(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】フラットコンタクトソケット
(51)【国際特許分類】
H01R 13/187 20060101AFI20220404BHJP
【FI】
H01R13/187 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017205751
(22)【出願日】2017-10-25
【審査請求日】2020-07-06
(31)【優先権主張番号】10 2016 221 351.2
(32)【優先日】2016-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(32)【優先日】2017-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】マイアー,リューディガー
(72)【発明者】
【氏名】フェルティッヒ,ヨッヘン
(72)【発明者】
【氏名】シュタンゲ,ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】トボルト,ヨアヒム
(72)【発明者】
【氏名】ティルナヴッカラス,ニランジャン
【審査官】鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】中国特許第104037523(CN,B)
【文献】独国実用新案第202007000302(DE,U1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0129407(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/00-13/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの導電体(107)に電気的に接続される接続部(3)と、フラットコンタクト(63)を挿入可能であり、ソケット本体(7)のフラットコンタクト面(11)に沿って延びるフラットコンタクトレセプタクル(9)と、を有するフラットコンタクトソケット(1)であって、
前記ソケット本体(7)における少なくとも2つの離間した区域(97a、97b)から離れるように延びて前記接続部(3)の共通接続面(93)を形成する、少なくとも2つの延長部(95a、95b)を特徴とする
とともに、
前記フラットコンタクトソケット(1)は、1つの打抜き曲げ部品として導電性材料(28)から生産されることを特徴とする、
フラットコンタクトソケット(1)。
【請求項2】
前記延長部(95a、95b)の
両方が、前記ソケット本体(7)と一体に形成されていることを特徴とする、
請求項1に記載のフラットコンタクトソケット(1)。
【請求項3】
前記ソケット本体(7)は、少なくとも2つの脚部(21a、21b)を有し、
前記少なくとも2つの脚部(21a、21b)は、前記フラットコンタクト面(11)を挟んで互いに対向して配置され、
前記少なくとも2つの脚部(21a、21b)は、前記フラットコンタクト面(11)を横断して前記フラットコンタクトレセプタクル(9)の境界を定め、
前記脚部と一緒に形成された
前記延長部(95a、95b)は、前記脚部(21a、21b)の各々から離れるように延びていることを特徴とする、
請求項1または2に記載のフラットコンタクトソケット(1)。
【請求項4】
前記脚部(21a、21b)のうちの少なくとも1つは、前記フラットコンタクト(63)に電気的に接触するための少なくとも1つのコンタクト部(55)を内脚面(37)に有していることを特徴とする、
請求項3に記載のフラットコンタクトソケット(1)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのコンタクト部(55)は、少なくとも1つのコンタクトばね(57)を備え、
前記少なくとも1つのコンタクトばね(57)は、前記フラットコンタクトレセプタクル(9)内に突出し、前記脚部(21a、21b)の方に弾性的に撓むことができることを特徴とする、
請求項4に記載のフラットコンタクトソケット(1)。
【請求項6】
前記2つの延長部(95a、95b)は、前記接続部(3)において並べて配置され、前記フラットコンタクト面(11)と平行に延びる接続面(93)を形成していることを特徴とする、
請求項1から5のいずれか一項に記載のフラットコンタクトソケット(1)。
【請求項7】
前記2つの延長部(95a、95b)は、前記接続部(3)において互いに対置して配置されていることを特徴とする、
請求項6に記載のフラットコンタクトソケット(1)。
【請求項8】
前記接続面(93)は、溶接によって少なくとも1つの導電体(107)に接続されるように形成されていることを特徴とする、
