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特許7051352ゲームサーバ、クレーンゲーム装置及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】ゲームサーバ、クレーンゲーム装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63F 9/30 20060101AFI20220404BHJP
   A63F 13/35 20140101ALI20220404BHJP
   A63F 13/52 20140101ALI20220404BHJP
   A63F 13/65 20140101ALI20220404BHJP
【FI】
A63F9/30 502C
A63F13/35
A63F13/52
A63F13/65
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2017188940
(22)【出願日】2017-09-28
(65)【公開番号】P2019063003
(43)【公開日】2019-04-25
【審査請求日】2020-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】310009993
【氏名又は名称】株式会社タイトー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】菅野 大輔
【審査官】大隈 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-253362(JP,A)
【文献】特許第6119943(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/00~13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーム装置を撮影した第1映像を入力する映像入力手段と、
前記ゲーム装置の筐体内を移動する物体の位置を示す位置データを入力する位置データ入力手段と、
前記物体の移動に伴って変化する前記位置データに応じて予め用意された付加画像を変更し、前記付加画像を前記第1映像中の前記ゲーム装置の筐体に相当する特定の範囲に合成する合成手段と、
前記付加画像が合成された第2映像を、ネットワークを通じて接続された電子機器に送信する送信手段と
を有するゲームサーバ。
【請求項2】
前記ゲーム装置に対するゲームの実行要求を第1電子機器から受信し、前記ゲーム装置において実行されるゲームの映像の閲覧要求を第2電子機器から受信する要求受信手段をさらに有し、
前記合成手段は、前記第1映像に対して第1付加画像を合成した第3映像と、前記第1映像に対して前記第1付加画像と異なる第2付加画像を合成した第4映像を生成し、
前記送信手段は、前記第3映像を前記第1電子機器に送信し、前記第4映像を前記第2電子機器に送信する請求項1記載のゲームサーバ。
【請求項3】
クレーンアームを筐体内で移動させて、筐体内に載置された物品を取得する動作をさせるクレーンゲーム装置であって、
筐体内を移動する前記クレーンアームと前記物品の位置を示す位置データを検出する位置検出手段と、
前記筐体を撮影した第1映像を入力する映像入力手段と、
前記クレーンアームと前記物品の移動に伴って変化する前記位置データに応じて予め用意された付加画像を変更し、前記付加画像を前記第1映像中の前記筐体に相当する特定の範囲に合成する合成手段と、
前記付加画像が合成された第2映像を出力する映像出力手段と
を有するクレーンゲーム装置。
【請求項4】
クレーンアームを筐体内で移動させて、筐体内に載置された物品を取得する動作をさせるクレーンゲーム装置であって、
筐体内の特定の範囲がクロマキー用の特定色に形成され、
前記筐体を撮影した第1映像を入力する映像入力手段と、
前記第1映像の前記特定色にされた前記特定の範囲に対して、予め用意された付加画像を合成する合成手段と、
前記付加画像が合成された第2映像を、ネットワークを通じて接続された電子機器に出力する映像出力手段と
を有するクレーンゲーム装置。
【請求項5】
前記合成手段は、前記第1映像に対して第1付加画像を合成した第3映像と、前記第1映像に対して前記第1付加画像と異なる第2付加画像を合成した第4映像を生成し、
前記映像出力手段は、前記第3映像と前記第4映像を出力する請求項3または請求項4記載のクレーンゲーム装置。
【請求項6】
コンピュータを、
ゲーム装置を撮影した第1映像を入力する映像入力手段と、
前記ゲーム装置の筐体内を移動する物体の位置を示す位置データを入力する位置データ入力手段と、
前記物体の移動に伴って変化する前記位置データに応じて予め用意された付加画像を変更し、前記付加画像を前記第1映像中の前記ゲーム装置の筐体に相当する特定の範囲に合成する合成手段と、
前記付加画像が合成された第2映像を、ネットワークを通じて接続された電子機器に送信する送信手段として機能させるためのプログラム。
【請求項7】
クレーンゲーム装置に設けられたコンピュータを、
前記クレーンゲーム装置の筐体内を移動するクレーンアームと物品の位置を示す位置データを検出する位置検出手段と、
前記筐体を撮影した第1映像を入力する映像入力手段と、
前記クレーンアームと前記物品の移動に伴って変化する前記位置データに応じて予め用意された付加画像を変更し、前記付加画像を前記第1映像中の前記筐体に相当する特定の範囲に合成する合成手段と、
前記付加画像が合成された第2映像を出力する映像出力手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームサーバ、クレーンゲーム装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
アミューズメント施設等に設置されたクレーンゲーム装置は、筐体内に設けられたフィールド内にプライズ製品(景品)を載置しておき、機外から操作されるクレーンアーム(キャッチャー)により景品を獲得できるように構成されている。プレーヤは、例えばボタン操作をすることによりクレーンアームを縦方向/横方向に移動させて、目標とする景品が載置された上方まで移動させて、クレーンアームに景品を掴む動作を実行させることができる。プレーヤは、クレーンアームを目標とする位置まで移動させるために、筐体内部を見る方向(頭の位置)を変えて、移動中のクレーンアームと景品との位置関係を把握しながらボタン操作をする。
【0003】
