持面27からわずかに延伸する。少なくとも1つの吸引口35はそれぞれ少なくとも、作業チャネル37から41の各チャネルと、作業チャネル37から41に割り当てられる吸引溝22から26の各溝との間に配置され、吸引溝22から26を作業チャネル37から41に接続する。
図3によるこの詳細Bを拡大して
図4に示す。
【0039】
図3の詳細Cを
図5に拡大して概略的に示す。
図3では停止ピン31を格納位置で示すが、
図5では延伸位置に拡大して示す。停止ピン31は基体33の受容部53に受容される。停止ピン31はピストン54に挿入される。ピストン54はシフト可能に受容部53に誘導される。伸縮ばね55は停止ピン31とピストン54との間に配置される。これによって、停止ピン31の圧力面56に正圧が印加されないとき、停止ピン31は確実に格納位置に移動する。このように、停止ピン31の正面57は固定プレート21の支持面27内またはその下にある。受容部53に正圧が印加され、停止ピン31の延伸運動を生成し、維持する。この正圧は圧力面56に作用する。基体33および固定プレート21の開口を通じた吹き出しは、ガスケット58と、開口を通じて延伸する停止ピン31によって防止される。正圧の供給チャネル48は、隣接する供給チャネル49、50、51(
図7)に対して密封マット61によって密封される。密封マットは基体33に、仲介プレート62によって締め付けによって固定される。停止ピン31は好ましくは貴金属から製造される。
【0040】
固定プレート21を取り外した基体33の斜視図を
図6に示す。本図から、個々の作業チャネル37、38、39、40、41のコースが、吸引溝22から26の下部に延伸することがわかる。作業チャネル37から41を底面プレート33に導入することによって、吸引溝22から26に負圧を印加するために平面の構造を生成してもよい。
【0041】
図7において、1つの接続穴42、42.1、42.2、42.3、42.4および42.5が各作業チャネル37から41に割り当てられていることがわかる。この接続穴はそれぞれ接続部品43につながり、負圧線はそれぞれ接続部品43に接続される。代替的には、接続穴42.4および42.5は接続部品43に通じていてもよい。各接続部品43は、個別に制御弁91、92、93、94に接続され、個別にこの制御弁91から94によって制御される。制御部96は、これらの制御弁91から94を制御するために提供される。各制御弁91から94は個別に制御部96によって制御される。この制御部96は制御装置17に接続されてもよい。作業チャネル37から41は負圧装置97によって負圧が印加される。
【0042】
さらに、接続部品43は基体33上に提供される。基体33は制御弁95によって制御される。この制御弁95はリフトピン29への負圧の印加を規制する。これは
図13に詳細に記載する。この制御弁95はまた、制御部によっても切り替え可能である。
【0043】
さらに、基体33の上側に、4つの給気チャネル44から47が提供される。4つの給気チャネル44から47を貫通して、それぞれ、給気チャネル44から47に接続する供給チャネル48から51に、正圧が誘導されてもよい。これらの供給チャネル48から51は、動作要素34によって選択される多切替弁によって制御されてもよい。これらの供給チャネル48から51には正圧装置によって正圧が印加される。これは個別の正圧装置によって実行されてもよく、または対応して負圧装置97を制御することによっても、実行されてもよい。
【0044】
少なくとも2つの停止ピン31は各供給チャネル48から51に割り当てられる。たとえば、給気チャネル44は供給チャネル48内で終端し、供給チャネル48内では合計3つの停止ピン31が、たとえば、制御されてもよい。停止ピン31は第1の吸引溝22と第2の吸引溝23との間、または対応する作業チャネル37と38との間に配置される。たとえば、4インチの直径を持つ加工物19、特にウエハが配置され、固定される場合、この給気チャネル44には圧縮空気が提供される。給気チャネル45は6インチのウエハ、給気チャネル46は8インチのウエハおよび給気チャネル47は12インチのウエハ用に提供される。
【0045】
給気チャネル44から47および供給線48から51のコースも、
図8による基体33を下から見た図から明らかである。
【0046】
給気チャネル44から47の領域では、基体33の作業チャネル39から41が実際に妨害される。ただし、各事例において、これらの領域を真空にすることは、対応する吸引溝22から26に円形の真空を得るために十分であり、それによって、固定プレート21の支持面27上に加工物19の平らな支持部が提供される。