請求項1から7のいずれか一項に記載のフラットコンタクトソケット(1)。
【請求項9】
前記区域(97a)における前記フラットコンタクトソケット(1)側の一端は、前記区域(97b)における前記フラットコンタクトソケット(1)側の一端とは高さ方向の位置が相違する、
請求項1から8のいずれか一項に記載のフラットコンタクトソケット(1)。
【請求項10】
少なくとも1つの導電体(107)をフラットコンタクト(63)に電気的に接続するための接続組立体(109)であって、
請求項1から9のいずれか一項に記載のフラットコンタクトソケット(1)と、
前記接続面(93)に導電的に接続されている少なくとも1つの導電体(107)と、を特徴とする、
接続組立体(109)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの導電体(107)は、前記接続面(93)に溶接されていることを特徴とする、
請求項10に記載の接続組立体(109)。
【請求項12】
2つの導電体(107)が、前記接続面(93)に導電的に接続されていることを特徴とする、
請求項10または11に記載の接続組立体(109)。
【請求項13】
前記導電体(107)の各々は、関連する延長部(95a、95b)に導電的に接続されていることを特徴とする、
請求項12に記載の接続組立体(109)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの導電体に電気的に接続される接続部と、フラットコンタクトを挿入可能であり、ソケット本体のフラットコンタクト面に沿って延びるフラットコンタクトレセプタクルと、を有するフラットコンタクトソケットに関する。本発明は、さらに、少なくとも1つの導電体をフラットコンタクトに電気的に接続するための接続組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも1つの導電体とフラットコンタクトとの間の電気接続を確立することができるフラットコンタクトソケットが知られている。しかしながら、知られているフラットコンタクトソケットの欠点は、フラットコンタクトソケットが、一般に、少なくとも1つの導体から、フラットコンタクトレセプタクルに受容されたフラットコンタクトまでの電流の流れを不均一にしか分配せず、その結果、電流が高流量となる区域が生じ、電気抵抗に起因する温度上昇が構成要素への損傷を招くことがあることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
それゆえに、本発明の目的は、この欠点を克服した前述のタイプのフラットコンタクトソケットおよび接続組立体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によるフラットコンタクトソケットでは、この目的は、ソケット本体における少なくとも2つの離間した区域から離れるように延び、接続部の共通接続面を形成する少なくとも2つの延長部によって達成される。本発明による接続組立体では、この目的は、接続面が少なくとも1つの導電体に導電的に接続される本発明によるフラットコンタクトソケットによって達成される。
【0005】
本発明による解決策により、少なくとも2つの延長部を介してフラットコンタクトソケットを通して電流の流れを伝導し、それにより、電流の流れを分配することができる。その結果、損傷が生じるほど個々の区域が電流の流れによって強く加熱されるのを防止することが可能である。経験から、200アンペアを超える電流をこのようにしてフラットコンタクトソケットを通して伝導することができる。延長部が延びる少なくとも2つの区域は離間しているので、電流は、さらに、フラットコンタクトソケットまたはソケット本体の異なるポイントに伝導することができ、その結果、フラットコンタクトレセプタクルに配置されたフラットコンタクトへの電流の流れのより良好な分配が達成される。
【0006】
本発明による解決策は様々な構成によってさらに改善することができる。様々な構成は、各々、それ自体有利であり、望むように互いに組み合わせることができる。これらの構成および関連する利点を以下で論じる。
【0007】
本発明による解決策は、角度がついた接続(90°接続)または直線接続(180°接続)のいずれかで使用することができる。90°接続の場合には、接続部は、接続状態において、導電体が、少なくとも接続部の区域で、フラットコンタクトレセプタクルへのフラットコンタクトの挿入方向を横断して延びることができる。180°接続の場合には、少なくとも接続部の区域で導電体が挿入方向と平行に延びるように、接続部が延在することができる。
【0008】
フラットコンタクトソケットを簡単に取り扱うために、接続部は、フラットコンタクトレセプタクルから離間しているが、フラットコンタクトレセプタクルに接続されていることが好ましい。
【0009】