ところで近年では、クレーンゲーム装置を、ネットワークを通じて利用することができるゲームサービス(以下、オンラインクレーンゲームと称する場合がある)が提供されている。この種のゲームサービスでは、クレーンゲーム装置を撮影した映像を、ネットワークを通じてプレーヤが使用するパーソナルコンピュータやスマートフォンなどの電子機器に提供する。そして、プレーヤは、映像を見ながら電子機器に対する所定の入力操作をすることで、ネットワークを通じて撮影対象となっているクレーンゲーム装置に操作指示を送信してクレーンアームを制御することができる。これにより、プレーヤは、遠隔地に設置されたクレーンゲーム装置を、ネットワークを通じて利用することができる。
【0004】
さらに、ゲームサービスでは、オンラインにより実行されているクレーンゲーム装置の様子を、他のプレーヤが閲覧することができるようにしている。これにより、オンラインクレーンゲームに興味を持たせ、ゲームの利用を促すようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-193243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のオンラインクレーンゲームでは、オンラインにより実行されているクレーンゲーム装置の様子を、他のプレーヤが閲覧することができるようにしているが、ゲーム装置に対して設けられた固定カメラにより撮影された映像を、ゲーム実行用と閲覧用に共通して用いている。すなわち、ゲームを実行しているプレーヤと閲覧しているプレーヤは、同じゲーム実行中のクレーンゲーム装置の様子を映像によって確認するだけであった。このため、クレーンゲーム装置を撮影した映像のさらなる有効利用が望まれていた。
【0007】
本発明は前述した事情に考慮してなされたもので、その目的は、オンラインクレーンゲームにおいて、ゲーム装置を撮影した映像をより有効に活用することができるゲームサーバ、クレーンゲーム装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明のゲームサーバは、ゲーム装置を撮影した第1映像を入力する映像入力手段と、前記ゲーム装置の筐体内を移動する物体の位置を示す位置データを入力する位置データ入力手段と、前記物体の移動に伴って変化する前記位置データに応じて予め用意された付加画像を変更し、前記付加画像を前記第1映像中の前記ゲーム装置の筐体に相当する特定の範囲に合成する合成手段と、前記付加画像が合成された第2映像を、ネットワークを通じて接続された電子機器に送信する送信手段とを有する。
【0009】
また、本発明のクレーンゲーム装置は、クレーンアームを筐体内で移動させて、筐体内に載置された物品を取得する動作をさせるクレーンゲーム装置であって、筐体内を移動する前記クレーンアームと前記物品の位置を示す位置データを検出する位置検出手段と、前記筐体を撮影した第1映像を入力する映像入力手段と、前記クレーンアームと前記物品の移動に伴って変化する前記位置データに応じて予め用意された付加画像を変更し、前記付加画像を前記第1映像中の前記筐体に相当する特定の範囲に合成する合成手段と、前記画像が合成された第2映像を出力する映像出力手段とを有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、オンラインクレーンゲームにおいて、ゲーム装置を撮影した映像をより有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態におけるゲームシステムの構成を示すブロック図。
図2】本実施形態におけるゲームサーバの機能構成の一例を示すブロック図。
図3】本実施形態におけるゲーム装置の外観構成を示す斜視図。
図4】本実施形態におけるゲーム装置の機能構成を示すブロック図。
図5】本実施形態におけるゲームサーバ6の動作を説明するためのフローチャート。
図6】本実施形態におけるゲーム装置の動作を説明するためのフローチャート。
図7】本実施形態におけるゲーム装置のゲーム閲覧用画像合成処理を説明するためのフローチャート。
図8】本実施形態におけるゲーム装置の正面カメラによって撮影された映像の一例を示す図。
図9図8に示す映像をもとにした電子機器におけるゲーム実行用の画面の表示例を示す図。
図10】ゲーム用映像が表示されたゲーム実行用の画面の一例を示す図。
図11】ゲーム閲覧用映像が表示されたゲーム閲覧用の画面の一例を示す図。
図12】ステージ背面エリア10DPを変更するゲーム実行用の画面の一例を示す図。
図13】ステージ背面エリア10DPを変更するゲーム実行用の画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態におけるゲームシステム5の構成を示すブロック図である。図1に示すゲームシステム5は、インターネット等を含むネットワーク4を介して接続される電子機器2(2-1,…,2-m)に対して、ネットワークゲームサービスを提供するためのシステムである。電子機器2は、ネットワークゲームサービスを利用するプレーヤが使用する、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末、テレビなどである。
【0013】
ゲームシステム5は、ゲームサーバ6と少なくとも1台のゲーム装置10(10-1,10-2,…,10-n)を含む。
ゲームサーバ6は、ネットワーク4と接続され、電子機器2との間でデータの送受信を行う。また、ゲームサーバ6は、施設内に設置された少なくとも1台のゲーム装置10(10-1,10-2,…,10-n)と、LAN(Local Area Network)等のネットワーク8を通じて接続され、ゲーム装置10の動作制御、データの送受信等を実行する。
【0014】
ゲームサーバ6は、ネットワーク4を通じて接続された電子機器2に対して、ネットワーク4を通じてゲーム装置10をプレーすることができるネットワークゲームサービスを提供する。ゲームサーバ6は、ネットワーク4を通じて接続された電子機器2からのゲームの実行要求を受信し、このゲームの実行要求に応じて、複数のゲーム装置10から選択された特定のゲーム装置10によるゲームを実行可能にする。ゲームサーバ6は、電子機器2から受信される操作データをゲーム装置10に出力し、操作データに応じて動作させる。ゲームサーバ6は、ゲームの実行要求をした電子機器2に対して、ゲーム装置10を撮影した映像を送信する。電子機器2を操作するプレーヤは、ゲームサーバ6から受信される映像によってゲーム装置10の動作状態を確認しながら、ゲーム装置10を制御するための入力操作をすることができる。
【0015】