【0047】
基体33の受容空間64は
図7および
図8から分かる。受容空間64内に、移動可能な摺動キャリッジ65が特に
図8に示すように配置される。この摺動キャリッジ65は3つのリフトピン29を受容する。摺動キャリッジ65の移動運動はシリンダ66、特に空気圧シリンダによって制御され、この摺動キャリッジ65の移動運動によってリフトピン29は格納位置から延伸位置に移動される。接続68はシリンダ66の接続69に接続され、シリンダ66を制御する。接続71および72は互いに接続され、対向する移動運動を制御する。これらの接続68、71は各事例において、制御部によって制御弁98、99を用いて制御され、または所望する移動運動に対応する共通の制御弁によって制御される。シリンダ66には圧力装置100によって正圧が印加される。
【0048】
シリンダ66の供給空気および排気は制御弁98、99によって規制される。シリンダ66は調整可能な端部位置の減衰を有していてもよい。このように、穏やかにリフトピン29を上下させて、加工物19を固定プレート21の支持面27に配置すること、およびそこから持ちあげることが調整可能および実施可能になる。接続68、69によって、供給空気をシリンダ66に供給するために、制御弁98、99は真空チャック18内で接続する。接続68、69は、少なくとも排気を制限するために一方向レストリクタを備える。
【0049】
センサ要素67は互いに対向して配置され、リフトピン29のそれぞれの格納位置または延伸位置を検出する。センサ要素67は受容空間64内の摺動キャリッジ65の位置を検出し、信号を制御部96および/または制御装置17に伝達する。リフトピン29の位置もリフトピン29の強制誘導によって、摺動キャリッジ65の位置から検出される。
【0050】
リフトピン29を備える摺動キャリッジ65の斜視図を
図9に示す。
図10はリフトピン29の第1の断面図を示す。
図11は、
図9の線XI-XIに沿った別の断面図を示す。
【0051】
摺動キャリッジ65は好ましくは、ほぼHの形態であり、長手方向のくぼみ74が脚部に提供される。リフトピン29はこのくぼみ内で移動可能である。リフトピン29は少なくとも1つの制御要素75、特にカム、摩擦軸受または減摩軸受に接続される。制御要素75は傾斜した制御面76に沿って移動可能である。XY面内または矢印77にしたがう摺動キャリッジ65の移動運動によって、リフトピン29の延伸および格納運動が起こされる。リフトピン29はXY面に垂直に整列される。このように、リフトピン29は誘導スリーブ78に沿って垂直に移動可能なように誘導され、それによって、リフトピン29は格納位置から延伸位置まで
図10および
図11に示すように移動可能となる。3つのリフトピン29のすべてが、摺動キャリッジ65の移動運動によって同時に上下に移動可能である。
【0052】
リフトピン29の上端で、リフトピン29は、好ましくはプラスチックから形成され、吸引カップと類似する受容要素81を有する。穴82は受容要素81内に形成される。この穴は誘導スリーブ78と位置合わせされ、それによって、誘導スリーブ78によって生じる負圧も受容要素81に当接する。支持する加工物19を備え、受容要素81は支持要素81に固定される。誘導スリーブ78およびリフトピン29は互いに共通の吸引チャネル84によって接続する。このような吸引チャネル84を
図12に、アンダープレート36の下方から見た図として例示する。図示する分岐は、それぞれの誘導スリーブ78は吸引チャネル84のそれぞれの端部に接続することを示す。負圧は吸引チャネル84内で負圧装置97によって、たとえば、接続穴85および分岐チャネル86によって生成される。真空の適用および解除は、制御部96および制御弁95によって規制される。作業チャネル84は好ましくはアンダープレート36に導入され、その次に個別のカバープレート87によって密封される。
【0053】
図1、14および15を考慮して、加工物19の自動装着および検査を以下に記載する。
【0054】
加工物19は、
図1による取扱装置89によって、詳細に図示しないマガジンまたは給気装置によって保持され、測定装置11に供給される。摺動キャリッジ65は真空チャック18内をシリンダ66によって移動させられ、それによってリフトピン29は
図14に示す格納位置から延伸位置まで移動する。この延伸位置はたとえば、
図10にも示す。その後、加工物19を、リフトピン29の受容要素81上の好ましくは正確な位置に、取扱装置89によって配置する。その後、負圧をリフトピン29に印加し、それによって、加工物19はリフトピン29に真空によって固定される。その後、取扱装置89は測定装置11の外側に誘導される。