延長部のうちの少なくとも1つは、ソケット本体と一体に形成されて、簡単な構造と良好な導電性とを達成することができる。
【0010】
接続面は、特に、溶接またははんだ付けによって少なくとも1つの導電体に接続されるものとすることができる。この目的のために、接続面は、まっすぐで、平坦で、工具を近づけやすいことが好ましい。
【0011】
特に簡単な構造のソケット本体を得るために、ソケット本体は、少なくとも2つの脚部を有することができる。少なくとも2つの脚部はフラットコンタクト面を挟んで互いに対向して配置され、少なくとも2つの脚部は、フラットコンタクト面を横断してフラットコンタクトレセプタクルの境界を定める。2つの脚部は、特に、実質的に平坦であり、フラットコンタクト面と平行に向けることができる。
【0012】
脚部とともに形成される、好ましくは脚部と一体に形成される少なくとも1つの延長部が、脚部の各々から離れるように延びることができる。その結果、2つの脚部の各々は、関連する延長部を介して導電体に接続され得る。このようにして、フラットコンタクトレセプタクルに受容されたフラットコンタクトは、2つの脚部を介して電気的に接触され得る。これは、接続部からの電流の流れが最初に2つの脚部のうちの1つで生じ、続いてその脚部から他の脚部へと生じる構成と比較して、フラットコンタクトソケットを通る電流の流れを増加させることができるので有利である。
【0013】
好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの延長部は、その関連する脚部から接続部にまっすぐに連続的に延びることができる。特に、脚部と、それに接続された、またはそれと一体に形成された延長部とは、フラットコンタクト面と平行に延びることができる。対向する脚部とともに形成された、または対向する脚部に接続された少なくとも1つのさらなる延長部は、この場合、最初にフラットコンタクト面を実質的に横断して反対側の脚部の方に、続いて接続部へと延びるように形成することができ、その結果、少なくとも2つの延長部は、フラットコンタクト面を横断して見たとき、脚部のうちの1つの内面の高さに配置された接続面を形成する。
【0014】
代替として、少なくとも2つの延長部は、それらのうちの少なくとも1つが2つの脚部の各々から離れるように延び、最初に反対側の脚部の方に、続いて接続部に延びることができる。この場合、接続面の高さは、フラットコンタクト面を横断して見たとき、2つの対向する脚部の間に配置され得る。特に、延長部は、2つの脚部の間の中央に配置された面に沿って延びることができる。
【0015】
脚部のうちの少なくとも1つは、フラットコンタクトに電気的に接触するための少なくとも1つのコンタクト部を内脚面に有することができる。内面は、フラットコンタクトレセプタクルの方を向いておりフラットコンタクトレセプタクルの境界を定める面である。
【0016】
好ましくは、2つの脚部は各々コンタクト部を有する。これらのコンタクト部は、フラットコンタクト面を挟んで互いに対向して配置されることが好ましい。少なくとも1つの延長部が脚部の各々から延びる場合、コンタクト部の各々は、関連する延長部を介して接続面に接続され得る。その結果、2つのコンタクト部は、どの場合にも延長部を介して少なくとも1つの導電体に接続することができ、それによって、電流は接続部からコンタクト部に直接流れることができる。
【0017】
少なくとも1つのコンタクト部と、フラットコンタクトレセプタクルに受容されたフラットコンタクトとの間の電気接触を改善するために、少なくとも1つのコンタクト部は、少なくとも1つのコンタクトばねを備えることができる。少なくとも1つのコンタクトばねは、フラットコンタクトレセプタクル内に突出し、脚部の方に弾性的に撓むことができる。少なくとも1つのコンタクト部は、このタイプの複数のコンタクトばねを有することが好ましい。
【0018】
少なくとも1つのコンタクトばねは、脚部と一体に形成される必要はない。特に、少なくとも1つのコンタクト部は、複数のコンタクトばねを有するコンタクトプレートを備えることができる。コンタクトプレートは、良好な導電性のために選択された材料から形成することができる。少なくとも1つのコンタクトプレートは、材料係合によって、特に溶接によって少なくとも1つの脚部の内面に接続されることが好ましい。少なくとも2つの脚部の各々は少なくとも1つのコンタクトプレートを備える。このプレートは、フラットコンタクトレセプタクルを挟んで互いに対向して配置されることが好ましい。
【0019】
本発明によるフラットコンタクトソケットの特にコンパクトな実施形態は、2つの延長部が接続部において互いに対置して配置されフラットコンタクト面と平行に延びる接続面を形成する故に得ることができる。特に、2つの延長部は、互いに対置して配置することができる。
【0020】