本実施形態におけるゲームサーバ6は、ゲームの実行要求をした電子機器2に対して、映像を確認しながらの入力操作を容易にするための予め決められたパターン画像、ゲーム演出のための画像、あるいはゲームのプレーとは直接関係しない広告等の画像が、ゲーム装置10の筐体に相当する特定の範囲に含まれる映像を送信する。
【0016】
また、ゲームサーバ6は、電子機器2からのゲームの実行要求に応じてだけでなく、ゲーム装置10の映像の閲覧要求を受信し、この映像の閲覧要求に応じて、複数のゲーム装置10から選択された特定のゲーム装置10を撮影した映像を送信する。閲覧対象とする映像は、他のプレーヤによってゲームが実行中のゲーム装置10だけでなく、ゲームが実行されていないゲーム装置10を対象とすることもできる。
【0017】
本実施形態におけるゲームサーバ6は、映像の閲覧要求をした電子機器2に対して、ゲーム演出のための画像、あるいはゲームのプレーとは直接関係しない広告等の画像が、ゲーム装置10の筐体に相当する特定の範囲に含まれる映像を送信する。
【0018】
ゲーム装置10は、ゲームサーバ6の制御のもとで、ゲームを実行する。ゲーム装置10は、ゲームサーバ6を通じて、電子機器2におけるプレーヤの入力操作に応じて出力される操作データを受信し、操作データに応じた制御を実行する。本実施形態のゲームシステム5では、ゲーム装置10は、例えばクレーンゲーム装置として実現される。クレーンゲーム装置は、筐体内に設けられた景品ステージに景品(プライズ製品)を載置しておき、プレーヤによる入力操作に応じてクレーンアーム(キャッチャー)の動きを制御して、景品を筐体外に払い出すことができるように構成されている。
【0019】
ゲームシステム5に設けられる複数のゲーム装置10は、例えば、それぞれ異なる景品が載置され、また景品ステージの景品を載置する状態が異なっている。電子機器2を操作するプレーヤは、複数のゲーム装置10のそれぞれに載置された景品の種類や状態を確認して、プレーするゲーム装置10を任意に選択できるようになっている。
【0020】
図2は、本実施形態におけるゲームサーバ6の機能構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、ゲームサーバ6は、CPU6a、RAM6b、記憶装置6c、入力装置6d、表示装置6e、通信装置6fを有する。
【0021】
CPU6aは、RAM6bに記憶されているプログラムやデータに基づいて、ゲームサーバ6の全体の制御、記憶装置6cに記憶されるデータの管理、ネットワークゲームサービスを提供するための処理、ゲーム装置10の制御/管理等の各種処理を実行する。
【0022】
RAM6bは、CPU6aにより実行される各種プログラムや、各種処理により実行されるデータなどが記憶される。RAM6bに記憶されるプログラムには、基本プログラム(OS(Operating System))の他、複数のゲーム装置10を制御/管理するための管理プログラムが含まれる。
【0023】
記憶装置6cは、各種プログラムやデータ等を記憶する。記憶装置6cには、電子機器2から入力される映像データを記憶しておくことができる。
【0024】
表示装置6eは、CPU6aによる処理に応じた画面をLCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイに表示させる。
入力装置6dは、CPU6aによる各種処理に応じたデータや指示を、キーボードやマウスなどの入力デバイスを通じて入力する。
通信装置6fは、CPU6aの制御のもとで、ネットワーク4を介した電子機器2との通信、ネットワーク8を解したゲーム装置10との通信を制御する。
【0025】
図3は、本実施形態におけるゲーム装置10(クレーンゲーム装置)の外観構成を示す図である。
図3に示すゲーム装置10は、1つの筐体に搭載された2つのゲームユニット(左側ユニット、右側ユニット)の一方(図3では左側ユニット)によって実現されているものとする。なお、1つの筐体に1つのゲームユニットが搭載されたゲーム装置10であっても良い。
【0026】
ゲーム装置10は、上部筐体と下部筐体とから構成されている。上部筐体は、筐体外周面の前面と側面が透明板により覆われており、透明板を通じて筐体内部が視認できるようになっている。
【0027】
上部筐体内(ゲーム空間)の上部には、ゲームサーバ6から入力される操作データに応じて動作が制御されるクレーンアーム10Aが設けられている。上部筐体の上部には、クレーンアーム10Aを、例えばX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向(上下方向)に移動させるためのクレーン機構部(図示せず)が設けられている。クレーン機構部は、例えば、横移動、縦移動、降下のそれぞれを示す操作データに応じて駆動される。クレーンアーム10Aの先端部には、景品を把持するためのアーム(把持爪)が設けられており、下降されて景品に到達した位置で、閉じる(物を把持する)ように動作が制御される。
【0028】
ゲーム装置10の正面には、カメラスタンド12Bにより支持された正面カメラ12Aが設置され、側面にはカメラスタンド14Bにより支持された側面カメラ14Aが設置される。正面カメラ12Aと側面カメラ14Aは、少なくとも上部筐体を撮影範囲として、上部筐体内のクレーンアーム10Aと景品を含む映像を撮影する。
【0029】
ゲーム装置10は、上部筐体内には、景品が載置される景品ステージ10Bが設けられる。なお、図3に示すゲーム装置10の景品ステージ10Bは、平面状に構成されているが、様々な状態で景品を載置できるように平面以外の形状により構成するようにしても良い。例えば、景品ステージ10Bを階段状などの段差をつけたり、複数本の棒状の部材を掛け渡したりする構成とすることもできる。
【0030】
景品ステージ10Bには、一部に景品落とし口10Cが形成される。景品落とし口10Cは、景品ステージ10Bの下方部に設けられた景品誘導空間を通じて、下部筐体の前面に設けられた景品取出口と連通されている。クレーンアーム10Aの動作によって景品落とし口10Cに落下された景品は、景品誘導空間を通じて景品取出口まで誘導される。
【0031】
正面カメラ12Aは、ゲーム装置10の正面から上部筐体を撮影することで、上部筐体のステージ背面10Dとステージ側面10E(右側ユニットとの仕切り板)を背景にして、クレーンアーム10Aと景品を含む映像を撮影する。同様にして、側面カメラ14Aは、ゲーム装置10の側面から上部筐体を撮影することで、上部筐体のステージ背面10Dとステージ側面10Eを背景にして、クレーンアーム10Aと景品を含む映像を撮影する。
