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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】装飾装置
(51)【国際特許分類】
   A44C 25/00 20060101AFI20220404BHJP
   A41G 3/00 20060101ALI20220404BHJP
   A41G 5/02 20060101ALI20220404BHJP
   H01Q 1/22 20060101ALI20220404BHJP
   H02J 50/27 20160101ALI20220404BHJP
   A45D 8/00 20060101ALI20220404BHJP
   H01Q 9/16 20060101ALN20220404BHJP
【FI】
A44C25/00 Z
A41G3/00 A
A41G5/02
H01Q1/22 Z
H02J50/27
A45D8/00 A
H01Q9/16
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2017160220
(22)【出願日】2017-08-23
(65)【公開番号】P2019037355
(43)【公開日】2019-03-14
【審査請求日】2020-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(73)【特許権者】
【識別番号】593006630
【氏名又は名称】学校法人立命館
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100096943
【氏名又は名称】臼井 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(72)【発明者】
【氏名】道関 隆国
(72)【発明者】
【氏名】田中 亜実
(72)【発明者】
【氏名】西川 久
(72)【発明者】
【氏名】西橋 毅
(72)【発明者】
【氏名】羽生 直人
(72)【発明者】
【氏名】宋 先和
(72)【発明者】
【氏名】李 奈美
【審査官】程塚 悠
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3049211(JP,U)
【文献】特開平10-284914(JP,A)
【文献】実開平03-090150(JP,U)
【文献】特開平11-069667(JP,A)
【文献】特開2016-048980(JP,A)
【文献】特開2001-226812(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0057512(KR,A)
【文献】特開2011-027697(JP,A)
【文献】特表2017-535393(JP,A)
【文献】国際公開第2006/092598(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 25/00
A41G 3/00
A41G 5/00-5/02
H01Q 1/22
H02J 50/27
H01Q 9/16
A45D 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体に装着される装飾装置であって、
長手状をなす支持体に沿って設けられたアンテナと、
前記アンテナから受信電流を取り出す受信部と、
前記受信部によって駆動される発光部と、
前記支持体に沿って配置された人工まつげと、
を備え、
前記支持体は、光ファイバであり、前記身体に装着されることを特徴とする装飾装置。
【請求項2】
身体に装着される装飾装置であって、
長手状をなす支持体に沿って設けられたアンテナと、
前記アンテナから受信電流を取り出す受信部と、
前記受信部によって駆動される発光部と、
を備え、
前記支持体は、毛髪または疑似毛髪であり、前記身体に装着されることを特徴とする装飾装置。
【請求項3】
身体に装着される装飾装置であって、
長手状をなす支持体に沿って設けられたアンテナと、
前記アンテナから受信電流を取り出す受信部と、
前記受信部によって駆動される発光部と、
を備え、
前記支持体は、眼鏡のつるであり、前記身体に装着されることを特徴とする装飾装置。
【請求項4】
前記アンテナの少なくとも一部は、前記支持体に巻回されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装飾装置。
【請求項5】