少なくとも2つの延長部によって形成される共通接続面は、必ずしも連続して形成される必要はない。例えば、製造に由来する間隙が2つの延長部間に存在することも可能である。この場合、少なくとも1つの導電体が、特に溶接によって両方の延長部に接続され、それにより、2つの延長部を通る電流の流れを可能にすることができる。
【0021】
接続面は、複数の導電体に接続可能とすることもできる。例えば、少なくとも2つの延長部の各々は、少なくとも1つの導電体に接続され得る。これは、特に、1つの導電体のみを使用して接続するケーブルの断面よりも小さい断面をもつ導電体、例えばケーブルを使用するように意図される場合に有利である。この構成は、例えばケーブルのより小さい曲げ半径が必要とされる場合に選択することができる。
【0022】
複数の導電体を使用した接続では、延長部のうちの1つは、導電体のうちの1つに接続されることが好ましい。例えば、延長部の各々は、関連する導電体、例えばケーブルに溶接することができる。
【0023】
安定したフラットコンタクトソケットを得るために、少なくとも2つの脚部は、挿入方向において挿入開口の反対側に配置された少なくとも1つのウエブを介して接続することができる。その結果、特に、少なくとも2つの脚部間の距離を固定することができる。特に、180°接続のためのフラットコンタクトソケットでは、さらに、挿入方向で見たとき少なくとも1つのウエブがフラットコンタクトレセプタクルの側部に配置されるように、少なくとも1つのウエブを配置することは得策であり得る。
【0024】
フラットコンタクトソケットは、ハウジングとのポジティブ係合を確立するために、挿入方向に対して実質的に平行に、または挿入方向を横断してフラットコンタクトソケット内に延びる少なくとも1つのポジティブ係合凹部を有することができる。少なくとも1つのポジティブ係合凹部は、特に、接続部とソケット本体との間に配置することができる。
【0025】
90°接続の場合には、少なくとも1つのポジティブ係合凹部は、フラットコンタクトの挿入方向と平行にフラットコンタクトソケット内に延びることができることが好ましい。180°接続では、少なくとも1つのポジティブ係合凹部は、挿入方向を横断してフラットコンタクトソケット内に延びることが好ましい。
【0026】
少なくとも1つのポジティブ係合凹部の結果として、挿入方向に対して平行に延びる、または挿入方向を横断して延びる少なくとも1つの停止面を、フラットコンタクトソケットをハウジングに固定するためにソケット本体に形成することができる。
【0027】
ハウジング、例えばフラットコンタクトソケットを受容するための絶縁ハウジングは、フラットコンタクトソケットがハウジングに受容された組立て状態で、ポジティブ係合凹部に受け取られるポジティブ係合要素を有することができる。特に、ハウジングは、ポジティブ係合要素がポジティブ係合凹部に受け取られる向きと異なる向きでフラットコンタクトソケットをハウジングに挿入しようとする場合に、ポジティブ係合要素がフラットコンタクトソケットの別の部分にぶつかるように形成することができる。したがって、ポジティブ係合要素のポジティブ係合凹部との協働は、組立て中のエラーを防止するための要素を形成する。組立て状態では、ポジティブ係合要素は停止面に打ち当たることができ、それは、フラットコンタクトソケットがハウジングから外れる、特に、接続部の方に外れるのを効果的に防止することができる。これは、特に、接続部に接続された導電体に引張り力が加えられる場合に当てはまる。
【0028】
製造にとって迅速で都合のよいフラットコンタクトソケットを得るために、上記ソケットは、特に、打抜き曲げ部品として生産することができる。
【0029】
本発明によるフラットコンタクトソケットの安定性をさらに向上させるために、特に、少なくとも2つの脚部が曲がって互いに離れるのを防止するために、フラットコンタクトソケットは、挿入方向と反対方向に向いている脚部端部を互いに接続するかまたはラッチする少なくとも1つのラッチ要素を有することができる。
【0030】
本発明によるフラットコンタクトソケットは横方向ガイド要素を有することができる。横方向ガイド要素は、ソケット本体と一体に形成されており、好ましくは打抜き曲げによって形作られており、フラットコンタクトを、挿入方向を横断して案内することができる。ガイド要素は、特に、挿入開口に対して横断面方向で配置された側部に2つの脚部を少なくとも部分的にロックできるように配置することができる。
【0031】
本発明によるフラットコンタクトソケットがハウジングに受容されることになる場合、フラットコンタクトソケットは、ポジティブ係合においてハウジングの少なくとも1つの相補的に形成された位置固定要素を受け取るように形成された少なくとも1つの刻み目を備えることができる。
【0032】