【0032】
本実施形態におけるゲームシステムでは、ゲーム装置10の正面カメラ12A及び側面カメラ14Aによって撮影される映像を、ゲームの実行要求をした電子機器2、及び映像の閲覧要求をした電子機器2に対して、ゲームサーバ6を通じて配信する。電子機器2に対して配信される映像には、ゲーム装置10の筐体の例えばステージ背面10D及びステージ側面10E(さらには景品ステージ10Bを含めても良い)に相当する特定の範囲が、入力操作を容易にするための予め決められたパターン画像、ゲーム演出のための画像、あるいはゲームのプレーとは直接関係しない広告等の画像が含まれる。以下、特定の範囲における画像を付加画像として説明する。
【0033】
付加画像は、例えば、正面カメラ12A及び側面カメラ14Aによって撮影された映像に対して、ゲーム装置10において合成しても良いし(以下、第1の付加処理と称する)、あるいはゲームサーバ6において合成しても良いし(以下、第2の付加処理と称する)、正面カメラ12A及び側面カメラ14Aによって撮影される映像に予め含まれるようにしても良い(以下、第3の付加処理と称する)。
【0034】
図4は、本実施形態におけるゲーム装置10の機能構成を示すブロック図である。
図4に示すように、ゲーム装置10の筐体内部には、各種ユニットが実装された制御PCB(Print Circuit Board)68が設けられている。制御PCB68に実装されたユニットには、CPU70、RAM71、記憶装置72、入出力処理ユニット73、カメラ制御部74、センサ制御部75、モータ駆動部76、アーム駆動部77、通信制御部78、及び表示制御部79を含む。
【0035】
CPU70は、RAM71あるいは記憶装置72に記憶された制御プログラムやゲームプログラムを実行することにより、ゲーム装置10全体を制御する。CPU70は、通信制御部78を通じて入力されるゲームサーバ6からの操作データに応じて、モータ駆動部76及びアーム駆動部77を制御してクレーンアーム10Aを動作させる。また、CPU70は、正面カメラ12A及び側面カメラ14Aにより撮影される映像に対する映像処理、及び正面カメラ12A及び側面カメラ14Aにより撮影された映像のゲームサーバ6への出力等を制御する。ゲームサーバ6に出力する映像中に付加画像を含めるために、第1の付加処理あるいは第3の付加処理を実行する(詳細については後述する)。
【0036】
RAM71は、制御プログラムやゲームプログラム等の各種プログラムの他、CPU70により実行される処理に伴うゲームを制御するための各種データを一時的に記憶する。RAM71に記録されるデータには、例えばクレーンアーム10Aの位置(X位置、Y位置)を示す位置データ、正面カメラ12A及び側面カメラ14Aにより撮影された映像に付加する画像の画像データ(例えば、格子を表すパターンデータ)等が含まれる。
【0037】
記憶装置72は、ROMやハードディスク等の不揮発性の記憶媒体にプログラムやデータを記憶する。記憶装置72は、例えば正面カメラ12A及び側面カメラ14Aにより撮影された映像に付加する画像の画像データを記憶し、必要に応じて読み出される。
【0038】
入出力処理ユニット73は、制御PCB68の外部に設けられた各種入出力デバイスとのインタフェースである。入出力処理ユニット73には、例えば景品センサ84が接続される。景品センサ84は、景品落とし口10Cに落下した景品を検知して、検知信号を入出力処理ユニット73に出力する。
【0039】
カメラ制御部74は、CPU70からの指示に応じて、正面カメラ12Aと側面カメラ14Aによる撮影を制御する。センサ制御部75は、CPU70の制御のもとで、3Dスキャンセンサ85を制御する。3Dスキャンセンサ85は、例えば上部筐体内に設置され、上部筐体内のクレーンアーム10A、景品等を含む各種物体の位置をリアルタイムで検出する。
【0040】
モータ駆動部76は、機構部69に設けられたモータ82の駆動を制御する(X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の移動制御)。アーム駆動部77は、クレーンアーム10Aに設けられたアームを開閉させるためのアームモータ83の駆動を制御する。
【0041】
モータ82は、モータ駆動部76により駆動されるもので、クレーンアーム10AをX軸方向(横方向)に移動させるX軸モータ、Y軸方向(縦方向)に移動させるY軸モータ、Z軸方向(上下方向)に移動させるZ軸モータを含む。アームモータ83は、アーム駆動部77により駆動されるもので、クレーンアーム10Aを開閉させる。
【0042】
クレーンアーム10Aに対して景品取得シーケンスを実行させる操作データ(降下(「した」)を示す操作データ)がゲームサーバ6から受信された場合、モータ駆動部76及びアーム駆動部77は、景品取得シーケンスを実行させるため、モータ82によりクレーンアーム10Aの先端部が景品に到達する位置まで下降させ、アームモータ83によりアームに景品を掴む動作をさせた後、クレーンアーム10Aを上昇させる。
【0043】
通信制御部78は、CPU70の制御のもとで、ゲームサーバ6との通信を制御する。
表示制御部79は、CPU70の制御のもとで、背面用ディスプレイ86と側面用ディスプレイ87の表示を制御する。背面用ディスプレイ86と側面用ディスプレイ87は、第3の付加処理によって付加画像を、正面カメラ12A及び側面カメラ14Aにより撮影された映像に含めるために使用される。背面用ディスプレイ86は、ステージ背面10Dに設けられ、側面用ディスプレイ87は、ステージ側面10Eに設けられる。なお、第1の付加処理あるいは第2の付加処理を用いる場合には、背面用ディスプレイ86と側面用ディスプレイ87は設けられないものとする。
【0044】
なお、第1の付加処理あるいは第2の付加処理を用いる場合、ステージ背面10Dとステージ側面10E(さらには景品ステージ10B)は、クロマキーによって画像合成するために、クロマキー用の特定の色(例えばブルー、グリーン)により形成される。
【0045】
次に、本実施形態におけるゲームシステム5の動作について説明する。
図5は、本実施形態におけるゲームサーバ6の動作を説明するためのフローチャートである。図6は、本実施形態におけるゲーム装置10の動作(第2の付加処理)を説明するためのフローチャートである。図7は、本実施形態におけるゲーム装置10のゲーム閲覧用画像合成処理を説明するためのフローチャートである。
【0046】