前記発光部は、前記受信部に積層されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装飾装置。
【請求項6】
前記受信部は、前記受信電流を整流する整流回路と、前記整流回路と前記アンテナとの間のインピーダンス整合を行う整合回路とを備えることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の装飾装置。
【請求項7】
前記整流回路は、ダイオードと平滑回路とを含み、
前記整合回路は、コンデンサを含み、
前記ダイオードのアノードは、前記アンテナの第1の給電点に接続され、前記ダイオードのカソードは、前記コンデンサを介して前記アンテナの第2の給電点に接続されるとともに、前記平滑回路を介して前記発光部に接続されることを特徴とする請求項に記載の装飾装置。
【請求項8】
前記第1の給電点および前記第2の給電点は、前記アンテナの中央部分に設けられ、
前記アンテナにおける前記第1の給電点および前記第2の給電点の間の長さに応じたインダクタンス成分と、前記コンデンサとによってインピーダンス整合が行われることを特徴とする請求項に記載の装飾装置。
【請求項9】
前記アンテナは、ISM(Industry Science Medical)周波数帯の電磁波を受信可能であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の装飾装置。
【請求項10】
前記アンテナは、2.4GHz帯の電磁波を受信可能であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の装飾装置。
【請求項11】
前記発光部の発光面は、前記光ファイバの長手方向における中央部分に接合されていることを特徴とする請求項に記載の装飾装置。
【請求項12】
前記光ファイバ内の光を外部に拡散させる傷が前記光ファイバの表面に形成されていることを特徴とする請求項または11に記載の装飾装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光可能な装飾装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光を用いてメーキャップを行う技術が知られている。特許文献1には、電池が内蔵された耳掛け式のケース本体を備えた電飾アクセサリーが記載されている。この電飾アクセサリーは、ケース本体から引き出された電線を用いて、ネックレス、ヘアバンドなどに設けられたLED(Light Emitting Diode)に電力を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-209585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の電飾アクセサリーを身に着ける際には、電池が内蔵されたケース本体を耳に掛ける必要があり、またケース本体とLEDとを繋ぐ電線があるために、美観を損ねてしまう場合がある。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたもので、美観を備えた発光可能な装飾装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る装飾装置は、身体に装着される装飾装置であって、長手状をなす支持体に沿って設けられたアンテナと、前記アンテナから受信電流を取り出す受信部と、前記受信部によって駆動される発光部と、前記支持体に沿って配置された人工まつげとを備え、前記支持体は、光ファイバであり、前記身体に装着されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、美観を備えた発光可能な装飾装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る装飾システムの構成を示すブロック図である。
図2】第1実施形態に係る装飾装置の外観を示す模式図である。
図3】第1実施形態に係る光ファイバに形成される傷の一例である。
図4】第1実施形態に係る受信部の回路図である。
図5】第1実施形態に係る装飾装置の断面模式図である。
図6】第2実施形態に係る装飾装置の外観を示す模式図である。
図7】第3実施形態に係る装飾装置の外観を示す模式図である。
図8】変形実施形態に係る装飾装置の外観を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る装飾システムの構成を示すブロック図である。装飾システムは、装飾装置10と送電装置20とを含む。送電装置20は、装飾装置10に対して無線による電力供給を行うことが可能である。装飾装置10は、身体に装着可能な小型の装飾装置であって、アンテナ11、受信部12、発光部13を備える。