以下、例として、図面を参照しながら有利な実施形態によって本発明をより詳細に説明する。特定の用途では、実施形態において例として示される特徴の組合せは、上述で規定されたようにさらなる特徴が適宜に補足されてもよい。さらに、個々の特徴は、特定の用途においてこの特徴の効果が必須でない場合、再度、上述で規定されたように、記載する実施形態では省略されてもよい。
【0033】
図面において、同じ参照番号は、常に、同じ機能および/または同じ構造をもつ要素に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明によるフラットコンタクトソケットの有利な実施形態の斜視図である。
【
図2】露出されたフラットコンタクトレセプタクルおよび2つの導電体を有する、
図1に示したフラットコンタクトソケットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、90°接続のための本発明によるフラットコンタクトソケット1の基本構造を
図1および
図2によって説明する。フラットコンタクトソケット1は、導電体に電気的に接続される接続部3を有する。
【0036】
ソケット本体7は接続部3に接続される。ソケット本体7は、基本的に、フラットコンタクト63(
図2に示す)への接続のためのものである。この目的のために、ソケット本体7はフラットコンタクトレセプタクル9を有する。フラットコンタクトレセプタクル9は、
図1に点線で示したフラットコンタクト面11に沿って延びる。
【0037】
フラットコンタクトを差し込むために、フラットコンタクトレセプタクル9は挿入開口13によって開口されている。阻止要素15が、挿入開口13の反対側のソケット本体7の端部に配置され、フラットコンタクトレセプタクル9へのフラットコンタクト63の侵入深さの境界を定める。挿入方向17は、挿入開口13から阻止要素15の方に延びる。挿入方向17は、フラットコンタクト面11と平行に延びる。したがって、挿入開口13と阻止要素15とは、挿入方向17において互いに反対側に配置される。
【0038】
全体的に、フラットコンタクトソケット1は、挿入方向17を横断して延びる長手方向19に沿って延びる。接続部3とソケット本体7とは、長手方向19において隣接している。図示の例示的な実施形態では、接続部3は、導電体、特にケーブルが、同じく最初に、接続部3への接続の後フラットコンタクトソケット1に接している区域において長手方向19と実質的に平行に延びるように構成される。
【0039】
しかしながら、本発明によるフラットコンタクトソケット1は、違うように形作ることもできる。例えば、接続部3は、接続部3がソケット本体7から離れて挿入方向17と平行に延びるようにソケット本体7に接続されてもよい。さらなる代替では、接続部3は、挿入方向17を横断し、かつ長手方向19を横断して延びることができ、したがって、
図1において、これは上向きまたは下向きとなる。
【0040】
ソケット本体7は、フラットコンタクト面11を挟んで互いに対向して配置された2つのフラット脚部21aおよび21bを有する。個々の脚部21aまたは21bの属性が本質的でない場合、明瞭にするために以下では脚部21を参照して実施形態を説明する。
【0041】
脚部21は、フラットコンタクト面11を挟んでフラットコンタクトレセプタクル9の境界を定める。脚部21は実質的に連続的に形成されることが好ましい。代替として、脚部21は、例えば材料を節約するために開口を有することもできる。挿入開口13の反対側に配置されたフラットコンタクトソケット1の端部において、2つの脚部21は2つのウエブ25によって相互接続される。
【0042】
フラットコンタクトソケット1は、打抜き曲げ部品として導電性材料28から生産されることが好ましい。打抜き曲げによる生産により、フラットコンタクトソケット1の迅速でコスト効果的な生産が可能になる。
【0043】
阻止要素15は、挿入方向17においてソケット本体7の残りの部分から離れるように延びるカンチレバー31に接続される。阻止要素15は、挿入方向17を横断し、かつ長手方向19を横断面して、すなわち、フラットコンタクト面11を横断してカンチレバー31から突出する。
【0044】
挿入方向17に延びるカンチレバー31に、阻止要素15が配置される。その結果として、挿入方向17において、少なくとも部分的にソケット本体7の残りの部分を越えて突出するフラットコンタクト63を、フラットコンタクトレセプタクル9内に受容することが可能である。このようにして、追加の要素、例えばタッチプロテクタを備えたフラットコンタクト63を受け取ることができる。
【0045】