ゲームサーバ6は、ネットワーク4を介して、ネットワークゲームサービスを提供するためのサイト(以下、ゲームサイトと称する)を公開している。ゲームサーバ6は、ゲームサイトにアクセスした電子機器2に対して、ゲームの実行対象あるいはゲームの閲覧対象とするゲーム装置10を選択するためのゲーム装置一覧画面を提供する。
【0047】
なお、ゲームサーバ6が提供するネットワークゲームサービスを利用する場合、プレーヤは事前に会員登録しておくと共にポイント購入をしておく必要があるものとする。ポイント購入は、例えばポイント購入のためのサイトにおいて、電子機器2を通じて所定の手続きをすることにより実行されるものとする。ゲームサーバ6は、会員登録されたプレーヤ毎に保有するポイントを記憶して管理する。なお、事前にポイント購入するだけでなく、クレジットカードや電子マネーカードにより支払いをすることでネットワークゲームサービスを利用できるようにしても良い。
【0048】
ゲームサーバ6は、ゲームシステム5に設置された複数のゲーム装置10(10-1,…,10-n)のそれぞれから、例えば正面カメラ12Aによって撮影された映像を入力している。ゲームサーバ6は、複数のゲーム装置10から受信される映像を、ゲーム装置一覧画面において表示させる。
【0049】
電子機器2を操作するプレーヤは、ゲーム装置一覧画面に表示される複数のゲーム装置10の映像を参照して、ゲームの実行対象として、例えば欲しい景品が景品ステージ10Bに載置されている、あるいは景品が取得し易い状態(景品落とし口10Cに落としやすい状態)となっているゲーム装置10を選択することができる。
【0050】
また、電子機器2を操作するプレーヤは、ゲーム装置一覧画面に表示される複数のゲーム装置10の映像を参照して、例えば他のプレーヤが実行中のゲーム装置10を閲覧対象として選択することができる。例えば、欲しい景品が載置されたゲーム装置10を閲覧対象とすることで、他のプレーヤによる景品の取得方法(クレーンアーム10Aの操作方法)を学習したり、他のプレーヤによるプレーにより景品が取得し易い状態(景品落とし口10Cに落としやすい状態)に移動される様子を待つといったことができる。
【0051】
ゲームサーバ6(CPU6a)は、電子機器2から何れかのゲーム装置10を選択する指示と共にゲームの実行要求が入力されると(ステップA1、Yes)、選択されたゲーム装置10が他のプレーヤによって使用されていないゲーム空き状態であるか判別する。
【0052】
ゲームサーバ6は、ゲーム装置10が空き状態である場合(ステップA2、Yes)、対象とするゲーム装置10をプレーするために必要なポイントをプレーヤが保持している(ポイント購入済みである)かを確認する。なお、複数のゲーム装置10は、それぞれ載置された景品の種類などに応じて、プレーに必要なポイントが設定されているものとする。
【0053】
ゲームサーバ6は、選択されたゲーム装置10を利用可能なポイントを保持していると確認された場合(ステップA3、Yes)、ポイント消費について電子機器2のプレーヤに対して確認応答を求める。ゲームサーバ6は、電子機器2のプレーヤ操作によってポイント消費について承認応答が受信された場合(ステップA4、Yes)、以下に説明するゲーム処理を実行する(ステップA5)。
【0054】
ゲームサーバ6は、ゲームの実行対象として選択されたゲーム装置10に対してゲーム実行要求を出力し、このゲーム実行要求に応じてゲーム装置10から出力される映像を電子機器2に送信して、ゲーム実行用の画面を表示させる。ゲーム実行用の画面には、ゲームプレー用のフレーム内においてゲーム装置10を撮影した映像が表示される。
【0055】
図8は、本実施形態におけるゲーム装置10の正面カメラ12Aによって撮影された映像の一例を示している。図8に示すように、上部筐体内の景品ステージ10Bに載置された景品OB、クレーンアーム10A等を含む映像が撮影されている。図9は、図8に示す映像をもとにした電子機器2におけるゲーム実行用の画面の表示例を示す図である。図9に示すゲーム実行用の画面は、ゲーム実行時とゲーム閲覧時と共通に用いられるものとする。なお、ゲーム実行時とゲーム閲覧時とで異なるデザインのゲームプレー用のフレームが用いられても良い。
【0056】
図9に示すゲームプレー用のフレームには、例えばゲーム情報を表示するゲーム情報エリア2A1、ゲーム装置10の動作を制御するためのボタンを表示するボタンエリア2A2、閲覧者が次のゲーム予約をするための予約ボタン2A3、広告等の情報(画像、文字等)を表示するための広告エリア2A4が設けられている。
【0057】
ゲーム情報エリア2A1には、例えば、現在の閲覧人数、予約数、1プレーに必要なポイント数、プレーヤが保持している残りポイント数などが表示される。ボタンエリア2A2には、クレーンアーム10Aを横方向に移動させるための「よこ」ボタン2A21、クレーンアーム10Aを縦方向に移動させるための「たて」ボタン2A22、景品取得シーケンスを実行させる「した」ボタン2A23が含まれている。
【0058】
なお、図9に示すステージ背面10Dに対応するステージ背面エリア10DP、ステージ側面エリア10EP、景品ステージ10Bに対応する景品ステージ10BPには、電子機器2のプレーヤがクレーンアーム10Aを動作させる入力操作を容易にするためのパターンBP1,SP1,FP1(付加画像)がそれぞれ付加されている。図9に示す付加画像は、格子状のパターンの例を示しており、筐体の垂直方向/水平方向に沿って平行な直線が等間隔に配置されている。パターンBP1,SP1,FP1(付加画像)を付加する処理(第1の付加処理、第2の付加処理)の詳細については後述する。
【0059】
ゲームサーバ6は、電子機器2におけるボタンエリア2A2に対する入力操作に応じて、各ボタンに対応する操作データを受信し、ゲーム装置10に対して出力する。ゲーム装置10は、操作データに応じて、クレーンアーム10Aを動作させる。電子機器2のプレーヤは、図9に示すゲーム実行用の画面に表示される映像のクレーンアーム画像10APをもとに、クレーンアーム10Aの動きを確認することができる。
【0060】
図9に示すように、ステージ背面10Dに相当するステージ背面エリア10DPにはパターンBP1が表示され、景品ステージエリア10BPにはパターンFP1が表示されている。このため、クレーンアーム10Aを横方向に移動させる際に、パターンBP1,FP1を基準にして、クレーンアーム10A(クレーンアーム画像10AP)の現在位置と、景品OB(景品画像OBP)との相対的な位置関係を容易に把握することができる。従って、クレーンアーム10Aの横方向の位置決めを容易にすることができる。
【0061】