【0010】
アンテナ11は、送電装置20から放射される電磁波を受信する。受信部12は、電磁波により誘起される受信電流をアンテナ11から取り出す。発光部13は、受信部12から供給される受信電流により駆動され、光を発生させる。なお、装飾装置10の数は限定されず、送電装置20は、複数の装飾装置10に対して同時に電力供給を行うことが可能である。
【0011】
送電装置20は、高周波電源21、アンテナ22を備える。送電装置20は、例えば卓上、部屋の一角、建物の壁、天井などに設置され得る。送電装置20の設置場所は、室内、屋外を問わない。高周波電源21は、例えばマグネトロン、半導体発振器であって、電力を伝送するための電磁波を発生させる。
【0012】
アンテナ22は、例えばヘリカルアンテナ、ダイポールアンテナであって、高周波電源21で発生した電磁波を空間に放射する。本実施形態では、電磁波として2.45GHzのマイクロ波を用い、マイクロ波の送信電力を1Wとする。なお、上述した送電装置20の構成はあくまで一例であって、電磁波による無線給電が可能であれば適宜変更されてもよい。
【0013】
図2は、本実施形態に係る装飾装置の外観を示す模式図である。装飾装置10は、アンテナ11、受信部12、発光部13、光ファイバ14、つけまつげ15を備える。アンテナ11は、長さが約3cmの2本の導線から形成され、各導線は受信部12に対して対称に接続される。アンテナ11は、長さが約6cmの1本の導線から形成されていてもよい。アンテナ11の長さは、送電装置20から受信されるマイクロ波の半波長(または1/4波長)に対応している。アンテナ11の直径は0.3mm程度であり得る。なお、アンテナ11は、2.4GHz帯に限定されず、ISM(Industry Science Medical)周波数帯の電磁波を受信可能である。
【0014】
アンテナ11は、光ファイバ14に沿うように設けられる。図2に示すように、アンテナ11の中央部は、光ファイバ14と平行して直線型であり、アンテナ11の両端部は、光ファイバ14に巻回されてコイル型になっている。アンテナ11の両端部をコイル型にすることにより、アンテナ11の全長を3cm程度に短縮することができる。
【0015】
アンテナ11のうち受信部12に近い部分(アンテナ11の中央部)には、アンテナ11のうち受信部12から遠い部分(アンテナ11の両端部)と比較して大きい電流が流れる。そこで、本実施形態では、形状による影響が大きい中央部を直線型とし、形状による影響が小さい両端部をコイル型とすることで、アンテナの短縮化による性能悪化を抑制している。
【0016】
アンテナ11の材料としては、例えば真鍮を用いることができる。アンテナ11には、身体との接触を防止するための被膜が形成されていてもよい。また、アンテナ11は、つけまつげ15と馴染むように、または目立たないように着色が施されていてもよい。
【0017】
受信部12は整流回路を含み、アンテナ11により受信された高周波の受信電流を直流電流に変換する。受信部12はアンテナ11と共に、いわゆるレクテナ(rectenna: rectifying antenna)として機能する。受信部12は、直流電流を負荷である発光部13に供給する。受信部12は、例えば2~3mm角のパッケージ内に収容され得る。
【0018】
発光部13は、例えばLED、OLED(Organic Light Emitting Diode)などの発光素子を含む。発光部13は、受信部12と一体に形成され、受信部12からの直流電流により発光する。発光部13の発光面は、光ファイバ14の長手方向の中央部分において、光ファイバ14の側面に接合されている。発光部13から発せられた光は、光ファイバ14内に入力される。
【0019】
光ファイバ14は、例えば長さ約3cm、直径約1mmの長手状の光学繊維であって、発光部13からの光を導光および拡散させるために用いられる。光ファイバ14の形状は、まぶたの形状に合わせて湾曲している。光ファイバ14は、硬質プラスチックなどの変形し難い材料から形成され、アンテナ11の支持体として機能する。アンテナ11を光ファイバ14に巻回させることにより、アンテナ11を固定するとともにアンテナ11の変形を防止することができる。
【0020】