阻止要素15は、上述の配置によってフラットコンタクトレセプタクル9の残りの部分から離間している。阻止要素15は、ソケット本体7と一体に生産されることが好ましく、フラットコンタクトソケット1の残りの部分と一体に生産されることが特に好ましい。これは、特に、フラットコンタクトソケット1が打抜き曲げ部品として形成される故に達成することができる。この場合、阻止要素15およびカンチレバー31は、フラットコンタクトソケット1の材料28から打ち抜くことができる。それにより、本発明による阻止要素15なしでソケット本体7の区域に連続的な基部が形成されることになる。したがって、基部は、脚部21bに連続的に移行することができ、阻止要素15によって形成される自由端は、挿入方向を横断し、かつ長手方向19を横断して上方に曲げることができる。
【0046】
阻止要素15は、2つのブレース33を有し、2つのブレース33を介してカンチレバー31に接続される。その結果、阻止要素15は、形態が梁状であり、離間した2つのブレース33を介してカンチレバー31に接続される。代替として、ブレース33間の区域は、さらに、ふさがっていてもよい。しかしながら、阻止要素15の形状を作り出すために、かつ材料28を上方に曲げるのに必要とされる屈曲力を低減するために、材料28はそこを打ち抜かれるかまたは取り除かれることが好ましい
【0047】
阻止要素15を使用して挿入方向17におけるフラットコンタクトレセプタクル9の境界を効果的に定めるために、阻止要素15は、フラットコンタクトレセプタクル9の高さ35の半分を超えて延びる。フラットコンタクトレセプタクル9の高さ35は、フラットコンタクト面11を横断する2つの脚部21の内面37間の距離として測定される。
【0048】
フラットコンタクトレセプタクル9への挿入の間、フラットコンタクトを横方向に案内するために、および脚部21の位置を互いに対して固定するために、フラットコンタクトソケット1は2つのラッチ要素41を有する。2つのラッチ要素41がフラットコンタクトレセプタクル9の側部に配置される。これは、2つのラッチ要素41が長手方向19において互いに反対側に配置され、長手方向19に見たときフラットコンタクトレセプタクル9が2つのラッチ要素41間に配置されていることを意味する。ロック要素41は、横方向におよび長手方向19に挿入開口13の境界を定める。
【0049】
ロック要素41の各々は脚部21bから反対側の脚部21aまで延び、これは、代替の構成では、逆転させることも可能である。ロック要素41の各々はポジティブ係合開口43を有する。ポジティブ係合開口43は、ラッチ要素41の自由端45に配置されることが好ましい。ラッチ要素41は、実質的に帯状に形成され、2つの脚部21のうちの1つの材料28から打ち抜くことができ、説明している実施形態では脚部21bから打ち抜くことができる。
【0050】
ラッチングのために、ラッチ要素41は、ポジティブ係合開口43が脚部21aの高さに配置されるように反対側の脚部21aの方向に曲げられる。この脚部21aはポジティブ係合突起47を有する。ポジティブ係合突起47は、接続状態ではポジティブ係合開口43内に配置されている。このようにして、ポジティブ係合が、挿入方向17を横断して形成される。これにより、2つの脚部21が望ましくなく開いて離れることまたは一緒になって押しつけること、ならびに2つの脚部21が長手方向19に変位することが防止される。
【0051】
脚部21はコンタクト部55を有する。コンタクト部55は、フラットコンタクトレセプタクル9に配置されたフラットコンタクトに電気的に接触するためのものである。コンタクト部55は脚部21の内面37に配置される。2つの脚部21のうちの1つのみが電気接触のためのコンタクト部55を有することも可能である。代替として、例えば、脚部21のうちの1つは、さらに、フラットコンタクトレセプタクル9にフラットコンタクトを機械的に固定するように形成された押付け器(pressing organ)を備えることができる。
【0052】
フラットコンタクトソケット1とフラットコンタクト63との間の電気接続を改善するために、各コンタクト部55は多数のコンタクトばね57を有する。コンタクトばね57は、フラットコンタクトレセプタクル9内に突き出し、関連する脚部21の方に弾性的に撓み可能である。内面37の各々は、コンタクト部55に、複数のコンタクトばね57を備えたコンタクトプレート59を有することが好ましい。コンタクトプレート59は、それぞれの脚部21に導電的に接続される。コンタクトプレート59は脚部21の内面37に溶接されることが好ましい。
【0053】
2つのコンタクトプレート59は、フラットコンタクトレセプタクル9を挟んで互いに対向して配置される。コンタクトプレート59およびコンタクト部55は、挿入方向17と反対方向に阻止要素15から離間することが好ましい。コンタクト部55と阻止要素15との間に延びる自由空間61は、例えば、フラットコンタクトの導電性部分のまわりに配置することができるタッチプロテクタを受け入れるためのものとすることができる。
【0054】
接続部3は、溶接またははんだ付けによって少なくとも1つの導電体107(