また、図9では、正面カメラ12Aにより撮影された映像を表示する例を示しているが、例えば「たて」ボタン2A22が操作された場合に、クレーンアーム10Aの縦方向の位置決めを容易にするために、側面カメラ14Aにより表示された映像の表示に切り替える。この場合、クレーンアーム10Aを横方向に移動させる場合と同様にして、ステージ側面エリア10EPに表示されパターンSP1と景品ステージ10BPに表示されるFP1を基準にして、クレーンアーム10A(クレーンアーム画像10AP)の現在位置と、景品OB(景品画像OBP)との相対的な位置関係を容易に把握することができる。従って、クレーンアーム10Aの縦方向の位置決めを容易にすることができる。
【0062】
なお、「たて」ボタン2A22が操作された場合に、映像を切り替えるとしているが、正面カメラ12Aにより表示された映像と側面カメラ14Aにより表示された映像を、電子機器2に対するプレーヤの操作に応じて任意に切り替えられるようにしても良い。
【0063】
また、クレーンアーム10Aに対する縦横方向の移動操作は、それぞれ1回ずつ実行できるようにしても良いし、例えば予め設定された時間内であればそれぞれ複数回実行できるようにしても良い。電子機器2のプレーヤは、ゲーム装置10の筐体に相当する特定の範囲(ステージ背面エリア10DP、ステージ側面エリア10EP、景品ステージエリア10BP)に付加されたパターンをもとに、クレーンアーム10Aを目的とする位置に容易に位置決めすることができる。プレーヤは、クレーンアーム10Aの縦横方向の位置決めができると、「した」ボタン2A23の操作により景品取得シーケンスの実行を指示する。
【0064】
ゲームサーバ6は、電子機器2から景品取得シーケンスを指示する操作データを受信すると、ゲーム装置10に対して景品取得シーケンスを実行させる。ゲーム装置10は、クレーンアーム10Aに景品取得シーケンスの動作を実行させる。この結果、景品OBが景品落とし口10Cに落下された場合、景品センサ84により検知される。ゲーム装置10は、景品センサ84による検知信号に応じて、ゲームサーバ6に対して景品取得を通知する。ゲームサーバ6は、ゲーム装置10からの景品取得の通知に応じて、ゲーム結果処理を実行する(ステップA6)。例えば、ゲーム結果処理では、ゲーム実行用の画面に代えて、ゲーム取得のメッセージ画面(例えば「景品獲得おめでとう」のメッセージなど)を電子機器2に表示させると共に、会員登録されたプレーヤと対応づけて獲得された景品のデータなどを記録する。なお、ゲーム装置10における景品取得シーケンスによって景品が獲得できなかった場合には、ゲームサーバ6は、その他のゲーム結果処理を実行する。
【0065】
ここで、プレーヤによりゲーム終了が指示された場合、ゲームサーバ6は、処理を終了する。また、プレーヤがさらにゲームを実行可能なポイントを所有している場合には、続けてゲームを実行することができる。ゲームサーバ6は、電子機器2からゲームの続行が指示された場合には(ステップA7、No)、前述と同様にして、ポイントを消費してゲーム処理を実行する(ステップA4~A6)。従って、プレーヤは、1つの景品OBを獲得するために複数回のゲームを繰り返して実行することが可能となる。
【0066】
ところで、ゲームサーバ6は、電子機器2からゲーム装置一覧画面中の何れかのゲーム装置10を選択する指示と共にゲームの閲覧要求が入力されると(ステップA8、Yes)、ゲーム閲覧処理を実行する(ステップA9)。ゲームサーバ6は、ゲーム閲覧処理において、ゲームの閲覧対象として選択されたゲーム装置10に対してゲーム閲覧要求を出力し、このゲーム閲覧要求に応じてゲーム装置10から出力される映像を電子機器2に送信して、ゲーム閲覧用の画面を表示させる。ゲーム閲覧用の画面には、図9と同様にして、ゲームプレー用のフレーム内においてゲーム装置10を撮影した映像が表示される。なお、ゲームサーバ6は、ゲーム閲覧処理では、ボタンエリア2A2に対する入力操作は受付けないが、予約ボタン2A3に対する操作に応じて次のゲーム予約をするものとする。ゲームサーバ6は、予約ボタン2A3に対する操作に応じてプレーヤを予約リストに記録すると共に、ゲーム情報エリア2A1の予約数を加算する。ゲームサーバ6は、現在のプレーヤによるゲーム終了後に、予約リストに記録されたプレーヤに対して、順番に、ゲームの実行確認を通知する。ゲームサーバ6は、ゲームの実行確認に対してゲームの実行要求があった場合に、前述と同様にして、ゲームの実行要求があった電子機器2に対するゲーム処理を実行する。
【0067】
なお、電子機器2によるゲーム閲覧要求は、ゲーム実行中のゲーム装置10に限らず、景品の状態を確認するなどの目的のためゲームが実行されていないゲーム装置10を対象とすることができる。
【0068】
ゲームサーバ6は、電子機器2からゲーム閲覧終了が指示された場合(ステップA10、Yes)、処理を終了する。
【0069】
次に、本実施形態におけるゲーム装置10によるゲーム処理について、図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。ここで、ゲーム装置10において、正面カメラ12A及び側面カメラ14Aにより撮影された映像に対して付加画像を合成する第1の付加処理をする場合について説明する。
【0070】
ゲーム装置10のCPU70は、ゲームサーバ6からゲーム実行要求を受信すると(ステップB1、Yes)、正面カメラ12A及び側面カメラ14Aによって撮影された映像に対して付加画像を合成するゲーム用画像合成処理を実行し(ステップB2)、ゲーム用画像合成処理により生成されたゲーム用映像をゲームサーバ6に出力する(ステップB3)。
【0071】
これにより、ゲームサーバ6は、ゲームを実行するプレーヤのゲーム装置10に対して、付加画像が付加された映像を送信することができる。
【0072】
例えば、第1の付加処理によって付加画像を合成する場合、ゲーム装置10のステージ背面10D、ステージ側面10E、及び景品ステージ10Bがクロマキー用の特定の色(ブルー、グリーン)により形成される。ゲーム装置10は、正面カメラ12A及び側面カメラ14Aにより撮影された映像に対して、予め用意された付加画像、例えば図9に示す格子を表すパターンを合成する。正面カメラ12Aと側面カメラ14Aの設置位置は固定であり、それぞれによって撮影される映像中の付加画像を付加すべき範囲の位置は固定である。従って、付加画像を付加すべき範囲の形状に合わせたパターン(画像データ)を用意しておくことで、付加画像をクロマキー合成することができる。
【0073】