発光部13から入力した光は、光ファイバ14内を伝搬し、光ファイバ14の両端面から拡散する。さらに、光ファイバ14の表面(外周面)には、光を拡散させるための傷14aが形成されており、光ファイバ14の表面からも光が拡散する。傷14aの深さは、光ファイバ14のコアにまで達し得る。傷14aから光が拡散することにより、光ファイバ14全体が発光しているように見えるため、高い装飾効果を得ることができる。
【0021】
例えば図3に示すように、傷14aは、アンテナ11と重ならないように螺旋状に形成される。言うまでもなく、傷14aの形状は図3の例に限定されない。傷14aは、光ファイバ14に沿って点状に形成されてもよい。また、光ファイバ14の端面からの光の拡散を防止してもよい。すなわち、光ファイバ14による光の拡散形態は任意である。
【0022】
傷14aは、例えば治具を用いて、またはサンドブラスト加工、溶剤処理などにより形成することが可能である。また、傷14aを形成する代わりに、コアに散乱物質を混入させることで表面から光が拡散するように構成された装飾用の光ファイバを用いてもよい。
【0023】
つけまつげ15は、ナイロンなどから形成される人工のまつげである。つけまつげ15は、線状の基部15aを有し、基部15aに複数のまつげの根元が連結されている。つけまつげ15の幅(基部15aの長さ)は例えば3cmであって、アンテナ11および光ファイバ14の長さと同程度である。つけまつげ15の幅は限定されず、ユーザが切断することにより適宜調整されてもよい。
【0024】
基部15aの中央部分は、受信部12に固定されている。装飾装置10を身体に装着する際には、つけまつげ用の接着剤などを用いて、基部15aをまぶたの縁に貼付する。なお、つけまつげ15は交換可能であり、様々な形状、色、材質のものを含み得る。
【0025】
図4は、本実施形態に係る受信部の回路図である。受信部12は、整流回路12aと整合回路12bとを含む。整流回路12aは、整合回路12bを介して、アンテナ11の中央部分に設けられた給電点に接続される。整流回路12aは、ダイオード121、コンデンサ122、共振回路123を含む。ダイオード121は、高周波用の整流ダイオードであって、例えばSBD(Schottky Barrier Diode)が用いられる。コンデンサ122と共振回路123は平滑回路として機能する。
【0026】
コンデンサ122は、平滑用のコンデンサであって、例えば積層セラミックコンデンサが用いられる。コンデンサ122の容量は例えば0.1μFである。ダイオード121とコンデンサ122は、発光部13のLED131と並列に接続される。ダイオード121のアノードは、アンテナ11の給電点11aに接続され、ダイオード121のカソードは、整合回路12bを介してアンテナ11の給電点11bに接続される。
【0027】
共振回路123は、ダイオード121のカソードとコンデンサ122との間に接続される。共振回路123は、コイルとコンデンサが並列に接続された並列LC回路であって、BEF(Band Elimination Filter)として機能する。共振回路123は、コンデンサ122により平滑される電流波形のリップルを低減することが可能である。
【0028】
整合回路12bは、コンデンサ124を含み、アンテナ11と整流回路12aとの間のインピーダンス整合を行う。コンデンサ124の一端は、ダイオード121のカソードと共振回路123との間に接続され、コンデンサ124の他端は、アンテナ11の給電点11bに接続される。アンテナ11における給電点11aと給電点11bとの間の長さLに応じたインダクタンス成分と、コンデンサ124とによってインピーダンス整合が行われる。すなわち、アンテナ11と整合回路12bの交点である給電点11bの位置を調整することにより高精度なインピーダンス整合が可能である。
【0029】
図5は、本実施形態に係る装飾装置の断面模式図である。光ファイバ14の構造は透視図により示され、受信部12の構造は断面図により示されている。図5では説明の便宜上、光ファイバ14が受信部12から分離して示されているが、実際には、光ファイバ14は受信部12と連結されている。また、つけまつげ15の図示は省略されている。
【0030】
光ファイバ14は、中心部のコア14bと、コア14bの周囲を覆うクラッド14cの二層構造を有する。光ファイバ14の長手方向の中央部には凹状の接合部14dが形成され、接合部14dに発光部13(LED131)が差し込まれる。接合部14dの深さはクラッド14cの厚さ以上であり、発光部13の発光面13aは、コア14bと接合される。このような接合は、例えば光ファイバ14の側面を加熱融解し、発光部13を光ファイバ14の側面に押し当てることで行うことができる。