図2に示される)に接続されるように形成される。この目的のために、接続部3は接続面93を有する。接続面93は、フラットコンタクト面11と平行に、および長手方向19に沿ってフラットコンタクトレセプタクル9およびソケット本体7から離れるように延びることが好ましい。
【0055】
接続面93は2つの延長部95によって形成される。延長部95aおよび95bは、長手方向19にソケット本体7から離れるように延び、長手方向19を横断し、かつ挿入方向17において互いに対置する。2つの延長部95は、互いに接触して配置されてもよく、またはそれらの間に生産に由来する間隙があってもよい。2つの延長部95は、一緒に、まっすぐで平坦な接続面93を形成する。2つの延長部95aおよび95bは、互いに離間するソケット本体7における2つの区域97aおよび97bから延びる。区域97aは、接続部3の方に配置された脚部21aの端部であり、区域97bは、接続部3の方に配置された脚部21bの端部である。したがって、延長部95の各々は脚部21のうちの1つから離れるように延びる。延長部95aは、脚部21aからフラットコンタクト面11と平行に連続的に延び、連続的で実質的に平坦な面を脚部21aと一緒に形成する。
【0056】
代替として、延長部95aおよび95bは両方とも最初にそれぞれ反対側の脚部21bおよび21aの方に、続いて接続部3に延びることができる。したがって、接続表面93の高さは、フラットコンタクト面11を横断して見たとき、互いに対向して配置された2つの脚部21aおよび21bの間に配置することができる。特に、延長部95aおよび95bは、2つの脚部21aおよび21bの間の中央に配置された面に沿って延びることができる。
【0057】
対照的に、脚部21bから進んだとき、延長部95bは、最初に脚部21aの方に延び、続いて長手方向19に沿ってソケット本体7から離れるように延びるように形作られる。その結果、2つの延長部95は、接続面93の区域において同じ高さに配置することができる。「高さ」という用語は、挿入方向17および長手方向19を横断する、フラットコンタクトレセプタクル9の高さ35の方向と平行な方向に関連する。
【0058】
接続面93と脚部21bとの間に、延長部95bはオフセット区域99を有しており、延長部95bは、脚部21bから進んだとき延長部95aと同じ高さに配置されるように形作られる。オフセット区域99は、挿入方向17に見たときにS形状である。言い換えれば、脚部21bから、延長部95bは、最初に長手方向19に脚部21bから離れるように延び、続いて脚部21aおよびソケット本体7の方に少なくとも部分的に延びる。続いて、延長部95bは、ソケット本体7から離れるように再び長手方向19に延びる。その結果、ソケット本体7の方に湾曲した区域101が形成され、区域101の凸面103はソケット本体7の方を向いており、区域101の凹面105は接続部3の方に開口されている。凹面105の結果として、長手方向19に拡張された接続面93を得ることができる。
【0059】
両方の延長部95への接続を確立するように、導電体107を接続部3の接続面93に溶接することができる。したがって、フラットコンタクトソケット1を通る電流の流れは、2つの延長部95を介して2つの脚部21に分配することができる。
【0060】
導電体がいくつかの個々の導電体から構成されることが必要であるかまたは望ましい場合、延長部95aおよび95bの各々は、さらに、少なくとも1つの導電体に溶接することができる。これを
図2に例として示す。少なくとも2つの導電体107を使用する利点は、2つの導体107が各々単一導体の場合よりも小さい線路断面を有することができることである。小さい断面をもつ2つの導体は、2つの個々の導体の合計断面に対応する断面をもつ単一導体よりも一般に柔軟であるので、導体107が布設されるとき、より小さい曲げ半径を実現することができる。
【0061】
少なくとも1つの導電体107に接続されたフラットコンタクトソケット1は、本発明による接続組立体109を形成する。
【符号の説明】
【0062】
1 フラットコンタクトソケット
3 接続部
7 ソケット本体
9 フラットコンタクトレセプタクル
11 フラットコンタクト面
13 挿入開口
15 阻止要素
17 挿入方向
19 長手方向
21、21a、21b 脚部
25 ウエブ
28 導電性材料
31 カンチレバー
33 ブレース
35 フラットコンタクトレセプタクルの高さ
37 脚部の内面
41 ラッチ要素
43 ポジティブ係合開口
45 ラッチ要素の自由端
47 ポジティブ係合突起
55 コンタクト部
57 コンタクトばね
59 コンタクトプレート
61 自由空間
63 フラットコンタクト
93 接続面
95、95a、95b 延長部
97a、97b 区域
99 オフセット区域
101 湾曲区域
103 凸面
105 凹面
107 導電体
109 接続組立体