なお、図9に示す付加画像(格子パターン)は、一例であって、クレーンアーム10Aの位置決めの基準とすることができるパターンであれば任意の形状のパターンを用いることができる。また、格子パターンのように線のみにより形成されたパターンだけでなく、複数色が用いられたパターンなどであっても良い。
【0074】
ゲーム装置10は、ゲームサーバ6から操作データを受信すると(ステップB4)、操作データに応じてクレーンアーム10Aの動作を制御する(ステップB5)。ゲーム装置10は、ゲームが実行されている間は(ステップB6、No)、ゲーム用画像処理を実行して、付加画像が付加された映像をゲームサーバ6に出力し続ける。ゲーム装置10は、ゲームが終了されると(ステップB6、Yes)、処理を終了する。
【0075】
一方、ゲーム装置10のCPU70は、ゲームサーバ6からゲーム閲覧要求を受信すると(ステップB7、Yes)、正面カメラ12A及び側面カメラ14Aによって撮影された映像に対して付加画像を合成するゲーム閲覧用画像合成処理を実行し(ステップB8)、ゲーム閲覧用画像合成処理により生成されたゲーム閲覧用映像をゲームサーバ6に出力する(ステップB9)。
【0076】
これにより、ゲームサーバ6は、ゲームを閲覧するプレーヤの電子機器2に対して、付加画像が付加された映像を送信することができる。なお、ゲームを閲覧するプレーヤが複数いる場合には、複数の電子機器2に対して同じ映像を配信することができる。
【0077】
なお、前述したように、ゲーム用映像とゲーム閲覧用映像には同じ付加画像が付加されるものとしているが、本実施形態のゲーム装置10では、ゲーム用とゲーム閲覧用において、それぞれ異なる付加画像を付加することも可能である。
【0078】
図10は、ゲーム用映像が表示されたゲーム実行用の画面の一例を示す図、図11は、ゲーム閲覧用映像が表示されたゲーム閲覧用の画面の一例を示す図である。
【0079】
図10に示すゲーム用映像では、図9と同様の格子パターンの他、例えばクレーンアーム10Aの位置決めに有用な、狙い位置をアドバイスするための画像が付加されている。図10に示す例では、景品OBに対する狙い位置を示す矢印と、プレーヤに注意を促すためのキャラクタ画像SP2が付加されている。なお、図10に示す付加画像は一例であって他の画像を付加するようにしても良い。
【0080】
図11に示すゲーム閲覧用映像では、例えば広告用の画像が付加された例を示している。例えばステージ背面エリア10DPには、広告画像BP2,BP3が付加され、ステージ側面エリア10EPには、広告画像SP3,SP4が付加されている。ゲーム閲覧用映像では、クレーンアーム10Aの位置決めのための格子パターンが不要であるので、その代わりに例えば広告用の画像を付加することで、閲覧者に対して商品等の宣伝をすることができる。
【0081】
さらに本実施形態におけるゲーム装置10では、正面カメラ12A及び側面カメラ14Aにより撮影された映像に対して付加する付加画像をゲーム実行中に変化させることも可能である。図7は、付加画像を変化させるゲーム閲覧用画像合成処理を示すフローチャートである。
【0082】
この場合、ゲーム装置10は、センサ制御部75の制御により3Dスキャンセンサ85を動作させる。ゲーム装置10のCPU70は、3Dスキャンセンサ85からのデータを入力して(ステップC1)、上部筐体内(ゲーム空間)にある物体、すなわちクレーンアーム10Aと景品OBの位置を検出する(ステップC2)。
【0083】
CPU70は、クレーンアーム10Aと景品OBの現在位置に対応する、付加画像を付加すべき範囲を算出する。CPU70は、クレーンアーム10Aあるいは景品OBの位置の変化に伴い、付加画像を付加すべき範囲が変更された場合、表示の変更が必要であると判別し(ステップC4、Yes)、付加画像を付加すべき範囲に対して付加画像を付加する。これにより、正面カメラ12A及び側面カメラ14Aにより撮影された映像中のステージ背面エリア10DPあるいはステージ側面エリア10EP(さらには景品ステージエリア10BP)に相当する表示を変更することができる。
【0084】
図12及び図13には、ステージ背面エリア10DPを変更するゲーム実行用の画面の一例を示す図である。
【0085】
図12は、例えばクレーンアーム10Aが動作することにより、クレーンアーム10Aの位置が変更されると共に景品OBが移動した状態を示している。この場合、ステージ背面エリア10DPに付加されていた広告画像BP2,BP3がクレーンアーム画像10APと景品画像OBPによって隠れている。この場合、CPU70は、表示変更が必要であると判別し、現在のクレーンアーム10Aと景品OBの位置に対して、広告画像BP2,BP3が隠れない範囲を付加画像を付加すべき範囲として算出して、この範囲に対して付加画像(広告画像BP2,BP3)を付加する。
【0086】
図13は、クレーンアーム10Aと景品OBの位置に応じて、表示位置(付加位置)が変更された広告画像BP2a,BP3aの一例を示している。こうして、ゲーム空間内で移動する物体に合わせて、広告画像BP2,BP3を付加する位置を移動させることで、ゲーム実行中において常に閲覧者に対して広告画像を視認させることができる。なお、ステージ側面エリア10EPに付加された広告画像SP3,SP4が隠れる場合には、同様にして表示位置(付加位置)を変更することができる。
【0087】
また、図13に示す例では、付加画像を広告画像としているため、クレーンアーム画像10AP及び景品画像OBPによって隠れないようにしているが、広告画像以外の例えばゲーム演出用の画像を付加する場合には、クレーンアーム画像10APや景品画像OBPに追随するように付加位置を変化させるようにしても良い。例えば、ゲーム演出用の画像がクレーンアーム画像10APの背景を表す画像の場合には、クレーンアーム画像10APの背面側に常に位置するように付加位置を変化させる。
【0088】
なお、ゲーム演出用の画像は、イメージに限るものではなく、ゲームを盛り上げるためのテキストメッセージなどであっても良い。
【0089】
また、前述した例では、ゲーム閲覧用映像について付加画像を付加する位置を変化させているが、ゲーム空間内の物体の位置の変化に合わせて、ゲーム用映像においても付加画像を付加する位置を変化させる、あるいは付加するパターンを変動させることも可能である。また、付加画像を付加する位置の変動は、3Dスキャンセンサ85により検出される物体の位置に基づくだけでなく、クレーンアーム10Aを移動させる操作データ、ゲームの実行時間、電子機器2に対するプレーヤによる特定の入力操作に応じて変動させることも可能である。
【0090】