【0031】
コア14bの屈折率は、クラッド14cの屈折率よりも高い。発光面13aからコア14bに入力された光は、コア14bとクラッド14cとの境界面で全反射し、光ファイバ14の長手方向にコア14b内を伝搬する。上述のように光ファイバ14の表面(クラッド14c)には、傷14aが形成されており、伝搬する光は光ファイバ14の側面から拡散するとともに、光ファイバ14の両端部から外部に拡散する。
【0032】
発光部13は、受信部12に積層されている。図5の断面図に示されるように、ダイオード(SBD)121の上にコンデンサ(平滑C)122が積層され、コンデンサ122の上にLED131が積層されている。このような積層化により、発光部13を含めた受信部12全体の大きさを削減することが可能である。共振回路(BEF)123は、ダイオード121とコンデンサ122の側方に配置され、整合回路12bのコンデンサ(C)124は、光ファイバ14の長手方向に共振回路123と並置される。共振回路123とコンデンサ124の配置は特に限定されるものではない。
【0033】
以上述べたように、本実施形態によれば、装飾装置10は、光ファイバ14に沿って設けられたアンテナ11と、アンテナ11から受信電流を取り出す受信部12と、受信部12によって駆動される発光部13とを備える。これにより、発光部13を駆動させるための電池、および電池と発光部13とを接続する配線が不要となるために高い美観を確保することができる。
【0034】
さらに、アンテナ11が長手状の光ファイバ14に沿って設けられているため、アンテナ11が目立ち難く、アンテナ11の存在による違和感を低減することができる。装飾装置10は、光るつけまつげとして身体に装着されるため、アンテナ11および光ファイバ14がアイラインと一体化し、美観が損なわれることがない。
【0035】
なお、送電装置20の送信電力は、人体に無害である範囲内で設定される必要がある。送信電力を適切に設定するための指針として、電気通信技術審議会による「電波利用における人体の防護指針」がある。この防護指針は、電波の人体への刺激作用と熱作用を考慮した安全性評価の基準であり、人体に安全とされる電界強度の指針値を定めている。
【0036】
例えば、2.45GHzのマイクロ波に人体が曝された場合に、無害とされる電界強度の指針値は61.4V/mである。送電装置20の送信電力を1Wとし、アンテナ22として指向性を絞ったヘリカルアンテナを用いるものとすると、装飾装置10の装着者が送電装置20から30cm以上離れているときに、電界強度は指針値以下となる。本発明においては、このような防護指針を踏まえて送電装置20の送電電力を設定するとよい。
【0037】
[第2実施形態]
続いて、本発明の第2実施形態に係る装飾システムを説明する。本実施形態に係る装飾システムの全体構成は、図1と同様であるため説明を省略する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0038】
図6は、本実施形態に係る装飾装置の外観を示す模式図である。図6(a)は、装飾装置10の装着例を示す図であり、図6(b)は、装飾装置10の外観を示す拡大図である。図6(a)に示すように、本実施形態の装飾装置10は毛髪60に装着可能である。装飾装置10の数は限定されない。
【0039】
装飾装置10は、アンテナ11、受信部12、発光部13を備える。本実施形態では、アンテナ11は、毛髪60に沿うように設けられる。図6(b)に示すように、アンテナ11の中央部は、毛髪60と平行して直線型であり、アンテナ11の両端部は、毛髪60に巻回されてコイル型になっている。アンテナ11は、毛髪60と馴染むように、または目立たないように着色されていてもよい。
【0040】
発光部13で発生した光は、第1実施形態とは異なり、直接外部に拡散する。発光部13は、複数のLED131を含んでいてもよい。また、装飾装置10は光ファイバを備えていてもよく、例えば、直径0.2mm程度の光ファイバからなる光ファイバ束の一端面を発光面13aに結合し、該光ファイバ束の側面および他端面から光が拡散するように構成されてもよい。
【0041】
毛髪60は、複数本の髪の毛を束状にしたものであって、アンテナ11の支持体として機能する。巻回したアンテナ11に毛髪60を通すことにより、装飾装置10を装着することができる。毛髪60は、いわゆるかつら、エクステンションのような疑似毛髪であってもよい。装飾装置10を疑似毛髪に取り付けることで、装飾装置10の脱着が容易になる。
【0042】