【0055】
その後、摺動キャリッジ65を、リフトピン29が下げられて格納されるような位置までさらに移動するために、シリンダ66は再び制御される。この移動は制御弁98、99のうち少なくとも1つによって行われ、センサ要素67によって監視される。加工物19は固定プレート21の支持面27の上に優しく配置される。低下前、低下中、また低下後にも適切である場合は、それぞれ提供された吸引溝22から26は加工物19の大きさに応じて真空にされる。それによって、加工物19は固定プレート21に固定される。
図15の加工物19は、たとえば8インチウエハである。この時点で、加工物19が固定プレート21に固定されると、リフトピン29の負圧は制御部96によって解除されてもよい。これはまた、一定して継続してもよい。その後、加工物19の検査および/または測定が蛍光X線照射によって行われる。検査および/または測定終了後、対応する吸引溝22から26の真空は解除される。リフトピン29の真空がすでに解除されている場合は、吸引溝22から26の真空が解除される前に、リフトピン29は再び真空にされる。その後摺動キャリッジ65の移動運動が行われ、それによって加工物19は再び支持面27に対して上昇される。その後、取扱装置89は再び測定装置11内に格納される。具体的には、取扱装置89は加工物19の下に到達する。リフトピン29の真空を切った後に、加工物19は測定装置11から外に誘導されて、積み重ねられ、または次の処理のために供給される。
【0056】
少なくとも吸引溝24には真空が提供される。好ましくは、小型の吸引溝23および/または22もまた真空が印加される。吸引溝25および26は加工物19で覆われていないため、真空が印加されない。
【0057】
加工物を手動で、つまり手動操作によって位置決めして配置することを、
図16および17に記載する。
図17の加工物19、たとえば4インチのウエハを検査するためには、動作要素34を最初に4インチに調整する。次に給気チャネル44および供給チャネル48に圧縮空気を多切替弁から提供し、それによって吸引溝22に割り当てられる停止ピン31.1、31.2、31.3を延伸させる。その後、加工物19を、平らな部分20を備える2つの隣接して割り当てられた停止ピン31.1および31.2上に配置し、第3の停止ピン31.3と位置合わせしてもよい。停止ピン31が延伸するのと同時に、真空を吸引溝22に生成してもよい。ただし、加工物19を配置し、停止ピン31.1、31.2、31.3と位置合わせしてから、吸引溝22を真空にしてもよい。加工物19を除去するためには、対応する吸引溝22から26の真空を最初に解除する。本代表的な実施形態では、吸引溝22の真空を解除する。次に、加工物19を手動で除去してもよい。代替的には、リフトピン29を制御して、加工物19を支持面27に対して上昇させ、容易に除去できるようにする可能性もある。
【符号の説明】
【0058】
11 :測定装置
12 :測定台
14 :線軸システム
16 :筐体
17 :制御装置
18 :真空チャック
19 :加工物
21 :固定面
22 :吸引溝
24 :吸引溝
25 :吸引溝
26 :吸引溝
27 :支持面
29 :リフトピン
31 :停止ピン
32 :カバー
33 :基体
34 :アクチュエータ
35 :吸引口
36 :アンダープレート
37 :作業チャネル
38 :作業チャネル
39 :作業チャネル
40 :作業チャネル
41 :作業チャネル
42 :接続
44 :給気チャネル
45 :給気チャネル
46 :給気チャネル
47 :給気チャネル
48 :供給チャネル
49 :供給チャネル
50 :供給チャネル
51 :供給チャネル
53 :受容部
54 :ピストン
55 :伸縮ばね
56 :圧力面
57 :正面
58 :ガスケット
61 :密封マット
62 :仲介プレート
64 :受容空間
65 :摺動キャリッジ
66 :シリンダ
67 :センサ要素
68 :接続
69 :接続
71 :接続
75 :制御要素
76 :制御面
77 :矢印
78 :誘導スリーブ
81 :支持要素
82 :穴
84 :作業チャネル
85 :接続穴
86 :分岐チャネル
87 :カバープレート
89 :取扱装置
91 :制御弁
92 :制御弁
93 :制御弁
94 :制御弁
95 :制御弁
96 :制御部
97 :負圧装置
98 :制御弁
99 :制御弁
100 :圧力装置
B :詳細
C :詳細
D :詳細