このようにして、ゲーム実行中に付加画像を付加する位置を変化させることにより、正面カメラ12A及び側面カメラ14Aにより撮影される映像をより有効に活用することができる。
【0091】
次に、本実施形態における第2の付加処理について説明する。
前述した第1の付加処理では、ゲーム装置10において、正面カメラ12A及び側面カメラ14Aが撮影した映像に対して付加画像を付加しているが、第2の付加処理では、ゲームサーバ6において付加画像を付加する。
【0092】
この場合、ゲーム装置10は、正面カメラ12A及び側面カメラ14Aが撮影した映像をゲームサーバ6に対して出力する。また、ゲーム装置10は、3Dスキャンセンサ85からのデータをもとに検出される、上部筐体内(ゲーム空間)にある物体(クレーンアーム10A、景品OB)の位置を示す位置データをゲームサーバ6に出力する。ゲームサーバ6は、ゲーム装置10から映像データと位置データを入力し、映像に対して前述と同様にして付加画像を付加して、ゲームを実行する電子機器2、ゲームを閲覧する電子機器2のそれぞれに対して映像を送信して表示させる。なお、具体的な処理については、第1の付加処理と同様にして実行されるものとして詳細な説明を省略する。
【0093】
こうして、ゲームサーバ6において付加画像を付加する処理を実行することで、ゲーム装置10の個々における処理負担を軽減することが可能となる。
【0094】
次に、本実施形態における第3の付加処理について説明する。
前述した第1の付加処理及び第2の付加処理では、正面カメラ12A及び側面カメラ14Aが撮影した映像に対して付加画像を付加しているが、第3の付加処理では、付加画像に相当する画像を含む映像を正面カメラ12A及び側面カメラ14Aにより撮影する。
【0095】
第3の付加処理を用いる場合、ゲーム装置10に背面用ディスプレイ86及び側面用ディスプレイ87を設ける(景品ステージ10Bに相当するディスプレイを設けても良い)。ゲーム装置10は、ゲーム実行時には、ゲーム用映像を出力するため、背面用ディスプレイ86及び側面用ディスプレイ87において、入力操作を容易にするための予め決められたパターン(前述した第1の付加処理における付加画像と同様のパターンなど)を表示させる。正面カメラ12A及び側面カメラ14Aは、背面用ディスプレイ86及び側面用ディスプレイ87の表示内容を含めて撮影するため、撮影された映像中のステージ背面エリア10DPやステージ側面エリア10EPに相当する範囲には特定のパターンが含まれる。
【0096】
さらに、背面用ディスプレイ86及び側面用ディスプレイ87には、特定のパターンの他に、クレーンアーム10Aの現在位置を示す画像を表示させるようにしても良い。例えば、CPU70は、モータ駆動部76によるモータ82に対する駆動量に応じてクレーンアーム10Aの位置を判別し、その位置に応じて背面用ディスプレイ86及び側面用ディスプレイ87にクレーンアーム10Aの現在位置を示すマークなどを表示する。これにより、背面用ディスプレイ86及び側面用ディスプレイ87に表示されたパターンとマークとにより、クレーンアーム10Aと景品OBとの相対的な位置関係を容易に把握することができる。
【0097】
また、クレーンアーム10Aに、ステージ背面10Dあるいはステージ側面10Eに対して、レーザを照射するレーザポインタを設けて、クレーンアーム10Aの現在位置をポインタによって示すようにしても良い。同様にして、背面用ディスプレイ86及び側面用ディスプレイ87に表示されたパターンとレーザポインタによるポインタ位置とにより、クレーンアーム10Aと景品OBとの相対的な位置関係を容易に把握することができる。
【0098】
なお、第3の付加処理を用いる場合、ゲーム装置10は、閲覧対象として指示された場合に、例えば前述した図12に示すように、背面用ディスプレイ86及び側面用ディスプレイ87において広告画像を表示させる。これにより、正面カメラ12A及び側面カメラ14Aによってゲーム装置10を撮影することにより、背面用ディスプレイ86及び側面用ディスプレイ87に表示された広告画像を含む映像を電子機器2に対して配信することができる。
【0099】
なお、ステージ背面エリア10DP、ステージ側面エリア10EP及び景品ステージエリア10BPに付加される、入力操作を容易にするためのパターンは、ゲーム装置10において固定でも良いし、景品OBの種類(サイズなど)に応じて変化させるようにしても良い。さらに、常にパターンが付加されるのではなく、1ゲーム中に付加される期間と付加されない期間があっても良い。さらに、連続プレー回数に応じて、例えば予め決められた回数以上となった場合にパターンを付加するといったことも可能である。さらには、予め決められた条件を達成したプレーヤに対して特典サービスとして、特定のゲーム実行時にのみパターンを付加するようにしても良い。
【0100】
また、実施形態に記載した手法は、コンピュータに実行させることができるプログラム(ソフトウエア手段)として、例えば磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD-ROM、DVD、MO、Blu-ray(登録商標)等)、半導体メモリ(ROM、RAM、フラッシュメモリ等)等の記録媒体に格納し、また通信媒体により伝送して頒布することもできる。なお、媒体側に格納されるプログラムには、コンピュータに実行させるソフトウエア手段(実行プログラムのみならずテーブルやデータ構造も含む)をコンピュータ内に構成させる設定プログラムをも含む。本装置を実現するコンピュータは、記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、また場合により設定プログラムによりソフトウエア手段を構築し、このソフトウエア手段によって動作が制御されることにより上述した処理を実行する。なお、本明細書でいう記録媒体は、頒布用に限らず、コンピュータ内部あるいはネットワークを介して接続される機器に設けられた磁気ディスクや半導体メモリ等の記憶媒体を含むものである。
【0101】
また、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0102】
2…電子機器、6…ゲームサーバ、6a…CPU、10…ゲーム装置、10A…クレーンアーム、10B…景品ステージ、10C…景品落とし口、10D…ステージ背面、10E…ステージ側面、12a…正面カメラ、14a…側面カメラ、85…3Dスキャンセンサ、86…背面用ディスプレイ、87…側面用ディスプレイ、OB…景品。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13