このように、本実施形態のアンテナ11は長手状の毛髪60に沿って設けられ、アンテナ11と毛髪60とが一体化されるため、第1実施形態と同様に高い美観を維持することができる。
【0043】
[第3実施形態]
続いて、本発明の第3実施形態に係る装飾システムを説明する。本実施形態に係る装飾システムの全体構成は、図1と同様であるため説明を省略する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0044】
図7は、本実施形態に係る装飾装置の外観を示す模式図である。図7(a)は、装飾装置10の装着例を示す図であり、図7(b)は、装飾装置10の外観を示す拡大図である。図7(a)に示すように、本実施形態の装飾装置10は眼鏡のつる70に装着可能である。装飾装置10の数は限定されない。
【0045】
装飾装置10は、アンテナ11、受信部12、発光部13を備える。本実施形態では、アンテナ11は、眼鏡のつる70に沿うように設けられる。図7(b)に示すように、アンテナ11の中央部は、つる70と平行して直線型であり、アンテナ11の両端部は、つる70に巻回されてコイル型になっている。アンテナ11は、つる70と馴染むように、または目立たないように着色されていてもよい。
【0046】
つる70は、長手状の眼鏡の部材であって、プラスチックなどの非金属材料から形成される。つる70は、アンテナ11の支持体として機能する。アンテナ11をつる70に巻回させることにより、アンテナ11を固定して変形を防止することができる。なお、発光部13の構成は、第2実施形態と同様である。
【0047】
このように、本実施形態のアンテナ11は長手状の眼鏡のつる70に沿って設けられ、アンテナ11とつる70とが一体化されるため、上述の実施形態と同様に高い美観を維持することができる。
【0048】
[変形実施形態]
本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施可能である。例えば、アンテナ11全体の形状は直線状に限定されず、鋭角または鈍角に屈曲していてもよい。また、アンテナ11の両端部の形状はコイル型に限定されず、メアンダ型などであってもよい。
【0049】
さらに、本発明は、つけまつげの他、イヤリング、ピアス、ネックレス、付け爪、カラーコンタクトレンズなどの小型の装身具に対しても適用可能である。
【0050】
図8(a)は、光る付け爪としての装飾装置10の一例である。装飾装置10は、アンテナ11、受信部12、発光部13、光ファイバ14、付け爪80を備える。第1実施形態の装飾装置10との主な相違点は、つけまつげ15を付け爪80に変更した点である。光ファイバ14の形状は、付け爪80の輪郭に沿ってU字型をなしている。装飾装置10は付け爪80に固定されており、付け爪80は指先などに装着される。
【0051】
図8(b)は、光るピアスとしての装飾装置10の一例である。装飾装置10は、アンテナ11、受信部12、発光部13、光ファイバ14、ピアス棒81を備える。第1実施形態の装飾装置10との主な相違点は、つけまつげ15をピアス棒81に変更した点である。光ファイバ14の形状は例えばU字型をなしている。装飾装置10は、ピアス棒81により耳などに装着される。
【0052】
図8(c)は、光るポイントメークデバイスとしての装飾装置10の一例である。装飾装置10は、アンテナ11、受信部12、発光部13、光ファイバ14を備える。第1実施形態の装飾装置10との主な相違点は、つけまつげ15が備えられていない点である。装飾装置10は、例えば頬、目尻、口元などの顔の任意の場所に貼り付けて使用することが可能である。
【0053】
なお、上述の実施形態では、受信部12の負荷として発光部13を備えた装飾装置10について説明したが、受信部12の負荷は発光可能なものに限定されない。受信部12の負荷は、液晶モジュールであってもよく、また、音、振動、熱、香りなどを発生可能なモジュールであってもよい。
【符号の説明】
【0054】
10 装飾装置
11 アンテナ
11a、11b 給電点
12 受信部
12a 整流回路
12b 整合回路
13 発光部
13a 発光面
14 光ファイバ
14a 傷
14b コア
14c クラッド
14d 接合部
15 つけまつげ
15a 基部
121 ダイオード
122 コンデンサ
123 共振回路
124 コンデンサ
131 LED
20 送電装置
21 高周波電源
22 アンテナ
60 毛髪
70 眼鏡のつる
80 付け爪
81 ピアス棒
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8